JP2010025273A - 車両用駆動力配分装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機のフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置の制御装置を提供する。
【解決手段】一対の電動機Mそれぞれの故障を判定するモータ故障判定手段80と、そのモータ故障判定手段80により前記一対の電動機Mのうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用するモーメントを算出するクラッチ作用モーメント算出手段88と、予め定められた関係から、そのクラッチ作用モーメント算出手段88により算出される前記故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに係るモーメントに基づいて、前記一対の電動機Mのうち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおける目標トルクを算出する目標クラッチトルク算出手段92とを、備えたものであることから、運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適な走行を実現できる。
【選択図】図4
【解決手段】一対の電動機Mそれぞれの故障を判定するモータ故障判定手段80と、そのモータ故障判定手段80により前記一対の電動機Mのうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用するモーメントを算出するクラッチ作用モーメント算出手段88と、予め定められた関係から、そのクラッチ作用モーメント算出手段88により算出される前記故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに係るモーメントに基づいて、前記一対の電動機Mのうち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおける目標トルクを算出する目標クラッチトルク算出手段92とを、備えたものであることから、運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適な走行を実現できる。
【選択図】図4
Description
本発明は、電動機により作動する一対の係合装置における係合状態を制御することで左右輪への駆動力配分を制御する車両用駆動力配分装置の制御装置に関し、特に、フェール時における好適なリンプホーム走行を実現するための改良に関する。
車両において、左右一対の駆動輪への駆動力の配分を制御する車両用駆動力配分装置が知られている。また、斯かる駆動力配分装置の一態様として、左右一対の車輪に対応して設けられた一対の係合装置と、それら一対の係合装置それぞれの係合状態を制御するために設けられた一対の電動機とを、備え、前記一対の係合装置それぞれの係合状態を制御することで前記左右一対の車輪への駆動力配分を制御する構成が知られている。例えば、特許文献1に記載されたデファレンシャル装置がそれである。斯かる駆動力配分装置によれば、左右の駆動輪のトルク差制御が可能であると共に、必要に応じてそれら一対の駆動輪の差動を制限する差動制限制御が実現される。
しかし、前述したような従来の技術において、クラッチが連結された状態で電動機が故障(作動不能)となった場合、左右輪のうち一方の駆動力が固定値となるため、直進性や旋回性の悪化が発生すると共に、クラッチの加熱による焼損乃至破損といった連鎖的な故障が生じるおそれがあった。このため、電動機のフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置の制御装置の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電動機のフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、左右一対の車輪に対応して設けられた一対の係合装置と、それら一対の係合装置それぞれの係合状態を制御するために設けられた一対の電動機とを、備え、前記一対の係合装置それぞれの係合状態を制御することで前記左右一対の車輪への駆動力配分を制御する車両用駆動力配分装置の制御装置であって、前記一対の電動機それぞれの故障を判定する電動機故障判定手段と、その電動機故障判定手段により前記一対の電動機のうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機に対応する係合装置により車両に作用する作用モーメントを算出する作用モーメント算出手段と、予め定められた関係から車両の走行状態に基づいてその車両に要求される車両要求モーメントを算出する車両要求モーメント算出手段と、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、車両の挙動安定制御を行う挙動安定制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
このようにすれば、前記一対の電動機それぞれの故障を判定する電動機故障判定手段と、その電動機故障判定手段により前記一対の電動機のうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機に対応する係合装置により車両に作用する作用モーメントを算出する作用モーメント算出手段と、予め定められた関係から車両の走行状態に基づいてその車両に要求される車両要求モーメントを算出する車両要求モーメント算出手段と、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、車両の挙動安定制御を行う挙動安定制御手段とを、備えたものであることから、運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適な走行を実現できる。すなわち、電動機のフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置の制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、前記一対の電動機のうち故障が判定されていない電動機に対応する係合装置における目標トルクを算出する目標トルク算出手段である。このようにすれば、実用的な態様で運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適なリンプホーム走行を実現できる。
