JP2010010189A - 耐候性に優れた太陽電池モジュール用バックシート - Google Patents

耐候性に優れた太陽電池モジュール用バックシート Download PDF

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Abstract

【課題】 従来技術の欠点を改良し、ならびに安価な太陽電池モジュール用バックシートを提供する。
【解決手段】 表面層は、ポリエステルフィルム(層A)、裏面層はポリエチレンフィルム(層C)からなり、表面層と裏面層との間には無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムがあり、更に蒸着PET面に酸化セリウムを添加したインキを塗布されたインキ付き無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム(層B)をラミネートしたものである。表面層Aは2枚のポリエステルフィルムを積層したものであり、酸化セリウムを添加したインキに使用される酸化セリウムの粒径が0.5〜10μm、インキ量添加量が1−20質量%であり、裏面層のポリエチレンフィルム(層C)は紫外線吸収剤を含有するポリエチレンフィルムからなり、バックシート全体の厚さが150〜400μmであることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用バックシートとして使用されて好適な積層材料に関する。
シリコン等の半導体に光を当てると電気を発生する光電効果を応用した太陽電池は、半永久的に使用できる無公害の新たなエネルギー源として実用化されている。近年では一般住宅用の家屋に太陽電池を設置し、家庭電源としても使用されるようになってきた。
太陽電池モジュールは、複数の光起電力素子を結合して使用するのが一般的である。モジュールの構造は、受光面側から順に、透明性基板(ガラス等)、表面封止材膜[EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)]、光起電力素子(複数個接続)、裏面封止材膜(EVA)、そして裏面側の保護部材(バックシート)とからなっており、ステンレスやアルミニウム製枠体の中に封入・固定されたものである。
太陽電池モジュールは、過酷な自然環境から長期にわたって電池素子および内部配線を保護する必要があるため、使用されるモジュールに使用される保護部材は高いガスバリヤ性、耐水性および耐候性、絶縁性、難燃性等の信頼性が要求され、これまで種々の提案が行われてきた。
保護部材の内、特にモジュールの背面に使用される部材(バックシート)は重要で、代表例はフッ素樹脂フィルムで、フッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、4フッ化エチレン等の共重合体である、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、若しくはポリフッ化ビニル(PVF)等(特許文献1参照)や、更に、フッ素樹脂フィルムに無機酸化物を蒸着したもの(特許文献2参照)等が知られている。しかし、それらは何れも、封止材膜との接着性が劣り、長期使用でフイルムの剥離が発生して耐湿性を低下させるという問題があった。しかし、フッ素樹脂フィルム自体が有する耐湿性、耐熱性、長期安定性に優れているため、一部では実用化されている。
基材フィルムにポリエステルフィルム(例えばPETフィルム)やフッ素系樹脂フィルムを使用し、フィルム表面に酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物を蒸着させた例(特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)も知られているが、これらのフィルムは防湿、酸素透過の防止に優れているものの、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルムでは長期耐候性に、フッ素系樹脂フィルムでは前項に示した問題があった。
他方、アルミニウム箔、錫メッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板とポリエステルフィルム等とをラミネートしたもの、あるいはサンドイッチしたものを使用する例(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)は、光起電力素子および配線への腐食を防止する働きがあるが、導電性を有するこれら金属の使用は、モジュール絶縁性に問題があった。
その他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂フイルム単独または積層フィルムに、マイカ、無機酸化物や白色顔料を練り混んだフィルム、あるいは基材フィルム表面に紫外線吸収剤を塗工したもの等が太陽電池モジュール用バックシートの構成材料として使用されているが(特許文献10、特許文献11、特許文献12参照)、無機物とEVAとの接着(一体化)を強固にするためには表面処理が必要であった。また、直接紫外線吸収剤を塗工したフィルムは、表面にキズ等がついた場合、紫外線吸収効果の低下の懸念があった。
