JP2010007681A - 一方向クラッチ - Google Patents

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亘 稲垣
Koji Sato
光司 佐藤
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Abstract

【課題】係合子と内外輪との接触部に対するグリースの供給性能を高める。
【解決手段】外輪1と内輪2との間に周方向に沿って配置される複数の係合子3と、前記各係合子3を周方向に沿って保持する環状の保持器4と、前記各係合子3を外輪1の内周面1aおよび内輪2の外周面2aに係合する方向に付勢する弾性部材5とを備えた一方向クラッチにおいて、前記保持器4は、その内周面4aと外周面4bとの間を貫通する複数のポケット部4cを有し、前記保持器4の内周面4a及び外周面4bの軸直交断面をその長軸及び短軸が重なる楕円形とし、その楕円形の長軸Lとの交点寄りの保持器4の内周面4aと前記内輪2の外周面2aとの隙間、及びその楕円形の短軸Sとの交点寄りの保持器4の外周面4bと前記外輪1の内周面1aとの隙間を、それぞれ内径側グリース溜まり10、外径側グリース溜まり20とした。
【選択図】図1

Description

この発明は、回転トルクの伝達と遮断とを行なう一方向クラッチに関するものである。
一般に、自動車等のエンジンのクランクシャフトの回転をベルトを介して各種補機類に伝達する補機駆動装置において、その補機類、例えば、パワーステアリング装置の油圧ポンプやエアコンディショナの圧縮機、あるいはオルタネータ等の回転軸と、その回転軸に設けられたプーリとの間に一方向クラッチが組込まれる。
この一方向クラッチは、クランクシャフトの回転の角速度が増加する時に、回転軸とプーリとを結合させて前記クランクシャフトの回転を回転軸に伝え、また、角速度が減少する時に、一方向クラッチをオーバランニングさせて、クランクシャフトから回転軸への回転トルクの伝達を遮断し、ベルトの滑りを防止するように機能する。
また、自動車用エンジンの補機類以外の各種用途においても、同軸状の内輪と外輪とが相対回転可能に配置され、その内輪と外輪のうち、入力側の一方向への回転のみを出力側へ伝達し、入力側の反対方向への回転は出力側へ伝達しないようにした一方向クラッチが用いられる。
この種の一方向クラッチを、例えば、図5及び図6に示すスプラグ式一方向クラッチを内蔵した一方向クラッチ内蔵プーリに基づいて説明すると、外輪1の内周面1aと内輪2の外周面2aとの間の空間に、多数の係合子3が組み込まれている。この係合子3としては、図示するスプラグのほか、ローラが採用される場合もある。
この一方向クラッチにおいて、外輪1と内輪2とは、同図に示すように、その一方向クラッチの軸方向両端において、それぞれ周方向に沿って配置されたボール9を有する軸受部8を介して、軸周り相対回転可能に支持されている。外輪1は、その外周に設けられたプーリ7と一体に回転可能である。
その外輪1の内周面1aと内輪2の外周面2aとの間の空間には、隣り合う係合子3(図5及び図6ではスプラグ。以下、「スプラグ3」と記載する。)同士の周方向距離を一定に保つ環状の保持器4が設けられている。保持器4には、内外を貫通するポケット部4cが設けられており、その各ポケット部4cに前記スプラグ3が収納されている。
この一方向クラッチ内蔵プーリでは、プーリ7を備えた外輪1が駆動側、内輪2が従動側であり、前記各スプラグ3は、そのプーリ7と共に外輪1が、内輪2に対して図6(b)に示す矢印f2方向に相対回転したとき、前記内外各円筒面1a,2aに係合して、外輪1の回転トルクを内輪2に伝達する。
また、各スプラグ3は、外輪1が内輪2に対して前記矢印f1で示す反対方向に相対回転したり、あるいは、前記矢印f2方向に回転する外輪1に対して同方向に回転する内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回った場合に、前記内外各円筒面1a,2aに対する係合を解除して、外輪1から内輪2への回転伝達を遮断するようになっている。
したがって、図6(b)に示すように、プーリ7(外輪1)を矢印f2方向に回転すると、スプラグ3が係合方向へその姿勢を変え(矢印s1参照)、そのスプラグ3のカム面が、外輪1の内周面1aおよび内輪2の外周面2aに係合する。この係合により、プーリ7の回転が内輪2に伝達される。
