JP2010029931A - 多電極サブマージアーク溶接法 - Google Patents

多電極サブマージアーク溶接法 Download PDF

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Abstract

【課題】天然ガス、原油輸送用ラインパイプ等、あるいは構造用パイプ等用途に供される大径溶接鋼管の製管溶接に好適な多電極サブマージアーク溶接方法を提供する。
【解決手段】第1、第2電極の溶接ワイヤをワイヤ径3.2mm以下、溶接速度80cm/min以上とする3電極以上の多電極サブマージアーク溶接方法であって、散布前のフラックス粒子間の大気成分をNを含まないガスで置換し、且つ、フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆う、例えば、フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆う際、最終電極の溶接ワイヤ突出部の先端から後方側へ少なくとも式(1)を満たす距離Lとする。L≧2+0.04×v(1)v:溶接速度 [cm/min](1)
【選択図】図1

Description

本発明は、多電極サブマージアーク溶接方法に関し、天然ガス、原油輸送用ラインパイプ等、あるいは構造用パイプ等用途に供される大径溶接鋼管の製管溶接に好適なものに関する。
近年、天然ガス、あるいは原油輸送用パイプラインのトータルコスト削減のため、操業圧力の高圧化とともに使用鋼材量の低減と現地溶接施工コスト削減が可能である高強度厚肉大径鋼管の適用が検討され始めている。このような溶接鋼管は、その溶接部の品質が優れていること、溶接ビード概観が美麗であること、また、大入熱での高速溶接が可能であること等の特性が要求されるため、一般的にサブマージアーク溶接による内外面からの両面一層溶接によって製造される。しかしながら、高強度鋼板、あるいは板厚の厚い鋼管の溶接部においてはしばしば溶接入熱が過大に投入されることにより低温靱性が低下する場合がある。特に、X80〜X120級の高強度溶接鋼管にはこの傾向が著しい。
溶接部の高靱化のためには、鋼板、溶接材料の高靱化など材料面からの対策と共に、溶接入熱を低減させることが有効であることが知られている。溶接入熱を低減するためには、単位溶接長当たりの溶着量を減らす必要があり、溶着量の減少に応じて開先断面積も減少させる。しかしながら、開先断面積の減少は、鋼管の両面一層溶接においては、ルートフェースを厚くすることとほぼ同義であることから、ルート面に溶け残しのない健全な溶接部を得るためには、少ない投入熱量で溶け込み深さを大きくすることが課題となる。
この課題を達成するため、細径(ワイヤ径が3.2mm以下)溶接ワイヤを先行1極目、あるいは1、2極目に適用した多電極溶接方法が提案され(例えば、特許文献1,2)、細径ワイヤに高電流密度が得られる溶接電流とを組み合わせて、深い溶け込みと高溶着量、さらには溶接の高速化を同時に達成し、その結果、溶接入熱が大幅に低減されることが記載されている。
しかし、前記溶接方法では、溶接の高速化にともなう溶接ワイヤの高速送給に起因して、溶接金属中窒素量の増大が懸念される。即ち、サブマージアーク溶接は、アーク発生部をフラックスにより大気から遮蔽し、窒素の混入を極力抑えることの可能な溶接方法であるものの、上述のような細径溶接ワイヤが高速送給される溶接方法の場合、フラックス粒子間に内在する大気成分が送給ワイヤ周辺の高流速に巻き込まれてアーク空洞内に侵入し、溶接金属部の窒素量を増大させる可能性がある。溶接金属中の窒素量は、溶接入熱量と同じく、溶接金属部の靱性を大きく支配する因子の一つであることが知られており、混入窒素量は低減すべきものである。
さらに、生産性向上の観点から高速溶接を指向すると、溶接速度の増加に伴い溶接金属部の窒素量は増大する傾向がある(例えば、非特許文献1)。この原因に関しては諸説有り、現時点においても明確な結論を得るには至っていないが、アーク雰囲気内を落下する溶滴の脱窒現象に及ぼす溶接速度の影響、アーク雰囲気の窒素分圧変動に及ぼす溶接速度の影響等が指摘されており、いずれにせよ、溶接速度の増加による溶接金属窒素量の増大は、上述した溶接ワイヤの高速送給による増加分と重畳して発現する可能性がある。
