JP2010008807A - 光学素子および低反射膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】光導波路へ入射する光の、当該光導波路の端部における反射光を効果的に低減することができる低反射膜および低反射膜を備えた光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子1は、細線導波路4の、光入射側の端部および光出射側の端部に、光の反射を防止する低反射コート膜5・6が配されており、低反射コート膜5・6は、細線導波路4に入射する光または細線導波路4から出射する光を順次透過させるように積層されたSiO膜5A・6AとSiN膜5B・6Bとを含み、SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bの屈折率は、コア層3の屈折率よりも小さく、クラッド層2の屈折率以上であるとともに、互いに異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、入射光および出射光の反射を抑制する低反射膜および当該低反射膜を備える光学素子に関するものである。
光を伝搬するための光学素子は光導波路、光合分波器、光アイソレータなどで構成されており、外部から光学素子へ光を入射させて、光が光学素子を伝搬する。例えば、光通信では、光学素子は光導波路や光合分波器などによって構成され、光ファイバーで伝送された信号光がその光学素子へ入射する。また、生体光計測では、光が生体に照射されて、生体内において反射光や透過光が発生し、生体を分析するために反射光や透過光を光学素子へ入射させる。
このように光学素子はあらゆる分野へ応用されているが、光学素子を構成する基板の端面での光の入射や出射で、光の反射が問題となっている。例えば、入射側の基板端面で光が反射すると、光学素子を伝搬する光の強度が低下して、光を正確に分析できない恐れがある。また、入射側や出射側の基板端面で反射した光は戻り光(反射光)となり、その光が発光素子へ戻り、発光素子の特性を不安定にする恐れがある。
そこで、基板端面での反射を低減するために、基板端面へ低反射コート膜を作製することが提案されている。図21から図24までは、特許文献1に開示されている低反射コート膜を有する光学素子を示している。
図21は、従来の低反射コート膜を有する単一の光導波路の側面図であり、図22は、図21のB−B’線矢視断面図を示す。
まず、図21、図22を用いて、従来の低反射コート膜を有する光学素子の構造を説明する。
図21、図22に示すように、光学素子は、SOI(Silicon On Insulator)基板101からなる。
SOI基板101は、Si基板上に形成されるクラッド層(下部クラッド層)102と、クラッド層102の上層に形成されるコア層103と、コア層103の一部領域でありコア層103の上部に突起部分として形成される光導波路104と、光導波路104を含めコア層103の上層に形成されるクラッド層(上部クラッド層)105と、SOI基板101の光の入射方向の端部に形成される低反射コート膜106と、SOI基板101の光の出射方向の端部に形成される低反射コート膜107とから構成される。
クラッド層102は、厚さ1〜2μmのSiOからなる。コア層103は厚さ2〜10μmのSiからなる。コア層103は光を伝搬するための層であり、光導波路104を伝って光が伝搬される。クラッド層105はSiOからなる。なお、図21ではクラッド層105の記載を省いている。
低反射コート膜106・107は、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)によってSOI基板101の長手方向における両端面に積層されることにより形成される。
そして、低反射コート膜106の幅(膜厚)をWOinとし、低反射コート膜107の幅(膜厚)をWOoutとすると、
WOin=WOout=λ/(4×nSiN)の関係を満たすように形成されている。
ただし、上式では、低反射コート膜106・107の材質であるSiNの屈折率をnSiNとし、光導波路へ入射する光の波長をλとする。
次に、図23、図24を用いて、入射側での低反射コート膜106の原理、および出射側での低反射コート膜107の原理を説明する。図23は、図21の低反射コート膜106が形成されている側のSOI基板101の端部の拡大図を示す。
図23の光路Aに示すように、光導波路104の長手方向におけるSOI基板101端面へ入射した光は、低反射コート膜106を通って、光導波路104を伝搬する。このため、図23の光路Bに示すように、SOI基板101外部と低反射コート膜106との界面108で反射(以下、「入射膜反射」と呼ぶ。)が生じ、また、図23の光路Cに示すように、低反射コート膜106とSOI基板101との界面109で反射(以下、「基板反射」と呼ぶ。)が生じる。
光路Bでは、SOI基板101外部(大気)の屈折率nAIRと低反射コート膜106の屈折率nSiNがそれぞれ、1と1.9となる。したがって、nAIR<nSiNの関係が得られ、入射膜反射で光の位相は変化しない。
一方、光路Cでは、コア層103の屈折率nSiが3.47となる。したがって、nSiN<nSiの関係が得られ、基板反射で光の位相は変化しない。また、光路Cでは、光が低反射コート膜106を往復し、光路長λ/2を伝搬して、位相がπ変化する。
ここで、低反射コート膜106の往復の光路長は下記のように算出される。
2×WOin×nSiN=2×1/(4×nSiN)×λ×nSiN=λ/2
光路Bと光路Cとでの位相変化より、反射後に基板101外部へ戻った光路Bと光路Cとの光の位相差はπとなる。従って、光路Bと光路Cとを伝搬した光は、基板101外部で干渉して打ち消し合うため、入射膜反射と基板反射とが低減され、入射側の基板101端面において戻り光が抑制される。
次に、図24を用いて、出射側での低反射コート膜107の原理を説明する。図24は、図21の低反射コート膜107が形成されている側のSOI基板101の端部の拡大図を示す。
図24の光路Aに示すように、光導波路104を伝搬した光は、低反射コート膜107を通って、SOI基板101外部へ出射される。このため、図24の光路Dに示すように、SOI基板101と低反射コート膜107との界面110での反射(以下、「出射膜反射」と呼ぶ。)が生じ、また、図24の光路Eに示すように、低反射コート膜107とSOI基板101外部との界面111での反射(以下、「外部反射」と呼ぶ。)が生じる。
光路Dでは、コア層103の屈折率nSiと低反射コート膜107の屈折率nSiNとの関係nSi>nSiNより、出射膜反射で光の位相はπ変化する。
一方、光路Eでは、低反射コート膜107の屈折率nSiNとSOI基板101外部の屈折率nAIRとの関係nSiN>nAIRより、外部反射で光の位相はπ変化する。また、光路Eでは、光が低反射コート膜107を往復し、位相がπ変化する。
光路Dおよび光路Eでの位相変化より、反射後にSOI基板101へ戻った光路Dと光路Eの光の位相差はπとなる。従って、光路Dと光路Eの光は、SOI基板101で干渉して打ち消し合うため出射膜反射と外部反射が低減され、出射側のSOI基板101端面において戻り光が抑制される。
特開2000−89054号公報(2000年3月31日公開)
ところが、特許文献1のようなSOI基板101から作製された光学素子で、コア層103の厚さがSOI基板101端面へ入射する光のスポット径より小さい場合、コア層103とコア層103周辺部分のクラッド層102へも、光が入射してしまう。また、入射した光はクラッド層102へ滲み出しながら光導波路を伝搬し、コア層103とコア層103周辺部分のクラッド層102からSOI基板101外部へ出射する。
