JP2010007184A - 単結晶ニッケルベースの超合金組成物、部品、およびその製造方法 - Google Patents

単結晶ニッケルベースの超合金組成物、部品、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単結晶ニッケルベースの超合金組成物、単結晶ニッケルベースの超合金部品、およびかかる部品を加工する方法を提供する。
【解決手段】単結晶ニッケルベースの超合金組成物は、重量パーセントで約3.8〜約4.2パーセントのクロム、約10.0〜約10.5パーセントのコバルト、約1.8〜約2.2パーセントのモリブデン、約4.8〜約5.2パーセントのタングステン、約5.8〜約6.2パーセントのレニウム、約5.5〜約5.8パーセントのアルミニウム、約5.8〜約6.2パーセントのタンタル、約3.8〜約4.2パーセントのルテニウム、約0.13〜約0.17パーセントのハフニウム、および残分のニッケルから本質的になる。
【選択図】なし

Description

[0001]本発明の主題は、一般的には、ガスタービンエンジン用途のための材料に関し、より特定的には、単結晶ニッケルベースの超合金組成物およびそれから作られたガスタービンエンジンの部品に関する。
[0002]タービンエンジンは、様々な種類の飛行機のための主な動力源として用いられる。該エンジンは、エアコンプレッサー、油圧ポンプ、および産業用電気発電機を駆動する補助動力源としても役立つことが出来る。大抵のタービンエンジンは、一般的に、同一の基本的な発電方式に従う。圧縮された空気を燃料と混合して燃焼させ、膨張した高温の燃焼ガスをエンジン内の固定されたタービン羽根に導く。羽根により高速のガスフローは幾分斜めに向きを変え、回転可能なタービンディスク上に設置したタービンブレードに衝突する。衝突したガスの力によりタービンディスクが高速で回転する。ジェット推進エンジンは、タービンディスクの回転によって生み出された力を用いてより多くの空気をエンジン内に引き込み、高速の燃焼ガスをガスタービンの後部より排出して、前方への推進力を生み出す。他のエンジンはこの力を用いて、一つ以上のプロペラ、電気発電機、または他の装置を回す。エンジンの動作温度が上昇するにつれて燃料効率が上がるために、タービンブレードと羽根は析出強化超合金などの高温材料から加工されることが多い。鋳造による形成の場合には、ニッケルベースの合金およびコバルトベースの合金を含むこれら超合金は、エンジンの動作温度に暴露されている間に望ましいであろう多くの特性を有する。例えば、これらの超合金は、より高い高温強度と耐環境性を有する。しかし、既知の析出強化超合金は、高温、高圧の条件下で優れた機械的特性を示すにも関わらず、タービンエンジン中の高温および高圧力のガスに曝されると、酸化および腐食による攻撃を受けやすい。
[0003]酸化および腐食による攻撃から超合金を保護するために、タービンエンジンの翼はその表面にコーティング領域を含んでも良い。いくつかの場合において、コーティング領域は熱障壁コーティング(TBC)を含んでも良い。典型的なTBCは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)および/またはGd、TiO等の他の酸化物をドープしたイットリア安定化ジルコニアから形成することが出来る。コーティング領域は、その耐用年数を伸ばすために、TBCの下部に耐環境性接着コートを更に含んでも良い。接着コートは、例えばMCrAlXを含む重ね合わせコーティングでも良い。ここで、Mはニッケル、コバルトといった金属元素、および/またはニッケルとコバルト両方の組み合わせであり、Xはイットリウムまたは他の反応性の金属元素である。接着コートはまた、単なるアルミナイドコーティング、反応性元素により修飾されたアルミナイドコーティング、白金修飾されたアルミナイドコーティング、または反応性元素により修飾された白金アルミナイドコーティングなどの、拡散コーティングでも良い。それ故に、それらの通常の用途に用いる間などの、高温に暴露されている間に、接着コーティングはまず酸化して熱成長酸化物(TGO)を形成し、その下に存在する接着コートを更なる酸化から保護する。しかし、TGO層が非常に急速に成長し、および/または非常に厚くなり過ぎた場合は、TBCの接着コートとの付着が弱くなる可能性があり、TBCとTGOとの間、ならびにTGOと接着コートとの間にクラックが形成される可能性がある。そのような場合には、TBCが時期尚早に破損してしまい、そのために超合金部品の耐用年数が減少する可能性がある。