他方、溶接金属中の窒素量を低減させる手法として、高炭素系の溶接ワイヤを使用することが提案されている(非特許文献2)。ワイヤ中に含まれる炭素がアークの高温雰囲気下でCOガスを発生させることによりアーク中の窒素分圧を低下せしめ、溶融金属内に取り込まれる窒素量を低減させる効果を狙ったものである。しかしながら、溶接ワイヤの炭素量を高く設定するため、溶接金属の炭素量が高くなって靱性を低下させ、高速溶接条件下においては、アークの通過速度が早く、溶融池形状が長くなることから、窒素分圧を低下させたアーク雰囲気が得られても、完全に溶融池をシールドすることは困難である。
このため、特許文献3および非特許文献3には、散布されたフラックス中、あるいは散布前のフラックス中にNを含まないガスを流し、フラックス粒子間のガス成分からNを排除する技術が開示されている。しかしながら、細径ワイヤを使用した高速サブマージアーク溶接の場合、上述したようにワイヤ送給の高速化に伴い、アーク空洞内に巻き込まれる大気成分が増加すること、溶接速度の高速化に起因する溶接方向に伸長した溶融池を完全に大気と遮断することが困難であること等から、前記手法では十分なシールド効果が期待できないことが懸念される。
特開2006−272377号公報 特開2007−268564号公報 特開昭50−33956号公報 溶接学会論文集,第二巻(1984),第三号,P541 溶接学会全国大会講演概要,No.21,(1977),P8 溶接学会全国大会講演概要,No.18,(1976),P4
上述したように、細径ワイヤを適用したサブマージ高速溶接は、その投入熱量を大幅に低減可能で、将来需要の増大が期待される低温靱性仕様厚肉大径溶接鋼管の製造に極めて有効な技術である。しかし、その反面、施工方法に起因した溶接金属中窒素量増大という懸念を内包しているため、シールド技術や溶接材料の検討により、健全な溶接部を一層安定して確保することが要望されている。
本発明は、係る課題を解決するためになされたもので、細径ワイヤの高速送給を特徴とする高能率サブマージアーク溶接方法の特性を堅持しつつ、同法適用に際して懸念となる溶接金属中の窒素量増大を、溶接ワイヤの炭素量を上げることなく解決することを目的としている。
本発明者等は、内外面一層溶接による溶接継手の溶接金属中の窒素量について、太径(一般的には4.0mm以上)ワイヤを用い、低速で溶接施工する場合と、細径(3.2mm以下)ワイヤを用い、高速溶接で溶接施工する場合について比較検討し、以下の知見を得た。尚、溶接継手は、太径ワイヤと細径ワイヤで同一板厚の供試材で製作した。
(1)太径ワイヤを用い、低速で溶接施工する場合、溶接前、散布直前までのフラックスにNが含まれないガス(以下、単にガスと記載する。)を吹き込み、粒子間の大気成分を置換させることが溶接金属の窒素の増加量を極小化させるためには有効な手段である。
(2)一方、細径ワイヤを用いた溶接施工の場合、ワイヤの送給速度を太径ワイヤでの溶接に比して増加させる必要があることから、溶接トーチ内を通過する溶接ワイヤ周辺の大気成分を巻き込む可能性がある。
(3)更に、溶接速度を上昇させる場合や多電極溶接時に溶融池の安定性の観点から電極間距離を広げる必要がある場合、溶融池の形状が溶接線方向に伸長してしまうために、特に溶融池後方部において第一電極前方から散布したフラックス内の置換ガスによるシールド効果が消失し、溶融池後方部での窒素混入が顕著となる場合がある。
(4)また、溶接入熱が小さく、溶接金属の凝固速度が速くなるために溶融金属中の窒素が排出される時間が短く、凝固後の溶接金属内に窒素が残留する。
(5)これらの諸問題を解決するために、1.0m/minを越える高溶接速度では、溶融池後方まで大気成分混入をシールドする施策が必要である。
