JP2010005729A - 表面被覆部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い耐欠損性と耐摩耗性を有する表面被覆部材を提供する。
【解決手段】 硬質相2を結合相3で結合したサーメット基体4と、その表面を被覆する被覆層5とからなり、硬質相2が第1硬質相2aと第2硬質相2bとからなり、サーメット基体4の表面について、第1硬質相2aの平均粒径をaと第2硬質相2bの平均粒径をbとの比率(b/a)が2〜10、表面における硬質相2全体に対する第1硬質相2aが占める平均面積をAと第2硬質相2bが占める平均面積をBとの比率(B/A)が2〜10であり、被覆層5は、層厚が3.5〜10μmで、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種、0.45≦a≦0.55、0.01≦b≦0.1、0.01≦c≦0.05、0≦d≦0.1、0≦x≦1)からなる切削工具1等の表面被覆部材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は切削工具や耐摩耗部材等に適する表面被覆部材に関する。
現在、切削工具や耐摩部材、摺動部材といった耐摩耗性や摺動性、耐欠損性を必要とする表面被覆部材としてTiを主成分とするサーメットが広く使われている。
例えば、特許文献1では、TiCN等(周期表第5族遷移金属の炭窒化物)からなるI型粒子と、Tiとそれ以外の周期表第4、5、6族金属を含んでWの含有量が芯部で多くて周辺部で少ないII型粒子の2種類の硬質相を含むサーメットが開示されている。
また、特許文献2では、黒色の芯部とこれを取り囲む周辺部との有芯構造からなる第1硬質相と、周辺部のみからなる白色の第2硬質相とからなり、第1硬質相の平均粒径に比べて第2硬質相の平均粒径が2〜8倍である組織からなるサーメットが開示されている。
さらに、特許文献3には、超硬合金基体やサーメット基体の表面にTi、Al、Siを含有する被覆層を形成した切削工具が開示されている。
特開平2−190438号公報 特開2005−292842号公報 特開2004−351541号公報
しかしながら、上記特許文献1、2のようなサーメットの構成によっても、まだ耐摩耗性および耐欠損性が不十分であり、また、特許文献3の被覆サーメットからなる表面被覆部材においてもさらなる耐欠損性の向上が望まれていた。特に、このサーメット基体を具備する表面被覆部材を切削工具として用いた場合には鋼や炭素鋼等の被削材によって切削性能が大きく変わってしまう場合があり、安定した切削性能を発揮する切削工具が求められていた。
本発明では上記問題を解決するためのものであり、その目的は、サーメット基体の表面において高い耐摩耗性と耐欠損性を有する表面被覆部材を提供することである。
本発明の表面被覆部材は、Tiを主成分とする周期表4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相をCoまたはNiを主成分とする結合相で結合したサーメット基体と、該サーメット基体の表面を被覆する被覆層とからなるものであって、前記サーメット基体の断面組織を観察した場合、前記硬質相が、TiCNを主成分とする第1硬質相と、周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相とからなり、前記サーメット基体の表面領域において、前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜10であり、該表面領域における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が2〜10であるとともに、前記被覆層は、層厚が3.5〜10μmであって、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種、0.45≦a≦0.55、0.01≦b≦0.1、0.01≦c≦0.05、0≦d≦0.1、0≦x≦1)からなることを特徴とする。
ここで、上記構成において、前記第2硬質相はWおよびNbの少なくとも一方を含むとともに、該第2硬質相の中心部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が多く、該第2硬質相の外周部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が少ないことが望ましい。
また、前記第2硬質相の外周部における(WとNbとの合計質量)/(金属元素全体の合計質量)の比率が2〜20%であることが望ましい。
さらに、前記サーメット基体の内部における前記第1硬質相の平均粒径をaとし、該第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であって、前記bがbより大きく、前記サーメット基体の内部における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であって、前記BがBよりも大きいことが望ましい。
