JP2010037620A - 成膜方法、膜材料、および成膜装置 - Google Patents

成膜方法、膜材料、および成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】成膜中に膜材料の表面に付着または析出した異物を落下し易くできる成膜方法、膜材料、および成膜装置を提供すること。
【解決手段】成膜方法は、膜材料22を蒸発させて基板28の表面28aに成膜する成膜方法であって、膜材料22は、表面が曲面で構成された形状を有する固体からなり、複数の膜材料22をハース20に収容し、膜材料22の表面を加熱することにより膜材料22を蒸発させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜方法、膜材料、および成膜装置に関する。
半導体装置や有機エレクトロルミネセンス装置(以下有機EL装置と呼ぶ)において、基板表面に薄膜を形成する方法として、例えば真空蒸着法や高密度プラズマ成膜法が用いられている。これらの成膜法では、膜材料の表面に電子ビームやプラズマ等を照射して加熱することにより、膜材料を蒸発させて基板表面に堆積させることで薄膜が形成される。膜材料は、例えばタブレット状の固体であり、電子ビームやプラズマ等が照射された部分が加熱されて蒸発または昇華する。
このようなタブレット状の膜材料を用いる場合、電子ビームやプラズマ等が照射された部分が選択的に消耗してしまい、膜材料全体が有効に使われないことがある。そこで、膜材料を収容するハース内にタブレットの形状や大きさに対応したライナーを備える構成(例えば、特許文献1参照)や、ハースを移動可能にしてより多くの膜材料を収容できるようにした構成(例えば、特許文献2参照)が提案されている。このような構成によれば、タブレット状の膜材料に電子ビームやプラズマ等を照射して、より効率的に膜材料を蒸発させることが可能である。
特開平5−93263号公報 特開平8−3734号公報
ところで、タブレット状の膜材料が蒸発する際に、膜材料中の異物が表面に析出することや、膜材料の表面に異物が付着することがある。このような膜材料の表面の異物が加熱され突沸して基板に付着すると、形成される薄膜に欠陥が生じてしまう。また、異物に熱が集中して膜材料の蒸発に偏りが生じると、形成される薄膜の膜厚の均一性が損なわれてしまう。その結果、半導体装置や有機EL装置の製造歩留りが低下するという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る成膜方法は、膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する成膜方法であって、前記膜材料は、表面が曲面で構成された形状を有する固体からなり、複数の前記膜材料を蒸発源に収容し、前記膜材料の表面を加熱することにより前記膜材料を蒸発させることを特徴とする。
この構成によれば、膜材料は表面が曲面で構成された形状を有する固体からなる。この膜材料が蒸発源に複数収容されると、隣接する膜材料同士の互いの接触面積が小さいので、膜材料同士の間に間隙ができる。このため、膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物が膜材料同士の間隙を通って蒸発源の底部に落下し易くなる。これにより、膜材料の表面の異物に熱が集中することで生じる異物の突沸や膜材料の蒸発の偏りを抑えることができる。したがって、基板表面に形成される薄膜において、突沸した異物が基板表面に付着することにより薄膜に欠陥が生じることや、膜材料の蒸発の偏りにより薄膜の膜厚の均一性が損なわれることを防止できる。
[適用例2]上記適用例に係る成膜方法であって、前記膜材料は球体であってもよい。
この構成によれば、膜材料が球体であるので、膜材料同士の間の間隙をより大きくできる。
[適用例3]上記適用例に係る成膜方法であって、前記膜材料の表面を加熱することにより前記膜材料を蒸発させる際に、少なくとも一度前記膜材料を前記蒸発源内において攪拌してもよい。
この構成によれば、膜材料の表面を加熱する際に膜材料が蒸発源内で攪拌されるので、膜材料の表面の異物がより一層落下し易くなる。また、膜材料が攪拌されることにより、熱が一部分に集中しないので、膜材料の蒸発に偏りが生じるのを抑制できる。
[適用例4]上記適用例に係る成膜方法であって、前記膜材料は、シリコン酸化物からなっていてもよい。
この構成によれば、シリコン酸化物からなる膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物を落下し易くすることができる。
[適用例5]上記適用例に係る成膜方法であって、前記蒸発源に収容された前記膜材料にプラズマを導入することにより、前記膜材料を加熱してもよい。
