JP2010019304A - 温度推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度センサを用いることなく油圧システムの温度を正確に推定することができる温度推定装置を提供する。
【解決手段】アキュムレーターのプラダ内の封入気体における圧力と温度との関係を記憶し、オイルポンプによるフルード供給量と、圧力センサにより検出された圧力と、に基づいて、フルード供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定し、この変化割合が切り換わった変換点圧力を求め(ステップS14)、前記封入気体の圧力と温度との関係に基づいて、前記変換点圧力により、プラダ内の封入気体の温度を推定する(ステップS16)ことにより、温度センサを用いることなく、温度を推定することができる。
【選択図】図3
【解決手段】アキュムレーターのプラダ内の封入気体における圧力と温度との関係を記憶し、オイルポンプによるフルード供給量と、圧力センサにより検出された圧力と、に基づいて、フルード供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定し、この変化割合が切り換わった変換点圧力を求め(ステップS14)、前記封入気体の圧力と温度との関係に基づいて、前記変換点圧力により、プラダ内の封入気体の温度を推定する(ステップS16)ことにより、温度センサを用いることなく、温度を推定することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、アキュムレーターを使用する油圧システムにおける温度推定装置に関する。
従来、気体圧縮式のアキュムレーターは、高耐圧性の鋼製の容器(以下、シェルという)の中に、気体を封入した気体室と、作動油等の液体(以下、フルードという)を出入りさせる液体室と、を有し、液体室にフルードを供給することによって、気体室に封入された気体(以下、封入ガスという)を圧縮して、この封入ガスから圧力が与えられるフルードを液体室に蓄えておくものである。
すなわち、液体は圧力を加えてもほとんど体積が変わらない性質(非圧縮性)を持っている。一方、気体は圧力を加えると体積が小さくなる性質(圧縮性)を持っている。したがって、封入ガスが充填されたシェルにポンプによりフルードを押し込むと、封入ガスが圧縮されて、封入ガスが圧縮された量に相当する量のフルードがシェルの中に入っていく。その後、シェルを開放すると、フルードが気体の膨張する力で外部に勢いよく吐出される。これにより、ポンプやポンプを作動させるモータのサイズを小さくしたり、高速作動時におけるポンプ吐出の補助などに利用することができる。
例えば、複数のシリンダを動作させる場合、ポンプ吐出量は、シリンダから計算した最大流量を基準に選ぶ。これに対して、ポンプ吐出量を最大流量に合わせるのではなく、2番目に大きな流量のものにして、流量が不足する場合には、アキュムレーターで不足した流量を放出するようにすれば、アキュムレーターのエネルギー補助機能により、ポンプ容量を小型化することができるようになる。また、アキュムレーターの機能としては、上述したエネルギーの補助の他、衝撃圧の吸収、流体の脈動の吸収、漏れ補償、油圧バランサー、ショックの吸収等がある。
アキュムレーターの気体室と液体室との分離は、例えば、ゴム袋(以下、プラダという)を用い、このプラダの中に気体を封入することによって、気体の入ったプラダ内が気体室となり、シェル内のプラダの外が液体室となって、気体室と液体室とを分離するようにしている。
ここで、アキュムレーターの動作について、説明する。アキュムレーターは、例えば、油圧センサによりシェル内のフルードの油圧を検出し、検出した圧力が下限圧PL以下になると、モータを作動させポンプからアキュムレーターにフルードを供給して、アキュムレーターへの蓄圧を開始する。一方、検出した圧力が上限圧PH以上になると、モータを停止させ、アキュムレーターへのフルードの供給を停止する。これにより、アキュムレーターに蓄えられる油圧は、常時所定圧PL〜PHの間に保たれるようにしている。
ところが、アキュムレーターの封入ガスの温度は、雰囲気温度の変化に影響される。例えば、車両に搭載されるアキュムレーターは、真夏の炎天下に車両がさらされると、高温(例えば、40℃)となる。このような高温環境では、封入ガスが温度上昇によって熱膨張し、アキュムレーター内に蓄えられるフルード量が低減したり、蓄圧できなくなってしまうという問題がある。以下に、このフルード量の低減や蓄圧できなくなってしまう動作原理を説明する。
図5に、常温時(例えば、25℃)および高温時(例えば、50℃)におけるアキュムレーターに蓄えられるフルードの圧力(蓄圧P)と、アキュムレーターに蓄えられるフルードの体積(蓄油量V)との関係を示す。なお、アキュムレーター内の圧力は、所定の圧力範囲内に保つものとする。
同図に示すように、常温(T1)時においては、蓄圧Pが下限圧PL(蓄油量V1L)になると、併設されたモータによりポンプを駆動して、アキュムレーターにフルードを供給し、蓄圧が上限圧PH(蓄油量V1H)になると、モータを停止して、アキュムレーターに対するフルードの供給を停止するようになっている。したがって、アキュムレーターは、V1H−V1L(図中A1に相当する量)だけフルードを供給することができるとともに、最低でも蓄油量V1Lを下限圧PLで蓄圧しておくことができるようになっている。
一方、高温(T2)時においては、封入ガスの体積が熱膨張により増加するため、上記常温時よりも同一蓄圧で蓄油量が小さい値(図中点線の挙動)を示すこととなる。そのため、上限圧PHにおける最大蓄油量がV2Hとなり、常温時の最大蓄油量V1Hと比較して小さく(V2H<V1H)なる。また、蓄油量Vが0となってもモータが作動を開始する下限圧PLに達しないため、ポンプが駆動せず、アキュムレーターにフルードが供給されなくなる。したがって、アキュムレーターは、フルードをV2H(図中A2に相当する量;A2<A1)だけしか供給することができないとともに、蓄圧がPM(>PL)を割り込むと蓄油量が0となり、アキュムレーターにフルードを蓄えることができなくなってしまう。
したがって、従来のアキュムレーターでは、高温時の下限圧においても、蓄油量が0とならないように、大型のアキュムレーターを使用していた。
したがって、従来のアキュムレーターでは、高温時の下限圧においても、蓄油量が0とならないように、大型のアキュムレーターを使用していた。
