JP2010024624A - 消雪パネル - Google Patents

Abstract

【課題】 製造コストを抑えるとともに放熱板の歪を低減させ、放熱板の歪から生じる水溜りや耐食性の問題を解消した消雪パネルを提供する。
【解決手段】 上面が放熱面である薄い放熱平板２と、つづら折り状の流路を形成する流路形成部材１０とを溶接接合して、その間に熱媒体を流動させる。放熱平板２の周囲をＬ字状に折り曲げて、折り曲げ部２aとなし、更にこの折り曲げ部２aに帯板２０を溶接接合している。流路形成部材１０は、直線溝部材１１とＵ字溝部材１３とを連結して構成する。
【選択図】 図２

Description

本発明は、積雪地帯に敷設された軌条の周囲に設置される消雪パネルに関する。

積雪地帯に敷設された鉄道路線においては、列車を安全に運行するために、軌条の周囲に消雪パネルを設置し、消雪パネル上に堆積した雪（除雪された及び降雪した雪）を消雪パネルの裏面を流動する熱媒体（例えば地下水などの温水）で溶融することが行われている。

この種の消雪装置として、例えば特許文献１には、上面が放熱面である薄い平板と、この平板の下面に接合した、複数列の幅広で浅い凹部、およびこの凹部各列となり同士をつなぐ幅広で浅い凹部、からなる連続した凹部を有する溝付板と、この溝付板の連続した幅広で浅い凹部と前記平板とで形成される幅広で浅い流路の両端に設けた配管接続口と、からなる消雪用放熱器において、前記平板と溝付板との周囲を取り囲む帯薄板に延長部を設けて、前記溝付板の下面と敷設面との間に間隙を設け、該間隙に向けて前記配管接続口を開口した消雪用放熱器が記載されている。また、溝付板の周囲を取り囲む帯薄板は箱形を形成させて消雪用放熱器の強度を大きくさせることが記載されている。

また、特許文献２には、特許文献１に記載の消雪用放熱器を水平に対して勾配を設けて設置することが記載されている。また、特許文献３には、特許文献１における溝付板を、台形状断面を有する直線溝部材と、Ｕ字溝部材とを接合して構成することが記載されている。そして、これらの消雪装置を構成する平板と溝付板とは専ら溶接接合されている。

特公平６−７６６８１号公報 特開平１１−１５２７０１号公報 特開２００７−８５０５７号公報

しかしながら、特許文献１及び２に記載のものでは、接合の際には、大きな溶接歪が発生する。特に、平板の一面と溝付板とを溶接接合するために、平板の放熱面が凹となる歪が生じやすく、消雪の際には凹部が水溜りとなり放熱面に錆びを発生させることとなる。そのために、溶接接合の後に歪取り工程を必要としていた。特許文献３に記載のものは、この歪取り工程の削減を図ったものであるが、溶接歪を低減することはできるものの、歪取り工程を撲滅するには至っていない。

また、箱形に形成させた帯薄板を溶接で溝付板の周囲に溶接していては製造コストが嵩むという問題を有していた。更に、この種の消雪パネルは鋼板を主材料にして構成するので、その重量が約１００ｋｇになり、特許文献２に記載のようにメンテナンスのために開閉可能なように構成した場合、消雪パネルと設置ベースとの間に手を挟みやすいといった問題もあった。

本発明は、上記の事項に留意してなされたもので、製造コストを抑えるとともに放熱板の歪を低減させ、放熱板の歪から生じる水溜りや耐食性の問題を解消した消雪パネルを提供することを目的としている。また他の目的は、メンテナンス時においても安全に作業することのできる消雪パネルを提供することである。

本発明は、上面が放熱面である薄い放熱平板と、この放熱平板の下面に溶接接合し、その一方の表面と前記放熱平板との間に熱媒体が流動するつづら折り状の流路を形成する流路形成部材とを備えた消雪パネルにおいて、前記放熱平板の周囲をＬ字状に折り曲げ、更にこの折り曲げ部に帯板を溶接接合したことを特徴とする消雪パネルである。

上記の構成によれば、放熱平板の周囲をＬ字状に折り曲げ、更にこの折り曲げ部に帯板を溶接接合したことを特徴としているので、一旦放熱平板と流路形成部材との溶接接合によって、放熱平板の放熱面が凹となるような溶接歪が発生するものの、折り曲げ部に帯板を溶接接合することによって、放熱平板の放熱面が凸となるような溶接歪が発生する。したがって、消雪の際の放熱面の水溜りの発生を防止することができる。

また、本発明において、前記帯板の溶接接合部ではない他端側はＬ字状に折り曲げ加工されていることが望ましい。
この構成によれば、消雪パネル全体の強度を更に高められるとともに、帯板の先端で手を切創する事故を防止することができる。

