JP2010009644A - ディスク駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングの内外を連通する貫通孔部分の気密性の安定化をシンプルな構造で実現できるディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】ディスク駆動装置は、ベースプレート16の壁面に駆動ユニットからの引出線48を外部に引き出す貫通孔50を有している。貫通孔50は挿通孔58を有する封止シート56で塞がれる。また、封止シート56の挿通孔58を介してハウジング内部から引出線48が引き出される。封止シート56は硬化性樹脂が担持され、この硬化性樹脂が硬化処理中に一度軟化してベースプレート16と貫通孔50の間の空間や挿通孔58と引出線48の間の空間に流れ込み、その状態で硬化してハウジングの気密性を確保する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ディスク駆動装置、特に、ディスク駆動装置の気密構造の改良に関する。
近年、固定ディスク駆動装置(以下、単にディスク駆動装置という)の記録密度を向上させる技術が急速に進歩し、それに伴い記録容量は飛躍的に高まっている。そして、記録密度の向上に伴い、ディスク駆動装置内部への異物の侵入対策が重要になっている。例えば、ディスク駆動装置内部に記録媒体として収納される記録ディスクの表面と磁気ヘッドの距離は数ナノメートルである。これに対し大気中に含まれる塵等は遙かに大きく、ディスク駆動装置内部に進入した場合、磁気ヘッドの記録ディスクへのアクセス不良の原因になったり、記録ディスクや磁気ヘッドに物理的な損傷を与える原因になる可能性がある。そのため、ディスク駆動装置のハウジングは密閉構造とする必要がある。一方、ディスク駆動装置内部には、記録ディスクを回転駆動するモータや磁気ヘッドが収納されている。つまり、モータの磁気発生用コイルへの給電線や磁気ヘッドの信号線などの引出線をディスク駆動装置の内部から外部に引き出す必要がある。この場合、引出線はディスク駆動装置のハウジングの一部に形成された貫通孔を通して引き出される。前述したように、ハウジングは密閉構造とする必要があるため、貫通孔部分はエアリークが生じないように高い気密性を持つ構造とする必要がある。
このようなハウジングの気密性を確保するための構造が種々提案されている。例えば貫通孔部分にシールを配置しその上から封止剤を塗布する構造(特許文献1参照)や、プラグ孔をはんだで封止する構造(特許文献2参照)、貫通孔にブッシュを配置して複数種類の接着剤を塗布して封止する構造(特許文献3参照)等が提案されている。
特開平11−299168号公報 特開2001−298890号公報 特開2006−187145号公報
しかし、封止剤やはんだ、接着剤などはどれも流動性を有するものであり、塗布及び硬化の過程で流れが生じ易い。そのため封止状態にばらつきが生じ易く、装置ごとにばらつきが生じ、貫通孔部分の気密性能が安定しないという問題があった。また、塗布物の流動を抑制するような構造物の追加や流動性を考慮した作業工程の追加などが必要になり製造コストが上昇してしまうという問題もあった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、貫通孔を有するハウジングの気密性の安定化をシンプルな構造で実現できるディスク駆動装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、ハウジングと、前記ハウジング内部に配置され当該ハウジングに対して記録ディスクを回転自在に支持する軸受けユニットと、前記軸受けユニットに支持された記録ディスクを回転駆動する駆動ユニットと、を含むディスク駆動装置であって、前記ハウジングは、前記駆動ユニットからの引出線をハウジング外部に引き出す貫通孔を有し、前記引出線の挿通孔が形成されたシートであって、硬化処理により一度軟化した後硬化する硬化性樹脂を担持する封止シートによって前記挿通孔と共に前記貫通孔を密閉封止して前記ハウジングに密閉空間を形成することを特徴とする。
