JP2010008520A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL表示装置において、閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行する場合に、閾値補正動作が正常に行なわれなくなる問題を緩和する。
【解決手段】1水平走査期間を1処理サイクルとして、閾値補正動作を複数回に亘って行なう。各回の閾値補正動作時や各回の閾値補正動作の間の間隔期間の少なくとも1回は、閾値補正動作時や間隔期間の電源電圧を発光時の第1電位Vccと異なるように切り替えることで、トランジスタのアーリ効果を利用して、駆動トランジスタの有機EL素子側のソース電位Vs_121の上昇の様子を従前と異なるようにする。たとえば、閾値補正動作時の電源駆動パルスDSL を第1電位Vccに設定し、間隔期間は第1電位Vccと第2電位Vssの間の第3電位Vmid に設定する。間隔期間に駆動トランジスタを流れる電流はアーリ効果分だけ小さくなるため、間隔期間におけるソース電位Vs_121の上昇が抑えられる。
【選択図】図9

Description

本発明は、電気光学素子(表示素子や発光素子とも称される)を具備する画素回路(画素とも称される)を有する表示装置に関する。より詳細には、駆動信号の大小によって輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子を表示素子として有し、画素回路ごとに能動素子を有して当該能動素子によって画素単位で表示駆動が行なわれる表示装置に関する。
画素の表示素子として、印加される電圧や流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子を用いた表示装置がある。たとえば、印加される電圧によって輝度が変化する電気光学素子としては液晶表示素子が代表例であり、流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子としては、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence, 有機EL, Organic Light Emitting Diode, OLED;以下、有機ELと記す) 素子が代表例である。後者の有機EL素子を用いた有機EL表示装置は、画素の表示素子として、自発光素子である電気光学素子を用いたいわゆる自発光型の表示装置である。
有機EL素子は下部電極と上部電極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させてなる有機薄膜(有機層)を設けてなり、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した電気光学素子であり、有機EL素子を流れる電流値を制御することで発色の階調を得ている。
有機EL素子は比較的低い印加電圧(たとえば10V以下)で駆動できるため低消費電力である。また有機EL素子は自ら光を発する自発光素子であるため、液晶表示装置では必要とされるバックライトなどの補助照明部材を必要とせず、軽量化および薄型化が容易である。さらに、有機EL素子の応答速度は非常に高速である(たとえば数μs程度)ので、動画表示時の残像が発生しない。これらの利点があることから、電気光学素子として有機EL素子を用いた平面自発光型の表示装置の開発が近年盛んになっている。
ところで、液晶表示素子を用いた液晶表示装置や有機EL素子を用いた有機EL表示装置を始めとする電気光学素子を用いた表示装置においては、その駆動方式として、単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とを採ることができる。ただし、単純マトリクス方式の表示装置は、構造が単純であるもの、大型でかつ高精細の表示装置の実現が難しいなどの問題がある。
このため、近年、画素内部の発光素子に供給する画素信号を、同様に画素内部に設けた能動素子、たとえば絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(一般には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor ;TFT)をスイッチングトランジスタとして使用して制御するアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。
ここで、画素回路内の電気光学素子を発光させる際には、映像信号線を介して供給される入力画像信号をスイッチングトランジスタ(サンプリングトランジスタと称する)で駆動トランジスタのゲート端(制御入力端子)に設けられた保持容量(画素容量とも称する)に取り込み、取り込んだ入力画像信号に応じた駆動信号を電気光学素子に供給する。
電気光学素子として液晶表示素子を用いる液晶表示装置では、液晶表示素子が電圧駆動型の素子であることから、保持容量に取り込んだ入力画像信号に応じた電圧信号そのもので液晶表示素子を駆動する。これに対して、電気光学素子として有機EL素子などの電流駆動型の素子を用いる有機EL表示装置では、保持容量に取り込んだ入力画像信号に応じた駆動信号(電圧信号)を駆動トランジスタで電流信号に変換して、その駆動電流を有機EL素子などに供給する。
有機EL素子を代表例とする電流駆動型の電気光学素子では、駆動電流値が異なると発光輝度も異なる。よって、安定した輝度で発光させるためには、安定した駆動電流を電気光学素子に供給することが肝要となる。たとえば、有機EL素子に駆動電流を供給する駆動方式としては、定電流駆動方式と定電圧駆動方式とに大別できる(周知の技術であるので、ここでは公知文献の提示はしない)。
有機EL素子の電圧−電流特性は傾きの大きい特性を有するので、定電圧駆動を行なうと、僅かな電圧のばらつきや素子特性のばらつきが大きな電流のばらつきを生じ大きな輝度ばらつきをもたらす。よって、一般的には、駆動トランジスタを飽和領域で使用する定電流駆動が用いられる。もちろん、定電流駆動でも、電流変動があれば輝度ばらつきを招くが、小さな電流ばらつきであれば小さな輝度ばらつきしか生じない。
逆に言えば、定電流駆動方式であっても、電気光学素子の発光輝度が不変であるためには、入力画像信号に応じて保持容量に書き込まれ保持される駆動信号が一定であることが重要となる。たとえば、有機EL素子の発光輝度が不変であるためには、入力画像信号に応じた駆動電流が一定であることが重要となる。
ところが、プロセス変動により電気光学素子を駆動する能動素子(駆動トランジスタ)の閾値電圧や移動度がばらついてしまう。また、有機EL素子などの電気光学素子の特性が経時的に変動する。このような駆動用の能動素子の特性ばらつきや電気光学素子の特性変動があると、定電流駆動方式であっても、発光輝度に影響を与えてしまう。
このため、表示装置の画面全体に亘って発光輝度を均一に制御するため、各画素回路内で上述した駆動用の能動素子や電気光学素子の特性変動に起因する輝度変動を補正するための仕組みが種々検討されている。
特開2006−215213号公報 特開2005−258326号公報
たとえば、特許文献1に記載の仕組みでは、有機EL素子用の画素回路として、駆動トランジスタの閾値電圧にばらつきや経時変化があった場合でも駆動電流を一定にするための閾値補正機能や、駆動トランジスタの移動度にばらつきや経時変化があった場合でも駆動電流を一定にするための移動度補正機能や、有機EL素子の電流−電圧特性に経時変化があった場合でも駆動電流を一定にするためのブートストラップ機能が提案されている。
閾値補正動作時には、駆動トランジスタの電源供給端に所定の大きさの電源電圧を供給してドレイン・ソース間に電流が流れる状態にし、さらに、閾値補正用の所定の大きさの基準電位がサンプリングトランジスタの入力端に供給されるようにしてサンプリングトランジスタを導通させる。
ここで、駆動タイミングによっては、閾値補正動作時の期間が不足し、駆動トランジスタの閾値電圧に相当する電圧が保持容量に保持し切れないことが起こり得る。このような現象の対策のため、閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行することで、確実に駆動トランジスタの閾値電圧に相当する電圧を保持容量に保持させる仕組みを採ることが考えられる(特許文献2を参照)。
しかしながら、駆動トランジスタに電流が流れる状態のままで閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行する場合、各回の閾値補正動作の間の間隔期間ではサンプリングトランジスタが非導通状態となり、このときには、駆動トランジスタの閾値補正が完全に行なわれていないので、保持容量の両端電圧、つまり駆動トランジスタの制御入力端(ゲート)と電気光学素子側の端子との間の電圧は閾値電圧よりも大きい。
閾値補正時間が短かったり間隔期間の時間が長かったりすると、間隔期間に駆動トランジスタの電気光学素子側の端子電位上昇が大きくなる。その結果、次回の閾値補正動作時に保持容量の両端電圧がその閾値電圧未満となってしまい、それ以降は閾値補正動作が正常に行なわれず、表示画像にはムラやスジとなって現れるという問題が起こる。
また、特許文献1に記載の仕組みでは、補正用の電位を供給する配線と、補正用のスイッチングトランジスタと、それを駆動するスイッチング用のパルスが必要であり、駆動トランジスタおよびサンプリングトランジスタを含めると5つのトランジスタを使用する5TR駆動の構成を採っており、垂直走査線の数が多いなど、画素回路の構成が複雑である。画素回路の構成要素が多いことから、表示装置の高精細化の妨げとなる。その結果、5TR駆動の構成では、携帯機器(モバイル機器)などの小型の電子機器で用いられる表示装置への適用が困難になる。
このため、画素回路の簡素化を図りつつ、さらに閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行する場合における閾値補正動作が正常に行なわれなくなる問題を緩和する仕組みの開発要求がある。この際には、走査線の数を削減するとともに、画素回路の簡素化に伴って、5TR駆動の構成では生じていない問題が新たに発生することがないようにすることも考慮されるべきである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、先ず、駆動トランジスタの特性ばらつきによる輝度変化を抑制する仕組みとして閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行する仕組みを採る場合においても閾値補正動作が正常に行なわれなくなる問題を緩和することのできる仕組みを提供することを目的とする。さらに好ましくは、画素回路の簡素化により表示装置の高精細化を可能にする仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る表示装置の一形態は、駆動電流を生成する駆動トランジスタ、駆動トランジスタの出力端に接続された電気光学素子、映像信号の信号振幅に応じた情報を保持する保持容量、および信号振幅に応じた情報を保持容量に書き込むサンプリングトランジスタを具備する画素回路が行列状に配置されている画素アレイ部と、画素回路を垂直走査するための垂直走査パルスを生成する垂直走査部と、垂直走査部での垂直走査に合わせて映像信号を画素回路に供給する水平走査部と、駆動電流を一定に維持する駆動信号一定化回路とを備えるものとする。
ここで、駆動信号一定化回路は、垂直走査部および水平走査部の制御の元で、所定の大きさの電源電圧が駆動トランジスタの電源供給端に供給されかつ所定の大きさの基準電位がサンプリングトランジスタの入力端に供給されるようにしてサンプリングトランジスタを導通させることで駆動トランジスタの閾値電圧に対応する電圧を保持容量に保持させる閾値補正機能を実現するように構成する。
さらに、駆動信号一定化回路は、1水平走査期間を1処理サイクルとして、駆動トランジスタに電流が流れる状態のままで閾値補正動作を複数回に亘って行なうとともに、各回の閾値補正動作時や各回の閾値補正動作の間の間隔期間の少なくとも1回は、駆動トランジスタの電源供給端の電位を、電気光学素子の発光期間に駆動電流を電気光学素子に流すために使用される第1電位と異なるように設定する。
「第1電位と異なるように設定する」に当たっては、閾値補正動作時や間隔期間の電源電圧を発光時の第1電位と異なるように切り替えることで、トランジスタのアーリ効果を利用して駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇の様子を、本発明を実施しない場合と異なるようにする。
たとえば、間隔期間には駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇が小さくなるように、各回の閾値補正動作時の駆動トランジスタの電源供給端の電位を第1電位に設定し、間隔期間の少なくとも1回は駆動トランジスタの電源供給端の電位を第1電位と各画素回路の電気光学素子の共通電位との間の電位に設定する第1の手法を採ることが考えられる。間隔期間に駆動トランジスタを流れる電流はアーリ効果分だけ小さくなるため、当該間隔期間における駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇が抑えられる。
