JP6330877B2 - コーディエライト質キャスタブル耐火物の製造方法 - Google Patents

コーディエライト質キャスタブル耐火物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、キャスタブル耐火物に関し、特に、コークス炉の炉蓋に使用されるコーディエライト質キャスタブル耐火物に関するものである。
コークス炉は石炭を乾留してコークスを製造する炉である。コークス炉の乾留室の大きさは、高さ約5m、長さ約15m、幅45〜50cmであり、その両端、すなわち高さ5m、幅45〜50cmの部分を炉蓋で封じている。石炭の乾溜が完了すると、両側の炉蓋は解放され、その片側から押し出し機によってコークスを押し、他端からコークスが取り出される。その後、炉蓋を閉め、新しい石炭を装入して乾留する。このサイクルが1日に約1回行われる。このように、炉蓋は加熱・冷却される条件で使用され、また1年以上の長期間使用されるため、高い耐熱スポーリング性が求められる。
炉蓋は金属構造物の炉内側を耐火物で保護する構造となっており、その耐火物をドアブロックと称する。ドアブロックは当初煉瓦製であったが、近年では流し込み材によるプレキャストブロックへと変遷してきている。
ドアブロックは加熱冷却が繰り返し行われるため、耐熱衝撃性の優れた材料が使用される。また、コークス炉内に比較して炉蓋部は温度が低いため、石炭乾留時に発生するカーボンが付着するという問題点もある。さらに、加熱冷却によって発生した亀裂が上記カーボンの付着を助長させるという問題点があり、耐熱衝撃性に優れた材料であることが要求される。
以上の観点から、低熱膨張率原料であるコーディエライト質原料が主骨材として用いられたコーディエライト質キャスタブル耐火物が一般的に使用されている。コーディエライト(英語名:Cordierite)は、化学式が2MgO・2Al2O3・5SiO2で示される化合物で、低熱膨張性の材料として知られる。
低熱膨張性で耐熱衝撃性に優れるとされるコーディエライト質キャスタブル耐火物としては、特許文献1〜3などがある。
特許文献1(特公平3−29746)には、コーディエライト原料を10〜50重量%とアルミナ系原料、アルミナセメントから成る高炉吹付け補修用キャスタブル耐火物が紹介されている。
特許文献2(特開平7−258644)には、コーディエライト質のコークス炉炉扉に用いるキャスタブルブロックが開示されている。この発明では、石炭の乾留過程において原料炭から発生するタールや炭化水素によって、コークス炉炉扉の炭化室側にカーボンが付着し、操業に問題が起こるとしている。そこで、コーディエライト質キャスタブル耐火物の表面に釉薬層を設け、カーボンの付着を抑制し、また、カーボンの除去を容易にしようとするものである。
また、特許文献3(特開平11−60354)には、ゴミ焼却灰のガス冷却室用キャスタブル耐火物ブロックとして、コーディエライト約25wt%、シャモット60wt%、アルミナ5wt%、アルミナセメント10wt%のコーディエライト質キャスタブル耐火物の開示がある。
特公平3−29746号公報 特開平7−258644号公報 特開平11−60354号公報
前記特許文献1〜3のようなコーディエライト質キャスタブル耐火物は、低熱膨張性で耐熱衝撃性に優れるとはいえ、数百回以上加熱冷却が繰り返されると発生した亀裂が次第に進展し、剥離に至るという問題点があった。また、剥離に至らなくても、亀裂が大きくなると、カーボン付着を助長させるという問題があり、亀裂の進展を抑えることが課題となっていた。
本発明は、上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、長期間の使用に対し、亀裂の進展を抑え、耐熱スポーリング性向上による長寿命化が可能なコークス炉炉蓋のドアブロックとして使用するキャスタブル耐火物を得る方法を提供することにある。
本発明は、まず、コーディエライト質原料を20〜90質量%とアルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、硬化剤を原料とし、当該原料を1000℃〜1350℃で50時間以上焼成して気孔率20〜30%のコーディエライト質焼結体を得る。次いで、前記コーディエライト質焼結体を粉砕・調粒して、前記コーディエライト質焼結体の粉砕原料を20〜90質量%配合するコーディエライト質キャスタブル耐火物の製造方法である。
