JP2010014034A - 可変容量コンプレッサ - Google Patents

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Makoto Kawamura
誠 川村
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Abstract

【課題】低コスト化、省スペース化を図りつつ、圧力変動に起因する斜板のばたつきを極力防止できる可変容量コンプレッサを提供する。
【解決手段】各ピストンの背圧であるクランク室圧を調整することによって、ジャーナル13と斜板15が連結リンク14を支点としてスリーブ12に案内されつつ傾斜角度が可変され、斜板15の傾斜角度の可変によって各ピストンの往復ストロークが可変される可変容量コンプレッサにおいて、スリーブ12の駆動軸4の外周面に臨む箇所には、駆動軸4の軸方向に対して傾斜するテーパ面を有する収容溝31が設けられ、収容溝31には、スリーブ12のテーパ面からの外力によって駆動軸4の軸方向に移動可能で、且つ、縮径方向に変形可能な抵抗体32が設けられた。
【選択図】図2

Description

本発明は、斜板の傾斜角によってピストンの吐出容量を可変する可変容量コンプレッサに関する。
この種の従来の可変容量コンプレッサとしては、特許文献1に開示されたものがある。
この可変容量コンプレッサ100は、図9に示すように、ハウジング101を有する。ハウジング101は、シリンダブロック101aと、シリンダブロック101aの一端側に配置されたフロントヘッド101bと、シリンダブロック101aの他端側に弁プレート102を介して配置されたリアヘッド101cとが組み付けされることによって主に構成されている。
ハウジング101の中心には駆動軸103が配置されている。駆動軸103の両端側は、ラジアル軸受部104とラジアル軸受部105を介してハウジング101に回転自在に支持されている。
シリンダブロック101a内には、駆動軸103を中心とする円周上に複数のシリンダボア106が形成されており、この各シリンダボア106内にピストン107がそれぞれ摺動自在に配置されている。フロントヘッド101b内には、複数のシリンダボア106に連通するクランク室108が形成されている。このクランク室108には、駆動軸103の外周に固定されたロータ109と、駆動軸103の外周に軸方向に移動自在に配置されたスリーブ110と、スリーブ110の外周側に配置され、連結リンク111を介してロータ109に連結されたジャーナル112と、ジャーナル112の外周に固定された斜板113とがそれぞれ設けられている。斜板113の外周部に一対のシュー114を介して各ピストン107が係合されている。
スリーブ110の両端には、第1及び第2バネS1,S2がそれぞれ配置され、この第1及び第2バネS1,S2のバネ力の均衡によって、運転停止後に斜板113が初期駆動位置に戻される。
連結リンク111は、第1回転支点部111aによってロータ109に、第2回転支点部111bによってジャーナル112にそれぞれ連結されている。
駆動軸103が回転すると、ロータ109、斜板113等によって各ピストン107がシリンダボア106内を往復移動し、斜板113の傾斜角によって各ピストン107の往復ストロークが可変される。
リアヘッド101c内には、吸入室120と吐出室121がそれぞれ形成されている。
シリンダブロック101aとリアヘッド101cの間に介在された弁プレート102は、複数のシリンダボア106と吸入室120及び吐出室121との間を仕切っている。
上記構成において、駆動軸103が回転駆動されると、斜板113が揺動して各ピストン107が往復運動する。各ピストン107の吸入行程では、吸入室120から冷媒がシリンダボア106内に供給され、供給された冷媒がピストン107の圧縮行程で圧縮されて吐出室121に吐出される。吐出された冷媒は、冷凍サイクルを循環して冷房等に供されて再び可変容量コンプレッサ100に戻ってくる。
このような可変容量コンプレッサ100の駆動時にあって、冷凍サイクルの熱負荷が大きくなると、クランク室108の圧力が低圧側に調整される。すると、各ピストン107の背圧であるクランク室圧及び第1バネS1のバネ力による反時計方向モーメントと各ピストン107の前面圧及び第2バネS2のバネ力による時計方向モーメントのバランスがくずれ、斜板113とジャーナル112の一体部材に対し第2回転支点部111bを中心として斜板113の傾斜角度を大きくする方向の時計方向モーメントが大きくなり、双方のモーメントがバランスする位置まで連結リンク111が図9のa矢印方向に回転する。この連結リンク111の回転によって斜板113の傾斜角度が大きくなる。斜板113の傾斜角度が大きくなると、各ピストン107の往復ストロークが大きくなり、冷媒の吐出容量が大きくなって、冷房能力等が大きくなる。