また、好適には、左右一対の前輪の舵角を制御する前輪舵角制御装置と、左右一対の後輪の舵角を制御する後輪舵角制御装置とを、備え、前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、前記前輪舵角制御装置における前輪の目標舵角及び後輪舵角制御装置における後輪の目標舵角を算出する目標舵角算出手段である。このようにすれば、実用的な態様で運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適なリンプホーム走行を実現できる。
また、好適には、前記電動機故障判定手段により前記一対の電動機のうち一方の故障が判定された場合に、予め定められた関係からその故障が判定された電動機に対応する係合装置の係合状態に基づいて車両の上限車速を算出する上限車速算出手段を備えたものである。このようにすれば、前記係合装置の加熱による焼損乃至破損といった連鎖的な故障を好適に抑制することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される前置エンジン後輪駆動(FR)車両に備えられた動力伝達装置10の構成を説明する図である。この図1に示すように、斯かる動力伝達装置10において、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクは、トルクコンバータ14、変速機16、プロペラシャフト18、リアデファレンシャル20、及び左右一対の後輪車軸22l、22r(以下、特に区別しない場合には単に後輪車軸22という)を介して左右一対の後輪24l、24r(以下、特に区別しない場合には単に後輪24という)へ伝達されるように構成されている。また、運転者によるステアリングホイール26の操作に応じて、或いは必要に応じてそのステアリングホイール26の操作とは独立に後輪24及び前輪34の舵角を制御するための可変ギヤ比ステアリング(VGRS)28と、斯かる制御に関して左右一対の後輪24の舵角を制御する後輪舵角制御装置(ARS)30と、左右一対の前輪34l、34r(以下、特に区別しない場合には単に前輪34という)の舵角を制御する前輪舵角制御装置32とを、備えている。
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ14は、例えば、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、上記変速機16の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して変速機ケースに固定されたステータ翼車とを、備えており、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。また、上記変速機16は、例えば、複数の摩擦係合要素を備え、それら摩擦係合要素の係合又は解放の組み合わせに応じて複数の変速比を選択的に成立させて、入力軸から入力された駆動力を変速して出力させる自動変速機である。
図1に示すように、前記動力伝達装置10は、前記エンジン12及び変速機16等の作動を制御するEV−ECU36、前記リアデファレンシャル20等の作動を制御するDEF−ECU38、前記後輪舵角制御装置30等の作動を制御するARS−ECU40、及び前記前輪舵角制御装置32等の作動を制御するVGRS−ECU42等の電子制御装置を備えている。これらEV−ECU36、DEF−ECU38、ARS−ECU40、及びVGRS−ECU42は、何れもCPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、相互間で制御に関する情報の送受信が可能とされている。また、前記動力伝達装置10には、車速に対応する各車輪の実際の回転速度を検出する車輪速センサ44、車両の実際のヨーレイト(ヨー角速度)を検出するヨーレイトセンサ46、及び車両の実際の横方向加速度(横G)を検出する横加速度センサ48等の各種センサが設けられており、それぞれのセンサから車速(車輪速)を表す信号、実際のヨーレイトを表す信号、及び実際の横方向加速度を表す信号等が前記DEF−ECU30乃至他の制御装置へ供給されるようになっている。
図2は、前記リアデファレンシャル20に備えられたトルク配分機構の一例である車両用駆動力配分装置50の構成を示す図である。この図2に示すように、斯かる車両用駆動力配分装置50は、前記左右一対の後輪24(後輪車軸22)の差動回転を実現するよく知られた差動装置(デファレンシャルギヤ)52を備えており、前記エンジン12から前記プロペラシャフト18を介して伝達される駆動力(トルク)は、そのプロペラシャフト18の端部に接続された傘歯車54から、上記差動装置52のケースに設けられた傘歯車56を介してその差動装置52へ入力されるように構成されている。また、その差動装置52における前記左右一対の後輪車軸22l、22rに対応する出力軸58l、58r(以下、特に区別しない場合には単に出力軸58という)とそれら後輪車軸22l、22rとの間には、その出力軸58から後輪車軸22への動力(トルク)の伝達を制御するための動力伝達制御部60l、60r(以下、特に区別しない場合には単に動力伝達制御部60という)が設けられている。この動力伝達制御部60は、上記出力軸58と後輪車軸22との間に設けられた係合装置としてのクラッチCl、Cr(以下、特に区別しない場合には単にクラッチCという)と、それらクラッチCl、Crに対応して設けられたスラスト機構62l、62r(以下、特に区別しない場合には単にスラスト機構62という)と、それらスラスト機構62l、62rを介して上記クラッチCl、Crそれぞれの係合状態を制御するために設けられた電動機Ml、Mr(以下、特に区別しない場合には単に電動機Mという)とを、備えて構成されている。
