以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態例のみを示すが、これにより本発明を限定するものではない。
(全体構成について)
まず、本発明の一実施形態に係る電気コネクタ装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電気コネクタ装置の全体構成を示す側面視概略図である。図2は、図1の電気コネクタ装置の断面概略図である。図3は、図1の電気コネクタ装置の構成部品を示した分解斜視図である。図4は、図1の電気コネクタ装置の概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図を示す。図5は、図1の電気コネクタ装置の概略図であり、(d)は右側面図、(e)は背面図を示す。図6は、図1の電気コネクタ装置の斜視図である。図7は、図1の電気コネクタ装置の斜視断面図である。図8は、図1の相手側コネクタの概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図を示す。図9は、図1の相手側コネクタの概略図であり、(d)は右側面図、(e)は背面図を示す。図10は、図1の掛け止め金具付きコネクタの概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図を示す。図11は、図1の掛け止め金具付きコネクタの概略図であり、(d)は右側面図、(e)は背面図を示す。図12は、図1の掛け止め金具付きコネクタの斜視図である。図13は、図1の掛け止め金具付きコネクタの斜視断面図である。図14は、図1の掛け止め金具付きコネクタの構成部品を示した分解斜視図である。図15は、図1の掛け止め金具の概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図を示す。図16は、図3のリテーナ部材の概略図であり、(a)は背面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は左側面図、(e)はL−L’矢視断面図である。
図17は、図1の掛け止め金具付きコネクタの断面図である。図18は、図1の掛け止め金具付きコネクタの断面図である。図19は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材の挿入後の状態(初期位置)を示す。図20は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材が第1の位置にある状態を示す。図21は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材が第2の位置にある状態を示す。図22は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材の挿入後の状態を示す。図23は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材が第1の位置にある状態を示す。図24は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるリテーナ部材のスライド移動を示す断面図であり、リテーナ部材が第2の位置にある状態を示す。図25は、図1の掛け止め金具付きコネクタハウジングにおけるカバー部の湾曲変形について説明するための概略図である。
なお、図2は、図4(a)のA−A’矢視断面図に相当するものである。また、図7の断面は、図4(a)のA−A’断面に相当する。また、図13の断面は、図12のP−P’断面に相当する。また、図16(e)は、図16(a)のQ−Q’断面図に相当する。図17の断面は、図10(a)のA−A’断面に相当する。図18の断面は、図11(d)のM−M’断面に相当する。また、図19〜21の断面は、図10(a)のA−A’断面図に相当し、雌端子41及び電線64は省略して示している。図22〜24の断面は、図11(d)のM−M’断面に相当し、雌端子41及び電線64は省略して示している。また、図17及び18、図19及び22、図20及び23、並びに、図21及び24はそれぞれ互いに対応しており、同一の状態を示す図である。
電気コネクタ装置1は、自動車におけるエアバッグ衝突加速度センサへ電力を供給するための、機器用コネクタとして用いられるものであり、相手側コネクタ2と、掛け止め金具付きコネクタ7と、を含んで構成されている(図1、図2参照)。また、電気コネクタ装置1は防水性を有している。そして、機器等(図示せず)に固定された相手側コネクタ2に対して掛け止め金具付きコネクタ7が接続されると、相手側コネクタ2の雄端子21と、掛け止め金具付きコネクタ7の雌端子41との間で、電気的な接続が達成される(図2、図4〜図7参照)。その結果、機器等と電線64とが電気的に接続されることになる。
電気コネクタ装置1においては、コネクタハウジング42に取り付けられた掛け止め金具5が、相手側コネクタ2の相手側ハウジング22と、コネクタハウジング42と、の分離を阻止するように機能する。また、本実施形態において、相手側ハウジング22、コネクタハウジング42に用いられる材料は、合成樹脂材料である。なお、ここでは、二つの雄端子21及び二つの雌端子41を有する二極型コネクタについて説明するが、このようなものには限られず、雄端子(または雌端子)の数は、単数であっても三つ以上であってもよい。以下、各部の構成について説明する。
(相手側コネクタ)
まず、相手側コネクタ2について説明する。相手側コネクタ2は、二つの雄端子21、及び、当該二つの雄端子(相手側端子)21を支持する相手側ハウジング22等を有する。以下、各部の詳細について説明する。なお、図3において、矢印Bで示した方の範囲に含まれるのが、相手側コネクタ2の構成部品である。
(相手側ハウジング)
相手側ハウジング22は、筒状に形成された嵌入部23と、ベース部22fとを有して構成されている。嵌入部23は、相手側コネクタ2と掛け止め金具付きコネクタ7とが接続された状態(以下、“接続状態”と記す。図1、図2参照)において、後述する掛け止め金具付きコネクタ7の開口部43(図12参照)に対して嵌入される。また、本実施形態では、嵌入部23は四角筒状に形成されている(図3、図8(b)参照)。また、ベース部22fは、機器等に対して固定される。
嵌入部23には、四つのリブ部24が形成されている(図8(b)参照)。四つのリブ部24は、一対のコネクタが接続される方向、すなわち、相手側コネクタ2と掛け止め金具付きコネクタ7とが接続される方向(図1〜3の方向G参照。以下、この方向を“接続方向”と記す)に沿って見たときに、嵌入部23の外面部23sにおいて、嵌入部23の中心部を中心とした放射方向に沿って突出形成されている(図3、図8(b)参照)。また、四つのリブ部24は、嵌入部23の根元側(ベース部22f側)に形成されている(図3、図8(a)、図8(c)、図9(d)参照)。また、四つのリブ部24は、嵌入部23の四つの角部分に配置されている(図3、図8(b)参照)。
また、接続方向に沿って見たときに、嵌入部23の外面部23sには、嵌入部23の中心部を中心とした放射方向に沿って形成された四つの追加凹部25が、中心部へ向かって陥入形成されている(図3、図8(b)参照)。また、四つの追加凹部25は、嵌入部23の外面部23sの先端側に形成されている(図3、図8(a)、図8(c)、図9(d)参照)。なお、リブ部24、及び、追加凹部25はなくてもよい。
また、上記の“接続方向”Gを相手側ハウジング22に対してコネクタハウジング42を接続する方向とした場合において、相手側ハウジング22において、当該接続方向Gに関して手前側(図3のK側参照)の端部には、掛け止め金具5の一対の支持部51(後述する)の間の幅を広げるための一対の接続用傾斜面22sが形成されている(図3、図8(b)、図9(d)参照)。
