JP2010014945A - トナー - Google Patents

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一比古 中島
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Abstract

【課題】多数枚プリントしても安定した帯電量が維持でき、画像濃度の低下、かぶりの発生が無く、継続して高品質のプリント画像が得られるトナーの提供。
【解決手段】結着樹脂、着色剤及び離型剤を有するトナー母体粒子と外添剤を含むトナーにおいて、該トナーがその粒子表面に直径0.3〜1.3μmのくぼみを平均2〜20個有し、該外添剤として、粒径の異なる2種以上の外添剤を有していることを特徴とするトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真画像形成に用いられるトナーに関する。
近年、高速で大量プリントを行う画像形成装置が開発されている。この画像形成装置には省エネルギーで、高品質のプリント画像を継続して得られることが望まれている。
高速画像形成装置で省エネルギー、高品質のプリント画像を継続して得ようとすると、トナーのTgを低くし、粒径の細かいトナーを用いることが行われている。トナーのTgを低くするとトナー粒子の表面が柔らかくなり、大量プリント(多数枚プリント)を行うとトナー粒子表面に付着していた外添剤がトナー粒子中に埋没し、安定した帯電量を維持することできず、高品質のプリントを継続して得ることは困難であった。
継続して高品質のプリントを得るため、外添剤の工夫が開示されている。
低温定着が可能で継続して高品質のプリントを得るため、トナーの粒子構造(例えば、コア・シェル構造)に工夫を施す検討がされている。
又、現在、画像のフルカラー化が進んでおり、それに伴って多種多様な印字パターンに対応することが望まれている。例えばオフィスでは全色を用いる写真画像のようなものより、黒の文字画像に少量のカラー部分が入るというような画像ニーズが高い。このような場合には、ある色は高印字率でトナーが多量消費されていくのに対し、印字率の低い色はトナーが低消費の状態で、現像機内で長時間撹拌されることにより、外添剤の埋没による現像剤の劣化が生じる。特に低Tg化したトナーにおいては樹脂の柔らかさゆえに外添剤の埋没が発生しやすく、その結果トナーが凝集したり弱帯電トナーが発生したり、ハーフトーン画像の画像荒れやかぶりといった画像欠陥を引き起こす。
トナーの凝集を防止する手段としては、大径外添剤の添加や高Tgシェルのコア・シェルトナーを用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
又、外添剤埋没防止手段としては、粒径差のある複数種の無機粒子(例えば、大径外添剤と小径外添剤)を用いて、大径外添剤にスペーサー機能を持たせて現像性や転写性の安定化を図る技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−175025号公報 特開2006−39023号公報
しかしながら、上記で開示されたトナーを用いても、高速の画像形成装置で多彩な印字率の原稿をプリントする条件、特に印字率が低く現像機内にトナーが長時間滞留するプリント条件では、トナー粒子に外圧がかかり、外添剤がトナー母体粒子中に埋没したり、或いは、トナー母体粒子表面から離脱したりして、トナーの帯電性量を一定に保持できなくなるという現象が発生していた。その結果、画像濃度が低下したりかぶりが発生したりするという問題が発生していた。
本発明は、多数枚プリントしても安定した帯電量が維持でき、画像濃度の低下、かぶりの発生が無く、継続して高品質のプリント画像が得られるトナーを提供することにある。
本発明は、下記構成を採ることにより達成される。
1.結着樹脂、着色剤及び離型剤を有するトナー母体粒子と外添剤を含むトナーにおいて、
該トナーがその粒子表面に直径0.3〜1.3μmのくぼみを平均2〜20個有し、
該外添剤として、粒径の異なる2種以上の外添剤を有していることを特徴とするトナー。
2.前記外添剤は、数平均一次粒径10〜60nmのものと数平均一次粒径80nm〜1μmのものとであることを特徴とする前記1に記載のトナー。
3.前記くぼみの深さは、0.3〜1.5μmであることを特徴とする前記1に記載のトナー。
本発明のトナーは、多数枚プリントしても安定した帯電量が維持でき、画像濃度の低下、かぶりの発生が無く、継続して高品質のプリント画像が得られる優れた効果を有する。
高速画像形成装置の低消費電力化に伴い、低温定着可能なトナーの開発が進められている。この低温定着可能なトナーを用いて多数枚プリントを行うと、トナー粒子の表面に付着されている外添剤が粒子中に埋没したり飛散したりして減少し、安定した帯電量が維持できなくなり、画像濃度の低下やかぶりが発生し問題となっていた。
本発明者等は、低温定着可能なトナーを用いて多数枚プリントしても、帯電量を安定に継続でき、高品質のプリント画像を継続して得られるトナーについて検討を行った。
種々検討の結果、トナー粒子の表面に特定の大きさのくぼみを特定数有するトナー母体粒子に特定の粒径を有する外添剤を2種類以上混合して形成したトナーは、多数枚プリントしても安定した帯電量を確保できることを見出した。
