JP2010006916A - 難燃性塗膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境に優しい成分のみからなり、適用対象物に十分な難燃性、耐炎性、耐熱性等を付与することができ、また、多くの対象物に対して塗れ性が良く、ポットライフが長い、クラックが入らない等の施工性にも優れる水性の難燃性塗膜形成組成物を提供すること。
【解決手段】ポリ塩化アルミニウム、「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」、タルク及び水を含有することを特徴とする難燃性塗膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性塗膜形成用組成物に関し、より詳しくは、対象物の表面に塗布することで、対象物に耐熱、耐炎、難燃性能等を付与することのできる難燃性塗膜形成用組成物に関する。
合成樹脂、木材、その他各種建築材料等の表面に塗布して対象物を難燃化する為の難燃化用塗料は既に多くのものが報告されている。それらの中でも近年は環境への配慮から有機溶剤を含まない水性の難燃化用塗料への切り替えが進んでいる。例えば、加熱時に膨張して耐火発泡層を形成する発泡型難燃化用塗料が数多く提案されており、特許文献1には結合剤として合成樹脂エマルションを使用した水性タイプの塗料が記載されている。その他、耐熱性の高い水性塗料として、耐熱性を有するシリコーン樹脂をエマルション化した水性の難燃化用塗料も多く提案されている(例えば、特許文献2)。
また、エマルション系塗料ではなく、耐熱性の無機水性塗料も多く提案されており、代表的なものとして、水ガラスとして知られる水溶性アルカリ金属ケイ酸塩が高温硬化することにより形成されるガラス質塗膜を用いる塗料において、原料に由来するポットライフが短い、クラックが発生し易い等の欠点を軽減した上で耐熱性の無機水性塗料として用いた例が報告されている(特許文献3)。
更に、有機高分子/無機粒子の複合材料を難燃化用塗料とした特許文献4において、反応性ポリウレタン等の反応性官能基を有する有機成分、及びその有機成分と反応する官能基を有する無機粒子としてタルクを含む無機層状材料が報告されている。
一方、本発明者は対象材料に浸透させることで対象物自体に不燃性を付与するための技術開発を行った結果、凝集性浄水剤として用いられているポリ塩化アルミニウムと水から成る組成物が対象物自体の難燃化や不燃化に有効であることを見出した(特許文献5)。また、濃度46%以上のホウ砂又はリン酸一水素2アンモニウム液を対象物自体に浸透させ、陶土等の鉱物性粘土と複合化すると対象物を不燃化できることを見出し報告した(特許文献6)。
しかしながら、上記技術は、塗膜形成や難燃化が不十分の場合があり、また、それぞれに個別の問題点があるため、更なる技術の革新が求められていた。
特開2000−169853号公報 特開平10−183064号公報 特開2000−109722号公報 特開2007−191711号公報 特開2007−138365号公報 特開2008−094699号公報
先に挙げた背景技術の内、特許文献1や特許文献2は水性化した合成樹脂エマルションを用いている関係で塗装の乾燥度を高めるのが難しいという問題点がある。また、顔料を分散させた場合に塗布後に得られる塗膜がざらつき易く、高温環境下で剥がれ、クラック等が生じ易いという問題点があり、特許文献2はその改良を図ったものであるが未だ十分なものではない。
また、特許文献3の無機水性塗料はコロイダルシリカを用いることで施工時に必要な加熱工程温度を通常より低下させてクラック等の発生を抑制したものであるが、施工時に加熱工程を要することに変わりはなく、その施工には高度の熟練度が要求される。また、特許文献4の方法は、無機粒子としてタルクを例示しているが、タルクの実施例はなく、特許文献4の無機粒子は難燃化組成物中の反応性官能基を有する有機成分と反応させて化学結合を形成させることで難燃性を付与している点で本発明とは明確に異なるものである。
また、本発明者による特許文献5と特許文献6の不燃性組成物は、共に対象物に浸透させて含ませることで対象物自体に不燃性を付与するものであり、本発明のように対象物の表面に塗布することで、対象物の表面に難燃性塗膜を形成して対象物を難燃化するようには組み上げられていない。従って、膜化した場合の耐熱性能、耐炎性能、難燃性能、クラックが入らない等の膜としての好ましい性状、対象物に対する塗れ性等の施工性に関係する性状等を満たすものではなかった。また、塗布して対象物の物性に変化を与える性能である、難燃化性能や耐炎化性能を目的とするものではなかった。
本発明で、「難燃性能」とは燃え難い性能、「難燃化性能」とは塗膜によって対象物を燃え難くする性能、耐炎性能とは火炎による構造強度の低下がない性能、「耐炎化性能」とは塗膜によって火炎による対象物の構造強度の低下を防ぐ性能のことを言う。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、塗布溶媒が実質的に水であること、膜化後の難燃化性能や耐炎化性能に優れること、塗れ性、乾燥性が良く、ダレが少ない等の施工性が良いこと、また施工後の収縮が少なくクラックが入らない等、安定な膜を形成すること、等である。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、ポリ塩化アルミニウム、「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」、タルク及び水を組み合わせることで、難燃化性能や耐炎化性能が高く、施工性が良好で、クラックの入らない難燃性塗膜形成用組成物が得られることを見出した。
