JP2010025251A - 転がり軸受用密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速回転時にアキシアルリップとスリンガが接触状態を保つことができる転がり軸受用密封装置を提供する。
【解決手段】転がり軸受のシール20の側面30には、スリンガ40に向かってアキシアルリップ32が形成されている。アキシアルリップ32の先端には、軸受の外方に向かって拡径し、軸受の回転停止状態でスリンガ40に接触状態とされる円錐形状の第1摺接部34と、軸受外方に向かって縮径し、軸受の回転停止状態でスリンガ40に非接触とされる逆円錐形状の第2摺接部36とが形成されている。そして、アキシアルリップ32の第2摺接部36は、軸受の高速回転状態では遠心力作用によりスリンガ40の凸状部46と接触状態となる構成とされている。
【選択図】図2
【解決手段】転がり軸受のシール20の側面30には、スリンガ40に向かってアキシアルリップ32が形成されている。アキシアルリップ32の先端には、軸受の外方に向かって拡径し、軸受の回転停止状態でスリンガ40に接触状態とされる円錐形状の第1摺接部34と、軸受外方に向かって縮径し、軸受の回転停止状態でスリンガ40に非接触とされる逆円錐形状の第2摺接部36とが形成されている。そして、アキシアルリップ32の第2摺接部36は、軸受の高速回転状態では遠心力作用によりスリンガ40の凸状部46と接触状態となる構成とされている。
【選択図】図2
Description
この発明は転がり軸受用密封装置に関する。具体的には内輪と外輪の間をシールで覆い、シールの外側にスリンガを配設した転がり軸受用密封装置に関する。
自動車用のエンジン周辺補機に使用されるアイドラ用軸受、例えばアイドラプーリに使用される軸受は、水や塵などの異物が軸受の内部に侵入することを防止するために、円環状のシールで外輪と内輪の間を覆う密封装置を備えている。ここで、この種の軸受は内輪と外輪が相対回転するため、シールを外輪と内輪に完全に固定することができない。そこで、シールの外周を外輪に固定しシールの内周にシールリップを設けて内輪に摺接させる等の構成として、内輪と外輪の相対的な回転を許容している。
そして、アイドラ用軸受は高速回転で使用されるので、シールの摺動部の発熱を防ぐために、シールリップは少量のしめしろを有する軽接触タイプとする必要がある。また、アイドラ用軸受は外輪が高速回転するので外輪に固定されたシールも高速回転し、シールリップが回転の遠心力により変形してシールリップのしめしろが更に小さくなるため、密封性が低下する。
そのため、外輪と内輪の間をシールで覆うだけでは外部からの水や塵に対する密封性が十分とはいえず、水や塵がシールリップと内輪の間から軸受内部に進入するのを抑止することが困難である。
そのため、外輪と内輪の間をシールで覆うだけでは外部からの水や塵に対する密封性が十分とはいえず、水や塵がシールリップと内輪の間から軸受内部に進入するのを抑止することが困難である。
そこで、シールの外側にスリンガと呼ばれる遮蔽板を設けた構成とした密封装置が提案されている。シールの外側にスリンガを配設することにより、シールリップに直接水や塵がかからない効果、および、シールとスリンガの間に入った水や塵を軸受の回転時の遠心力で外部に飛ばす効果がある。
しかし、昨今は、自動車の使用条件が厳しくなり、被水量が増加する環境や冠水状態での使用が求められている。そこで、大量の被水があった場合でも防水性を維持するために、シールリップと内輪の締め代を大きくすると、トルクが大きくなり、高速回転性能に支障をきたす。さらに、回転による遠心力によりシールリップが外径側に撓んで変形し、シールリップと内輪との接触状態が変化して、防水性が低下してしまう。
そこで、シールのスリンガ側の側面に軸方向外方に向かって拡径する円環形状の突起を形成し、突起をスリンガに摺接させて軸受の密封性を向上させる方法が提案されている。例えば、特開2004−11732号公報(特許文献1)には、シールがアキシアルリップを有する構成とされた軸受の密封構造が記載されている。
図5に、特許文献1に記載されている密封構造とほぼ同様の構造のシール本体110とスリンガ105による密封構造を示す。シール本体110には、スリンガ105の内周側の軸に平行な部位に摺接するシールリップ120と、スリンガ105の軸に垂直な部位に摺接するアキシアルリップ112が形成されている。このアキシアルリップ112がスリンガ105に接触して、水や塵等の異物がシールリップ120の周囲に達する径路を塞ぐため、軸受の防水性、防塵性が高められ、軸受の密封性能の向上が期待できる。
特開2004−11732号公報