[0004]従って、ガスタービンエンジン用途のために、高温時の機械的特性および耐環境性能が改良された超合金組成物を提供することが望ましい。加えて、改良された超合金組成物は、エンジン装置を製造したり、エンジン装置に組み入れるのに、比較的高価でないことが望ましい。更に、本発明の主題の他の望ましい特徴や性質は、添付する図面およびこの本発明の主題の背景に加えて、以下の本発明の主題の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。
[0005]単結晶ニッケルベースの超合金組成物、単結晶ニッケルベースの超合金部品、およびかかる部品を加工する方法を提供する。
[0006]一例に過ぎないが、一実施形態において、単結晶ニッケルベースの超合金組成物は、重量パーセントで約3.8〜約4.2パーセントのクロム、約10.0〜約10.5パーセントのコバルト、約1.8〜約2.2パーセントのモリブデン、約4.8〜約5.2パーセントのタングステン、約5.8〜約6.2パーセントのレニウム、約5.5〜約5.8パーセントのアルミニウム、約5.8〜約6.2パーセントのタンタル、約3.8〜約4.2パーセントのルテニウム、約0.13〜約0.17パーセントのハフニウム、および残分のニッケルから本質的になる。
[0007]一例に過ぎないが、別の実施形態において、単結晶ニッケルベースの超合金部品は、重量パーセントで約3.8〜約4.2パーセントのクロム、約10.0〜約10.5パーセントのコバルト、約1.8〜約2.2パーセントのモリブデン、約4.8〜約5.2パーセントのタングステン、約5.8〜約6.2パーセントのレニウム、約5.5〜約5.8パーセントのアルミニウム、約5.8〜約6.2パーセントのタンタル、約3.8〜約4.2パーセントのルテニウム、約0.13〜約0.17パーセントのハフニウム、および残分のニッケルから本質的になる単結晶超合金から加工する。
[0008]一例に過ぎないが、更に別の実施形態において、単結晶ニッケルベースの超合金部品を加工するための方法は、重量パーセントで約3.8〜約4.2パーセントのクロム、約10.0〜約10.5パーセントのコバルト、約1.8〜約2.2パーセントのモリブデン、約4.8〜約5.2パーセントのタングステン、約5.8〜約6.2パーセントのレニウム、約5.5〜約5.8パーセントのアルミニウム、約5.8〜約6.2パーセントのタンタル、約3.8〜約4.2パーセントのルテニウム、約0.13〜約0.17パーセントのハフニウム、および残分のニッケルを含む合金を提供する工程、および該合金から単結晶部品を加工する工程を含む。
[0009]本発明の主題を以下に図面とともに記載する。ここで同種の番号は同種の要素を意味する。
図1は、ある実施形態に従った部品の斜視図である。 図2は、ある実施形態に従った部品の一部分の断面図である。 図3は、ある実施形態に従った単結晶ニッケルベースの超合金部品を加工するためのプロセスフローダイヤグラムである。
[0013]以下の本発明の主題の詳細な説明は、実際は単なる例示であり、本発明の主題、または本発明の主題の用途、用法を限定することを意図するものではない。更に、前述の本発明の主題の背景または後述の本発明の主題の詳細な説明中に存在するいかなる理論によっても束縛されることを意図するものではない。
[0014]従来の超合金組成物と比較して改良された高温特性を有することの出来る超合金組成物を提供する。ある実施形態において、超合金が約2200°F(1205℃)よりも高い温度といった、エンジン動作温度に暴露される場合には、モリブデンおよびレニウムといった特定の元素を含むことにより、応力破断強度およびクリープ抵抗を改良することが出来る。別の実施形態において、ルテニウム元素を超合金組成物中に含む場合に、超合金の相安定性を大幅に改良することが出来る。
