JP2010030041A - 酸化セリウム研磨剤および基板の研磨法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 TEOS−CVD法等で作製したSiO2絶縁膜を形成させたSiウエハを、原料に90体積%以上が一次粒子径3〜60μmで凝集粒子径の中央値が20〜100μmの炭酸セリウムを使用して製造した酸化セリウムを含み、酸化セリウム粒子径の中央値が150〜600nmである酸化セリウム粒子を媒体に分散させたスラリーを含む酸化セリウム研磨剤で研磨する。
【選択図】 なし
Description
(酸化セリウム粒子の作製1)
出発原料に板状結晶の凝集した炭酸セリウムを使用した。走査型電子顕微鏡観察により一次粒子の長径、短径を測定し、直径を長径×短径の平方根で求めたところ、この炭酸セリウムの一次粒子は、90体積%以上が直径3〜60μmの板状結晶であった。炭酸セリウムの凝集粒子径は、レーザー光回折法(測定装置:Malvern Instruments社製 Mastersizer Microplus、光源He−Neレーザー、粒子の屈折率1.9285、吸収0で測定)で測定したところ、中央値が31μmであった。炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、800℃で2時間空気中で焼成することにより、黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ、酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100μmであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。粒界に囲まれた酸化セリウム一次粒子径を測定したところ、その分布の中央値が190nm、最大値が500nmであった。焼成粉末についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIETAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.080、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.223であった。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。粉砕粒子について走査型電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子径と同等サイズの小さな粒子の他に、1μmから3μmの大きな粉砕残り粒子と0.5から1μmの粉砕残り粒子が混在していた。粉砕残り粒子は、一次粒子の凝集体ではない。粉砕粒子についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIETAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.085、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.264であった。この結果、粉砕による一次粒子径変量は殆どなく、また粉砕により粒子に歪みが導入されていた。さらに、BET法による比表面積測定の結果、10m2/gであることがわかった。
酸化セリウム粒子の作製1で用いたのと同じ炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、750℃で2時間空気中で焼成することにより、黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ、酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100μmであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。粒界に囲まれた酸化セリウム一次粒子径を測定したところ、その分布の中央値が141nm、最大値が400nmであった。焼成粉末についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIRTAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.101、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.223であった。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。粉砕粒子について走査型電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子径と同等サイズの小さな粒子の他に、1μmから3μmの大きな粉砕残り粒子と0.5から1μmの粉砕残り粒子が混在していた。粉砕残り粒子は、一次粒子の凝集体ではない。粉砕粒子についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIETAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.104、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.315であった。この結果、粉砕による一次粒子径変量は殆どなく、また粉砕により粒子に歪みが導入されていた。さらに、BET法による比表面積測定の結果、16m2/gであることがわかった。
上記作製1、2の酸化セリウム粒子1kgとポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌しながら超音波分散を10分間施した。得られたスラリーを1μmフィルターでろ過をし、さらに脱イオン水を加えることにより3wt%研磨剤を得た。スラリーpHは8.3であった。スラリー粒子の粒度分布をレーザー回折法を用いて調べたところ、中央値が共に200nmであった。最大粒子径は、780nm以上の粒子が0体積%であった。スラリーの分散性およびスラリー粒子の電荷を調べるため、スラリーのゼータ電位を調べた。両側に白金製電極を取り付けてある測定セルに酸化セリウムスラリーを入れ、両電極に10Vの電圧を印加した。電圧を印加することにより電荷を持ったスラリー粒子は、その電荷と反対の極を持つ電極側に移動する。この移動速度を求めることにより、粒子のゼータ電位を求めることができる。ゼータ電位測定の結果、それぞれマイナスに荷電し、−50mV、−63mVと絶対値が大きく分散性が良好であることを確認した。
