JP2010023310A - 積層体 - Google Patents

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Masayuki Jokai
真之 畳開
Hiroaki Kuwabara
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Abstract

【課題】積層体にする際のハンドリングや、得られる積層体の強度に問題が無い、機械強度が優れた基材フィルム層と、導体層からなる積層体を提供する。
【解決手段】基材フィルム層、導体層からなる積層体であって、該基材フィルム層が、下記式(I)および(II)
【化1】
Figure 2010023310

【化2】
Figure 2010023310

で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドのフィルムであることを特徴とする積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材フィルム層および導体層からなり、フレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC」ともいう。)等の用途に用いられる積層体に関する。なお、フレキシブルプリント配線基板は、フレキシブルプリント回路基板、フレキシブルプリント基板などと呼ばれることもある。
従来から、ポリマーフィルムの上に金属箔を積層した柔軟性の金属張積層体を用いたFPCが知られており、特にポリイミドフィルム(以下「PI」と略記することがある)と金属箔とからなるものは多数報告されているが(例えば特許文献1〜4)、更に高い機械強度を有するポリマーフィルムを用いた積層体が求められている。一例としてパラフェニレンジアミンとピロメリット酸からなり、剛直な繰り返し構造を有するポリパラフェニレンピロメリットイミド(PPPIと略称されることもある)が挙げられるが(非特許文献1)、そのあまりの剛直さゆえに脆弱で積層体にする際のハンドリングや、得られる積層体の強度に問題がある。
特開平2−131933号公報 特開平8−250860号公報 特開2000−273430号公報 WO2003/072639号パンフレット 繊維学会誌、1987年、Vol.43、No.2、p.62−75
本発明は、上記の課題を解決することを目的とし、積層体にする際のハンドリングや、得られる積層体の強度に問題が無い、機械強度が優れた基材フィルム層と、導体層からなる積層体を提供するものである。
本発明は、基材フィルム層、導体層からなる積層体であって、該基材フィルム層が特定の構造を有する芳香族ポリイミドよりなるフィルムであることを特徴とする積層体を提供するものである。以下に本発明の要旨を示す。
1. 基材フィルム層、導体層からなる積層体であって、該基材フィルム層が、下記式(I)および(II)
Figure 2010023310
Figure 2010023310
で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドのフィルムであることを特徴とする積層体。
2. 導体層が銅である上記1.記載の積層体。
3. 上記1.または2.のいずれかに記載の積層体を用いたパターン化された回路。
本発明により、透明性、透光性、耐熱性、色相、寸法安定性、接着性などに優れたフレキシブルプリント配線基板を得ることができる。
以下、本発明の積層体の実施形態を説明する。
(積層構成)
本発明の積層体は、基材フィルム層、金属箔層から構成される積層体とすることができる。さらに、必要に応じて、上記の積層体を2つもしくは3つ以上切り替えし積層した構成とすることもできる。
(基材フィルム層)
本発明の積層体を構成する基材フィルム層は、前記式(I)および(II)で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドのフィルムである。該芳香族ポリイミドのフィルムは、まず該芳香族ポリイミドの前駆体を製造し、次にこれを製膜した後に、熱処理などにより重合反応をすすめることにより得ることができる。
(芳香族ポリイミド前駆体の製造方法)
前記式(I)および(II)で表わされる繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸とも言う)は、下記式(A−1)、(A−2)、および(A−3)
Figure 2010023310
Figure 2010023310
(上記式中、XはF、Cl、Br、Iから選らばれる1種類以上のハロゲン、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表す)
Figure 2010023310
(上記式中、XはF、Cl、Br、Iから選らばれる1種類以上のハロゲン、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表す)
で表される芳香族テトラカルボン酸誘導体のいずれか1種以上と、下記式(B)および(C)
Figure 2010023310
Figure 2010023310
で表される芳香族ジアミンおよびその塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを反応させて得られる(以下、前記式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(B)、および(C)を総称して原料モノマーということがある)。