この構成によれば、膜材料の表面にプラズマを照射して加熱する成膜法において、膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物を落下し易くすることができる。
[適用例6]本適用例に係る膜材料は、上記に記載の成膜方法に用いられることを特徴とする。
この構成によれば、膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物が膜材料同士の間隙を通って蒸発源の底部に落下し易くなる。これにより、膜材料の表面の異物に熱が集中することで生じる異物の突沸や膜材料の蒸発の偏りを抑えることができる。
[適用例7]本適用例に係る成膜装置は、膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する成膜装置であって、成膜室と、前記成膜室内に前記基板に対向して配置されており、複数の前記膜材料を収容する蒸発源と、前記蒸発源に収容された前記複数の前記膜材料を攪拌する攪拌手段と、前記膜材料の表面を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置。
この構成によれば、蒸発源には固体からなる膜材料が複数収容され、それらの膜材料が攪拌される。このため、膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物が落下し易くなる。これにより、膜材料の表面の異物に熱が集中することで生じる異物の突沸や膜材料の蒸発の偏りを抑えることができる。したがって、基板表面に形成される薄膜において、突沸した異物が基板表面に付着することにより薄膜に欠陥が生じることや、膜材料の蒸発の偏りにより薄膜の膜厚の均一性が損なわれることを防止できる。
[適用例8]上記適用例に係る成膜装置であって、前記攪拌手段は、前記蒸発源を回転させる回転機構であってもよい。
この構成によれば、蒸発源を回転させることで、蒸発源に収容された膜材料を攪拌できる。
[適用例9]上記適用例に係る成膜装置であって、前記攪拌手段は、前記複数の前記膜材料を回転させる回転機構であってもよい。
この構成によれば、膜材料を回転させることで、膜材料を攪拌できる。
[適用例10]上記適用例に係る成膜装置であって、前記加熱手段は、プラズマを前記蒸発源に導入することにより前記膜材料の表面を加熱するプラズマ導入部であってもよい。
この構成によれば、膜材料の表面にプラズマを照射して加熱する成膜法において、膜材料の表面に異物が析出したり付着したりしても、その異物を落下し易くすることができる。
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の厚さや寸法の比率等は適宜異ならせてある。
(第1の実施形態)
<成膜装置>
まず、第1の実施形態に係る成膜装置について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図1(a)は成膜装置の全体構成を示す断面図あり、図1(b)は図1(a)のA部を拡大して示す図である。
第1の実施形態に係る成膜装置100は、成膜室10と、蒸発源としてのハース20と、加熱手段としてのプラズマ導入部40と、を備えている。成膜装置100は、イオンプレーティング法を用いた成膜装置である。成膜装置100によれば、高密度プラズマ成膜法により、緻密な薄膜を形成することができる。
成膜室10は、真空チャンバであり、上部12と、底部14と、側部16とを有している。ハース20は、成膜室10内の底部14側に配置されている。ハース20は、底部14に設けられた支持台24により支持されている。ハース20には、固体からなる膜材料22が複数収容される。ハース20の外周には、環状の陽極46が配置されている。
成膜室10内の上部12側には、保持部26がハース20に対向して配置されている。保持部26は、基板28の表面28aがハース20に対向するように基板28を保持する。保持部26は、例えば、ラック・アンド・ピニオン方式の駆動装置あるいはロボットアーム等を備えた搬送機構(図示しない)により、基板28を保持した状態で、ハース20に対して矢印で示す所定の方向に相対移動することができる。保持部26は、この搬送機構により、成膜室10と他の成膜室や処理室等との間を移動可能である。
成膜室10の側部16には、ガス導入口18が設けられている。ガス導入口18は、例えば、上部12側および底部14側に各2箇所配置されている。ガス導入口18から成膜室10内にプロセスガス49が導入される。ガス導入口18には、成膜室10内に導入されるプロセスガス49の導入量を制御するマスフローコントローラ(図示しない)が接続されている。プロセスガス49として、例えば、アルゴンガスや窒素ガスが用いられる。
ここで、プロセスガスとは、成膜等の反応に使用されるガスのことを指す。また、成膜中に、成膜室内の雰囲気を不活性な状態に保つため、あるいは基板等を冷却するため等の目的で他のガスが使用される場合、これらのガスもプロセスガスに含めるものとする。なお、ガス導入口18の数および配置はこの形態に限定されない。
