以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本実施の形態の貯湯式給湯装置10の模式図である。
同図の貯湯式給湯装置10は、需要家に湯を給湯する装置であり、運転計画装置100と給湯部200とを備えている。
運転計画装置100は、需要家が必要な湯を当該需要家に給湯するために、貯湯式給湯装置10の最適な運転パターンを決定する装置である。また、運転計画装置100は、決定した運転パターンに従って需要家に湯を給湯するように、給湯部200に運転指令を行う。
給湯部200は、運転計画装置100からの運転指令に従って、供給された水を湯に沸き上げて、需要家に湯を給湯する装置である。この給湯部200は、貯湯タンク201とヒートポンプ202とを備えている。
貯湯タンク201は、水が供給されるとともに、ヒートポンプ202で沸き上げられた湯を貯湯し、需要家に湯を給湯する。ここで、貯湯タンク201の下部には、配管203および配管204が備えられ、貯湯タンク201の上部には、配管205および配管206が備えられている。
つまり、貯湯タンク201は、貯湯タンク201の下部の配管203から水を取得し、下部の配管204からヒートポンプ202に水を供給する。そして、貯湯タンク201は、貯湯タンク201の上部の配管205からヒートポンプ202によって沸き上げられた湯を取得し、上部の配管206から需要家の給湯水栓等へ給湯を行う。本実施の形態の貯湯式給湯装置10では、貯湯タンク201の容量は400Lである。
貯湯タンク201内の温度分布は、タンク上部から沸き上げられた湯が入り、下部から水を取得するため、通常、上部側が高温で、下部側が低温となっている。また、貯湯タンク201内には温度センサが設置されており、設置位置の温度情報を計測する。本実施の形態では、タンクの最上部からタンク最下部まで50L毎に温度センサが設置されている。
ヒートポンプ202は、運転計画装置100から取得した運転指令に従って、貯湯タンク201から取得した水を沸き上げる。本実施の貯湯式給湯装置では、沸き上げ温度を60度から90度まで10度刻みで設定可能で、1時間に4000kcalの熱量を沸き上げることができる。
また、給湯部200は、外気温を測定する温度計(図示せず)も備えている。
図2は、本実施の形態の運転計画装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
この運転計画装置100は、需要家に湯を給湯するために、貯湯式給湯装置10の最適な運転パターンを決定する等の処理を行なうコンピュータである。この運転計画装置100は、演算制御部101、表示部102、入力部103、メモリ部104、プログラム格納部110及びデータベース部120を備えている。
演算制御部101は、CPU(Central Processing Unit)や数値プロセッサ等であり、オペレータからの指示等に従って、プログラム格納部110からメモリ部104に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成要素102〜120を制御する。
表示部102はCRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等であり、入力部103はボタンやタッチパネル等であり、これらは、演算制御部101による制御の下で、運転計画装置100とオペレータとが対話する等のために用いられる。
プログラム格納部110は、運転計画装置100の機能を実現する各種プログラムを記憶している不揮発性メモリ等である。プログラム格納部110に記憶されているプログラムは、貯湯式給湯装置10の最適な運転パターンを決定する等のプログラムであり、機能的に(演算制御部101によって実行された場合に機能する処理部として)、蓄積部111、予測負荷算出部112、予測温度算出部113、温度分布算出部114、演算部115、運転パターン蓄積部116、最適運転パターン特定部117、及び運転指令部118を備えている。
データベース部120は、この運転計画装置100による運転方法の決定処理等に用いられるデータ等を記憶する不揮発性メモリ等である。データベース部120は、蓄積データ121、予測温度データ122、タンク内温度分布データ123、初期運転パターンデータ124、機器効率比率データ125、初期運転結果データ126、予測運転結果データ127、最適運転結果データ128等を記憶している。
図3は、プログラム格納部110に記憶されているプログラムの機能を説明する図である。
蓄積部111は、所定期間毎の需要家の給湯で使用された給湯負荷と日時とを含む負荷データ121aと、貯湯タンク201の周囲の所定期間ごとの外気温と貯湯タンク201に供給される水の所定期間ごとの水温とを含む温度データ121bとを蓄積する処理部である。
図4は、負荷データ121a及び温度データ121bが蓄積された蓄積データ121の一例を示す図である。
同図に示すように、蓄積データ121は、日時、給湯負荷、外気温、及び水温などからなる。日時は、需要家が給湯で湯を使用した日時であり、給湯負荷は、当該日時における給湯部200で計測された需要家の給湯負荷であり、外気温は、当該日時における図1に示す貯湯タンク201の周囲の外気の温度であり、水温は、当該日時における貯湯タンク201に供給される水温である。
本実施の形態では、蓄積部111は、給湯負荷と外気温と水温とを、それぞれ所定の期間毎の負荷データ121a、外気温データ121c、水温データ121dとして取得する。そして、蓄積部111は、負荷データ121aと、外気温データ121c及び水温データ121dからなる温度データ121bとを、蓄積データ121に蓄積する。本実施の形態では、蓄積部111は、負荷データ121aと温度データ121bとを、蓄積データ121に1時間毎のデータとして7日分蓄積する。
図3に戻り、予測負荷算出部112は、蓄積データ121に蓄積された負荷データ121aから、予測の対象になる日時に発生すると予測される給湯負荷の最大値である予測負荷を算出する処理部である。具体的には、過去の給湯負荷の1日積算値の平均と標準偏差を算出し、平均に標準偏差の3倍を加算した値を予測負荷として算出する。本実施の形態では、まず、予測負荷算出部112は、蓄積部111から負荷データ121aを読み出す。次に、予測負荷算出部112は、過去の各日の23時からの24時間に各時刻に発生した給湯負荷の1日積算値を算出し、各日の給湯負荷の1日積算値の平均と標準偏差を算出し、平均に標準偏差の3倍を加算した値を予測負荷として算出する。
予測温度算出部113は、温度データ121bを記憶した日時と予測の対象となる日時との類似性をとることによって、予測の対象になる日時での外気温と水温との予測値である予測外気温と予測水温とを含む予測温度データ122を算出する処理部である。
図5は、予測温度データ122の一例を示す図である。
同図に示すように、予測温度データ122は、時刻、予測外気温、及び予測水温などからなる。時刻は、予測の対象となる日の各時刻であり、予測外気温は、当該日時における貯湯タンク201の周囲の外気の温度の予測値であり、予測水温は、当該日時における貯湯タンク201に供給される水温の予測値である。
具体的には、予測温度算出部113は、蓄積部111が同じ時間帯に蓄積した7日分の温度の平均値を、予測対象の日の同じ時間帯の予測温度として算出する。本実施の形態では、まず、予測温度算出部113は、蓄積部111から外気温データ121cと水温データ121dとを読み出す。そして、予測温度算出部113は、各時刻でのこれらのデータの平均値から、予測の対象となる日の23時からの24時間の各時刻に予測される予測外気温データ122aと、予測水温データ122bとを算出することで、予測温度データ122を算出する。
図3に戻り、温度分布算出部114は、貯湯タンク201内の温度センサ情報と、貯湯タンク201の入出流量と温度から、貯湯タンク201内の温度分布を算出する処理部である。
図6は、タンク内温度分布データ123の一例を示す図である。
図7は、タンク内温度分布データ123の温度と位置の関係を説明する図である。
図6に示すように、タンク内温度分布データ123は、温度、及び位置などからなる。温度は、貯湯タンク201内の温度であり、0度から90度までの範囲で1度刻みで定められている。また、位置は、図7に示すように、当該温度になっている貯湯タンク201の上端部からの位置であり、具体的には貯湯タンク201の上端部から当該温度になる部分までの貯湯量を示している。
