JP2010021475A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円筒状の胴部を備えた巻枠を用いてクエンチを抑えることが可能な超電導コイルを提供する。
【解決手段】この超電導コイル1は、胴部11と通電体20とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、通電体20を軸方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される保持体30を備えている。保持体30は、胴部11の外周面11aに沿うように螺旋状に設けられた補助線材31からなる。補助線材31は、その螺旋方向および螺旋ピッチが、通電体20の径方向内端部を構成する超電導線材21の第2線材部分21aの螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように設けられている。通電体20は、超電導線材21の第2線材部分21aが、その長さ方向の略全域に亘って、補助線材31の軸方向に隣り合う一対の支持部32,33によって支持されることで、保持体30に対する軸方向の移動が規制されるように保持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、極低温下で励磁される超電導コイルおよびその製造方法に関する。
従来、円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記胴部および一対のフランジ部で囲まれる領域に螺旋状に設けられた超電導線材からなる通電部とを備えた超電導コイルが知られている。
この超電導コイルの通電部には、当該超電導コイルが極低温下で励磁されることによって、径方向のフープ力と軸方向の圧縮力とが作用する。これにより、通電部が巻枠に対して微小変位した場合には、通電部を構成する超電導線材と巻枠との間に発生する摩擦熱によってクエンチが発生するという不都合があった。
そこで、超電導線材に大きな張力を付与しながら巻枠の胴部に巻回したり、通電部の外周にバインド線を巻回したりすることで、通電部の微小変位を抑え込み、これによって巻枠との間に摩擦熱が発生するのを防止する技術がある。
さらに、特許文献1には、巻枠の胴部の外周に、超電導線材と断面形状が一致する円弧状の溝を螺旋状に形成した超電導コイルが開示されている。この超電導コイルでは、前記螺旋溝によって超電導線材のうちの通電部の径方向内端部を構成する部分が保持されており、これによって通電部の巻枠に対する微小変位を防止することでクエンチをより抑制することができるようになっている。
特開平8−51016号公報
しかしながら、特許文献1のように、巻枠の胴部の形状を変化させて通電部を保持する構成では、巻枠に複雑な加工を施す必要があるので、超電導コイルが高価なものになるとともに、その製造工程が煩雑になるという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、従来からの円筒状の胴部を備えた巻枠をそのまま用いてクエンチを抑えることが可能な超電導コイルを提供することを目的とする。
また、本発明は、クエンチ抑制効果を有するコイルの製造工程が煩雑になるのを抑えることが可能な超電導コイルの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に螺旋状に設けられた超電導線材からなる通電部とを備えた超電導コイルであって、前記胴部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を軸方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第1の保持体をさらに備え、前記第1の保持体は、前記胴部の外周面に沿うように螺旋状に設けられた第1の補助線材からなるとともに、前記第1の補助線材は、前記第1の保持体の径方向外端部を構成する第1線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチが、前記通電部の径方向内端部を構成する前記超電導線材の第2線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように設けられ、前記通電部は、前記超電導線材の第2線材部分が、その長さ方向の略全域に亘って、前記第1の補助線材の第1線材部分のうちの軸方向に隣り合う一対の支持部によって支持されることで、前記第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の超電導コイルにおいて、前記一対のフランジ部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を径方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第2の保持体をさらに備え、前記第2の保持体は、前記一対