JP2010033794A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】更に低電圧で高輝度に発光可能な有機EL素子を得ることができる有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】発光層5を含む有機物層が6表面に形成されている陽極基板11を準備する陽極基板準備工程Aと、陰極層7が表面に形成されている陰極基板12を準備する陰極基板準備工程Bと、前記有機物層6と前記陰極層7とが接するように前記陽極基板と陰極基板を重ねて貼り合わせにより一体化する貼り合わせ工程Cとを備え、陽極基板準備工程Aで有機物層6が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、陰極基板準備工程Bで陰極層7が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、及び前記貼り合わせ工程Cを、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧下で行った。
【選択図】図2

Description

本発明は、一対の電極の間に発光層を含む有機物層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は、陰極が設けられた陰極基板と陽極が設けられた陽極基板との間に、発光性を有する有機材料を含む薄膜(発光層)が挟持された構造を有している。有機EL素子は、両電極間に電圧を印加して電流を流すと、発光層の内部に陽極から正孔が注入され陰極から電子が注入され、発光層の内部で正孔と電子が再結合し励起状態となり、それが基底状態に戻る際に放出される光(蛍光や燐光等)を利用した自発光素子である。
有機EL素子の製造方法として、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、基材/下部電極層/有機発光媒体層を有する第一基材と上部電極層/封止基材を有する第二基材とを、有機発光媒体層と上部電極層を向かい合わせにして熱圧着する工程で、大気に晒すことなく、真空中または不活性ガス中で熱圧着して、基材、下部電極層、高分子発光媒体層、上部電極層、接着層、封止基材からなる高分子EL素子を製造する方法が公知である。
特開2006−228656号公報
有機EL素子は、発光特性を向上させることが要望されている。特に、低電圧・低電流密度領域における輝度特性を向上させることは、表示素子特性として、きわめて重要な問題である。
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決しようとするものであり、更に低電圧で高輝度に発光可能な有機EL素子を得ることができる有機EL素子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る有機EL素子の製造方法は、発光層を含む有機物層が表面に形成されている陽極基板を準備する陽極基板準備工程と、陰極層が表面に形成されている陰極基板を準備する陰極基板準備工程と、前記有機物層と前記陰極層とが接するように前記陽極基板と陰極基板を重ねて貼り合わせにより一体化する貼り合わせ工程とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記陽極基板を、有機物層が形成されてから前記貼り合わせ工程までの間、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させ、前記陰極基板を、陰極層が形成されてから前記貼り合わせ工程までの間、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させ、前記貼り合わせ工程を、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧下で行うことを要旨とする。
上記有機EL素子の製造方法において、前記酸素の濃度が、0.1ppm以下であることが好ましい。
上記有機EL素子の製造方法において、前記水分の濃度が、露点で−80℃以下であることが好ましい。
上記有機EL素子の製造方法において、前記貼り合わせ工程において、前記陰極層の表面電気抵抗が12Ω/□以下で貼り合わせを行うことが好ましい。
上記有機EL素子の製造方法において、前記貼り合わせ工程において、前記陰極基板と前記陽極基板の貼り合わせ前に、前記陰極基板と前記陽極基板を予備加熱することが好ましい。
本発明に係る有機EL素子の製造方法によれば、陽極基板の有機物層が形成されてから貼り合わせ工程までの間、及び陰極基板の陰極層が形成されてから貼り合わせ工程までの間、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させ、陽極基板と陰極基板との貼り合わせ工程を、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧下で行うことにより、陰極基板の陰極層に水分や酸素により金属酸化膜が形成されるのを防止でき、発光特性を向上させることができる。その結果、一定電圧下での発光特性を向上させることができるので、駆動電圧を下げて発光による構成材料自体の劣化を抑制することが可能であり、素子の連続発光時間を延ばして長寿命化できる。
また基板の貼り合わせ面となる陰極と有機物層の界面に形成される酸化膜を薄くすることで、電子の注入性を安定させることができるので、素子が均一に発光しやすくなるという効果が得られる。