図5に、特許文献1に記載されている密封構造とほぼ同様の構造のシール本体110とスリンガ105による密封構造を示す。シール本体110には、スリンガ105の内周側の軸に平行な部位に摺接するシールリップ120と、スリンガ105の軸に垂直な部位に摺接するアキシアルリップ112が形成されている。このアキシアルリップ112がスリンガ105に接触して、水や塵等の異物がシールリップ120の周囲に達する径路を塞ぐため、軸受の防水性、防塵性が高められ、軸受の密封性能の向上が期待できる。
ところで、外輪が回転するタイプの軸受では、外輪に固定されたシールは外輪と共に回転するため、回転による遠心力を受ける。そして、特許文献1に記載されたような、アキシアルリップが軸受外方に向けて外径側に拡径する構成では、軸受の高速回転時には、遠心力がアキシアルリップを外径側に引っ張るように働いて、アキシアルリップとスリンガの間に隙間が生じることがあるため、水や塵等の異物がこの隙間から軸受の内部に侵入することが考えられる。
もっとも、軸受の被水量が増加するのは、車両が河川に入ったり、水の中に入る場合であり、軸受がさほど高速回転のときではない。よって、防水性は軸受が低速回転時のみ維持できればよく、高速回転時にはさほど防水性は必要ないので、特許文献1に記載されたものと同様の構成のアキシアルリップを設ければよいと考えることもできる。
もっとも、軸受の被水量が増加するのは、車両が河川に入ったり、水の中に入る場合であり、軸受がさほど高速回転のときではない。よって、防水性は軸受が低速回転時のみ維持できればよく、高速回転時にはさほど防水性は必要ないので、特許文献1に記載されたものと同様の構成のアキシアルリップを設ければよいと考えることもできる。
しかしながら、水の中で車がスタックしたときには、脱出のために一時的に高速回転とする必要が生じ、高速回転時に遠心力によりアキシアルリップが変形して、水の中で、アキシアルリップとスリンガの間に隙間が生じてしまうことが懸念される。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高速回転時にアキシアルリップとスリンガが接触状態を保つことができる転がり軸受用密封装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる転がり軸受用密封装置は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、外輪に固定され外輪と共に一体的に回転し、内輪と摺接するシールと、該シールの軸受外側に内輪と同軸に配設されたスリンガとを備え、該シールと該スリンガとにより郭定される空隙部がスリンガの外径側の端で軸受の外部に開口する構成とされた転がり軸受用密封装置であって、
前記シールの前記スリンガに面する側面には軸受の外方に向かってアキシアルリップが延設形成されており、
前記アキシアルリップには、軸受外方に向かって拡径し、軸受の回転停止状態で先端部が前記スリンガに接触状態として配設される円錐形状の第1摺接部と、軸受外方に向かって縮径し、軸受の回転停止状態で前記スリンガに非接触として配設される逆円錐形状の第2摺接部とが形成されており、
前記アキシアルリップの第2摺接部は、軸受の高速回転状態では遠心力作用により前記スリンガと接触状態となる構成とされていることを特徴とする。
この第1の発明によれば、軸受の回転停止時または低速回転時にはアキシアルリップの第1摺接部がスリンガと接触状態となり、シールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。また、軸受の高速回転時には遠心力によりアキシアルリップの第2摺接部が軸受の外径側に向かって変形して、スリンガと接触状態となる。よって、軸受の高速回転時においてもシールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。なお、軸受の回転停止状態ではアキシアルリップの第2摺接部とスリンガは非接触とされているので、スリンガに第2摺接部を設けたことによるトルク増加は生じない。
まず、本発明の第1の発明は、外輪に固定され外輪と共に一体的に回転し、内輪と摺接するシールと、該シールの軸受外側に内輪と同軸に配設されたスリンガとを備え、該シールと該スリンガとにより郭定される空隙部がスリンガの外径側の端で軸受の外部に開口する構成とされた転がり軸受用密封装置であって、
前記シールの前記スリンガに面する側面には軸受の外方に向かってアキシアルリップが延設形成されており、
前記アキシアルリップには、軸受外方に向かって拡径し、軸受の回転停止状態で先端部が前記スリンガに接触状態として配設される円錐形状の第1摺接部と、軸受外方に向かって縮径し、軸受の回転停止状態で前記スリンガに非接触として配設される逆円錐形状の第2摺接部とが形成されており、
前記アキシアルリップの第2摺接部は、軸受の高速回転状態では遠心力作用により前記スリンガと接触状態となる構成とされていることを特徴とする。
