JP2016103012A - カラーフィルター用顔料分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、輝度に優れ、良好な分散特性が得られるカラーフィルター用顔料分散体、着色組成物、カラーフィルター、及び顔料分散体の製造方法を提供する。【解決手段】〔1〕アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを配合してなる、カラーフィルター用顔料分散体、〔2〕前記〔1〕に記載の顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂とを配合してなる、カラーフィルター用着色組成物、〔3〕前記〔2〕に記載の着色組成物を用いて製造される、カラーフィルター、〔4〕顔料(A)と、ローダミン染料(B)と、分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを混合する工程を有する、顔料分散体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用顔料分散体、着色組成物、カラーフィルター、及び顔料分散体の製造方法に関する。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、顔料分散体に樹脂等を配合した着色組成物をガラス等の透明基板に塗工した後、露光・硬化、現像、熱硬化させるフォトリソグラフィー法等によって製造されている。ここで用いられる顔料分散体は、顔料を非水系溶媒に分散した非水系顔料分散体であるが、非水系顔料分散体の製造方法として、グラフトポリマー等の高分子分散剤を用いる製造方法が知られており、様々な要求性能を満たすために、分散剤の改良検討が行われている。
例えば、特許文献1には、高明度な赤色カラーフィルターを製造しうることを目的として、キサンテン染料と黄色顔料、オレンジ色顔料及び赤色顔料から選ばれる少なくとも1種の顔料を含む赤色着色硬化性樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、保存安定性に優れた着色硬化性組成物を得るために好適な着色剤分散液を提供することを目的として、着色剤が溶剤に分散されてなる着色剤分散液であって、着色剤が、染料及び顔料を含み、溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む着色剤分散液が開示されている。
特許文献3には、高輝度、高コントラストを得ることを目的としてキサンテン系染料、有機顔料骨格またはアミノベンゼン骨格と塩基性官能基を有する有機化合物を含む着色組成物が開示されている。
特許文献4には、高輝度、高耐光性、高耐溶剤性を得ること、及び加熱時の顔料の結晶析出抑制を目的として、キサンテン系酸性染料と側鎖にカチオン性基を有する樹脂とからなる造塩化合物および赤色顔料を含む着色組成物が開示されている。
特開2013−140348号公報 特開2013−234319号公報 特開2012−194523号公報 特開2012−208452号公報
カラーフィルターは、表示画像の高精細化、高輝度化に伴い、高い輝度とコントラスト比が求められている。輝度とコントラスト比を向上させるための方法としては、顔料をより微細化することが行われる。しかしながら、顔料を微細化することによって顔料同士の凝集力が高まるため、得られる顔料分散体及び着色組成物において顔料の粒径が、二次凝集等によってむしろ増大する傾向がある。すると、顔料分散体における保存安定性等の分散特性が低下するのみならず、カラーフィルターの輝度とコントラスト比の低下の原因ともなる。
また、輝度を向上する方法としては、発色性に優れる染料を、例えば顔料分散体又は着色組成物に溶解して、併用することが行われる。しかしながら、染料を溶解しても、顔料分散体における保存安定性等の分散特性の向上には寄与しないため、高い輝度と、高い保存安定性等の良好な分散特性とを有する顔料分散体を得ることは困難である。そこで、カラーフィルターに用いた場合に高い輝度が得られ、かつ良好な分散特性を有するカラーフィルター用顔料分散体が望まれている。
本発明は、輝度に優れ、良好な分散特性が得られるカラーフィルター用顔料分散体、着色組成物、カラーフィルター、及び顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)、所定の官能基を有するローダミン染料(B)、カチオン基を有する分散剤(C)、非水系溶媒(D)を用いることで、輝度に優れ、良好な分散特性を有するカラーフィルター用顔料分散体、着色組成物及びカラーフィルターが得られることを見出した。
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕に関する。
〔1〕アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを配合してなる、カラーフィルター用顔料分散体。
−SOH (Ia)
−SO (Ib)
〔式(Ib)が示すアニオン基の対イオンは、金属イオン、NH 及び前記ローダミン染料(B)のイミニウムカチオンから選ばれる1種である。〕
〔2〕前記〔1〕に記載の顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂とを配合してなる、カラーフィルター用着色組成物。
〔3〕前記〔2〕に記載の着色組成物を用いて製造される、カラーフィルター。
〔4〕アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを混合する工程を有する、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
本発明によれば、輝度に優れ、良好な分散特性を有する新規なカラーフィルター用顔料分散体、着色組成物、カラーフィルター、及び顔料分散体の製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体(以下、「顔料分散体」ともいう)は、アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)(以下、「顔料(A)」ともいう)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基(以下、「スルホ基」ともいう)から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)(以下、「ローダミン染料(B)」ともいう)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを配合してなることを特徴とする。
ここで、「配合してなる」顔料分散体とは、配合を経て、更に何らかの処理を経て得られるものを含み、具体的には配合してなる混合物を更に分散して得られるものを含む。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体は、輝度に優れ、良好な分散特性を有する。本発明の効果において分散特性とは、微粒化、低粘度化、保存安定性等の性能を意味する。
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定されている。
本発明におけるローダミン染料(B)は、特定のスルホ基を有するため、非水系溶媒への溶解性が小さく、また芳香環を有することから、アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料との親和性が高い。よって、顔料及び非水系溶媒の存在下においては、ローダミン染料(B)は顔料との相互作用がさらに強くなって選択的に顔料表面に吸着し、前記スルホ基はローダミン染料(B)の非水系溶媒への溶出抑制基として機能する。
一方、カチオン基を有する分散剤は、前記スルホ基が顔料表面に存在するため、顔料表面に対し、より強固に吸着できる。そのため、分散剤の脱離が起こりにくくなり、顔料分散体における効果として、微粒化、低粘度化のみならず、優れた保存安定性を発揮する。
そして、ローダミン染料(B)は発色性にも優れており、可視光領域での光透過効率が高くなり、輝度が向上する。これらのことから、本発明の顔料分散体は、優れた輝度を有し、かつ保存安定性等の分散特性に優れる。
ただし上記は推定であり、本発明の効果は、上記メカニズムにより限定されるものではない。
以下、本発明に用いられる各成分、工程等について説明する。
[顔料(A)]
本発明に用いられる顔料(A)のアントラキノン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー21、C.I.ピグメントブルー60等の青色顔料;C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド194等の赤色顔料;C.I.ピグメントイエロー23、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー99、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー123、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー193等の黄色顔料;C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット29等の紫色顔料;C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51等の橙色顔料が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表されるアントラキノン顔料が好ましい。
式(1)中、X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基、アミノアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。X及びYは、好ましくはアミノ基である。X及びYの置換位置は、好ましくはアントラキノン環の4位である。
アントラキノン顔料としては、保存安定性及び輝度の向上に加え、色相の制御容易性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド177(以下、「PR177」ともいう)である。PR177の市販品の好適例としては、大日精化工業(株)製「クロモファインレッド6128EC」、「クロモファインレッド6130EC」が挙げられる。
本発明で用いられる顔料(A)の多環系金属錯体顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド257等の赤色顔料;C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ68等の橙色顔料が挙げられる。