以下、図面を用いて本発明の有機EL素子の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法により製造される有機EL素子の一例を示す断面図である。図1に示すように、有機EL素子1は、陽極基材2の表面に、陽極層3と、正孔輸送層4と、発光層5とからなる有機物層6と、陰極層7と、陰極基材8とが設けられて構成されている。有機物層6にて発生した光は、陽極基材2側から素子の外部に取り出される。図1中に記載した矢印Eの方向が光の取り出し方向である。
図2(A)〜(C)は図1の有機EL素子の製造方法を示す説明図である。本発明の製造方法は、図2(A)に示すように発光層5を含む有機物層6が表面に形成されている陽極基板11を準備する陽極基板準備工程Aと、同図(B)に示すように陰極層7が表面に形成されている陰極基板12を準備する陰極基板準備工程Bと、同図(C)に示すように前記有機物層6と前記陰極層7とが接するように前記陽極基板と陰極基板を重ねて貼り合わせにより一体化する貼り合わせ工程Cとを備えている。
前記陽極基板準備工程Aで有機物層6が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、前記陽極基板11を酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させる。また前記陰極基板準備工程Bで陰極層7が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、前記陰極基板12を酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させる。そして、前記貼り合わせ工程Cを、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧下で行うものである。
本発明の有機EL素子の製造方法は、上記の有機物層6及び陰極層7が形成されてから貼り合わせ工程の間まで、陽極基板11、陰極基板12を酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の密閉容器内等に存在させ、陽極基板11と陰極基板12を外部の大気中に晒すことなく、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧(常圧)下で貼り合わる点に大きな特徴を有するものである。陰極層7の表面及び陰極層7と接することになる有機物層6の表面は、貼り合わせが終了するまでの間、酸素及び水分量が規制されていない外部の大気に暴露されることがない。その結果、陰極層7が外気に晒されることにより、外気中の酸素及び水分により陰極層7が酸化を受けることを防止できる。有機EL素子の製造工程において陰極層7が酸化による影響を最小にすることができれば、発光効率を向上させることができる。
上記の陽極基板準備工程Aで有機物層6が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、上記の陰極基板準備工程Bで陰極層7が形成されてから前記貼り合わせ工程Cまでの間、及び前記貼り合わせ工程Cの間における、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気とは、好ましくは窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気であって、酸素の濃度が0.1ppm以下であり、水分の濃度(湿度)が露点で-80℃以下である。更に好ましい上記の酸素と水分の濃度を規制した雰囲気は、酸素の濃度が0.01ppm以下であり、水分の濃度(湿度)が露点で−90℃以下である。
以下、上記の各製造工程について、更に詳細に説明する。陽極基板準備工程Aは、陽極基材2に陽極層3及び有機物層6が形成された陽極基板11を準備する。陽極基材2は、通常、有機EL素子1の発光層5に対して発光面側に位置し透明な材料が用いられる。尚、本発明において「透明」とは、可視光の透過率が60%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。また、「不透明」とは、可視光の透過率が30%以下、好ましくは20%以下であることを意味する。
陽極基材2は、ガラス基板等のセラミック基板、樹脂板、樹脂フィルム等を用いることができる。陽極基材2に用いられる樹脂フィルムの樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。陽極基材2の厚みは、通常、3〜1000μmであり、10〜500μmが好ましく、更に好ましくは10〜300μmである。
陽極基材2は、表面にバリア層を形成する等して防湿処理を施すことが好ましい。バリア層としては、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、窒化酸化シリコン(SiO、SiN)等の薄膜又は金属膜が挙げられる。金属膜を用いる場合には、発光層にて発生した光を有機EL素子の外部に取り出すことが可能な厚みに形成される。バリア層の厚みは10nm〜1μmであるのが好ましい。バリア層が10nm未満では防湿効果が小さく、1μmを超えると、フィルム基材では曲げたときにクラックが入りやすくなる。
