JP2010029692A - 人工組織 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも2本の隣り合う血管と、上記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を含む人工組織であって、上記血管含有組織層内の、上記2本の隣り合う血管の間隙が、上記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に形成され、上記血管含有組織層が、血管細胞培養基板上に形成されるものであり、上記血管細胞培養基板が、上記血管の間隔を上記血管同士の癒着、変形等を防ぐことが可能な距離に伸ばすことができ、かつ、上記栄養供給可能距離に縮めることができる伸縮性を有するものであることを特徴とする人工組織を提供する。
【選択図】図1
Description
2 … 細胞
3 … 血管含有組織層
まず、本発明の人工組織について説明する。本発明の人工組織は、生体から取り出した各種機能を有する細胞を細胞工学等の手法により人工的に再組織化したものであり、少なくとも2本の隣り合う血管と、上記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を含む人工組織であって、
上記血管含有組織層内の、上記2本の隣り合う血管の間隙が、上記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に形成されているものである。
以下、本発明の人工組織について、各構成ごとに詳しく説明する。
まず、本発明の人工組織における血管含有組織層について説明する。本発明の人工組織における血管含有組織層は、少なくとも2本の隣り合う血管と、上記血管間に配置された細胞とを有するものであり、2本の隣り合う血管の間隙が、上記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に形成されているものであれば、特に限定されるものではない。
以下、上記血管含有組織層に用いられる血管および細胞について詳しく説明する。
まず、本発明に用いられる血管について説明する。本発明において用いられる血管は後述する細胞に、酸素や栄養分等を供給したり、血管間の他の細胞が産生する老廃物を輸送すること等が可能なものであれば、、特に限定されるものではない。
以下、このエネルギー照射に伴う光触媒の作用を利用した血管形成用細胞を培養するための細胞接着層または細胞接着阻害層を有する血管細胞培養基板について詳しく説明する。
本発明に用いられる、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により細胞との接着性が変化する細胞接着層または細胞接着阻害層を有する血管細胞培養基板としては、例えば以下の2つの態様が挙げられる。それぞれの態様ごとに詳しく説明する。
まず、第1の態様としては、基材上に少なくとも血管形成用細胞と接着性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着材料を含有する細胞接着層が形成されており、上記細胞接着阻害部は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、上記細胞接着材料が分解または変性されているものである。
まず、本態様に用いられる細胞接着層について説明する。本態様に用いられる細胞接着層は、少なくとも血管形成用細胞との接着性を有する細胞接着材料を有する層であり、一般的に血管形成用細胞との接着性を有する層として用いられる層を用いることができる。
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される有機基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
次に、本態様の血管細胞培養基板に用いられる基材について説明する。本態様に用いられる基材としては一般的な細胞培養基板の基材として用いることが可能なものを用いることができる。具体的には、ガラスや金属、シリコン等の無機材料、およびプラスチックで代表される有機材料等を用いることができる。
まず、本態様に用いられる光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板について説明する。本態様に用いられる光触媒含有層側基板としては、通常、光触媒を含有する光触媒含有層を有するものであり、通常、基体と、その基体上に光触媒含有層が形成されているものである。この光触媒含有層側基板は、例えばパターン状に形成された光触媒含有層側遮光部やプライマー層等を有していてもよい。以下、本態様に用いられる光触媒含有層側基板の各構成について説明する。
まず、光触媒含有層側基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本態様に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、近接する細胞接着層中の細胞接着材料を分解または変性させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
次に、光触媒含有層側基板に用いられる基体について説明する。通常、光触媒含有層側基板は、少なくとも基体とこの基体上に形成された光触媒含有層とを有するものである。この際、用いられる基体を構成する材料は、後述するエネルギーの照射方向や、得られるパターン形成体が透明性を必要とするか等により適宜選択される。