これらの中では、保存安定性及び輝度の向上に加え、色相の制御容易性の観点から、ニッケル錯体顔料が好ましく、2個のバルビツール酸をアゾ基で架橋した構造を有するニッケル錯体顔料がより好ましく、C.I.ピグメントイエロー150(以下、「PY150」ともいう)が更に好ましい。PY150は、例えば、下記式(2)で表されるニッケル錯体顔料である。
PY150の市販品の好適例としては、LANXESS(株)製「Levascreen Yellow G03」、「Levascreen Yellow G04」、「Levascreen Yellow G05」が挙げられる。
顔料(A)は、輝度向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、より好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いる。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均値をその粒子の粒子径とし、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
そして、顔料(A)と非水系溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、顔料の表面に、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いることもできる。
本発明の顔料分散体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記顔料(A)以外の顔料を配合してもよい。
顔料(A)以外の顔料としては、ジケトピロロピロール顔料等の、アントラキノン顔料及び前記金属錯体顔料以外の多環系顔料(以下、「他の多環系顔料」ともいう)、レーキ顔料等が挙げられ、好ましくは他の多環系顔料である。
他の多環系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド254(以下、「PR254」ともいう)、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール顔料(以下、「DPP顔料」ともいう);C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料;C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料;C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料;C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料;C.I.ピグメントイエロー109等のイソインドリノン系顔料;C.I.ピグメントオレンジ66、C.I.ピグメントイエロー139等のイソインドリン系顔料;C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料;C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料が挙げられる。
他の多環系顔料としては、色相の制御容易性の観点から、好ましくはDPP顔料、より好ましくはPR254である。
本発明の顔料分散体中の顔料(A)の配合量は、色特性を最適化する観点から、顔料の総量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更により好ましくは60質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
[ローダミン染料(B)]
本発明で用いられるローダミン染料(B)は、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有する。
−SOH (Ia)
−SO (Ib)
〔式(Ib)が示すアニオン基の対イオンは、金属イオン、NH 及び前記ローダミン染料(B)のイミニウムカチオンから選ばれる1種である。〕
ローダミン染料(B)一分子に含まれる上記官能基の総数は、分散特性の観点から、2以上であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下であり、更に好ましくは2である。
上記官能基は、ローダミン分子骨格内の芳香環又はローダミン分子骨格に結合している芳香環の炭素に結合していることが好ましい。
ローダミン染料(B)は、好ましくは式(Ib)で表される官能基を有し、より好ましくは式(Ib)で表される官能基を有し、且つ、式(Ib)が示すアニオン基の対イオンが金属イオンである官能基を有する。
ローダミン染料(B)は、複数の式(Ib)で表される官能基を有する場合、好ましくは、1つの式(Ib)が示すアニオン基の対イオンがローダミン染料(B)のイミニウムカチオンであり、その他の式(Ib)が示すアニオン基の対イオンが金属イオン、及びNH から選ばれる少なくとも1種である。
金属イオンとしては、Na,K等が挙げられ、輝度及び入手性の観点から、好ましくはNaである。
ローダミン染料(B)としては、好ましくは以下の一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
〔式(I)中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基と水素原子が置換していてもよい芳香族炭化水素基を示し、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基を示す。ただし、式(I)中、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基の総数は2以上である。〕
11〜R14である脂肪族炭化水素基の炭素数は、輝度の観点から、好ましくは1以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下であり、更により好ましくは2である。
11〜R14である芳香族炭化水素基の炭素数は、輝度の観点から、好ましくは6以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは10以下であり、更により好ましくは8である。
式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基の好適な態様及び総数は、上述のとおりである。
ローダミン染料(B)は、輝度及び分散安定性の観点から好ましくは、以下の式(I−1)〜(I−3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である。
市販のローダミン染料(B)としては、C.I.アシッドレッド50(シグマ・アルドリッチ社製「スルホローダミンG」)、C.I.アシッドレッド52(以下、「AR52」ともいう)(ダイワ化成(株)製「AR52」:式(I−1)の化合物)、AR52の −SONaが −SOHに置換されたもの(以下、「AR52−H」ともいう)(ダイワ化成(株)製「Daiwa IJ Red 207H」:式(I−2)の化合物)、C.I.アシッドレッド289(以下、「AR289」ともいう)(ダイワ化成(株)製「AR289」:式(I−3)の化合物)、AR289の −SONaが −SOHに置換されたもの(ダイワ化成(株)製「Daiwa IJ Red 319H」)等が挙げられる。これらの中でも、輝度及び分散安定性の観点から、好ましくはAR52、AR52−H及びAR289から選ばれる少なくとも1種であり、輝度の観点から、より好ましくはAR52及びAR52−Hから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはAR52である。
[カチオン基を有する分散剤(C)]
本発明の顔料分散体は、輝度を向上させ、顔料の分散特性を向上させる観点から、カチオン基を有する分散剤(以下、「分散剤(C)」ともいう)を配合してなる。
カチオン基とは、その基内に、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等のオニウムを有する基である。
カチオン基は、分散特性向上の観点から、好ましくはアンモニウム基、より好ましくは3級アンモニウム基及び4級アンモニウム基から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは4級アンモニウム基である。
分散剤(C)は、分散特性の観点から、好ましくはカチオン基を有する高分子分散剤であり、より好ましくは主鎖にカチオン基を有する高分子分散剤である。
分散剤(C)は、顔料の分散特性を向上させる観点から、好ましくはポリエステル鎖、及びポリアルキレンオキシド鎖から選ばれる少なくとも1種を有し、より好ましくはポリアルキレンオキシド鎖を有し、更に好ましくは側鎖としてポリアルキレンオキシド鎖を有する。ポリアルキレンオキシド鎖が顔料粒子間に立体斥力を付与することにより、分散特性が向上し、輝度も向上すると考えられる。
分散剤(C)は、分散特性及び輝度の観点から、好ましくは同一分子内にカチオン基と分散基とを有する。本明細書において「分散基」とは、非水系溶媒との親和性に優れる官能基であり、顔料の非水系溶媒への分散性能を高める基を意味する。分散剤(C)が同一分子内にカチオン基と分散基とを有することにより、カチオン基がスルホ基の存在する顔料粒子表面に吸着しつつ、分散基が顔料粒子間に立体斥力を付与することができるため、分散特性及び輝度がより向上すると考えられる。
前記分散基は、非水系溶媒との親和性の観点から、好ましくはポリエステル鎖、ポリアルキレンオキシド鎖、ポリアクリレート鎖及びポリメタクリレート鎖から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはポリエステル鎖及びポリアルキレンオキシド鎖から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはポリアルキレンオキシド鎖である。分散剤(C)は、更に好ましくは主として主鎖を構成する構成単位中にカチオン基を有し、側鎖にポリアルキレンオキシド鎖を有するグラフトポリマー分散剤である。
前記グラフトポリマー分散剤は、好ましくは主鎖骨格中にカチオン基を有するもの又は主鎖骨格に結合した置換基中にカチオン基を有するものである。より具体的には、例えばポリアルキレンイミンのように主鎖骨格中にカチオン基を有するもの、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するポリマーのジアルキルアミノ基を4級化して得られる4級化物のように主鎖骨格に結合した置換基中にカチオン基を有するものが好ましい。
分散剤(C)の重量平均分子量は、分散性及び保存安定性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,500以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、更に好ましくは70,000以下である。
