JP2004336082A - 酸化セリウム研磨剤及び基板の研磨法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 性質が安定していて、つねに酸化珪素絶縁膜等の被研磨面を、高速に、平坦に研磨することが可能な酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法及びこの方法により安定化された酸化セリウム研磨剤を使用した半導体素子基板の研磨法を提供する。
【解決手段】 酸化セリウムを含むスラリーからなる酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法であって、酸化セリウム粒子分に対する硫酸イオン濃度を5,000mg/kg以下にすることを特徴とする酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸化セリウムを含むスラリーからなる酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法であって、酸化セリウム粒子分に対する硫酸イオン濃度を5,000mg/kg以下にすることを特徴とする酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、酸化セリウム研磨剤及び基板の研磨法を提供するものである。
従来、半導体装置の製造工程において、プラズマ−CVD、低圧−CVD等の方法で形成される酸化珪素絶縁膜等、無機絶縁膜層を平坦化するための化学機械研磨剤として、コロイダルシリカ系の研磨剤が一般的に検討されている。コロイダルシリカ系の研磨剤は、シリカ粒子を四塩化珪酸の熱分解等の方法で粒成長させ、アンモニア等のアルカリ金属を含まないアルカリ溶液でpH調整を行って製造している。しかしながら、この様な研磨剤は無機絶縁膜の研磨速度が充分な速度を持たず、実用化には低研磨速度という技術課題がある。
一方、フォトマスク用ガラス表面研磨として、酸化セリウム研磨剤が用いられている。酸化セリウム粒子はシリカ粒子やアルミナ粒子に比べ硬度が低く、したがって研磨表面に傷が入りにくいことから仕上げ鏡面研磨に有用である。また、酸化セリウムは強い酸化剤として知られるように、化学的活性な性質を有している。この利点を活かし、絶縁膜用化学機械研磨剤への適用が有用である。しかしながら、フォトマスク用ガラス表面研磨用酸化セリウム研磨剤をそのまま無機絶縁膜研磨に適用すると、一次粒子(結晶子)径が大きく、そのため絶縁膜表面に目視で観察できる研磨傷が入ってしまう。また、酸化セリウム粒子は理論比重が7.2と大きいことから沈降しやすい。そのことから研磨時の研磨剤供給濃度むら、供給管での詰まり等の問題が生じる。
本発明は、性質が安定していて、つねに酸化珪素絶縁膜等の被研磨面を、高速に、平坦に研磨することが可能な酸化セリウム研磨剤及びこの酸化セリウム研磨剤を使用した半導体素子基板の研磨法を提供する。
本発明は、硫酸イオンの存在が、研磨特性に悪影響を及ぼすことを発見してなされたものである。酸化セリウムへの硫酸イオンの混入は、例えば、酸化セリウムの原料である炭酸セリウムの製造・精製時に硫酸を使用することに起因する。
本発明は、次のものに関する。
(1)酸化セリウムを含み、酸化セリウム粒子分に対する硫酸イオン濃度が5,000mg/kg以下であるスラリーからなる酸化セリウム研磨剤。
(2)酸化セリウム粒子分に対するスラリー中の硫酸イオン濃度が1,500mg/kg以下である項(1)記載の酸化セリウム研磨剤。
(3)スラリーが分散剤を含む項(1)又は(2)記載の酸化セリウム研磨剤。
(4)スラリーが媒体として水を含む項(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤。
(5)分散剤が水溶性有機高分子、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤及び水溶性アミンから選ばれる少なくとも1種の化合物である項3記載の酸化セリウム研磨剤。
(6)pHが7以上10以下である項(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤。
(7)項(1)〜(6)のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤で、所定の基板を研磨することを特徴とする基板の研磨法。
(8)所定の基板が酸化珪素絶縁膜の形成された半導体素子である項(7)記載の基板の研磨法。
請求項1の研磨剤は保存安定性が高く、常に安定して酸化珪素絶縁膜等の被研磨面を、高速かつ平坦に、傷なく研磨することが可能という効果を有す。また、請求項2の研磨剤はさらに保存安定性が高い。請求項3の研磨剤は請求項1または2と同様の効果を有し、さらに酸化セリウム粒子の分散性が優れている。請求項4の研磨剤は請求項1〜3と同様の効果を有し、さらに安全で、取り扱いが容易である。請求項5の研磨剤は請求項3と同様の効果を有し、さらに水中での酸化セリウムの分散性が高い。請求項6の研磨剤は請求項1〜5と同様の効果を有し、さらに高い分散性と保存安定性を持つ。
請求項7の研磨法により、所定の基板の研磨が可能になる。請求項8の研磨法は請求項7と同様の効果を有し、酸化珪素絶縁膜の形成された半導体素子の酸化珪素絶縁膜を高速かつ平坦に、傷なく研磨することが可能という効果を有す。