本実施の形態では、温度分布算出部114は、給湯部200から貯湯タンク201内の温度センサTcの情報である温度センサ情報と、ヒートポンプ202から貯湯タンク201への流量と温度である入湯流量と入湯温度と、貯湯タンク201から出湯された流量である出湯流量を取得する。これにより、温度分布算出部114は、温度センサ情報のある箇所以外のタンク全体の温度分布を推定した値であるタンク内温度分布データ123を、温度センサ情報を用いることで1分毎に更新する。
また、温度分布算出部114は、出湯流量が発生した場合には、全ての温度に対して位置を1分間の出湯流量分減算することで、出湯された貯湯タンク201内のタンク内温度分布データ123を算出し、更新する。ここで、温度分布算出部114は、減算した位置の値が負になった温度は、全て出湯されたとみなし、位置を「0L」とする。さらに、温度分布算出部114は、貯湯タンク201最下部から1分間の出湯流量分の範囲は全て水が入ったとみなし、水温の位置を貯湯タンク201の最下部とする。
また、温度分布算出部114は、入湯流量が発生した場合には、全ての温度に対して位置を1分間の入湯流量分加算することで入湯された貯湯タンク201内のタンク内温度分布データ123を算出し、更新する。ここで、温度分布算出部114は、加算した位置の値がタンク最下部を越えた温度は、全てヒートポンプ202で沸き上げされたとみなし位置を「なし」とする。さらに、温度分布算出部114は、タンク上部から1分間の入湯流量分の範囲は全て沸き上げされた湯が入ったとみなし、沸き上げ温度の位置を入湯流量とする。
また、温度分布算出部114は、温度センサ情報のうちどれか1つでも1分前と比較して1度単位で変化した場合には、その温度の位置が、変化した温度センサTcの位置と同一であるとしてタンク内温度分布データ123を算出し、更新する。
温度分布算出部114は、上記の一連の処理により、温度センサ情報のある箇所以外のタンク全体の温度分布を推定した値も含めたタンク内温度分布データ123を算出し、更新する。
図3に戻り、運転パターン蓄積部116は、需要家に給湯するための運転パターンと、運転パターンごとでの需要家に給湯するために使用される電力量の予測値である予測電力量と予測電力量のうち電気料金単価が割安な割安時間帯に使用される電力量の割合である割安電力割合とを蓄積する。
ここで、運転パターンとは、割安時間帯に沸き上げ温度の湯を沸き上げるとともに湯を貯湯タンク201に供給することで、貯湯タンク201内の湯の温度が沸き上げ停止温度になった場合に湯の沸き上げを停止し、割安時間帯よりも電気料金単価が高い不足沸き上げ時間の間に不足する湯を沸き上げる運転パターンである。
また、ここでは、電気料金単価が割安な割安時間帯は、深夜料金となる時間帯である。したがって、以下では、割安時間帯を深夜料金帯、割安電力割合を深夜電力割合といい、割安時間帯に湯を沸き上げるために必要な熱量である割安沸き上げ熱量を、深夜沸き上げ熱量という。
演算部115は、運転パターン蓄積部116に蓄積された全ての運転パターンごとでの予測電力量及び深夜電力割合と比べて、予測電力量が低いか深夜電力割合が高い運転パターンを運転パターン蓄積部116に追加するとともに、追加後の運転パターン蓄積部116に蓄積された運転パターンそれぞれでの予測電力量から予測される予測料金を取得する。
本実施の形態では、演算部115は、まず、予測負荷算出部112が算出した予測負荷を取得する。そして、演算部115は、予測温度算出部113が算出した予測温度データ122の予測外気温データ122aと予測水温データ122bとから、予測外気温と予測水温とを取得する。また、演算部115は、温度分布算出部114が算出したタンク内温度分布データ123から、タンク内温度分布を取得する。また、演算部115は、運転パターン追加部115aと予測運転結果算出部115bとを備え、取得した各情報に基づいて予測電力量及び予測料金を算出する。
運転パターン追加部115aは、運転パターン蓄積部116に蓄積される運転パターンを追加する処理部である。運転パターン追加部115aは、予測負荷に対して湯切れが起こらない運転パターンのうち、最適運転パターンとなる可能性のある運転パターンを運転パターン蓄積部116に追加する。
本実施の形態では、運転パターン追加部115aは、まず、初期の運転パターンとして、各沸き上げ温度で最も深夜に多く蓄熱できる運転パターンである初期運転パターンデータ124を算出する。
図8は、初期運転パターンデータ124の一例を示す図である。
初期運転パターンデータ124は、各沸き上げ温度で最も深夜に多く蓄熱できる初期の運転パターンである初期運転パターンの集まりである。同図に示すように、初期運転パターンデータ124は、沸き上げ温度、沸き上げ停止温度、深夜沸き上げ熱量、及び不足沸き上げ時間などからなる。沸き上げ温度は、深夜料金帯に湯を沸き上げる温度であり、沸き上げ停止温度は、深夜料金帯に湯の沸き上げを停止するときの貯湯タンク201内の湯の温度である。また、深夜沸き上げ熱量は、深夜料金帯に湯を沸き上げるために必要な熱量である。また、不足沸き上げ時間は、夕方料金帯に不足する湯を沸き上げるのに必要な時間である。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターン蓄積部116に蓄積された運転パターンごとでの予測電力量及び深夜電力割合と比べて、予測電力量が低いか深夜電力割合が高い運転パターンを、運転パターン蓄積部116の予測運転結果データ127に追加する。
図11は、予測運転結果データ127の一例を示す図である。
同図に示すように、予測運転結果データ127は、運転パターン及び予測運転結果などからなる。運転パターンは、運転パターンの番号、沸き上げ温度、沸き上げ停止温度、深夜沸き上げ熱量、及び不足沸き上げ時間などからなる。予測運転結果は、予測電力量、予測料金、及び深夜電力割合などからなる。
図3に戻り、予測運転結果算出部115bは、運転パターンごとに、沸き上げ温度と沸き上げ停止温度と不足沸き上げ時間とから、予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出する処理部である。
本実施の形態では、予測運転結果算出部115bは、まず、初期運転パターンデータ124から運転パターンを取得する。次に、取得された運転パターンで運転を行った場合の電力量と料金を、深夜の運転と深夜の運転で不足した熱量の運転とに分けて算出し、積算することで予測電力量と予測料金とを算出する。また、予測運転結果算出部115bは、予測電力量に対する深夜の電力量の割合である深夜電力割合を算出する。
具体的には、予測運転結果算出部115bは、図8に示された初期運転パターンデータ124について、予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出し、初期運転結果データ126を更新する。
図10は、初期運転結果データ126の一例を示す図である。
同図に示すように、初期運転結果データ126は、初期運転パターン及び予測運転結果などからなる。初期運転パターンは、初期運転パターンデータ124の初期運転パターンである。予測運転結果は、初期運転パターンから算出された予測電力量と深夜電力割合と予測料金である。
また、同様に、予測運転結果算出部115bは、図11に示された予測運転結果データ127から運転パターンを取得し、予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出する。
また、さらに具体的には、予測運転結果算出部115bは、機器効率比率データ125を用いて、予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出する。
図9A〜図9Cは、機器効率比率データ125の一例を示す図である。
機器効率比率データ125は、外気温機器効率比率データ125a、水温機器効率比率データ125b、及び沸き上げ温度機器効率比率データ125cからなる。
図9Aは、外気温によるヒートポンプ202のエネルギー効率の比率を示す外気温機器効率比率データ125aの一例を示す図である。同図に示すように、外気温機器効率比率データ125aは、外気温、及び外気温に対するヒートポンプ202のエネルギー効率である外気温機器効率比率などからなる。
図9Bは、水温によるヒートポンプ202のエネルギー効率の比率を示す水温機器効率比率データ125bの一例を示す図である。同図に示すように、水温機器効率比率データ125bは、水温、及び水温に対するヒートポンプ202のエネルギー効率である水温機器効率比率などからなる。
図9Cは、沸き上げ温度によるヒートポンプ202のエネルギー効率の比率を示す沸き上げ温度機器効率比率データ125cの一例を示す図である。同図に示すように、沸き上げ温度機器効率比率データ125cは、沸き上げ温度、及び沸き上げ温度に対するヒートポンプ202のエネルギー効率である沸き上げ温度機器効率比率などからなる。