側部16の底部14側には、排気口34が設けられている。排気口34は、底部14に設けられていてもよい。排気口34は、排気ポンプ(図示しない)に接続されている。排気ポンプにより、成膜室10内の雰囲気が、排気口34を介して成膜装置100外に排気される。これにより、成膜室10内を真空に近い減圧状態に保つことができる。
プラズマ導入部40は、プラズマ生成器41と、直流電源42と、磁場発生コイル44と、前述の陽極46とを備えている。プラズマ生成器41は、成膜室10の側部16に設けられた開口部を介して、成膜室10に接続されている。プラズマ導入部40は、プラズマ生成器41に導入されるプロセスガス47をプラズマ化してプラズマ48を発生させ、そのプラズマ48をハース20に収容された膜材料22に導入する機能を有している。プロセスガス47として、例えばアルゴンガスが用いられる。
成膜装置100では、プラズマ48がハース20に収容された膜材料22に導入されることにより、膜材料22の表面が加熱されて蒸発する。蒸発した膜材料22は、プラズマ48によりイオン化され活性度の高い状態となって、保持部26に保持された基板28の表面28aに堆積する。これにより、基板28の表面28aに、膜材料22からなる薄膜が成膜される。
なお、成膜装置100では、基板28がプラズマ48に直接曝されないように、プラズマ48が発生する領域の外部に基板28が配置される。したがって、基板28に先に形成されている有機機能層等の膜がプラズマ48により損傷を受けるのを回避できる。
<基板の一例>
次に、第1の実施形態に係る成膜装置を用いて成膜される基板の一例として、有機EL装置の素子基板について図2を参照して説明する。図2は、有機EL装置の素子基板の概略構成を示す図である。
素子基板50は、基板51上に、回路部52と、画素電極54と有機機能層60と陰極62とで構成される多数の有機EL素子と、これらの有機EL素子を覆う保護層64と緩衝層66と封止層68と、を備えている。素子基板50は、例えば、トップエミッション方式の有機EL装置の素子基板である。素子基板50では、有機機能層60から発した光が封止層68側に射出される。
基板51の材料は、素子基板50がトップエミッション方式であることから、ガラス、石英、樹脂等の透光性材料、および不透光性材料のいずれであってもよい。回路部52は、基板51上に形成されており、画素電極54を駆動するための駆動用TFT53と、各種回路と、導通部と、層間絶縁層等で構成されている。
画素電極54は、回路部52上に設けられており、平面視でマトリクス状に配置されている。画素電極54は、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる。画素電極54上には、親液性制御層56が形成されている。
親液性制御層56は、画素電極54のそれぞれに対応する開口部を複数有している。親液性制御層56は、例えば酸化シリコン等の無機材料からなる。親液性制御層56上には、隔壁層58が形成されている。隔壁層58は、例えばアクリル樹脂からなる。なお、隔壁層58に平面視で重なるように遮光層が設けられていてもよい。
有機機能層60は、隔壁層58により区画された領域に形成されており、画素電極54上に位置している。有機機能層60は、図示しないが、順に積層された正孔輸送層と発光層とで構成されている。有機機能層60では、正孔輸送層から注入される正孔と、陰極62から注入される電子とが発光層で再結合することにより、R、G、B等いずれかの色の発光が得られる。なお、有機機能層60は、発光層の上に積層された電子注入層をさらに有していてもよいし、発光層を含む4層以上の機能層で構成されていてもよい。
正孔輸送層の材料としては、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸(PSS)を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体を用いることができる。発光層の材料としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOT等のポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等を用いることができる。
陰極62は、有機機能層60と、隔壁層58の上面および側部壁面とを覆っている。陰極62は、有機EL装置がトップエミッション方式であることから、ITO等の透光性導電材料からなる。また、陰極62の材料は、電子注入効果の大きい材料、例えば、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、リチウム金属、またはこれらの金属化合物であってもよい。なお、このような材料からなる陰極62は、水分と反応し易い特性を有する。陰極62が水分と反応すると、その部分で電子注入効果が損なわれ、ダークスポットと呼ばれる発光しない領域が生じてしまう。