内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回ると、内輪2に対しプーリ7は図中矢印f1の方向へ相対回転するので、スプラグ3は逆方向にその姿勢を変え(矢印s2参照)、内外周面1a,2aに対するスプラグ3の係合が解除され、外輪1から内輪2への回転伝達が遮断される。
このため、このような一方向クラッチ内蔵プーリを、例えば、オルタネータの回転軸に取付けてクランクシャフトに取付けられたプーリと上記回転軸上のプーリ間にベルトをかけ渡してオルタネータを駆動すると、クランクシャフトの角速度増加時、一方向クラッチが係合状態となり、クランクシャフトの回転がオルタネータの回転軸に伝達される。また、クランクシャフトの角速度減少時、一方向クラッチが空転状態となって、クランクシャフトからオルタネータの回転軸への回転伝達が遮断されることになる。
このため、プーリ7とこれにかかるベルトの相互間で滑りが生じるのが防止され、ベルトの摩耗を抑制することができる。
なお、この図5及び図6では、外輪1が駆動側、内輪2が従動側としているが、他の実施形態として、内輪2を駆動側、外輪1を従動側とした各種用途の一方向クラッチにも適用可能である(例えば、特許文献1,2参照)。
これらの一方向クラッチにおいて、外輪1の内周面1aと内輪2の外周面2aとの間の空間には、グリースが充填される。このグリースは、各係合子3と、前記外輪1及び内輪2との接触部に介在して、その接触部を潤滑する。
その接触部への潤滑性能を高めるため、例えば、保持器4のポケット部4c内の周方向側面を、係合子3の位置決めに支障しない程度に周方向へ拡げることにより、その拡げた部分に生じる隙間をグリース溜まりとする技術(例えば、特許文献3参照)や、周方向に隣り合う二つのポケット部4c,4c間に外径側に開口する凹部を設け、その凹部内をグリース溜まりとする技術(例えば、特許文献4参照)、あるいは、保持器4の軸方向端部の外径寄りの部分に、全周に亘る溝を設け、その溝内をグリース溜まりとする技術(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
特開2006−46612号公報 特開2001−187931号公報 特開2007−155030号公報 特開平11−182555号公報 特開2003−28201号公報
一般に、係合子3を介して外輪1と内輪2とが係合する際、その係合子3が、内輪2の外周面2a及び外輪1の内周面1aの油膜を切ってしまうため、係合子3と外輪1及び内輪2との接触部周辺からグリースを排除してしまうことがある。
このため、係合子3と内輪2の外周面2a及び外輪1の内周面1aとの接触部には、常にグリースが供給されるようになっていることが望ましく、そのためには、前記グリース溜まりを設けることが有効である。
しかし、上記特許文献3に記載のグリース溜まりによれば、グリースを保持できる容量を、ある程度以上増やすことができないという問題がある。ポケット部4cの周方向側面を拡げると、隣り合うポケット部とポケット部の間の柱部が細くなるので、強度上の限界があるからである。
これは、その柱部に凹部を形成しようとする特許文献4に記載の技術においても、同様である。
また、特許文献5に記載のグリース溜まりによれば、グリース溜まりが保持器の軸方向端部に偏ってしまうという問題がある。グリース溜まりが軸方向端部へ偏っていれば、係合子と内外輪との接触部に対するグリースの供給は、その接触部全体に行き渡りにくい場合も生じ得る。
そこで、この発明は、係合子と内外輪との接触部に対するグリースの供給性能を高めることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、相対的に軸周り回転可能な外輪及び内輪と、前記外輪と内輪との間に周方向に沿って配置され、前記外輪と内輪とが一方向に相対回転すると前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に係合して前記内外輪を結合し他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数の係合子と、前記各係合子を周方向に沿って保持する環状の保持器と、前記各係合子を外輪の内周面および内輪の外周面に係合する方向に付勢する弾性部材とを備えた一方向クラッチにおいて、前記保持器は、その内周面と外周面との間を貫通する複数のポケット部を有し、前記係合子はそのポケット部毎に収納されており、前記保持器の内周面と前記内輪の外周面との間に、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部間に連続する内径側グリース溜まりを設けた構成を採用した。