あるいは、閾値補正動作時には電気光学素子側の電位上昇が大きくなるように、閾値補正動作時の少なくとも1回は駆動トランジスタの電源供給端の電位を第1電位よりも大きな電位に設定し、間隔期間の駆動トランジスタの電源供給端の電位を第1電位に設定する第2の手法を採ることも考えられる。閾値補正動作時に駆動トランジスタに流れる電流はアーリ効果分だけ大きくなるため、当該閾値補正動作時における駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇が大きくなる。つまり同じ補正時間でも電源電圧を上げた方がアーリ効果分だけ早く閾値補正動作を行なうことができる。なお、この第2の手法と前記第1の手法を組み合わせた第3の手法を採ることも考えられる。
あるいは、第1の手法を採る場合、その間隔期間直前の閾値補正動作時にも第1電位よりも小さい電圧にする第4の手法を採ることも考えられる。閾値補正動作時の電源電圧を小さくすることで、当該値補正動作に駆動トランジスタを流れる電流はアーリ効果分だけ小さくなるため、当該値補正動作終了時の駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇の傾きは小さくなる。このため、後続の間隔期間においても電源電圧を小さく設定することで駆動トランジスタを流れる電流は小さくなり、当該間隔期間における駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇が抑えられる。
第2の手法は、駆動トランジスタのアーリ効果を利用することで、閾値補正動作時の駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇を速くして閾値補正動作を高速化し、閾値補正動作後の間隔期間における駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇の影響が少なくなるようにするものである。一方、第1の手法や第4の手法は、閾値補正動作後の間隔期間における駆動トランジスタの電気光学素子側の電位上昇を遅くして、次回の閾値補正動作時に保持容量の両端電圧が閾値電圧未満となってしまう現象そのものを緩和するものである。
本発明の一形態によれば、閾値補正動作を複数回に亘って行ない、かつ各回の閾値補正動作の間の間隔期間に駆動トランジスタに電流を流す仕組みを採る場合に、閾値補正動作や間隔期間の少なくとも1回は、駆動トランジスタの電源電圧が発光時の電源電圧と異なるようにした。これにより、閾値補正動作を複数回に亘って繰り返し実行する場合にも、間隔期間に電源から流れる電流によって次回の閾値補正動作が正常に行なわれなくなる問題を緩和することができる。その結果、閾値補正動作が正常に行なわれなくなることに起因する表示画像に現われるムラやスジなどの問題を緩和することができる。
また、付加的な効果として、間隔期間に電源から流れる電流によって次回の閾値補正動作が正常に行なわれなくなる問題を緩和することができるので、各回の閾値補正動作の時間を短く設定することが可能となり、全体としての閾値補正動作処理の高速化が実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<表示装置の全体概要>
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図である。本実施形態では、たとえば画素の表示素子(電気光学素子、発光素子)として有機EL素子を、能動素子としてポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)をそれぞれ用い、薄膜トランジスタを形成した半導体基板上に有機EL素子を形成してなるアクティブマトリクス型有機ELディスプレイ(以下「有機EL表示装置」と称する)に適用した場合を例に説明する。このような有機EL表示装置は、半導体メモリやミニディスク(MD)やカセットテープなどの記録媒体を利用した携帯型の音楽プレイヤーやその他の電子機器の表示部に利用される。
なお、以下においては、画素の表示素子として有機EL素子を例に具体的に説明するが、これは一例であって、対象となる表示素子は有機EL素子に限らない。一般的に電流駆動で発光する表示素子の全てに、後述する全ての実施形態が同様に適用できる。
図1に示すように、有機EL表示装置1は、複数の表示素子としての有機EL素子(図示せず)を持った画素回路(画素とも称される)Pが表示アスペクト比である縦横比がX:Y(たとえば9:16)の有効映像領域を構成するように配置された表示パネル部100と、この表示パネル部100を駆動制御する種々のパルス信号を発するパネル制御部の一例である駆動信号生成部200と、映像信号処理部300を備えている。駆動信号生成部200と映像信号処理部300とは、1チップのIC(Integrated Circuit;半導体集積回路)に内蔵されている。
たとえば、パネル型の表示装置では、TFTや電気光学素子などの画素回路を構成する素子を行列状に配置した画素アレイ部102と、画素アレイ部102の周辺に配置され、各画素回路Pを駆動するための走査線と接続された走査部(水平駆動部や垂直駆動部)を主要部とする制御部109と、制御部109を動作させるための各種の信号を生成する駆動信号生成部200や映像信号処理部300を備えて装置の全体が構成されるのが一般的である。
一方、製品形態としては、画素アレイ部102と制御部109を同一の基板101(ガラス基板)上に搭載した表示パネル部100と駆動信号生成部200や映像信号処理部300を別体としつつ、図示のように、これら全てを備えたモジュール(複合部品)形態の有機EL表示装置1として提供されることに限らない。表示パネル部100には画素アレイ部102を搭載し、この表示パネル部100のみで有機EL表示装置1として提供することも可能である。この場合、表示パネル部100のみで構成された有機EL表示装置1とは別基板(たとえばフレキシブル基板)上に制御部109や駆動信号生成部200や映像信号処理部300などの周辺回路を搭載する形態(周辺回路パネル外配置構成と称する)とする。
また、画素アレイ部102と制御部109とを同一の基板101上に搭載して表示パネル部100を構成するパネル上配置構成の場合、画素アレイ部102のTFTを生成する工程にて同時に制御部109(必要に応じて駆動信号生成部200や映像信号処理部300も)用の各TFTを生成する仕組み(TFT一体構成と称する)と、COG(Chip On Glass )実装技術により画素アレイ部102が搭載された基板101上に制御部109(必要に応じて駆動信号生成部200や映像信号処理部300も)用の半導体チップを直接実装する仕組み(COG搭載構成と称する)をとってもよい。
表示パネル部100は、基板101の上に、画素回路Pがn行×m列のマトリクス状に配列された画素アレイ部102と、画素回路Pを垂直方向に走査する垂直走査部の一例である垂直駆動部103と、画素回路Pを水平方向に走査する水平走査部の一例である水平駆動部(水平セレクタあるいはデータ線駆動部とも称される)106と、外部接続用の端子部(パッド部)108などが集積形成されている。すなわち、垂直駆動部103や水平駆動部106などの周辺駆動回路が、画素アレイ部102と同一の基板101上に形成された構成となっている。
垂直駆動部103としては、たとえば、書込走査部(ライトスキャナWS;Write Scan)104や電源供給能力を有する電源スキャナとして機能する駆動走査部(ドライブスキャナDS;Drive Scan)105を有する。垂直駆動部103と水平駆動部106とで、信号電位の保持容量への書込みや、閾値補正動作や、移動度補正動作や、ブートストラップ動作を制御する制御部109が構成される。
図示した垂直駆動部103および対応する走査線の構成は、画素回路Pが後述する本実施形態の2TR構成の場合に適合させて示したものであるが、画素回路Pの構成によっては、その他の走査部が設けられることもある。
画素アレイ部102は、一例として、図示する左右方向の一方側もしくは両側から書込走査部104および駆動走査部105で駆動され、かつ図示する上下方向の一方側もしくは両側から水平駆動部106で駆動されるようになっている。
端子部108には、有機EL表示装置1の外部に配された駆動信号生成部200から、種々のパルス信号が供給されるようになっている。また同様に、映像信号処理部300から映像信号Vsig が供給されるようになっている。カラー表示対応の場合には、色別(本例ではR(赤),G(緑),B(青)の3原色)の映像信号Vsig_R,Vsig_G,Vsig_Bが供給される。
一例としては、垂直駆動用のパルス信号として、垂直方向の書込み開始パルスの一例であるシフトスタートパルスSPDS,SPWSや垂直走査クロックCKDS,CKWSなど必要なパルス信号が供給される。また、水平駆動用のパルス信号として、水平方向の書込み開始パルスの一例である水平スタートパルスSPH や水平走査クロックCKH など必要なパルス信号が供給される。
端子部108の各端子は、配線199を介して、垂直駆動部103や水平駆動部106に接続されるようになっている。たとえば、端子部108に供給された各パルスは、必要に応じて図示を割愛したレベルシフタ部で電圧レベルを内部的に調整した後、バッファを介して垂直駆動部103の各部や水平駆動部106に供給される。
画素アレイ部102は、図示を割愛するが(詳細は後述する)、表示素子としての有機EL素子に対して画素トランジスタが設けられた画素回路Pが行列状に2次元配置され、この画素配列に対して行ごとに垂直走査線が配線されるとともに、列ごとに信号線(水平走査線の一例)が配線された構成となっている。
たとえば、画素アレイ部102には、垂直走査側の各走査線(垂直走査線:書込走査線104WSおよび電源供給線105DSL )と水平走査側の走査線(水平走査線)である映像信号線(データ線)106HSが形成されている。垂直走査と水平走査の各走査線の交差部分には図示を割愛した有機EL素子とこれを駆動する薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)が形成される。有機EL素子と薄膜トランジスタの組み合わせで画素回路Pを構成する。
具体的には、マトリクス状に配列された各画素回路Pに対しては、書込走査部104によって書込駆動パルスWSで駆動されるn行分の書込走査線104WS_1〜104WS_nおよび駆動走査部105によって電源駆動パルスDSL で駆動されるn行分の電源供給線105DSL_1 〜105DSL_n が画素行ごとに配線される。
書込走査部104および駆動走査部105は、駆動信号生成部200から供給される垂直駆動系のパルス信号に基づき、書込走査線104WSおよび電源供給線105DSL を介して各画素回路Pを順次選択する。水平駆動部106は、駆動信号生成部200から供給される水平駆動系のパルス信号に基づき、選択された画素回路Pに対し映像信号線106HSを介して映像信号Vsig の内の所定電位をサンプリングして保持容量に書き込ませる。
本実施形態の有機EL表示装置1においては、線順次駆動や面順次駆動あるいはその他の方式での駆動が可能になっており、たとえば、垂直駆動部103の書込走査部104および駆動走査部105は行単位で画素アレイ部102を走査するとともに、これに同期して水平駆動部106が、画像信号を、1水平ライン分を同時に、画素アレイ部102に書き込む。
水平駆動部106は、たとえば、全列の映像信号線106HS上に設けられた図示を割愛したスイッチを一斉にオンさせるドライバ回路を備えて構成され、映像信号処理部300から入力される画素信号を、垂直駆動部103によって選択された行の1ライン分の全ての画素回路Pに同時に書き込むべく、全列の映像信号線106HS上に設けられた図示を割愛したスイッチを一斉にオンさせ、ドライバ回路を経由して水平走査線(映像信号線106HS)に映像信号Vsig (水平走査信号の一例)が供給される。
垂直駆動部103の各部は、論理ゲートの組合せ(ラッチも含む)とドライバ回路によって構成され、論理ゲートにより画素アレイ部102の各画素回路Pを行単位で選択し、ドライバ回路を経由して垂直走査線に垂直走査信号が供給される。なお、図1では、画素アレイ部102の一方側にのみ垂直駆動部103を配置する構成を示しているが、画素アレイ部102を挟んで左右両側に垂直駆動部103を配置する構成を採ることも可能である。同様に、図1では、画素アレイ部102の一方側にのみ水平駆動部106を配置する構成を示しているが、画素アレイ部102を挟んで上下両側に水平駆動部106を配置する構成を採ることも可能である。
<画素回路>