更に、かかる組成物に、でんぷん、ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子を含有させることで、必須成分であるタルクや「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」の分散性が向上し、それらの沈降防止、ダレ性の改善等が図れることを見出した。また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の基本色は白であるが、任意な顔料の添加が問題なく行われることが確認されたことから任意の色相に着色容易なこと、リン酸水素塩等の他の難燃化剤を更に加えることも可能なので必要に応じて難燃化性能をより高めることもできること、シラスバルーン、パーライト、セラミックバルーン、ガラスバルーン等の断熱性能を持つ無機中空粒子を配合することも可能であり、更に断熱機能を付加することもできること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリ塩化アルミニウム、「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」、タルク及び水を含有することを特徴とする難燃性塗膜形成用組成物を提供するものである。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、可燃性が懸念される各種素材の対象物に対し、約1350℃の耐熱性、少なくとも約1000℃の耐熱性を有する優れた難燃性塗膜を簡易な塗装で形成することができ、また、耐炎性能、難燃性能、耐熱性能等を付与することができる。本発明の難燃性塗膜形成用組成物を用いて得られる難燃性塗膜はほぼ不燃性塗膜とも言える。また、得られた塗膜は電気の不良導体ではないため一定の電荷を逃がし、帯電防止性能や防爆性能も備えている。
また、水性であるにもかかわらず、自然乾燥し易い、乾燥に伴う体積収縮がほとんどない、液ダレが少ない、クラックが入らない、塗布する際の使用可能時間(以下、「ポットライフ」と略記する)が長い、塗れ性が良く非極性樹脂を除くほとんどの対象物に塗布できる、という特長を有している。また、塗布溶媒が実質的に水であるので揮発性有機化合物(VOC)の発生がなく、取り扱いが容易で環境に優しく、ポリ塩化アルミニウム等の主要素材が低コストであるため難燃性塗膜形成用組成物が低コストで得られる。
また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物中に、更に無機中空粒子を含有させることによって、塗膜に断熱性を付与させることができる。また、各種薬剤、着色顔料、染料等を添加、混錬することも可能なので、防カビ、静電気除去、任意色への着色等の各種機能を付加できるという効果も有している。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形することができる。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物の必須成分である「ポリ塩化アルミニウム」は、化学式[Al(OH)Cl6−n](1≦n≦5、m≦10)で示される無機高分子化合物であり、商品名「PAC」として水溶液又は粉末の状態で市販されている。水道用浄水剤として液状で市販されているものの場合、換算値としてAlを10〜11質量%含んでいる。主に、高濁度水中の濁り物質となっている金属陰イオンや金属酸化物陰イオンを中和して凝集沈殿させて除去する水の浄化処理剤として用いられている。本発明の難燃性塗膜形成用組成物には、上記濃度規格の市販品(水道用JIS規格K1475−1978品)をそのままの状態で用いることができる。以下、この濃度規格のポリ塩化アルミニウム水溶液を「PAC」と略記する。
PACは、可燃性物質を含まず良好な難燃化作用を有し、また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物により形成された塗膜の自然乾燥を促進する作用を有している。後者に関しては、硬化後も体積収縮がほとんどないこと等から、水の蒸発が主体ではなく、水がポリ塩化アルミニウムに配位していくものと考えられる。この性質は、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の難燃化性能、耐炎化性能、良好な塗れ性、耐クラック性等の向上にも関与している。
特許文献1及び特許文献2の水性の合成樹脂エマルション系耐熱性塗料の場合、機能の根幹をなす成分が水に分散しているのに対し、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の主要成分であるポリ塩化アルミニウムは水に溶解している点が従来品との重要な相違点である。この相違点は、従来の水性の耐熱性塗料と異なる特長を、本発明の難燃性塗膜形成用組成物が有することに繋がっている。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物にPAC(上記規格のポリ塩化アルミニウム水溶液)を用いる場合、通常、水はPACに含まれる水だけで足り、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の調製に際しPACをそのままの状態で用いればよい、ただし必要に応じて、後から水を更に配合してもよい。