前記コーディエライト質キャスタブル耐火物は、前記コーディエライト質焼結体中の原料を含めて、コーディエライト質原料20〜90質量%、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、硬化剤からなる。
前記コーディエライト質焼結体としてコークス炉炉扉のドアブロックで使用後の材料を用いることができる。
本発明により、長期間の使用に対し、亀裂の進展を抑え、耐熱スポーリング性向上により長寿命となり、経済的かつ環境に対応したコークス炉炉扉のドアブロックに使用するキャスタブル耐火物を提供することが可能となる。
また、一旦使用されたドアブロックを利用することで、一層の経済的メリットが得られることになる。
更に、ドアブロックへの適用だけではなく、コークス炉で使用されている装入孔枠、蓋等の耐熱スポーリング性の求められるプレキャストブロック製品、あるいは窯口吹付材等の補修材への適用も可能である。
<原理>
耐熱スポーリング特性に優れるとされるコーディエライト質キャスタブル耐火物を使用した従来のコークス炉用炉蓋のドアブロックに入る亀裂発生と進展状況について観察したところ、亀裂の発生と進展は3段階に分かれる。
先ず、施工体を稼働させた直後に亀裂は入り易く、進展した。ある一定期間を過ぎた後は亀裂がほとんど進展せず、新たな亀裂の発生もなかった。末期になると再び亀裂が進展し、また新たな亀裂も発生した。
一般のキャスタブル耐火物では、使用回数が進むほど亀裂の進展速度が大きくなる傾向にあるが、コーディエライト質キャスタブル耐火物を使用した場合はこれとは全く異なる現象であり、コーディエライト質キャスタブル耐火物の特徴と見なせる。したがって、初期における亀裂の発生と進展を抑えれば、より高耐用の材料とすることができると推定される。
前記稼働初期における亀裂の発生と進展は、コーディエライト質キャスタブル耐火物の原料の特性にその原因を求めることができる。
すなわち、コーディエライト質キャスタブル耐火物は、原料にコーディエライトの他、アルミナ原料やムライトなどのアルミナ−シリカ原料などを用いる。原料の熱膨張係数を比較すると、アルミナが7.2×10-6/K、ムライトが5.0×10-6/Kであるのに対し、コーディエライトの熱膨張係数はおおよそ0.1×10-6/Kとたいへん小さい値となっている。
この原料間の熱膨張係数の差によって、稼働初期に亀裂の発生と進展が起こると考えられる。具体的には、稼働初期には原料粒子間の結合は弱く、温度変化による原料間の熱膨張差によって、亀裂が入り易い。それに対し、高温で使用して次第に焼結が進むと、原料間の結合が大きくなって組織が安定し亀裂が入りにくくなるものと推定される。
このことから、施工体の段階から、前記一定期間過ぎた後の組織に近付けることで、稼働初期における亀裂の発生と進展を抑えられると推定される。そのための方策としては、施工体内に熱処理して組織の安定した材料、換言すれば焼結体を添加することによって、初期亀裂の発生と進展が抑えられるとの推定が成立することになる。
実際に、以下に記述するように、前記焼結体として、コーディエライトを含有する焼結体の粉砕原料を活用することで、従来のコーディエライト質キャスタブル耐火物よりも低膨張化が可能で、優れた耐熱スポーリング性を実現した。
<原料>
本発明の製造方法において、原料には、コーディエライト質原料、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、硬化剤を用いる。
コーディエライトは、化学式が2MgO・2Al2O3・5SiO2で示される化合物で、熱膨張率が小さく耐熱スポーリング性に優れている材料である。コーディエライト質原料には、2MgO・2Al2O3・5SiO2が85量%以上含有する原料が好ましい。85質量%未満では耐熱スポーリング性が十分には発揮されない。より好ましくは90質量%以上である。コーディエライト質原料の製造方法は特には限定されず、天然鉱物の粉砕品、焼結法などによって製造したものなどを用いることができる。