また、前記bが前記bより大きい表面領域が前記サーメット基体の表面から30〜300μmの厚さの範囲で存在することが望ましい。
本発明の表面被覆部材によれば、表面領域における第1硬質相の平均粒径aと第2硬質相の平均粒径をbとの比率(b/a)が2〜10であり、かつ第1硬質相が占める平均面積をAと第2硬質相が占める平均面積をBとの比率(B/A)が2〜10であるサーメット基体の表面に、層厚が3.5〜10μmで、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種、0.45≦a≦0.55、0.01≦b≦0.1、0.01≦c≦0.05、0≦d≦0.1、0≦x≦1)からなる被覆層を形成したことを特徴とする。これによって、耐摩耗性に優れるとともに表面領域においては厚くても内部応力が高くならず、耐摩耗性および耐欠損性に優れる。
ここで、上記構成において、前記第2硬質相はWおよびNbの少なくとも一方を含むとともに、該第2硬質相の中心部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が多く、該第2硬質相の外周部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が少ないことが、第2硬質相の中心部では靭性が向上して耐衝撃性が高くなるとともに、第2硬質相の外周部では硬度が向上して塑性変形性が向上する点で望ましい。
また、前記第2硬質相の外周部における(WとNbとの合計質量)/(金属元素全体の合計質量)が2〜20%であることが、サーメットの熱伝導性が向上して耐熱衝撃性が向上するため望ましい。
さらに、内部における前記第1硬質相の平均粒径をaとし、該第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であって、bがbより大きく、内部における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であって、前記BがBよりも大きいことが、第2硬質相が熱伝播に有効に寄与してサーメットの熱伝導率が向上し、サーメットの耐熱衝撃性が向上する点で望ましい。
また、前記bが前記bより大きい表面領域が前記サーメット基体の表面から30〜300μmの厚さの範囲で存在することが、サーメット表面近傍における熱伝導性を高めてサーメットの耐熱衝撃性を向上させるために望ましい。
本発明の表面被覆部材の好適例である切削工具の一例について、図1の被覆層とサーメット基体とを含む断面についての走査型電子顕微鏡写真、および図2のサーメット基体について(a)表面付近、(b)内部についての走査型電子顕微鏡写真を基に説明する。
図1、2のように、本発明の切削工具1は、硬質相2を結合相3で結合したサーメット基体4と、サーメット基体4の表面を被覆する被覆層5とからなる。また、サーメット基体4の断面組織写真である図2から明らかなように、硬質相2は、黒色の第1硬質相2aと、灰白色の第2硬質相2bとからなり、サーメット基体4の表面領域について、第1硬質相2aの平均粒径をaとし、第2硬質相2bの平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜10であり、表面領域における硬質相2全体に対する第1硬質相2aが占める平均面積をAとし、第2硬質相2bが占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が2〜10となっている。
一方、被覆層5は、層厚が3〜10μmであって、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種、0.45≦a≦0.55、0.01≦b≦0.1、0.01≦c≦0.05、0≦d≦0.1、0≦x≦1)からなる。
この組み合わせによって、切削工具1の耐摩耗性および耐欠損性が向上する。特に、切削工具1として用いた場合、鋼のみならず炭素鋼を切削する場合であっても優れた耐摩耗性と耐欠損性を発揮する。
すなわち、比率(b/a)が2より小さいかまたは比率(B/A)が2より小さいと切削工具1の耐摩耗性が低下する。逆に、比率(b/a)が10より大きいかまたは比率(B/A)が10を超えると被覆層5が剥離しやすくなって耐摩耗性が悪くなる。また、被覆層5の組成が上記範囲から外れると、高温での耐酸化性が悪くなって切削工具1の耐摩耗性が低下したり、内部応力が高くなって切削工具1の耐欠損性が悪くなる。さらに、被覆層5の厚みが3.5μmより薄いと切削工具1の耐摩耗性が悪く、逆に被覆層5の厚みが10μmを超えると被覆層5がチッピングしやすくなって耐欠損性が低下する。
ここで、本発明における被覆層5の厚みは切刃稜線部における被覆層5の厚みを規定する。また、被覆層5の望ましい組成は、0.45≦a≦0.50、0.02≦b≦0.06、0.01≦c≦0.03、0.03≦d≦0.08、x=0である。
なお、硬質相2は、Tiを主成分とする周期表4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなり、結合相3はCoまたはNiを主成分とする組成からなる。また、第1硬質相2aはTiCNを主成分としてその他の成分の含有比率は10質量%以下であり、第2硬質相2bは周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体からなる。