又、冷凍サイクルの熱負荷が小さくなると、クランク室108の圧力が高圧側に調整される。すると、各ピストン107の背圧であるクランク室圧及び第1バネS1のバネ力による反時計方向モーメントと各ピストン107の前面圧及び第2バネS2のバネ力による時計方向モーメントのバランスがくずれ、斜板113とジャーナル112の一体部材に対し第2回転支点部111bを中心として斜板113の傾斜角度を小さくする方向の反時計方向モーメントが大きくなり、双方のモーメントがバランスする位置まで連結リンク111が図9のb矢印方向に回転する。この連結リンク111の回転によって斜板113の傾斜角度が小さくなる。斜板113の傾斜角度が小さくなると、各ピストン107の往復ストロークが小さくなり、冷媒の吐出容量が小さくなって、冷房能力等が小さくなる。可変容量コンプレッサ100は、このような運転によって省動力化が図られる。
又、斜板113の揺動に際して、スリーブ110が駆動軸103の外周面を摺動(図9のc、d矢印方向)することによって斜板113の揺動を案内するため、ほとんど摺動抵抗なしに斜板113の傾斜角度を可変することができる。
特開2006−233855号公報
ところで、斜板113は、フルストローク位置及びデストローク位置を除き、各ピストン107の背圧であるクランク室圧及び第1バネS1のバネ力による反時計方向モーメントと、各ピストン107の前面圧及び第2バネS2のバネ力による時計方向モーメントがバランスする傾斜位置に位置する。従って、前記従来例のように、斜板113の傾斜角度を変更する移動時にほとんど摺動抵抗がないと、各ピストン107の背圧であるクランク室圧と各ピストン107の前面圧との圧力変動によって斜板113がばたつき(ハンチング)し易い。斜板113がばたつくと、制御遅れ、異音(ストッパへの衝突)が発生する等の不具合がある。
ここで、斜板113のばたつきを抑制するため、第1バネS1と第2バネS2をバネ力を強くする手段も考えられるが、バネ線径を太くしたり、バネ巻数を多くする必要があるため、設置スペースが大きくなる。又、ガスダンパやオイルダンパを配置する手段も考えられるが、高コスト化になると共に大きな設置スペースが必要である。
そこで、本発明は、低コスト化、省スペース化を図りつつ、圧力変動に起因する斜板のばたつきを極力防止できる可変容量コンプレッサを提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1の発明は、ハウジング内に複数のシリンダボアとこれに連通するクランク室とが設けられ、ハウジングにはクランク室を貫通する駆動軸が回転自在に設けられ、駆動軸にロータが固定され、駆動軸の外周に軸方向に移動可能にスリーブが設けられ、スリーブに傾斜変更が案内されるジャーナルが支持され、ジャーナルとロータ間を連結する連結手段が設けられ、ジャーナルに斜板が固定され、斜板の揺動によって複数のシリンダボア内を往復移動する複数のピストンが設けられ、各ピストンの背圧であるクランク室圧を調整することによって、ジャーナルと斜板が連結手段を中心としてスリーブに案内されつつ傾斜角度が可変され、斜板の傾斜角度の可変によって各ピストンの往復ストロークが可変される可変容量コンプレッサにおいて、スリーブの駆動軸の外周面に臨む箇所には、駆動軸の軸方向に対して傾斜するテーパ面を有する収容溝が設けられ、収容溝には、スリーブのテーパ面からの外力によって駆動軸の軸方向に移動可能で、且つ、縮径方向に変形可能な抵抗体が設けられたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の可変容量コンプレッサであって、収容溝は、スリーブの軸方向の両側の端部で、且つ、端面に開放する位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の可変容量コンプレッサであって、収容溝は、スリーブの軸方向のいずれか一方の端部で、且つ、端面に開放する位置に設けられたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載の可変容量コンプレッサであって、収容溝が設けられる一方の端部は、斜板が最小容量側に移動する過程で抵抗体が縮径する側であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1記載の可変容量コンプレッサであって、収容溝は、スリーブの軸方向の中央部に設けられたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載の可変容量コンプレッサであって