以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1〜図15を参照して、本発明の実施形態1について説明する。まず、実施形態1における構成について説明する。
図1に、本発明の画像撮影装置を適用した実施形態1に係るデジタルカメラ1の回路構成を示す。デジタルカメラ1は、図1に示すように、モータ(M)21、レンズ光学系22、CCD23、TG(タイミング発生器)24、垂直ドライバ25、S/H(サンプルホールド回路)26、A/D変換器27、カラープロセス回路28、DMA(Direct Memory Access)コントローラ29、DRAM(Dynamic RAM) I/F(DRAMインターフェース)30、DRAM31、制御部32、VRAM(Video RAM)コントローラ33、VRAM34、デジタルビデオエンコーダ35、キー入力部36、JPEG(Joint Photograph coding Experts Group)回路37、フラッシュメモリ38、通信部39、表示部13により構成される。
モータ(M)21は、制御部32から入力される制御信号に従って駆動し、レンズ光学系22の絞り位置を移動させる。
CCD23は、撮像素子が平面状(2次元)に配列された構造を有し、光入力を電気信号に変換して蓄積する光電変換部、蓄積された電荷を読み出す走査部、電気信号として出力する出力部により構成され、撮影モードでのモニタリング状態において、タイミング発生器(TG)24、垂直ドライバ25によって駆動される。
CCD23の出力部から出力された電気信号は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整され、S/H(サンプルホールド回路)26は、このゲイン調整された信号をサンプルホールドする。A/D変換器27は、S/H(サンプルホールド回路)26から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、カラープロセス回路28に出力する。
カラープロセス回路28は、A/D変換器27から出力されたデジタル信号に対して画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を施し、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb、Crを生成し、DMAコントローラ29に出力する。
DMAコントローラ29は、カラープロセス回路28から出力された輝度信号Y及び色差信号Cb、Crを、同じくカラープロセス回路28から出力された複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ29内部のバッファに書込み、DRAM I/F30を介してバッファメモリとして使用されるDRAM31にDMA転送を行う。
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、CPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM(Read Only Memory)及びワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)等により構成され、デジタルカメラ1の各部の動作を制御する。以下、制御部32による制御動作について説明する。
制御部32は、撮影された画像の画質を評価する画像評価処理を実行する。また、制御部32は、撮影モードが指定されると、フラッシュメモリ38(記録媒体)の残り容量が予め設定された容量以下であるか否かを判定し、記録媒体の残り容量が予め設定され容量以下であると判定された場合、画像評価処理による撮影画像の評価結果に基づいて、記録媒体から削除する画像の候補を決定する。そして、制御部32は、削除画像の候補の中から、キー入力部36の操作により指定された画像を記録媒体から削除する処理を行う。以下の、実施形態1及び実施形態2において、記録媒体に記録済みのデータを消去する場合だけでなく、記録済みのデータに新しいデータを上書きする場合も、記録済みのデータが「削除」されたものとみなすことにする。
画像評価の方法としては、撮影画像の輝度又は濃度のヒストグラム分布から評価する方法と(画像評価方法1:図5及び図6参照)、撮影画像の周波数特性に基づいて評価する方法と(画像評価方法2:図7〜図9参照)、撮影画像のブレ又は焦点ボケの度合いに基づいて評価する方法(画像評価方法3:図10〜図14)等がある。本実施形態1の画像評価処理では、これら複数の画像評価方法の全てが適用される場合を示すが、これら画像評価方法1〜3のうちの何れか一つ又は2つ以上を組み合わせた画像評価方法であってもよい。
また、上述では、画像の画質の評価結果に基づいて、記録媒体から削除する画像の候補を決定する場合を示したが、記録媒体に記録された各撮影画像毎に、他の撮影画像との類似度を算出し、類似度の算出結果に基づいて、記録媒体から削除する画像の候補を決定するようにしてもよい。類似度に基づく画像評価方法(画像評価方法4)は、後に図15を参照して説明する。
VRAMコントローラ33は、制御部32の制御により、DRAM31に一時記憶されている画像データ(輝度信号Y及び色差信号Cb、Cr)を、DRAM31からDRAM I/F30を介して読出し、VRAM34に書込む。また、再生モード時、制御部32により伸長された画像データをVRAM34に展開して記憶させる。
デジタルビデオエンコーダ35は、VRAM34に記憶されている画像データを、VRAM34からVRAMコントローラ33を介して定期的に読出し、これらのデータを元にビデオ信号を生成して表示部13に出力する。
キー入力部36は、電源キー、シャッターキー、モードスイッチ、メニューキー及び十字キー等の各種キーにより構成され、それらのキー操作に応じた信号を制御部32に出力する。キー入力部36のシャッターキーは、2段階のストロークで動作し、一般的に「半押し」と表現されている第1段階の操作状態でAE(自動露光)処理やAF(オートフォーカス)処理を始めとする撮影の準備を行い、一般的に「全押し」と表現されている、より強く押圧操作した第2段階の操作状態で撮影を実行する。
JPEG回路37は、CCD23から取り込まれ、DRAM31に一時的に記憶されている画像信号を、ADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピー符号化方式であるハフマン符号化などの処理によりデータ圧縮する。
フラッシュメモリ38は、デジタルカメラ1の記録媒体として着脱自在に装着されるメモリーカード内に封入された不揮発性メモリであり、JEPG回路37により符号化された画像信号が記録される。なお、フラッシュメモリ38は、デジタルカメラ1に内蔵されていてもよい。
通信部39は、外部機器とケーブルを介したデータ通信を行うためのインターフェースを備える。例えば、通信部39は、IEEE1394やUSB(Universal Serial Bus)等により通信を行うためのインターフェースを備える。なお、外部機器と無線通信手段により通信可能としてもよい。