ポリ塩化アルミニウムは、本発明の難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、上記規格のPACとして、好ましくは20質量%〜60質量%、より好ましくは25質量%〜55質量%、特に好ましくは30質量%〜50質量%含有される。これらの含有量の幅は、他の成分の含有量、難燃性塗膜形成用組成物の用途による施工性等の違いにより決定すればよい。PACが少な過ぎる場合は、タルクとの混合が不十分になったり、分散性が悪くなったりする場合があり、一方、多すぎる場合は、塗膜の乾燥性が劣ったり、一旦乾燥しても吸湿したりする場合がある。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」(以下、括弧内を「特定アルカリ物質」と略記する)を必須成分として含有する。
このうちのホウ砂は、化学式Na・10HO又はNa・5HOで示されるホウ酸塩鉱物である。本発明には通常市販されているホウ砂を好適に用いることができる。このホウ砂をPAC等に添加して溶解する際には、ホウ砂は低温では溶解し難いので、好ましくは40℃以上、より好ましくは55℃〜97℃、特に好ましくは70℃〜95℃の温度範囲となるように加熱しながらすばやく攪拌し、溶解又は分散させる。ホウ砂は一部が分散状態でもよいが全てを溶解させることが好ましい。
ホウ砂は、PACと共に用いることによって、塗膜の難燃性、結合性、乾燥性等を効果的に高めることができる。難燃性の向上は、PACを他の難燃化剤と組み合わせた場合より明確に高く、単にPACとホウ砂の相加的な効果だけでなく、PACに配位した水とホウ砂(の結晶水)の作用等、PACとホウ砂間の何らかの相互作用によって難燃性の向上がもたらされているものと考えられる。また、ホウ砂の含有は、塗膜の難燃性の向上だけではなく、塗膜の結合性や乾燥性を向上させることができる。ここで、「結合性」とは、本発明の難燃性塗膜形成用組成物中の各成分の結合の強さを言い、結合性が良いと結果として、塗膜にクラックをでき難くする等の性能を与える。
ホウ砂の本発明の難燃性塗膜形成用組成物中の含有量は、目的とする難燃化性能や耐炎化性能の程度等に応じて変わってくるので特に限定はないが、水も含めた本発明の難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.3質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜2質量%が特に好ましい。ホウ砂の含有量が少ない場合は、難燃化性能や耐炎化性能の向上度が低く、多すぎる場合は、ホウ砂が結晶化し易く取り扱い難くなる等の問題が生じる場合がある。ただし、これらの問題点は他の成分の含有により改善させることも可能であり、例えば、水溶性有機高分子を加えた場合は結晶化を緩和することができるので、含有量の上限を上げることも可能である。
ホウ砂の含有量の調整は、始めから上記濃度範囲となるよう加熱配合してもよいし、一旦ホウ砂を高濃度に溶解又は分散させたものを調製し、その後の工程でPAC等を追加配合して濃度を調整する操作により行ってもよい。2段に分けて溶解させることが、分散性が良くなるため特に好ましい。
特定アルカリ物質のうちの、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムも、上記したホウ砂と同様の効果をもたらす。それぞれの含有量、配合方法等も上記したホウ砂の場合と同様である。水に対する溶解度は、それぞれ異なり、また上記したホウ砂とも異なるが、含有量や配合方法は上記したホウ砂の場合と同様である。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、ホウ砂と「水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」を含有するものが、前記本発明の効果をより好適に奏するので好ましい。すなわち、特定アルカリ物質のうちホウ砂を必須成分として、そこに、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムを併用すると特に好ましい。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物の必須成分の一つであるタルクは滑石と呼ばれる鉱物を粉砕した粉末をいい、含水ケイ酸マグネシウム(3MgO・4SiO・HOともMgSi10(OH)とも記載される)からなっており、薄片、鱗片状を呈している。タルクには、主に原料の滑石の品質により含水ケイ酸マグネシウムの純度が低く白色度の低い低品位品から、含水ケイ酸マグネシウムの純度が高い高品位品まで多くのグレードがあるが、本発明の難燃性塗膜形成用組成物には、より高純度のタルクの使用が適しており、例えば化粧品のファウンデーション用に用いられるタルクを好適に用いることができる。例えば、長石の含有はポットライフの悪化をもたらさないが、タルクにはマグネシウム、ケイ素以外の金属不純物が含まれることがあり、金属不純物が多い等、純度が低いと、難燃性塗膜形成用組成物のポットライフが悪化する場合がある。