また、相手側ハウジング22の両側部には、一対の突出部22xが突出形成されている(図3、図8、図9(d)参照)。そして、一対の突出部22xのそれぞれにおいて、接続方向Gに関して奥側(図8(c)のL側参照)には、支持受け部26として傾斜面が形成されている(図3、図8(a)、図8(c)、図9(d)参照)。さらに詳細には、支持受け部26としての傾斜面は、その高さ(外面部23sの外表面からの突出高さ)が、接続方向Gに関して奥側(図8(c)のL側参照)へいくに連れて低くなるように傾斜している。そして、接続状態において、掛け止め金具5の一対の支持部51は、一対の支持受け部26に対して密着しつつ引っ掛けられることになる。なお、本実施形態において、一対の突出部22xの先端部同士の間の長さはL2となっており(図8(c)参照)、さらに、本実施形態において、一対の支持受け部26の、接続状態において一対の支持部51が接触する部分(後述する)同士の間の長さは、L3となっている(図8(a)参照)。
嵌入部23の両側部には、二つの突出部22xに加えて、二つのガイド用突出部22wが形成されている(図3、図8、図9参照)。嵌入部23の両側部において、ガイド用突出部22wは、直線状に、接続方向Gに沿って突出形成されている。また、嵌入部23の両側部において、突出部22x及びガイド用突出部22wは、接続方向Gに沿って配置されている。また、突出部22xとガイド用突出部22wとは連続せず、これらの間には溝が形成されている。また、この溝部分においては、側面凹部27が陥入形成されている(図3、図9(d)参照)。
また、嵌入部23の底部には、誤嵌合防止用のガイド用突出部22vが二つ形成されている(図8、図9参照)。ガイド用突出部22vもまた、直線状に、且つ、接続方向に沿って突出形成されている。なお、本実施形態においては、誤嵌合防止用のガイド用突出部22vが二つ形成されているが、ガイド用突出部の数は一つでも三つ以上であってもよい。
また、嵌入部23の内部には、内部空間23vが形成されている(図3、図8(b)参照)。そして、内部空間23vの奥側には、直線状の挿入用凹部22jが形成されている(図8(b)参照)。さらに、相手側ハウジング22には、二つの雄端子21が挿入される二つの挿入孔22hが形成されている(図9参照)。
(雄端子)
二つの雄端子(相手側端子)21は、接続状態において、二つの雌端子41に対して電気的に接続されるものであり、棒状に形成されている(図2、図3参照)。雄端子21の先端には、雌端子41に対して接触する部分となる接触部21sが形成されている。雄端子21と雌端子41との接続状態については、雌端子41の説明において詳述する。なお、本実施形態において、雄端子21の断面形状は四角形であるが、雄端子はこのようなものには限られず、例えば、断面形状が円形であってもよい。
(掛け止め金具付きコネクタ)
次に、掛け止め金具付きコネクタ7について説明する。掛け止め金具付きコネクタ7は、相手側コネクタ2に対して電気的に接続されるものであって、二つの雌端子(コネクタ端子)41と、当該二つの雌端子41を支持するコネクタハウジング42と、掛け止め金具5と、シールリング62と、を含んで構成される(図1、図2参照)。なお、図3において、矢印Cで示した方の範囲に含まれるのが、掛け止め金具付きコネクタ7の構成部品である。以下、各部の詳細について説明する。
(掛け止め金具付きコネクタハウジング)
掛け止め金具付きコネクタハウジング3は、コネクタハウジング42と、掛け止め金具5と、を含んで構成される(図1、図2参照)。また、掛け止め金具付きコネクタハウジング3は、互いに接続される一対のコネクタ(掛け止め金具付きコネクタ7及び相手側コネクタ2)の一方である掛け止め金具付きコネクタ7に用いられる。すなわち、掛け止め金具付きコネクタ7は、掛け止め金具付きコネクタハウジング3と二つの雌端子41とを含んで構成される。
(コネクタハウジング)
コネクタハウジング42は、互いに接続される一対のコネクタ(相手側コネクタ2及び掛け止め金具付きコネクタ7)の一方である掛け止め金具付きコネクタ7において用いられるものであり、本体部42bと、リテーナ部材8と、カバー部47と、二つのリブ部49と、を含む。
(本体部)
次に、本体部42bについて説明する。図14に示すように、本体部42bは、相手側コネクタ2の雄端子21に対して電気的に接続される二つの雌端子41を支持するために用いられる。また、本体部42bは、相手側ハウジング22に対して接続される。
そして、本体部42bには、接続状態において、相手側ハウジング22が挿入される開口部43が形成されている(図11(e)、図12、図14参照)。すなわち、本体部42bは外周壁部を有しており、相手側ハウジング22が挿入される空間が、この外周壁部によって囲まれるように形成されている。より詳細には、本体部42bは四角筒状に形成されており(図12等参照)、その内側に、開口部43が形成されている。ここで、開口部43は、本体部42bの内部に形成された空間と、その周囲の内面部43sとを含む(図11(e)参照)。
また、本体部42bには制限部48bが形成されており、当該制限部48bは、本体部42bに対するリテーナ部材8の取り付け完了状態において、接続方向に関してリテーナ部材8の保持部82(後述する)の奥側に配置される(図17、図19〜図21参照)。
また、本体部42bには、接続方向Gに関して奥側(L側)に面して、突き当たり部48c及び突き当たり部48dが形成されている(図17、図19〜図21参照)。リテーナ部材8は、突き当たり部48c及び突き当たり部48dにより、接続方向G手前側への移動が抑制される(詳細については後述する)。
また、開口部43の内面部43sには、四つの凹部44が陥入形成されている(図11(e)、図12参照)。そして、接続状態においては、四つの凹部44に、嵌入部23の四つのリブ部24が嵌り込むようになっている。四つの凹部44は、接続方向に沿って見たときに、開口部43の内面部43sにおいて、開口部43の中心部を中心とした放射方向に沿って陥入形成されている(図11(e)参照)。また、四つの凹部44は、開口部43の先端側に形成されている(図12参照)。四角筒状に形成された本体部42bにおいて、四つの凹部44は、接続状態における嵌入部23の角部分に相当する位置に配置されている(図11(e)参照)。
また、四つの追加リブ部45が、開口部43の内面部43sの奥側に形成されている(図11(e)参照)。そして、四つの追加リブ部45は、接続状態において、嵌入部23に形成された四つの追加凹部25に対して嵌るようになっている。なお、凹部44、及び、追加リブ部45はなくてもよい。
また、本体部42bの内側には、二つのガイド溝42xが、直線状に、接続方向Gに沿って形成されている(図11(e)、図12参照)。二つのガイド溝42xは、接続動作において、相手側ハウジング22の二つの突出部22x、及び、二つのガイド用突出部22wが嵌り込むように、溝状に形成されたものである。また、本体部42bの底部の内側には、二つのガイド溝42vが、直線状に、接続方向Gに沿って形成されている(図11(e)参照)。二つのガイド溝42vは、接続動作において、相手側ハウジング22の二つのガイド用突出部22vが嵌り込むように溝状に形成されている。なお、ガイド溝の数は一つでも三つ以上でもよい。
電気コネクタ装置1においては、掛け止め金具5がコネクタハウジング42に対して取り付けられる。そして、コネクタハウジング42には、掛け止め金具5が取り付けられる溝部42dが形成されている。具体的には、コネクタハウジング42の本体部42bの両側端部には、二つの側壁部46が形成されており、溝部42dは、当該二つの側壁部46のそれぞれに形成されている(図3、図11等参照)。ここで、二つの側壁部46における溝部42dの深さは、掛け止め金具5の太さ(図15(c)のW1参照)よりも深い。そのため、図4(a)に示すように、電気コネクタ装置1においては、掛け止め金具5の最外部が、側壁部46の表面よりも奥に入り込んだ位置にあり、これにより、接続時の操作において、掛け止め金具5に指で触れることが抑止される。なお、本実施形態において、二つの側壁部46は、本体部42bの一部であるとする。
また、コネクタハウジング42の本体部42bにおいて、掛け止め金具5の取り付け方向(図1、図3等の方向H参照。以下、“取り付け方向”と記す)に関して、溝部42dの奥側(図1における下側)には、一対の解除用傾斜面42pが形成されている(図1、図3、図5(d)、図9(d)参照)。本実施形態において、取り付け方向は、接続方向Gに対して垂直な方向である。なお、本実施形態においては、掛け止め金具5の取り付け方向が、接続方向Gに対して垂直な方向となっているが、取り付け方向はこのような方向には限られず、接続方向Gと鋭角を成すような方向であってもよい。