、収容溝は、互いに逆向きの2つのテーパ面を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の可変容量コンプレッサであって、連結手段は、ロータとジャーナルにそれぞれ回転自在に連結された連結リンクであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ジャーナルと斜板がその両方向に作用するモーメントのバランス位置に位置する状態にあって、各ピストンの背圧と前面圧に変動があり、ジャーナルと斜板が傾斜角度を変更するべくスリーブが駆動軸を摺動すると、スリーブのテーパ面から外力を受けて抵抗体が縮径し、縮径した抵抗体がスリーブと共に摺動して駆動軸との間に摺動抵抗を作用させるため、斜板のばたつきを極力防止できる。この摺動抵抗はスリーブの移動加速度に比例して大きくなるため、有効に斜板をばたつきを防止できる。そして、抵抗体は縮径方向に変形できる形態、例えばスリットを有するリング形態に作製すれば良いため低コストで作製でき、しかも、その抵抗体はスリーブの収容溝に配置すれば良いため、設置スペースの増大をほとんどもたらさない。以上より、低コスト化、省スペース化を図りつつ、圧力変動に起因する斜板のばたつきを極力防止できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、スリーブの両方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができるため、斜板のばたつきを確実に抑制できる。又、収容溝はスリーブの端面に開放する位置に作製すれば良いため、加工が容易である。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、スリーブの一方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができるため、斜板のばたつきを抑制できる。又、収容溝はスリーブの一方の端面に開放する位置に作製すれば良いため、加工性が良い。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、斜板は容量最小側から容量最大側への移動に比べて容量最大側から容量最小側への移動が移動速度の速い制御となるのが一般的であるため、容量最小側への移動について摺動抵抗を増大させることできるため、単一の抵抗体を設ける場合にあって、有効に斜板のばたつきを抑えることができる。
請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、抵抗体がスリーブの配置位置より脱落するような事態が発生しない。又、抵抗体をスリーブと共に移動させる特別の手段が必要なく、例えばバネの有無に拘わらず抵抗体をスリーブと共に移動させることができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、単一の抵抗体でスリーブの両方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項6の発明の効果に加え、連結リンクは、斜板の揺動過程でほとんど摺動抵抗が発生しないため、斜板のばたつきが発生し易い構造であるが、このような斜板のばたつきを発生し易い構造にあって、斜板のばたつきを極力防止できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態を示し、図1は可変容量コンプレッサの全体断面図、図2は可変容量コンプレッサの要部断面図、図3は摺動抵抗付加手段の分解断面図、図4は摺動抵抗付加手段の要部分解斜視図、図5はスリーブの移動時に摺動抵抗が作用することを説明する要部断面図である。
図1に示すように、可変容量コンプレッサ1は、ハウジング2を有する。このハウジング2は、シリンダブロック2aと、このシリンダブロック2aの一方の側面に配置されたフロントヘッド2bと、シリンダブロック2aの他方の側面に弁体3を介して配置されたリアヘッド2cとが組み付けられることによって構成されている。
シリンダブロック2aとフロントヘッド2bには、下記するクランク室10を貫通するよう駆動軸4が配置されている。駆動軸4の両端側は、ラジアル軸受部5,6を介してシリンダブロック2aとフロントヘッド2bに回転自在に支持されている。駆動軸4は、その一端側がフロントヘッド2bより外に突出し、この突出した箇所にエンジンの回転を受けるプーリ(図示せず)が固定されている。駆動軸4は、このように一端側に固定されたプーリより駆動力を受けて回転するよう構成されている。
シリンダブロック2aには複数のシリンダボア8が形成されている。複数のシリンダボア8は、駆動軸4を中心とする円周上に等間隔に形成されている。各シリンダボア8には、ピストン9が摺動自在に配置されている。