本発明に適したタルクの光散乱法(レーザー回折法)で測定した体積平均粒径としては特に限定はないが、下記効果をより発揮するために、100μm以下が好ましく、5μm〜70μmがより好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。また、JIS−K5101で測定したタルクの吸油量としては特に限定はないが、下記効果をより発揮するために、20〜60mL/100gが好ましく、23〜50mL/100gがより好ましく、25〜40mL/100gが特に好ましい。また、タルクのBET法で求めたBET比表面積としては特に限定はないが、下記効果をより発揮するために、3〜30m/gが好ましく、3.5〜25m/gがより好ましく、4〜20m/gが特に好ましい。
タルクを含有することによって、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の難燃化性能、耐炎化性能の向上を果せることはもとより、ポットライフの向上、塗れ性等の施工性の向上、耐クラック性等の塗膜としての安定性の向上、塗膜の柔軟性の向上、着色顔料等の添加物の混合性の向上等多くの効果が認められる。タルクは一般に物性を保っての混練が難しいが、PACと共に混練すれば容易に分散させることができる。
タルクの含有量は特に限定はないが、水もタルクも含めた本発明の難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、20質量%〜75質量%が好ましく、40質量%〜65質量%がより好ましく、50質量%〜60質量%が特に好ましい。含有量が少ない場合は上記効果が弱く、特に耐クラック性が不十分となり塗膜としての安定性に問題を生じる場合があり、含有量が多すぎる場合は、塗膜の形成性が悪くなる等の問題点を生じる場合がある。
タルク以外のフィラー、例えばタルクと同じ鉱物由来の無機フィラーである活性白土、シリカ、マイカ等、又は、難燃化用フィラーとして知られる水酸化アルミニウム等の無機金属系フィラー等を、タルクに代えて用いた場合は、タルクに比較して、ポットライフが短くて固まり易く、塗布後にクラックが発生し易い、塗れ性、乾燥性、難燃性、耐炎性、耐熱性等に劣る。この結果から、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の構成にはタルクの含有が必須であることが確認された。また、本発明はタルクが含有されていればよく、前記本発明の効果を奏し得るので、タルクと他のフィラーとの混合使用は本発明に含まれる。ただ、本発明においてはタルク以外のフィラーは実質的に含有されていないことが、前記本発明の効果を奏し得るので好ましい。
タルクが本発明の難燃性塗膜形成用組成物において、他のフィラーに比べてポットライフが長く、耐クラック性、塗れ性に優れる作用・原理は明確ではないが、PAC、特定アルカリ物質及びタルクとの組み合わせにおける相互作用のみならず、特に水が関与する相互作用の影響が大きいものと考えられる。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物の成分中、水は、難燃化性能、耐炎性能、塗れ性等に寄与し、本発明の難燃性塗膜形成用組成物に必須で重要な役割を示すが、通常、水はPAC中に含まれるものだけでよい。PACは水に溶解しているポリ塩化アルミニウムの状態が最も安定に保たれるように水との関係が調整され供給されているからである。ただし、他の成分を添加する際の溶媒や分散媒として用いる場合や、粘度の調整等必要に応じて水を追加配合してもよい。この場合に用いる水はイオン交換水やRO水、蒸留水を用いることが望ましい。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、ポリ塩化アルミニウム、特定アルカリ物質、タルク及び水によって本発明の効果を発揮しているが、「特定アルカリ物質やタルクの沈降が認められる場合等にそれらの分散性を向上させて沈降を防ぐ」、「塗膜形成時の粘性を上げてダレ性等を調整する」、「塗膜の耐クラック性を向上させる」、「基材への接着性を向上させる」等の必要がある場合は、上記必須成分に、更に水溶性有機高分子を含有させることで、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の性能を更に向上させることができる。水溶性有機高分子の含有は、基材への塗膜の接着性や塗れ性を向上させる効果が特に顕著である。
特定アルカリ物質やタルクの含有量の幅を広げることができることは、単にそれらの分散性等を向上させるだけでなく、間接的に本発明の難燃性塗膜形成用組成物の難燃化性能、耐炎化性能の向上にも寄与しているといえる。
水溶性有機高分子としては特に限定はないが、水溶性合成有機高分子、水溶性天然有機高分子、水溶性天然有機高分子を変性したもの等を用いることができる。水溶性合成有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、水溶性天然有機高分子としては、例えば、でんぷん類、キトサン類等を挙げることができる。以上は単独でも2種以上を併せて使用してもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコール(PVA)とカルボキシメチルセルロース(CMC)は本発明に特に好適に用いることができる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)とカルボキシメチルセルロース(CMC)は、基材への接着性の向上、分散性の向上だけでなく、膜化後の透明性の点でも好ましい。
