以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機を例にする。
<機械的構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、図1に示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備えている。
図1に示すように、前扉2には、そのほぼ中央に第1の表示窓(回胴視認部)3を、またその上側に第2の表示窓(液晶画面視認部)4を設けてある。
下側の第1の表示窓3は回胴視認部であり、回胴装置210の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認し得るように設けられている。
この回胴5a、5b、5cは、その外周に複数種類の図柄が施された図柄配列帯200(図4参照)を有しており、各回胴5a、5b、5cの停止時の図柄の組み合せによって遊技結果を表示する回胴装置210を構成している。図柄配列帯には、各入賞役を構成するための図柄(構成要素図柄)が表示されており、本実施形態では周方向に21コマの図柄が配置されている。この回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図3参照)により回転駆動されるように構成され、各回胴5a、5b、5cが回転することにより、上記図柄が変動表示可能となっている。なお、回胴5a、5b、5cは、本実施形態のように、回胴駆動モータ211a、211b、211cのような電気的駆動源を用いて物理的に回転または停止が行われる機械式の回胴に限定されず、後述する液晶表示装置6のような画像表示装置に表示され、画像上で回転または停止が行われる演出的な回胴であっても良い。また、回胴の数は3個に限定されるものではなく、2個、4個等、何個配設されていても良い。
回胴視認部3には、ここを横および斜めに横断する形で、計5本の入賞ライン3aが施されている。これらの入賞ライン3aは、単位遊技(1ゲーム)に対する遊技メダルの投入枚数に応じて有効として扱われる入賞ライン数が変化する。この有効となった入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)3a上で、3つの回胴5a、5b、5cが停止した際の停止図柄の組み合わせの表示態様が、抽選により当選した入賞役を構成する構成要素図柄の組み合わせと一致した場合に入賞が確定し、その停止図柄の組み合わせに応じた遊技価値が遊技者に付与される。例えば、遊技メダルの払い出しを伴う入賞役が入賞ライン3a上に成立した場合、遊技機筐体1内のホッパーユニット500(メダル払出装置:図2参照)が作動して、所定枚数の遊技メダルの払い出しが行われる。この遊技メダルは、遊技者が遊技を開始する際に必要なものであり、遊技価値を有するものといえる。
また、第2の表示窓4は液晶画面視認部であり、遊技機の中央より上側に設けてある。この液晶画面視認部4は、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面6a(液晶画面6aと略す)に対応して、例えば回胴視認部3よりも少し小さい矩形状に形成されている。遊技者はこの液晶画面視認部4を介して液晶画面6aを前側から視認可能となっている。この液晶画面6aには、遊技に伴う演出が画像により表示される。本実施形態では、画像表示装置として液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)6を設けているが、これに限らず、電子ペーパを用いた表示装置、回転式ドラムによる表示装置、7セグによる表示装置、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等であっても良く、またはこれらを組合せたものであっても良い。
回胴視認部3の左右両側には、LEDを内蔵し、発光色の種類や発光態様(点滅・点灯、発光強度の増減等)による光の装飾により、遊技に伴う演出を現出する装飾ランプ部13が設けられている。また図示はしていないが、遊技機には、複数の装飾ランプ部およびLED等の発光手段を設けてある。これら発光手段は、遊技における演出を現出させるため演出手段として機能する。
回胴視認部3の下方の段部には、遊技に供する遊技媒体としての遊技メダルを投入するためのメダル投入口7と、貯留装置(遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを貯留して、その貯留数を電磁的方法よって記憶可能とする機能を備えた装置)に貯留された範囲、すなわちクレジットされた範囲内で、遊技メダルを最大枚数賭けで一度に擬似投入し得るMAXBETボタン8、押した回数に応じて最大賭け枚数まで加算的に擬似投入し得る貯留メダル投入ボタン9、クレジットされた遊技メダルの精算を行う貯留メダル精算ボタン10が設けられている。
さらにまた、回胴視認部3の上記段部の下側に横長状に設けられた操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を一斉に開始させるための回胴回転始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の回胴回転停止ボタン12a、12b、12c(以下、必要に応じて、回胴回転停止ボタン12aを「左回胴回転停止ボタン12a」、回胴回転停止ボタン12bを「中回胴回転停止ボタン12b」、回胴回転停止ボタン12cを「右回胴回転停止ボタン12c」と称し、またこれら回胴回転停止ボタンを総称して、単に「回胴回転停止ボタン12」と称する)が設けられている。
また、上記ボタンやレバーには、その内部に、操作が有効であるか否かを遊技者に報知するための発光手段(LED)を設けており、このLEDの発光態様(発光色、点灯、点滅、消灯等)により操作の有効、無効を報知するように構成されている。
上記したMAXBETボタン8、貯留メダル投入ボタン9、貯留メダル精算ボタン10、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cのそれぞれには、これらが操作された際に、操作検出情報を生成するスイッチ(8a、9a、10a、11a、12a’、12b’、12c’:図2参照)が備えられている。
また操作パネル部14の下方には、遊技機の魅力をアピールするための色彩や絵柄が施され装飾パネル部17が設けられている。
装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられ、このメダル受け皿18には、遊技メダル払出装置から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルを前側に排出するための遊技メダル払出口19が開口している。
また、前扉2の前扉上部両側および前扉下部両側には、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部としてのスピーカ16が設けられている。スピーカ16は、遊技における演出を現出させるための演出手段として機能する。
<制御系>
次に、図2および図3を参照しつつ、本実施形態係る回胴式遊技機の制御系について詳細に説明する。なお、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
本発明の理解を容易なものとするために、先ず、図2を参照して、本実施形態係る回胴式遊技機における主要な各基板と各遊技部品との接続状況について簡単に説明しておく。図2は、遊技機本体100に配置される各種基板と遊技部品(電気電子部品)との接続状況を概略的に示すブロック図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機の制御系は、図2に示すように、遊技動作全般の制御を司る主制御基板400と、各種演出手段を制御するための演出制御基板420および液晶制御基板460と、外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板440とを中心に構成されている。
主制御基板400には、遊技中継基板370を介して遊技機本体に配置された各種スイッチやセンサ類等が接続されている。具体的には、主制御基板400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7aと、MAXBETボタン8の操作を検出するMAXBETスイッチ8aと、貯留メダル投入ボタンの操作を検出する貯留メダル投入スイッチ9aと、貯留メダル精算ボタン10の操作を検出する貯留メダル精算スイッチ10aと、回胴回転始動レバー11の操作を検出する回胴回転始動スイッチ11aと、停止スイッチ基板360と、が接続されており、これらからの信号が入力される。また、停止スイッチ基板360には、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作を検出する回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’や各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの内部に設けられるLEDが搭載されている。
また、主制御基板400には、回胴中継基板330を介して回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cおよび回胴位置検出センサ(各回胴に設けられているセンサであって、図柄の基準となる位置や回胴の回転を検出するためのセンサ)212a、212b、212cが接続されている。主制御基板400は、回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御して、各回胴5a、5b、5cの回転させる回転動作および各回胴5a、5b、5cを目的とする位置に停止させる停止動作を実現している。