分散剤(C)としては、好ましくは、一般式(II)で表される分散剤(以下、「分散剤(1)」ともいう)、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド由来の構成単位と、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の構成単位とを有し、4級化率が10〜80mol%であるポリマー分散剤(以下、「分散剤(2)」ともいう)等が挙げられる。前記「4級化率」とは、分散剤(2)中に含まれる3級アミノ基及び4級アンモニウム基の合計モル当量数に対する、4級アンモニウム基のモル当量数の割合(mol%)を意味する。これらの中でも、輝度及び分散特性の観点から、分散剤(1)が好ましい。本明細書において、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を意味する。
<分散剤(1)>
分散剤(1)は、下記一般式(II)で表される化合物である。
式(II)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基を示し、Rは炭素数1以上18以下のアルカンジイル基(ただしRと隣接しているRは、単結合を示す)を示し、Rは炭素数1以上4以下のアルカンジイル基を示し、Rは炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を示し、Rは炭素数1以上18以下の炭化水素基を示し、aは平均付加モル数を示し、1以上100以下であり、(M及び(Mはそれぞれ独立にアニオンを示し、n、m、kは平均構造単位数を示し、(n+m+k)は1以上22以下であり、nは1以上22以下であり、mは0以上21以下であり、kは0以上21以下である。ROは、複数存在する場合、それぞれ独立に、n,m,kでその平均構造単位数が示される各構造単位はいかなる配列順序であってもよい。
一般式(II)において、(n+m+k)は、分散特性の観点から、22以下であり、好ましくは11以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下であり、1以上であり、好ましくは2以上である。そして、優れた分散特性の観点から、更により好ましくは2である。
nは、分散特性の観点から、22以下であり、好ましくは11以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下であり、1以上であり、好ましくは2以上である。そして、優れた分散特性の観点から、更により好ましくは2である。
m及びkは、分散特性の観点から、それぞれ独立に、21以下であり、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1以下であり、0以上である。そして、優れた分散特性の観点からは、好ましくは0である。
nと(n+m+k)との比(n/(n+m+k))は、分散特性の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.8以上、更により好ましくは0.9以上であり、好ましくは1.0以下であり、更により好ましくは1.0である。
n、m、kでその平均構造単位数が示される各構造単位は、いかなる配列順序であってもよく、ランダム、ブロック等であってもよい。
、R、及びRである炭化水素基の炭素数は、分散特性の観点から、10以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは1である。
、R、及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシブチル基、及びヒドロキシヘキシル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。R、R、及びRは、好ましくは水酸基で置換されていない炭化水素基であり、より好ましくは、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはメチル基である。
及びRである炭化水素基の炭素数は、分散特性の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましく2以下、更により好ましくは1である。
である炭化水素基の炭素数は、分散特性の観点から、10以下であり、好ましくは7以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下であり、1以上である。Rとしては、メチル基、エチル基及びベンジル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、分散特性の観点から、好ましくはメチル基である。
である炭化水素基の炭素数は、分散剤(1)の製造容易性の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。Rは、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
であるアルカンジイル基の炭素数は、分散特性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、18以下であり、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは6以下である。
であるアルカンジイル基としては、例えば、エチレン基、各種プロパンジイル基、各種ヘキサンジイル基、及び各種ノナンジイル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、分散特性の観点から、好ましくはプロパン1,3−ジイル基、ヘキサン1,6−ジイル基から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、プロパン1,3−ジイル基である。
であるアルカンジイル基の炭素数は、分散剤(1)の製造容易性の観点から、4以下であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1である。Rとしては、メチレン基が好ましい。
であるアルカンジイル基の炭素数は、分散特性の観点から、4以下であり、好ましくは3以下であり、2以上である。Rは、好ましくはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種である。
平均付加モル数aは、分散特性の観点から、1以上であり、好ましくは15以上、より好ましくは21以上、更に好ましくは30以上、更により好ましくは40以上であり、100以下であり、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。
(RO)は、複数存在する場合、同一でも異なっていてもよく、(RO)の配列はランダム、又はブロックのいずれであってもよい。
(RO)は、非水系溶媒との親和性の観点から、プロピレンオキシド由来の構成単位を含むことが好ましく、プロピレンオキシド由来の構成単位及びエチレンオキシド由来の構成単位を含むことがより好ましい。
上記一般式(II)において、(RO)は、分散性及び保存安定性の観点から、下記一般式(II−a)で示される構造単位であることが好ましい。
式(II−a)中、POはプロピレンオキシド単位を示し、EOはエチレンオキシド単位を示し、b,cは平均付加モル数を示し、bは0〜100であり、cは0〜100であり、b+cは1〜100である。*は結合部位を示す。上記式(II−a)は、該構造単位がブロック重合体であることが好ましく、上記式(II−a)の(PO)末端側はROと結合し、(EO)末端側はカルボニル基に結合することが好ましい。
平均付加モル数bは、分散特性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは21以上、更に好ましくは25以上であり、分散剤(1)の製造容易性の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは35以下である。
平均付加モル数cは、分散特性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下、更により好ましくは30以下、更により好ましくは20以下である。
前記bとcの合計(b+c)は、分散特性の観点から、好ましくは15以上、より好ましくは21以上、更に好ましくは30以上、更により好ましくは40以上であり、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。
前記bとcの合計に対するbの割合(b/(b+c))は、分散特性の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上であり、分散剤(1)の製造容易性の観点から、好ましくは0.97以下、より好ましくは0.86以下、更に好ましくは0.8以下である。
式(II)において、Rである炭化水素基の炭素数は、分散特性の観点から、1以上であり、好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、18以下であり、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
としては、メチル基、デシル基、ラウリル基、オレイル基、ステアリル基、p−オクチルフェニル基、及びp−ノニルフェニル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。Rは、分散特性の観点から、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、メチル基、デシル基及びラウリル基から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはラウリル基である。
(M及び(Mは、それぞれ独立にアニオンであり、分散特性及び製造容易性の観点から、好ましくは、ハロゲン化物イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン及びアルキル炭酸イオンから選ばれる1種である。
(Mは、分散特性及び分散剤(1)の製造容易性の観点から、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオンである。
(Mは、分散剤(1)の製造容易性の観点から、好ましくはアルキル硫酸イオン、より好ましくはCHSO であり、分散特性の観点から、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオンである。
以上より、分散特性の観点から、好ましくはm及びkが0であり、より具体的には、分散剤(1)は、好ましくは下記一般式(II−1)で表される化合物である。
〔式中、R、R、及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基を示し、Rは炭素数1以上18以下のアルカンジイル基を示し、Rは炭素数1以上4以下のアルカンジイル基を示し、Rは炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を示し、Rは炭素数1以上18以下の脂肪族炭化水素基を示し、aは平均付加モル数を示し、1以上100以下であり、(Mはアニオンを示し、nは平均構造単位数を示し、1以上5以下である。ROは、複数存在する場合、同一でも異なっていてもよい。〕