また、上記発明において、前記流路形成部材は前記熱媒体が流入する第１のノズル部材と、前記熱媒体が流出する第２のノズル部材と、これらの間に配設され台形状断面を有する複数列の直線溝部材と、相隣る直線溝部材の端部が接続される複数のＵ字溝部材とからなり、前記直線部材、前記第１、第２のノズル部材及びＵ字溝部材との連結部に継目部を設け、当該継目部は固着されると共に、前記各直線溝部材はその短手方向のツバ部が長手方向の全長にわたって前記放熱平板に溶接接合されることが好ましい。
上記の構成によれば、流路形成部材を放熱平板に溶接する際の溶接歪を低減できるとともに製造コストを抑えることができる。

また、請求項１乃至３のいずれかに記載の消雪消雪パネルを線路に沿って複数枚配置し、各々の消雪パネルは一端から持ち上げ可能とするとともに、熱媒体の供給管および排出管にフレキシブル管を用いて並列に接続し、前記帯板には、取手を設けることができる。
この構成によれば、メンテナンスのために消雪パネルを開閉した場合においても消雪パネルと設置ベースとの間に手を挟んだりする事故を防止することができる。

本発明にかかる消雪パネルによれば、放熱平板の周囲をＬ字状に折り曲げ、更にこの折り曲げ部に帯板を溶接接合したことを特徴としているので、一旦放熱平板と流路形成部材との溶接接合によって、放熱平板の放熱面が凹となるような溶接歪が発生するものの、折り曲げ部に帯板を溶接接合することによって、放熱平板の放熱面が凸となるような溶接歪が発生する。したがって、消雪の際の放熱面の水溜りの発生を防止することができる。

以下に、本発明に係る消雪パネルの一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図１は本発明に係る消雪パネルの一実施例の底面図、図２は図１におけるＡ−Ａ断面図である。図３は直線溝部材を示し、図４はＵ字形部材を示している。図５は図１におけるＣ−Ｃ断面図を示している。図６は本発明に係る消雪パネルの製造工程を示す消雪パネルの断面図、図７は溶接工程における溶接歪の状態を示す模式側面図である。また図８は本発明に係る消雪パネルを設置した状態を示す断面図である。

図１及び図２に示すように、消雪パネル１は、略長方形の薄板鋼板製の放熱平板２と、流体が流入する第１ノズル部４１と流体が排出される第２ノズル部４３とを連なるように、つづら折り状に流路を形成する流路形成部材１０と、放熱平板２を囲むように設けた帯板２０とから主に構成している。流路形成部材１０は、薄板鋼板を断面略台径に折り曲げ加工した長尺の直線溝部材１１を複数列並べ、この直線溝部材１１の端部同士をＵ字溝部材１３で接続して第１ノズル部４１から第２ノズル部４３まで流体が流動する流路を形成している。また、消雪パネル１の長辺の一つには蝶番部１７が設けられ、短辺側の帯板２０には設置ベースに固定するための固定部４５が設けられている。更に、消雪パネル１全体がねじれたり変形したりしないように補強部材１５が（図中では３箇所）設けられている。

放熱平板２は、図２に示すように、その周囲はＬ字状に折り曲げられた折り曲げ部２ａが形成されている。そして、帯板２０には、一端が消雪パネルの内側になるようにＬ字状に折り曲げられたエッジ部２３と、他端側が放熱平板２の折り曲げ部２ａと重なり合わせるための溶接部２１が形成されている。

図３に示すように、直線溝部材１１は、その内部を流動する温水と放熱平板２との接触面積を広げるために、断面が台形状（上辺の幅Ｗｂ、底辺の幅Ｗａ）に形成され、両側の全長（Ｌ２）にわたってツバ部１１ａを有した長尺の部材である。

また、図４に示すようにＵ字溝部材１３は、半円形部１３ａと、段付部１３ｂからなる。図６に示すように、各Ｕ字溝部材１３は、段付部１３ｂに直線溝部材１１の端部が差し込まれるように設置されている。これらのＵ字溝部材１３は、直線溝部材１１の両方の端部に並置されており、Ｕ字溝部材１３と直線溝部材１１とにより、相隣り合う直線溝部材同士が連通して、単一の流路が形成される（図１参照）。

続いて、消雪パネル１の製造工程について、図６、図７を参照して詳細に説明する。
まず、図６（ａ）に示すように、放熱平板２に直線溝部材１１を所定の数だけ複数本並べる。また、図示しないＵ字溝部材１３をつづら折流路を形成するように直線溝部材１１の端部に配置する（図１参照）。そして、直線溝部材１１の両端に形成したツバ部１１aと放熱平板２とを流路形成部材１０の全長に亘って、溶接接合する。溶接接合は、シーム溶接又はアーク溶接が好適である。

このとき、放熱平板２には、流路形成部材１０を溶接接合する面のみが加熱されることとなる。すると、溶接を施したツバ部１１aが収縮し、直線溝部材１１の熱影響を受けていない部分（直線溝部材１１のツバ部１１aを除いた大部分）としては収縮しないので、図７（ａ）に示すように、薄板からなる放熱平板２の放熱面２ｂが凹面となるように歪が発生する。このままの状態では、消雪パネルで消雪した水が凹面に溜まり、その部分から放熱平板２を腐食させてしまうこととなる。