このような場合、SOI基板101端面に従来の低反射コート膜106・107を形成しても、光の反射は低減されない。なぜなら、従来の低反射コート膜106・107の構造では、コア層103と対向する領域でしかSOI基板101端面での光の反射を低減できない。このため、コア層103以外の層すなわちクラッド層102で光が入射もしくは出射する場合に、光の反射を低減できない。
この理由について下記に説明する。
まず、図23を用いクラッド層102の光の入射側について説明する。
光路Fに示すように、クラッド層102に入射した光は、低反射コート膜106を通って、光導波路104を伝搬する。
低反射コート膜106が形成されているSOI基板101の端部のクラッド層102では、光路Gは、nAIR<nSiNの関係より、入射膜反射で光の位相は変化しない。一方、クラッド層102近傍の光路Hでは、クラッド層102の屈折率nSiO2が1.44であり、nSiN>nSiO2の関係が得られ、基板反射で光の位相はπ変化する。また、光路Hでは、光が低反射コート膜106を往復し、位相がπ変化する。
クラッド層102における光路Gおよび光路Hの位相変化より、反射後にSOI基板101外部へ戻った光路Gおよび光路Hの光の位相差はない。従って、光路Gおよび光路Hの光は、SOI基板101外部で干渉して強め合うため、入射膜反射と基板反射とが強められ、入射側のSOI基板101の端面で戻り光が抑制されない。
次に、図24を用いクラッド層102の光の出射側について説明する。
光路Fに示すように、クラッド層102から伝搬される光は、低反射コート膜107を通って外部に出射される。
クラッド層102の近傍で光路Iは、nSiO2<nSiNの関係より、出射膜反射で光の位相は変化しない。
一方、クラッド層102の近傍で光路Jは、nSiN>nAIRの関係より、外部反射での光の位相はπ変化する。また、光路Jでは、光が低反射コート膜107を往復し、位相がπ変化する。
クラッド層102における光路Iと光路Jでの位相変化より、反射後にSOI基板101へ戻った光路Iおよび光路Jの光の位相差はない。したがって、光路Iおよび光路Jの光は、SOI基板101で干渉して強め合うため、出射膜反射と外部反射とが強められ、出射側のSOI基板101端面において戻り光が抑制されない。
通常、光学素子へ入射する光のスポット径は3μm〜5μm程度で、コア層の厚さより大きい。このため、光学素子のSOI基板101端面で入出射する光は、クラッド層102でも反射してしまう。SOI基板101に形成される低反射コート膜106・107のように1種類の膜からなり屈折率(ncoat)が、コア層の屈折率(ncore)とクラッド層の屈折率(nclad)との間である場合、反射光を低減することはできない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、光導波路へ入射する光の、当該光導波路の端部における反射光を効果的に低減することができる低反射膜および当該低反射膜を備える光学素子を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る光学素子は、光源から出射された光を伝搬するコア層と、上記コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層とを有する光導波路を備える光学素子であって、上記光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部、もしくはその両方に、光の反射を防止する低反射膜が配されており、上記低反射膜は、上記光導波路に入射する光または上記光導波路から出射する光を順次透過させるように積層された第1の膜と第2の膜とを含み、上記第1および第2の膜の屈折率は、上記コア層の屈折率よりも小さく、上記クラッド層の屈折率以上であるとともに、互いに異なっていることを特徴としている。
本発明に係る低反射膜は、光源から出射された光を伝搬するコア層と、上記コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層とを有する光導波路を備える光学素子に適用される、光の反射を防止する低反射膜であって、上記光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部、もしくはその両方に配されており、上記光導波路に入射する光または上記光導波路から出射する光を順次透過させるように積層された第1の膜と第2の膜とを含み、上記第1および第2の膜の屈折率は、上記コア層の屈折率よりも小さく、上記クラッド層の屈折率以上であるとともに、互いに異なっていることを特徴としている。
上記の構成によれば、クラッド層は、コア層よりも低い屈折率を有しており、光源から出射された光をコア層内へ閉じ込めることができる。
このようなコア層およびクラッド層を有する光導波路の端部に、光の反射を防止する低反射膜が配されている。この低反射膜は、光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部の一方のみに配されていてもよいし、その両方に配されていてもよい。
この低反射膜は、第1の膜と第2の膜とを含み、これら第1および第2の膜は、光導波路に入射する光または光導波路から出射する光を順次透過させるように積層されている。
第1および第2の膜の屈折率は、コア層の屈折率よりも小さく、クラッド層の屈折率以上である。この条件は、低反射膜が一般的に備えている条件である。また、第1および第2の膜の屈折率は、互いに異なっており、第1および第2の膜は、低反射膜としての性質が互いに異なっている。
それゆえ、第1および第2の膜の、屈折率および膜厚を調節することにより、コア層を通る光路上の光に由来する反射光を低減できることに加え、クラッド層を通る光路上の光に由来する反射光を低減することができ、単層低反射膜を用いる場合よりも、光導波路の端部における反射光をより効果的に低減することができる。特に、光導波路へ入射する光のスポット径が、コア層の厚さより大きい場合に、光導波路の端部における反射光を効果的に低減することができる。
また、低反射膜を2層構造にすることにより、各層(各膜)の作製プロセスの誤差が相殺される可能性が高まるため、低反射膜の作製プロセスの誤差における許容範囲を、単層低反射膜の場合よりも広くすることができる。
また、上記第1の膜または第2の膜の一方のみを有し、上記低反射膜と同じ膜厚を有する単層低反射膜が上記端部に配されている場合に生じる、当該端部における反射光の光量よりも、上記低反射膜が配された上記端部における反射光の光量が少なくなるように、上記第1および第2の膜の厚さが設定されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記低反射膜と同じ膜厚を有する単層低反射膜を光導波路の端部に配する場合よりも、より効果的に反射光を低減することができる。
また、上記第1の膜の屈折率は、上記第2の膜の屈折率よりも小さく、上記第1の膜を伝搬する光の光路長をL1(L1>0)、上記第2の膜を伝搬する光の光路長さをL2(L2>0)とすると、L1およびL2は、
(0.7×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.1×λ/4+λ/2×m)
(ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である)の関係を満たすことが好ましい。
第1および第2の膜の、屈折率および膜厚を上記のものにすることにより、光導波路の端部における反射光をより確実に低減することができる。
また、上記第1の膜は、SiOを主成分とし、上記第2の膜は、SiNを主成分とすることが好ましい。
上記の構成により、SOI基板から作製される光学素子において、光学素子の光導波路へ入射する光の反射を低減することが可能となる。