一方、上記のような不具合に対し、アキュムレーターを大型化することなく、アキュムレーター内の温度を推定し、推定した温度に基づいてモータを駆動・停止させる蓄庄Pの値を変化させることにより、温度に依存せずに、アキュムレーターへの蓄圧を可能とする油圧制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この油圧制御装置は、アキュムレーター外の雰囲気温度を温度センサにより測定し、測定した温度に基づいて、アキュムレーター内の温度領域が常温領域、中温領域または高温領域のどの領域であるかを判定することにより、あらかじめ定められたマップを参照して、ポンプを駆動・停止させる下限圧PLおよび上限圧PHを算出するようにしたものである。
特開平11−159366号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものにおいては、アキュムレーター外の雰囲気温度を測定するための温度センサを必要とするため、製造コストの増加、システム複雑化に伴う故障リスクの増加および配置を特に考察しなければならないという問題があった。また、アキュムレーター内の温度をアキュムレーター外の温度センサの検出値によって推定しているので、正確な温度の推定を行うことができないといった問題もあった。
さらに、アキュムレーターの封入ガスとして、以前は温度が変化しにくいフロン(CFC等)が使用されていた。しかしながら、フロンは環境問題を引き起こすものとして使用が禁止され、アキュムレーターの封入ガスとして、窒素(N2)ガス等の温度が変化しやすい気体が使用されるようになった。したがって、温度による影響が大きくなったため、アキュムレーター内の温度を正確に知る必要が高まっているが、従来のものでは温度推定を正確に行うことができないという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、アキュムレーターを使用する油圧システムにおいて、温度センサを用いることなくアキュムレーター内の温度を正確に推定することができる温度推定装置を提供することを課題とする。
本発明に係る温度推定装置は、上記課題を解決するため、(1)容器部内に、封入気体が封入された気体室と、液体が供給される液体室と、を有した気体圧縮式のアキュムレーターと、前記アキュムレーターの液体室に液体を供給する液体供給手段と、前記液体供給手段から前記アキュムレーターの液体室に液体を供給する液体供給路内の圧力を検出する圧力検出手段と、前記アキュムレーターの気体室内の封入気体における圧力と温度との関係を記憶する封入気体特性記憶手段と、前記液体供給手段による液体供給量と、前記圧力検出手段により検出された圧力と、に基づいて、液体供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定し、この変化割合が切り換わった変換点圧力を求める圧力変換点判定手段と、前記封入気体の圧力と温度との関係に基づいて、前記変換点圧力により、前記封入気体の温度を推定する温度推定手段と、を備えたことを特徴とした構成を有している。
この構成により、液体供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定することにより、アキュムレーターの気体室に封入された封入気体の体積変動を推定し、圧力変化が切り換わる変換点圧力から封入気体の圧力を求めることができ、記憶された封入気体の圧力と温度との関係から封入気体の温度を求めることができるので、温度計を用いずに正確に温度を推定することができる。したがって、このように温度を推定することができるので、温度によって作動時の圧力範囲を切り換え、アキュムレーターへの蓄圧を行うことができ、アキュムレーターを小型化することができる。
また、本発明に係る温度推定装置は、上記(1)に記載の温度推定装置において、(2)前記封入気体特性記憶手段は、前記封入気体における圧力と温度との関係として、前記液体供給手段による液体供給以前の前記封入気体の圧力に対する温度が設定されたマップを記憶することを特徴とした構成を有している。
この構成により、封入気体の圧力に対する温度が予め設定されているので、求められた変換点圧力から直接封入気体の温度を求めることができ、温度計を用いずに容易に温度を推定することができる。
また、本発明に係る温度推定装置は、上記(1)に記載の温度推定装置において、(3)前記封入気体特性記憶手段は、前記液体供給手段による液体供給時間と、前記液体供給路内の圧力と、を有し、この圧力が前記変換点圧力となるときの温度が設定されたマップを記憶し、前記液体供給手段は、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップに基づいて、前記アキュムレーターの液体室に液体を供給し、前記圧力変換点判定手段は、前記液体供給手段による液体供給量と、前記圧力検出手段により検出された圧力と、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップと、に基づいて、前記変換点圧力を求め、前記温度推定手段は、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップに基づいて、前記変換点圧力により、前記封入気体の温度を推定することを特徴とした構成を有している。
この構成により、変換点圧力の判定において、圧力の変化状況に加え、時間もパラメータとして用いるので、変換点圧力の推定がより正確なものとなり、温度推定の精度を向上させることができる。
本発明によれば、アキュムレーターの気体室に封入された封入気体の体積変動を推定し、圧力変化が切り換わる変換点圧力から封入気体の圧力を求め、封入気体の圧力と温度との関係から封入気体の温度を求めることができるので、温度計を用いずに正確に温度を推定することができる温度推定装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る温度推定装置により温度推定を行う油圧システムを用いた車両の概略ブロック構成図である。また、本実施の形態において用いる作動油等の液体は、フルードということとする。
まず、構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る温度推定装置により温度推定を行う油圧システムを用いた車両の概略ブロック構成図である。また、本実施の形態において用いる作動油等の液体は、フルードということとする。
図1に示すように、車両10は、動力装置であるエンジン11と、エンジン11で発生された動力を伝達する動力伝達装置12と、動力伝達装置12から出力されるトルクを伝達する駆動軸としてのドライブシャフト15L、15Rと、ドライブシャフト15L、15Rを介して伝達されたトルクにより回転され、車両10を駆動させる駆動輪16L、16Rと、動力伝達装置12を油圧により制御するための油圧制御装置30と、車両10全体を制御するための車両用電子制御ユニット(以下、ECUという)100と、を備えている。なお、油圧制御装置30およびECU100は、本発明に係る油圧システムの温度推定を行う温度推定装置を構成している。
