JP2010019580A - センサシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検出対象物質を検出可能な検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20と、センサ部20による検出データを取得する検出データ取得部40と、を備え、検出データ取得部40により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出するよう構成した。
【選択図】図14
Description
ところで、センサでは、気体試料中や液体試料中における検出対象物質の濃度が未知である場合が多いため、広範な検出濃度範囲を有することが望まれている。
また、例えば、電気化学センサにおいて、作用電極を覆う半透膜の層数を増加させることによって、高濃度の検体を検出可能となるように構成した電気化学センサが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、例えば、少なくともトランスデューサ、機能性膜及び制限透過膜の順に設けられた化学センサにおいて、制限透過膜における機能性膜と対向する側の面に形成された凹凸形状を適宜設定することによって、検出濃度範囲を設定できる化学センサが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
また、特許文献6記載の発明では、目的とする検出対象物質の濃度に合わせて、制限透過膜の凹凸形状を設定するようになっているが、目的とする検出対象物質の濃度が未知である場合、凹凸形状がそれぞれ異なる複数の制限透過膜を用意しなければならないという問題がある。
センサシステムにおいて、
検出対象物質を検出する複数のセンサ部と、
前記センサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
を備え、
前記複数のセンサ部は、前記検出対象物質を検出可能な検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を含むことを特徴とする。
請求項1に記載のセンサシステムにおいて、
前記複数のセンサ部は、複数のグループにグルーピングされており、
前記一のグループに所属する複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が異なる各種類のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちの一のグループに所属する前記各種類のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データに基づいて前記各種類のセンサ部の中から最適な検出濃度範囲を有するセンサ部を決定し、当該決定されたセンサ部による検出データに基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とする。
請求項1又は2に記載のセンサシステムにおいて、
前記複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データを用いて所定の統計処理を行い、当該所定の統計処理の結果に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とする。
請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサシステムにおいて、
前記センサ部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、前記反応に伴う所定の変化を検出する検出素子と、を備え、
前記取得手段は、前記検出素子により検出された所定の変化に基づく検出データを取得し、
前記センサ部から前記反応物質を除いた差分用センサ部と、
前記差分用センサ部が備える検出素子により検出された所定の変化に基づく検出データを取得する差分用取得手段と、
を備え、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データと、前記差分用取得手段により取得された検出データと、の差分を取り、当該差分に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とする。
センサシステムにおいて、
検出対象物質を検出する複数のセンサ部と、
前記センサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
を備え、
前記センサ部は、前記検出対象物質と選択的に反応する生体物質と、前記反応に伴う所定の変化を検出する電極と、を備え、
前記複数のセンサ部は、前記検出対象物質を検出可能な検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を含むとともに、複数のグループにグルーピングされており、
前記一のグループに所属する複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が異なる各種類のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちの一のグループに所属する前記各種類のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データに基づいて前記各種類のセンサ部の中から最適な検出濃度範囲を有するセンサ部を決定し、当該決定されたセンサ部による検出データに基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とする。
したがって、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を備えるという簡易な構成で、センサシステム全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、複数種類のセンサ部のうちの最適な検出濃度範囲を有するセンサ部で検出対象物質を検出することができるため、検出対象物質の濃度が未知であっても、適切な検出濃度範囲で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
本実施の形態では、酵素センサとして機能するセンサ部を有するマトリックスセンサを備えたセンサシステムを例示して説明することとする。
まず、第1の実施の形態におけるセンサシステム1及びセンサシステム1が備えるマトリックスセンサ10について説明する。
図1は第1の実施の形態のセンサシステム1の機能的構成を示すブロック図、図2は第1の実施の形態のセンサシステム1を模式的に示す図である。
具体的には、センサシステム1は、例えば、マトリックスセンサ10と、封止除去部30と、検出データ取得部40と、制御部50と、メモリ部60と、操作部70と、表示部80と、などを備えて構成される。
なお、センサシステム1において、マトリックスセンサ10と、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などとは、別々に構成しても良いし、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などをマトリックスセンサ10と同一の基板11上に形成して、集積化して構成(ワンチップ化)しても良い。また、ワンチップ化する場合は、マトリックスセンサ10と、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などが配置された基板と、を積み重ねることによって、多層型にしても良い。
図3はマトリックスセンサ10の平面斜視図、図4はマトリックスセンサ10の分解図、図5は図3のV−V線における断面図、図6は電極12が形成された基板11の平面図、図7はセンサ部20の特定の仕方を説明するための図である。
また、例えば、図7に示すように、各行(X)に、上から順に「1」〜「5」の番号を割り当てるとともに、各列(Y)に、左から順に「1」〜「5」の番号を割り当てて、センサ部20を特定する際、センサ部(X,Y)と呼ぶこととする。
検出層21は、電解液で満たされている。検出素子としての電極12は、検出層21に配置されており、検出対象物質と選択的に反応する反応物質(生体物質)としての酵素Eは、多孔体13に担持(固定)された状態で検出層21に含有されている。そして、供給層23の透過層22と対向する側の面(すなわち、センサ部20の基板11と対向する側の面)は、除去可能な封止部材17により封止されている。
すなわち、センサ部20は、検出層21に電解液と酵素Eとを含有した状態で、封止部材17により外部から遮断されている。
すなわち、例えば、検出対象物質をホルムアルデヒド(HCHO)、酵素Eをホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼとした場合、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼが補酵素(NAD+)の存在下でホルムアルデヒドを酸化する反応(HCHO+NAD++3H2O ―(酵素E)→ HCOO−+NADH+2H3O+)により生成される還元型酵素の量の変化を、作用電極121と対向電極123との間に流れる電流量の変化として電極12で検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。具体的には、酸化型のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼがホルムアルデヒドを酸化する反応に伴い、酸化型のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(酸化型酵素)は還元型のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(還元型酵素)となり、その還元型酵素は、直接的に又は電子伝達体を介して間接的に電子(e−)を作用電極121に渡して酸化型酵素に戻る。この際、作用電極121と対向電極123との間に流れる還元型酵素又は還元型電子伝達体を再酸化するための電流量を電極12で検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。
また、例えば、検出対象物質(基質)をグルコース、酵素Eをグルコースオキシダーゼとした場合、酵素反応(基質+O2 ―(酵素E)→ 生成物+H2O2)により生成される過酸化水素や消費される酸素などの電極活性物質の量の変化を、作用電極121と対向電極123との間に流れる電流量の変化として電極12で検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。
基板11は、例えば、平面視略矩形状に形成されている。基板11は、例えば、基板11上面に、5×5の2次元マトリックス状に並んだ平面視略円形状の分析部111を有しており、例えば、基板11上面における分析部111に対応する領域以外の領域に、SiO薄膜等の疎水性絶縁膜112が形成されている。
ここで、半導体基板としては、例えば、シリコン基板等を用いることができる。