封止シートの基材は、繊維材料や樹脂材料によりシート状に構成し、硬化性樹脂を担持する樹脂担持機能を有している。封止シートは、繊維材料や樹脂材料をメッシュ状に織り込んだ形態とすることができる。そして、メッシュ構造により形成される凹凸の担持部により硬化性樹脂を保持してもよい。また、シートを構成する繊維内部に硬化性樹脂が含浸される形態でもよい。また、封止シートは、板状の形態で硬化性樹脂を表面に保持してもよい。封止シートに形成される挿通孔の径は、挿通する引出線の径に対応させた大きさにすることができる。封止シートに担持された硬化性樹脂は硬化処理の過程で一度軟化して、引出線が挿通された挿通孔に流れ込み当該引出線と挿通孔の間の空間を埋めるように作用する。また、封止シートの基材がメッシュ構造や繊維質のように通気性のある場合には、硬化性樹脂が硬化処理の過程で一度軟化するときにその通気部分を埋めるように作用する。硬化性樹脂は、硬化処理の過程で一度軟化した後に硬化する2相間変化特性を有するものが利用できる。
この態様によれば、封止シートに担持された硬化性樹脂は硬化過程で一度軟化して引出線と挿通孔の間の隙間に流れ込みその隙間を塞ぐ。また、一度軟化した硬化性樹脂は封止シートと貫通孔の接触部分にも流れ込み両者間の隙間を塞ぐ。封止シートに担持された硬化性樹脂は、隙間が存在する部分に向かって流動して隙間が埋まったときにその流動が停止して封止シート上に留まりその状態で硬化してハウジング内部の気密性を確保する。この場合、挿通孔及び貫通孔の大きさ、挿通させる引出線の量により隙間が定まり流動する硬化性樹脂の量も定まるので、硬化性樹脂による封止状態が製品間でも安定しディスク駆動装置の気密性の安定化が図れる。
また、上記態様において、前記封止シートは、当該封止シートに形成された挿通孔の中心と前記ハウジングの貫通孔の中心が対応するように配置されてもよい。挿通孔の中心と貫通孔の中心とを一致させるように対応させることで、挿通孔に通された引出線を貫通孔の内壁面から均等に離間させることができる。この態様によれば、ハウジングと引出線との間の絶縁性能を確保することができる。また、ハウジング側から振動などの外力が直接引出線に作用してしまうことが抑制できる。
また、上記態様において、前記封止シートは複数の挿通孔を有し、引出線を分割して挿通するようにしてもよい。ディスク駆動装置から引き出される引出線としては、例えば駆動ユニットから引き出される複数の給電線がある。封止シートに複数の挿通孔を形成し、挿通孔ごとに挿通させる引出線を確定することにより引出線の誤配線を防止することができる。また、1つの挿通孔に挿通する引出線の本数を少なくすることがでるので、挿通作業が容易になると共に引出線間の擦れ防止や絶縁性の確保が容易になる。
また、上記態様において、前記貫通孔の大気開放側に、前記貫通孔と当該貫通孔を介して前記ハウジングの外表面に沿って引き出された引出線の一部を覆うように、硬化処理により一度軟化した後硬化する硬化性樹脂を担持するカバー封止シートを配置してもよい。カバー封止シートの基材も繊維材料や樹脂材料によりシート状に構成し、硬化性樹脂を担持する樹脂担持機能を有している。カバー封止シートは、繊維材料や樹脂材料をメッシュ状に織り込んだ形態として、そのメッシュ構造により硬化性樹脂を保持してもよい。また、シートを構成する繊維内部に硬化性樹脂が含浸される形態でもよい。また、カバー封止シートは、板状の形態で硬化性樹脂を表面に保持してもよい。カバー封止シートに担持された硬化性樹脂は硬化処理の過程で一度軟化して、貫通孔に流れ込み当該貫通孔と引出線との間の空間を埋めるように作用する。また、カバー封止シートの基材がメッシュ構造や繊維質のように通気性のある場合には、硬化性樹脂が硬化処理の過程で一度軟化するときにその通気部分を埋めるように作用する。硬化性樹脂は、硬化処理の過程で一度軟化した後に硬化する2相間変化特性を有するものが利用できる。この態様によれば、ハウジングの内部の気密性を高めることができる。また、カバー封止シートは貫通孔から引き出された引出線をハウジングの外表面に固定するので、引出線の保持・固定性能の向上に寄与できる。