一般に酸化セリウムは、炭酸塩、硫酸塩、蓚酸塩等のセリウム化合物を焼成することによって得られる。TEOS−CVD法等で形成される酸化珪素絶縁膜は一次粒子(結晶子)径が大きく、かつ結晶歪が少ないほど、すなわち結晶性がよいほど高速研磨が可能であるが、研磨傷が入りやすい傾向がある。そこで、本発明で用いる酸化セリウム粒子は、あまり結晶性を上げないで作製される。また、半導体チップ研磨に使用することから、アルカリ金属およびハロゲン類の含有率は1ppm以下に抑えることが好ましい。本発明の研磨剤は高純度のもので、Na、K、Si、Mg、Ca、Zr、Ti、Ni、Cr、Feはそれぞれ1ppm以下、Alは10ppm以下であることが好ましい。
本発明において、酸化セリウム粒子を作製する方法として焼成法が使用できる。ただし、研磨傷が入らない粒子を作製するために、できるだけ結晶性を上げない低温焼成が好ましい。セリウム化合物の酸化温度が300℃であることから、焼成温度は600℃以上900℃以下が好ましい。炭酸セリウムを600℃以上900℃以下で5〜300分、酸素ガス等の酸化雰囲気で焼成すること好ましい。
焼成された酸化セリウムは、ジェットミル等の乾式粉砕、ビ−ズミル等の湿式粉砕で粉砕することができる。ジェットミルは例えば化学工業論文集第6巻第5号(1980)527〜532頁に説明されている。焼成酸化セリウムをジェットミル等の乾式粉砕等で粉砕した酸化セリウム粒子には、一次粒子(結晶子)サイズの小さい粒子と一次粒子(結晶子)サイズまで粉砕されていない多結晶体が含まれ、この多結晶体は一次粒子(結晶子)が再凝集した凝集体とは異なっており、2つ以上の一次粒子(結晶子)から構成され結晶粒界を有している。この結晶粒界を有す多結晶体を含む研磨剤で研磨を行うと、研磨時の応力により破壊され活性面を発生すると推定され、酸化珪素絶縁膜等の被研磨面を傷なく高速に研磨することに寄与していると考えられる。
本発明における酸化セリウムスラリーは、上記の方法により製造された酸化セリウム粒子を含有する水溶液又はこの水溶液から回収した酸化セリウム粒子、水及び必要に応じて分散剤からなる組成物を分散させることによって得られる。ここで、酸化セリウム粒子の濃度に制限は無いが、懸濁液(研磨剤)の取り扱い易さから0.5〜10重量%の範囲が好ましい。また分散剤としては、水溶性有機高分子、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤及び水溶性アミンがある。例えば、アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルの共重合体、特に重量平均分子量(標準ポリスチレンの検量線を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定、以下同じ)1000〜20000のアクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルの共重合体がある。これらの分散剤の添加量は、スラリー中の粒子の分散性及び沈降防止性等から、酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01重量部から5重量部の範囲が好ましく、その分散効果を高めるためには、分散処理時に分散機の中に粒子と同時に入れることが好ましい。
本発明のスラリーに含まれる分散剤にアクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルの共重合体を用いる場合、分散剤を酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01以上5.00重量部以下添加することが好ましく、その重量平均分子量は1000〜20000が好ましい。アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルとのモル比は0.1以上0.9以下が好ましい。アクリル酸アンモニウム塩とアクリル酸メチルの共重合体が酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01重量部未満では沈降し易く、5重量部より多いと再凝集による粒度分布の経時変化が生じやすい。また、重量平均分子量が20000を超えると再凝集による粒度分布の経時変化が生じやすい。
これらの酸化セリウム粒子を水中に分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理の他に、超音波分散機、ホモジナイザー、ボールミル等を用いることができる。サブミクロンオーダの酸化セリウム粒子を分散させるためには、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、媒体撹拌式ミル等の湿式分散機を用いることが好ましい。また、スラリーのアルカリ性を高めたい場合には、分散処理時又は処理後に、アンモニア水などの金属イオンを含まないアルカリ性物質を添加することができる。
本発明のスラリーに含まれる硫酸イオンの濃度は酸化セリウム粒子分に対して5,000mg/kg以下であり、好ましくは1,500mg/kg以下、さらに好ましくは1,000mg/kg以下であり、特に好ましくは300mg/kg以下である。硫酸イオンの濃度が5,000mg/kgを越えると、セリウム粒子の分散性が悪くなり、再凝集による粒度分布の経時変化が生じ、結果として研磨傷を付けやすくなる。本発明のスラリーに含まれる硫酸イオンの濃度は、イオンクロマトグラフ法(たとえば横河電機製IC−7000を用いる)により測定することができる。なお、測定試料はスラリーに脱イオン水を加え、硫酸イオンを抽出し、濾過をした濾過液とする。