また、本実施形態においては、二つの側壁部46のそれぞれが、本体部42bの中間部42y(開口部43を囲む外周壁部の上壁部)の上面よりも、取り付け方向に関して手前側に向かってさらに突出した突出先端部46tを有して構成されている(図10(b)、図10(e)参照)。そして、二つの側壁部46のそれぞれにおいて、接続方向Gに関して手前側(図3のK側)には、二つの突出受け部42tが陥入形成されており、接続方向Gに関して奥側(図3のL側)には、二つの突出受け部42uが陥入形成されている。なお、側壁部の形状はこのようなものには限定されず、突出先端部46tは形成されていなくてもよい。また、溝部は側壁部以外の位置に形成されていてもよい。
また、本体部42bの内部においては、二つの雌端子41を支持する端子支持部42oが形成されている(図14参照)。また、端子支持部42oは、開口部43の内部において、接続方向Gに沿って伸びるように形成されており、端子支持部42oには、リテーナ部材8が取り付けられる。また、端子支持部42oの側部には、二つの第1レール状凸部42mと、二つの第2レール状凸部42nが、それぞれ、接続方向Gに沿って形成されている(図14、図22〜図24参照)。また、端子支持部42oの両側部において、第1レール状凸部42mと第2レール状凸部42nとの間には、溝部42gが形成されている(図14、図22〜図24参照)。
さらに、コネクタハウジング42の本体部42bには、二つの雌端子41が挿入される二つの挿入孔42hが形成されている(図2、図10(b)参照)。また、本体部42bの外周壁部(上面部)には、スライド動作時に用いられるサイド孔42fが形成されている(図2、図3、図7、図13、図14参照)。掛け止め金具付きコネクタ7の組み立て時には、このサイド孔42fから治具を挿入して、後述するリテーナ部材8のスライド動作を行なう。また、サイド孔42fは、コネクタハウジング42の成形の際に、本体部42bに陥入部48gを形成するために用いられる金型抜き孔でもある。
両コネクタの接続状態において、リテーナ部材8、端子支持部42o及び二つの雌端子41は、相手側ハウジング22の嵌入部23の内部空間23vへと挿入される。また、端子支持部42oの先端側には、振動防止用リブ部42kが形成されている(図14参照)。振動防止用リブ部42kは、両コネクタの接続状態において、後述するリテーナ部材8のリブ挿入孔81kを貫通して、相手側ハウジング22の挿入用凹部22jへと挿入される。振動防止用リブ部42kがリブ挿入孔81kを貫通することにより、リテーナ部材8のコネクタハウジング42に対する結合がより強固になり、コネクタハウジング42に対するリテーナ部材8の振動が抑制される。
また、本体部42bには、二つの雌端子41を支持する、二つの支持台部42rが形成されている(図2、図14参照)。支持台部42rは、端子支持部42oの一部として形成されている。端子支持部42oには、二つの雌端子41が配置される部分において、リテーナ部材8の一部(端子押さえ部83t)が嵌り込む溝部が方向Hに沿って二つ形成されている(図22等参照)。そして、二つの支持台部42rは、この二つの溝部の底部分として形成されている(図14、図16〜図24参照)。なお、この二つの溝部は、それぞれ、挿入孔42hに連続する。
また、本体部42bには、二つの雌端子41をラッチして、接続方向に関して手前側への二つの雌端子41の抜けを防止するランス42qが二つ突出形成されている(図2、図7、図17、図19〜図21、図22、図23参照)。ランス42qは、雌端子41が配置される溝部に面して形成されている。また、ランス42qにおいては、その根元部が本体部42bに固定されているが、根元部以外は、固定されていないフリーな状態であり、弾性的に撓むことができる。また、ランス42qには、雌端子41側に向かって突出形成された接触部42cが形成されている(図18、図20参照)。また、本体部42bには、リテーナ部材8の保持部82が挿入される陥入部48gが形成されている(図19〜図21参照)。陥入部48gは、突き当たり部48cと制限部48bとの間を含む空間として形成されたものである。また、本実施形態においては、制限部48bが、後述するランス42qの根元側の端部に形成されている。しかし、制限部は、ランス42qとは別の位置に形成されていてもよい。
また、本実施形態においては、ランス42qにより、接続方向手前側への、雌端子41の抜けが防止されるが、このようなものには限られず、ランスは、接続方向手前側でなく、接続方向奥側への雌端子の抜けを防止するものであってもよく、接続方向に関して両側への雌端子の抜けを防止するものであってもよい。
(リテーナ部材)
次に、リテーナ部材8について説明する。以下、本体部42bに対して、リテーナ部材8の取り付けが完了した状態を、“取り付け完了状態”とする(図2、図13、図17、図18参照)。リテーナ部材8は本体部42bに取り付けられるものであり、本実施形態において、リテーナ部材8は合成樹脂材料から成る。また、リテーナ部材8は、フロントカバー部81と、保持部82と、連結部83と、二つの側壁部84と、を有して構成されている。
リテーナ部材8は、(i)開口部43から接続方向Gに沿って本体部42bに挿入された後、(ii)接続方向Gに垂直な方向(方向H参照)へのスライドにより本体部42bに取り付けられる。以下、リテーナ部材8が本体部42bに挿入された後の、リテーナ部材8のスライドの方向を“スライド方向”と記す。
フロントカバー部81には、二つの雄端子21が挿入される二つの挿入孔81hが形成されている(図16(a)参照)。また、フロントカバー部81は、相手側ハウジング22に対する本体部42bの接続方向Gに関して奥側(L側)への、雌端子41の抜けを防止する(図17参照)。
フロントカバー部81においては、挿入孔81hの周囲全体に亘って、雄端子21の挿入ガイドとなるチャンファ面81sが形成されている。具体的には、挿入孔81hの形状は四角形であり、フロントカバー部81には、挿入孔81hの四方を囲むように、四つのチャンファ面81sが形成されている(図12、図16(a)等参照)。このようなチャンファ面81sが形成されていることにより、多少傾いた角度で両コネクタが接触しても、雄端子21の先端がチャンファ面81sに接触しながら両コネクタが接続することになるので、雄端子21はチャンファ面81sに沿って挿入孔81hへ誘導される。なお、挿入孔の形状は四角形には限定されず、円形や、三角形、五角形等の多角形であってもよい。その場合には、チャンファ面の形状や数についても、挿入孔の形状に合わせたものとなる。
また、フロントカバー部81の中央には、方向Hに沿ってリブ挿入孔81kが形成されている(図12、図16(a)参照)。
保持部82は、接続方向Gに関して手前側(K側)への雌端子41の抜けを防止するものである(図17参照)。取り付け完了状態においては、保持部82と制限部48bとが接続方向Gに関して対向して配置されることによって、接続方向Gに関して奥側へのリテーナ部材8の移動が制限される。また、取り付け完了状態では、保持部82が、スライド方向に沿って陥入部48gに挿入されている(図17参照)。
また、連結部83は、フロントカバー部81及び保持部82を連結するものであり、リテーナ部材8の上壁部となっている。そして、二つの側壁部84は、連結部83から連続して形成されている。
また、連結部83の、接続方向Gに関して奥側の下部には、端子押さえ部83tが形成されている(図16(b)、図16(e)、図17、図19〜図21参照)。そして、取り付け完了状態においては、支持台部42rと端子押さえ部83tとの間に雌端子41が挟まれて、スライドの方向(方向H)に関する雌端子41の移動が抑制される(図17、図21参照)。なお、リテーナ部材8において、端子押さえ部83tは形成されていなくてもよい。
また、連結部83の、端子押さえ部83tよりも保持部82側には、ランス押さえ部83qが形成されている(図16(b)、図16(e)、図17、図19〜図21参照)。そして、取り付け完了状態においては、雌端子41とランス押さえ部83qとの間にランス42qが挟まれて、スライドの方向(方向H)に関するランス42qの先端部の変位が抑制される(図17、図21参照)。なお、リテーナ部材8において、ランス押さえ部83qは形成されていなくてもよい。
