JP2010013407A - アミノアルコール誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れたS1P3アンタゴニスト活性を有する医薬として有用なアミノアルコール誘導体を提供する。
【解決手段】
(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物。
【選択図】 なし
【解決手段】
(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、医薬として有用なアミノアルコール誘導体、その塩及び水和物並びにそれらを有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニストに関する。
スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は、スフィンゴシン代謝における中間代謝物にすぎないとみなされていたが、細胞増殖促進作用や細胞運動機能の制御作用を有することが報告されるに至り、アポトーシス作用、細胞形態調節作用、血管収縮などの多彩な生理作用を発揮する新しい脂質メディエーターであることが明らかとなってきている(非特許文献1、非特許文献2)。この脂質は細胞内セカンドメッセンジャーとしての作用と、細胞間メディエーターとしての二つの作用を併せ持つが、特に細胞間メディエーターとしての作用に関する研究が活発に行なわれており、細胞膜表面上に存在する複数のG蛋白質共役型受容体(Endothelial Differentiation Gene, EDG)を介して情報伝達がなされていることが報告されている(非特許文献1、非特許文献3)。現在S1P受容体にはEdg-1、Edg-3、Edg-5、Edg-6及びEdg-8の5つのサブタイプが知られており、各々S1P1、S1P3、S1P2、S1P4、S1P5とも呼ばれている。
これらS1P受容体に対する様々な研究から、この受容体へのアゴニスト活性あるいはアンタゴニスト活性を示す、いわゆるS1P受容体調節剤が多岐にわたる疾患に対し有効性を発揮する報告がなされるようになった。このようなS1P受容体調節剤としては、例えば特許文献1記載の例がある。
これらS1P受容体に対する様々な研究から、この受容体へのアゴニスト活性あるいはアンタゴニスト活性を示す、いわゆるS1P受容体調節剤が多岐にわたる疾患に対し有効性を発揮する報告がなされるようになった。このようなS1P受容体調節剤としては、例えば特許文献1記載の例がある。
本発明が解決しようとする課題は、優れたS1P3アンタゴニスト活性を有するアミノアルコール誘導体を提供することにある。
本発明者らは、S1P3アンタゴニスト作用を有する化合物について検討を重ねたところ、ある種のアミノアルコール誘導体を旋光度(+)となるように製造すると、S1P3アンタゴニスト作用及びS1P3選択性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は
1)(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物、
2) 1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト、
3) 1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト作用に基づく医薬、
4)気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症または敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストームの治療薬である3)記載の医薬、
5)動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症または黄班変性症の治療薬である3)記載の医薬。
6)1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物及び薬学的に許容されうる担体を含有する医薬組成物、
に関するものである。
1)(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物、
2) 1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト、
3) 1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト作用に基づく医薬、
4)気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症または敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストームの治療薬である3)記載の医薬、
5)動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症または黄班変性症の治療薬である3)記載の医薬。
6)1)記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物及び薬学的に許容されうる担体を含有する医薬組成物、
に関するものである。
本発明により優れたS1P3アンタゴニスト作用を有し、かつ、S1P1アンタゴニスト作用が軽減されたアミノアルコール誘導体の提供が可能となった。したがって、本発明化合物は、気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症、敗血症・インフルエンザウイルス・RSウイルス感染に基づくサイトカインストーム(過剰産生)、動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症、黄班変性症の予防または治療に有用である。
本発明における薬学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩又は酒石酸塩のような酸付加塩とナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などのアルカリ付加塩が挙げられる。
後述する実験例に示すように本発明化合物である(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルは、その光学異性体である(−)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルと比較して、約10倍のS1P3アンタゴニスト作用を示した。
一方、具体的なデータは示していないが、本発明化合物である(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルは、その光学異性体である(−)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルと比較して、弱いS1P1アンタゴニスト作用を示した。
したがって、本発明は、選択性に優れたS1P3アンタゴニスト、ひいては、副作用の軽減された医薬の提供に寄与する。