上記クラッチCは、例えばよく知られた多板式の摩擦式係合装置である。また、上記スラスト機構62は、相対向する一対の環状部材と、それら環状部材における相対向する側の面に形成された複数の溝部にそれぞれ嵌め入れられた複数のボールとから構成されるものであり、それら一対の環状部材の相対回転により上記ボールが溝部に乗り上げることで、所謂スラスト力により上記一対の環状部材の相互間距離が離隔(乃至接近)させられるように構成されている。また、上記一対の環状部材のうち一方の環状部材の外周側には、上記電動機Mの出力歯車と噛み合わされる歯車部が形成されており、その電動機Mの回転(出力)に応じて上記一対の環状部材が相対回転させられ、それらの相互間距離が所定の値に定まるように構成されている。また、上記電動機Mは、例えばよく知られたサーボモータであり、前記DEF−ECU38からの指令に応じて所定の回転作動を行い、それにより上記一対の環状部材の相対距離を決定するように構成されている。
上述のように構成された動力伝達制御部60では、前記電動機Mの作動により前記出力軸58から後輪車軸22への動力伝達が制御される。すなわち、前記DEF−ECU38からの指令に応じた前記電動機Mの回転(出力)により前記スラスト機構62における一対の環状部材の相対距離(クラッチを押圧する面の位置)が決定され、それにより前記クラッチCの係合状態が制御される。そして、このクラッチCの係合状態に応じて前記出力軸58から後輪車軸22への動力伝達率が定まる。すなわち、前記クラッチCが完全係合させられた状態においては、前記出力軸58の出力はそのまま対応する後輪車軸22へ伝達される。また、前記クラッチCが完全解放させられた状態においては、前記出力軸58から後輪車軸22への動力伝達は遮断される。また、前記クラッチCがスリップ係合(半係合)させられた状態においては、前記出力軸58の出力がそのクラッチCの係合力に応じた所定の伝達率で対応する後輪車軸22へ伝達される。また、前記電動機Ml、Mrは、前記DEF−ECU38からの指令に応じてそれぞれ独立に作動させられるものであり、それら電動機Ml、Mrの作動に応じて前記一対の出力軸58l、58rから対応する後輪車軸22l、22rへの動力伝達がそれぞれ個別に制御される。以上のようにして、前記差動装置52における左右一対の出力軸58l、58rから前記左右一対の後輪車軸22l、22rへの動力伝達が制御され、それにより前記左右一対の後輪24への駆動力配分(トルク配分)が制御される。
図3は、前記リアデファレンシャル20に備えられたトルク配分機構の他の一例である車両用駆動力配分装置70の構成を示す図である。なお、この図3に示す車両用駆動力配分装置70において、図2を用いて前述した車両用駆動力配分装置50と共通する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図3に示すように、斯かる車両用駆動力配分装置70は、前記プロペラシャフト18から傘歯車54、56を介して伝達される駆動力を前記左右の後輪車軸22l、22rに配分するための差動装置72と、その差動装置72に隣接して設けられ、前記後輪車軸22l、22rと同軸に配設された変速装置74とを、備えて構成されている。また、その変速装置74の出力を上記差動装置72に選択的に伝達するために、前記後輪車軸22l、22rそれぞれに対応して前記動力伝達制御部60l、60rと同等の構成が設けられている。
上記差動装置54は、第1リングギヤR1、互いに噛み合う複数対の第1ピニオンギアP1、それら第1ピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持する第1キャリアCA1、及び上記複数対の第1ピニオンギヤP1を介して第1リングギヤR1と噛み合う第1サンギヤS1を備えたダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、そのギヤ比ρ(=第1サンギヤS1の歯数/第1リングギヤR1の歯数)はたとえば0.5に設定されている。上記第1リングギヤR1は、上記差動装置72のケース76内にそのケース76と一体的に設けられており、前記プロペラシャフト18の回転が傘歯車54、56により減速されてその第1リングギヤR1に伝達されるようになっている。また、上記第1キャリアCA1は、前記左後輪車軸22lを介して左後輪24lに接続されている。また、上記第1サンギヤS1は、前記右後輪車軸22rを介して右後輪24rに連結されている。
前記変速装置56は、第2サンギヤS2、第2ピニオンギヤP2、その第2ピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持する第2キャリアCA2、及び上記第2ピニオンギヤP2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えたシングルピニオン型の遊星歯車装置を備えて構成されている。上記第2キャリアCA2は、前記差動装置72の第1リングギヤR1すなわちその差動装置72のケース76に連結されており、そのケース76と同様に前記変速装置74の入力部材として機能する。また、上記第2リングギヤR2は、非回転部材78に連結されている。また、上記第2サンギヤS2は、前記変速装置74の出力部材として機能するものであり、そのサンギヤS2と前記一対の後輪車軸22l、22rとの間に前記一対の動力伝達制御部60l、60rが設けられている。すなわち、斯かる車両用駆動力配分制御装置70において、前記動力伝達制御部60l、60rは、前記変速装置74の出力部材である上記第2サンギヤS2から前記一対の後輪車軸22l、22rへの動力伝達をそれぞれ制御するように構成されている。
