JP2010019240A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】始動要求時から所定期間、吸気弁および排気弁を閉弁してクランキングし、所定サイクル毎に吸気弁または排気弁のいずれか一方を開弁して燃焼室内に空気を取り込むことで、直噴式の内燃機関のプレヒート効率を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】ECU100は、燃料噴射手段、燃料噴射禁止手段、吸排気弁閉弁手段、開弁手段を備えることにより、エンジン1の始動の際に筒内への燃料噴射を禁止し、吸気弁12および排気弁14を閉弁して所定期間クランキングする。更に、所定サイクル毎に吸気弁12を小リフト化し、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を補給する。これによって、燃焼室1a内の温度が速やかに上昇し、筒内に噴射された燃料の気化を促進することができることから、直噴式の内燃機関の始動性や排気エミッションを改善することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。特に、内燃機関の低温環境における始動性を向上させる技術に関する。
近年、内燃機関の制御装置として、燃費の向上や排気エミッションの改善等の要求から、燃料を気筒内に直接噴射する直噴式の燃料噴射装置が実用化され、車両用エンジン等に広く採用されている。
直噴式の燃料噴射装置を採用する内燃機関は、極低温環境において始動する際に、筒内に噴射された燃料がほとんど気化しないことから、その始動性が悪化する。このような極低温環境における始動性を向上させるためには、噴射燃料の粒径を微粒化したり、筒内の温度を上昇させたりすることによって、筒内に噴射された燃料の気化を促進することが有効である。
直噴式の内燃機関の低温始動性を向上させるための対策として、排気弁を小作動リフト又は完全閉弁にし、かつ点火プラグによる点火を禁止した状態で所定回数クランキングすることで、筒内の混合ガスを圧縮して燃焼室の温度を上昇させ、燃料の気化を促進するプレヒート技術が特許文献1に開示されている。
同様に、ポート噴射式の内燃機関において、排気弁を閉弁した状態で所定回数クランキングして筒内の混合ガスを圧縮して温度を上昇させつつ、吸気弁を開弁させて燃焼室から吸気ポート、そして吸気ポートから燃焼室へと混合ガスを排出・吸入させることで、吸気弁および吸気ポートの温度を上昇させる技術が、特許文献2に開示されている。
更に、吸気弁および排気弁を閉弁し、かつ点火プラグによる点火を禁止した状態で所定回数クランキングすることで、筒内の混合ガスを圧縮して燃焼室の温度を上昇させて燃料の気化を促進する技術が、特許文献3に開示されている。
特開平10−009004号公報 特開2007−016710号公報 特開2006−017004号公報
直噴式の内燃機関の低温始動性を向上させるためには、燃料が噴射される燃焼室の温度を上昇させることが最も効果的である。しかしながら、特許文献1の技術では、排気弁が小リフトする際、または吸気弁が開弁する際に、クランキング中の圧縮工程で温度が上昇した混合ガスが燃焼室内から排出されてしまうために、低温始動性の向上に最も寄与する燃焼室の温度上昇効果が小さい、といった問題がある。同様に、特許文献2の技術では、燃焼室の温度上昇よりも吸気弁および吸気ポートの温度上昇を目的とした制御であるために燃焼室の温度上昇効果が小さい、という問題点がある。また、特許文献3の技術では、吸気弁および排気弁を閉弁したままクランキングすることから、クランキング中に燃焼室からブローバイとしてリークした混合ガスを再び燃焼室内へと補給することができない。そのため、燃焼室内の混合ガスのリークに伴って筒内の実圧縮が徐々に減少するために、燃焼室の温度上昇効果が少ない、といった問題点がある。このように、従来の技術では、低温始動性の向上に最も寄与する燃焼室の温度を効果的に上昇させることが難しいため、高いプレヒート効率を得ることが困難である、といった課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされてものであり、始動要求時から所定期間、吸気弁および排気弁を閉弁してクランキングし、所定サイクル毎に吸気弁または排気弁のいずれか一方を開弁して燃焼室内に空気を取り込むことで、直噴式の内燃機関のプレヒート効率を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するために、本発明の燃料噴射制御装置は、燃料を気筒内に直接噴射する燃料噴射手段を備えた内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の始動要求を検出してから所定期間、前記燃料噴射手段による燃料噴射を禁止させる燃料噴射禁止手段と、前記内燃機関の始動要求を検出してから所定期間、吸気弁および排気弁を閉弁させる吸排気弁閉弁手段と、前記吸排気弁閉弁手段によって閉弁された前記吸気弁および前記排気弁の何れか一方を所定サイクル毎に開弁させる開弁手段と、を備えることを特徴とする。
このように、内燃機関の始動の際に筒内への燃料噴射を禁止することにより、極低温始動時に筒内へ噴射された燃料が気化できずに燃焼室内を濡らすことでプレヒート効率が低下することを抑制することができる。そして、吸気弁および排気弁を閉弁した状態で所定期間クランキングすることにより、筒内の空気は燃焼室内に閉じ込められたまま圧縮膨張を繰り返されるために、その空気温度は吸排気弁を開弁する場合よりも早く上昇する。よって、直噴式の内燃機関における低温始動性の向上に最も寄与する燃焼室の温度をより短時間で上昇させることができる。更に、所定サイクル毎に吸気弁または排気弁を開弁させて燃焼室内に空気を取り込むことにより、クランキング中に燃焼室から徐々にリークした空気を筒内に補給し、常時高い筒内の実圧縮を維持することができる。よって、スタータモータやハイブリット車用の駆動モータの回転を燃焼室内の温度上昇に高効率で変換することができることから、車両のバッテリから供給される電力を熱エネルギーに変換する効率を向上させることができる。