水溶性有機高分子の含有量は、本発明の難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、0.02質量%以下が好ましく、0.0002質量%〜0.01質量%がより好ましく、0.0005質量%〜0.005質量%が特に好ましい。少な過ぎると、基材への塗膜の接着性や塗れ性を向上させる効果が得られない場合がある。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、以上の構成で通常の用途においては十分な難燃化性能、耐炎化性能、耐熱性能を有するが、用途により難燃化性能等を上げたい場合には、更に、水溶性リン酸塩、水溶性リン酸一水素塩及び/又は水溶性リン酸二水素塩を加えることで難燃化性能をより上げることができる。中でも、水溶性リン酸一水素塩が、難燃化性能の向上、連続塗膜の形成性の向上、自然乾燥性の向上等の点で好ましい。
水溶性リン酸塩、水溶性リン酸一水素塩及び水溶性リン酸二水素塩の塩を構成する陽イオンは特に限定はないが、ナトリウム陽イオン、カリウム陽イオン等のアルカリ金属陽イオン;アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等の四級窒素含有陽イオン;等が挙げられる。これらの塩は単独でもまた2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性リン酸塩、水溶性リン酸一水素塩又は水溶性リン酸二水素塩の含有量は、本発明の難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、10質量%以下が好ましく、0.1質量%〜7質量%がより好ましく、1質量%〜4質量%が特に好ましい。少な過ぎると、連続塗膜の形成性や自然乾燥性が不十分になる場合があり、多過ぎると耐炎性が不十分になる場合がある。
また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物に、無機中空粒子を単独、あるいは数種を混合して含有させることで、断熱機能を付加することができる。本発明において「無機中空粒子」とは、化学反応や高温処理等により発泡して内部に空洞がある無機粒子をいう。本発明に用いる無機中空微粒子としては、シラスバルーン(シラス台地より産出された火山砕屑物(シラス)を高温発泡させた中空粒子)、ガラスバルーン、セラミックバルーン、パーライト発泡体等を挙げることができる。これらの中では、シラスバルーン、ガラスバルーン又はセラミックバルーンを好適に用いることができ、このうち、シラスバルーンが、上記効果及びコスト面で特に優れている。
また、「無機中空粒子」としては、PACと炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を反応させて得られる粒子も挙げられる。PACと炭酸水素ナトリウムの反応としては、例えば、以下の通りである;
Al換算濃度が10.0質量%のPAC100部に対し、炭酸水素ナトリウム10〜50部を攪拌混合させる。このとき、炭酸水素ナトリウムの分散媒として水を加える。炭酸水素ナトリウムの量が多すぎると、反応による発泡が激しいため、気泡の直径が大きくなりすぎて、得られたものがフィラーとしての役割を果たさない。逆に、炭酸水素ナトリウムと水が少なすぎると、発泡が足りず気泡が生成されない。反応温度としては5〜95℃が好ましく、10〜60℃がより好ましく、15〜40℃が特に好ましい。発泡する化学反応終了後に固化するので、それを分離して中空粒子を得る。
本発明に適した無機中空粒子の体積平均粒径としては特に限定はないが、断熱性向上の点から、5μm〜1000μmが好ましく、10μm〜500μmがより好ましく、40μm〜300μmが特に好ましい。
無機中空粒子の含有割合は、その用途、無機中空粒子の種類、粒径等により変わってくるので、塗れ性等の塗膜性状への影響、断熱性等を最適にする含有割合を設定する。難燃性塗膜形成用組成物全体に対して、20質量%以下が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましく、10質量%〜12質量%が特に好ましい。少な過ぎると、断熱性能が不十分になる場合があり、多過ぎるとひび割れが発生する場合がある。
また、無機中空粒子を含有する場合には、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性有機高分子も含有することが望ましい。
以上に加え、本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、難燃化性能等とは異なる機能を付加するための各種添加剤等を更に含有することができる。例えば、殺菌剤等を添加することで除菌効果に優れた塗膜を提供することができる。本発明の難燃性塗膜形成用組成物は基本的に白色であるが、各種の着色顔料や染料を配合することができるので任意の色相に調整することができる。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物を対象物に塗布する場合には、例えば、ディップ(浸漬)、刷毛、ロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等を用い、任意の方法で対象物の表面に良好な難燃性塗膜を形成することができる。塗膜の膜厚は特に限定はないが、0.2mm〜5mmが好ましく、0.35mm〜4mmがより好ましく、0.5mm〜2mmが特に好ましい。
