JP2010007039A - 熱伝導シート - Google Patents

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勲夫 樋口
Takashi Watanabe
貴志 渡邉
Takuji Aoyama
卓司 青山
Yasunari Kusaka
康成 日下
Hiroshi Maenaka
寛 前中
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Abstract

【課題】厚さが100μm程度又は100μm以下であって、熱伝導性、耐熱性、絶縁性及び柔軟性に優れる熱伝導シートを提供する。
【解決手段】シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導シートであって、前記シリコーン系共重合体は、シロキサン構造からなる繰り返し単位と、極性基を有する構造からなる繰り返し単位とを有し、かつ、重量平均分子量が1万〜100万であり、
前記熱伝導性フィラーの含有量が30〜90体積%である熱伝導シートである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、厚さが100μm程度又は100μm以下であって、熱伝導性、耐熱性、絶縁性及び柔軟性に優れる熱伝導シートに関する。
電気部品、電子部品等においては、発熱体から発生した熱を放熱体に熱伝導して速やかに排熱する必要がある。この発熱体と放熱体とを結ぶ部材として熱伝導シート用いられている。熱伝導シートには、高い熱伝導性や絶縁性のほか、発熱体及び放熱体に充分に密着して高効率で熱伝導を行うために高い柔軟性も求められる。また、近年では、電気機器、電子機器の小型化の要請により、構成部材である熱伝導シートには薄膜化が求められている。とりわけ、LED照明やLEDバックライトの分野においては、厚さが100μm以下の熱伝導シートが求められている。
従来より熱伝導シートとしては、柔軟性、耐熱性に優れることから、ジメチルシリコーンを主骨格とし、過酸化物等を用いて三次元架橋させたシリコーン系の材料からなるものが主流であった(特許文献1等)。このようなシリコーン系の材料からなる熱伝導シートは、液状のシリコーン組成物を離型シート上に塗工した後、100℃程度の加熱を行う一次加硫工程にて硬化させ、更に、熱安定性を付与するために130℃程度の加熱を行う二次加硫工程を行うことにより製造することが一般的である。
しかしながら、上記二次加硫工程を離型シート上で行おうとすると、離型シート表面のシリコーンと熱伝導シートのシリコーン系の材料とが固着してしまい、二次加硫工程後に熱伝導シートを離型シートから剥離するのが困難になる。一方で、シリコーン系の材料と親和性の低いシート上に、上記液状のシリコーン組成物を塗工しようとしても、シート上に均一に上記液状のシリコーン組成物を塗工できないという問題点がある。フッ素樹脂製シート等の特殊なシート上に塗工すれば、シートとシリコーン系の材料との固着を防ぐことも可能であるが、製造コストの向上につながり、結果として生産性が低下する。そのため、一次加硫工程後に熱伝導シートを離型シートから剥離し、その後に熱伝導シートを浮揚させた状態で二次加硫工程を行うことが提案されていた(特許文献2)。
しかしながら、このような製造方法を採用するためには、一次加硫工程後の熱伝導シートには、浮揚に充分に耐えられる程度の自立性が要求される。従って、熱伝導シートの厚さを充分な自立性を確保できる程度にせざるを得ず、結果として、厚さ100μm程度又は100μm以下の薄い熱伝導シートを得ることは困難であった。
国際公開第02/091465号パンフレット 特開2002−299533号公報
本発明は、上記現状に鑑み、厚さが100μm程度又は100μm以下であって、熱伝導性、耐熱性、絶縁性及び柔軟性に優れる熱伝導シートを提供することを目的とする。
本発明は、シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導シートであって、前記シリコーン系共重合体は、シロキサン構造からなる繰り返し単位と、極性基を有する構造からなる繰り返し単位とを有し、かつ、重量平均分子量が1万〜100万であり、前記熱伝導性フィラーの含有量が30〜90体積%である熱伝導シートである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱伝導シートのマトリックス樹脂として、特定の構造を有するシリコーン系共重合体を用いることにより、塗工による製造が可能であり、また厚さ100μm程度又は100μm以下に薄膜化しても、加熱処理後に自立性を有し、かつ離型シートに固着することなく容易に剥離することができる熱伝導シートを得ることができることを見出した。この方法によれば、従来のシリコーン系の材料を用いた場合に比べて飛躍的に薄い熱伝導シートを得ることができる。更に、このようにして得られた熱伝導シートは、熱伝導性、耐熱性及び絶縁性に優れたものであり、柔軟性にも優れたものであるので発熱体や放熱体に対する密着性にも優れる。
本発明の熱伝導シートは、シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとを含有するものである。
上記シリコーン系共重合体は、シロキサン構造からなる繰り返し単位と、極性基を有する構造からなる繰り返し単位とを有する。
上記シロキサン構造からなる繰り返し単位は、いわゆるソフトセグメントとして機能するものであり、本発明の熱伝導シートに柔軟性と耐熱性とを付与するものである。
上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位は、いわゆるハードセグメントとして機能するものであり、本発明の熱伝導シートに二次加硫処理を施さずとも乾燥するだけで充分に自立性、取扱い性に優れたフィルムを形成できる機能を与えるものである。
また、上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位を有することにより、上記シリコーン系共重合体は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール等の極性溶剤に溶解できる。従って、適当な溶液を調製してこれを離型シート上に塗工した後に、乾燥させるだけで極めて薄いシート状体を容易に得ることができる。
上記シロキサン構造からなる繰り返し単位としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010007039
式(1)中、R、Rは、メチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルキル基、フェニレン、ナフタレン、又は、置換基を有するアリール基を意味し、R、R、R、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、ナフタレン、又は、置換基を有するアリール基を意味し、lは、5〜1000の整数を意味する。
