以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.遊技機の制御内容:
C−1.遊技制御処理:
C−1−1.特別図柄遊技処理:
C−1−2.特別電動役物遊技処理:
C−2.演出制御処理:
C−3.特定当り演出内容設定処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13〈CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。尚、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は本発明の図柄表示手段の一具体例を示すものであり、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。演出表示装置27で行われる演出の詳細な内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、ランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、演出用図柄を用いた遊技の演出の制御を司る演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201やRAM202のみが図示されており、主制御基板200に搭載されているROMやPIO、サブ制御基板220などのその他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM,ROMなどについては図示が省略されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、演出制御基板230、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27を制御する演出制御基板230や、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に、各種のコマンドや駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部28aと、右普通図柄表示部28bとが設けられている。左普通図柄表示部28aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部28bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部28a,28bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
図7に示した12種類の表示態様の中で、赤色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(以下では、この組合せを「赤Y−赤点」と表すものとする)、および、橙色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(すなわち、「橙Y−赤点」)は、外れ図柄であり、残りの10種類の図柄の組合せが当り図柄となっている。図柄表示装置28で特別図柄が変動表示された後、停止表示された図柄が当り図柄であった場合には、いわゆる特別遊技状態が開始され、大入賞口31dが所定態様で開口する遊技状態(ラウンド)が、所定回数だけ繰り返されるようになっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、本実施例の遊技機では、当り図柄として「通常当り図柄」および「確変当り図柄」に加えて「特定確変当り図柄」と、「特定時短当り図柄」とが設けられている。図7では、「通常当り図柄」を破線で囲って表しており、「確変当り図柄」を実線で囲って表している。また、「特定確変当り図柄」は一点鎖線で囲って表しており、「特定時短当り図柄」は二点鎖線で囲って表している。図柄表示装置28の特別図柄が、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」で停止表示された場合は、特別遊技状態が開始されて、大入賞口31dが所定の態様で開口するラウンドが15ラウンドまで繰り返される。前述したように、大入賞口31dが開口状態になると遊技球が入球し易くなるため、遊技者は15ラウンドを終了するまでの間に多数の賞球を獲得することが可能となる。このような遊技の状態が、いわゆる「大当り」と呼ばれる状態である。更に、特別遊技状態の終了後も、しばらくの期間は、始動口17の開口時間が延長されて遊技球が始動口17に入球し易くなるとともに、普通図柄および特別図柄の変動時間が短縮された状態(いわゆる時短状態)となる。加えて、当り図柄が「確変当り図柄」であった場合は、再び当り図柄が停止表示される確率が高い値に設定される。尚、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。このように「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されると、遊技者はたいへん有利に遊技を進めることができるので、これらの当り図柄が停止表示されることを強く願いながら遊技を行うことが通常である。
一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示された場合も特別遊技状態が開始される。そして、特別遊技状態の終了後は、「特定確変当り図柄」で停止していた場合は、前述した確変状態および時短状態が開始され、「特定時短当り図柄」で停止表示していた場合は、時短状態が開始される。もっとも、これら「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示された場合の特別遊技状態は、2ラウンドで終了してしまう。加えて、1回のラウンドも大入賞口31dがごく僅かな時間、開口しただけで終わってしまう。このため、これら「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が停止表示されて特別遊技が開始されても、ほとんど賞球が払い出されることなく、ごく短い時間で終了してしまうので、遊技者が、特別遊技が行われたことに気が付かないまま遊技が継続される。その結果、図柄表示装置28が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合は、遊技者にとっては、通常の遊技状態から突然確変状態に切り換わったかのように感じられ、また、「特定時短当り図柄」で停止表示された場合は、通常の遊技状態から突然時短状態に切り換わったかのように感じられることになる。尚、「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示されたときのラウンド回数は、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」で停止表示されたときのラウンド回数(本実施例では15回)よりも少ない複数回であれば、2ラウンドではなく、3ラウンド、4ラウンド等とすることも可能である。
このように図柄表示装置28で変動表示された特別図柄が、何れの図柄で停止表示されるかは、遊技状態を大きく左右するものとなっている。もっとも、図7に示される12種類の特別図柄が、「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「特定時短当り図柄」、あるいは「外れ図柄」の何れに該当するかの判別は、必ずしも容易ではない。そこで、上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27においてもキャラクタ図柄27a、27b、27cを変動停止表示させる演出を行う。
図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27cが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27bが停止表示される。
これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が「通常当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、偶数を表す同じ図柄で停止表示され、「確変当り図柄」で停止する場合は、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示され、「外れ図柄」で停止する場合は、3つの図柄が同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27aと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1では、演出表示装置27において、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で揃わなかった場合(いわゆる「ばらけ目」)でも単なる「外れ」とは限らず、図柄表示装置28において「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」で停止表示されている場合がある。もっとも、図柄表示装置28の特別図柄は何れの図柄もよく似た図柄に設定されているので、「外れ図柄」と「特定確変当り図柄」や「特定時短当り図柄」とを判別することは難しく、また、演出表示装置27に停止表示されるキャラクタ図柄も、3つの図柄が揃わない「ばらけ目」となる点では全く同じであって判別は難しい。しかも、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」に続いて行われる特別遊技状態は、特に賞球も得られないまま極めて短い時間で終了することから、特別遊技が行われたことに遊技者が気付かないことが多い。
結局、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生すると、遊技者にとっては、遊技中に、突然(すなわち当り図柄で停止せず、従って特別遊技も行われないまま)、何らかの特典が付与されて遊技状態が有利に変化したように感じられることになる。たとえば、「特定確変当り」が発生した場合には、図柄の変動が「ばらけ目」で停止し、特別遊技も行われていないにも拘わらず、遊技状態が確変状態に突然切り換わったように感じられる。また、「特定時短当り」が発生した場合にも同様に、図柄の変動が「ばらけ目」で停止し、特別遊技も行われていないにも拘わらず、遊技状態が時短状態に突然切り換わったように感じられることになる。こうした形態で遊技者に特典を付与することは、従来の遊技機では行われていなかったことであり、このことが遊技者にとっては斬新に感じられて、遊技に対する興趣を大きく高めることが可能となっている。
図9は、上述した制御を実現するために、各種制御基板の内部で行われている処理を、機能に着目して表したブロック図である。図5に示したように主制御基板200は、CPU201やRAM202を初めとする各種の電子部品によって構成されているが、これら電子部品によって実現される機能に着目すれば、図9に示したように「図柄変動開始部」、「図柄変動停止部」、「大入賞口開口部」、「確率変動部」、「時短部」などに分けることができる。これら、「図柄変動開始部」、「図柄変動停止部」、「大入賞口開口部」、「確率変動部」および「時短部」は、CPU201を主体として構成されている。
ここで「図柄変動開始部」とは、始動口17に遊技球が入球したことが検出されると、前述した図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始させるとともに、特別図柄の当否態様を、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」、「特定時短当り」、「外れ」の何れかの態様に決定する機能を実現する部分であり、本発明の図柄変動開始手段の一具体例を示すものである。尚、前述したように、本実施例の遊技機1では、図柄表示装置28の表示と演出表示装置27の表示とは互いに連動しているため、図柄表示装置28の変動表示を開始することは、間接的ではあるが、演出表示装置27の変動表示を開始することであり、また、特別図柄の当否態様を決定することは、演出表示装置27に表示されるキャラクタ図柄の当否態様を決定することでもある。
「図柄変動停止部」とは、決定された当否態様に応じて、停止表示する特別図柄を決定した後、図柄表示装置28を決定した特別図柄で停止表示させる機能を実現する部分であり、本発明の図柄変動停止手段の一具体例を示すものである。尚、図柄表示装置28が停止表示されると演出表示装置27も停止表示されるから、「図柄変動停止部」は、演出表示装置27における図柄変動を停止させる機能を有していると考えることも可能である。
また、「大入賞口開口部」とは、上述した「図柄変動開始部」によって決定された当否態様が「当り」(すなわち「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」、「特定時短当り」の何れか)である場合には、大入賞口ソレノイド31mを駆動することによって、大入賞口31dを所定の態様で開口させる動作を、所定の複数回だけ繰り返す機能を実現する部分であり、本発明の大入賞口開口手段の一具体例を示すものである。尚、本実施例の「大入賞口開口部」は、当否態様が「特定確変当り」または「特定時短当り」である場合には、「通常当り」または「確変当り」の場合に比べて、遊技球が入球し難い態様で且つ短い期間だけ大入賞口を開口させ、更に、大入賞口を開口させる回数も、「通常当り」や「確変当り」の場合より少ない複数回(たとえば2回)となっている。
「確率変動部」とは、特別図柄の当否態様が「確変当り」または「特定確変当り」である場合に、「大入賞口開口部」が大入賞口31dを開口させる動作を終了した後、「図柄変動開始部」に対して、前述した確変状態を設定する機能を実現する部分であり、本発明の確率変動手段の一具体例を示すものである。「図柄変動開始部」が確変状態に設定されると、始動口17に遊技球が入球して特別図柄の変動が開始され、特別図柄の当否判定が行われたときに、何れかの「当り」態様に決定される確率が、通常の確率よりも高確率となる。また、「時短部」とは、特別図柄の当否態様が「通常当り」または「特定時短当り」である場合に、「大入賞口開口部」が大入賞口31dを開口させる動作を終了した後、「図柄変動停止部」に対して特別図柄の変動時間を短縮する旨を設定するとともに、始動口17の開口時間を延長させる機能を実現する部分であり、本発明の時短手段の一具体例を示すものである。尚、これら「確率変動部」および「時短部」は、何れも「大入賞口開口部」の動作が終了した後、遊技状態が遊技者にとって有利なものとなるよう、遊技上の特典を付与していることから、これらをまとめて「特典付与部」(特典付与手段)と把握することも可能である。
一方、サブ制御基板220および演出制御基板230も、CPUやRAMを初めとする各種の電子部品によって構成されているが、これら制御基板が実現する機能に着目すれば、2つの制御基板は、それぞれのCPUを主体として「表示演出実行部」を構成していると考えることができる。ここで「表示演出実行部」とは、「図柄変動開始部」によって特別図柄の変動表示が開始されてから、「図柄変動停止部」によって変動表示が停止表示されるまでの間に、決定されている特別図柄の当否態様に応じて、演出表示装置27を用いて所定の表示演出を行う機能を実現する部分であり、本発明の表示演出実行手段の一具体例を示すものである。たとえば、特別図柄の当否態様が「通常当り」または「確変当り」の場合と、「外れ」の場合とで、演出の結末を異ならせることにより、特別図柄が「当り」の態様で停止表示したときの喜びを大きく盛り上げるような演出を行うことができる。また、特別図柄の当否態様が「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」の場合は、前述したように遊技者は、遊技状態が確変状態あるいは時短状態に突然変化したかのように感じることから、それに応じた演出を行うことで、遊技状態が有利に変化したことを遊技者により一層印象づけて、遊技に対する興趣を高めることが可能となる。
もっとも、遊技状態が確変状態のときに「特定確変当り」が発生しても、遊技状態は確変状態のままであって有利な状態に変化するわけではない。同様に、遊技状態が時短状態のときに「特定時短当り」が発生しても、遊技状態が有利な状態に変化するわけではない。更に、遊技状態が確変状態のときに「特定時短当り」が発生した場合には、確変状態が時短状態に変わってしまうので、むしろ遊技状態が不利な状態に変化することになる。このような場合に、遊技状態が有利に変化する場合と同様な演出を行ったのでは、種々の弊害が懸念される。たとえば、何らかの遊技上の特典が付与されるのではないかと遊技者を誤解させるおそれがある。また、特典が得られないことが分かった後は、演出が無意味なものに感じられて、遊技に対する興趣を冷ましてしまうおそれがある。