上述のように構成された車両用駆動力配分制御装置70では、前記電動機Mの作動により前記変速装置74から後輪車軸22への動力伝達が制御される。すなわち、前記DEF−ECU38からの指令に応じた前記電動機Mの回転(出力)により前記スラスト機構62における一対の環状部材の相対距離が決定され、それにより前記クラッチCの係合状態が制御される。このクラッチCの係合状態に応じて前記変速装置74(第2サンギヤS2)から後輪車軸22への動力伝達率が定まる。すなわち、前記クラッチCが完全係合させられた状態においては、前記変速装置74の出力はそのまま対応する後輪車軸22へ伝達される。また、前記クラッチCが完全解放させられた状態においては、前記変速装置74から後輪車軸22への動力伝達は遮断される。また、前記クラッチCがスリップ係合(半係合)させられた状態においては、前記変速装置74の出力がそのクラッチCの係合力に応じた所定の伝達率で対応する後輪車軸22へ伝達される。また、前記電動機Ml、Mrは、前記DEF−ECU38からの指令に応じてそれぞれ独立に作動させられるものであり、それら電動機Ml、Mrの作動に応じて上記変速装置74から対応する後輪車軸22l、22rへの動力伝達がそれぞれ個別に制御される。斯かる制御により、前記一対の後輪車軸22(後輪24)の間におけるトルク移動制御や、それら後輪車軸22の差動制限制御等が実現される。
図4は、前記DEF−ECU38に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示すモータ故障判定手段80は、前記車両用駆動力配分制御装置50、70(以下、車両用駆動力配分制御装置50等という)に備えられた電動機Mの故障を判定する。具体的には、前記DEF−ECU38から出力される指令値に対する前記電動機Mにおけるストロークセンサの検出値や、その電動機Mに実際に流れる電流を検出すること等によりその電動機Mの故障すなわち作動不能を判定する。
モータ位置検出手段82は、上記モータ故障判定手段80により前記電動機Mの故障が判定された場合において、その故障に係る電動機Mの回転位置(回転停止位置)を検出する。この電動機Mの回転位置は、前述のように、前記スラスト機構62の環状部材の位置(クラッチCに対する当接位置)乃至斯かる環状部材の相互間距離を定めるものであるため、上記モータ位置検出手段82は、換言すれば、前記スラスト機構62の環状部材の位置乃至斯かる環状部材の相互間距離を検出するものである。この検出は、前記電動機Mにおけるストロークセンサによりその電動機Mの実際のストロークを検出するものであってもよいし、前記スラスト機構62における環状部材の実際の位置乃至は相互間距離を検出するものであってもよい。
クラッチ締結判定手段84は、上記モータ位置検出手段82により検出された前記故障に係る電動機Mの回転位置に対応して、前記車両用駆動力配分制御装置50等に備えられたクラッチCの締着状態(係合状態)を判定する。具体的には、予め定められた関係から、上記モータ位置検出手段82により検出される前記故障に係る電動機Mのストローク、或いは前記スラスト機構62における環状部材の位置乃至は相互間距離に基づいて、その電動機Mに対応するクラッチCの係合状態(締結力)を判定する。また、好適には、前記故障に係る電動機Mに対応するクラッチCが解放状態にあるか否かを判定するものであってもよい。
クラッチ発生トルク算出手段86は、前記モータ位置検出手段82により検出された前記故障に係る電動機Mの回転位置に対応して、前記車両用駆動力配分制御装置50等に備えられたクラッチCにより発生させられるトルク(伝達トルク)Tclt1を算出する。具体的には、予め定められた関係から、前記モータ位置検出手段82により検出される前記故障に係る電動機Mのストローク、或いは前記スラスト機構62における環状部材の位置乃至は相互間距離に基づいて、その電動機Mに対応するクラッチCにより発生させられるトルクTclt1を算出する。
クラッチ作用モーメント算出手段88は、予め定められた関係から、上記クラッチ発生トルク算出手段86により算出される前記クラッチCにより発生させられるトルクTclt1に基づいて、そのクラッチCにより車両に作用する作用モーメントMclt1を算出する。例えば、前記車両用駆動力配分装置50において、前記故障に係るクラッチCにより発生させられるトルクをTclt1、前記後輪24、前輪34に共通のタイヤ半径をRTとした場合、その故障に係るクラッチCにおいて発生させられる駆動力(そのクラッチC側の車輪における駆動力)Fclt1はTclt1/RTとなり、車両のトレッド幅をTREDとした場合、その故障に係るクラッチCにより車両に作用する作用モーメントMclt1はFclt1×TRED/2となる(図5を参照)。また、上記クラッチ作用モーメント算出手段88は、前記モータ位置検出手段82により検出された前記故障に係る電動機Mの回転位置に対応して、前記車両用駆動力配分制御装置50等に備えられたクラッチCにより車両に作用するモーメントMclt1を(すなわち、故障クラッチトルクTclt1を算出することなく)算出するものであってもよい。具体的には、予め定められた関係から、前記モータ位置検出手段82により検出される前記故障に係る電動機Mのストローク、或いは前記スラスト機構62における環状部材の位置乃至は相互間距離に基づいて、その電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用する作用モーメントMclt1を算出する。