また、本体部42bに対するリテーナ部材8の取り付け完了状態において、保持部82は、接続方向Gに関して、制限部48bの手前側に配置される(図2、図17、図21参照)。
また、リテーナ部材8の内面部には、接続方向Gに沿って、二つの第1突出部84m、及び、二つの第2突出部84nが形成されている(図16(c)、図16(e)参照)。具体的には、二つの第1突出部84m及び二つの第2突出部84nが、二つの側壁部84のそれぞれの内面部に形成されている。そして、二つの第1突出部84m及び二つの第2突出部84nは、それぞれ、互いの方向に突出している。
図16(c)及び図16(e)から分かるように、第1突出部84m及び第2突出部84nは、連結部83に近い方から、すなわち、図16(c)、図16(e)の上側から、第1突出部84m、第2突出部84nの順番で形成されており、且つ、第1突出部84m及び第2突出部84nは、ある程度の間隔をおいて配置されている。なお、側壁部84はなくてもよい。また、本実施形態において、第1突出部84m及び第2突出部84nは、(i)挿入方向(接続方向G)を規定するガイド用として、また、(ii)スライド動作における各位置へのリテーナ部材8の位置決め用として機能する。また、第1突出部及び第2突出部は、側壁部以外の部位に設けられていてもよい。
また、リテーナ部材8は、サイドタイプ(雌端子の側方から、雌端子の側部に対してリテーナを直接引っ掛けることにより、雌端子がハウジングから抜けないようにするタイプ)のリテーナとして機能する。
(カバー部)
次に、カバー部47について説明する。カバー部47は、掛け止め金具5の一部(中間支持部53)を覆うものであり、本体部42bから伸びるように形成されている(図2、図3、図13、図12、図17参照)。また、カバー部47は、掛け止め金具5に接するカバー本体部47bと、当該カバー本体部47bを本体部42bに対して連結するカバー連結部47cと、を有している。そして、カバー部47と本体部42bとは、カバー連結部47cを介して、一体として成形されている(図2、図3、図12、図17等参照)。また、カバー部47は、本体部42bに対して、一箇所で結合している。
なお、カバー部は、本体部に対して一箇所において結合されていなくてもよく、例えば、カバー部は、本体部に対して、両端(二箇所)で結合されていてもよい。
また、カバー部47と本体部42bと二つの突出先端部46tとによって囲まれるように、掛け止め金具用空間42sが形成されており、掛け止め金具5の中間支持部53は、この掛け止め金具用空間42sへと収容される(図2、図10(b)、図17参照)。カバー部47は、組み立て前の状態では、図3に示すように、本体部42bに対して立ち上がった起立状態となっている。そして、掛け止め金具付きコネクタ7の組み立て時には、掛け止め金具5を本体部42bに取り付けた状態で、カバー部47を、カバー連結部47cを湾曲させて曲げ倒すことにより、掛け止め金具5の一部がカバーされた“カバー状態”となる。なお、カバー部の底部には、カバー状態において、掛け止め金具5が収められるカバー溝部が形成されていてもよい。これにより、掛け止め金具付きコネクタ7が図1における上下方向に関して大型化することを防止でき、コネクタを低背化できる。また、カバー溝部を形成することにより、カバー部と掛け止め金具5との位置関係が安定化するので、後述するロック解除動作において、カバー部によって掛け止め金具5を確実に押し込むことができる。
また、カバー部47は、一対の側壁部46の間に挟まれた中間部42yに配置されている(図11(e)参照)。すなわち、溝部42dの形成されていない部分にカバー部47が配置されている。なお、本実施形態において、本体部42bの中間部42yには溝部42dが形成されていないが、この中間部において溝部が形成されていてもよい。また、本実施形態では、接続方向Gに関して奥側から手前側に伸びるように、カバー部47が配置されている。しかし、このような配置には限られず、反対に、接続方向Gに関して手前側から奥側へ伸びるように、カバー部が配置されていてもよい。また、図11(e)の左右方向に沿って伸びるようにカバー部が配置されていてもよい。
また、カバー本体部47bの先端の両側部には、二つのカバー突出部47tが突出形成されている(図3参照)。また、カバー本体部47bの根元側の両側部には、二つのカバー突出部47uが形成されている(図3参照)。
そして、カバー状態においては、二つの突出受け部42tのそれぞれに、二つのカバー突出部47tのそれぞれが引っ掛けられ、且つ、二つの突出受け部42uのそれぞれに、二つのカバー突出部47uのそれぞれが引っ掛けられる(図10(b)、図11(e)、図12参照)。このような構成により、カバー部47が、元の倒立状態へ戻ることが抑止され、カバー状態を維持することができる。なお、カバー突出部47t、カバー突出部47u、突出受け部42t、及び、突出受け部42uはなくてもよい。また、二つのカバー突出部47t、及び、二つのカバー突出部47uのうち、片方はなくてもよい。また、一つのカバー突出部47t及び一つのカバー突出部47uが設けられていてもよい。
また、カバー本体部47bの先端部には、傾斜面47fが形成されている(図2、図3、図25参照)。また、カバー本体部47bの中央部には、治具挿入孔47gが形成されている(図12参照)。
(リブ部)
次に、リブ部49について説明する。二つのリブ部49は、本体部42bから突出するように形成され、カバー部47の根元部分に配置されている。また、二つのリブ部49は、互いに同様な形状を有する。詳しくは後述するが、接続された両コネクタを分離するときに、ロック状態を解除するために、カバー部47を本体部42bに向かって押し込む必要がある。そして、カバー部47が掛け止め金具5の一部(中間支持部53)を覆っている状態において、カバー部47が本体部42bに向かって押し込まれると、一対の支持部51が、本体部42bに接触しつつ互いに外側へ広がって、掛け止め金具5によるロック状態が解除される。また、このロック解除動作において、カバー本体部47bが本体部42bに向かって押された場合に、カバー連結部47cは、リブ部49の表面に形成されたガイド部49sの形状に沿って湾曲変形する。そして、ガイド部49sは、カバー連結部47cが自然なカーブを描いて、円弧状に湾曲できるような形状となっている。
カバー連結部47cの湾曲変形について、図25を用いて説明する。図25において、(a)は、成形直後の状態を示している。上記のように、掛け止め金具付きコネクタ7の組み立て前には、カバー部47は、本体部42bに対して直立した状態となっている。(b)は、掛け止め金具付きコネクタ7の組み立て後の“カバー状態”を示している。(b)では、二つの突出受け部42tのそれぞれに、二つのカバー突出部47tのそれぞれが引っ掛けられ、二つの突出受け部42uのそれぞれに、二つのカバー突出部47uのそれぞれが引っ掛けられた状態となっている。また、(c)は、掛け止め金具5によるロック状態を解除するために、カバー部47が本体部42bに対して押し込まれた状態を示している。(c)では、カバー部47先端の傾斜面47fが、本体部42bの表面に接触した状態となっている。
図25の(a)のようにカバー部47が直立した状態から、カバー部47を、(b)及び(c)のような状態となるように曲げる場合に、カバー部47の根元のカバー連結部47cは、リブ部49の表面に形成されたガイド部49sの形状に沿って湾曲変形する。また、(b)の状態と(c)の状態との間において変形動作が繰り返される場合にも、同様に、カバー連結部47cは、リブ部49の表面に形成されたガイド部49sの形状に沿って湾曲変形する。そのため、曲げの際にカバー連結部47cの一部に応力が集中してしまうようなことがなく、全体的に均等に応力が分散するために、カバー部47が折れにくくなる。
なお、リブ部の形状については、本実施形態の形状には限られない(例えば、図26に示す変形例参照)。カバー状態及びロック解除動作時には、特に、カバー連結部に応力がかかりやすくなる。そのため、リブ部の形状としては、少なくともカバー連結部に関しては、自然に湾曲変形できるような形状にすればよい。
