JP2010037496A - 熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】EVOHとポリアミド樹脂とから、ガスバリヤー性/溶融加工性/耐疲労性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得る。
【解決手段】(A)エチレン組成比20〜50モル%でケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体20〜80重量部、(B)層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂80〜20重量部、(C)疎水性可塑剤を、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対し、10〜50重量部並びに(D)酸無水物基を有する改質ポリマーを、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対し、60〜150重量部含んでなり、成分(D)が成分(A),(B)及び(C)のマトリックス相に分散した分散相を形成する熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、繰り返し変形を与えても高いガスバリヤー性を保持し、溶融加工性に優れる熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来、タイヤの内圧を保持するためにタイヤ内面に空気バリヤー層として配設されるインナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が使用されている。しかしながら、これらのブチル系ゴムを主原料とするゴム組成物は、空気バリヤー性が低いため、かかるゴム組成物をインナーライナーに使用した場合、インナーライナーの厚みを1mm〜4mm前後とする必要があり、タイヤに占めるインナーライナーの重量が約5%となり、タイヤの重量を低減して自動車の燃費を向上させる上で障害となっている。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ガスバリヤー性に優れることが知られており、空気透過量が上記ブチル系ゴムのインナーライナー用ゴム組成物の100分の1以下であるため、100μm以下の厚みでも、タイヤの内圧保持性能を大幅に向上させることができると共に、タイヤの重量を低減させることが可能である。例えば特許文献1並びに特許文献2には、EVOHからなるインナーライナーを備えた空気入りタイヤが開示されている。しかしながら、通常のEVOHをインナーライナーとして用いた場合、タイヤの内圧保持性能を改良する効果は大きいものの、通常のEVOHはタイヤに通常用いられているゴムに比べ弾性率が大幅に高いため、タイヤ走行時に、繰り返しの屈曲や引張変形を受けると、EVOH層が疲労し、タイヤ使用前の内圧保持性能と比較し、タイヤ使用後の内圧保持性能が大幅に低下するという問題があった。この問題を解決する手段として、特許文献3には、エチレン含有量20〜70モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99重量%及び疎水性可塑剤1〜40重量%からなる樹脂組成物をインナーライナーに使用する技術が開示されている。更に、特許文献4には、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してエポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体をインナーライナーに使用する技術が開示されている。また、特許文献5には、上記エポキシ化合物変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体より小さい軟質樹脂を分散させた樹脂組成物からなる相を含むタイヤ用インナーライナーを使用する技術が開示されている。しかし、上記開示の技術をもってしても、依然としてタイヤ走行後の内圧保持性能の低下が起こり、改善の必要があった。
特許文献6には、ビニルアルコール系樹脂の耐衝撃性、耐久性の改善手法として、ポリアミド樹脂及びエチレン−不飽和カルボン酸系共重合体などの改質ポリマーがブレンドされた組成物が開示されている。しかし、組成物中のポリアミド樹脂とエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、溶融混合中に反応するため、改質ポリマーの熱可塑性樹脂中への充填量を増やしていくと、得られる組成物の溶融粘度が極めて高くなり、押出加工性が著しく悪化するという問題があった。また、マトリックス相であるポリアミド樹脂の溶融粘度を低下させることにより、得られる組成物の溶融粘度を低下させることもできるが、この手法では、改質ポリマーの分散性が悪化し、耐久性を悪化させてしまうという問題があり、更なる改善の余地があった。
特開平1−314164号公報 特開平6−40207号公報 特開2002−52904号公報 特開2004−176048号公報 特開2008−24217号公報 特開2003−277564号公報