ここで、上記構成において、第2硬質相2bはWおよびNbの少なくとも一方を含むとともに、第2硬質相2bの中心部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が多く、第2硬質相2bの外周部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が少ないことが、第2硬質相2bの中心部では靭性が向上して耐衝撃性が高くなるとともに、第2硬質相2bの外周部では硬度が向上して塑性変形性が向上する点で望ましい。
また、第2硬質相2bの外周部における(WとNbとの合計質量)/(金属元素全体の合計質量)の比率が2〜20%であることが、サーメット基体4の熱伝導性が向上して耐熱衝撃性が向上するため望ましい。
さらに、サーメット基体4の内部6における第1硬質相2aの平均粒径をaとし、第2硬質相2bの平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であり、bがbより大きく、かつ、内部6における硬質相2全体に対する第1硬質相2aが占める平均面積をAとし、第2硬質相2bが占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であって、前記BがBよりも大きいこと、すなわち、サーメット基体4の表面には硬質相の平均粒径が大きい表面領域7が存在することが、第2硬質相2bが熱伝播に有効に寄与してサーメット基体4の熱伝導率が向上し、サーメット基体4の耐熱衝撃性が向上する点で望ましい。
また、表面領域7はサーメット基体4の表面から30〜300μmの厚さの範囲で存在することが、サーメット基体4の表面近傍における熱伝導性を高めてサーメット基体4の耐熱衝撃性を向上させるために望ましい。
なお、断面組織を走査型電子顕微鏡にて観察した場合に、第1硬質相2aは黒色の粒子、または黒色の芯部の周辺に灰白色の周辺部が存在する有芯構造からなる粒子として観察される。一方、第2硬質相2bは灰白色の粒子、または白色の芯部の周辺に灰白色の周辺部が存在する有芯構造からなる粒子として観察される。なお、上記灰白色とは、写真撮影の条件によって白色に近い色調に見えることもあり、灰色に近い色調に見えることもある。
また、他の実施態様についてのサーメット基体の(a)表面付近、(b)内部における走査型電子顕微鏡写真である図3に示すように、表面領域7のさらに表面に、硬質相2の中の第1硬質相2aの含有比率が高い極表面領域8が存在することもある。しかしながら、本発明においては極表面領域8が存在しないほうが、被覆層5の密着性を強固にする点で望ましい。
ここで、サーメット基体4に含有される硬質相2をなすTiを主成分とする周期表4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物の合計含有量は70〜96質量%であることが望ましく、特に耐摩耗性の向上の点で85〜95質量%であることが望ましい。一方、結合相3の含有量は4〜14質量%であることによって、基体の硬度および靭性のバランスに優れたものとなる。また、結合相3としては、鉄族金属の総量に対してCoを65質量%以上含有することが切削工具の耐熱衝撃性を高めるために望ましい。なお、サーメット基体4の焼肌面が平滑な面となるようにサーメット基体4の良好な焼結性を維持するためには、鉄族金属としてNiを5〜50質量%、特に10〜35質量%の割合で含有せしめることが望ましい。
なお、本発明における硬質相2の粒径の測定は、CIS−019D−2005に規定された超硬合金の平均粒径の測定方法に準じて測定する。この時、硬質相2が有芯構造からなる場合については、芯部と周辺部を含めた周辺部の外縁までを1つの硬質相として測定する。
(製造方法)
次に、上述した工具の製造方法について説明する。
まず、平均粒径0.1〜1.2μm、特に0.2〜0.9μmのTiCN粉末と、平均粒径0.1〜2μmのTiN粉末、上述した他の金属の炭化物粉末、窒化物粉末または炭窒化物粉末のいずれか1種と、Co粉末やNi粉末とを混合した混合粉末を調整する。
さらに、鉄族金属粉末、すなわちCo粉末やNi粉末の平均粒径は2μm以下、特に0.05〜1.5μmであることが、サーメット基体の焼結性を高めるために望ましい。さらには、結合金属原料粉末として、CoおよびNiを所定の比率で含有する固溶体粉末を用いることが、さらに焼結性を高める点で望ましい。なお、他の原料粉末の平均粒径は0.05〜3μmであることが望ましい。
そして、この混合粉末にバインダを添加して、プレス成形、押出成形、射出成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形する。