エンジン11は、ガソリンあるいは軽油等の炭化水素系の燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置により構成されている。また、エンジン11には、エンジン11の運転状態を検出する図示しない各種センサが設けられている。
エンジン11に設けられている各種センサが検出した検出信号は、ECU100に入力されるようになっている。エンジン11は、これらの信号により、ECU100によって燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御等の運転制御が行われるようになっている。また、エンジン11から出力された動力は、動力伝達装置12に伝達されるようになっている。
動力伝達装置12は、アクチュエーターによって係合制御される複数のクラッチおよびブレーキを備え、これらのクラッチおよびブレーキは、油圧制御装置30のトランスミッションソレノイドおよびリニアソレノイドの励磁、非励磁や、マニュアルバルブの作動状態によって切り換えられる油圧回路に応じて、係合状態および解放状態の何れか一方の状態をとるようになっている。したがって、動力伝達装置12は、これらのクラッチおよびブレーキの係合状態および解放状態の組み合わせに応じた変速段をとるようになっている。
このような構成により、動力伝達装置12は、エンジン11から入力される回転を所定の変速比γで減速あるいは増速して出力する有段式の変速機であり、前進変速段、後進変速段、駐車(パーキング)位置、および中立(ニュートラル)位置の何れかが選択的に成立させられ、それぞれの変速比γに応じた速度変換がなされるようになっている。したがって、エンジン11から出力された動力を、変速比γで変換し、ドライブシャフト15L、15Rに伝達されるようになっている。
ドライブシャフト15L、15Rは、動力伝達装置12によって伝達されるエンジン11の出力を、駆動輪16L、16Rに伝達するようになっている。また、ドライブシャフト15L(またはドライブシャフト15R)には、図示しない車速センサが設けられている。車速センサは、ドライブシャフト15L(またはドライブシャフト15R)の回転数を検出するようになっている。車速センサが検出した検出信号は、ECU100に入力されるようになっている。
ECU100は、各種データの演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムおよびマップ等を記憶したROM(Read Only Memory)、各種データ等の読み書きが可能なRAM(Random Access Memory)、バックアップ電源なしでデータの保存が可能なEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース等を有している。
また、ECU100は、エンジン11と、油圧制御回路30と、図示しない各種センサおよび各種構成要素に電気的に接続され、車両10の制御を統括するようになっている。
また、ECU100のROMには、温度推定処理のプログラムとともに、後述するアキュムレーター34の気体室内の封入気体における圧力Pと温度Tとの関係等が記憶されている。ここで、封入気体における圧力Pと温度Tとの関係とは、例えば、オイルポンプ32によるフルード供給以前の封入気体の圧力Pに対する温度Tが設定されたマップである。
また、ECU100は、オイルポンプ32によるフルード供給により、アキュムレーター34の封入気体の圧力を求め、上記封入気体における圧力Pと温度Tとの関係に基づいて、温度を推定するようになっている。
次に、油圧制御装置30について、説明する。
図2は、本発明の実施の形態における油圧制御装置のフルード供給路を示す回路図である。
図2は、本発明の実施の形態における油圧制御装置のフルード供給路を示す回路図である。
図2に示すように、油圧制御装置30は、フルードを蓄えておくリザーバタンク31と、油圧発生源としてのオイルポンプ32と、オイルポンプ32を駆動させるポンプ駆動モータ33と、圧力が加えられているフルードを蓄えておくアキュムレーター34と、圧力を検出する圧力センサ35と、フルードの供給および遮断を切り換える第1ソレノイドバルブ36、第2ソレノイドバルブ37と、フルードの逆流防止を行う第1チェックバルブ41、第2チェックバルブ42、第3チェックバルブ43と、油圧回路のバースト(破壊)防止を行うリリーフバルブ44と、を備えている。
なお、アクチュエーター21は、動力伝達装置12に備えられ、動力伝達装置12が有するクラッチやブレーキごとに設けられるものであるが、ここでは、1つのクラッチを動作させるアクチュエーター21を例として説明し、他のクラッチやブレーキ等の説明については省略する。
また、リザーバタンク31と第1チェックバルブ41との間には、油路51が設けられており、第1チェックバルブ41とオイルポンプ32との間には、油路52が設けられている。
オイルポンプ32と第2チェックバルブ42との間には、油路53が設けられており、第2チェックバルブ42と第1ソレノイドバルブ36との間には、油路54が設けられている。さらに、油路54とアキュムレーター34との間には、油路55が設けられている。したがって、第2チェックバルブ42とアキュムレーター34との間には、油路54および油路55が設けられるようになっている。
オイルポンプ32と第2チェックバルブ42との間には、油路53が設けられており、第2チェックバルブ42と第1ソレノイドバルブ36との間には、油路54が設けられている。さらに、油路54とアキュムレーター34との間には、油路55が設けられている。したがって、第2チェックバルブ42とアキュムレーター34との間には、油路54および油路55が設けられるようになっている。
第2ソレノイドバルブ37と第3チェックバルブ43との間には、油路57が設けられており、第3チェックバルブ43とリザーバタンク31との間には、油路58が設けられている。
また、油路54とリリーフバルブ44との間には、油路59が設けられている。したがって、第2チェックバルブ42とリリーフバルブ44との間には、油路54および油路59が設けられるようになっている。また、リリーフバルブ44と油路58との間には、油路60が設けられている。したがって、リリーフバルブ44とリザーバタンク31との間には、油路60および油路58が設けられるようになっている。
また、油路54とリリーフバルブ44との間には、油路59が設けられている。したがって、第2チェックバルブ42とリリーフバルブ44との間には、油路54および油路59が設けられるようになっている。また、リリーフバルブ44と油路58との間には、油路60が設けられている。したがって、リリーフバルブ44とリザーバタンク31との間には、油路60および油路58が設けられるようになっている。
