JP2010025868A - X線分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードウエアの追加を伴わない簡単な構成で、X線照射の絞りを変更するためのX線遮蔽板の位置ずれを検知する。
【解決手段】設定されているものと異なる絞り孔4a〜4dの選択が指示されると、制御部10は現在の絞り孔に応じた数のパルス信号をパルスモータに送ってX線遮蔽板4をホームポジションP2に戻し、その後、センサ13により原点位置P1に来たことが検出されるまでパルス信号を計数しつつパルスモータを駆動する。その計数値と規定数との差が許容値以下であるか否かを判定し、許容値を超えている場合、ホームポジションが適切でなく元のX線遮蔽板4の位置が異常であると判断して表示部12にエラー表示を行う。また、絞り孔の変更がない場合でも規定回数毎に同様の異常検知を実行することで、絞り孔の位置がずれた状態で取得された可能性のある信頼性のないデータの棄却を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料に1次X線等の励起線を照射し、それにより試料から放出されるX線を検出するX線分析装置に関する。
一般に、蛍光X線分析装置は、固体状、粉体状又は液体状の試料に1次X線を励起線として照射し、その1次X線により励起されて試料から放出される蛍光X線を検出することによって、その試料に含まれる元素の定性や定量を行うものである。こうした蛍光X線分析装置において、試料上での1次X線の照射領域の大きさを調整するために、X線源と試料との間に照射領域制限部(絞り)を配置したものが知られている(特許文献1など参照)。
また、特に試料上の微小領域を分析できるように、径可変の絞りを設けたものも従来知られている。この絞り径の変更は、異なる大きさをもつ複数の絞り孔が形成された遮蔽板を機械的に移動させることにより行われており、その移動にはパルスモータ(ステッピングモータ)が利用されている。こうした機構では、絞り径を変更する際に、その変更に応じた数のパルス信号をパルスモータに与えることによって、遮蔽板を移動させて所望の絞り孔を1次X線の光軸上に位置させる(本明細書ではこの状態を「絞り孔を設定する」という)。しかしながら、遮蔽板の移動中にスリップ等の脱調が生じたり、遮蔽板が停止した状態でも強い機械的な振動等の外乱が加わったりすると、意図しない絞りが設定されてしまう、或いは、遮蔽板によって1次X線が遮られて試料に1次X線が当たらない、ということさえ起こり得る。
蛍光X線分析装置は、使用が規制されている有害物質や不純物の分析によく利用されるが、上述のように1次X線が試料に当たらない状態やX線照射領域が意図するよりも狭い状態で分析が実行されると、検出対象の有害物質や不純物の含有量がゼロ又は基準値よりも低いという誤った結果が出されるおそれがあるという問題があった。これを解決し、分析の信頼性を確保するには、X線照射領域制限用の絞りが適切に設定されていることを保証することが必要である。
特開2003−207466号公報
もちろん、例えば、複数の絞り孔のうちの目的の絞り孔が1次X線の光軸に位置していることを検知可能なセンサなどを付加すれば、上記問題は解決される。しかしながら、こうした対策は回路やセンサ等のハードウエアの追加が必要であり、コストの増加が避けられないし、スペース等の理由により、そうしたハードウエアの追加が難しい場合もある。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、ハードウエアを追加することなくCPUを利用した制御や処理上の工夫により、X線照射領域制限用の絞り等の異常な設定を確実に検知し、収集されるデータの信頼性を高めることができるX線分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、励起線源から出射された励起線を試料に照射し、それにより試料から放出されるX線を検出器に導入するX線分析装置であって、励起線源と試料との間に配置された励起線の照射領域を制限する領域制限部、又は試料と検出器との間に配置された視野領域を制限するための領域制限部のいずれかを具備するX線分析装置において、
a)前記領域制限部としての、大きさの相違する複数の絞り孔が設けられた遮蔽板と、
b)前記絞り孔を選択的に前記励起線又はX線の光軸上に移動させるべく前記遮蔽板を移動させるための、パルスモータを含む駆動機構と、
c)前記遮蔽板が第1の位置に来たことを検知する位置検知手段と、
d)前記絞り孔の変更に伴い、変更前の絞り孔に応じた数のパルスを前記パルスモータに与えて前記遮蔽板を第2の位置に戻した後に、さらに前記位置検知手段による検知信号が得られるまでパルスを前記パルスモータに与えることで前記遮蔽板を移動させる移動制御手段と、