そこで、本実施例の「表示演出実行部」では、単に「図柄変動開始部」で決定された特別図柄の当否態様に応じて、所定の演出を行うのではなく、「図柄変動開始部」によって特別図柄の変動表示が開始されたときに、「確率変動部」および「時短部」が作動していたか否かを判断し、これによって演出の態様を変更している。すなわち、確率変動部の作動中に「特定確変当り」が発生したり、時短部の作動中に「特定時短当り」が発生した場合には、それぞれの当り態様に対応する演出に代えて、外れの態様に対する演出を行う。このような場合は、遊技状態には何らの変化も生じないから、「外れ」に対応する演出を行っておけば、遊技者に違和感を与えることなく遊技を継続することができる。
また、確率変動部の作動中に「特定時短当り」が発生した場合には、「特定時短当り」に対応する演出に代えて、「外れ」に対応する演出、あるいは所定の特別な演出を行う。このような場合は、確変状態から時短状態へと、遊技状態が不利な状態に変化することになるから、「外れ」に対応する演出を行うことで遊技者に与える違和感を大きく軽減することができる。あるいは、次のようにしても良い。先ず、遊技状態が、確変状態から時短状態に変化したことに対応する特別な演出を予め設定しておく。そして、確率変動手段の作動中に「特定時短当り」が発生した場合には、「特定時短当り」に対応する演出に代えて、設定しておいた特別な演出を行うことにより、遊技状態が不利な状態に変化したことを遊技者に印象づけるようにする。こうすれば、遊技の進行に、より一層大きな変化を与えることができるので、遊技者の興味を強く遊技に引き付けることが可能となる。
以下では、こうした演出を実現するために、主制御基板200およびサブ制御基板220を中心として実行される制御内容について詳しく説明する。
C.遊技機の制御内容 :
遊技機1で行われる遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。また、遊技の進行に伴って行われる各種の演出は、主制御基板200の制御の下で、サブ制御基板220および、サブ制御基板220に接続された演出制御基板230によって実行されている。以下では、先ず初めに、遊技を進行させるために主制御基板200で行われる遊技制御処理について説明し、次いで、遊技の進行に合わせて演出を行うためにサブ制御基板220で行われる演出制御処理について説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図10は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物遊技処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)に遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。
こうして主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを付け取ると、払出制御基板240はコマンドの内容を解釈する。そして、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか否か、あるいは普通図柄の保留数(図3参照)が設定されているか否かを検出することによって行う。遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか、あるいは普通図柄の保留数が設定されていれば普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、何れでもなければ普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合に、普通図柄の保留数が上限値「4」に達するまで加算する操作も、この判断とともに行われる。
そして、普通図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S150)では、次のような処理を行う。先ず、普通図柄の当否判定を行って、普通図柄を当り図柄(図6(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。普通図柄遊技処理では、以上のようにして、普通図柄の動停止表示を行い、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には、普通電動役物を作動させる処理を行う。普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図11は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物停止処理では、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図10に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図11に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図11に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図10に示した遊技制御処理に復帰する。
図10に示すように、遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。かかる判断は、遊技球が始動口17に入球したか否か、あるいは特別図柄の保留数(図3参照)が設定されているか否か、更には、条件装置が作動しているか否かを検出することによって行う。ここで条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が図7に示した「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「特定時短当り図柄」の何れか停止表示されると作動を開始する装置である。条件装置は役物連続作動装置を作動させ、これによって、大入賞口31dが連続して開放する遊技(いわゆる特別遊技)が開始される。そして、遊技球が始動口17に入球したか、あるいは特別図柄の保留数が設定されており、且つ、条件装置が作動中でなければ特別図柄遊技処理を行うものと判断し(S300:yes)、それ以外の場合は、特別図柄遊技処理は行わないものと判断する(S300:no)。尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合に、特別図柄の保留数が上限値「4」に達するまで加算する操作も、この判断とともに行われる。
以上のような判断の結果、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
C−1−1.特別図柄遊技処理 :
図12および図13は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、遊技者が停止図柄を確認するための表示時間が設けられているので、この表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。そして特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する。
本実施例の遊技機1では、特別図柄の当否判定に先立って、大当りの発生確率が高確率状態(確変状態)となっているか否かを判断する(S328)。確変状態は、特別図柄表示部30に表示される特別図柄が、図7に示した「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」のいずれかで停止した場合に、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまで継続される。このことから、S328では、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変中であれば(S328:yes)、大当りの確率が高めに設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S330)。逆に、確変中でなければ(S328:no)、大当りの確率が通常の値に設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S332)。