保持器の内側、すなわち、保持器の内周面と内輪の外周面との間をグリース溜まりとし、そのグリース溜まりを複数の係合子に相当する範囲に亘って連続させているので、保持器の柱部やポケット部内にグリース溜まりを設けた場合等と比較して、グリースを保持できる容量が大きい。
このため、係合子と内外輪との接触部に対して、グリースが常に供給されやすい環境が期待できる。なお、その内径側グリース溜まりとしては、隣り合う二つのポケット部間に連続する空間で構成してもよいし、隣り合う三つ以上のポケット部間に連続する空間で構成してもよい。
また、前記内径側グリース溜まりは、その連続するポケット部間に形成された部分よりも周方向外側に伸びて、その周方向外側に伸びる部分は、周方向外側に向かうにつれてその径方向幅が徐々に狭まっている構成とすることができる。
このようにすれば、グリースは径方向幅の広い部分に溜まりやすくなり、グリースの供給性能がさらに向上する。
また、このように内径側グリース溜まりの周方向外側が徐々に狭まっていれば、グリースは、一方向クラッチに作用する遠心力によって、その周方向外側の部分よりも一方向クラッチの軸心からの距離が遠い部分、すなわち径方向幅の広い部分へ導かれる。このため、グリースは径方向幅の広い部分にさらに溜まりやすくなる効果が期待できる。
このグリース溜まりは、保持器の外側、すなわち、保持器の外周面と外輪の内周面との間に設けてもよい。
その構成は、相対的に軸周り回転可能な外輪及び内輪と、前記外輪と内輪との間に周方向に沿って配置され、前記外輪と内輪とが一方向に相対回転すると前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に係合して前記内外輪を結合し他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数の係合子と、前記各係合子を周方向に沿って保持する環状の保持器と、前記各係合子を外輪の内周面および内輪の外周面に係合する方向に付勢する弾性部材とを備えた一方向クラッチにおいて、前記保持器は、その内周面と外周面との間を貫通する複数のポケット部を有し、前記係合子はそのポケット部毎に収納されており、前記保持器の外周面と前記外輪の内周面との間に、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部間に連続する外径側グリース溜まりを設けた構成である。
保持器の外側、すなわち、保持器の外周面と外輪の内周面との間をグリース溜まりとし、そのグリース溜まりを複数の係合子に相当する範囲に亘って連続させているので、保持器の柱部やポケット部内にグリース溜まりを設けた場合等と比較して、グリースを保持できる容量が大きい。
このため、係合子と内外輪との接触部に対して、グリースが常に供給されやすい環境が期待できる。なお、その外径側グリース溜まりとしては、隣り合う二つのポケット部間に連続する空間で構成してもよいし、隣り合う三つ以上のポケット部間に連続する空間で構成してもよい。
また、前記外径側グリース溜まりは、その連続するポケット部間に形成された部分よりも周方向外側に伸びて、その周方向外側に伸びる部分は、周方向外側に向かうにつれてその径方向幅が徐々に狭まっている構成とすることができる。
このようにすれば、グリースは径方向幅の広い部分に溜まりやすくなり、グリースの供給性能がさらに向上する。
また、前述の保持器の内側に設けられるグリース溜まり(内径側グリース溜まり)と、保持器の外側に設けられるグリース溜まり(外径側グリース溜まり)とは、いずれか一方のみを採用してもよいし、両者を併用してもよい。また、その内径側グリース溜まり、外径側グリース溜まりの箇所数は、それぞれ単独で採用する場合、併用する場合、いずれの場合においても自由に設定できる。
グリース溜まりとなる空間を、保持器と内輪、又は保持器と外輪との間に設けることによって、その保持器の径方向への肉厚は、一方向クラッチの機能を阻害しない限りにおいて、部分的に薄くなったり厚くなったりする部分が生じてよいが、内径側グリース溜まりと外径側グリース溜まりとを併用した構成においては、前記保持器は、その全周に亘って径方向厚さが一定である構成とすることができる。
すなわち、内径側グリース溜まりと外径側グリース溜まりの位相、すなわち周方向位置をずらすことによって、その肉厚を周方向全周に一定とすることが可能となる。肉厚が一定であれば、保持器の重量バランスが周方向に沿って均一に近くなるので好ましい。
この内径側グリース溜まりとして、例えば、前記保持器の内周面の軸直交断面を楕円形とし、その楕円形の長軸との交点寄りの内周面と前記内輪の外周面との隙間を前記内径側グリース溜まりとすることができる。