図2は、図1に示した有機EL表示装置1を構成する本実施形態の画素回路Pに対する第1比較例を示す図である。なお、表示パネル部100の基板101上において画素回路Pの周辺部に設けられた垂直駆動部103と水平駆動部106も合わせて示している。図3は、本実施形態の画素回路Pに対する第2比較例を示す図である。なお、表示パネル部100の基板101上において画素回路Pの周辺部に設けられた垂直駆動部103と水平駆動部106も合わせて示している。図4は有機EL素子や駆動トランジスタの動作点を説明する図である。図4Aは、有機EL素子や駆動トランジスタの特性ばらつきが駆動電流Idsに与える影響を説明する図である。
図5は、本実施形態の画素回路Pに対する第3比較例を示す図である。なお、表示パネル部100の基板101上において画素回路Pの周辺部に設けられた垂直駆動部103と水平駆動部106も合わせて示している。後述する本実施形態の画素回路PにおけるEL駆動回路は、第3比較例の画素回路Pにおける少なくとも保持容量120と駆動トランジスタ121を具備したEL駆動回路をベースとする。そういった意味では、第3比較例の画素回路Pは、事実上、本実施形態の画素回路PのEL駆動回路と同様の回路構造を持つと言っても過言ではない。
<比較例の画素回路:第1例>
図2に示すように、第1比較例の画素回路Pは、基本的にp型の薄膜電界効果トランジスタ(TFT)でドライブトランジスタが構成されている点に特徴を有する。また、ドライブトランジスタの他に走査用に2つのトランジスタを使用した3Tr駆動の構成を採っている。
具体的には、第1比較例の画素回路Pは、p型の駆動トランジスタ121、アクティブLの駆動パルスが供給されるp型の発光制御トランジスタ122、アクティブHの駆動パルスが供給されるn型トランジスタ125、電流が流れることで発光する電気光学素子(発光素子)の一例である有機EL素子127、および保持容量(画素容量とも称される)120を有する。なお、最も単純な回路として、発光制御トランジスタ122を取り外した2Tr駆動の構成を採ることもできる。この場合、有機EL表示装置1としては駆動走査部105を取り外した構成を採る。
駆動トランジスタ121は、制御入力端子であるゲート端に供給される電位に応じた駆動電流を有機EL素子127に供給するようになっている。一般に、有機EL素子127は整流性があるためダイオードの記号で表わしている。なお、有機EL素子127には、寄生容量Celが存在する。図では、寄生容量Celを有機EL素子127と並列に示す。
サンプリングトランジスタ125は、駆動トランジスタ121のゲート端(制御入力端子)側に設けられたスイッチングトランジスタであり、また、発光制御トランジスタ122もスイッチングトランジスタである。なお、一般的には、サンプリングトランジスタ125はアクティブLの駆動パルスが供給されるp型に置き換えることもできる。発光制御トランジスタ122はアクティブHの駆動パルスが供給されるn型に置き換えることもできる。
画素回路Pは、垂直走査側の各走査線104WS,105DSと水平走査側の走査線である映像信号線106HSの交差部に配されている。書込走査部104からの書込走査線104WSは、サンプリングトランジスタ125のゲート端に接続され、駆動走査部105からの駆動走査線105DSは発光制御トランジスタ122のゲート端に接続されている。
サンプリングトランジスタ125は、ソース端Sを信号入力端として映像信号線106HSに接続され、ドレイン端Dを信号出力端として駆動トランジスタ121のゲート端Gに接続され、その接続点と第2電源電位Vc2(たとえば正電源電圧、第1電源電位Vc1と同じでもよい)との間に保持容量120が設けられている。括弧書きで示すように、サンプリングトランジスタ125は、ソース端Sとドレイン端Dとを逆転させ、ドレイン端Dを信号入力端として映像信号線106HSに接続し、ソース端Sを信号出力端として駆動トランジスタ121のゲート端Gに接続することもできる。
駆動トランジスタ121、発光制御トランジスタ122、および有機EL素子127は、第1電源電位Vc1(たとえば正電源電圧)と基準電位の一例である接地電位GND の間で、この順に直列に接続されている。具体的には、駆動トランジスタ121は、ソース端Sが第1電源電位Vc1に接続され、ドレイン端Dが発光制御トランジスタ122のソース端Sに接続されている。発光制御トランジスタ122のドレイン端Dが、有機EL素子127のアノード端Aに接続され、有機EL素子127のカソード端Kが全画素共通のカソード共通配線127Kに接続されている。カソード共通配線127Kは、一例として接地電位GND とされ、この場合、カソード電位Vcathも接地電位GND となる。
なお、より簡易な構成としては、図2に示した画素回路Pの構成においては、最も単純な回路として、発光制御トランジスタ122を取り外した2Tr駆動の構成を採ることもできる。この場合、有機EL表示装置1としては駆動走査部105を取り外した構成を採ることになる。
図2に示した3Tr駆動や図示を割愛した2Tr駆動の何れにおいても、有機EL素子127は電流発光素子のため、有機EL素子127に流れる電流量をコントロールすることで発色の諧調を得る。このため、駆動トランジスタ121のゲート端への印加電圧を変化させ、保持容量120に保持されるゲート・ソース間電圧Vgsを変化させることで、有機EL素子127に流れる電流値をコントロールする。この際には、映像信号線106HSから供給される映像信号Vsig の電位(映像信号線電位)を信号電位とする。なお、階調を示す信号振幅はΔVinとする。
書込走査部104からアクティブHの書込駆動パルスWSを供給して書込走査線104WSを選択状態とし、水平駆動部106から映像信号線106HSに信号電位を印加すると、n型トランジスタ125が導通して、信号電位が駆動トランジスタ121のゲート端の電位となり、信号振幅ΔVinに対応する情報が保持容量120に書き込まれる。駆動トランジスタ121および有機EL素子127に流れる電流は、保持容量120に保持されている駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsに応じた値となり、有機EL素子127はその電流値に応じた輝度で発光し続ける。書込走査線104WSを選択して映像信号線106HSに与えられた映像信号Vsig を画素回路Pの内部に伝える動作を、「書込み」あるいは「サンプリング」と呼ぶ。一度信号の書込みを行なえば、次に書き換えられるまでの間、有機EL素子127は一定の輝度で発光を続ける。
第1比較例の画素回路Pでは、駆動トランジスタ121のゲート端に供給する印加電圧を信号振幅ΔVinに応じて変化させることで、EL有機EL素子127に流れる電流値を制御している。このとき、p型の駆動トランジスタ121のソース端は第1電源電位Vc1に接続されており、この駆動トランジスタ121は常に飽和領域で動作している。
<比較例の画素回路:第2例>
次に、本実施形態の画素回路Pの特徴を説明する上での比較例として、図3に示す第2比較例の画素回路Pについて説明する。第2比較例(後述する本実施形態も同様)の画素回路Pは、基本的にn型の薄膜電界効果トランジスタでドライブトランジスタが構成されている点に特徴を有する。p型ではなく、n型で各トランジスタを構成することができれば、トランジスタ作成において従来のアモルファスシリコン(a−Si)プロセスを用いることが可能になる。これにより、トランジスタ基板の低コスト化が可能となり、このような構成の画素回路Pの開発が期待される。
第2比較例の画素回路Pは、基本的にn型の薄膜電界効果トランジスタでドライブトランジスタが構成されている点で後述する本実施形態と同じであるが、有機EL素子127や駆動トランジスタ121の特性変動(ばらつきや経時変化)による駆動電流Idsに与える影響を防ぐための駆動信号一定化回路が設けられていない。
具体的には、第2比較例の画素回路Pは、第1比較例の画素回路Pにおけるp型の駆動トランジスタ121を単純にn型の駆動トランジスタ121に置き換え、そのソース端側に発光制御トランジスタ122や有機EL素子127を配置したものである。なお、発光制御トランジスタ122もn型に置き換えている。もちろん、最も単純な回路として、発光制御トランジスタ122を取り外した2Tr駆動の構成を採ることもできる。
第2比較例の画素回路Pでは、発光制御トランジスタを設けるか否かに関わらず、有機EL素子127を駆動するときには、駆動トランジスタ121のドレイン端側が第1電源電位Vc1に接続され、ソース端が有機EL素子127のアノード端側に接続されることで、全体としてソースフォロワ回路を形成するようになっている。
<電気光学素子のIel−Vel特性との関係>
一般的に、図4に示すように、駆動トランジスタ121はドレイン・ソース間電圧に関わらず駆動電流Idsが一定となる飽和領域で駆動される。よって、飽和領域で動作するトランジスタのドレイン端−ソース間に流れる電流をIds、移動度をμ、チャネル幅(ゲート幅)をW、チャネル長(ゲート長)をL、ゲート容量(単位面積当たりのゲート酸化膜容量)をCox、トランジスタの閾値電圧をVthとすると、駆動トランジスタ121は下記の式(1)に示した値を持つ定電流源となっている。なお、“^”はべき乗を示す。式(1)から明らかなように、飽和領域ではトランジスタのドレイン電流Idsはゲート・ソース間電圧Vgsによって制御され定電流源として動作する。
Figure 2010008520
ところが、一般的に有機EL素子を始めとする電流駆動型の発光素子のI−V特性は、図4A(1)に示すように時間が経過すると変化する。図4A(1)に示す有機EL素子で代表される電流駆動型の発光素子の電流−電圧(Iel−Vel)特性において、実線で示す曲線が初期状態時の特性を示し、破線で示す曲線が経時変化後の特性を示している。
たとえば、発光素子の一例である有機EL素子127に発光電流Ielが流れるとき、そのアノード・カソード間電圧Velは一意的に決定される。ところが、図4A(1)に示すように、発光期間中では、有機EL素子127のアノード端は駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電流Ids(=駆動電流Ids)で決定される発光電流Ielが流れ、それによって有機EL素子127のアノード・カソード間電圧Vel分だけ上昇する。
図2に示した第1比較例の画素回路Pは、この有機EL素子127のアノード・カソード間電圧Vel分の上昇の影響は駆動トランジスタ121のドレイン端側に現れるが、駆動トランジスタ121が飽和領域で動作する定電流駆動であるため、有機EL素子127には定電流Idsが流れ続け、有機EL素子127のIel−Vel特性が変化してもその発光輝度が経時変化することはない。
駆動トランジスタ121と発光制御トランジスタ122と保持容量120とサンプリングトランジスタ125とを備え、図2に示した接続態様とされた画素回路Pの構成にて、電気光学素子の一例である有機EL素子127の電流−電圧特性の変化を補正して駆動電流を一定に維持する駆動信号一定化回路が構成されるようになっているのである。つまり、画素回路Pを映像信号Vsig で駆動するとき、p型の駆動トランジスタ121のソース端は第1電源電位Vc1に接続されており、常に飽和領域で動作するように設計されているので、式(1)に示した値を持つ定電流源となる。
また、第1比較例の画素回路Pにおいては、有機EL素子127のIel−Vel特性の経時変化(図4A(1))とともに、駆動トランジスタ121のドレイン端の電圧が変化してゆくが、駆動トランジスタ121は、保持容量120のブートストラップ機能によってゲート・ソース間電圧Vgsが原理的には一定に保持されるため、駆動トランジスタ121は定電流源として動作し、その結果、有機EL素子127には一定量の電流が流れ、有機EL素子127を一定の輝度で発光させることができ、発光輝度は変化しない。
第2比較例の画素回路Pでも、駆動トランジスタ121のソース端の電位(ソース電位Vs)は、駆動トランジスタ121と有機EL素子127との動作点で決まるし、駆動トランジスタ121は飽和領域で駆動されるので、動作点のソース電圧に対応したゲート・ソース間電圧Vgsに関し、前述の式(1)に規定された電流値の駆動電流Idsを流す。
ところが、第1比較例の画素回路Pのp型の駆動トランジスタ121をn型に変更した単純な回路(第2比較例の画素回路P)では、ソース端が有機EL素子127側に接続されてしまう。その結果、前述の図4A(1)に示したように経時変化する有機EL素子127のIel−Vel特性により、同じ発光電流Ielに対するアノード・カソード間電圧VelがVel1 からVel2 へと変化することで、駆動トランジスタ121の動作点が変化してしまい、同じゲート電位Vgを印加しても駆動トランジスタ121のソース電位Vsは変化してしまう。これにより、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは変化してしまう。特性式(1)から明らかなように、ゲート・ソース間電圧Vgsが変動すると、たとえゲート電位Vgが一定であっても駆動電流Idsが変動してしまう。この原因による駆動電流Idsの変動は画素回路Pごとの発光輝度のばらつきや経時変動となって現れ、画質の劣化が起きる。