特開2003−251765号公報 特開2001−111077号公報 特開2000−138387号公報 特開2002−100788号公報 特開2002−134771号公報 特開平06−177412号公報 特開2001−36116号公報 特開2001−257372号公報 実公平2−44995号公報 特開2003−138141号公報 特開2005−123452号公報 特開2002−134768号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の欠点を改良し、ならびに安価な太陽電池モジュール用バックシートを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の太陽電池モジュール用バックシートの構成は、表面層は、ポリエステルフィルム(層A)、裏面層はポリエチレンフィルム(以下、PEと略記することがある)(層C)からなり、表面層と裏面層との間には無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム(以下、蒸着PETと略記することがある)があり、更に蒸着PET面に酸化セリウムを添加したインキを塗布されたインキ付き無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム(以下、インキ付き蒸着PETと略記することがある)(層B)をラミネートしたものである。
表面層Aは2枚のポリエステルフィルムを積層したものであり、酸化セリウムを添加したインキに使用される酸化セリウムの粒径が0.5〜10μm、インキ量添加量が1−20質量%であり、裏面層のポリエチレンフィルム(層C)は紫外線吸収剤を含有するポリエチレンフィルムからなり、バックシート全体の厚さが150〜400μmであることが好ましい。
紫外線カット剤および酸素吸収剤である酸化セリウムを含むインキ付き蒸着PET層を有する本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、封止材EVAとの高い接着性を維持しながら耐候性に優れ、製造工程も特別なものを必要としない簡易的な方法のため、コストメリットに優れる。
本発明は、紫外線カット剤および酸素吸収剤である酸化セリウムを用いることによって、耐候性向上の効果を発揮させることを基本とする。
酸化セリウムは、表面層(層A)に積層した無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムの蒸着面に酸化セリウムを添加したインキを塗布することによって構成される。
以下、本発明の太陽電池モジュール用バックシートについて詳細に説明する。
表面層(層A)を構成するポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムの他にポリエチレンナフタレートフィルム等も挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルムが推奨される。以下では、PETフィルムを例として説明する。
表面層(層A)は、単層でも可能であるが、2枚のPETフィルムをラミネートした積層体であることが好ましい。それぞれのPETフィルムの厚さは、50〜150μmで、2枚あわせた合計の厚さは200〜300μmであることが好ましい。
2枚あわせる理由は、一般的に同じ厚さの場合、単層単独の場合よりもラミネート(積層)にした時の強度特性が向上するためである。ラミネート表面層であるPET層が200μmより薄いとバックシート強度が落ち、300μmより厚いとコスト高となる。なお、各PETのそれぞれの厚さは任意である。また、使用するPETフィルムは、酸化チタンや炭酸カルシウム等の無機物を練りこんだ、通称白PETを使用することも任意であるが、コスト高の要因となる。
表面PET層には、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム(ここでもPETフィルムを例として説明する)が積層される。積層はそれぞれ非蒸着面同士で行う。
なお、PETフィルム表面に無機酸化物蒸着層(膜)を形成・成長させる方法は、物理気相成長法、または、化学気相成長法等の一般的な方法によって行うことが出来る。無機酸化物は絶縁性があり、化学的に安定で水分とも反応することはない。従って、室外環境下で使用される太陽電池モジュールに使用した場合、電流が漏洩する影響が少なく、建築材料としても耐電圧の高い材料として使用することができる。なお、本発明で使用した蒸着PETは市販品を使用した。
蒸着PET厚さは12μmのものを使用し、蒸着層は60〜70nmである。
