JP2010013771A - 繊維処理剤および染色繊維の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)を染色繊維に付与することのできる繊維処理剤およびこの繊維処理剤を用いた染色繊維の製法を提供する。
【解決手段】 繊維処理剤は、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維の処理工程で用いられ、ケン化率80%以上のポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水を必須成分として含む。染色繊維の製法は、上記繊維処理剤を、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維に付与する処理工程を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維処理剤および染色繊維の製法に関する。さらに詳しくは、本発明は、摩擦堅牢度向上のための繊維処理剤と、この処理剤を用いて行われる染色繊維の製法とに関する。
インジゴ系染料や硫化染料で染色されたセルロース系布帛(たとえば、ブルーデニム、カラーデニム)では、染料はセルロース系布帛に対する水素結合によって染着している。このために、布帛への染着力が比較的弱く、染色物の摩擦堅牢度、特に湿摩擦堅牢度に劣るという問題がある。
しかしながら、近年のファッションの流行および消費者志向の多様化等により、染色度が堅牢なデニム、濃色のデニムや淡色の濃度差が顕著なデニムが好まれる傾向にある。このために、一般消費者からより高い摩擦堅牢度、特に、より高い湿摩擦堅牢度を要望されている。
従来より、高い摩擦堅牢度を付与するためには、ジアリルアミン由来の構成単位からなるカチオンポリマー化合物(特許文献1)、反応性ウレタン樹脂、反応性シリコーン樹脂、反応性アクリル樹脂等の耐水性を有する樹脂(特許文献2)、ポリエチレンイミンおよび二官能性アルキル化剤(特許文献3)が使用されてきた。
上記特許文献1〜3に開示された従来の技術においては、乾摩擦堅牢度が向上するものもある。しかしながら、湿摩擦堅牢度については、いずれも未処理布とほぼ同等程度でほとんど向上は見られないのが現状である。したがって、濃色の染色物において、その効果が特に不足しているという問題が依然として残されている。
また、特許文献3は糊付工程を対象にした改良であるが、この発明では、皮膜性が不十分であるため、染料が湿摩擦時に繊維表面からブリードアウトするという問題があり、糊付工程においてあまり利用されていない。したがって、製織前の糊付工程における摩擦堅牢度の向上で実施レベルに到達したものがないのが現状である。
特開2004−218177号公報 特開平7−18588号公報 特開昭60−155784号公報
本発明の課題は、優れた摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)を染色繊維に付与することのできる繊維処理剤およびこの繊維処理剤を用いた染色繊維の製法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のケン化率のポリビニルアルコールおよびアルミニウム化合物を含む繊維処理剤であれば、高い摩擦堅牢度、特に湿摩擦堅牢度が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる繊維処理剤は、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維の処理工程で用いられ、ケン化率80%以上のポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水を必須成分として含む繊維処理剤である。
この繊維処理剤は、以下の構成要件(1)〜(4)の少なくとも1つを含むと好ましい。
(1)pHが4〜9の範囲にある。
(2)アルミニウム重量のポリビニルアルコール重量に対する割合(アルミニウム/ポリビニルアルコール)が0.1〜20重量%である。
(3)前記原料繊維がセルロース系繊維であり、前記染料がインジゴ染料である。
(4)前記処理工程が製織前の糊付工程である。
本発明にかかる染色繊維の製法は、上記繊維処理剤を、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維に付与する処理工程を含む。ここで、前記付与を含浸法、パッドドライ法、スプレー法およびコーティング法のいずれかの方法で行うと好ましい。
本発明にかかる染色繊維は上記製法で得られる。
本発明の繊維処理剤は、優れた摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)を染色繊維に付与することができる。特に、インジゴブルーデニム、カラーデニム等の染色繊維の場合に、その効果は顕著である。また、糸状またはロープ状で染色された後、製織前に行われる糊付工程において、本発明の繊維処理剤を糊剤として使用した場合の効果は大きい。