また、絶縁基板としては、例えば、ガラス基板、セラミックス基板、紙基板、木材基板等を用いることができる。
また、高分子基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))などのフッ素ポリマー類、ポリエーテル類、ポリスチレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリイミド類等を用いることができる。
電極12(作用電極121、参照電極122及び対向電極123)は、例えば、図6に示すように、基板11上面における分析部111の内部に形成されており、作用電極121、参照電極122及び対向電極123に対応して設けられたパッド124,124,124と配線を介して接続されている。
パッド124は、例えば、図6に示すように、基板11上面における基板11の縁部に形成されている。
電極用薄膜の材質としては、例えば、Al、Cr、Mo、Ta、Ti、W、Nb、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、RuO2、C等及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。
また、参照電極122は銀/塩化銀電極であるのが好ましい。銀/塩化銀電極である参照電極122は、例えば、参照電極122となる電極用薄膜上に、銀/塩化銀インクを塗布してベーキングすることにより作成しても良いし、スクリーン印刷法や蒸着法、スパッタリング法などによって一旦銀電極を形成させた後に、一定電流を電解したり、塩化第2銀水溶液中に浸漬したりすることにより作成しても良い。
また、コンタクト特性や電気導電性の向上という観点から、異なる種類の金属膜を積層したものを電極用薄膜としても良い。
多孔体13は、例えば、基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを有している。
多孔体13は、例えば、平面視略円形状に形成されている。多孔体13の平面視におけるサイズ(径)は、分析部111のサイズ(径)と同一又はそれ以下となるよう設定されており、多孔体13の厚み(上下方向の長さ)は、電極12と透過膜15との間の距離と同一又はそれ以下となるよう設定されている。
シリカ系メソ多孔体は、例えば、ケイ酸やアルミナなどの各種金属酸化物、ケイ酸と他種の金属との複合酸化物等によって構成することができる。
例えば、ケイ酸により構成されるシリカ系メソ多孔体の作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
また、シリカ系メソ多孔体の作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔13aを形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、シリカ系メソ多孔体に、柱状の細孔13aが形成されることになる。
シリカ系メソ多孔体の細孔13aのサイズ(細孔13aの径)は、固定する酵素Eのサイズ(酵素Eの径)に応じて決定される。すなわち、例えば、ミセルのサイズ(ミセルの径)が、酵素Eのサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔13aのサイズが、固定する酵素Eのサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
また、シリカ系メソ多孔体の作成方法としては、上記のように個別に形成しても良いし、或いは、スピンコートや核成長による析出、光配向、電場、磁場、shear flowなどによる外場を利用して基板11や電極12上へ孔サイズに加えて、方向制御された形で直接作成することもできる。
さらに、シリカ系メソ多孔体の種類としては、細孔13aのサイズが均一であり、かつ、細孔13a(チャンネル)の方向が一方向に向いているという特徴を有する、例えば、CTAB−M、P123−M、F127-M等の公知の種類を採用することができる。具体的には、CTAB−M、P123−M、F127-M等は、例えば、円筒形のアルミナ細孔内に界面活性剤を鋳型として作製される、アルミナ細孔の方向と同一のチャンネル方向を有するメソポーラスシリカナノチャンネル集合体(一次元シリカナノチャンネルの集合体)が充填された膜状のシリカ系メソ多孔体である。
具体的には、シリカ系メソ多孔体の細孔13aのサイズは、例えば、固定される酵素E(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素Eのサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素Eのサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、シリカ系メソ多孔体における細孔13aの直径(中心細孔直径)は、固定される酵素Eの直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素Eの直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素Eの直径とほぼ同一であることが最も好ましい。なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素Eの直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、1〜50nm程度とすることができる。
ここで、酵素Eが多量体を形成する場合には、固定される酵素Eのサイズ(直径)は、多量体のサイズ(直径)とすることができる。ここで、多量体とは、2以上の酵素(タンパク質)が、直接に、又は水などの低分子を介して結合してなる化合物をいい、結合には、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合が含まれる。しかし、これらの結合の種類は、特に制限されない。
さらに、シリカ系メソ多孔体の比表面積は、例えば、200〜1500m2程度であるため、酵素Eをシリカ系メソ多孔体に固定することによって、酵素Eを電極12の表面に直接固定する場合と比較して、検出層21に多量の酵素Eを含有させることができるため、センサ部20による検出対象物質の検出を高感度化することができる。
また、シリカ系メソ多孔体の細孔13aには、基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aが含まれるため、基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを含まない場合と比較して、酵素Eの活性中心と電極12(作用電極121)との電子移動がスムーズになるため、センサ部20による検出対象物質の検出を高速化することができる。
或いは、公知の方法により、基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを有する構造体を、電極12上に直接形成しても良い。具体的には、例えば、陽極酸化により基板11に略垂直方向に貫通する陽極酸化アルミナを形成することもできるし、その中にさらに小さな細孔径を有するシリカチャンネルの束を形成することもできる。
酵素Eは、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
具体的には、酵素Eは、例えば、酸化還元酵素、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素などの酵素(酵素タンパク質)である。
また、酵素Eは、例えば、生来の酵素分子であっても、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても良いし、所望によりそれを切断したものであっても良いし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
具体的には、多孔体13に固定する酵素Eは、例えば、1種類の酵素であっても、分子量及び/又はサイズ(径)が略同一の2種類以上の酵素であっても、分子量及び/又はサイズが異なる2種類以上の酵素であっても良い。また、多孔体13に固定する酵素Eが2種類以上である場合、酵素Eは、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
ここで、特に、多孔体13に固定する酵素Eが2種類以上であって、その2種類以上の酵素が異種の検出対象物質に作用する場合、センサ部20は、その異種の検出対象物質(2種類以上の検出対象物質)を同時に検出することができる。
さらに、必要に応じて、公知の酵素固定化法(例えば、導電性高分子、グルタルアルデヒド、光架橋性樹脂等を用いる固定化法等)と併用することもできる。
また、酵素Eを多孔体13に固定した後、その多孔体13を電極12上に配置しても良いし、電極12上に多孔体13を配置した後、その多孔体13に酵素Eを固定するようにしても良い。
なお、電子伝達体は、検出層21に含有されていれば任意であり、例えば、検出層21を満たす電解液に溶解した状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、多孔体13の細孔13aの内部に導入(固定)された状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、電極12(作用電極121)に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良い。
具体的には、電子伝達体としては、例えば、ポリアニリンなどの導電性高分子、キノンやキノン誘導体(ナフトキノンやベンゾキノンなど)などのキノン系化合物、フェロセンやフェロセン誘導体などのフェロセン系化合物、フェリシアン化カリウム、オスミウム錯体、各種ビタミン、ビオロゲン等が挙げられる。
なお、補酵素は、検出層21に含有されていれば任意であり、例えば、検出層21を満たす電解液に溶解した状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、多孔体13の細孔13aの内部に導入(固定)された状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、電極12(作用電極121)に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良い。
また、補酵素300は、例えば、補因子としての各種金属原子や金属イオン、金属錯体、各種色素など(例えば、Fe2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Co3+等)とともに検出部10に含有されていても良い。
隔壁部14は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、分析部111に対応する領域に、上下方向に貫通する開口部を有している。隔壁部14は、例えば、基板11(疎水性絶縁膜112)の上面に熱圧着されたり接着されたりして、基板11上に固定されている。
分析部111内及び隔壁部14の開口部内が、センサ部20の検出層21となる。すなわち、センサ部20,20同士は、隔壁部14と、基板11上面の疎水性絶縁膜112と、によって隔てられている。