アルミナ質原料は、市販されているホワイト電融アルミナやブラウン電融アルミナのような電融アルミナや焼結アルミナ、仮焼アルミナに加え、焼成ボーキサイトや焼成礬土頁岩のような天然アルミナも使用可能であり、これらのうち1種または2種以上を選び配合することが可能である。アルミナ純度85質量%以上が望ましく、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくはアルミナ純度99質量%以上の焼結アルミナや電融アルミナ、仮焼アルミナである。
アルミナ-シリカ質原料としては、安定化合物であるムライト質原料や粘土を焼きしめて造られるシャモット質原料などが一般的に使用可能である。Al2O3量とSiO2量の和を100質量部としたとき、Al2O3量が45〜85質量%のものが好ましい。より好ましくは、65〜75質量%である。
シリカ微粉は、粒径45μm以下のシリカ微粉を使用することが好ましい。この場合のシリカ微粉としては、例えばシリコンまたは珪素合金の製造の際に生じる副産物である揮発シリカなどが好ましく使用される。このような揮発シリカは、一般的に比表面積が15〜30m2/g程度のものが好ましく用いられる。なお、比表面積はガス吸着法などの一般的な方法で測定される。当該揮発シリカとして具体的には、シリカフラワー、マイクロシリカなどの商品名で市販されているものが使用できるが、これらに限定されない。
硬化剤としては、アルミナセメントを使用することが好ましいが、これに限らず、例えば珪酸ソーダ、シリカゾル、アルミナゾル、燐酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどから選ばれる1種または2種以上が使用できる。
アルミナセメントは、石灰とアルミナ質原料から溶融法あるいは焼成法で製造される高純度アルミナセメントが好ましい。より好ましくはアルミナ成分70質量%以上の高アルミナセメントである。
本発明の粒度構成は、特には限定されないが、例えば最大粒径を5〜10mm、より好ましくは8mmとし、1mm以上が30〜60質量%、0.1mm以上1mm未満が10〜50質量%、0.1mm未満が20〜50質量%であることが好ましい。1mm以上が30質量%より少ないと流動性が低下し、60質量%より多いと偏析が起こりやすくなるため好ましくない。また、0.1mm未満が20質量%より少ないと流動性が低下し、50質量%より多いと焼成収縮亀裂発生の原因となるため好ましくない。
<製造工程>
<コーディエライト質焼結体を得る工程>
まず、最初の工程として、コーディエライト質原料を20〜90質量%、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、アルミナセメントを原料(以下焼結体原料という)とした成形体を1000℃〜1350℃で50時間以上焼成して気孔率20〜30%の焼結体を得る。
前記焼結体原料中のコーディエライト質原料含有量は20〜90質量%、より好ましくは30〜60質量%である。20質量%未満では、焼結体中に含まれるコーディエライト量が少ないことで低膨張化の効果が小さく耐熱スポーリング性が向上しない。一方、90質量%を超えると微粉量が減ることでドアブロック施工体の充填性が悪化し、焼結体の強度が著しく低下すると共に耐熱スポーリング性が向上しない。
前記焼結体原料中のアルミナ原料は2〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜12質量%である。アルミナ原料が2質量%未満では、焼結体の強度が弱く好ましくない。アルミナ原料が15質量%より多くなると、焼結体の熱膨張が大きくなり過ぎ、ドアブロックの耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
前記焼結体原料中のアルミナ-シリカ質原料は5〜70質量%とすることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。5質量%未満では、強度が弱く好ましくない。70質量%より多くなると、良好な耐スポーリング性が得られないので好ましくない。
前記焼結体原料中のシリカ微粉は2〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜12質量%である。シリカ原料が2質量%未満では、強度が弱く好ましくない。シリカ原料が15質量%より多くなると、焼結が進みすぎて耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