本発明の繊維処理剤は、糸に対しては優れた製織性を付与することができる。
本発明にかかる染色繊維の製法は、上記繊維処理剤を原料繊維に付与する処理工程を含むので、得られる染色繊維は摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)に優れる。本発明にかかる染色繊維は、上記製法で得られるため、摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)に優れる。
本発明の繊維処理剤は、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維の処理工程で用いられる繊維処理剤である。そして、この繊維処理剤は、ケン化率80%以上のポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水を必須成分として含む。
本発明の繊維処理剤に含まれるポリビニルアルコールは、ポリビニルアセテートのアセテート基をケン化してなる化合物である。ポリビニルアルコールは、本発明の繊維処理剤において主要な成分であり、糸の摩擦堅牢度を向上させて、抱合力および強度を付与するという働きがある。ポリビニルアルコールのケン化率は、通常、80%以上、好ましくは87%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。ケン化率が80%未満であると、摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)が劣る。
ポリビニルアルコールの重合度については、特に限定はないが、好ましくは500〜3300、さらに好ましくは1000〜3000、特に好ましくは1500〜2600、最も好ましくは1800〜2600である。ポリビニルアルコールの重合度が500より低い場合は、ポリビニルアルコールの皮膜性が弱くなり、摩擦時に糊皮膜が繊維表面から剥がれ、染料を繊維表面に押さえ込むことができなくなることがある。したがって、摩擦堅牢度が低下するおそれがある。ポリビニルアルコールの皮膜性は、一般には重合度が高いほど強い。一方、ポリビニルアルコールの重合度が3300より高くなると、糊付温度にもよるが、糊付時の作業性が悪くなることがある。また、糊付糸が硬くなるため、糊付糸の屈曲性、伸度および強度が低下し、製織性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明の繊維処理剤の絶乾固形分に含まれるポリビニルアルコールの重量割合については、特に限定はないが、好ましくは30〜95重量%、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは75〜85重量%である。本発明における絶乾固形分とは、繊維処理剤から水分を除いたものであり、赤外線水分計FD−230(ケット科学研究所製)にて110℃で水分率を測定して算出される。
ポリビニルアルコールの重量割合が95重量%超であると、屈曲性、伸度、平滑性不足で製織性は低下することがある。一方、ポリビニルアルコールの重量割合が30重量%未満であると、繊維処理剤が、繊維表面で形成する皮膜の強度が弱すぎて、摩擦堅牢度が極端に低下することがある。
本発明の繊維処理剤に含まれるアルミニウム化合物は、ポリビニルアルコールの水酸基と反応して、アルミニウムイオンを介してポリビニルアルコール分子同士を架橋し、高分子量化する働きがある。本発明では、ポリビニルアルコールが高分子量化することによって、得られる繊維処理剤を原料繊維に付与して処理する際に、原料繊維に比較的弱く固着していると考えられる染料を高分子量化された繊維処理剤でコーティング処理することによって、得られる染色繊維の摩擦堅牢度(特に湿摩擦堅牢度)が向上するものと考えられる。
アルミニウム化合物は、有機化合物であっても、無機化合物であってもよく、たとえば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硝酸アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミニウムエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、酢酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらのアルミニウム化合物のうちでも、架橋性、安定性、コストおよび水溶性に優れるという理由から、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび硝酸アルミニウムが好ましく、ポリ塩化アルミニウムがさらに好ましい。