また主制御基板400には、払出中継基板350を介してホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500には、払出制御基板450、メダル払出センサ520およびホッパーモータ510が配置されており、払出制御基板450は、主制御基板400からの払出制御コマンド(遊技メダルの払い出しに関する制御コマンド)を受けて、ホッパーモータ510を駆動制御し、目的とする枚数の遊技メダルがメダル受け皿18に払い出される。払い出される遊技メダル枚数は、メダル払出センサ520によって検出される。
さらに主制御基板400には、外部集中端子基板310が接続されている。ホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCには、この外部集中端子基板310を介して所定の遊技情報が送信されている。さらにまた主制御基板400には、回胴設定基板430が接続されている。回胴設定基板430は、ホール関係者が所持する設定鍵を挿入するための設定キースイッチ、設定鍵が挿入されることを条件に遊技の出玉率に変化をもたらす「設定」を変更したり遊技動作エラーを解除したりするためのリセットスイッチ等が設けられている。回胴設定基板430は、上記各スイッチの操作を検出して、その検出信号を出力する。
主制御基板400には、演出I/F基板340を介して接続された演出制御基板420と液晶制御基板460とが接続されている。
演出制御基板420は、主制御基板400からの演出制御コマンドを受けて、スピーカ58や装飾ランプ45やLEDの制御を中心的に司る制御基板である。また演出制御基板420は、主制御基板400から送信される演出制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶コマンドを液晶制御基板460に送信する。
液晶制御基板460は、演出制御基板420からの液晶コマンドを受けて、液晶表示装置6を駆動制御し、演出内容に沿った画像を表示して画像による演出を実現している。この液晶制御基板460は、この液晶制御基板460には、図示はしていないが、液晶制御CPU、液晶制御RAM、液晶制御ROM、画像ROM、ビデオRAM、画像IC等を備えている。液晶制御CPUは、液晶コマンドに基づいて、液晶制御ROMに記憶された画像制御プログラムに従い、液晶表示装置6に表示する演出内容を決定する。液晶制御RAMは、液晶制御CPUによる画像制御プログラムの実行の際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。画像ICは、液晶制御CPUで決定された演出に沿った画像データを画像ROMから読み出し画像を形成し、液晶表示装置6に出力する。ビデオRAMは、画像ICが画像を形成する際に発生するデータを一時的に記憶する作業領域として利用される。
なお、本実施形態では、演出制御基板420と液晶制御基板460とを別個の基板で遊技機に設けているが、これらの基板が担う機能を一体的に構成し、1つの基板に搭載しても良い。
(主制御基板400)
次に、図3を参照して、主制御基板400および演出制御基板420の回路構成について説明する。図3は図2に示す主制御基板400および演出制御基板420の回路構成を概略的に示すブロック図である。
先ず、主制御基板400の回路構成について説明する。図3に示すように、主制御基板400は回胴式遊技機の遊技動作全般の制御を司る主制御(メイン)側の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ401を中心に、主制御基板400に接続された各基板との間の信号を入出力するI/Oポート回路402、カウンタ回路403、主制御基板400に接続された外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するインターフェース(I/F)回路404〜406、モータ駆動回路407、およびスイッチ入力回路408を備えている。回胴式遊技機における遊技動作制御は、1チップマイクロコンピュータ401を中心として各上記回路が連携し合い、1チップマイクロコンピュータ401は、遊技動作を制御する制御信号(制御コマンドを含む)を周辺基板に送信して遊技動作全般を制御している。
1チップマイクロコンピュータ(本実施形態に係る回胴式遊技機ではZ80システム相当品を採用している)401は、メインROM401a、メインRAM401b、およびメインCPU401cを備え、その他、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能を有するCTC(Counter Timer Circuit)401d、メインCPU401cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路401eを備えている。
メインCPU401cは、CTC401dを利用して計時機能等を発揮し、メインROM401に記憶された遊技動作制御プログラム(回胴式遊技機全体をどのように動作させるかが記述されているプログラム)を実行して遊技の進行に係る全般的な処理を行う。メインRAM401bは、メインCPU401cが上記遊技動作制御プログラム実行する際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。メインROM401aには、上記遊技動作制御プログラムの他、回胴の停止制御の際に用いられる複数種類の停止制御用の停止制御テーブル(図示せず)、抽選により入賞役を選択する際に用いられる抽選テーブル(図5参照)、有効入賞ライン3a上に停止した図柄の確認や払い出し枚数を決定するための入賞払出判定テーブル(図示せず)も、このメインROM401aに記憶されている。
カウンタ回路403は、図示はしていないが、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを備えている。メインCPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を内部抽選用乱数値として取得する。この内部抽選用乱数値は、主に入賞役の抽選に利用される。ここで上記入賞役の抽選は、「入賞役抽選手段」により行われる。この「入賞役抽選手段」は主制御基板400の1チップマイクロコンピュータ401がその機能を担い、各回胴の回転による単位遊技の実行ごとに、ハズレを含む複数の入賞役を対象として抽選を行う機能部をいう。より具体的には、1または複数の入賞役若しくはハズレに対応付けられた当選領域を遊技状態ごとに定めた抽選領域を対象として抽選を実行し、その抽選結果を示す抽選結果情報を生成する。この入賞役抽選手段による抽選は、図5に示す抽選テーブルに基づいて行われる。
この抽選テーブルは、抽選される入賞役の種類と入賞役ごとの当選確率とを定めたものである。本実施形態における通常遊技抽選テーブルの抽選領域の大きさは65536となっており、この範囲で各入賞役の当選領域が定められている。また、図5には通常遊技中における抽選テーブル(図5(a))と後述するRT遊技(再遊技高確率当選遊技)における抽選テーブル(図5(b))のみを示しているが、抽選テーブルには各遊技状態(通常遊技、RT遊技、BB遊技、BB役持越遊技等)に対応する複数種類の抽選テーブルが用意されており、上記入賞役抽選手段は、各遊技状態に応じた抽選テーブルを選択し、入賞役に関する抽選を行っている。したがって、当選の可能性がある入賞役の種類は、前記抽選テーブルによって定まることになる(入賞役についての詳細は後述する)。
I/F回路としては、演出制御基板420とのI/F回路404、遊技中継基板370とのI/F回路405、およびその他の基板とのI/F回路406が配置されている。I/F回路405のスイッチ入力回路408には、遊技機本体に配置された各種スイッチやセンサからの信号が入力される。
また、モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cを駆動制御する制御信号を出力する。
各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御は、1チップマイクロコンピュータ401とモータ駆動回路407とによって行われており、これらは停止制御手段を構成している。以下に、回胴5a、5b、5cの回転および停止制御について簡単に説明しておく。
まず、上記停止制御手段による回胴5a、5b、5cの回転制御について説明する。モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cに駆動パルス信号を出力する。モータ駆動回路407は、回胴5a、5b、5cを1回転させるための上記駆動パルス信号として、1−2相励磁方式で1回転させるための出力相パターンを504回(図柄ステップ数24カウントで図柄を1コマ進める位置が21箇所あるため(図柄配列帯200:図4参照))出力し、回胴5a、5b、5cの回転を制御している。
また、1チップマイクロコンピュータ401には、各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号が入力される。各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号は、各回胴5a、5b、5cの基準位置を示すリセット信号として1チップマイクロコンピュータ401に入力される。1チップマイクロコンピュータ401は、上記リセット信号が入力されたときに各回胴駆動モータ211a、211b、211cに供給した上記出力相パターンの出力回数を計数する回胴励磁出力カウンタをクリアし、回胴励磁出力カウンタを順次更新しながら、回胴の回転動作を実現している。1チップマイクロコンピュータ401は、回胴ごとの回胴励磁出力カウンタのカウント値を監視することで上記基準位置からの図柄ステップ数を把握し、基準位置(本実施形態では、入賞ライン3aのうち最下段の横入賞ライン上の位置(以下、「枠内下段」と称する)を基準位置とし、どの図柄が移動してきているのかを識別する。