車両要求モーメント算出手段90は、予め定められた関係から車両の走行状態に応じて車両要求モーメントMreqを算出する。具体的には、予め定められた関係から、前記車輪速センサ44により検出される実際の車速V及び前記可変ギヤ比ステアリング28等により検出されるステアリングホイール角(ハンドル角)δ等に基づいて目標ヨー角速度(目標ヨーレイト)γrefを算出し、その目標ヨー角速度γrefに対応する車両要求モーメントMreqを算出する。例えば、目標ヨー角速度をγref、前記ヨーレイトセンサ46により検出される実際のヨー角速度をγreal、比例ゲインをKP、微分ゲインをKD、積分ゲインをKI、ヨー角速度偏差をγdifとして、各値から次の(1)式に従って斯かる車両要求モーメントMreqを算出する。ここで、ヨー角速度偏差をγdifは、次の(2)式で表される値である。
Mreq=KP・γdif+KD・dγdif/dt+KI・∫γdif ・・・(1)
γdif=γref−γreal ・・・(2)
γdif=γref−γreal ・・・(2)
目標クラッチトルク算出手段92は、前記モータ故障判定手段80により前記電動機Mの故障が判定された場合において、その故障に係る電動機M以外の電動機Mすなわち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおける目標トルクを算出する。具体的には、予め定められた関係から、前記クラッチ作用モーメント算出手段88により算出される前記故障に係る電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用する作用モーメントMclt1及び前記車両要求モーメント算出手段90により算出される車両要求モーメントMreqに基づいて、前記一対の電動機Ml、Mrのうち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおける目標トルクを算出する。例えば、前記故障に係る電動機Mに対応するクラッチCの作用モーメントをMclt1、車両要求モーメントをMreqとすると、故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCの要求モーメントMclt2はMreq−Mclt1となる(図5を参照)。また、斯かる故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチC側の要求駆動力Fclt2はMclt2/TRED×2となり、その故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCの目標トルクTclt2はFclt2×RTとなる。
クラッチ係合制御手段94は、上記目標クラッチトルク算出手段92により算出された目標トルクTclt2に応じて、その目標トルクTclt2が発生させられるように上記故障が判定されていない電動機Mの作動延いてはその電動機Mに対応するクラッチCの係合状態を制御する。また、前記車両用駆動力配分制御装置70等のトルク移動型駆動力配分装置に関して、好適には、前記モータ故障判定手段80により前記電動機Mの故障が判定された場合において、その故障に係る電動機Mに対応するクラッチCが解放されていると判定される場合、すなわち前記モータ位置検出手段82により検出される前記故障に係る電動機Mの位置が前記クラッチCの解放状態に相当するものである場合には、故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCを同様に解放状態とし、その制御を禁止する。
上限車速算出手段96は、前記モータ故障判定手段80により前記電動機Mの故障が判定された場合において、予め定められた関係から前記クラッチ発生トルク算出手段86により算出される前記故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに係るトルクTclt1に基づいて車両の上限車速を算出する。また、車速制御手段98は、前記HV−ECU36等により前記エンジン12の駆動を制御すること等により、上記上限車速算出手段96により算出された上限車速以上の速度が出ないように車両の駆動を制御する。換言すれば、その上限車速未満の速度範囲内において前記エンジン12等を介した駆動制御を行う。図6は、この上限車速算出手段96による車両の上限車速の算出に用いられる関係の一例を示す図であり、故障に係る電動機Mに対応するクラッチCの吸収エネルギ限界線を実線で、上限車速を破線でそれぞれ示している。前記一対の電動機Mのうち一方の電動機Mが故障しており、その故障に起因して対応するクラッチCが締結された状態で解放不能となっている場合、そのクラッチCに所定値以上のトルクが入力されることでそのクラッチCの焼き付きが発生する。図6の実線はこのクラッチCの吸収エネルギ限界線を示しており、これよりも上の領域ではクラッチCの焼き付きが発生する。破線で示す上限車速を示す線は、そのようなクラッチCの焼き付きを発生させないように所定の安全マージン分そのクラッチのエネルギ吸収限界線よりも上限車速を低い値に設定するように定められたものであり、前記故障に係る電動機Mに対応するクラッチトルクが大きいほど上限車速が小さく、クラッチトルクが小さいほど上限車速が大きくなるようにその上限車速を定めるものである。そのように上限車速を設定することで、前記故障に係る電動機Mに対応するクラッチCの加熱による焼損乃至破損といった連鎖的な故障を抑制することができる。