また、外径側グリース溜まりとしては、同じく、前記保持器の外周面の軸直交断面を楕円形とし、その楕円形の短軸との交点寄りの外周面と前記外輪の内周面との隙間を前記外径側グリース溜まりとすることができる。
また、前記保持器の内周面及び外周面の軸直交断面をそれぞれ楕円形とした場合において、内周面の楕円と外周面の楕円の長軸同士、及び前記両楕円の短軸同士をそれぞれ重ねた構成とすることができる。
内周面の楕円と外周面の楕円の長軸、短軸が一致していれば、保持器の重量バランスが周方向に沿って均一に近くなるので好ましい。
このとき、さらに、保持器の肉厚を周方向全周に一定とすることもできる。すなわち、内周面の楕円と外周面の楕円の長軸同士、及び前記両楕円の短軸同士がそれぞれ同一直線上に重なっていれば、その各楕円の長半径、短半径、焦点位置を適宜設定することによって内周面及び外周面が全周に亘って並行な位置関係となって、このような肉厚一定とした構成が実現可能である。
ここで、前記の場合、保持器の肉厚とは、楕円形を成す内周面及び外周面が全周に亘って並行であるから、その内周面及び外周面に直交する方向への肉厚としてよい。
なお、一方向クラッチの前記係合子としては、スプラグ又はローラを採用することができる。
この発明は、保持器の内周面と内輪の外周面との間、あるいは、保持器の外周面と外輪の内周面との間をグリース溜まりとし、そのグリース溜まりを複数の係合子に相当する範囲に亘って連続させているので、保持器の柱部やポケット部内にグリース溜まりを設けた場合等と比較して、グリースを保持できる容量を大きくすることができる。このため、係合子と内外輪との接触部へのグリースの供給性能を高めることができる。
この発明の実施形態を、プーリ7内に一方向クラッチを組込んだ一方向クラッチ内蔵プーリを例に説明する。この一方向クラッチ内蔵プーリの主たる構成は、保持器4等を除き、図5に示す従来例とほぼ同様である。
その図5に基づいて説明すると、一方向クラッチは、プーリ7の内径面に圧入された外輪1と、その外輪1の内側に同軸上に組込まれた内輪2と、その内外輪2,1間に組込まれた多数のスプラグ(係合子)3と、各スプラグ3を保持する環状の保持器4と、各スプラグ3を係合方向に付勢するコイルバネ等の弾性部材5から構成されている。
外輪1の内周には、内周円筒面(内周面)1aが形成され、内輪2の外周には、前記外輪1の内周円筒面1aと径方向で対向する外周円筒面(外周面)2aが形成されている。
また、その内輪2の外周には、前記外周円筒面2aの軸方向両側に、前記外周円筒面2aよりもやや小径の軸受嵌合面2c,2cが形成され、各軸受嵌合面2c,2cに軸受部8が嵌合されている。
軸受部8は、片シール付き玉軸受から成る。この軸受部8は、シールが軸方向外側に位置するように組付けされ、ボール9を介してプーリ7と一体の外輪1と内輪2とが、相対的に軸周り回転自在とされている。この軸方向両側に設けた軸受部8,8間において、外輪1と内輪2間の空間にグリースが封入されている。
図1は、第一の実施形態を示し、各スプラグ3は、外輪1の内周円筒面1aと内輪2の外周円筒面2a間において、周方向に所定の間隔をおいて等間隔に配置されている。
その外輪1の内周円筒面1aと内輪2の外周円筒面2a間において、前記各スプラグ3を周方向に位置決めする保持器4が設けられている。
保持器4は、合成樹脂の成形品から成り、各スプラグ3を個別に収容する複数のポケット部4cと、各ポケット部4cに連通するばね収容凹部4dとが形成されている。また、ポケット部4cは、保持器4の内周面4aと外周面4bとの間を貫通するように形成されている。
各ばね収容凹部4d内に、前記コイルバネ5が組込まれて、そのコイルバネ5は、各スプラグ3に形成された外径側カム面3u及び内径側カム面3dが、それぞれ、外輪1の内周円筒面1a及び内輪2の外周円筒面2aに係合する方向にそのスプラグ3を付勢している。
なお、外輪1及び内輪2の軸周り相対回転時における、係合子3としてのスプラグ3の係合作用及び係合解除の作用については、従来例と同様であるので説明を省略し、以下、保持器4の構成とグリース溜まりについて説明する。
前記スプラグ3が係合する対象となる前記内輪2の外周円筒面2a、及び前記外輪1の内周円筒面1aは、それぞれその軸直交断面が円形である。
また、前記保持器4は、その内周面4aの軸直交断面が、前記内輪2の外周円筒面2aに対面する範囲において同一断面の楕円形となっている。また、その外周面4bの軸直交断面も、前記外輪1の内周円筒面1aに対面する範囲において同一断面の楕円形となっている。この内周面4aの楕円と外周面4bの楕円は、それぞれ長軸L方向と短軸S方向が同一方向となって一致している(重なっている)。