陽極層3は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、導電性化合物、又はこれらの混合物等から形成される。陽極層3の材料としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)及びIZO(インジウム亜鉛酸化物)等が挙げられる。陽極層3の厚みは、通常1μm以下であり、200nm以下が好ましい。陽極層3の抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。陽極層3は、真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、キャスト法、LB法、パイロゾル法、およびスプレー法等により形成することができる。
正孔輸送層4を形成する材料として、例えば、テトラアリールベンジシン化合物、芳香族アミン類、ピラゾリン誘導体、およびトリフェニレン誘導体、水溶性のPEDOT:PSS(ポリスチレンスルフォン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン)等が挙げられる。正孔輸送層4の厚みは、2〜200nmが好ましい。正孔輸送層4を形成する方法としては、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、および印刷法等が挙げられる。正孔輸送層4には、その正孔移動度を改善するために、電子受容性アクセプタを添加することが好ましい。電子受容性アクセプタの例としては、ハロゲン化金属、ルイス酸、および有機酸等が挙げられる。電子受容性アクセプタが添加された正孔輸送層については、特開平11−283750号公報に記載されている。正孔輸送層4にPEDOT:PSSを用いる場合は、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒に希釈し、スピンコート等で塗工し、加熱して乾燥することで形成することができる。
発光層5は、有機発光材料、キャリア輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または両性輸送性)を示す有機材料(以下、ホスト材料と記載する)に少量の有機発光材料を添加した材料等から形成することができる。発光層5に用いる有機発光材料の選択により、有機EL素子1の発光色を設定することができる。発光層5の厚みは、実用的な発光輝度を得るために、200nm以下が好ましい。
発光層5を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、Alq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが用いられる。ホスト材料と共に用いる有機発光材料としては、添加量が少ないために、前記の有機発光材料の他に、単独では安定な薄膜を形成し難い蛍光色素なども用いることができる。蛍光色素の例としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、およびルブレンなどが挙げられる。ホスト材料の例としては、前記のAlq3 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、およびポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。なお、上記のように発光層5を有機発光材料から形成する場合にも、発光色を調節するために、蛍光色素などの有機発光材料を少量添加することもできる。発光層5は、正孔輸送層4と同様の方法により形成することができる。
陽極基板準備工程Aにおいて、陽極層3の形成、洗浄、正孔輸送層4の形成などは、大気中で行うことができる。しかし、陽極基材2に陽極層3及び正孔輸送層4が形成されたものに発光層5を形成する場合、発光材料の塗工、及び乾燥は、酸素及び水分の濃度を規制した不活性ガス雰囲気の下で行うことが好ましい。酸素及び水分の濃度を規制した雰囲気とは、好ましくは窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気であって、酸素の濃度が0.1ppm以下であり、水分の濃度(湿度)が露点で-80℃以下である。更に好ましい上記の酸素及び水分の濃度を規制した雰囲気は、酸素の濃度が0.01ppm以下であり、水分の濃度(湿度)が露点で−90℃以下である。発光層5が形成された陽極基板11は、図2(A)に示すように、上記雰囲気の酸素及び水分の濃度が規制された密閉容器31の内部に、貼り合わせ工程Cまでの間存在させる。上記密閉容器31は、内部を真空にして不活性ガスで充填することで、酸素と水分を所定の濃度以下に規制した状態を維持可能に形成されている。
陰極基板準備工程Bは、陰極基材8に陰極層7が形成された陰極基板12を準備する。陰極基材8は、陽極基材2で例示した材料を用いることができる。陰極基材8の厚みは、通常、3〜1000μmであり、10〜500μmが好ましく、更に好ましくは10〜300μmである。
陰極基材8は、表面にバリア層を形成する等して防湿処理を施すことが好ましい。防湿処理は上記の陽極基材2の防湿処理と同様の処理を行うことができる。
陰極層7は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金組成物、導電性化合物、又はこれらの混合物等から形成される。陰極層7の材料としては、Al、Ti、In、Na、K、Mg、Li、Cs、Rb及び希土類金属等の金属、Na−K合金、Mg−Ag合金、Mg−Cu合金、およびAl−Li合金等の合金組成物が挙げられる。陰極層7の厚みは、通常、1μm以下であり、200nm以下が好ましい。また陰極層7の抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。陰極層7は例えば真空蒸着法等により形成することができる。