本発明のスラリ−のpHは、7以上10以下が好ましく、8以上9以下がより好ましい。
本発明の酸化セリウム研磨剤が使用される無機絶縁膜の作製方法として、定圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。定圧CVD法による酸化珪素絶縁膜形成は、Si源としてモノシラン:SiH4、酸素源として酸素:O2を用いる。このSiH4−O2系酸化反応を、400℃程度以下の低温で行わせることにより得られる。高温リフローによる表面平坦化を図るために、リン:Pをドープするときには、SiH4−O2−PH3系反応ガスを用いることが好ましい。プラズマCD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH4、酸素源としてN2Oを用いたSiH4−N2O系ガスとテトラエトキシシラン(TEOS)を、Si源に用いたTEOS−O2系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は250℃〜400℃、反応圧力は67〜400Paの範囲が好ましい。このように、本発明の酸化珪素絶縁膜にはリン、ホウ素等の元素がド−プされていても良い。
所定の基板として、半導体基板すなわち回路素子とアルミニウム配線が形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に酸化珪素絶縁膜層が形成された基板等が使用できる。このような半導体基板上に形成された酸化珪素絶縁膜層を、上記酸化セリウム研磨剤で研磨することによって、酸化珪素絶縁膜層表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。ここで、研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布(パッド)を貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨布にはスラリーが溜まる様な溝加工を施すことが好ましい。研磨条件には制限はないが、ホルダーと定盤の回転速度は、半導体基板が飛び出さない様にそれぞれ100rpm以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力は、研磨後に傷が発生しない様に1kg/cm2以下が好ましい。研磨している間、研磨布にはスラリーをポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常にスラリーで覆われていることが好ましい。
研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。このようにして平坦化された酸化珪素絶縁膜層の上に、第2層目のアルミニウム配線を形成し、その配線間および配線上に再度上記方法により、酸化珪素絶縁膜を形成後、上記酸化セリウム研磨剤を用いて研磨することによって、絶縁膜表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数の半導体を製造する。
本発明の酸化セリウム研磨剤は、半導体基板に形成された酸化珪素絶縁膜だけでなく、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素絶縁膜、ガラス、窒化ケイ素等の無機絶縁膜、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバ−の端面、シンチレ−タ等の光学用単結晶、固体レ−ザ単結晶、青色レ−ザ用LEDサファイア基板、SiC、GaP、GaAS等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等を研磨するために使用される。
このように本発明において所定の基板とは、酸化珪素絶縁膜が形成された半導体基板、酸化珪素絶縁膜が形成された配線板、ガラス、窒化ケイ素等の無機絶縁膜、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバ−の端面、シンチレ−タ等の光学用単結晶、固体レ−ザ単結晶、青色レ−ザ用LEDサファイア基板、SiC、GaP、GaAS等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等を含む。
次に、実施例により本発明を説明する。
作製例1(酸化セリウム粒子の作製:その1)
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、830℃で1時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、9m2/gであることがわかった。
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、830℃で1時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、9m2/gであることがわかった。
作製例2(酸化セリウム粒子の作製:その2)
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、830℃で1時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、10m2/gであることがわかった。
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、830℃で1時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、10m2/gであることがわかった。