のフランジ部の相対向する面に沿うように、前記胴部の軸心を中心に略円環状に設けられた第2の補助線材からなり、前記通電部は、当該通電部の軸方向端部を構成する前記超電導線材の第3線材部分が、径方向に隣り合う前記第2の補助線材によって支持されることで、前記第2の保持体に対する径方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に螺旋状に設けられた超電導線材からなる通電部とを備えた超電導コイルであって、前記一対のフランジ部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を径方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第2の保持体をさらに備え、前記第2の保持体は、前記一対のフランジ部の相対向する面に沿うように、前記胴部の軸心を中心に略円環状に設けられた第2の補助線材からなり、前記通電部は、当該通電部の軸方向端部を構成する前記超電導線材の第3線材部分が、径方向に隣り合う前記第2の補助線材によって支持されることで、前記第2の保持体に対する径方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の超電導コイルにおいて、前記補助線材と、前記超電導線材とは、同一サイズの円形断面を有していることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の超電導コイルにおいて、前記補助線材は、前記超電導線材と同一の線材であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠の前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に、巻線機から繰り出された円形断面の超電導線材を螺旋状に巻回することにより超電導コイルを形成する超電導コイルの製造方法であって、前記巻線機に保持されている超電導線材を、前記胴部の外周面に沿うように螺旋状に巻回し、その超電導線材の前記巻線機へと延びる所定部位を切断することで、前記胴部の外周に非通電状態に構成される第1の保持体を形成する工程と、前記切断されて前記巻線機に保持されている超電導線材を、前記第1の保持体の外周に巻回することで、前記巻枠の胴部と非接触となるように配設される通電部を形成する工程とを備え、前記第1の保持体を構成する超電導線材は、当該第1の保持体の径方向外端部を構成する第1線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチが、前記通電部の径方向内端部を構成する超電導線材の第2線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように巻回され、前記通電部は、前記超電導線材の第2線材部分が、その長さ方向の略全域に亘って、前記第1の補助線材の第1線材部分のうちの軸方向に隣り合う一対の支持部によって支持されることで、前記第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6に記載の超電導コイルの製造方法において、前記第1の保持体の外周に前記通電部を形成した状態で、前記第1の保持体および前記通電部を含浸材に含浸する工程をさらに備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、通電部と巻枠の胴部とが非接触となるように両者の間に設けた第1の保持体によって、通電部を当該第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように保持する構成としたので、極低温下で励磁されることにより通電部にフープ力や軸方向圧縮力が作用しても、通電部が第1の保持体に対して微小変位するのを抑えることができる。これにより、通電部と第1の保持体との間に摩擦熱が発生するのを抑えることができるので、クエンチの発生を抑えることができる。
また、請求項1の発明によれば、第1の補助線材を巻枠の胴部の外周に螺旋状に設けることで第1の保持体を構成し、その第1の保持体によって通電部を軸方向の相対移動を規制するように保持しているので、例えば巻枠の胴部の外周に保持部を形成し、その保持部に通電部を保持させる場合と異なり、巻枠自体の形状は複雑化しない。これにより、従来からの円筒状の胴部を備えた巻枠をそのまま用いてクエンチの発生を抑えることができるようになる。また、この場合、巻枠の胴部に複雑な加工処理を施す必要がないので、当該超電導コイルの製造工程が煩雑になるのを防ぐことができる。
なお、冷却時の軸方向圧縮力等によって第1の保持体が巻枠の胴部に対して微小変位した場合、その微小変位により発生する摩擦熱は、第1の保持体の第1の補助線材において拡散される。このため、前記摩擦熱は通電部まで伝達され難くなっており、第1の保持体と巻枠の胴部との間の摩擦熱による通電部の温度上昇およびこれに起因するクエンチの発生が未然に防止されるようになっている。