この第1の発明によれば、軸受の回転停止時または低速回転時にはアキシアルリップの第1摺接部がスリンガと接触状態となり、シールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。また、軸受の高速回転時には遠心力によりアキシアルリップの第2摺接部が軸受の外径側に向かって変形して、スリンガと接触状態となる。よって、軸受の高速回転時においてもシールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。なお、軸受の回転停止状態ではアキシアルリップの第2摺接部とスリンガは非接触とされているので、スリンガに第2摺接部を設けたことによるトルク増加は生じない。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る転がり軸受用密封装置であって、
前記アキシアルリップは軸受外方に向かって拡径し、該アキシアルリップの先端が前記第1摺接部とされており、該アキシアルリップが軸受外方に向かって拡径する途中から分岐して、前記第2摺接部が形成されており、
前記スリンガの前記シールに面する側面には凸状部が形成されており、
軸受の高速回転状態では、前記アキシアルリップの第2摺接部が前記スリンガの凸状部の内径側に接触状態となる構成とされていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、アキシアルリップが遠心力により径方向外方に引っ張られるように変形すると、つられて、アキシアルリップの途中から分岐している第2摺接部も径方向外方へ引っ張られるように変形する。そのため、アキシアルリップの付根から第2摺接部の先端までの軸方向の長さはほとんど変化しなくても、第2摺接部をスリンガの凸状部の内径側の斜面に接触状態とさせることができる。よって、アキシアルリップに遠心力が働いて第1摺接部がスリンガから離れようとする変形を、第2摺接部をスリンガの凸状部に接触させる変形につなげることができる。また、アキシアルリップの第2摺接部は変形により軸方向の長さが変化してスリンガの側面に達する必要がないので、第2摺接部の長さを短く剛性を高めに設定することができる。
前記アキシアルリップは軸受外方に向かって拡径し、該アキシアルリップの先端が前記第1摺接部とされており、該アキシアルリップが軸受外方に向かって拡径する途中から分岐して、前記第2摺接部が形成されており、
前記スリンガの前記シールに面する側面には凸状部が形成されており、
軸受の高速回転状態では、前記アキシアルリップの第2摺接部が前記スリンガの凸状部の内径側に接触状態となる構成とされていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、アキシアルリップが遠心力により径方向外方に引っ張られるように変形すると、つられて、アキシアルリップの途中から分岐している第2摺接部も径方向外方へ引っ張られるように変形する。そのため、アキシアルリップの付根から第2摺接部の先端までの軸方向の長さはほとんど変化しなくても、第2摺接部をスリンガの凸状部の内径側の斜面に接触状態とさせることができる。よって、アキシアルリップに遠心力が働いて第1摺接部がスリンガから離れようとする変形を、第2摺接部をスリンガの凸状部に接触させる変形につなげることができる。また、アキシアルリップの第2摺接部は変形により軸方向の長さが変化してスリンガの側面に達する必要がないので、第2摺接部の長さを短く剛性を高めに設定することができる。
上述の本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述の第1の発明によれば、軸受の回転停止時または低速回転時にはアキシアルリップの第1摺接部がスリンガと接触状態となり、軸受の高速回転時にはアキシアルリップの第2摺接部がスリンガと接触状態となる。よって、軸受の低速回転時および高速回転時のいずれにおいても、シールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。
次に、上述の第2の発明によれば、アキシアルリップに遠心力が働いて第1摺接部がスリンガから離れようとする変形を、第2摺接部をスリンガの凸状部に接触させる変形につなげることができる。また、アキシアルリップの第2摺接部は変形により軸方向の長さが変化してスリンガの側面に達する必要がないので、第2摺接部の長さを短く剛性を高めに設定することができる。
まず、上述の第1の発明によれば、軸受の回転停止時または低速回転時にはアキシアルリップの第1摺接部がスリンガと接触状態となり、軸受の高速回転時にはアキシアルリップの第2摺接部がスリンガと接触状態となる。よって、軸受の低速回転時および高速回転時のいずれにおいても、シールとスリンガの間から軸受内部への水や異物の侵入を抑止することができる。