図7は、前記車両用駆動力配分装置70における前記DEF−ECU38によるリンプホーム走行制御の要部について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、前記モータ故障判定手段80の動作に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記一対の電動機Mのうち一方の電動機Mが故障しているか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、前記モータ位置検出手段82の動作に対応するS2において、S1にて故障が判定された電動機Mの回転位置(回転停止位置)が検出される。次に、前記クラッチ締結判定手段84の動作に対応するS3において、S2にて検出された故障に係る電動機Mの回転位置からその電動機Mに対応するクラッチCが締結状態(係合状態)にあるか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合には、S4において、S1にて故障が判定された電動機Mに対応するクラッチC及び故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCの何れもが制御禁止(解放状態)とされ、S5にて、インジケータに故障状態であることが表示された後、本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が肯定される場合には、前記クラッチ発生トルク算出手段86及びクラッチ作用モーメント算出手段88の動作に対応するS6において、S1にて故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに斯かるトルクTclt1及びモーメントMclt1が算出される。次に、前記車両要求モーメント算出手段90の動作に対応するS7において、予め定められた関係から車両の走行状態に応じて車両要求モーメントMreqが算出される。次に、前記目標クラッチトルク算出手段92の動作に対応するS8において、予め定められた関係から、S6にて算出された故障に係る電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用させられるモーメントMclt1及びS7にて算出された車両要求モーメントMreqに基づいて、前記一対の電動機Ml、Mrのうち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおける目標トルクTclt2が算出される。次に、S9において、前記一対の電動機Ml、Mrのうち故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCにおけるトルクがS8にて算出された目標トルクTclt2となるようにその電動機Mの作動が制御されると共に、故障に係る電動機Mに対応するクラッチCの制御が禁止される。次に、前記上限車速算出手段96及び車速制御手段98の動作に対応するS10において、予め定められた関係からS6にて算出された故障に係る電動機Mに対応するクラッチCにより発生させられるトルクTclt1に基づいて車両の上限車速が算出され、その上限車速未満の速度範囲内において前記エンジン12等を介した駆動制御が行われる。次に、S11において、インジケータに故障状態であることが表示された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S4及びS9が前記クラッチ係合制御手段94の動作に対応する。
このように、本実施例によれば、前記一対の電動機Mそれぞれの故障を判定するモータ故障判定手段80(S1)と、そのモータ故障判定手段80により前記一対の電動機Mのうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCにより車両に作用する作用モーメントを算出するクラッチ作用モーメント算出手段88(S6)と、予め定められた関係から車両の走行状態に基づいてその車両に要求される車両要求モーメントを算出する車両要求モーメント算出手段90(S7)と、予め定められた関係から、前記クラッチ作用モーメント算出手段88により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段90により算出される車両要求モーメントに基づいて、車両の挙動安定制御を行う挙動安定制御手段とを、備えたものであることから、運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適な走行を実現できる。すなわち、電動機Mのフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置50等の制御装置を提供することができる。
また、前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記クラッチ作用モーメント算出手段88により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段90により算出される車両要求モーメントに基づいて、前記一対の電動機Mのうち故障が判定されていない電動機Mに対応する係合装置における目標トルクを算出する目標クラッチトルク算出手段92(S8)であるため、実用的な態様で運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適なリンプホーム走行を実現できる。
また、前記モータ故障判定手段80により前記一対の電動機Mのうち一方の故障が判定された場合に、予め定められた関係からその故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCの係合状態に基づいて車両の上限車速を算出する上限車速算出手段96(S10)を備えたものであるため、前記クラッチCの加熱による焼損乃至破損といった連鎖的な故障を好適に抑制することができる。