上記のように、内燃機関の始動時における燃焼室温度を効果的に上昇させることで、筒内に噴射された燃料の気化が促進されることから、極低温時における内燃機関の始動性を大幅に向上させることができる。更に、燃料の気化が促進されることで未燃HCの排出量が減少することから、始動時の排気エミッションを改善することができる。
特に、本発明の燃料噴射制御装置は、前記開弁手段が、クランク角が上死点から下死点までの範囲にある間、前記吸気弁または前記排気弁の何れか一方を開弁させることを特徴とすることができる。
このように、吸気弁または排気弁の何れか一方を、クランク角が上死点の時に開弁を開始して下死点で閉弁するように、いわゆる膨張工程のみ開弁するよう制御することで、燃焼室内の暖気された空気をなるべく外部へ流出させずに、クランキング中にリークした分の空気を燃焼室内へ補給することができる。これにより、常に高い筒内の実圧縮を維持することができることから、内燃機関の始動時における燃焼室温度を効果的に上昇させることができる。よって、極低温時における内燃機関の始動性を大幅に向上させることができ、更に、始動時の排気エミッションを改善することができる。
また、本発明の燃料噴射制御装置は、前記開弁手段が、前記内燃機関のアイドル運転時における前記吸気弁および前記排気弁のリフト量よりも小さいリフト量で前記吸気弁または前記排気弁の何れか一方を開弁させることを特徴とすることができる。
このように、吸気弁または排気弁のリフト量は、アイドル運転中や走行中のリフト量よりも小さいリフト量であって、例えば、筒内からリークした分の空気を充分に取り込むことができ、かつ筒内で暖気された空気を外部へ流出させない程度のリフト量に設定することができる。これにより、常に高い筒内の実圧縮を維持することができることから、内燃機関の始動時における燃焼室温度を効果的に上昇させることができる。よって、極低温時における内燃機関の始動性を大幅に向上させることができ、更に、始動時の排気エミッションを改善することができる。
更に、本発明の燃料噴射制御装置は、前記所定期間が、前記内燃機関の冷却水温と、油温と、吸気温と、筒内温と、実圧縮比と、累積クランキング回数と、運転者からの車両運転要求を検出したときとの少なくとも1つに基づいて決定することを特徴とすることができる。
このような構成とすることにより、プレヒート中の燃焼室温度を、内燃機関の冷却水温、油温、吸気温、筒内温度、実圧縮比、累積クランキング回数の少なくとも1つから求めることで、燃焼室の温度が筒内に噴射された燃料が気化するのに充分な温度に到達したか否かを確認することができる。そして、燃焼室が充分な温度に到達したときに、プレヒート制御を終了し運転モードへと移行することで、内燃機関のプレヒートを適切に制御することができる。また、例えば運転者によるアクセルの踏み込み等、プレヒート中に運転者からの車両の運転要求があった場合には、速やかにプレヒートを中断して運転モードに移行することで、運転者にストレスを与えることなくプレヒート制御を実行することができる。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、吸排気弁を閉弁して所定期間クランキングすることで、燃焼室の温度を速やかに上昇させることができることから、直噴式の内燃機関の始動性や始動時の排気エミッションを改善することができる。更に、所定サイクル毎に吸気弁または排気弁の何れか一方を開弁することで、プレヒート中に燃焼室内からリークした空気を筒内に補給することができることから、常に高い筒内の実圧縮を維持することができ、プレヒートの効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の内燃機関の制御装置を組み込んだエンジン1の概略構成を示した説明図である。なお、図1にはエンジンの1気筒の構成のみを示している。
エンジン1は、車両に搭載される多気筒エンジンであって、各気筒は燃焼室1aを構成するピストン2を備えている。各燃焼室1aのピストン2はそれぞれコネクティングロッド4を介して出力軸であるクランクシャフト3の軸に連結されており、各ピストン2の往復運動がコネクティングロッド4によってクランクシャフト3の回転へと変換される。
クランクシャフト3の軸の近傍には、クランク角センサ5が配置されている。クランク角センサ5はクランクシャフト3軸の回転角度を検出するように構成されており、検出結果をECU100に出力する。それにより、ECU100は、エンジン始動時のクランキング回数や運転時のエンジン回転数など、クランク角に関する情報を取得することができる。更にクランクシャフト3の一端には、クランクスプロケット6が接続されている。クランクスプロケット6はクランクシャフト3と同じ周期で回転する。クランクスプロケット6としては、複数の歯が外周に配置された周知のスプロケットを用いることができる。クランクスプロケット6にはエンジン1の始動時に起動するスタータモータ7のピニオンギアが噛み合わされており、スタータモータ7の起動に伴うリングギアの回転によりエンジン1のクランキングが行われる。なお、エンジン1がハイブリット車に搭載される場合、スタータモータ7に代えてハイブリット車用の駆動モータを適用することもできる。
各気筒の燃焼室1aには、それぞれ燃焼室1aと連通する吸気ポート8と、吸気ポート8に連結し、吸入空気を吸気ポート8から燃焼室1aへと導く吸気通路9とが接続されている。更に、燃焼室1aの各気筒には、それぞれ燃焼室1aと連通する排気ポート10と、燃焼室1aで発生した排気ガスをエンジン外へと導く排気通路11が接続されている。また、各気筒に接続された排気通路11は、下流側で合流して一本の合流排気通路400となる。