式(II−1)中、好ましいR、R、R、R、R、R、R、a、(M、及びnは上記式(II)と同様である。
分散剤(1)の重量平均分子量は、分散性及び保存安定性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,500以上であり、好ましくは35,000以下、より好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下である。重量平均分子量の測定方法は実施例に記載の方法による。
<分散剤(1)の製造方法>
一般式(II−1)で表される分散剤(1)は、例えば、下記一般式(III)で表されるハロゲン化アルキルエステル化合物と、下記一般式(IV)で表されるアミン化合物とを無溶媒又は後述の非水系溶媒(D)等の溶媒中で反応させ、さらに必要に応じて4級化剤を反応させることにより得ることができる。
〔式(III)中、R、R、R及びaは前述のものと同様であり、Xはハロゲン原子を示す。〕
〔式(IV)中、R、R、R、R及び(n+m+k)は前述のものと同様である。〕
上記原料を無溶媒又は溶媒中で反応させることで、一般式(II)で表される分散剤(1)が得られる。
分散剤(1)を得る反応における、一般式(IV)で表されるアミン化合物のアミン官能基数(一般式(IV)における(n+m+k)×モル量)に対する、一般式(III)で表されるハロゲン化アルキルエステル化合物(モル量)は、目的とする化合物に応じて適宜設定可能であるが、例えば、0.3〜1.2である。上記比率を適宜設定することで、一般式(II)における(n+m+k)に対するn及びm数を調整した化合物を得ることができる。上記アミン化合物と、上記ハロゲン化アルキルエステル化合物との反応量比は、n、mの数をより正確に制御する観点から、アミン化合物のアミン価から算出されたモル当量と、ハロゲン化アルキルエステル化合物のハロゲン量から算出されたモル当量を基準として調整することが好ましい。
当該工程における反応雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
当該工程における反応の温度は、例えば、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、好ましくは100℃以下である。
一般式(II)においてkが0を超える化合物は、例えば、一般式(II)におけるmが0を超える化合物を4級化剤により処理して得ることができる。
4級化剤としては、3級アミノ基と反応し当該アミノ基を4級アンモニウム化する物質が使用され、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸ジアルキル;塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル;塩化ベンジル等のハロゲン化アリール;p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル等のp−トルエンスルホン酸アルキルが好ましく、反応性の観点からは、より好ましくは硫酸ジメチルであり、分散特性の観点からは、より好ましくは塩化メチルである。
<その他の分散剤>
その他本発明で用いられる分散剤(C)としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリアルキレンイミン系等の、カチオン基を有する分散剤が挙げられる。市販品としては、例えば、ビックケミー社製「ディスパービック」シリーズの「P104」、「P104S」、「220S」、「110」、「111」、「161」、「162」、「163」、「164」、「166」、「170」、「171」、「174」、「2000」、「2095」、「BYK−LPN」シリーズの「21116」、「21324」;チバスペシャリティーケミカルズ社製「EFKA」シリーズの「4300」、「5010」、「5065」、「5066」、「5070」、「7500」、「7554」;ルーブリゾール社製「ソルスパース」シリーズの「3000」、「16000」、「17000」、「18000」、「24000」、「36000」、「36600」、「41000」、「76500」;川研ファインケミカル(株)製「ヒノアクトKF−1000」;味の素ファインテクノ(株)製「アジスパー」シリーズの「PB821」、「PB822」、「PB881」が挙げられる。
これらの中でも、輝度及び分散特性の観点から、カチオン基を有するポリウレタン系分散剤及びカチオン基を有するポリアクリル系分散剤から選ばれる1種以上が好ましい。
前記ポリウレタン系分散剤は、好ましくはポリアルキレンオキシド鎖を有する。ポリアルキレンオキシド鎖は、好ましくはエチレンオキシド由来の構成単位及びプロピレンオキシド由来の構成単位から選ばれる1種以上からなり、より好ましくはエチレンオキシド由来の構成単位とプロピレンオキシド由来の構成単位からなる。
ポリウレタン系分散剤としては、エチレンオキシド由来の構成単位とプロピレンオキシド由来の構成単位からなるポリオールとポリイソシアネートとイソシアネート基と反応可能なアミン化合物とを反応させた後、4級化剤により処理して得られる4級アンモニウム基を有するものが好ましい。
前記ポリウレタン系分散剤のアミン価は、顔料への吸着性を向上させる観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
前記ポリウレタン系分散剤の重量平均分子量は、分散特性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、更に好ましくは70,000以下である。
前記ポリアクリル系分散剤は、好ましくはポリアルキレンオキシド鎖を有する。ポリアルキレンオキシド鎖は、好ましくはエチレンオキシド由来の構成単位及びプロピレンオキシド由来の構成単位から選ばれる1種以上からなり、より好ましくはエチレンオキシド由来の構成単位からなる。
前記ポリアクリル系分散剤は、好ましくは主鎖骨格に結合した置換基中にカチオン基を有する。
前記ポリアクリル系分散剤としては、好ましくは、ポリアルキレンオキシド鎖を置換基として有するアクリル系モノマー由来の構成単位と、3級アミノ基を置換基として有するアクリル系モノマー由来の構成単位からなる共重合体の4級化物である。前記共重合体の4級化物は、ポリアルキレンオキシド鎖を置換基として有するアクリル系モノマーと、3級アミノ基を置換基として有するアクリル系モノマーとを共重合し、該3級アミノ基を4級化剤により処理して得られる4級アンモニウム基を有するものが好ましい。
前記ポリアルキレンオキシド鎖を置換基として有するアクリル系モノマーとしては、好ましくはポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種、より好ましくはアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、更に好ましくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートである。
前記3級アミノ基を置換基として有するアクリル系モノマーとしては、好ましくはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種、より好ましくはジメチルアミノエチルメタクリレート及びジメチルアミノプロピルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはジメチルアミノエチルメタクリレートである。
[非水系溶媒(D)]
本発明において用いられる非水系溶媒(D)は、好ましくはエーテル系溶媒、より好ましくはグリコールエーテル系溶媒である。
非水系溶媒(D)の25℃での粘度は、分散特性を向上させる観点から、0.8〜5.0mPa・sが好ましく、0.9〜4.0mPa・sがより好ましく、1.0〜3.5mPa・sが更に好ましい。
非水系溶媒(D)のSP値は、顔料表面との適度な親和性、低表面張力、カラーフィルターに用いられるバインダー成分等との相溶性を高め、得られる硬化膜のコントラスト比を向上させる観点から、7.5〜10.5が好ましく、8.0〜9.5がより好ましく、8.5〜9.0が更に好ましい。SP値はFedorsの方法〔Robert F.Fedors, Polymer Engineering and Science,14,147−154(1974)〕によって求められる。
非水系溶媒(D)の沸点は、塗膜乾燥での除去の容易さと作業安全性の観点から、50〜300℃が好ましく、100〜260℃がより好ましく、120〜200℃が更に好ましい。
グリコールエーテル系溶媒としては、分散特性を高める観点から、好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート及び(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、より好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートである。本明細書において「(ポリ)アルキレングリコール」とは、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種を意味する。
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、「BCA」ともいう)等が挙げられる。なかでも顔料の分散特性の観点から、好ましくはPGMEA(沸点:146℃、25℃での粘度:1.1mPa・s、SP値:8.73)及びBCA(沸点:247℃、25℃での粘度:3.1mPa・s、SP値:8.94)から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはPGMEAである。
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明のカラーフィルター用着色組成物(以下、「着色組成物」ともいう)は、アルカリ可溶性樹脂を配合してなることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルターを製造する際に、未露光部を現像液に溶解させるために用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの、すなわち、0.05質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1質量%以上溶解するものであればよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド,N−フェニルマレイミド、及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の二量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸及びこれらの無水物から選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体が挙げられる。本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