本発明の難燃性塗膜形成用組成物の水分含量は、他の同様の水性耐熱塗料に比べて多いが、塗布後容易に自然乾燥して塗膜を形成する。この自然乾燥の際には体積収縮がほとんどなく、クラックが入らないことから、かなりの水分がポリ塩化アルミニウムに徐々に配位していくものと考えている。その効果も関係していると考えられるが、本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、いわゆるダレが少ないので、現場で壁面や天井面に好適に用いることができる。また、同様の理由で本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、ポリエチレンフィルム等の非極性樹脂を除くほとんどの素材、材質に対して塗れ性が良く、塗膜形成用組成物として優れた施工性を有している。
その他、本発明の難燃性塗膜形成用組成物は、各種対象物の表面に塗布することで対象物の難燃性能、耐炎性能、耐熱性能、帯電防止性能等の向上を果たすことができる。例えば、壁や天井部位の延焼回避のための耐炎後施工、高温炉耐火目地被覆、電線被覆加工等にも用いることができる。
次に、本発明をより具体的な実施例、試験例等をもとに説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は「質量%」である。
実施例1
本発明の難燃性塗膜形成用組成物の調製
(1)高濃度ホウ砂添加PACの調製
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)を1150g容器に入れ、70℃〜95℃に予熱してから、ホウ砂200g、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製GL−05:重合度約500、ケン化度87モル%)0.41gを加えてよく攪拌してホウ砂を溶解させ、「高濃度ホウ砂添加PAC」を調製した。加熱温度や攪拌状態によってはホウ砂の一部が分散状態となる場合があるが、ポリビニルアルコールを添加しておくことでホウ砂の沈降を防ぐことができた。
(2)「高濃度ホウ砂添加PAC」のPACによる希釈
次いで、上記操作で得られた「高濃度ホウ砂添加PAC」の1350gに、追加のPAC7700gを加えてよく攪拌し、「ホウ砂添加PAC」を得た。ホウ砂を最初からこの濃度に溶解しても問題はないが、段階的に行うことでホウ砂のPACへの溶解操作を効率よく行うことができた。また、微量のポリビニルアルコールを均一に溶解させることができ作業効率が高まった。
(3)タルクの配合
次いで、上記操作で得られた「ホウ砂添加PAC」の9000gに、タルク(型番MS、日本タルク社製)を11000g加えてよく攪拌し、十分に混練させ合計20000gの本発明の難燃性塗膜形成用組成物を得た。このタルクの体積平均粒径は、14μmであり、JIS−K5101で測定した吸油量は、27mL/100gであり、BET法で求めたBET比表面積は、4.5m/gであった。
得られた難燃性塗膜形成用組成物中のPACの含有割合は、難燃性塗膜形成用組成物全体に対して44%であり、同様にホウ砂は1.0%であり、タルクは55%である。またPAC中に水は約90%含まれているので、本実施例における難燃性塗膜形成用組成物中の水の含有%は39〜40%であった。
以上の操作で得られた難燃性塗膜形成用組成物は、この状態で安定に保存することができ、密閉して20℃で12ヶ月保存しても性能の劣化なく使用することができた。また、表1にも記載した通り、ポットライフ、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れていた。
試験例1
<発泡ポリスチレン材に対する本発明の難燃性塗膜形成用組成物による処理の効果>
発泡ポリスチレン材に対し、実施例1で調製した本発明の難燃性塗膜形成用組成物100部に15部の水を加えてよく攪拌した後に、乾燥後の膜厚が0.5mmとなるように塗布し、14時間、25℃で自然乾燥させた。液ダレが少なく、乾燥に伴う体積収縮がほとんどないためクラックが入らず、塗れ性が良好であった。
これにバーナーで1400℃の炎を1分間接炎させた。接炎操作は未処理の発泡ポリスチレン材にも行った。本発明の難燃性塗膜形成用組成物を塗布したものは、一般に熱に弱く簡単に黒煙を上げて延焼熱溶融する発泡ポリスチレン材が全く燃焼せず、3秒を経過する時点から、接炎部の真裏の部分のみが単に熱収縮したに過ぎなかった。一方、未処理の発泡ポリスチレン材では、バーナーによる炎照射直後に黒煙を上げて炎上し熱溶融した。この結果から、本発明の難燃性塗膜形成用組成物を塗布した発泡ポリスチレン材表面には、難燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。
試験例2
<ポリエチレン独立気泡フォーム材、塩化ビニル製の造花、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)容器に対する本発明の難燃性塗膜形成用組成物による処理の効果>