特別図柄の当否判定は、次のような当否判定テーブルを参照することによって行う。図14は、本実施例の特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、図14(b)に示す確変用のテーブルと図14(a)に示す非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、特別図柄当否判定用乱数に対して、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」、「特定時短当り」、「外れ」の何れかの当否判定結果が対応付けて記憶されている。また、図14(a)と図14(b)とを比較すれば明らかなように、確変用の当否判定テーブルは、非確変用の当否判定テーブルよりも当りの確率が高くなっている。ここで特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200上のRAM202に記憶される乱数である。図12に示した特別図柄遊技処理のS328〜S332では、特別図柄の当否判定に先立って確変中か否かを判断し、確変中であれば、図14(b)に示した当否判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行い、確変中でなければ、図14(a)の当否判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行うのである。以上のようにして、特別図柄の当否を判断したら、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を行う(S338)。
図15は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定の結果が確変当りであったか否かを判断する(S3381)。そして、確変当りであった場合には(S3381:yes)、確変当り用の停止図柄と特別図柄の変動パターンを決定する(S3383)。図7に示したように、確変当り図柄としては4通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定し、また、複数種類設定されている変動パターンの中から抽選によって1つの変動パターンを決定する。次いで、後述する特別電動役物遊技処理において大入賞口を開口させる準備として、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を標準の値に設定する(S3385)。
一方、当否判定の結果が確変当りでなかった場合には(S3381:no)、通常当りであったか否かを判断する(S3387)。そして、通常当りであったと判断された場合には(S3387:yes)、抽選を行うことにより、図7に示した4通りの通常当り図柄の中から何れか1つの停止図柄と、特別図柄変動パターンとを決定した後(S3389)、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を、それぞれ標準の値に設定する(S3385)。
また、当否判定の結果が通常当りでもなかった場合には(S3387:no)、今度は、特定確変当りであったか否かを判断する(S3391)。そして、特定確変当りであったと判断された場合には(S3391:yes)、特定確変当り図柄と特別図柄変動パターンとを決定する(S3393)。本実施例の遊技機1では、図7に示したように、特定確変当り図柄は1つだけしか設定されていないから、当否判定結果が特定確変当りであった場合には、抽選を行うことなく停止図柄を決定することができる。また、特別図柄変動パターンも特定確変当り用には1種類しか設定されていないから、抽選を行うことなく決定することができる。もちろん、特定確変当り図柄や特定確変当りに対応する変動パターンを複数種類設けておき、これらを抽選によって決定しても良い。
こうして、特定確変当り用の停止図柄および特別図柄変動パターンを決定したら、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を、特定確変当り用の値に設定する(S3395)。本実施例では、特定確変当り時および特定時短当りの大入賞口開口時間は約0.2秒間、連続作動回数は2回に設定される。
当否判定の結果が特定確変当りではないと判断された場合は(S3391:no)、特定時短当りか否かを判断する(S3397)。そして、特定時短当りと判断された場合には(S3397:yes)、特定時短当り図柄と特別図柄変動パターンとを決定する(S3399)。特定時短当りについても、上述した特定確変当りと同様に、当り図柄および特別図柄の変動パターンは1種類ずつしか設定されていないから、抽選を行うことなく決定することができる。もちろん、特別時短当り図柄および変動パターンを複数種類設定しておき、抽選によって決定しても良い。
次いで、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を、特定時短当り用の値に設定する(S3401)。本実施例では、特定時短当り用の大入賞口開口時間、および連続作動回数は、特定確変当り用の大入賞口開口時間および連続作動回数と同じ値に設定されている。
一方、当否判定の結果が特定時短当りでもないと判断された場合は(S3397:no)、「確変当り」、「通常当り」、「特定確変当り」、「特定時短当り」の何れでもないから、当否の判定結果が「外れ」であると判断できるので、外れ用の停止図柄と変動パターンとを決定すればよい。もっとも、「外れ」の場合には、リーチ演出の後に外れとなる場合と、リーチ演出とならずに外れる場合とが存在する。そこで、停止図柄および変動パターンを決定する前に、先ず、抽選を行って、リーチ演出を行うか否かを決定する(S3403)。そして、リーチ演出の有無に応じて、停止図柄と特別図柄の変動パターンとを、それぞれ抽選によって決定する(S3405)。
以上のような処理を行うことにより、当否判定結果に応じて、特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定したら、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図12の特別図柄遊技処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S342)。前述したように、本実施例の図柄表示装置28は、図7に示した12種類の特別図柄を表示可能であり、これら図柄の表示を次々と切り換えることによって変動表示を行う。また、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、主制御基板200上のRAMに記憶されている特別図柄保留数のデータから1を減算しておくのである。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄保留数から1を減算すると、サブ制御基板220に向かって変動パターンの指定コマンドを出力した後(S344)、特別図柄停止情報指定コマンドを出力する(S346)。ここで出力する変動パターン指定コマンドは、図15に示した特別図柄変動パターン設定処理中で決定しておいた特別図柄変動パターンを指定するコマンドである。また、特別図柄停止情報指定コマンドは、変動パターンとともに決定された特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。