本態様に用いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
次に、本態様の光触媒含有層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本態様において、上述したように基体上に光触媒含有層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒含有層を形成して光触媒含有層側基板とする場合においては、上記光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成してもよい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本態様における細胞接着阻害部の形成方法について説明する。本態様においては、例えば図6に示すように、基材4上に形成された細胞接着層8と、光触媒含有層側基板13の光触媒含有層12とを、所定の間隙をおいて配置し、例えばフォトマスク5等を用いて、エネルギー6を所定の方向から照射する(図6(a))。これにより、エネルギー照射された領域の細胞接着材料が分解または変性されて、血管形成用細胞と接着性を有しない細胞接着阻害部9が形成されるのである(図6(b))。この際、細胞接着阻害部は、例えば上記細胞接着材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解されるものである場合には、細胞接着阻害部中にはその細胞接着材料が少量含有されている、または細胞接着材料の分解物等が含有されている、もしくは細胞接着層が完全に分解除去されて基材が露出すること等となる。また、上記細胞接着材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により変性されるものである場合には、細胞接着阻害部中にはその変性物等が含有されていることとなる。
またさらに、第2の態様としては、上記基材上に、少なくとも血管形成用細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害層を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層が形成されており、上記細胞接着部は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、上記細胞接着阻害材料が分解または変性されているものである。
本発明においては、上記の2つの態様に限定されるものではなく、例えば基材上に少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を形成し、その上に上記細胞接着層または細胞接着阻害層を形成し、エネルギー照射を行うことによって、上記細胞接着部および上記細胞接着阻害部を形成した血管細胞培養基板としてもよい。また、例えば上記細胞接着材料または細胞接着阻害材料を光触媒と混合した層を形成し、この層にエネルギーを照射することによって、上記細胞接着部および上記細胞接着阻害部を形成した血管細胞培養基板としてもよい。なおこれらの血管細胞培養基板に用いられる光触媒や、細胞接着層、細胞接着阻害層、細胞接着材料、細胞接着阻害材料等については、上述した2つの態様と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、本発明に用いられる細胞について説明する。本発明に用いられる細胞としては、上記血管から酸素や栄養分等の供給を受けて活性となり、人工組織を構成することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば肝実質細胞、ランゲルハンス島細胞等の代謝機能を有する細胞種、あるいは脳細胞や神経細胞等、情報伝達系の細胞種等が挙げられる。なお、上記血管含有組織層に用いられる上記細胞としては、1種類に限定されるものではなく、複数種類の細胞を組み合わせて用いられるものであってもよい。
次に、本発明の人工組織について説明する。本発明の人工組織は、上記血管含有組織層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、上記血管含有組織層が1層のみからなるものであってもよく、また2層以上積層されたものとしてもよい。2層以上重ねることにより、立体的に上記血管や細胞を配置することができ、より複雑な構造の人工組織とすることができるからである。
次に、本発明の人工組織の製造方法について説明する。本発明の人工組織の製造方法は、少なくとも2本の隣り合う血管と、上記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を有する人工組織の製造方法であって、
2本の隣り合う血管を、上記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に配置する血管配置工程と、
上記細胞を含有する細胞含有層と、上記血管とを接触させる細胞接触工程と
を有するものである。ここで、上記栄養供給可能距離とは、上述した「A.人工組織」で説明した栄養供給可能距離と同様である。
以下、本発明の人工組織の製造方法の各工程について説明する。
まず、本発明の人工組織の製造方法の血管配置工程について説明する。本発明における血管配置工程は、少なくとも2本の隣り合う血管を、上記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に配置する工程である。