そこで、本発明の目的は、ガスバリヤー性/溶融加工性/耐疲労性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供し、更には、タイヤ走行後の内圧保持性能の低下を抑制した空気入りタイヤ用のインナーライナーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、(A)エチレン組成比20〜50モル%でケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体20〜80重量部、(B)層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂80〜20重量部、(C)疎水性可塑剤を、成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対し、10〜50重量部並びに(D)酸無水物基を有する改質ポリマーを、成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対し、60〜150重量部を含んでなり、成分(D)が成分(A),(B)及び(C)のマトリックス相に分散した分散相を形成する熱可塑性エラストマー組成物並びにその製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明によれば、EVOH(A)とブレンドするポリアミド樹脂として、層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂(B)を用い、これらに疎水性可塑剤(C)を含有し、及び酸無水物基を有する改質ポリマー(D)を配合することにより、成分(A),(B)及び(C)のマトリックス相に成分(D)を分散相として分散させ、分散相の充填量を増加させつつ溶融粘度の上昇を抑制することが可能となり、その結果として、ガスバリヤー性/耐疲労性/溶融加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
本発明者らは、前記目的を達成すべく研究を進めた結果、ガスバリヤー性に優れたEVOHと、耐疲労性に優れたポリアミド樹脂をブレンドするに当り、ポリアミド樹脂として、層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂を用い、これにより疎水性可塑剤及び酸無水物基を有する改質ポリマーを溶融混合することにより、ガスバリヤー性/耐疲労性/溶融加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることに成功した。
本発明によれば、(A)エチレン組成比20〜50モル%、好ましくは35〜50モル%でケン化度が90%以上、好ましくは99%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)20〜80重量部、好ましくは40〜70重量部、(B)層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂80〜20重量部、好ましくは60〜30重量部(成分(A)及び(B)の合計量:100重量部)、(C)疎水性可塑剤を、成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対し、10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部、並びに(D)酸無水物基を有する改質ポリマーを、成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対し、60〜150重量部、好ましくは70〜100重量部を含んでなり、成分(D)の分散相が成分(A),(B)及び(C)のマトリックス相に分散した熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
本発明において用いる疎水性可塑剤(C)としては、Fedorsの式から算出した溶解度パラメーター(SP値)が9〜15の範囲にあれば特に問題はなく、例えば芳香族エステル、脂肪族エステル、燐酸エステル、スルホンアミド系可塑剤などの公知の任意の疎水性可塑剤を用いることができ、特にスルホンアミド系可塑剤(例えば、ブチルベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド)などの使用が、本発明で使用するポリアミド樹脂との相溶性の観点から好ましい。疎水性可塑剤(C)の使用量が少ないと、溶融混合時に改質ポリマーの酸無水物基とポリアミド樹脂との反応が進行してしまい、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が著しく高くなり、加工性が悪化するので好ましくなく、逆に多いと、疎水性可塑剤が熱可塑性エラストマー組成物表面へブリードアウトし、ハンドリングが悪化するので好ましくない。
本発明において成分(B)として使用する層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂中のポリアミド樹脂としては、ナイロン6及び/又はε−カプロラクタム由来成分を90mol%以上含む、ナイロン6.66、ナイロン6.12、ナイロン6.66.12、ナイロン6.10などを、単独又は任意の混合物として用いることができる。前記ポリアミド樹脂(B)としては、以下の方法で作製することができる層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂を用いることができる。