また、隔壁部14は、例えば、陽極酸化アルミナ等の、基板11に対して略垂直方向に貫通する貫通孔を有する構造体であっても良い。
すなわち、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いてフォトリソグラフィー法等により基板11上に隔壁部14を形成しても良いし、例えば、基板11上に電極12を形成する前に、基板11上面にエッチング等により凹部を形成してそれを検出層21(隔壁部14の開口部)としても良いし、例えば、スクリーン印刷等により基板11上に隔壁部14としてガラス隔壁等を形成しても良い。
透過膜15は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、例えば、基板11(疎水性絶縁膜112)の上面に熱圧着されたり接着されたりして、基板11上に固定されている。
特に、試料が気体試料である場合、透過膜15としては、検出対象物質(検出対象ガス)は透過するが、電解液等の液体は透過しないガス透過膜が好ましい。
ここで、ガス透過膜としては、例えば、通気性を有するポリエチレン膜やテフロン膜などを用いることができる。
スペーサ16は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、分析部111に対応する領域に、上下方向に貫通する開口部を有している。スペーサ16は、例えば、透過膜15の上面に熱圧着や熱融着されたり接着されたりして、透過膜15上に固定、或いは、絶縁性の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いてフォトリソグラフィー、スクリーン印刷等により形成されている。
スペーサ16の開口部内が、センサ部20の供給層23となる。
なお、封止部材17を除去する際に、透過膜15が傷付いたり透過膜15も除去されたりすることがないのであれば、スペーサ16を省略して、透過膜15上に直接、封止部材17を配置しても良い。ここで、封止部材17を除去する際に、透過膜15が傷付いたり透過膜15も除去されたりすることがない場合とは、例えば、透過膜15として耐熱性の高い膜を用いるとともに、封止部材17として耐熱性の低い部材を用いて、電圧印加等の熱で加熱することにより封止部材17を除去する場合等である。
封止部材17は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、例えば、スペーサ16の上面に熱圧着されたり接着されたりして、スペーサ16上に固定されている。
ここで、ガス不透過性の膜状部材としては、例えば、塩化ビニル膜などの高分子材料製の膜状部材、アルミ薄膜、これらに高分子材料をラミネートしたもの、特性の異なる高分子材料同士をラミネートしたもの、等を用いることができる。
カバー部材18は、各センサ部20に気体試料や液体試料を供給するための上下方向に貫通する供給口を有しており、当該供給口が分析部111に対応するように、封止部材17の上面に配置又は形成されている。カバー部材18は、例えば、封止部材17の上面に熱圧着や熱融着されたり接着されたりして、封止部材17上に固定、或いは、絶縁性の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いてフォトリソグラフィー、スクリーン印刷等により形成されている。
封止除去部30は、例えば、制御部50から入力される制御信号に従って、除去手段として、指定されたセンサ部20に対応する封止部材17を除去する。
具体的には、封止除去部30は、例えば、図2に示すように、封止部材17を機械的に除去する針31と、針31を移動させる移動部32と、移動部32を移動させる駆動部33と、などを備えて構成される。
図8は検出データ取得部40の駆動回路を示す図、図9は作用電極121に接続されたアドレシング可能な能動素子(AC)を示す回路図であり、図10〜図12は図9に示す能動素子(AC)の一例を示す回路図である。
すなわち、検出データ取得部40は、例えば、指定されたセンサ部20について、参照電極122に対して作用電極121に所定の電圧値の電圧を印加し、その際に作用電極121から出力される電流の電流値(応答電流値)を取得して、制御部50に出力する。
具体的には、セレクト回路41は、例えば、図8に示すように、作用電極121とポテンショスタット回路42との接続をON/OFFするセレクタスイッチ411と、制御部50から入力される制御信号に従ってセレクタスイッチ411を制御する回路412(ドライブ回路(能動素子)及びシフトレジスタ回路)と、などを備えて構成される。
能動素子(AC)は、例えば、図9に示すように、マトリックスセンサ10が有する作用電極121それぞれに対応して設けられており、信号線AXと信号線BYとに接続されてアドレシング可能となっている。
能動素子(AC)としては、例えば、図10に示すような、2つのダイオードで構成された能動素子、図11に示すような、コンデンサと接続した抵抗を持つダイオードで構成された能動素子、図12に示すような、MOSトランジスタで構成された能動素子などを用いることができる。
具体的には、シフトレジスタを含む回路412は、例えば、制御部50から行(X)と列(Y)が指定されると、対応する信号線AX及び信号線BYに信号を供給して、センサ部(X,Y)が備える作用電極121(WXY)と、ポテンショスタット回路42と、の接続をONする。
より具体的には、シフトレジスタを含む回路412は、例えば、制御部50から「行(X)=2、列(Y)=5」を選択する旨のデータが送付されると、信号線A2及び信号線B5に信号を供給して、センサ部(2,5)が備える作用電極121(W25)と、ポテンショスタット回路42と、の接続をONする。
ポテンショスタット回路42は、制御部50からの信号及びデータにより、順次、D/A変換器412、制御アンプ422、電位計測回路423へ電圧を設定・出力、及びそれに同期させてセレクタスイッチ411を切り替えて対応する作用電極121を選択して順次連続的に電流値を取り込むことにより、シングルチャンネルで複数のセンサの出力を取り込むことができ、マルチチャンネル回路の役割を果たすことができる。したがって、コスト及び面積を大幅に削減することができる。
具体的には、ポテンショスタット回路42は、例えば、図8に示すように、D/A変換器421と、制御アンプ422と、電位計測回路423と、電流電圧変換回路424と、A/D変換器425と、などを備えて構成される。
対向電極123の制御アンプ422は、例えば、参照電極122の電位を計測する電位計測回路423と接続されており、参照電極122の電位を基準にして、D/A変換器421から入力された電圧データに相当する電圧値を、対向電極123に印加する。
そして、その際に作用電極121から出力される応答電流は、例えば、電流電圧変換回路424で電圧信号(アナログ信号)に変換され、A/D変換器425でデジタル信号に変換されて、制御部50に出力されるようになっている。
制御部50は、例えば、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)51と、RAM(Random Access Memory)52と、記憶部53と、などを備えている。
CPU51は、かかる劣化判断プログラム531を実行することによって、判断手段として機能する。
CPU51は、かかるセンサ部指定プログラム532を実行することによって、指定手段として機能する。
なお、CPU51は、検出データ取得部40から入力された検出データを、例えば、メモリ部60に記憶させたり、表示部80に表示させたりするようになっている。
供給層23に対して強制的に試料を供給する場合、試料を吹き付ける試料供給装置は、センサシステム1に備えられていても良いし、センサシステム1の外部装置であっても良い。なお、試料供給装置がセンサシステム1に備えられている場合は、例えば、検出データ取得制御プログラム534を実行したCPU51が、検出データ取得部40を制御して、指定されたセンサ部20による検出データを取得させるとともに、試料供給装置を制御して、指定されたセンサ部20の供給層23に試料を供給させることとする。また、試料供給装置がセンサシステム1に備えられている場合は、試料供給装置をマトリックスセンサ10に公知のMEMS等の微細加工技術を用いて一体型として直接形成して構成することもできる。
なお、CPU51は、算出された検出対象物質の濃度を、例えば、メモリ部60に記憶させたり、表示部80に表示させたりするようになっている。
また、CPU51は、検量線と、検出データと、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出できない場合、例えば、所定のエラー表示を表示部80に表示させるようになっている。
CPU51は、かかる濃度算出プログラム535を実行することによって、算出手段として機能する。
メモリ部60は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、或いは、半導体メモリで構成され、例えば、制御部50から入力される制御信号に従って、所定のデータを記憶する。
操作部70は、例えば、操作キーなどから構成され、ユーザにより操作されると、当該操作信号を制御部50に出力する。なお、操作部70は、必要に応じてマウスやタッチパネルなどのポインティングデバイス、リモートコントローラ等、その他の操作装置を備えるものとしても良い。
表示部80は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネルなどから構成され、例えば、制御部50から入力される制御信号に従って、所与の表示処理を行う。
センサシステム1による検出対象物質の濃度の測定に関する処理の一例について、図13のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
ここで、使用履歴とは、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を識別するためのマトリックスセンサ識別情報と、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報と、その封止部材17が除去された日時と、などが対応付けられた情報であり、例えば、メモリ部60に記憶されている。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、前回の検出に使用したセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が備えるセンサ部20の中に封止部材17が除去されていないセンサ部20があるか否か判断する。
そして、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換する旨の所定の表示を表示部80に表示させる等して、ユーザに、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換するよう促す。
具体的には、例えば、作用電極121への電圧印加を開始し、供給層23に対して強制的に試料を供給する場合は供給層23への試料供給を開始する。そして、その作用電極121からの応答電流が平衡に達すると、電圧印加を終了し、供給層23に対して強制的に試料を供給していた場合はその供給を終了する。この一連の処理を指定されたセンサ部20に対して行う。