芳香族テトラカルボン酸ニ無水物としては、得られるポリマーの性質を改良する目的で各種のテトラカルボン酸無水物を共重合することが出来る。そのような芳香族テトラカルボン酸無水物の具体例としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物などが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、得られるポリマーの性質を改良する目的で各種のジアミンを共重合することもできる。そのようなジアミンの具体例としてはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
重合反応に用いる溶媒については、特に限定はされないが前記の如き原料を溶解し、かつそれらと実質的に非反応性であり、好ましくは特有粘度が少なくとも1.0[dl/g]以上、より好ましくは1.2[dl/g]以上のポリマーを得ることが可能なものであれば如何なる溶媒も使用できる。例えば、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素(TMU)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド(DEAC)、N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPR)、N,N−ジメチルブチルアミド(NMBA)、N,N−ジメチルイソブチルアミド(NMIB)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン(NCP)、N−エチルピロリドン−2(NEP)、N−メチルカプロラクタム(NMC)、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−アセチルピロリジン(NARP)、N−アセチルピペリジン、N−メチルピペリドン−2(NMPD)、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルマロンアミド、N−アセチルピロリドン等のアミド系溶媒、p−クロルフェノール、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジクロルフェノール等のフェノール系溶媒もしくはこれらの混合物をあげることができる。
これらの中でも好ましい溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)である。
この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、あるいは終了時に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
ポリマーの製造は、前記の原料モノマーを、脱水した上記の溶媒中で、ポリアミドの溶液重合と同様の方法にて製造することができる。この際の反応温度は80℃以下、好ましくは60℃以下とする。また、この時の濃度はモノマー濃度として1〜20質量%程度が好ましい。
また、本発明にて用いる芳香族ポリイミドを製造する際、トリアルキルシリルクロライドをポリマー高重合度化の目的で使用することも可能である。
また、前記式(A−2)または(A−3)の原料モノマーを用いた際に生成するハロゲン化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム化合物を併用できる。
この発明において用いる芳香族ポリイミドを得るためには前記の有機溶媒中にて、(B)または(C)で表されるジアミンの使用量が(A)で表される芳香族ジカルボン酸化合物のモル数に対する比として好ましくは0.90〜1.10で、より好ましくは0.95〜1.05で反応させ、芳香族ポリイミド前駆体とすることが好ましい。
この芳香族イミド前駆体においてポリマーの末端を封止することが好ましく利用できる。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としてはベンゾイルクロリド、無水フタル酸及びその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその置換体、無水コハク酸及びその置換体、アミン成分としてはアニリン及びその置換体が挙げられるがこれに限るものではない。
(フィルム基材層の形成方法について)
本発明の積層体において、前記芳香族ポリイミドによるフィルム基材層を形成する際には、通常、芳香族ポリイミド前駆体を膜の状態にした後、重合度を高め芳香族ポリイミドとする。芳香族ポリイミド前駆体膜の製造方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく利用できる。具体的に溶液キャスト法については、例えば先に述べた方法で得られたポリアミド酸前駆体溶液を、芳香族ポリイミド膜を積層させる対象(例えば銅箔など)の上に流延塗布し、溶媒を除去し乾燥、熱処理、分子環化反応によりイミド化を進行させ芳香族ポリイミド膜を得る。製膜に用いる溶媒は、高分子を溶解し、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなくN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなど非プロトン極性溶媒を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。また、溶解性を向上させる手段として、臭化リチウム、塩化リチウム、塩化アルミニウムなどのルイス酸を有機溶媒に添加したものを溶媒としてもよい。溶液中の前駆体濃度は0.1〜30質量%の範囲であることが好ましい。低すぎると成形性が悪化し、高すぎると加工性が悪化する。
また上記記載の前駆体は溶媒中でリオトロピック液晶を形成する事がありこの液晶性を示すポリマードープを成型に使用することも好ましく利用できる。