[0015]本発明の超合金組成物は、単結晶ニッケルベースの超合金部品として具体化することができる。図1は、ある実施形態に従った部品150の斜視図である。ここで、部品150はタービンブレードである。しかし、他の実施形態においては、部品150はタービン羽根であっても、ガスタービンエンジン、または他の高温装置において実現可能な他の部品であっても良い。ある実施形態において、部品150は圧力側表面153を含む翼152、連結部分154、ブレード端155を含むリーディングエッジ158、およびプラットフォーム156を含む。ある実施形態に従えば、部品150は、該ブレード端155に連結された図示されていない外壁とともに形成されても良い。部品150は、タービン翼から熱を取り除く、図示されていない内部空冷通路を有しても良い。内部の空気が超合金ブレードから熱を吸収した後、その空気は翼壁における通路159を通して燃焼ガス流路中に放出される。特定の部品を含み、特定の形状および比率を有するものとしてタービン部品150を図示しているが、特にガスタービンエンジンのモデルと特定の用途に依存して、異なった形状、比率および大きさを別態様として使用しても良い。
[0016]図2は、ある実施形態に従った部品200の一部分の断面図である。部品200は、例えば図1において示したタービンブレードといったタービン翼であっても良く、基体201上に配置された保護コーティング領域202を含んでも良い。ある実施形態において、保護コーティング領域202は、接着コーティング204、熱障壁コーティング208、およびそれらの間に熱成長酸化物(TGO)210などの中間層を一層以上含んでも良い。一つの実施形態において、接着コーティング204は拡散アルミナイドコーティングである。アルミニウム層を部品200上に堆積させ、続いてアルミニウム層と基体を相互拡散させることによって、拡散アルミナイドコーティングを形成しても良い。一つの実施形態に従えば、拡散アルミナイドコーティングは、アルミニウムを基体201に拡散させて作成された単一層を含む、単なる拡散アルミナイドである。別の実施形態においては、拡散アルミナイドコーティングはより複雑な構造を有していても良く、アルミニウムおよび/または基体201中に拡散した一つ以上の追加の金属層を含んでも良い。例えば、追加の金属層は白金層、ハフニウムおよび/またはジルコニウム層、あるいはハフニウム、ジルコニウム、および白金を同時に堆積させた層を含んでも良い。別の実施形態においては、接着コーティング204はMCrAlXを含む重ね合わせ層であっても良く、ここでMはコバルト、ニッケル、またはこれらの組み合わせから選択される元素であり、Xはハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、タンタル、レニウム、ルテニウム、パラジウム、白金、ケイ素、またはこれらの組み合わせから選択される元素である。MCrAlX組成物のいくつかの例としては、NiCoCrAlYおよびCoNiCrAlYが挙げられる。別の例示的な実施形態においては、接着コーティング204は、MCrAlXコーティング上に形成された拡散アルミナイドコーティングなどの、二種類の接着コーティングの組み合わせを含んでも良い。いかなる場合においても、ある実施形態に従えば、接着コーティング204は約25ミクロン(μm)〜約150μmの範囲の厚みを有しても良い。他の実施形態においては、接着コーティング204の厚みはより厚くても薄くても良い。
[0017]熱障壁コーティング208を接着コーティング204の上に形成しても良く、例えば、セラミックを含んでも良い。一つの例として、熱障壁コーティング208は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの、部分的に安定化されたジルコニアベースの熱障壁コーティングを含んでも良い。ある実施形態において、熱障壁コーティングはGd、TiOなどの他の酸化物をドープしたイットリア安定化ジルコニアを含んでも良い。別の実施形態においては、熱障壁コーティング208は、厚みを変更可能であり、例えば、約50μm〜約300μmの範囲における厚みを有しても良い。他の実施形態において、熱障壁コーティング208の厚みは約100μm〜約250μmの範囲であっても良い。更に他の実施形態において、熱障壁コーティング208は前述の範囲より厚くても薄くても良い。