次に、回胴5a、5b、5cの停止制御について説明する。
1チップマイクロコンピュータ401は、前記入賞役抽選手段による抽選結果に対応する入賞役を構成する構成要素図柄を、有効入賞ライン3a上に極力一致させて停止させるべく、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されるごとに、その操作タイミングに基づいて、回胴駆動モータ211a、211b、211cへの出力相パターン信号を制御し、目的とする位置に回胴5a、5b、5cを停止させる停止動作を実現している。
具体的には、各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたタイミングで、前記基準位置に存在する図柄情報(停止操作図柄番号)を取得するそして、前記入賞役抽選手段による抽選結果に対応する入賞役を構成する構成要素図柄を、取得した停止操作図柄番号からどれだけのコマ数を以って有効入賞ライン3aに引き込んで停止させるかを割り出し、つまり引き込みコマ数(滑りコマ数)を決定し、有効入賞ライン3aに停止させる図柄を定める。なお、上記滑りコマ数は、停止操作図柄番号と前記抽選結果とに関連付けて定めてあり、所定の引き込みコマ数の範囲内で定められている。
また、前記入賞役抽選手段による抽選結果に対応する入賞役を構成する構成要素図柄と上記停止操作図柄番号との差が所定の引き込みコマ数範囲内であれば、基本的には当該図柄構成要素を所定の有効入賞ライン3a上に引き込む形態で、回胴の停止制御が行われることになる(いわゆる、引き込み制御)。有効入賞ライン3a上に停止した図柄は、前記基準位置にどの図柄が停止したかで自然と定まるので、各回胴5a、5b、5cの有効入賞ライン3a上の停止図柄は、前記基準位置の停止図柄に基づいて回胴の停止ごとに把握されている。また、回胴の回転中であっても、停止操作図柄番号からの滑りコマ数により、当該回胴の有効入賞ライン上3aに停止する図柄を回転回胴停止ボタンが操作されたタイミングに基づいて把握することができる。
このように、本実施形態では、遊技者による回胴の停止操作のタイミングに従い、最大引き込みコマ数範囲内で前記入賞役抽選手段による抽選結果に対応する入賞役を構成する構成要素図柄を有効入賞ライン3a上に引き込む引き込み制御下で各回胴5a、5b、5cの停止制御が行われる。このような引き込み制御の特性と有効入賞ラインのライン取りとの関係に基づいて、各回胴が担持する図柄の配置構成を定めれば、回胴回転停止ボタン12の操作のタイミングにかかわらず、特定の入賞役を構成する構成要素図柄を確実に有効入賞ライン上に引き込み可能にしたり、停止操作のタイミングによっては最大引き込みコマ数引き込んでも有効入賞ライン上に引き込み不可能としたりすることができる。
ここで、本実施形態での回胴の停止制御許容範囲は、前記停止操作図柄番号から数えて最大5コマ、すなわち最大引き込みコマ数が4コマに定められており、この最大引き込みコマ数である4コマ分の回胴の回転量の範囲が、回胴の停止制御許容範囲となる。
したがって、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたタイミングからこれに対応する回胴5a、5b、5cが実際に停止するまでの時間(待ち時間)が最大となるのは、最大引き込みコマ数分引き込んで回胴を停止させる場合であり、本実施形態では、最大で190msの時間以内に引き込み制御が完結して回胴が停止するように設定されている。
そして、通常遊技においては、回胴が完全に停止するのに必要な余裕時間(本実施形態では、20ms程度)を加味したものを実際の待ち時間とし、回胴回転停止ボタン12が操作されたタイミングから210msの待ち時間(以下、この待ち時間を必要に応じ「通常停止時間(最大停止許容時間に相当する)」と称する)を経過したときに、次の回胴回転停止ボタン12の操作の受付が有効となるように設定している。換言すれば、回胴回転停止ボタンが操作されたときから対応する回胴が停止されるまでに、引き込み制御のための所定の待ち時間(210ms)を置くことになる。なお、この引き込み制御のための待ち時間は特に制限はされない。
(図柄配列帯)
ここで、図4を参照して、本実施の形態における各回胴5a、5b、5cが有する図柄配列帯について説明しておく。図4は本実施の形態の各回胴が有する図柄配列帯の一例を示したものである。図に示す「1ST」図柄配列帯は左回胴5aに、「2ND」図柄配列帯は中回胴5bに、「3RD」図柄配列帯は右回胴5cに対応している。
図柄配列帯200には、図柄番号0〜20が図柄の並び順に沿って一つずつ割り当てられている。図柄配列帯200には、入賞役を構成する構成要素図柄の図柄種として、赤7図柄31、リプレイ(RP)図柄32、ベル図柄33、スイカ図柄34、プラム図柄35、赤チェリー図柄36、青チェリー図柄37、ブランク図柄38の計8種類の図柄が施されており、これらの図柄が回胴の回転方向に、計21コマ配置されている。
次に、図5を参照して、各回胴5a、5b、5cの構成要素図柄の組み合わせのうち、入賞役として扱われるものについて説明する。図5には、入賞役の役種別、これに対応する図柄の組み合わせ、それらの遊技価値を当選確率と共に例示してある。なお、本発明は、図5に例示する入賞役に限定されることはなく、様々な遊技価値を有する入賞役を適宜設定することができる。また、各入賞役がどの遊技状態においても必ずしも同一の遊技価値を有するものとして設定されているとは限らない。すなわち、同一の入賞役であっても、一の遊技状態では入賞によって所定の遊技価値が遊技者に付与されるが、他の遊技状態においては遊技価値が遊技者に付与されない(あるいは、前記一の遊技状態よりも他の遊技状態の方が遊技者に付与される遊技価値が低い、または当該遊技価値が高い)ように設定することもできる。
(入賞役)
次に、入賞役について説明する。本実施形態における入賞役の役種別としては、リプレイ役1、リプレイ役2、チェリー役1、チェリー役2、ベル役、プラム役、スイカ役、BB役等が設定されている。図5の構成要素図柄の組み合わせの欄には、例えば、有効入賞ライン3a上に、左回胴5aに「RP図柄32」、中回胴5b「RP図柄32」、右回胴5c「RP図柄32」の図柄が停止した場合、リプレイ役1に対応する図柄の組み合わせとして表記している(以下、「RP図柄32」−「RP図柄32」−「RP図柄32」のように表記する)。
リプレイ役1は、「RP図柄32」−「RP図柄32」−「RP図柄32」の組み合わせで構成され、入賞が確定した場合に今回の遊技で投入した遊技メダルの枚数と同一の枚数を擬似的に付与して次回の遊技を開始可能とする再遊技を遊技者に付与する入賞役である。すなわち、遊技者が遊技メダルを投入(クレジットからの擬似的な投入を含む)することなく、所定の遊技開始条件を付与し、次回の遊技を開始可能とする入賞役である。したがって、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回の遊技が可能になるという点で、上記再遊技は、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。
リプレイ役2は、「RP図柄32」−「RP図柄32」−「スイカ図柄34」の組み合わせで構成され、入賞が確定した場合に前記再遊技を付与し、入賞時の遊技状態が通常の遊技状態(通常遊技)である場合には、次回以降の遊技状態を通常遊技よりも遊技者に有利な特殊遊技状態(RT遊技)に移行させるものである(図5(a)参照)。このリプレイ役2は、RT遊技の発動契機となるRT発動役としての性質を有する。ここで、「RT遊技」とは、通常遊技中よりもリプレイ役1に当選する確率を上昇させた再遊技高確率当選遊技状態である。RT遊技では、リプレイ役1に当選する確率が上昇することに加えて、各入賞役の抽選も毎遊技ごとに行なわれる。したがって、このRT遊技は、通常遊技中よりも遊技者が遊技メダルを減らすことなく遊技が可能になるという点で、遊技価値を有するものといえる(RT遊技の移行条件、その終了条件についての詳細は後述する)。
ベル役は、「ベル図柄33」−「ベル図柄33」−「ベル図柄33」の組み合わせで構成され、入賞が確定した場合、所定枚数の遊技メダルの払い出しを伴う入賞役である。また、ベル役と同様の性質を有するものとして、チェリー役1(「赤チェリー図柄35」−「ANY」−「ANY」で構成される。なお、「赤チェリー図柄36−ANY−ANY」とは、左回胴5aのチェリー図柄35が有効入賞ライン3a上に停止さえすれば、残りの回胴5b、2cにおける停止図柄の種類は問わないという意味である)、スイカ役(「スイカ図柄34」−「スイカ図柄34」−「スイカ図柄34」で構成される)が設けてある。
プラム役は、「プラム図柄35」−「プラム図柄35」−「赤7図柄31」の組み合わせで構成され、入賞が確定した場合に今回の遊技で所定枚数の遊技メダルを付与し、入賞時の遊技状態がRT遊技中の場合、次回以降の遊技状態を通常遊技に移行させるものである。詳細は後述するが、このプラム役は、RT遊技の終了契機となるRT終了役としての性質を有する。
本実施形態では、プラム役に入賞してしまうとRT遊技が終了するので、これを回避可能とすべく、プラム役の構成要素図柄である「プラム図柄35」または「赤7図柄31」を、引き込み制御下でも目押し操作により有効入賞ライン上に停止することを回避させる、いわゆる「外し」が可能なような図柄配置構成としている。以下、その配置構成について説明する。
図4に示す図柄配列帯200を参照すると、上記図柄配列帯「1ST」および「2ND」におけるプラム役の構成要素図柄であるプラム図柄35は1つずつ施されており、図柄配列帯「3RD」におけるプラム役の構成要素図柄である赤7図柄31は、2つの赤7図柄31が最大引き込みコマ数離間されて施されている。