なお、R、R、R、Rの置換基としては、アルキル基とアルキル基、アルキル基とアリール基、アリール基とアリール基の組み合わせがあり、該組み合わせの単独の重合体、又は、2種以上を含むブロック共重合体及び/又はランダム共重合体であってもよい。
lが5未満であると、ブロック構造をとりにくくエラストマーになりにくいことから、加熱処理しても製膜できないことがあり、1000を超えると、分子量が大きくなりすぎて塗工しにくいことがある。
上記一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位としては、特に限定されず、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルプロピルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン、ポリメチルオクチルシロキサン、ポリジオクチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等が挙げられる。これらの繰り返し単位は、上記シリコーン系共重合体中に1種類が単独で含有されていてもよく、2種類以上が複数で含有されていてもよい。なかでも、特に柔軟性に優れる熱伝導シートが得られることから、ポリジメチルシロキサンが好適である。
上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位としては、特に限定されないが、例えば、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合等を有する繰り返し単位が挙げられる。なかでも、イミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を有する繰り返し単位が好適である。イミド結合を有する繰り返し単位である場合には、得られる熱伝導シートは特に腰の強いものとなり、より厚さを薄くすることが可能となる。また、ウレタン結合又はウレア結合を有する繰り返し単位である場合には、得られる熱伝導シートは、特に柔軟性に優れるものとなる。これらの繰り返し単位は、上記シリコーン系共重合体中に1種類が単独で含有されていてもよく、2種類以上が複数で含有されていてもよい。
上記イミド結合を有する繰り返し単位としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010007039
式(2)中、Xは、芳香族又は脂環族テトラカルボン酸残基を表し、Yは、芳香族、脂環族、脂肪族ジアミン残基を表す。
上記一般式(2)中のXとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等の芳香族酸二無水物に由来する四価の有機基等が挙げられる。また、Xとしては、下記化学式(3)、(4)又は(5)で表される構造であってもよい。
Figure 2010007039
上記ウレタン結合を有する繰り返し単位としては特に限定されず、−R−NHCOO−R−で表される繰り返し単位等が挙げられる。ここで、R、Rは、メチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルキル基、フェニレン、ナフタレン、又は、置換基を有するアリール基を意味する。
上記ウレア結合を有する繰り返し単位としては特に限定されず、−R−NHCONH−R10−で表される繰り返し単位等が挙げられる。ここで、R、R10は、メチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルキル基、フェニレン、ナフタレン、又は、置換基を有するアリール基を意味する。
上記シリコーン系共重合体における上記シロキサン構造からなる繰り返し単位と上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位との配合比としては、特に限定されないが、重量比で50:50〜95:5であることが好ましい。上記シリコーン系共重合体における上記シロキサン構造からなる繰り返し単位と上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位との配合比がこの範囲内であると、特に取扱い性に優れたフィルムを形成でき、結果として、より薄い熱伝導シートとすることができる。
上記シリコーン系共重合体は、本発明の目的効果を損なわない範囲内において、上記シロキサン構造からなる繰り返し単位、極性基を有する構造からなる繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を有してもよい。
上記シリコーン系共重合体が上記他の繰り返し単位を有する場合、該他の繰り返し単位の含有量は30重量%以下であることが好ましい。上記シリコーン系共重合体中の上記他の繰り返し単位の含有量が30重量%を超えると、例えば、厚さ100μm以下に薄膜化した際に、柔軟性と耐熱性とのバランスに優れた熱伝導シートが得られないことがある。上記シリコーン系共重合体中の上記他の繰り返し単位の含有量は、より好ましくは20重量%以下である。
上記シリコーン系共重合体は、重量平均分子量の下限が1万、上限が100万である。上記シリコーン系共重合体の重量平均分子量が1万未満であると、熱伝導シートを製造する際にシート加工性に劣ったり、得られる熱伝導シートが脆くなったりし、100万を超えると、シリコーン系共重合体を溶媒へ溶解することが困難になったり、たとえ溶解できたとしても、溶液の粘度が非常に高くなるために、溶液中のシリコーン系共重合体の濃度を低くしなければならない。上記シリコーン系共重合体の重量平均分子量の好ましい下限は1万5千、好ましい上限は20万であり、より好ましい下限は2万、より好ましい上限は10万である。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、室温にて測定されるポリスチレン換算分子量の重量平均分子量を意味する。
上記シリコーン系共重合体のSP値の好ましい下限は7、好ましい上限は13である。ここで、SP値とは、溶解度パラメータを意味する。
上記シリコーン系共重合体のSP値がこの範囲内であると、メチルエチルケトン(SP値9.3)、シクロヘキサノン(SP値9.9)、イソプロピルアルコール(SP値11.5)等の沸点が50〜110℃程度の溶液キャスト法で一般的に塗工が可能な極性溶剤に可溶となる。
上記シリコーン系共重合体のSP値は、シロキサン構造からなる繰り返し単位と極性基を有する構造からなる繰り返し単位のそれぞれの体積分率の平均値から、下記式により算出することができる(M.Lantout, Z.Physik.Chem., Neue Folge,16,292,1958)。
δp=δAθA+δBθB
ここで、δpは共重合体のSP値、δAはA成分のSP値、θAはA成分の体積分率、δBはB成分のSP値、θBはB成分の体積分率である。
例えば、シリコーン系共重合体が、シロキサン構造からなる繰り返し単位がジメチルシロキサン成分(SP値=7.3)90体積%、極性基を有する構造からなる繰り返し単位がポリウレタン成分(SP値=10.0)10体積%からなるものである場合、SP値は7.57と算出される。