アルカリ可溶性樹脂としては、露光時に、後述する多官能性モノマーと反応して、現像性が向上する観点から、上記の共重合体に、さらに反応性基を導入した樹脂も好ましく挙げられる。反応性基としては、製造容易性の観点から、より好ましくはグリシジル基及びエチレン性不飽和基から選ばれる少なくとも1種である。このようなアルカリ可溶性樹脂の市販品としては、例えば、日本触媒(株)製「アクリキュアー」シリーズの「RD−KA−501」、「RD−KA−502」、「BX−KA−01」「BK−KA−02」;東亞合成(株)製「アロニックス」シリーズの「M6100」、「M7100」、「M8030」を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、塗膜の硬化性の観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上であり、現像性の観点から、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下である。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく用いられる。本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体としては、好ましくはベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体及びメチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体より選ばれる少なくとも1種、より好ましくはベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸の共重合比(モル比)は、好ましくは90/10〜50/50、より好ましくは80/20〜60/40である。
[多官能モノマー]
多官能モノマーは、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルターを製造する際に、露光部を硬化させるために用いられる。多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等が挙げられ、好ましくはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、「DPHA」ともいう)である。
[光重合開始剤]
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類及びポリハロゲン類から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。好ましくは4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体との組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]及び2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(以下、「MMTMPP」ともいう)である。
[マレイミド基を2つ以上有する芳香族化合物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、耐熱性の観点から、マレイミド基を2つ以上有する芳香族化合物(以下、「マレイミド化合物」ともいう)を配合してなることが好ましい。
マレイミド化合物は、着色組成物を硬化した後、高温条件に晒される際に顔料の昇華を防止して、硬化膜の耐熱性を向上させるために使用される。
本発明に用いられるマレイミド化合物は、少なくとも一つの芳香環を有する。
マレイミド化合物としては、1,3−フェニレンジマレイミド、1,4−フェニレンジマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、及び2,2−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
マレイミド化合物としては、非水系溶媒に対する溶解性の観点、及び耐熱性を向上させ基板密着性も向上させる観点から、好ましくはフェニレンジマレイミドであり、より好ましくはN,N’−1,3−フェニレンジマレイミド(以下、「PDM」ともいう)である。
[カラーフィルター用顔料分散体の製造方法]
本発明の顔料分散体は、例えば、以下の工程を有する製造方法により得ることができる。
工程:顔料(A)と、ローダミン染料(B)と、分散剤(C)と、非水系溶媒(D)と、任意でマレイミド化合物と、任意でアルカリ可溶性樹脂とを混合する工程
前記工程により得られた混合物を更に分散してもよい。
分散で用いる混合分散機は、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置;ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機;高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機;ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせて使用することもできる。
これらの中では、顔料を非水系溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましい。市販のメディア式分散機としては、寿工業(株)製「ウルトラ・アペックス・ミル」、浅田鉄工(株)製「ピコミル」等が挙げられる。
メディア式分散機を用いる場合に、分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。メディアの直径としては、顔料中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.003mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
分散時間は、顔料を十分に微細化する観点から、好ましくは0.3時間以上、より好ましくは1時間以上であり、顔料分散体の製造効率の観点から、好ましくは200時間以下、より好ましくは50時間以下である。
本製造法の前記分散工程における分散方法は、前記混合物を一度の分散で目的とする分散体を得てもよいが、前記混合物をメディアを用いて予備分散した後、更に前記予備分散工程よりも小さなメディアを用いて本分散を行うことが、より微細で均一な顔料分散体を得る観点から好ましい。
(予備分散)
予備分散で用いる混合分散機は、上記の種々の分散機を用いることができるが、顔料を非水系溶媒中に均一に混合させる観点から、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましい。
予備分散工程において使用するメディアの直径としては、顔料中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.1mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
予備分散工程における分散時間は、顔料中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、顔料分散体の製造効率の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは4時間以下である。
(本分散)
本分散は、予備分散で得られた予備分散液を分散処理する工程であり、前記予備分散工程で得られた混合物を更に微細化するために行われるが、顔料を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、前記の高圧式分散機を併用してもよい。
本分散工程で用いるメディアの直径としては、顔料を微細化する観点から、好ましくは0.1mm未満、より好ましくは0.08mm以下、更に好ましくは0.07mm以下であり、メディアを顔料と分離する観点から、好ましくは0.003mm以上、より好ましくは0.01mm以上である。
本分散の分散時間は、顔料を十分に微細化する観点から、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上であり、顔料分散体の製造効率の観点から、好ましくは200時間以下、より好ましくは50時間以下、更に好ましくは24時間以下である。
顔料分散体の製造方法における各成分の配合量の好ましい範囲は、以下の<カラーフィルター用顔料分散体の組成>と同様である。
[カラーフィルター用顔料分散体]
本発明の顔料分散体は、例えば、顔料(A)と、ローダミン染料(B)と、分散剤(C)と、非水系溶媒(D)と、任意でマレイミド化合物と、任意でアルカリ可溶性樹脂とを配合してなる。
<カラーフィルター用顔料分散体の組成>
上記顔料(A)の配合量は、良好な着色性を得る観点から、顔料分散体に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは16質量%以下である。
ローダミン染料(B)の配合量は、輝度及び分散特性の観点から、顔料(A)とローダミン染料(B)との合計量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、ローダミン染料(B)の非水系溶媒への溶解を抑制し、分散安定性を維持する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
顔料(A)に対する分散剤(C)の質量比〔分散剤(C)/顔料(A)〕は、分散特性を向上させる観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは0.9以下である。
非水系溶媒(D)の配合量は、分散体の低粘度化の観点から、顔料分散体に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
マレイミド化合物の配合量は、耐熱性の観点から、顔料に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
アルカリ可溶性樹脂の配合量は、分散性の観点から、顔料分散体に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3.5質量%以下であり、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。
顔料分散体中の顔料の平均粒径は、カラーフィルター用色材として良好なコントラスト比を得る観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下、更に好ましくは90nm以下、更に好ましくは70nm以下、より更に好ましくは60nm以下であり、生産性の観点から、好ましくは20nm以上である。