図3に戻り、最適運転パターン特定部117は、運転パターン蓄積部116に蓄積された運転パターンそれぞれでの予測料金ごとに、予測料金が低いほど高い評価を示す指数から運転評価値を算出することによって、運転評価値が最大の運転パターンを最適運転パターンとして特定する。最適運転パターン特定部117は、さらに、運転パターン蓄積部116に蓄積された運転パターンのそれぞれに対応する予測電力量及び予測料金毎に、予測料金が低いほど、かつ予測電力量が低いほど、高い評価を示す運転評価値を算出することによって、運転評価値が最大となる最適運転パターンを特定する。
本実施の形態では、まず、最適運転パターン特定部117は、演算部115から予測電力量及び予測料金を取得する。さらに、最適運転パターン特定部117は、入力部103から希望する給湯装置の消費電力量と料金との関係を示す運転評価方法を取得する。そして、最適運転パターン特定部117は、運転評価方法に対して運転評価値を算出し、運転評価値が最大となる運転である最適運転パターンを特定する。
具体的には、最適運転パターン特定部117は、予測料金が低いほど値が大きくなる料金指数と、予測電力量が低いほど値が大きくなる電力量指数とを算出し、和が一定値となるように定められた料金係数と電力量係数とをそれぞれに乗じて加えることで得られる値を運転評価値として算出した最適運転結果データ128から、最適運転パターンを特定する。
図12は、最適運転結果データ128の一例を示す図である。
同図に示すように、最適運転結果データ128は、運転パターン、予測料金、料金指数、予測電力量、電力量指数、及び運転評価値などからなる。また、運転評価値は、料金係数と電力量係数とから算出され、運転評価値が最大の運転パターンが、最適運転パターンとして特定される。
図3に戻り、運転指令部118は、特定された最適運転パターンに従って、需要家に給湯するために貯湯タンク201に湯を貯めるように、湯を沸き上げる沸き上げ指令を行う。つまり、運転指令部118は、貯湯タンク201に貯湯されている湯の温度から、最適運転パターンに従って、湯を沸き上げる温度の指令と沸き上げる運転の開始または停止の指令とを給湯部200に行う。具体的には、運転指令部118は、最適運転結果データ128から最適運転パターンを、給湯部200から温度センサ情報を取得する。そして、運転指令部118は、取得した温度センサ情報と現在の時刻の関係が、最適運転パターンに従った所定の値に達した時点で、給湯部200に運転の「開始」または「停止」の指令と、給湯部200が沸き上げるお湯の温度である沸き上げ温度の指令とを、給湯部200に行う。
このように、給湯部200は、運転指令部118から沸き上げ指令を取得し、沸き上げ開始である場合には、沸き上げ温度により沸き上げを行い、沸き上げ停止である場合には運転を行わない。以上の処理により、貯湯タンク201に蓄熱が行われ、給湯部200は、需要家の指示に従って需要家に給湯を行う。
以下、貯湯式給湯装置10における動作の一例についてフローチャートを用いて説明する。
図13〜図18は、本実施の形態における貯湯式給湯装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
前提として、貯湯式給湯装置10は、7日間以上運転を行っている。そして、蓄積部111は、1時間単位でその1時間に需要家で使用された給湯負荷と、外気温及び水温のそれぞれの1時間の平均値とを、それぞれ最後の7日間分の負荷データ121a、外気温データ121c及び水温データ121dとして、蓄積データ121に蓄積している。本実施の形態では、当日の23時から翌日の23時までを1日とみなす。
また、温度分布算出部114が1分毎にタンク内温度分布データ123を更新している。このため、演算部115は、タンク内温度分布データ123から、当日の23時の時点でタンク内の温度分布を取得可能である。
図13に示すように、まず、予測負荷算出部112は翌日24時間の給湯負荷を予測する(S102)。具体的には、まず、予測負荷算出部112は、蓄積部111から、過去7日間の1時間単位の給湯負荷である負荷データ121aを取得する。次に、予測負荷算出部112は、負荷データ121aの各日の24時間の給湯負荷を積算し、1日積算値を7日分算出する。次に、予測負荷算出部112は、7日分のデータの平均値と標準偏差とを算出する。予測負荷は以下の式1で算出される。
これは、家庭の給湯負荷の1日積算値が正規分布すると仮定した場合に、予測負荷を越えた給湯負荷の1日積算値が起こる可能性が非常に低い値に相当するよう算出している。よって、予測負荷は当日に発生すると予測される給湯負荷の最大値に相当する。
次に、予測温度算出部113は、翌日24時間の外気温及び水温を予測する(S104)。具体的には、まず、予測温度算出部113は、蓄積部111の蓄積データ121から過去7日間の1時間単位の外気温及び水温の平均値である外気温データ121c及び水温データ121dを取得する。そして、予測温度算出部113は、外気温データ121cのうち、23時の外気温の値の7日間の平均値を算出し、23時の予測外気温とする。ここで、23時の値とは、23時〜翌0時までの平均値を意味する(以下、同様)。また、予測温度算出部113は、翌0時から翌22時までの各時間に対しても同様の処理を行い、予測外気温を算出する。また、予測温度算出部113は、水温に対しても、同じ時刻の水温の値7日間の平均値を算出し、予測水温を算出する。このようにして、予測温度算出部113は、予測外気温データ122a及び予測水温データ122bを含む予測温度データ122を算出する。
次に、運転パターン蓄積部116は、運転パターンと予測運転結果とを予測運転結果データ127に蓄積する(S106)。演算部115は、運転パターン蓄積部116に運転パターンを追加し、予測運転結果を算出する。これにより、運転パターン蓄積部116は、追加された運転パターンと算出された予測運転結果とを予測運転結果データ127に蓄積する。運転パターン蓄積部116が予測運転結果データ127に蓄積する処理(S106)の詳細については、後述する。
ここで、運転パターンは、沸き上げ温度、沸き上げ停止温度、深夜沸き上げ熱量、及び不足沸き上げ時間の4つの値で構成される。沸き上げ温度は、翌日1日固定の値で、ヒートポンプ202で沸き上げる温度である。また、沸き上げ停止温度は、深夜料金帯の開始時刻である23時から沸き上げ温度で沸き上げた場合に、温度センサ情報のうち、貯湯タンク201最下部の温度がこの値になった時に沸き上げを停止する温度であり、40度以上の値が5度刻みで設定される。また、深夜沸き上げ熱量は、深夜沸き上げでヒートポンプ202が沸き上げる熱量である。
また、不足沸き上げ時間は、予測負荷に対して深夜料金帯での沸き上げで湯切れが起こる場合に、深夜料金帯での沸き上げからの不足分を夕方料金帯で沸き上げることが可能な合計時間である。
深夜料金帯での沸き上げからの不足分については、夕方料金帯で所定の位置の温度センサ情報が所定の値になった場合に、運転パターンにおける沸き上げ温度で沸き上げが開始される。また、所定の位置の温度センサ情報が所定の値となった場合、もしくは夕方料金帯での沸き上げの合計時間が不足沸き上げ時間を超過した場合に沸き上げが停止する。
本実施の形態では、貯湯タンク201のタンク上部から300Lの位置の温度が水温となった場合に沸き上げが開始され、タンク最下部(タンク上部から400L)の位置の温度が水温以上となった場合に沸き上げが停止される。これにより、貯湯タンク201内は上部ほど高温なため、深夜料金帯での沸き上げからの不足分の沸き上げを行う際にヒートポンプ202への入水の温度は水温と同一となる。
次に、最適運転パターン特定部117は、最適運転パターンを特定する(S108)。最適運転パターン特定部117は、運転評価方法に従って運転評価値を算出し、運転評価値が最大となる運転パターンである最適運転パターンを算出する。まず、最適運転パターン特定部117は、予測運転結果データ127から運転パターンごとの予測電力量と予測料金とを取得する。また、最適運転パターン特定部117は、入力部103などを介して、需要家が希望する貯湯式給湯装置10の消費電力量と電力合計料金との関係である運転評価方法を取得する。次に、最適運転パターン特定部117は、料金指数、電力量指数を算出する。
まず、最適運転パターン特定部117は、予測運転結果データ127のうち全ての運転パターンの予測料金の中から、最小の予測料金と最大の予測料金とを取得する。そして、最適運転パターン特定部117は、最小の予測料金の料金指数を100、最大の予測料金の料金指数を0として分布させた場合の、各予測料金の料金指数を全ての予測料金に対して算出する。