各気筒の燃焼室1aの吸気通路、排気通路に対応して複数の吸気弁、排気弁が設けられている。図1には吸気通路、排気通路と吸気弁、排気弁をそれぞれ1つずつ示している。燃焼室1aの各吸気ポート8には、それぞれ吸気弁12が配置されており、吸気弁12を開閉駆動させるための吸気カムシャフト13が配置されている。更に、燃焼室1aの各排気ポート10には、それぞれ排気弁14が配置されており、排気弁14を開閉駆動させるための排気カムシャフト15が配置されている。
吸気弁12および排気弁14はクランクシャフト3の回転が連結機構(例えばタイミングベルト、タイミングチェーンなど)により伝達された吸気カムシャフト13および排気カムシャフト15の回転により開閉され、吸気ポート8および排気ポート10と燃焼室1aとを連通・遮断する。なお、吸気弁12、および排気弁14の位相は、クランク角を基準にして表される。
吸気カムシャフト13は可変動弁機構(以下、VVT機構という)である電動VVT機構16を有している。この電動VVT機構16はECU100の指示により電動モータ17で吸気カムシャフト13を回転させる。それにより吸気カムシャフト13のクランクシャフト3に対する回転位相が変更されることから、吸気弁12のバルブタイミングが変更される。この場合、吸気カムシャフト13の回転位相は、吸気カム角センサ18にて検出され、ECU100へと出力される。それにより、ECU100は、吸気カムシャフトの位相を取得することができるとともに、吸気弁12の位相を取得することができる。また、吸気カムシャフト13の位相は、クランク角を基準にして表される。更に、電動VVT機構16は、ECU100の指令に基づいて、エンジン1の始動時に燃焼室1a内の温度が燃料が気化するのに充分な温度に達するまでの間、吸気弁12を閉弁させる。そして、電動VVT機構16は、ECU100の指令に基づいて、閉弁された吸気弁12を所定サイクル毎に開弁させる。
また、排気カムシャフト15は油圧VVT機構19を有している。この油圧VVT機構19はECU100の指示によりオイルコントロールバルブ(以下、OCVという)20で排気カムシャフト15を回転させる。それにより排気カムシャフト15のクランクシャフト3に対する回転位相が変更されることから、排気弁14のバルブタイミングが変更される。この場合、排気カムシャフト15の回転位相は、排気カム角センサ21にて検出され、ECU100へと出力される。それにより、ECU100は、排気カムシャフトの位相を取得することができるとともに、排気弁14の位相を取得することができる。また、排気カムシャフト15の位相は、クランク角を基準にして表される。更に、油圧VVT機構19は、エンジン1の始動時に燃焼室1a内の温度が燃料が気化するのに充分な温度に達するまでの間、排気弁14を閉弁させる。
エンジン1の吸気通路9には、吸気通路9を通過する吸入空気量を検出するエアフロメータ22が設置されている。また、吸気通路9には、スロットルバルブ23およびスロットルポジションセンサ24が設置されている。このエアフロメータ22およびスロットルポジションセンサ24はそれぞれの検出結果をECU100に出力する。それにより、ECU100は、吸気ポート8および燃焼室1aへ吸入される吸入空気量を認識することができる。更に、吸気通路9には吸気温センサ30が設けられており、エンジン1に取り込まれる吸入空気の温度を検出してECU100へ送信することで、ECU100は吸入空気の温度を認識することができる。
エンジン1の各気筒にはインジェクタ300が装着されている。燃料ポンプ(図示しない)より燃料配管を通じて供給された高圧燃料は、ECU100の指示によりインジェクタ300にてエンジン気筒内の燃焼室1aに噴射供給される。ECU100は、エアフロメータ22およびスロットルポジションセンサ24からの吸入空気量、および吸気カム角センサ18からのカム軸回転位相の情報に基づき、燃料噴射量と噴射タイミングを決定しインジェクタ300に信号を送る。インジェクタ300はECU100の信号に従って、指示された燃料噴射量・噴射タイミングにて燃焼室1aへ燃料を高圧噴射する。高圧噴射された燃料は霧化し、吸気弁12の開弁時に供給された吸入空気と混合され、エンジン1の燃焼に適した混合ガスとなる。そして、インジェクタ300のリーク燃料は、リリーフ配管を通って燃料タンク(図示しない)へと戻される。なお、インジェクタ300は本発明の燃料噴射手段に相当する。
各気筒の燃焼室1aはそれぞれ点火プラグ26を備えており、点火プラグ26の点火タイミングはイグナイタ27によって調整される。吸気ポート8から流入された吸入空気はインジェクタ300から噴射された燃料と混合し、ピストン2の上昇運動により燃焼室1a内で圧縮される。ECU100は、クランク角センサ5からのピストン2の位置、および吸気カム角センサ18からのカム軸回転位相の情報に基づき、点火タイミングを決定しイグナイタ27に信号を送る。イグナイタ27はECU100の信号に従って、指示された点火タイミングでバッテリ200からの電力を点火プラグ26に通電する。点火プラグ26はバッテリ200からの電力により点火し、圧縮混合ガスを着火させて、燃焼室1a内を膨張させピストン2を下降させる。これがコネクティングロッド4を介してクランクシャフト3の軸回転に変更されることにより、エンジン1は動力を得る。燃焼後の排気ガスは、排気弁14が開いた際に排気ポート10、排気通路11を通って合流排気通路400で合流し、浄化触媒401を通過してエンジン1の外部へと排出される。そして、各気筒の燃焼室1aには筒内温センサ31、および圧縮比センサ32が設けられており、燃焼室1a内の温度、および実圧縮を検出してECU100へ送信することで、ECU100は燃焼室1a内の温度、実圧縮を認識することができる。