そして、CPU51は、例えば、ステップS17で取得された検出データやステップS18で算出した検出対象物質の濃度をメモリ部60に記憶させたり表示部80に表示させたりする。
無論、ステップS11〜ステップS18の間に、ユーザによる操作部70の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を中止するよう指示されると、CPU51は、その時点で、本処理を終了する。
すなわち、封止部材17によりセンサ部20が外部から遮断されているため、指定されて封止部材17が除去されるまでは大気等への曝露に伴うセンサ部20の劣化を防止することができるとともに、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用するため、指定されて使用されるまでは使用に伴うセンサ部20の劣化を防止することができる。さらに、マトリックスセンサ10が備える複数のセンサ部20全てを同時に使用するのではなく、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用(封止部材17を除去して使用)するため、複数のセンサ部20全てを使い切るまでは、マトリックスセンサ10は使用可能である。したがって、個々のセンサ部の寿命が短いものであっても、マトリックスセンサ10のセンサとしての寿命を大幅に増加することができる。
また、指定されたセンサ部20に対応する封止部材17の除去が自動的に行われるため、検出時にユーザが封止部材17を除去する等の手間がなくなって、検出時の煩わしさを低減することができる。
すなわち、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用(封止部材17を除去して使用)し、そのセンサ部20が劣化すると、次に使用するセンサ部20(封止部材17が除去されていないセンサ部20)を指定するようになっているため、マトリックスセンサ10のセンサとしての寿命を大幅に増加することができるとともに、マトリックスセンサ10のセンサとしての信頼性を高めることができる。
すなわち、検出対象物質と選択的に反応する酵素Eを多孔体13に固定しているため、酵素Eを電極12上に直接固定する場合と比較して、センサ部20が備える酵素Eの量が増加し、マトリックスセンサ10を小型化しても、センサ部20が高感度となる。
したがって、酵素Eを電極12上に直接固定する場合と比較して、より小型の高感度マトリックスセンサ10の提供が可能となるため、好適である。
さらに、多孔体13は、基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを有する多孔体であるため、反応物質(酵素E)を適度に分散でき、しかも、基質や生成物の拡散性が良いので、センサ感度の向上が期待できる。
次に、第2の実施の形態におけるセンサシステム1A及びセンサシステム1Aが備えるマトリックスセンサ10Aについて説明する。
なお、第2の実施の形態のセンサシステム1Aは、マトリックスセンサ10Aが、複数のセンサ部20として、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えている点が、第1の実施の形態のセンサシステム1と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して説明する。
図14は第2の実施の形態のセンサシステム1Aの機能的構成を示すブロック図である。
図15はマトリックスセンサ10Aの平面斜視図、図16はマトリックスセンサ10Aの分解図、図17は図15のXVII−XVII線における断面図である。
具体的には、センサシステム1Aにおいて、マトリックスセンサ10Aが備える25個のセンサ部20は、例えば、列が同一のセンサ部20,20同士は検出濃度範囲が同一であり、列が異なるセンサ部20,20同士は検出濃度範囲が異なることとする。すなわち、例えば、センサ部(1,1)、(2,1)、(3,1)、(4,1)、(5,1)(=センサ部(X,1))の検出濃度範囲はそれぞれ同一であり、センサ部(1,2)、(2,2)、(3,2)、(4,2)、(5,2)(=センサ部(X,2))の検出濃度範囲はそれぞれ同一であり、センサ部(1,3)、(2,3)、(3,3)、(4,3)、(5,3)(=センサ部(X,3))の検出濃度範囲はそれぞれ同一であり、センサ部(1,4)、(2,4)、(3,4)、(4,4)、(5,4)(=センサ部(X,4))の検出濃度範囲はそれぞれ同一であり、センサ部(1,5)、(2,5)、(3,5)、(4,5)、(5,5)(=センサ部(X,5))の検出濃度範囲はそれぞれ同一であるとともに、センサ部(X,1)と、センサ部(X,2)と、センサ部(X,3)と、センサ部(X,4)と、センサ部(X,5)と、はそれぞれ検出濃度範囲が異なることとする。
したがって、一のグループに所属する5個のセンサ部20は、検出濃度範囲が異なる5種類のセンサ部20を含んでいることになる。
調整用透過膜19は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、平面視におけるサイズが、分析部111を被覆可能なサイズとなるよう設定されている。調整用透過膜19は、例えば、調整用透過膜19における分析部111に対応する領域以外の領域が、透過膜15の上面に熱圧着されたり接着されたりして、透過膜15上に固定されている。
調整用透過膜19は、センサ部20の検出濃度範囲を調整するためのものである。センサ部20の検出濃度範囲は、透過層22及び検出層21中での検出対象物質の拡散に依存する。すなわち、検出対象物質が拡散しやすい場合には、センサ部20の検出濃度範囲は低濃度側となり、検出対象物質が拡散しにくい場合には、センサ部20の検出濃度範囲は高濃度側となる。したがって、調整用透過膜19により検出対象物質が透過層22を透過する際の透過率を変えることによって、センサ部20の検出濃度範囲を変えることができる。
したがって、検出対象物質が透過層22を透過する際の透過率は、センサ部(X,1)>センサ部(X,2)>センサ部(X,3)>センサ部(X,4)>センサ部(X,5)となっており、センサ部(X,1)の検出濃度範囲が最も低濃度側であり、センサ部(X,5)の検出濃度範囲が最も高濃度側となっている。
特に、試料が気体試料である場合には、調整用透過膜19としては、検出対象物質(検出対象ガス)は透過するが、電解液等の液体は透過しないガス透過膜が好ましい。
ここで、ガス透過膜としては、例えば、通気性を有するポリエチレン膜やテフロン膜などを用いることができる。
制御部50Aは、例えば、図14に示すように、CPU51と、RAM52と、記憶部53Aと、などを備えている。
ここで、使用するグループの順番は任意であり、具体的には、例えば、“センサ部(1,Y)グループ→センサ部(2,Y)グループ→センサ部(3,Y)グループ→センサ部(4,Y)グループ→センサ部(5,Y)”等である。
CPU51は、かかるセンサ部指定プログラム532Aを実行することによって、指定手段として機能する。
そして、検出濃度範囲が異なる5種類のセンサ部20それぞれの検量線として、例えば、図19に示すような検量線(検出濃度範囲が異なる5種類のセンサ部20(例えば、センサ部A、センサ部B、センサ部C、センサ部D、センサ部E)それぞれの検量線)を取得した場合、CPU51は、例えば、各検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲をそれぞれ決定し、許容電流範囲として、各検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲の全てに収まる範囲(例えば、I2〜I3)を決定する。なお、許容電流範囲は、各検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲の全てに収まる範囲、すなわち、センサ部Aの検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲と、センサ部Bの検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲と、センサ部Cの検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲と、センサ部Dの検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲と、センサ部Eの検出濃度範囲に対応する応答電流の範囲と、の全てに収まる範囲であれば任意である。
そして、CPU51は、決定した許容電流範囲(I2〜I3)と、検出データ取得部40により取得された5種類のセンサ部20それぞれによる応答電流値と、を比較して、応答電流値が許容電流範囲内にあるセンサ部20を、最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20として決定する。すなわち、例えば、センサ部(1,1)、(1,2)による応答電流値が“応答電流値>I3”であり、センサ部(1,3)による応答電流値が“I2≦応答電流値≦I3”であり、センサ部(1,4)、(1,5)による応答電流値が“応答電流値<I2”である場合、CPU51は、最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20としてセンサ部(1,3)を決定する。
なお、最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20として複数のセンサ部20が決定された場合、CPU51は、例えば、その決定された複数のセンサ部20のうちの一のセンサ部20を選択し、その選択した一のセンサ部20による検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出しても良いし、その決定された複数のセンサ部20それぞれによる検出データに基づいて、検出対象物質の濃度をそれぞれ求め、その求めた濃度を用いて所定の統計処理(例えば、平均値を求める処理)を行い、その所定の統計処理の結果を、算出された検出対象物質の濃度としても良い。
CPU51は、かかる濃度算出プログラム535Aを実行することによって、算出手段として機能する。
ここで、各検出データを加算する処理とは、例えば、検出対象物質が異なるセンサ部20を複数用意して、各センサ部20による検出データの和を取る処理である。具体的には、センサ部Aの検出対象物質がホルムアルデヒドであり、センサ部Bの検出対象物質がベンゼンであり、センサ部Cの検出対象物質がキシレンであり、センサ部Dの検出対象物質がトルエンである場合、各センサ部20による検出データの和をVOC(揮発性有機化合物)と定義して、この和に基づいて、VOCの濃度を算出することができる。
また、各検出データの差分を取る処理とは、例えば、検出対象物質が異なるセンサ部20を複数用意して、各センサ部20による検出データの差を取る処理である。具体的には、センサ部Aの検出対象物質が水素化合物及び硫黄系物質であり、センサ部Bの検出対象物質が硫黄系物質のみである場合、各センサ部20の検出データの差に基づいて、水素化合物の濃度を算出することができる。