次に、本発明によれば、下記の条件にて焼成することにより、上述した所定組織の超硬合金を作製することができる。焼成条件としては、(a)1050〜1250℃の焼成温度Aまで5〜15℃/分で昇温した後、焼成温度Aから1275〜1375℃の焼成温度Bまでを0.1〜3℃/分で昇温し、(b)ついで窒素分圧30〜2000Paの雰囲気下にて焼成温度Bから1500〜1600℃の焼成温度Cまで4〜15℃/分で昇温して、焼成温度Cにて窒素分圧30〜2500Paの雰囲気下で、0.5〜2時間焼成した後、(d)1100℃までを真空で、その後の降温は窒素分圧30〜2500Paの不活性ガス雰囲気下で降温する。
本発明によれば、上記焼成時の昇温パターン、および所定量の不活性ガスを導入するタイミングを制御することによって上述した組織のサーメット基体4を作製することができる。
そして、サーメット基体4の表面に被覆層を成膜する。被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。
被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。成膜方法の一例についての詳細について説明すると、被覆層をイオンプレーティング法で作製する場合には、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属タングステン(W)、金属シリコン(Si)、金属M(MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲットまたは複合化した合金ターゲットに用い、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させて成膜する。
また、成膜雰囲気として窒素(N)ガスとアルゴン(Ar)ガスを1〜10Paの割合で導入することによって、被覆層の基体に対する密着力と硬度が向上する。なお、イオンプレーティング法やスパッタリング法で被覆層を成膜する際には、被覆層の結晶構造および配向性を制御して高硬度な被覆層を作製できるとともに、厚膜化が可能であり、かつ基体との密着性を高めるために30〜70Vのバイアス電圧を印加することが好ましい。
マイクロトラック法による測定にて平均粒径0.6μmのTiCN粉末、平均粒径1.1μmで表1の炭素量のWC粉末、平均粒径1.5μmのTiN粉末、平均粒径2μmのTaC粉末、平均粒径1.5μmのNbC粉末、平均粒径1.8μmのZrC粉末、平均粒径1.0μmのVC粉末、平均粒径2.4μmのNi粉末、および平均粒径1.9μmのCo粉末を表1に示す割合で調整した混合粉末をステンレス製ボールミルと超硬ボールを用いて、イソプロピルアルコール(IPA)にて湿式混合し、パラフィンを3質量%添加、混合した後、200MPaでCNMG120408の工具形状にプレス成形した。
この成形体を用いて、真空雰囲気下で、1200℃の焼成温度Aまで10℃/分で昇温した後、1200℃の焼成温度Aから1350℃の焼成温度Bまでを0.7℃/分で昇温し、ついで窒素分圧150Paの雰囲気下にて1350℃の焼成温度Bから表2に示す焼成温度Cまで8℃/分で昇温して、焼成温度Cにて窒素分圧150Paの雰囲気下で1時間焼成した後、1100℃までを表1に示す条件で降温し、その後の降温は窒素分圧500Paの不活性ガス雰囲気下で降温して、サーメット基体を作製した。
この基体(焼結体)に対して、この基体にブラシ加工にて刃先処理(ホーニングR)を施した。上記基体をアークイオンプレーティング装置にセットし500℃に加熱した後、表1に示す被覆層を成膜した。なお、成膜条件は窒素ガスを圧力4Paの雰囲気中、アーク電流150A、バイアス電圧35V、加熱温度500℃とした。
得られた切削工具について、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、5000倍の写真にて、表面および内部のそれぞれ任意5箇所について市販の画像解析ソフトを用いて15μm×15μmの領域で画像解析を行い、硬質相の存在状態、表面領域、中間領域の存在を確認するとともにこれらの平均粒径を測定し、これらの比率を算出した。結果は表2に示した。なお、表2のdはサーメット基体内部における硬質相全体の平均粒径である。
また、オージェ電子分光分析法(AES)の線分析によってサーメット内部の第2硬質相の中心部と外周部の組成について定量した。なお、オージェ電子分光分析法(AES)の測定条件は、加速電圧は20KeV、試料電流10nA、試料傾斜角30度として測定を行った。そして、周期表4、5および6族金属の総量に対するWとNbの合計含有量の比率を算出した。なお、比率の算出については任意の第2硬質相5個についての平均値をとった。結果は表3に示した。また、被覆層の組成はキーエンス社製走査型電子顕微鏡(VE8800)を用いて倍率500倍にて観察を行い、同装置に付随のEDAXアナライザ(AMETEK EDAX-VE9800)を用いて加速電圧15kVにてエネルギー分散型X線分光分析(EDX)法の一種であるZAF法により組成の定量分析を行った。また、この方法で測定できなかった元素については、PHI社製X線光電子分光分析装置(Quantum2000)を用い、X線源はモノクロAlK(200μm、35W、15kV)を測定領域約200μmに照射して測定を行った。さらに、被覆層の厚みは切刃稜線部における厚みを測定した。結果は表3に示した。