請求項2および3の発明によれば、通電部と巻枠のフランジ部とが非接触となるように両者の間に設けた第2の保持体によって、通電部を当該第2の保持体に対する径方向の移動が規制されるように保持する構成としたので、極低温下で励磁されることにより通電部にフープ力や軸方向圧縮力が作用しても、通電部が第2の保持体に対して微小変位するのを抑えることができる。これにより、通電部と第2の保持体との間に摩擦熱が発生するのを抑えることができるので、クエンチの発生を抑えることができる。
また、請求項2および3の発明によれば、第2の補助線材を巻枠のフランジ部の対向面に沿うように設けることで第2の保持体を構成し、その第2の保持体によって通電部を径方向の相対移動を規制するように保持しているので、例えば巻枠のフランジ部の対向面に保持部を形成し、その保持部に通電部を保持させる場合と異なり、巻枠自体の形状は複雑化しない。これにより、従来からの巻枠をそのまま用いてクエンチの発生を抑えることができるようになる。また、この場合、巻枠のフランジ部に複雑な加工処理を施す必要がないので、当該超電導コイルの製造工程が煩雑になるのを防ぐことができる。
なお、冷却時の軸方向圧縮力等によって第2の保持体が巻枠のフランジ部に対して微小変位した場合、その微小変位により発生する摩擦熱は、第2の保持体の第2の補助線材において拡散される。このため、前記摩擦熱は通電部まで伝達され難くなっており、第2の保持体と巻枠のフランジ部との間の摩擦熱による通電部の温度上昇およびこれに起因するクエンチの発生が未然に防止されるようになっている。
請求項4の発明によれば、胴部と一対のフランジ部とで囲まれる領域に超電導線材を密に配設する場合とほぼ同じ構成になるので、保持体によって通電部を安定して保持することができる。また、第1の補助線材を軸方向に密となるように設けるだけで、第1の補助線材の螺旋ピッチを超電導線材の螺旋ピッチに容易に一致させることができる。
請求項5の発明によれば、通電部を構成する超電導線材を用いて各保持体を形成することができるため、保持体用の線材を別途必要としない。
請求項6の発明によれば、巻枠の胴部の外周に巻回した超電導線材からなる第1の保持体によって、通電部を当該第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように、かつ、通電部と巻枠の胴部とが非接触となるように保持したので、極低温下で励磁されることにより通電部にフープ力や軸方向圧縮力が作用しても、通電部が第1の保持体に対して微小変位するのを抑えることができる。これにより、通電部と第1の保持体との間に摩擦熱が発生するのを抑えることができるので、クエンチの発生を抑えることができる。
また、請求項6の発明によれば、第1の保持体を、通電部を構成する超電導線材を用いて形成したので、上記クエンチ抑制効果のある超電導コイルを、単一の巻線機を用いて、かつ、線材を交換することなく製造することができる。これにより、超電導コイルの製造工程が煩雑にならない。
請求項7の発明によれば、第1の保持体と通電部とを含浸材で固定することができるので、通電部が第1の保持体に対して微小変位するのをより確実に防ぐことができる。これにより、励磁状態でのクエンチの発生をより確実に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。また、図2は、図1に示した超電導コイルの通電体および第1の保持体を示した拡大正面断面図である。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による超電導コイル1の全体構成について説明する。
第1実施形態の超電導コイル1は、極低温(約4.2K以下)に冷却した状態で通電することにより励磁されるように構成されている。この超電導コイル1は、図1に示すように、巻枠10と、通電体(通電部)20とを備えている。
巻枠10は、円筒状の胴部11と、この胴部11の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられた一対のフランジ部12,13とを含んでいる。巻枠10の材料としては、アルミニウム合金やステンレス鋼等を挙げることができる。
通電体20は、胴部11および一対のフランジ部12,13で囲まれる領域に配されている。この通電体20は、円形断面の超電導線材21を螺旋状に巻回することにより構成されている。なお、超電導線材20の材料としては、NbTi、NbSnおよびNbAl等を挙げることができる。
ここで、第1実施形態の超電導コイル1は、図1および図2に示すように、補助線材31からなる保持体30を備えている。なお、保持体30は、本発明の「第1の保持体」に相当し、補助線材31は、本発明の「第1の補助線材」に相当する。
保持体30は、胴部11と通電体20とが非接触となるように両者の間に設けられており、通電体20を、当該保持体30に対する通電体20の軸方向の移動が規制されるように保持している。この保持体30は、当該超電導コイル1の励磁時には非通電状態となるように構成されている。