センサシステム1Aによる検出対象物質の濃度の測定に関する処理の一例について、図20のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Aに組み込まれているマトリックスセンサ10Aの“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10Aが未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Aに組み込まれているマトリックスセンサ10Aの“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、前回の検出に使用したグループに所属するセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Aに組み込まれているマトリックスセンサ10Aの“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10Aが備えるセンサ部20の中に封止部材17が除去されていないセンサ部20があるか否か判断する。
そして、CPU51は、例えば、センサシステム1Aに組み込まれているマトリックスセンサ10Aを交換する旨の所定の表示を表示部80に表示させる等して、ユーザに、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換するよう促す。
具体的には、例えば、指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択して、その作用電極121への電圧印加を開始し、供給層23に対して強制的に試料を供給する場合は供給層23への試料供給を開始する。そして、その作用電極121からの応答電流が平衡に達すると、チャンネルを切り替えて順次指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択し、同様の操作を繰り返す。そして、電圧印加を終了し、供給層23に対して強制的に試料を供給していた場合はその供給を終了する。この一連の処理を指定されたセンサ部20全てに対して行う。
なお、パルスボルタンメトリーの手法を使って、連続的に作用電極121を順次切り替えていき、各シーケンスに対応して適切なパルスを順次印加することにより、短時間で全チャンネルからの応答を取得することもできる。
そして、CPU51は、例えば、ステップS27で取得された検出データやステップS29で算出した検出対象物質の濃度をメモリ部60に記憶させたり表示部80に表示させたりする。
無論、ステップS21〜ステップS29の間に、ユーザによる操作部70の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を中止するよう指示されると、CPU51は、その時点で、本処理を終了する。
したがって、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えるという簡易な構成で、センサシステム1A(マトリックスセンサ10A)全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、複数種類のセンサ部20のうちの最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20で検出対象物質を検出することができるため、検出対象物質の濃度が未知であっても、適切な検出濃度範囲で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を算出することができる。
また、複数のグループのうちの指定されたグループのみを使用し、そのグループが劣化すると、次に使用するグループを指定して新たに使用するようになっているため、マトリックスセンサ10Aのセンサとしての寿命を延ばすことができる。
次に、第3の実施の形態におけるセンサシステム1Bについて説明する。
なお、第3の実施の形態のセンサシステム1Bは、検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部20それぞれによる検出データを用いて所定の統計処理を行い、その所定の統計処理の結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する点が、第1の実施の形態のセンサシステム1と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して説明する。
図21は第3の実施の形態のセンサシステム1Bの機能的構成を示すブロック図である。
具体的には、例えば、一度に使用するセンサ部20の個数が5個と設定されている場合、マトリックスセンサ10が備える25個のセンサ部20は、5個のセンサ部20を一組として、5つのグループにグルーピングされていることとする。
制御部50Bは、例えば、図21に示すように、CPU51と、RAM52と、記憶部53Bと、などを備えている。
CPU51は、かかるセンサ部指定プログラム532Bを実行することによって、指定手段として機能する。
ここで、所定の統計処理とは、例えば、平均値を求める処理である。
すなわち、CPU51は、例えば、検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部20による検出データ(平衡状態での応答電流値)の平均値を求め、その平均値と、予め取得された検量線と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する。
CPU51は、かかる濃度算出プログラム535Bを実行することによって、算出手段として機能する。
センサシステム1Bによる検出対象物質の濃度の測定に関する処理の一例について、図22のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Bに組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Bに組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、前回の検出に使用したグループに所属するセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Bに組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が備えるセンサ部20の中に封止部材17が除去されていないセンサ部20があるか否か判断する。
そして、CPU51は、例えば、センサシステム1Bに組み込まれているマトリックスセンサ10を交換する旨の所定の表示を表示部80に表示させる等して、ユーザに、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換するよう促す。
具体的には、例えば、指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択して、その作用電極121への電圧印加を開始し、供給層23に対して強制的に試料を供給する場合は供給層23への試料供給を開始する。そして、その作用電極121からの応答電流が平衡に達すると、チャンネルを切り替えて順次指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択し、同様の操作を繰り返す。そして、電圧印加を終了し、供給層23に対して強制的に試料を供給していた場合はその供給を終了する。この一連の処理を指定されたセンサ部20全てに対して行う。
なお、パルスボルタンメトリーの手法を使って、連続的に作用電極121を順次切り替えていき、各シーケンスに対応して適切なパルスを順次印加することにより、短時間で全チャンネルからの応答を取得することもできる。
そして、CPU51は、例えば、ステップS37で取得された検出データやステップS38で求めた平均値、ステップS39で算出した検出対象物質の濃度をメモリ部60に記憶させたり表示部80に表示させたりする。
無論、ステップS31〜ステップS39の間に、ユーザによる操作部70の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を中止するよう指示されると、CPU51は、その時点で、本処理を終了する。
すなわち、複数のセンサ部20それぞれによる検出データを統計処理した結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するため、センサシステム1Bの濃度測定精度を高めることができる。
次に、第4の実施の形態におけるセンサシステム1C及びセンサシステム1Cが備えるマトリックスセンサ10Cについて説明する。
なお、第4の実施の形態のセンサシステム1Cは、マトリックスセンサ10Cが、酵素Eを備える複数のセンサ部20と、酵素Eを備えていない複数の差分用センサ部20C(差分用基準センサ部)と、を備えている点が、第1の実施の形態のセンサシステム1と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して説明する。
図23は第4の実施の形態のセンサシステム1Cの機能的構成を示すブロック図である。
図24はマトリックスセンサ10Cの平面斜視図、図25は図24のXXV−XXV線における断面図である。
具体的には、例えば、図24に示すように、センサシステム1Cにおいて、センサ部(1,Y)、(2,Y)、(3,Y)はセンサ部20(検出用センサ部)であり、センサ部(4,Y)、(5,Y)は差分用センサ部20Cである。
なお、差分用センサ部20Cの構成は、例えば、図25に示すように、酵素Eを備えていないという点以外は、センサ部20の構成(図5参照)と同一であるため、詳細な説明は省略する。
検出データ取得部40Cは、例えば、制御部50Cから入力される制御信号に従って、取得手段として、指定されたセンサ部20による検出データ(指定されたセンサ部20が備える作用電極121と対向電極123との間に流れる電流量に基づく検出データ)を取得し、制御部50Cに出力するとともに、差分用取得手段として、指定された差分用センサ部20Cによる検出データ(指定された差分用センサ部20Cが備える作用電極121と参照電極122との間に流れる電流量に基づく検出データ)を取得し、制御部50Cに出力する。
すなわち、検出データ取得部40Cは、例えば、指定されたセンサ部20について、参照電極122に対して作用電極121に所定の電圧値の電圧を印加し、その際に作用電極121から出力される電流の電流値(応答電流値)を取得して、制御部50Cに出力するとともに、指定された差分用センサ部20Cにおいて、参照電極122に対して作用電極121に所定の電圧値の電圧を印加し、その際に作用電極121から出力される電流の電流値(応答電流値)を取得して、制御部50Cに出力する。
制御部50Cは、例えば、図23に示すように、CPU51と、RAM52と、記憶部53Cと、などを備えている。
CPU51は、かかる劣化判断プログラム531Cを実行することによって、判断手段として機能する。
CPU51は、かかるセンサ部指定プログラム532Cを実行することによって、指定手段として機能する。