[0018]熱成長酸化物層210は、接着コーティング204と熱障壁コーティング208との間に位置することが出来る。ある実施形態において、熱成長酸化物層210は、接着コーティング204を含む上述の材料中のアルミニウムから成長させても良い。例えば、空気または酸素を含有する雰囲気下で接着コーティング204を高温に曝す間に、その表面で酸化が起こり、結果として酸化物層210の形成が生じても良い。一つの実施形態において、熱成長酸化物層210は比較的薄くても良く、2μm厚より薄くても良い。
[0019]コーティング領域202がその上に配置された基体201を、単結晶超合金材料から加工することが出来る。「単結晶超合金材料」とは、その全体を通して単一の結晶学上の方位を有し、高角粒界を実質的に含まないように形成した超合金材料として、定義することが出来る。いくつかの実施形態においては、傾斜粒界または回転粒界などの、約5°未満の角度で結晶学方位が異なる隣接したグレインの間の粒界として通常定義される小角粒界が、単結晶超合金材料の固化および形成の後、またはクリープあるいは他の変形プロセスの間に部品がいくらか変形した後に、単結晶超合金材料中に副次的な量で存在しても良い。しかし、好ましくは、小角粒界は単結晶超合金部品中に存在しない。
[0020]単結晶超合金材料は、加熱処理の後に、組織内にガンマプライム析出物の配列を形成する微細構造を有する材料を含んでも良い。ある実施形態において、組織は様々な合金化元素の添加によって強化されたニッケルを含んでも良い。完成した部品の物理的、化学的、および機械的な特性の協同的な最適化を達成し、かかる特性を部品の動作寿命の間最適に保持するために、単独で、または組み合わせることで望ましい特性を示すことの出来る合金化元素を選択する。加えて、合金化元素の選択は、単結晶部品のためにクリープ強度、相安定性、および耐環境性を提供する能力に依存しても良い。
[0021]ある実施形態において、クロム、コバルト、モリブデン、タングステン、レニウム、アルミニウム、タンタル、ルテニウム、ハフニウム、イットリウム、ランタン、炭素、およびホウ素から一種以上の合金化元素を選択しても良い。ある実施形態に従えば、これらの元素を含んで超合金組成物を形成しても良い。ある実施形態において、超合金組成物は、重量パーセントで約3.8〜約4.2パーセントのクロム、約10.0〜約10.5パーセントのコバルト、約1.8〜約2.2パーセントのモリブデン、約5.8〜約6.2パーセントのレニウム、約3.8〜約4.2パーセントのルテニウム、約5.5〜約5.8パーセントのアルミニウム、約5.8〜約6.2パーセントのタンタル、約4.8〜約5.2パーセントのタングステン、約0.13〜約0.17パーセントのハフニウム、および残分のニッケルを含んでも良い。別の実施形態に従って、超合金組成物は、重量パーセントで約0.001〜約0.015パーセントの、イットリウム、ランタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を更に含んでも良い。更に別の実施形態においては、超合金組成物は、重量パーセントで約0.02〜約0.06パーセントの炭素、および約0.003〜約0.006パーセントのホウ素を更にまた含んでも良い。いかなる場合においても、ある実施形態において、超合金組成物中に存在するモリブデンとタングステンとレニウムとタンタルとルテニウムの合計は、約20.0〜約25.0重量パーセントであっても良い。
[0022]組成物中にモリブデンおよびレニウムが含まれると、ガンマ組織とガンマプライム析出物との間の格子間不整合が増加することによって合金のクリープ強度および応力破断特性が改良されることを見出した。この点で、ある実施形態において、約1.8〜約2.2重量パーセントの量のモリブデン、および約5.8〜約6.2重量パーセントの量のレニウムを含んでも良い。加えて、レニウムは、ガンマプライム析出物の大きさを微細化することにより、ガンマ組織の強度の改良に貢献することが出来る。レニウムはまた、長い高温暴露の間にガンマプライム析出物の結晶粒が粗大化する速度を減少させることによって、合金のクリープ強度を改良することが出来る。超合金組成物にルテニウムを添加することが相安定性を促進することを見出した。更に、コバルトおよびクロムと、モリブデン、タングステン、タンタル、レニウム、およびルテニウムなどの強化元素を約20.0〜25.0重量パーセントの範囲でつりあわせることによって、PおよびRなどの位相的に最密充填された相、ならびにシグマ相の形成を避けても良い。