各気筒の排気通路11は下流で合流して合流排気通路400を形成し、合流排気通路400の先には浄化触媒401が設けられている。浄化触媒401は、エンジン1の排ガスを浄化するために用いられるもので、例えば三元触媒やNOx吸蔵還元型触媒などが適用され、エンジン1の排気量、使用地域等の違いによってこれら浄化触媒401を複数個組み合わせて設置される場合もある。浄化触媒401には触媒温度センサ402が設けられている。ECU100は、触媒温度センサ402からの信号を受信することにより、浄化触媒401の温度を認知し、浄化触媒401が活性温度域にあるか否かを判断することができる。
燃焼室1aの周辺にはウォータジャケットが設けられており、ウォータジャケット内部は燃焼室1aを冷却するためのエンジン冷却水が循環している(図示しない)。そして、ウォータジャケットにはエンジン冷却水温を測定するための水温センサ28が設けられており、エンジン冷却水温を検出してECU100へと送信することで、ECU100は、エンジン冷却水温を認識することができる。また、燃焼室1aの下部には油温センサ29が設けられており、エンジン1内部を循環する油温を検出してECU100へと送信することで、ECU100は、エンジン油温を認識することができる。
バッテリ200は、正極に二酸化鉛(PbO)、負極に海綿状鉛(Pb)、電解液として希硫酸(HSO)を用いた二次電池であり、それらの化学反応によって充放電サイクルを実施する。バッテリ200は、オルタネータ(図示しない)の発電量が各電装品の電力使用量を超える場合に、超えた分の電力を充電してバッテリ内部に蓄電する。そして、バッテリ200は、エンジン1の始動の際にスタータモータ7を稼動させるために、または車両の走行中にECU100等の電装品を適切に稼動させるために、バッテリ200の内部に蓄電した電力を放電する。バッテリ200としては、例えば12[V]システムを適用することができるが、42[V]システム等の高電圧仕様を適用することもできる。
ECU100は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。ECU100は、クランク角センサ5、カム角センサ18,21、エアフロメータ22、スロットルポジションセンサ24、水温センサ28の検出結果を読み込み、VVT機構16,19の動作、インジェクタ300の動作、点火プラグ26の点火時期など、エンジン1の運転動作を統合的に制御する。
また、ECU100は、エンジン1の始動の際に燃焼室1a内の温度を上昇させるためのプレヒート制御を実行する。図2は、エンジン1の始動時におけるプレヒート制御の概要を示した説明図である。ECU100は、エンジン1の始動要求を検出すると、インジェクタ300の燃料噴射および点火プラグ26の点火を禁止させる。更に、ECU100は、VVT機構16,19を制御することで、吸気弁12および排気弁14をプレヒート制御の終了まで閉弁させるとともに、スタータモータ7を駆動させてクランキングを開始する。そして、ECU100は、所定サイクル毎に吸気弁12を開弁させ、プレヒート中に燃焼室1a内からリークした空気を筒内に補給する。ここで、ECU100は、水温センサ28、油温センサ29、吸気温センサ30、筒内温センサ31、圧縮比センサ32の検出結果、およびクランク角センサ5の検出結果に基づく累積クランキング回数のうち少なくとも1つから、プレヒート中の燃焼室1a内の温度を求めることで、燃焼室1a内の温度が燃料が気化するのに充分な温度に到達したときにプレヒート制御を終了する。ECU100は、プレヒート制御の終了後に、インジェクタ300の燃料噴射および点火プラグ26の点火を開始させ、吸気弁12、排気弁14を開弁させて運転モードへと移行する。また、ECU100は、プレヒート制御中に運転者からの運転要求があった場合に、速やかにプレヒート制御を中断して運転モードへと移行する。なお、ECU100は本発明の燃料噴射禁止手段、吸排気弁閉弁手段、および開弁手段に相当する。
つづいて、ECU100の制御の流れに沿って、エンジン1の動作を説明する。図3はECU100の処理の一例を示すフローチャートである。本実施例のエンジン1は、燃料噴射手段、燃料噴射禁止手段、吸排気弁閉弁手段、および開弁手段を備えることにより、エンジン1の始動の際に、燃料噴射を禁止し、吸気弁12および排気弁14を閉弁して所定期間クランキングすることで燃焼室1a内の温度を上昇させるプレヒート制御を実行する。また、本実施例のエンジン1は、クランキング中の所定サイクル毎において、クランク角が上死点から下死点にある間に吸気弁12を小リフト化することにより、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を筒内に補給する。更に、本実施例のエンジン1は、水温センサ28、油温センサ29、吸気温センサ30、筒内温センサ31、圧縮比センサ32、クランク角センサ5の検出結果、および運転者の運転要求を検出した場合の少なくとも1つから、プレヒート制御を実行する所定期間を判断する。
ECU100の制御は、エンジン1の始動要求がされると、すなわちイグニッションスイッチがONにされると開始する。まず、ECU100はステップS1で、インジェクタ300による燃焼室1a内への燃料噴射と、点火プラグ26による点火を禁止する。更に、ECU100は、VVT機構16,19を制御することで吸気弁12および排気弁14を閉弁する。