(酸化セリウム粒子の作製:その3)
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、800℃で2時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、21m2/gであることがわかった。
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、800℃で2時間空気中で焼成することにより黄白色の粉末を約1kg得た。この粉末をX線回折法で相同定を行ったところ酸化セリウムであることを確認した。焼成粉末粒子径は30〜100ミクロンであった。焼成粉末粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化セリウムの粒界が観察された。酸化セリウム粉末1kgをジェットミルを用いて乾式粉砕を行った。多結晶体の比表面積をBET法により測定した結果、21m2/gであることがわかった。
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記、酸化セリウム粒子の作製例1〜3で作製した3種類の酸化セリウム粒子1000gとアクリル酸とアクリル酸メチルを3:1(モル比)で共重合した分子量10,000のポリアクリル酸共重合体のアンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌をしながら超音波分散を行った。超音波周波数は40kHzで、分散時間10分で分散を行った。得られたスラリーを1ミクロンフィルターでろ過し、さらに脱イオン水を加えることにより5.0重量%の酸化セリウムスラリーを得た。
上記、酸化セリウム粒子の作製例1〜3で作製した3種類の酸化セリウム粒子1000gとアクリル酸とアクリル酸メチルを3:1(モル比)で共重合した分子量10,000のポリアクリル酸共重合体のアンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌をしながら超音波分散を行った。超音波周波数は40kHzで、分散時間10分で分散を行った。得られたスラリーを1ミクロンフィルターでろ過し、さらに脱イオン水を加えることにより5.0重量%の酸化セリウムスラリーを得た。
酸化セリウムスラリーのpHは、作製例1〜3について、順にそれぞれ8.0、8.4及び8.2であった。BET法によるスラリー粒子の比表面積測定の結果、作製例1〜3について、順にそれぞれ9m2/g、10m2/g及び23m2/gであった。また研磨時に攪拌することにより、この酸化セリウムスラリーには濃度むらが生じなかった。酸化セリウムスラリーの濃度はスラリーの重量中、酸化セリウム粒子の重量が占める割合から求めた。酸化セリウム粒子の重量は、スラリーを150℃で加熱して水を蒸発させて残った固形分重量とした。
(硫酸イオン濃度の測定)
上記、酸化セリウムスラリーの作製1〜3で作製した3種類の酸化セリウムスラリー0.3gそれぞれに脱イオン水10gを加え、硫酸イオンを抽出し、濾過をした。この濾過液をイオンクロマトグラフ法(たとえば横河電機製IC−7000を用いる)で測定したところ、硫酸イオンの濃度は酸化セリウム粒子分に対して、作製例1〜3について、順にそれぞれ3,200mg/kg、980mg/kg及び280mg/kgであった。
上記、酸化セリウムスラリーの作製1〜3で作製した3種類の酸化セリウムスラリー0.3gそれぞれに脱イオン水10gを加え、硫酸イオンを抽出し、濾過をした。この濾過液をイオンクロマトグラフ法(たとえば横河電機製IC−7000を用いる)で測定したところ、硫酸イオンの濃度は酸化セリウム粒子分に対して、作製例1〜3について、順にそれぞれ3,200mg/kg、980mg/kg及び280mg/kgであった。
(絶縁膜層の研磨)
TEOS−プラズマCVD法で作製した酸化珪素絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。上記の3種類の酸化セリウムスラリーを脱イオン水で5倍に希釈したスラリー(固形分:1重量%)を容器に入れ、攪拌しながらポンプで配管を通じて定盤上に供給できるようにした。このとき、容器、配管内ともに沈降は見られなかった。定盤上にスラリーを50cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで1分間回転させ、絶縁膜を研磨した。
TEOS−プラズマCVD法で作製した酸化珪素絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。上記の3種類の酸化セリウムスラリーを脱イオン水で5倍に希釈したスラリー(固形分:1重量%)を容器に入れ、攪拌しながらポンプで配管を通じて定盤上に供給できるようにした。このとき、容器、配管内ともに沈降は見られなかった。定盤上にスラリーを50cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで1分間回転させ、絶縁膜を研磨した。
研磨後ウエハをホルダーから取り外して、流水で良く洗浄後、超音波洗浄機によりさらに20分間洗浄した。洗浄後、ウエハをスピンドライヤーで水滴を除去し、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により、作製例1〜3について、順にそれぞれ192nm、214nm及び143nm(作製例1〜3について、順に研磨速度が192nm/min、214nm/min及び143nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることがわかった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は見られなかった。