また、最適運転パターン特定部117は、予測運転結果データ127のうち全ての運転パターンの予測電力量の中から、最小の予測電力量と最大の予測電力量とを取得する。そして、最適運転パターン特定部117は、最小の予測電力量の電力量指数を100、最大の予測電力量の電力量指数を0として分布させた場合の、各予測電力量の電力量指数を全ての予測電力量に対して算出する。
次に、最適運転パターン特定部117は、各運転評価方法に対して運転評価値を算出する。運転評価方法は、リモコンなどから入力部103を介して需要家が直接入力した値、もしくは固定であらかじめ入力されている値であり、[料金係数:電力量係数]の2つの値により構成される。料金係数と電力量係数とは、和が1となるように、0〜1の範囲で設定される。この運転評価方法に基づき、以下の式2で運転評価値が算出される。
ここで、運転評価値は0〜100の範囲の値であり、全ての予測運転結果データ127の運転パターンに対して算出される。
そして、最適運転パターン特定部117は、算出された運転評価値が最大となる運転パターンを最適運転パターンとして特定する。
具体的には、図12に示したように、最適運転パターン特定部117は、予測料金から料金指数を、予測電力量から電力量指数を求め、式2に従って運転評価値を求めている。ここでは、運転評価方法として[1.0:0.0]、[0.8:0.2]、[0.5:0.5]、[0.2:0.8]、[0.0:1.0]とした。この結果、運転評価値が最大となる運転パターンは、順に1,2,8,13,16と異なる結果となり、例えば運転評価方法が[1.0:0.0]の場合、最適運転パターン特定部117は、運転パターン1を最適運転パターンとして特定する。
以上のように、運転評価方法を指定することで、料金を重視するか、電力量を重視するかを指定することが可能となり、それに応じて、最適運転パターンも異なる結果を得ることができる。すなわち、よりユーザの志向に合わせた運転を選択することが可能となる。
次に、運転指令部118は、最適運転パターン特定部117で特定された最適運転パターンに従い、運転指令を行う(S110)。まず、運転指令部118は、最適運転結果データ128から最適運転パターンを取得し、給湯部200から温度センサ情報を取得し、1分毎に沸き上げが必要かの判定を行う。
運転指令部118は、現在時刻の電力料金帯が深夜料金帯の場合には、温度センサ情報のタンク最下部の温度が最適運転パターンの沸き上げ停止温度以下である場合に、最適運転パターンの沸き上げ温度で「運転」の沸き上げ指令を行う。また、運転指令部118は、沸き上げ停止温度に達した時点で、「停止」の沸き上げ指令を行う。
また、運転指令部118は、現在時刻の電力料金帯が夕方料金帯の場合には、最適運転パターンの不足沸き上げ時間の間、「運転」の沸き上げ指令を行う。
以上の処理により、貯湯式給湯装置10の運転計画処理が終了する。
次に、運転パターン蓄積部116が運転パターンと予測運転結果とを予測運転結果データ127に蓄積する処理(図13のS106)を説明する。
図14は、運転パターン蓄積部116が予測運転結果データ127に蓄積する処理(図13のS106)の詳細を示すフローチャートである。
まず、演算部115は、運転初期情報を取得する(S202)。具体的には、演算部115は、予測負荷算出部112が算出した予測負荷を取得する。そして、演算部115は、予測温度算出部113が算出した予測温度データ122の予測外気温データ122aと予測水温データ122bとから予測外気温及び予測水温を取得する。また、演算部115は、温度分布算出部114が算出したタンク内温度分布データ123からタンク内温度分布を取得する。本実施の形態では、演算部115は、35,000kcalの予測負荷を取得し、残りの情報については図5及び図6に示されたような予測温度データ122及びタンク内温度分布データ123が取得されたものとして、以下説明する。
次に、運転パターン追加部115aは、初期運転パターンデータ124を算出する(S204)。具体的には、運転パターン追加部115aは、各沸き上げ温度で最も深夜電力割合が高くなる運転パターンを初期運転パターンとして算出することで、初期運転パターンデータ124を算出する。
次に、予測運転結果算出部115bは、初期運転パターンデータ124の初期運転パターンに対する予測運転結果を算出する(S206)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、初期運転パターンデータ124から初期運転パターンを取得し、予測電力量と予測料金と深夜電力割合とを算出する。そして、予測運転結果算出部115bは、初期運転結果データ126を更新する。
次に、運転パターン追加部115aは、運転結果算出の状態を初期化する(S208)。具体的には、運転パターン追加部115aは、予測運転結果データ127を初期化する。ここで、予測運転結果データ127が初期化された状態とは、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度90度の運転パターン(図11での予測運転結果データ127の運転パターン1)が追加されている状態である。
次に、全ての運転パターンについて、以下の処理(S212、S214)が行われる(S210、S216)。
まず、運転パターン追加部115aは、運転パターンを追加する(S212)。運転パターン蓄積部116は、追加された運転パターンを予測運転結果データ127に蓄積する。運転パターンの追加の処理(S212)の詳細については、後述する。
次に、予測運転結果算出部115bは、追加された運転パターンでの予測運転結果を算出する(S214)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、予測運転結果データ127から運転パターンを取得し、運転パターンに対する予測運転結果を算出する。この予測運転結果を算出する処理は、初期運転パターンに対する予測運転結果を算出する処理(S206)と同様である。運転パターン蓄積部116は、算出された運転パターンごとの予測運転結果を予測運転結果データ127に蓄積する。
そして、全ての運転パターンについて、運転パターン追加部115aが運転パターンを追加し(S212)、予測運転結果算出部115bが予測運転結果を算出して(S214)、運転パターン蓄積部116が予測運転結果データ127に蓄積すれば、運転パターン蓄積部116が予測運転結果データ127に蓄積する処理(図13のS106)が終了する(S210〜S216)。
具体的には、運転パターンの追加(S212)と各運転パターンでの予測運転結果の算出(S214)が繰り返され、運転パターンが沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度40度となるまで処理されると、運転パターン蓄積部116が予測運転結果データ127に蓄積する処理(図13のS106)が終了する。
次に、運転パターン追加部115aが初期運転パターンデータ124を算出する処理(図14のS204)を説明する。
図15は、初期運転パターンデータ124の算出の処理(図14のS204)の詳細を示すフローチャートである。
まず、運転パターン追加部115aは、沸き上げ温度毎の運転パターンの沸き上げ停止温度を算出する(S302)。運転パターン追加部115aは、60度、70度、80度、90度の各沸き上げ温度に対して同じ温度を沸き上げ停止温度として算出する。これは、各沸き上げ温度で深夜に最も多く蓄熱した運転パターンとなる。
次に、運転パターン追加部115aは、タンク内温度分布データ123から、沸き上げ停止温度に対する深夜沸き上げ流量を算出する(S304)。具体的には、運転パターン追加部115aは、タンク内温度分布データ123のタンク内温度分布から、タンク内の温度が沸き上げ停止温度と等しい位置からタンク最下部までの流量を深夜沸き上げ流量として算出する。例えば、タンク内温度分布が図6に示されたタンク内温度分布データ123の温度分布である場合、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンに対しては、タンク内温度分布の60度以下の流量である220Lが深夜沸き上げ流量として算出される。同様に、深夜沸き上げ流量は、沸き上げ温度70度、沸き上げ停止温度70度の運転パターンに対しては310L、沸き上げ温度80度、沸き上げ停止温度80度の運転パターンに対しては370L、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度90度の運転パターンに対しては400Lと算出される。