また、前記補助線材31は、通電体20を構成する超電導線材21と同一サイズの円形断面を有する線材であり、胴部11の外周面11aを覆うように当該外周面11aに沿って螺旋状に、巻枠10の径方向に1層となるように巻回されている。
補助線材31は、その螺旋方向および螺旋ピッチが、通電体20の径方向内端部を構成する超電導線材21の第2線材部分21aの螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように、胴部11の外周に巻回されている。第1実施形態では、補助線材31を径方向に1層となるように巻回して保持体30を構成しているため、補助線材31全体が、本発明の「第1の補助線材の第1線材部分」に相当する第1線材部分31aとなっている。
なお、補助線材31として、通電体20を構成する超電導線材21を用いることも好適な例として採用可能である。
上記構成の保持体30は、補助線材31(第1線材部分31a)の軸方向に隣り合う一対の支持部32,33により構成される溝状保持部34を有している。この溝状保持部34は、胴部21の軸心Rを中心に通電体20の超電導線材21の第2線材部分21aと同一ピッチとなるように螺旋状に延在している。
そして、通電体20は、超電導線材21の第2線材部分21aが、その長さ方向の全域に亘って、前記溝状保持部34に嵌まり込んでおり、これによって、胴部11に非接触な状態で、かつ、保持体30に対して軸方向の移動が規制されるように保持体30に保持されている。
ところで、励磁状態にある超電導コイル1では、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により通電体20を超電導コイル1の径外方向に膨らませようとするフープ力F1が当該通電体20に作用する。また、極低温まで冷却されることにより、巻枠10の材料の熱収縮率にしたがって、一対のフランジ部12,13同士が互いに近づくように巻枠10が収縮するため、通電体20には軸方向の圧縮力F2が作用する。これにより、通電体20が微小変位した場合、通電体20と当該通電体20が接触する部材との間に発生する摩擦熱によって、クエンチ現象が発生するという不都合がある。
しかし、本実施形態では、上記のように、保持体30によって、通電体20が胴部11と非接触となるように保持され、かつ、保持体30に対する通電体20の軸方向の移動が規制されているため、前記フープ力F1および圧縮力F2によって通電体20と当該通電体20が接触する部材との間に発生する摩擦熱が抑えられ、これによってクエンチの発生が抑制されるようになっている。
上記構成の超電導コイル1は、従来から超電導コイルの製造に用いられている巻線機を使用して容易に製造することが可能である。なお、以下に説明する製造方法では、通電体20を構成する超電導線材21を用いて保持体30を形成している。つまり、前記補助線材31として、超電導線材21が使用されている。
本実施形態の超電導コイル1の製造方法によれば、まず、巻線機に保持されている超電導線材21を、胴部11の外周面11aを覆うように当該外周面11aに沿って螺旋状に、巻枠10の径方向に1層となるように巻回し、その超電導線材21の巻線機へと延びる部位を切断する。これにより、胴部11の外周に超電導線材21(補助線材31)からなる保持体30を形成する。この保持体30は、非通電状態に構成されている。
前記保持体30には、当該保持体30を構成する超電導線材21の軸方向に隣り合う一対に支持部32,33(図2参照)により構成される溝状保持部34が形成されている。この溝状保持部34は、胴部11の軸心Rを中心に次述の通電体20の超電導線材21と同一ピッチで螺旋状に延びている。
次に、巻線機に保持されている超電導線材21を、保持体30の外周に巻回することで、巻枠10の胴部11と非接触となるように配設される通電体20を形成する。
前記通電体20は、当該通電体20の径方向内端部を構成する超電導線材21の第2線材部分21aが、その長さ方向の全域に亘って、保持体30の溝状保持部34に嵌まり込んでおり、当該保持体30の一対の支持部32,33によって支持されている。これによって、通電体20が、胴部11に非接触な状態で、かつ、保持体30に対して軸方向の移動が規制されるように保持体30に保持される。
なお、保持体30の外周に通電体20を形成した後に、保持体30および通電体20を含浸材に含浸して、含浸材によって両者を固定するようにしてもよい。
また、前記超電導線材21は、張力付与装置を用いて、所定のテンションが付与された状態で巻回されるようになっている。このように巻回することによって、超電導コイル1の極低温下でのクエンチを抑制することができる。また、通電体20の外周にバインド線を巻回すれば、さらにクエンチを抑制することが可能になる。