これは、トナー粒子の表面に形成されたくぼみの中に捕獲された外添剤が、プリントの進行と共にトナーの粒子のくぼみから掃き出され、掃き出された外添剤がトナーの粒子表面に補給されてトナーの粒子表面に付着され、トナーの粒子表面には常に一定量の外添剤が付着されることにより達成されたものと推察している。
本発明のトナーは、高速の画像形成装置用いて低温定着を可能にするため、ガラス転移点が20〜50℃のものが好ましく、30〜45℃のものがより好ましい。
トナーのガラス転移温度は、「DSC−7示差走査カロリメーター」(パーキンエルマー製)、「TAC7/DX熱分析装置コントローラー」(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。
本発明のトナーは、粒子表面に直径0.3〜1.3μmのくぼみを平均2〜20個有するもので、くぼみの深さは0.3〜1.5μmのものが好ましい。
上記直径のくぼみを上記の個数有するトナーは、プリント時に受けるストレスでトナーの形状が変形せず、くぼみに外添剤を捕獲することができる。
また、本発明のトナーは、粒径の異なる2種以上の外添剤を有し、その粒径が数平均一次粒径10〜60nmのもの(以下、小径外添剤ともいう)と数平均一次粒径80nm〜1μmのもの(以下、大径外添剤ともいう)とであることが好ましい。
小径外添剤を添加することにより現像剤の良好な帯電特性が得られ、大径外添剤を添加することにより良好な流動性と転写性が得られる。
本発明のトナーの数基準におけるメディアン径(D50)は、3〜8μmのものが好ましい。数基準におけるメディアン径(D50)がこの範囲のトナーを用いると、高画質(例えば、高解像力、ハーフトーン画像の再現性)が得られる。
トナーの数基準におけるメディアン径(D50)は、コールターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマンコールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出して求める。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、粒子表面にくぼみを有するトナー粒子の一例を示す概略図である。
図1において、1はトナー粒子、2はトナー母体粒子、3は外添剤、4はくぼみ示す。
本発明のトナー(トナー粒子)は、図1の(a)に示すように、トナー母体粒子の表面にはくぼみを有するもので、このトナー母体粒子に外添剤を添加、混合すると、外添剤はトナー母体粒子の表面に付着された状態と、くぼみに捕獲された状態で存在する。
このトナーを用いてプリントを行うと、図1の(b)に示すようにトナー母体粒子の表面に付着した外添剤はトナー母体粒子中に埋没したり飛散したりして表面に付着している外添剤は少なくなる。
そこで、図1の(c)に示すように、くぼみに捕獲されていた外添剤がくぼみから排出されてトナー母体粒子表面に付着し、埋没したり飛散したりして不足した分を補充する。
本発明のトナーは、多数枚プリントを行っても、外添剤がトナー粒子の表面常に一定量付着されていることにより、トナーの帯電量を一定に保つことができると推察される。
尚、本発明において、トナーとはトナー粒子の総称、トナー粒子とはトナー母体粒子に外添剤を付着して得られたものをいう。
先ず、トナー粒子の表面に形成されたくぼみの数、径及び深さの測定について説明する。
《くぼみの数、径及び深さの測定》
トナー粒子の表面に形成されたくぼみの径、数及び深さとは、トナー粒子を3000倍に拡大した写真を撮影し、ランダムに300個のトナー粒子を選び、写真から確認できるくぼみの数、径及び深さである。
具体的には、くぼみの数、数及び深さは、トナー粒子を特開2003−121333に記載の方法より測定し、観察される面に存在するくぼみの径、数及び深さから求めた値の平均である。
本発明においては、測定に走査型プローブ顕微鏡(SPM)が用いられる。以下にその概要を説明する。
走査型プローブ顕微鏡とは、プローブと試料間に働く相互作用力(トンネル電流・原子間力・電磁気力など)を検出し、微小領域の表面形状観察や物性分析を行う顕微鏡の総称である。
具体的には、セイコーインスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡システムSPI3800N及び多機能型ユニットSPA400を用いて、コンタクトAFM或いはダイナミックフォースモードにより表面形状を測定する。
先ず、粒子の表面にくぼみを形成する工程について説明する。
《粒子の表面にくぼみを形成する工程》
トナー粒子の表面のくぼみは、円形度調整時にキャビテーションによって発生するサブミクロンオーダーの泡が凝集・融着過程の粒子表面に吸着し、その泡が吸着したまま円形度調整が進み、一定時間が経つと泡が外れ、泡が外れた部分に形成されると推察している。
具体的に、粒子の表面にくぼみを形成する工程について説明する。
トナー母体粒子を作製する段階で、
1.凝集・融着工程後、粒子の円形度調整時に高速で撹拌を行う
2.高速撹拌時に、キャビテーションによりサブミクロンオーダーの泡が発生する
3.このサブミクロンオーダーの泡が粒子表面に付着し、粒子表面に取り込まれる
4.その後冷却すると、取り込まれた気泡が粒子表面から飛び出す
5.気泡が飛び出した跡が、くぼみとなる。
尚、くぼみの径、数及び深さは、トナー粒子のTg、円形度調整時の温度、撹拌条件(例えば、撹拌速度)、円形度調整時の温度から常温まで冷却する時間等により調整することができる。