これに対して、詳細は後述するが、n型の駆動トランジスタ121を使用する場合においても、駆動トランジスタ121のソース端の電位Vsの変動にゲート端の電位Vgが連動するようにするブートストラップ機能を実現する回路構成および駆動タイミングとすることで、有機EL素子127の特性の経時変動による有機EL素子127のアノード電位変動(つまり駆動トランジスタ121のソース電位変動)があっても、その変動を相殺するようにゲート電位Vgを変動させることができる。これにより、画面輝度の均一性(ユニフォーミティ)を確保できる。ブートストラップ機能により、有機EL素子を代表とする電流駆動型の発光素子の経時変動補正能力を向上させることができる。もちろん、このブートストラップ機能は、発光開始時点で、有機EL素子127に発光電流Ielが流れ始め、それによってアノード・カソード間電圧Velが安定となるまで上昇していく過程で、そのアノード・カソード間電圧Velの変動に伴って駆動トランジスタ121のソース電位Vsが変動する際にも機能する。
<駆動トランジスタのVgs−Ids特性との関係>
また、第1および第2比較例では、駆動トランジスタ121の特性については特に問題視していなかったが、画素ごとに駆動トランジスタ121の特性が異なると、その影響が駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Idsに影響を及ぼす。一例としては、式(1)から分かるように、移動度μや閾値電圧Vthが画素によってばらついた場合や経時的に変化した場合、ゲート・ソース間電圧Vgsが同じであっても、駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Idsにばらつきや経時変化が生じ、有機EL素子127の発光輝度も画素ごとに変化してしまうことになる。
たとえば、駆動トランジスタ121の製造プロセスのばらつきにより、画素回路Pごとに閾値電圧Vthや移動度μなどの特性変動がある。駆動トランジスタ121を飽和領域で駆動する場合においても、この特性変動により、駆動トランジスタ121に同一のゲート電位を与えても、画素回路Pごとにドレイン電流(駆動電流Ids)が変動し、発光輝度のばらつきになって現れる。
前述のように、駆動トランジスタ121が飽和領域で動作しているときのドレイン電流Idsは、特性式(1)で表される。駆動トランジスタ121の閾値電圧ばらつきに着目した場合、特性式(1)から明らかなように、閾値電圧Vthが変動すると、ゲート・ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン電流Idsが変動する。また、駆動トランジスタ121の移動度ばらつきに着目した場合、特性式(1)から明らかなように、移動度μが変動すると、ゲート・ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン電流Idsが変動する。
このように、閾値電圧Vthや移動度μの違いでVgs−Ids特性に大きな違いが出てしまうと、同じ信号振幅ΔVinを与えても、駆動電流Idsが変動し、発光輝度が異なってしまい、画面輝度の均一性が得られない。これに対して、閾値補正機能および移動度補正機能を実現する駆動タイミング(詳細は後述する)とすることで、それらの変動の影響を抑制でき、画面輝度の均一性を確保できる。
本実施形態で採用する閾値補正動作および移動度補正動作では、書込みゲインが1(理想値)であると仮定した場合、発光時のゲート・ソース間電圧Vgsが“ΔVin+Vth−ΔV”で表されるようにすることで、ドレイン・ソース間電流Idsが、閾値電圧Vthのばらつきや変動に依存しないようにするとともに、移動度μのばらつきや変動に依存しないようにする。結果として、閾値電圧Vthや移動度μが製造プロセスや経時により変動しても、駆動電流Idsは変動せず、有機EL素子127の発光輝度も変動しない。移動度補正時には、大きな移動度μ1に対しては移動度補正パラメータΔV1が大きくなるようにする一方、小さい移動度μ2に対しては移動度補正パラメータΔV2も小さくなるように負帰還をかけることになる。こう言った意味で、移動度補正パラメータΔVを負帰還量ΔVとも称する。
<比較例の画素回路:第3例>
図3に示す第2比較例の画素回路Pにおける有機EL素子127の経時変化による駆動電流変動を防ぐ回路(ブートストラップ回路)を搭載し、また駆動トランジスタ121の特性変動(閾値電圧ばらつきや移動度ばらつき)による駆動電流変動を防ぐ駆動方式を採用したのが本実施形態の画素回路Pにてベースとする図5に示す第3比較例の画素回路Pである。
第3比較例の画素回路Pは、第2比較例の画素回路Pと同様に、n型の駆動トランジスタ121を使用する。加えて、有機EL素子の経時変化による当該有機EL素子への駆動電流Idsの変動を抑制するための回路、すなわち電気光学素子の一例である有機EL素子の電流−電圧特性の変化を補正して駆動電流Idsを一定に維持する駆動信号一定化回路を備えた点に特徴を有する。さらに、有機EL素子の電流−電圧特性に経時変化があった場合でも駆動電流を一定にする機能を備えた点に特徴を有する。
すなわち、駆動トランジスタ121の他に走査用に1つのスイッチングトランジスタ(サンプリングトランジスタ125)を使用する2TR駆動の構成を採るとともに、各スイッチングトランジスタを制御する電源駆動パルスDSL および書込駆動パルスWSのオン/オフタイミング(スイッチングタイミング)の設定により、有機EL素子127の経時変化や駆動トランジスタ121の特性変動(たとえば閾値電圧や移動度などのばらつきや変動)による駆動電流Idsに与える影響を防ぐ点に特徴を有する。2TR駆動の構成であり、素子数や配線数が少ないため、高精細化が可能である。
図3に示した第2比較例に対しての構成上の大きな違いは、保持容量120の接続態様を変形して、有機EL素子127の経時変化による駆動電流変動を防ぐ回路として、駆動信号一定化回路の一例であるブートストラップ回路を構成する点にある。駆動トランジスタ121の特性変動(たとえば閾値電圧や移動度などのばらつきや変動)による駆動電流Idsに与える影響を抑制する方法としては、各トランジスタ121,125の駆動タイミングを工夫することで対処する。
具体的には、第3比較例の画素回路Pは、保持容量120、n型の駆動トランジスタ121、およびアクティブH(ハイ)の書込駆動パルスWSが供給されるn型トランジスタ125、電流が流れることで発光する電気光学素子(発光素子)の一例である有機EL素子127を有する。
駆動トランジスタ121のゲート端(ノードND122)とソース端との間に保持容量120が接続され、駆動トランジスタ121のソース端が直接に有機EL素子127のアノード端に接続されている。保持容量120は、ブートストラップ容量としても機能するようになっている。有機EL素子127のカソード端は、第1比較例や第2比較例と同様に、全画素共通のカソード共通配線127Kに接続され、カソード電位Vcath(たとえば接地電位GND )が与えられる。
駆動トランジスタ121のドレイン端は、電源スキャナとして機能する駆動走査部105からの電源供給線105DSL に接続されている。電源供給線105DSL は、この電源供給線105DSL そのものが、駆動トランジスタ121に対しての電源供給能力を備える点に特徴を有する。
具体的には、駆動走査部105は、駆動トランジスタ121のドレイン端に対して、それぞれ電源電圧に相当する高電圧側の第1電位Vccと低電圧側の第2電位Vssとを切り替えて供給する電源電圧切替回路を具備している。
第2電位Vssとしては、映像信号線106HSにおける映像信号Vsig のオフセット電位Vofs (基準電位とも称する)より十分低い電位とする。具体的には、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgs(ゲート電位Vgとソース電位Vsの差)が駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthより大きくなるように、電源供給線105DSL の低電位側の第2電位Vssを設定する。なお、オフセット電位Vofs は、閾値補正動作に先立つ初期化動作に利用するとともに映像信号線106HSを予めプリチャージにしておくためにも利用する。
サンプリングトランジスタ125は、ゲート端が書込走査部104からの書込走査線104WSに接続され、ドレイン端が映像信号線106HSに接続され、ソース端が駆動トランジスタ121のゲート端(ノードND122)に接続されている。そのゲート端には、書込走査部104からアクティブHの書込駆動パルスWSが供給される。
サンプリングトランジスタ125は、ソース端とドレイン端とを逆転させた接続態様とすることもできる。また、サンプリングトランジスタ125としては、ディプレション型およびエンハンスメント型の何れをも使用できる。
<画素回路の動作:第3比較例>
図6は、図5に示した第3比較例の画素回路Pに関する第3比較例の駆動タイミングの基本例を説明するタイミングチャートであり、線順次駆動の場合で示している。図6においては、時間軸を共通にして、書込走査線104WSの電位変化、電源供給線105DSL の電位変化、および映像信号線106HSの電位変化を表してある。また、これらの電位変化と並行に、1行分(図では1行目)について駆動トランジスタ121のゲート電位Vgおよびソース電位Vsの変化も表してある。
後述する本実施形態においても、電源駆動パルスDSL (ドレイン電圧Vd_121)の電圧設定を除いて、この図6に示す第3比較例の駆動タイミングの考え方を適用する。なお、図6では、第3比較例の画素回路Pにおいて、閾値補正機能、移動度補正機能、ブートストラップ機能を実現するための基本例を示すもので、閾値補正機能、移動度補正機能、ブートストラップ機能を実現するための駆動タイミングは、図6に示す態様に限らず、様々な変形が可能である。これら様々な変形の駆動タイミングであっても、後述する各実施形態の仕組みを適用できる。
図6に示す駆動タイミングは、線順次駆動の場合であり、書込駆動パルスWS、電源駆動パルスDSL 、および映像信号Vsig は、1行分を1組として、各信号のタイミング(特に位相関係)が行単位で独立に制御され、行が代わると1H(Hは水平走査期間)分シフトされる。
以下では、説明や理解を容易にするため、特段の断りのない限り、書込みゲインが1(理想値)であると仮定して、保持容量120に信号振幅ΔVinの情報を、書き込む、保持する、あるいはサンプリングするなどと簡潔に記して説明する。書込みゲインが1未満の場合、保持容量120には信号振幅ΔVinの大きさそのものではなく、信号振幅ΔVinの大きさに対応するゲイン倍された情報が保持されることになる。
因みに、信号振幅ΔVinに対応する保持容量120に書き込まれる情報の大きさの割合を、書込みゲインGinput と称する。ここで、書込みゲインGinput は、具体的には、電気回路的に保持容量120と並列に配置される寄生容量を含めた全容量C1と、電気回路的に保持容量120と直列に配置される全容量C2との容量直列回路において、信号振幅ΔVinを容量直列回路に供給したときに容量C1に配分される電荷量に関係する。式で表せば、g=C1/(C1+C2)とすると、書込みゲインGinput =C2/(C1+C2)=1−C1/(C1+C2)=1−gとなる。以下の説明において、“g”が登場する記載は書込みゲインを考慮したものである。
また、説明や理解を容易にするため、特段の断りのない限り、ブートストラップゲインが1(理想値)であると仮定して簡潔に記して説明する。因みに、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間に保持容量120が設けられている場合に、ソース電位Vsの上昇に対するゲート電位Vgの上昇率をブートストラップゲイン(ブートストラップ動作能力)Gbst と称する。ここで、ブートストラップゲインGbst は、具体的には、保持容量120の容量値Cs、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間に形成される寄生容量C121gsの容量値Cgs、ゲート・ドレイン間に形成される寄生容量C121gdの容量値Cgd、およびサンプリングトランジスタ125のゲート・ソース間に形成される寄生容量C125gsの容量値Cwsに関係する。式で表せば、ブートストラップゲインGbst =(Cs+Cgs)/(Cs+Cgs+Cgd+Cws)となる。
また、第3比較例の駆動タイミングでは、映像信号Vsig が非有効期間であるオフセット電位Vofs にある期間を1水平走査期間の前半部とし、有効期間である信号電位Vin(=Vofs +ΔVin)にある期間を1水平走査期間の後半部とする。また、映像信号Vsig の有効期間と非有効期間を合わせた1水平走査期間ごとに、閾値補正動作を複数回(図では3回)に亘って繰り返すようにする。その各回の映像信号Vsig の有効期間と非有効期間の切替タイミング(t13V,t15V)、および書込駆動パルスWSのアクティブとインアクティブの切替タイミング(t13W,t15W)については、そのタイミングに、各回を“_ ”なしの参照子で示すことで区別する。