(粒度分布の測定)
レーザー回折粒度分布測定を行ったところ酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.20μm、0.19μm及び0.20μmであった。研磨剤を3ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.27μm、0.19μm及び0.20μmであった。また、研磨剤を6ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.26μm、0.26μm及び0.20μmで、作製例1〜3について、順に粒径が変化しづらくなることがわかった。
レーザー回折粒度分布測定を行ったところ酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.20μm、0.19μm及び0.20μmであった。研磨剤を3ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.27μm、0.19μm及び0.20μmであった。また、研磨剤を6ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は、作製例1〜3について、順にそれぞれ0.26μm、0.26μm及び0.20μmで、作製例1〜3について、順に粒径が変化しづらくなることがわかった。
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記、酸化セリウム粒子の作製で作製した酸化セリウム粒子1000gとアクリル酸とアクリル酸メチルを3:1で共重合した分子量10,000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌をしながら超音波分散を行った。超音波周波数は40kHzで、分散時間10分で分散を行った。得られたスラリーを1ミクロンフィルターでろ過し、さらに脱イオン水を加えることにより5.0重量%の酸化セリウムスラリーを得た。
上記、酸化セリウム粒子の作製で作製した酸化セリウム粒子1000gとアクリル酸とアクリル酸メチルを3:1で共重合した分子量10,000のポリアクリル酸アンモニウム塩水溶液(40重量%)23gと脱イオン水8977gを混合し、撹拌をしながら超音波分散を行った。超音波周波数は40kHzで、分散時間10分で分散を行った。得られたスラリーを1ミクロンフィルターでろ過し、さらに脱イオン水を加えることにより5.0重量%の酸化セリウムスラリーを得た。
酸化セリウムスラリーのpHは7.9であった。BET法によるスラリー粒子の比表面積測定の結果、8m2/gであった。また研磨時に攪拌することにより、この酸化セリウムスラリーには濃度むらが生じなかった。酸化セリウムスラリーの濃度はスラリーの重量中、酸化セリウム粒子の重量が占める割合から求めた。酸化セリウム粒子の重量は、スラリーを150℃で加熱して水を蒸発させて残った固形分重量とした。
(硫酸イオン濃度の測定)
上記、酸化セリウムスラリーの作製で作製した2種類の酸化セリウムスラリー0.3gに脱イオン水10gを加え、硫酸イオンを抽出し、濾過をした。この濾過液をイオンクロマトグラフ法(たとえば横河電機製IC−7000を用いる)で測定したところ、硫酸イオンの濃度は酸化セリウム粒子分に対して、5000mg/kgだった。
上記、酸化セリウムスラリーの作製で作製した2種類の酸化セリウムスラリー0.3gに脱イオン水10gを加え、硫酸イオンを抽出し、濾過をした。この濾過液をイオンクロマトグラフ法(たとえば横河電機製IC−7000を用いる)で測定したところ、硫酸イオンの濃度は酸化セリウム粒子分に対して、5000mg/kgだった。
(絶縁膜層の研磨)
TEOS−プラズマCVD法で作製した酸化珪素絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。上記の2種類の酸化セリウムスラリーを脱イオン水で5倍に希釈したスラリー(固形分:1重量%)を容器に入れ、攪拌しながらポンプで配管を通じて定盤上に供給できるようにした。このとき、容器、配管内ともに沈降は見られなかった。定盤上にスラリーを50cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで1分間回転させ、絶縁膜を研磨した。
TEOS−プラズマCVD法で作製した酸化珪素絶縁膜を形成させたSiウエハをセットし、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッドを貼り付けた定盤上に、絶縁膜面を下にしてホルダーを載せ、さらに加工荷重が300g/cm2になるように重しを載せた。上記の2種類の酸化セリウムスラリーを脱イオン水で5倍に希釈したスラリー(固形分:1重量%)を容器に入れ、攪拌しながらポンプで配管を通じて定盤上に供給できるようにした。このとき、容器、配管内ともに沈降は見られなかった。定盤上にスラリーを50cc/minの速度で滴下しながら、定盤を30rpmで1分間回転させ、絶縁膜を研磨した。