詳細には、図柄配列帯「1ST」におけるプラム役の構成要素図柄であるプラム図柄35は、遊技者が回胴回転停止ボタン12を特定のタイミングで操作した場合、例えば、図柄番号6のRP図柄32が枠内下段に位置するタイミングで回胴回転停止ボタン12aを操作した場合、たとえ最大引きコマ数である4コマ分引き込んでも、有効入賞ライン3a上に停止不可能なように配置されている(このときには、図柄番号10のブランク図柄38が枠内下段に停止する)。また図柄配列帯「2ND」におけるプラム図柄35は、遊技者が回胴回転停止ボタン12を特定のタイミングで操作した場合、例えば、図柄番号20のRP図柄32が枠内下段に位置するタイミングで回胴回転停止ボタン12bを操作した場合、最大引きコマ数である4コマ分引き込んでも、有効入賞ライン3a上に停止不可能なように配置されている(このときには、図柄番号3のRP図柄32が枠内下段に停止する)。また図柄配列帯「3RD」におけるプラム役の構成要素図柄である赤7図柄31は、その図柄配列帯上に図柄番号10と図柄番号19の2つの赤7図柄31が施されており、これらは最大引き込みコマ数より多いコマ数分離間して配置されている。本実施形態では、遊技者が回胴回転停止ボタン12を特定のタイミングで操作した場合、例えばプラム役の構成要素図柄である図柄番号10の赤7図柄31を全有効入賞ライン3a上から外すように図柄番号11のベル図柄33を枠内下段に位置するタイミングで回胴回転停止ボタン12cを操作した場合、たとえ最大引きコマ数である4コマ分引き込んでも、他方の赤7図柄31(図柄番号19)がどの有効入賞ライン3a上にも停止不可能となるように配置されている。
BB役は、「赤7図柄31」−「赤7図柄31」−「赤7図柄31」で構成され、いわゆるボーナス役と称される特別入賞役であり、入賞が確定した場合、次回以降の遊技状態を通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行させるものである。このBB役への入賞が確定した場合、次回以降の遊技が「BB遊技(ビッグボーナスゲーム)」と称される特別遊技状態に移行する。本実施形態のBB遊技では、特別役物(いわゆる、レギュラーボーナス)を連続的に作動させる役物連続作動装置が作動し、遊技者は短時間で大量の遊技メダルを獲得することができるようになっている。このBB遊技は、所定の終了条件、例えば所定枚数の遊技メダルが払い出されたことを条件に、BB遊技が終了するようになっている。上記BB役は、短時間に大量の遊技メダルを獲得することが可能であり、全入賞役のうちで最も高い遊技価値を有する入賞役として位置付けられている。
チェリー役2は、「青チェリー図柄37」−「ANY」−「ANY」で構成され、チェリー役1とBB役とに重複して同時当選する入賞役(いわゆる、重複入賞役)である。この重複入賞役に当選した場合、どの入賞役を優先的に有効入賞ライン3aに引き込むかは、所定の優先順位に基づいて行われる。本実施形態では、「リプレイ役1、リプレイ役2(優先順位高)>チェリー役1、チェリー2、スイカ役、プラム役>BB役(優先順位低)」の順位で優先的に引き込み制御が行われるように、優先順位に関し定められている。これにより、重複当選した遊技では、前記優先順位に基づき停止制御が行われる。また、BB役は持越可能入賞役(詳細は後述する)として設定されているので、BB役が持ち越されている遊技(BB役持越遊技)においては、BB役と今回の単位遊技で当選した入賞役とで、上記優先順位に従い、引き込み制御が行なわれることになる。
なお、リプレイ役1、リプレイ役2、チェリー役1、チェリー役2、ベル役、プラム役、スイカ役のそれぞれは、抽選により当選したその遊技で、対応する図柄の組み合わせが有効入賞ライン3a上に停止しなかった場合、当該当選が無効となり、当選した権利を次回以降の遊技に持ち越すことができない持越不可能入賞役として設定されている。これに対し、BB役は、抽選により当選したその遊技で対応する図柄の組み合わせが有効入賞ライン3a上に停止しなかった場合であっても、当該当選は無効とされることなく、当選した権利を次回以降の遊技に持ち越すことができる持越可能入賞役として設定されている。
(演出制御基板420)
再び、図3を参照して演出制御基板420について説明する。演出制御基板420は、スピーカ16、LED等を制御する副制御(サブ)側の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ421を中心に、演出制御基板420に接続された演出I/F基板340との間の信号を入出力するI/Oポート回路422、カウンタ回路403と同様の機能を有するカウンタ回路423を備えている。
1チップマイクロコンピュータ421は、サブROM421a、サブRAM421b、およびサブCPU421cを備え、その他、周期的な割り込みや一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能を有するCTC421d、およびサブCPU421cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路421eを備えている。
また、図示はしていないが、演出制御基板420にはスピーカ16を制御するためのサウンドLSI、音声ROM、音処理回路を含む音波制御回路を備えている。音声ROMには演出パターンに対応した各種効果音を発生させるための音波出力用データが記憶されている。サウンドLSIは、サブCPU421cからのスピーカ16制御用の音声コマンドを受けて、所定のタイミングで前記音声ROMからデータを読み出し、所定の処理を施して音処理回路に出力する。前記音処理回路は前記データをD/A変換して音声信号を生成し、音声信号を所定レベルに増幅してスピーカに供給する。
サブCPU421cは、メインCPU401cと同様に、CTC421dを利用して計時機能やタイマ割り込み機能を発揮し、サブROM421aに記憶された演出制御プログラム(主に回胴式遊技機の演出手段(必要に応じて、液晶表示装置6、スピーカ16、LED等の演出を現出するための装置を総称して「演出手段」と称する場合がある)をどのように動作させるかが記述されているプログラム)を実行して、各種LED、スピーカ16を制御したり、液晶制御基板460に対して液晶コマンドを送信したりする。サブRAM421bは、サブCPU421cが演出制御プログラムを実行する際、一時的にデータを記憶する作業領域として利用される。サブROM421aには、前記演出制御プログラムの他、遊技に伴う演出内容を定めた演出パターンテーブル(図示はしていない)が記憶されている。上記1チップマイクロコンピュータ421は、主制御基板400からの前記演出制御コマンドに基づいて、上記演出パターンテーブルから目的とする演出パターンを選択して、選択した演出パターンを現出するに必要なLED制御用の発光コマンド、スピーカ16制御用の音声コマンド、液晶コマンドなどを出力する。
カウンタ回路423は、図示はしていないが、カウンタ回路403と同様に乱数生成回路とサンプリング回路とを備えている。サブCPU421cは、演出処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を演出用乱数値として取得する。この演出用乱数値は、主として演出パターンテーブルから目的とする演出パターンを決定するために利用される。
ここで、主制御基板400のメインCPU401cと演出制御基板420のサブCPU421cとのインターフェースにおけるハードウェア構成を説明しておく。
主制御基板400のメインCPU401cは、処理状態を特定可能な制御情報としての各種演出制御コマンド(詳細は後述する)を出力する。この出力した演出制御コマンドは、演出制御基板420とのI/F回路404が備える出力バッファ回路404aを介して出力される。
出力バッファ回路404aは、メインCPU401c側の信号を外部に対して出力することを許可するが、メインCPU401c側の内部に対して信号が入力されることを禁止するように機能している。したがって、メインCPU401c側は、一方向通信における出力側としてのみ機能している。これは、ゴト行為による不正な信号が演出制御基板420を介してメインCPU401cに入力されることを防止するためである。
演出制御基板420のサブCPU421cが受信する上記各種演出制御コマンドは、演出I/F基板340を通して、正確にはその内部に設けられた主制御基板400用の入力バッファ回路340aを介して、さらにはインターフェース(I/F)回路424を介して入力される。また同時に、主制御基板400からのストローブ信号(演出用INT信号)も、サブCPU421cの割込み信号として入力される。
入力バッファ回路340aは、一方のメインCPU401c側からサブCPU421cへの信号については入力を許可するが、他方のサブCPU421cからメインCPU401c側の内部への信号については、信号が出力されることを禁止するように機能している。したがって、サブCPU421c側は、一方向通信における入力側としてのみ機能している。
(演出制御コマンド)
ここで、主制御基板400が各遊技動作の実行時に演出制御基板420に対して送信する各種演出制御コマンドについて説明する。主制御基板400が送信する演出制御コマンドとしては、以下のようなものがある。なお、これらのコマンド名は、発生時期または送信時期に着目して命名されており、その命名の内容の実行を促すものではない。
まず、遊技メダル1枚を投入するごとに発生する「メダル投入コマンド」、回胴回転始動レバー11の操作時に発生する「回転開始(遊技スタート)コマンド(当選役に関する情報や遊技状態に関する情報を含む)」、回胴回転始動レバー11操作後の回胴回転開始時に発生する「回胴起動(回胴回転)コマンド」がある。ここで、回転開始コマンドが入賞役や遊技状態の情報を含むとは、例えば回転開始コマンドが16ビットの符号からなり、そのうちの6ビットが当選役を示す情報(入賞役当選情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられるような形態を意味する。この上記回転開始コマンドに含まれる「遊技状態情報」には、「通常遊技中」、「RT遊技中」、「BB遊技中」、「BB遊技終了」、「遊技状態移行情報」、「入賞役当選情報」等がある。