すなわち、CPU51は、例えば、センサ部20による検出データ(応答電流値)と、差分用センサ部20Cによる検出データ(応答電流値)と、の差分を取り、その差分の経時変化から平衡状態での応答電流値を取得し、その平衡状態での応答電流値と、予め取得された“検量線”と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する。
CPU51は、かかる濃度算出プログラム535Cを実行することによって、算出手段として機能する。
センサシステム1Cによる検出対象物質の濃度の測定に関する処理の一例について、図26のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Cに組み込まれているマトリックスセンサ10Cの“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20及び差分用センサ部20Cを識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1Cに組み込まれているマトリックスセンサ10Cの“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、前回使用したセンサ部20及び差分用センサ部20Cが劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20及び差分用センサ部20Cを識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が備えるセンサ部20の中に封止部材17が除去されていないセンサ部20及び差分用センサ部20Cがあるか否か判断する。
そして、CPU51は、例えば、センサシステム1Cに組み込まれているマトリックスセンサ10Cを交換する旨の所定の表示を表示部80に表示させる等して、ユーザに、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換するよう促す。
具体的には、例えば、指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択して、その作用電極121への電圧印加を開始し、供給層23に対して強制的に試料を供給する場合は供給層23への試料供給を開始する。そして、その作用電極121からの応答電流が平衡に達すると、チャンネルを切り替えて順次指定されたセンサ部20が備える作用電極121を選択し、同様の操作を繰り返す。そして、電圧印加を終了し、供給層23に対して強制的に試料を供給していた場合はその供給を終了する。この一連の処理を指定されたセンサ部20及び差分用センサ部20Cに対して行う。
なお、パルスボルタンメトリーの手法を使って、連続的に作用電極121を順次切り替えていき、各シーケンスに対応して適切なパルスを順次印加することにより、短時間で全チャンネルからの応答を取得することもできる。
そして、CPU51は、例えば、ステップS47で取得された検出データやステップS48で取った差分、ステップS49で算出した検出対象物質の濃度をメモリ部60に記憶させたり表示部80に表示させたりする。
無論、ステップS41〜ステップS49の間に、ユーザによる操作部70の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を中止するよう指示されると、CPU51は、その時点で、本処理を終了する。
すなわち、差分用センサ部20Cは、検出対象物質と酵素Eとの反応に伴う所定の変化を検出する際に観測されるドリフトのみを検出することができる。したがって、差分を取ることにより、検出対象物質と酵素Eとの反応に伴う所定の変化のみを検出することができるため、センサシステム1Cの濃度測定精度を高めることができるとともに、ドリフトが収束(バックグラウンドが安定)するまで待機する必要がないため、センサシステム1Cによる濃度測定を高速化することができる。
まず、マトリックスセンサMを作成した。本実施例では、マトリックスセンサMとして、ホルムアルデヒドガスを検出するためのマトリックスセンサを作成した。酵素としては、補酵素(NAD+)依存型酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ホルムアルデヒド脱水素酵素)を用いた。
まず、基板11上に、作用電極121、参照電極122及び対向電極123の三極構造のパターンを25個作成した。
具体的には、基板11として、平面視略矩形状に形成されたガラス基板を用意した。そして、この基板11を、ホットプレートを用いて95℃にて90秒間プレベークした。次いで、スピンコーターを用いてネガ型レジストを100μL塗布し、紫外露光装置を用いて作用電極121、参照電極122及び対向電極123の三極構造のフォトマスクパターンを転写した。次いで、120℃で60秒間ポストベークして、その後、現像液にて70秒間現像し、蒸留水で洗浄した。次いで、スパッタ法によって、膜厚が800nmの電極用薄膜(白金薄膜)を成膜した。次いで、リフトオフ法によって、アセトンに浸して超音波で30分間洗浄し、レジストを剥がして白金電極を形成した。白金層の成膜条件は、真空度を10−5Pa、基板温度を60℃、アルゴンガスの流量を40sccmとした。
具体的には、スパッタ法によって、平面視略円形状の分析部111に対応する領域以外の領域に、膜厚が500nmのSiO薄膜を形成することによって、分析部111の周囲に疎水性絶縁膜112を作成した。次いで、参照電極122のパターンに、銀/塩化銀インク(BAS社製)を塗布して120度で焼結し、銀/塩化銀電極である参照電極122を作成して、電極基板を作成した。
まず、多孔体13として、一次元シリカナノチャンネルの集合体が充填された膜状のシリカ系メソ多孔体を作成した。
具体的には、PEG−PPG共重合体1.0gをエタノール20mL、水2mL、濃塩酸100μLと混合した後、攪拌しながら60℃で1時間還流した。次いで、オルトけい酸テトラエチル(TEOS)を2.1g添加し、60℃で2時間還流した。次いで、この溶液を4mL採取して、多孔性の陽極酸化アルミナ膜(直径47mm、厚み60μm、細孔径0.1μm)に滴下し、吸引濾過を行った後、20分間デシケータ中で常温乾燥させた。これを500℃の電気炉で5時間焼成することによって、膜状のシリカ系メソ多孔体を得た。
この膜状のシリカ系メソ多孔体を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結果、陽極酸化アルミナ膜の細孔内に、アルミナ細孔壁に沿って平均細孔直径約8nmのシリカナノチャンネルが充填されていることを確認した。
具体的には、作成した膜状のシリカ系メソ多孔体を、分析部111と略同一サイズの平面視略円形状にレーザ加工することによって、酵素固定化膜用の多孔体13を作成した。
まず、酵素溶液を作成した。
具体的には、0.5Uのホルムアルデヒド脱水素酵素、0.25μmolのNAD+、10μmolのナフサキノンを、50%のグリセリンを含む1000μLのリン酸緩衝液(pH7.4)へ溶解して、酵素溶液を作成した。
また、0.25μmolのNAD+、10μmolのナフサキノンを、50%のグリセリンを含む1000μLのリン酸緩衝液(pH7.4)へ溶解して、酵素が含有されていないブランク溶液を作成した。
具体的には、まず、隔壁部14として、分析部111に対応する領域に開口部を有する、基板11と略同一サイズの平面視略矩形状に形成された板状部材(厚み:200μm、ポリエステル製)を用意した。そして、この隔壁部14を、上記作成した電極基板上に接着し、一晩、常温にて乾燥させた。
次いで、上記作成した酵素固定化膜用の多孔体13それぞれを、隔壁部14が有する各開口部内に設置した。
また、上記作成したブランク溶液を各々20μLずつマイクロピペットで採取して、センサ部(5,Y)(=センサ部(5,1)、(5,2)、(5,3)、(5,4)、(5,5))に対応する位置に設置された酵素固定化膜用の多孔体13に滴下した。すなわち、本実施例で作成するマトリックスセンサMにおいて、センサ部(5,Y)は、差分用センサ部20Cである。
次に、上記作成したマトリックスセンサMを用いて、本発明のセンサシステム及び本発明のセンサシステムが備えるマトリックスセンサを評価した。
測定装置Nは、例えば、図28に示すように、封止除去部30と、検出データ取得部40Cと、規定濃度のホルムアルデヒドガスを生成するホルムアルデヒドガス生成器N1と、ホルムアルデヒドガス生成器N1により生成されたホルムアルデヒドガスをマトリックスセンサMが備えるセンサ部20や差分用センサ部20Cの供給層23に供給するためのテフロン製のチューブN2と、などを備えて構成される。
これにより、使用する一のセンサ部20又は一の差分用センサ部20Cに対応する封止部材17を針31で除去した後、その使用する一のセンサ部20又は一の差分用センサ部20Cの上面に試料(ホルムアルデヒドガス生成器M1により生成されたホルムアルデヒドガス)を吹き付けることができるようになっている。
具体的には、上記作成したマトリックスセンサM(作成直後のマトリックスセンサM)を、封止除去部30の針31の下方に配置して、検出データ取得部40Cに接続した。次いで、マトリックスセンサMが備える20個のセンサ部20のうちの使用する一のセンサ部20について、或いは、マトリックスセンサMが備える5個の差分用センサ部20Cのうちの使用する一の差分用センサ部20Cについて、封止部材17を除去し、そして、室温(25℃)にて、参照電極122に対して作用電極121に+650mVの電圧を印加するとともに、供給層23に規定濃度のホルムアルデヒドガスを供給して、アンペロメトリー法による電流計測により測定を行った。
センサ部(1,1)を使用して、ホルムアルデヒドガスを供給したときのセンサ部20の応答を観察するための実験を行った。
具体的には、作用電極121に電圧を印加して、ホルムアルデヒド濃度が20ppbのホルムアルデヒドガスを生成して供給し、応答電流を測定した。ホルムアルデヒドガスの供給は、作用電極121に電圧を印加してから応答電流(充電電流)が十分に安定した後に(具体的には、作用電極121に電圧を印加してから7分後に)行った。その結果を図29に示す。
そして、センサ部(1,1)の検出層23にホルムアルデヒドガスを供給した直後から応答電流が増加し、ホルムアルデヒドガスを導入してから2分程度で平衡状態に落ち着くことが分かった。これにより、本発明のセンサシステム(第1〜第4の実施の形態のセンサシステム)が備えるマトリックスセンサが有する一のセンサ部20を用いることによって、検出対象物質を検出できることが分かった。
検出濃度範囲がそれぞれ異なる5種類のセンサ部20(センサ部(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5))を使用して、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えることによる効果を実証するための実験を行った。
具体的には、作用電極121に電圧を印加して、ホルムアルデヒド濃度が異なるホルムアルデヒドガスを順次生成して供給し、応答電流を測定することによって、検量線を作成した。供給するホルムアルデヒドガスの濃度は、1ppb、10ppb、20ppb、100ppb、200ppb、1000ppb、2000ppb、10000ppb、100000ppbとした。その結果を図30に示す。