また、上記第1の膜の屈折率は、上記第2の膜の屈折率よりも大きく、上記第1の膜を伝搬する光の光路長をL1(L1>0)、上記第2の膜を伝搬する光の光路長をL2(L2>0)とすると、L1およびL2は、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
または、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦L2≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
(ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である)の関係を満たすことが好ましい。
第1および第2の膜の、屈折率および膜厚を上記のものにすることにより、光導波路の端部における反射光をより確実に低減することができる。
また、上記第1の膜は、SiNを主成分とする材質からなり、上記第2の膜は、SiOを主成分とする材質からなることが好ましい。
上記の構成により、SOI基板から作製される光学素子において、光学素子の光導波路へ入射する光の反射を低減することが可能となる。
上記コア層は、Siを主成分とする材質からなり、上記クラッド層は、SiOを主成分とする材質からなることが好ましい。
上記の構成により、SOI基板から光学素子を作製することができる。
以上のように、本発明に係る光学素子は、光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部、もしくはその両方に、光の反射を防止する低反射膜が配されており、上記低反射膜は、上記光導波路に入射する光または上記光導波路から出射する光を順次透過させるように積層された第1の膜と第2の膜とを含み、上記第1および第2の膜の屈折率は、上記コア層の屈折率よりも小さく、上記クラッド層の屈折率以上であるとともに、互いに異なっている。
このため、光導波路へ入射する光の、当該光導波路の端部における反射光を効果的に低減することができる光学素子、低反射膜を提供することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の光学素子(光導波路)を詳細に説明する。
(光学素子1の構成)
まず、図1と図2とを用いて、本実施の形態にかかる低反射コート膜を有する光学素子1の構造を説明する。
図1は、本実施の形態にかかる光学素子1の構成を表す断面図である。また、図2は図1のA―A’線における断面を示す断面図である。
本実施の形態にかかる光学素子1は、光源から出射された光を伝搬するコア層3と、コア層3よりも低い屈折率を有するクラッド層2とを有している。
光学素子1は、本実施の形態においては、Si基板上に形成されるSiO層とその上層にSi層が積層されるSOI(Silicon On Insulator)基板で構成される。
光学素子1は、Si基板8上に形成されるクラッド層(下部クラッド層)2と、クラッド層2の上層に形成されるコア層3と、コア層3の一部の領域でありコア層3の上部に突起部分として形成される細線導波路(光導波路)4と、光学素子1の光の入射側の端部に形成される低反射コート膜(低反射膜)5と、光学素子1の光の出射側の端部に形成される低反射コート膜(低反射膜)6とから構成される。
なお、クラッド層2とコア層3とによって光導波路が形成されていると考えることもできる。
本実施の形態において、クラッド層2は、厚さ1μmのSiOからなり、コア層3は厚さ0.27μmのSiからなる。コア層3は光を伝搬するための層であり、主に細線導波路4を伝って光が伝搬される。
なお、本実施の形態の細線導波路4の幅は0.5μmであり、高さは0.15μmとする。しかし、細線導波路4で所望の特性が得られるのであればよく、特にこれら数値は限定されない。
また、SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bは、スパッタ装置や電子線蒸着装置を使用して積層すればよい。ただし、各膜の蒸着方法は、一般の蒸着方法であれば、上記作製方法に限定されない。
(低反射コート膜の構成および配置)
クラッド層2およびコア層3の光入射側の端部および光出射側の端部の両方に、それぞれ光の反射を防止する低反射コート膜5・6が配されている。すなわち、低反射コート膜5・6は、クラッド層2およびコア層3の長手方向の両端面に配されている。
なお、クラッド層2とコア層3とによって光導波路が形成されていると捉えた場合には、低反射コート膜5・6は、光導波路の端部に配されていると表現できる。
低反射コート膜5は、細線導波路4に入射する光を順次透過させるように積層されたSiN膜5BとSiO膜5Aとを含む。SiO膜5AおよびSiN膜5Bの屈折率は、コア層3の屈折率よりも小さく、クラッド層2の屈折率以上であるとともに、互いに異なっている。SiN膜5Bは、SiO膜5Aよりも光入射側に配されている。
また、低反射コート膜6は、細線導波路4から出射する光を順次透過させるように積層されたSiO膜6AとSiN膜6Bとを含み、SiO膜6AおよびSiN膜6Bの屈折率は、コア層3の屈折率よりも小さく、クラッド層2の屈折率以上であるとともに、互いに異なっている。SiN膜6Bは、SiO膜6Aよりも細線導波路4から遠い位置に配されている。
なお、本実施の形態においては、この低反射コート膜5・6は、コア層3およびクラッド層2の、光入射側の端部または光出射側の端部の両方に配されるものとして説明したが、光入射側の端部または光出射側の端部の一方のみに配されていてもよい。
(光学素子1における光伝搬の原理)
本実施の形態においては、光学素子1において低反射コート膜5が配されている側から波長1.55μmの光が出射される。そして、出射された光は低反射コート膜5を通過し、光学素子1の内部、主に細線導波路4を伝搬した後、低反射コート膜6を通過し出射する。なお、上記光の波長は1.55μmに限定されず、光学素子1の用途によって変更してもよい。
本実施の形態では、ビームスポット径が5μmのレーザ光を光学素子1に対して出射し、図1のように、光強度7のピーク位置が細線導波路4の中心と合うように光が入射される。このため、入射光の大部分は細線導波路4を伝搬することになる。しかしながら細線導波路4の高さよりビームスポット径の方が大きいため、クラッド層2にも光が入射する。また、コア層3に入射した光はクラッド層2へ滲み出しながら細線導波路4を伝搬して、コア層3とクラッド層2とから低反射コート膜6を通過し光学素子1の外部へ出射することになる。
上述したように、本実施の形態に係る光学素子1の構成によれば、クラッド層2は、コア層3よりも低い屈折率を有しており、光源から出射された光をコア層3内へ閉じ込めることができる。
そして、SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bの、膜厚を調節することにより、コア層3を通る光路上の光に由来する反射光を低減できることに加え、クラッド層2を通る光路上の光に由来する反射光を低減することができ、単層低反射膜を用いる場合よりも、クラッド層2およびコア層3の端部における反射光をより効果的に低減することができる。特に、細線導波路4へ入射する光のスポット径が、コア層3の厚さより大きい場合に、クラッド層2およびコア層3の端部における反射光を効果的に低減することができる。
また、低反射コート膜5・6を2層構造にすることにより、SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bの作製プロセスの誤差が相殺される可能性が高まるため、低反射コート膜5・6の作製プロセスの誤差における許容範囲を、単層低反射膜の場合よりも広くすることができる。
(低反射コート膜5・6の詳細な構成)
次に、図3、4を用いて、入射側の低反射コート膜5および出射側の低反射コート膜6の詳細な構造を説明する。図3は、図1の入射側の低反射コート膜5および細線導波路4の側方断面の拡大図である。図4は、図1の出射側の低反射コート膜6および細線導波路4の側方断面の拡大図である。