(6)具体的には、多電極溶接においては、そのシールドされるべき溶接線方向距離は、高速溶接により伸長する溶融池形状を反映して、最終電極のワイヤ突き出し位置先端より後方まで、且つ、溶接速度に比例した長さ分が必要である。
本発明は、得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.第1、第2電極の溶接ワイヤをワイヤ径3.2mm以下、溶接速度80cm/min以上とする3電極以上の多電極サブマージアーク溶接方法であって、散布前のフラックス粒子間の大気成分をNを含まないガスで置換し、且つ、フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆うことを特徴とする多電極サブマージアーク溶接方法。
2.フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆う際、最終電極の溶接ワイヤ突出部の先端から後方側へ少なくとも式(1)を満たす距離Lであることを特徴とする1記載の多電極サブマージアーク溶接方法。
L≧2+0.04×v (1)
v:溶接速度 [cm/min]
3.多電極サブマージアーク溶接機の溶接部を大気から遮断するため、フラックス輸送管と溶接電極に取り付けられるシールドカバーであって、前記シールドカバーは、下面の全面と外周面の一部が開放された、内部が空洞の立体部材で、上面にはフラックス輸送管と溶接電極がそれぞれ挿入可能な複数の開口部を有し、前記外周面は、前記複数の開口部の中心を結ぶ線の溶接電極側の延長線上に、少なくとも溶接ビード幅より広幅の開口部を前記延長線を挟んで左右対称に有し、前記立体部材は、前記フラックス輸送管のフラックス散布口の高さより高い高さを、前記延長線方向の、全長に亘って有していることを特徴とするシールドカバー。
4.多電極サブマージアーク溶接機の溶接部を大気から遮断するため、フラックス輸送管と溶接電極に取り付けられるシールドカバーであって、前記シールドカバーは、内部が空洞で、上下面のいずれかと四周面のうちの一面が開放された直方体で、前記直方体は、上下面における非開放面を上面、四周面のうちの開放面が後面で、前記上面はその幅方向中心線上にフラックス輸送管と溶接電極がそれぞれ挿入可能な複数の開口部を有し、前記後面は、少なくとも溶接ビード幅より広幅であり、前記直方体の上面は、前記フラックス輸送管を前記開口部に挿入した際、フラックス散布口より上方にあることを特徴とするシールドカバー。
本発明によれば、細径ワイヤの高速送給を特徴とする高能率サブマージアーク溶接方法の特性を堅持しつつ、同法適用に際して懸念となる溶接金属中の窒素量増大を、溶接ワイヤの炭素量を上げることなく解決することができ、低温靱性が要求される天然ガス、原油輸送用ラインパイプ、構造用パイプ等を高能率で、且つ、炭素含有量の低い溶接ワイヤを使用して製造することが可能となり、産業上極めて有用である。
本発明は、フラックスへのNガスの吹き込みに加えて、細径ワイヤを用いた多電極サブマージアーク溶接の溶融池形状に即して適正化した形状のシールドボックスを用いることを特徴とする。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は4電極の多電極サブマージアーク溶接方法において、溶接フラックス、溶接部のガスシールドを実施する場合の装置構成を模式的に説明する図で、図において、1はフラックスホッパ、2はフラックス輸送管、3はフラックス散布口、4、4aはガス供給管、5はシールドボックス、5aはシールドボックス5の前面、5bはシールドボックス5の後面、6は電極で先頭部の第1電極、6aは第2電極、6bは第3電極、6cは第4電極、
、7はワイヤ、8はアーク空間、9は溶融池、10は溶接金属、11は凝固スラグ、61はシールドボックス5の上面に設けられた第1電極6を挿入する開口部、62はシールドボックス5の上面に設けられた第2電極6aを挿入する開口部、63はシールドボックス5の上面に設けられた第3電極6bを挿入する開口部、64はシールドボックス5の上面に設けられた第4電極6cを挿入する開口部,aはフラックスを示す。