変性ポリアミド樹脂は、EVOH20〜80重量部に対して、80〜20重量部(両方の合計100重量部)、好ましくはEVOH40〜70重量部に対して60〜30重量部使用する。本発明で用いる層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂は、未変性のポリアミド樹脂に対して0.1〜10重量%、好ましくは1〜4重量%の層状珪酸塩を均一に分散、複合化して製造される。層状珪酸塩をポリアミド中に分散させる方法については、膨潤化剤(例えば、分子式:H2N−(CH2n-1COOHを有するω−アミノ酸のアンモニウム塩)と層状珪酸塩中金属イオンとをイオン交換し、層間を広げて、さらにモノマーを取り込ませて重合する方法(層間重合法)が挙げられる。ポリアミド樹脂を変性するための層状珪酸塩は、層状粘土鉱物であり、かかる層状粘土鉱物としては特に制限されないが、具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族:カオリナイト、ハロサイトなどのカオリナイト族:ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライトなどのバーミキュライト族:テニオライト、テトラシリシックマイカ、マスコバイト、イライト、セリサイト、フォロゴバイト、バイオタイトなどのマイカなどが用いられるが、特に、ポリアミド樹脂との相互作用力が強いモンモリロナイトの使用が好ましい。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6.66の少なくとも一種が、EVOHとの相溶性及び耐疲労性のバランスに優れる観点で好ましい。
本発明において使用する改質ポリマー(D)としては、例えば酸無水物基でグラフト変性されたエチレン−αオレフィン共重合体などの軟質ポリマーを用いることが好ましく、かかる酸無水物基を有する改質ポリマー(D)は公知であり、例えば、三井化学(株)製無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(タフマーMP−0620)、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(タフマーMP−7020)として市販されており、本発明でもかかる加工市販品を用いることができる。
本発明に従った熱可塑性エラストマー組成物は、例えば前記層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂(B)と、疎水性可塑剤(C)とをあらかじめ、例えばポリアミド樹脂融点のプラス20℃の温度で溶融混合し、次いでEVOH(A)と改質ポリマー(D)を溶融混合することによって製造することができる。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、T型ダイス付きの押出機や、インフレーション成形機などでフィルムとすることができ、このフィルムは、ガスバリヤー性、耐熱性、耐屈曲疲労性に優れるため、空気入りタイヤのインナーライナーとして好適に使用することができる。
本発明によれば、前記インナーライナーを製造するに当り、前記熱可塑性エラストマー組成物フィルムの両面にゴム組成物層を積層させた熱可塑性エラストマー積層体を、空気入りタイヤのタイヤ最内面層インナーライナーとして用いるのが好ましい。この積層体を用いてタイヤを製造する際、加硫時の積層体の最大温度が、EVOH(A)の融点以上でかつ脂肪族ポリアミド(B)の融点より低く、更に可塑剤を隣接するゴム組成物層に移行させ、熱可塑性樹脂組成物に残留する可塑剤量を3重量部以下にすることで、加硫工程におけるEVOH(A)の配向を抑えることができ、タイヤ走行後空気圧の保持性能を維持できる。
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックやシリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤などの樹脂及びゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
(1)熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
表Iに示す原材料及び表IIに示す配合において、以下の方法により、熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性エラストマー組成物を作製した。
参考例1〜3
予め、疎水性可塑剤であるBM−4とポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)を、2軸混練機(日本製鋼所製TEX44、以下、すべてこの2軸混練機を使用)にて、混練機温度230℃条件下で溶融混練し、疎水性可塑剤/ポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)ブレンドを作製した。次いで、エチレン−ビニルアルコール共重合体と疎水性可塑剤/ポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)を、2軸混練機を用いて、混練機温度220℃条件下で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物ペレットを作製した。
比較例1〜7及び実施例1〜7
予め、疎水性可塑剤であるBM−4とポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)とを、2軸混練機にて、混練機温度230℃の条件下で溶融混練し、疎水性可塑剤/ポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)ブレンドを作製した。次いで、エチレン−ビニルアルコール共重合体、疎水性可塑剤/ポリアミド樹脂(又は層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂)及び改質ポリマーであるMP−0620(三井化学(株)製 タフマーMP−0620 無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体)を、2軸混練機を用いて、混練機温度220℃条件下で溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物ペレットを作製した。
実施例8