低反射コート膜5は、図3に示すように、光学素子1への光の入射側に、SiN膜5BとSiO膜5Aとが入射側からこの順に積層されてなる。
そして、SiO膜5Aの幅(厚さ)をW1inとし、SiN膜5Bの幅(厚さ)をW2inとすると、SiO膜5Aを伝搬する光の光路長はL1in=W1in×nSiO2となり、SiN膜5Bの光路長はL2in=W2in×nSiNとなる。ただし、nSiO2およびnSiNはそれぞれ、SiOの屈折率およびSiNの屈折率とする。
また、低反射コート膜6は、図4に示すように、光学素子1の光の出射側に形成され、光学素子1と接する側からSiO膜6AとSiN膜6Bとがこの順に積層されてなる。
そして、SiO膜6Aの幅(厚さ)をW1outとし、SiN膜6Bの幅(厚さ)をW2outとすると、SiO膜6Aを伝搬する光の光路長はL1out=W1out×nSiO2となり、SiN膜6Bを伝搬する光の光路長はL2out=W2out×nSiNとなる。
SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bの厚さは、SiO膜5A・6AまたはSiN膜5B・6Bの一方のみを有し、低反射コート膜5・6と同じ膜厚を有する単層低反射膜がクラッド層2およびコア層3の端部に配されている場合に生じる、当該端部における反射光の光量よりも、低反射コート膜5または低反射コート膜6が配された上記端部における反射光の光量が少なくなるように設定されている。それゆえ、低反射コート膜5・6と同じ膜厚を有する単層低反射膜を光導波路の端部に配する場合よりも、より効果的に反射光を低減することができる。
具体的には、SiO膜5A・6Aの屈折率は、SiN膜5B・6Bの屈折率よりも小さく、SiO膜5A・6Aを伝搬する光の光路長をL1(L1>0)、SiN膜5B・6Bを伝搬する光の光路長をL2(L2>0)とすると、L1およびL2は、下記(1)式に示す関係を満たすように設定されている。
(0.7×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.1×λ/4+λ/2×m)・・・(1)
ただし、上記(1)式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である。
(実験結果)
SiO膜5A・6AおよびSiN膜5B・6Bの、屈折率および膜厚を上記のものにすることにより、光導波路の端部における反射光をより確実に低減することができる。
これについて、実験結果を基に図5〜図8を用いて説明する。
図5は、L1inおよびL2inを変化させた場合の光学素子1の端部における反射率をシミュレートした結果である。図7は、L1outおよびL2outを変化させた場合の光学素子1の端部における反射率をシミュレートした結果である。シミュレーションの条件は、λ=1.58μm、nSiO2=1.44、nSi=3.47、nSiN=1.9とした。
また、図5の縦軸はL1inを表し、横軸はL2inを表す。また、図7の縦軸はL1outを表し、横軸はL2outを表す。そして、図5、図7とも縦軸および横軸の最大値はλ/2であり、中心値はλ/4を示す。そして、色が濃く(黒く)なるほどが反射率が低い領域を表し、色が薄く(白く)なるほど反射率が高い領域を表す。
すなわち、図5、図7の色が濃くなっている領域が、低反射コート膜5・6を設けることによる反射光の抑制の効果が得られている領域である。図5、図7で一番色が濃くなっている箇所の反射率は9%である。一方、従来の低反射コート膜106・107(図23、図24参照)は、SiNのみからなるので、図5、図7のそれぞれでL1in=L1out=0、L2in=L2out=λ/4のときの反射率で表されることになる。このときの反射率は22%である。このように、従来の低反射コート膜106・107を設けるより、低反射コート膜5・6を設ける方が、反射光が抑制されることがわかる。
次に、図5で色が黒くなっている領域を確実に含む領域を図6の斜線部分に示す。
図6は、図5での反射光が抑制されている領域を示すグラフである。図6に示すように、L2inが0のときのL1inが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域から、L1inが0のときのL2inが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域にかけて斜線部分で示される。また、L2inがλ/2のときのL1inが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域から、L1inがλ/2のときのL2inが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域にかけて斜線部分で示すことができる。
また、図7で色が黒くなっている領域を確実に含む領域を図8の斜線部分に示す。図8は、図7での反射光が抑制されている領域を示すグラフである。図8に示すように、L2outが0のときのL1outが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域から、L1outが0のときのL2outが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域にかけて斜線部分で示される。また、L2outがλ/2のときのL1outが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域から、L1outがλ/2のときのL2outが0.7×λ/4〜1.1×λ/4の領域にかけて斜線部分で示すことができる。
すなわち、図6および図8の斜線領域(0.7×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.1×λ/4+λ/2×m)では、コア層3とクラッド層2とで、光学素子1端面へ入射する光の反射が低減されることを本発明の発明者が見出した。ただし、上式では、mは0以上の整数とし、細線導波路4へ入射する光の波長をλとする。
(反射光が低減される原理)
次に、SiO膜5A、SiN膜5B、コア層3およびクラッド層2のそれぞれの界面で反射される光の位相の変化の様子について説明する。
(単層型低反射膜の場合)
まず、図9を用い、従来の低反射コート膜106の膜面での位相変化の様子を説明する。図9は、従来の低反射コート膜を光学素子の光の入射側の端部に設けた場合の位相変化の様子を表す模式図である。図9では、低反射コート膜106はSiNであり、コア層103はSiであり、クラッド層102はSiOからなる。また、低反射コート膜106内の光路長LをL=λ/4とする。
図9に示すように、光学素子への入射光のうち低反射コート膜106を透過しコア層103へ入射する入射光をT1で表し、低反射コート膜106を透過しクラッド層102へ入射する入射光をT2で表す。そして、低反射コート膜106の膜面のうち、コア層103との対向領域であり、大気と接している側が膜面r21であり、コア層103と接している側が膜面r22である。また、低反射コート膜106の膜面のうち、クラッド層102との対向領域であり、大気と接している側が膜面r23であり、クラッド層102と接している側が膜面r24である。
そして、入射光T1の低反射コート膜106への入射により、膜面r21で反射光fを生じ、膜面r22で反射光gを生じる。また、入射光T2の低反射コート膜106への入射により、膜面r23で反射光hを生じ、膜面r24で反射光iを生じる。
また、図9では、それぞれの膜面r21〜r24のうち、膜面を透過する光が反射により位相がずれない(位相変化0)場合は白丸で表し、膜面を透過する光が反射により位相がずれる(位相変化π)場合は黒丸で表す。膜面r21〜r23には白丸を付し、膜面r24には黒丸を付している。