また、センサ部(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)の中でセンサ部(1,1)の次に透過層22の透過率が高いセンサ部(1,2)の検出濃度範囲は、10ppb〜200ppbであることが分かった。
また、センサ部(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)の中でセンサ部(1,2)の次に透過層22の透過率が高いセンサ部(1,3)の検出濃度範囲は、20ppb〜1000ppbであることが分かった。
また、センサ部(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)の中でセンサ部(1,3)の次に透過層22の透過率が高いセンサ部(1,4)の検出濃度範囲は、100ppb〜2000ppbであることが分かった。
また、センサ部(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)の中で最も透過層22の透過率が低いセンサ部(1,5)の検出濃度範囲は、200ppb〜10000ppbであることが分かった。
これに対し、本発明のセンサシステム(第2の実施の形態のセンサシステム)では、マトリックスセンサが、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えているため、この複数種類のセンサ部20を同時に使用することによって、マトリックスセンサを広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、各センサ部20の検出濃度範囲が狭いため、検出濃度範囲が広範な従来のセンサと比較して検出誤差が小さく、最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20による検出データに基づいて検出対象物質の濃度を算出することによって、より正確な濃度を算出することができ、好適である。
検出濃度範囲が同一である15個のセンサ部20(センサ部(2,Y)、(3,Y)、(4,Y))を使用して、検出データ(応答電流値)の平均値を求めることによる効果を実証するための実験を行った。
具体的には、作用電極121に電圧を印加して、ホルムアルデヒド濃度が20ppbのホルムアルデヒドガスを生成して供給し、応答電流を測定した。そして、この一連の処理を15回繰り返して行った。その結果を図31に示す。
センサ部20(センサ部(1,1))と、差分用センサ部20C(センサ部(5,1))と、を使用して、検出データの差分を取ることによる効果を実証するための実験を行った。
具体的には、作用電極121に電圧を印加して、ホルムアルデヒド濃度が10ppbのホルムアルデヒドガスを生成して供給し、応答電流を測定した。ホルムアルデヒドガスの供給は、作用電極121に電圧を印加してから応答電流(充電電流)が安定する前に(具体的には、作用電極121に電圧を印加してから90秒後に)行った。その結果を図32に示す。
第1の実施の形態において、電極12の対向電極123は、図6及び図8に示すようなセンサ部20それぞれに対応して個別に形成されたものに限ることはなく、例えば、図33及び図34に示す電極12Dの対向電極123Dのように、一体的に形成されていても良い。ここで、図33においても、図6と同様、ドットパターンで塗りつぶした部分が電極12D(作用電極121D、参照電極122D及び対向電極123D)である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
この場合、電極12D(作用電極121D、参照電極122D及び対向電極123D)は、公知の方法により、ビアホールを介して、基板11背面の配線パターンと電気的に接続されている。
第1の実施の形態において、検出対象物質濃度測定処理は、例えば、図13に示すような、ユーザにより試料中の検出対象物質の濃度を測定するよう指示された際に、単発的に検出対象物質の濃度の測定を行うもの(すなわち、ユーザにより検出対象物質を検出するよう指示されてセンサ部20が指定されると、作用電極121への電圧印加を開始し、作用電極121からの応答電流が平衡に達すると、電圧印加を終了するもの)に限ることはなく、例えば、図35に示すように、連続的に検出対象物質の濃度の測定を行うようにしても良い。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
センサシステム1による検出対象物質濃度の測定に関する処理の他の一例について、図35のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、前回の検出に使用したセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が備えるセンサ部20の中に封止部材17が除去されていないセンサ部20があるか否か判断する。
そして、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換する旨の所定の表示を表示部80に表示させる等して、ユーザに、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10を交換するよう促す。
具体的には、例えば、作用電極121への電圧印加を開始し、供給層23に対して強制的に試料を供給する場合は供給層23への試料供給を開始する。この一連の処理を指定されたセンサ部20に対して行う。
そして、CPU51は、例えば、ステップS57で取得された検出データやステップS58で算出した検出対象物質の濃度をメモリ部60に順次記憶させたり表示部80に順次表示させたりする。
具体的には、CPU51は、例えば、センサシステム1に組み込まれているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部材17が除去された日時)”に基づいて、使用中のセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
無論、ステップS51〜ステップS59の間に、ユーザによる操作部70の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を終了するよう指示されると、CPU51は、その時点で、本処理を終了する。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
透過膜15も、一体的に形成されたものに限ることはなく、例えば、各センサ部20それぞれに対応して個別に形成されていても良い。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
また、検出対象物質の濃度を測定する前に、標準試料(検出対象物質の濃度が一定の試料)中の検出対象物質を検出し、その際の感度(検出データ(応答電流値))に基づいて、キャリブレーションを行うようにしても良い。この場合、センサ部20が劣化等して、センサ部20の感度が低下していても、そのセンサ部20が検出対象物質を検出できない状態になるまでは、そのセンサ部20を使用して検出対象物質の濃度を測定できるため、本発明のマトリックスセンサを長寿命化することができるとともに、本発明のマトリックスセンサのセンサとしての信頼性を高めることができ、好適である。ここで、センサ部20が検出対象物質を検出できない状態とは、例えば、検出対象物質を供給しても応答電流が上昇しない状態等である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
また、最初の劣化判断をせずに、第3の実施の形態に従って、同時に複数のセンサ部20を動作させ、平均から極端に値がずれたものを“故障したセンサ部”として除外することにより劣化を検出する(そのセンサ部20はそれ以降、使用しない)こともできる。
さらに、第1の実施の形態において、酵素Eは、多孔体13に固定された状態で検出層21に含有されていなくても良く、例えば、多孔体13以外の担体(例えば、カーボンナノチューブやシリカナノチューブなど)に固定された状態で検出層21に含有されていても良いし、電極12に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良いし、検出層21を満たす電解液に溶解した状態(遊離酵素の状態)で検出層21に含有されても良い。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
さらに、第1の実施の形態において、酵素Eは、予め検出層21に含有されていなくても良く、例えば、封止部材17が除去された後に検出層21に導入されても良い。
なお、電解液も酵素Eも予め検出層21に含有されない場合には、センサ部20は、封止部材17で封止されていなくても良い。この場合、電解液や酵素Eなどの検出層21への導入は、公知のMEMS等の微細加工技術やフォトリソ等の半導体技術などを利用して、マイクロ流路やマイクロポンプをチップ上に直接、或いは、個別に形成して、これらを用いて導入することもできる。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
具体的には、検出層21に含有される生体物質は、酵素Eに限るものではなく、検出対象物質と選択的に反応する生体物質であれば任意である。具体的には、検出対象物質と選択的に反応する生体物質としては、例えば、酵素E等の生体触媒、抗原、抗体、脂質、細胞、菌、DNA、糖鎖等を用いることができる。
さらに、検出層21に含有される反応物質は、生体物質に限ることはなく、検出対象物質と選択的に反応する物質であれば任意である。具体的には、検出対象物質と選択的に反応する物質としては、例えば、上記生体物質、金属触媒、有機触媒、無機触媒、各種ポリマー、ポリマーコンプレックス、ポリイオンコンプレックス、吸光物質、蛍光物質等を用いることができる。特に、金属触媒としては、白金、パラジウム、ニオブ、イリジウム、タンタル、ニッケル、鉄、コバルト、ベリリウム、タングステン、ロジウム、ジルコニウム、銅、モリブデン、チタン、ルテニウム、タリウムなどの金属又はこれらの合金、さらには、酸化スズSnO2、酸化亜鉛ZnO、酸化第二鉄Fe2O3、四三酸化鉄Fe3O4、アルミナAl2O3、酸化マグネシウムMgO、酸化チタンTiO2、ニ酸化モリブデンMnO2、三酸化モリブデンMnO3、酸化ニッケルNi2O3、酸化クロムCr2O3などのいずれかの酸化物或いは多孔質金属酸化物、又はこれらの複合酸化物を用いることができる。検出層21に含有される反応物質の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
なお、検出層21を満たす電解液は、検出層21に含有される反応物質の種類に応じて、適宜変更可能である。具体的には、検出層21に含有される反応物質が金属触媒(金属酸化物等)である場合は、金属酸化物半導体式センサなど、センサの検出方法によっては、電解液を入れてはいけない。また、検出層21及び供給層23(透過膜15と封止部材17との間の部分)を窒素等の気体で満たすと良い場合もある。
さらに、センサ部20は検出素子を備えていなくても良い。この場合の検出法としては、例えば、センサ部20(マトリックスセンサ10)の外部から、光学的検出法等によって、化学発光、吸光、蛍光、プラズモン現象等を検出することにより、検出対象物質を検出する方法等を用いることができる。