一方、具体的なデータは示していないが、本発明化合物である(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルは、その光学異性体である(−)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステルと比較して、弱いS1P1アンタゴニスト作用を示した。
したがって、本発明は、選択性に優れたS1P3アンタゴニスト、ひいては、副作用の軽減された医薬の提供に寄与する。
本発明の医薬は、S1P3アンタゴニスト作用に基づく医薬である。S1P3アンタゴニストに関する研究として特許文献A〜Iや非特許文献A〜Hなどの報告がなされている。
特許文献E、非特許文献F〜Hは、S1P3アンタゴニストが気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症または敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストームの治療または予防薬として有効であることが報告する。また、特許文献F〜Iは、S1P3アンタゴニストが動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症、黄班変性症などにも有効であることを示している。
特許文献E、非特許文献F〜Hは、S1P3アンタゴニストが気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症または敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストームの治療または予防薬として有効であることが報告する。また、特許文献F〜Iは、S1P3アンタゴニストが動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症、黄班変性症などにも有効であることを示している。
本発明の医薬は、経口又は直腸内、皮下、静脈内、筋肉内、経皮等の非経口投与することができる。
本発明の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を医薬として用いるためには、固体組成物、液体組成物、及びその他の組成物のいずれの形態でもよく、必要に応じて最適のものが選択される。本発明の医薬は、本発明の化合物に薬学的に許容される担体を配合して製造することができる。具体的には、常用の賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、糖衣剤、pH調整剤、溶解剤、又は水性若しくは非水性溶媒などを添加し、常用の製剤技術によって、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、などに調製することができる。
本発明化合物又は薬学的に許容されるその塩の投与量は、疾患、症状、体重、年齢、性別、投与経路等により異なるが、成人に対し、経口投与の場合、好ましくは約0.01〜約1000mg/kg体重/日であり、より好ましくは約0.5〜約200mg/kg体重/日であり、これを1日1回又は数回に分けて投与することができる。
(実施例)
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル
WO04074297号パンフレット中の実施例271の化合物(100 mg)の塩化メチレン(2 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、常温にてヨードトリメチルシラン(105 μL)を滴下し、常温にて5時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck Silica gel 60 silanized/ 水 : アセトニトリル = 9 : 1のちに6 : 1のちに3 : 1 )にて精製し、目的物(63 mg)を白色粉末として得た。
融点: 156-158℃.
旋光度:[α]D 22 +0.824 (c 0.50, DMSO-1%TFA).
1H-NMR (DMSO-d6-dTFA, 400 MHz) :δ 1.77-1.86 (2H, m), 2.67-2.77 (2H, m), 3.56 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.60 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.99 (2H, d, J = 4.9 Hz), 6.69-6.74 (2H, m), 6.77 (1H, dt, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.18 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.24 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.33 (1H, d, J = 7.9 Hz).
HRESIMS(-) 432.04296 (C17H20ClNO6PSとして計算値 432.04375.
元素分析 : 実測値 C 45.19%, H 5.13%, N 3.10%, C17H21ClNO6PS. H2Oとして計算値 C 45.44%, H 4.83%, N 3.09%.
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
(+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル
WO04074297号パンフレット中の実施例271の化合物(100 mg)の塩化メチレン(2 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、常温にてヨードトリメチルシラン(105 μL)を滴下し、常温にて5時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck Silica gel 60 silanized/ 水 : アセトニトリル = 9 : 1のちに6 : 1のちに3 : 1 )にて精製し、目的物(63 mg)を白色粉末として得た。
融点: 156-158℃.
旋光度:[α]D 22 +0.824 (c 0.50, DMSO-1%TFA).
1H-NMR (DMSO-d6-dTFA, 400 MHz) :δ 1.77-1.86 (2H, m), 2.67-2.77 (2H, m), 3.56 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.60 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.99 (2H, d, J = 4.9 Hz), 6.69-6.74 (2H, m), 6.77 (1H, dt, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.18 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.24 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.33 (1H, d, J = 7.9 Hz).