[カラーフィルター用着色組成物の製造方法]
本発明の着色組成物は、例えば、以下の工程を有する製造方法により得ることができる。
工程:顔料分散体と、多官能モノマーと、光重合開始剤とを混合して着色組成物を得る工程
当該工程において、アルカリ可溶性樹脂を更に配合してもよい。
本工程においては、いかなる順に添加してもよく、顔料分散体に対して、多官能モノマー等を添加してもよいし、多官能モノマー等に対して、顔料分散体を添加してもよい。混合方法は、任意の方法を用いることができ、例えば撹拌装置によって撹拌することでカラーフィルター用着色組成物が得られる。
着色組成物の製造方法における各成分の配合量の好ましい範囲は、以下の<カラーフィルター用着色組成物の組成>と同様である。
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明の着色組成物は、例えば、本発明の顔料分散体と、アルカリ可溶性樹脂と、任意で多官能モノマーと、任意で光重合開始剤とを配合してなる。
<カラーフィルター用着色組成物の組成>
顔料(A)の配合量は、良好な着色性を得る観点から、着色組成物に対して、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
ローダミン染料(B)の配合量は、輝度及び分散特性の観点から、顔料(A)とローダミン染料(B)との合計量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、ローダミン染料(B)の非水系溶媒への溶解を抑制し、分散安定性を維持する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
顔料(A)に対する分散剤(C)の質量比〔分散剤(C)/顔料(A)〕は、分散特性を向上させる観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは0.9以下である。
非水系溶媒(D)の配合量は、良好な着色性及び粘度を得る観点から、好ましくは着色組成物に対して、60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
アルカリ可溶性樹脂の配合量は、良好な現像性と膜硬度を得る観点から、着色組成物に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
多官能モノマーの配合量は、良好な膜硬度を得る観点から、着色組成物に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
光重合開始剤の配合量は、良好な膜硬度を得る観点から、着色組成物に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは4.0質量%以下である。
マレイミド化合物の配合量は、耐熱性を向上させる観点から、顔料に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
[用途]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、カラーフィルター製造用に用いられる。
カラーフィルターの製造方法においては、本発明の着色組成物を基板上に塗布、光硬化、現像を行い、塗膜を得る工程(a)、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜を得る工程(b)を有することが好ましい。
工程(a)における、塗布は、ガラス基板上にロールコーター、スリットコーター、スプレー、バーコーター、アプリケーター、スピンコーター、ディップコーター、インクジェット、又はスクリーン印刷で塗布することが好ましい。塗布後には、溶媒を除去し、均一な膜厚の塗膜を得る観点から、水平に静置することが好ましい。静置温度は、溶媒の除去効率の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、塗膜の平滑性、作業性及び多官能モノマーの重合等を抑制する観点から、好ましくは115℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下である。静置時間は、静置温度にもよるが、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、好ましくは100分以下、より好ましくは60分以下である。
光硬化は、好ましくは塗膜に紫外線を照射して行う。これにより着色組成物中の多官能モノマーが架橋反応し、塗膜を硬化させることができる。光硬化は、好ましくは続く現像でガラス基板上にパターンを残すために行う。そのため、光硬化は予めパターンが組み込まれたフォトマスクを載せて行い、現像で除去する塗膜の部分は硬化させないことが好ましい。光硬化は、紫外線照射量が10〜100mJ/cmで行うことが好ましい。
現像は、光硬化後の硬化塗膜を好ましくはアルカリ水溶液中に浸漬し、好ましくは更に水でリンスして未硬化部分を除去することにより行う。用いるアルカリ水溶液としては、アルカリ剤の濃度が0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。現像に用いるアルカリ剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の水溶液が好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液がより好ましい。
アルカリ水溶液のpHとしては10.0〜13.0が好ましい。
工程(b)は、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜を得る工程である。工程(b)は、ポストベイク工程であり、本工程を行うことにより、硬度に優れた硬化膜を形成することができる。
硬度及び光学特性に優れた硬化膜を得る観点から、加熱の温度は、210〜280℃が好ましく、220〜270℃がより好ましい。同様の観点から、加熱の時間は5〜120分間が好ましく、10〜40分間がより好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「アルキレングリコール(X)」とする表記におけるXは、当該アルキレングリコールのアルキレンオキシド平均付加モル数を意味する。アルコキシポリアルキレングリコールにおけるプロピレンオキシド(以下、「PO」ともいう)及びエチレンオキシド(以下、「EO」ともいう)の平均付加モル数、重量平均分子量、固形分、反応率の測定、4級化反応の確認、顔料分散体中の顔料の平均粒径、粘度の測定及び保存安定性の評価、着色組成物から得られる硬化膜の輝度及び色度の測定は以下の方法により行った。
(1)アルコキシポリアルキレングリコールのPO及びEOの平均付加モル数の測定
NMR測定装置(Varian社製「Mercury400型」)を用いて、アルコキシポリアルキレングリコールの末端水酸基をトリフルオロ酢酸でエステル化したサンプルのプロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルより求めた(測定条件:ノンデカップリング法、緩和時間10秒、積算回数32回)。トリフルオロ酢酸処理したサンプル 0.01gを重クロロホルム 0.99gに溶解した溶液を測定に用いた。PO及びEOの平均付加モル数はそれぞれ以下の式により計算した。
PO平均付加モル数=(ポリオキシプロピレンのメチル基に由来するシグナルの積分値)/(トリフルオロ酢酸エステル基に隣接するメチレン基に由来するシグナルの積分値)/1.5
EO平均付加モル数=(ポリオキシエチレンのメチレン基に由来するシグナルの積分値)/(トリフルオロ酢酸エステル基に隣接するメチレン基に由来するシグナルの積分値)/2
(2)重量平均分子量の測定
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いて、下記<条件1>又は<条件2>のいずれかで測定した。
測定試料の調製は、以下の通り行った。後述の製造例で得られた化合物を含む溶液の固形分が0.05gとなる量を、ガラス瓶((株)マルエム製「スクリュー管 No.5」)に採り、下記溶離液を加えて全量を10gとし、密栓した。続いて前記ガラス瓶を試験管ミキサー(IKA社製「Minishaker MS1」)を用いて2500rpmで1分間撹拌し、得られた溶液の100μLを測定試料として用いた。
<条件1>
エタノール/水混合溶媒(質量比8/2)に、臭化リチウムと酢酸をそれぞれ50mmol/Lと1質量%の濃度となるように溶解した液を溶離液として、GPC〔装置:東ソー(株)製「HLC−8320GPC」、検出器:示差屈折計(装置付属)、カラム:東ソー(株)製「TSK−GEL、α−M」×2本、流速:0.6mL/min、カラム温度:40℃〕により、標準物質として下記のポリエチレングリコールを用いて測定した。
[標準物質:ポリエチレングリコール]
ジーエルサイエンス社製「2070−1(Mw 106)」,「2070−3(Mw 400)」,「2070−6(Mw 1500)」,「2070−8(Mw 6450)」;東ソー(株)製「SE−5(Mw 45000)」;American Polymer Standards Corp社製「PEOX270K(Mw 258000)」,「PEOX1000K(Mw 992000)」
<条件2>
クロロホルムに、ジメチルドデシルアミン(花王(株)製「ファーミン DM20」)を100mmol/Lとなるように溶解した液を溶離液として、GPC〔装置:東ソー(株)製「HLC−8220GPC」、検出器:示差屈折計(装置付属)、カラム:昭和電工(株)製「K−804L」、流速:1.0mL/min、カラム温度:40℃〕により、標準物質として下記のポリスチレンを用いて測定した。
[標準物質:ポリスチレン]
東ソー(株)製「A−500(Mw 590)」,「A−5000(Mw 5060)」,「F−2(Mw 18100)」,「F−10(Mw 96400)」,「F−40(Mw 427000)」;Pressure Chemical社製「PS30908(Mw 50000)」
(3)固形分の測定
シャーレに乾燥無水硫酸ナトリウム10g及びガラス棒を入れ、試料2gを量り採り、ガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の質量を計り、次式より固形分を算出した。
固形分(質量%)={〔(乾燥後の質量g)−(シャーレ+ガラス棒+乾燥無水硫酸ナトリウムの質量g)〕/(試料の質量g)}×100
(4)反応率の測定
(塩化物イオン量の比率基準)
反応により、アルコキシポリアルキレングリコールモノクロロアセテートの塩素が塩化物イオンとなることから、塩化物イオン量の比率基準の反応率は、次式より算出した。
反応率(%)=[塩化物イオン量(質量%)]/[全塩素含有量(質量%)]×100
塩化物イオン量はVolhard法により定量した値、全塩素含有量は、ナトリウムブチラートで分解後、Volhard法により定量した値とした。
(アミン減少量基準)