PET面同士のラミネート方法は、市販のラミネートマシンを使用することにより、当該業界にあっては容易に積層が可能である。
次いで、本目的を達成するために、蒸着PET面に酸化セリウムを添加したインキが塗布される。酸化セリウムは、紫外線をよく反射・遮蔽するため、紫外線遮断(UVカット)材として用いられているが、酸素吸収能もあるため耐候性向上に少量の添加で、より良い効果を発揮する。
酸化セリウムの粒径は、0.5〜10μm、より好ましくは0.8〜5μmであるのが好ましい。粒径が0.5μmより小さいと、酸化セリウムが凝集し易く、分散が困難になったり、凝集により紫外線を反射する表面積が減少し紫外線反射効果が落ちてしまったり、粒径を細かくするのに特殊な加工を必要とするためコスト高の要因となる。逆に10μmより大きいと、グラビア印刷で塗布する場合、版の余分なインキをかきとるドクター刃の耐久性が落ち、ドクター刃の交換を余儀なくされるため生産性が悪くなる。
尚、塗布する手段は、蒸着PET面を傷つけない方法なら任意であるが、無機酸化物と酸化セリウムとの密着性を維持しながら、大量で高速加工が可能なグラビア印刷法が好ましい。
本発明のバックシートの意図するところは、耐候性向上とは別に、光起電力素子および配線を外部から見えなくするというもう一方の目的のために、酸化セリウムの添加量は1〜20%が好ましい。添加量が1%以下だと、耐候性、白色度共に低下し、20%以上でも添加可能であるが、添加量が増加すると、裏面フィルムとの接着強度が低下する。
以上で得られたインキ付き蒸着PETは、次いで裏面層(層C)であるPEフィルムと積層される。PEを使用する目的は、PE裏面封止材膜EVAとの真空熱ラミネートを容易かつ完全に密着性させるためである。
使用するPEは通常のものでよいが、より耐候性を向上させるためには紫外線吸収剤を含有するPEが好ましい。PEの厚さは、50〜150μmであることが好ましい。50μm以下では、思わぬ強度の力がソーラーセル背面にかかった場合、裏面封止材膜の内側にある光起電力素子および配線にキズをつける危険があり、150μm以上はコスト高となる。好ましい厚さは裏面封止材膜との密着性との兼ね合いから100±20μmである。
バックシート全体の厚さは150〜400μmであるが、150μm以下では信頼性が劣り、400μm以上では重量が大きくなるばかりかコストアップの要因となる。好ましい厚さは200〜300μmである。
以下に実施例を示すが、この例に限定されることはない。なお、各試験方法は以下の方法に従って測定した。
(1)引張強度:試料を長さ150mm×幅10mmの帯状に切出し、引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフAGS−500A)を用い、チャック間距離100mm、歪速度200mm/minの引張試験を行い、破断時の引張強度をJIS K 7127に準じて、測定した。
(2)破断時伸び:上記(1)試験時の試料破断までの伸びをJIS K 7127に準じて、測定した。
(3)寸法安定性:縦横250mmの試験片の中に、中心点(+)から等距離の位置に縦横200mmの正方形を描き、150℃・30min加熱後の正方形の長さを測定する。加熱前後の長さの比から収縮率を算出した。
(4)対EVA接着強度:EVAフィルム(三井化学ファブロ株式会社製、厚さ400μm、長さ100mm、幅25mm、)面と裏面PE面(PE寸法は厚さを除いて、EVAフィルムと同じ)とを合わせた後、その一方の端を10mm幅になるように熱シール(シール温度150℃、時間30min)した。冷却後、室温で、熱シールをしていない各フィルムの両端をチャックし引張強度試験を行い、接着力(=剥離強度)を測定した。使用機器:オートグラフAGS−500A。測定方法JIS K 7127に準拠。
(5)ラミネート強度:各試料の基材フィルム層間を手で剥離して、幅25mm×長さ100mmの試料を作成した。前記と同じ方法でラミネート強度を測定した。使用機器、測定方法はJIS K 7127に準拠。尚、手で剥離できないものは剥離不能とした。
(6)水蒸気透過度:温度40℃・相対湿度90%の条件下、JIS K 7129 B法に準拠して水蒸気透過度を測定した。試験機はMOCON社製PERMATRAN−W3/33MG使用した。
(7)酸素透過度:温度25℃・相対湿度90%条件下、JIS K 7126 B法に準じて酸素透過度を測定した。使用試験機はMOCON社製OX−OXTRAN 2/21MH。
(8)絶縁破壊電圧:絶縁破壊試験機(原口工業株式会社製SPM型60Hz)を用い、JIS C 2110に準じて測定した。
(9)部分放電試験:部分放電試験機(菊水工業株式会社製KPD2050)を用い、IEC 61730−2に準じて測定した。
(10)耐候性:80±3℃の雰囲気下にて、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製 WEL−SUN−HMC)を用い、JIS C 8915に準じて2000時間後の試料の変色を目視で確認した。