e)前記移動制御手段による移動制御の際に、前記遮蔽板が第2の位置から第1の位置に来るまでのパルス数を計数し、その計数値を利用して、絞り孔の変更直前の遮蔽板の位置が異常であることを検知する異常検知手段と、
を備えることを特徴としている。
一般的な蛍光X線分析装置の場合、上記励起線は1次X線であるが、励起線はこれに限らず電子線などでもよい。
本発明に係るX線分析装置では、上記第2の位置を遮蔽板のホームポジションとし、遮蔽板がこのホームポジションにある状態から各絞り孔毎に予め決められた数のパルスをパルスモータに与えることで、励起線又はX線が通過し得る位置に目的とする絞り孔が来るように(つまり設定されるように)、駆動機構により遮蔽板を移動させる。逆に言えば、或る絞り孔が設定された状態で、その絞り孔に応じた所定の数のパルスをパルスモータに与えることで、遮蔽板をホームポジションに戻すことができる。
上記移動制御手段は、絞り孔の変更が指示されたとき、変更前の絞り孔に応じた数のパルスをパルスモータに与えて遮蔽板をホームポジションに一旦戻し、さらに位置検知手段による検知信号が得られるまで遮蔽板を移動させる。しかしながら、仮に、脱調などによる遮蔽板の位置ずれが生じていた場合には、上記のように変更前の絞り孔に応じた数のパルスをパルスモータに与えても、遮蔽板はホームポジションに戻らない。そのため、引き続いて、遮蔽板をホームポジションから第1の位置にまで移動させようとしたときに、ホームポジションと第1の位置との距離に相当するパルス数とはかなり異なる数(大きい場合も小さい場合もある)のパルスを与えないと遮蔽板は第1の位置に到達しない。
そこで異常検知手段は、遮蔽板がホームポジション(実際にはホームポジションであると認識していた位置)から第1の位置へ移動するまでのパルス数を計数し、その計数値が規定の範囲に収まっていない場合に、絞り孔の変更直前の遮蔽板の位置が異常である、つまり位置ずれがある、と判断する。これにより、少なくとも過去の直近に取得されたデータが、適切な絞り条件の下で取得されたものでないことを認識し、これをユーザに知らせて信頼性のないデータの棄却を促したり、或いは自動的にデータを棄却したりすることができる。なお、上記規定の範囲とは、ホームポジションと第1の位置との距離に相当するパルス数を中心に、位置検知手段による位置検知のばらつきや駆動機構等の機械的なガタなどを考慮して予め決めておけばよい。
また本発明に係るX線分析装置において、好ましくは、前記移動制御手段は、絞り孔の変更がない場合であっても所定の分析実行回数毎に、その絞り孔に応じた数のパルスを前記パルスモータに与えて前記遮蔽板を第2の位置に戻した後に、さらに前記位置検知手段による検知信号が得られるまでパルスを前記パルスモータに与えることで前記遮蔽板を移動させ、前記異常検知手段は、その移動制御の際に、前記遮蔽板が第2の位置から第1の位置に来るまでのパルスの計数値を利用して、少なくともその移動直前の遮蔽板の位置が異常であることを検知する構成とするとよい。
この構成によれば、絞り孔の変更がない場合であっても、所定の分析回数毎に遮蔽板の位置ずれの異常検知が実施される。したがって、同じ絞り孔の条件の下で繰り返し分析が実施されることが多いような用途でも、遮蔽板の位置の異常を検知してデータの信頼性を高めることができる。
通常、駆動機構や位置検知手段はもともとX線分析装置が備えるものであり、移動制御手段や異常検知手段は、CPU上で動作させるプログラムによりその機能が実現可能なものである。したがって、本発明に係るX線分析装置によれば、面倒なハードウエアを付加したり既存のハードウエアを大きく変更することなく、プログラムを変更したり追加したりすることによって、遮蔽板の位置ずれ、即ち、意図しない絞り孔の設定や絞り孔でない箇所が励起線やX線の光軸上にきてしまうといった不具合を検知することができる。それによって、不具合な状態で取得されたデータを排除することができ、データの信頼性を確保することができる。また、そのために、装置の大きな変更を行うことを回避でき、コストの大幅な増加を避けることができる。また、従来の装置のプログラムの更新のみで上記のような機能を追加することも可能である。
本発明の一実施例である蛍光X線分析装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるエネルギー分散型蛍光X線分析装置の検出部の概略構成図、図2は本実施例の蛍光X線分析装置におけるX線照射領域絞りの切替機構及び回路の概略構成図である。