第1実施形態の超電導コイル1では、上記のように、通電体20と巻枠10の胴部11とが非接触となるように両者の間に設けた保持体30によって、通電体20を当該保持体30に対する軸方向の移動が規制されるように保持する構成としたので、極低温下で励磁されることにより通電体20にフープ力F1や軸方向圧縮力F2が作用しても、通電体20が保持体30に対して微小変位するのを抑えることができる。これにより、通電体20と保持体30との間に摩擦熱が発生するのを抑えることができるので、クエンチの発生を抑えることができる。
また、第1実施形態の超電導コイル1では、上記のように、補助線材31を巻枠10の胴部11の外周に螺旋状に設けることで保持体30を構成し、その保持体30によって通電体20を軸方向の相対移動を規制するように保持しているので、例えば巻枠の胴部の外周に保持部を形成し、その保持部に通電体20を保持させる場合と異なり、巻枠10自体の形状は複雑化しない。これにより、従来からの円筒状の胴部を備えた巻枠をそのまま用いてクエンチの発生を抑えることができるようになる。また、この場合、巻枠10の胴部11に複雑な加工処理を施す必要がないので、当該超電導コイル1の製造工程が煩雑になるのを防ぐことができる。
なお、冷却時の軸方向圧縮力F2等によって保持体30が巻枠10の胴部11に対して微小変位した場合、その微小変位により発生する摩擦熱は、保持体30の補助線材31において拡散される。このため、前記摩擦熱は通電体20まで伝達され難くなっており、保持体30と巻枠10の胴部11との間の摩擦熱による通電体20の温度上昇およびこれに起因するクエンチの発生が未然に防止されるようになっている。
また、第1実施形態の超電導コイル1では、上記のように、通電体20を構成する超電導線材21と同一サイズの円形断面を有する補助線材31を用いることによって、胴部11と一対のフランジ部12,13とで囲まれる領域に超電導線材21を密に配設する場合とほぼ同じ構成になるので、保持体30によって通電体20を安定して保持することができる。また、補助線材31を軸方向に密となるように設けるだけで、補助線材31の螺旋ピッチを超電導線材21の螺旋ピッチに容易に一致させることができる。
また、第1実施形態の超電導コイル1では、上記のように、補助線材31として超電導線材21を使用することによって、通電体20を構成する超電導線材21を用いて保持体30を形成することができるため、保持体30用の線材を別途必要としない。
また、第1実施形態の超電導コイル1の製造方法では、上記のように、保持体30を、通電体20を構成する超電導線材21を用いて形成したので、上記クエンチ抑制効果のある超電導コイル1を、単一の巻線機を用いて、かつ、線材を交換することなく製造することができる。これにより、超電導コイル1の製造工程が煩雑にならない。
また、第1実施形態の超電導コイル1の製造方法では、上記のように、保持体30と通電体20とを含浸材に含浸することによって、保持体30と通電体20とを含浸材で固定することができるので、通電体20が保持体30に対して微小変位するのをより確実に防ぐことができる。これにより、励磁状態でのクエンチの発生をより確実に抑えることができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。この第2実施形態の超電導コイル100は、図3に示すように、補助線材41(41a〜41h)からなる保持体40A,40Bを備える点で上記第1実施形態と異なっている。なお、保持体40A,40Bは、本発明の「第2の保持体」に相当し、補助線材41は、本発明の「第2の補助線材」に相当する。
保持体40A,40Bは、それぞれ、フランジ部12,13と通電体20とが非接触となるように両者の間に設けられており、通電体20を、当該保持体40A,40Bに対する通電体20の径方向の移動が規制されるように保持している。この保持体40A,40Bは、当該超電導コイル1の励磁時には非通電状態となるように構成されている。
また、前記補助線材41は、通電体20を構成する超電導線材21と同一サイズの円形断面を有する線材であり、一対のフランジ部12,13の相対向する面12a,13aに沿うように、胴部11の軸心Rを中心に略円環状に設けられている。
通電体20は、当該通電体20の軸方向端部を構成する超電導線材21の第3線材部分21bが、径方向に隣り合う補助線材41(例えば41aおよび41b)によって支持されることで、フランジ部12,13に非接触な状態で、かつ、保持体40A,40Bに対する径方向の移動が規制されるように保持体40A,40Bに保持されている。
この第2実施形態の超電導コイル100は、例えば、通電体20および保持体30を形成するための超電導線材21を保持する巻線機と、保持体40Aを形成するための補助線材41a〜41dを保持する巻線機と、保持体40Bを形成するための補助線材41e〜41hを保持する巻線機との3つの巻線機を用いて製造することができる。