まず、有機EL素子127の発光期間Bでは、電源供給線105DSL が第1電位Vccであり、サンプリングトランジスタ125がオフした状態である。このとき、駆動トランジスタ121は飽和領域で動作するように設定されているため、有機EL素子127に流れる駆動電流Idsは駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsに応じて、式(1)に示される値をとる。
次に、非発光期間に入ると、先ず放電期間Cでは、電源供給線105DSL を第2電位Vssに切り替える。このとき、第2電位Vssが有機EL素子127の閾値電圧VthELとカソード電位Vcathの和よりも小さいとき、つまり“Vss<VthEL+Vcath”であれば、有機EL素子127は消光し、電源供給線105DSL が駆動トランジスタ121のソース側となる。このとき、有機EL素子127のアノードは第2電位Vssに充電される。
さらに、初期化期間Dでは、映像信号線106HSがオフセット電位Vofs となったときにサンプリングトランジスタ125をオンして駆動トランジスタ121のゲート電位をオフセット電位Vofs とする。このとき、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは“Vofs −Vss”という値をとる。この“Vofs −Vss”が駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthよりも大きくないと閾値補正動作を行なうことができないために、“Vofs −Vss>Vth”とする必要がある。
この後、第1閾値補正期間Eに入ると、電源供給線105DSL を再び第1電位Vccに切り替える。電源供給線105DSL (つまり駆動トランジスタ121への電源電圧)を第1電位Vccとすることで、有機EL素子127のアノードが駆動トランジスタ121のソースとなり駆動トランジスタ121から駆動電流Idsが流れる。有機EL素子127の等価回路はダイオードと容量で表されるため、有機EL素子127のカソード電位Vcathに対するアノード電位をVelとしたとき、“Vel≦Vcath+VthEL”である限り、換言すれば、有機EL素子127のリーク電流が駆動トランジスタ121に流れる電流よりもかなり小さい限り、駆動トランジスタ121の駆動電流Idsは保持容量120と有機EL素子127の寄生容量Celを充電するために使われる。このとき、有機EL素子127のアノード電位Velは時間とともに上昇してゆく。
一定時間経過後、サンプリングトランジスタ125をオフする。このとき、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthよりも大きいと(つまり閾値補正が完了していないと)、駆動トランジスタ121の駆動電流Idsは保持容量120を受電するように流れ続け、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは上昇してゆく。このとき、有機EL素子127には逆バイアスがかかっているため、有機EL素子127が発光することはない。
さらに第2閾値補正期間Gに入ると、再び映像信号線106HSがオフセット電位Vofs となったときにサンプリングトランジスタ125をオンして駆動トランジスタ121のゲート電位をオフセット電位Vofs として、再度閾値補正動作を開始する。この動作を繰り返すことで、最終的に、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vthという値をとる。このとき“Vel=Vofs −Vth≦Vcath+VthEL”となっている。
なお、この第3比較例の動作例では、閾値補正動作を繰り返し実行することで確実に駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量120に保持させるために、1水平走査期間(1H期間)を処理サイクルとして、駆動トランジスタ121のドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccにして電流が流れる状態のままで閾値補正動作を複数回に亘って繰り返すようにしているが、原理的には、この繰返し動作は必須ではなく、1回の閾値補正動作で十分であれば、1回のみの閾値補正動作とすることは可能である。ただし、図からも分るように、第3比較例の動作では、特開2006−215213号公報に示されている5TR構成の場合と異なり、1回当たりの閾値補正期間が1Hではなくオフセット電位Vofs の期間に限定されるので、本例であれば概ね1/2Hとなり、5TR構成の場合よりも不足することが十分に考えられる。このような観点においては、第3比較例のような画素回路Pおよびその駆動方法を採用する場合、1水平走査期間を処理サイクルとして、閾値補正動作を複数回に亘って繰り返すことの要求度合いが高くなると考えられる。
ここで、1水平走査期間が閾値補正動作の処理サイクルとなるのは、行ごとに、サンプリングトランジスタ125が信号振幅ΔVinの情報を保持容量120にサンプリングする前に、閾値補正動作に先立って、電源供給線105DSL の電位を第2電位Vssにセットし、また駆動トランジスタ121のゲートをオフセット電位Vofs にセットし、さらにソース電位を第2電位Vssにセットする初期化動作を経てから、電源供給線105DSL の電位が第1電位Vccにある状態でかつ映像信号線106HSがオフセット電位Vofs にある時間帯でサンプリングトランジスタ125を導通させて駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに対応する電圧を保持容量120に保持させようとする閾値補正動作を行なうからである。
必然的に、閾値補正期間は、1水平走査期間よりも短くなってしまう。したがって、保持容量120の容量Csや第2電位Vssの大きさ関係やその他の要因で、この短い1回分の閾値補正動作期間では、閾値電圧Vthに対応する正確な電圧を保持容量120に保持仕切れないケースも起こり得る。第3比較例において、閾値補正動作を複数回実行するのは、この対処のためである。すなわち、信号振幅ΔVinの情報の保持容量120へのサンプリング(信号書込み)に先行する複数の水平周期で、閾値補正動作を繰り返し実行することで、確実に駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量120に保持させるのである。以下、1水平走査期間を閾値補正動作の1処理サイクルとして複数回実行する閾値補正処理を「1H単位分割閾値補正処理」あるいは「分割閾値補正処理」と称する。
閾値補正動作終了後(本例では第3閾値補正期間Iの後)は、サンプリングトランジスタ125をオフして書込み&移動度補正準備期間Jに入る。映像信号線106HSが信号電位Vin(=Vofs +ΔVin)となったときに、サンプリングトランジスタ125を再度オンしてサンプリング期間&移動度補正期間Kに入る。信号振幅ΔVinは階調に応じた値である。サンプリングトランジスタ125のゲート電位はサンプリングトランジスタ125をオンしているために信号電位Vin(=Vofs +ΔVin)となるが、駆動トランジスタ121のドレイン端は第1電位Vccであり駆動電流Idsが流れるためソース電位Vsは時間とともに上昇してゆく。図では、この上昇分をΔVで示している。
このとき、ソース電圧Vsが有機EL素子127の閾値電圧VthELとカソード電位Vcathの和を越えなければ、換言すると、有機EL素子127のリーク電流が駆動トランジスタ121に流れる電流よりもかなり小さければ、駆動トランジスタ121の駆動電流Idsは保持容量120と有機EL素子127の寄生容量とCelを充電するのに使用される。
この時点では、駆動トランジスタ121の閾値補正動作は完了しているため、駆動トランジスタ121が流す電流は移動度μを反映したものとなる。具体的には、移動度μが大きいと、このときの電流量が大きく、ソースの上昇も早い。逆に移動度μが小さいと、電流量が小さく、ソースの上昇は遅くなる。これにより、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは移動度μを反映して小さくなり、一定時間経過後に完全に移動度μを補正するゲート・ソース間電圧Vgsとなる。
この後には、発光期間Lに入り、サンプリングトランジスタ125をオフして書込みを終了し、有機EL素子127を発光させる。保持容量120によるブートストラップ効果により、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは一定であるので、駆動トランジスタ121は一定電流(駆動電流Ids)を有機EL素子127に流し、有機EL素子127のアノード電位Velは有機EL素子127に駆動電流Idsという電流が流れる電圧Vxまで上昇し、有機EL素子127は発光する。
第3比較例の画素回路Pにおいても、有機EL素子127は発光時間が長くなるとそのI−V特性は変化してしまう。そのため、ノードND121の電位(つまり駆動トランジスタ121のソース電位Vs)も変化する。しかしながら、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgsは保持容量120によるブートストラップ効果で一定値に保たれているので、有機EL素子127に流れる電流は変化しない。よって、有機EL素子127のI−V特性が劣化しても、有機EL素子127には一定電流(駆動電流Ids)が常に流れ続け、有機EL素子127の輝度が変化することはない。
駆動電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性を表した式(1)のVgsに“ΔVin−ΔV+Vth”を代入することで、式(2−1)のように表すことができる。因みに、書込みゲインを考慮したときには、式(1)のVgsに“(1−g)ΔVin−ΔV+Vth”を代入することで、式(2−2)のように表すことができる。式(2−1)や式(2−2)(纏めて式(2)と称する)において、k=(1/2)(W/L)Coxである。
Figure 2010008520
この式(2)から、閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、有機EL素子127に供給される駆動電流Idsは駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthに依存しないことが分かる。基本的に駆動電流Idsは信号振幅ΔVin(詳しくは信号振幅ΔVinに対応して保持容量120に保持されるサンプリング電圧=Vgs)によって決まる。換言すると、有機EL素子127は信号振幅ΔVinに応じた輝度で発光することになる。
その際、保持容量120に保持される情報はソース電位Vsの上昇分ΔVで補正されている。上昇分ΔVはちょうど式(2)の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。駆動トランジスタ121の移動度μに対する補正分ΔVを保持容量120に書き込まれる信号に加えるのであるが、その方向は実際には負の方向であり、こう言った意味で、上昇分ΔVは、移動度補正パラメータΔVや負帰還量ΔVとも称する。
有機EL素子127に流れる駆動電流Idsは、駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthや移動度μの変動が相殺され、実質的に信号振幅ΔVinのみに依存することになる。駆動電流Idsは閾値電圧Vthや移動度μに依存しないので、閾値電圧Vthや移動度μが製造プロセスによりばらついていたり経時変化があったりしても、ドレイン・ソース間の駆動電流Idsは変動せず、有機EL素子127の発光輝度も変動しない。
また、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間に保持容量120を接続することで、n型の駆動トランジスタ121を使用する場合においても、駆動トランジスタ121のソース端の電位Vsの変動にゲート端の電位Vgが連動するようにするブートストラップ機能を実現する回路構成および駆動タイミングとしており、有機EL素子127の特性の経時変動による有機EL素子127のアノード電位変動(つまり駆動トランジスタ121のソース電位変動)があっても、その変動を相殺するようにゲート電位Vgを変動させることができる。
これにより、有機EL素子127の特性の経時変化の影響が緩和され、画面輝度の均一性を確保できる。駆動トランジスタ121のゲート・ソース間の保持容量120によるブートストラップ機能により、有機EL素子を代表とする電流駆動型の発光素子の経時変動補正能力を向上させることができる。もちろん、ブートストラップ機能は、発光開始時点で、有機EL素子127に発光電流Ielが流れ始め、それによってアノード・カソード間電圧Velが安定となるまで上昇していく過程で、そのアノード・カソード間電圧Velの変動に伴って駆動トランジスタ121のソース電位Vsが変動する際にも機能する。