前記焼結体原料中の硬化剤は5〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは7〜12質量%である。5質量%未満では、強度が弱く好ましくない。15質量%より多くなると、焼結が進みすぎて耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
コーディエライト質原料を20〜90質量%、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、アルミナセメントの合計を100質量%とした場合の粒度は、特には限定されないが、例えば最大粒径を5〜10mm、より好ましくは8mmとし、1mm以上が30〜60質量%、0.1mm以上1mm未満が10〜50質量%、0.1mm未満が20〜50質量%であることが好ましい。1mm以上が30質量%より少ないと流動性が低下し、60質量%より多いと偏析が起こりやすくなるため好ましくない。また、0.1mm未満が20質量%より少ないと流動性が低下し、50質量%より多いと焼成収縮亀裂発生の原因となるため好ましくない。
これらの原料を配合し、水を添加して混練し、成形体を得る。混練方法、成形方法は特には限定されず、各種の方法を採用できる。
この成形体を焼成してコーディエライト質焼結体を得る。
コーディエライト焼結体作製時の焼成温度は950℃〜1350℃が好ましい。より好ましくは950℃〜1200℃である。950℃未満では長時間焼成しても焼結性が不足し、焼結体強度が低く、高気孔率となるため好ましくない。また、1350℃以上ではコーディエライトが、焼結体原料に添加したアルミナやシリカなどと反応して分解するため、優れた低膨張性が得られず好ましくない。950〜1350℃の範囲であれば焼結体に配合したコーディエライトがほぼ全量残留する。
コーディエライト焼結体作製時の成形体の焼成時間は50時間以上が好ましい。より好ましくは100時間以上である。50時間未満では成形体全体が均一な焼結体となっておらず好ましくない。上限は特に規定しないが、長すぎると経済的な面から好ましくない。
得られた焼結体の気孔率は、20〜30%であることが好ましい。得られた気孔率が20%未満であると耐スポーリング性が向上しないため、好ましくない。気孔率が30質量%より多いと焼結体の気孔中にカーボンが沈着しやすくなり、その結果カーボン付着量が多くなるため好ましくない。より好ましい気孔率は22〜28%である。
<焼結体を粉砕・調粒する工程>
次いで、第2の工程として、上記のようにして得られたコーディエライト質焼結体を粉砕、調粒する。
粉砕、調粒する方法は特に規定されないが、エッジランナー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー等の装置を使用できる。
前記コーディエライト質焼結体として、コーディエライト質キャスタブル耐火物を成形したプレキャストブロックを焼成して得たプレキャストブロックの焼成体、あるいは、コーディエライトを所定量含有しコークス炉炉扉のドアブロックとして使用後の材料を用いることができる。
回収した使用後のドアブロックは浸炭している場合と浸炭していない場合があり、いずれも同様の粉砕工程でリサイクル原料とすることができる。前記浸炭している原料よりも浸炭していない原料の方が良いが、浸炭耐火物をそのまま使用しても構わない。また、浸炭耐火物は、熱処理酸化によって脱炭して使用してもよい。
更に、耐熱スポーリング性を向上させるためには、使用後のドアブロックを回収し、表面に付着したカーボンを除去した後、脱鉄して、1mm以上の粗粒部と1mm未満の微粉部に粒度調整し、粗粒部を優先的に適用する方が好ましい。
このため、前記焼結体を粉砕、調粒する際、例えば、以下の粒度とすることが好ましい。最大粒径は10mm以下とすることが好ましい。最大粒径が10mmより大きくなると、コークス炉ドアブロックを成形する際、大きな粒の偏析が起こりやすくなるため好ましくない。さらに、3mmを超え8mm以下を25〜40質量%とし、1mmを超え3mm以下を20〜35質量%、1mm以下を25〜40質量%とする。
<キャスタブル耐火物の製造工程>