溶接フラックスaはフラックスホッパ1に貯留され、フラックス輸送管2を介してフラックス散布口3から第一電極61の前方に供給される。フラックスホッパ1ならびにフラックス散布口3にはそれぞれ、ガス供給管4、4aが取り付けられ、これらの先端近傍からフラックス粒子間の大気成分を排除するガスが注入される。
さらに、フラックス散布位置の前縁から、最終電極、本図では第四電極6c、の溶接ワイヤ突出部の先端から後方側の一定の距離となる位置までの間に、シールドボックス5を設けて、溶接部を上方から覆って、フラックス散布位置の前縁から溶融池9の後方までの間における大気混入を防止する。フラックス散布口3から散布されるフラックスは通常、フラックス散布口3から溶接進行方向に一部が回り込む。
図3はシールドボックス5の構成を説明する模式図で、シールドボックス5は溶接部側となる下面と溶接進行方向の後ろ側となる後面5bを開口部とする直方体で、上面の溶接線直角方向の幅Wの中心線12上に、フラックス輸送管2と第1電極6(第2電極6a,第3電極6b、第4電極6cは図面では省略)の軸中心が位置するように、フラックス輸送管2が挿入される開口部と第1電極6の開口部61、第2電極6aの開口部62,第3電極6bの開口部63、第4電極6cの開口部64を設ける。図はフラックス輸送管2と第1電極6が開口部に挿入されている状態を示す。
シールドボックス5の上面におけるフラックス輸送管2と第1電極6との間隔L1は散布されたフラックスの高さが略一定となった後、第1電極6による溶接が可能な寸法とする。
シールドボックス5は、フラックス輸送管2と第1電極6、第2電極6a,第3電極6b、第4電極6cに固定、またはフラックス輸送管2のみに固定しても良い。
シールドボックス5の高さhは、フラックス輸送管2の散布口に設けられた開口部の高さh以上としてフラックスとの接触を回避し、図示したシールドボックス5は、開口部の高さhに高さdを加算した寸法としている。
尚、シールドボックス5の前面5aは、大気を巻き込まないように、耐熱性、可撓性のある素材、例えば皮革で構成する。溶接進行方向の後ろ側となる後面5bはスラグを逃がすため開放する。
図2は、シールドボックス5の長さ方向の寸法を説明する模式的側断面図で、最終電極6cから後方側を示す。シールドボックス5は、フラックス散布口3(図示しない)と、最終電極6cの溶接ワイヤ突出部の先端から後方側の一定の距離Lとなる位置までの長さとする。距離L最終電極の溶接ワイヤ突出部の先端から後方側へ少なくともL=2+0.04×vを満たす距離とする。但し、v:溶接速度 [cm/min]とする。
距離L<2+0.04×vの場合、シールド効果が不十分となるため、L≧2+0.04×vとする。Lは少なくとも2+0.04×vであれば良く、上限は特に規定せず、操作性などを考慮して適宜決定すればよい。
シールドボックス5の上面には電極6が装入される開口部が設けられ、電極6を介して溶接ワイヤ7が溶接部に供される。シールドボックス5の開口部は電極6を装入した場合、間隙が生じない寸法、または構造を設ける。
溶接ワイヤ7は電極6を介して溶接部に導入されてアークを発生、アーク空間8を形成する。アーク空間8には溶融したフラックスならびに溶融した溶接ワイヤ7、母材溶融部により溶融池9が形成される。溶融池9は溶接終了に伴って溶接金属10と凝固スラグ11を形成する。
尚、フラックス3の粒子間の大気成分は、ガス供給管4、4aから供給されるガスにより置換され、フラックス散布口3に至るまでの間に大気成分は排除される。但し、フラックス散布口3に近いガス供給管4aに、多量のガスを流すと、散布後のフラックスを周囲に飛散させる可能性があることから、ガス供給管4により予め、多くの大気成分を排除しておくことが望まれる。ガス供給管4、4aは単独での使用によっても大気成分は排除可能である。前述したようにフラックス散布口3に近いガス供給管4aのみを使用する場合、多量のガスを流すと、散布後のフラックスを周囲に飛散させる可能性があることから、10リットル/min以下の流量に抑えることが望ましい。