反応により、アミンが4級塩となり、アミン価が減少することから、アミン減少量基準の反応率は、次式より算出した。
反応率(%)=[(反応前のアミン価mgKOH/g)−(反応後のアミン価mgKOH/g)]/(反応前のアミン価mgKOH/g)×100
アミン価は、中和に必要とする過塩素酸量をKOHに換算した値とした。
(5)4級化反応の確認
NMR測定装置(Varian社製「Mercury400型」)を用いて、原料のアミン化合物、ハロゲン化アルキルエステル化合物及び4級化物のプロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルを求めた(測定条件:ノンデカップリング法、緩和時間10秒、積算回数32回)。サンプル 0.01gを重クロロホルム 0.99gに溶解した溶液を測定に用いた。
(6)顔料分散体中の顔料の平均粒径の測定
PGMEA 15gを入れたガラス瓶((株)マルエム製「スクリュー管 No.5」)に、実施例及び比較例で得られた顔料分散体を0.01g添加し、試験管ミキサー(IKA社製「Minishaker MS1」)を用いて2500rpmで1分間撹拌したものを試料液とした。前記試料液を、粒径測定装置((株)堀場製作所製「SZ−100」)を用いて、測定条件として、粒子屈折率:1.510、溶媒屈折率:1.400、溶媒粘度:1.136mPa・s、測定温度:25℃を入力して、25℃で測定した。粒子径解析−光子相関法(JIS Z 8826)に基づき、キュムラント解析されて求められたキュムラント平均粒径を、顔料分散体中の顔料の平均粒径とした。
(7)顔料分散体の粘度の測定
顔料分散体1mLを試料とし、E型粘度計(東機産業(株)製「TV−25 typeL」 ローター1°34′×R24 25℃ 5min)を用いて、顔料分散体の粘度を測定した。ローターの回転数は100rpmで測定した。ただし、回転数100rpmでの測定値が30mPa・sを超えた場合、ローターの回転数を50rpmに変更して測定した。ただし、回転数50rpmでの測定値が60mPa・sを超えた場合、ローターの回転数を20rpmに変更して測定した。
得られた粘度は、下記「(8)顔料分散体の保存安定性の評価」における、「保存前の粘度」にも適用した。
(8)顔料分散体の保存安定性の評価
顔料分散体をガラス製密閉容器に充填し、45℃で7日間静置して保存した。この分散体1mLを試料とし、前記「(7)顔料分散体の粘度の測定」と同様の方法で粘度を測定し、「保存後の粘度」とした。下記式にて、粘度変化率を算出した。粘度変化率が100%に近いほど、保存安定性が良好である。
粘度変化率(%)=(保存後の粘度/保存前の粘度)×100
(9)輝度及び色度の測定
ガラス基板上に実施例及び比較例で得られた着色組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台上にて25℃で50分間静置し、塗膜基板を得た。紫外線ファイバースポット照射装置((株)モリテックス製「MUV−202U」)を用いて、前記塗膜基板に紫外線を40mJ/cm照射し、更に230℃のクリーンオーブン内で20分間加熱し、硬化膜基板を得た。
コントラスト比測定器(壺坂電機(株)製「CT−1BS」)を用い、ブランクのYMAXを1,000に設定し、前記硬化膜基板を試料として、YMAX及び色度(x及びy)を測定した。輝度(Y)は次式より算出した。
輝度(Y)=(YMAXの測定値)×0.1
輝度(Y)の値は、大きいほど良好である。
合成例1[ラウロキシポリプロピレングリコール(29)ポリエチレングリコール(15)の合成]
撹拌装置、温度制御装置を備えた容積6.0Lのオートクレーブにラウリルアルコール(花王(株)製「カルコール2098」) 375g(2.0モル)、48質量%水酸化カリウム水溶液12.4gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後に100℃、4.7kPaにて1.0時間水分を除去した。窒素で大気圧に戻して110℃まで昇温した後、PO 3694g(63.6モル)を圧力0.1〜0.45MPaとなるように導入しながら36時間、付加反応を行った。140℃まで昇温した後、EO 1405g(31.9モル)を圧力0.1〜0.4MPaとなるように導入しながら12時間、付加反応を行った。その後60℃まで冷却し、氷酢酸(キシダ化学(株)製、特級試薬) 5.3gを添加し、1時間撹拌し、ラウロキシポリプロピレングリコール(29)ポリエチレングリコール(15)(以下、「ラウロキシPPG(29)PEG(15)」ともいう)を得た。
合成例2[ラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテートの合成]
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管、冷却管を取り付けた3リットルの四つ口フラスコに、合成例1で得たラウロキシPPG(29)PEG(15) 653g、モノクロロ酢酸(和光純薬工業(株)製、特級試薬) 35.1g、p−トルエンスルホン酸・一水和物(キシダ化学(株)製、特級試薬) 3.5gを仕込み、撹拌しながら、窒素置換を行った。140℃まで昇温した後、窒素を吹き込みながら、冷却管につないだ真空ポンプ(佐藤真空機械工業(株)製「BSW−50」)を用いて減圧(−0.1MPa)しながら、16時間反応させた。80℃まで温度を下げた後、無水炭酸ナトリウム(キシダ化学(株)製、特級試薬) 26.8gを添加し、2時間撹拌した。得られた液を濾紙(アドバンテック東洋(株)製「No.5A」)で濾過し、ラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテートを得た。
製造例1〔顔料分散剤(1)(ラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテートによるN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン4級化物)の合成〕
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、合成例2で得られたラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテート 254g、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.2」) 6.4gを仕込み、窒素置換を行った。80℃で撹拌しながら、20時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 385gを添加し、1時間撹拌後、冷却して、顔料分散剤(1)(ラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテートによるN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン4級化物)のPGMEA溶液を得た。該溶液の固形分は39.4質量%であり、重量平均分子量は4000(<条件1>による測定値)であった。全塩素含有量に対する塩化物イオン量の比率から求めた反応率は93モル%、アミン減少量から求めた反応率は99モル%であった。NMR測定結果では、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミンのNに結合するメチル基およびメチレン基に由来するシグナルが、反応によりそれぞれ2.2ppm、2.3ppmから3.0ppm、4.0ppmに、Nからさらに1つ離れたメチレン基に由来するシグナルが、1.6ppmから2.8ppmへ移行した。そして、ラウロキシPPG(29)PEG(15)モノクロロアセテートの塩素が結合しているメチレン基に由来するシグナルが、反応により4.1ppmから4.9ppmへ移行した。
製造例2[PR254分散体(分散体P)の調製]
PR254(クラリアント(株)製「HOSTAPERM RED D2B−COFLV3781」) 19.5g、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド(PDM) 1.0g、PGMEA 94.9g、製造例1で得られた顔料分散剤(1)溶液 34.6g(固形分13.6g)、粒径0.3mmのジルコニアビーズ 300gを500mLポリ容器に入れ、分散機(浅田鉄工(株)製「ペイントシェーカー」)による分散(予備分散)を3時間行い、濾過によりジルコニアビーズを除去した。得られた液 100gと、粒径0.05mmのジルコニアビーズ 200gとを250mLポリ容器に入れ、前記分散機による分散(本分散)を12時間行い、濾過によりジルコニアビーズを除去して、PR254を13質量%、顔料分散剤(1)とPDMとを合計で9.8質量%含む、PR254分散体(分散体P)を得た。
製造例3[染料B−2の合成]
7モル%の水酸化ナトリウム水溶液 238gに、ローダミン染料AR52(ダイワ化成(株)製「AR52」) 5.0gを加えて十分に撹拌を行い、溶解させた。70℃まで昇温し、75質量%ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド溶液(花王(株)製「コータミン D86P」) 6.4gを15分かけて滴下し、70℃で60分間撹拌して、反応を行った。濾紙に反応液を滴下して、にじみがないことを確認し、反応の終了を判断した。撹拌しながら室温まで冷却した後、析出した固形分を濾別し、イオン交換水で十分に洗浄し、60℃で減圧乾燥して水分を除去し、AR52のカチオン(Na)が、ジステアリルジメチルアンモニウムに交換された染料B−2を 9.0g得た。
製造例4[染料B−3の合成]
冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、ローダミン染料(ダイワ化成(株)製「Daiwa IJ Red 319H」:AR289の −SONaが −SOHに置換されたもの) 15g、クロロホルム 150g、N,N−ジメチルホルムアミド 8.9gを投入した。撹拌下15〜20℃に維持しながら、塩化チオニル 10.9gを滴下し、次いで50℃で5時間撹拌して反応させた。得られた液を冷却し、撹拌下15〜20℃に維持しながら、2−エチルヘキシルアミン 12.5gとトリエチルアミン 22.1gとの混合液を滴下し、さらに15〜20℃で5時間撹拌して反応させた。得られた液から、ロータリーエバポレーターを用いてクロロホルムを留去し、メタノール5gを加えて激しく撹拌した。この混合物を、イオン交換水375gに撹拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水で十分に洗浄し、60℃で減圧乾燥して水分を除去し、原料のローダミン染料のスルホ基が、スルホンアミド基に誘導された染料B−3 19.5gを得た。
製造例5〔アルカリ可溶性樹脂(ベンジルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体)の合成〕