上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位のSP値の好ましい下限は9、好ましい上限は14である。上記極性基を有する構造からなる繰り返し単位のSP値と上記シロキサン構造からなる繰り返し単位のSP値とに差を確保することで、極性基を有する構造からなる繰り返し単位とシロキサン構造からなる繰り返し単位とが相分離構造を形成し、シリコーン系共重合体がエラストマーとしての性質を示すようになる。その結果、熱伝導シート中への後述する熱伝導フィラーの含有量を増加させることが可能となり、得られる熱伝導シートの放熱性が向上する。
上記シリコーン系共重合体は、シロキサン系モノマー又はシロキサン系ポリマーと、極性基を有する構造からなる化学骨格を有するモノマー又は極性基を有する構造からなる化学骨格を有するポリマーとを従来公知の方法により共重合することにより得ることができる。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位と上記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有するシリコーン系共重合体(以下、「イミドシリコーン系共重合体」ともいう)を例として、上記シリコーン系共重合体の調製方法をより詳しく説明する。
上記イミドシリコーン系共重合体は、例えば、テトラカルボン酸化合物と、ジアミン及びジアミノシロキサンとを脱水縮重合させることにより得ることができる。
なお、分子量調整のために、更にアミン又はアミノシロキサンを配合しても構わない(ジアミン及びジアミノシロキサン、アミン又はアミノシロキサンを合わせて、以下、「ジアミン成分」ともいう)。
具体的には、テトラカルボン酸化合物とジアミン成分との当量比が0.95〜1.05となるように反応器に仕込み、溶媒中で反応させる。反応させる際の好ましい手順は、反応容器に溶媒を注入した後に、ジアミン成分を溶媒に分散又は溶解させ、その後、テトラカルボン酸化合物を溶媒に溶解、分散させる。このようにすることで、粘度のコントロールがしやすくなる。
上記テトラカルボン酸化合物としては、特に限定されず、例えば、芳香族テトラカルボン酸化合物、脂環式テトラカルボン酸化合物、及び、その一無水物、二無水物、モノエステル、ジエステル等の誘導体を用いることができる。具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、3,3’,4,4’−(2,2−ジフェニルプロパン)テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−(2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン)テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]エタン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等や、これらのテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸や、そのエステル、ジエステルなどの反応性誘導体が挙げられる。これらのテトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐熱性の観点から芳香族テトラカルボン酸が好適であり、芳香族テトラカルボン酸が全テトラカルボン酸化合物中の50%モル以上含まれることが好ましく、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
上記ジアミノシロキサン以外のジアミンとしては、特に限定されず、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、o−,m−,p−フェニレンジアミン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、3,6−ジアミノジュレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアルキル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノビナフチル、4,4’−ジアミノベンズアニリドの芳香族ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタンジアミン、ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。なお、これらのジアミンとしては、対応するイソシアネート化合物の形で用いてもよい。これらのジアミンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも耐熱性の観点から、芳香族ジアミンが好適である。
上記芳香族ジアミンのなかでも、低硬度の観点から、エーテル結合を有するものが好ましい。
上記エーテル結合を有する芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
上記芳香族ジアミンを用いる場合、芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの合計量が、全ジアミン成分中の50モル%以上を占めることが好ましい。芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの合計量は、より好ましくは70モル%以上であり、更に好ましくは100モル%である。
上記方法によりイミドシリコーン系共重合体を製造する際には、分子量調整のために無水フタル酸等の末端封鎖剤を用いたり、分子量の調整のために反応途中に酸無水物、ジアミンを添加したり、前駆体であるポリアミック酸の安定性を高めるためカルボン酸のエステル化、シリル化等を行なったりしてもよい。また、酸無水物のハーフエステルとジアミンの混合物を加熱することによりイミドシリコーン系共重合体を製造してもよい。
上記シロキサン構造からなる繰り返し単位と、ウレタン結合又はウレア結合を有する繰り返し単位とを有するシリコーン系共重合体は、イソシアネート基を有する重合性単量体と末端に水酸基又はアミノ基を有するシロキサン系単量体とを共重合させる方法により調製することができる。
上記イソシアネート基を有する重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、4,4’−フェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジシクロヘキシルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物をチェインエクステンダーにより高分子量化したもの等がある。このようなチェインエクステンダーとしては、エチレングリコール、1,4’−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ハイドロキノンビス(2−ハイドロキシエチル)エーテル等が挙げられる。
上記極性基を有する構造がウレア結合からなるシリコーン系共重合体は、例えば、特開平10−101766号公報や特表2006−521420号公報に記載されている方法を用いて合成することができる。