表示部13は、撮影モード時にはモニタ表示部(電子ファインダ)として機能し、デジタルビデオエンコーダ35からのビデオ信号に基づいた表示を行うことで、その時点でVRAMコントローラ33から取込んでいる画像情報に基づくスルー画像をリアルタイムに表示する。
次に、実施形態1における動作について説明する。
まず、図2のフローチャートを参照して、実施形態1のデジタルカメラ1において実行される画像撮影・削除処理について説明する。
まず、表示部13に、図4(a)に示すようなメニュー画面が表示される(ステップS1)。図4(a)に示すメニュー画面には、撮影モードを指定するための「撮影モード」ボタン、撮影画像の再生を指定するための「再生モード」ボタン、撮影画像の削除を指定するための「画像の削除」ボタン、その他の各種の設定を指定するための「各種の設定」ボタン等が表示されている。
メニュー画面において、「撮影モード」ボタンが指定された場合(ステップS2;YES)、デジタルカメラ1のレンズ位置等の初期設定が行われ(ステップS3)、記録媒体(フラッシュメモリ38)の残り容量が設定容量以下であるか否かが判定される(ステップS4)。
ステップS4において、記録媒体の残り容量が設定容量以下であると判定された場合(ステップS4;YES)、各撮影画像の評価値に基づいて記録媒体から画像データを削除する画像削除処理が行われる(ステップS5)。画像削除処理の詳細は、後に図3を参照して説明する。
ステップS4において、記録媒体の残り容量が設定容量より大きいと判定された場合(ステップS4;NO)又はステップS5の画像削除処理の終了後、キー入力部36によりズーム操作が指定されると(ステップS6;YES)、ズーム処理が行われ(ステップS7)、オートフォーカス処理が行われる(ステップS8)。ズーム操作が指定されなかった場合は(ステップS6;NO)、ズーム処理が行われずにオートフォーカス処理が行われる(ステップS8)。
表示部13に、図4(c)に示すような撮影スルー画像が表示され(ステップS9)、キー入力部36のシャッターキーの押下により撮影が指示されると(ステップS10;YES)、撮影処理が行われ(ステップS11)、撮影画像データが取得される。撮影処理後、撮影処理で取得された撮影画像データの画像評価処理が行われる(ステップS12)。画像評価処理の詳細は、後に図5〜図15を参照して説明する。シャッターキーが押されなかった場合には(ステップS10;NO)、その他(撮影モード以外)のキー入力処理、表示処理等が行われ(ステップS15)、本画像撮影・削除処理が終了する。
撮影画像データの画像評価処理が終了すると、撮影画像データとその評価値が対応付けて記録媒体に記録され(ステップS13)、撮影画像データ及びその評価値が表示部13に表示される(ステップS14)。そして、その他(撮影モード以外)のキー入力処理、表示処理等が行われ(ステップS15)、本画像撮影・削除処理が終了する。なお、ステップS14において、図4(d)に示すように、画像データのサイズ、撮影条件、画質評価値等の画像の詳細データを表示するようにしてもよい。また、画質評価値の各項目や総合評価値は、5点法や10点法又は%に換算して表示するようにしてもよい。
メニュー画面において、「画像の削除」ボタンが指定された場合(ステップS16;YES)、図4(b)に示すような削除モード画面が表示される(ステップS17)。削除モード画面において、キー入力部36の操作により、撮影画像の自動削除機能を有効(ON)にするか無効(OFF)にするかが指定されると、その指定内容が設定され(ステップS18)、ステップS1に戻る。メニュー画面において、「撮影モード」ボタン及び「画像の削除」ボタン以外のボタンが指定された場合(ステップS16;NO)、その指定されたモードに対応する処理が行われ(ステップS19)、ステップS1に戻る。
なお、ステップS12における画像評価処理は、1枚撮影される度に行うようにしてもよいし、一連の撮影処理の終了後に全画像分の処理をまとめて行うようにしてもよい。特に、連写撮影や動画撮影では、撮影性能を保つため、後者の方法を用いるのが好ましい。
次に、図3のフローチャートを参照して、図2に示した画像削除処理の詳細について説明する。
まず、画像データの自動削除設定がONであるか否か(画像データの自動削除機能が有効であるか否か)が判定される(ステップS20)。ステップS20において、自動削除設定がONであると判定された場合(ステップS20;YES)、表示部13に、図4(e)に示すように、記録媒体(メモリー)の容量がない旨と、削除候補の画像を検索する旨が表示され(ステップS21)、記録媒体に記録済みの画像は画像評価処理済であるか否かが判定される(ステップS22)。
ステップS22において、記録済み画像が画像評価処理済でないと判定された場合(ステップS22;NO)、記録済み画像の画像評価処理が行われ(ステップS23)、後述のステップS24に移行する。ステップS23の画像評価処理の詳細は、後に図5〜図15を参照して説明する。
ステップS22において、記録済み画像が画像評価処理済であると判定された場合(ステップS22;YES)又は画像評価処理が終了すると、評価値の条件が設定されているか否かが判定される(ステップS24)。ステップS24において、評価値の条件が設定されていると判定された場合(ステップS24;YES)、評価値が所定値以下の画像が、撮影日時又は画像容量の順に削除候補として決定される(ステップS25)。
ステップS24において、評価値の条件が設定されていないと判定された場合(ステップS24;NO)、評価値が最も低い画像から順に削除候補として決定される(ステップS26)。なお、ステップS23又は図2のステップS12の画像評価処理が、撮影画像の類似度に基づく画像評価である場合、ステップS25、S26では、評価値が所定値より大きい(即ち、類似度が高い)画像が削除候補として決定される。
画像の削除候補が決定されると、表示部13には、図4(f)に示すように、削除確認プロンプト画面が表示される(ステップS27)。削除確認プロンプト画面には、該当する画像と、「この画像を削除してもよろしいですか?(Y/N)」というメッセージが表示される。
削除確認プロンプト画面において、該当する画像の削除が指定されなかった場合(ステップS28;NO)、記録媒体に記録済みの画像の中から、次の削除候補が検索され(ステップS31)、ステップS25(評価値条件ありの場合)又はステップS26(評価値条件なしの場合)に戻る。削除確認プロンプト画面において、該当する画像の削除が指定された場合(ステップS28;YES)、該当画像が記録媒体から削除され(ステップS29)、現在の記録媒体の残り容量が新規撮影で得られる画像データを保存するのに十分であるか否かが判定される(ステップS30)。
ステップS30において、記録媒体の残り容量が新規撮影の画像データを保存するのに十分であると判定された場合(ステップS30;YES)、本画像削除処理が終了する。ステップS30において、記録媒体の残り容量が新規撮影の画像データを保存するのに十分でないと判定された場合(ステップS30;NO)、次の削除候補が検索され(ステップS31)、ステップS25(評価値条件ありの場合)又はステップS26(評価値条件なしの場合)に戻る。