図1に示すように、X線管1から出射された1次X線が試料2に照射されると、1次X線により励起されて試料2から蛍光X線が放出される。この蛍光X線は例えばリウムドリフトSi検出器などの半導体検出器3に導入され、蛍光X線のエネルギー(波長)と強度とが検出される。X線管1と試料2との間には、試料2上でのX線照射領域2aを制限するための絞り孔を設けたX線遮蔽板4が介挿されている。
図2に示すように、X線遮蔽板4は細長い板状部材に一列に異なる内径の絞り孔4a〜4dを複数(この例では4個)設けたものである。パルスモータ(ステッピングモータ)を含む駆動機構14による回転動作は、ラック・ピニオンを含む伝達機構15により直線動作に変換され、それによってX線遮蔽板4は絞り孔4a〜4dの配列方向と同方向に往復直線移動可能となっている。パルスモータは制御部10から送られるパルス信号により動作する。この制御部10には、ユーザが分析に使用する絞り孔4a〜4dを設定するための入力部11と、絞り孔の選択状況を知らせたり動作異常を報知するための表示部12が付設されている。また、本発明における位置検知手段としてのセンサ13はX線遮蔽板4が予め定められた原点位置(本発明における第1の位置)P1に来たことを検知するものである。本実施例ではフォトセンサを用いているが、これはメカニカルスイッチや磁気センサ等であっても構わない。
制御部10はCPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコントローラなどを中心に構成され、ROM等に予め格納される制御プログラムをCPUが実行することにより、後述するような特徴的な異常検知処理が達成される。
上記蛍光X線分析装置では、図示しない試料交換機構により分析対象の試料が順次自動的に交換されつつ、試料に含まれる1乃至複数の特定元素の定量が行われ、その定量結果が記録されたり、さらにはその定量値が所定の閾値と比較されることで試料の合否(例えば不純物元素の量が閾値以上であるときに不合格)が判定されたりする。ユーザは、1つの試料に対する分析毎に、使用する絞り孔4a〜4dの種類を分析条件として予め指示することが可能である。
電源が投入されて本装置が起動すると、制御部10は装置の初期化を実行する。X線照射領域絞り切替機構については、図3に示したフローチャートに従って初期化を実行する。即ち、まず制御部10はパルスモータにパルス信号を送出し、X線遮蔽板4を原点位置P1の方向に移動させる(ステップS1)。制御部10はセンサ13からの検知信号によりX線遮蔽板4が原点位置P1に達したことを認識すると(ステップS2でYes)、それからさらに規定数Nだけパルス信号をパルスモータに送出する(ステップS3)。これにより、X線遮蔽板4は原点位置P1からさらに規定数Nのパルス信号に相当する距離だけ移動した位置で停止する。この停止位置をホームポジションP2とする。
図4及び図5は、分析に際して絞り孔が選択されたときのX線照射領域絞り切替機構に対する制御動作のフローチャートである。
絞り孔の選択指示がなされると(ステップS11)、制御部10はまず選択指示された絞り孔がその時点で設定されている絞り孔と同一であるか否かを判定する(ステップS12)。例えば、いま最大の絞り径を有する絞り孔4dが設定されている状態であるときに他の絞り径の絞り孔4a〜4dが選択指示された場合、ステップS12でNoと判定される。すると制御部10は、絞り孔位置の異常検知動作を伴う絞り切替え動作を実施する(ステップS30)。
即ち、まずX線遮蔽板4を一旦ホームポジションP2に戻すために、その時点で設定されている絞り孔に対応して定められている数のパルス信号をパルスモータへと送出する(ステップS31)。その後、センサ13からの検知信号によりX線遮蔽板4が原点位置P1に達したことを認識するまで(ステップS33でYes)、パルス信号の数を計数しながらパルス信号をパルスモータへと送出する(ステップS32)。
制御部10は原点位置P1であると認識されたときのパルス信号の計数値nを取得し(ステップS34)、この計数値nと規定数Nとの差Δを計算する(ステップS35)。計数値nはX線遮蔽板4がホームポジションP2と原点位置P1との間を移動するのに要したパルス信号の数であるから、ステップS31の制御によって戻った位置が本来のホームポジションP2であれば、計数値nと規定数Nとは一致し、差Δはゼロになる筈である。但し、実際には、センサ13による位置検知には或る程度の誤差があり、駆動機構14や伝達機構15には機構的なガタ(遊び)があるから、計数値nと規定数Nとは完全には一致しない。そこで、こうしたガタや位置検知誤差を考慮して、差Δの許容値を予め定めておくものとする。