ここで、空気の屈折率nAIRと低反射コート膜106の屈折率nSiNがそれぞれ、1と1.9であり、nAIR<nSiNの関係が得られる。このため、膜面r21での反射(入射膜反射)で光の位相は変化しない。すなわち、反射光fの位相は入射光T1から変化しない。
また、コア層103の屈折率nSiが3.47であり、nSiN<nSiの関係が得られる。このため、低反射コート膜106のうち、コア層103と接している側の膜面である膜面r22での反射(基板反射)で光の位相は変化しない。しかし、反射光gは膜面r22で反射されるので低反射コート膜106を往復し、膜面r21から出射される。このため、膜面r21から出射される反射光gは光路長2×Lにより入射光T1と位相がπずれることになる。
このため、膜面r21から出射する反射光fと反射光gとは位相がπずれており、互いに打ち消しあう。
また、nAIR<nSiNの関係が得られるので、膜面r23での反射(入射膜反射)で光の位相は変化しない。すなわち、反射光h位相は入射光T2から変化しない。
そして、クラッド層102の屈折率nSiO2が1.44であり、nSiN>nSiO2の関係が得られので、膜面r24での反射(基板反射)で光の位相は変化する。しかし、反射光iは膜面r24で反射されるので低反射コート膜106を往復し、膜面r23から出射される。このため、膜面r23から出射される反射光iは光路長2×Lにより、入射光T2から位相がずれない。
このため、膜面r23から出射する反射光hと反射光iとは位相がずれず、反射光の強度を強め合うことになる。
従って、低反射コート膜106では、コア層103に対向する領域の反射光の強度は打ち消し合ったとしても、クラッド層102に対向する領域の反射光は強め合い、コア層103およびクラッド層102の両方を含めて反射光の強度は低減されない。
(反射コート膜5の場合)
次に、図10を用いて、本実施の形態に係る低反射コート膜5の膜面での位相変化の様子を説明する。図10は、本実施の形態の低反射コート膜5を光学素子1の光の入射側の端部に設けた場合の位相変化の様子を表す模式図である。上述したように、低反射コート膜5は、SiO膜5AおよびSiN膜5Bからなり、コア層3はSiであり、クラッド層2はSiOからなる。また、低反射コート膜5内の膜厚方向の光路長を光路長L=λ/4とする。
図10に示すように、光学素子1への入射光のうち低反射コート膜5を透過しコア層3へ入射する入射光をT1で表し、低反射コート膜5を透過しクラッド層2へ入射する入射光をT2で表す。
そして、コア層3との対向領域であり、SiN膜5Bの膜面の大気と接している側が膜面r1であり、SiO膜5AとSiN膜5Bとの界面uが膜面r2であり、SiO膜5Aのコア層と接している側が膜面r3である。また、クラッド層2との対向領域であり、SiN膜5Bの膜面の大気と接している側が膜面r4であり、SiO膜5AとSiN膜5Bとの界面uが膜面r5である。
そして、入射光T1の低反射コート膜5への入射により、膜面r1で反射光aを生じ、膜面r2で反射光bを生じ、膜面r3で反射光cを生じる。また、入射光T2の低反射コート膜5への入射により、膜面r4で反射光dを生じ、膜面r5で反射光eを生じる。なお、SiO膜5Aとクラッド層2とは同じ材質SiOからなるため、SiO膜5Aとクラッド層2との界面では反射光は生じない。
コア層3に対応する領域である膜面r1からは反射光aと、反射光bと、反射光cとが出射する。
また、SiN膜5Bの屈折率nSiNは1.9なので、nAIR<nSiNの関係が得られる。図10の膜面r1に白丸を付しているように、膜面r1の反射で光の位相は変化しない。このため反射光aの位相は入射光T1から変化しない。
そして、SiO膜5Aの屈折率nSiO2は1.44なので、nSiN>nSiO2の関係が得られる。図10の膜面r2に黒丸を付しているように、膜面r2の反射で光の位相はπ変化する。さらに、反射光bはSiN膜5Bを往復して膜面r1から出射されるので、反射光bがSiN膜5Bの膜内を光路長2×L2in分伝搬される。この光路長2×L2inの分の位相変化量をα(α≠0)として膜面r1から出射する反射光bの位相変化量はπ+αとなる。
SiO膜5Aの屈折率nSiO2は1.44で、コア層3の屈折率nSiは3.47なので、nSiO2<nSiの関係が得られる。図10でr3に白丸を付しているように、膜面r3の反射で光の位相は変化しない。しかし、反射光cは、SiO膜5AおよびSiN膜5Bを往復して膜面r1から出射するので、SiO膜5AおよびSiN膜5Bの往復の光路長分の位相が変化することになり、膜面r1から出射する反射光cの位相はπ変化する。
このため、コア層3の膜面r1から出射される反射光のうち、反射光aと反射光cとは位相がπずれているので打ち消しあい、反射光bのπ+α分、入射光T1に対して位相が変化した光が出射する。
また、クラッド層2に対応する領域である膜面r4からは反射光dと、反射光eとが出射する。
膜面r4では、図10の膜面r4に白丸を付しているように膜面r1と同様、膜面r4の反射で光の位相は変化しない。このため反射光dの位相は入射光T2から変化せず、膜面r4で反射される。
また、膜面r5では、図10の膜面r5に黒丸を付しているように膜面r2と同様、膜面r5での反射で光の位相がπずれる。さらに、反射光eはSiN膜5Bを往復して膜面r4から出射されるので、SiN膜5Bの膜内の光路長2×L2in分伝搬される。この光路長2×L2in分の位相変化量をαとして、膜面r4から出射する反射光eの入射光T2に対する位相変化量はπ+αとなる。
このため、クラッド層2の膜面r4からは、位相が変化せず反射する反射光dと、位相がπ+α分ずれた反射光eとが出射する。
上述したように、図9の低反射コート膜106では、クラッド層102に対向する領域では、位相が同じ反射光hと反射光iとが互いに強め合っている。これに対し、低反射コート膜5では界面uを設けたため、クラッド層2に対向する領域では、位相が変化せず膜面r4で反射する反射光dと、位相がπ+α変化した反射光eとが反射される。このため、従来の低反射コート膜106と比較して反射光が強め合うことを抑制することができる。
また、コア層3の領域でも、位相がπ+α変化した反射光bが膜面r1から出射されることになるが、従来の低反射コート膜106より、反射光が強め合うことを抑制することができる。
換言すれば、コア層3を通る光路上の光が、SiO膜5A、SiN膜5Bおよびコア層3においてそれぞれ反射することによって生じる第1群の反射光が互いに打ち消しあった結果生じる第1合成反射光の光量と、クラッド層2を通る光路上の光が、SiO膜5A、SiN膜5Bおよびクラッド層2においてそれぞれ反射することによって生じる第2群の反射光が互いに打ち消しあった結果生じる第2合成反射光の光量との総量を第1総光量とし、単層低反射コート膜が上記端部に配されている場合に、コア層3を通る光路上の光が、当該単層低反射コート膜およびコア層3においてそれぞれ反射した第3群の反射光が互いに打ち消しあった結果生じる第3合成反射光の光量と、クラッド層2を通る光路上の光が、単層低反射コート膜およびクラッド層2においてそれぞれ反射した第4群の反射光が互いに打ち消しあった結果生じる第4合成反射光の光量との総量を第2総光量とすると、上記第1総光量が上記第2総光量よりも少なくなるようにSiO膜5AおよびSiN膜5Bの厚さが設定されている。
尚、本実施の形態では、SOI基板から作製された単一の細線導波路4へ、低反射コート膜5と低反射コート膜6が応用されたが、コア層3とクラッド層2を有する基板から作製されて、そのコア層3を使って光を伝搬させるような光学素子であればよく、本実施例の低反射コート膜5・6の応用先は細線導波路だけに限定されない。