陰極62上には、陰極62を覆う保護層64が形成されている。保護層64は、製造工程において、上層に位置する緩衝層66の残留水分等により陰極62が損傷を受けるのを防止するためのものである。したがって、保護層64は、緩衝層66より広い範囲に形成されていることが好ましい。保護層64の材料としては、透光性、緻密性、耐水性、絶縁性、ガスバリア性を考慮して、珪素窒化物や珪素窒酸化物等の窒素を含む珪素化合物等が好適に用いられる。
保護層64上には、陰極62よりも広い範囲に緩衝層66が設けられている。緩衝層66は、隔壁層58の形状が反映された陰極62表面の凹凸形状の凹部を埋めるように配置されており、略平坦に形成された上面を有している。緩衝層66は、例えばエポキシモノマー/オリゴマー等の高分子材料からなる。
緩衝層66上には、緩衝層66と保護層64とを覆う封止層68が形成されている。封止層68は、酸素や水分が浸入することによる陰極62や有機機能層60の劣化を防止するためのものである。封止層68の材料としては、透光性、ガスバリア性、耐水性を考慮して、珪素窒化物や珪素窒酸化物等の窒素を含む珪素化合物等が好適に用いられる。
素子基板50において、保護層64および封止層68は、水蒸気等のガスを遮断するため、緻密で欠陥のない膜であることが好ましい。このような保護層64および封止層68の成膜法としては、緻密な膜を形成できるイオンプレーティング法等の高密度プラズマ成膜法が好適である。したがって、イオンプレーティング法を用いた成膜装置100は、素子基板50の保護層64および封止層68の成膜装置として好適である。
なお、素子基板50はボトムエミッション方式の有機EL装置の素子基板であってもよい。有機EL装置がボトムエミッション方式である場合には、基板51側から発光光が射出される。この場合、基板51の材料としては、透光性または半透光性のものが用いられ、ガラス基板が好適である。また、画素電極54も透光性材料が用いられる。一方、陰極62は透光性の材料でなくてもよい。
<成膜方法>
続いて、第1の実施形態に係る成膜方法について、成膜装置100を用いて素子基板50の保護層64を成膜する場合を例に取り、図1を参照して説明する。ここでは、保護層64は酸化窒化シリコンからなるものとする。
成膜装置100において、ハース20には、膜材料22が複数収容される。膜材料22は、保護層64の材料であり、ここでは酸化シリコンである。膜材料22のそれぞれは、表面が曲面で構成された形状を有する固体からなる。より具体的には、膜材料22は球体である。このため、隣接する膜材料22同士の互いの接触面積が小さいので、膜材料22同士の間に間隙22s(図1(b)参照)ができる。膜材料22は、楕円体であってもよい。
保持部26には、基板28の表面28aがハース20に対向するように基板28が保持される。基板28は、ここでは、基板51上に陰極62までが形成された素子基板50(図2参照)であり、陰極62が形成された側がハース20に対向するように保持される。
まず、成膜室10内を、排気口34を介して接続された排気ポンプで吸引することにより減圧する。続いて、成膜室10内に、プロセスガス49として、窒素ガスをガス導入口18から導入する。これにより、少なくとも基板28とハース20との間の空間は、プロセスガス49(窒素ガス)で満たされるので、外部からの酸素が遮断された雰囲気となる。このため、この成膜工程の前に基板28に形成されている膜等の酸化が防止される。
次に、プラズマ生成器41に、プロセスガス47として、アルゴンガスを導入する。プラズマ生成器41に導入されたプロセスガス47(アルゴンガス)は、直流電源42によりプラズマ化されて、プラズマ48(アルゴンプラズマ)となる。プラズマ48は、磁場発生コイル44および陽極46によりハース20に導かれ、ハース20に収容された膜材料22(酸化シリコン)に導入される。
プラズマ48により膜材料22の表面が加熱されると、膜材料22の加熱された部分が半溶解状態となり蒸発する。このとき、膜材料22は、外形形状を実質的に保ち得る程度の溶解状態となる。蒸発した膜材料22の粒子は、プラズマ48によりイオン化され活性度の高い状態となって、基板28の表面28aに入射する。基板28の表面28a上に堆積した膜材料22は、プロセスガス49と反応して酸化窒化シリコンとなり、保護層64が成膜される。
ところで、成膜中に、膜材料22の表面に異物が付着することや、膜材料22の表面に膜材料22中の異物が析出することがある。本実施形態では、膜材料22が酸化シリコンからなるので、シリコンの粒子が異物として表面に析出することがある。異物が膜材料22の表面に析出した場合、そのままの状態で膜材料22の加熱を続けると、その異物を核にして凝集成長する。