また、本実施形態では、二つのリブ部49は、カバー部47の根元部分に配置されている。ここで、“カバー部の根元部分”とは、カバー部の根元付近の領域のことであり、リブ部の付け根部と、カバー部の付け根部とは、接していてもよいし、離れていてもよい。また、リブ部は本体部と一体形成されていてもよいし、本体部とは別の部材であってもよい。また、本実施形態では、リブ部が二つ形成されているが、リブ部の数は一つであっても、三つ以上であってもよい。また、リブ部の幅は本実施形態のようなものには限られず、さらに幅が大きいものであってもよい。また、カバー部が、本体部に対して、両端(二箇所)で結合されている場合には、リブ部もまた、その両方の根元部分に配置されることが望ましい。
(雌端子)
次に、雌端子(コネクタ端子)41について説明する。二つの雌端子41は、二つの雄端子21に対して電気的に接続されるものであり、それぞれが角筒状に形成されている(図3、図14参照)。より具体的には、図3、図14に示すように、雌端子41は雄端子21を取り囲む外周壁部41wを有している。そして、角筒状に形成された雌端子41の内部には、板状の接触部41sが形成されている(図17参照)。そして、接続状態では、接触部41sが、雄端子21の接触部21sに対して接触する。接触部41sは、雌端子41の外周壁部41wと一体に形成されており、雄端子21との接続時には、その付け根部分において弾性的に曲げ変形して、雄端子21の接触部21sを外周壁部41wに対して押さえ付けるようにして接触部21sと接触する。また、外周壁部41wの先端部付近には、引っ掛り部41tが突出して形成されており、この部分には、ランス42qの先端部が引っ掛けられる。
また、掛け止め金具付きコネクタ7において、二つの雌端子41は、二つの支持台部42rによって支持される。また、それぞれの雌端子41は、電線64に対して接続されている。
また、本実施形態においては、電線64に対して、シールカバー65が取り付けられている(図2、図3、図14参照)。シールカバー65は、コネクタハウジング42の挿入孔42hに挿入され、これにより、掛け止め金具付きコネクタ7の気密性及び水密性が確保される。なお、シールカバー65はなくてもよい。
(掛け止め金具)
次に、掛け止め金具5について説明する。掛け止め金具5は、相手側ハウジング22とコネクタハウジング42との分離を抑止するためのものであり、一本の棒状部材を湾曲させて形成されている。より具体的には、掛け止め金具5は、コネクタハウジング42の本体部42bに対して取り付けられ、相手側ハウジング22と、コネクタハウジング42の本体部42bとの分離を抑止するように、相手側ハウジング22を弾性的に挟んで支持するものである。
掛け止め金具5は、直線状の中間支持部53と、中間支持部53の両端部から中間支持部53に対して垂直に伸びる一対の垂下部54と、一対の垂下部54から内側方向へ湾曲しつつ伸びるように形成された一対の傾斜部56と、その先に形成された湾曲部である一対の支持部51と、その先において、外側方向へ伸びるように形成された一対の先端部55と、を含んで形成されている(図15(b)参照)。本実施形態において、掛け止め金具5がコネクタハウジング42に取り付けられていない無負荷の状態での、一対の支持部51の間の距離をL1とする(図15(b)参照)。L3(図8(a)参照)の長さは、L1の長さより大きく、L2の長さは、L3の長さよりも大きい。すなわち、L1、L2及びL3の間には次のような関係が成立している。
L1<L3<L2 (1)
L1よりもL2が大きく、且つ、L3がL2よりも小さいために、接続動作に伴って弾性的に掛け止め金具5が元の状態に戻ることによりクリック感が得られる。また、L1よりもL3が大きいために、接続状態において、一対の支持受け部26は、元の状態へ弾性的に戻ろうとする力の作用で、一対の支持部51によって挟まれて支持されることになる。なお、L1、L2及びL3の間の関係は一例であり、このようなものには限られない。
そして、相手側コネクタ2に対して掛け止め金具付きコネクタ7が接続された接続状態では、相手側ハウジング22が一対の支持部51によって挟まれる。また、この接続状態において、一対の支持部51が、相手側ハウジング22に形成された一対の支持受け部26に対して引っ掛けられることになる。そして、この接続状態では、掛け止め金具5が相手側ハウジング22に対してロックされた状態となる。この状態を“ロック状態”とする。なお、ここで“ロック”とは、掛け止め金具5が相手側ハウジング22から離脱しないように、接続方向Gに関して手前側への、掛け止め金具5の移動が抑制されることである。そして、このロック状態では、相手側ハウジング22に対して、接続方向Gに関して手前側への、掛け止め金具付きコネクタ7の移動が抑制される。
掛け止め金具5は、金具本体部52(図15(b)の破線で囲まれた部分参照)において、同一平面上でその曲率が連続的に変化するように湾曲したC字形状を有している(図15(b)、並びに、図15(a)及び図15(c)参照)。ここで、金具本体部52は、一対の支持部51の間の中間部から成る。そして、本実施形態において、金具本体部52(すなわち、一対の支持部51の間の中間部)は、中間支持部53、一対の垂下部54、及び、一対の傾斜部56から成る。なお、掛け止め金具は、金具本体部において、同一平面上でその曲率が連続的に変化するように湾曲したU字形状を有していてもよい。
また、掛け止め金具5は、金具本体部52において、同一平面上でその曲率が連続的に変化するように湾曲したC字形状を有しており、その径の太さを変えることのみによって、その弾性的支持力を任意に設定できるように構成されている。
また、掛け止め金具5は、接続方向Gに垂直な平面(図3の平面J参照)上に位置するように、当該接続方向Gに垂直な方向に沿って取り付けられている。
なお、本実施形態において、掛け止め金具5は、一対の支持部51を含んで構成されているが、掛け止め金具は二対以上の支持部を有していてもよい。また、掛け止め金具は、相手側ハウジング22と第2ハウジングとの分離を抑止するように、相手側ハウジング22を弾性的に挟んで支持するものであればよく、掛け止め金具の形状は、本実施形態のようなものには限られない。例えば、金具本体部において、同一平面上で曲率が連続的に変化するように湾曲していなくてもよく、立体的な構造であってもよい。また、金具本体部の形状は、C字形状及びU字形状には限定されず、例えば、V字状、H字状等であってもよい。
(シールリング)
また、掛け止め金具付きコネクタ7は、上記したものの他、シールリング62を含む。シールリング62は、気密性、水密性を確保するための部材である。なお、シールリング62はなくてもよい。
(コネクタ)
次に、コネクタ4について説明する。コネクタ4は、相手側コネクタ2に対して電気的に接続されるものであって、二つの雌端子41と、当該二つの雌端子41を支持するコネクタハウジング42と、シールリング62とを有する。また、コネクタ4と掛け止め金具5とを組み合わせたものが、掛け止め金具付きコネクタ7に相当する。なお、図3において、矢印Cで示した方の範囲に含まれるのが、掛け止め金具5を除き、コネクタ4の構成部品である。
(接続時の動作について)
次に、電気コネクタ装置1の接続時の動作について説明する。最初の状態では掛け止め金具付きコネクタ7において、カバー状態になっているものとする。そして、電気コネクタ装置1の接続時には、掛け止め金具付きコネクタ7を、相手側コネクタ2に対して接続することになる。なお、電気コネクタ装置1の接続においては、例えば、掛け止め金具付きコネクタ7の二つの側壁部46を手で掴んで接続動作を行なう。コネクタハウジング42にはカバー部47が形成されているので、カバー部47に指が触れた状態で接続動作を行なったとしても、クリック感を阻害することがない。
まず、相手側コネクタ2と掛け止め金具付きコネクタ7とが接続を開始する接続開始時の状態について説明する。接続開始時においては、電気コネクタ装置1の接続動作に伴って、接続用傾斜面22sに対して、掛け止め金具5の先端部が接触し、この接続用傾斜面22sと接触しつつ、一対の支持部51の間が広げられる。この結果、掛け止め金具付きコネクタ7が、相手側コネクタ2の方向へ向かって、引っ掛ることなく円滑に移動することになる。