さらに、第1ソレノイドバルブ36とアクチュエーター21との間には、油路61が設けられており、アクチュエーター21と第2ソレノイドバルブ37との間には、油路62が設けられている。
リザーバタンク31は、油圧制御装置30の油圧回路内で使用するフルードを蓄えておくようになっており、油路58を介してフルードを回収し、油路51を介して油圧回路内にフルードを供給するようになっている。
第1チェックバルブ41は、油路51から油路52へはフルードを自由に流し、油路52から油路51へはフルードを流さないようになっている。すなわち、第1チェックバルブ41は、リザーバタンク31からオイルポンプ32側へはフルードを供給するが、オイルポンプ32からリザーバタンク31へのフルードの逆流は防止するようになっている。
第1チェックバルブ41は、油路51から油路52へはフルードを自由に流し、油路52から油路51へはフルードを流さないようになっている。すなわち、第1チェックバルブ41は、リザーバタンク31からオイルポンプ32側へはフルードを供給するが、オイルポンプ32からリザーバタンク31へのフルードの逆流は防止するようになっている。
オイルポンプ32は、ポンプ駆動モータ33により駆動され、リザーバタンク31に蓄えられたフルードを油路51および油路52を介して吸い上げ、圧力をかけて油路53に吐出し、アクチュエーター21やアキュムレーター34に供給するようになっている。
ポンプ駆動モータ33は、ECU100に制御され、オイルポンプ32を駆動させるようになっている。なお、ポンプ駆動モータ33は、インバータを内装することにより、モータの回転数を可変なものとすることもできる。
ここで、本実施の形態においては、ECU100は、ポンプ駆動モータ33を一定回転で作動させるように制御し、オイルポンプ32の吐出量を一定に保つように駆動させるものとする。
ここで、本実施の形態においては、ECU100は、ポンプ駆動モータ33を一定回転で作動させるように制御し、オイルポンプ32の吐出量を一定に保つように駆動させるものとする。
第2チェックバルブ42は、油路53から油路54へはフルードを自由に流し、油路54から油路53へはフルードを流さないようになっている。すなわち、第2チェックバルブ42は、オイルポンプ32からアキュムレーター34および第1ソレノイドバルブ36側へはフルードを供給するが、アキュムレーター34および第1ソレノイドバルブ36からオイルポンプ32へのフルードの逆流は防止するようになっている。
アキュムレーター34は、気体圧縮式のアキュムレーターである。また、アキュムレーター34は、窒素(N2)ガス等の気体が封入された気体室と、油路55を介してフルードが出入りする液体室と、を有し、液体室にフルードを供給することにより、気体室内の封入気体が圧縮され、この封入気体から圧力が加えられているフルードを蓄えることができるようになっている。
ここでは、アキュムレーター34は、高圧耐性容器としてのシェル34aに、樹脂製の袋(以下、プラダという)34bを内装するようにし、プラダ34b内には、不活性ガスである窒素ガス(封入気体)を圧入したものとする。また、アキュムレーター34のシェル34a内で、プラダ34bの外部にフルードが供給されるようになっている。以下では、特にことわらない限り、アキュムレーター34の気体室をプラダ34bとし、アキュムレーター34の液体室をシェル34aとする。
アキュムレーター34は、オイルポンプ32によって油路55を介して、アキュムレーター34のシェル34a内にフルードが供給されるようになっている。プラダ34b内の封入気体の圧力よりも油路55内の圧力が高くなると、プラダ34bが収縮させられ、アキュムレーター34のシェル34a内にフルードを蓄えるようになっている。さらに、プラダ34b内の封入気体の圧力よりも油路55内の圧力が低くなると、収縮されたプラダ34bが膨張することによりアキュムレーター34のシェル34a内に蓄えたフルードを吐出して、アクチュエーター21にフルードを供給するようになっている。
ここで、本明細書においては、アキュムレーター34のプラダ34bが収縮を開始するときに圧力センサ35が検出する圧力をアキュムレーター圧Paとする。
ここで、本明細書においては、アキュムレーター34のプラダ34bが収縮を開始するときに圧力センサ35が検出する圧力をアキュムレーター圧Paとする。
圧力センサ35は、アキュムレーター34の入口配管である油路55に設けられ、油路55内の圧力を検出するようになっており、検出した圧力検出値を電気信号としてECU100に出力するようになっている。
第1ソレノイドバルブ36は、ECU100によって制御される電磁式の切り換え弁であり、油路54から油路61へのフルードの流入の許可と、油路54から油路61へのフルードの流入の遮断と、を切り換えるようになっている。したがって、ECU100により、第1ソレノイドバルブ36が開に制御されると、アキュムレーター34およびオイルポンプ32からアクチュエーター21へフルードが供給できるようになり、第1ソレノイドバルブ36が閉に制御されると、アキュムレーター34およびオイルポンプ32からアクチュエーター21へのフルードの供給が遮断されるようになっている。
第2ソレノイドバルブ37は、ECU100によって制御される電磁式の切り換え弁であり、油路62から油路57へのフルードの流出の許可と、油路62から油路57へのフルードの流入の遮断と、を切り換えるようになっている。したがって、ECU100により、第2ソレノイドバルブ37が開に制御されると、アクチュエーター21からリザーバタンク31へフルードが排出されるようになり、第2ソレノイドバルブ37が閉に制御されると、アクチュエーター21からリザーバタンク31へのフルードの排出が遮断されるようになっている。
第3チェックバルブ43は、油路57から油路58へはフルードを自由に流し、油路58から油路57へはフルードを流さないようになっている。すなわち、第3チェックバルブ43は、第2ソレノイドバルブ37からリザーバタンク31側へはフルードを排出するが、リザーバタンク31およびリリーフバルブ44から第2ソレノイドバルブ37側へのフルードの逆流は防止するようになっている。
リリーフバルブ44は、ばね等の付勢手段によって機械的に定められるリリーフ圧に対して、油路59および油路54内の圧力が大きくなった場合には、バルブが開くことにより、フルードを油路60および油路58を介してリザーバタンク31に逃がし、油路59および油路54内の圧力をリリーフ圧以下に制限するようになっている。したがって、アキュムレーター34に適切にフルードを供給することができるとともに、油圧回路の保護を行うことができる。