また、本実施の形態の低反射コート膜5・6を用いると、コア層3の表面に上部クラッド層が堆積される場合においても、入射側及び出射側の基板端面における光の反射を抑制することができる。なお、コア層3の表面に上部クラッド層を推積されない場合は、コア層3の周辺の空気(nAIR=1)が上部クラッド層と同様の役割を果たすことになる。
また、本実施の形態では、低反射コート膜5・6は、SiO膜およびSiN膜から形成されているが、低反射コート膜5・6の材料は、特にこれらの材料に限定されず、低反射コート膜5・6が有する第1の膜および第2の膜の材料がλにおいて透明で、かつ、クラッド層の屈折率nclad<第1の膜の屈折率n1<第2の膜の屈折率n2<コア層の屈折率ncoreの関係を満たすものであれば、第1の膜と第2の膜とは他の材料から形成されてよい。
第1の膜と第2の膜との組み合わせとしては、例えば、以下の材質の組み合わせをあげることができる。なお、以下の括弧内の数字はそれぞれの材質の屈折率である。
すなわち、第1の膜5AがSiO(1.44)と第2の膜5BがAlN(2.0)との組み合わせ、第1の膜5AがSiOと第2の膜5BがTiO(2.5)との組み合わせ、第1の膜5AがSiOと第2の膜5BがTa(2.2)との組み合わせ、第1の膜5AがSiN(1.9)と第2の膜5BがAlNとの組み合わせ、第1の膜5AがSiNと第2の膜5BがTiOとの組み合わせ、第1の膜5AがSiNと第2の膜5BがTaとの組み合わせ、第1の膜5AがAlNと第2の膜5BがTiOとの組み合わせ、第1の膜5AがAlNと第2の膜5BがTaとの組み合わせ、第1の膜5AがTaと第2の膜5BがTiOとの組み合わせであってもよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図11〜図18に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態に係る光学素子11と、光学素子1とでは低反射コート膜の第1の膜および第2の膜の積層される順番が相違する。この、本実施の形態に係る光学素子11の構成について図11〜図13を用いて説明する。
(光学素子11の構成)
図11は、本実施の形態に係る光学素子の構成を表す断面図である。
図11に示すように、光学素子11は、Si基板8の上層に形成されるクラッド層2と、さらにその上層に形成され、細線導波路4を含むコア層3と、光学素子11の光の入射方向の端部に形成される低反射コート膜(低反射膜)15と、光学素子11の光の出射方向の端部に形成される低反射コート膜(低反射膜)16とから構成される。コア層3、細線導波路4、クラッド層2は実施の形態1で説明したものと同じ機能及び構造を有する。
また、本実施の形態において、細線導波路4を伝搬する光の波長や、光学素子11の端面に光を入射させるビームスポット径は、実施の形態1と同様である。
低反射コート膜15・16は、低反射コート膜5・6と同様、光の反射を防止するためのものである。低反射コート膜15は、細線導波路4およびクラッド層2の光入射側の端部に配されており、低反射コート膜16は、細線導波路4およびクラッド層2の光出射側の端部に配されている。しかし、入射側の低反射コート膜15および出射側の低反射コート膜16は、実施の形態1の低反射コート膜5および低反射コート膜6と比較して構造が異なる。
低反射コート膜15は、細線導波路4に入射する光を順次透過させるように積層されたSiO膜(第2の膜)15BとSiN膜(第1の膜)15Aとを含む。SiN膜15AおよびSiO膜15Bの屈折率は、コア層3の屈折率よりも小さく、クラッド層2の屈折率以上であるとともに、互いに異なっている。SiN膜15Aは、細線導波路4およびクラッド層2と接する側に配される。SiO膜15Bは低反射コート膜15の光の入射側に配される。SiN膜15Aは細線導波路4およびクラッド層2とSiO膜15Bとの間に配される。
また、低反射コート膜16は、細線導波路4およびクラッド層2から出射する光を順次透過させるように積層されたSiN膜16AとSiO膜16Bとを含む。SiN膜16Aは、細線導波路4およびクラッド層2と接する側に配される。SiO膜16Bは低反射コート膜16の光の出射側に配される。SiN膜16Aは細線導波路4およびクラッド層2とSiO膜16Bとの間に配される。
(低反射コート膜15および低反射コート膜16の構成)
次に、図12、13を用いて、入射側の低反射コート膜15および出射側の低反射コート膜16の詳細な構造を説明する。図12は、図11の入射側の低反射コート膜15を備える光学素子11の側方断面の拡大図である。図13は、図11の出射側の低反射コート膜16と細線導波路4との側方断面の拡大図である。
図12に示すように、SiN膜15Aの幅(厚さ)をW11inとし、SiO膜15Bの幅(厚さ)をW12inとすると、SiN膜15Aを伝搬する光の光路長はL11in=W11in×nSiNとなり、SiO膜15Bを伝搬する光の光路長はL12in=W12in×nSiO2となる。
また、図13に示すようにSiN膜16Aの幅(厚さ)をW11outとし、SiO膜16Bの幅をW12outとすると、SiN膜16Aを伝搬する光の光路長はL11out=W11out×nSiNとなり、SiO膜16Bを伝搬する光の光路長はL12out=W12out×nSiO2となる。
そして、本実施の形態においては、SiN膜15A・16Aは、SiO膜15B・16Bの屈折率よりも大きく、SiN膜15A・16AおよびSiO膜15B・16Bの光路長L11(L11inまたはL11out)およびL12(L12inまたはL12out)は、下記(2)式または(3)式に示す関係を満たす。
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦(L11+L12)≦(1.5×λ/4+λ/2×m)・・・(2)
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦L12≦(1.5×λ/4+λ/2×m)・・・(3)
ただし、上記(2)式および(3)式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である。
なお、上記(1)〜(3)式は、低反射コート膜がSiO膜およびSiN膜から構成されている場合にのみ成り立つ式ではなく、低反射コート膜がこれらの材質以外の材質から構成されている場合にも適用できる。
(実験結果)
SiN膜15A・16AおよびSiO膜15B・16Bの、屈折率および膜厚を上記(2)式または(3)式の関係を満たすものにすることにより、細線導波路4の端部における反射光をより確実に低減することができる。
これについて、実験結果を基に図14〜図17を用い説明する。
図14は、L11inおよびL12inを変化させた場合の光学素子11の端部における反射率をシミュレートした結果である。
図16は、L11outおよびL12outを変化させた場合の光学素子11の端部における反射率をシミュレートした結果である。
シミュレーションの条件は、実施の形態1と同様にλ=1.58μm、nSiO2=1.44、nSi=3.47、nSiN=1.9とした。
また、図14の縦軸はL11inを表し横軸はL12inを表す。また、図16の縦軸はL11outを表し横軸はL12outを表す。そして、図14、図16とも縦軸および横軸の最大値はλ/2であり、中心値はλ/4を示す。そして、色が濃く(黒く)なるほどが反射率が低い領域を表し、色が薄く(白く)なるほど反射率が高い領域を表す。
すなわち、図14、図16の色が濃くなっている領域が、低反射コート膜15、16を設けることによる反射光の抑制の効果が得られている領域である。図14、図16で一番色が濃くなっている箇所の反射率は9%である。一方、従来の低反射コート膜106・107(図23、図24参照)は、SiNのみからなるので、図14、図16のそれぞれでL12in=L12out=0、L11in=L11out=λ/4のときの反射率で表されることになる。このときの反射率は22%である。このように、従来の低反射コート膜106・107を設けるより、低反射コート膜15・16を設ける方が、反射光が抑制されることがわかる。