ここで、プレヒート制御において吸気弁12および排気弁14の両方を閉弁する必要性について説明する。図4は、エンジン1のクランキング時のPV線図を示している。従来技術のように、吸気弁12を開弁してクランキングする場合、燃焼室1a内の空気は、圧縮工程で吸気ポート8へと移動する。そして、吸気ポート8内へ移動した空気は、膨張工程で再び燃焼室1a内へと移動する。このように、クランキング時に吸気弁12を開弁すると、圧縮工程で空気が筒内から移動してしまうために高い実圧縮を得ることができない(図4(a))。一方、本発明のように吸気弁12および排気弁14を閉弁してクランキングする場合、圧縮工程、膨張行程のいずれにおいても燃焼室1a内からの空気の移動がないために、圧縮工程で高い実圧縮を得ることができる(図4(b))。ここで、理想気体の状態方程式に基づくと、
[理想気体の状態方程式]
PV=nRT ・・・(1)
(P:気体の圧力,V:気体の体積,n:気体の物質量,R:気体定数,T:気体の熱力学温度)
(1)式より、気体の圧力Pが高いほど気体の熱力学温度Tも高くなる。よって、吸気弁12および排気弁14を閉弁して筒内の実圧縮を向上させることで、燃焼室1a内の空気温度をより高い温度まで上昇させることができるために、プレヒート効率を向上させることができる。
また、従来技術のように、クランキング時に吸気弁12を開弁する場合、圧縮膨張工程に伴って空気が燃焼室1aと吸気ポート8とを移動するために、スタータモータ7の仕事量が大きくなる(図4(a)の斜線部分)。一方、本発明のように吸気弁12および排気弁14を閉弁してクランキングする場合、燃焼室1aからの空気の移動がないためにスタータモータ7の仕事量も小さくすることができる(図4(b))。よって、スタータモータ7の回転を燃焼室1a内の温度上昇に高効率で変換することができることから、省エネルギーで筒内の温度を速やかに上昇させることができる。ECU100はステップS1の処理を終えると、次のステップS2へ進む。
ステップS2で、ECU100は、スタータモータ7を駆動させてエンジン1のクランキングを開始する。ECU100はステップS2の処理を終えると、つづいてステップS3へ進む。
ステップS3で、ECU100は、クランキングの開始時点からのエンジン1のサイクル数をカウントする。ここで、一般的にエンジンの1サイクルは、吸入、圧縮、膨張、排気の4工程を言うために、クランク角が2回転する720°で表現されるが、本実施例のプレヒート制御における1サイクルは、圧縮、膨張の2工程を1サイクルとするために、クランク角が1回転する360°で表現するものとする。ECU100はステップS3の処理を終えると、つづいてステップS4へ進む。
ステップS4で、ECU100は、プレヒート制御の終了条件が成立したか否かを判断する。ここで、プレヒート制御の終了条件については後述するため、その詳細な説明は省略する。プレヒート制御の終了条件が成立した場合(ステップS4/YES)、ECU100はステップS7へ進む。プレヒート制御の終了条件が成立していない場合(ステップS4/NO)は、ECU100は次のステップS5へ進む。
ステップS5で、ECU100は、クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達したか否かを判断する。ここで、サイクル数の所定回数は、燃焼室1a内の実圧縮が低下し筒内の温度上昇が停止するサイクル数を適用することができ、例えばエンジン1の排気量や燃焼室1aの形状などに基づいて6サイクル、8サイクル、または10サイクルのいずれかに設定することができる。また、サイクル数の所定回数は、圧縮比センサ32の検出結果に基づいて設定することもできる。クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達していない場合(ステップS5/NO)、ECU100は再びステップS4の処理を行う。クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達した場合(ステップS5/YES)は、ECU100は次のステップS6へ進む。
ステップS6で、ECU100は、クランク角が上死点から下死点にある間、VVT機構16を制御して吸気弁12を小リフト化する。ここで、プレヒート制御において所定サイクル毎に吸気弁12を小リフト化する必要性について説明する。燃焼室1a内の空気は、クランキングによるピストン2の上下運動に伴い、ピストンリングとスリーブ部とのわずかな隙間などから徐々にリークする。この場合、吸気弁12および排気弁14は閉弁されているために、膨張工程においても燃焼室1a内へ空気は供給されない。よって、吸気弁12および排気弁14を閉弁したままクランキングを繰り返すことで、燃焼室1a内の空気量は徐々に減少する。このように、筒内の空気量が減少すると筒内の圧力Pが低下することから、上記(1)式より筒内の温度Tも低下するために、燃焼室1aのプレヒート効率が著しく低下する。そのため、所定サイクル毎に吸気弁12を小リフト化し、クランキング時にリークした分の空気を燃焼室1a内に補給することで、燃焼室1a内の空気量の低下を抑制し、エンジン1の筒内温度を効率よく上昇させることができる。
図5は、ポート噴射式エンジンと、実施例1のエンジンとのプレヒート時における吸気弁の開弁サイクルの一例を示している。ポート噴射式エンジンのプレヒート制御では、燃料が噴射される吸気ポートの温度を上昇させることが低温始動性の向上に最も寄与する。よって、2サイクル毎に吸気弁を開弁させて、筒内で圧縮膨張されて温度が上昇した空気を吸気弁から吸気ポートへ送り込むことで、吸気ポートの温度を上昇させる。一方、本実施例のエンジン1は、燃焼室1aの温度を上昇させることが低温始動性を向上させるために最も効果的である。よって、吸気弁12と排気弁14との両方を閉弁させてクランキングする頻度を高くするために、例えば6サイクル、8サイクル、10サイクルのいずれかで吸気弁12を小リフト化してリークした空気を筒内に補給する。そして、残りのサイクルは吸気弁12および排気弁14を閉弁してクランキングすることで、効率よくプレヒート制御を実行することができる。