[実施例1]
PET厚さが夫々100μm,75μm(各フィルムとも透明)をドライラミネートしたものを用い、この一方の面(75μm面)に、インキ蒸着PETのPET面同士をドライラミネートした。
インキ蒸着PETは、蒸着PET(三菱樹脂株式会社製、テックバリアAX、厚さ12μm品)の蒸着面に、粒径1μmの酸化セリウムを含むインキを印刷・乾燥して得た。
ドライラミネートに使用した接着剤はDIC株式会社製で、その配合比は、商品名:LX660(K)/主剤:商品名:KW75/硬化剤=10:1、乾燥後塗布量3.5g/m2となるように塗工した。厚さ約3μmだった。なお、各層間の接着力強化のため、乾燥条件は40℃、120時間養生した。
印刷インキは、主剤としてパナシアCVL(DIC株式会社製)に硬化剤CVLハードナー(同)を3質量%添加し、このインキ15kgに対し、酸化セリウム(信越化学工業株式会社製、レア・アース、粒径1μm)を3質量%を攪拌下で添加した後、グラビア印刷機を使用して塗布・乾燥し、インキ蒸着PETを得た。
次いで、裏面層PEをラミネートして、バックシートを得た。PEは片面が黒、他面が白から成る共押出多層インフレーションフィルム(アイセロ化学株式会社製、スズロンL XD0021)品で、厚さは100μm。得られたバックシートの各特性を、上記試験方法に従い測定し、その値を表1に示した。
[実施例2]
使用した裏面層PE共押出品の色調を白一色にした以外は実施例1と同じ方法で太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られたバックシートの各特性について、上記試験方法に従い測定し、その値を表1に併記した。
[実施例3]
印刷インキ15kgに対し、粒径5μmの酸化セリウムを5質量%を攪拌下で添加した以外は、実施例1と同じ方法で太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られたバックシートの各特性について、上記試験方法に従い測定し、その値を表1に併記した。
[実施例4]
最表層のPETフィルムの厚さを150μmに替えた以外は実施例1と同じ方法で太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られたバックシートの各特性について、上記試験方法に従い測定し、その値を表1に併記した。
Figure 2010010189
[比較例1]
酸化セリウムを含まない以外、実施例1と同じ基材を使用し、同じ方法でバックシートを得た。得られたバックシートは耐候性試験で黄変した。
[比較例2]
酸化セリウム粒径15μm、添加量を10質量%にした以外、実施例1と同じ基材を使用し、同じ方法でバックシートを得た。
結果は、印刷途中でドクター刃が刃こぼれし、版詰まりが発生し、連続印刷が出来なくなったばかりでなく、塗布むらが発生した。
[比較例3]
酸化セリウム粒径5μm、添加量を0.5質量%にした以外、実施例1と同じ基材を使用し、同じ方法でバックシートを得た。結果は、色調むらが出るとともに耐候性に劣る物だった。
[比較例4]
裏面PE層に紫外線吸収剤を含まないものを使用した以外、実施例1と同じ基材を使用し、同じ方法でバックシートを得た。結果は、得られたフィルムは耐候性試験で黄変した。
表1に示した結果から、本発明のおのはガスバリア性に優れ、かつ、耐候性が良いものであることが理解できる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの1例を示す積層図である。
符号の説明
1:表層A
5:表層A1
6:表層A2
2:蒸着フィルム
3:インキ+酸化物層B
4:裏面層C

Claims (2)

  1. 表面層は、ポリエステルフィルム(層A)に無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムを積層して得られたフィルムであって、蒸着面に酸化セリウムを添加したインキを塗布されたインキ付き無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム(層B)が形成され、更にインキ付き面と裏面層(層C)としてのポリエチレンフィルムとを張り合わせて得られる耐候性に優れた太陽電池モジュール用バックシート。
  2. 表面層ポリエステルフィルム(層A)は、2枚のポリエステルフィルムをラミネートした積層体であり、酸化セリウムを添加したインキに使用される酸化セリウムの粒径が0.5〜10μm、インキ量添加量が1−20質量%であり、裏面層(層C)のポリエチレンフィルムは紫外線吸収剤を含有するポリエチレンフィルムからなり、バックシート全体の厚さが150〜400μmである第1項に記載の耐候性に優れた太陽電池モジュール用バックシート。
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