本発明の熱伝導シートは、熱伝導性フィラーを含有する。熱伝導性フィラーとしては、絶縁性が要求されるため、金属を使用することは困難であり、セラミック系のものが好ましい。具体的には、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛等が挙げられる。なかでも、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素が好ましい。窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素は、イミドシリコーン系共重合体を用いた場合にポリマー中のイミド結合やシロキサン結合との親和性が高いため、分散性が優れる。分散性が低い場合には、凝集して空気層が形成されることにより、得られる熱伝導シートの絶縁破壊性が劣ることがある。
上記熱伝導性フィラーの形状としては特に限定されないが、球状であることが好ましい。球状であることにより、上記熱伝導性フィラーを本発明の熱伝導シート中に高充填しやすくなるため、好ましい。
本発明の熱伝導シートにおける上記熱伝導性フィラーの配合量の下限は30体積%、上限は90体積%である。上記熱伝導性フィラーの配合量が30体積%未満であると、本発明の熱伝導シートに充分な熱伝導性が得られなくなる。上記熱伝導性フィラーの配合量が90体積%を超えると、樹脂成分が少なすぎるために、樹脂がフィラーの隙間を埋め切れなくなって軽石のようにシートに気泡が入るために、本発明の熱伝導シートは充分な熱伝導性、絶縁性、シート強度が得られなくなる。上記熱伝導性フィラーの配合量の好ましい下限は55体積%、好ましい上限は75体積%である。なお、本明細書において、熱伝導性フィラーの配合量を表す体積%とは、本発明の熱伝導シートの体積を100体積%とした場合の割合を示す値である。
上記熱伝導性フィラーの粒子径としては、その累積体積分率と粒子径との関係がFuller曲線にできるだけ近い曲線(以下、Fuller曲線様ともいう)を描くように調整されることが好ましい。すなわち、上記熱伝導性フィラーを、その累積体積分率と粒子径とがFuller曲線様を描くように配合することで最密充填となるため、本発明の熱伝導シートが充分な熱伝導性を得ることができる。なお、本明細書において、Fuller曲線にできるだけ近い曲線(Fuller曲線様)とは、累積体積分率と粒子径とのグラフを、粒子径が大きくなるにつれて累積体積分率が増えるように描いたときに、累積体積分率が30%のときの粒径をφ30、累積体積分率が70%のときの粒径をφ70としたときに、φ70/φ30が3.0以上である曲線のことをいう。
また、粒子径が小さい粒子を増やすと、シートの表面に粒子が出ることによってタック性を出すことが困難になる傾向にあるため、特に粒子径が大きい領域で、Fuller曲線様に近づけることが好ましい。
よって、例えば、上記熱伝導性フィラーの粒子径の分布が、その累積体積分率との関係でFuller曲線様を描くような場合、このような熱伝導性フィラー1種のみを用いればよい。一方、1種の熱伝導性フィラーのみではFuller曲線様が描けない場合には、異なる粒子径分布を有する2種以上の熱伝導性フィラーを併用し、累積体積分率との関係でFuller曲線様になるような粒子径分布とすることが好ましい。このように粒子径分布の異なるフィラーを2種以上用いる場合は、上記Fuller曲線と、粒子径と累積体積分率の合成曲線とを用いて適宜粒子径分布及び配合量を調整することが好ましい。
上記粒子径分布の異なる熱伝導性フィラーを2種選択する場合の具体的な例としては、平均粒子径が1〜5μmの熱伝導性フィラー(小フィラー)を、フィラー全体100体積%中の30〜70体積%、平均粒子径が10〜60μmの熱伝導性フィラー(大フィラー)をフィラー全体100体積%中の30〜70体積%配合すること等が挙げられる。
上記小フィラーの平均粒子径が1μm未満であると、その配合量を多くする必要があり、本発明の熱伝導シートに充分なタック性が得られないことがある。上記小フィラーの平均粒子径が5μmを超えたり、大フィラーの平均粒子径が10μm未満であったりする場合、又は、これらの配合量が上記範囲から大きく外れる場合、Fullerの曲線様の粒子径と配合量との調整が困難になる場合がある。また、上記大フィラーの平均粒子径が60μmを超えたり、シートの厚みの半分を超えたりしたものの配合量が多くなると、シートの表面性が悪くなる場合がある。
このような2種の小フィラーと大フィラーとを含有する熱伝導性フィラーにおいて、小フィラーの粒子径分布は1〜10μmであることが好ましく、大フィラーの粒子径分布は10〜100μmであることが好ましい。
しかし、先にも述べたように結果的に累積体積分率曲線がFuller曲線様になれば、フィラーの選択は自由である。
本発明の熱伝導シートは、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、上記熱伝導性フィラーの分散性が向上する。また、シランカップリング剤は、上記シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとの密着性を向上させる効果もあり、界面におけるボイドの発生や、絶縁破壊電圧の低下、破断伸度の低下によるシートの強靱性の低下等を防止することができる。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、上記シリコーン系共重合体中の極性基を有する構造からなる繰り返し単位の極性基との相互作用により、より高い熱伝導フィラーの分散性向上効果が得られることから、構造中に極性基を有するものが好適である。
上記構造中に極性基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アシノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−β(アシノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記シリコーン系共重合体中の極性基の種類により、最適なシランカップリング剤は異なってくると考えられる。例えば、シリコーン系共重合体中の極性基がウレア結合又はウレタン結合である場合には、グリシジル基やイソシアネート基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤の配合量としては特に限定されないが、上記シリコーン系共重合体100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の配合量が0.1重量部未満であると、上記シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとの間の接着力が不充分となることがあり、絶縁破壊電圧や強靱性の改善効果が充分に得られないことがある。上記シランカップリング剤の配合量が10重量部を超えると、上記シリコーン系共重合体の粘着感が大きくなり、加工性が低下したり、シートから未反応のシランカップリング剤がブリードしたりすることがある。上記シランカップリング剤の配合量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の熱伝導シートは、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲でチキソ性付与剤、分散剤、難燃剤、酸化防止剤等が含有されていてもよい。