次に、上述の第2の発明によれば、アキシアルリップに遠心力が働いて第1摺接部がスリンガから離れようとする変形を、第2摺接部をスリンガの凸状部に接触させる変形につなげることができる。また、アキシアルリップの第2摺接部は変形により軸方向の長さが変化してスリンガの側面に達する必要がないので、第2摺接部の長さを短く剛性を高めに設定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明する。
まず、本発明の実施例1について、その構成を説明する。
図1に本発明の実施例1における転がり軸受用密封装置を備えた転がり軸受10を使用するアイドラプーリ50の部分断面図を示す。そして、図2には図1に示した転がり軸受10の密封装置部分の拡大図を示す。
図1および図2に示すように、転がり軸受10はアイドラプーリ50に使用される外輪回転タイプの複列玉軸受であって、内輪12、外輪14、複列の球16、球16を保持する保持器18,内輪12と外輪14の間を覆うシール20、シール20の軸受外側に設けられたスリンガ40から構成されている。そして、これらの構成要素のうちで、内輪12、外輪14、シール20およびスリンガ40が転がり軸受10を密封する密封装置を形成している。
図1に本発明の実施例1における転がり軸受用密封装置を備えた転がり軸受10を使用するアイドラプーリ50の部分断面図を示す。そして、図2には図1に示した転がり軸受10の密封装置部分の拡大図を示す。
図1および図2に示すように、転がり軸受10はアイドラプーリ50に使用される外輪回転タイプの複列玉軸受であって、内輪12、外輪14、複列の球16、球16を保持する保持器18,内輪12と外輪14の間を覆うシール20、シール20の軸受外側に設けられたスリンガ40から構成されている。そして、これらの構成要素のうちで、内輪12、外輪14、シール20およびスリンガ40が転がり軸受10を密封する密封装置を形成している。
シール20は、図2に示すように、金属製の芯金22の軸受外側をゴム製の被覆部24で覆った円環状の部材であって、シール20の外周縁部にはシール20を外輪14に取付けるための固定部26が形成されている。そして、固定部26が外輪14の内径面に設けられたシール溝15に装着されて、シール20が外輪14の内径面に固定されている。そして、シール20の内周縁部の軸受内側にはシールリップ28が形成されており、シールリップ28が内輪12の外径側に軸に垂直に形成された摺接面13に摺接している。そして、シール20が外輪14と共に高速回転すると、シールリップ28は内輪12の摺接面13に摺接しながら高速回転する。そのため、シールリップ28は摺接面13に対して軽接触とされている。
そして、図2に示すように、シール20の固定部26とシールリップ28の間の軸方向外方は平坦な側面30とされており、側面30の径方向ほぼ中央部に、軸受外方に向けて拡径する円錐形状のアキシアルリップ32が延設形成されている。アキシアルリップ32はシール20の側面30への付け根部分での厚みが最大で、先端に向かって厚みが減少する構成とされている。そして、アキシアルリップ32の先端部分は第1摺接部34とされている。
そして、アキシアルリップ32が軸受外方に向かって拡径する途中から分岐して、軸受外方に向かって縮径する逆円錐形状の第2摺接部36が形成されている。
そして、アキシアルリップ32が軸受外方に向かって拡径する途中から分岐して、軸受外方に向かって縮径する逆円錐形状の第2摺接部36が形成されている。
スリンガ40は円環状の金属板であって、図2に示すように、内周側に内周の端を転がり軸受10の内側向きに円筒状に曲げた円筒部42が形成されており、円筒部42が内輪12の外径側に圧入されて、スリンガ40が内輪12に固定されている。そして、スリンガ40がシール20の側面30に面する部分は側面30とほぼ平行な平坦部44とされており、スリンガ40の外径側の端は、シール20、外輪14の内径面およびアイドラプーリ50の鍔52との間に隙間を有し、軸受の外部に対して開口している。
そして、スリンガ40の平坦部44にはスリンガ40の全周にわたり軸受内側が凸状とされた円環状の凸状部46が形成されている。なお、スリンガ40はプレス加工により成形されている。
そして、スリンガ40の平坦部44にはスリンガ40の全周にわたり軸受内側が凸状とされた円環状の凸状部46が形成されている。なお、スリンガ40はプレス加工により成形されている。
そして、アキシアルリップ32の先端部である第1摺接部34は、軸受の回転停止状態では、スリンガ40の平坦部44に対して、締め代を有した接触状態とされている。また、アキシアルリップ32の途中から分岐した第2摺接部36は、スリンガ40の凸状部46に対して径方向内方に位置しており、軸受の回転停止状態では、スリンガ40の凸状部46に対して非接触の状態とされている。