ステップS20において、自動削除設定がOFFである場合(ステップS20;NO)、表示部13に、記録媒体の残り容量がなくなっている旨が表示されるとともに(ステップS32)、マニュアル操作での画像削除を確認するための確認プロンプト画面が表示される(ステップS33)。
表示部13に表示された確認プロンプト画面上において、マニュアル操作での画像削除が指定されると(ステップS34;YES)、マニュアル操作による画像の削除モードに移行し(ステップS35)、本画像削除処理が終了する。ステップS35では、ユーザは、記録媒体の容量を確認しながら画像を削除する。マニュアル操作での画像削除が指定されなかった場合(ステップS34;NO)、本画像削除処理が終了する。
次に、図2及び図3の画像評価処理で適用される各画像評価方法の詳細を説明する。
<画像評価方法1:輝度ヒストグラム分布に基づく評価>
まず、図5及び図6を参照して、撮影画像の輝度又は濃度のヒストグラム分布から画質を評価する方法について説明する。
2次元画像データの各点(i、j)の輝度値をf(i、j)=xとし、輝度値別に画素数を集計することにより、図5に示すような輝度分布図(輝度のヒストグラム分布)P(x)が作成される。一般に、輝度のヒストグラム分布が中央からはずれて右端側(輝度値大:濃度のヒストグラム分布では左端側)に偏ると、露出オーバーで、高輝度領域が飽和したり、いわゆる「白飛び」した画像になる。逆に、輝度ヒストグラム分布が左端側(濃度ヒストグラム分布では右端側)に偏ると、露出アンダーで、低輝度領域が飽和したり、「黒つぶれ」した画像になる。また、分布が中央に集中していても、その分布幅が狭くて一様に広く分布していない場合には、ダイナミックレンジが狭く、中間諧調や細かな濃淡に欠けた画像となる。これらの何れも、撮影時の露出条件が悪く、写りの良くない画像の典型である。撮影画像の輝度又は濃度分布特性の指標値や統計量から、露出条件の良し悪しを評価できる。最近のデジタルカメラの多くは、この輝度値を集計演算して、ヒストグラム(頻度分布図)をグラフ表示したりできる機種が多いので、この機能を流用すれば、比較的容易に画像評価を行うことができる。
本実施形態1では、撮影画像の輝度又は濃度のヒストグラム分布から、輝度又は濃度の最頻値(最も頻度数が多い輝度値又は濃度値)、平均値、中央値(分布の頻度数の順位が中央にある輝度値又は濃度値)等の分布の代表値、分布の最大値、最小値、分散、標準偏差、歪み度、尖り度等を算出し、算出結果から、画像評価のための評価値が決定される。
輝度又は濃度のヒストグラム分布の平均値x
M、分散(Variance)σ
2、標準偏差(Standard Deviation)σ、歪み度(Skewness)Skew、尖り度(Kurtosis)Kurtは、画素iの輝度値をx
i、評価対象の画像の総画素数をNとすると、それぞれ、式(1)〜(5)のように表される。
ここで、分布の歪み度Skewは、分布が左右対称かどうかの非対称性を示す。分布が左右対称であれば0、右に大きなはずれ値があれば(露出オーバーの場合)正、左に大きなはずれ値があれば(露出アンダーの場合)負となる。また、分布の尖り度Kurtは、分布が正規分布ならば0、正規分布より広がりが大きければ(ダイナミックレンジが広い場合)正、正規分布より広がりが小さければ(ダイナミックレンジが狭い場合)負となる。
このように、輝度又は濃度のヒストグラム分布の統計量に基づいて、分布の幅や広がり、その偏り、分布曲線の形状や特徴を判別し、画質の評価が可能となり、これらを元に画質の評価値が決定される。
撮影画像がカラー画像である場合、図6に示すように、RGBの各色毎に、輝度又は濃度のヒストグラム分布P
R(x)、P
G(x)、P
B(x)を作成し、色毎に、分布の平均値、分散、標準偏差、歪み度、尖り度、変動係数CV等の統計量を算出し、算出された色毎の統計量の違いや比較によって、画質の評価値を決定するようにしてもよい。ここで、変動係数CVは、式(6)のように定義される。
<画像評価方法2:周波数特性に基づく評価>
次に、図7〜図9を参照して、撮影画像の周波数特性から画質を評価する方法について説明する。
撮影画像(2次元画像データ)の各点の輝度値又は濃度値f(x,y)を周波数変換したF(u,v)を算出し、周波数毎の振幅値や係数から、画像の周波数特性、画像全体に占める高周波成分や低周波成分の比率等から、画像のボケの程度や、鮮明度(シャープネス)、コントラスト等を評価することができる。周波数変換としては、フーリエ変換、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)、それらを高速計算する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)アルゴリズム等を用いることができる。最近のデジタルカメラは、JPEG等の圧縮符号化のためにDCT用のDSP(Digital Signal Processor)やソフトウェアを内蔵しているものが多いので、この機能を流用すれば、比較的容易に画像評価を行うことができる。
2次元画像データの輝度値又は濃度値f(x,y)の離散フーリエ変換式は、式(7)のように表される。
また、2次元画像データの輝度値又は濃度値f(x,y)の離散コサイン変換式は、式(8)のように表される。
このように、2次元画像f(x、y)を周波数空間に変換して周波数成分F(u、v)を算出し、全周波数成分に占める高周波成分の比率、全周波数成分に占める低周波成分の比率に基づいて画像の評価値を決定することができる。また、図7に示すように、予め、撮影画像を順次走査して1次元信号に並び替えてから周波数変換を施して、評価値を算出してもよいし、図8に示すように、撮影画像を周波数変換したF(u、v)の振幅値を、ジグザグ走査などで1次元に並び替えてから、評価値を算出するようにしてもよい。
本実施形態1では、全周波数成分に占める高周波成分の比率を画質評価値とし、全周波数成分に占める低周波成分の比率をボケ評価値とする。即ち、画質評価値、ボケ評価値は、それぞれ、式(9)、式(10)のように表すことができる。
画質評価値=(高周波成分の振幅値合計)/(全周波数成分の振幅値合計) (9)
ボケ評価値=(全周波数成分の振幅値合計−高周波成分の振幅値合計)/(全周波数成分の振幅値合計) (10)
また、図9に示すように、撮影画像の輝度値又は濃度値f(x、y)の周波数分布(振幅(度数)−周波数の関係)を求め、画像評価方法1と同様に、この周波数分布の平均値、分散、標準偏差等の統計量を算出し、算出された統計量に基づいて画質の評価値を決定するようにしてもよい。周波数成分iの振幅値をF[i]、周波数成分の合計をNとすると、この分布の平均値f
M、分散σ
2、標準偏差σは、それぞれ、以下の式(11)〜式(13)のように表すことができる。
<画像評価方法3:画像のブレの具合又はボケの度合いに基づく評価>
次に、図10〜図14を参照して、撮影画像のブレの具合又はボケの度合いに基づいて画質を評価する方法について説明する。
図10に、画像の変換や復元等に用いるPSF(Point Spread Function:点像分布関数、点広がり関数)法等を利用して、ブレやボケを判別評価する方法について示す。一般に、PSF法による画像復元では、ブレやボケのない本来の画像i(x,y)と、ブレやボケを生じさせる成分p(x,y)により、劣化した劣化画像g(x,y)を表す。即ち、劣化画像g(x,y)は、式(14)のように表される。