本発明の熱伝導シートは、熱伝導率の好ましい下限が1.0W/m・Kである。熱伝導率が1.0W/m・K未満であると、本発明の熱伝導シートを放熱部材等に用いた場合に、その熱伝導性が不充分となることがある。熱伝導率のより好ましい下限は1.5W/m・Kである。熱伝導率は高ければ高いほど好ましいため上限は特にないが、10W/m・K以上になってくると、絶縁破壊電圧を維持しつつ熱伝導率を上げることが困難になってくる。
本発明の熱伝導シートは、上述の構成を有するため、優れた絶縁性を有する。一般にポリイミドは、絶縁性ポリマーの中でも特に高い絶縁破壊電圧を有する。従って、例えば上記イミドシリコーン系共重合体には、ポリイミドが含まれる為に、高い絶縁破壊電圧を有する。このため、一般には、熱伝導性フィラーを大量配合すると絶縁破壊電圧が低下する傾向にあるが、イミドシリコーン系共重合体は同レベルの絶縁破壊電圧であっても、フィラーの配合量を増やすことができ、高い熱伝導率を発現させることができる。
絶縁性は、絶縁破壊電圧で評価することができる。
本発明の熱伝導シートにおいて、絶縁破壊電圧の好ましい下限は10kV/mmである。絶縁破壊電圧が10kV/mm未満であると、絶縁性が充分でない場合がある。絶縁破壊電圧のより好ましい下限は20kV/mmである。また、絶縁破壊電圧は高ければ高いほど好ましいため、上限は特に限定されない。
本発明の熱伝導シートの厚さとしては限定されないが、100μm以下である場合に特に効果を発揮し得る。上記シリコーン系共重合体をマトリックス樹脂として用いることにより、これほどの薄膜化が可能となる。熱伝導シートの厚さが100μmを超えると、熱伝導性が低下し放熱性が悪くなることがある。また、熱抵抗が大きくなり、発熱体からの熱伝導の効率が低下する。熱伝導シートの厚さの下限については特に限定されないが、絶縁性等を考慮すると、30μm程度が実質的な下限である。
本発明の熱伝導シートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、溶剤キャスト法、押し出し成膜等の方法が好適である。なかでも、熱伝導性フィラーの配合率を上げたい場合には、溶剤キャスト法が好ましい。上記シリコーン系共重合体は、極性基を有する構造からなる繰り返し単位を有することにより有機溶剤への溶解性が高くなることから、溶剤キャスト法が可能である。
本発明の熱伝導シートは、粘着性を有していることが好ましい。本発明の熱伝導シートが粘着性を有する場合には、被着体と熱伝導シートとを容易に固着でき、また、熱伝導シートを被着体に密着させることで、熱伝導率の低い空気層による接触熱抵抗を小さくし、より高い放熱性を発揮することができる。
本発明の熱伝導シートに粘着性を付与する方法としては、粘着付与剤を配合して熱伝導シート自体に粘着性を付与する方法、少なくとも一方の面に粘着剤層を積層する方法等が挙げられる。上記熱伝導シート自体に粘着性を発現させる方法では、単層で粘着性を発現させることができる。上記粘着剤層を積層する方法では、高いシート強度を得ることができる。
上記粘着付与剤を配合して熱伝導シート自体に粘着性を付与する方法について説明する。
上記粘着付与剤としては、例えば、Si−OH基を含有するシリコーンレジンが挙げられる。本発明の熱伝導シートを構成するシリコーン系共重合体は、疎水性が高いために濡れ性が低いことから粘着性がほとんどない。粘着付与剤としてSi−OH基を含有するシリコーンレジンを添加することにより、該シリコーンレジン中に含まれる水酸基により、被着体との濡れ性が改善し、粘着性が発現する。
上記Si−OH基を含有するシリコーンレジンとしては、M単位(RSiO1/2)と、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)及びD単位(RSiO)からなる群より選択される少なくとも1種の単位(Rは、一価炭化水素基又は水酸基を表す)とを有する共重合体からなるポリオルガノシロキサンが好適である。これらのポリオルガノシロキサンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、凝集力、粘着性、タックのバランスが優れていることから、M単位とQ単位とを有する共重合体からなるポリオルガノシロキサン(MQレジン)がより好ましい。
上記ポリオルガノシロキサンは、必要に応じてビニル基等の種々の官能基が導入されていてもよい。特に本発明の熱伝導シートがシロキサン系架橋剤を含有する場合には、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。
上記ポリオルガノシロキサンにおいて、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)及びD単位(RSiO)からなる群より選択される少なくとも1種の単位に対するM単位(RSiO1/2)の比率としては特に限定されないが、0.3〜1.5が好ましい。より好ましくは0.5〜1.3である。
上記粘着付与剤の配合量としては特に限定されず、上記シリコーン系共重合体100重量部に対する好ましい下限は60重量部、好ましい上限は900重量部である。上記粘着付与剤の配合量が60重量部未満であると、充分な粘着力を発揮できないことがあり、900重量部を超えると、シリコーン系共重合体の割合が少なくなりすぎるために、熱伝導シートのシート性を保つことが困難となることがある。上記粘着付与剤の配合量のより好ましい下限は100重量部、より好ましい上限は800重量部である。なお、上記シリコーン系共重合体のガラス転移温度が高い場合には多く配合し、シリコーン系共重合体のガラス転移温度が低い場合には少なく配合することが好ましい。上記粘着性付与剤は、シリコーン系共重合体との部分縮合物又は混合物として配合される。
本発明の熱伝導シートは、更に、上記シリコーン系共重合体を架橋する架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含有することにより、本発明の熱伝導シートの強度を向上させることができる。
上記架橋剤としては、例えば、過酸化物系架橋剤、SiH基を有するシロキサン系架橋剤等が挙げられる。
上記過酸化物系架橋剤はラジカル反応型の架橋を行うものである。
前記過酸化物架橋剤としては、従来よりシリコーン系粘着剤に使用されている各種のものを使用できる。例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロ−ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジ−イソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