次に、運転パターン追加部115aは、各運転パターンでの深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量を算出する(S306)。各運転パターンでの深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量は以下の式3で算出される。
深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量は、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、60度以上の流量に相当する180L分の熱量を15,000kcalとすると、以下の式4で算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量が算出される。
次に、運転パターン追加部115aは、深夜沸き上げ熱量を算出する(S308)。具体的には、運転パターン追加部115aは、運転パターンの深夜沸き上げで深夜料金帯に沸き上げる熱量を深夜沸き上げ熱量として算出する。深夜沸き上げ熱量は以下の式5で算出される。
つまり、運転パターン追加部115aは、深夜沸き上げの開始時点の貯湯タンク201内熱量をタンク内温度分布から算出し、深夜沸き上げ開始時点のタンク内熱量と深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量との差から、深夜沸き上げ熱量を算出している。
本実施の形態では、タンク内温度分布の熱量は20,000kcalとする。深夜沸き上げ熱量は、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式6で算出される。
次に、運転パターン追加部115aは、各運転パターンに対して、深夜沸き上げで不足する熱量である不足熱量を算出する(S310)。不足熱量は以下の式7で算出される。
放熱係数は、昼間料金帯の最初の時刻から夕方料金帯の最初の時刻の間に放熱する貯湯タンク201のタンク内熱量の割合であり、予測外気温により算出される。本実施の形態では、タンク内熱量のうち10%が放熱されるとし、放熱係数を90%に相当する0.9とする。
不足熱量は、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式8で算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても不足熱量が算出される。
次に、運転パターン追加部115aは、不足沸き上げ時間を算出する(S312)。具体的には、運転パターン追加部115aは、不足熱量のうちヒートポンプ202で沸き上げる必要のある熱量を、ヒートポンプ202が1時間当たりに沸き上げる熱量である4,000kcalで除した値を不足沸き上げ時間として算出する。不足沸き上げ時間は以下の式9で算出される。ただし、不足沸き上げ時間が0以下となった場合には不足沸き上げ時間は0とする。
この式により、不足熱量のうち、ヒートポンプ202で沸き上げる必要のある熱量は、ヒートポンプ202への入水温の持っている熱量を除いたものであり、その熱量を沸き上げる時間を算出することができる。不足沸き上げの際にヒートポンプ202に入水する温度は、前述の通り水温と等しいので、予測水温のうち、不足沸き上げの動作する夕方料金帯の平均水温をヒートポンプ202に入水する温度とする。本実施の形態では、夕方料金帯平均水温を10度とする。
不足沸き上げ時間は、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式10で算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても不足沸き上げ時間が算出される。
この結果、運転パターンを構成する、沸き上げ温度、沸き上げ停止温度、不足沸き上げ時間が算出され、運転パターンが4つ算出される。これにより、図8に示されたような初期運転パターンデータ124が算出される。
以上の処理により、初期運転パターンデータ124の算出の処理(図14のS204)が終了する。
このようにして、運転パターン追加部115aは、沸き上げ温度と沸き上げ停止温度と予測負荷と予測外気温と予測水温とタンク内温度分布とから、不足沸き上げ時間を算出する。つまり、運転パターン追加部115aは、沸き上げ温度と沸き上げ停止温度とタンク内温度分布とから、深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量を算出し、予測外気温から放熱係数を算出する。そして、運転パターン追加部115aは、予測負荷から深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量と放熱係数とを乗じた値を減じて、不足熱量を算出する。そして、運転パターン追加部115aは、沸き上げ温度から予測水温を減じた値を沸き上げ温度で除して不足熱量を乗じた値から、不足沸き上げ時間を算出する。また、運転パターン追加部115aは、深夜沸き上げ停止時点のタンク内熱量から、タンク内温度分布を用いて算出されるタンク内温度分布の熱量を減ずることで、深夜沸き上げ熱量を算出する。
次に、予測運転結果算出部115bが予測運転結果を算出する処理(図14のS206、S214)を説明する。
図16は、予測運転結果の算出の処理(図14のS206、S214)の詳細を示すフローチャートである。
まず、予測運転結果算出部115bは、深夜平均入水温度を算出する(S402)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、深夜料金帯の沸き上げ時に想定される入水温度の平均値を深夜平均入水温度として算出する。深夜平均入水温度は、タンク内温度分布のうち、前述の深夜沸き上げ流量の部分の平均温度で算出される。
深夜平均入水温度は、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、深夜沸き上げ流量220Lのため、タンク内温度分布のタンク最下部から220Lまでの各温度と、その温度の流量を乗算し、全ての値を加算し、その値を220で除算した値で算出される。例えば、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、深夜平均入水温度は40度とする。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜平均入水温度が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、深夜沸き上げ効率を算出する(S404)。具体的には、深夜沸き上げ効率は、外気温機器効率比率データ125aの外気温機器効率比率、水温機器効率比率データ125bの水温機器効率比率、及び沸き上げ温度機器効率比率データ125cの沸き上げ温度機器効率比率から、以下の式11を用いて各運転パターン毎に算出される。
外気温機器効率比率は、同じ水温かつ同じ沸き上げ温度である場合の、外気温に対する機器効率を示す。つまり、同じ水温かつ同じ沸き上げ温度において定格を100%とした場合に、外気温機器効率比率は、外気温によって定格が何%になるかを示す。同様に、水温機器効率比率は、同じ外気温かつ同じ沸き上げ温度である場合の、水温に対する機器効率を示す。沸き上げ温度機器効率比率は、同じ外気温かつ同じ水温である場合の、沸き上げ温度に対する機器効率を示す。なお、外気温、水温及び沸き上げ温度が機器効率比率データ125にない値の場合は、按分値を利用する。
また、外気温機器効率比率を算出するための外気温は、深夜料金帯の平均気温であり、水温機器効率比率を算出するための水温は、各運転パターンの深夜平均入水温度であり、沸き上げ温度機器効率比率を算出するための沸き上げ温度は、各運転パターンの沸き上げ温度である。
具体的には、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、水温機器効率比率を算出するための水温は40度であり、沸き上げ温度機器効率を算出するための沸き上げ温度は60度である。例えば、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、深夜沸き上げ効率は、4.00とする。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜沸き上げ効率が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、深夜電力量を算出する(S406)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、深夜沸き上げ熱量を沸き上げるのに必要な電力量を深夜電力量として算出する。深夜電力量は以下の式12で算出される。
沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式13で深夜電力量が算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜電力量が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、不足沸き上げ効率を算出する(S408)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、不足沸き上げの状態に対して深夜沸き上げ効率の算出と同様の処理で算出した効率の値を不足沸き上げ効率として算出する。
沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、水温機器効率比率を算出するための水温は夕方料金帯の平均水温であり、沸き上げ温度機器効率比率を算出するための沸き上げ温度は60度である。例えば、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、不足沸き上げ効率は、5.00とする。
同様に、他の運転パターンに対しても不足沸き上げ効率が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、不足沸き上げ電力量を算出する(S410)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、不足沸き上げで沸き上げる熱量を沸き上げるのに必要な電力量を不足沸き上げ電力量として算出する。不足電力量は以下の式14で算出される。
不足沸き上げ時間にヒートポンプ202が1時間当たりに沸き上げる熱量を乗算することで、不足沸き上げで沸き上げる熱量が算出され、その値を不足沸き上げ効率で除算することで不足沸き上げ電力量が算出される。
沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式15で深夜電力量が算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜電力量が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、予測電力量を算出する(S412)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、深夜電力量と不足沸き上げ電力量の加算した値を予測電力量として算出する。沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式16で予測電力量が算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても予測電力量が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、予測料金を算出する(S414)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、深夜料金帯での沸き上げと夕方料金帯での不足沸き上げとで消費される電力量に必要な料金を予測料金として算出する。予測料金は、以下の式17で算出される。
本実施の形態では、深夜料金帯単価は0.007円/kcal、夕方料金帯単価は0.02円/kcalとすると、沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式18で予測料金が算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても予測料金が算出される。
次に、予測運転結果算出部115bは、深夜電力割合を算出する(S416)。具体的には、予測運転結果算出部115bは、予測電力量に対する深夜電力量の割合を深夜電力割合として算出する。沸き上げ温度60度、沸き上げ停止温度60度の運転パターンでは、以下の式19で予測料金が算出される。
同様に、他の運転パターンに対しても深夜電力割合が算出される。以上の一連の処理により、図10に示された初期運転結果データ126及び図11に示された予測運転結果データ127の予測運転結果が算出される。
以上の処理により、予測運転結果の算出の処理(図14のS206、S214)が終了する。
このようにして、予測運転結果算出部115bは、深夜沸き上げ熱量と不足沸き上げ時間とから、予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出する。つまり、予測運転結果算出部115bは、深夜沸き上げ熱量を深夜沸き上げ効率で除することで深夜電力量を算出する。そして、予測運転結果算出部115bは、不足沸き上げ時間を不足沸き上げ効率で除した値から、不足沸き上げ電力量を算出する。そして、予測運転結果算出部115bは、深夜電力量に不足沸き上げ電力量を加算して、予測電力量を算出する。また、予測運転結果算出部115bは、深夜電力量及び不足沸き上げ電力量のそれぞれに深夜料金帯単価及び夕方料金帯単価を乗じた値を加算して、予測料金を算出する。また、予測運転結果算出部115bは、深夜電力量を予測電力量で除して深夜電力割合を算出する。
次に、運転パターン追加部115aが運転パターンを追加する処理(図14のS212)を説明する。
図17は、運転パターンの追加の処理(図14のS212)の詳細を示すフローチャートである。
まず、運転パターン追加部115aは、予測運転結果データ127から、予測電力量と深夜電力割合とを取得し、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下か否かを判定する(S502)。深夜比較電力割合は、予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンに含まれる沸き上げ温度のうち、最小の値のものの、さらに1段階下の沸き上げ温度の初期運転パターンでの予測運転結果の深夜電力割合である。
運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下であると判定した場合(S502でYES)には、当該最小の沸き上げ温度よりも1段階下の沸き上げ温度の運転パターンを追加する(S504)。また、運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下でないと判定した場合(S502でNO)には、予測運転結果データ127に蓄積された運転パターンに沸き上げ温度が複数あるか否かを判定する(S506)。
現在、予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンは、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度90度の運転パターン1であるとする。この場合、沸き上げ温度80度の初期運転パターンの予測運転結果の深夜電力割合である0.8が比較深夜電力割合となる。
沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度90度の運転パターン1での深夜電力割合は、初期運転結果データ126から0.95であるため、運転パターン追加部115aは、深夜電力割合は比較深夜電力割合以下ではないと判定し(S502でNO)、次の処理(S506)が行われる。
次に、運転パターン追加部115aは、予測運転結果データ127に蓄積された運転パターンに沸き上げ温度が複数あるか否かを判定する(S506)。運転パターン追加部115aは、運転パターンに沸き上げ温度が複数あると判定した場合(S506でYES)には、運転パターンの中で高い沸き上げ温度の予測電力量が低い沸き上げ温度の予測電力量以上か否かを判定する(S508)。また、運転パターン追加部115aは、運転パターンに沸き上げ温度が複数ないと判定した場合(S508でNO)には、運転パターンの各沸き上げ温度の沸き上げ停止温度を1段階減少させる(S512)。
現在、予測運転結果データ127に蓄積された運転パターンは、沸き上げ温度90度のみのため、運転パターン追加部115aは、沸き上げ温度が複数ないと判定し(S506でNO)、次の処理(S512)が行われる。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターンの各沸き上げ温度の沸き上げ停止温度を1段階減少させた運転パターンを、予測運転結果データ127に追加する(S512)。沸き上げ停止温度は前述の通り、40度以上の5度刻みである。