このため、保持器4の内周面4aと内輪2の外周面2aとの間、及び保持器4の外周面4bと外輪1の内周面1aとの間には、それぞれ、図1に示すように、径方向幅w10,w20の隙間が生じる。この径方向幅w10,w20は、いずれも周方向一方に向かうにつれて徐々に拡がり、その径方向幅w10,20が最大幅となる部分を通過した後、徐々に狭まるようになっている。
この隙間w10,w20の生じた部分の空間が、スプラグ3と内外輪2,1との接触部に対してグリースを供給するためのグリース溜まりとして機能するようになっている。
このグリース溜まりは、保持器4の内側に形成される内径側グリース溜まり10と、保持器4の外側に形成される外径側グリース溜まり20とからなる。
内径側グリース溜まり10は、前記保持器4の内周面4aと前記楕円の中心を通る前記長軸Lとの交点寄りの部分において、その内周面4aと前記内輪2の外周面2aとの間に生じた空間によって構成されている。このため、一箇所の内径側グリース溜まり10は、楕円の中心周りに約180度の範囲に設けられている。
この内径側グリース溜まり10は、前記楕円の中心を挟んで反対側にも対称に設けられており、全周に亘って合計2箇所設けられている。
なお、前記保持器4の内周面4aと前記楕円の中心を通る短軸Sとの交点において、その保持器4の内周面4aと前記内輪2の外周面2aとは、この実施形態で示すように互いに接していてもよいし、後述の図2及び図3に示す実施形態のように、隙間が設けられていてもよい。
また、外径側グリース溜まり20は、前記保持器4の外周面4bと前記楕円の中心を通る前記短軸Sとの交点寄りの部分において、その外周面4bと前記外輪1の内周面1aとの間に生じた空間によって構成されている。このため、一箇所の外径側グリース溜まり20は、楕円の中心周りに約180度の範囲に設けられている。
この外径側グリース溜まり20は、前記楕円の中心を挟んで反対側にも対称に設けられており、全周に亘って合計2箇所設けられている。
なお、前記保持器4の外周面4bと前記楕円の中心を通る長軸Lとの交点において、その保持器4の外周面4bと前記外輪1の内周面1aとは、この実施形態で示すように互いに接していてもよいし、後述の図2及び図3に示す実施形態のように、隙間を設けてもよい。
また、保持器4は、長軸L方向の楕円半径L1及びL2は、短軸S方向の楕円半径S1及びS2との関係において、
L1−L2=S1−S2
の関係となっている。また、保持器4は、その内周面4a及び外周面4bが全周に亘って並行な位置関係となって、その全周に亘って径方向厚さが一定となっている。
このように、1箇所の内径側グリース溜まり10、外径側グリース溜まり20が、前記楕円の中心周りにおいて、それぞれ中心角約180度の範囲に配置されているから、この実施形態では、図1に示すように、各グリース溜まり10,20は、少なくとも周方向に隣り合う四つのポケット部4c間に連続している。また、その周方向端部は、その四つのポケット部4c間に連続する空間から、さらに周方向外側に伸びて、徐々にその径方向幅が狭まる形状となっている。
このように、内径側グリース溜まり10、外径側グリース溜まり20が、それぞれ複数のスプラグ3に相当する範囲に亘って連続して配置されているので、グリースを保持できる容量が大きい。
また、特に、内径側グリース溜まり10は、その内径側グリース溜まり10の周方向外側は徐々に狭まっているので、グリースは、一方向クラッチに作用する遠心力によって楕円の中心からの距離が遠い部分、すなわち、内径側グリース溜まり10の径方向幅の広い部分に溜まりやすい。
このため、スプラグ3と内外輪2,1との接触部に対して、グリースが常に供給されやすい環境が期待できる。
他の実施形態を図2に示す。この実施形態は、外径側グリース溜まり20を設けずに、内径側グリース溜まり10のみを採用したものである。
このため、保持器4の外周面4bの軸直交断面は円形となっている。内径側グリース溜まり10の構成は、前述の実施形態と同様である。
さらに他の実施形態を図3に示す。この実施形態は、内径側グリース溜まり10を設けずに、外径側グリース溜まり20のみを採用したものである。
このため、保持器4の内周面4aの軸直交断面は円形となっている。外径側グリース溜まり20の構成は、前述の実施形態と同様である。
さらに他の実施形態を図4に示す。この実施形態は、係合子3として円柱状のローラ3を採用した一方向クラッチである。