第2実施形態では、上記のように、通電体20と巻枠10のフランジ部12,13とが非接触となるように両者の間に設けた保持体40A,40Bによって、通電体20を当該保持体40A,40Bに対する径方向の移動が規制されるように保持する構成としたので、極低温下で励磁されることにより通電体20にフープ力や軸方向圧縮力が作用しても、通電体20が保持体40A,40Bに対して微小変位するのを抑えることができる。これにより、通電体20と保持体40A,40Bとの間に摩擦熱が発生するのを抑えることができるので、クエンチの発生を抑えることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、補助線材41を巻枠10のフランジ部12,13の対向面12a,13aに沿うように設けることで保持体40A,40Bを構成し、その保持体40A,40Bによって通電体20を径方向の相対移動を規制するように保持しているので、例えば巻枠のフランジ部の対向面に保持部を形成し、その保持部に通電体20を保持させる場合と異なり、巻枠10自体の形状は複雑化しない。これにより、従来からの巻枠をそのまま用いてクエンチの発生を抑えることができるようになる。また、この場合、巻枠10のフランジ部12,13に複雑な加工処理を施す必要がないので、当該超電導コイル100の製造工程が煩雑になるのを防ぐことができる。
なお、冷却時の軸方向圧縮力等によって保持体40A,40Bが巻枠10のフランジ部12,13に対して微小変位した場合、その微小変位により発生する摩擦熱は、保持体40A,40Bの補助線材41において拡散される。このため、前記摩擦熱は通電体20まで伝達され難くなっており、保持体40A,40Bと巻枠10のフランジ部12,13との間の摩擦熱による通電体20の温度上昇およびこれに起因するクエンチの発生が未然に防止されるようになっている。
上記実施形態では、補助線材31を胴部11の外周に径方向に1層となるように巻回して保持体30を構成したが、保持体30を構成する補助線材31の径方向の層数はこれに限らない。例えば図4に示すように、補助線材31を胴部11の外周に径方向に2層となるように巻回することで保持体(第1の保持体)230を構成するようにしてもよい。このような構成の超電導コイル200では、保持体230の微小変位によって保持体230と巻枠10の胴部11との間に発生した摩擦熱が、保持体230において十分に拡散されるようになるので、通電体20により伝達され難くすることができるようになる。この補助線材31の層数は、通電体20へ伝達される摩擦熱を十分に低減可能な否かを考慮して設定されるのが好ましい。また、保持体40A,40Bを構成する補助線材41の層数も同様に、適宜変更設定可能である。
また、上記実施形態では、超電導線材21と同一サイズの補助線材31を用いて保持体30を構成する例を示したが、これに限らず、例えば図5に示すように、超電導線材21の直径φ1の約半分の直径φ2の2本の補助線材(第1の補助線材)331a,331bを、軸方向に並べた状態で巻枠10の胴部11に螺旋状に巻回することによって保持体(第1の保持体)330を形成するようにしてもよい。この構成では、超電導線材21の第2線材部分21aが、2本の補助線材331a,331bの各支持部332,333により構成される溝状保持部334に嵌まり込むとともに、前記支持部332,333によって支持されることで、通電体20が保持体330によって軸方向の相対移動を規制されるように保持されている。
また、第2実施形態の保持体40A,40Bのみを備えた超電導コイルであってもよい。
本発明の第1実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。 図1に示した超電導コイルの通電体および第1の保持体を示した拡大正面断面図である。 本発明の第2実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。 変形例1による第1の保持体を備えた超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。 変形例2による第1の保持体を備えた超電導コイルの要部構成を示した拡大正面断面図である。
符号の説明
1,100,200 超電導コイル
10 巻枠
11 胴部
11a 外周面
12,13 フランジ部
12a,13a 対向面
20 通電体(通電部)
21 超電導線材
21a 第2線材部分
21b 第3線材部分
30,230,330 保持体(第1の保持体)
31,331a,331b 補助線材(第1の補助線材)
31a 第1線材部分
32,33,332,333 支持部
40A,40B 保持体(第2の保持体)
41,41a〜41h 補助線材(第2の補助線材)
R 軸心

Claims (7)

  1. 円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に螺旋状に設けられた超電導線材からなる通電部とを備えた超電導コイルであって、
    前記胴部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を軸方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第1の保持体をさらに備え、