上記各対象物への、本発明の難燃性塗膜形成用組成物の塗布と難燃性試験は試験例1と同様に行った。本発明の難燃性塗膜形成用組成物を塗布したポリエチレンフォーム材は燃焼しなかった。一方、未処理品は接炎後、直ぐに溶融しながら激しく燃焼した。また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物を塗布した塩化ビニル製の造花は接炎後も燃えることなくその形状を維持した。また、本発明の難燃性塗膜形成用組成物を塗布したPET容器も接炎によってその部分のみが熱軟化したが燃焼はせず、塗膜には変化がなかった。
実施例2
水溶性高分子としてポリビニルアルコールを配合しない以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。
試験例1と同様に評価したところ、実施例1に比べて、基材への接着性と塗れ性が若干劣ったものの、実施例1の場合と同じく、ポットライフ、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。
実施例3
水溶性高分子として、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製GL−05:重合度約500、ケン化度87モル%)0.41gに代えて、カルボキシメチルセルロース(CMC)(ダイセル化学社製、CMC)0.41gにした以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。
試験例1と同様に評価したところ、実施例1の場合と同じく、ポットライフ、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。
実施例4
実施例1の「高濃度ホウ砂添加PAC」の調製において、ホウ砂を配合した後に、リン酸一水素2アンモニウム1000gを配合した以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。
試験例1と同様に評価したところ、実施例1の場合と同じく、ポットライフ、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。特にリン酸一水素2アンモニウムを配合したことによって、難燃性が更に良くなった。
実施例5
実施例1の「(3)タルクの配合」段階において、タルク11000gに代えて、「タルク9400gとシラスバルーン1600g」を配合して良く攪拌した以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。
試験例1と同様に評価したところ、実施例1の場合と同じく、ポットライフ、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。特に、無機中空粒子であるシラスバルーンを配合したことによって、断熱性が更に向上して塗膜背面への熱伝播が抑制され、塗膜が形成された基材が熱溶融し難くなった。
実施例6
実施例1の「(3)タルクの配合」段階において、タルク11000gに代えて、タルクと水酸化アルミニウムを質量比で、30:70に混合したフィラー11000gを配合した以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。
試験例1と同様に評価したところ、ポットライフが下記判定基準で「△」だったものの、実施例1の場合と同じく、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。
比較例1〜7
<タルク以外のフィラーのポットライフ、耐クラック性等>
実施例1のタルクに代えて、他のフィラーを用いた場合の、塗膜形成用組成物のポットライフ、耐クラック性等の状態を見た結果を以下の表1に示す。表1中、「−」は、乾燥性が悪いため評価ができなかったことを示す。
比較例8
実施例1において、タルクを配合しない以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。評価結果を表1に合わせて示す。表1中、「−」は、乾燥性が悪いため評価ができなかったことを示す。
比較例9
実施例1において、ホウ砂を配合しない以外は、実施例1と同様に、難燃性塗膜形成用組成物を得た。評価結果を表1に合わせて示す。
Figure 2010006916
判定基準は以下の通りである。
<ポットライフ>
○:20℃で、12ヶ月以上で異常なし
△:20℃で、0.5ヶ月以上12ヶ月未満で、フィラーの沈降又は組成物の硬化が初めて認められる
×:20℃で、0.5ヶ月未満で、フィラーの沈降又は組成物の硬化が認められる
<耐クラック性>
○:乾燥膜厚2.5mmとなるようにPETに塗布し、14時間25℃で自然乾燥させ異常なし
△:上記条件で、わずかのクラックが認められる
×:上記条件で、はげしくクラックが認められる
<塗れ性>
○:乾燥膜厚2.5mmとなるようにPETに塗布し、14時間25℃で自然乾燥させ異常なし
△:上記条件で、わずかに塗膜の剥離が認められる
×:上記条件で、はげしく塗膜の剥離が認められる
<乾燥性>
◎:乾燥膜厚2.5mmとなるようにPETに塗布し、25℃で、1時間未満で自然乾燥できる
○:乾燥膜厚2.5mmとなるようにPETに塗布し、25℃で、1時間以上14時間以下で自然乾燥できる
△:14時間25℃で、わずかに塗膜表面が湿っている
×:14時間25℃で、はげしく塗膜表面が湿っている
<難燃性、耐炎性、耐熱性>
実施例1と同様の膜厚で発泡ポリスチレン材に塗布して、実施例1と同様に、すなわち、試験例1及び試験例2と同様に評価する