さらにまた、主制御基板400から演出制御基板420に送られる演出制御コマンドには、回胴回転停止ボタン12aの操作時(左停止操作時)、回胴回転停止ボタン12bの操作時(中停止操作時)、回胴回転停止ボタン12cの操作時(右停止操作時)にそれぞれ発生する「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」のコマンド(停止操作順情報を含む)や、引き込み制御後の左回胴5a停止時、中回胴5b停止時、または右回胴5c停止時に発生する「左回胴停止」、「中回胴停止」、「右回胴停止」のコマンド(回胴の「停止位置情報」を含む)がある。これら「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」の各コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの3ビットが順押し(停止操作順:左回胴→中回胴→右回胴)、逆押し(停止操作順:右回胴→中回胴→左回胴)、ハサミ押し(停止操作順:中回胴→右(または左)回胴→左(または右)回胴)等の押し順情報に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す状態情報(遊技状態情報)に割り当てられる。
なお、3つの回胴回転停止ボタンのうちで1番目に操作された回胴回転停止ボタンであることは、上記の停止操作順情報から知ることができ、「第1停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、演出制御基板420が1番目停止時に回胴停止時の演出を実行するために利用される。同様にして、2番目、3番目に操作された回胴回転停止ボタンであることも、上記の押し順情報から知ることができ、「第2停止コマンド」、「第3停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、利用される。
さらに、主制御基板400から演出制御基板420に送られる演出制御コマンドには、3番目に回胴回転停止ボタンを離した時に発生する「全回胴停止」コマンドがある。この全回胴停止コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの4ビットが有効入賞ライン3a上に揃った入賞役の種類を示す情報(入賞役情報)に割り当てられ、他の3ビットが入賞ラインを示す情報(入賞ライン情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられる。
この全回胴停止コマンドは、引き込み制御中に停止ボタンから指を離した場合、3番目の回胴の引き込み制御後の回胴停止時に発生する。ここで全回胴停止コマンドに含まれる「入賞ライン情報」とは、回胴において入賞役が揃った入賞ラインに関する情報であり、また「入賞役情報」とは実際に揃った図柄に関する情報である。回転開始コマンドに含まれる「入賞役」の情報では、実際に揃う図柄が未確定であるのに対し、この全回胴停止コマンドに含まれる「入賞役」の情報は、取りこぼしをすることなく実際に揃った図柄を示す情報である点で、両者は異なる。
次に、図6〜図14を参照して、本実施形態係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について説明する。先ず、図6を参照して、本実施形態の主制御基板400側にて実行される主制御側のメイン処理について説明する。
(主制御側のメイン処理:図6)
図6は、遊技動作制御プログラムに従い主制御基板400(メインCPU401c)が実行する主制御側のメイン処理を示すフローチャートである。なお、図6〜図10で説明する処理内容については、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御基板400として説明する。
まず、遊技機本体100に対して外部から電源が投入されると、電源基板440から主制御基板400に電源が投入された旨の電源投入信号が送信され、主制御基板400を介して各基板へと電源投入信号が送信される。そして、主制御基板400は、遊技動作開始前における必要な初期設定を行う(ステップS101)。この初期設定では、各種基板や遊技部品(各スイッチ類やセンサ類)の接続状態の確認、CTC401dを含む内蔵レジスタやI/Oの初期化、メインRAM401bのワーク領域を書き込み許可にする等、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(電源遮断前の遊技状態に復帰可能であれば、遊技復帰処理を実行する)。
そして、ステップS101の初期設定が正常に終了した後、処理状態に応じてステップS102〜ステップS119の処理を実行する。
ステップS102では、所定のワーク領域をクリアし、次回の遊技を開始させるために必要なワーク領域を確保するRAMクリア処理を実行する(ステップS102)。
次に、満杯検知金具600のON、OFF状態を監視し、満杯状態であれば所定のエラー処理を実行する(ステップS103)。満杯検知金具600(図3参照)は、ホッパーユニット500から溢れた遊技メダルを貯留する補助タンク(図示はしていない)に形成された検出センサであり、上記補助タンクが遊技メダルで満杯状態となっているか否かを検出するセンサである。
次に、メダル投入処理を実行する(ステップS104)。このメダル投入処理では、メダル投入口7(クレジットからの擬似的な投入も含む)から遊技機本体100に投入された遊技メダルを検出したり、投入された遊技メダルの枚数を計数したり、クレジットされた遊技メダルの精算に関する処理が行われる。またこのメダル投入処理では、遊技開始条件を満たしている場合、回胴回転始動レバー11が操作されたか否か、具体的には回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を受信したか否かをも監視しており、当該回胴回転開始信号を受信しない限り、ステップS105の処理には移行しないようにしている。本実施形態の回胴式遊技機における遊技は、遊技者による遊技メダル投入により遊技開始の条件が整い、回胴回転始動レバー11を操作して回胴を回転開始させてから、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cを操作して回胴を停止させることで、各回胴の停止位置により定まる図柄の組み合せによって遊技結果が得られるまで(ここでいう遊技結果とは、有効入賞ライン5上に入賞役が揃い、これに応じた遊技価値が付与されることを意味する)の一連の工程を1回の遊技(単位遊技:1ゲーム)として、繰り返される遊技である。
次に、内部抽選用乱数値をカウンタ回路403のカウンタ値に基づいて抽出する(ステップS105)。上記内部抽選用乱数値を抽出するタイミングは、回胴回転始動レバー11が操作され、回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を受信したタイミングで行われる。内部抽選用の乱数は、カウンタ回路403によって生成され、本実施形態では、8ビットのバイナリカウンタを2個用いて16ビットのハードウェア乱数(0000H〜FFFFH(16進数)の繰り返し)を生成している。
次に、ステップS105の処理で抽出した内部抽選用乱数値を用いて、入賞役を抽選する図柄抽選処理を実行する(ステップS106)。この図柄抽選処理では、前記内部抽選用乱数値と抽選テーブル(図5参照)とに基づき、入賞役に関する抽選を行い、抽選結果に基づく抽選結果情報(当選役情報、例えば内部当選フラグが該当する)を生成する。この抽選結果情報は、メインRAM401bの所定の領域に格納される。この抽選結果情報は毎遊技ごとにクリアされるが、BB役の当選情報に限り入賞が確定するまで、その情報は次回以降の遊技に持ち越される。なお、BB役の入賞が確定するまでの遊技は持ち越し遊技(BB役持越遊技)と称され、この遊技中、BB役は抽選の対象として除外される。
ステップS107では回胴回転開始設定処理を行う。すなわち、各回胴5a、5b、5cの回転を開始させるための回胴回転始動時の設定を行う回胴回転開始設定処理を実行する(ステップS107)。また、ここでは回胴回転始動レバー操作時、入賞役の当選情報や遊技状態情報を含む「回転開始コマンド」の送信を行う。
その後、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作された場合、操作がなされた回胴回転停止ボタンに対応する回胴を停止させるための回胴停止処理を実行する(ステップS108)。詳細は後述するが、この回胴停止処理では、上記ステップS106での抽選結果情報と回胴回転停止ボタン12の操作タイミングとに基づいて、有効入賞ライン3a上に停止させる図柄に関する停止制御データが生成される。この生成されたデータに基づいて、回胴の停止制御が行われる。
ステップS108の処理ですべての回胴が停止した場合、有効入賞ライン3a上に成立した停止図柄に基づき、入賞かどうかを判定する入賞判定処理を実行する(ステップS109)。この入賞判定処理では、有効入賞ライン上での停止図柄の組み合わせに基づいて、入賞を判定する停止図柄判定処理や、上記停止図柄に応じた遊技メダルの払い出しの枚数を設定する払出設定処理が行われる。
次に、ステップS109の入賞判定処理で設定された払い出し枚数に基づき、遊技メダルを払い出すための遊技メダル払出処理を実行する(ステップS110)。
次に、遊技状態移行管理処理を実行する(ステップS111)。詳細は後述するが、この遊技状態移行管理処理は、通常遊技からRT遊技への移行管理やRT遊技から通常遊技への移行管理等、遊技状態の移行を管理制御するための処理である。
次に、有効入賞ライン3a上に成立した入賞役の図柄が、リプレイ役なのか、BB役なのか、あるいはBB遊技中であるのかを、順に見て行く(ステップS112〜S114)。