次に、得られた切削工具を用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に合わせて併記した。
(耐摩耗性試験)
被削材:S45C(炭素鋼)
切削速度:250m/min
送り:0.20mm/rev
切込み:1.5mm
切削状態:湿式(水溶性切削液使用)
評価方法:摩耗量が0.2mmに達するまでの時間(分)
(耐欠損性試験)
被削材:S45C(炭素鋼)
切削速度:100m/min
送り:0.25mm/rev
切込み:2.0mm
切削状態:乾式
評価方法:欠損するまでの衝撃回数(回)
表1〜3より、上記工程のうちの(d)工程の1150℃までの降温をガス雰囲気中で行った試料No.8では、表面領域が形成されずに、比率(b/a)が2未満で比率(B/A)も2よりも小さくなり、耐摩耗性が低くなった。また、上記工程のうちの焼成温度Cでの焼成を1650℃で真空中とした試料No.9では、比率(b/a)が10を超えるとともに比率(B/A)も10よりも大きくなり、刃先硬度の低下により耐摩耗性が低くなった。さらに、被覆層の組成が本発明の範囲から外れる試料No.10〜17では、耐摩耗性および耐欠損性とも低下した。さらには、被覆層の厚みが3.5μmよりも薄い試料No.18では耐摩耗性が悪く、被覆層の厚みが10μmよりも厚い試料No.19では被覆層のチッピングによって摩耗が進行してしまった。
これに対し、本発明の範囲内の組織となったサーメットである試料No.1〜7では、優れた耐摩耗性を発揮するとともに耐欠損性も良好であり、その結果、工具寿命も長いものであった。
本発明の表面被覆部材の一例を示し、サーメット基体および被覆層を含む断面における研磨面についての走査型電子顕微鏡写真である。 図1の表面被覆部材のサーメット基体について、(a)表面付近、(b)内部についての走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の表面被覆部材についてサーメット基体の他の一例を示し、(a)表面付近、(b)内部についての走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 切削工具
2 硬質相
2a 第1硬質相
2b 第2硬質相
3 結合相
4 サーメット基体
5 被覆層
6 内部
7 表面領域
8 極表面領域

Claims (5)

  1. Tiを主成分とする周期表4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相をCoまたはNiを主成分とする結合相で結合したサーメット基体と、該サーメット基体の表面を被覆する被覆層とからなる表面被覆部材であって、
    前記サーメット基体の断面組織を観察した場合、前記硬質相が、TiCNを主成分とする第1硬質相と、周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相とからなり、
    前記サーメット基体の表面領域において、前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜10であり、該表面領域における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が2〜10であるとともに、
    前記被覆層は、層厚が3.5〜10μmであって、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる少なくとも1種、0.45≦a≦0.55、0.01≦b≦0.1、0.01≦c≦0.05、0≦d≦0.1、0≦x≦1)からなることを特徴とする表面被覆部材。
  2. 前記第2硬質相はWおよびNbの少なくとも一方を含むとともに、該第2硬質相の中心部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が多く、該第2硬質相の外周部ではWおよびNbの少なくとも一方の含有量が少ないことを特徴とする請求項1記載の表面被覆部材。
  3. 前記第2硬質相の外周部における(WとNbとの合計質量)/(金属元素全体の合計質量)の比率が2〜20%であることを特徴とする請求項2記載の表面被覆部材。
  4. 前記サーメット基体の内部における前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であって、前記bがbより大きく、前記サーメット基体の内部における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であって、前記BがBよりも大きいことを特徴とする請求項2または3記載の表面被覆部材。
  5. 前記bが前記bより大きい表面領域が前記サーメット基体の表面から30〜300μmの厚さの範囲で存在することを特徴とする請求項4記載の表面被覆部材。
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