○:上記実施例1と同等の結果
△:上記実施例1の結果より劣る
本発明の難燃性塗膜形成用組成物に用いた場合、タルク以外のフィラーではすべて調製後のポットライフが短く、耐クラック性及び/又は塗れ性が劣る傾向が見られた。この原因は不明であるが、PACとタルクの組み合わせが本願発明の構成に重要であることが確認された。また、フィラーかホウ砂かのどちらかが含まれていないものは、乾燥性が悪かった。
実施例7
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)72.5質量部を容器に入れ、32.5%の水酸化ナトリウム水溶液27.5質量部を加えて良く攪拌した。得られた液を「JXK」と略記する。
JXK50.0質量部、上記PAC5.00質量部、実施例1で用いたタルク45.0質量部を良く混合し難燃性塗膜形成用組成物を得た。
実施例8
上記実施例7で得られた「JXK」を45.0質量部、上記PAC19.5質量部、実施例1で用いたタルク35.5質量部を良く混合し難燃性塗膜形成用組成物を得た。
実施例9
実施例8において、32.5%の水酸化ナトリウム水溶液に代えて、32.5%の炭酸ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例8と同様にして難燃性塗膜形成用組成物を得た。
実施例10
実施例8において、32.5%の水酸化ナトリウム水溶液に代えて、32.5%の炭酸水素ナトリウム水溶液又は水分散液を用いた以外は実施例8と同様にして難燃性塗膜形成用組成物を得た。
実施例11
実施例8において、32.5%の水酸化ナトリウム水溶液に代えて、32.5%のホウ砂水溶液又は水分散液を用いた以外は実施例8と同様にして難燃性塗膜形成用組成物を得た。
実施例7〜11で得られた難燃性塗膜形成用組成物を上記の方法で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2010006916
実施例7〜11は全ての性能が良好であった。実施例9と10は、ポットライフには若干劣るもののその他の性能は全て良好で優れていた。
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを用いた場合、更に、難燃性塗膜形成組成物がほぼ中性を示すので、基板が金属であってもその表面を酸化させることなく好適に適用できた。
実施例12
実施例7〜11において、32.5%の各アルカリ水溶液に代えて、実施例1の(1)段階において調製した「高濃度ホウ砂添加PAC」と水酸化ナトリウムを用い、ホウ砂/水酸化ナトリウム=1/1(質量比)で、それらの合計32.5%の水溶液又は水分散液を用いた以外は実施例7〜11と同様に難燃性塗膜形成用組成物を得た。得られた難燃性塗膜形成用組成物を試験例1記載の方法等で評価した結果、耐クラック性、塗れ性、難燃性、乾燥性、耐燃性、耐炎性及び耐熱性に優れた難燃性塗膜が形成されていることが確認された。ホウ砂と「水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム」の組合せは、特に上記各性能が良好であった。
本発明の水性の難燃性塗膜形成組成物は、難燃化性能、耐炎化性能、耐熱性能が高く、環境に優しい成分からのみ成っており、塗れ性等の施工性が良く、ダレが少なくクラックが入らないので、住宅火災等が懸念される内装用の壁、天井部位等に簡単に難燃・耐熱性の塗膜を形成させることができる。また、ほとんどの機能成分との相性が良いので、難燃性と共に抗菌性や脱臭性、遮熱、断熱、静電気除去機能の付加、難燃化性の向上等も可能なので、それぞれの機能が要求される病院や養護老人ホーム等への後施工、耐炎・耐熱シールド材、高温炉等用の耐火目地材、炉内耐火被覆材、可燃性素材に対する耐火被覆材、防爆塗料、不帯電塗料、防爆塗料、防かび性、不燃断熱材、電線被覆加工材としての使用等に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリ塩化アルミニウム、「ホウ砂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種」、タルク及び水を含有することを特徴とする難燃性塗膜形成用組成物。
  2. 更に、水溶性有機高分子を含有する請求項1記載の難燃性塗膜形成用組成物。
  3. 更に、水溶性リン酸塩、水溶性リン酸一水素塩又は水溶性リン酸二水素塩を含有する請求項1又は請求項2記載の難燃性塗膜形成用組成物。
  4. 更に、無機中空粒子を含有する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の難燃性塗膜形成用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015033845A (ja) * 2013-07-11 2015-02-19 山形化成工業株式会社 多層カーボンナノチューブ添加発泡体を包含する二色成形体並びにその製造方法
CN105238105A (zh) * 2015-11-12 2016-01-13 浙江大学 一种用于钢筋防腐的韧性涂料及其涂覆方法
CN112429977A (zh) * 2020-11-25 2021-03-02 山西凯迪建材有限公司 一种自组装阻燃外墙保温材料的制备方法

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