また、アクチュエーター21は、フルードが油路61を介してフルード室21bに供給されることにより、ピストン21aがアクチュエーター内壁面21cに当接しながらアクチュエーター内底面21dとの間の距離が大きくなる方向に滑動し、フルードが油路62を介してフルード室21bから排出されることにより、ピストン21aがアクチュエーター内壁面21cに当接しながらアクチュエーター内底面21dとの間の距離が小さくなる方向に滑動するようになっている。したがって、フルード室21bにフルードを供給または排出し、ピストン21aを稼働させることにより、フルードの流れを機械的動作に変換して、図示しないクラッチの係合または開放を行うようになっている。
以下、本発明の実施の形態に係る温度推定装置を搭載した車両10の特徴的な構成について説明する。
オイルポンプ32は、アキュムレーター34の液体室にフルードを供給するようになっている。すなわち、オイルポンプ32は、本発明における液体供給手段を構成している。
圧力センサ35は、オイルポンプ32からアキュムレーター34の液体室にフルードを供給する油路55内の圧力を検出するようになっている。すなわち、圧力センサ35は、本発明における圧力検出手段を構成している。
ECU100は、アキュムレーター34の気体室内の封入気体における圧力と温度との関係を記憶するようになっている。また、ECU100は、封入気体における圧力と温度との関係として、例えば、オイルポンプ32による液体供給以前の封入気体の圧力に対する温度が設定されたマップを記憶するようになっている。また、上記マップは、オイルポンプ32の駆動時間(液体供給時間)と封入気体の圧力に対する温度が設定されたマップであってもよい。すなわち、ECU100は、本発明における封入気体特性記憶手段を構成している。
また、ECU100は、オイルポンプ32による液体供給量と、圧力センサ35により検出された圧力と、に基づいて、液体供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定し、この変化割合が切り換わった変換点圧力を求めるようになっている。すなわち、ECU100は、本発明における圧力変換点判定手段を構成している。
また、ECU100は、封入気体の圧力と温度との関係に基づいて、変換点圧力により、封入気体の温度を推定するようになっている。すなわち、ECU100は、本発明における温度推定手段を構成している。
次に、動作について説明する。
まず、上記油圧制御装置30において、アキュムレーター34にフルードが充填されている場合のフルードの流れについて説明する。
まず、上記油圧制御装置30において、アキュムレーター34にフルードが充填されている場合のフルードの流れについて説明する。
上記油圧制御装置30において、アキュムレーター34にフルードが充填されている場合には、ECU100がポンプ駆動モータ33を作動させると、オイルポンプ32が駆動し、油路51、第1チェックバルブ41および油路52を介してリザーバタンク31からフルードを吸い上げる。オイルポンプ32は、リザーバタンク31から吸い上げたフルードを、油路53を介して第2チェックバルブ42に吐出する。第2チェックバルブ42に吐出されたフルードは、油路54を介して第1ソレノイドバルブ36に流出される。また、第2チェックバルブ42に吐出されたフルードは、油路54および油路55を介してアキュムレーター34に流出されるとともに、油路54および油路59を介してリリーフバルブ44に流出される。
アキュムレーター34では、プラダ34b内の封入気体の圧力よりも油路55のフルードの圧力が高ければ、プラダ34bが収縮させられ、アキュムレーター34のシェル34a内にフルードが流入させられる。また、プラダ34b内の封入気体の圧力よりも油路55のフルードの圧力が低ければ、プラダ34bが膨張し、アキュムレーター34のシェル34a内に蓄えたフルードを吐出して、アクチュエーター21にフルードを供給する。油路55のフルードの圧力は、圧力センサ35に検出され、検出値は圧力センサ35からECU100に通知される。
リリーフバルブ44では、油路59のフルードの圧力が所定の圧力まではバルブが閉じたままで、油路59のフルードの圧力が所定の圧力に達するとバルブが開いて、フルードを油路60および油路58を介してリザーバタンク31に逃がす。
アクチュエーター21は、ECU100に制御される第1ソレノイドバルブ36および第2ソレノイドバルブ37によって動作が制御される。ECU100の制御により、第1ソレノイドバルブ36が開、第2ソレノイドバルブ37が閉に制御されると、油路54と油路61とが連通され、油路62と油路57とは遮断されるので、アクチュエーター21のフルード室21bに油路61を介して油路54からフルードが流入され、ピストン21aをアクチュエーター内底面21dとの間の距離が大きくなる方向(図中右方向)に滑動させる。
また、ECU100の制御により、第1ソレノイドバルブ36が閉、第2ソレノイドバルブ37が開に制御されると、油路54と油路61とは遮断され、油路62と油路57とが連通されるので、アクチュエーター21のフルード室21bから油路62を介して油路57にフルードが流出され、ピストン21aをアクチュエーター内底面21dとの間の距離が小さくなる方向(図中左方向)に滑動させる。
一方、ECU100の制御により、第1ソレノイドバルブ36が閉、第2ソレノイドバルブ37も閉に制御されると、油路54と油路61とが遮断され、油路62と油路57とも遮断されるので、アクチュエーター21のフルード室21bは密閉状態となり、ピストンは停止状態となる。
さらに、ECU100の制御により、第1ソレノイドバルブ36が開、第2ソレノイドバルブ37も開に制御されると、油路54と油路61とが連通され、油路62と油路57とも連通されるので、アクチュエーター21のフルード室21bには、油路61を介して油路54からフルードが流入されるとともに、油路62を介して油路57にフルードが流出され、油路54から流入されるフルードと油路57に流出されるフルードとの流量に応じて、ピストン21aが滑動させられる。
油路57に流出されたフルードは、第3チェックバルブ43、油路58を介してリザーバタンク31に流出される。
油路57に流出されたフルードは、第3チェックバルブ43、油路58を介してリザーバタンク31に流出される。
次に、本発明の実施の形態に係る温度推定処理について、説明する。本発明の実施の形態に係る温度推定処理は、アキュムレーター34のシェル34aにフルードが入っていない状態からプラダ34bが圧縮されるまでフルードを充填する際に、温度を推定するようになっている。
図3は、本発明の実施の形態に係る温度推定処理を示すフローチャートである。
図3は、本発明の実施の形態に係る温度推定処理を示すフローチャートである。
なお、図3に示すフローチャートは、ECU100のCPUによって実行される温度推定処理のプログラムであり、この温度推定処理のプログラムはROMに記憶されている。また、この温度推定処理は、ECU100のCPUによってアキュムレーター34にフルードが充填されるときに実行されるようになっている。