次に、本発明の細胞接触工程について説明する。本発明の細胞接触工程は、上記細胞を含有する細胞含有層と、上記血管とを接触させる工程である。
本発明においては、上述した血管配置工程および細胞接触工程を行うことにより形成される血管含有組織を、積層する工程等、必要な工程を適宜有していてもよい。
以上のように、本発明においては、以下の発明を提供することができる。
1.少なくとも2本の隣り合う血管と、前記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を含む人工組織であって、
前記血管含有組織層内の、前記2本の隣り合う血管の間隙が、前記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に形成され、
前記血管含有組織層が少なくとも2層以上積層されていることを特徴とする人工組織。
2.少なくとも2本の隣り合う血管と、前記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を有する人工組織の製造方法であって、
前記2本の隣り合う血管を、前記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に配置する血管配置工程と、
前記細胞を含有する細胞含有層と、前記血管とを接触させる細胞接触工程と、
前記血管含有組織層を少なくとも2層以上積層する積層工程と、
を有し、
前記血管配置工程が、基材と、前記基材上に形成され、少なくとも血管形成用細胞と接着性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着材料を含有する細胞接着層、または、少なくとも血管形成用細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層とを有する血管細胞培養基板を準備し、
前記細胞接着層または細胞接着阻害層と、光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の光触媒含有層とを対向させて配置し、パターン状にエネルギー照射をして光触媒の作用を及ぼすことによって、前記細胞接着層または細胞接着阻害層に血管形成用細胞を培養するパターンのみ細胞接着性を有する細胞接着部とそれ以外の領域である細胞接着阻害部とを形成し、前記細胞接着部に前記血管形成用細胞を付着させて血管を形成するものであることを特徴とする人工組織の製造方法。
3.前記血管配置工程が、前記栄養供給可能距離より広い距離を有するように前記血管細胞培養基板上に少なくとも2本以上の前記血管を形成し、前記血管間位置する前記血管細胞培養基板の一部を除去する工程であることを特徴とする人工組織の製造方法。
4.前記血管配置工程が、伸縮性を有する前記血管細胞培養基板上に前記血管細胞培養基板を引き伸ばした状態で少なくとも2本以上の前記血管を形成し、前記血管間の距離を縮めるように、前記血管細胞培養基板を縮める工程であることを特徴とする人工組織の製造方法。
5.前記血管配置工程が、前記細胞接着部内に微細なパターン状に形成された血管細胞と接着性を有しない細胞接着補助部を形成するものであることを特徴とする人工組織の製造方法。
6.前記血管細胞培養基板が、前記細胞接着阻害層を有するものであり、
前記細胞接触工程が、前記細胞接着阻害層の血管間の領域に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用を及ぼし、前記細胞との接着性を良好なものとした後、前記細胞を培養することにより細胞含有層を形成し、前記細胞含有層と、前記血管とを接触させるものであることを特徴とする人工組織の製造方法。
7.前記細胞接触工程が、前記細胞を前記細胞培養基板以外で培養し、シート状とした細胞含有層と、前記血管と接触させるものであることを特徴とする人工組織の製造方法。
8.前記血管含有組織層が、基材と、前記基材上に、少なくとも血管形成用細胞と接着性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着材料を含有する細胞接着層、または、少なくとも血管形成用細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層が形成された血管細胞培養基板を用いて形成されたものであり、
前記血管細胞培養基板にパターン状にエネルギー照射に伴う光触媒の作用が及ぼされることにより形成された血管形成用細胞を培養するパターンのみ細胞接着性を有する細胞接着部およびそれ以外の領域である細胞接着阻害部のうちの前記細胞接着部上に前記血管形成用細胞を培養することにより形成されたものであることを特徴とする人工組織。
9.前記細胞接着部内に微細なパターン状に形成された血管細胞と接着性を有しない細胞接着補助部を有するものであることを特徴とする人工組織。
(遮光層を有する血管細胞培養用基板の形成)
細胞接着部としてガラス部40μm、細胞接着阻害部として金属遮光部300μmのストライプパターンを有する石英フォトマスクを作成した。
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシランTSL8114(GE東芝シリコーン)4gとフルオロアルキルシランTSL-8233(GE東芝シリコーン)1gと光触媒無機コーティング剤ST-K03(石原産業)15gとを混合し、100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍希釈し、光触媒含有血管細胞接着層用組成物とした。