制御部10は算出した差Δが許容値以下であるか否かを判定し(ステップS36)、許容値以下であれば、X線遮蔽板4をホームポジションP2に戻してさらに選択指示された絞り孔に対応した数のパルス信号をパルスモータに送ることにより、選択指示された絞り孔が設定されるようにする(ステップS37)。それから、制御部10は指示された絞り孔が設定されたことを示す表示を表示部12に出力する(ステップS38)。これにより、選択指示された絞り孔を使用した次の分析が可能な状態となる。この後に、後述する繰り返し選択回数mをゼロにリセットする(ステップS39)。
これに対し、ステップS35で算出された差Δが許容値を超えている場合には、ステップS31の制御により戻った位置は本来のホームポジションP2でないと考えられる。それは、その時点で制御部10が把握していた絞り孔の種類と実際に設定されていた絞り孔とが異なるか、或いは、絞り孔でない箇所にX線が当たるようになっていた等、の可能性があることを意味する。即ち、駆動機構14や伝達機構15の動作時のスリップ(脱調)や外乱によるX線遮蔽板4の位置ずれが要因として考えられる。そこで、制御部10は動作異常であることを示すエラー表示を表示部12に出力する(ステップS40)。この場合、その直前及びそれ以前に同じ絞り孔の設定で得られたデータは信頼性がないため、エラー表示を見たユーザは、既に取得されたデータを棄却する等の対応をとる。もちろん、より直接的にデータを棄却するように指示する表示を行うことも可能である。
ステップS12において選択指示された絞り孔がその時点で設定されている絞り孔と同一であると判定された場合には、制御部10は繰り返し選択回数mをインクリメントした上で(ステップS13)、繰り返し選択回数mが予め定めた規定回数M未満であるか否かを判定する(ステップS14)。ここで規定回数Mは後述するように適宜に定められる。繰り返し選択回数mが規定回数M未満であれば、制御部10は指示された絞り孔が設定されていることを示す表示を表示部12に出力する(ステップS25)。即ち、この場合には、後述する異常検知動作は実施されない。
繰り返し選択回数mが規定回数Mに達した場合には、絞り孔を変更する必要はないものの前述の絞り孔切替え動作時と同様の異常検知動作を実施する(ステップS15)。即ち、X線遮蔽板4を一旦ホームポジションに戻すために、その時点で設定されている絞り孔に対応して定められている数のパルス信号をパルスモータへと送出する(ステップS16)。その後、センサ13からの検知信号によりX線遮蔽板4が原点位置P1に達したことを認識するまで(ステップS18でYes)、パルス信号の数を計数しながらパルス信号をパルスモータへと送出する(ステップS17)。
制御部10は原点位置P1であると認識されたときのパルス信号の計数値nを取得し(ステップS19)、この計数値nと規定数Nとの差Δを計算する(ステップS20)。規定数Nは上記ステップS35における規定数Nと同じである。制御部10は算出した差Δが許容値以下であるか否かを判定し(ステップS21)、許容値以下であれば、X線遮蔽板4をホームポジションに戻してさらに選択指示された絞り孔に対応した数のパルス信号をパルスモータに送ることにより、選択指示された(実際には切替えはしない)絞り孔が設定されるようにする(ステップS22)。それから、制御部10は指示された絞り孔が設定されたことを示す表示を表示部12に出力する(ステップS23)。そして、選択繰り返し回数mをゼロにリセットする(ステップS24)。
これに対し、ステップS20で算出された差Δが許容値を超えている場合には、ステップS16の制御により戻った位置は本来のホームポジションP2でないと考えられる。そこで、制御部10は動作異常であることを示すエラー表示を表示部12に出力する(ステップS26)。この場合には、直近に異常検知動作を実施した時点以降に得られたデータは信頼性がないため、エラー表示を見たユーザは、既に取得されたデータを棄却する等の対応をとる。もちろん、より直接的にデータを棄却するように指示する表示を行うことも可能である。
絞り孔の変更の選択指示が行われた場合には、ステップS30〜S36の処理により、絞り孔の変更と同時にその直前(つまり変更前)の状態の異常検知が実施される。一方、絞り孔の変更がなされない場合には、本来はX線遮蔽板4を移動する必要はない。しかしながら、蛍光X線分析装置の一般的な使用形態として、同じ絞り孔(普通は開口面積が最大の絞り孔)が繰り返し使用されることが多く、絞り孔を変更するケース、つまりステップS12でNoと判定されるケースは比較的少ない。そのため、絞り孔の変更がなされない場合に全く異常検知動作を実施しないものとすると、仮にX線遮蔽板4の位置ずれが生じていたとしてもこれが検知されずに適切でないデータが長期間に亘って取得され続けるおそれがある。