さらに第3の工程として、コーディエライト質焼結体の粉砕原料を用い、当該コーディエライト質焼結体の粉砕原料を20〜90質量%配合して、キャスタブル耐火物を製造する。
コーディエライト質焼結体の添加量は20〜90質量%が好ましい。より好ましくは30〜70質量%である。20質量%未満では、焼結体中に含まれるコーディエライト含有量が少ないことで低膨張化の効果が小さく耐熱スポーリング性が向上しない。一方、90質量%を超えると粒度構成が粗粒過多となり流動性が著しく低下することにより水分量が増え、施工体強度が低下し、耐熱スポーリング性が向上しない。
コーディエライト質焼結体の粉砕原料、コーディエライト質原料、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、アルミナセメントの合計を100質量%とした場合の粒度は、特には限定されないが、例えば最大粒径を5〜10mm、より好ましくは8mmとし、1mm以上が30〜60質量%、0.1mm以上1mm未満が10〜50質量%、0.1mm未満が20〜50質量%であることが好ましい。1mm以上が30質量%より少ないと流動性が低下し、60質量%より多いと偏析が起こりやすくなるため好ましくない。また、0.1mm未満が20質量%より少ないと流動性が低下し、50質量%より多いと焼成収縮亀裂発生の原因となるため好ましくない。
耐熱スポーリング性を最大限に発揮させるためにはコーディエライト質原料は1mm以上の粗粒部で優先的に使用することが好ましいが、効果は小さくなるものの1mm未満の微粉部への適用も可能である。
本発明のコーディエライト質キャスタブル耐火物は、コーディエライト質原料、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、硬化剤からなる。
コーディエライト質キャスタブル耐火物中の前記コーディエライト質原料の含有量は、前記コーディエライト質焼結体中のコーディエライト量を含めては20〜90質量%であり、より好ましくは30〜60質量%である。20質量%未満では、焼結体中に含まれるコーディエライト量が少ないことで低膨張化の効果が小さく耐熱スポーリング性が向上しない。一方、90質量%を超えると前記焼結体の粒径はキャスタブル耐火物の粒度に比べて粗めに設定しているため微粉量が減ることでドアブロック施工体の充填性が悪化し、焼結体の強度が著しく低下すると共に耐熱スポーリング性が向上しない。
前記キャスタブル耐火物中のアルミナ原料は2〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜12質量%である。アルミナ原料が2質量%未満では、強度が弱く好ましくない。アルミナ原料が15質量%より多くなると、焼結体の熱膨張が大きくなり過ぎ、ドアブロックの耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
前記キャスタブル耐火物中のアルミナ-シリカ質原料は5〜70質量%とすることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。5質量%未満では、強度が弱く好ましくない。70質量%より多くなると、耐スポーリング性が向上しない。
前記キャスタブル耐火物中のシリカ微粉は2〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜12質量%である。シリカ原料が2質量%未満では、強度が弱く好ましくない。シリカ原料が15質量%より多くなると、焼結が進みすぎて耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
硬化剤は5〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは7〜12質量%である。5質量%未満では、強度が弱く好ましくない。15質量%より多くなると、焼結が進みすぎて耐スポーリング性が低下するため好ましくない。
<その他一般的な技術>
本発明に係る耐火物は不可避的な不純物として、例えば酸化鉄、MnO、TiO2、B23、P25、V25などの1種または2種以上を含有しても良い。不純物量は、5質量%以下であることが好ましい。