現在、予測運転結果データ127に蓄積された運転パターンは、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度90度の運転パターン1のため、本処理により、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度85度の運転パターンが予測運転結果データ127に追加される。
次に、運転パターン追加部115aは、不足沸き上げ時間を算出する(S514)。具体的には、運転パターン追加部115aは、運転パターンの各沸き上げ温度及び沸き上げ停止温度の組み合わせに対して、湯切れが起こらない不足沸き上げ時間を算出する。不足沸き上げ時間の算出の処理(S514)の詳細については、後述する。
ここで、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度85度の運転パターンに対して、不足沸き上げ時間が0.3、深夜沸き上げ熱量が15,500kcalと算出されたとする。
以上の処理により、運転パターン追加部115aは、運転パターン蓄積部116に運転パターン2を追加することで、予測運転結果データ127に運転パターン2が蓄積される。
以上のようにして、運転パターン追加部115aは、所定の沸き上げ温度と異なる沸き上げ温度で沸き上げて所定の沸き上げ停止温度で沸き上げを停止する運転パターンでの深夜電力割合を比較深夜電力割合とし、所定の沸き上げ温度で沸き上げる運転パターンのうち深夜電力割合が比較深夜電力割合よりも大きい沸き上げ停止温度の運転パターンを運転パターン蓄積部116に追加する。
次に、予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンは、図11に示された予測運転結果データ127の運転パターン1〜4であるとする。この場合、比較深夜電力割合は0.8である。運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下か否かを判定する(S502)。
ここで、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度75度の運転パターン4の深夜電力割合は0.79である。比較深夜電力割合は0.8であるため、運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較電力割合以下であると判定する(S502のYES)。
次に、運転パターン追加部115aは、現在の最小の沸き上げ温度よりも1段階下の沸き上げ温度の運転パターンを追加する(S504)。具体的には、運転パターン追加部115aは、予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンの各沸き上げ温度のうち最小値を算出し、その1段階下の沸き上げ温度及び沸き上げ停止温度が沸き上げ温度と等しい運転パターンを予測運転結果データ127に追加する。
現在の運転パターンの沸き上げ温度の最小値は90度で、前述の通り沸き上げ温度は10度刻みのため、沸き上げ温度80度、沸き上げ停止温度80度の運転パターンが予測運転結果データ127に追加される。運転パターン追加部115aは、初期運転結果データ126から、運転パターン5を運転パターン蓄積部116に追加することで、予測運転結果データ127に運転パターン5が蓄積される。
このようにして、運転パターン追加部115aは、さらに、沸き上げ停止温度を変化することで所定の沸き上げ温度で沸き上げる運転パターンでの深夜電力割合が比較深夜電力割合以下になる場合に、異なる沸き上げ温度で沸き上げて所定の沸き上げ停止温度で沸き上げを停止する運転パターンを運転パターン蓄積部116に追加する。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターンに沸き上げ温度が複数あるか否かを判定する(S506)。現在の予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンには沸き上げ温度90度と80度が含まれているため、運転パターン追加部115aは、運転パターンに沸き上げ温度が複数あると判定する(S506でYES)。
次に、運転パターン追加部115aは、電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンがあるか否かを判定する(S508)。具体的には、運転パターン追加部115aは、予測運転結果データ127に蓄積されている各沸き上げ温度の運転パターンでの深夜電力割合及び予測電力量と、当該沸き上げ温度より1段階下の沸き上げ温度の運転パターンでの深夜電力割合及び予測電力量とを比較する。ここでは、沸き上げ温度90度の運転パターン1〜4と沸き上げ温度80度の運転パターン5とで、深夜電力割合及び予測電力量が比較される。そして、運転パターン追加部115aは、1段階違う沸き上げ温度の運転パターンのうち、高い沸き上げ温度の運転パターンでの深夜電力割合が低く、かつ高い沸き上げ温度の運転パターンでの予測電力量が高い組み合わせがあるか否かを判定する。
電力料金帯により深夜電力割合で電力料金の平均単価が決定し、深夜電力割合が高い方が平均単価が安いため、深夜電力割合が低く、消費電力量が高い運転は、料金も電力量も多いことを意味する。
運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転があると判定した場合(S508でYES)、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンの沸き上げ温度の追加を停止する(S510)。また、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転がないと判定した場合(S508でNO)、各沸き上げ温度の沸き上げ停止温度を1段階減少させた運転パターンを追加する(S512)。
現在、沸き上げ温度80度の運転パターンは運転パターン5のみであり、予測運転結果は、予測電力量が4,700kcalで、深夜電力割合は0.8である。沸き上げ温度90度の運転パターン1〜4での予測運転結果のうち予測電力量が4,700kcalより高く、かつ深夜電力割合が0.8より低いものはないため、運転パターン追加部115aは、電力量が高く深夜電力割合が低い運転がないと判定する(S508でNO)。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターンの各沸き上げ温度の沸き上げ停止温度を1段階減少(S512)させ、不足沸き上げ時間を算出する(S514)。そして、運転パターン追加部115aは、当該沸き上げ温度及び沸き上げ停止温度の運転パターンを追加することで、運転パターンの追加の処理(図14のS212)が終了する。具体的には、運転パターン追加部115aは、運転パターン6、7を運転パターン蓄積部116に追加することで、予測運転結果データ127に運転パターン6、7が蓄積される。
このようにして、運転パターン追加部115aは、さらに、運転パターン蓄積部116に蓄積された全ての運転パターンごとでの予測電力量及び深夜電力割合と比べて、所定の沸き上げ温度及び異なる沸き上げ温度で沸き上げる運転パターンのうち、予測電力量が低いか深夜電力割合が高くなる沸き上げ停止温度の運転パターンを運転パターン蓄積部116に追加する。
次に、予測運転結果データ127に蓄積されている運転パターンは、図11に示された予測運転結果データ127の運転パターン1〜7であるとする。
まず、運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下か否かを判定する(S502)。現在の沸き上げ温度の最低値は80度のため、比較深夜電力割合は、初期運転結果データ126の予測運転結果の沸き上げ温度70度の深夜電力割合である0.65となる。現在の運転パターンの沸き上げ温度80度の深夜電力割合は0.75で、比較深夜電力割合0.65のため、運転パターン追加部115aは、深夜電力割合が比較深夜電力割合以下でないと判定する(S502でNO)。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターンに沸き上げ温度が複数あるか否かを判定し(S506)、運転パターンに沸き上げ温度が複数あると判定する(S506のYES)。
次に、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転があるか否かを判定する(S508)。沸き上げ温度80度、沸き上げ停止温度75度の運転パターン7では、予測電力量は4,300kcalで深夜電力割合は0.750である。これに対して、沸き上げ温度90度、沸き上げ停止温度70度の運転パターン6では、予測電力量が4,400kcalで深夜電力割合は0.740であるため、予測電力量が高く深夜電力割合が低い。よって、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転があると判定する(S508のYES)。