シリコーン系共重合体の極性基と過酸化物系架橋剤との組み合わせによっては、ラジカル反応によってシリコーン系共重合体が分解してしまうことがある。その場合は過酸化物系架橋剤を適宜選択する必要がある。
上記過酸化物系架橋剤の配合量は、上記シリコーン系共重合体100重量部に対し好ましい下限が0.15重量部、好ましい上限が2重量部である。上記過酸化物系架橋剤の配合量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は1.4重量部である。
上記シロキサン系架橋剤はビニル基等のアルケニル基とポリオルガノハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応を用いた付加反応型の架橋を行うものである。
上記シロキサン系架橋剤として、例えば、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも平均2個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。ここで、ケイ素原子に結合した有機基としてはアルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。なかでも、合成及び取り扱いが容易なことから、メチル基が好ましい。シロキサン骨格構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状がよく用いられる。
上記シロキサン系架橋剤は、上記シリコーン系共重合体及び粘着付与剤中のビニル基1個に対して、ケイ素原子に結合した水素原子が1〜30個、好ましくは4〜17個になるように配合する。ケイ素原子に結合した水素原子が1個未満では、充分な凝集力が得られず、30個を超える場合には接着特性が低下することがある。
上記シロキサン系架橋剤を用いる場合には、白金触媒等の触媒を配合することが好ましい。ただし、上記シリコーン系共重合体を構成する極性基の構造によっては、触媒の活性を失う場合がある。なお、シロキサン系架橋剤を用いる場合には、シリコーン系共重合体及び/又は粘着付与剤としてビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いるが、そのビニル基は、0.0001〜0.01モル/100g程度とすることが好ましい。
本発明の熱伝導シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を積層する方法について説明する。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等の従来公知の粘着剤を用いることができる。また、上述のシリコーン系共重合体に粘着付与剤を配合したものも用いることができる。なかでも、耐熱性、熱伝導シートを形成するシリコーン系共重合体に対する密着性に優れることから、シリコーン系粘着剤が好適である。
上記シリコーン系粘着剤としては、付加重合型シリコーン粘着剤、過酸化物架橋型シリコーン粘着剤のいずれも用いることができる。なかでも、特に耐熱性、密着性に優れることから、付加重合型シリコーン粘着剤が好適である。
上記シリコーン粘着剤としては、一般に市販されているものを用いることができる。被着体の凹凸が大きい場合は高いタック性を有するものを選択し、被着体との密着性を高めることが必要な場合は高い粘着性を有するものを選択することが好ましい。
上記粘着剤層の厚さの好ましい下限は1μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚さが1μm未満であると、密着性が低く、放熱性を発揮できないことがあり、100μmを超えると、熱伝導シート全体の厚さが厚くなり、熱伝導率が悪化して放熱性が悪くなることがある。
なお、上記粘着剤層の厚さは、熱伝導シート及び被着体の凹凸に応じて適宜調整すればよい。熱伝導シート及び被着体の表面が充分に平滑な場合には薄くてもよく、熱伝導シート又は被着体の表面の凹凸が大きい場合には隙間を埋めるために厚くすべきである。
上記粘着剤層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、熱伝導シートの表面に上記粘着剤を含有する溶液を塗工し、乾燥させる方法や、離型シート上に形成した粘着剤層を熱伝導シート上に転写する方法等が挙げられる。ただし、上記熱伝導シートの表面に上記粘着剤を含有する溶液を塗工し乾燥させる方法では、熱伝導シートを構成するシリコーン系共重合体の構造によっては、付加重合型シリコーン粘着剤の硬化触媒として一般的に用いられる白金触媒の硬化阻害が起こる場合があるので、注意が必要である。
上記粘着剤層を形成する場合には、粘着剤層との密着性を向上させる目的で、粘着剤層が形成される熱伝導シートの表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の熱伝導シートが粘着性を有する場合には、取扱い性を向上する目的で、粘着面を離型フィルムで保護することが好ましい。
上記離型フィルムとしては、シリコーン離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、フッ素樹脂や硬化性含フッ素シリコーン等で離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。
本発明によれば、厚さが100μm程度又は100μm以下であって、熱伝導性、耐熱性、絶縁性及び柔軟性に優れる熱伝導シートを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1〜6)
シリコーン系共重合体、熱伝導性フィラー、シランカップリング剤及び溶剤を表1に示す重量部で配合し、ホモディスパーを用いて1000rpmで20分撹拌させた後、シンキー社製練太郎ARE250を用いて脱泡し、塗液を調製した。
得られた塗液をシリコーン離型層を有する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にナイフコーターを用いて塗工し、オーブンにて50℃、10分間乾燥した後、更に続けて100℃、20分間乾燥し、厚さ100μmの熱伝導シートを得た。実施例6については、更に150℃、20分間乾燥し、イミド閉環反応を行った。
表1における各原料の詳細を以下に示す。
(A)シリコーン系共重合体
(1)ウレア結合含有シリコーン系共重合体A
内容量2Lの金属混練機内に4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デグサ社製)162g(628mmol)、片末端アミノ基変性ポリジメチルシロキサン(モメンティブ社製、商品名:TSF4709)(分子量10000)900g(90mmol)を投入し、70〜90℃で溶解後、撹拌を2時間行った。その後、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)65g(625mmol)をゆっくり加え、30分混練し、続けて未反応のネオペンチルグリコールを減圧除去した。得られたシリコーン系共重合体Aは20重量%になるようにイソプロピルアルコールに溶解させて使用した。なお、イソシアネート基の消失はIRスペクトルにて確認した。