エチレン−ビニルアルコール共重合体、層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂、BM−4、及びMP−0620を、2軸混練機にて、混練温度220℃の条件下で溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物ペレットを作製した。
(2)原料ポリアミド樹脂の溶融粘度η PA 測定方法
東洋精機(株)製キャピラリーレオメーターを用いて、250℃、せん断速度122sec-1における原料ポリアミド樹脂の溶融粘度ηPAを測定した。
(3)熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度η TPE 測定方法
東洋精機(株)製キャピラリーレオメーターを用いて、250℃、せん断速度122sec-1における、熱可塑性エラストマー組成物ペレットの溶融粘度ηTPEを測定した。
(4)改質ポリマー(D)の分散粒子径測定方法
比較例1〜7及び実施例1〜8の熱可塑性エラストマー組成物ペレットを温度−100℃で凍結し、その試料をミクロトームにより切削し、フレッシュな面を出した後、その面を原子間力顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 SPA−300HV)で観察することにより、改質ポリマー(D)の数平均分散粒子径を測定した。
(5)熱可塑性エラストマー組成物フィルムの製造方法
550mm幅T型ダイス付単軸押出機を用いて、下記押出条件下で、参考例1〜3、比較例1〜7及び実施例1〜8に示す熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性エラストマー組成物ペレットを、平均厚み20μmのフィルムに成形した。
押出機;φ40mm単軸押出機(株式会社プラ技研製)
押出温度:C1/C2/C3/C4/ダイ=200/210/230/235/235℃
冷却ロール温度:50℃
引き取り速度:4m/min
(6)ゴム組成物の製造方法
表IIIに示す原料及び配合にて、加硫促進剤と加硫剤を除く成分を16リットルの密閉式ミキサーで5分間混練し、140℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤及び加硫剤をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。ゴム組成物1は、幅500mm/300μmに圧延成形し、ゴム組成物2は、幅500mm、厚み1000μmに圧延成形し、未加硫ゴム組成物シートを得た。
上記のようにして得られた熱可塑性樹脂組成物、可塑性エラストマー組成物フィルム、及び未加硫ゴム組成物シートを用いて、以下の方法により空気入りタイヤを作製し、また以下の方法により評価を行った。
(1)試験タイヤの製造方法
熱可塑性樹脂組成物フィルム、又は熱可塑性エラストマー組成物フィルムの両面にゴム組成物1シートを積層し、これをタイヤ用インナーライナーとした。次いで、該積層体が最内面になるように配置された195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを、加硫温度178℃、加硫時間12分の条件下、常法に従って作製した。
(2)走行前空気圧保持性能指数
上記方法で作製した試験タイヤを6JJ×15のリムに装着した後、内圧を240kPa充填し、3ヶ月後の内圧を測定することで評価し、下式で指数化した。
走行前空気圧保持性能=[(240−b)]/(240−a)]×100
ここで、
a:ゴム組成物2シートをインナーライナーに用いた未走行タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)
b:走行前タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)
(3)走行後空気圧保持性能指数
上記方法で作製した試験タイヤを、内圧190kPaで80km/hに相当する回転数のドラム上に荷重6kNで押し付けて、10000km走行を実施した。次いで、この走行タイヤを、6JJ×15のリムに装着した後、内圧を240kPa充填し、3ヶ月後の内圧を測定することで評価し、下式で指数化した。
走行後空気圧保持性能=[(240−b)]/(240−a)]×100
ここで、
a:ゴム組成物2シートをインナーライナーに用いた未走行タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)
b:走行後タイヤの3ヶ月後の内圧(kPa)
(4)空気圧保持性能維持率
空気圧保持性能維持率を下式で定義した。
空気圧保持性能維持率(%)
=(走行後空気圧保持性能指数/走行前空気圧保持性能指数)×100
Figure 2010037496
表I脚注
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)
H171B:エチレン組成比38mol%エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製)
ポリアミド樹脂(B)
1022C2:2重量%モンモリロナイト変性ナイロン6(宇部興産(株)製)
5034C2:2重量%モンモリロナイト変性ナイロン6.66(宇部興産(株)製)
1022B:ナイロン6(宇部興産(株)製、高粘度タイプ)
1013B:ナイロン6(宇部興産(株)製、低粘度タイプ)
疎水性可塑剤(C)
BM−4:N−ブチルベンゼンスルホンアミド(大八化学工業(株)製)
酸無水物変性改質ポリマー(D)
MP−0620:無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学(株)製)
Figure 2010037496
Figure 2010037496