次に、運転パターン追加部115aは、高い予測電力量の沸き上げ温度の運転パターンの追加を停止する(S510)。具体的には、予測電力量が高く深夜電力割合が低いと判定された沸き上げ温度では、運転パターンの各沸き上げ温度の停止温度を1段階減少させる処理(S512)が行われなくなる。
現在の場合では、運転パターンの追加が停止される沸き上げ温度として、90度が該当しているため、沸き上げ温度90度の運転パターンは以降追加されなくなり、沸き上げ温度80度の運転パターンのみが追加される。
次に、運転パターン追加部115aは、運転パターンの各沸き上げ温度の深夜停止温度を1段階減少する(S512)。
現在の場合では、前述の通り、沸き上げ温度80度の運転パターン8のみが追加される。
次に、運転パターン追加部115aは、不足沸き上げ時間を算出する(S514)。そして、運転パターン追加部115aは、当該沸き上げ温度及び沸き上げ停止温度の運転パターンを追加することで、運転パターンの追加の処理(図14のS212)が終了する。具体的には、運転パターン追加部115aは、運転パターン8を運転パターン蓄積部116に追加することで、予測運転結果データ127に運転パターン8が蓄積される。
次に、運転パターン追加部115aが不足沸き上げ時間を算出する処理(図17のS514)を説明する。
図18は、不足沸き上げ時間の算出の処理(S514)の詳細を示すフローチャートである。
ここで、同図に示された各処理(S602〜S610)は、図15に示された初期運転パターンデータ124の算出の処理(図14のS204)における深夜沸き上げ流量の算出の処理(S304)〜不足沸き上げ時間の算出の処理(S312)と同様である。したがって、図18に示された各処理(S602〜S610)の詳細については、省略する。
次に、本実施の形態における効果について説明する。
本実施の形態では、予測運転結果算出部115bは、沸き上げ温度と沸き上げ停止温度と不足沸き上げ時間とから、予測運転結果である予測電力量と深夜電力割合と予測料金とを算出する。このため、予測運転結果算出部115bは、少ないパラメータで簡易的に予測運転結果を算出することができ、計算量が少なくなる。
本実施の形態では、予測負荷算出部112が当日に発生すると予測される給湯負荷の最大値を予測負荷として算出し、演算部115が湯切れがないような運転パターンを蓄積部111に蓄積し、最適運転パターン特定部117が蓄積された運転パターンの中から運転評価値が最大となる運転パターンを最適運転パターンとして特定している。これにより、給湯負荷が毎日ばらついており過去の履歴から確率的に発生しづらい大きさの給湯負荷を予測する場合でも、湯切れが起こらないような最適運転パターンを特定可能である。
また、本実施の形態では、予測負荷算出部112が給湯負荷の予測値を算出し、予測温度算出部113が外気温及び水温の予測値を算出することで、放熱量や外気温によるエネルギー効率の時間変化を考慮して、運転評価値が最大となる最適運転パターンが特定されている。これにより、料金のみを重視した評価を行った場合でも、料金単価だけを考慮した運転により、結果的に料金合計が最小とはならないことを避け、料金が最小となる運転パターンを特定することができる。
また、本実施の形態では、温度分布算出部114が貯湯タンク201のタンク内の温度分布を推定して算出している。このため、温度センサがない箇所のタンク内の温度も考慮した沸き上げ時のヒートポンプ202への入水温度を算出可能なため、水温機器効率比率データ125bからヒートポンプ202のエネルギー効率を正確に算出可能である。
また、予測料金に加えて予測電力量が演算結果として算出されることで、最適運転パターン特定部117が最適運転パターンを特定する際に、需要家が消費電力量と料金のどちらをどの程度重視するかを選択することが可能となる。例えば、[料金係数:電力量係数]で示される運転評価方法が、[1.0:0.0]である場合には料金が最小となる最適運転パターンが特定され、[0.0:1.0]である場合には消費電力が最小となる最適運転パターンが特定される。また、[0.7:0.3]のような運転評価方法の場合には、料金を優先するが、消費電力量がある程度少ない最適運転パターンが特定される。
また、本実施の形態では、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンがあるか否かを判定し、そのような運転パターンがあった場合には、該当する沸き上げ温度の運転パターンの追加を停止している。この効果について以下に詳細に説明する。
図19〜図21は、運転パターン追加部115aが運転パターンの追加を停止する効果を説明する図である。同図は、横軸が深夜電力割合であり、縦軸が予測電力量である。つまり、同図は、運転パターンの深夜電力割合と予測電力量との関係をグラフにして示している。
一般的なヒートポンプ202のエネルギー効率は、外気温機器効率比率データ125a及び水温機器効率比率データ125bに示されたように、外気温が高いほど高く、水温が低いほど高い。これにより、沸き上げ温度を90度で固定した運転パターンについて、同一の予測負荷に対して沸き上げ停止温度を変化させた場合には、一般的には深夜電力割合と予測電力量との関係は図19に示すような変化をする。つまり、深夜電力割合が減少するにつれて、予測電力量も減少する。
このようになる理由は3つあり、1つ目は、夕方に運転する割合が増加した方が、深夜より高い外気温の夕方で運転できるため、ヒートポンプ202のエネルギー効率が上昇しているためである。2つ目は、沸き上げ停止温度を1段階下げた場合には、タンク温度分布から算出された深夜平均入水温度が下がることによる深夜沸き上げ効率の上昇である。3つ目は、深夜で沸き上げる熱量が減るため、放熱ロスによる熱量損失が減少し、沸き上げる量そのものの合計が減ることによる予測電力量の減少である。
さらに、異なる沸き上げ温度との関係は図20に示すようになる。沸き上げ温度が異なる運転パターンの中には、深夜電力割合が重複する運転パターンが発生し、前述の通り深夜電力割合は電力料金単価に比例するため、比較して深夜電力割合が低く、予測電力量が高い運転パターンは、電力量の面でも料金の面でも良い効果はなく、最適運転パターンとなる可能性はない。
上記の効果により、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンがあるか否かを判定し、そのような運転パターンがあった場合には、該当する沸き上げ温度の運転パターンの追加を停止する。このことで、図21に示すような最適運転パターンとなる可能性がない運転パターンの予測運転結果を算出する計算を省略することができ、計算量が少なくなる。
本発明のかかる構成によれば、使用する電力量を少なくしつつ、少ない計算量で、より安い料金で湯切れを起こす可能性をより低くすることができ、需要家が消費電力量と料金とのいずれを重視した運転を行うかを任意で選択することが可能になる。
以上、本発明の貯湯式給湯装置10について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、本実施の形態では、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンの追加を停止することとした。しかし、運転パターン追加部115aは、予測電力量が高く深夜電力割合が低い運転パターンが追加されていた場合には、当該運転パターンを削除することにしてもよい。このことにより、最適運転結果データ128の運転パターンを少なくすることができ、最適運転パターン特定部117が最適運転パターンを特定するための計算量を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、運転計画装置100は、23時に運転計画を開始することとした。しかし、運転計画装置100は、運転計画を開始する時刻は23時の変わりに0時や7時など任意の時刻でよい。また、運転計画装置100は、運転計画を行う期間を24時間としたが、24時間の変わりに12時間や48時間など任意の期間でも良い。
また、本実施の形態では、蓄積部111がデータを蓄積する期間は7日間であることとしたが、蓄積する期間は7日間には限られず、1ヶ月や1年間のデータを蓄積してもよい。
また、本実施の形態では、予測負荷算出部112が予測負荷を算出する方法は、平均と標準偏差を用いることとしたが、平均と標準偏差を用いる方法の変わりに、ニューラルネットや回帰分析など任意の手法でもよい。