尚、本発明が対象とする多電極サブマージアーク溶接法は、細径ワイヤを使用した高能率・高速溶接を達成するため、主に溶け込み深さの確保に寄与し、溶接ワイヤの送給速度が最大となる第一電極に直流低電圧電源を使用して安定した深溶け込みを確保し、第2電極以降には製管のサブマージアーク溶接に一般的に適用される交流電源を用いることが望ましい
本発明によれば、溶融金属が完全に凝固するまでの間、フラックス粒子間の大気混入をシールドすることにより、炭素量の低い溶接ワイヤを使用した場合においても溶接金属中の窒素量増加分を極小化させることを達成することが可能である。以下、本発明の効果を実施例を用いて具体的に説明する。
表1、2にそれぞれ示す低炭素含有型の鋼板ならびに溶接ワイヤ、及び、溶接フラックスとしてSiO−CaO−CaFを主成分とする溶融型フラックスを使用し、4電極の電極配置にて表3に示す溶接条件にてビードオンプレート溶接を行った。溶接法は図1に準じて構成し、装置の説明は図1と同じ符号を用いて説明する。
なお、溶接電源は第一電極には直流低電圧または交流電源を、第二から第四電極には交流電源を使用した。また、溶接速度は0.5〜2.5m/minの間で適宜変化させ、溶接速度と溶接金属中炭素量の関係を明らかにした。
ガス供給管4からのガス流量を10リットル/min、ガス供給管4aからのガス流量を5リットル/minに設定した。さらに、使用するガスは基本的にNを含有せず、且つ不燃性の工業用ガス(Ar、CO等)を適用した。
シールドボックス6は図3に模式的に示すように、溶接線直角方向の幅Wが10cm、溶接線方向の長さは最終電極(本例では第4電極目)の溶接ワイヤ先端位置後方の距離Lを請求項2記載の計算式によって算出された値であることを基本としている。また、母材面からの距離は、フラックス散布口3に設けられた開口部の高さh以上、本例の場合には散布口の高さは40mm、シールドボックスの母材面からの距離は50mmにとした。
溶接金属部窒素量の評価は、得られた溶接金属部の中央より採取した分析サンプルの定量値NWより母材ならびに溶接ワイヤより導入される窒素量NBを差し引いた値、ΔN(=NW−NB)により評価した。ΔNがゼロに近いほど、大気成分からの窒素混入が抑制されたことになる。NWの測定に際しては、溶接金属中央部から3mmφドリルを使用して分析用切粉を採取し、ガス燃焼法により測定を行っている。
表4にΔNを指標として取りまとめた結果を示す。比較例No.10〜12はシールドガスを流さず、また、シールドボックスも使用しない場合を示している。溶接速度50cm/min条件ではΔNはわずかであるが、溶接速度の増加に伴い、ΔNが増大していることが明らかである。
比較例No.13〜21はガス供給管4ならびに4aのいずれかもしくは両方からガスを供給した場合の結果である。この場合においては比較例No.10〜12と比較するとΔNの低減は確認されるが、依然として高い値を呈している。
これらに対して、フラックス散布口から最終電極後方距離L間にシールドボックスを設置した本発明例No.1〜9に関しては、250cm/minまでの高速溶接条件下においてもΔNは低く抑えられており、溶融池のシールド効果が顕著に得られていることがわかる。
一方で、距離Lが規定値よりも短い比較例No.22〜27においては、特に高速溶接条件下では溶融池の一部がシールドボックス外まで到達してしまうことにより、実施例で得られる値ほどのシールド効果はないことが明らかである。本例の場合には散布口の高さは40mm、シールドボックスの母材面からの高さhは50mmにとしている。
溶接金属部窒素量の評価は、得られた溶接金属部の中央より採取した分析サンプルの定量値NWより母材ならびに溶接ワイヤより導入される窒素量NBを差し引いた値、ΔN(=NW−NB)により評価した。
ΔNがゼロに近いほど、大気成分からの窒素混入が抑制されたことになる。NWの測定に際しては、溶接金属中央部から3mmφドリルを使用して分析用切粉を採取し、ガス燃焼法により測定を行っている。