前記光触媒含有血管細胞接着層用組成物を、フォトマスク基板の遮光層裏面にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、光触媒を含有する透明な光触媒含有血管細胞接着層を有する血管細胞培養基板を形成した。
この血管細胞培養基板の遮光層面側から水銀ランプにより6J/cm2のエネルギー量で紫外線露光を行い、未露光部が血管細胞接着阻害性で露光部が血管細胞接着性にパターン化された細胞接着性表面を有する血管細胞パターニング培養基板を得た。
10%ウシ胎児血清を加えたDMEM培地中に基板を浸漬し、ラット静脈内皮細胞を播種した。37℃、5%二酸化炭素環境下で24時間培養し、血管細胞を細胞接着部に接着した。
基板に接着した血管細胞を観察し、血管細胞が細胞接着分中全領域に沿う方向に配向し、更に伸展形状を示すこと、細胞接着部間に擬足の接触が無い事を確認した。更にDMEM培地を、bFGF(シグマ社) 10ng/mlの濃度で加えたものに交換、37℃、5%二酸化炭素環境下で24時間培養を継続し、血管細胞が連続した再生血管組織を形成したことを確認した。
コラーゲンType Iスポンジ(日本ハム社)を予め培地で膨潤させ、ラット肝実質細胞を播種後、24時間培養し、肝実質細胞をスポンジに固定した。この肝細胞播種スポンジの上下面に対し、上記再生血管を有する血管細胞培養用パターニング基板の再生血管面との接触させ、樹脂容器内に密封した。密封した細胞組織に対し、再生血管に酸素分圧を調整した培地を1時間循環させ、密封状態を解き、肝実質細胞を観察したところ、細胞の生存が確認された。
実施例1と同様の実験を、フォトマスクを細胞接着部40μm/細胞接着阻害部1000μmのストライプパターンに交換し行った。その結果、形成させた擬似細胞組織内の肝実質細胞が死滅している事が確認された。
実施例1と同じ手順でフォトマスクを細胞接着部40μm/細胞接着阻害部150μmのストライプパターンに交換し血管細胞培養用基板を作成し、更に同様の手順でラット静脈内皮細胞を播種したところ、血管内皮細胞はパターニングされたが、隣接するライン間に擬足の形成が確認された。
更にDMEM培地を、bFGF(シグマ社) 10ng/mlの濃度で加えたものに交換、37℃,5%二酸化炭素環境下で24時間培養を継続し観察したところ、隣接した再生血管組織が癒着していた。
(光触媒含有層を有するフォトマスクの形成)
細胞接着部として金属遮光部40μm、細胞接着阻害部としてガラス部1000μmのストライプパターンを有する石英フォトマスクを作成した。
トリメトキシメチルシランTSL8114(GE東芝シリコーン)5gと0.5規定塩酸2.5gとを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈し、プライマー層用組成物とした。上記プライマー層用組成物をフォトマスクのパターン面上にスピンコーティング法により塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、プライマー層を有するフォトマスクを得た。
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシランTSL8114(GE東芝シリコーン)3gと光触媒無機コーティング剤ST-K03(石原産業)20gとを混合し、100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍希釈し、光触媒含有層用組成物とした。
前記光触媒含有層用組成物を、プライマー層が形成されたフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層を有するフォトマスクを形成した。
オルガノシランTSL-8114(GE東芝シリコーン)5.0g、アルキルシランLS-5258(信越化学)0.7g、および0.005N塩酸2.36gを混合し、24時間攪拌した。
この溶液をイソプロピルアルコールで100倍希釈の上、スピンコーティング法により予めアルカリ処理をしたソーダガラス基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、膜厚0.2μmの血管細胞接着性材料層を有する血管細胞培養用基板を得た。
上記血管細胞培養用基板の血管細胞接着性材料層と前述の光触媒含有層を有するフォトマスクの光触媒含有層を対向させ、フォトマスク越しに水銀ランプにより6J/cm2のエネルギー量で紫外線露光を行い、露光部が血管細胞接着阻害性で未露光部が血管細胞接着性にパターン化された血管細胞接着性表面を有する血管細胞培養基板を得た。
実施例1と同様の手順で基板に対し血管細胞を播種した。血管細胞培養用基板に接着した血管細胞を観察し、血管細胞が細胞培養領域中全領域に沿う方向に配向し、更に伸展形状を示す事、細胞接着部間に擬足の接触が無い事を確認した。
更に実施例1と同様の手順で細胞の組織化を行い、細胞が連続した再生血管組織を形成した事を確認した。
血管の形成された基板の血管と血管の間にある細胞接着阻害部を阻害部の中央部から幅700μm除去した後、血管の形成された基板を並べなおし血管間距離を1000μmから300μmに縮めた。
実施例1と同様の組織評価実験を行い、肝実質細胞が壊死しないことを確認した。