芳香族ポリイミド膜の機械特性や配向特性を改善する意味で例えば特開2002−30519に記載の方法でポリアミド酸を流延塗布後縮合剤により部分的にイソイミド化し自己支持性を持たせ、延伸配向させた後溶媒を除去し乾燥、熱処理、分子環化反応によりイミド化を進行させ芳香族ポリイミド膜を得ることも好ましく利用できる。
なお、溶融状態より製膜する場合、膜厚は溶融プレス法あるいは溶融押し出し法等で得た所定厚さのフィルムを所定の倍率に延伸することで膜厚を制御できる。
(導体層)
本発明に用いる導体層としては、回路基板に使用可能な任意の導電性材料が使用可能である。例えば、金属箔が使用可能である。金属箔としては、任意の従来公知のものが使用可能である。材質としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、スチール箔、及びニッケル箔などを使用することができ、これらを複合した複合金属箔や亜鉛やクロム化合物など他の金属で処理した金属箔についても用いることができる。これらのうち、特に好ましいものは、銅箔である。
金属箔の厚みについては特に限定はないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは、3μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは45μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、回路の充分な電気的性能が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には回路作製時の加工能率等が低下する場合がある。
金属箔は、通常、リボン状の形態で提供されている。本発明のFPCを製造する際に使用される金属箔の形態は特に限定されず、リボン状の形態の金属箔を用いる場合、その長さは特に限定されない。また、リボン状の金属箔の幅も特に限定されないが、一般には25〜300cm程度、特に50〜150cm程度であるのが好ましい。
(積層体の製造方法)
本発明のFPCは、上述した各層の材料を用いる以外は、従来公知の任意のプロセスを用いて製造することができる。例えば基材フィルムと導体層とを直接入り合わせる方法、この際必要に応じて接着剤を用いてもかまわない。その他、導体層表面に基材フィルムを塗布する方法なども利用できる。
(回路の形成)
導体層における回路の形成は、従来公知の方法を用いることができる。アクティブ法を用いてもよく、サブトラクティブ法を用いてもよい。好ましくは、サブトラクティブ法である。回路の配線のパターンは、任意のパターンが可能である
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによっていささかも限定されるものではない。なお、以下の実施例における各測定値は次の方法により求めた値である。
[特有粘度]
NMPを用いてポリマー濃度0.5g/dlで30℃において測定した相対粘度(ηrel)を基に下記式により求めた値である。
ηinh[dl/g]=(lnηrel)/C
(ηinhは特有粘度、ηrel相対粘度、Cはポリマー濃度[g/dl]を表す)
[剥離強度]
回路の銅線部分をチャックに挟みオリエンテック株式会社製テンシロン万能試験機1225Aにより引っ張り試験を行うことにより求めた。
[参考例1](基材フィルム用ポリマー前駆体ドープの合成)
窒素気流下、フラスコ内に塩化カルシウム11.1質量部を加え、250℃にて1時間乾燥させ、フラスコ内の温度を室温に戻した後、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)350質量部、および5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンズイミダゾール(cas.reg.no.7621−86−5)5質量部を加えた。この溶液を外部冷却により0℃に保ち、1時間の攪拌後、ジエチル2,5−ビス(クロロカルボニル)テレフタレート7.74質量部を添加し、0℃で5時間、室温で40時間反応せしめ、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のドープを得た。得られたポリマーの特有粘度は1.5[dl/g]であった。
[実施例1](積層体の製造)
参考例1にて得られた前駆体ドープを40μm厚みの電解銅箔上に400μm厚で塗布し、140℃で50分乾燥した。乾燥後350℃で10分熱処理を行うことにより、芳香族ポリイミドよりなるフィルム基材層(厚さ35μm)を有する積層体を得た。
[実施例2](回路の作成)
実施例1にて得られた積層体を12.5cm×4cmの試験片に切り取り、12.5cm×0.5cmに切り取ったDuPont社製ポリイミドフィルムKapton(登録商標)製テープを3本、試験片の銅箔面の長手方向に並行に3本貼り付けマスキングを施した。マスキングされた試験片を塩化第二鉄水溶液に10分間浸漬しマスキングされていない部分の銅を溶解させ回路を作成した。本回路の剥離強度を求めたところ、0.25[N・mm−1]であった。

Claims (3)

  1. 基材フィルム層、導体層からなる積層体であって、該基材フィルム層が、下記式(I)および(II)
    Figure 2010023310
    Figure 2010023310
    で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドのフィルムであることを特徴とする積層体。
  2. 導体層が銅である請求項1記載の積層体。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の積層体を用いたパターン化された回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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