次に、本発明で用いる外添剤について説明する。
《外添剤》
本発明のトナーは、粒径の異なる2種以上の外添剤を含有している。具体的には粒径が数平均一次粒径10〜60nmの外添剤と数平均一次粒径80nm〜1μmの外添剤とを含有していることが好ましい。
数平均一次粒径10〜60nmの外添剤は、外添剤処理でトナー粒子の表面に形成されたくぼみの中に捕獲されやすい。
外添剤としては公知の無機微粒子や有機微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、チタン酸ストロンチウム粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。
有機微粒子としては、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、スチレン−メチルメタクリレート共重合体粒子などの重合体を使用することができる。
次に、トナーの製造について説明する。
《トナーの製造》
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー母体粒子に、粒径の異なる少なくとも2種類以上の外添剤を混合して作製することができる。
トナーの製造方法としては、特に限定されるものではないが、乳化会合法による方法が好ましく用いられる。特にミニエマルジョン重合粒子を乳化重合によって多段重合構成とした樹脂粒子を会合(凝集・融着)してトナー母体粒子を作製し、このトナー母体粒子に外添剤を添加して作製する方法が好ましい。
以下、ミニエマルジョン重合会合法によるトナーの作製方法の一例について詳細に説明する。このトナーの作製方法では、以下の工程を経て作製される。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)離型剤を溶解/分散させた重合性単量体溶液を溶液媒体中で液滴化し、ミニエマルジョン重合して樹脂粒子の分散液を調製する重合工程
(3)溶液媒体中に着色剤を分散させる着色剤分散工程
(4)溶液媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を会合させて会合粒子を得る凝集・融着工程
(5)上記「粒子の表面にくぼみを形成する工程」に記載のくぼみを有するトナー母体粒子の形成工程
(6)トナー母体粒子の分散液から当該トナー母体粒子を固液分離し、当該トナー母体から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(7)洗浄処理されたトナー母体粒子を、乾燥する乾燥工程
(8)乾燥処理されたトナー母体粒子に、外添剤を添加する工程
以下、各工程について説明する。
(1)〔溶解/分散工程〕
この工程は、ラジカル重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散させて、当該離型剤のラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)〔重合工程〕
この重合工程の好適な一例においては、界面活性剤を含有した溶液媒体中に、前記離型剤を溶解或いは分散したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記溶液媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。
この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。この樹脂粒子は、着色された粒子であっても良く、着色されていない粒子であっても良い。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させることトナー母体粒子とすることができる。
(3)〔着色剤粒子の分散工程〕
この工程は、界面活性剤を含有する溶液媒体中に着色剤粒子を添加し、分散装置を用いて着色剤粒子を溶液媒体中に分散させる工程である。
着色剤粒子を分散する工程に用いられる分散装置としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。好ましい分散装置としては超音波分散機、機械的ホモジナイザー、アントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機等を挙げることができる。
尚、着色剤は表面改質されていても良い。着色剤の表面改質法は溶媒中に着色剤粒子を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応修了後、着色剤粒子を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤が得られる。
トナー製造工程時、溶液媒体中に分散された着色剤の平均分散径が2〜300nmであることが好ましく、2〜200nmであることがより好ましい。着色剤の平均分散径は、界面活性剤の量、分散装置の回転数、分散時間等により制御することができる。
(4)〔凝集・融着工程〕
凝集工程は、重合工程により得られた樹脂粒子と着色剤粒子を用いてトナー母体粒子を形成する工程である。又、当該凝集工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども凝集させることができる。