この図14で色が黒くなっている領域を確実に含む領域を図15の斜線部分に示す。
図15は、図14での反射光が抑制されている領域を示すグラフである。図15に示すように、L11inおよびL12inは、L11in>0およびL12in>0であり、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦(L11in+L12in)≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
または、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦L12in≦(1.5×λ/4+λ/2×m)の関係を満たす。ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である。
また、図16で色が黒くなっている領域を確実に含む領域を図17の斜線部分に示す。図17は、図16での反射光が抑制されている領域を説明するグラフである。図17に示すように、L11outおよびL12outは、L11out>0およびL12out>0で、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦(L11out+L12out)≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
または、
(0.8×λ/4+λ/2×m)≦L12out≦(1.5×λ/4+λ/2×m)の関係を満たす。ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である。
(反射光が低減される原理)
次に図18を用い、SiN膜15A、SiO膜15B、コア層3およびクラッド層2のそれぞれの界面で反射される光の位相の変化の様子について説明する。
図18に示すように、光学素子11への入射光のうち低反射コート膜15を透過しコア層3へ入射する入射光をT1で表し、低反射コート膜15を透過しクラッド層2へ入射する入射光をT2で表す。また低反射コート膜15の光路長LをL=λ/4とする。
そして、コア層3との対向領域であり、SiO膜15Bの膜面の大気と接している側が膜面r11であり、SiN膜15AとSiO膜15Bとの界面uが膜面r12であり、SiN膜15Aのコア層3と接している側が膜面r13である。また、クラッド層2との対向領域であり、SiO膜15Bの膜面の大気と接している側が膜面r14であり、SiN膜15AとSiO膜15Bとの界面uが膜面r15であり、SiN膜15Aのクラッド層2と接している側が膜面r16である。また、SiN膜15AとSiO膜15Bとの接触面(すなわちr12およびr15)が界面uである。
そして、入射光T1の膜面r11、膜面r12、膜面r13のそれぞれでの反射光が反射光j、反射光k、反射光lである。また、入射光T2の膜面r14、膜面r15、膜面r16のそれぞれでの反射光が反射光m、反射光n、反射光oである。
そして、コア層3の対向領域では、SiO膜15B、SiN膜15A、Siからなるコア層3の屈折率の大小関係は、nAIR=1<nSiO2=1.44<nSiN=1.9<nSi=3.47の関係が得られるので、図18では、膜面r11、r12、r13には白丸を付している。すなわち、反射光j、反射光k、反射光lのそれぞれの反射による位相変化は0である。
ここで、反射光lは、低反射コート膜15内を往復して膜面r11から出射されるので反射光jに対しての光路長差が2×Lとなり、膜面r11から出射される反射光lは位相がπ変化する。このため、反射光jと反射光lとは位相がπずれているので、互いに打ち消しあう。
また、クラッド層2の対向領域では、SiO膜15B、SiN膜15A、SiOからなるクラッド層2の屈折率の大小関係は、nAIR=1<nSiO2=1.44<nSiN=1.9>nSiO2=1.44の関係が得られるので、図18では、膜面r14、r15、には白丸を付し、膜面r16には黒丸を付している。すなわち、反射光m、反射光n、それぞれの膜面での反射による位相変化は0であるが、反射光oは膜面での反射により位相がπ変化する。
ここで、反射光oは、低反射コート膜15内を往復して膜面r14から出射されるので反射光mに対しての光路長差が2×Lとなり、さらに位相がπ変化し、膜面r14から出射される反射光oと反射光mとは位相がずれず、互いに強め合うことなる。
ここで、図9で示した従来の低反射コート膜106では、実施の形態1で説明したように、コア層近傍での反射光fと反射光gとは打ち消しあうことに対して、クラッド層近傍では反射光hと反射光iとが互いに強め合うという問題が生じる。
一方、本実施の形態に係る低反射コート膜15ではさらに、SiO膜15Bと、SiN膜15Aとの接触面である界面u(膜面r12、r15)を備え、この界面でも反射光kと反射光nとが発生する。
本実施の形態の低反射コート膜15では、クラッド層2の近傍では、膜面r15で反射光nが反射されることにより、反射光mと反射光oとが互いに強め合うことを抑制することができる。また、コア層3の近傍では膜面r12での反射光r12が出射されることになるが、反射光全体としては、反射光nによる反射光mと反射光oとが互いに強め合うことを抑制することの効果の方が大きい。
なお、L11in+L12in、L11out+L12outの範囲がL1in+L2in、L1out+L2outの範囲より広いため、本実施の形態の光学素子11は、実施の形態1で示した光学素子1より、作製プロセスの誤差において許容範囲が広い。
(応用例)
次に、実施の形態1、2で示した光学素子1・11の応用例について図19、図20を用い説明する。
図19は、本実施の形態に係る光学素子をマッハチェンダー干渉計に応用する場合の構成を示す概略図である。
図19に示すように、光学素子1・11は、光スイッチ素子が有するSOI基板から作成されたマッハチェンダー干渉計に応用することができる。マッハチェンダー干渉計の光の入射側に低反射コート膜5・15を配し、光の出射側に低反射コート膜6・16を配することにより、反射光をより抑制したマッハチェンダー干渉計を構成することができる。
また図20は、本実施の形態に係る光学素子を線欠陥導波路に応用する場合の構成を示す概略図である。
図20に示すように、光学素子1・11は、光群遅延素子が有するフォトニック結晶からなる線欠陥導波路に応用することもできる。線欠陥導波路の光の入射側に低反射コート膜5・15を配し、光の出射側に低反射コート膜6・16を配することにより、反射光をより抑制した線欠陥導波路を構成することができる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、コア層とクラッド層を有する基板から作製された光学素子において、光が入射もしくは出射する前記基板の端面の内少なくとも一方へ、第1の膜と第2の膜が順に堆積して形成されて、コア層の屈折率(ncore)とクラッド層の屈折率(nclad)との関係で、第1の膜の屈折率(n)と第2の膜の屈折率(n)はそれぞれ、ncore>n≧ncladとncore>n≧ncladを満たしていることを特徴とする、低反射コート膜。
光が入出射する基板端面において、上記第1の膜の屈折率と上記第2の膜の屈折率の関係がn<nであり、前記第1の膜の光路長(L1)と前記第2の膜の光路長(L2)が、L1>0、かつ、L2>0、かつ、0.7×λ/4+λ/2×m≦L1+L2≦1.1×λ/4+λ/2×mの関係を満たすことを特徴とする低反射コート膜。
(mは0以上の整数。λは低反射コート膜を伝搬する光の波長。)
上記第1の膜がSiOから作製され、上記第2の膜がSiNから作製されることを特徴とする低反射コート膜。