同様に、カンチレバー式センサは、例えば、検出対象物質とカンチレバー表面との相互作用により生じる表面応力の変化を、カンチレバーのたわみ量(変位量)により検出するというものであるが、カンチレバーが検出対象物質に接触させる前後において、カンチレバーの変位量を測定することにより、検出対象物質を検出するセンサである。
ここで、電極式センサのうち、電極と酵素(生体物質)とを組み合わせたものが、実施の形態のセンサ部20(電極式の酵素センサ)に対応する。
また、センサ部20が触媒燃焼式センサや金属酸化物半導体式センサなどとして機能する場合は、必ずしも隔壁部14を備える必要はないが、電気的なクロストークの防止や使用部周辺への熱拡散の防止などの観点から、隔壁部14を備えるのが好ましい。
なお、触媒燃焼式センサや金属酸化物半導体式センサなどは素子を高温で使用するため、小型にすると使用による電極劣化或いは触媒の剥離や亀裂などの発生が顕著である。したがって、これらを本発明のマトリックスセンサにすることで、センサとしての寿命を大幅に増加することができる。
また、マトリックスセンサ10は、検出可能な検出対象物質の種類が異なる複数種類のセンサ部20を有するものであっても良い。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
第2〜第4の実施の形態においても同様である。
また、マトリックスセンサ10Aに、機能が異なる複数種類のセンサ部20を備えることによって、マトリックスセンサ10Aを、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えるものとしても良い。すなわち、例えば、マトリックスセンサ10Aに、電極式センサ(電極式の酵素センサ)として機能するセンサ部20と、固体電解質式センサとして機能するセンサ部20と、金属酸化物半導体式センサとして機能するセンサ部20と、水晶振動子式センサとして機能するセンサ部20と、などを備えることによって、マトリックスセンサ10Aを、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えるものとしても良い。
また、例えば、第1の実施の形態において、センサ部20の供給層23に対する試料の供給速度を変化させることによって、センサ部20の検出濃度範囲を調整することもできる。この場合、供給速度が速いほど、検出濃度範囲は低濃度側となり、供給速度が遅いほど、検出濃度範囲は高濃度側となる。
具体的には、例えば、センサ部A(検出濃度範囲が1ppm〜100ppm)、センサ部B(検出濃度範囲が10ppm〜200ppm)、センサ部C(検出濃度範囲が20ppm〜1000ppm)があり、センサ部Aの検出濃度範囲が最も低濃度側であり、センサ部Cの検出濃度範囲が最も高濃度側である場合、センサ部C→センサ部B→センサ部Aの順に最適なセンサ部20であるか否か判断して、最適なセンサ部20を決定するようにしても良い。より具体的には、例えば、センサ部Cの検出データに基づいて、センサ部Cが最適なセンサ部20であるか否か判断し、センサ部Cが最適なセンサ部20であると判断した場合に、最適なセンサ部20としてセンサ部Cを決定する。センサ部Cが最適なセンサ部20でないと判断した場合には、センサ部Bの検出データに基づいて、センサ部Bが最適なセンサ部20であるか否か判断し、センサ部Bが最適なセンサ部20であると判断した場合に、最適なセンサ部20としてセンサ部Bを決定する。センサ部Bが最適なセンサ部20でないと判断した場合には、センサ部Aの検出データに基づいて、センサ部Aが最適なセンサ部20であるか否か判断し、センサ部Aが最適なセンサ部20であると判断した場合に、最適なセンサ部20としてセンサ部Aを決定し、センサ部Aが最適なセンサ部20でないと判断した場合には、例えば、検出エラーを表示する等する。このようにして、最適なセンサ部20を決定するようにしても良い。なお、判断の順番は、センサ部C→センサ部B→センサ部Aの順に限ることはなく、例えば、センサ部A→センサ部B→センサ部Cの順であっても良い。
具体的には、例えば、第2の実施の形態のマトリックスセンサ10Aを用いて、最適な検出濃度範囲を有する複数のセンサ部20それぞれによる検出データを取得し、その取得された検出データを用いて所定の統計処理を行い、その所定の統計処理の結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するようにしても良い。
この場合、検出対象物質の測定精度を高めることができる。
具体的には、例えば、第2の実施の形態のマトリックスセンサ10Aに差分用センサ部20Cを設けて、最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20による検出データと、差分用センサ部20Cによる検出データと、の差分を取り、その差分に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するようにしても良い。
具体的には、例えば、第2の実施の形態のマトリックスセンサ10Aに差分用センサ部20Cを設け、その差分用センサ部20Cが設けられたマトリックスセンサ10Aを用いて、最適な検出濃度範囲を有する複数のセンサ部20それぞれによる検出データを取得し、その取得された複数のセンサ部20それぞれによる検出データと、差分用センサ部20Cによる検出データと、の差分をそれぞれ取り、その差分を用いて所定の統計処理を行い、その所定の統計処理の結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するようにしても良い。
具体的には、例えば、第4の実施の形態のマトリックスセンサ10Cを用いて、検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部20それぞれによる検出データを取得し、その取得された複数のセンサ部20それぞれによる検出データと、差分用センサ部20Cによる検出データと、の差分をそれぞれ取り、その差分を用いて所定の統計処理を行い、その所定の統計処理の結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するようにしても良い。
10,10A,10C マトリックスセンサ
11 基板
12 電極(検出素子)
13 多孔体
13a 細孔
14 隔壁部
17 封止部材
20 センサ部
20C 差分用センサ部
30 封止除去部(除去手段)
40 検出データ取得部(取得手段)
40C 検出データ取得部(取得手段、差分用取得手段)
51 CPU(判断手段、指定手段、算出手段)
531,531C 劣化判断プログラム(判断手段)
532,532A,532B,532C センサ部指定プログラム(指定手段)
535,535A,535B,532C 濃度算出プログラム(算出手段)
E 酵素(反応物質(生体物質))
Claims (5)
- 検出対象物質を検出する複数のセンサ部と、
前記センサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
を備え、
前記複数のセンサ部は、前記検出対象物質を検出可能な検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を含むことを特徴とするセンサシステム。 - 請求項1に記載のセンサシステムにおいて、
前記複数のセンサ部は、複数のグループにグルーピングされており、
前記一のグループに所属する複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が異なる各種類のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちの一のグループに所属する前記各種類のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データに基づいて前記各種類のセンサ部の中から最適な検出濃度範囲を有するセンサ部を決定し、当該決定されたセンサ部による検出データに基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とするセンサシステム。 - 請求項1又は2に記載のセンサシステムにおいて、
前記複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記検出濃度範囲が同一である複数のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データを用いて所定の統計処理を行い、当該所定の統計処理の結果に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とするセンサシステム。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサシステムにおいて、
前記センサ部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、前記反応に伴う所定の変化を検出する検出素子と、を備え、
前記取得手段は、前記検出素子により検出された所定の変化に基づく検出データを取得し、
前記センサ部から前記反応物質を除いた差分用センサ部と、
前記差分用センサ部が備える検出素子により検出された所定の変化に基づく検出データを取得する差分用取得手段と、
を備え、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データと、前記差分用取得手段により取得された検出データと、の差分を取り、当該差分に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とするセンサシステム。 - 検出対象物質を検出する複数のセンサ部と、
前記センサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
を備え、
前記センサ部は、前記検出対象物質と選択的に反応する生体物質と、前記反応に伴う所定の変化を検出する電極と、を備え、
前記複数のセンサ部は、前記検出対象物質を検出可能な検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を含むとともに、複数のグループにグルーピングされており、
前記一のグループに所属する複数のセンサ部は、前記検出濃度範囲が異なる各種類のセンサ部を含み、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちの一のグループに所属する前記各種類のセンサ部それぞれによる検出データを取得し、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された検出データに基づいて前記各種類のセンサ部の中から最適な検出濃度範囲を有するセンサ部を決定し、当該決定されたセンサ部による検出データに基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出することを特徴とするセンサシステム。
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