HRESIMS(-) 432.04296 (C17H20ClNO6PSとして計算値 432.04375.
元素分析 : 実測値 C 45.19%, H 5.13%, N 3.10%, C17H21ClNO6PS. H2Oとして計算値 C 45.44%, H 4.83%, N 3.09%.
<比較例1>
(−)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル
WO04074297号パンフレット中の実施例270の化合物(100 mg)の塩化メチレン(2 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、常温にてヨードトリメチルシラン(105 μL)を滴下し、常温にて5時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck Silica gel 60 silanized/ 水 : アセトニトリル = 9 : 1のちに6 : 1のちに3 : 1 )にて精製し、目的物(50 mg)を白色粉末として得た。
融点: 155-158℃.
旋光度:[α]D 25 1.527 (c 0.50, DMSO-1%TFA).
1H-NMR (DMSO-d6-dTFA, 400 MHz) :δ 1.77-1.85 (2H, m), 2.68-2.75 (2H, m), 3.56 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.60 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.99 (2H, d, J = 4.9 Hz), 6.69-6.74 (2H, m), 6.77 (1H, dt, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.18 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.24 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.33 (1H, d, J = 7.9 Hz).
HRESIMS(-) 432.04034 (C17H20ClNO6PSとして計算値 432.04375.
(−)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル
WO04074297号パンフレット中の実施例270の化合物(100 mg)の塩化メチレン(2 mL)溶液にアルゴン雰囲気下、常温にてヨードトリメチルシラン(105 μL)を滴下し、常温にて5時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck Silica gel 60 silanized/ 水 : アセトニトリル = 9 : 1のちに6 : 1のちに3 : 1 )にて精製し、目的物(50 mg)を白色粉末として得た。
融点: 155-158℃.
旋光度:[α]D 25 1.527 (c 0.50, DMSO-1%TFA).
1H-NMR (DMSO-d6-dTFA, 400 MHz) :δ 1.77-1.85 (2H, m), 2.68-2.75 (2H, m), 3.56 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.60 (1H, d, J = 11.6 Hz), 3.99 (2H, d, J = 4.9 Hz), 6.69-6.74 (2H, m), 6.77 (1H, dt, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.18 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.24 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.33 (1H, d, J = 7.9 Hz).
HRESIMS(-) 432.04034 (C17H20ClNO6PSとして計算値 432.04375.
<参考例1>
2−アミノ−2−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェネチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩
アルゴンガス雰囲気下、WO03029205パンフレット中の実施例25の化合物 (300 mg)のアセトニトリル(5 mL)溶液に、氷冷下トリメチルシリルヨージド(0.393 mL)を加え、常温にて1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物を塩化メチレン(5 mL)に懸濁し、氷冷下トリエチルアミン(0.23 mL)及びジ−t−ブチルジカーボネート(264 mg)を加え、0℃で1時間、更に常温にて1時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルにて抽出後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、分取用薄層クロマトグラフィー(シルカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、無色のアモルファス状物(224 mg)を得た。これを10%塩酸-メタノール(5 mL)に溶解し、常温にて一終夜撹拌後、減圧下溶媒を留去した。残留物にジイソプロピルエーテルを加え、析出した結晶を濾取し、目的物(152 mg)を白色粉末として得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ1.75-1.80 (2H, m), 2.70-2.75 (2H, m), 3.55 (4H, d J = 4.9 Hz), 5.42 (2H, t, J = 4.9 Hz), 6.73-6.79 (3H, m), 7.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.26 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.30 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.37 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.90 (3H, br s), 9.77 (1H, br s).