均質な成形体を得るために、必要に応じて0.01〜1.0質量%の分散剤を添加することができるが、例えばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、炭酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、クエン酸ソーダ、酒石酸塩などから選ばれる1種または2種以上を使用する。
適当な可使時間を得るために、必要に応じて0.01〜0.5質量%硬化調整剤を添加することが出来るが、これには例えばホウ酸、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸アンモニウム、ウルトラポリリン酸ソーダ、炭酸リチウムなどから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
キャスタブル耐火物の混練は、万能ミキサー、モルタルミキサー、平ミキサー、ボルテックスミキサー、二軸混練機などの公知の混練ミキサーを使用して混練することができる。
混練においては、通常、所定量の水を添加して混練するが、コロイダルシリカ水溶液などを使用することも可能である。
本発明に係るキャスタブル耐火物の施工の方法は従来周知の方法が用いられ、特には限定されないが、一般的な例をあげれば、上記に示した耐火物に外掛けで3〜8質量%程度の水分を添加し、型枠に流し込み施工する。施工の際には充填性を向上させるため、一般には型枠にバイブレータを取り付けるか、あるいは耐火物中に棒状バイブレータを挿入して加振する。所定時間おいて、流し込み材が硬化後、型枠を外す。
上記キャスタブル耐火物は、上記のように施工した後、乾燥し、または更に加熱してドアブロックとして使用することができる。乾燥装置には、電熱式乾燥、温風乾燥、熱風乾燥、輻射加熱式乾燥、バーナー乾燥、マイクロ波乾燥装置などの公知の乾燥方法が利用できる。
<実施例1>
表1の配合に従って、コーディエライト質成形体A〜Gを作成した。コーディエライト原料は2MgO・2Al2O3・5SiO2純度96質量%のものを使用し、アルミナ-シリカ質原料はムライト原料を、アルミナ原料にはAl2O3成分99質量%の高純度アルミナを使用した。アルミナセメントはCaO含有量25質量%のアルミナ70%クラスのものを選定した。シリカ微粉にはSiO2純度97質量%のものを使用した。また、各配合は分散剤としてポリアクリル酸ソーダを外掛け0.1質量%含んでいる。各配合は、所定の水を添加し、万能ミキサーを用いて5分間混練後、型枠に振動を付与した状態で流し込み施工し、室温で24時間養生後、110℃×24時間乾燥して、成形体を作製した。
一方、表1の配合Dにおいて、粒度配合及び混練時の添加水量を変えることによって、配合組成は同一であるが、気孔率が異なる焼結体D1〜D7を作成し、気孔率の異なるのコーディエライト焼結体を含むキャスタブル耐火物の特性を評価した。コーディエライト焼結体の他は表1に示した原料を用い、表1と同様に成形して、試験試料を作成した。
その結果を表2に示す。
耐スポーリング性は以下のように評価した。前述の方法により並型形状の成形体を作成した。並型形状の試料を片面から1200℃で45分加熱後15分空冷を1サイクルとして、加熱と冷却を10サイクル繰り返した。試験後の試験片を縦方向中央で切断し、亀裂の発生本数を数えた。亀裂本数1本以下のものを◎、亀裂本数が2〜3本のものを○、亀裂が4本以上のものを×と判断した。
また、定量評価として、同一条件の加熱冷却を行った試料の試験前後の動弾性率を測定し、弾性率低下率を評価した。弾性率低下率は数値が大きいほど、試験前後の弾性率の変化が小さく、耐熱スポーリング性に優れていることを示す。ここで示す動弾性率は、超音波パルスの横波伝播速度と嵩密度から求められる動的弾性率である。
本発明品1〜5は、良好な結果を得た。
それに対し、比較例1は、焼結体の気孔率が18.1%と低い場合であるが、耐スポーリング性が低く、弾性率低下率指数も小さい値となった。比較例2は、焼結体の気孔率が32.3%と大きい場合である。耐スポーリング性と弾性率低下率指数は許容範囲内にあった。しかし、キャスタブル耐火物の気孔率が、本発明品1〜5が26〜27%であるのに対し、比較例2では33.6%と大きくなり(表2には示していない)、コークス炉のドアブロックとして用いた場合、カーボン付着量が多くなることが予想されたため、好ましくないと判断した。