g(x,y)=p(x,y)*i(x,y) (14)
ここで、*は、コンボリューション(畳み込み積分)演算を表す。
p(x,y)を、PSF、LSF(Line Spread Function:線像分布関数)として、劣化させたp(x,y)を算出することができれば、本来の画像i(x,y)を、デコンボリューション(逆畳み込み積分)演算により求めることができる。以下、本来の画像i(x,y)の算出方法を説明する。
まず、式(14)に示す劣化画像g(x、y)を、フーリエ変換等により周波数軸に変換する。周波数変換された劣化画像をG(u、v)とすると、G(u、v)は、式(15−1)のように表される。
また、p(x、y)、i(x、y)を周波数変換したものを、それぞれP(u、v)、I(u、v)とすると、G(u、v)は、式(15−2)のように表すこともできる。
G(u、v)=P(u、v)・I(u、v) (15−2)
ここで、コンボリューションは、周波数軸上では、フーリエ変換同士の掛け算となる。周波数領域で、式(15−2)のP(u、v)が算出できれば、逆フィルターとして1/P(u、v)を計算し、本来の画像i(x、y)を復元することができる。即ち、I(u、v)=G(u、v)/P(u、v)(フーリエ変換同士の割り算)を算出し、これを逆フーリエ変換してi(x、y)を求めればよい。式(16)にI(u、v)の逆フーリエ変換式を示す。
本実施形態1では、このPSF法におけるPSFやP(u、v)の算出方法を、一般のアマチュアの撮影画像で、露出設定の失敗と並んで多い、「焦点ボケ」画像や「直線ブレ」画像の判別や評価に適用する。一般に、直線ブレした画像をフーリエ変換したG(u、v)の振幅値の分布は、図10(b)に示すような直線ブレのパターンとなり、中央付近の高周波成分がブレ角度に従って数本の細長い筋や傾斜した楕円形状に抜けて歪んだパターンが現れる。また、焦点ボケした画像をフーリエ変換したG(u、v)は、図10(d)に示すような焦点ボケの画像パターンとなり、中央部の高周波成分が同心円状に抜けて歪んだパターンとなる。また、直線ブレと焦点ボケが共に生じると、図10(c)に示すような、両方の特徴を合せもったパターンとなる。
本実施形態1では、直線ブレの評価値は、G(u、v)の振幅値が周期1/Lでゼロ交差する方向のブレ方向角度(θ)と、ブレの距離又はその画素数(L)に基づいて決定されるものとする。また、焦点ボケの評価値は、G(u,v)の振幅値が周期1.01π/rでゼロ交差する同心円状の焦点の広がり半径又はその画素数(r)に基づいて決定されるものとする。ブレ方向角度(θ)、ブレの距離(L)、焦点の広がり半径(r)を算出するには、PSF法、多階調Hough変換法、逆フィルター法等を適用できるが、以下では、PSF法と多階調Hough変換を用いた算出方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、直線ブレ等の劣化画像をフーリエ変換したG(u,v)のフーリエ・スペクトルの中央部の円内を、(複数点を通る直線の推定や検出等に広く用いられる)Hough変換により、θ―ρ空間上の多階調の2次元画像H(θ、ρ)に変換し、H(θ、ρ)値の角度θ毎に切り出したHθ(ρ)波形を比較し、各角度θ(0°≦θ<180°)におけるエントロピーE(θ)を求める。エントロピーE(θ)は、式(17)のように表される。
式(17)のHsum(θ)は、劣化画像G(u,v)のフーリエ・スペクトルが示す円内の画素値の合計である。式(17)に示すエントロピーE(θ)が最小となる角度θを、直線ブレ方向(θ)とみなすことができる。また、図11(b)に示すように、直線ブレ方向(θ)のHθ(ρ)波形の極小点の周期(TL)を求めると、ブレ距離(L)=1/TLが求まる。
焦点ボケの広がり半径(r)を算出するには、まず、図12に示すように、H(θ、ρ)をθ軸方向に0°〜179°まで平均化したC(ρ)波形を作成する。C(ρ)は、式(18)のように表される。
C(ρ)波形の極小点の周期(Tr)から、焦点ボケの広がり半径(r)は、半径(r)=1.01×π/Trより求まる。
図13及び図14に、上記の方法で用いたHough変換(ハフ変換)の原理を示す。Hough変換では、ρ=xcosθ+ysinθの変換式により、一般の2次元座標(x−y平面上の点)はθ‐ρ平面上の曲線に変換され、x−y平面上の直線は、θ‐ρ平面上の点に逆変換できる。例えば、x−y平面上の点A、B、Cを通る直線Lを求める場合には、図13に示すように、点A、B、CをHough変換した、θ‐ρ平面上の曲線A’、B’、C’が交差する交点P(θL、ρL)を求める。そして、その交点P(θL、ρL)をx−y平面上にHough逆変換し、ゼロ点から下ろした垂線の長さがρLで、垂線の角度がθLとなる直線Lが、求める直線となる。
Hough変換の配列H(θ、ρ)の明度(多階調を有する輝度又は濃度)をH(θ、ρ)=f(x、y)として多階調の2次元画像として定義し、図13に示すような複数曲線の交点を求める場合には、図14に示すように、明度(階調値)を加算して、階調値が最も大きくなる点(図14の斜線部分)を交点として、近似計算で迅速に求めることができる。
以上のように、画像を劣化させたPSF関数を算出する方法、ゼロクロス法、多階調Hough変換等により、劣化画像g(x、y)を周波数軸上にフーリエ変換したG(u,v)から、直線ブレ画像の方向(角度θ)、直線ブレの距離(画素数L)、焦点ボケ画像の焦点広がり半径(画素数r)を算出し、これらθ、L、rに基づいて画像の評価値が決定される。
<画像評価方法4:類似度に基づく評価>
次に、図15を参照して、撮影画像の類似度から画像を評価する方法について説明する。画像評価方法4では、画像評価方法1〜3と異なり、画質そのものでなく、画像が既に記録済みの他の画像と比べてどの程度類似しているかを判別して、画像削除の基準となる評価値を算出する方法を示す。
図15に、入力画像(着目画像)f(x、y)と、既に記録済みの参照画像t(x、y)との類似度を算出する3つの方法を示す。図15(a)は、輝度又は濃度の2次元分布における相関係数Rを、類似度の評価値としたものである。相関係数Rは、ピアソンの積率相関係数を用いて算出することができる。入力画像f(x、y)の輝度値の平均値をf
AV、参照画像t(x、y)の輝度値の平均値をt
AV、両画像の画素数をn×mとすると、2次元輝度分布における相関係数Rは、式(19)のように表される。
図15(b)は、入力画像f(x、y)及び参照画像t(x、y)のエッジ抽出、2値化処理等により、それぞれの画像の輪郭線を抽出し、輪郭画像の相関係数R'を類似度の評価値としたものである。入力画像f(x、y)の輪郭画像をf'(x、y)、参照画像t(x、y)の輪郭画像をt'(x、y)とすると、相関係数R'は、式(20)のように表される。
R'=(輪郭画像f'と輪郭画像t'の共分散)/(輪郭画像f'の標準偏差)・(輪郭画像t'の標準偏差) (20)
図15(c)は、入力画像f(x、y)及び参照画像t(x、y)の輝度又は濃度のヒストグラム分布の相関係数R"を、類似度の評価値としたものである。入力画像f(x、y)の輝度のヒストグラム分布図を画像f"(x、y)とし、参照画像t(x、y)のヒストグラム分布図を画像t"(x、y)とすると、相関係数R"は、式(21)のように表される。