参考例1〜3に示す熱可塑性樹脂組成物は、溶融粘度が低く、押出成形性に優れているが、これを空気入りタイヤのインナーライナーに用いた場合、走行前の空気圧保持性能は優れるものの、走行後の空気圧保持性能が大幅に低下し、空気圧保持性能を維持することができなかった。
比較例1に示す熱可塑性エラストマー組成物は、未変性ポリアミド樹脂を用い、且つ改質ポリマーの配合量が多いため、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が極めて高くなり、溶融成形によるフィルム化ができなかった。
比較例2に示す熱可塑性エラストマー組成物は、溶融粘度が低く押出成形性に優れているが、改質ポリマー(D)の配合量が規定量を満たしていないため耐久性に劣り、空気入りタイヤのインナーライナーに用いた場合、走行前の空気圧保持性能は優れるものの、走行後の空気圧保持性能が大幅に低下し、空気圧保持性能を維持することができなかった。
比較例3及び4は、溶融粘度の低い未変性のポリアミド樹脂を用いたため、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が低く、フィルム化が可能であったが、改質ポリマーの分散性が悪化した。このため、走行前の空気圧保持性能は優れるものの、走行後の空気圧保持性能が大幅に低下し、空気圧保持性能を維持することができなかった。
比較例5は、層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂を用いているが、疎水性可塑剤(C)の配合量が少なく、且つ改質ポリマー(D)配合量が多いため、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が極めて高くなり、溶融成形によるフィルム化ができなかった。
実施例1〜7は、層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂を用いているため、比較例3及び4のように、改質ポリマー(D)の分散性を悪化させることなく、熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度を低下させることが可能であり、フィルム化も可能となった。このフィルムをインナーライナーとして用いた空気入りタイヤは、走行前後でも空気圧保持性能が高く、優れた性能を有していた。
本発明によれば、前記特定の成分(A)〜(D)の組み合わせにより、特にポリアミド樹脂に、疎水性可塑剤(C)と共に、層間重合法により作製した層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂(B)を用いることにより、酸無水物で変性された改質ポリマー(D)の分散相を、樹脂マトリックス中に分散性よく高充填させつつ、溶融粘度の増加を抑制することが可能となり、その結果として、ガスバリヤー性/耐疲労性/溶融加工性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られるのであり、この熱可塑性エラストマー組成物は例えば空気入りタイヤのインナーライナー用組成物として有用である。

Claims (8)

  1. (A)エチレン組成比20〜50モル%でケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体20〜80重量部、(B)層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂80〜20重量部、(C)疎水性可塑剤を、成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対し、10〜50重量部並びに(D)酸無水物基を有する改質ポリマーを、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対し、60〜150重量部含んでなり、成分(D)が成分(A),(B)及び(C)のマトリックス相に分散した分散相を形成する熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 成分(C)の可塑剤がスルホンアミド系可塑剤である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 層状珪酸塩がモンモリロナイトである請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 成分(B)のポリアミド樹脂がポリアミド6及び/又はポリアミド6.66である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 成分(D)の改質ポリマーが、酸無水物基でグラフト変性された、エチレン−αオレフィン共重合体を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 成分(B)の層状珪酸塩変性ポリアミド樹脂及び成分(C)の疎水性可塑剤を予め溶融混合し、次いで成分(A)のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び成分(D)の改質ポリマーを溶融混合することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物フィルムをインナーライナーとして用いた空気入りタイヤ。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物のフィルムの両面に、ゴム組成物層を積層させた熱可塑性エラストマー積層体をタイヤ最内面層インナーライナーとして用いた空気入りタイヤ。
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