実施例2と同様の手順で細胞の播種、組織化までを行った。次に基板スペース部の除去工程を行わず、基板上の血管間距離を1000μmのまま組織の評価を行った結果、肝実質細胞の壊死が確認された。
(遮光層を有する血管細胞培養用基板の形成および基板のパターニング)
細胞接着部としてガラス部70μm、細胞接着阻害部として金属遮光部300μmのストライプパターンを有する石英フォトマスクを作成した。続いて、上記石英フォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして血管細胞培養用基板を形成した。その後、実施例1と同様に血管細胞培養用基板のパターニングを行い、血管細胞パターニング培養基板を得た。
コラーゲンコート用のタイプIコラーゲン(新田ゼラチン、TypeI−C)をpH3の酸性溶液で20倍量に希釈した溶液を調製した。この溶液に上記血管細胞パターニング培養基板を、ストライプパターンの方向に沿って浸漬し、次いで、ゆっくりと垂直に引き上げた。この操作により、上記血管細胞パターニング培養基板の細胞接着部にのみ、コラーゲン溶液のラインが形成された。それ以外の部分には、接着阻害部の撥水性のためにコラーゲン溶液が付かなかった。この血管細胞パターニング培養基板を室温で乾燥させ、細胞接着部のみがコラーゲンコートされた血管細胞パターニング培養基板を作成した。
10%ウシ胎児血清を加えたDMEM培地中に上記血管細胞パターニング培養基板を浸漬し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を播種した。37℃、5%二酸化炭素環境下で36時間培養し、HUVECを細胞接着部に接着した。HUVECが細胞接着部中全領域に沿う方向に配向し、更に伸展形状を示すこと、細胞接着部間に擬足の接触がないことを確認した。更にDMEM培地を、bFGF(シグマ社)10ng/mlの濃度で加えたものに交換し、37℃、5%二酸化炭素環境下で48時間培養を継続し、HUVECが連続した再生血管組織を形成したことを確認した。
実施例1と同様の組織評価実験を行い、肝実質細胞が壊死しないことを確認した。
(遮光層を有する血管細胞培養用基板の形成および基板のパターニング)
細胞接着部としてガラス部150μm、細胞接着阻害部として金属遮光部300μmのストライプパターンを有する石英フォトマスクを作成した。続いて、上記石英フォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして血管細胞培養用基板を形成した。その後、実施例1と同様に血管細胞培養用基板のパターニングを行い、血管細胞パターニング培養基板を得た。
実施例3と同様の処理を行い、細胞接着部のみがコラーゲンコートされた血管細胞パターニング培養基板を作成した。
10%ウシ胎児血清を加えたDMEM培地が入っている培養皿中に血管細胞パターニング培養基板を浸漬し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を播種した。この培養皿をインキュベータ内に設置された振とう機上に振とう方向が基板のストライプ方向と一致するように配置した。37℃、5%二酸化炭素環境下で36時間培養し、HUVECを細胞接着部に接着した。この培養期間中、培養皿をゆっくりと振とうし続けた。顕微鏡により、HUVECが細胞接着部中全領域に沿う方向に配向し、更に伸展形状を示すこと、細胞接着部間に擬足の接触がないことを確認した。更にDMEM培地を、bFGF(シグマ社)10ng/mlの濃度で加えたものに交換し、37℃、5%二酸化炭素環境下で48時間培養を継続し、HUVECが連続した再生血管組織を形成したことを確認した。
実施例1と同様の組織評価実験を行い、肝実質細胞が壊死しないことを確認した。
(遮光層を有する血管細胞培養用基板の形成および基板のパターニング)
細胞接着部としてガラス部70μm、金属遮光部5μm、ガラス部70μm、金属遮光部5μm、ガラス部70μmの細胞接着補助部を有する合計幅220μmのストライプパターン、細胞接着阻害部として金属遮光部300μmのストライプパターンを有する石英フォトマスクを作成した。続いて、上記石英フォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして血管細胞培養用基板を形成した。その後、実施例1と同様に血管細胞培養用基板のパターニングを行い、血管細胞パターニング培養基板を得た。
上記血管細胞パターニング培養基板上に、ラット静脈内皮細胞を実施例4と同様の培養条件で培養し、再生血管組織を形成したことを確認した。ただし、培養時間は実施例1と同様とした。
実施例1と同様の組織評価実験を行い、肝実質細胞が壊死しないことを確認した。
Claims (2)
- 少なくとも2本の隣り合う血管と、前記血管間に配置された細胞とを有する血管含有組織層を含む人工組織であって、
前記血管含有組織層内の、前記2本の隣り合う血管の間隙が、前記細胞が壊死しないような栄養供給可能距離に形成され、
前記血管含有組織層が、血管細胞培養基板上に形成されるものであり、
前記血管細胞培養基板が、前記血管の間隔を前記血管同士の癒着、変形等を防ぐことが可能な距離に伸ばすことができ、かつ、前記栄養供給可能距離に縮めることができる伸縮性を有するものであることを特徴とする人工組織。 - 前記血管含有組織層が少なくとも2層以上積層されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の人工組織。
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