変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドは、サブ制御基板220に向かって出力される。サブ制御基板220側のCPU221は、これらのコマンドを受け取って、特別図柄変動パターンおよび特別図柄の停止図柄を取得すると、これらの情報に基づいて、演出表示装置27での演出態様を決定した後、種々の演出を行う。また、サブ制御基板220によって決定された演出態様は、演出制御基板230に出力され、演出制御基板230が演出表示装置27を制御することによって、種々の演出が行われる。サブ制御基板220で行われる処理(演出制御処理)については後述する。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、これらに対応する変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定コマンドとをサブ制御基板220に向けて出力したら、図12に示した特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理を開始した直後のS322の処理で、特別図柄表示部30の特別図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されているものと考えられる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、サブ制御基板220に向かって演出表示装置27で変動表示されているキャラクタ図柄の図柄停止コマンドを出力する(S350)とともに、図柄表示装置28において変動表示している特別図柄表示部30の特別図柄を停止表示する(S352)。そして、図柄表示装置28上で特別図柄を停止表示させる表示時間を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図10に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図13のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図7に示した通常当り図柄、確変当り図柄、特定当り図柄の何れかの図柄(すなわち、当り図柄)である。図13のS358では、図柄表示装置28の特別図柄表示部30に停止表示された図柄が、これら当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した「確変当り図柄」、「通常当り図柄」、「特定確変当り図柄」、または「特定時短当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開放させる装置である。詳細には別図を用いて説明するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図10の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技が開始されることになる。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、図柄表示装置28および演出表示装置27で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図13のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これら機能を停止させる(S364)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S370)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、普通電動役物の開口時間を延長する機能も働いているので、S364あるいはS370において時短機能を停止したら、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S366)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、S360で条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
先ず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S372)。前述したように本実施例の遊技機1では、確変状態は、次の特別遊技状態が発生するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が確変状態であると判断された場合は(S372:yes)、確変状態を維持したまま、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
また、S372において現在の遊技状態が確変中ではないと判断された場合は(S372:no)、時短中か否かを判断する(S374)。そして、時短中と判断された場合は(S374:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S378)。本実施例の遊技機1では、時短状態は、次の特別遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数(ここでは100回)回転するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中であった場合は(S374:yes)、特別図柄の変動回数が所定回数に達したか否かを判断するのである(S378)。そして、所定回数に達していれば(S378:yes)、時短機能を停止させ(S380)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S366)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S378:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
C−1−2.特別電動役物遊技処理 :
図10に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、いわゆる特別遊技を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップする。
図16は、特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図16を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを開口状態とする装置である。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、大入賞口31dを再び開放状態とする装置である。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技が終了する。
また、本実施例の遊技機では、特別図柄に「特定確変当り図柄」および「特定時短当り図柄」が設定されており、これら図柄によって条件装置および役物連続作動装置が作動した場合には、次のような特別遊技が行われる。すなわち、大入賞口31dが約0.2秒間だけ開口した後、直ぐに閉鎖して1ラウンドを終了し、これを2ラウンド繰り返したら特別遊技を終了してしまう。このような態様で行われる特別遊技は、大入賞口31dにはほとんど遊技球が入球することなく、従って賞球も払い出されることなく、ごく短時間で終了してしまうので、遊技者は特別遊技が行われたことに気が付かないまま、遊技が継続されることになる。
以上に説明した特別遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図16に示す特別電動役物遊技処理を行うことによって実現されている。以下、図16を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
CPU201は、特別電動役物遊技処理を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。特別電動役物の連続作動回数は、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理において、「確変当り」または「通常当り」時には15回、「特定確変当り」または「特定時短当り」時には2回に設定されている。また、特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断するのである(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開放させた後(S408)、図16に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図10の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図10に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図10に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図16に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図16の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS406において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断するのである。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないと考えられるので、大入賞口31dを開口させたまま、図16に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