    前記第1の保持体は、前記胴部の外周面に沿うように螺旋状に設けられた第1の補助線材からなるとともに、前記第1の補助線材は、前記第1の保持体の径方向外端部を構成する第1線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチが、前記通電部の径方向内端部を構成する前記超電導線材の第2線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように設けられ、
    前記通電部は、前記超電導線材の第2線材部分が、その長さ方向の略全域に亘って、前記第1の補助線材の第1線材部分のうちの軸方向に隣り合う一対の支持部によって支持されることで、前記第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記一対のフランジ部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を径方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第2の保持体をさらに備え、
    前記第2の保持体は、前記一対のフランジ部の相対向する面に沿うように、前記胴部の軸心を中心に略円環状に設けられた第2の補助線材からなり、
    前記通電部は、当該通電部の軸方向端部を構成する前記超電導線材の第3線材部分が、径方向に隣り合う前記第2の補助線材によって支持されることで、前記第2の保持体に対する径方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に螺旋状に設けられた超電導線材からなる通電部とを備えた超電導コイルであって、
    前記一対のフランジ部と前記通電部とが非接触となるように両者の間に配設されるとともに、前記通電部を径方向の相対移動を規制するように保持し、非通電状態に構成される第2の保持体をさらに備え、
    前記第2の保持体は、前記一対のフランジ部の相対向する面に沿うように、前記胴部の軸心を中心に略円環状に設けられた第2の補助線材からなり、
    前記通電部は、当該通電部の軸方向端部を構成する前記超電導線材の第3線材部分が、径方向に隣り合う前記第2の補助線材によって支持されることで、前記第2の保持体に対する径方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とする超電導コイル。
  4. 前記補助線材と、前記超電導線材とは、同一サイズの円形断面を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超電導コイル。
  5. 前記補助線材は、前記超電導線材と同一の線材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超電導コイル。
  6. 円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられる一対のフランジ部とを含む巻枠の前記胴部および前記一対のフランジ部で囲まれる領域に、巻線機から繰り出された円形断面の超電導線材を螺旋状に巻回することにより超電導コイルを形成する超電導コイルの製造方法であって、
    前記巻線機に保持されている超電導線材を、前記胴部の外周面に沿うように螺旋状に巻回し、その超電導線材の前記巻線機へと延びる所定部位を切断することで、前記胴部の外周に非通電状態に構成される第1の保持体を形成する工程と、
    前記切断されて前記巻線機に保持されている超電導線材を、前記第1の保持体の外周に巻回することで、前記巻枠の胴部と非接触となるように配設される通電部を形成する工程とを備え、
    前記第1の保持体を構成する超電導線材は、当該第1の保持体の径方向外端部を構成する第1線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチが、前記通電部の径方向内端部を構成する超電導線材の第2線材部分の螺旋方向および螺旋ピッチと各々一致するように巻回され、
    前記通電部は、前記超電導線材の第2線材部分が、その長さ方向の略全域に亘って、前記第1の補助線材の第1線材部分のうちの軸方向に隣り合う一対の支持部によって支持されることで、前記第1の保持体に対する軸方向の移動が規制されるように保持されていることを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  7. 前記第1の保持体の外周に前記通電部を形成した状態で、前記第1の保持体および前記通電部を含浸材に含浸する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の超電導コイルの製造方法。
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