本発明のディスク駆動装置によれば、貫通孔を有するハウジングの気密性の安定化をシンプルな構造で実現できる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態のディスク駆動装置は、ハウジングの壁面に駆動ユニットからの引出線を外部に引き出す貫通孔を有している。貫通孔は挿通孔を有する封止シートで塞がれる。また、封止シートの挿通孔を介してハウジング内部から引出線が引き出される。封止シートは硬化性樹脂が担持され、硬化性樹脂が硬化処理中に一度軟化してハウジングと貫通孔の間の空間や挿通孔と引出線の間の空間に流れ込み、その状態で硬化してハウジングの気密性を確保する。
図1は、本実施形態のディスク駆動装置10の全体構成を説明する概略断面図である。
ディスク駆動装置10は、例えばアルミニウム等の金属で成形された断面略凹形状のシャーシ12と、当該シャーシ12の窪み部分を覆う例えば金属製のカバー14と、後述する軸受けユニットの基台となるベースプレート16によって密閉空間18を形成するハウジング20を含む。このハウジング20の密閉空間18には、磁気記録媒体である記録ディスク22が軸受けユニット24によって回転自在に支持されている。また、この軸受けユニット24には、記録ディスク22を回転駆動する駆動ユニット26が接続されている。なお、ハウジング20の内部には、回転する記録ディスク22の半径方向に磁気ヘッド28aを揺動させながら記録ディスク22に対しデータの書き込み及び読み出し行うヘッドユニット28が配置されている。
図2は、ハウジング20の内部に配置される軸受けユニット24及び駆動ユニット26の概略拡大断面図である。
軸受けユニット24は、シャフト30、スリーブ32、ハブ34、カウンタープレート36を含んで構成されている。ハウジング20の一部を構成するベースプレート16は円形開口部16aを有している。この円形開口部16aに略円筒状のスリーブ32が挿入されている。図2の場合、スリーブ32は円形開口部16aの内壁面に接着剤等で固定されている。スリーブ32の筒状空間部には一端にハブ34を固定し、他端に動圧作用のためのフランジ30aを有するシャフト30が回転自在に収納されている。なお、スリーブ32の円形開口部32aはカウンタープレート36で封止され、シャフト30を脱落しないように支持すると共に、密閉空間18の気密を維持するようにしている。なお、ハブ34には記録ディスク22が固定されている。
ベースプレート16の円形開口部16aを形成する円筒壁16bの外面16c側には、磁気発生用のコイル38が巻回されたステータコア40が複数個固定されている。また、シャフト30に固定されたハブ34には、マグネット42を支持するロータヨーク44が、ステータコア40とマグネット42が対面するように固定されている。ステータコア40とマグネット42は、僅かな隙間を挟み対向し、マグネット42の回転位置に応じた電流をコイル38に流すことによりハブ34を回転させることができる。つまり、マグネット42、ロータヨーク44、ハブ34、シャフト30がロータとして機能し、記録ディスク22を所定の速度で所定方向に回転させている。
なお、本実施形態で使用される軸受けユニット24は、動圧軸受と呼ばれるものであり、前述したようにシャフト30の例えば端部にフランジ30aが形成されている。そしてシャフト30、フランジ30a、スリーブ32、カウンタープレート36に囲まれた空間には潤滑油が満たされている。また、スリーブ32の内周で軸方向に離れた複数部分とフランジ30aの両端面にはヘリングボーン状の溝が設けられている。したがって、シャフト30と共にフランジ30aが回転することにより潤滑油に圧力の高い部分が生じる。その圧力によりシャフト30及びフランジ30aを周囲の壁面から離反させて、当該シャフト30を実質的に非接触の回転状態として、記録ディスク22の安定的な高速回転を実現し、安定したデータの書き込みまたは読み出しを実行させる。
ベースプレート16の一部には、コイル38から引き出される引出線48をハウジング20の外部に導く貫通孔50が形成されている。貫通孔50から引き出された引出線48はコネクタ52を経由して回路基板54に接続され、必要に応じ給電や信号のやり取りが実行される。
このように貫通孔50を有する場合でも前述したように、ディスク駆動装置10は内部の気密性を維持するための構造が必須になる。本実施形態の場合、貫通孔50の形成部分にける気密性を維持するために、硬化性樹脂を担持した封止シート56を用いている。