ポリ塩化アルミニウムは、下記一般式(1)で示される構造を有するアルミニウム化合物であり、通常は、水溶液の状態で取り扱われ、酸性では貯蔵安定性に優れ、良好な架橋性を示す。
Figure 2010013771
(但し、nは6未満であり、mは10以下である。nおよびmはいずれも正数である。)
本発明の繊維処理剤はアルミニウム化合物を含有している。繊維処理剤に含まれるアルミニウムの重量割合(アルミニウム/ポリビニルアルコール)ついては、特に限定はないが、好ましくはポリビニルアルコール重量に対して0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは2〜8重量%である。上記アルミニウムの重量割合は、本発明の繊維処理剤を蛍光X線等の金属定量分析方法で定量して得られるアルミニウム重量を、繊維処理剤中の別途定量したポリビニルアルコールの重量で除して計算される。
本発明の繊維処理剤は水を必須として含む。水は、純水、蒸留水、精製水、軟水、工業用水、水道水等のいずれであってもよい。
本発明の繊維処理剤は、上記で説明したポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水以外の他成分として、イソプロピルアルコール等の有機溶剤;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合物;コーンスターチや馬鈴薯等の澱粉、エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸重合物、アクリル酸エステル重合物、アクリルアマイド重合物、アクリル酸スチレン共重合物等の糊成分;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、動植物油、エステル系ワックス、鉱物油等の平滑成分(油剤成分);POEアルキルエーテル等の非イオン活性剤、4級アンモニウムクロライド等のカチオン活性剤等の乳化成分;界面活性剤等を含む浸透剤;柔軟剤;防腐剤;帯電防止剤等をさらに含有していてもよい。これらのうちでも、澱粉、澱粉誘導体、油剤成分等を含有すると、デバイド性が向上し、色目が調整される。
本発明の繊維処理剤のpHについては、特に限定はないが、好ましくは4〜9、さらに好ましくは5.5〜8.5、特に好ましくは6.5〜8.5、最も好ましくは7.5〜8.5である。pHが4未満であると糸強度が低下するというおそれがある。一方、pHが9超であると、水酸化アルミニウムが生成し、白化するおそれがある。なお、上記で他成分として用いられるアルカリ性化合物は、繊維処理剤が酸性の場合は、それを中和する目的で配合される。
繊維処理剤のpHは、20℃においてガラス電極pHメーターを用いて測定される。
本発明の繊維処理剤では、ポリビニルアルコール分子同士がアルミニウムイオンを介して金属架橋して、高分子量化しているものと考えられる。したがって、繊維処理剤中にアルミニウムの金属架橋を阻害する他の金属イオンが存在すると架橋性が損なわれる可能性がある。特に、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の影響が考えられ、それらの濃度を繊維処理剤の100ppm以下に抑えるのが望ましい。
本発明の繊維処理剤は、通常、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維の処理工程で用いられる。
本発明で、原料繊維の製造に使用される染料は、バット染料(建染染料)および/または硫化染料である。これらの染料の作用は、いずれもハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素等の還元性雰囲気下で水溶性のロイコ体を形成し、そして、このロイコ体を含有する水溶液を繊維に付着させ、その後に、空気、酸素等により酸化させることによって染色するものである。
バット染料としては、たとえば、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、アントラキノン系染料、ピラントロン系染料、ジベンゾアントロン系染料、ベンゾアントロンアクリジン系染料、イミダゾール系染料、フタロシアニン系染料等を挙げることができる。また、硫化染料としては、たとえば、加硫型染料、水溶性型染料、分散型染料、SCN基付加型染料、チオ硫酸基付加型染料、アゾジサルファイド型染料等を挙げることができる。これらの染料のうちでも、バット染料に分類されるインジゴ染料が特に重要である。