真空蒸着法では、真空蒸着室の内部を高真空状態にし(例えば10−4Pa以下)、陰極基材8の表面に陰極層7を蒸着して成膜して陰極基板12を製造することができる。そして陰極基板12は、図2(B)に示すように密閉容器32の内部に入れ、酸素と水分が規制された窒素ガス等の不活性ガスで密閉容器32内をシールして、貼り合わせ工程Cまでの間存在させる。
貼り合わせ工程Cは、図2(C)に示すように、一対の加熱ローラー21、22等の貼り合わせ装置や不活性ガスの導入手段(図示せず)等を備え、内部を大気雰囲気から遮蔽して酸素と水分の濃度を所定の範囲に規制することが可能な密閉容器33の内部で、上記の密閉容器31、32にそれぞれ保管され、酸素と水分の濃度が規制された状態で存在させている陽極基板11と陰極基板12を貼り合わせる。
貼り合わせ工程Cは、発光層5と陰極層7が接するように陽極基板11と陰極基板12を重ね合わせた積層体を、一対の加熱ローラー31、32の間を通過させて加熱・加圧する。積層体は、加熱・加圧により陽極基板11と陰極基板12とが接合一体化して、有機EL素子1が得られる。
貼り合わせ工程Cにおける陽極基板と陰極基板の加熱・加圧方法としては、上記の一対のローラーを用いる方法に限定されず、例えば二対以上の加熱ローラーを用いる方法、一対以上の熱盤を用いる方法、加熱ローラーと熱盤を組み合わせる方法等を用いることができる。
貼り合わせ後の有機EL素子1の側面は、陰極層7や有機物層6等が露出した状態にある。酸素と水分の濃度を規制した雰囲気で貼り合わせた有機EL素子1を、そのままの状態で外気中に取り出すと、側面から陰極層7や有機物層6に酸素及び水分が進入することになり、発光特性を低下させるおそれがある。そのため貼り合わせた有機EL素子1は、ガラスキャップに水分吸着シールを貼り、紫外線硬化型接着剤の接着剤を用いて、ガラスキャップ封止を行った後、外気中に取り出すことが好ましい。有機EL素子をガラスキャップ封止することにより、陰極層と有機物層の界面に外部から水分や酸素が進入して、経時的に有機EL素子の発光効率を低下させることを効果的に抑制できる。
陽極基板準備工程Aから貼り合わせ工程Cまでの間、陰極基板準備工程Bから貼り合わせ工程Cまでの間、及び貼り合わせ工程Cの間は、酸素と水分の濃度を特定の濃度以下に規制した雰囲気に維持される。すなわち上記製造工程において、有機物層が形成された陽極基板及び陰極層が形成された陰極基板は、湿度や酸素が規制されていない大気中に暴露しない。
貼り合わせ工程Cを行う上記の密閉容器は、酸素濃度測定装置、露点測定装置、表面電気抵抗測定装置、加熱装置、酸素と水を除去する装置(循環精製機)等を備えていることが好ましい。貼り合わせ工程Cを行う密閉装置の酸素濃度測定装置、露点測定装置で内部の酸素濃度と水分量を計測すれば、酸素と水分の残存量を容易に制御することができる。
上記貼り合わせ工程Cでは、陽極基板11と陰極基板12との貼り合わせ前に陰極層7の表面電気抵抗を測定し、その値が12Ω/□以下である場合に、陽極基板11と陰極基板12を貼り合わせを行い、12Ω/□を超えている場合には貼り合わせをを行わないようにするのが好ましい。陰極層7の表面電気抵抗が、12Ω/□を超えているということは、陰極層7が酸化されている可能性があることを意味する。陰極層7の表面電気抵抗が、12Ω/□以下であれば、陰極層7の酸化による発光効率の低下を確実に防止して、発光効率の優れた有機EL素子を確実に得ることができる。
また上記貼り合わせ工程Cでは、陽極基板11と陰極基板12との貼り合わせ直前に、陽極基板11と陰極基板12とを不活性ガスの存在下に予備加熱することが好ましい。陽極基板11と陰極基板12は、酸素を規制した雰囲気に保存されているが、表面に微量の酸素が吸着されていることもある。その微量の酸素は、貼り合わせ直前の予備加熱により、基板表面から離脱して除去される。
有機EL素子1は、陽極基板11に少なくとも発光層5を有する有機物層6が形成されていればよいが、発光素子の発光特性等を改良するために、有機物層6には、上記の正孔輸送層4、或いは電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の層を所定の位置に設けることができる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
実施例1
(A)陽極基板準備工程
ガラス基板の表面に、陽極としてインジウム錫酸化物(ITO)を150nmの厚みに、真空中、スパッタリング法により成膜して陽極層を形成した。上記陽極層を形成したガラス基板を、有機アルカリ洗浄液、有機中性洗浄液、純水、アセトン、IPAの順に各30分間、超音波洗浄を行った。その後、UVオゾン洗浄器で10分間処理した。上記の洗浄したガラス基板の陽極層の表面に、正孔輸送層形成用のPEDOT:PSSの分散液(溶媒:水)をスピンコーターにより成膜し、大気中でホーットプレートを用い乾燥し、厚み30nmの正孔輸送層を形成した。上記の正孔輸送層が形成されたガラス基板を酸素濃度0.01ppm、水分濃度が露点で−88℃の窒素雰囲気のグローブボックス中で、ポリフルオレン系の発光材料をスピンコーターにより成膜し、ホットプレートで乾燥し、発光層を形成して、陽極基板を得た。陽極基板は、貼り合わせ工程までの間、このグローブボックス中に保管した。
(B)陰極基板準備工程