フロントヘッド2bには、複数のシリンダボア8に連通するクランク室10が形成されている。クランク室10には、駆動軸4の外周に固定されたロータ11と、駆動軸4の外周に軸方向に移動自在に配置されたスリーブ12と、スリーブ12の外周側に配置されたジャーナル13と、ジャーナル13とロータ11間を連結する連結手段である連結リンク14と、ジャーナル13の外周に固定された斜板15と、この斜板15の外周部に一対のシュー16を介して係合された各ピストン9の後端側がそれぞれ設けられている。
スリーブ12は、ジャーナル13のスリーブ収容孔13a内に配置され、下記する回転支持ピン17を介してジャーナル13に回転自在に支持されている。スリーブ12の両端側には、第1及び第2バネS1,S2がそれぞれ配置され、この第1及び第2バネS1,S2のバネ力の均衡によって、運転停止後に斜板15が初期駆動位置(吐出容量5%〜10%程度の位置)に戻される。このスリーブ12には、ジャーナル13と斜板15の傾斜角度を可変させる移動時に、一定の摺動抵抗を付加する摺動抵抗付加手段30が設けられている。スリーブ12とこれに付加された摺動抵抗付加手段30の詳しい構成については、下記に詳述する。
連結リンク14は、第1回転支点部14aによってロータ11に、第2回転支点部14bによってジャーナル13にそれぞれ回転自在に連結されている。
駆動軸4が回転すると、ロータ11、連結リンク14及びジャーナル13によって斜板15に回転が伝達され、各ピストン9がシリンダボア8内を往復移動する。又、斜板15の傾斜角度によって各ピストン9のストロークが可変され、冷媒の吐出容量が可変される。斜板15の傾斜角度が調整されるメカニズムについては、作用の箇所で説明する。
リアヘッド2cには、冷媒ガスの吸入室20と吐出室21とが形成されている。吸入室20は、冷凍サイクルのエバポレータの出口側に接続されている。吐出室21は、冷凍サイクルの凝縮器の入口側に接続されている。又、吸入室20と吐出室21は、各シリンダボア8に弁体3を介して仕切られている。双方の室を仕切る弁体3の箇所には、吸入弁付きの吸入孔(図示せず)と吐出弁付きの吐出孔22がそれぞれ形成されている。
また、クランク室10と吸入室20との間には、常時連通する抽気通路(図示せず)が形成されている。クランク室10と吐出室21との間には、給気通路(図示せず)が形成されている。給気通路には圧力制御弁24が配置されている。圧力制御弁24の開度を制御することによってクランク室10の圧力を調整できるよう構成されている。
次に、スリーブ12とこれに付加された摺動抵抗付加手段30の構成を説明する。図2〜図4に示すように、スリーブ12は、大略球状のブロック材であり、駆動軸4が貫通する駆動軸貫通孔12aと、この駆動軸貫通孔12aの直交方向に突設された一対の受け突起部12bとを有する。この各受け突起部12bには、一対のピン支持溝12cが設けられている。この各ピン支持溝12cにジャーナル13に支持された回転支持ピン17が挿入されている。これによって、スリーブ12はジャーナル13に対して一対の回転支持ピン17を支点として回転自在に支持されている。
摺動抵抗付加手段30は、スリーブ12の両側の端部に設けられた2箇所の収容溝31と、この各収容溝31に配置された2つの抵抗体32とから構成されている。各収容溝31は、駆動軸貫通孔12aの周縁、つまり、駆動軸4の外周面に臨む箇所にそれぞれ設けられ、駆動軸4の軸方向に対して傾斜するテーパ面31aを有する。テーパ面31aは、スリーブ12の端面の開放方向に向かって徐々に拡径する向きのテーパ面である。各抵抗体32は、その外周面がテーパ面32aであるリング材であり、その内径がスリーブ12の駆動軸貫通孔12aと同じ寸法に形成されている。抵抗体32は、そのテーパ面32aが収容溝31のテーパ面31aに当接する状態で収容溝31内に配置されている。又、各抵抗体32には、1箇所にスリット32bが形成され、このスリット32bによって縮径方向に変形可能である。各抵抗体32は、例えばテフロン(登録商標)、フェージング材にて形成される。
このようにスリーブ12の両端に配置された各抵抗体32に、第1バネS1と第2バネS2の各端がそれぞれ当接されている。つまり、スリーブ12には各抵抗体32を介して第1バネS1と第2バネS2のバネ力がそれぞれ作用し、これによって各抵抗体32はスリーブ12と共に駆動軸4の軸方向に移動する。
上記構成において、駆動軸4が回転すると、この回転力により斜板15が回転し、複数のピストン9がシリンダボア8内を往復動する。そして、ピストン9の吸入行程(上死点から下死点に移動する行程)では、シリンダボア8内の減圧によって吸入孔(図示せず)が開口する。これによって、冷媒ガスが吸入室20よりシリンダボア8に供給される。