図3は、封止シート56の形状の一例を説明する平面図である。封止シート56は、繊維材料や樹脂材料により形成されたシート状の基材と、その基材に担持される硬化性樹脂とで構成されている。基材は、繊維材料や樹脂材料をメッシュ状に織り込んだ形態や板状の形態にしたものを利用可能である。特にメッシュ状にすることで柔軟性を持たせて取り扱いや貫通孔50への密着性を向上させたり硬化性樹脂の担持機能を向上させる硬化を得ることができる。封止シート56の基材としては、ナイロンや塩化ビニル、ポリエステルなどの化学繊維が使用できる。封止シート56には、引出線48を挿通するための挿通孔58が形成されている。この挿通孔58は例えば、プレス加工などにより打ち抜き成形することができる。挿通孔58は、挿通させる引出線48の線径に応じて決定することが好ましく、例えば、引出線48の1本に対応する直径とすることができる。また、挿通孔58に複数の引出線48を束ねた状態で挿通する場合には、挿通孔58をその本数に応じた直径とすることができる。なお、封止シート56の基材がメッシュ状など伸縮性を有する場合には、挿通孔58の直径を挿通する引出線48の線径より僅かに小さくしてもよい。この場合、挿通孔58に引出線48を挿通させたときに挿通孔58を押し広げるような状態にして、挿通孔58と引出線48の間に生じる隙間を極力小さくすることができる。
封止シート56の基材に担持させる硬化性樹脂は、硬化処理の過程で一度軟化して、引出線48が挿通された挿通孔58に流れ込み当該引出線48と挿通孔58の間の空間を埋めるように作用した後、硬化処理の最終過程で硬化する樹脂である。硬化性樹脂としては、熱硬化性の樹脂が使用可能であり、例えば、エポキシ系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリイミド系などとすることができる。硬化性樹脂は、基材のメッシュ状構造により保持してもよいし、基材の繊維自体に含浸させて保持させてもよい。また、基材の表面にコーティングして保持させてもよい。基材は、硬化性樹脂を担持しやすいように凹凸を設けてもよい。
図4は、ベースプレート16に形成された貫通孔50に封止シート56を配置した状態を説明する説明図である。図4の例では、封止シート56を貫通孔50のハウジング20の内部側端部に配置すると共に、複数本の引出線48を束ねた状態で挿通孔58に挿通させた例である。このように封止シート56を配置した状態で、所定の温度制御下で硬化処理を実行すると、まず、封止シート56に担持された熱硬化性樹脂が軟化して、近傍に存在する隙間に向かって流れ出す、例えば引出線48と挿通孔58の間の空間を埋めるように流動する。また、封止シート56の基材がメッシュ構造や繊維質のように通気性がある場合には、硬化性樹脂が一度軟化するときにその通気部分を埋めるように作用する。また、一度軟化した硬化性樹脂は封止シート56と貫通孔50の接触部分にも流れ込み両者間の隙間を塞ぐ。封止シート56に担持された熱硬化性樹脂は、隙間が存在する部分に向かって流動して隙間が埋まったときにその流動が停止して、封止シート56上に留まる。この状態で硬化処理が進むと、熱硬化性樹脂が完全硬化して、貫通孔50に関連して生じていた隙間を封止して、貫通孔50におけるエアリークを防止してハウジング20内部の気密性を維持する。なお、熱硬化性樹脂は硬化処理中においても封止シート56の基材に担持され適度な浸透性を維持しているので、必要以上に流動したり脱落したりすることがなく、硬化過程でエアリークの原因になるホール形成が抑制される。また、挿通孔58及び貫通孔50の大きさや挿通させる引出線48の量によりそこに形成される隙間が定まり、流動する硬化性樹脂の量も定まるので、硬化性樹脂による封止状態が製品間でも安定し、ディスク駆動装置10の気密性の安定化が図れ、品質向上に寄与できる。
なお、図4の例では、封止シート56をハウジング20の内側、つまりベースプレート16の内側に配置する例を示したが、封止シート56をハウジング20の外側、つまりベースプレート16の外表面側に配置しても上述と同様の効果を得ることができる。この場合、硬化処理後の封止シート56の状態を目視することが容易であり、気密性の検査が容易になると共に、封止シート56の装着作業が容易になる。