得られたシリコーン系共重合体A中のシリコーン含有量は80重量%、重量平均分子量は25000であり、SP値は7.8、極性基を有する構造(ポリウレタン)からなる繰り返し単位のSP値は10である。
(2)ウレア結合含有シリコーン系共重合体B
内容量2Lの金属混練機内に4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デグサ社製)72g(280mmol)、片末端アミノ基変性ポリジメチルシロキサン(モメンティブ社製、商品名:TSF4709)(分子量10000)900g(90mmol)を投入し、70〜90℃で溶解後、撹拌を2時間行った。その後、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)30g(288mmol)をゆっくり加え、30分混練し、続けて未反応のネオペンチルグリコールを減圧除去した。得られたシリコーン系共重合体Bは20重量%になるようにメチルエチルケトンに溶解させて使用した。なお、イソシアネート基の消失はIRスペクトルにて確認した。
得られたシリコーン系共重合体B中のシリコーン含有量は90重量%、重量平均分子量は22000であり、SP値は7.6、極性基を有する構造(ポリウレタン)からなる繰り返し単位のSP値は10である。
(3)ウレア結合含有シリコーン系共重合体C
内容量2Lの金属混練機内に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン社製)61g(243mmol)、片末端アミノ基変性ポリジメチルシロキサン(モメンティブ社製、商品名:TSF4709)(分子量10000)1000g(100mmol)を投入し、70〜90℃で溶解後、撹拌を2時間行った。その後、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)20g(192mmol)をゆっくり加え、30分混練し、続けて未反応のネオペンチルグリコールを減圧除去した。得られたシリコーン系共重合体Cは20重量%になるようにメチルエチルケトンに溶解させて使用した。なお、イソシアネート基の消失はIRスペクトルにて確認した。
得られたシリコーン系共重合体C中のシリコーン含有量は92重量%、重量平均分子量は21000であり、SP値は7.5、極性基を有する構造(ポリウレタン)からなる繰り返し単位のSP値は10である。
(4)イミド結合含有シリコーン系共重合体
以下の方法により調製した。即ち、窒素導入管と冷却装置と攪拌器の付いた反応容器にサイラプレーンFM−3325(チッソ社製、末端ジアミン変性ポリジメチルシロキサン、数平均分子量5000)1000g(0.2モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業社製)160g(0.8モル)、N−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製)3774gを入れ、室温で攪拌して溶解した。10℃に冷却してピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業製)218g(1.0モル)を粉末の状態で添加し反応させた。30分後冷却を止め、室温で1時間攪拌して、イミド結合を有するシリコーン系共重合体の前駆体溶液を得た。得られた前駆体に対してイミド閉環反応を施すことで、イミド結合を有するシリコーン系共重合体を得ることができる。イミド結合を有するシリコーン系共重合体の重量平均分子量は90000であり、SP値は8.4、極性基を有する構造からなる繰り返し単位のSP値は12.3である。
(B)その他のシリコーン系ポリマー
(1)ミラブル型シリコーン(モメンティブ社製、商品名:TSE−201)
なお、(1)の使用に当たっては、ミラブル型シリコーン用架橋剤(モメンティブ社製、商品名:TC−12(p−メチルベンゾイルパーオキサイドを50%含有)も併用した。
(2)2液型シリコーン(モメンティブ社製、商品名:TSE−3450A及びTSE−3450B)
(C)熱伝導性フィラー
(1)球状アルミナ(住友化学社製、商品名:AKP−30、平均粒径0.4μm、アスペクト比1.1〜2.0、熱伝導率36W/m・K)
(2)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−05、平均粒径5μm、アスペクト比1〜1.2、熱伝導率36W/m・K)
(3)球状アルミナ(アドマテックス社製、商品名:AO−820、平均粒径20μm、アスペクト比1〜1.1、熱伝導率36W/m・K)
(D)シランカップリング剤
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBE−303)
(実施例7、8)
シリコーン系共重合体、MQレジン(M/Qモル比=1.0)、熱伝導性フィラー、シランカップリング剤及び溶剤を表1に示す重量部で配合し、ホモディスパーを用いて1000rpmで20分撹拌させた後、シンキー社製練太郎ARE250を用いて脱泡し、塗液を調製した。
得られた塗液をシリコーン離型層を有する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にナイフコーターを用いて塗工し、オーブンにて50℃、10分間乾燥した後、続けて100℃、20分間乾燥し、厚さ110μmの単層の両面粘着熱伝導テープを得た。
(実施例9)
ビニル基含有ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製、SD4570)100重量部に、シロキサン系架橋剤(信越化学工業社製、SRX212)0.9重量部を配合し、シンキー社製練太郎ARE250を用いて撹拌・脱泡し、付加重合型シリコーン粘着剤液を調製した。
フッ素シリコーンで離型処理されたPETフィルムに粘着剤液を塗工し、100℃で5分間加熱硬化することで、厚さ5μmの付加重合型シリコーン系粘着剤を得た。
実施例1で作製した厚さ100μmの熱伝導シートの両面に得られた付加重合型シリコーン系粘着剤をラミネーターを用いて積層し、厚さ110μmの両面粘着熱伝導テープを得た。
(実施例10)
シリコーンレジン含有ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製、SH4280)100重量部にジベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製ナイパーFF:有効成分50%)1.0重量部を配合し、シンキー社製練太郎ARE250を用いて撹拌・脱泡し、過酸化物架橋型シリコーン粘着剤液を調製した。
フッ素シリコーンで離型処理されたPETフィルムに塗工し、150℃で10分間加熱硬化することで、厚さ5μmの過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤を得た。
実施例1で作製した厚さ100μmの熱伝導シートの両面に得られた過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤をラミネーターを用いて積層し、厚さ110μmの両面粘着熱伝導テープを得た。