図6は、所定サイクル毎に開弁される吸気弁12の開弁形態を示している。吸気弁12は、クランク角がTDCの時に開弁を開始してBDCで閉弁するように、いわゆる膨張工程のみ開弁するよう制御されることで、筒内の空気をなるべく外部へ流出させずにリークした分の空気を燃焼室1a内へ補給することができることから、高い実圧縮を維持することができる。その際、吸気弁12のリフト量は、クランキング中に燃焼室1aからリークした分の空気を筒内に充分に取り込むことができ、かつ燃焼室1a内の空気を外部へ逃がさないようなリフト量を適用することができ、例えば4[mm]前後に設定することができる。ECU100はステップS6の処理を終えると、再びステップS3の処理を繰り返す。
ステップS4の判断がYESの場合、ECU100はステップS7へ進む。ステップS7で、ECU100は、インジェクタ300による燃料噴射と、点火プラグ26による点火を開始し、VVT機構16,19を制御して吸気弁12および排気弁14を開弁することで、プレヒート制御を終了して運転モードへと移行する。ステップS7の処理を終えると、ECU100は制御の処理を終了する。
つづいて、ECU100がプレヒート制御の終了を判定するフローを説明する。図7はECU100の処理の一例を示すフローチャートである。ECU100の制御は、エンジン1の始動要求がされると、すなわちイグニッションスイッチがONにされると開始する。
ステップS8で、ECU100は、アクセルONの信号を検出したか否かを判断する。ここで、アクセルONの信号は、運転者からの運転要求の一例であり、このようなプレヒート中に車両の運転要求があった場合には、速やかにプレヒートを中断して運転モードに移行することで、運転者にストレスを与えることなくプレヒートを実行することができる。この場合、アクセルONの信号以外の信号を運転者からの運転要求信号として適用することもできる。アクセルONの信号を検出した場合(ステップS8/YES)、ECU100はステップS12へ進む。アクセルONの信号を検出しなかった場合(ステップS8/NO)は、ECU100は次のステップS9へ進む。
ステップS9で、ECU100は、エンジン1の水温、油温、吸気温、筒内温、実圧縮比、累積クランキング回数を検出する。このように、エンジン1の冷却水温、油温、吸気温、筒内温、実圧縮比、累積クランキング回数を検出することで、それら検出結果の少なくとも1つから、燃焼室1a内の温度を求めることができる。この場合、上記パラメータのうち少なくとも1つを検出してもよい。ECU100はステップS9の処理を終えると、つづいてステップS10へ進む。
ステップS10で、ECU100は、ステップS9で検出した結果から燃焼室1aの温度を求める。この処理によって、燃焼室1aの温度が筒内に噴射された燃料が気化するのに充分な温度に到達したか否かを確認することができる。なお、ステップS10で求める燃焼室1a内の温度は、クランク角がTDC付近の筒内温度相当とすることが好ましい。ECU100はステップS10の処理を終えると、つづいてステップS11へ進む。
ステップS11で、ECU100は、ステップS10で求めた燃焼室1aの温度が所定値以上であるか否かを判断する。ここで、燃焼室1aの温度の所定値は、筒内に噴射された燃料が気化するのに充分な温度を適用することができ、例えば70℃に設定することができる。燃焼室1aの温度が所定値に満たない場合(ステップS11/NO)、ECU100はステップS8に戻り、再び上記の処理を実行する。燃焼室1aの温度が所定値以上である場合(ステップS11/YES)は、ECU100は次のステップS12へ進む。
ステップS12で、ECU100は、燃焼室1aが充分な温度に到達したことにより、プレヒート終了条件が成立したと判断する。この判断をもとに、ECU100は、ステップS4でプレヒート制御を終了し運転モードへと移行することで、内燃機関のプレヒートを適切に制御することができる。ステップS12の処理を終えると、ECU100は制御の処理を終了する。
以上のように、本実施例1のエンジン1は、エンジン1の始動の際に燃料噴射を禁止することで、筒内へ噴射された燃料が気化できずに燃焼室内を濡らすことでプレヒート効率が低下することを抑制することができる。そして、吸気弁12および排気弁14を閉弁して所定期間クランキングすることで、低温始動性の向上に最も寄与する燃焼室1aの温度をより短時間で上昇させることができる。更に、所定サイクル毎に吸気弁12を小リフト化し、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を補給することで、プレヒートの効率を向上させることができる。このように、プレヒート制御を最適に実行することで、筒内に噴射された燃料の気化を促進することができることから、直噴式の内燃機関の始動性や始動時の排気エミッションを改善することができる。
また、本実施例1のエンジン1は、クランキング中の所定サイクル毎において、吸気弁12が、クランク角がTDCの時に開弁を開始しBDCで閉弁するよう、いわゆる膨張工程のみ開弁するように制御されることで、筒内の空気をなるべく外部へ流出させずにリークした分の空気を燃焼室1a内へ補給することができる。よって、常に高い筒内の実圧縮を維持することができることから、プレヒートの効率を向上させることができる。
そして、本実施例1のエンジン1は、水温センサ28、油温センサ29、吸気温センサ30、筒内温センサ31、圧縮比センサ32、クランク角センサ5の検出結果、および運転者の運転要求を検出した場合の少なくとも1つから、プレヒート制御を実行する所定期間を判断することで、燃焼室1aの温度が筒内に噴射された燃料が気化するのに充分な温度に到達したか否かを確認してプレヒート制御を適切に実行することができる。また、プレヒート中に運転者からの車両の運転要求があった場合、速やかにプレヒートを中断して運転モードに移行することで、運転者にストレスを与えることなくプレヒートを実行することができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例のエンジン50は、実施例1のエンジン1とほぼ同様の構成となっているが、エンジン50は、クランキング中の所定サイクル毎に、排気弁14を小作動リフト化する制御を行う点でエンジン1と相違している。