R"=(ヒストグラム画像f"とヒストグラム画像t"の共分散)/(ヒストグラム画像f"の標準偏差)・(ヒストグラム画像t"の標準偏差) (21)
このように、相関係数を求めると、記録済みの他の画像に類似した画像パターン、輪郭画像又は露出特性が類似した画像を、削除候補として優先して選択することができる。
画像評価方法1〜3は、実施形態2及び実施形態3においても適用され、画像評価方法4は、実施形態2においても適用される。
以上のように、本実施形態1のデジタルカメラ1によれば、記録媒体の残り容量が予め設定された容量以下である場合、撮影画像の評価結果に基づいて、記録媒体から削除する画像の候補を決定するようにしたことにより、画質の悪い画像を迅速に削除して、新規撮影用に記録媒体の空き領域を確実に確保することができ、シャッターチャンスを逃すことが少なくなる。
また、記録媒体に記録された他の画像との類似度(相関係数)を算出し、類似度の高い画像を記録媒体から優先的に削除するようにしたことにより、類似した画像を迅速に削除して、新規撮影用に記録媒体の空き領域を確実に確保することができ、シャッターチャンスを逃すことが少なくなる。
(実施形態2)
図16〜図19を参照して、本発明の実施形態2について説明する。まず、実施形態2における構成について説明する。実施形態2におけるデジタルカメラの回路構成は、実施形態1において図1に示したデジタルカメラ1と同一であるため、その図示を省略し、同一符号を用いるものとする。以下、実施形態1のデジタルカメラ1と異なる点のみを説明する。
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、CPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM(Read Only Memory)及びワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)等により構成され、デジタルカメラ1の各部の動作を制御する。以下、制御部32による制御動作について説明する。
実施形態2の制御部32は、キー入力部36の操作により、画像の評価方法(画質優先の評価方法、類似度に基づく評価方法)を設定するとともに、画像の評価項目を設定する。また制御部32は、画像削除の基準となる基準値を評価項目別に設定する。例えば、画像の評価方法が画質優先の評価方法である場合、画質の評価を行うための評価項目には、露出条件評価、コントラスト評価、ボケ・ブレ評価等がある。制御部32は、評価項目別に画像を評価する画像評価処理を実行する(図18参照)。また、制御部32は、撮影モードが指定されると、記録媒体の残り容量が予め設定された容量以下であるか否かを判定し、記録媒体の残り容量が予め設定され容量以下であると判定された場合、画像評価処理による撮影画像の評価値と、設定された基準値とを比較することによって、記録媒体から削除する画像の候補を決定する(図17参照)。
次に、実施形態2における動作について説明する。
まず、図16のフローチャートを参照して、実施形態2のデジタルカメラ1において実行される画像撮影・削除処理について説明する。
まず、表示部13に、図4(a)に示すようなメニュー画面が表示される(ステップS101)。図4(a)に示すメニュー画面には、撮影モードを指定するための「撮影モード」ボタン、撮影画像の再生を指定するための「再生モード」ボタン、撮影画像の削除を指定するための「画像の削除」ボタン、その他の各種の設定を指定するための「各種の設定」ボタン等が表示されている。
メニュー画面において、「撮影モード」ボタン及び「画像の削除」ボタン以外のボタンが指定された場合(ステップS116;NO)、その指定されたモードに対応する処理が行われ(ステップS122)、ステップS101に戻る。
メニュー画面において、「画像の削除」ボタンが指定された場合(ステップS116;YES)、図19(a)に示すような削除モード画面が表示される(ステップS117)。図19(a)に示す削除モード画面において、キー入力部36の操作により、「自動削除の設定」ボタンが指定されると(ステップS118;YES)、表示部13には、図19(b)に示すような自動削除設定画面が表示される(ステップS119)。
自動削除設定画面には、図19に示すように、設定項目として、撮影画像の自動削除機能を有効(ON)にするか無効(OFF)にするかを設定するための「自動削除」欄と、画像の評価方法を設定するための「評価方法」欄と、各評価機能を有効(ON)にするか無効(OFF)にするかを設定するための「評価項目」欄(例えば、「露出条件評価」項目、「コントラスト」項目、「ボケ・ブレ」項目)が表示されている。また、各評価項目欄には、評価項目の基準値を設定するための「基準値」欄が表示されている。ここで、評価項目の基準値とは、画像削除の基準となる値であり、この基準値と画像評価値との比較により、対象とする画像が削除候補となるか否かが決定される。
自動削除設定画面において、キー入力部36の操作により、撮影画像の自動削除機能を有効にするか否か(ON/OFF)、評価方法、各評価項目の機能を有効にするか否か(ON/OFF)、評価項目別の基準値が指定され(ステップS120)、「OK」ボタンが指定されると、ステップS120で指定された内容の設定が完了し(ステップS121;YES)、ステップS101に戻る。なお、評価項目別に設定された基準値に基づいて、通常撮影時の露出条件を自動的に設定するようにしてもよい。また、ユーザ毎に、過去に設定した基準値の履歴を保存しておき、その履歴に基づいて基準値を自動的に設定するようにしてもよい。
メニュー画面において、「撮影モード」ボタンが指定された場合(ステップS102;YES)、デジタルカメラ1のレンズ位置等の初期設定が行われ(ステップS103)、記録媒体(フラッシュメモリ38)の残り容量が設定容量以下であるか否かが判定される(ステップS104)。
ステップS104において、記録媒体の残り容量が設定容量以下であると判定された場合(ステップS104;YES)、各撮影画像の評価値に基づいて記録媒体から画像データを削除する画像削除処理が行われる(ステップS105)。画像削除処理の詳細は、後に図17を参照して説明する。
ステップS104において、記録媒体の残り容量が設定容量より大きいと判定された場合(ステップS104;NO)又はステップS105の画像削除処理の終了後、キー入力部36によりズーム操作が指定されると(ステップS106;YES)、ズーム処理が行われ(ステップS107)、オートフォーカス処理が行われる(ステップS108)。ズーム操作が指定されなかった場合は(ステップS106;NO)、ズーム処理が行われずにオートフォーカス処理が行われる(ステップS108)。
表示部13に、図4(c)に示すような撮影スルー画像が表示され(ステップS109)、キー入力部36のシャッターキーの押下により撮影が指示されると(ステップS110;YES)、撮影処理が行われ(ステップS111)、撮影画像データが取得される。撮影処理後、撮影処理で取得された撮影画像データの画像評価処理が行われる(ステップS112)。画像評価処理は、実施形態1において示した画像評価方法1〜4が適用され、ステップS120において設定された基準値に基づいて、評価項目別に画像評価が行われる。シャッターキーが押されなかった場合には(ステップS110;NO)、その他(撮影モード以外)のキー入力処理、表示処理等が行われ(ステップS115)、本画像撮影・削除処理が終了する。