LRMS (FAB+): 354 [M+H]+
2−アミノ−2−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェネチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩
アルゴンガス雰囲気下、WO03029205パンフレット中の実施例25の化合物 (300 mg)のアセトニトリル(5 mL)溶液に、氷冷下トリメチルシリルヨージド(0.393 mL)を加え、常温にて1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物を塩化メチレン(5 mL)に懸濁し、氷冷下トリエチルアミン(0.23 mL)及びジ−t−ブチルジカーボネート(264 mg)を加え、0℃で1時間、更に常温にて1時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルにて抽出後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、分取用薄層クロマトグラフィー(シルカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、無色のアモルファス状物(224 mg)を得た。これを10%塩酸-メタノール(5 mL)に溶解し、常温にて一終夜撹拌後、減圧下溶媒を留去した。残留物にジイソプロピルエーテルを加え、析出した結晶を濾取し、目的物(152 mg)を白色粉末として得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ1.75-1.80 (2H, m), 2.70-2.75 (2H, m), 3.55 (4H, d J = 4.9 Hz), 5.42 (2H, t, J = 4.9 Hz), 6.73-6.79 (3H, m), 7.20 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.26 (1H, dd, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.30 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.37 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.90 (3H, br s), 9.77 (1H, br s).
LRMS (FAB+): 354 [M+H]+
<実験例1> S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)によるヒトS1P3受容体発現細胞の細胞内カルシウム動員に対する被験化合物の抑制作用
10%のウシ胎児血清、及び400 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地でヒトS1P3受容体発現CHO細胞を継代培養した。このヒトS1P3受容体発現CHO細胞を1 mM EDTA/PBSを用いて回収し、10%のウシ胎児血清を含むHam's F-12培地に浮遊した後、7×104 cells/100μL/wellで96穴黒色クリアボトム培養プレート(コースター)に播種し、37℃、5%CO2下で一晩培養した。細胞内カルシウム動員の測定を、Calcium kit-Fluo3(同仁化学)を用いて以下のように行った。各ウエルから培地を吸引除去し、直ちにLoading buffer (0.75% Fluo-3-AM、0.025% Pluronic F-127、1× Recording Medium、0.025 mg/mL BSA(fatty acid free)、1.25 mmol/L Probenecid)を50μL/wellずつ添加し、37℃、5%CO2下で80分間培養した。その後、リン酸緩衝液で各ウエルの細胞を洗浄した後、Recording buffer(1× Recording Medium、0.025 mg/mL BSA(fatty acid free)、1.25 mmol/L Probenecid)を90μL/wellずつ添加し、マイクロプレート蛍光分光光度計(FLEX Station、モレキュラーデバイス)を用いて、励起波長485nm、検出波長525nmにおける蛍光強度を測定した。S1Pと被験化合物を蛍光測定開始18秒後に同時添加し、1.5秒毎で添加後100秒まで蛍光強度を連続測定した。この時のS1Pの最終濃度は3 nMとし、被験化合物の最終濃度は0.01、0.1、1、10、100、1000および10000 nMの7濃度とした。測定データより最大蛍光強度から最小蛍光強度を引いた値(蛍光増加量)を算出した。溶媒のみを添加したときの蛍光増加量とS1P(3 nM)のみを作用させたときの蛍光増加量の差を100%として、S1Pと被験化合物を同時添加した時の蛍光増加率(%)を算出した。測定した7濃度すべての蛍光増加率を使用して、PRISMソフトウェア(GraphPad)を用いてIC50値を求めた。
実施例1の化合物のIC50値は54nMであり、比較例1の化合物のIC50値は640nMであった。