封止シート56としては、例えば、住友スリーエム株式会社からスーパーエポキシテープNO.1520の商品名で販売されているものが利用可能である。
ところで、封止シート56は、図3に示すように、挿通孔58の中心とベースプレート16貫通孔50の中心が対応するように、具体的には一致するように配置することが望ましい。前述したように、ベースプレート16は金属製である場合が多いので、引出線48を引き出す場合に、絶縁性を配慮する必要がある。図3に示すように、貫通孔50の中心と挿通孔58の中心が一致するように配置することにより引出線48が貫通孔50の内壁面に非接触な状態で引き出すことが可能になり、引出線48とベースプレート16との電気的ショートを防止できる。また、ベースプレート16側から振動などの外力が直接引出線48に伝わることも抑制できて、引出線48に対するストレスも排除できる。
また、複数本の引出線48を挿通孔58に挿通する場合、挿通孔58は引出線48のベースプレート16に対する絶縁性を維持したまま、複数の引出線48を束ねる結束手段として機能するので、引出線48の配線処理が容易になる。また、封止シート56を用いることにより従来引出線48に装着されていた絶縁チューブを廃止することができる。
図5は、本実施形態の封止シートの他の配置例を説明する説明図である。
図5(a)は、封止シート56を貫通孔50の上面側と下面側、すなわちハウジング20の内部側と外部側に配置した例である。2枚の封止シート56は同じものが使用可能である。この場合、ハウジング20の気密信頼性を向上できると共に、2枚の封止シート56に引出線48を挿通させて固定することにより、引出線48の固定信頼性も向上することができる。
図5(b)は、ベースプレート16の外表面側に1枚の封止シート56を配置すると共に、封止シート56及び封止シート56から挿出された引出線48の一部を覆うように、硬化処理により一度軟化した後硬化する硬化性樹脂を担持するカバー封止シート60を配置している。カバー封止シート60は、封止シート56に対して挿通孔58が無いこと以外、基材や担持する硬化性樹脂は同じものを使用できる。例えば、複数の引出線48を束ねた状態や各引出線48の線径が太い場合、引出線48を束ねた場合の線間の隙間が大きくなったり、挿通孔58との隙間が大きくなってしまう場合がある。このような場合、カバー封止シート60により封止シート56及び引出線48の一部をまとめて覆うことによりハウジング20の気密信頼性を向上できる。また、封止シート56及びカバー封止シート60の硬化処理後の状態を容易に目視可能なので、ハウジング20の気密信頼性を向上することができる。
図5(c)は、封止シート56とカバー封止シート60を用いた例であり、封止シート56をベースプレート16の内表面側、カバー封止シート60をベースプレート16の外表面側に配置した例である。この場合もハウジング20の気密信頼性を向上することができる。
図5(d)は、2枚の封止シート56を重ねてベースプレート16の内表面側に配置した例である。このように、封止シート56の厚みを増加させて引出線48と封止シート56との接触面積を増加させることによりハウジング20の気密信頼性を向上できる。また、2枚重ねて配置できるので作業効率がよい。
図5(e)は、封止シート56の形状を貫通孔50の形状に合わせて事前にフォーミングした例である。このように貫通孔50の形状に合わせておくことで、封止シート56、と貫通孔50またはベースプレート16との密着性を高めてハウジング20の気密信頼性が向上できる。また、貫通孔50に対する封止シート56の位置決め精度を向上し、引出線48と貫通孔50の内壁面との接触を確実に防止し、絶縁信頼性を向上することができる。
図5(f)は、図5(e)の例に、さらに平面タイプの封止シート56を追加した例である。この場合、ハウジング20の気密信頼性が向上できると共に、貫通孔50に対する封止シート56の位置決め精度、引出線48の位置決め精度を向上して、絶縁信頼性を向上することができる。