まず、主制御基板400は、リプレイ役が有効入賞ライン3a上に成立したか否かを判定する(ステップS112)。リプレイ役が成立している場合(ステップS112:YES)、再遊技を行うために必要な処理(再遊技作動開始処理)を実行する(ステップS118)。そして、再遊技作動開始処理(ステップS118)を実行した後、RAMクリア処理(ステップS102)に移行する。リプレイ役が成立していない場合(ステップS112:NO)、BB役が有効入賞ライン3a上に成立したか否かを判定する(ステップS113)。
BB役が成立している場合(ステップS113:YES)、BB遊技を開始するために必要な設定処理(BB作動開始処理:ステップS119)を行った後、RAMクリア処理(ステップS102)に移行する。BB役が成立していない場合(ステップS113:NO)、BB遊技中であるか否かを判定する(ステップS114)。
BB遊技中でない場合(ステップS114:NO)、RAMクリア処理(ステップS102)に移行する。BB遊技中である場合(ステップS114:YES)、BB遊技を進行する上で必要な処理(BB遊技管理処理:ステップS115)を実行した後、BB遊技の終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS116)。
BB遊技の終了条件を満たしていない場合(ステップS116:NO)、RAMクリア処理(ステップS102)に移行する。BB遊技の終了条件を満たした場合(ステップS116:YES)、BB遊技中に使用したメインRAM401bのワーク領域をクリアして(ステップS117)、ステップS103の処理へ移行する。これによりBB遊技終了後には、通常遊技に移行する。
(遊技状態移行管理処理:図9)
ステップS108の回胴停止処理の説明に入る前に、本発明の理解を容易なものとするため、先ず、図9を参照して、図6の主制御側メイン処理における遊技状態移行管理処理(ステップS111)について詳細に説明する。図9は、回胴停止処理を示すフローチャートである。
まず、主制御基板400は、RT遊技中であるか否かを確認する(ステップS901)。RT遊技中であるかは、ステップS909の処理で設定されたRT遊技フラグを確認することにより判断される。RT遊技中の場合(ステップS901:YES)、BB役に当選したか、プラム役が停止したかどうかを順に確認していく(ステップS902〜S903)。BB役に当選した場合(ステップS902:YES)、またはプラム役が停止した場合(ステップS903:YES)、つまりプラム役に入賞した場合、ステップS906の処理に進む。BB役に当選していない、およびプラム役に入賞していない場合(ステップS902:NO、S903:NO)、後述するステップS909の処理で設定されるRT継続遊技数から1ゲーム分を減算する(ステップS905)。
次に、ステップS905で減算処理されたRT継続遊技数が0であるか否かを確認する(ステップS905)。RT継続遊技数が0ではない場合(ステップS905:NO)、何もしないで遊技状態移行管理処理を終了する。RT継続遊技数が0、つまりRT遊技が規定遊技数消化により終了となった場合には(ステップS905:YES)、RT遊技終了設定処理を実行する(ステップS906)。このRT遊技終了設定処理では、RT継続遊技数をクリアしたり、RT遊技フラグをクリアしたりする処理が行われる。
ステップS901でRT遊技中ではない場合(ステップS901:NO)、次に通常遊技中であるか否かを確認する(ステップS907)。通常遊技中ではない場合、つまり、BB遊技中やBB持越遊技中である場合には(ステップS907:NO)、何もしないで遊技状態移行管理処理を終了する。
しかし、通常遊技である場合には(ステップS907:YES)、次にリプレイ役2(RT発動役)に当選したか否かを確認する(ステップS908)。リプレイ役2に当選していない場合(ステップS908:NO)、何もしないで遊技状態移行管理処理を終了する。リプレイ役2に当選した場合(ステップS908:YES)、RT遊技移行設定処理を実行する(ステップS909)。このRT遊技移行設定処理では、RT継続遊技数(本実施形態では、RT継続遊技数として、RT遊技規定数を100ゲーム)をセットしたり、RT遊技フラグをオンしたりする処理が行われる。
本実施形態では、RT継続遊技数が残存している場合であっても、BB役が当選した場合、その遊技でRT遊技を強制的に終了させる非完走型のRT遊技としている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、RT継続遊技数を完全に消化した後、BB役を揃えられることを許容する完走型のRT遊技を採用しても良い。また、RT継続遊技数を規定しないで、RT遊技の終了契機となるRT終了役(本実施形態ではプラム役)を外し続けることで、特別な入賞役(例えばBB役)に当選するまで継続するRT遊技を採用しても良い。
(回胴停止処理:図7)
次に、図7を参照して、図6の主制御側メイン処理における回胴停止処理(ステップS108)について詳細に説明する。図7は、回胴停止処理を示すフローチャートである。
この回胴停止処理では、上述したように、上記抽選結果情報と回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作タイミングとに基づいて、有効入賞ライン3a上に停止させる図柄に関する停止制御データ(引き込みコマ数等)が生成される。そして、この生成されたデータに基づいて、回胴の停止制御が行われる。
まず、主制御基板400は、回胴回転停止ボタン12の操作が有効であるか否かを判定する(ステップS201)。図示はしてないが、主制御基板400は、回転している回胴に対応する回胴回転停止ボタン12についての操作を受け付け可能な状態にする停止操作可能化手段を有している。本実施形態では、回胴回転始動レバー11が操作されて各回胴が回転された後、すべての回胴が概ね一定の回転速度になったとき、回転している回胴に対応する回胴回転停止ボタン12についての操作が受け付け可能な状態となるように構成されている。このため回胴回転停止ボタン12の操作は、その操作が受け付け可能な状態にある場合にのみ有効となり、受け付け可能な状態にない場合には、仮に遊技者により回胴回転停止ボタン12が操作されても無効な操作として扱われる。したがって回胴回転停止ボタン12の操作が有効でない場合には(ステップS201:NO)、有効となるまで待つことになる。回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作(以下、「停止操作」とも称する)の受け付け状態は、各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの内部に設けられるLEDの発光態様(例えば発光色)の変化によりその旨が遊技者に報知されるようになっている。
遊技者による回胴回転停止ボタン12の操作が有効な状態、つまり操作を受け付け可能な状態になった場合(ステップS201:YES)、次に回胴回転停止ボタン12の1つがオンされるのを待つ(ステップS202)。ここでは説明の便宜上、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cがこの順序で操作されるものとし、上記の回胴回転停止ボタン12の1つがオンされる例として、最初の左回胴回転停止ボタン12aが操作されるケースから説明する。
(a)左回胴回転停止ボタン12aが操作された場合
左回胴回転停止ボタン12aが操作された場合、つまり左回胴回転停止スイッチ12a’がオンされた場合(ステップS202:YES)、停止間隔タイマにより、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cを操作する相互の停止間隔として210msを設定する(ステップS203)。この各停止間隔は、上述の引き込み制御が完結するのに要する待ち時間190msに、回胴が完全に停止するのに要する余裕時間20msを加えたものであり、計210msの待ち時間を設定するものである。なお、少なくともこの待ち時間中は、回転中の回胴の回胴回転停止ボタン12が操作されても、その操作は無効として扱われる。本実施形態では、回胴回転停止ボタン12が操作されてステップS202の処理でYESと判断された後、今回停止操作がなされた回胴以外の他の回転中の回胴の停止操作の受け付けを無効とし、今回停止操作がなされた回胴の引き込み制御が完結して(ステップS203〜S207)、ステップS208の待機時間設定処理(詳細は後述する)〜S209の処理が終わり、再び入るステップS201の処理にて他の回転中の回胴の停止操作が受け付け可能な状態となるまでは、対応する回胴の停止操作については無効なものとして扱う。したがって、この期間は他の回転中の回胴を停止させることができない。しかし再び入るステップS201の処理にて、上記他の回転中の回胴が正常に回転していると判断されれば、前記停止操作可能化手段により上記回転中の回胴の停止操作の受け付けが有効な状態にされ(ステップS201:YES)、他の回転中の回胴を停止させることができるようにしている。
次に、停止制御テーブル(図示せず)を参照し、停止制御テーブル中から抽選結果情報に対応する停止制御パターンを選択することにより、回胴停止データを設定する(ステップS204)。停止制御パターンには、既に説明したように、停止操作位置(停止操作図柄番号)に基づく回胴5a、5b、5cの滑りコマ数が記述されている。結果として、主制御基板400は、ここでいう回胴停止データの設定として、停止操作位置に基づく回胴5aの滑りコマ数を算出することになる(ステップS204)。
次に、回胴5aの回転に伴い、ステップS204で算出された滑りコマ数が消化されてゼロになったか否かを監視する(ステップS205)。そして、上記の滑りコマ数分、回胴5aが回転するまで待つ(ステップS205)。滑りコマ数だけ回胴5aが滑ることにより、滑りコマ数がゼロになったと判断された場合(ステップS205:YES)、操作した左回胴回転停止ボタン12aに対応する回胴5aの回転を停止する(ステップS206)。