そこで、図６（ｂ）に示すように、放熱平板２の周囲をプレス等を用いて折り曲げ加工して折り曲げ部２ａを形成する。そして、この折り曲げ部２ａに帯板２０の溶接部２１を重ね合わせ、溶接接合する。すると、図７（ｂ）に示すように、帯板２０の溶接の影響を受けて折り曲げ部２ａが収縮するので、放熱平板２の放熱面２ｂが凸面となるような歪を生じる。最後に、流路形成部材１０の両端に第１ノズル部材４１及び第２ノズル部材４３を接続し、溶融亜鉛メッキ処理を施して消雪パネル１が得られる。放熱面２ｂが凸面となるように設けていれば、放熱面に水が溜まることはなく、消雪パネルが腐食することを防止できる。
なお、溶接によって生じる歪量は、溶接長さや溶接熱量を調整することで、増減することが可能である。

続いて、消雪パネル１の使用状態について、図８を用いて詳細に説明する。
図８（ａ）に示すように、線路等の軌道に沿って、コンクリート製の基礎６１が設けられる。基礎６１には、雨水を排出したり電線等を配設したりするための側溝６３が形成されている。そして、側溝壁６５に沿って、消雪パネル１への熱媒体を給排水する供給管５１、排水管５３が設けられる。基礎６１の上には設置ベース５０が設けられ、この設置ベース５０の上に消雪パネル１が一辺を蝶番部１７（図１参照）で開閉可能なように設置される。

そして、消雪パネル１の第１ノズル、第２ノズルにはスイベルジョイント５７が接続され、供給管５１、排水管５３との間はフレキシブル管５５で接続されている。なお、この消雪パネル１は、軌道に沿って複数枚設置される。

熱媒体には例えば不凍液が用いられ、積雪が始まると図示しないボイラ室で不凍液を１０℃程度に加熱して、ポンプによって供給管５１を経由し、消雪パネル１に供給される。消雪パネル１に積雪した雪は、ここで熱交換して融かされ、不凍液は排水管５３を経由してボイラ室へ戻され再び１０℃程度に加熱される。

ところで、側溝６３に配設した電線等のメンテナンスが必要な場合がある。その場合には、図８（ｂ）に示すように、取手５９を利用して消雪パネル１を上方に開くことができるようになっている。取手５９を用いて消雪パネル１の開閉作業を行うことで、指を挟んでしまうような事故を防止することができる。

本発明に係る消雪パネルの一実施例の底面図である。 図１におけるＡ−Ａ断面図である。 直線溝部材を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。 Ｕ字形部材を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線断面図である。 図１におけるＣ−Ｃ断面図である。 本発明に係る消雪パネルの製造工程を示す消雪パネルの断面図である。 溶接工程における溶接歪の状態を示す模式側面図である。 本発明に係る消雪パネルを設置した状態を示す断面図である。

符号の説明

１：消雪パネル、２：放熱平板、２ａ：折り曲げ部、２ｂ：放熱面、
１０：流路形成部材、１１：直線溝部材、１１ａ：ツバ部、１３：Ｕ字溝部材、１３ａ：半円径部、１３ｂ：段付部（継目部）、１５：補強部材、１７：蝶番部、
２０：帯板、２１：溶接部、２３：エッジ部、
４１：第１ノズル部材、４３：第２ノズル部材、４５：固定部、
５０：設置ベース、５１：供給管、５３：排水管、５５：フレキシブル管、５７：スイベルジョイント、５９：取手、
６１：基礎、６３：側溝、６５：側溝壁、

Claims (4)

1. 上面が放熱面である薄い放熱平板と、この放熱平板の下面に溶接接合し、その一方の表面と前記放熱平板との間に熱媒体が流動するつづら折り状の流路を形成する流路形成部材とを備えた消雪パネルにおいて、
   前記放熱平板の周囲をＬ字状に折り曲げ、更にこの折り曲げ部に帯板を溶接接合したことを特徴とする消雪パネル。
2. 前記帯板の溶接接合部ではない他端側はＬ字状に折り曲げ加工されていることを特徴とする請求項１に記載の消雪パネル。
3. 前記流路形成部材は前記熱媒体が流入する第１のノズル部材と、前記熱媒体が流出する第２のノズル部材と、これらの間に配設され台形状断面を有する複数列の直線溝部材と、相隣る直線溝部材の端部が接続される複数のＵ字溝部材とからなり、前記直線部材、前記第１、第２のノズル部材及びＵ字溝部材との連結部に継目部を設け、当該継目部は固着されると共に、前記各直線溝部材はその短手方向のツバ部が長手方向の全長にわたって前記放熱平板に溶接接合されることを特徴とする請求項１又は２に記載の消雪パネル。
4. 請求項１乃至３のいずれかに記載の消雪消雪パネルを線路に沿って複数枚配置し、各々の消雪パネルは一端から持ち上げ可能とするとともに、熱媒体の供給管および排出管にフレキシブル管を用いて並列に接続し、前記帯板には、取手を設けたことを特徴とする消雪パネル。

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