好ましい凝集方法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記離型剤の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を行う方法である。
(5)〔くぼみを有するトナー母体粒子の形成工程〕
くぼみ形成は、高速撹拌後、冷却することにより行う方法が好ましい。具体的には、「粒子の表面にくぼみを形成する工程」で述べた方法である。
尚、冷却方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)〔洗浄工程〕
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体粒子の分散液から当該トナー母体粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー母体粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの固着物、熟成工程で用いたアルカリ剤を除去する洗浄処理とが施される。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(7)〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー母体粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理しても良い。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)〔トナー母体粒子に外添剤を混合する工程〕
この工程は、トナー母体粒子に2種以上の外添剤を混合してトナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
尚、本発明で用いられる2種類以上の外添剤は、トナー母体粒子に同時に2種類以上の外添剤を添加して混合しても、別個に添加して混合してもよいが、大径外添剤によるスペーサー効果を得るために、大径外添剤のみトナー母体粒子と先に混合処理し付着させ、その後に小径粒子を混合処理する方法が好ましい。
(外添剤の混合方法)
大径外添剤のみトナー母体粒子と先に混合処理し付着させ、その後に小径粒子を混合処理する方法について説明する。
この方法は、トナー母体粒子中に大径外添剤を最初に添加(付着化第一工程)し、トナー母体粒子表面に大径外添剤を付着化した後、小径外添剤を添加(付着化第二工程)し、トナー母体粒子表面に小径外添剤を付着させる。
付着化第一工程:トナー母体粒子中に大径外添剤を添加後、混合時間を長く或いは混合速度(撹拌速度)を速くして、トナー母体粒子表面に大径外添剤を付着させる。
付着化第二工程:小径外添剤の混合は、混合速度(撹拌速度)を遅くして、トナー母体粒子表面に小径外添剤を付着させる。
混合装置の条件としては、周速として10〜50m/secが好ましく、大径外添剤処理の周速が小径外添剤処理の周速より速いことが好ましい。処理時間は、3〜40分が好ましいが、外添剤が小径になるほど外添剤粒子同士が凝集しやすくなるため大径外添剤の処理時間より長めに設定することが好ましい。
小径外添剤の添加量はトナー全質量に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。大径外添剤の添加量はトナー全質量に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。
次に、トナーを構成する部材について説明する。
《トナーを構成する部材》
(結着樹脂)
結着樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独或いは組み合わせて使用することができる。
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
又、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
(連鎖移動剤)
樹脂の分子量を調整するためには、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(着色剤)
着色剤としては、各色の着色剤を使用することができる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にはマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
尚、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用しても良い。又、着色剤の添加量はトナー全質量に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤は、公知の化合物を用いることができる。
このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
トナーに含有される離型剤の量は、トナー全質量に対し1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
(荷電制御剤)
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
次に、現像剤について説明する。
《現像剤》