このような異物が加熱により突沸して飛散し基板28に付着すると、基板28の表面28aに形成される薄膜に欠陥が生じてしまう。また、膜材料22表面の異物に熱が集中して膜材料22の蒸発に偏りが生じると、形成される薄膜の膜厚の均一性が損なわれてしまう。したがって、膜材料22の表面に異物が付着したり析出したりした場合、その異物を膜材料22の表面からハース20の底部に落下させることが望ましい。
ここで、本実施形態に係る成膜方法では、上述の通り、ハース20に収容された膜材料22同士の間に間隙22sがある。このため、膜材料22の表面に異物が付着したり析出したりしても、その異物は膜材料22同士の間隙22sを通ってハース20の底部に落下し易くなる。これにより、異物に熱が集中することで生じる異物の突沸や、膜材料22の蒸発の偏りを抑えることができる。
また、膜材料22同士の間に間隙22sがあるので、異物が突沸した場合でも周囲に飛散するリスクを低減することができる。したがって、基板28の表面28aに形成される薄膜において、表面28aに異物が付着することにより薄膜に欠陥が生じることや、膜材料22の蒸発の偏りにより薄膜の膜厚の均一性が損なわれることを防止できる。この結果、素子基板50の製造歩留りの低下を抑えることができる。
なお、成膜室10内の雰囲気中のプロセスガス49の成分比率を調節することにより、酸化窒化シリコンの組成比を調節することができる。また、蒸発した膜材料22は、プラズマ48により十分活性化された状態で基板28の表面28aに入射するので、酸化窒化シリコンからなる保護層64を緻密で均一なものとすることができる。上述の成膜装置100を用いて保護層64を成膜する方法は、封止層68の成膜に適用してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る成膜装置および成膜方法について説明する。第2の実施形態に係る成膜装置は、第1の実施形態に係る成膜装置100に対して、ハースに収容された膜材料を攪拌する攪拌手段を備えている点が異なっている。第2の実施形態に係る成膜方法は、第1の実施形態に係る成膜方法に対して、膜材料を攪拌して加熱する点が異なっている。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
<成膜装置>
第2の実施形態に係る成膜装置200は、成膜室10と、ハース20と、プラズマ導入部40と、攪拌手段としての回転機構70と、を備えている。ここでは、回転機構70について図3を参照して説明する。図3は、第2の実施形態に係る成膜装置200のハース20および回転機構70を示す図である。詳しくは、図3(a)はハース20および回転機構70の断面図あり、図3(b)はハース20の開口部側から回転機構70側を見た平面図である。なお、図3では、ハース20に収容された膜材料22の図示を省略している。また、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
回転機構70は、回転軸72と、図示しないが、モータや変速機等とを備えている。モータや変速機等は、支持台24の内部に配置されている。回転軸72の一端には、変速機等を介してモータの回転が伝達される。回転軸72の他端には、ハース20の底部の中心部が固定されている。回転機構70は、回転軸72を回転中心として、例えば矢印の方向に、ハース20を回転駆動する。
<成膜方法>
第2の実施形態に係る成膜方法では、膜材料22(図1参照)を加熱する際に、少なくとも一度膜材料22をハース20内で攪拌する。成膜装置200において、プラズマ導入部40によりプラズマ48を導入して膜材料22の表面を加熱することにより膜材料22を蒸発させる際に、回転機構70でハース20を回転駆動する。これにより、ハース20に収容された複数の膜材料22が攪拌される。なお、回転機構70によるハース20の回転駆動は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
第2の実施形態に係る成膜装置200および成膜方法によれば、膜材料22が攪拌されることにより、膜材料22の表面に付着あるいは析出した異物が、膜材料22の表面から脱落し易くなるので、より一層落下し易くなる。また、膜材料22が攪拌されることにより、熱が同一部分に集中しないので、膜材料22の蒸発に偏りが生じるのを抑制できる。したがって、基板28の表面28aに形成される薄膜の膜厚の均一性を向上できるとともに、複数の膜材料22をより無駄なく効率的に蒸発させることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る成膜装置および成膜方法について説明する。第3の実施形態に係る成膜装置は、第2の実施形態に係る成膜装置200に対して、ハースに収容された膜材料を攪拌する回転機構の構成が異なっているが、その他の構成は同じである。第3の実施形態に係る成膜方法は、第2の実施形態に係る成膜方法と同じである。