図10の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(図16のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに所定数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開放状態として新たなラウンドを開始する(S408)。尚、前述したように、条件装置を作動させることになった図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」であった場合には、大入賞口31dの開口時間は約0.2秒間に設定されているので、大入賞口31dが開口しても直ちに開口時間が経過して(S410:yes)、再び閉鎖されて(S414)、1ラウンドが終了することになる。
一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止させる(S416)。尚、前述したように、条件装置を作動させることになった図柄が「特定確変当り図柄」あるいは「特定時短当り図柄」であった場合には、ラウンド回数は2回に設定されているので、直ぐに所定回数のラウンドが終了としたと判断され(S404:yes)、条件装置および役物連続作動装置の作動が停止されてしまう(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」であったか否かを判断する(S418)。そして、これら何れかの図柄であったと判断された場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始した後(S420)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始して(S428、S430)、図16に示す特別電動役物遊技処理を終了する。一方、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」の何れでも無いと判断された場合は(S418:no)、「通常当り図柄」または「特定時短当り図柄」によって条件装置が作動したものと考えられるので、確変機能の作動を開始することなく、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始した後(S428、S430)、図16に示す特別電動役物遊技処理を終了して、図10の遊技制御処理に復帰する。
以上に説明したように、図16に示した特別電動役物遊技処理が、「特定確変当り図柄」または「特定時短当り図柄」によって開始された場合には、極めて短時間で特別遊技状態が終了してしまう。更に、これら図柄に対応して演出表示装置27上に表示される3つのキャラクタ図柄も、「外れ」時と同じいわゆる「ばらけ目」となっているので、遊技者が気付かないまま特別遊技が終了して、「特定確変当り」の場合には、確変機能、開放時間延長機能、時短機能が作動を開始し、「特定時短当り」の場合には、開放時間延長機能および時短機能が作動を開始することになる。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させることが可能となっている。そして、遊技が進行する中で、特別図柄の変動パターン指定コマンドや、停止情報指定コマンド、図柄停止コマンドなどの各種コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する。サブ制御基板220では、こうして出力されたコマンドに基づいて各種の演出を行う。また、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生した場合には、遊技者に気付かれることなく特別遊技を終了させて、確変機能、あるいは時短機能などの作動を開始することができるので、これに合わせた演出をサブ制御基板220で行えば、遊技者の興趣を大きく高めることが可能となる。以下では、主制御基板200から出力された各種のコマンドを受け取って、サブ制御基板220が遊技の演出を行う処理(演出制御処理)について説明する。
C−2.演出制御処理 :
図17は、遊技を演出するためにサブ制御基板220が行う演出制御処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、サブ制御基板220に電源が供給されると、所定の初期動作の終了後、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって自動的に開始される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
演出制御処理では、先ず初めに、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1002)。ここで特別図柄の変動パターン指定コマンドとは、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理において設定され変動パターンを指定するコマンドである。図12の特別図柄遊技処理の中で特別図柄の当否判定が行われると、主制御基板200からサブ制御基板220に向けて、特別図柄の変動パターン指定コマンドが出力されるから、サブ制御基板220のCPU221は、このコマンドを受信したか否かによって、特別図柄の当否判定が行われたか否かを知ることができる。そして、特別図柄の変動パターン指定コマンドを受け取っていないと判断された場合は(S1002:no)、コマンドを受け取るまで、かかる判断を繰り返しながら待機する。
一方、変動パターン指定コマンドを受け取った場合は(S1002:yes)、特別図柄停止情報指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1004)。ここで特別図柄停止情報指定コマンドとは、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理において設定された特別図柄の停止図柄を指定するコマンドであり、主制御基板200から変動パターン指定コマンドに続けて出力されるコマンドである。そして、特別図柄停止情報指定コマンドを受け取っていないと判断された場合は(S1004:no)、コマンドを受け取るまで、かかる判断を繰り返しながら待機する。
こうして、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信したと判断されたら(S1002:yes、S1004:yes)、主制御基板200で行われた当否判定の結果が、「特定確変当り」または「特定時短当り」に該当するか否かを判断する(S1006)。前述したように、特別図柄停止情報指定コマンドは、特別図柄の停止図柄を指定するコマンドであるから、当否判定の結果が「特定確変当り」または「特定時短当り」に該当するか否かは、かかるコマンドに基づいて容易に判断することができる。
そして、「特定確変当り」または「特定時短当り」に該当すると判断された場合は(S10096:yes)、現在の遊技状態に即した演出を実行しないと、演出内容が不適切となって、遊技者の興趣を却って冷ましてしまうおそれがある。そこで、こうしたことの生じないように、後述する特定当り演出内容設定処理を行う(S1100)。一方、当否判定の結果が「特定確変当り」または「特定時短当り」の何れにも該当していなければ(S1006:no)、特定当り演出内容設定処理はスキップすればよい。
主制御基板200から出力されてきた特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取って、以上の処理を行ったら、指定された変動パターン(あるいは特定当り演出内容設定処理にて設定された演出内容)に応じた態様で、図柄表示装置28のキャラクタ図柄の変動表示を開始するとともに、各種の効果音を出力するなどの演出を開始する(S1008)。かかる処理においては、変動パターンと具体的な演出内容とを予め対応付けておき、変動パターンに応じた演出を開始することとしても良いし、あるいは、変動パターンに対して複数の演出内容を設定しておき、抽選を行って具体的な演出内容を決定することとしてもよい。