10%のウシ胎児血清、及び400 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地でヒトS1P3受容体発現CHO細胞を継代培養した。このヒトS1P3受容体発現CHO細胞を1 mM EDTA/PBSを用いて回収し、10%のウシ胎児血清を含むHam's F-12培地に浮遊した後、7×104 cells/100μL/wellで96穴黒色クリアボトム培養プレート(コースター)に播種し、37℃、5%CO2下で一晩培養した。細胞内カルシウム動員の測定を、Calcium kit-Fluo3(同仁化学)を用いて以下のように行った。各ウエルから培地を吸引除去し、直ちにLoading buffer (0.75% Fluo-3-AM、0.025% Pluronic F-127、1× Recording Medium、0.025 mg/mL BSA(fatty acid free)、1.25 mmol/L Probenecid)を50μL/wellずつ添加し、37℃、5%CO2下で80分間培養した。その後、リン酸緩衝液で各ウエルの細胞を洗浄した後、Recording buffer(1× Recording Medium、0.025 mg/mL BSA(fatty acid free)、1.25 mmol/L Probenecid)を90μL/wellずつ添加し、マイクロプレート蛍光分光光度計(FLEX Station、モレキュラーデバイス)を用いて、励起波長485nm、検出波長525nmにおける蛍光強度を測定した。S1Pと被験化合物を蛍光測定開始18秒後に同時添加し、1.5秒毎で添加後100秒まで蛍光強度を連続測定した。この時のS1Pの最終濃度は3 nMとし、被験化合物の最終濃度は0.01、0.1、1、10、100、1000および10000 nMの7濃度とした。測定データより最大蛍光強度から最小蛍光強度を引いた値(蛍光増加量)を算出した。溶媒のみを添加したときの蛍光増加量とS1P(3 nM)のみを作用させたときの蛍光増加量の差を100%として、S1Pと被験化合物を同時添加した時の蛍光増加率(%)を算出した。測定した7濃度すべての蛍光増加率を使用して、PRISMソフトウェア(GraphPad)を用いてIC50値を求めた。
実施例1の化合物のIC50値は54nMであり、比較例1の化合物のIC50値は640nMであった。
<実験例2>S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)によるヒトS1P3受容体発現細胞の細胞内カルシウム動員に対する被験化合物の抑制作用
10%のウシ胎児血清、および300 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地でヒトS1P3受容体発現CHO細胞を継代培養した。このヒトS1P3受容体発現CHO細胞を0.25 % トリプシン処理後、ディッシュより回収し、10% ウシ胎児血清および300 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地に浮遊した後、7 × 104 /100 μL/wellとなるように96 穴黒色クリアボトムプレート(BD Falcon Biocoat)に播種し、37 ℃、5 % CO2下で一晩培養した。翌日、100 μL 0.1 % 脂肪酸不含ウシ血清アルブミン (BSA)含有PBSにてwellを3回洗浄した。0.1 % BSA含有Ham's F-12培地に交換後、37 ℃ CO2インキュベータで6時間血清飢餓処理を行った。Fluo3-AM (Dojindo)とpluronic F-127 (20% DMSO溶液、invitrogen) を等量混合した後、Hanks-HEPES バッファー(20 mM HEPES (pH7.4), 0.1% BSA (Fatty acid Free), 2.5 mM probenecid含有ハンクス平衡塩溶液)に加え、Fluo3-AMの終濃度を4μMとしたものを、Fluo3 loading bufferとした。
6時間後に培地を捨て、上記のFluo3 loading bufferを50 μL/well加え、さらに1時間培養した。1時間のインキュベートの後、100 μL のHanks-HEPES バッファーで3回洗った。被験化合物 (125 nM、1.25 μM、12.5 μM)またはDMSOを溶解した同バッファーを100 μL加え、マイクロプレート蛍光分光光度計 (FLEX Station (Molecular Device社))中で37 ℃、30分インキュベートした。その後、同装置を用いて、段階希釈法にて終濃度の5倍濃度で作製したS1P (終濃度0.1 nM、1 nM、10 nM、100 nM、1 μM)を25 μL加え、カルシウム動員に基づくFluo3による蛍光を、励起波長485nm、検出波長525nmで検出、測定した。測定データより最大蛍光強度から最小蛍光強度を引いた値 (蛍光増加量)を算出した。測定した蛍光増加量を使用し、PRISM 4ソフトウェア (GraphPad)を用いて、S1Pの濃度と蛍光増加量の関係を曲線近似した。その結果より、化合物未処理時および各濃度の化合物処理時におけるEC50値を各々算出した。これら数値をもとにSchild Plot解析を行い、解離定数Kd値を求めた。
実施例1の化合物のKd値は1.6 nMであった。