図5(g)は、封止シート56が担持する硬化性樹脂においてアウトガスが懸念される場合の対策例を示している。この場合、貫通孔50のモータ外側に対して封止シート56を配置して硬化処理を行いハウジング20の密閉封止を行った後、貫通孔50にアウトガスの少ない充填材62を注入して封止シート56からのアウトガスがハウジング20内部に流入することを防止している。このような充填材62を用いることで封止シート56に使用する硬化性樹脂の選択肢が増え、封止機能重視の封止シート56を採用し、ハウジング20の気密信頼性を向上することができる。
図5(h)は、カバー封止シート60のみをベースプレート16の外衣表面に配置した参考例である。この場合、容易に貫通孔50の封止が可能になり、ハウジング20の気密信頼性が向上できる。
なお、封止シート56を配置する位置は、引出線48と貫通孔50の内壁面との接触を回避するという点では、貫通孔50の通過前に引出線48の位置を確定できるハウジング20の内部側に配置方が有利である。一方、貫通孔50の内径が大きい場合や引出線48の引出し距離が配線バラツキを考慮しても貫通孔50の内壁面との接触に至らないような短い場合などで、硬化処理やその後の気密性の確認作業性を重視する場合には、貫通孔50の外側に配置すると有利である。このように、封止シート56やカバー封止シート60の配置形態は、貫通孔50の形状や大きさ、引出線48の本数や線形などに応じて適宜選択可能であり、上述の例と同様の効果を得ることができる。
図6は、封止シート56の変形例を示す。図6(a)は、1枚の封止シート56に複数の挿通孔58を形成した例であり、引出線48の種類ごとに別々の挿通孔58を用いる例である。本実施形態のディスク駆動装置10に使用されるスピンドルモータは、ホール素子等を使用しないセンサーレス方式という駆動方法を採用している。この方式は、中性点から見たU相、V相、W相の相順を検出することで、モータの回転する方向を決定できる。そのため、U相、V相、W相についてそれぞれの巻き線スタート部からそのまま外部に引き出すことができる。また中性点は、線処理部からそのまま外部に引き出すことができる。このとき、図6(a)に示すように、各相の引出線48を別々の挿通孔58から引き出すことにより外部コネクタや外部機器に対する誤配線を防止できる。その結果、回転不能や逆回転のような不具合を防止できる。
また、各相の引出線48を別々の挿通孔58から引き出すことによりステータコア40のスロットに対する巻き線バランスを改善することができる。例えば、一カ所の挿通孔58から各相の引出線48を引き出す場合、ワイヤーのステータコア40への巻き線は、U相、V相、W相についてそれぞれの相のスロットで巻き初め、巻き終わりが発生する。従って、一カ所の挿通孔58から引き出す場合は、ワイヤーの巻き初め、巻き終わりをスロット間で渡らせる端末線処理を行わなければならない。つまり、異なる相のスロットに異なる相の端末線を渡らせるため、相対的にスロットへの巻線バランスが悪くなり、各相のトルクバランスが悪化し、振動、騒音が悪化する。また、相互インダクタンスのバランスが崩れ、モータの起動時の回転方向検出の程度が落ちる可能がある。また、その線処理が煩雑になってしまい、工数が増大する原因になる。それに対して、各相の引出線48を別々の挿通孔58から引き出すことによりワイヤーの巻き初め、巻き終わりをスロット間で渡らせる端末線処理が不要になり上述したような不具合が解消される。なお、図6(a)のように、封止シート56に複数の挿通孔58が形成されている場合、挿通孔58の形成領域の幾何学上の中心と貫通孔50の中心を対応するように配置することにより、各引出線48の貫通孔50の内壁面に対する絶縁性能を確保することができる。
図6(b)は挿通孔58に引出線48を容易に挿通できるようにした例である。前述したように、引出線48と挿通孔58との間に形成される隙間をできるだけ小さくするために、挿通孔58の直径は引出線48の線径と同等または僅かに小さいことが好ましい。そのため、封止シート56に柔軟性がある場合でも、挿通孔58に引出線48を挿通し難くなる場合がある。このような場合、封止シート56の端から挿通孔58につながるまでの切込部64を形成する。その結果、引出線48を切込部64を介して挿通孔58まで移動させることが容易にできる。なお、切込部64は、封止シート56の厚み以下とし、挿通孔58から封止シート56の端まで連続して切断されていればよい。この切込部64は、硬化性樹脂の硬化処理の際に流れ出した硬化性樹脂によって再度結合させることが可能で、エアリークを引き起こすような隙間の形成を防止できる。