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を取り付けた反応容器に、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう) 12.0g、ベンジルメタアクリレート(以下、「BzMA」ともいう) 28.0g、3−メルカプトプロピオン酸 0.56g、PGMEA 40gを入れ、反応容器内を撹拌しながら窒素置換を行った。反応容器内を撹拌しながら78℃まで昇温した後、別途調製したモノマー溶液[MAA 48.0g、BzMA 112.0g、3−メルカプトプロピオン酸 2.2g、PGMEA 160g、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製「V−65B」;以下、「V−65」ともいう) 2.0g]を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、V−65 2.0gをPGMEA 10.0gに溶解した液を加え、撹拌を1時間続けた。その後、更にV−65 1.0gをPGMEA 10.0gに溶解した液を加え、撹拌を1時間続けた。これを冷却して、BzMA/MAA共重合体(モル比70/30)のPGMEA溶液(アルカリ可溶性樹脂溶液、以下「樹脂溶液Q」ともいう)を得た。該溶液の固形分は50.0質量%であり、BzMA/MAA共重合体の重量平均分子量は14000(<条件1>による測定値)であった。
製造例6〔顔料分散剤(2)(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(45)メタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体(質量比:15/20/65))の合成〕
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を取り付けた反応容器に、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド((株)興人製「DMAPAA−MHQ」;以下、「DMAPAA」ともいう) 18g、メトキシポリエチレングリコール(45)メタクリレート(新中村化学工業(株)製「NKエステル M−450G」;以下、「M−450G」ともいう) 24g、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー(東亞合成(株)製「マクロモノマー AA−6」:数平均分子量6000(カタログ値);以下、「AA−6」ともいう) 78g、2−メルカプトエタノール(東洋紡績(株)製;以下、「ME」ともいう) 0.36g、PGMEA 184gを仕込み、窒素置換を行った。80℃で撹拌しながら、DMAPAA 42g、M−450G 56g、AA−6 182g、ME 0.84gをPGMEA 358gに溶解した液と、V−65 8.0gをPGMEA 72gに溶解した液とをそれぞれ3時間かけて滴下した。滴下終了後に更に、V−65 1.0gをPGMEA 10gに溶解した液を加え、撹拌を1時間続けた。その後更にV−65 1.0gをPGMEA 10gに溶解した液を加え、撹拌を1時間続けた。その後、冷却し、顔料分散剤(2)のPGMEA溶液を得た。該溶液の固形分は40.0質量%であり、顔料分散剤(2)(DMAPAA/M−450G/AA−6共重合体)の重量平均分子量は45000(<条件1>による測定値)であった。
実施例1
(顔料分散体1の調製)
PR177(大日精化工業(株)製「クロモファインレッド6130EC」) 19.3g、AR52(ダイワ化成(株)製「AR52」) 0.2g、PGMEA 102.2g、ルーブリゾール社製「ソルスパース76500」 19.5g(固形分9.75g)、製造例5で得られた樹脂溶液Q 7.8g(固形分3.9g)、PDM 1.0g、粒径0.3mmのジルコニアビーズ 300gを500mLポリ容器に入れ、分散機(浅田鉄工(株)製「ペイントシェーカー」)による分散(予備分散)を3時間行い、濾過によりジルコニアビーズを除去した。得られた液 100gと、粒径0.05mmのジルコニアビーズ 300gとを250mLポリ容器に入れ、分散機(浅田鉄工(株)製「ペイントシェーカー」)による分散(本分散)を9時間行い、濾過によりジルコニアビーズを除去して、顔料及び染料を合計で13質量%、顔料分散剤を6.5質量%、アルカリ可溶性樹脂2.6質量%、PDM 0.7質量%を含む、顔料分散体1を得た。
(着色組成物A1の調製)
顔料分散体1 5.13質量部、製造例5で得られた樹脂溶液Q 0.74質量部(固形分0.37質量部)、DPHA(日本化薬(株)製「DPHA」) 0.26質量部、MMTMPP(和光純薬工業(株)製) 0.20質量部及びPGMEA 3.67質量部を、均一になるまで混合し、着色組成物A1を得た。
(着色組成物B1の調製)
同一の色度(一定のx値及びy値)における輝度(Y)を評価するため、PR254を配合してなる着色組成物B1を調製した。
顔料分散体1 2.55質量部、製造例2で得られた分散体P 2.58質量部、製造例5で得られた樹脂溶液Q 0.74質量部(固形分0.37質量部)、DPHA 0.26質量部、MMTMPP 0.20質量部及びPGMEA 3.67質量部を、均一になるまで混合し、着色組成物B1を得た。
実施例2〜5、比較例1〜4(顔料分散体2〜5,C1〜C4、着色組成物A2〜A5,AC1〜AC4、B2〜B5,BC1〜BC4の調製)
表1−1に記載の配合量に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、顔料分散体2〜5,C1〜C4、着色組成物A2〜A5,AC1〜AC4、B2〜B5,BC1〜BC4を得た。
実施例6
(顔料分散体6の調製)
PY150(LANXESS社製「Levascreen Yellow G04」) 19.3g、AR52(ダイワ化成(株)製「AR52」) 0.2g、PGMEA 97.3g、製造例1で得られた顔料分散剤(1)溶液 24.7g(固形分9.75g)、製造例5で得られた樹脂溶液Q 7.8g(固形分3.9g)、PDM 1.0g、粒径0.3mmのジルコニアビーズ 300gを500mLポリ容器に入れ、分散機(浅田鉄工(株)製「ペイントシェーカー」)による分散を3時間行い、濾過によりジルコニアビーズを除去して、顔料及び染料を合計で13質量%、顔料分散剤を6.5質量%、アルカリ可溶性樹脂2.6質量%、PDM 0.7質量%を含む、顔料分散体6を得た。
(着色組成物A6の調製)
顔料分散体6 5.13質量部、製造例5で得られた樹脂溶液Q 0.74質量部(固形分0.37質量部)、DPHA(日本化薬(株)製「DPHA」) 0.26質量部、MMTMPP(和光純薬工業(株)製) 0.20質量部及びPGMEA 3.67質量部を、均一になるまで混合し、着色組成物A6を得た。
(着色組成物B6の調製)
同一の色度(一定のx値及びy値)における輝度(Y)を評価するため、PR254とPR177を配合してなる着色組成物B6を調製した。
顔料分散体6 0.40質量部、製造例2で得られた分散体P 1.16質量部、比較例1で得られた顔料分散体C1 3.57質量部、製造例5で得られた樹脂溶液Q 0.74質量部(固形分0.37質量部)、DPHA 0.26質量部、MMTMPP 0.20質量部及びPGMEA 3.67質量部を、均一になるまで混合し、着色組成物B6を得た。
比較例5(顔料分散体C5、着色組成物AC5、BC5の調製)
表1−2に記載の配合量に代えた以外は、実施例6と同様の方法により、顔料分散体C5、着色組成物AC5、BC5を得た。
調製に用いた顔料、ローダミン染料及び分散剤は、下記の通りである。
A−1:PR177(大日精化工業(株)「クロモファインレッド6130EC」)
A−2:PY150(LANXESS製「Levascreen Yellow G04」)
B−1:AR52(ダイワ化成(株)製「AR52」):式(I−1)
B−2:製造例3で得られたローダミン染料
B−3:製造例4で得られたローダミン染料
B−4:AR52−H(ダイワ化成(株)製「Daiwa IJ Red 207H」):式(I−2)
B−5:AR289(ダイワ化成(株)製「AR289」):式(I−3)
C−1:製造例1で得られた顔料分散剤(1)溶液
C−2:ルーブリゾール社製「ソルスパ−ス76500」:ポリアルキレンオキシド鎖及びカチオン基として4級アンモニウム基を有するポリウレタン系分散剤(アミン価30mgKOH/g、重量平均分子量50,000)
C−3:製造例6で得られた、カチオン基を有しない顔料分散剤(2)溶液
得られた各顔料分散体、着色組成物の評価結果を表2−1及び表2−2に示す。

Claims (9)

  1. アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを配合してなる、カラーフィルター用顔料分散体。
    −SOH (Ia)
    −SO (Ib)
    〔式(Ib)が示すアニオン基の対イオンは、金属イオン、NH 及び前記ローダミン染料(B)のイミニウムカチオンから選ばれる1種である。〕
  2. ローダミン染料(B)が、一般式(I)で表される化合物である、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体。

    〔式(I)中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基と水素原子が置換していてもよい芳香族炭化水素基を示し、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基を示す。ただし、式(I)中、式(Ia)又は式(Ib)で表される官能基の総数は2以上である。〕
  3. ローダミン染料(B)の配合量が、顔料(A)とローダミン染料(B)との合計量に対して、0.05質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  4. 分散剤(C)が、カチオン基として4級アンモニウム基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  5. 顔料(A)がアントラキノン顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  6. 顔料(A)が多環系金属錯体顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂とを配合してなる、カラーフィルター用着色組成物。
  8. 請求項7に記載の着色組成物を用いて製造される、カラーフィルター。
  9. アントラキノン顔料及び多環系金属錯体顔料から選ばれる1種以上の顔料(A)と、式(Ia)及び式(Ib)で表される官能基から選ばれる1種以上を2つ以上有するローダミン染料(B)と、カチオン基を有する分散剤(C)と、非水系溶媒(D)とを混合する工程を有する、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
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