次に、本発明の実施例1について、その機能と効果について説明する。
転がり軸受10は、軸受の回転停止状態では、アキシアルリップ32の第1摺接部34が、スリンガ40の平坦部44に対して締め代を有した接触状態とされている。よって、転がり軸受10の回転停止時にスリンガ40の外径側の端からシール20とスリンガ40の間に入り込んだ水や塵等の異物の軸受の内径側への侵入を抑止することができる。なお、第1摺接部34は締め代を有してスリンガ40の平坦部44に接触しているので、軸受の低速回転時は、アキシアルリップ32が遠心力により径方向外方へ引っ張られるように多少変形しても、第1摺接部34とスリンガ40の接触状態は保たれる。
そして、軸受の回転停止状態では第2摺接部36はスリンガ40とは非接触とされており、軸受が低速回転の状態においても、アキシアルリップ32の第2摺接部36とスリンガ40とは非接触状態が保たれる。よって、第2摺接部36を設けることにより、トルク増となることはない。
転がり軸受10は、軸受の回転停止状態では、アキシアルリップ32の第1摺接部34が、スリンガ40の平坦部44に対して締め代を有した接触状態とされている。よって、転がり軸受10の回転停止時にスリンガ40の外径側の端からシール20とスリンガ40の間に入り込んだ水や塵等の異物の軸受の内径側への侵入を抑止することができる。なお、第1摺接部34は締め代を有してスリンガ40の平坦部44に接触しているので、軸受の低速回転時は、アキシアルリップ32が遠心力により径方向外方へ引っ張られるように多少変形しても、第1摺接部34とスリンガ40の接触状態は保たれる。
そして、軸受の回転停止状態では第2摺接部36はスリンガ40とは非接触とされており、軸受が低速回転の状態においても、アキシアルリップ32の第2摺接部36とスリンガ40とは非接触状態が保たれる。よって、第2摺接部36を設けることにより、トルク増となることはない。
そして、転がり軸受10の回転速度が高速になると、アキシアルリップ32の径方向外方への変形により、アキシアルリップ32の途中で分岐している第2摺接部36も径方向外方へ引っ張られて変形し、第2摺接部36がスリンガ40の凸状部46の径方向内方の側面に対して接触状態となる。
図3に、アキシアルリップ32が遠心力により変形して第2摺接部36がスリンガ40の凸状部46に接触した状態を想像線で示す。ここで、水平を基準としたスリンガ40の凸状部46の径方向内方の側面の傾斜角βは、アキシアルリップ32の第2摺接部36の径方向外方の側面の傾斜角αよりも大きく設定されている。そのため、アキシアルリップ32の変形によって第2摺接部36の先端部が凸状部46の径方向内方の側面に接触することとなる。そして、第2摺接部36の側面が凸状部46の頂上部に接触することはない。よって、接触トルクを低く抑えることができ、第2摺接部36の摩耗を少なく抑えることができる。
なお、更に転がり軸受10の回転が高速となると、アキシアルリップ32および第1摺接部34の変形量が大きくなり、第1摺接部34がスリンガ40の平坦部44に対して非接触の状態となる。この時、第2摺接部36とスリンガ40の凸状部46との接触状態は維持されている。
図3に、アキシアルリップ32が遠心力により変形して第2摺接部36がスリンガ40の凸状部46に接触した状態を想像線で示す。ここで、水平を基準としたスリンガ40の凸状部46の径方向内方の側面の傾斜角βは、アキシアルリップ32の第2摺接部36の径方向外方の側面の傾斜角αよりも大きく設定されている。そのため、アキシアルリップ32の変形によって第2摺接部36の先端部が凸状部46の径方向内方の側面に接触することとなる。そして、第2摺接部36の側面が凸状部46の頂上部に接触することはない。よって、接触トルクを低く抑えることができ、第2摺接部36の摩耗を少なく抑えることができる。
なお、更に転がり軸受10の回転が高速となると、アキシアルリップ32および第1摺接部34の変形量が大きくなり、第1摺接部34がスリンガ40の平坦部44に対して非接触の状態となる。この時、第2摺接部36とスリンガ40の凸状部46との接触状態は維持されている。
このように、転がり軸受10が高速回転状態となると、アキシアルリップ32の第2摺接部36がスリンガ40と接触状態となるため、転がり軸受10の高速回転時にスリンガ40の外径側の端の開口部からシール20とスリンガ40の間に入り込んだ水や塵等の異物の軸受の内径側への侵入を抑止することができる。
また、転がり軸受10の回転速度に応じてアキシアルリップ32のスリンガ40に接触する部位が変わる構成のため、軸受の回転速度の変動によるトルクの変動は少ない。