続いて、本発明の他の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8は、前記ARS−ECU40乃至VGRS−ECU42に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図8に示す目標舵角算出手段100は、予め定められた関係から、前記クラッチ作用モーメント算出手段88により算出される前記故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに係るモーメントMclt1及び前記車両要求モーメント算出手段90により算出される車両要求モーメントMreqに基づいて、前記前輪34及び後輪24で相補的(総合的)に発生すべきモーメントMstr及びそのモーメントMstrに対応する前記前輪舵角制御装置32における前輪34の目標舵角δf及び後輪舵角制御装置30における後輪24の目標舵角δrを算出する。また、前後輪舵角制御手段102は、上記目標舵角算出手段100により算出された前輪34の目標舵角δf及び後輪24の目標舵角δrに基づいて、前記前輪舵角制御装置32及び後輪舵角制御装置30を介して前記一対の前輪34及び後輪24の舵角を制御する。図10は、斯かる舵角の制御について説明する図であり、この図に示すように、上記前後輪舵角制御手段102は、上記目標舵角算出手段100により算出される前記前輪34及び後輪24それぞれの目標舵角δf、δrに基づき、運転者による前記ステアリングホイール26の操作分に加減することにより相対的にその目標舵角δf、δrを実現する。
図9は、上記目標舵角算出手段100による前後輪目標舵角の設定について説明する図である。この図9に示す例において、与えられるべき前記前輪34の舵角をδf、前記後輪24の舵角をδrとし、これらを与えられた後の車体のスリップ角をβ、前輪−重心間距離をLf、後輪−重心間距離をLr、車速をVとすると、前記前輪34及び後輪24それぞれの車両進行方向に対する滑り角βf、βrは、それぞれ次の(3)、(4)式のように表される。この(3)、(4)式において、γrefは実現すべき目標ヨーレイトである。ここで、車両要求モーメントMreqを実現するためには、次の(5)式が成立する必要がある。この(5)式において、Kfは前輪コーナーリングパワー、Krは後輪コーナーリングパワーである。旋回を成立させるためには、更に横方向力に関して次の(6)式が成立する必要がある。この(6)式において、Mは車両重量である。ここで、成立させるべき式は(5)、(6)の2式に対して変数はβ、δf、δrの3つであるが、車両の進行方向と車体の方向が同一であることからβ=0であるため、これら(5)、(6)式により前記前輪34及び後輪24それぞれの目標舵角δf、δrを導出することができる。
βf=(β+Lf・γref/V−δf) ・・・(3)
βr=(β+Lr・γref/V−δr) ・・・(4)
Mreq=2Kf・βf・Lf−2Kr・βr・Lr−Fclt1・TRED/2cosδr ・・・(5)
M・V・γref=2Kf・βf+2Kr・βr+Fclt1・sinβr ・・・(6)
βr=(β+Lr・γref/V−δr) ・・・(4)
Mreq=2Kf・βf・Lf−2Kr・βr・Lr−Fclt1・TRED/2cosδr ・・・(5)
M・V・γref=2Kf・βf+2Kr・βr+Fclt1・sinβr ・・・(6)
図11は、前記ARS−ECU40乃至VGRS−ECU42によるリンプホーム走行制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。なお、この図11に示す制御において、前述した図7に示す制御と同一のステップについては共通の符号を付してその説明を省略する。
図11に示す制御では、前述したS4の処理に続くS12において、前記前輪34及び後輪24それぞれの舵角加減値(図10を参照)が共に0とされた後、前述したS5以下の処理が実行される。また、前述したS7の処理に続く前記目標舵角算出手段100の動作に対応するS13において、予め定められた関係から、前述したS6にて算出された前記故障が判定された電動機Mに対応するクラッチCに係るモーメントMclt1及びS7にて算出された車両要求モーメントMreqに基づいて、前後輪で発生すべきモーメントMstr及びそのモーメントMstrに対応する前記前輪舵角制御装置32における前輪34の目標舵角δf及び後輪舵角制御装置30における後輪24の目標舵角δrが算出される。次に、S14において、S1にて故障が判定された電動機Mに対応するクラッチC及び故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCの何れもが制御禁止(解放状態)とされる。次に、S15において、S13にて算出された前輪34の目標舵角δf及び後輪24の目標舵角δrに基づいて、前記前輪舵角制御装置32及び後輪舵角制御装置30を介して前記一対の前輪34及び後輪24の舵角が制御された後、S10以下の処理が実行される。以上の制御において、S12及びS15が前記前後輪舵角制御手段102の動作に対応する。
このように、本実施例によれば、左右一対の前輪34の舵角を制御する前輪舵角制御装置32と、左右一対の後輪24の舵角を制御する後輪舵角制御装置30とを、備え、前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記クラッチ作用モーメント算出手段88により算出されるクラッチ作用モーメントMclt1及び前記車両要求モーメント算出手段90により算出される車両要求モーメントMreqに基づいて、前記前輪舵角制御装置32における前輪34の目標舵角δf及び後輪舵角制御装置30における後輪24の目標舵角δrを算出する目標舵角算出手段100(S13)であることから、運転者の要求する直進性乃至旋回性を確保して好適な走行を実現できる。すなわち、電動機Mのフェール時において好適なリンプホーム走行を実現する車両用駆動力配分装置50等の制御装置を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前置エンジン後輪駆動(FR)車両に本発明が適用された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前置エンジン前輪駆動(FF)車両や、前後輪駆動車両(4輪駆動車両)に本発明が適用されてもよいことは言うまでもない。また、斯かる場合において、本発明の車両用駆動力配分装置は、車両に備えられた一対の前輪、乃至前輪及び後輪の両方に備えられたものであっても構わない。