(実施例11)
実施例1で作製した厚さ100μmの熱伝導シートの両面をコロナ処理し、両面に厚さ5μmのアクリル系粘着剤からなる基材レス両面テープ(積水化学工業社製、#5511)をラミネーターを用いて積層し、厚さ110μmの両面粘着熱伝導テープを得た。
(比較例1)
ミラブル型シリコーン、熱伝導性フィラー、シランカップリング剤及び溶剤を表2に示す重量部で配合し、ホモディスパーを用いて1000rpmで20分撹拌させた後、シンキー社製練太郎ARE250を用いて脱泡し、塗液を調製した。
得られた塗液をシリコーン離型層を有する厚さ50μmのPETシート上にナイフコーターを用いて塗工し、オーブンにて50℃で10分間、100℃で20分間、130℃で30分間乾燥させた。得られた厚さ100μmの熱伝導シートは剥離が困難であった。
(比較例2)
シリコーン離型層を有する厚さ50μmのPETシートの代わりに、フッ素シリコーンで離型処理されたPETフィルムを用いた以外は比較例1と同様にして厚さ100μmの熱伝導シートを得た。
(比較例3)
シリコーン系共重合体の代わりに2液型シリコーンを用いたこと以外は、実施例1と同様に表1に示す配合にて厚さ100μmの熱伝導シートを得た。PETシート上から剥離することは困難であった。
(比較例4)
シリコーン離型層を有する厚さ50μmのPETシートの代わりに、フッ素シリコーンで離型処理されたPETフィルムを用いた以外は比較例3と同様にして厚さ100μmの熱伝導シートを得た。
(比較例5)
シリコーン系共重合体、熱伝導性フィラー、シランカップリング剤及び溶剤を表1に示す重量部で配合し、ホモディスパーを用いて1000rpmで20分撹拌させた後、シンキー社製練太郎ARE250を用いて脱泡し、塗液を調製した。
得られた塗液をシリコーン離型層を有する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にナイフコーターを用いて塗工し、オーブンにて50℃、10分間乾燥した後、更に続けて100℃、20分間乾燥し、厚さ100μmの熱伝導シートを得た。
(評価)
実施例及び比較例で得た熱伝導シートについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1及び表2に示した。
(1)剥離性の評価
室温(23℃)において離型PETシートから熱伝導シートを剥離したときのハンドリング性を、熱伝導シートの変形がなく、容易に剥離可能である場合を「〇」、熱伝導シートを剥離できるが、シート伸びや破断が発生する場合を「△」、熱伝導シートを剥離できない場合を「×」として評価した。
(2)熱伝導率の測定
ブルカーAXS社製熱拡散率計「ナノフラッシュ」を用いて測定した。
(3)絶縁破壊電圧の測定
熱伝導シートを100mm×100mm角に切り出したものを、耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、1kV/秒の速度で電圧上昇して、絶縁破壊電圧を測定した。
(4)引張弾性率及び引張強度の測定
熱伝導シートを10mm×150mm角に切り出したものを、引張試験機(テンシロンRTC、Orientec社製)を用いて、20mm/分の速度で荷重を測定しながら引っ張り試験を行い、引張弾性率及び引張破断強度を測定した。
(5)耐熱性の評価
シートを125℃で500時間加熱し、(4)と同様に引張弾性率を測定した。弾性率比を以下の式で計算した。
弾性率比=加熱後弾性率/初期弾性率
(6)90度剥離力の測定
実施例7〜11で作製した熱伝導テープを25mm×150mm角に切り出し、アルミ板に重さ2kgのローラーを1往復させて貼り付けた。20分放置後、引張試験機(テンシロンRTC、Orientec社製)を用いて、アルミ板に対して90度の角度を保ちながら300mm/分の速度で剥離試験を行い、25mm当たりの平均荷重(N/25mm)を測定した。
Figure 2010007039
Figure 2010007039
シリコーン系共重合体を用いた実施例は、塗工により厚さ100μm程度の薄膜シートを容易に得ることができることが判った。一方、ミラブル型シリコーンや2液型シリコーンを用いた比較例では、フッ素樹脂製の特殊な基材を使うことで、塗工により厚さ100μm程度の薄膜シートを得ることができる。フィラーが極端に多い比較例5はシート強度が低いために剥離が若干困難であり、熱伝導率や絶縁破壊電圧が低かった。表1より、シリコーン系共重合体を用いた実施例は、比較例に対し、同じ熱伝導率で比較すると、高い絶縁破壊電圧を得ることができることが判った。また、柔軟性や強度についても、従来のシリコーン系同等以上を保つことができることが判った。
また、MQレジンを配合することで粘着性を付与することができること(実施例7〜8)、粘着剤層を積層することでも粘着性を付与することができることが判った(実施例9〜11)。
本発明によれば、厚さが100μm程度もしくは100μm以下であって、熱伝導性、耐熱性、絶縁性及び柔軟性に優れる熱伝導シートを提供することができる。

Claims (6)

  1. シリコーン系共重合体と熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導シートであって、
    前記シリコーン系共重合体は、シロキサン構造からなる繰り返し単位と、極性基を有する構造からなる繰り返し単位とを有し、かつ、重量平均分子量が1万〜100万であり、
    前記熱伝導性フィラーの含有量が30〜90体積%である
    ことを特徴とする熱伝導シート。
  2. シリコーン系共重合体は、全体のSP値が7〜13、かつ、極性基を有する構造からなる繰り返し単位部分のSP値が9〜14であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導シート。
  3. 極性基を有する構造からなる繰り返し単位が、イミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱伝導シート。
  4. 更に、シリコーン系共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部のシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱伝導シート。
  5. 更に、M単位(RSiO1/2)と、Q単位(SiO)、T単位(RSiO3/2)及びD単位(RSiO)からなる群より選択される少なくとも1種の単位(Rは、一価炭化水素基又は水酸基を表す)とを有する共重合体からなるポリオルガノシロキサンを、シリコーン系共重合体100重量部に対して60〜900重量部含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の熱伝導シート。
  6. 少なくとも一方の面に粘着剤層を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の熱伝導シート。
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