次いで、変動中のキャラクタ図柄を何れの図柄で停止表示させるかを決定する(S1010)。すなわち、特別図柄停止情報指定コマンドには、図柄表示装置28の特別図柄が、「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「特定時短当り図柄」、「外れ図柄」の何れで停止表示されるかに関する情報が記述されているから、サブ制御基板220では、かかる情報に基づいて、図柄表示装置28で停止表示される特別図柄と整合させながらキャラクタ図柄の停止図柄を決定する処理を行う。たとえば、特別図柄が「通常当り図柄」で停止表示される場合は、3つのキャラクタ図柄が偶数の同じ数字で揃うように停止図柄を決定し、「確変当り図柄」で停止表示される場合は、奇数の同じ数字が揃うように停止図柄を決定する。また、特別図柄が「特定確変当り図柄」または「特定時短当り図柄」で停止表示される場合は、3つのキャラクタ図柄がそれぞれ所定の「ばらけ目」で揃うように決定され、特別図柄が「外れ図柄」の場合は、3つのキャラクタ図柄が任意の(ただし、特定確変当りまたは特定時短当りとは異なる)「ばらけ目」で揃うように決定される。尚、後述する特定当り演出内容設定処理において、特定当り(特定確変当りもしくは特定時短当り)に対応する演出内容を設定する処理を行った場合には、設定した内容に合わせて、キャラクタ図柄の停止図柄も変更することとしても良い。
こうして、キャラクタ図柄の停止図柄を決定したら、サブ制御基板220のCPU221は、図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S1012)。図柄停止コマンドを受け取っていない場合は(S1012:no)、コマンドを受け取るまで、そのままの状態で待機する。そして、図柄停止コマンドを受け取ったら(S1012:yes)、先に決定した停止図柄でキャラクタ図柄を停止表示させる(S1014)。このように、主制御基板200から供給される各種コマンドによって演出内容を決定し、そして、図柄停止コマンドを受け取ったら図柄の変動表示を停止させることで、演出表示装置27では、主制御基板200で行われる遊技制御処理(図10参照)に合わせて、適切な演出が行われる。
以上のようにして、キャラクタ図柄を停止表示させたら、後述する特定当り演出内容設定処理で参照するために、遊技状態を記憶した後(S1016)、先頭のステップに戻って、続く一連の処理を繰り返す。尚、本実施例の演出制御処理では、遊技状態として、確変機能が作動しているか否か、および時短機能が作動しているか否かを判断し、判断結果を示すフラグを、サブ制御基板220に搭載されたRAMの所定のアドレスに記憶している。そして、特別図柄の当否判定結果が「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」となった場合には(S1006:yes)、以下に説明する特定当り演出内容設定処理を行って、遊技状態に応じて演出内容を設定することにより、演出表示装置27では、常に適切な演出が行われることになる。
C−3.特定当り演出内容設定処理 :
図18は、演出制御処理の中で遊技状態に応じて演出内容を設定する処理(特定当り演出内容設定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、特別図柄の当否判定結果が「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」の何れかであった場合に、サブ制御基板220のCPU221によって行われる処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
特定当り演出内容設定処理を開始すると、先ず初めに、記憶しておいた遊技状態を読み出す処理を行う(S1102)。遊技状態は、上述した演出制御処理の中でサブ制御基板220のCPU221によってRAMの所定アドレスに記憶されており、遊技状態を読み出すことによって、確変機能が作動しているか否か、および時短機能が作動しているか否かを判断することが可能である。
次いで、現在の遊技状態が確変中か否かを、読み出した遊技状態に基づいて判断する(S1104)。そして、遊技状態が確変中でない場合は(S1104:no)、今度は、時短中か否かを判断する(S1112)。その結果、時短中でもないと判断された場合は(S1112:no)、遊技状態が確変中でも時短中でもないとき(通常の遊技状態のとき)に、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生したものと判断できるので、この場合は、当りに対応する演出内容を設定したのち(S1116)、図18の特定当り演出内容設定処理を終了して、図17に示した演出制御処理に復帰する。前述したように、通常の遊技状態で「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生すると、遊技者にとっては、あたかも確変状態あるいは時短状態が突然開始されたかのように感じられる。これに合わせて演出制御処理では、遊技状態が有利に変化する場合の演出(当りに対応する演出)が行われ、その結果、遊技者の興趣を大きく高めることが可能となる。当り遊技状態が有利に変化する場合の演出内容(当りに対応する演出内容)については、別図を用いて後述する。
一方、遊技状態が時短中であると判断された場合は(S1112:yes)、特別図柄の当否判定結果が「特定時短当り」か否かを判断する(S1114)。図17に示したように、特定当り演出内容設定処理に先立って、主制御基板200からは変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドが出力されているので、かかるコマンドに基づいて、当否判定結果が「特定時短当り」か否かは容易に判断することができる。そして、「特定時短当り」ではなかった場合は(S1114:no)、当否判定結果が「特定確変当り」であると考えられるので、この場合は、当りに対応する演出内容を設定したのち(S1116)、図18の特定当り演出内容設定処理を終了して、図17に示した演出制御処理に復帰する。前述したように、時短中に「特定確変当り」が発生すると、遊技者にとっては、あたかも時短状態が突然、確変状態に切り換わったかのように感じられる。これに合わせて演出制御処理では、遊技状態が有利に変化する場合の演出(当りに対応する演出内容)が行われることになる。
これに対して、特別図柄の当否判定結果が「特定時短当り」であると判断された場合は(S1114:yes)、時短中に「特定時短当り」が発生したものと判断できる。前述したように、時短中に「特定時短当り」が発生しても、一見した限りでは、遊技状態が遊技者にとって有利に変化するわけではない。しかし、前述したように本実施例の遊技機1では、時短には有限の期間が設定されていることから(本実施例では、特別図柄が100回変動するまで)、時短中に「特定時短当り」が発生すると時短の期限が延長されることになり、実際には遊技者にとって若干、有利な状態に変化する。そこで、このような場合は、演出内容を小当りに対応する演出内容に設定した後(S1118)、図18の特定当り演出内容設定処理を終了して、図17の演出制御処理に復帰する。こうすれば、演出制御処理では、遊技の進行状況に対して適切な演出を行うことができる。あるいは、このような場合(時短中に「特定時短当り」が発生した場合)は、一見した限りでは、遊技状態が遊技者にとって有利に変化するわけではない。そこで、簡便には、後述する外れに対応する演出内容(演出内容1)を設定することとしても良い。こうしても、遊技の進行状況に合わせた適切な演出を行うことができるので、遊技者に誤解を与えたり、遊技者の興趣を冷ましてしまうことがない。
また、S1104において、遊技状態が確変中であったと判断された場合は(S1104:yes)、特別図柄の当否判定結果が「特定確変当り」か否かを判断する(S1106)。そして、「特定確変当り」であると判断された場合は(S1106:yes)、確変中に「特定確変当り」が発生したことになるので、遊技者にとっては何ら新たなメリットが得られることはない。そこで、このような場合は、演出内容を「外れ」に対応する演出内容(後述する演出内容1)に設定した後(S1110)、図18の特定当り演出内容設定処理を終了する。こうすれば、演出制御処理では、外れに対応する演出が行われ、遊技の進行状況に対して違和感の無い演出を行うことができる。