また、この接続開始時において、二つのガイド用突出部22vが二つのガイド溝42vに合うような向きで、掛け止め金具付きコネクタ7を相手側コネクタ2に対して接続することで、表裏逆の誤嵌合が防止される。
また、多少傾いた角度で両コネクタが接触したとしても、雄端子21の先端がチャンファ面81sに接触しながら両コネクタが接続することになるので、雄端子21はチャンファ面81sに沿って挿入孔81hの内部へ誘導される。
次に、接続動作中の状態について説明する。接続動作中においては、相手側ハウジング22の二つのガイド用突出部22vが、コネクタハウジング42の二つのガイド溝42vに嵌っており、また、相手側ハウジング22の二つの突出部22x、及び、二つのガイド用突出部22wが、コネクタハウジング42の二つのガイド溝42xに嵌っている状態となる。そのため、接続動作中においては、これらのガイド溝に沿って、すなわち接続方向Gに沿って、掛け止め金具付きコネクタ7が、相手側コネクタ2に対して押し込まれる。
また、電気コネクタ装置1の接続動作に伴い、支持部51が、接続用傾斜面22s、及び、突出部22xに対して接触しつつ、さらに奥へ押し込まれると、掛け止め金具5は、一対の支持部51の間の距離が大きくなるように変形する。ここで、一対の支持部51が、突出部22xの先端部に位置している状態においては、一対の支持部51の間の距離は最大のL2となる。この状態から、さらに掛け止め金具付きコネクタ7を押し込むと、一対の支持部51は、一対の支持受け部26としての傾斜面の方へ移動する。このときに、弾性変形していた掛け止め金具5が元の形状へ戻ろうとすることで、支持部51は突出部22xを超え、支持受け部26としての傾斜面に沿って移動する。
より詳細には、(A)接続完了状態の直前において、一対の支持部51の間の距離(この距離をLsとする)が、L1(図15(b)参照)よりも大きくなっており、且つ、(B)接続完了状態において、一対の支持部51の間の距離(この距離をLeとする)がLsよりも小さくなる。すなわち、次のような関係が成立している。
L1<Ls (2)
Le<Ls (3)
このため、一旦変形していた掛け止め金具5が弾性的に元の状態へ戻ることになるので、接続完了時にクリック感が得られる。特に、本実施形態においては、次のような関係が成立している。
Ls=L2 (4)
以上のように、電気コネクタ装置1の接続動作に伴って、掛け止め金具5が一旦変形した後、弾性的に元の状態へ戻ることによって、クリック感が得られる。すなわち、支持部51が、山なりの突出部22xを超えたときに、弾性変形状態から元の状態へ戻ろうとする掛け止め金具5の動きが許容されることにより、クリック感が得られる。そして、このクリック感により、作業者は、一対のコネクタが正常に接続したことを確認できる。
次に、相手側コネクタ2に対して掛け止め金具付きコネクタ7が接続された接続状態について説明する。この状態では、嵌入部23が開口部43に嵌入され、一方で、リテーナ部材8、端子支持部42o及び二つの雌端子41は、相手側ハウジング22の嵌入部23の内部空間23vへと挿入される。この状態においては、一対のコネクタは互いに接続され、雄端子21及び雌端子41が電気的に接続される。
また、この接続状態において、挿入用凹部22jに、振動防止用リブ部42kが挿入された状態になる。そして、嵌入部23の四つのリブ部24が四つの凹部44に嵌り込み、且つ、四つの追加リブ部45は、嵌入部23に形成された四つの追加凹部25に対して嵌り込む。
また、接続状態において、相手側ハウジング22が一対の支持部51によって挟まれ、且つ、一対の支持部51が、相手側ハウジング22に形成された一対の支持受け部26に対して引っ掛けられる。その結果、相手側ハウジング22を弾性的に挟んで支持する掛け止め金具5が、一対のコネクタの分離を抑止する(ロック状態)。以下、ロック状態について、より具体的に説明する。接続状態においては、掛け止め金具5の一対の支持部51のそれぞれは、支持受け部26としての傾斜面に対して密着しつつ引っ掛けられることになる。また、接続状態において、一対の支持部51は、突出部22xの先端部と、外面部23sの外表面との間の中間部において、支持受け部26に対して引っ掛けられる。そして、掛け止め金具5は、接続方向Gに関して、突出部22xの奥側に引っ掛けられることになる。そのため、相手側ハウジング22から、掛け止め金具5が、接続方向に関して手前側へ離脱することが防止される。
このように、コネクタハウジング42に掛け止め金具5が取り付けられた状態で、相手側コネクタ2と掛け止め金具付きコネクタ7とが接続状態にあるときには、掛け止め金具5は、取り付け位置(一対の支持受け部26に一対の支持部51が引っ掛けられた位置)に位置することになる。接続状態であって、且つ、掛け止め金具5が取り付け位置にある状態を、特に“接続完了状態”とする(図1、図2、図4〜図7の状態)。
次に、相手側コネクタ2と掛け止め金具付きコネクタ7との分離動作について説明する。分離動作を行なうには、ロック状態を解除する必要がある。電気コネクタ装置1においては、掛け止め金具5が取り付け位置にあるときに、カバー部47を指等で押すと、掛け止め金具5がさらに取り付け方向に関して奥側へ押し込まれ、一対の解除用傾斜面42pと一対の支持部51とが接触しつつ、一対の支持部51が互いに外側へ広がり、ロック解除状態となる。電気コネクタ装置1においては、このようにして、掛け止め金具5によるロックを解除するロック解除動作を簡単に行なうことができる。そして、ロック解除の後は、(カバー部47を押した状態で)掛け止め金具付きコネクタ7を引き抜くことにより、両コネクタを分離できる。
なお、本実施形態においては、支持受け部26が突出部22xの傾斜面として形成されているが、支持受け部は、本実施形態のようなものには限られない。支持受け部は、例えば、傾斜面ではなく、外面部23sの表面に対して垂直に形成されていてもよい。また、突出部の奥側の面を支持受け部とするのではなく、ハウジング本体部に溝を形成し、その部分を支持受け部としてもよい。いずれにしても、上記の式(2)、(3)の関係を満たすように支持受け部を構成することにより、接続完了時にクリック感が得られる。
(リテーナ部材のスライド動作について)
ここで、コネクタハウジング42における、リテーナ部材8のスライド動作について説明する。リテーナ部材8は接続方向Gに沿って本体部42bに挿入された後、本体部42bに対して、スライド方向(方向H)に関して、初期位置と、第1の位置と、第2の位置との間で移動可能な状態となる。より具体的には、図19〜図24により説明できる。図19〜図24は、掛け止め金具付きコネクタハウジング3において、スライドさせたリテーナ部材8の各状態を示しており、図19及び図22が初期位置を示し、図20及び図23が第1の位置を示し、図21及び図24が第2の位置を示している。これらの図に示すように、コネクタハウジング42へ挿入された後のリテーナ部材8は、スライド方向に移動可能となる。
(掛け止め金具付きコネクタの組み立てについて)
次に、掛け止め金具付きコネクタ7の組み立てについて説明する。なお、二つ設けられている部材(雌端子41、ランス42qなど)については、互いに同様の構成を有するので、一方のみについて説明し、他方についての説明を適宜省略する。
(取り付け工程)
まず、コネクタハウジング42に対して、掛け止め金具5及びシールリング62を取り付ける(取り付け工程)。
(カバー工程)
次に、起立したカバー部47を倒して、カバー状態にする(カバー工程)。
(挿入工程)
次に、本体部42bの開口部43に対して、リテーナ部材8を、接続方向Gに沿って挿入する(図19、図22参照。挿入工程)。この接続方向Gに関する挿入が完了した状態における、リテーナ部材8の位置が初期位置となる。このとき、図22に示すように、端子支持部42oの両側部において、リテーナ部材8の第1突出部84mと第2突出部84nとの間に、本体部42bの第1レール状凸部42mが挟まれた状態で、接続方向Gに沿うようにガイドされながら、リテーナ部材8が挿入される(図22参照)。また、この挿入時には、溝部42gに、第2突出部84nが入り込んだ状態になっている。
(第1スライド工程)