<成膜装置>
第3の実施形態に係る成膜装置300は、成膜室10と、ハース20と、プラズマ導入部40と、攪拌手段としての回転機構74と、を備えている。ここでは、回転機構74について図4を参照して説明する。図4は、第3の実施形態に係る成膜装置300のハース20および回転機構74を示す図である。詳しくは、図4(a)はハース20および回転機構74の断面図あり、図4(b)はハース20の開口部側から回転機構74側を見た平面図である。なお、図4では、ハース20に収容された膜材料22の図示を省略している。また、第2の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
回転機構74は、回転軸76と、回転部78と、図示しないが、モータや変速機等とを備えている。モータや変速機等は、支持台24の内部に配置されている。回転部78は、ハース20の底部に位置している。回転部78は、例えば円盤状であり、ハース20の底面に略平行に配置されている。回転部78には、突起部、開口部、あるいは切り欠き等が設けられていてもよい。また、回転部78の形状は円盤状に限定されず、例えば船舶の螺旋推進器状の形状等であってもよい。
回転軸76は、ハース20の底部を貫通している。回転軸76の支持台24側の端部には、変速機等を介してモータの回転が伝達される。回転軸76の他端には、回転部78の中心部が固定されている。回転機構74は、回転軸76を回転中心として、例えば矢印の方向に、回転部78を回転駆動する。回転部78は、ハース20の底部に位置しているので、ハース20に収容された複数の膜材料22(図1参照)は回転部78上に位置している。したがって、回転部78が回転することにより、ハース20に収容された複数の膜材料22が攪拌される。
第3の実施形態に係る成膜装置300では、第2の実施形態に係る成膜装置200と同様に、膜材料22の加熱の際に膜材料22がハース20内で攪拌される。これにより、膜材料22の表面に付着あるいは析出した異物が、膜材料22の表面から脱落し易くなるので、より一層落下し易くなる。また、膜材料22が攪拌されることにより、熱が同一部分に集中しないので、膜材料22の蒸発に偏りが生じるのを抑制できる。したがって、基板28の表面28aに形成される薄膜の膜厚の均一性を向上できるとともに、複数の膜材料22をより無駄なく効率的に蒸発させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態の成膜装置において、保持部26は、搬送機構により成膜室10と他の成膜室や処理室等との間を移動可能であったが、上記の形態に限定されない。保持部26は、基板28の表面28aの法線に平行な軸を回転軸として、保持部26を回転させる回転機構を備えていてもよい。
変形例1に係る成膜装置について図5を参照して説明する。図5は、変形例1に係る成膜装置の概略構成を示す図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
変形例1に係る成膜装置400は、第1の実施形態に係る成膜装置100に対して、保持部26を回転させる回転機構36が設けられている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
成膜室10内の上部12には、回転機構36が設けられている。保持部26は、回転機構36に取り付けられている。回転機構36は、図示しないが、モータや変速機等を内蔵しており、基板28の表面28aの法線に平行な回転軸を有している。回転機構36の回転軸には保持部26の中心部が固定されており、回転機構36はこの回転軸を介して保持部26を基板28とともに回転駆動する。基板28を回転させて成膜することにより、基板28の表面28a内における各成膜点とハース20との位置関係を相対的に変化させることができるので、基板28の表面28a内における膜厚のばらつきを抑えることができる。
成膜装置400を用いて、第1の実施形態に係る成膜方法により成膜を行えば、成膜装置100を用いた場合と同様の効果が得られる。
なお、成膜装置400は、第2の実施形態に係る成膜装置200が備える回転機構70、または第3の実施形態に係る成膜装置300が備える回転機構74を備えていてもよい。
(変形例2)
上記実施形態および変形例1の成膜装置はイオンプレーティング法を用いた成膜装置であったが、上記の形態に限定されない。成膜装置は、電子ビーム等で膜材料の表面を加熱することにより膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する真空蒸着装置であってもよい。
このような成膜装置の一例について、図6を参照して説明する。図6は、変形例2に係る成膜装置の一例を示す図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