上記染料で加工して原料繊維を製造する方法については、特に限定はなく、通常用いられる染色方法で行われる。上記染色に使用される染色機としては、たとえば、パッケージ染色機、オーバーマイヤー染色機、チーズ染色機、ロープ染色機、シート染色機、ウインス染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、液流染色機等が挙げられる。これらの染色機のうちでも、高い染色濃度が容易に得られるロープ染色機やシート染色機が好適に用いられる。染色回数を最も多くできうるロープ染色機が最も好適である。
本発明で用いられる原料繊維を構成する素材の種類については特に限定はないが、たとえば、綿、麻等の天然セルロース系繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、精製セルロース繊維(商標:テンセル)等の再生セルロース系繊維等のセルロース系繊維を挙げることができる。セルロース系繊維は単独あるいは混紡、交織により他繊維と混用して用いてもよく、混用の場合、セルロース系繊維を20重量%以上含有するのが望ましい。原料繊維の形態については特に限定はないが、糸状、織物、編物、不織布等の形態を挙げることができる。
本発明の繊維処理剤の製造方法については、上記で説明したポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水をそれぞれ混合すればよく、特に限定はないが、たとえば、ポリビニルアルコールと水とを混合し加熱する前工程と、この予備工程で得られたポリビニルアルコール水溶液にアルミニウム化合物を添加する後工程とからなる製造方法を挙げることができる。
前工程では、まず、ポリビニルアルコールと水(好ましくは冷水)とを、通常は常温で混合するが、同時に油剤、澱粉や澱粉誘導体等を混合しても良い。次いで、得られた混合物を85〜95℃で30〜100分間加熱する。ここで、澱粉を混合する場合は、加熱後にさらに110〜130℃で10〜30分間加熱する。
次に、後工程では、前工程で得られた混合物に、40〜80℃でアルミニウム化合物を添加攪拌して、温度を適宜調整して繊維処理剤が得られる。
なお、アルミニウム化合物が酸性の場合は、上記3成分とともに、上記アルカリ性化合物を混合して、得られる繊維処理剤のpHを4〜9に調整すると、原料繊維を構成する素材がセルロース繊維の場合に強力低下を防止することができる。
本発明の繊維処理剤が用いられる処理工程、すなわち、本発明の染色繊維の製法において、上記繊維処理剤をバット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維に付与する処理工程は、染色後の分繊工程、製織前の糊付工程および縫製後の加工工程のうちのいずれの工程であってもよい。なかでも、分繊工程および/または糊付工程で付与されるのが好ましく、糊付工程で付与されるのがさらに好ましい。なお、加工工程で原料繊維に付与すると、本来付与の必要性のない、緯糸にも付与することになるので経済的でないこともある。
上記付与は、浸漬法、含浸法、パッドドライ法、スプレー法およびコーティング法のいずれかの方法で行われると好ましい。これらの方法のうちでも、繊維表面部から繊維内部まで処理剤を付与することが可能であり、しかも、現行生産機械がそのまま利用可能でき、経済性にも優れるという理由から、パッドドライ法がさらに好ましい。
原料繊維に対する本発明の繊維処理剤の付与率については、特に限定はないが、原料繊維に付与された繊維処理剤の乾燥固形分の原料繊維に対する重量割合(付与率;乾燥固形分/原料繊維)が3〜30重量%となるように、本発明の繊維処理剤が付与されるのが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは8〜20重量%、最も好ましくは10〜15重量%である。ここで、繊維処理剤の乾燥固形分は、湿度65%、20℃の雰囲気下で放置して恒量に達した繊維処理剤の乾燥重量をいう。
上記付与率が3重量%より少ないと、本発明の効果が得られ難くなる。一方、付与率が30重量%より多いと、摩擦堅牢度向上の効果が付与率に見合ったものとはならず、頭打ちとなり、経済的でない。
本発明の繊維処理剤を原料繊維に付与する場合、その付与温度は、25〜80℃が好適である。付与温度が25℃より低いと、一定温度保持が難しいために原料繊維への一定付与ができなくなることがある。一方、付与温度が80℃より高いと、原料繊維に含まれる染料の溶出が多くなることがある。
本発明の繊維処理剤が付与された原料繊維の乾燥温度については、特に限定はないが、好ましくは80〜120℃である。また、乾燥だけでもアルミニウム化合物の効果により、耐水性のある糊皮膜を形成させることができるが、摩擦堅牢度をさらに向上させるには、150℃〜180℃の熱セットを行うのが好ましい。