ピストン9の圧縮行程(下死点から上死点に移動する行程)では、吸入孔(図示せず)が閉口し、ピストン9によってシリンダボア8内の冷媒ガスが圧縮される。この圧縮された高温高圧の冷媒ガスが吐出孔22より吐出室21に排出される。吐出室21に吐出された高温高圧の冷媒は、吐出ポート(図示せず)より可変容量コンプレッサ1外に吐出される。吐出された冷媒は、冷凍サイクルを循環して冷房等に供されて再び可変容量コンプレッサ1に戻ってくる。
このような可変容量コンプレッサ1の駆動時にあって、冷凍サイクルの熱負荷が大きくなると、クランク室10の圧力が低圧側に調整される。すると、各ピストン9の背圧であるクランク室圧及び第1バネS1のバネ力による反時計方向モーメントと、各ピストン9の前面圧及び第2バネS2のバネ力による時計方向モーメントのバランスがくずれ、斜板15とジャーナル13の一体部材に対し第2回転支点部14bを中心として斜板15の傾斜角度を大きくする方向の時計方向モーメントが大きくなり、双方のモーメントがバランスする位置まで連結リンク14が図1及び図2のa矢印方向に回転する。この連結リンク14の回転によって斜板15の傾斜角度が大きくなる。斜板15の傾斜角度が大きくなると、各ピストン9の往復ストロークが大きくなり、冷媒の吐出容量が大きくなって、冷房能力等が大きくなる。
又、冷凍サイクルの熱負荷が小さくなると、クランク室10の圧力が高圧側に調整される。すると、各ピストン9の背圧であるクランク室圧及び第1バネS1のバネ力による反時計方向モーメントと、各ピストン9の前面圧及び第2バネS2のバネ力による時計方向モーメントのバランスがくずれ、斜板15とジャーナル13の一体部材に対し第2回転支点部14bを中心として斜板15の傾斜角度を小さくする方向の反時計方向モーメントが大きくなり、双方のモーメントがバランスする位置まで連結リンク14が図1及び図2のb矢印方向に回転する。この連結リンク14の回転によって斜板15の傾斜角度が小さくなる。斜板15の傾斜角度が小さくなると、各ピストン9の往復ストロークが小さくなり、冷媒の吐出容量が小さくなって、冷房能力等が小さくなる。可変容量コンプレッサ1は、このような運転によって省動力化が図られる。
上記した可変容量コンプレッサ1の動作過程にあって、斜板15の傾斜角度を変更する移動時には、スリーブ12が駆動軸4の外周面上を図2のc矢印方向又はd矢印方向に摺動する。スリーブ12が駆動軸4を摺動すると、図5に示すように、スリーブ12がd矢印方向に摺動する場合には、抵抗体32はスリーブ12のテーパ面31aから外力F(c矢印方向に摺動する場合には逆向きの外力F)を受け、スリーブ12と共に駆動軸4上を移動すると共に外力Fの分力fによって縮径する。縮径した抵抗体32がスリーブ12と共に駆動軸4を摺動し、摺動抵抗を作用させる。従って、斜板15は極力ばたつくことなくモーメントのバランス位置で停止する。
又、抵抗体32は縮径方向に変形できる形態、本実施形態のように、例えばスリット32bを有するリング形態に作製すれば良いため、低コストで作製でき、しかも、抵抗体32はスリーブ12の収容溝31に配置すれば良いため、設置スペースもほとんど増大しない。以上より、低コスト化、省スペース化を図りつつ、圧力変動に起因する斜板15のばたつき(ハンチング)を極力防止できる。
この第1実施形態では、収容溝31は、スリーブ12の軸方向の両側の端部で、且つ、端面に開放する位置にそれぞれ設けられている。従って、スリーブ12の両方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができるため、斜板15のばたつきを確実に抑制できる。又、収容溝31はスリーブ12の端面に開放する位置に作製すれば良いため、加工が容易である。
この第1実施形態では、連結手段は、ロータ11とジャーナル13にそれぞれ回転自在に連結された連結リンク14である。連結リンク14は、斜板15の揺動過程でほとんど移動抵抗を作用させないため、斜板15のばたつきが発生し易い構造であるが、このような斜板15のばたつきを発生し易い構造にあって、斜板15のばたつきを極力防止できる。
この第1実施形態では、スリーブ12の両端に抵抗体32が配置され、この各抵抗体32を介して第1バネS1と第2バネS2のバネ力がそれぞれ作用するよう構成されている。従って、各抵抗体32をスリーブ12と共に移動させるための特別の手段が必要ない。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る可変容量コンプレッサの要部断面図である。図6に示すように、第2実施形態の可変容量コンプレッサは、前記第1実施形態の可変容量コンプレッサ1とを比較するに、摺動抵抗付加手段30の構成のみが異なる。