光が入出射する基板端面において、上記第1の膜の屈折率と上記第2の膜の屈折率の関係がn>nであり、前記第1の膜の光路長と前記第2の膜の光路長が、L1>0、L2>0、かつ0.8×λ/4+λ/2×m≦L1+L2≦1.5×λ/4+λ/2×mの関係、または、L1>0、かつ0.8×λ/4+λ/2×m≦L2≦1.5×λ+λ/2×mの関係を満たすことを特徴とする低反射コート膜。
上記第1の膜がSiNから作製され、上記第2の膜がSiOから作製されることを特徴とする低反射コート膜。
上記コア層がSiからなり、上記クラッド層がSiOからなり、上記基板の端面へ形成されることを特徴とする低反射コート膜。
光の入出射側の両方もしくは一方の端部に屈折率が異なる2層の膜からなる低反射コート膜を設けるので、入出射光の反射を低減することができ、マッハチェンダー干渉計や線欠陥導波路に用いることができるだけでなく、光を伝搬させるための光学素子に広く適用できる。
図1は、本発明の実施の一形態に係る光学素子の構成を表す断面図である。 図2は、図1のA―A’線における断面を示す断面図である。 図3は、図1の入射側の低反射コート膜および細線導波路の端部を示す図である。 図4は、図1の出射側の低反射コート膜および細線導波路の端部を示す図である。 図5は、L1inおよびL2inを変化させた場合の光学素子の端部における反射率をシミュレートした結果を示す図である。 図6は、反射光が抑制されている領域を示すグラフである。 図7は、L1outおよびL2outを変化させた場合の光学素子の端部における反射率をシミュレートした結果を示す図である。 図8は、反射光が抑制されている領域を示すグラフである。 図9は、従来の低反射コート膜を光学素子の光の入射側の端部に設けた場合の位相変化の様子を表す図である。 図10は、本発明の実施の一形態に係る低反射コート膜を光学素子の光の入射側の端部に設けた場合の位相変化の様子を表す図である。 図11は、本発明の実施の一形態に係る光学素子の構成を示す断面図である。 図12は、図11の入射側の低反射コート膜を備える光学素子の端部を示す図である。 図13は、図11の出射側の低反射コート膜を備える光学素子の端部を示す図である。 図14は、L11inおよびL12inを変化させた場合の光学素子の端部における反射率をシミュレートした結果を示す図である。 図15は、反射光が抑制されている領域を示すグラフである。 図16は、L11outおよびL12outを変化させた場合の光学素子の端部における反射率をシミュレートした結果を示す図である。 図17は、反射光が抑制されている領域を示すグラフである。 図18は、本発明の実施の一形態に係る低反射コート膜を光学素子の光の入射側の端部に設けた場合の位相変化の様子を表す図である。 図19は、本発明の実施の一形態に係る光学素子をマッハチェンダー干渉計に応用する場合の構成を示す概略図である。 図20は、本発明の実施の一形態に係る光学素子を線欠陥導波路に応用する場合の構成を示す概略図である。 図21は、従来の低反射コート膜を有する単一の光導波路の断面図である。 図22は、図21のB−B’線における断面を示す断面図である。 図23は、従来の低反射コート膜が形成されている側のSOI基板の端部を示す図である。 図24は、従来の低反射コート膜が形成されている側のSOI基板の端部を示す図である。
符号の説明
1・11 光学素子
2 クラッド層(光導波路)
3 コア層(光導波路)
4 細線導波路(光導波路)
5・6 低反射コート膜(低反射膜)
5A・6A SiO膜(第1の膜)
5B・6B SiN膜(第2の膜)
15・16 低反射コート膜(低反射膜)
15A・16A SiN膜(第1の膜)
15A・16B SiO膜(第2の膜)

Claims (8)

  1. 光源から出射された光を伝搬するコア層と、上記コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層とを有する光導波路を備える光学素子であって、
    上記光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部、もしくはその両方に、光の反射を防止する低反射膜が配されており、
    上記低反射膜は、上記光導波路に入射する光または上記光導波路から出射する光を順次透過させるように積層された第1の膜と第2の膜とを含み、
    上記第1および第2の膜の屈折率は、上記コア層の屈折率よりも小さく、上記クラッド層の屈折率以上であるとともに、互いに異なっていることを特徴とする光学素子。
  2. 上記第1の膜または第2の膜の一方のみを有し、上記低反射膜と同じ膜厚を有する単層低反射膜が上記端部に配されている場合に生じる、当該端部における反射光の光量よりも、上記低反射膜が配された上記端部における反射光の光量が少なくなるように、上記第1および第2の膜の厚さが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 上記第1の膜の屈折率は、上記第2の膜の屈折率よりも小さく、
    上記第1の膜を伝搬する光の光路長をL1(L1>0)、上記第2の膜を伝搬する光の光路長をL2(L2>0)とすると、L1およびL2は、
    (0.7×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.1×λ/4+λ/2×m)
    (ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である)
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 上記第1の膜は、SiOを主成分とし、
    上記第2の膜は、SiNを主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 上記第1の膜の屈折率は、上記第2の膜の屈折率よりも大きく、
    上記第1の膜を伝搬する光の光路長をL1(L1>0)、上記第2の膜を伝搬する光の光路長をL2(L2>0)とすると、L1およびL2は、
    (0.8×λ/4+λ/2×m)≦(L1+L2)≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
    または
    (0.8×λ/4+λ/2×m)≦L2≦(1.5×λ/4+λ/2×m)
    (ただし、上記式において、mは0以上の整数であり、λは上記光源から出射された光の波長である)
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  6. 上記第1の膜は、SiNを主成分とする材質からなり、
    上記第2の膜は、SiOを主成分とする材質からなることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
  7. 上記コア層は、Siを主成分とする材質からなり、
    上記クラッド層は、SiOを主成分とする材質からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 光源から出射された光を伝搬するコア層と、上記コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層とを有する光導波路を備える光学素子に適用される、光の反射を防止する低反射膜であって、
    上記光導波路の、光入射側の端部または光出射側の端部、もしくはその両方に配されており、
    上記光導波路に入射する光または上記光導波路から出射する光を順次透過させるように積層された第1の膜と第2の膜とを含み、
    上記第1および第2の膜の屈折率は、上記コア層の屈折率よりも小さく、上記クラッド層の屈折率以上であるとともに、互いに異なっていることを特徴とする低反射膜。
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