本発明のトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れも使用することができる。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒子径は、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
次に、本発明のトナーを用いた画像形成方法、画像形成装置について説明する。
《画像形成》
図2は、本発明のトナーを用いた画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
図2に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読み取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
画像読み取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルター処理等の処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光徐電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係わる感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い、静電潜像を形成する。
画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、半導体レーザ又は発光ダイオードを像露光光源として用いることができる。これらの像露光光源を用いて、書き込みの主査方向の露光ドット径を10〜80μmに絞り込み、感光体上にデジタル露光を行うことにより、400dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像を得ることができる。
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明に係る画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明の感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体21面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
(外添剤の準備)
下記の外添剤を準備した。
外添剤1:数平均一次粒径が5nmの疎水化シリカ粒子
外添剤2:数平均一次粒径が10nmの疎水化シリカ粒子
外添剤3:数平均一次粒径が60nmの疎水化シリカ粒子
外添剤4:数平均一次粒径が80nmの疎水化シリカ粒子
外添剤5:数平均一次粒径が300nmの疎水化チタニア粒子
外添剤6:数平均一次粒径が900nmのポリメチルメタクリレート樹脂粒子
外添剤7:数平均一次粒径が1100nmのポリメチルメタクリレート樹脂粒子
《トナーの作製》
以下のようにしてトナーを作製した。
〈コア用樹脂粒子の作製〉
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器中に、下記化合物を添加して混合して混合液を調製する。
スチレン 110.9質量部
n−ブチルアクリレート 52.8質量部
メタクリル酸 12.3質量部
この混合液に、
パラフィンワックス「HNP−57(日本精鑞社製)」93.8質量部を添加した後、80℃に加温して溶解させることにより、重合性単量体溶液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.9質量部をイオン交換水1340質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製した。当該界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、上記重合性単量体溶液を投入し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」により、上記重合性単量体溶液を2時間混合分散させた。そして、平均粒径が245nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
次いで、イオン交換水1460質量部を添加した後、重合開始剤(過硫酸カリウム)6質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた開始剤溶液と、n−オクチルメルカプタン1.8質量部とを添加し、温度を80℃とした。この系を80℃にて3時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子を作製した。これを「樹脂粒子1」とする。
(2)第2段重合(外層の形成)
上記「樹脂粒子1」に、過硫酸カリウム5.1質量部をイオン交換水197質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に下記重合性単量体を混合してなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。単量体混合液は、
スチレン 282.2質量部
n−ブチルアクリレート 134.4質量部
メタクリル酸 31.4質量部
n−オクチルメルカプタン 4.93質量部