つまり、摺動抵抗付加手段30は、スリーブ12の一方の端部に設けられた収容溝31と、この収容溝31に配置された抵抗体32とからのみ構成されている。抵抗体32が配置されたスリーブ12の一方の端部は、斜板15が最小容量側に移動する過程で抵抗体32が縮径する側である。他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避する。又、図6の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
この第2実施形態にあっては、スリーブ12の一方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができるため、斜板15のばたつきを抑制できる。又、収容溝31はスリーブ12の一方の端面に開放する位置に作製すれば良いため、加工性が良い。
また、斜板15は容量最小側から容量最大側への移動に比べて容量最大側から容量最小側への移動が移動速度の速い制御となるのが一般的であるため、容量最小側への移動について摺動抵抗を増大させることできるため、単一の抵抗体32を設ける場合にあって、有効に斜板15のばたつきを抑えることができる。
第2実施形態の変形例として、抵抗体32が配置されるスリーブ12の端部は、斜板15が最大容量側に移動する過程で抵抗体32が縮径する側とすることが考えられる。
(第3実施形態)
図7及び図8は本発明の第3実施形態を示し、図7は可変容量コンプレッサの要部断面図、図8は摺動抵抗付加手段の断面図である。図7及び図8に示すように、第3実施形態の可変容量コンプレッサは、前記第1実施形態の可変容量コンプレッサ1とを比較するに、摺動抵抗付加手段30の構成のみが異なる。
つまり、摺動抵抗付加手段30は、スリーブ12の軸方向の中央部(端部以外の部分)に設けられた収容溝33と、この収容溝33に配置された単一の抵抗体34とから構成されている。
収容溝33は、駆動軸4の軸方向に対して傾斜し、且つ、互いにその傾斜方向が逆向きの2つのテーパ面33aを有する。抵抗体34は、前記第1実施形態のものと同様にリング材である。抵抗体34の外周面は、互いにその傾斜方向が逆向きの2つのテーパ面34aを有する。抵抗体34は、その2つのテーパ面34aが収容溝33の各テーパ面33aに互いに当接した状態で収容されている。又、抵抗体34は、前記第1実施形態にものと同様に1箇所にスリット34bを有し、このスリット34bによって縮径方向に変形可能に形成されている。
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避する。又、図7の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
この第3実施形態にあっても、前記第1実施形態と同様の作用によって、スリーブ12の移動時に、抵抗体32は縮径しつつ駆動軸4を摺動するため、摺動抵抗を作用させる。従って、斜板15は極力ばたつくことなくモーメントのバランス位置で停止する。
又、抵抗体34は縮径方向に変形できる形態、本実施形態のように、例えばスリット(図示せず)を有するリング形態に作製すれば良いため、低コストで作製でき、しかも、抵抗体34はスリーブ12の収容溝33に配置すれば良いため、設置スペースが全く増大しない。以上より、低コスト化、省スペース化を図りつつ、圧力変動に起因する斜板15のばたつきを極力防止できる。
この第3実施形態では、収容溝33は、スリーブ12の軸方向の中央部(端部以外の部分)に設けられたので、抵抗体34がスリーブ12の配置位置より脱落するような事態が発生しない。又、抵抗体34をスリーブ12と共に移動させる特別の手段が必要なく、例えばバネの有無に拘わらず抵抗体34をスリーブ12と共に移動させることができる。
この第3実施形態では、収容溝33は、互いに逆向きの2つのテーパ面33aを有するので、、単一の抵抗体34でスリーブ12の両方向の移動に対して摺動抵抗を作用させることができる。従って、斜板15のばたつきを確実に抑制できる。
(その他)
各実施形態の抵抗体32,34は、1箇所にスリット32b、34bを有するリング材であるが、複数箇所にスリットを有する分割リング材として構成しても良い。但し、本各実施形態のように1箇所にスリット32b、34bを有するリング材の場合には、取扱い性、組付け性等が良いという利点がある。