このように、第3比較例の画素回路P(事実上、後述する本実施形態の画素回路Pも同様)およびそれを駆動する制御部109による駆動タイミングによれば、駆動トランジスタ121や有機EL素子127の特性変動(ばらつきや経時変動)があった場合でも、それらの変動分を補正することで、表示画面上にはその影響が現われず、輝度変化のない高品質な画像表示が可能になる。
<分割閾値補正処理の問題点>
図7は、分割閾値補正処理の問題点を説明する図である。図6に示したように、1水平走査期間を1つの処理サイクルとして、駆動トランジスタ121のドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccにして電流が流れる状態のままで閾値補正動作を複数回に亘って実行する「分割閾値補正処理」の場合、各回の閾値補正動作の間の間隔期間(信号線電位が閾値補正用のオフセット電位Vofs の期間から次のオフセット電位Vofs に変わる間の信号電位Vinの期間:閾値補正動作間と称する)は前述通りサンプリングトランジスタ125をオフしており、駆動トランジスタ121の閾値補正が完全に行なわれていないので、そのゲート・ソース間電圧Vgs_121は閾値電圧Vthよりも大きい。
閾値補正動作間では、ゲート・ソース間電圧Vgs_121が閾値電圧Vthよりも大きい状態にあり、駆動トランジスタ121に電流が流れ、その時点のゲート・ソース間電圧Vgs_121を維持した状態でソース電位Vs_121とゲート電位Vg_121が上昇する。ここで、閾値補正時間が短かったり閾値補正動作間の時間が長かったりすると、図7に示すように、閾値補正動作間に駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇が大きくなる。その結果、分割閾値補正処理において、次回の閾値補正動作を行なうときには保持容量120の両端電圧、つまり駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgs_121が、その閾値電圧Vth_121未満となってしまい、それ以降は、駆動トランジスタ121に電流が流れることがなく、閾値補正動作が正常に行なわれず(「閾値補正の破綻現象」と称する)、表示画像にはムラやスジとなって現れるという問題が起こる。たとえば、高速駆動を行なう場合においては、1水平走査期間の時間が短くなり、閾値補正にかける時間も少なくなるために、この問題は顕著に現れる。
<改善手法:基本原理>
図8は、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の基本原理を説明する図である。ここで、図8(1)は、トランジスタのアーリ効果を説明するものでドレイン・ソース間電圧Vdsとドレイン・ソース間電流Ids(事実上有機EL素子127への駆動電流)の関係を示したものである。図8(2)は、トランジスタのアーリ効果を分割閾値補正処理に適用して示したものである。
閾値補正の破綻現象が生じる原因に鑑みると、信号線電位が閾値補正用のオフセット電位Vofs と次のオフセット電位Vofs の間の信号電位Vinにある期間である閾値補正動作間の駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇を如何に抑えるかや、閾値補正動作時のソース電位Vs_121の上昇を如何に早くするか、などが肝要となる。何れも、ソース電位Vs_121の上昇速度に関係するものであるから、概ね同じような観点から対処が可能と考えられる。
ソース電位Vs_121の上昇は、駆動トランジスタ121に駆動電流Ids_121が流れることから生じるのであるから、閾値補正動作間の駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇を抑えるには、閾値補正動作間の駆動電流Ids_121を小さくすることが対処方法として考えられる。また、閾値補正動作時のソース電位Vs_121の上昇を早くするには、閾値補正動作時の駆動電流Ids_121を大きくすることが対処方法として考えられる。
分割閾値補正処理における閾値補正動作時や閾値補正動作間では、各時点のゲート電位Vgやソース電位Vsでゲート・ソース間電圧Vgs_121が決まるものであるから、駆動トランジスタ121の駆動電流Ids_121を従前と異なるものにして前述の問題を解消するには、ゲート電位Vg_121やソース電位Vs_121そのものに対して対策すること以外の手法を採る必要があると考えられる。換言すると、ゲート・ソース間電圧Vgs_121が同じであっても、駆動電流Ids_121に差を持たせることで、結果的にソース電位Vs_121が差を持つようになる仕組みとすることが最適な対策手法であると考えられる。
そこで、本実施形態の対策手法として、図8(1)に示すように、ゲート・ソース間電圧Vgs_121が同じであっても、現実的には駆動トランジスタ121のアーリ効果により駆動トランジスタ121の駆動電流Ids_121は差を持つという特性に着目して、対策を採ることとした。因みに、アーリ効果は、ゲート・ソース間電圧Vgsが同じであれば、理想的には図8(1)中に点線で示すようにドレイン・ソース間電圧Vdsに関わらずドレイン・ソース間電流Idsが一定であるが、現実的には、ドレイン・ソース間電圧Vdsの影響を受け、ドレイン・ソース間電圧Vdsが大きいときには(Vds_1とする)ドレイン・ソース間電流Idsが大きいが(Ids_1とする)、ドレイン・ソース間電圧Vdsが小さいときには(Vds_2とする)ドレイン・ソース間電流Idsが小さくなる(Ids_2とする)現象である。
駆動トランジスタ121のアーリ効果を利用するには、駆動トランジスタ121のドレイン・ソース間電圧Vds_121を変化させればよい。本例では、ソース電位Vs_121を変化させることはできないので、図8(2)に示すように、ドレイン電圧Vd_121すなわち電源駆動パルスDSL の第1電位Vccを第3比較例の動作タイミングと異なる状態にして分割閾値補正処理を行なうようにすればよい。つまり、各回の閾値補正動作時や各回の閾値補正動作の間の間隔期間の少なくとも1回は、駆動トランジスタ121の電源供給端の電位(ドレイン電圧Vd_121)を、有機EL素子127の発光期間に駆動電流Idsを有機EL素子127に流すために使用される第1電位Vccと異なるように設定する。よって、本実施形態では、閾値補正動作時や閾値補正動作間のドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccとは異なるものに切り替える手法を採る。
詳しくは、閾値補正動作間には、駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇を抑えるために、ドレイン電圧Vd_121を発光時の電源電位である第1電位Vccよりも小さくなるように(本例では低く)して駆動電流Ids_121を小さくする第1の対策手法を採る。換言すれば、各回の閾値補正動作時のドレイン電圧Vd_121は発光期間におけるドレイン電圧Vd_121(=第1電位Vcc)と同じであり、閾値補正動作間におけるドレイン電圧Vd_121は各回の閾値補正動作時の電源電位(=ドレイン電圧Vd_121)よりも低くする。第1電位Vccより低くするとは言っても、画素回路Pの有機EL素子127のカソード共通配線127Kに与えられる共通電位としての第2電位Vssよりは低くすることは考え難く、結局は、発光時の第1電位Vccと第2電位Vssの間の任意の電位(以下「第3電位Vmid 」と称する)にする。
また、閾値補正動作時には、ソース電位Vs_121の上昇を早くするために、ドレイン電圧Vd_121を発光時の電源電位である第1電位Vccよりも大きい(本例では高い)任意の電位(以下「第4電位Vdd」と称する)にして駆動電流Ids_121を大きくする第2の対策手法を採る。
閾値補正動作間に第1の対策手法を採るときには、閾値補正動作間の直前の閾値補正動作時にも第1電位Vccよりも低い電圧にする手法(つまりソース電位Vs_121の上昇速度を小さくする手法)を採り入れることも考えられる。換言すると、各回の閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121は発光時の第1電位Vccよりも小さく(低く)設定し、また、その閾値補正動作後の閾値補正動作間におけるドレイン電圧Vd_121も発光時の第1電位Vccよりも小さく(低く)設定する手法である。また、閾値補正動作時に第2の対策手法を採るときには、閾値補正動作間に第1電位Vccよりも高い電圧にする手法、換言すると、第2の対策手法と組み合わせることも考えられる。以下、各対策手法について具体的に説明する。
<改善手法:第1実施形態>
図9は、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第1実施形態を説明する図である。ここで、図9(1)は、画素回路P中に第1実施形態によるドレイン電圧Vd_121の切替え態様を示したもので、図9(2)は、第1実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。
第1実施形態は、閾値補正動作間には、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccよりも低く第2電位Vssよりも高い第3電位Vmid にして駆動電流Ids_121を小さくすることで駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇を抑える第1の対策手法を採ったものである。つまり、有機EL素子127が発光するために必要な電源電位となる駆動トランジスタ121のドレイン電圧Vd_121を規定する電源駆動パルスDSL は、第1電位Vccと第2電位Vssの2値でなく、第3電位Vmid も加えた3値を持ち、閾値補正動作間の少なくとも1回はドレイン電圧Vd_121が第3電位Vmid となっていることを特徴としている。ここで、第3電位Vmid は閾値補正時の第1電位Vccよりも低く、閾値補正終了時のソース電位Vs_121(Vofs −Vth_min)よりも高く設定する。なお、Vth_minは画素アレイ部102内の各画素回路Pを構成する駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthの最小値である。
第1実施形態のような電源電圧設定の電源駆動パルスDSL とすることで、閾値補正動作間の初期では駆動トランジスタ121は飽和領域で動作するが、閾値補正動作間の動作点は、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccではなく第3電位Vmid に設定しているので、第1電位Vccとしていた第3比較例よりもドレイン・ソース間電圧Vds_121が小さくなるため、閾値補正動作間に駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Ids_121はアーリ効果分だけ小さくなる。このため、閾値補正動作間に駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇が大きくなるのを防ぐことができ、正常に閾値補正動作を行なうことができるようになる。図8(2)から推測されるように、効果的には、少なくとも1回目の閾値補正動作後の閾値補正動作間にドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid とするのがよい。
このように、分割閾値補正処理において、各回の閾値補正動作時の電源電圧(=第1電位Vcc)と閾値補正動作間における電源電圧(=第3電位Vmid )の切替設定によって、信号線電位が信号電位Vinの期間にある閾値補正動作間に電源から駆動トランジスタ121に流れる電流によって閾値補正動作が正常に行われなくなるのを防ぐことができる。正常に閾値補正動作を行なうことが可能となりムラやスジのない均一な画質を得ることができる。また、各回の閾値補正動作時間を短くしても閾値補正動作間で駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Ids_121を小さくすることができるので、その分各回の閾値補正動作時間を短く設定することができる。これにより、1水平走査期間を短くすることができ高速駆動化が可能となる。
<改善手法:第2実施形態>
図10および図10Aは、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第2実施形態を説明する図である。ここで、図10(1),図10A(1)は、画素回路P中に第2実施形態によるドレイン電圧Vd_121の切替え態様を示したもので、図10(2),図10A(2)は、第2実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。