図3に示すように、まず、ECU100のCPUは、第1ソレノイドバルブ36が閉であるか否かを判定する(ステップS11)。第1ソレノイドバルブ36が閉でない、すなわち、第1ソレノイドバルブ36が開である場合には、本プログラムの処理を終了する。ここで、第1ソレノイドバルブ36が開である場合には、油路55に供給されるフルードが一定であるとは限らないため、油路55のフルードの圧力の変換点圧力が正確に測定できないため、本プログラムの処理を終了するようにしたが、上記変換点圧力が正確に測定できるような環境であれば、本プログラムを継続するようにしてもよい。
第1ソレノイドバルブ36が閉である場合(ステップS11でYESと判定)には、ポンプ駆動モータ33を作動させることにより、オイルポンプ32を駆動させる(ステップS12)。このオイルポンプ32を駆動させることにより、オイルポンプ32によって、フルードが油路53、油路54および油路55に供給されることとなる。
なお、このポンプ駆動モータ33の作動により、経過時間の計時を開始する。すなわち、オイルポンプ32の駆動時間を計測できるようにする。
なお、このポンプ駆動モータ33の作動により、経過時間の計時を開始する。すなわち、オイルポンプ32の駆動時間を計測できるようにする。
次に、ECU100のCPUは、所定の時間間隔(例えば、100msec)で、圧力センサ35の検出値である圧力Pを取得し、ポンプ駆動モータ33の駆動時間Tmとともに記憶する(ステップS13)。
ここで、図4に、オイルポンプの駆動時間tmと、オイルポンプとアキュムレーター間の油路の圧力Pとの関係を表すマップを示し、圧力変化および温度による違いについて、説明する。
まず、アキュムレーター34内の温度が常温(例えば、25℃)である場合のアキュムレーター34内の温度をT(0)とする。オイルポンプ32が駆動を開始した後は、圧力Pが温度T(0)におけるアキュムレーター圧Pa(0)に達するまでは、プラダ34bが内包する不活性ガスの圧力に対して圧力Pが小さいため、アキュムレーター34のプラダ34bが収縮を開始しない。その結果、オイルポンプ32の駆動時間tmの増加とともに圧力Pは一定の割合で急激に増加する。
ところが、オイルポンプ32がさらに駆動を継続することにより、圧力Pがアキュムレーター圧Pa(0)より大きくなると、プラダ34bが内包する不活性ガスの圧力に対して圧力Pが大きくなるため、プラダ34bが収縮を開始する。これにより、アキュムレーター34内にフルードが供給され始め、オイルポンプ32の駆動時間tmの増加とともに、アキュムレーター34に蓄えられるフルードの体積が増加していくこととなる。したがって、圧力Pがアキュムレーター圧Pa(0)より大きくなると、フルードが蓄えられる体積が時間とともに増加するので、圧力Pの増加割合が減少する。
図4に示すように、圧力Pがアキュムレーター圧Pa(0)に対して大きい範囲では、圧力Pがアキュムレーター圧Pa(0)に対して小さい範囲における場合よりも、オイルポンプ32の駆動時間tmの変化量(以下、「Δtm」という)に対する圧力Pの変化量(以下、「ΔP」という)(以下、「傾き」という)が小さいことが分かる。これは、上述のように、圧力Pがアキュムレーター圧Pa(0)よりも大きい範囲では、オイルポンプ32の駆動時間tmの増加による圧力Pの増加に伴い、プラダ34bが収縮するため、アキュムレーター34内のフルードの体積が増加するからである。
ここで、図4において、オイルポンプ32の駆動時間tmに対する圧力Pの挙動は、アキュムレーター34内の温度に依存する。
すなわち、図4において、アキュムレーター34内の温度が低温である温度T(1)(例えば、0℃)の場合には、プラダ34bが内包する不活性ガスの圧力が小さいため、アキュムレーター圧Paは、常温である温度T(0)の場合におけるアキュムレーター圧Pa(0)に対して小さい値Pa(1)となる。
すなわち、図4において、アキュムレーター34内の温度が低温である温度T(1)(例えば、0℃)の場合には、プラダ34bが内包する不活性ガスの圧力が小さいため、アキュムレーター圧Paは、常温である温度T(0)の場合におけるアキュムレーター圧Pa(0)に対して小さい値Pa(1)となる。
一方、図4において、アキュムレーター34内の温度が高温である温度T(2)(例えば、50℃)である場合には、プラダ34bが内包する不活性ガスの圧力が大きいため、アキュムレーター圧Paは、常温である温度T(0)の場合におけるアキュムレーター圧Pa(0)よりも大きい値Pa(2)となる。
したがって、上述した傾きが変化する点(以下、「変換点圧力Cp」という)は、アキュムレーター34内の温度Tに依存する。
したがって、上述した傾きが変化する点(以下、「変換点圧力Cp」という)は、アキュムレーター34内の温度Tに依存する。
温度推定処理のフローチャートの説明に戻り、ECU100のCPUは、上記取得(ステップS13で取得)したポンプ駆動モータ33の駆動時間Tmにおける圧力センサ35の検出値である圧力Pを、ROMに記憶されたマップ(アキュムレーター34のプラダ34b内の封入気体における圧力Pと温度Tとの関係を表すマップ)と照合し、変換点圧力Cpを検知したか否かを判定する(ステップS14)。ECU100のCPUは、変換点圧力Cpを検知しなかった場合には、オイルポンプ32の最大駆動時間判定処理(ステップS15)に移行し、変換点圧力Cpを検知した場合には、温度推定処理(ステップS16)に移行する。
ECU100のCPUは、変換点圧力Cpを検知しなかった場合(ステップS14でNOと判定)には、オイルポンプ32の駆動時間tmが、あらかじめ決められたオイルポンプ32の最大駆動時間tmmaxを超えたか否かを判定する(ステップS15)。
ECU100のCPUは、オイルポンプ32の駆動時間tmが最大駆動時間tmmaxを超えた場合には、オイルポンプ32の停止処理(ステップS20)に移行し、オイルポンプ32の駆動時間tmが最大駆動時間tmmaxを超えていない、すなわち、最大駆動時間tmmax以下である場合には、傾きの変換点圧力Cpを検知するまでオイルポンプ32の駆動を継続するために、圧力検出値取得処理(ステップS13)に戻る。
一方、ECU100のCPUは、変換点圧力Cpを検知した場合(ステップS14でYESと判定)には、傾きの変換点圧力Cpがアキュムレーター34内の温度Tに依存することを用いて、検知した変換点圧力Cpを上記オイルポンプ駆動時間tmと圧力Pの関係を表すマップと照合し、アキュムレーター34内の温度Tを推定する(ステップS16)。