基材フィルム(PENフィルム:厚み50μm)の片面に陰極(MgAg:厚み200nm)を真空雰囲気で真空蒸着により成膜して陰極基板とした。陰極基板は、貼り合わせ工程までの間、酸素濃度0.01ppm、水分濃度が露点で−88℃の窒素雰囲気の密閉容器に保管した。
(C)貼り合わせ工程
上記(A)の陽極基板を保管したグローブボックス中に、上記(B)の酸素濃度0.01ppm、水分濃度が露点で−88℃以下の窒素雰囲気の密閉容器に保管した陰極基板を入れた密閉容器を入れ、密閉容器から陰極基板を取り出して、表面抵抗値を測定した。そして、陰極基板の陰極層と陽極基板の発光層とが接するように、陰極基板と陽極基板とを重ね合わせた積層体を、2本の加熱ロールの間を通過させ、陽極基板と陰極基板とを加熱・加圧して、両基板を接合して貼り合わせて有機EL素子を得た。更にこの酸素濃度と水分濃度を規制したグローブボックスの内部で、上記の貼り合わせ後の有機EL素子を紫外線硬化型接着剤を用いてガラスキャップにより封止して実施例1の有機EL素子を得た。
比較例1
上記実施例1における陰極層を形成した陰極基板を、温度26.5℃、湿度33%の雰囲気の大気中に1時間暴露した後、陰極基板の表面抵抗値を測定した。そして、上記の陰極基板を暴露した雰囲気の大気中で、実施例1と同様に陰極基板と陽極基板を積層して加熱・加圧して封止して比較例1の有機EL素子を得た。
実施例1及び比較例1の有機EL素子について、発光特性を評価した。有機EL素子の発光特性の評価は、0.5Vずつ電圧を上げて行き、その際の輝度及び電流値を測定した。測定結果のグラフを図3に示す。また電圧が5V及び10Vの場合の電流値、輝度、発光効率を、表面抵抗値と合わせてその結果を表1に示す。
図3及び表1に示すように実施例1の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子と比較して、低電圧において電流が流れ、低電圧で発光させることができ、低電圧、低電流密度における輝度特性が良好なものであった。更に実施例1の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子と比較して、同じ電圧をかけた際の発光輝度が大きく、所定の電流値における輝度で表わされる発光効率が高く、発光特性の優れたものであった。これは、実施例1の有機EL素子は、酸素及び水分が規制された雰囲気では、陰極層の金属が酸化されにくく、陰極の金属の酸化膜が形成されにくいからである。これに対し比較例1は、陰極層7と有機物層6との界面に酸化膜が形成され易く、その酸化膜が厚くなると抵抗膜となり、有機EL素子の駆動電圧が上昇してしまい、一定電圧下における輝度が低下してしまい、発光特性が低下するものと考えられる。実施例1のように一定電圧下で発光特性が向上すれば、駆動電圧を下げることができる。駆動電圧が下がれば、発光による構成材料の劣化が抑制できる。有機EL素子を構成する材料の劣化が抑制できれば、素子の連続発光の寿命を長寿命化することができる。また、陰極層と有機物層の界面に形成される酸化膜が薄ければ、電子の注入性が安定し、均一に発光し易くなることが期待できる。
Figure 2010033794
本発明の製造方法で得られる有機EL素子の一例を示す外観斜視図である。 (A)〜(C)は本発明の製造工程を示す説明図である。 実施例の有機EL素子の発光特性の試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子
2 陽極基材
3 陽極層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 有機物層
7 陰極層
8 陰極基材
11 陽極基板
12 陰極基板

Claims (5)

  1. 発光層を含む有機物層が表面に形成されている陽極基板を準備する陽極基板準備工程と、陰極層が表面に形成されている陰極基板を準備する陰極基板準備工程と、前記有機物層と前記陰極層とが接するように前記陽極基板と陰極基板を重ねて貼り合わせにより一体化する貼り合わせ工程とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記陽極基板を、有機物層が形成されてから前記貼り合わせ工程までの間、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させ、前記陰極基板を、陰極層が形成されてから前記貼り合わせ工程までの間、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気に存在させ、前記貼り合わせ工程を、酸素と水分の濃度を規制した雰囲気の大気圧下で行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記酸素の濃度が、0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記水分の濃度が、露点で−80℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記貼り合わせ工程において、前記陰極層の表面電気抵抗が12Ω/□以下で貼り合わせを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記貼り合わせ工程において、前記陰極基板と前記陽極基板の貼り合わせ前に、前記陰極基板と前記陽極基板を予備加熱することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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