第2実施形態は、各回の閾値補正動作時における電源電圧(=ドレイン電圧Vd_121)を発光時の電源電圧(=第1電位Vcc)よりも高い第4電位Vddにして駆動電流Ids_121を大きくすることで駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇を早くする第2の対策手法を採ったものである。つまり、有機EL素子127が発光するために必要な電源電位となる駆動トランジスタ121のドレイン電圧Vd_121を規定する電源駆動パルスDSL は、第1電位Vccと第2電位Vssの2値でなく、第4電位Vddも加えた3値を持ち、少なくとも最終回を除く各回の閾値補正動作時はドレイン電圧Vd_121が第4電位Vddとなっていることを特徴としている。
第2実施形態のような電源電圧設定の電源駆動パルスDSL とすることで、閾値補正動作時には駆動トランジスタ121は飽和領域で動作するが、その閾値補正動作時の動作点は、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccではなく第4電位Vddに設定しているので、第1電位Vccとしていた第3比較例よりもドレイン・ソース間電圧Vds_121が大きくなるため、閾値補正動作時に駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Ids_121はアーリ効果分だけ大きくなる。このため、閾値補正動作時における駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇が第3比較例の場合よりも大きくなる。その結果、図8(2)に示したことから分るように、同じ閾値補正時間でも、ドレイン電圧Vd_121を上げた方がアーリ効果分だけ早く閾値補正動作を行なうことができる。図8(2)から推測されるように、効果的には、少なくとも1回目の閾値補正動作時にはドレイン電圧Vd_121を第4電位Vddとするのがよい。
当該回の閾値補正動作終了時のソース電位Vs_121が第1電位Vccで閾値補正を行なう第3比較例よりも大きくなっているので、次回の閾値補正動作時までの閾値補正動作間ではゲート・ソース間電圧Vgs_121が小さくなり、駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Ids_121を小さくすることができるので、正常に閾値補正動作を行なうことができるようになる。このように、分割閾値補正処理において、各回の閾値補正動作時の電源電圧(=第4電位Vdd)と閾値補正動作間における電源電圧(=第1電位Vcc)の切替設定によって、正常に閾値補正動作を行なうことが可能となり、ムラやスジのない均一な画質を得ることができる。
また、各回の閾値補正終了後のソース電位Vs_121を同じにする場合を考えると、閾値補正動作時の駆動トランジスタ121に流れる駆動電流Ids_121が大きくなる分、各回の閾値補正動作時間を短く設定することができる。これにより、1水平走査期間を短くすることができ高速駆動化が可能となる。つまり、各回の閾値補正動作時のドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccよりも高い第4電位Vddに設定することで、同じ閾値補正動作時間でも閾値補正効果は大きくなる。このため、閾値補正動作間でドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccに落とせばアーリ効果によって閾値補正動作間で駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Ids_121はより小さくなる。閾値補正動作時と閾値補正動作間の各電源電位の値は、閾値補正時には第1電位Vccとし閾値補正動作間では第1電位Vccよりも低い第3電位Vmid にする第1実施形態と異なるが、その相対関係は同じになるので、第1実施形態と同様に、各回の閾値補正動作時間を短く設定することができるのである。
なお、図10に示す第2実施形態(第1例)は、毎回の閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121を第4電位Vddにした態様であり、図10Aに示す第2実施形態(第2例)は、最終回を除く閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121を第4電位Vddに、最終回の閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccにした態様である。第1例では電源電圧を上げているために移動度補正時における電流量が多く流れるので、信号書込み時間を短くすることができ、高速化対応可能な形態である。一方、第2例では発光時における電源電圧で移動度補正をかけるので、第1例よりもアーリ効果のバラツキが少ない状態で移動度補正を行なうことができ、高画質対応可能な形態である。
<改善手法:第3実施形態>
図11および図11Aは、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第3実施形態を説明する図である。ここで、図11(1),図11A(1)は、画素回路P中に第2実施形態によるドレイン電圧Vd_121の切替え態様を示したもので、図11(2),図11A(2)は、第2実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。
第3実施形態は、前述の第1実施形態と第2実施形態の双方を組み合わせた態様である。つまり、有機EL素子127が発光するために必要な電源電位となる駆動トランジスタ121のドレイン電圧Vd_121を規定する電源駆動パルスDSL は、第1電位Vccと第2電位Vssの2値でなく、第3電位Vmid と第4電位Vddも加えた4値を持ち、少なくとも最終回を除く各回の閾値補正動作時はドレイン電圧Vd_121が第4電位Vddとなっており、さらに、閾値補正動作間の少なくとも1回はドレイン電圧Vd_121が第3電位Vmid となっていることを特徴としている。ここで、図11に示す第3実施形態(第1例)は、第1実施形態と第2実施形態(第1例)の双方を組み合わせた態様であり、図11Aに示す第3実施形態(第2例)は、第1実施形態と第2実施形態(第2例)の双方を組み合わせた態様である。第1例では電源電圧を上げているために移動度補正時における電流量が多く流れるので、信号書込み時間を短くすることができ、高速化対応可能な形態である。一方、第2例では発光時における電源電圧で移動度補正をかけるので、第1例よりもアーリ効果のバラツキが少ない状態で移動度補正を行なうことができ、高画質対応可能な形態である。
第3実施形態のような電源電圧設定の電源駆動パルスDSL とすることで、前述の第1実施形態と第2実施形態の双方の動作が組み合わされる。各回の閾値補正動作を第1電位Vccよりも高い第4電位Vddで行なった後に、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccよりも低い第3電位Vmid に設定することで、閾値補正動作終了時の駆動トランジスタ121のソース電位Vs_121の上昇の傾きは、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccとしているときと比較して小さくなるため、閾値補正動作間のドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid のままにすれば、この閾値補正動作間での駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Ids_121は小さくなる。
<改善手法:第4実施形態>
図12および図12Aは、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第4実施形態を説明する図である。ここで、図12(1)および図12A(1)は、画素回路P中に第4実施形態によるドレイン電圧Vd_121の切替え態様を示したもので、図12(2)および図12A(2)は、第4実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。
第4実施形態は、閾値補正動作間にドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid にする第1実施形態の手法を採りつつ、閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121を発光時の第1電位Vccよりも低く設定する手法を採り入れたものである。換言すると、閾値補正動作時および閾値補正動作間の少なくとも1回はドレイン電圧Vd_121が第1電位Vccよりも低く設定されていることを特徴としている。因みに「閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121と閾値補正動作間におけるドレイン電圧Vd_121はともに発光時の第1電位Vccよりも低い」とは言っても、少なくとも、閾値補正動作時におけるドレイン電圧Vd_121の方が閾値補正動作間におけるドレイン電圧Vd_121よりも高く設定する。
ここで、図12に示す第4実施形態(第1例)は、最終回を除く各回の閾値補正動作時および閾値補正動作間ではともに(事実上連続的に)、ドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid に設定している3値制御の態様である。図12Aに示す第4実施形態(第2例)は、閾値補正動作間のドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid に設定するとともに、最終回を除く各回の閾値補正動作時のドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid よりも高くかつ第1電位Vccよりも低い第5電位Veeに設定している4値制御の態様である。閾値補正時の第5電位Veeは発光時の第1電位Vccよりも低く、閾値補正終了時のソース電位Vs_121(Vofs −Vth_min)よりも高く設定する。
3値制御の方が用意する電源電圧の種類が少なく電源回路をコンパクトにできる利点がある。因みに、図12Aでは、最終回の閾値補正動作時にはドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccに設定しているが、このことは必須ではなく、図中に点線で示すように、最終回の閾値補正同時についても、ドレイン電圧Vd_121を第5電位Veeに設定してもよい。基本的には、第2実施形態の第1例と第2例のそれぞれに特有の効果と同様の効果の差異があると考えてよい。ドレイン電圧Vd_121を第5電位Veeに設定する場合、電源電圧を下げることでより、アーリ効果のバラツキが小さい状態で移動度補正をかけることができ、画質向上が図られる。
図8(2)に示したように、分割閾値補正処理における各回の閾値補正動作時のドレイン電圧Vd_121を低くすることで、その閾値補正動作終了時の駆動トランジスタ121のソース電圧の上昇の傾きは、ドレイン電圧Vd_121を第1電位Vccとする場合と比較して小さくなる。このため、その閾値補正動作後の閾値補正動作間においてもドレイン電圧Vd_121をそのまま第1電位Vccよりも低い第3電位Vmid に維持することで、駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Idsが小さくなり、正常に閾値補正動作を行なうことができる。
閾値補正動作時のドレイン電圧Vd_121が第1電位Vccよりも低く、同じ閾値補正時間では、ドレイン電圧Vd_121を下げた方がアーリ効果分だけ遅く閾値補正動作を行なうことになるが、閾値補正動作間において駆動トランジスタ121を流れる駆動電流Idsを小さくすることの効果の方が大きいときには有効な手法である。図8(2)から推測されるように、効果的には、少なくとも1回目の閾値補正動作時にドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid や第5電位Veeとするのがよい。
このように、各実施形態について具体的な駆動タイミングについて説明したが、何れの態様も、分割閾値補正処理における各回の閾値動作時間を短くしても、閾値補正動作間で駆動トランジスタ121に流れる電流を小さくすることができ、正常に閾値補正動作を行なうことができる。これにより、ムラやスジのない均一な画質を得ることができる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
<画素回路の変形例>