一方、図18の特定当り演出内容設定処理は「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」の何れかが発生した場合に開始されることに鑑みれば、S1106の判断において、「特定確変当り」ではないと判断された場合は、確変中に「特定時短当り」が発生したものと判断できる。このような場合は、前述したように、遊技状態が確変状態から時短状態へと変化するので、遊技者に有利にならないどころか逆に不利な方向に変化してしまう。そこで、演出内容を前述の演出内容1とは異なった、外れに対応する演出内容2に設定する処理を行う(S1108)。そして、図18の特定当り演出内容設定処理を終了した後、図17の制御演出処理に復帰する。こうすれば、遊技状態が確変状態から時短状態に切り換わることに対応して、演出表示装置27では、適切な演出が行われることになり、遊技者の遊技に対する興味をより一層引き付けることが可能となる。
図19は、上述した特定当り演出内容設定処理で設定される各種の演出内容を例示した説明図である。図18を用いて前述したように、特定当り演出内容設定処理では、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」が発生したときの遊技状態に応じて、「当り対応の演出内容」、「外れ対応の演出内容1」、「外れ対応の演出内容2」、「小当り対応の演出内容」の何れかの演出が設定される。これら演出が開始されると、先ず初めに、演出表示装置27の画面上にスロットマシンのリールを模した画像が表示される。図19(a)は、スロットマシンのリール画像が表示された様子を例示している。続いて、図19(b)に示すように、スロットマシンの3つのリールが一斉に回転を開始した後、左リールの図柄が停止表示される。
図19(c)は、左リールの図柄が停止している様子を概念的に表している。この段階では、中リールおよび右リールの図柄は回転したままの状態となっている。図示されているように、初めのリールは「7」を象った図柄で停止するようになっている。この図柄は、スロットマシンでは、いわゆるボーナス役を入賞させる図柄であり、初めのリールが「7」の図柄で停止表示されることで、遊技者の期待感が大いに高められるようになっている。尚、初めに停止表示する図柄は、ボーナス役を入賞させる図柄であれば、「7」に限らず、どのような図柄であっても良い。
次いで、中リール、右リールと順番に図柄を停止表示させる。このとき停止表示される図柄は、図18の特定当り演出内容設定処理で設定される演出内容に応じて、異なる図柄となっている。先ず、「当り対応の演出内容」が設定された場合は、中リールの図柄を「7」の図柄で停止表示させて、ボーナス役の入賞にリーチ状態とする(図19(d)の左側の図を参照)。このような演出を行えば、遊技者は自然とボーナス役の入賞を期待して画面上の演出に注目することになる。そうした上で、右リールの図柄を「7」の図柄で停止表示させて、ボーナス役が入賞した演出を行う(図19(e)の左端の図を参照)。
図18を用いて前述したように、特定当り演出内容設定処理において「当り対応の演出内容」が設定されるのは、確変中でも時短中でも無いとき(通常の遊技状態)に「特定確変当り」または「特定時短当り」が発生した場合か、時短中に「特定確変当り」が発生した場合である。そして、この場合は、通常の遊技状態から突然確変状態や時短状態に切り換わったり、あるいは時短状態から突然確変状態に切り換わるなど、何れも遊技者にとって有利な方向に遊技状態が変化する。従って、演出表示装置27の画面上に遊技者の注意を引き付けておいてボーナス役が入賞する演出を行った後に、遊技状態が遊技者にとって有利な方向に変化することになる。その結果、遊技者の興趣を大きく高めることが可能となる。
一方、「外れ対応の演出内容1」に設定されている場合は、中リールは「7」の図柄で停止させてリーチ状態とした後(図19(d)の左側の図を参照)、右リールは「7」以外の図柄で停止表示させる演出を行う(図19(e)の左から2番目の図を参照)。
前述したように、「外れ対応の演出内容1」が設定されるのは、確変中に「特定確変当り」が発生した場合であり、この場合は、遊技者にとって、遊技状態には何の変化も生じない。そこで、最後のリールについては「7」以外の図柄で停止表示させて、ボーナス役が入賞しなかった旨の演出を行う。このようにボーナス役が入賞しなかった演出としておけば、遊技状態が何ら変化することなく遊技が継続されても、遊技者が違和感を覚えることはない。
これに対して、演出内容が「外れ対応の演出内容2」に設定されている場合は、中リールの図柄を「7」はおろか、何れの図柄でもリーチとならない図柄で停止表示させた後(図19(d)の真ん中の図を参照)、右リールの図柄は任意の図柄で停止表示させ、いわゆる完全外れの状態とする(図19(e)の右から2番目の図を参照)。
図18を用いて前述したように、「外れ対応の演出内容2」が設定されるのは、確変中に「特定時短当り」が発生した場合であり、この場合は、遊技状態が確変状態から突然時短状態へと、遊技者にとって不利な方向に変化する。そこで、上述したように、各リールの図柄がリーチ状態にもならず、完全外れの状態で停止する演出を行っておけば、遊技状態が不利な方向に変化しても、そのことに関して遊技者が違和感を覚えることを回避することができる。
また、演出内容が「小当り対応の演出内容」に設定されている場合は、次のような演出を行う。先ず、中リールの図柄は、「7」のリーチ(すなわち、ボーナス役のリーチ)にならないが、小役については入賞し得る図柄で停止させる(図19(d)の右側の図を参照)。前述したように、初めに停止するリールはボーナス役が入賞し得る図柄(ここでは、「7」の図柄)で停止しているため、遊技者は中リールについても「7」の図柄で停止することを期待しており、「7」以外の図柄が停止するとガッカリする。しかし、小役は入賞し得るので、興味を失うことなく右リールの動きに注目することになる。そして、このような状態で、右リールの図柄を小役が入賞する図柄で停止させる演出を行う(図19(e)の右端の図を参照)。
図18を用いて前述したように、「小当り対応の演出内容」が設定されるのは、時短中に「特定時短当り」が発生した場合であり、一見した限りでは遊技状態が遊技者にとって有利に変化したことは分からないが、実際には、時短の期限が延長されており、若干ではあるが有利に変化している。そこで、小役が入賞した旨の演出を行っておけば、このような遊技状態の変化を、遊技者に容易に認識させることが可能となる。
尚、以上の説明では、時短中に「特定時短当り」が発生した場合は、小役が入賞する演出を行うものとして説明した。しかし、この場合は、一見した限りでは遊技状態が変化していないようにも見えるので、簡便には、確変中に「特定確変当り」が発生した場合と同様に、ボーナス役の入賞がリーチ状態を経て不成立となる演出(外れ対応の演出内容1)を行うこととしても良い。こうしても、遊技者に違和感を与えることなく、遊技を継続することが可能となる。
また、上述した「外れ対応の演出内容1」の演出は、「特定確変当り」あるいは「特定時短当り」の発生時に限らず、特別図柄の当否判定結果が「外れ」の場合にも行われるものである。すなわち、特別図柄の当否判定結果が「外れ」のときに主制御基板200からサブ制御基板220に出力される変動パターン指定コマンドの1つとして、上述した「外れ対応の演出内容1」に対応する変動パターン指定コマンドが設定されている。この変動パターン指定コマンドをサブ制御基板220が受け取った場合には、上述した演出(ボーナス役の入賞がリーチ状態を経て不成立となる演出)が行われる。これにより、特別図柄の当否判定結果が単なる「外れ」の場合でも、上述した演出が開始されると、遊技者は遊技状態が有利に変化するのではないかと期待するので、遊技者の興趣を一層高めることが可能となる。
一方、上述した「外れ対応の演出内容2」の演出は、確変中に「特定時短当り」が発生した場合にのみ行われる特別な演出となっている。すなわち、「外れ対応の演出内容2」の演出は、本願発明の「所定の特別演出」の一態様を構成している。もちろん、所定の特別演出は、このように他の演出と類似した演出である必要はなく、たとえば、味方側のキャラクタと敵側のキャラクタとが戦闘して、味方側のキャラクタが敗けてしまうような演出など、他の演出とは全く趣きの異なる演出としても構わない。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。