一方、成形体Dにおいて焼成条件を変えた焼結体を作成した。
焼成条件を変えた場合の本発明品と比較例を表3に示す。成形体の作成は、焼成条件を変えたコーディエライト焼結体とともに、表1に示した原料を用い、表1と同様に成形して、試験試料を作成した。
試験方法は表2と同様である。
本発明品6〜10は、いずれも良好な結果を得た。
それに対し、比較例3はコーディエライト成形体を含むものであるが、不焼成であるため亀裂の発生を抑えられず、弾性率低下指数も小さい値となった。比較例4は850℃で100時間焼成したものであるが、焼成温度が低すぎて亀裂抑制効果は十分ではなかった。比較例5は、1500℃で100時間焼成したものであるが、焼成温度が高すぎて、亀裂抑制効果が十分ではなかった。比較例6は、1200℃で40時間焼成したものであるが、焼成時間が短すぎて、亀裂抑制効果が十分には発揮できなかった。
また、焼結体の焼成温度を1200℃、焼成時間を100時間として成形体A〜Gを焼成して得た焼結体A〜Gを用い、比較試験を行った。
表4に本発明品を示し、表5に比較例を示す。
成形体の製造方法並びに評価方法は、表2の場合と同様である。
本発明品は、いずれも良好な結果を得た。
それに対し、比較例7は、コーディエライト焼結体を全く含まない場合であるが、亀裂の発生を抑えられず、弾性率低下指数も小さい値となった。
比較例8はコーディエライト焼結体中のコーディエライト含有率が10質量%で低すぎる場合、比較例9はコーディエライト焼結体中のコーディエライト含有率が95質量%で高すぎる場合であるが、いずれも亀裂の発生を抑えられず、弾性率低下指数も小さい値となった。
比較例10はキャスタブル耐火物中のコーディエライト原料(コーディエライト焼結体中のコーディエライト原料を含む)が14質量%と少ない場合、比較例11はキャスタブル耐火物中のコーディエライト原料が93.2質量%と多い場合であるり、亀裂の発生を抑えられず、弾性率低下指数も小さい値となった。
比較例12はキャスタブル耐火物中のコーディエライト焼結体の含有量が10質量%と少ない場合、比較例13はキャスタブル耐火物中のコーディエライト焼結体の含有量が95質量%と多い場合であるが、この場合もいずれも亀裂の発生を抑えられず、弾性率低下指数も小さい値となった。
<実施例2>
本発明品3をコークス炉炉扉のドアブロックに使用した。n=10として、1年間稼働して途中経過を観察した。その結果、本発明品3では稼働初期の亀裂発生と亀裂進展は全く見られなかった。カーボン付着は従来品の45%に低減した。
それに対し、従来品(比較例5)では、初期から亀裂の発生と進展が確認された。カーボン付着量が多かった。
以上のように本発明品の優位性は明らかである。
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以上説明したように、本発明は、コークス炉炉扉のドアブロックとし使用できるばかりでなく、コークス炉で使用されている装入孔枠、蓋等の耐熱スポーリング性の求められるプレキャストブロック製品、あるいは窯口吹付材等の補修材への適用も可能である。

Claims (2)

  1. コーディエライト質原料を20〜90質量%、アルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原
    料、シリカ微粉、硬化剤を原料とした成形体を1000℃〜1350℃で50時間以上焼成してなる気孔率20〜30%のコーディエライト質焼結体を得る工程と、
    前記コーディエライト質焼結体を粉砕・調粒する工程と、
    前記コーディエライト質焼結体の粉砕原料を20〜90質量%とアルミナ質原料、アルミナ-シリカ質原料、シリカ微粉、硬化剤を配合し、コーディエライト質原料20〜90
    質量%を含むコーディエライト質キャスタブル耐火物を得る工程とを備えたことを特徴とするコーディエライト質キャスタブル耐火物の製造方法。
  2. 前記コーディエライト質焼結体がコークス炉ドアブロックで使用後の材料であることを特徴とする請求項1のコーディエライト質キャスタブル耐火物の製造方法
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