JP2010013316A - 多孔質セラミックスの製造方法及び多孔質セラミックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石英を除去若しくは微粉砕した可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分とを夫々20重量%以上混合して所定形状に成形し、1100℃〜1350℃の温度で焼成する。これにより、スピネルを主成分としてコーディエライトを含む結晶体で、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が8.66×10−6/℃以下の多孔質セラミックスを得ることができる。
【選択図】なし
Description
特に当該反応容器は、原材料として粗粒のムライトやコーディエライトと微粒のアルミナ等、多様な粒度の原材料を粘土(主に石英とカオリナイト)と混合して製造するので、成形焼成後の製品も多様な粒度の原材料と粘土分解物とがまばらな状態で充填し均質ではない。残存石英(SiO2)はアルカリガスと反応してLi4SiO4等の含Li結晶を生成し、生成したLi4SiO4は400〜700℃の温度範囲でCO2ガスを25重量%吸収し、700℃で放出する特異性があり、その結果、反応容器内の部分体積膨張に伴う内部応力の増大と歪みが発生する。この歪みが反応容器の割れにつながるため、繰り返しの反応(焼成)では10回程度しか使用できない。セラミック反応容器の歪みや割れにより容器及び容器反応物が生成物(リチウムイオン二次電池正極材)中に崩落混入し、電池性能を劣化させたりするおそれもあるからである。
そのため、従来型のムライト−コーディエライト系材質のセラミック反応容器の使用回数は10サイクル程度で割れ、使用後は産業廃棄物として大量に捨てられている。
(1)アルカリの侵食が厳しいとされるセメント製造用ロータリーキルンの仮焼帯に、内張り耐火煉瓦としてシリカ−アルミナ質煉瓦が使用されているが、シリカ−アルミナ質煉瓦は、アルカリの侵食により剥離損耗が起きており、シリカ−アルミナ質煉瓦に含まれるクリストバライト(SiO2)がアルカリと反応してアルカリ鉱物やガラス相を生成し、これらの性質や生成量が煉瓦損傷に影響を与えると考えられる点。
(2)リチウムイオン二次電池正極材(例えばLiMnO2、LiCoO2、LiNiO2)の製造における1000℃前後の熱処理においても、反応容器の材質は加熱に伴う高蒸気圧のアルカリガス(Li2O)に曝され、木節粘土、蛙目粘土、未利用粘土等に含まれるカオリナイトの分解物のクリストバライトや粘土分中に含まれる石英(SiO2)が、アルカリの強いLi2Oガスの侵食により、前記した如く反応容器セラミック材質中の遊離SiO2と反応してCO2を吸放出しやすいLi4SiO4等を生成して反応容器の劣化速度を早めていると考えられる点。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、より低温焼結に好適な製造方法とするために、前記3成分の混合の際、Na、K、Ca、Fe元素を含む原料鉱物成分中の酸化物の合計が全体の5重量%以下となるように調整することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、焼成体の収縮を好適に抑えるために、セラミックス粒子からなる骨材を10重量%〜65重量%の範囲内で混合して成形することを特徴とするものである。
一方、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、多孔質セラミックスであって、晶出型スピネルを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が8.66×10−6/℃以下であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、BET法で比表面積が0.3m2/g以上であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5の構成において、石英成分を含まないことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6の何れかの構成において、焼成体内にセラミックス粒子からなる骨材を有し、焼成収縮率が10%未満であることを特徴とするものである。
また、耐アルカリ性に優れているため、リチウムイオン二次電池正極材(例えばLiMnO2、LiCoO2、LiNiO2)製造において、セラミック反応容器として1000℃前後の高温下で使用できる。この際、Li2Oガスによるアルカリアタックに曝された場合でも、それとセラミック反応容器組成分との反応生成物であるガラス量は抑えられ、侵食は少ない。特に、セラミック反応容器には単成分の石英(SiO2)を含まないために、アルカリの強いLi2Oガスとこれらの単成分の反応生成物は無い。
具体的には、石英とLi2Oガスが反応して、Li4SiO4等の含リチウム結晶を生成してCO2ガスの吸収放出に伴う体積膨張を起こすこともないので、セラミック反応容器の膨張破壊が生じ、生成物のリチウムイオン二次電池正極材に破片等の異物が混入することも防ぐことができる。更にセラミック反応容器の長寿命化を図ることができる。