表4にΔNを指標として取りまとめた結果を示す。比較例No.10〜12はシールドガスを流さず、また、シールドボックスも使用しない場合のΔNを示している。溶接速度50cm/min条件ではΔNはわずかであるが、溶接速度の増加に伴い、ΔNが増大していることが明らかである。
比較例No.13〜21はガス供給管4ならびに4aのいずれかもしくは両方からガスを供給した場合の結果である。この場合においては比較例No.10〜12と比較するとΔNの低減は確認されるが、依然として高い値を呈している。
これらに対して、フラックス散布口から最終電極後方距離L間にシールドボックスを設置した本発明例No.1〜9に関しては、2.5m/minまでの高速溶接条件下においてもΔNは低く抑えられており、溶融池のシールド効果が顕著に得られていることがわかる。
一方で、距離Lが規定値よりも短い比較例No.22〜27においては、特に高速溶接条件下では溶融池の一部がシールドボックス外まで到達してしまうことにより、実施例で得られる値ほどのシールド効果はないことが明らかである。
Figure 2010029931
Figure 2010029931
Figure 2010029931
Figure 2010029931
4電極の多電極サブマージアーク溶接方法において、溶接フラックス、溶接部のガスシールドを実施する場合の装置構成を模式的に説明する図。 最終電極の溶接ワイヤ先端位置後方の距離Lを説明する図。 本発明に用いるシールドボックスの構造の一例を示す図。
符号の説明
1 フラックスホッパ
2 フラックス輸送管
3 フラックス散布口
4、4a ガス供給管
5 シールドボックス
5a 前面
5b 後面
6 先頭電極(第1電極)
6a 第2電極
6b 第3電極
6c 第4電極
7 ワイヤ
8 アーク空間
9 溶融池
10 溶接金属
11 凝固スラグ
61,62,63,64 開口部
a フラックス

Claims (4)

  1. 第1、第2電極の溶接ワイヤをワイヤ径3.2mm以下、溶接速度80cm/min以上とする3電極以上の多電極サブマージアーク溶接方法であって、散布前のフラックス粒子間の大気成分をNを含まないガスで置換し、且つ、フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆うことを特徴とする多電極サブマージアーク溶接方法。
  2. フラックス散布位置の前縁から、溶融池後方までを大気混入防止のためのシールドカバーで覆う際、最終電極の溶接ワイヤ突出部の先端から後方側へ少なくとも式(1)を満たす距離Lであることを特徴とする1記載の多電極サブマージアーク溶接方法。
    L≧2+0.04×v (1)
    v:溶接速度 [cm/min]
  3. 多電極サブマージアーク溶接機の溶接部を大気から遮断するため、フラックス輸送管と溶接電極に取り付けられるシールドカバーであって、前記シールドカバーは、下面の全面と外周面の一部が開放された、内部が空洞の立体部材で、上面にはフラックス輸送管と溶接電極がそれぞれ挿入可能な複数の開口部を有し、前記外周面は、前記複数の開口部の中心を結ぶ線の溶接電極側の延長線上に、少なくとも溶接ビード幅より広幅の開口部を前記延長線を挟んで左右対称に有し、前記立体部材は、前記フラックス輸送管のフラックス散布口の高さより高い高さを、前記延長線方向の、全長に亘って有していることを特徴とするシールドカバー。
  4. 多電極サブマージアーク溶接機の溶接部を大気から遮断するため、フラックス輸送管と溶接電極に取り付けられるシールドカバーであって、前記シールドカバーは、内部が空洞で、上下面のいずれかと四周面のうちの一面が開放された直方体で、前記直方体は、上下面における非開放面を上面、四周面のうちの開放面が後面で、前記上面はその幅方向中心線上にフラックス輸送管と溶接電極がそれぞれ挿入可能な複数の開口部を有し、前記後面は、少なくとも溶接ビード幅より広幅であり、前記直方体の上面は、前記フラックス輸送管を前記開口部に挿入した際、フラックス散布口より上方にあることを特徴とするシールドカバー。
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