また、前述の実施例では、前記後輪舵角制御装置30及び前輪舵角制御装置32を備えた車両に本発明が適用された例を説明したが、前記故障が判定されていない電動機Mに対応するクラッチCに係るモーメントを制御することによりリンプホーム走行を実現する態様では、それら後輪舵角制御装置30及び前輪舵角制御装置32は必ずしも備えられなくともよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
24:後輪
30:後輪舵角制御装置
32:前輪舵角制御装置
34:前輪
50:車両用駆動力配分装置
70:車両用駆動力配分装置
80:モータ故障判定手段
88:クラッチ作用モーメント算出手段
90:車両要求モーメント算出手段
92:目標クラッチトルク算出手段(挙動安定制御手段)
100:目標舵角算出手段(挙動安定制御手段)
C:クラッチ(係合装置)
M:電動機
30:後輪舵角制御装置
32:前輪舵角制御装置
34:前輪
50:車両用駆動力配分装置
70:車両用駆動力配分装置
80:モータ故障判定手段
88:クラッチ作用モーメント算出手段
90:車両要求モーメント算出手段
92:目標クラッチトルク算出手段(挙動安定制御手段)
100:目標舵角算出手段(挙動安定制御手段)
C:クラッチ(係合装置)
M:電動機
Claims (4)
- 左右一対の車輪に対応して設けられた一対の係合装置と、
それら一対の係合装置それぞれの係合状態を制御するために設けられた一対の電動機と
を、備え、
前記一対の係合装置それぞれの係合状態を制御することで前記左右一対の車輪への駆動力配分を制御する車両用駆動力配分装置の制御装置であって、
前記一対の電動機それぞれの故障を判定する電動機故障判定手段と、
該電動機故障判定手段により前記一対の電動機のうち一方の故障が判定された場合に、その故障が判定された電動機に対応する係合装置により車両に作用する作用モーメントを算出する作用モーメント算出手段と、
予め定められた関係から車両の走行状態に基づいて該車両に要求される車両要求モーメントを算出する車両要求モーメント算出手段と、
予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、車両の挙動安定制御を行う挙動安定制御手段と
を、備えたものであることを特徴とする車両用駆動力配分装置の制御装置。 - 前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、前記一対の電動機のうち故障が判定されていない電動機に対応する係合装置における目標トルクを算出する目標トルク算出手段である請求項1に記載の車両用駆動力配分装置の制御装置。
- 左右一対の前輪の舵角を制御する前輪舵角制御装置と、
左右一対の後輪の舵角を制御する後輪舵角制御装置と
を、備え、
前記挙動安定制御手段は、予め定められた関係から、前記作用モーメント算出手段により算出される作用モーメント及び前記車両要求モーメント算出手段により算出される車両要求モーメントに基づいて、前記前輪舵角制御装置における前輪の目標舵角及び後輪舵角制御装置における後輪の目標舵角を算出する目標舵角算出手段である請求項1に記載の車両用駆動力配分装置の制御装置。 - 前記電動機故障判定手段により前記一対の電動機のうち一方の故障が判定された場合に、予め定められた関係からその故障が判定された電動機に対応する係合装置の係合状態に基づいて車両の上限車速を算出する上限車速算出手段を備えたものである請求項1から3の何れか1項に記載の車両用駆動力配分装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008189239A JP2010025273A (ja) | 2008-07-22 | 2008-07-22 | 車両用駆動力配分装置の制御装置 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=41731301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008189239A Pending JP2010025273A (ja) | 2008-07-22 | 2008-07-22 | 車両用駆動力配分装置の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010025273A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101704299B1 (ko) * | 2015-12-04 | 2017-02-08 | 현대자동차주식회사 | 하이브리드 dct차량용 주행 제어방법 |
CN110481338A (zh) * | 2019-07-23 | 2019-11-22 | 武汉理工大学 | 一种轮毂电机车辆失效控制方法及整车控制器 |
-
2008
- 2008-07-22 JP JP2008189239A patent/JP2010025273A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101704299B1 (ko) * | 2015-12-04 | 2017-02-08 | 현대자동차주식회사 | 하이브리드 dct차량용 주행 제어방법 |
US9738275B2 (en) | 2015-12-04 | 2017-08-22 | Hyundai Motor Company | Driving control method for hybrid type vehicles with dual clutch transmission |
CN110481338A (zh) * | 2019-07-23 | 2019-11-22 | 武汉理工大学 | 一种轮毂电机车辆失效控制方法及整车控制器 |
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