からなり、滴下終了後、2時間にわたり80℃の温度条件下で加熱撹拌を行って第2段重合(外層の形成)を行った。その後冷却し、「コア用樹脂粒子1」を得た。
尚、形成された「コア用樹脂粒子1」の重量平均分子量は21,300、質量平均粒径は180nm、ガラス転移点は38.5℃であった。
(シェル用樹脂粒子の作製)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を付けた反応容器にポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、下記化合物を混合してなる重合性単量体混合溶液を3時間かけて滴下した。尚、重合性単量体混合溶液は、
スチレン 528質量部
n−ブチルアクリレート 176質量部
メタクリル酸 120質量部
n−オクチルメルカプタン 22質量部
からなる。当該重合性単量体混合液を滴下後、この系を80℃にて1時間にわたり加熱、撹拌して重合を行い、樹脂粒子を作製した。これを「シェル用樹脂粒子」とする。
尚、「シェル用樹脂粒子」の重量平均分子量は12,000、質量平均粒径は120nm、ガラス転移点は53℃であった。
(着色剤分散液の作製)
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%の水溶液900質量部を撹拌しながら、着色剤「リーガル330R」210質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、シアン色の着色剤分散液を作製した。これを、「着色剤分散液」とする。この着色剤分散液中の着色剤粒子の平均分散径を動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したところ、150nmであった。
〈トナー母体粒子の作製〉
(トナー母体粒子1の作製)
(1)コア粒子の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「コア用樹脂粒子」 420質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
「着色剤分散液」 200質量部(固形分換算)
を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて反応系に添加し、3分間放置した後に昇温を開始して、この系を60分間かけて65℃まで昇温させて会合を開始した。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準メディアン系(D50)が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。
その後、90℃に加温して1時間にわたり100rpmで撹拌を行った後、1時間かけて20℃まで冷却し、粒子表面に付着していた泡を放出させて粒子表面にくぼみを形成させ、「コア粒子1」を作製した。
「コア粒子1」の円形度を「FPIA2100」(システックス社製)にて測定したところ0.930であった。
(2)トナー母体粒子の分散液
次に、上記「コア粒子1」を作製した反応容器を65℃にして、そこへ「シェル用樹脂粒子」50質量部(固形分換算)を添加した。更に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続した。この様にして「コア粒子1」表面に「シェル用樹脂粒子」を凝集・融着させ、その後、70℃で1時間熟成処理(第1熟成)を行った後、更に80℃に加温して1時間間熟成処理(第2熟成)を行った。
熟成処理後、塩化ナトリウム40.2質量部を添加し、8℃/分の冷却速度で30℃まで冷却して「トナー母体粒子1」の分散液を得た。
(3)洗浄、及び、乾燥
「トナー母体粒子1」の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40(松本機械(株)製)」を用いて固液分離を行うことにより、「トナー母体粒子1」のトナーケーキを形成した。そして、濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで前記バスケット型遠心分離機を用いて「トナー母体粒子1」の洗浄と固液分離を繰り返し行った。濾液が所定の電気伝導度になった後、乾燥装置「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」を用いて、含水量が0.5質量%となるまで乾燥処理を行うことにより「トナー母体粒子1」を作製した。「トナー母体粒子1」は、コア・シェル構造を有し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μm、ガラス転移点が39℃であった。
トナー母体粒子100個についてへこみの数、大きさ、及び深さを前記の方法で測定したところ、へこみの数は平均2個、直径は平均400nm、深さは平均400nmであった。
トナー母体粒子2〜6の作製)
「トナー母体粒子1」の作製における撹拌と冷却条件を、下記表1のように変更した以外は同様にして「トナー母体粒子2〜6」を作製した。
(トナー母体粒子7の作製)
コア用樹脂粒子1の調製において、第1段重合におけるモノマー量を、スチレン115.3質量部、n−ブチルアクリレート48.4質量部、メタクリル酸12.3質量部に、第2段重合におけるモノマー量をスチレン293.4質量部、n−ブチルアクリレート123.2質量部、メタクリル酸31.4質量部に変更する他は同様にして「コア用樹脂粒子7」を得た。この樹脂粒子の重量平均分子量は22,500、質量平均粒径は180nm、Tgは43.5℃であった。