このように、封止シート56を用いた本実施形態によれば、シンプルな構成でハウジング20の密閉構造、引出線48の絶縁構造、引出線48の配線処理が可能になる。それに伴い製造工程の削減、部品点数の削減なども可能で低コスト化に寄与できる。さらに、構造のシンプル化に伴いディスク駆動装置10の小型化にも寄与できる。
なお、本実施形態では、封止シート56の担持する硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を一例に説明したが、硬化処理の過程で一度軟化しその後硬化する硬化性樹脂であれば利用可能である。例えば、紫外線硬化型、可視光硬化型、湿気硬化型、添加剤硬化型なども利用可能で本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、封止シート56を適用するディスク駆動装置10の一例として図1に示すようなベースプレート16、シャーシ12、カバー14でハウジング20を構成する場合を示した。しかし、ディスク駆動装置の構造はこれに限らず、例えば、シャーシ12とベースプレート16とが一体化されたタイプのディスク駆動装置にも適用可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
本実施形態のディスク駆動装置の概略構成を説明する断面図である。 本実施形態のハウジングの内部に配置される軸受けユニット及び駆動ユニットの概略拡大断面図である。 本実施形態のディスク駆動装置に用いる封止シートの形状を説明する平面図である。 本実施形態のディスク駆動装置に用いる封止シートを貫通孔に装着した状態を説明する説明図である。 本実施形態のディスク駆動装置に用いる封止シートを貫通孔に装着する場合の他の例を説明する説明図である。 本実施形態のディスク駆動装置に用いる封止シートの他の形状を説明する平面図である。
符号の説明
10 ディスク駆動装置、 12 シャーシ、 14 カバー、 16 ベースプレート、 18 密閉空間、 20 ハウジング、 22 記録ディスク、 24 軸受けユニット、 26 駆動ユニット、 28 ヘッドユニット、 30 シャフト、 32 スリーブ、 34 ハブ、 36 カウンタープレート、 38 コイル、 40 ステータコア、 42 マグネット、 44 ロータヨーク、 48 引出線、 50 貫通孔、 56 封止シート、 58 挿通孔、 60 カバー封止シート。

Claims (4)

  1. ハウジングと、前記ハウジング内部に配置され当該ハウジングに対して記録ディスクを回転自在に支持する軸受けユニットと、前記軸受けユニットに支持された記録ディスクを回転駆動する駆動ユニットと、を含む記録ディスク駆動装置であって、
    前記ハウジングは、前記駆動ユニットからの引出線をハウジング外部に引き出す貫通孔を有し、
    前記引出線の挿通孔が形成されたシートであって、硬化処理により一度軟化した後硬化する硬化性樹脂を担持する封止シートによって前記挿通孔と共に前記貫通孔を密閉封止して前記ハウジングに密閉空間を形成することを特徴とするディスク駆動装置。
  2. 前記封止シートは、当該封止シートに形成された挿通孔の中心と前記ハウジングの貫通孔の中心が対応するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
  3. 前記封止シートは複数の挿通孔を有し、引出線を分割して挿通することを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク駆動装置。
  4. 前記貫通孔の大気開放側に、前記貫通孔と当該貫通孔を介して前記ハウジングの外表面に沿って引き出された引出線の一部を覆うように、硬化処理により一度軟化した後硬化する硬化性樹脂を担持するカバー封止シートを配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のディスク駆動装置。
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