10%のウシ胎児血清、および300 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地でヒトS1P3受容体発現CHO細胞を継代培養した。このヒトS1P3受容体発現CHO細胞を0.25 % トリプシン処理後、ディッシュより回収し、10% ウシ胎児血清および300 μg/mLのGeneticinを含むHam's F-12培地に浮遊した後、7 × 104 /100 μL/wellとなるように96 穴黒色クリアボトムプレート(BD Falcon Biocoat)に播種し、37 ℃、5 % CO2下で一晩培養した。翌日、100 μL 0.1 % 脂肪酸不含ウシ血清アルブミン (BSA)含有PBSにてwellを3回洗浄した。0.1 % BSA含有Ham's F-12培地に交換後、37 ℃ CO2インキュベータで6時間血清飢餓処理を行った。Fluo3-AM (Dojindo)とpluronic F-127 (20% DMSO溶液、invitrogen) を等量混合した後、Hanks-HEPES バッファー(20 mM HEPES (pH7.4), 0.1% BSA (Fatty acid Free), 2.5 mM probenecid含有ハンクス平衡塩溶液)に加え、Fluo3-AMの終濃度を4μMとしたものを、Fluo3 loading bufferとした。
6時間後に培地を捨て、上記のFluo3 loading bufferを50 μL/well加え、さらに1時間培養した。1時間のインキュベートの後、100 μL のHanks-HEPES バッファーで3回洗った。被験化合物 (125 nM、1.25 μM、12.5 μM)またはDMSOを溶解した同バッファーを100 μL加え、マイクロプレート蛍光分光光度計 (FLEX Station (Molecular Device社))中で37 ℃、30分インキュベートした。その後、同装置を用いて、段階希釈法にて終濃度の5倍濃度で作製したS1P (終濃度0.1 nM、1 nM、10 nM、100 nM、1 μM)を25 μL加え、カルシウム動員に基づくFluo3による蛍光を、励起波長485nm、検出波長525nmで検出、測定した。測定データより最大蛍光強度から最小蛍光強度を引いた値 (蛍光増加量)を算出した。測定した蛍光増加量を使用し、PRISM 4ソフトウェア (GraphPad)を用いて、S1Pの濃度と蛍光増加量の関係を曲線近似した。その結果より、化合物未処理時および各濃度の化合物処理時におけるEC50値を各々算出した。これら数値をもとにSchild Plot解析を行い、解離定数Kd値を求めた。
実施例1の化合物のKd値は1.6 nMであった。
本発明により優れたS1P3アンタゴニスト活性をするアミノアルコール誘導体の提供が可能となり、本発明化合物は、気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症、敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストーム、動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、ARDSなどの肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症、黄班変性症の予防又は治療薬として有用である。
Claims (6)
- (+)−2−アミノ−4−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル]−2−ヒドロキシメチルブチルホスホン酸モノエステル、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物。
- 請求項1記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト。
- 請求項1記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物を有効成分とするスフィンゴシン−1−リン酸3リセプターアンタゴニスト作用に基づく医薬。
- 気道収縮、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、気管狭窄症、びまん性汎細気管支炎、感染、結合組織病もしくは移植に伴う気管支炎、びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、間質性肺炎、肺癌、過敏性肺臓炎、特発性間質性肺炎、肺線維症または敗血症、インフルエンザウイルス、RSウイルス感染に基づくサイトカインストームの治療薬である請求項3記載の医薬。
- 動脈硬化症、血管内膜肥厚、固形腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、心不全、虚血性再灌流障害、くも膜下出血後の脳血管スパズム、冠血管スパズムを原因とする狭心症または心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症、肺浮腫を原因とする肺疾患、心不整脈、眼疾患、眼高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経症または黄班変性症の治療薬である請求項3記載の医薬。
- 請求項1記載の化合物、薬学的に許容される塩またはそれらの水和物および薬学的に許容されうる担体を含有する医薬組成物。
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---|---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-07-04 JP JP2008175453A patent/JP2010013407A/ja active Pending
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