次に、ECU100のCPUは、上記推定した温度Tにおいて、アキュムレーター34内に目標最大体積Vmaxのフルードを蓄えたときの圧力Pmaxを算出する(ステップS17)。なお、目標最大体積Vmaxとは、アキュムレーター34がアクチュエーター21に効率的にフルードを供給し、かつ、プラダ34bの耐久性を損なわないようにあらかじめ決められた値である。
以下に、推定したアキュムレーター34内の温度が、温度T2(高温)である場合におけるフルードの圧力Pmax(2)の算出方法を例に、圧力Pmaxの算出方法を説明する。ここでは、アキュムレーター34の容量(体積)をVaとして、以下に示すボイル−シャルルの式(1)を用いることにより、圧力Pmaxを算出する。
まず、温度T0(常温)におけるフルードの目標最大体積をVmax(0)とし、その場合におけるフルードの圧力をPmax(0)とする。また、温度T2(高温)におけるフルードの目標最大体積をVmax(2)とし、その場合におけるフルードの圧力をPmax(2)とする。ここで、温度T2(高温)におけるフルードの目標最大体積は、温度T0(常温)におけるフルードの目標最大体積と等しいことが望ましいので、Vmax(2)=Vmax(0)とする。アキュムレーター34のプラダ34bが内包する不活性ガス(封入気体)の体積は、フルードの体積Vmax(0)を除いた体積であるので、{Va−Vmax(0)}となり、ボイル−シャルルの法則を利用することにより、下記式(1)を得る。
Pmax(0)×{Va−Vmax(0)}/T(0)
=Pmax(2)×{Va−Vmax(0)}/T(2) (1)
式(1)を変形して、下記式(2)を得る。
=Pmax(2)×{Va−Vmax(0)}/T(2) (1)
式(1)を変形して、下記式(2)を得る。
Pmax(2)=(T(2)/T(0))×Pmax(0) (2)
上記式(2)より、アキュムレーター34内の温度がT2(高温)である場合におけるフルードの圧力Pmax(2)を算出することができる。
したがって、ECU100のCPUは、推定したアキュムレーター34内の温度Tに基づいて、温度Tの場合におけるフルードの目標体積Vmaxに対応するフルードの圧力Pmaxを算出することができる。
上記式(2)より、アキュムレーター34内の温度がT2(高温)である場合におけるフルードの圧力Pmax(2)を算出することができる。
したがって、ECU100のCPUは、推定したアキュムレーター34内の温度Tに基づいて、温度Tの場合におけるフルードの目標体積Vmaxに対応するフルードの圧力Pmaxを算出することができる。
温度推定処理のフローチャートの説明に戻り、ECU100のCPUは、上記圧力Pmaxを算出(ステップS17で算出)後、圧力センサ35が検出する圧力Pが、圧力Pmaxを超えたか否かを判定する(ステップS18)。圧力Pが圧力Pmaxを超えていない、すなわち、圧力Pが圧力Pmax以下である場合には、オイルポンプ32の最大駆動時間判定処理(ステップS19)に移行し、圧力Pが圧力Pmaxを超えている場合には、オイルポンプ32の停止処理(ステップS20)に移行する。
ECU100のCPUは、圧力Pが圧力Pmaxを超えていない、すなわち、圧力Pが圧力Pmax以下である場合(ステップS18でNOと判定)には、アキュムレーター34に蓄えられたフルードの体積が目標体積Vmaxよりも小さく、アキュムレーター34には未だ十分な量のフルードが蓄えられていないものと判断し、必要に応じてオイルポンプ32の駆動を継続させるため、オイルポンプ32の駆動時間tmが、最大駆動時間tmmaxを超えたか否かを判定する(ステップS19)。
ECU100のCPUは、オイルポンプ32の駆動時間tmが最大駆動時間tmmaxを超えた場合には、オイルポンプ32の停止処理(ステップS20)に移行し、オイルポンプ32の駆動時間tmが最大駆動時間tmmaxを超えていない、すなわち、最大駆動時間tmmax以下である場合には、圧力Pが圧力Pmaxを超えたと判定するまで、ポンプ駆動モータ33の作動を停止させず、ステップS18およびステップS19を繰り返す。
一方、ECU100のCPUは、圧力Pが圧力Pmaxを超えたと判定した場合(ステップS18でYESと判定)には、アキュムレーター34には十分な量のフルードが蓄えられたものと判断し、ポンプ駆動モータ33を停止させることによりオイルポンプ32を停止させ、本プログラムの処理を終了する(ステップS20)。
以上のように、本実施の形態に係る油圧システムの温度推定装置によれば、アキュムレーター34のプラダ34bが収縮を開始するときの油路55の圧力を、圧力センサ35によって検知して、アキュムレーター圧Paに対応する変換点圧力Cpを、マップと照合することにより、アキュムレーター34のプラダ34b内の封入気体の温度Tを推定するので、温度センサを設置することなく、アキュムレーター34のプラダ34b内の封入気体の温度を推定することができる。
ここで、アキュムレーター34は、同じ圧力でも温度によって蓄油量が異なるため、高温時にも十分にフルードを蓄えることができるようにしなければならない。ところが、高温時にも十分にアキュムレーター34内にフルードを蓄えることができるようにするためには、大きなアキュムレーター34が必要である。したがって、温度変化が広範囲におよぶ使用環境においてアキュムレーター34を使用する場合、温度が分からないと、大きなアキュムレーター34を用意しなくてはならない。これに対して、本実施の形態に係る油圧システムの温度推定装置のように、温度を推定することができれば、温度によって使用圧力を切り換えることができ、アキュムレーター34を小型化することができる。
また、アキュムレーター34のプラダ34b内の封入気体の温度は、アキュムレーター34内のフルードの温度、ひいては、油圧システムのフルードの温度と同等であるとみなすことができる。したがって、アクチュエーター21等に対するフルードの温度特性の違いによる制御の切り換えを、温度センサを設けずに行うことができる。
例えば、フルードの粘度は温度によって異なる。このため、アクチュエーター21にフルードを供給する場合に、低温時には、ゆっくりフルードが吸入されるが、高温時には、早くフルードが吸入される。したがって、温度に応じて第1ソレノイドバルブ36および第2ソレノイドバルブ37の制御を切り換えることにより、アクチュエーター21のより良好な動作を行うことができる。
また、本実施の形態に係る油圧システムの温度推定装置によれば、温度センサを設置する必要がないので、油圧システムの製造コストを低減するとともに、油圧システムの複雑化に伴う故障リスクを低減することができる。
さらに、本実施の形態に係る油圧システムの温度推定装置によれば、温度センサを設置せずに、アキュムレーター34内の温度を推定することができるので、隣接する他のシステムの温度センサとの間で冗長系を持つことができる。この冗長系を持つことにより、温度センサの故障判定や故障時のバックアップを行うことができる。