また、転がり軸受10の回転速度に応じてアキシアルリップ32のスリンガ40に接触する部位が変わる構成のため、軸受の回転速度の変動によるトルクの変動は少ない。
なお、転がり軸受10が高速回転の状態から回転速度が低下すると、先ず、アキシアルリップ32の第1摺接部34がスリンガ40と接触状態となり、次いで、第2摺接部36がスリンガ40の凸状部46と非接触状態となる。
次に、本発明の実施例2についてその構成を説明する。
図4に、本発明の実施例2における転がり軸受用密封装置を構成するシール20A及びスリンガ40Aの断面の部分拡大図を示す。
実施例2の主な特徴は、アキシアルリップ32Aの構造が実施例1と異なること、および、スリンガ40Aに凸状部が無いことである。アキシアルリップ32Aはシール20Aの側面30Aの径方向中央部から軸にほぼ平行に軸受外方へ延設形成され、途中で軸受外方に拡径する円錐形状の第1摺接部34Aと軸受外方に縮径する逆円錐形状の第2摺接部36Aに分岐している。
第1摺接部34Aは、軸受の回転停止状態で、スリンガ40Aの平坦部44Aに締め代を有する接触状態とされている。そして、第2摺接部36Aは、スリンガ40Aの平坦部44Aと僅かな隙間を有する非接触状態とされている。
図4に、本発明の実施例2における転がり軸受用密封装置を構成するシール20A及びスリンガ40Aの断面の部分拡大図を示す。
実施例2の主な特徴は、アキシアルリップ32Aの構造が実施例1と異なること、および、スリンガ40Aに凸状部が無いことである。アキシアルリップ32Aはシール20Aの側面30Aの径方向中央部から軸にほぼ平行に軸受外方へ延設形成され、途中で軸受外方に拡径する円錐形状の第1摺接部34Aと軸受外方に縮径する逆円錐形状の第2摺接部36Aに分岐している。
第1摺接部34Aは、軸受の回転停止状態で、スリンガ40Aの平坦部44Aに締め代を有する接触状態とされている。そして、第2摺接部36Aは、スリンガ40Aの平坦部44Aと僅かな隙間を有する非接触状態とされている。
実施例2では、転がり軸受が高速回転すると、アキシアルリップ32Aが遠心力により軸受外方へ変形し、先ず第2摺接部36Aがスリンガ40Aの平坦部44Aに対して接触状態となる。さらに回転が高速になると、第1摺接部34Aがスリンガ40Aの平坦部44Aから離れて、スリンガ40Aと非接触状態となる。アキシアルリップ32Aが遠心力により変形した状態を、図4に想像線で示す。
よって、実施例2の構成によっても、高速回転状態において、アキシアルリップ32Aとスリンガ40Aの接触状態を保つことができる。
よって、実施例2の構成によっても、高速回転状態において、アキシアルリップ32Aとスリンガ40Aの接触状態を保つことができる。
上記の各実施例では、サイドリップをシールの側面の径方向中央部に延設形成しているが、外径寄りに形成しても良い。また、上記の各実施例ではスリンガを内輪に圧入して内輪に固定する構成としているが、スリンガの内径側の端を内輪の側面で軸に直接固定する構成としても良い。
上記の各実施例では、アイドラプーリに使用する外輪回転タイプの複列玉軸受の例を示したが、本発明に係る転がり軸受用密封装置の用途はアイドラプーリ用の複列玉軸受に限られない。本発明に係る転がり軸受用密封装置は外輪回転タイプの転がり軸受一般に適用できるものである。
その他、本発明に係る転がり軸受用密封装置はその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
その他、本発明に係る転がり軸受用密封装置はその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
10 転がり軸受
12 内輪
13 摺接面
14 外輪
15 シール溝
16 球
18 保持器
20、20A シール
22、22A 芯金
24 被覆部
26 固定部
28 シールリップ
30、30A 側面
32、32A アキシアルリップ
34、34A 第1摺接部
36、36A 第2摺接部
40、40A スリンガ
42 円筒部
44、44A 平坦部
46 凸状部
50 アイドラプーリ
52 鍔
12 内輪
13 摺接面
14 外輪
15 シール溝
16 球
18 保持器
20、20A シール
22、22A 芯金
24 被覆部
26 固定部
28 シールリップ
30、30A 側面
32、32A アキシアルリップ
34、34A 第1摺接部
36、36A 第2摺接部
40、40A スリンガ
42 円筒部
44、44A 平坦部
46 凸状部
50 アイドラプーリ
52 鍔
Claims (2)
- 外輪に固定され外輪と共に一体的に回転し、内輪と摺接するシールと、該シールの軸受外側に内輪と同軸に配設されたスリンガとを備え、該シールと該スリンガとにより郭定される空隙部がスリンガの外径側の端で軸受の外部に開口する構成とされた転がり軸受用密封装置であって、