撮影画像データの画像評価処理が終了すると、撮影画像データとその評価値が対応付けて記録媒体に記録され(ステップS113)、撮影画像データ及びその評価値が表示部13に表示される(ステップS114)。そして、その他(撮影モード以外)のキー入力処理、表示処理等が行われ(ステップS115)、本画像撮影・削除処理が終了する。なお、ステップS114において、図4(d)に示すように、画像データのサイズ、撮影条件、画質評価値等の画像の詳細データを表示するようにしてもよい。また、画質評価値の各項目や総合評価値は、5点法や10点法又は%に換算して表示するようにしてもよい。
なお、ステップS112における画像評価処理は、1枚撮影される度に行うようにしてもよいし、一連の撮影処理の終了後に全画像分の処理をまとめて行うようにしてもよい。特に、連写撮影や動画撮影では、撮影性能を保つため、後者の方法を用いるのが好ましい。
次に、図17のフローチャートを参照して、図16に示した画像削除処理の詳細について説明する。
まず、画像データの自動削除設定がONであるか否か(画像データの自動削除機能が有効であるか否か)が判定される(ステップS130)。ステップS130において、自動削除設定がONであると判定された場合(ステップS130;YES)、表示部13に、図4(e)に示すように、記録媒体(メモリー)の容量がない旨と、削除候補の画像を検索する旨が表示され(ステップS131)、記録媒体に記録済み画像は画像評価処理済であるか否かが判定される(ステップS132)。
ステップS132において、記録済み画像が画像評価処理済でないと判定された場合(ステップS132;NO)、記録済み画像の画像評価処理が行われ(ステップS133)、後述のステップS134に移行する。ステップS133の画像評価処理の詳細は、後に図18を参照して説明する。
ステップS132において、記録済み画像が画像評価処理済であると判定された場合(ステップS132;YES)又は画像評価処理が終了すると、ステップS120で設定された画像の評価方法が判別される(ステップS134)。ステップS134において、評価方法が「画質優先」の評価方法である場合(ステップS134;画質優先)、評価値が基準値以下の画像が、撮影日時又は画像容量の順に削除候補として決定される(ステップS135)。
ステップS134において、評価方法が「類似度」に基づく評価方法である場合(ステップS134;類似度)、評価値が、設定された基準値より大きい画像が、評価値が高い順に削除候補として決定される(ステップS136)。
画像の削除候補が決定されると、表示部13には、図4(f)に示すように、削除確認プロンプト画面が表示される(ステップS137)。削除確認プロンプト画面には、該当する画像と、「この画像を削除してもよろしいですか?(Y/N)」というメッセージが表示される。
削除確認プロンプト画面において、該当する画像の削除が指定されなかった場合(ステップS138;NO)、記録媒体に記録済みの画像の中から、次の削除候補が検索され(ステップS141)、ステップS135(評価方法が「画質優先」の場合)又はステップS136(評価方法が「類似度」の場合)に戻る。削除確認プロンプト画面において、該当する画像の削除が指定された場合(ステップS138;YES)、該当画像が記録媒体から削除され(ステップS139)、現在の記録媒体の残り容量が新規撮影の画像データを保存するのに十分であるか否かが判定される(ステップS140)。
ステップS140において、記録媒体の残り容量が新規撮影の画像データを保存するのに十分であると判定された場合(ステップS140;YES)、本画像削除処理が終了する。ステップS140において、記録媒体の残り容量が新規撮影の画像データを保存するのに十分でないと判定された場合(ステップS140;NO)、次の削除候補が検索され(ステップS141)、ステップS135(評価方法が「画質優先」の場合)又はステップS136(評価方法が「類似度」の場合)に戻る。
ステップS130において、自動削除設定がOFFである場合(ステップS130;NO)、表示部13に、記録媒体の残り容量がなくなっている旨が表示されるとともに(ステップS142)、マニュアル操作での画像削除を確認するための確認プロンプトが表示される(ステップS143)。
表示部13に表示された確認プロンプト上において、マニュアル操作での画像削除が指定されると(ステップS144;YES)、マニュアル操作による画像の削除モードに移行し(ステップS145)、本画像削除処理が終了する。ステップS145では、ユーザは、記録媒体の容量を確認しながら画像を削除する。マニュアル操作での画像削除が指定されなかった場合(ステップS144;NO)、本画像削除処理が終了する。
なお、削除した画像の評価値の履歴を保存し、削除画像の評価値の頻度を集計する手段を設け、累計頻度の多い評価値の画像を優先的に削除候補して決定するようにしてもよい。
次に、図18のフローチャートを参照して、図17に示した画像評価処理の詳細について説明する。
まず、画像の評価方法が画質優先の評価方法であるか類似度に基づく評価方法であるかが判別される(ステップS200)。ステップS200において、画像の評価方法が画質優先の評価方法であると判別された場合(ステップS200;画質優先)、画質の評価項目として、露出条件評価が設定されているか否かが判別される(ステップS201)。
ステップS201において、評価項目として露出条件評価が設定されていると判別された場合(ステップS201;YES)、記録媒体に記録済みの未評価の画像から評価対象の画像が選択される(ステップS202)。そして、ステップS202で選択された画像について、画像評価方法1による画像評価が行われる。即ち、該当画像の輝度又は濃度のヒストグラム分布の統計量(平均値、分散、標準偏差、歪み度、尖り度等)が算出され(ステップS203)、算出された統計量に基づいて露出条件の評価値が決定される(ステップS204)。
次いで、ステップS204で決定された評価値が、該当画像に対応付けて記録媒体に記録される(ステップS205)。次いで、ステップS202〜S205において評価対象であった画像が最後の画像であるか、即ち、未評価の記録済み画像が他にあるか否かが判定される(ステップS206)。
ステップS206において、未評価の記録済み画像が他にあると判定された場合(ステップS206;NO)、ステップS202に戻り、該当する未評価の記録済み画像について、ステップS202〜S205の処理が繰り返される。ステップS206において、未評価の記録済み画像が他にないと判定された場合(ステップS206;YES)、画像評価方法1による画像評価が終了し、ステップS207に移行する。ステップS201において、画質の評価項目として露出条件評価が設定されていないと判別された場合(ステップS201;NO)、画質の評価項目としてコントラスト評価が設定されているか否かが判定される(ステップS207)。