「トナー母体粒子7」は、トナー母体粒子の作製で用いたコア用樹脂粒子1を「コア用樹脂粒子7」に変更した以外は同様にして作製した。「トナー母体粒子7」は、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μm、ガラス転移点が44℃であった。
(トナー母体粒子8〜12の作製)
「トナー母体粒子7」の作製における撹拌と冷却条件を、下記表1のように変更した以外は同様にして「トナー母体粒子8〜12」を作製した。
表1に、各トナー母体粒子作製時の撹拌速度、冷却時間、各トナーのガラス転移点(Tg)を示す。尚、ガラス転移点(Tg)は前記の方法で測定した。
Figure 2010014945
〈トナーの作製〉
(トナー1の作製)
上記で作製した「トナー母体粒子1」100質量部に、外添剤として「外添剤2(10nm)」1.2質量部、「外添剤5(80nm)」を1.5質量部添加し、「ヘンシェルミキサー(三井三池化工社製)」を用い、周速20m/secで5分間混合して「トナー1」を作製した。
(トナー2〜19の作製)
上記で作製した「トナー母体粒子2〜12」に、外添剤を表2に示すように添加し、トナー1と同じ条件で混合し、「トナー2〜19」を作製した。
表2に、トナーを作製するのに用いた外添剤、得られたトナーのくぼみの平均径、平均個数、平均深さを示す。
Figure 2010014945
《現像剤の作製》
シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリア100質量部に、上記で作製した各トナー6質量部を添加し、「ナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)」を用い、10分間混合して「現像剤1〜19」を作製した。
《評価》
評価は、電子写真方式を採用する市販の複合機「bizhub PRO1050(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を使用して行った。
プリントは、常温常湿環境(20℃、55%RH)下で、A4サイズの印字率4%の文字原稿を上質紙(64g/m)に20万枚行った。
評価は、帯電量、画像濃度、かぶりについて行った。
〈帯電量安定性〉
帯電量安定性は、プリント初期と20万枚プリント終了後の帯電量の差で評価した。
プリントの初期と20万枚終了後に現像剤を画像形成装置から2gサンプリングし、このサンプル中のトナーの帯電量を帯電量測定装置「ブローオフ式TB−200(東芝社製)」で測定した。
具体的には、上記帯電量測定装置の400メッシュのステンレス製スクリーンを装着した試料部に測定サンプルを装填し、常温常湿環境(20℃、55%RH)で、ブロー圧50kPa(0.5kgf/cm)の窒素ガスを10秒間ブローして電荷を測定する。測定された電荷を飛翔したトナー質量でわり、帯電量(μC/g)を算出する。
尚、帯電量安定性は、プリントの初期と20万枚プリント終了後の帯電量の差(ΔμC/g)が20μC/g以下を合格とする。
〈画像濃度〉
画像濃度は、初期と20万枚終了後にべた画像を上質紙(64g/m)にプリントし、べた黒画像部の濃度を反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて12点測定し、その平均画像濃度で評価した。
尚、画像濃度は1.30以上を合格とする。
〈かぶり〉
かぶりは20万枚プリントを行った後に、無地原稿を上質紙(64g/m)にプリントし、プリント画像上のかぶりを反射濃度計「RD−918」を用いて12点測定し、その平均値で評価した。
尚、かぶりは0.02以下を合格とする。
表3に、評価結果を示す。
Figure 2010014945
表3の結果から明らかなように、本発明の「実施例1〜13」の「トナー2〜7、9〜11、14、15、17、18」は、上記評価項目の全てにおいて満足できる結果が得られたが、発明外の「比較例1〜6」の「トナー1、8、12、13、16、19」は上記評価項目の何れかに問題が有り満足するものではなかった。
粒子表面にくぼみを有するトナー粒子の一例を示す概略図である。 本発明のトナーを用いた画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
符号の説明
1 トナー粒子
2 トナー母体粒子
3 外添剤
4 くぼみ

Claims (3)

  1. 結着樹脂、着色剤及び離型剤を有するトナー母体粒子と外添剤を含むトナーにおいて、
    該トナーがその粒子表面に直径0.3〜1.3μmのくぼみを平均2〜20個有し、
    該外添剤として、粒径の異なる2種以上の外添剤を有していることを特徴とするトナー。
  2. 前記外添剤は、数平均一次粒径10〜60nmのものと数平均一次粒径80nm〜1μmのものとであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記くぼみの深さは、0.3〜1.5μmであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
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