たとえば、画素回路Pの側面からの変更が可能である。たとえば、回路理論上は「双対の理」が成立するので、画素回路Pに対しては、この観点からの変形を加えることができる。この場合、図示を割愛するが、先ず、前述の各実施形態に示した画回路Pがn型の駆動トランジスタ121を用いて構成しているのに対し、p型の駆動トランジスタ121を用いて画素回路Pを構成する。これに合わせて映像信号Vsig のオフセット電位Vofs に対する信号振幅ΔVinの極性や電源電圧の高低関係を逆転させるなど、双対の理に従った変更を加える。
たとえば「双対の理」に従った変形態様の画素回路Pでは、p型の駆動トランジスタ(以下p型駆動トランジスタ121pと称する)のゲート端とソース端と間に保持容量120を接続し、p型駆動トランジスタ121pのソース端を直接に有機EL素子127のカソード端に接続する。有機EL素子127のアノード端は基準電位としてのアノード電位Vanode にする。このアノード電位Vanode は、基準電位を供給する全画素共通の基準電源(高電位側)に接続する。p型駆動トランジスタ121pは、そのドレイン端が低電圧側の第1電位Vssに接続され、有機EL素子127を発光させる駆動電流Idsを流す。
このような双対の理を適用して駆動トランジスタ121をp型にした変形例の有機EL表示装置においても、n型の駆動トランジスタ121にした有機EL表示装置と同様に、閾値補正動作、移動度補正動作、およびブートストラップ動作を実行することができる。
このような画素回路Pを駆動する際に、ドレイン電圧Vd_121(つまり電源駆動パルスDSL )の電位設定を、第1電位Vssと第2電位Vccの2値でなく、第1電位Vssよりも高い第3電位Vmid も加えた3値を持ち、閾値補正動作間の少なくとも1回はドレイン電圧Vd_121が第3電位Vmid となる第1実施形態と同様の態様を採ることができる。また、電源駆動パルスDSL は、第1電位Vssと第2電位Vccの2値でなく、第1電位Vssよりも低い第4電位Vttも加えた3値を持ち、少なくとも最終回を除く各回の閾値補正動作時はドレイン電圧Vd_121が第4電位Vttとなる第2実施形態と同様の態様を採ることができる。もちろん、これらを組み合わせて、第3電位Vmid と第4電位Vttも加えた4値を持つ第3実施形態と同様の態様を採ることもできる。さらに、第1実施形態と同様の手法を採りつつ、最終回を除く閾値補正動作時にも、ドレイン電圧Vd_121を第3電位Vmid や第5電位Veeに設定する手法を採り入れた第4実施形態と同様の態様を採ることもできる。
p型駆動トランジスタ121pとする場合においても、電源駆動パルスDSL を、2値ではなく、3値や4値で切り替えることにより、n型の駆動トランジスタ121を使用した前記実施形態と同様に、各回の閾値補正動作時間を短くしても閾値補正動作間でp型駆動トランジスタ121pに流れる駆動電流Ids_121p を小さくすることができ、正常に閾値補正動作を行なうことができる。これにより、正常に閾値補正動作を行なうことができるためムラやスジのない均一な画質を得ることが可能となるし、各回の閾値補正動作時間を短く設定することができるので高速駆動化が可能となる。
なお、ここで説明した画素回路Pの変形例は、前記第1〜第4実施形態に示した構成に対して「双対の理」に従った変更を加えたものであるが、回路変更の手法はこれに限定されるものではない。閾値補正動作を実行するに当たり、書込走査部104での走査に合わせて各水平周期内でオフセット電位Vofs と信号電位Vin(=Vofs +ΔVin)で切り替わる映像信号Vsig が映像信号線106HSに伝達されるように駆動を行ない、閾値補正の初期化動作のために駆動トランジスタ121のドレイン側(電源供給側)を第1電位と第2電位とでスイッチング駆動を行なうものである限り、画素回路Pを構成するトランジスタ数は問わない。2TR構成であるか否かは不問でありトランジスタ数が3個以上であってもよく、それらの全てに、電源駆動パルスDSL を2値ではなく3値や4値で切り替える前述の本実施形態の各改善手法を適用して、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象の改善を図るという本実施形態の思想を適用することができる。
また、閾値補正動作を実行するに当たり、オフセット電位Vofs と信号電位Vinを駆動トランジスタ121のゲートに供給する仕組みとしては、前記実施形態の2TR構成のように映像信号Vsig で対処することに限らず、たとえば、特開2006−215213号公報に記載のように、別のトランジスタを介して供給する仕組みを採ることもでき、それらの変形例においても、電源駆動パルスDSL を2値ではなく3値や4値で切り替える前述の本実施形態の各改善手法を適用して、閾値補正動作間におけるソース電位Vs_121の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象の改善を図るという本実施形態の思想を適用することができる。
また、閾値補正動作を複数回に亘って行なう分割閾値補正処理や、各回の閾値補正動作時や閾値補正動作間のドレイン電圧Vd_121を発光期間のドレイン電圧Vd_121(=第1電位Vcc)と異なる値にする前記実施形態の考え方は、原理的には、特開2006−215213号公報に記載の仕組みにも適用できる。ただし、特開2006−215213号公報に記載の閾値補正処理では、1回当たりの閾値補正時間を十分にとることができるので、2TR構成や2TR構成をベースとした各種変形例と比べると、そのニーズは低いと言える。
本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図である。 本実施形態の画素回路に対する第1比較例を示す図である。 本実施形態の画素回路に対する第2比較例を示す図である。 有機EL素子や駆動トランジスタの動作点を説明する図である。 有機EL素子や駆動トランジスタの特性ばらつきが駆動電流に与える影響を説明する図である。 本実施形態の画素回路に対する第4比較例を示す図である。 図5に示した第3比較例の画素回路に関する第3比較例の駆動タイミングの基本例を説明するタイミングチャートである。 分割閾値補正処理の問題点を説明する図である。 閾値補正動作間の駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の基本原理を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第1実施形態を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第2実施形態(第1例)を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第2実施形態(第2例)を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第3実施形態(第1例)を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第3実施形態(第2例)を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第4実施形態(第1例)を説明する図である。 閾値補正動作間における駆動トランジスタのソース電位の上昇を起因とする閾値補正の破綻現象を解消する手法の第4実施形態(第2例)を説明する図である。
符号の説明
1…有機EL表示装置、100…表示パネル部、101…基板、102…画素アレイ部、103…垂直駆動部、104…書込走査部、105…駆動走査部、106…水平駆動部、109…制御部、120…保持容量、121…駆動トランジスタ、122…発光制御トランジスタ、125…サンプリングトランジスタ、127…有機EL素子(電気光学素子の一例)、200…駆動信号生成部、300…映像信号処理部、Cel…寄生容量、P…画素回路

Claims (7)

  1. 駆動電流を生成する駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの出力端に接続された電気光学素子、映像信号の信号振幅に応じた情報を保持する保持容量、および前記信号振幅に応じた情報を前記保持容量に書き込むサンプリングトランジスタを具備する画素回路が行列状に配置されている画素アレイ部と、
    前記画素回路を垂直走査するための垂直走査パルスを生成する垂直走査部と、
    前記垂直走査部での前記垂直走査に合わせて映像信号を前記画素回路に供給する水平走査部と、
    前記駆動電流を一定に維持する駆動信号一定化回路と、
    を備え、
    前記駆動信号一定化回路は、前記垂直走査部および水平走査部の制御の元で、所定の大きさの電源電圧が前記駆動トランジスタの前記電源供給端に供給され電流が流れる状態でかつ所定の大きさの基準電位が前記サンプリングトランジスタの入力端に供給されるようにして前記サンプリングトランジスタを導通させることで前記駆動トランジスタの閾値電圧に対応する電圧を前記保持容量に保持させる閾値補正機能を実現するように構成されており、さらに、
    1水平走査期間を1処理サイクルとして、前記駆動トランジスタに電流が流れる状態のままで閾値補正動作を複数回に亘って行なうとともに、各回の閾値補正動作時や各回の閾値補正動作の間の間隔期間の少なくとも1回は、前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を、前記電気光学素子の発光期間に前記駆動電流を前記電気光学素子に流すために使用される第1電位と異なり、かつ、間隔期間では閾値補正動作時よりも前記電源電圧が小さくなるように設定する
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 前記駆動信号一定化回路は、各回の閾値補正動作時の前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位に設定し、前記間隔期間の少なくとも1回は前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位と各画素回路の前記電気光学素子の共通電位との間の電位に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記駆動信号一定化回路は、閾値補正動作時の少なくとも1回は前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位よりも大きな電位に設定し、前記間隔期間の前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記駆動信号一定化回路は、前記閾値補正動作後の前記間隔期間は前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位と各画素回路の前記電気光学素子の共通電位との間の電位に設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
  5. 前記駆動信号一定化回路は、閾値補正動作時の少なくとも1回は前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位と各画素回路の前記電気光学素子の共通電位との間の電位に設定し、当該閾値補正動作後の前記間隔期間は前記駆動トランジスタの電源供給端の電位を前記第1電位と各画素回路の前記電気光学素子の共通電位との間の電位に設定し、かつ、
    前記閾値補正動作時の前記共通電位との間の電位の方が前記間隔期間の前記共通電位との間の電位よりも大きく設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記駆動信号一定化回路は、前記共通電位との間の電位を、前記第1電位よりも小さく、かつ、閾値補正終了時の前記駆動トランジスタの前記電気光学素子側の電圧と、前記画素アレイ部内の各駆動トランジスタの閾値電圧の最小値の和よりも大きく設定する
    ことを特徴とする請求項2,4,5の内の何れか1項に記載の表示装置。
  7. 前記垂直走査部は、前記画素回路を垂直走査して前記保持容量に前記信号振幅に応じた情報を書き込むための書込走査パルスを前記サンプリングトランジスタの制御入力端に供給する書込走査部と、前記駆動電流を前記電気光学素子に流すために使用される第1電位および前記第1電位とは異なる第2電位を切り替えて前記駆動トランジスタの電源供給端に供給する駆動走査部とを有し、
    前記水平走査部は、基準電位と信号電位で切り替わる映像信号を前記サンプリングトランジスタに供給するものであり、
    前記駆動信号一定化回路は、前記書込走査部、前記水平駆動部、および前記駆動走査部の制御の元で、前記第1電位に対応する電圧が前記駆動トランジスタの前記電源供給端に供給されかつ映像信号における基準電位の時間帯に前記サンプリングトランジスタを導通させることにより、前記駆動トランジスタの閾値電圧に対応する電圧を前記保持容量に保持させる閾値補正機能を実現するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
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