本発明の第1実施形態を示し、可変容量コンプレッサの全体断面図である。 本発明の第1実施形態を示し、可変容量コンプレッサの要部断面図である。 本発明の第1実施形態を示し、摺動抵抗付加手段の分解断面図である。 本発明の第1実施形態を示し、摺動抵抗付加手段の要部分解斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、スリーブの移動時に摺動抵抗が作用することを説明する要部断面図である。 本発明の第2実施形態を示し、可変容量コンプレッサの要部断面図である。 本発明の第3実施形態を示し、可変容量コンプレッサの要部断面図である。 本発明の第3実施形態を示し、摺動抵抗付加手段の断面図である。 従来例の可変容量コンプレッサの全体断面図である。
符号の説明
1 可変容量コンプレッサ
2 ハウジング
4 駆動軸
8 シリンダボア
9 ピストン
10 クランク室
11 ロータ
12 スリーブ
13 ジャーナル
14 連結リンク(連結手段)
15 斜板
31,33 収容溝
31a,33a テーパ面
32,34 抵抗体

Claims (7)

  1. ハウジング(2)内に複数のシリンダボア(8)とこれに連通するクランク室(10)とが設けられ、前記ハウジング(2)には前記クランク室(10)を貫通する駆動軸(4)が回転自在に設けられ、前記駆動軸(4)にロータ(11)が固定され、前記駆動軸(4)の外周に軸方向に移動可能にスリーブ(12)が設けられ、前記スリーブ(12)に傾斜変更が案内されるジャーナル(13)が支持され、前記ジャーナル(13)と前記ロータ(11)間を連結する連結手段(14)が設けられ、前記ジャーナル(13)に斜板(15)が固定され、前記斜板(15)の揺動によって複数の前記シリンダボア(8)内を往復移動する複数のピストン(9)が設けられ、
    前記各ピストン(9)の背圧であるクランク室圧を調整することによって、前記ジャーナル(13)と前記斜板(15)が前記連結手段(14)を中心として前記スリーブ(12)に案内されつつ傾斜角度が可変され、前記斜板(15)の傾斜角度の可変によって前記各ピストン(9)の往復ストロークが可変される可変容量コンプレッサ(1)において、
    前記スリーブ(12)の前記駆動軸(4)の外周面に臨む箇所には、前記駆動軸(4)の軸方向に対して傾斜するテーパ面(31a),(33a)を有する収容溝(31),(33)が設けられ、前記収容溝(31),(33)には、前記スリーブ(12)の前記テーパ面(31a),(33a)からの外力によって前記駆動軸(4)の軸方向に移動可能で、且つ、縮径方向に変形可能な抵抗体(32),(34)が設けられたことを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  2. 請求項1記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記収容溝(31)は、前記スリーブ(12)の軸方向の両側の端部で、且つ、端面に開放する位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  3. 請求項1記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記収容溝(31)は、前記スリーブ(12)の軸方向のいずれか一方の端部で、且つ、端面に開放する位置に設けられたことを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  4. 請求項3記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記収容溝(31)が設けられる一方の端部は、前記斜板(15)が最小容量側に移動する過程で前記抵抗体(32)が縮径する側であることを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  5. 請求項1記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記収容溝(33)は、前記スリーブ(12)の軸方向の中央部に設けられたことを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  6. 請求項5記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記収容溝(33)は、互いに逆向きの2つのテーパ面(33a)を有することを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の可変容量コンプレッサ(1)であって、
    前記連結手段(14)は、前記ロータ(11)と前記ジャーナル(13)にそれぞれ回転自在に連結された連結リンク(14)であることを特徴とする可変容量コンプレッサ(1)。
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