変形例2に係る成膜装置500は、成膜室10と、蒸発源としてのルツボ84と、保持部26と、加熱手段としての電子ビーム発生器80と、を備えた真空蒸着装置である。ルツボ84には、膜材料22が複数収容される。電子ビーム発生器80は、成膜室10の側部16に配置されている。電子ビーム発生器80は、電子ビーム82を発生させる。
成膜装置500では、電子ビーム発生器80で発生した電子ビーム82を、ルツボ84に収容された複数の膜材料22に導入することにより、膜材料22の表面を加熱する。加熱された膜材料22は、蒸発して基板28の表面28aに堆積する。これにより、基板28の表面28aに、膜材料22からなる薄膜が成膜される。
成膜装置500においても、第1の実施形態に係る成膜方法と同様に、表面が曲面で構成された形状を有する固体からなる膜材料22を用いることで、第1の実施形態に係る成膜方法と同様の効果が得られる。
なお、成膜装置500は、第2の実施形態に係る成膜装置200が備える回転機構70、または第3の実施形態に係る成膜装置300が備える回転機構74を備えていてもよい。
第1の実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図。 有機EL装置の素子基板の概略構成を示す図。 第2の実施形態に係る成膜装置のハースおよび回転機構を示す図。 第3の実施形態に係る成膜装置のハースおよび回転機構を示す図。 変形例1に係る成膜装置の概略構成を示す図。 変形例2に係る成膜装置の一例を示す図。
符号の説明
10…成膜室、12…上部、14…底部、16…側部、18…ガス導入口、20…ハース、22…膜材料、22s…間隙、24…支持台、26…保持部、28…基板、28a…表面、34…排気口、36…回転機構、40…プラズマ導入部、41…プラズマ生成器、42…直流電源、44…磁場発生コイル、46…陽極、47…プロセスガス、48…プラズマ、49…プロセスガス、50…素子基板、51…基板、52…回路部、53…駆動用TFT、54…画素電極、56…親液性制御層、58…隔壁層、60…有機機能層、62…陰極、64…保護層、66…緩衝層、68…封止層、70,74…回転機構、72,76…回転軸、78…回転部、80…電子ビーム発生器、82…電子ビーム、100,200,300,400,500…成膜装置。

Claims (10)

  1. 膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する成膜方法であって、
    前記膜材料は、表面が曲面で構成された形状を有する固体からなり、
    複数の前記膜材料を蒸発源に収容し、
    前記膜材料の表面を加熱することにより前記膜材料を蒸発させることを特徴とする成膜方法。
  2. 請求項1に記載の成膜方法であって、
    前記膜材料は球体であることを特徴とする成膜方法。
  3. 請求項1または2に記載の成膜方法であって、
    前記膜材料の表面を加熱することにより前記膜材料を蒸発させる際に、少なくとも一度前記膜材料を前記蒸発源内において攪拌することを特徴とする成膜方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の成膜方法であって、
    前記膜材料は、シリコン酸化物からなることを特徴とする成膜方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の成膜方法であって、
    前記蒸発源に収容された前記膜材料にプラズマを導入することにより、前記膜材料を加熱することを特徴とする成膜方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の成膜方法に用いられることを特徴とする膜材料。
  7. 膜材料を蒸発させて基板表面に成膜する成膜装置であって、
    成膜室と、
    前記成膜室内に前記基板に対向して配置されており、複数の前記膜材料を収容する蒸発源と、
    前記蒸発源に収容された前記複数の前記膜材料を攪拌する攪拌手段と、
    前記膜材料の表面を加熱する加熱手段と、
    を備えたことを特徴とする成膜装置。
  8. 請求項7に記載の成膜装置であって、
    前記攪拌手段は、前記蒸発源を回転させる回転機構であることを特徴とする成膜装置。
  9. 請求項7に記載の成膜装置であって、
    前記攪拌手段は、前記複数の前記膜材料を回転させる回転機構であることを特徴とする成膜装置。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の成膜装置であって、
    前記加熱手段は、プラズマを前記蒸発源に導入することにより前記膜材料の表面を加熱するプラズマ導入部であることを特徴とする成膜装置。
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