次に、初期位置のリテーナ部材8を、スライド方向に沿って奥側へ押し込むと、リテーナ部材8は、第1の位置(仮固定位置)へ移動する(図20、図23参照。第1スライド工程)。このスライド動作については、例えば、治具挿入孔47g及びサイド孔42fを通して棒状治具等を挿入し、この治具でリテーナ部材8を押して、リテーナ部材8をスライド方向に沿って移動させることによって行なう。これ以外にも、開口部43から治具を挿入して、リテーナ部材8を押し下げることにより、リテーナ部材8をスライドさせてもよい。
初期位置から第1の位置へリテーナ部材8をスライド移動させると、リテーナ部材8の二つの側壁部84が外側へ撓んで、第1突出部84mが第1レール状凸部42mを乗り越える。そして、第1の位置の状態では、図23に示すように、端子支持部42oの両側部において、リテーナ部材8の第1突出部84mと第2突出部84nとが、本体部42bの溝部42gに嵌った状態となる。リテーナ部材8が第1の位置で仮固定された状態となっているので、例えば、この状態(図20及び図23の状態)のまま、メーカーから組み立て業者へ出荷し、端子の挿入以降は、組み立て業者が行なってもよい。
(端子挿入工程)
次に、本体部42bの二つの挿入孔42hへ、二つの雌端子41を挿入する(端子挿入工程)。この挿入時には、ランス42qにおいて、雌端子41側に突出形成された接触部42c(図20参照)に、雌端子41の引っ掛り部41tが接触して、ランス42qを、図20(図17)の上方向に撓ませながら、雌端子41は本体部42b内部へ進入する。そして、雌端子41が奥まで挿入されると、ランス42qが弾性的に元の状態に戻って、引っ掛り部41tの、接続方向手前側に、接触部42cが配置された状態になる。そのため、ランス42qによって、接続方向手前側への、雌端子41の移動が抑制される(これをラッチ状態とする)。
端子挿入工程において、雌端子41が最終取り付け位置まで挿入されると、接続方向Gに関する、外周壁部41wの端部の位置は、制限部48bの位置にほぼ一致する(図17参照)。そのため、雌端子41が最終取り付け位置まで挿入されると、陥入部48gが遮断されず、保持部82を陥入部48gに挿入できる状態となる。
(第2スライド工程)
次に、第1の位置のリテーナ部材8を、スライド方向に沿ってさらに奥側に押し込むと、リテーナ部材8は、第2の位置へ移動する(図2、図13、図17、図18参照。第2スライド工程)。この状態では、図18及び図24に示すように、端子支持部42oの両側部において、リテーナ部材8の第1突出部84mと第2突出部84nとの間に、本体部42bの第2レール状凸部42nが挟まれる。また、この挿入時には、溝部42gに、第1突出部84mが入り込んだ状態になっている。なお、リテーナ部材8が第2の位置にあるときに、“取り付け完了状態”となる。以上のようにして、掛け止め金具付きコネクタ7の組み立てが完了する(図17、図18参照)。
第1の位置から第2の位置へリテーナ部材8をスライド移動させると、リテーナ部材8の二つの側壁部84が外側へ撓んで、第2突出部84nが第2レール状凸部42nを乗り越える。そして、この第2の位置では、挿入孔81hを通して雌端子41に雄端子21を挿入できる状態となる(図2、図17参照)。また、第2の位置では、ランス42qと雌端子41とのラッチ部分が、フロントカバー部81によって遮蔽される(図17参照)。
この第2スライド工程が完了すると、リテーナ部材8の端子押さえ部83tによって、雌端子41が支持台部42rに対して押し付けられる(図17参照)。そのため、スライド方向(図17における上下方向)に関して、端子押さえ部83t及び支持台部42rと、雌端子41との間の隙間がほぼなくなる。一方、図18における左右方向に関する、雌端子41とその周辺部材(端子支持部42o)との間の隙間については、端子挿入工程における雌端子41の滑らかな挿入を妨げない程度の大きさが確保されている。なお、本実施形態において、雌端子41の(図17、図18における)上下方向に関して、雌端子とその周辺部材との間の隙間は微小なものであるが、この隙間の大きさは(図18における)左右方向に関する隙間の大きさと同様であってもよい。
また、この第2スライド工程が完了すると、リテーナ部材8のランス押さえ部83qによって、雌端子41から離れる方向へのランス42qの撓み変形が防止される(図17参照)。これにより、雌端子41に対するランス42qによるラッチの解除が防止される。
また、端子挿入工程において、本体部42bに対する雌端子41の取り付けが完了していない場合(雌端子41が最終取り付け位置まで挿入されていない場合)には、陥入部48gを遮断するように、雌端子41の外周壁部41wが配置された状態になる。そのため、この場合には、第1の位置から第2の位置へリテーナ部材8を押し込もうとしても、リテーナ部材8の保持部82が雌端子41の外周壁部41wに接触して、スライド動作が妨げられるために、第2の位置へ移動できない。そのため、本体部42bに対するリテーナ部材8の取り付けが完了しない。一方、本体部42bに対する雌端子41の取り付けが完了していると、スライド動作において、保持部82は、本体部42bの陥入部48gへと挿入されるので、本体部42bに対するリテーナ部材8の取り付けを完了できる。
以下、取り付け完了状態におけるリテーナ部材8及び雌端子41の状態について、さらに説明する。まず、リテーナ部材8は、突き当たり部48c及び突き当たり部48dの二箇所により、接続方向手前側への移動を制限される。また、保持部82と制限部48bとが接続方向Gに関して対向して配置されることによって、接続方向Gに関して奥側へのリテーナ部材8の移動が制限される。また、雌端子41は、ランス42q及び保持部82によって接続方向手前側への移動を制限される。また、雌端子41は、フロントカバー部81によって、接続方向奥側への移動を制限される。
なお、取り付け完了状態において、端子押さえ部83tと雌端子41とは、密着した状態になっていてもよいし、これらの間にわずかな隙間がある状態になっていてもよい。また、取り付け完了状態において、ランス押さえ部83qと、ランス42qとは、密着した状態になっていてもよいし、これらの間にわずかな隙間がある状態になっていてもよい。また、取り付け完了状態において、引っ掛り部41tとランス42qとは、密着した状態になっていてもよいし、これらの間にわずかな隙間がある状態になっていてもよい。
(掛け止め金具付きコネクタの分解について)
次に、掛け止め金具付きコネクタ7の分解について説明する。なお、二つ設けられている部材(雌端子41、ランス42qなど)については、互いに同様の構成を有するので、一方のみについて説明し、他方についての説明を適宜省略する。
分解時には、第2の位置にあるリテーナ部材8を、治具等により第1の位置に移動させる。例えば、開口部43のうち、フロントカバー部81の下方の空間に、治具を挿入し(図17の矢印R参照)、フロントカバー部81を図17の下方から上方へ向けて押し上げることにより、リテーナ部材8を第1の位置へ移動させる。その他、治具挿入孔47g及びサイド孔42fを通して鉤状治具を挿入し、この治具をリテーナ部材8に引っ掛けて、リテーナ部材8をスライド方向に沿って引き上げてもよい。
図20は、雌端子41が挿入されていない状態を示しており、図20から、フロントカバー部81によって、雌端子41が挿入される挿入孔42hが、接続方向Gに関して遮蔽されていることが分かる。すなわち、掛け止め金具付きコネクタ7の分解時において、この第1の位置では、雌端子41がフロントカバー部81によって遮蔽された状態となる。
また、第1の位置では、ランス42qと雌端子41とのラッチ部分に、挿入孔81hを通して、ラッチ解除用治具を挿入できる状態となる。図20は、雌端子41が挿入されていない状態を示している。そして、図20及び図17から分かるように、本体部42bに雌端子41が挿入されている状態で、且つ、リテーナ部材8が第1の位置にあると、挿入孔81hを通して、ランス42qと雌端子41とのラッチ部分(ランス42qと引っ掛り部41tとが引っ掛り合っている部分。図17参照)に、ラッチ解除用治具(マイナスドライバー等の棒状治具)を挿入できるようになる。そして、ランス42qと引っ掛り部41tとの間にラッチ解除用治具を挿入して、ランス42qを図20の上方向へ撓ませると、ラッチ状態が解除されて、雌端子41を引き抜くことができる。このようにして、例えば破損等により使用できなくなった雌端子41を交換することができる。一方、上記のように、第1の位置の状態では、雌端子41がフロントカバー部81によって遮蔽された状態となるので、ラッチ解除用治具を、誤って雌端子41の内部へ挿入してしまうことがない。