[0023]図3は、ある実施形態に従った、単結晶超合金部品を加工するためのプロセス300のフローダイヤグラムである。まず、工程302として、上述の超合金組成物の合金を最初に提供する。ある実施形態において、合金は前述の超合金組成物を含む。次に、工程304として、次いで単結晶超合金組成物を加工しても良い。ある実施形態に従って、工程302は単結晶タービン製品を形成するものでも良い。更なる処理をせずに、単結晶製品は様々な大きさを有するガンマプライム析出物(冷却ガンマプライムとして参照される)を含有するだろう。更に固溶および老化過熱処理手順を実行する場合には、ガンマプライム析出相はガンマ組織に溶解し、低温で実施される老化処理の間に再び析出する。
[0024]ガンマプライム相をガンマ組織に溶解させるために、ガンマプライム相のソルバス温度より高く、合金の融点より低い温度に単結晶部材を加熱する。融点とは、ある温度範囲以上で溶解する合金にとってのソリダス温度を意味し、単結晶部材をソルバス温度とソリダス温度の間の温度範囲に加熱し、ガンマプライム析出相がガンマ組織に溶解するのに十分な時間その温度を維持することが出来るように、ソルバス温度よりも十分に高くなければならない。ソリダス温度は約2400°F(約1315.56℃)〜2450°F(約1343.33℃)であり、商業的な加熱処理設備において、数℃以内の正確な制御は利用できない。ある実施形態においては、ソリダス温度はガンマプライム析出物のソルバス温度より少なくとも約15°F(約8.3℃)高くても良い。
[0025]「熱処理ウインドウ」またはガンマプライム相のソルバス温度と合金のソリダス温度との間の差は、少なくとも15°F(約8.3℃)であり、より好ましくは、約50°F(約27.8℃)より大きい。鋳造単結晶部材の熱処理のある実施形態においては、約2400°F(約1315.6℃)で約3時間部材を固溶熱処理して、固化の間に形成したガンマプライム析出相をガンマ組織に溶解させる。ガンマプライム相のソルバス温度とソリダス温度の間の熱処理窓の内部の任意の温度で、固溶熱処理を達成して良い。より高い温度はより短い熱処理時間を可能にする。しかし、熱処理設備の誤差範囲を許容するために、熱処理温度は最大レベルには引き上げない。熱処理工程が完了した後、固溶熱処理単結晶部材を急速に冷却して、ガンマプライムを形成する元素とともに組織を過飽和させる。高速不活性ガス風による約1000°F(約537.78℃)より低い温度への冷却が必要な過飽和を達成するのに十分であることを見出した。
[0026]固溶熱処理および過飽和冷却に続いて、固溶熱処理された単結晶部材を老化処理して、ガンマ組織からガンマプライム粒子を析出させる。老化熱処理は、コーティング処理から切り離すことも、コーティング処理と組み合わせることも出来る。ある実施形態においては、1150℃で4時間、続いて1080℃で4時間、そして899℃で4〜20時間の老化熱処理を実施した。前述のように、典型的には、使用前に、耐腐食性および耐酸化性コーティング、ならびに熱障壁コーティングでガスタービン部品をコートする。コーティング手順の間、コートされる部品を高温に加熱する。ある実施形態においては、部品を約1950°F(約1065.56℃)の温度で約4時間加熱する。この熱処理によりガンマ組織からガンマプライム相がいくらか析出し、それ故に、部分的に老化熱処理が達成される。コーティング手順から切り離して、更に高温に暴露することによって老化熱処理を完了しても良い。約1650°F(約899℃)で約4〜約20時間十分な追加の老化熱処理を達成し、続いて1950°F(約1065.56℃)で4時間熱処理を行う。老化熱処理は前述の熱処理過程に限定されず、ガンマ組織内の望ましい体積分率、形態および大きさのガンマプライム粒子を析出する許容可能な手法によって別のやり方で達成しても良く、ここで過飽和状態の熱処理されたガンマ組織から析出が発生しても良い。
[0027]いくつかの場合において、固化したものとしての単結晶の微細構造は、不規則なガンマプライム粒子およびガンマプライム共晶相の領域を含んでいても良い。固溶熱処理により、不規則なガンマプライム粒子および殆どまたは全てのガンマプライム共晶成分をガンマ組織中に溶解させてもよい。続いて、老化処理により一般的に立方形状で比較的均一な大きさを有するガンマプライム析出物の群を析出させる。ガンマプライム析出物は約0.3〜約0.5ミクロンの範囲で大きさが変化しても良い。