本実施例のエンジン50は、実施例1と同様に車両内部にECU100を備えている。このECU100が、クランキング中の所定サイクル毎に、排気弁14を小リフト化する制御を行う。エンジン50の始動の際に、吸気弁12および排気弁14を閉弁して所定期間クランキングし、所定サイクル毎に、クランク角が上死点から下死点にある間に排気弁14を小リフト化することにより、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を筒内に補給する。
つづいて、ECU100の制御の流れに沿って、エンジン50の動作を説明する。図8は、ECU100の処理の一例を示すフローチャートである。なお、実施例1と同様の処理については、その詳細な説明は省略する。実施例1と同様に、ECU100の制御は、エンジン50の始動要求がされると、すなわちイグニッションスイッチがONにされると開始する。
まず、ECU100はステップS13で、インジェクタ300による燃焼室1a内への燃料噴射と、点火プラグ26による点火を禁止させる。更に、ECU100は、VVT機構16,19を制御することで吸気弁12および排気弁14を閉弁させる。なお、プレヒート制御において吸気弁12および排気弁14の両方を閉弁する必要性については、実施例1と同様であるために、その詳細な説明は省略する。ECU100はステップS13の処理を終えると、次のステップS14へ進む。
ステップS14で、ECU100は、スタータモータ7を駆動させてエンジン50のクランキングを開始する。ECU100はステップS14の処理を終えると、つづいてステップS15へ進む。
ステップS15で、ECU100は、クランキングの開始時点からのエンジン50のサイクル数をカウントする。ここで、プレヒート制御におけるエンジン50の1サイクルは、実施例1と同様にクランク角が1回転する360°で表現するものとする。ECU100はステップS15の処理を終えると、つづいてステップS16へ進む。
ステップS16で、ECU100は、プレヒート制御の終了条件が成立したか否かを判断する。ここで、プレヒート制御の終了条件については実施例1と同様であるため、その詳細な説明は省略する。プレヒート制御の終了条件が成立した場合(ステップS16/YES)、ECU100はステップS19へ進む。プレヒート制御の終了条件が成立していない場合(ステップS16/NO)は、ECU100は次のステップS17へ進む。
ステップS17で、ECU100は、クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達したか否かを判断する。ここで、サイクル数の所定回数は、燃焼室1a内の実圧縮が低下し筒内の温度上昇が停止するサイクル数を適用することができ、例えばエンジン50の排気量や燃焼室1aの形状などに基づいて6サイクル、8サイクル、または10サイクルのいずれかに設定することができる。また、サイクル数の所定回数は、圧縮比センサ32の検出結果に基づいて設定することもできる。クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達していない場合(ステップS17/NO)、ECU100は再びステップS16の処理を行う。クランキング開始からのサイクル数が所定回数に到達した場合(ステップS17/YES)は、ECU100は次のステップS18へ進む。
ステップS18で、ECU100は、クランク角が上死点から下死点にある間、VVT機構16を制御して排気弁14を小リフト化する。ここで、プレヒート制御において所定サイクル毎に排気弁14を小リフト化する必要性について説明する。実施例1においては、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を筒内に補給するために吸気弁12を小リフト化する。しかし、本実施例のエンジン50のような直噴式の内燃機関の場合、エンジンの低温始動性を向上させるためには、燃焼室の温度を上昇させることが最も効果的であることから、吸気弁と排気弁とのどちらを開弁させてもプレヒート効率は変わらない。つまり、プレヒート中に燃焼室内からリークした空気を補給するためには排気弁を開弁しても良い。そして、一般のガソリンエンジンにおいては、吸気弁よりも排気弁の方が小さいために、吸気弁をリフトするよりも排気弁をリフトする方が燃焼室内の暖気された空気が漏れにくいという利点がある。そのため、所定サイクル毎に排気弁14を小リフト化することで、燃焼室1a内の空気の流出を抑制しつつ、燃焼室1a内からリークした分の空気を筒内へ補給することができる。なお、排気弁14の開弁サイクルについては実施例1と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
所定サイクル毎に開弁される排気弁14の開弁形態について説明する。排気弁14の面積は、吸気弁12の面積よりも小さいために、同じリフト量の場合、燃焼室1a内の暖気された空気は外部へ流出しにくいが、筒内へ取り込まれる空気量も少ない。よって、燃焼室1aからリークした分の空気を補給するために、排気弁14のリフト量は吸気弁12のリフト量よりも大きくする必要がある。排気弁14は、クランク角がTDCの時に開弁を開始し、BDCで閉弁するように制御されることで、筒内の空気をなるべく外部へ流出させずにリークした分の空気を燃焼室1a内へ補給することができることから、高い実圧縮を維持することができる。その際、排気弁14のリフト量は、クランキング中に燃焼室1aからリークした分の空気を筒内に充分に取り込むことができ、かつ燃焼室1a内の空気を外部へ逃がさないようなリフト量を適用することができ、例えば5[mm]前後に設定することができる。ECU100はステップS18の処理を終えると、再びステップS15の処理を繰り返す。