ステップS207において、画質の評価項目としてコントラスト評価が設定されていると判定された場合(ステップS207;YES)、記録媒体に記録済みの未評価画像(コントラスト評価が行われていない画像)の中から評価対象の画像が選択される(ステップS208)。そして、ステップS208で選択された画像について、画像評価方法2による画像評価が行われる。即ち、該当画像が、DFT、DCT等により周波数変換され(ステップS209)、周波数変換後の画像から、式(9)に示す画質評価値、式(10)に示すボケ評価値等が算出され、該当画像の評価値として決定される(ステップS210)。
次いで、ステップS210で決定された評価値が、該当画像に対応付けて記録媒体に記録される(ステップS211)。次いで、ステップS208〜S211において、コントラスト評価の対象であった画像が最後の画像であるか、即ち、未評価の記録済み画像が他にあるか否かが判定される(ステップS212)。
ステップS212において、未評価の記録済み画像が他にあると判定された場合(ステップS212;NO)、ステップS208に戻り、該当する未評価の記録済み画像について、ステップS208〜S211の処理が繰り返される。ステップS212において、未評価の記録済み画像が他にないと判定された場合(ステップS212;YES)、画像評価方法2による画像評価が終了し、ステップS213に移行する。ステップS207において、画質の評価項目としてコントラスト評価が設定されていないと判別された場合(ステップS207;NO)、画質の評価項目としてボケ・ブレ評価が設定されているか否かが判定される(ステップS213)。
ステップS213において、画像の評価項目としてボケ・ブレ評価が設定されていると判定された場合(ステップS213;YES)、記録媒体に記録済みの未評価画像(ボケ・ブレ評価が行われていない画像)の中から評価対象の画像が選択される(ステップS214)。そして、ステップS214で選択された画像について、画像評価方法3による画像評価が行われる。即ち、該当画像が、フーリエ変換、DCT等により周波数変換され(ステップS215)、周波数変換後の画像から、直線ブレの方向角度(θ)距離(L)、焦点ボケの広がり半径(r)が算出され、該当画像の評価値として決定される(ステップS216)。
次いで、ステップS216で決定された評価値が、該当画像に対応付けて記録媒体に記録される(ステップS217)。次いで、ステップS214〜S217において、ボケ・ブレ評価の対象であった画像が最後の画像であるか、即ち、未評価の記録済み画像が他にあるか否かが判定される(ステップS218)。
ステップS218において、未評価の記録済み画像が他にあると判定された場合(ステップS218;NO)、ステップS214に戻り、該当する未評価の記録済み画像について、ステップS214〜S217の処理が繰り返される。ステップS218において、未評価の記録済み画像が他にないと判定された場合(ステップS218;YES)、本画像評価処理が終了する。
ステップS213において、画像の評価項目としてボケ・ブレ評価が設定されていないと判定された場合(ステップS213;NO)、その他の評価処理が行われ(ステップS219)、本画像評価処理が終了する。
ステップS200において、画像の評価方法が類似度に基づく評価方法であると判別された場合(ステップS200;類似度)、記録媒体に記録済みの未評価画像の中から評価対象の画像が選択される(ステップS220)。そして、ステップS220で選択された画像について、画像評価方法4による画像評価が行われる。即ち、他の記録済み画像との類似度として、2次元輝度分布の相関係数R(式(19))、輪郭画像の相関係数R'(式(20))、ヒストグラム分布の相関係数R"(式(21))の何れかが算出され、算出された相関係数が評価値として決定される(ステップS221)。
次いで、ステップS221で決定された評価値が、該当画像に対応付けて記録媒体に記録される(ステップS222)。次いで、ステップS220〜S222において、評価対象であった画像が最後の画像であるか、即ち、未評価の記録済み画像が他にあるか否かが判定される(ステップS223)。
ステップS223において、未評価の記録済み画像が他にあると判定された場合(ステップS223;NO)、ステップS220に戻り、該当する未評価の記録済み画像について、ステップS220〜S222の処理が繰り返される。ステップS223において、未評価の記録済み画像が他にないと判定された場合(ステップS223;YES)、本画像評価処理が終了する。
以上のように、本実施形態2のデジタルカメラ1によれば、記録媒体の残り容量が予め設定された容量以下である場合、撮影画像の評価結果に基づいて、記録媒体から削除する画像の候補を決定するようにしたことにより、画質の悪い画像を迅速に削除して、新規撮影用に記録媒体の空き領域を確実に確保することができ、シャッターチャンスを逃すことが少なくなる。
また、記録媒体に記録された他の画像との類似度(相関係数)を算出し、類似度の高い画像を記録媒体から優先的に削除するようにしたことにより、類似した画像を迅速に削除して、新規撮影用に記録媒体の空き領域を確実に確保することができ、シャッターチャンスを逃すことが少なくなる。
また、評価項目別に画像削除の基準となる基準値を設定し、評価項目別に画質を評価することにより、ユーザの用途や好みに合わせて、記録媒体から削除する画像が決定され、デジタルカメラ1の利便性を向上させることができる。
(実施形態3)
図20及び図21を参照して、本発明の実施形態3について説明する。まず、実施形態3における構成について説明する。
図20に、本発明の実施形態3に係る画像処理システム100の全体構成を示す。図20に示すように、画像撮影装置としてのデジタルカメラ1と外部機器3により構成され、デジタルカメラ1と外部機器3は、通信ケーブルにより接続される。外部機器2は、図20に示すように、画像処理装置3、表示装置4、印刷装置5により構成される。
実施形態3におけるデジタルカメラの回路構成は、実施形態1及び2において図1に示したデジタルカメラ1と同一であるため、その図示を省略し、同一符号を用いるものとする。以下、実施形態1と異なる点のみを説明する。
実施形態3のデジタルカメラ1の制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、CPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM(Read Only Memory)及びワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)等により構成され、デジタルカメラ1の各部の動作を制御する。以下、実施形態3の制御部32による制御動作について説明する。
制御部32は、撮影された画像の画質を評価する画像評価処理を実行し、撮影画像のデータと、その評価値を対応付けて記録媒体に記録する。また、制御部32は、撮影画像を外部機器に送信する場合、当該撮影画像のデータを評価値とともに、外部機器に送信する(図21(a)参照)。実施形態3における画像評価処理は、実施形態1又は実施形態2に示した画像評価処理を適用することができる。