さらに、本実施の形態に係る油圧システムの温度推定装置によって推定したアキュムレーター34内の温度が、通常達し得ない温度である場合には、アキュムレーター34および圧力センサ35等の故障を判定することができる。
以上説明したように、本発明に係る温度推定装置は、アキュムレーターの気体室に封入された封入気体の体積変動を推定し、圧力変化が切り換わる変換点圧力から封入気体の圧力を求め、封入気体の圧力と温度との関係から封入気体の温度を求めることができるので、温度計を用いずに正確に温度を推定することができるという効果を有し、アキュムレーターを使用する油圧システムにおける温度推定装置等として有用である。
10 車両
11 エンジン
12 動力伝達装置
15L、15R ドライブシャフト
16L、16R 駆動輪
21 アクチュエーター
21a ピストン
21b フルード室
21c アクチュエーター内壁面
21d アクチュエーター内底面
30 油圧制御装置
31 リザーバタンク
32 オイルポンプ(液体供給手段)
33 ポンプ駆動モータ
34 アキュムレーター
34a シェル
34b プラダ
35 圧力センサ(圧力検出手段)
36 第1ソレノイドバルブ
37 第2ソレノイドバルブ
41 第1チェックバルブ
42 第2チェックバルブ
43 第3チェックバルブ
44 リリーフバルブ
100 ECU(封入気体特性記憶手段、圧力変換点判定手段、温度推定手段)
11 エンジン
12 動力伝達装置
15L、15R ドライブシャフト
16L、16R 駆動輪
21 アクチュエーター
21a ピストン
21b フルード室
21c アクチュエーター内壁面
21d アクチュエーター内底面
30 油圧制御装置
31 リザーバタンク
32 オイルポンプ(液体供給手段)
33 ポンプ駆動モータ
34 アキュムレーター
34a シェル
34b プラダ
35 圧力センサ(圧力検出手段)
36 第1ソレノイドバルブ
37 第2ソレノイドバルブ
41 第1チェックバルブ
42 第2チェックバルブ
43 第3チェックバルブ
44 リリーフバルブ
100 ECU(封入気体特性記憶手段、圧力変換点判定手段、温度推定手段)
Claims (3)
- 容器部内に、封入気体が封入された気体室と、液体が供給される液体室と、を有した気体圧縮式のアキュムレーターと、
前記アキュムレーターの液体室に液体を供給する液体供給手段と、
前記液体供給手段から前記アキュムレーターの液体室に液体を供給する液体供給路内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記アキュムレーターの気体室内の封入気体における圧力と温度との関係を記憶する封入気体特性記憶手段と、
前記液体供給手段による液体供給量と、前記圧力検出手段により検出された圧力と、に基づいて、液体供給量と圧力との変化割合の切り換わりを判定し、この変化割合が切り換わった変換点圧力を求める圧力変換点判定手段と、
前記封入気体の圧力と温度との関係に基づいて、前記変換点圧力により、前記封入気体の温度を推定する温度推定手段と、を備えたことを特徴とする温度推定装置。 - 前記封入気体特性記憶手段は、前記封入気体における圧力と温度との関係として、前記液体供給手段による液体供給以前の前記封入気体の圧力に対する温度が設定されたマップを記憶することを特徴とする請求項1に記載の温度推定装置。
- 前記封入気体特性記憶手段は、前記液体供給手段による液体供給時間と、前記液体供給路内の圧力と、を有し、この圧力が前記変換点圧力となるときの温度が設定されたマップを記憶し、
前記液体供給手段は、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップに基づいて、前記アキュムレーターの液体室に液体を供給し、
前記圧力変換点判定手段は、前記液体供給手段による液体供給量と、前記圧力検出手段により検出された圧力と、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップと、に基づいて、前記変換点圧力を求め、
前記温度推定手段は、前記封入気体特性記憶手段に記憶されたマップに基づいて、前記変換点圧力により、前記封入気体の温度を推定することを特徴とする請求項1に記載の温度推定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008178951A JP2010019304A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | 温度推定装置 |
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---|---|---|---|
JP2008178951A JP2010019304A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | 温度推定装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103206416A (zh) * | 2012-01-11 | 2013-07-17 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于确定流体回路中蓄能器预充压力的方法和系统 |
KR20200107445A (ko) * | 2019-03-08 | 2020-09-16 | 현대자동차주식회사 | 친환경 자동차 및 그를 위한 변속기 유압 제어 방법 |
-
2008
- 2008-07-09 JP JP2008178951A patent/JP2010019304A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103206416A (zh) * | 2012-01-11 | 2013-07-17 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于确定流体回路中蓄能器预充压力的方法和系统 |
CN103206416B (zh) * | 2012-01-11 | 2015-11-18 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于确定流体回路中蓄能器预充压力的方法和系统 |
KR20200107445A (ko) * | 2019-03-08 | 2020-09-16 | 현대자동차주식회사 | 친환경 자동차 및 그를 위한 변속기 유압 제어 방법 |
KR102648820B1 (ko) | 2019-03-08 | 2024-03-19 | 현대자동차주식회사 | 친환경 자동차 및 그를 위한 변속기 유압 제어 방법 |
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