ステップS16の判断がYESの場合、ECU100はステップS19へ進む。ステップS19で、ECU100は、インジェクタ300による燃料噴射と、点火プラグ26による点火を開始させ、VVT機構16,19を制御して吸気弁12および排気弁14を開弁させることで、プレヒート制御を終了して運転モードへと移行する。ステップS19の処理を終えると、ECU100は制御の処理を終了する。
以上のように、本実施例2のエンジン50は、エンジン50の始動の際に燃料噴射を禁止させることで、筒内へ噴射された燃料が気化できずに燃焼室内を濡らすことでプレヒート効率が低下することを抑制することができる。そして、吸気弁12および排気弁14を閉弁させて所定期間クランキングすることで、低温始動性の向上に最も寄与する燃焼室1aの温度をより短時間で上昇させることができる。更に、所定サイクル毎に排気弁14を小リフト化させ、クランキング中に燃焼室1a内からリークした空気を補給することで、高い筒内の実圧縮を維持することができることから、プレヒートの効率を向上させることができる。このように、プレヒート制御を最適に実行することで、筒内に噴射された燃料の気化を促進することができることから、直噴式の内燃機関の始動性や始動時の排気エミッションを改善することができる。
更に、実施例2のエンジン50は、クランキング中の所定サイクル毎において、排気弁14が、クランク角がTDCの時に開弁を開始しBDCで閉弁するよう、いわゆる膨張工程のみ開弁するように制御されることで、筒内の空気をなるべく外部へ流出させずにリークした分の空気を燃焼室1a内へ補給することができる。よって、常に高い筒内の実圧縮を維持することができることから、プレヒートの効率を向上させることができる。
なお、実施例2のエンジン50は、実施例1と同様に、水温センサ28、油温センサ29、吸気温センサ30、筒内温センサ31、圧縮比センサ32、クランク角センサ5の検出結果、および運転者の運転要求を検出した場合の少なくとも1つから、プレヒート制御を実行する所定期間を判断することで、燃焼室1aの温度が筒内に噴射された燃料が気化するのに充分な温度に到達したか否かを確認してプレヒート制御を適切に実行することができる。また、プレヒート中に運転者からの車両の運転要求があった場合、速やかにプレヒートを中断して運転モードに移行することで、運転者にストレスを与えることなくプレヒートを実行することができる。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
実施例1の内燃機関の制御装置を組み込んだエンジンの概略構成を示した説明図である。 実施例1のエンジンの始動時におけるプレヒート制御の概要を示した説明図である。 実施例1のECUが行う制御のフローを示している。 実施例1のエンジンのクランキング時のPV線図を示している。 ポート噴射式エンジンと、実施例1のエンジンとのプレヒート時における吸気弁の開弁サイクルの一例を示している。 所定サイクル毎に開弁される吸気弁の開弁形態を示している。 実施例1のECUが行う制御のフローを示している。 実施例2のECUが行う制御のフローを示している。
符号の説明
1 エンジン
1a 燃焼室
2 ピストン
3 クランクシャフト
5 クランク角センサ
8 吸気ポート
10 排気ポート
12 吸気弁
13 吸気カムシャフト
14 排気弁
15 排気カムシャフト
16 電動可変動弁機構(電動VVT機構)
17 電動モータ
18 吸気カム角センサ
19 油圧可変動弁機構(油圧VVT機構)
20 オイルコントロールバルブ(OCV)
21 排気カム角センサ
28 水温センサ
29 油温センサ
30 吸気温センサ
31 筒内温センサ
32 圧縮比センサ
100 ECU(燃料噴射禁止手段、吸排気弁閉弁手段、開弁手段)
300 インジェクタ(燃料噴射手段)

Claims (4)

  1. 燃料を気筒内に直接噴射する燃料噴射手段を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の始動要求を検出してから所定期間、前記燃料噴射手段による燃料噴射を禁止させる燃料噴射禁止手段と、
    前記内燃機関の始動要求を検出してから所定期間、吸気弁および排気弁を閉弁させる吸排気弁閉弁手段と、
    前記吸排気弁閉弁手段によって閉弁された前記吸気弁および前記排気弁の何れか一方を所定サイクル毎に開弁させる開弁手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記開弁手段は、クランク角が上死点から下死点までの範囲にある間、前記吸気弁または前記排気弁の何れか一方を開弁させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記開弁手段は、前記内燃機関のアイドル運転時における前記吸気弁および前記排気弁のリフト量よりも小さいリフト量で前記吸気弁または前記排気弁の何れか一方を開弁させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記所定期間は、前記内燃機関の冷却水温と、油温と、吸気温と、筒内温と、実圧縮比と、累積クランキング回数と、運転者からの車両運転要求を検出したときとの少なくとも1つに基づいて決定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関の制御装置。

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