保持する基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに、TEOS−プラズマCVD法で作製したSiO2絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。定盤上に、上記の酸化セリウムスラリー(固形分:3重量%)を50cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで2分間回転させ、絶縁膜を研磨した。研磨後ウエハをホルダーから取り外して、流水で良く洗浄後、超音波洗浄機によりさらに20分間洗浄した。洗浄後、ウエハをスピンドライヤーで水滴を除去し、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨によりそれぞれ600nm、580nm(研磨速度:300nm/min、290nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることがわかった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は見られなかった。
(酸化セリウム粒子の作製)
実施例1で用いたのと同じ炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、700℃で2時間空気中で焼成することにより、黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ、酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100μmであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。粒界に囲まれた酸化セリウム一次粒子径を測定したところ、その分布の中央値が50nm、最大値が100nmであった。焼成粉末についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIETAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.300、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.350であった。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。粉砕粒子について走査型電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子径と同等サイズの小さな粒子の他に、2μmから4μmの大きな粉砕残り粒子と0.5から1.2μmの粉砕残り粒子が混在していた。粉砕残り粒子は、一次粒子の凝集体ではない。粉砕粒子についてX線回折精密測定を行い、その結果についてリートベルト法(RIETAN−94)による解析で、一次粒子径を表わす構造パラメーター:Xの値が0.302、等方的微少歪みを表わす構造パラメーター:Yの値が0.412であった。この結果、粉砕による一次粒子径変量は殆どなく、また粉砕により粒子に歪みが導入されていた。さらに、BET法による比表面積測定の結果、40m2/gであることがわかった。
上記作製の酸化セリウム粒子1kgとポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌しながら超音波分散を10分間施した。得られたスラリーを2μmフィルターでろ過をし、さらに脱イオン水を加えることにより3wt%研磨剤を得た。スラリーpHは8.0であった。スラリー粒子の粒度分布をレーザー回折法を用いて調べたところ、中央値が510nmで、最大粒子径は1440nm以上の粒子が0%であった。スラリーの分散性およびスラリー粒子の電荷を調べるため、スラリーのゼータ電位を調べた。両側に白金製電極を取り付けてある測定セルに酸化セリウムスラリーを入れ、両電極に10Vの電圧を印加した。電圧を印加することにより電荷を持ったスラリー粒子は、その電荷と反対の極を持つ電極側に移動する。この移動速度を求めることにより粒子のゼータ電位を求めることができる。ゼータ電位測定の結果、マイナスに荷電し、−64mVと絶対値が大きく分散性が良好であることを確認した。
保持する基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに、TEOS−プラズマCVD法で作製したSiO2絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工加重が300g/cm2になるように重しを載せた。定盤上に、上記の酸化セリウムスラリー(固形分:3重量%)を35cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで2分間回転させ、絶縁膜を研磨した。研磨後ウエハをホルダーから取り外して、流水で良く洗浄後、超音波洗浄機によりさらに20分間洗浄した。洗浄後、ウエハをスピンドライヤーで水滴を除去し、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により740nm(研磨速度:370nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることがわかった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は見られなかった。
実施例と同様にTEOS−CVD法で作製したSiO2絶縁膜を形成させたSiウエハについて、市販シリカスラリー(キャボット社製、商品名SS225)を用いて研磨を行った。この市販スラリーのpHは10.3で、SiO2粒子を12.5wt%含んでいるものである。研磨条件は実施例と同一である。その結果、研磨による傷は見られず、また均一に研磨がなされたが、2分間の研磨により150nm(研磨速度:75nm/min)の絶縁膜層しか削れなかった。
Claims (5)
- 全体の90体積%以上が一次粒子径3〜60μmの炭酸セリウムを原料に用いて製造した酸化セリウム粒子を含有する酸化セリウム研磨剤。
- 炭酸セリウムは板状結晶の凝集体からなり、凝集体粒子径の中央値が20〜100μmである請求項1記載の酸化セリウム研磨剤。
- 粒子径の中央値が150〜600nmである酸化セリウムを含む請求項1又は2記載の酸化セリウム研磨剤。
- 請求項1〜3各項記載の酸化セリウム研磨剤で所定の基板を研磨することを特徴とする基板の研磨法。
- 所定の基板がSiO2絶縁膜が形成された基板である請求項4記載の基板の研磨法。
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