[0028]上記の単結晶超合金から単結晶超合金部品を加工するために、真空誘導融解および鋳造プロセスを用いてもよい。ある実施形態において、熱勾配固化法を用いてもよい。ここで、超合金組成物の溶融金属を、本質的に最終加工部品の目的形状を有する耐熱セラミック鋳型に流し込む。鋳型およびその中に含有された溶融金属を炉、誘導加熱コイル、または他の加熱装置内に配置して金属を融解し、温度勾配において鋳型及び溶融金属を徐々に冷却する。このプロセスにおいて、鋳型の端で冷却器に隣接した金属が最初に固化し、冷却が進むにつれ、金属内で固化された金属と液状の金属の接触面が徐々に移動する。鋳型の一端に隣接してチルブロックを配置し、次いで熱源の電源を落とすことで、制御された望ましい温度勾配において鋳型及び溶融金属を冷却および固化させることによって、かかる熱勾配固化を達成可能である。別の態様では、鋳型および溶融金属を徐々に熱源から引き離すことができる。
[0029]かかる熱勾配固化プロセスの間に、<001>などの特定の結晶学上の方位が他の方位を排除するようになるために、単一の粒子が物品の至る所で支配的になることが見出される。実質的に物品の全ての部分が同一の単結晶方位を有するように、単結晶方位の形成を急速に促進するための手法が用いられている。かかる手法は、シーディング(Seeding)を含み、これに従って、金属が初期にある方位を発達させるように、方位付けられた単結晶出発材料を最初に固化する金属に隣接して配置する。別の手法は幾何的選択プロセスである。しかし、別の態様で単結晶を形成するための他の手法を用いても良い。例えば、液状金属冷却プロセス、または鋳造を用いて単結晶のタービン部品を加工しても良い。このプロセスにおいて、ニッケルベースの超合金を融解して、マルチゾーンヒーターの内部に配置されたセラミック鋳型に流し込む。固化するために、キャスト部品を一定の速度で液体状の錫浴に浸す。
[0030]以上のように、ガスタービンブレードおよびガスタービン羽根といった、ガスタービンエンジンの高温部部品のための単結晶ニッケルベースの超合金組成物を提供した。該合金組成物は、伝統的な超合金材料よりも優れた機械的特性および耐環境特性を備えたかかる部品を提供する。
[0031]上記の本発明の主題の詳細な説明においては、少なくとも一つの例示的な実施形態が存在したが、膨大な数の変化形態が存在することが理解されるべきである。また、例示的な実施形態は実施例に過ぎず、いかなる方法においても本発明の主題の範囲、用途、または構成を限定することを意図していないことも理解されるべきである。むしろ、上記の詳細な説明は当業者に本発明の主題の例示的な実施形態を達成するための便利なロードマップを提供するだろう。そこでは、添付の特許請求の範囲、およびそれらの法的な均等物に記述されるものとしての本発明の主題の範囲から逸脱すること無く、例示的な実施形態において述べられている要素の機能および配置における様々な変更がなされ得ることが理解される。

Claims (3)

  1. 約3.8〜約4.2重量%のクロム;
    約10.0〜約10.5重量%のコバルト;
    約1.8〜約2.2重量%のモリブデン;
    約4.8〜約5.2重量%のタングステン;
    約5.8〜約6.2重量%のレニウム;
    約5.5〜約5.8重量%のアルミニウム;
    約5.8〜約6.2重量%のタンタル;
    約3.8〜約4.2重量%のルテニウム;
    約0.13〜約0.17重量%のハフニウム;及び
    残分のニッケル;
    から本質的になる、単結晶ニッケルベースの超合金組成物。
  2. 更に、イットリウム、ランタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.001〜約0.015重量%の材料から本質的になる、請求項1に記載の単結晶ニッケルベースの超合金組成物。
  3. 更に、約0.02〜約0.06重量%の炭素、および約0.003〜約0.006重量%のホウ素から本質的になる、請求項2に記載の単結晶ニッケルベースの超合金組成物。
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