次に、上記の停止間隔タイマの設定値がゼロになるまで、つまり引き込み制御のための上記所定の待ち時間(210ms)が経過するのを待つ(ステップS207)。
上記所定の待ち時間(210ms)が経過したならば(ステップS207:YES)、待機時間設定処理(ステップS208)に入る。この待機時間設定処理の詳細は次に図7にて説明する。
上記図7のステップS203、S207の処理は、上記回胴回転停止操作手段が操作されたことを条件として、上記停止制御手段により対応する回胴が停止されるまでに上記引き込み制御のための所定の待ち時間(210ms)を置く待ち時間生成手段に対応する。
(b)待機時間設定処理(図8)
図8に待機時間設定処理の詳細を示す。この待機時間設定処理において、まず主制御基板400は、現在の遊技がRT遊技中であるか否かを確認する(ステップS301)。RT遊技中であるかは、ステップS909の処理で設定されたRT遊技フラグを確認することにより判断される。RT遊技中でなければ(ステップS301:NO)、何もしないでこの待機時間設定処理を終了する。
RT遊技中である場合(ステップS301:YES)、RT遊技中にプラム役(RT終了役)に当選したか否かを確認する(ステップS302)。RT遊技中においてプラム役に当選していない場合は(ステップS302:NO)、何もしないでこの待機時間設定処理を終了する。
ここでプラム役は、「プラム図柄35」−「プラム図柄35」−「赤7図柄31」を構成要素図柄とするRT遊技の終了契機となる入賞役であり、このプラム役が抽選されただけでは入賞は確定せず、回胴12a、12b、12cにおいて、これに対応する「プラム図柄35」−「プラム図柄35」−「赤7図柄31」の図柄が有効入賞ライン3a上に成立しとき、初めてプラム役(RT終了役)への入賞が確定する。
したがって、遊技者は、例えば最初に停止した回胴5aにより「プラム図柄35」が有効入賞ライン3a上に導出表示された場合、続く第2の回胴5bを停止する際には、「プラム図柄35」が有効入賞ライン3a上に導出表示されないことを願いつつ停止操作を行う。もし続く第2の回胴5bの有効入賞ライン3a上の停止図柄が「プラム図柄35」の図柄であり、プラム役が聴牌してしまった場合は、最後の第3の回胴5cを停止させる際、「赤7図柄31」が有効入賞ライン3a上に停止しないように目押し操作することになる。目押し操作に失敗し、運悪く「プラム図柄35」−「プラム図柄35」−「赤7図柄31」の組み合わせが揃ってしまった場合、つまりプラム役に入賞してしまった場合には、今回の遊技でRT遊技は終了となる(図9遊技状態管理処理のステップS903参照)。
ここで、本実施形態では、後述する演出制御基板420側の演出処理(図14の「コマンド受信処理」参照)で、回転開始コマンドに含まれる入賞役当選情報に基づいて、画像表示装置やランプ等により当選可能性がある入賞役を報せる第1の報知演出がなされ、プラム役の当選可能性もこの第1の報知演出により遊技者に報知される。しかし、遊技に対する集中力が低下して不用意に、または偶発的な事情等によりこの報知演出を見逃してしまうことがある。特に、プラム役に当選したときになされる前記第1の報知演出を見逃して、目押し操作によりプラム役への入賞を回避することができるのにもかかわらず、普段のリズムで各回胴回転停止ボタン12をテンポ良く押してしまうことでプラム役が入賞し、不運にもRT遊技が終了してしまうことは、遊技者の遊技意欲を低下させる原因となる。そこで本実施形態では、後述の処理によって停止操作の受け付け状態を制御することにより、遊技者がいつものようにテンポよく回胴を止めようとしても、その停止操作を一時的に利かない、という第2の報知演出を現出して、プラム役の入賞可能性を二重に報知することを実現している。以下、詳細に説明する。
RT遊技中、プラム役に当選した場合(ステップS302:YES)、停止操作した回胴5aについて、プラム役の構成要素図柄である「プラム図柄35」が、入賞可能位置、つまり回胴5aにおける有効入賞ライン3a上に停止したか否かを確認し(ステップS303)、回胴5aの「プラム図柄35」が入賞可能位置で停止した場合(ステップS303:YES)、待機タイマに、所定の待機時間として800msをセットする(ステップS304)。この800msは、本実施形態での回胴が一回転するのに要する時間とほぼ同一の時間である。
その後、この待機タイマの値がゼロとなるのを待つ、すなわち上記800msの待機時間を計時する(ステップS305)。そして、上記800msの待機時間が経過したならば(ステップS305:YES)、この待機時間設定処理を終了する。回胴5aの「プラム図柄35」が入賞可能位置で停止しなかった場合は(ステップS303:NO)、何もしないでこの待機時間設定処理を終了する。
なお、上記のステップS303の処理は、回胴回転停止操作手段(回胴回転停止ボタン12)が操作されたことを条件として、当該回胴回転停止操作手段に対応する回胴が担持する図柄のうち、特定の入賞役を構成する構成要素図柄が所定の有効入賞ライン上の停止図柄であるか否かを判断する判断手段に対応する。
ここで、前記判断手段に対応するS303の処理では、回胴が停止した後、有効入賞ライン上に停止した図柄を確認することにより、特定の入賞役(本実施形態では、プラム役)を構成する構成要素図柄であるか否かを判断しているが、当該判断を回胴停止処理のステップS204(図7参照)で算出される滑りコマ数に基づいて判断しても良い。停止操作図柄番号からの滑りコマ数が算出されれば、有効入賞ライン上にどの図柄が停止するかを把握することができるからである。この場合には、回胴が停止する前に有効入賞ライン上の停止図柄を把握することができることになる。
また、上記のステップS304〜S305の処理は、上記判断手段により前記特定の入賞役を構成する構成要素図柄が前記所定の有効入賞ライン上の停止図柄であると判断されたことを条件として、まだ回転中の回胴に関し、その回胴に対応する前記回胴回転停止操作手段についての操作の受け付けを、所定の待機時間待機させる停止操作待機手段に対応する。本実施形態では、上記判断手段により上記特定の入賞役を構成する構成要素図柄が上記所定の有効入賞ライン上(入賞可能位置)の停止図柄であると判断されたことを条件として、まだ回転中の回胴に関し、その回胴に対応する上記回胴回転停止操作手段についての操作の受け付けを、上記引き込み制御のための所定の待ち時間(210ms)経過後、所定の待機時間(800ms)待機させている。
なお、前記所定の待機時間は特に制限はないが、上記引き込み制御のための所定の待ち時間(210ms)よりも長い時間であることが好ましい。例えば、上記引き込み制御のための所定の待ち時間よりも長く回胴が一回転するのに要する時間より短い時間、回胴が一周するのに要する時間より長い時間などである。上記引き込み制御のための所定の待ち時間(210ms)よりも長い時間であると、回胴の停止操作を素早く行なう遊技者であっても、その操作が利かないという違和感を与えることができる。
また回胴の停止操作後、特定の入賞役を構成する構成要素図柄が有効入賞ライン上を通過するまでの通過時間であっても良く、また有効入賞ライン上に引き込み可能な位置を通過するまでの通過時間であっても良い。この場合、上述した停止制御手段により停止操作図柄番号から特定の入賞役を構成する構成要素図柄の現在位置を把握することができるので、上記通過時間を算出することができる。また所定の待機時間として、上記通過時間を設けることに限らず、プラム役を構成する構成要素図柄の位置情報を把握することにより、当該構成要素図柄が有効入賞ライン上を通過するまで待機させても良い。
このように、特定の入賞役を構成する構成要素図柄が有効入賞ライン上を通過するまで、回胴の停止操作を利かないようにすることは、本実施形態のように、プラム役を構成する構成要素図柄を目押しにより確実に外せる停止操作タイミングが存在する場合に効果的である。回胴の停止操作後、最初にプラム役を構成する構成要素図柄が有効入賞ライン上を通過するまで回胴の停止操作が利かないようにすれば、プラム役を誤って入賞させてしまう機会をより一層減らすことができるようになる。また、プラム役のように入賞させないことで、遊技者が利益を得ることができる入賞役とは反対に、入賞させることで遊技者が利益を得ることができる入賞役(例えば、チェリー役のように注意深く目押し操作をしないと、得られるはずの利益を取りこぼしてしまうような入賞役)の場合には、誤って入賞を逃してしまう機会を減らすことができる。
図7に戻り、主制御基板400は、全ての回胴が停止したか否かを確認する(ステップS209)。まだ回胴5aが停止しただけであり、回転中の回胴5b、5cが存在する。そこで、ステップS209の判断はNOとなってステップS201に戻り、次の回胴5bの停止に関して、上記ステップ201〜S208を繰り返す。
(c)中回胴回転停止ボタン12bが操作された場合
次に、回胴回転停止ボタン12b、12cの操作が受け付け可能な状態、つまり操作が有効である状態下(ステップS201:YES)において、続いて中回胴回転停止ボタン12bが操作されることになる。中回胴回転停止ボタン12bが操作された場合、つまり中回胴回転停止スイッチ12b’がオンされた場合(ステップS202:YES)、停止間隔タイマにより、回胴回転停止ボタン12b、12cの相互の停止間隔として210msを設定する(ステップS203)。
次に、前記停止制御テーブルを参照し、この停止制御テーブル中から抽選結果に対応する停止制御パターンを選択することにより、停止操作位置に基づく回胴5bの滑りコマ数を算出し、回胴停止データを設定する(ステップS204)。
そして、上記回胴5bの滑りコマ数が消化されてゼロになった場合(ステップS205:YES)、操作した中回胴回転停止ボタン12bに対応する回胴5bの回転を停止する(ステップS206)。
次に、上記の停止間隔タイマの設定値がゼロになるまで待つことにより、引き込み制御のための上記所定の待ち時間(210ms)が経過するのを待つ(ステップS207)。