研磨後ウエハをホルダーから取り外して、流水で良く洗浄後、超音波洗浄機によりさらに20分間洗浄した。洗浄後、ウエハをスピンドライヤーで水滴を除去し、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨によりそれぞれ213nm(研磨速度:213nm/min)の絶縁膜が削られ、ウエハ全面に渡って均一の厚みになっていることがわかった。また、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察したところ、明確な傷は観測されなかった。
(粒度分布の測定)
レーザー回折粒度分布測定を行ったところ酸化セリウム粒子の平均粒径は0.19μmだった。研磨剤を3ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は0.27μmだった。また、研磨剤を6ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は0.33μmだった。以上から研磨剤の保存安定性は、実施例に比べて時間とともに粒径が大きくなるということで、悪くなることがわかった。
レーザー回折粒度分布測定を行ったところ酸化セリウム粒子の平均粒径は0.19μmだった。研磨剤を3ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は0.27μmだった。また、研磨剤を6ヶ月間、室温で保管した。その後、攪拌により均一な濃度分布に戻し、レーザー回折粒度分布測定を行ったところ、酸化セリウム粒子の平均粒径は0.33μmだった。以上から研磨剤の保存安定性は、実施例に比べて時間とともに粒径が大きくなるということで、悪くなることがわかった。
Claims (16)
- 酸化セリウムを含むスラリーからなる酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法であって、酸化セリウム粒子分に対する硫酸イオン濃度を5,000mg/kg以下にすることを特徴とする酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 前記酸化セリウム粒子分に対するスラリー中の硫酸イオン濃度を1,500mg/kg以下にすることを特徴とする請求項1記載の酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 前記スラリーが分散剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 前記スラリーが媒体として水を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 前記分散剤が水溶性有機高分子、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤及び水溶性アミンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項3記載の酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 前記スラリーのpHが7以上10以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤の保存安定化方法。
- 酸化セリウムを含むスラリーからなる酸化セリウム研磨剤の保管方法であって、酸化セリウム粒子分に対する硫酸イオン濃度を5,000mg/kg以下にすることを特徴とする酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 前記酸化セリウム粒子分に対するスラリー中の硫酸イオン濃度を1,500mg/kg以下にすることを特徴とする請求項7記載の酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 前記スラリーが分散剤を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 前記スラリーが媒体として水を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 前記分散剤が水溶性有機高分子、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤及び水溶性アミンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項9記載の酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 前記スラリーのpHが7以上10以下であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の酸化セリウム研磨剤の保管方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の保存安定化方法により安定化された酸化セリウム研磨剤で、所定の基板を研磨することを特徴とする基板の研磨法。
- 所定の基板が酸化珪素絶縁膜の形成された半導体素子である請求項13記載の基板の研磨法。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の保管方法により保管された酸化セリウム研磨剤で、所定の基板を研磨することを特徴とする基板の研磨法。
- 所定の基板が酸化珪素絶縁膜の形成された半導体素子である請求項15記載の基板の研磨法。
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