一方、熱衝撃性も高まって割れ難くくなるため、使用後に捨てられる産業廃棄物の量を大幅に減らすことができる。また、見掛比重が小さいので、持ち運びなどの作業が楽であり、焼成の際は、燃料が少量で済む。さらに、ガス雰囲気焼成において、酸化、還元及び加湿反応において、多孔質セラミック反応容器内に均一にガスを供給できる。
そして、骨材を使用すれば焼成体の収縮を効果的に抑制可能となる。
但し、耐火度向上策としてNaイオン等のアルカリ成分の少ない原料を使用するのが望ましい。例えば、アルミナ成分としてはサッシ工場からの産業廃棄物Al(OH)3スラッジ等が活用できるが、このAl(OH)3にはNaイオン類等のアルカリ成分が多く含まれるため、pHが8になるくらいまで水洗いを行ったものを使用する。
しかし、1100℃以上の高温焼成では晶出型スピネルは成長し、絶対の熱膨張分は大きいので、これを避けるためにスピネルの近辺に逃げの細孔を配置する必要がある。そこで、スピネルの特性を生かし、熱衝撃に耐えるためには、空孔の導入法しかないと判断した。
表4には600℃〜1300℃までは100℃ごと、1300℃〜1400℃までは50℃ごとに電気炉中で表示温度1時間焼成し、各温度の焼結体のX線回折結果を表した。また表5には各焼成温度での焼成収縮率、抗折強度、熱膨張係数、耐熱衝撃性を表した。
これによれば、1350℃までは見掛気孔率が40%を上回り、且つ比表面積が0.3m2/gを上回っていることがわかる。
三成分系MgO−Al2O3−SiO2の平衡状態図によると、スピネルとコーディエライトは1370℃〜1453℃で共存するが、本実施例によれば、これよりも低温である1200℃〜1350℃で共存した。但し、上述のようにスピネルは1100℃から晶出しているため、焼成温度として1100℃〜1350℃の範囲を選択すれば、晶出型スピネルを含む多孔質セラミックスが得られる。
また、抗折強度は600℃〜1200℃にかけて、焼成温度の上昇に従って高くなった。しかし、1300℃で抗折強度は低下し、また焼成温度の上昇に従って高くなった。耐熱衝撃性は、熱膨張係数値よりも、微細なスピネル、コーディエライトと細孔からなる微細組織の焼成体が、耐熱性、耐アルカリ性、耐熱衝撃性の対応には効果的であることが判明した。
表7に、001〜006の調合各焼成体における500℃、1100℃、1350℃の焼成収縮率及び見掛気孔率と、1100℃、1400℃の各温度で焼成した焼成体の耐熱衝撃試験ΔT=1000℃の結果を示す。
以上の結果より、調合名002、006の結果が良好であった。
Al(OH)3、蛙目粘土、菱苦土石を、表6に示す001〜006の6パターンの割合で素地を調合し、泥漿鋳込み成形法で反応容器φ85×45H、肉厚8mmに成形し、これを風乾燥後、電気炉内に設置して、1350℃の温度で焼成した。その後、各焼成体の容器内にて下記式1の反応(酸素雰囲気800℃〜1000℃)を行い、リチウムガスによる劣化状況を耐用回数で比較した。反応焼成条件は昇温150℃/h、キープ時間は1000℃で1hとした。耐用回数は反応容器の劣化状況を目視で判断し、割れが発生した時点をもって耐用回数とした。表8に成形の難易度、焼成後の状況、耐用回数、耐リチウム性を示す。
[式1]
(O2)
3/2Li2CO3+Co3O4 → 3LiCoO2+3/2CO2↑
Claims (7)
- 石英を除去若しくは微粉砕した可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分とを夫々20重量%以上混合して所定形状に成形し、1100℃〜1350℃の温度で焼成することを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
- 前記3成分の混合の際、Na、K、Ca、Fe元素を含む原料鉱物成分中の酸化物の合計が全体の5重量%以下となるように調整することを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
- セラミックス粒子からなる骨材を10重量%〜65重量%の範囲内で混合して成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
- 晶出型スピネルを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が8.66×10−6/℃以下であることを特徴とする多孔質セラミックス。
- BET法で比表面積が0.3m2/g以上であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質セラミックス。
- 石英成分を含まないことを特徴とする請求項4又は5に記載の多孔質セラミックス。
- 焼成体内にセラミックス粒子からなる骨材を有し、焼成収縮率が10%未満であることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の多孔質セラミックス。
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