本発明の染色繊維の製法で、本発明の繊維処理剤を糊付工程以外で付与する場合、本発明の繊維処理剤とともに、本発明の効果を損なわない範囲で、他の繊維加工薬剤や繊維加工助剤と併用して処理してもよい。このような薬剤や助剤としては、たとえば、消臭剤、抗菌剤、防腐剤、柔軟剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、硬仕上げ剤、紫外線吸収剤、防汚剤、親水化剤等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。特に、繊維処理剤を分繊工程で付与する場合は、本発明の繊維処理剤以外に、公知の分繊剤として、たとえば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、動植物油、エステル系ワックス、鉱物油、POEアルキルエーテル等の非イオン活性剤、4級アンモニウムクロライド等のカチオン活性剤等からなるワックスおよびワックスエマルジョン等を併用してもよい。
以下、本発明の染色繊維の製法を利用してインジゴブルーデニムを生産する場合について、一連の製造工程を詳しく説明する。
まず、綿糸を400〜600本のロープに整経した後、このロープを、最初は、20℃〜60℃の水洗槽、次に、アルキルサルフェート金属塩等のアニオン活性剤および苛性ソーダ水溶液の浸透槽、最後に、pH12程度に調整されたハイドロサルファイトおよび水酸化ナトリウムおよびインジゴ染料からなる染色槽を通過させ、空気酸化させて染色する。染色槽は必要染色濃度に応じて、染料濃度および染色回数および空気酸化時間は適宜調整されるが、通常、濃色染色の場合、インジゴ染料濃度1〜7g/リットルの染色槽を9〜12回、空気酸化工程を入れながら繰り返し行われる。空気酸化により発色されたインジゴ染色糸は、その後、糸表面に過剰付着したインジゴ染料や付着している水酸化ナトリウム等の洗浄除去の目的で、20〜60℃の3〜5槽からなる水洗湯洗槽を通過させる。
その後、分繊工程を経て荒巻整経ビームに整経されたインジゴ染色糸は、スラッシャーサイジング機を用いて、糊付(糊剤を付与する工程)し、100〜130℃のシリンダーで乾燥され、織機ビームに巻き取られた後、緯糸に未染色の綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、テンセル、ポリウレタンを用いてAIR JET織機、レピア織機等で綾織物として製織され、デニム布が得られる。ここで用いる糊剤として、本発明の繊維処理剤が使用される。
製織されたデニム布は、付与した糊剤を除去する目的で糊抜き工程、ガスバーナーにより布表面の毛羽を除去する目的で毛焼工程、湯洗工程、布の防縮の目的でサンフォライズ工程、引き裂き強度向上の目的でグリオキザール樹脂加工等が施された後、ジーンズに縫製される。その後、ジーンズに風合、色彩等の機能性を付与する目的で、柔軟、ブリーチ、ストーンウオッシュ、ケミカルウオッシュ等の処理が行われて、ジーンズ製品が完成する。
以下の実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
〔実施例1〕
(前工程)
ポリビニルアルコール10.0部(日本酢ビ・ポバール社製のJポバールJM−26;ケン化度:97%;重合度:2600)および油剤0.50部(松本油脂製薬株式会社製のマコノールTS−253;パラフィン、牛脂硬化油およびノニオン活性剤配合品)を冷水87.8部に攪拌下で混合し、常温で10分間攪拌する。さらに90℃で90分間攪拌する。
(後工程)
前工程で得られた混合物を50℃に冷却し、ポリ塩化アルミニウム1.20部(大明工業社製のアルファイン83;アルファイン83は水溶液であるので、1.20部は水を除いたポリ塩化アルミニウムの純分を酸化アルミニウムに換算した値)を攪拌下、均一混合し、さらに炭酸ナトリウム0.52部を混合してpH調整を行い、繊維処理剤(1)を得た。
繊維処理剤(1)中の絶乾固形分は12.2重量%であった。なお、絶乾固形分は、赤外線水分計FD−230(ケット科学研究所製)にて110℃で水分率を測定し、算出した。
繊維処理剤(1)において、アルミニウム重量のポリビニルアルコール重量に対する割合(アルミニウム/ポリビニルアルコール)は3.75重量%、pHはガラス電極pHメーター(会社名:堀場製作所;製品名:pH METER F−14)を用いて20℃で測定して7.6であった。
得られた繊維処理剤(1)を、一本糊付機(梶製作所製)を用いて、綿インジゴ染色糸(綿10番単糸、9回染)に30℃で付与し、80℃で3分間乾燥後、ピンテンター(大栄科学精器製作所製)で150℃、2分間熱セットして処理糸を得た。得られた処理糸と綿10番手とを緯糸として下記条件でデニム(綾織)を製織した。
<デニム製織条件>
織機:スルーザー 600rpm
経糸:綿10番手単子 60本/インチ
緯糸:綿10番手単子 54本/インチ
経糸総本数:4890本
得られたデニムについて以下の性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