外部機器2の画像処理装置3は、例えば、PC(Personal Computer)であり、デジタルカメラ1から受信された画像データの評価値が設定値より小さいか否かを判定し、設定値より小さいと判定した場合、その評価値に基づいて当該画像データを補正する処理を行う(図21(b)参照)。
例えば、デジタルカメラ1から受信された画像データの評価値が、ブレ方向角度(θ)及びブレの距離(L)に基づく評価値である場合、受信された画像データには、θ方向に周期1/Lでゼロ交差する直線ブレが生じているとみなされ、式(15−2)のP(u、v)は、下記の式(22)のように表される。
P(u、v)=sin(πfL)/πfL (22)
ここで、f=ucosθ+vsinθである。そして、受信された画像データをフーリエ変換したG(u、v)と、式(22)のP(u、v)から、ブレの無い本来の画像のフーリエ変換画像I(u、v)=G(u、v)/P(u、v)を求め、このI(u、v)を式(16)に示すように逆フーリエ変換して本来の画像i(x、y)を求めることにより、デジタルカメラ1から受信された画像データの直線ブレを補正することができる。
デジタルカメラ1から受信された画像データの評価値が、焦点の広がり半径(r)に基づく評価値である場合、受信された画像データには、周期1.01π/rで同心円状のゼロ交差をする焦点ボケが生じているとみなされ、式(15−2)のP(u、v)は、下記の式(23)のように表される。
P(u、v)=2・J1(r・R)/r・R (23)
ここで、式(23)のJ1は、1次の第1種ベッセル関数である。そして、上述と同様に、受信された画像データをフーリエ変換したG(u、v)と、式(23)のP(u、v)から、焦点ボケの無い本来の画像のフーリエ変換画像I(u、v)=G(u、v)/P(u、v)を求め、このI(u、v)を式(16)に示すように逆フーリエ変換して本来の画像i(x、y)を求めることにより、デジタルカメラ1から受信された画像データの焦点ボケを補正することができる。
表示装置4は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示ディスプレイを備え、画像処理装置3から入力された表示制御信号に従って表示処理を行う。
印刷装置5は、レーザプリンタ、インクジェット式プリンタ、昇華型プリンタ等のプリンタであり、画像処理装置3から入力される印刷制御信号に従って印刷出力を行う。
次に、実施形態3における動作について説明する。
図21(a)のフローチャートを参照して、実施形態3のデジタルカメラ1において実行される画像撮影・送信処理について説明する。
図4(a)に示すようなメニュー画面において撮影モードが指定されると(ステップS300;YES)、撮影スルー画像が表示部13に表示される(ステップS301)。そして、キー入力部36のシャッターキーの操作により撮影が指示されると(ステップS302;YES)、撮影処理が行われ(ステップS303)、撮影画像データが取得される。ステップS300において、撮影モード以外の他のモードが指定された場合は、そのモードに対応する処理が行われ、後述のステップS306に移行する。また、ステップS302において、撮影が指示されなかった場合も、ステップS306に移行する。
撮影処理が終了すると、撮影画像の画像評価処理が行われ(ステップS304)、撮影画像のデータと、その評価値が対応付けて記録媒体に記録される(ステップS305)。ステップS304における画像評価処理は、実施形態1において図2のステップS12に示した画像評価処理又は実施形態2において図16のステップS112に示した画像評価処理を適用することができる。
次いで、キー入力部36の操作により、記録媒体に記録された撮影画像の中から、外部機器2に送信する画像が選択され、送信が指示されると(ステップS306;YES)、通信部39により外部機器2と通信接続され(ステップS307)、外部機器2から、機能の仕様や容量情報が取得される(ステップS308)。
次いで、選択された画像データが送信データとして設定され(ステップS309)、当該画像データがその評価値とともに外部機器2に送信される(ステップS310)。ステップS309及びS310の処理は、選択された各々のデータについて行われ、選択された全ての画像データの送信が終了すると(ステップS311;YES)、外部機器2との通信接続が切断される(ステップS312)。そして、撮影以外のその他のキー入力処理、表示処理が行われ(ステップS313)、本画像撮影・送信処理が終了する。
次に、図21(b)のフローチャートを参照して、外部機器2において実行される画像補正・出力処理について説明する。
画像処理装置3がデジタルカメラ1と通信接続されると(ステップT1)、デジタルカメラ1から、機能の仕様や容量情報が取得され(ステップT2)、デジタルカメラ1から受信された画像データの一覧データが取得され(ステップT3)、これらの画像データの内容情報が引き出される(ステップT4)。また、画像データ及びその評価値が取得され(ステップT5)、画像処理装置3のメモリ(図示略)に記録される。
ステップT3〜T5の処理は、画像データ及びその評価値の受信中に行われ、画像受信が終了すると(ステップT6;YES)、デジタルカメラ1との通信接続が切断される(ステップT7)。
画像処理装置3のキー入力部(図示略)により、デジタルカメラ1から取得された画像データの再生、編集、印刷の何れかが指示されると(ステップT8;YES)、該当する画像データとともにその評価値が読み出され(ステップT9)、その読み出された評価値が設定値より小さいか否かが判定される(ステップT10)。
ステップT10において、画像データの評価値が設定値以上であると判定された場合(ステップT10;NO)、その画像データがそのまま、指定された出力先(表示装置4又は印刷装置5)に出力され(再生処理、編集処理、印刷処理の何れか)(ステップT11)、本画像補正・出力処理が終了する。
ステップT10において、画像データの評価値が設定値より小さいと判定された場合(ステップT10;YES)、該当する画像データに対し、その評価値に基づいて補正処理が行われる(ステップT12)。ステップT12の補正処理が終了すると、補正済み画像データが、指定された出力先(表示装置4又は印刷装置5)に出力され(再生処理、編集処理、印刷処理の何れか)(ステップT13)、本画像補正・出力処理が終了する。
なお、本実施形態3では、デジタルカメラ1から受信された画像データを画像処理装置3が補正する場合を示したが、例えば、プリンタ5に画像補正機能を搭載させ、デジタルカメラ1とプリンタ5を直接接続(有線接続又は無線接続)させて、デジタルカメラ1から直接、プリンタ5に画像データ及びその評価値を送信し、プリンタ5で画像補正後、印刷処理を行うようにしてもよい。
以上のように、本実施形態3の画像処理システム100によれば、デジタルカメラ1に接続された外部機器2において、デジタルカメラ1から送信された撮影画像データ及びその画像の画質評価値に基づいて当該画像を自動的に補正するようにしたことにより、PC操作やレタッチ・ソフトに習熟していない一般ユーザであっても、高度な補正が施された画像を得ることができる。
なお、上記各実施形態における記述内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。