前記シールの前記スリンガに面する側面には軸受の外方に向かってアキシアルリップが延設形成されており、
前記アキシアルリップには、軸受外方に向かって拡径し、軸受の回転停止状態で先端部が前記スリンガに接触状態として配設される円錐形状の第1摺接部と、軸受外方に向かって縮径し、軸受の回転停止状態で前記スリンガに非接触として配設される逆円錐形状の第2摺接部とが形成されており、
前記アキシアルリップの第2摺接部は、軸受の高速回転状態では遠心力作用により前記スリンガと接触状態となる構成とされていることを特徴とする転がり軸受用密封装置。 - 請求項1に記載の転がり軸受用密封装置であって、
前記アキシアルリップは軸受外方に向かって拡径し、該アキシアルリップの先端が前記第1摺接部とされており、該アキシアルリップが軸受外方に向かって拡径する途中から分岐して、前記第2摺接部が形成されており、
前記スリンガの前記シールに面する側面には凸状部が形成されており、
軸受の高速回転状態では、前記アキシアルリップの第2摺接部が前記スリンガの凸状部の内径側に接触状態となる構成とされていることを特徴とする転がり軸受用密封装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008188473A JP2010025251A (ja) | 2008-07-22 | 2008-07-22 | 転がり軸受用密封装置 |
CN2009801196702A CN102046994B (zh) | 2008-05-27 | 2009-05-26 | 滚动轴承密封装置 |
PCT/JP2009/059589 WO2009145178A1 (ja) | 2008-05-27 | 2009-05-26 | 転がり軸受用密封装置 |
US12/736,954 US8585296B2 (en) | 2008-05-27 | 2009-05-26 | Rolling bearing sealing device |
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008188473A JP2010025251A (ja) | 2008-07-22 | 2008-07-22 | 転がり軸受用密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010025251A true JP2010025251A (ja) | 2010-02-04 |
Family
ID=41731280
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008188473A Pending JP2010025251A (ja) | 2008-05-27 | 2008-07-22 | 転がり軸受用密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010025251A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101280616B1 (ko) * | 2011-04-08 | 2013-07-02 | 주식회사 일진글로벌 | 베어링의 씰링 장치 및 이를 포함하는 휠 베어링 |
CN107923540A (zh) * | 2015-09-01 | 2018-04-17 | Nok株式会社 | 密封装置 |
WO2020090484A1 (ja) * | 2018-10-31 | 2020-05-07 | Ntn株式会社 | プーリ付き転がり軸受 |
-
2008
- 2008-07-22 JP JP2008188473A patent/JP2010025251A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101280616B1 (ko) * | 2011-04-08 | 2013-07-02 | 주식회사 일진글로벌 | 베어링의 씰링 장치 및 이를 포함하는 휠 베어링 |
CN107923540A (zh) * | 2015-09-01 | 2018-04-17 | Nok株式会社 | 密封装置 |
US10605369B2 (en) | 2015-09-01 | 2020-03-31 | Nok Corporation | Sealing apparatus |
WO2020090484A1 (ja) * | 2018-10-31 | 2020-05-07 | Ntn株式会社 | プーリ付き転がり軸受 |
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