この実施形態の一方向クラッチの構成は、外輪1の内周面1aと前記内輪2の外周面2aとの間に配置された複数のローラ3が、それぞれ図示しない弾性部材により係合方向に付勢されている。
前記外輪1と内輪2とが一方向に相対回転すると、複数のローラ3が、それぞれ前記外輪1の内周面1aに設けられた内周カム面1bと前記内輪2の外周円筒面(外周面)2aとの間に形成されたくさび状空間内で、前記内外輪2,1に結合し、また、他方向に相対回転するとその係合が解除されるように機能する。
外輪1と内輪2との間の空間にグリースが充填されている点は、係合子3として前記スプラグ3を用いた前述の一方向クラッチと同様である。
また、保持器4の内側に形成される内径側グリース溜まり10と、保持器4の外側に形成される外径側グリース溜まり20の構成についても、係合子3として前記スプラグ3を用いた前述の一方向クラッチと同様である。
さらに、内径側グリース溜まり10と外径側グリース溜まり20とは、そのいずれか一方のみを採用してもよいし、両者を併用してもよい点も同様である。
これらの実施形態では、内径側グリース溜まり10と外径側グリース溜まり20の双方を採用した構成において、保持器4の内周面4a及び保持器4の外周面4bを長軸L方向、短軸S方向を一致させた楕円形状としたが、これ以外にも、例えば、両楕円の長軸L方向、短軸S方向を一致させないようにした構成も考えられる。
また、例えば、保持器4の内周面4a及び保持器4の外周面4bの軸直交断面を楕円以外とした構成を採用することもできる。
例えば、保持器4の内周面4a及び保持器4の外周面4bの軸直交断面を円形とし、その断面円形を成す内周面4a又は外周面4bの一部に、その内周面4a又は外周面4bよりも凹んだ部分を、それぞれ1箇所、2箇所、あるいは3箇所以上設けた構成を採用することができる。
この構成によれば、内径側グリース溜まり10、外径側グリース溜まり20の箇所数は、それぞれ自由に設定できる。
このため、例えば、内径側グリース溜まり10を1箇所、2箇所、あるいは3箇所以上とすることもできる。また、外径側グリース溜まり20を1箇所、2箇所、あるいは3箇所以上とすることもできる。
なお、それらの内径側グリース溜まり10、外径側グリース溜まり20は、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部4c間に連続する空間を有していることを要件とする。また、その連続する空間よりも周方向外側に伸びる空間を有して、その周方向外側に伸びる空間が、徐々にその径方向幅が狭まる形状を成していることが望ましい。
一実施形態を示す断面図 他の実施形態を示す断面図 さらに他の実施形態を示す断面図 さらに他の実施形態を示す断面図 従来の一方向クラッチ内蔵プーリの断面図 (a)は図5のA−A断面図、(b)はスプラグの作用を示す要部拡大図
符号の説明
1 外輪
1a 内周面(内周円筒面)
1b 内周カム面
2 内輪
2a 外周面(外周円筒面)
3 係合子(スプラグ、ローラ)
3u 外径側カム面
3d 内径側カム面
4 保持器
4a 内周面
4b 外周面
4c ポケット部
4d ばね収容凹部
5 弾性部材
7 プーリ
8 軸受部
9 ボール
10 内径側グリース溜まり
20 外径側グリース溜まり
L 長軸
S 短軸

Claims (12)

  1. 相対的に軸周り回転可能な外輪(1)及び内輪(2)と、前記外輪(1)と内輪(2)との間に周方向に沿って配置され、前記外輪(1)と内輪(2)とが一方向に相対回転すると前記外輪(1)の内周面(1a)及び前記内輪(2)の外周面(2a)に係合して前記内外輪(2,1)を結合し他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数の係合子(3)と、前記各係合子(3)を周方向に沿って保持する環状の保持器(4)と、前記各係合子(3)を外輪(1)の内周面(1a)および内輪(2)の外周面(2a)に係合する方向に付勢する弾性部材(5)とを備えた一方向クラッチにおいて、
    前記保持器(4)は、その内周面(4a)と外周面(4b)との間を貫通する複数のポケット部(4c)を有し、前記係合子(3)はそのポケット部(4c)毎に収納されており、前記保持器(4)の内周面(4a)と前記内輪(2)の外周面(2a)との間に、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間に連続する内径側グリース溜まり(10)を設けたことを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 前記内径側グリース溜まり(10)は、前記隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間よりも周方向外側に伸びて徐々にその径方向幅が狭まる空間を有することを特徴とする一方向クラッチ。