そして、その後、リテーナ部材8を初期位置に移動すれば、リテーナ部材8は、接続方向Gに沿って取り出せる状態となる。以上のようにして、掛け止め金具付きコネクタ7を分解し、雌端子41及びリテーナ部材8をコネクタハウジング42から取り外すことが可能となる。
(効果)
次に、本実施形態に係る掛け止め金具付きコネクタハウジング3の効果について説明する。本実施形態に係る掛け止め金具付きコネクタハウジング3は、互いに接続される一対のコネクタ(掛け止め金具付きコネクタ7及び相手側コネクタ2)の一方において用いられるものであって、相手側コネクタ2の二つの雄端子(相手側端子)21に対して電気的に接続される二つの雌端子(コネクタ端子)41を支持するために用いられ、当該相手側コネクタ2の相手側ハウジング22に対して接続される本体部42bと、本体部42bに取り付けられ、本体部42bと相手側ハウジング22との分離を抑止するように、相手側ハウジング22を弾性的に挟んで支持する掛け止め金具5と、本体部42bから伸びるように形成され、掛け止め金具5の一部を覆う板状のカバー部47と、本体部42bから突出するように形成され、カバー部47の根元部分に配置された二つのリブ部49と、を備える。掛け止め金具5は一対の支持部51を含んで形成されており、カバー部47は、掛け止め金具5に接するカバー本体部47bと、当該カバー本体部47bを本体部42bに対して連結するカバー連結部47cと、を有する。相手側コネクタ2に対して接続された接続状態では、相手側ハウジング22が一対の支持部51によって挟まれ、且つ、相手側ハウジング22に形成された一対の支持受け部26に対して一対の支持部51が引っ掛けられることにより、掛け止め金具5が相手側ハウジング22に対してロックされたロック状態となる。また、カバー部47が掛け止め金具5の一部を覆っている状態において、カバー部47が本体部42bに向かって押し込まれると、一対の支持部51が、本体部42bに接触しつつ互いに外側へ広がって、掛け止め金具5によるロック状態が解除され、カバー本体部47bが本体部42bに向かって押された場合に、カバー連結部47cは、当該リブ部49の表面に形成されたガイド部49sの形状に沿って湾曲変形する。
この構成では、掛け止め金具5により、接続された両コネクタの分離が抑止される。そして、板状のカバー部47があるために、接続時に、どのような持ち方をしても、明瞭なクリック感が得られ、確実に接続確認ができる。また、カバー部47を押し込むという簡易な操作により、掛け止め金具5によるロック状態が解除され、両コネクタが自由に分離できる状態になる。そして、カバー部47は板状に形成されているため、指に痛みを伴うことなく、楽にロック解除動作ができる。
そして、カバー本体部47bが本体部42bに向かって押し込まれたときに、カバー連結部47cが、リブ部49の表面に形成されたガイド部49sの形状に沿って湾曲変形する。そのため、ガイド部49sの形状を適切に設定することにより、カバー連結部47cの変形後の形状を、理想的な湾曲形状とすることができる。また、本体部42bにリブ部49を配置するという簡易な構成によって、繰り返しカバーの開閉動作を行なった場合であっても、カバー部47が折れにくくなる。以上のように、本構成の掛け止め金具付きコネクタハウジングは、簡易な構成でありながら、カバー部が折れにくいために長期間使用できる。
(変形例)
次に、上記の実施形態に係るリブ部の変形例について、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図26は、変形例にかかるリブ部の形状を示す側面視概略図であり、(a)は第1変形例を、(b)は第2変形例を、(c)は第3変形例を、(d)は第4変形例を示す。
まず、第1変形例にかかるリブ部149においては、ガイド部149sの形状は上記のガイド部49sとほぼ同様であるが、リブ部の接続方向に関する長さがより長くなっている(図26(a)参照)。このように、リブ部の長さは長いものであってもよい。また、このような形状にすると、図25の(c)の状態のカバー部47により近い形状となるため、カバー部の湾曲変形をさらに自然なものとすることができる。
また、第2変形例にかかるリブ部249においては、ガイド部249sの形状は、上記のガイド部49sとほぼ同様であるが、ガイド部249sの長さが、カバー連結部47cの長さ分しかなく、上記のガイド部49sに比べて短くなっている。このように、ガイド部の長さは短くてもよい。
また、第3変形例にかかるリブ部349においては、ガイド部349sの表面に、複数の溝部349dが形成されている。そして、このような複数の溝部349dが形成されていても、カバー連結部47cの湾曲変形のガイドとして機能するだけの表面積が確保されている。リブ部はこのように形成されていてもよい。
また、第4変形例にかかるリブ部449においては、側面視において、ガイド部449sの輪郭線が、円弧状ではなく、直線を連結した多角形状になっている。リブ部はこのように形成されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲内において様々に変更して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、電気コネクタ装置が電力供給のための機器用コネクタとして用いられているが、電気的信号の送受信のための機器用コネクタとして用いられてもよい。また、電気コネクタ装置は、機器用以外の用途(例えば、中継用、基板用)に用いられてもよい。
また、上記の実施形態では、嵌入部23の外面部23sに四つのリブ部24が、開口部43の内面部43sに四つの凹部44が形成されているが、リブ部及び凹部の数は四つには限定されない。
また、電気コネクタ装置は、固定された相手側コネクタにコネクタを接続するようなものには限られず、固定されたコネクタに対して相手側コネクタを接続するようなものであってもよい。
また、嵌入部の形状は、上記以外の形状であってもよい。例えば、嵌入部は、その断面が三角形、五角形等の多角形状となった筒状、又は、円筒状に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態においては、カバー状態において、掛け止め金具5とカバー部47とが接触するように構成されているが、これらが接触しないように構成されていてもよい。また、上記の実施形態のように、掛け止め金具5とカバー部47とが接触する場合においては、ロック動作時のクリック感が得られるように、掛け止め金具5、並びに、カバー部47及び本体部42bの間には、掛け止め金具5の弾性変形状態からの回復変形を妨げずにそれを許容する程度の、遊び部分が必要となる。
また、接続用傾斜面22sはなくてもよい。また、ガイド用突出部22w、ガイド用突出部22v、ガイド溝42x、及びガイド溝42vはなくてもよい。さらに、側面凹部27はなくてもよい。また、治具挿入孔47gはなくてもよい。
また、リテーナ部材8において、振動防止用リブ部42k及びリブ挿入孔81kはなくてもよい。
また、上記の実施形態における端子形状は一例であり、端子の形状は、上記の実施形態のようなものには限定されない。例えば、雌端子の形状は角筒状には限られず、円筒状であってもよいし、断面が三角形、五角形であってもよい。また、上記の実施形態とは逆に、相手側端子に対してコネクタ端子が挿入されるように構成されていてもよい。すなわち、相手側端子が雌端子で、コネクタ端子が雄端子であってもよい。
なお、上記の実施形態においては、掛け止め金具5の取り付け方向と、スライド方向とがたまたま一致しているが、これらが同じ方向である必要はない。
また、上記の実施形態において、掛け止め金具5は、一本の棒状部材を湾曲させて形成しているが、このようなものには限られず、例えば、板状部材を曲げて形成したものであってもよい。
また、上記の実施形態において、コネクタハウジング42は合成樹脂材料から成るが、強度向上のために、合成樹脂材料にはガラスが含まれていてもよい。