それに対し、図4に示したステップS13〜S21の処理によれば、絞り孔が全く変更されない場合でも、規定回数M毎に異常検知動作が実施されることになる。したがって、X線遮蔽板4の位置ずれが生じていた場合でも、棄却すべきデータは過去に遡って規定回数M分だけで済み、それよりもさらに過去のデータの信頼性は保証される。このような理由により、規定回数Mの値を小さくすれば、X線遮蔽板4の位置ずれが生じていた場合に棄却するデータが少なくて済む。一方、規定回数Mの値を小さくすると、絞り孔を変更しないにも拘わらずステップS16〜S24の処理を実行する頻度が高まり、そのだけ分析の所要時間が長くなってスループットが低下する。また、駆動機構14や伝達機構15の動作回数が増えて部品の消耗も速くなる。したがって、こうしたことを考慮して、予め規定回数Mを決めておけばよい。例えば、1日に100回程度の分析を実行することを想定した場合に、規定回数Mを100に設定しておくとよい。
なお、上記実施例の説明では、X線照射領域を制限する絞り孔の切替機構の異常検知について説明したが、蛍光X線分析装置では、試料2と検出器3との間に、観察対象の視野領域を制限する絞りを設け、その絞りの開口面積を変化させるために、上記と同様の構造の切替機構を用いることがある。その場合にも、上述したような異常検知を利用することができ、それが有効であることは明らかである。
さらにまた、試料に1次X線を照射することで蛍光X線を放出させるもの以外に、他の励起線、例えば電子線、イオン線などを試料に照射して蛍光X線を放出させるX線分析装置にも本発明を適用できることも当然である。また、エネルギー分散型のX線分析装置だけでなく、波長分散型のX線分析装置に適用できることも明らかである。
本発明の一実施例であるエネルギー分散型蛍光X線分析装置の検出部の概略構成図。 本実施例の蛍光X線分析装置におけるX線照射領域絞り切替機構及び回路の概略構成図。 本実施例の蛍光X線分析装置におけるX線照射領域絞り切替機構の初期化動作のフローチャート。 本実施例の蛍光X線分析装置において絞り孔が選択されたときのX線照射領域絞り切替機構の制御動作のフローチャート。 本実施例の蛍光X線分析装置において絞り孔が選択されたときのX線照射領域絞り切替機構の制御動作のフローチャート。
符号の説明
1…X線管
2…試料
2a…X線照射領域
3…半導体検出器
4…X線遮蔽板
4a〜4d…絞り孔
10…制御部
11…入力部
12…表示部
13…センサ
14…駆動機構
15…伝達機構

Claims (2)

  1. 励起線源から出射された励起線を試料に照射し、それにより試料から放出されるX線を検出器に導入するX線分析装置であって、励起線源と試料との間に配置された励起線の照射領域を制限する領域制限部、又は試料と検出器との間に配置された視野領域を制限するための領域制限部のいずれかを具備するX線分析装置において、
    a)前記領域制限部としての、大きさの相違する複数の絞り孔が設けられた遮蔽板と、
    b)前記絞り孔を選択的に前記励起線又はX線の光軸上に移動させるべく前記遮蔽板を移動させるための、パルスモータを含む駆動機構と、
    c)前記遮蔽板が第1の位置に来たことを検知する位置検知手段と、
    d)前記絞り孔の変更に伴い、変更前の絞り孔に応じた数のパルスを前記パルスモータに与えて前記遮蔽板を第2の位置に戻した後に、さらに前記位置検知手段による検知信号が得られるまでパルスを前記パルスモータに与えることで前記遮蔽板を移動させる移動制御手段と、
    e)前記移動制御手段による移動制御の際に、前記遮蔽板が第2の位置から第1の位置に来るまでのパルス数を計数し、その計数値を利用して、絞り孔の変更直前の遮蔽板の位置が異常であることを検知する異常検知手段と、
    を備えることを特徴とするX線分析装置。
  2. 請求項1に記載のX線分析装置であって、
    前記移動制御手段は、絞り孔の変更がない場合であっても所定の分析実行回数毎に、その絞り孔に応じた数のパルスを前記パルスモータに与えて前記遮蔽板を第2の位置に戻した後に、さらに前記位置検知手段による検知信号が得られるまでパルスを前記パルスモータに与えることで前記遮蔽板を移動させ、
    前記異常検知手段は、その移動制御の際に、前記遮蔽板が第2の位置から第1の位置に来るまでのパルスの計数値を利用して、少なくともその移動直前の遮蔽板の位置が異常であることを検知することを特徴とするX線分析装置。
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