<性能評価方法>
(1)付与率
糸に対して繊維処理剤を付与、乾燥する前後の重量変化から、繊維処理剤の付与率(重量%)を算出した。
(2)耐摩擦回数
糸の耐摩耗性(織機での製織性)を評価するため、TM式抱合力試験機(大栄科学製機社製のTM−200)を用いて、糸5本/荷重200gで摩擦回数300回/分の条件で摩擦して、糸5本が全て切断するまでの回数を測定した。なお、測定は1試料につき6回実施し、その平均値を算出した。この回数が高いほど、製織性が良好である。
(3)強力
処理糸の強度を評価するため、引張圧縮試験機(NMB社製のTG−2kN)を用いて処理糸の強力を測定した。尚、測定は1試料につき10回実施し、その平均値を算出した。強力が高いほど、製織性、処理糸から得られる布等の強度が良好である。
(4)摩擦堅牢度
一回洗い前後のデニムの摩擦堅牢度(乾摩擦、湿摩擦)をJIS L 0849(学振法)にて行い、汚染用グレースケール(JIS L 0805に規定)にて摩擦堅牢度を評価した。一回洗いの条件は65℃×20分間であり、摩擦回数は100回であった。摩擦堅牢度を1級から5級の範囲で評価した。なお、1級は摩擦堅牢度が最も劣っており、5級は摩擦堅牢度が最も優れている。
〔実施例2〜4〕
実施例1において、それぞれの配合成分を表1に示す成分および量に変更する以外は、実施例1と同様にして、繊維処理剤(2)〜(4)をそれぞれ調製した。
得られた繊維処理剤(2)〜(4)について、実施例1と同様に性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例1および2〕
実施例1において、それぞれの配合成分を表1に示す成分および量に変更する以外は、実施例1と同様にして、比較繊維処理剤(1)および(2)をそれぞれ調製した。
得られた比較繊維処理剤(1)および(2)について、実施例1と同様に性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2010013771
上記表1において使用した各成分の詳細は以下のとおりである。
PVA1:日本酢ビ・ポバール社製のJポバールJM−26(ケン化率97%、重合度2600のポリビニルアルコール)
PVA2:日本酢ビ・ポバール社製のJポバールJF−17(ケン化率98%、重合度1700のポリビニルアルコール)
PVA3:日本酢ビ・ポバール社製のJポバールJP−18Y(ケン化率88%、重合度1800のポリビニルアルコール)
ポリ塩化アルミニウム:大明工業社製のアルファイン83(アルファイン83は水溶液であるので、表1では、水を除いたポリ塩化アルミニウムの純分を酸化アルミニウムに換算した値を記載)
澱粉:日本食品化工社製の日食コーンスターチY
炭酸ナトリウム:東ソー社製のソーダ灰ライト食添
油剤:松本油脂製薬株式会社製のマコノールTS−253
Figure 2010013771
上記結果を比較することにより、本発明の繊維処理剤は、優れた摩擦堅牢度、特に湿摩擦堅牢度を示すことが分かる。
バット染料(建染染料)または硫化染料で染色された原料繊維に対して、本発明の繊維処理剤を用いることで、極めて優れた摩擦堅牢度、特には湿摩擦堅牢度が付与されることが分かる。したがって、本発明の繊維処理剤を、特には優れた湿摩擦堅牢度を有することが望まれるインジゴブルーデニムやカラーデニムに適用した場合の工業的利用価値は大である。

Claims (8)

  1. バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維の処理工程で用いられ、ケン化率80%以上のポリビニルアルコール、アルミニウム化合物および水を必須成分として含む、繊維処理剤。
  2. pHが4〜9の範囲にある、請求項1に記載の繊維処理剤。
  3. アルミニウム重量のポリビニルアルコール重量に対する割合(アルミニウム/ポリビニルアルコール)が0.1〜20重量%である、請求項1または2に記載の繊維処理剤。
  4. 前記原料繊維がセルロース系繊維であり、前記染料がインジゴ染料である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
  5. 前記処理工程が製織前の糊付工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維処理剤を、バット染料および/または硫化染料から選択された染料で加工された原料繊維に付与する処理工程を含む、染色繊維の製法。
  7. 前記付与を含浸法、パッドドライ法、スプレー法およびコーティング法のいずれかの方法で行う、請求項6に記載の染色繊維の製法。
  8. 請求項6または7に記載の製法で得られた染色繊維。
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