  3. 相対的に軸周り回転可能な外輪(1)及び内輪(2)と、前記外輪(1)と内輪(2)との間に周方向に沿って配置され、前記外輪(1)と内輪(2)とが一方向に相対回転すると前記外輪(1)の内周面(1a)及び前記内輪(2)の外周面(2a)に係合して前記内外輪(2,1)を結合し他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数の係合子(3)と、前記各係合子(3)を周方向に沿って保持する環状の保持器(4)と、前記各係合子(3)を外輪(1)の内周面(1a)および内輪(2)の外周面(2a)に係合する方向に付勢する弾性部材(5)とを備えた一方向クラッチにおいて、
    前記保持器(4)は、その内周面(4a)と外周面(4b)との間を貫通する複数のポケット部(4c)を有し、前記係合子(3)はそのポケット部(4c)毎に収納されており、前記保持器(4)の外周面(4b)と前記外輪(1)の内周面(1a)との間に、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間に連続する外径側グリース溜まり(20)を設けたことを特徴とする一方向クラッチ。
  4. 前記外径側グリース溜まり(20)は、前記隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間よりも周方向外側に伸びて徐々にその径方向幅が狭まる空間を有することを特徴とする請求項3に記載の一方向クラッチ。
  5. 前記保持器(4)の外周面(4b)と前記外輪(1)の内周面(1a)との間に、少なくとも周方向に隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間に連続する外径側グリース溜まり(20)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の一方向クラッチ。
  6. 前記外径側グリース溜まり(20)は、前記隣り合う二つのポケット部(4c,4c)間よりも周方向外側に伸びて徐々にその径方向幅が狭まる空間を有することを特徴とする請求項5に記載の一方向クラッチ。
  7. 前記保持器(4)は、その全周に亘って径方向厚さが一定であることを特徴とする請求項5又は6に記載の一方向クラッチ。
  8. 前記保持器(4)の内周面(4a)の軸直交断面を楕円形とし、その楕円形の長軸(L)との交点寄りの内周面(4a)と前記内輪(2)の外周面(2a)との隙間を前記内径側グリース溜まり(10)としたことを特徴とする請求項1,2,5,6,7のいずれかに記載の一方向クラッチ。
  9. 前記保持器(4)の外周面(4b)の軸直交断面を楕円形とし、その楕円形の短軸(S)との交点寄りの外周面(4b)と前記外輪(1)の内周面(1a)との隙間を前記外径側グリース溜まり(20)としたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の一方向クラッチ。
  10. 前記保持器(4)の内周面(4a)及び外周面(4b)の軸直交断面をそれぞれ長軸(L)と短軸(S)とが重なる楕円形とし、前記楕円形の長軸(L)との交点寄りの内周面(4a)と前記内輪(2)の外周面(2a)との隙間を前記内径側グリース溜まり(10)とし、前記楕円形の短軸(S)との交点寄りの外周面(4b)と前記外輪(1)の内周面(1a)との隙間を前記外径側グリース溜まり(20)としたことを特徴とする請求項5又は6に記載の一方向クラッチ。
  11. 前記保持器(4)は、その全周に亘って径方向厚さが一定であることを特徴とする請求項10に記載の一方向クラッチ。
  12. 前記係合子(3)は、スプラグ又はローラであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の一方向クラッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015102154A (ja) * 2013-11-25 2015-06-04 本田技研工業株式会社 一方向回転阻止機構及びそれを備える動力伝達装置

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