上記所定の待ち時間(210ms)が経過したならば(ステップS207:YES)、図7の待機時間設定処理(ステップS208)に進む。
図7の待機時間設定処理において、今現在は、RT遊技中にプラム役に当選している場合を論じることにするので、ステップS301、S302の判断はYESとなる。
そこで、停止操作した回胴5bについて、プラム役の構成要素図柄である「プラム図柄35」が、入賞可能位置で停止したか否かを確認する(ステップS303)。回胴5bにおける「プラム図柄35」が入賞可能位置で停止しなかった場合は(ステップS303:NO)、何もしないでこの待機時間設定処理を終了する。
しかし、回胴5bにおける「プラム図柄35」が、入賞可能位置で停止してしまった場合は(ステップS303:YES)、上記所定の待機時間を置くため、上述した回胴5aにおける「プラム図柄35」が、入賞可能位置で停止してしまった場合と同様に、待機タイマに800msをセットする(ステップS304)。その後、上記800msの待機時間が経過して、待機タイマの値がゼロとなるのを待つ(ステップS305)。そして、上記800msの待機時間が経過したならば(ステップS305:YES)、この待機時間設定処理を終了する。
図7に戻り、全ての回胴が停止したか否かを確認する(ステップS209)。まだ回胴5aと5bが停止しただけであり、回転中の回胴5cが存在する。そこで、ステップS209の判断はNOとなってステップS201に戻り、次の回胴5cの停止に関して、上記ステップ201〜S208を繰り返す。
(d)最後に右回胴回転停止ボタン12cが操作された場合
次に、回胴回転停止ボタン12cの操作が受け付け可能な状態、つまり操作が有効である状態(ステップS201:YES)下において、最後に右回胴回転停止ボタン12cが操作されることになる。右回胴回転停止ボタン12cがオンされた場合、つまり右回胴回転停止スイッチ12c’がオンされた場合(ステップS202:YES)、停止間隔タイマにより、回胴回転停止ボタン12c後の停止間隔として210msを設定する(ステップS203)。
次に、停止制御用の停止制御テーブル(図示せず)を参照し、停止制御テーブルから抽選結果に対応する停止制御パターンを選択することにより、停止操作位置に基づく回胴5cの滑りコマ数を算出し、回胴停止データを設定する(ステップS204)。
そして、上記の滑りコマ数が消化されてゼロになった場合(ステップS205:YES)、操作した右回胴回転停止ボタン12cに対応する回胴5cの回転を停止する(ステップS206)。
次に、上記の停止間隔タイマの設定値がゼロになるまで待つことにより、引き込み制御のための上記所定の待ち時間(210ms)が経過するのを待つ(ステップS207)。
上記所定の待ち時間(210ms)が経過したならば(ステップS207:YES)、図7の待機時間設定処理(ステップS208)に進む。
図7の待機時間設定処理において、今現在は、RT遊技中にプラム役に当選している場合を論じているので、ステップS301、S302の判断はYESとなる。
そこで、停止操作した回胴5cについて、プラム役の構成要素図柄である「赤7図柄31」が、入賞可能位置で停止したか否かを確認する(ステップS303)。回胴5cの「赤7図柄31」が入賞可能位置で停止しなかった場合は(ステップS303:NO)、何もしないでこの待機時間設定処理を終了する。
しかし、運悪く回胴5cの「赤7図柄31」が入賞可能位置で停止してしまった場合は(ステップS303:YES)、上記の回胴5aの停止後および回胴5bの停止後の場合と同様に処理して、所定の待機時間を置くため、待機タイマに800msをセットする(ステップS304)。その後、上記800msの待機時間が経過して、待機タイマの値がゼロとなるのを待つ(ステップS305)。そして、上記800msの待機時間が経過したならば(ステップS305:YES)、この待機時間設定処理を終了する。
図7に戻り、主制御基板400は、全ての回胴が停止したか否かを確認する(ステップS209)。全ての回胴5a、5b、5cが停止し、回転中の回胴は存在しない。そこで、ステップS209の判断はYESとなって回胴停止処理を終了する。
その後は、図6で説明したように、入賞判定処理がなされ、ステップS110〜S119の処理がなされることになる。
上記した回胴停止処理(図7)および待機時間設定処理(図8)によれば、RT遊技中において、プラム役(RT終了役)を構成する構成要素図柄「プラム図柄35」または「赤7図柄31」が所定の有効入賞ライン3a上に停止して、プラム役の入賞が可能な状態となる度に、残りの回転中の回胴の停止操作についての受け付けが、所定の待機時間(例えば800ms)だけ一時的に不可能な状態にされる。
長時間の遊技により集中力が低下し、遊技者が消化遊技の如く、テンポ良く回胴の停止操作を行っている状況下においては、RT遊技の終了契機となる入賞役への当選を報せる報知演出が発生しても、これを見逃してしまうことがある。しかし、このような場合でも、上記回胴停止後の待機時間の発生により、遊技者はいつものようにテンポよく回胴を止めようとしても、停止操作が利かない、という違和感が与えられるので、その違和感の発生を契機として、注意深く目押し操作をして回胴の停止操作を行うことが可能になる。この結果、画像表示装置やランプ等による報知演出に頼ることなく、RT遊技の終了契機となる入賞役(本実施形態では、プラム役)への入賞可能性を知ることができ、この入賞役を従来のように誤って入賞させてしまうという不都合を回避することができるようになる。よって本発明によれば、画像表示装置やランプ等による報知演出に頼ることなく、入賞可能性がある入賞役に関する停止操作であることを遊技者に認識させることができるので、本来目押しにより外すべき入賞役を誤って入賞させてしまったり、取れるはずの入賞役を取りこぼしてしまったりして、得られる利益を獲得できないという事態を回避できるようになる。また、画像表示装置やランプ等を設けていない機種にあっても、遊技者が上記のようにテンポ良く回胴の停止操作を行っている状況下において、入賞可能性がある入賞役に関する停止操作であることを、遊技者に認識させることができるので、同様の効果を奏することができる。
この作用効果は、1つの回胴5aが停止した後、残りの回転している2つの回胴5b、5cの一方の停止操作の受け付けを有効とする際にも、同様に待機時間が発生することから、遊技者に回胴の停止操作ごとに同じように違和感を与え、特定の入賞役への入賞可能性を認識させることができ、同様の作用効果を得ることができる。
本実施形態では、プラム役(RT終了役)の入賞可能性がある場合として、プラム役(RT終了役)を構成する構成要素図柄が有効入賞ライン3aに停止した場合には、その都度、前記所定の待機時間として800msをセットしている。具体的には、(1)回胴5aが停止して、RT終了役の構成要素図柄が有効入賞ライン3a上に停止した後、次の回胴5bを停止させる場合についての待機時間として800msを置き、(2)回胴5bが停止してRT終了役の構成要素図柄が有効入賞ライン3a上に停止した後、次の回胴5cを停止させる場合についての待機時間として800msを置き、さらに(3)回胴5cが停止した後の待機時間として800msを置いている。
しかしながら、最後の回胴5cについては、その停止後に800msという長い待機時間を置く必要はなく、通常の待ち時間(210ms)のみとしても良い。これは、全回胴停止後であれば、既に遊技結果が導出表示された状態であるため、上記待機時間をセット
する必要性が乏しいからである。
また、2番目の回胴5bが停止してプラム役(RT終了役)を構成する構成要素図柄が有効入賞ライン3a上に位置した場合、すなわち、有効入賞ライン3a上に左回胴5aの「プラム図柄35」、および中回胴5bのプラム図柄35が停止した場合、2番目の回胴5bの停止後においては、1番目の回胴5aの停止後における第1の待機時間よりも長い第2の待機時間をセットしても良い。このようにすれば、1番目の回胴5aの停止後と2番目の回胴5bの停止後とで同じ時間長さの待機時間をセットした場合よりも、RT終了役の入賞可能性を遊技者に対してより一層強く認識させることができるようになる。
また、本実施形態では、ゲーム性に特に関連するRT終了役の入賞可能性がある場合に、上記回胴停止後の待機時間を発生させているが、設定された入賞役の性質に応じて、1または複数の入賞役について上記回胴停止後の待機時間の発生に関し定めても良い。特に、遊技者の利益を大きく左右するような入賞役、例えばBB役のように、遊技価値が高い入賞役への入賞可能性がある場合に、上記回胴停止後の待機時間を発生させることも効果的である。BB役の当選を報せる報知演出が発生し、これを見逃してしまったとしても、前記回胴停止後の待機時間を発生させて停止操作が利かないという違和感を与えることにより、その違和感の発生を契機として、遊技者はBB役の入賞可能性を知ることができる。この結果、遊技者は、注意深く目押し操作をすることになり、BB役を複数ゲームに亘って取りこぼしてしまったり、運悪く、BB役持越遊技状態で遊技を終えてしまったりという不都合を回避することができるようになる。
(主制御側のタイマ割り込み処理:図10)
次に、図10を参照して、上記主制御側のメイン処理において1.5ms程度ごとに実行される主制御側のタイマ割り込み処理について説明する。図10は、CTC401dからの一定時間ごとの割り込みで起動される主制御側のタイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
1チップマイクロコンピュータ401が備えるCTC401dの時間定数レジスタには、本実施形態に係る回胴式遊技機では1.5msに相当する値が設定されている。前述した主制御側のメイン処理(図6参照)において、1.5msごとにタイマ割り込みが発生するようになっている。なお、このタイマ割り込み処理は、CTC401d内部からのマスク可能(maskableinterrupt)な割り込み信号に基づいて実行される。
まず、主制御基板400は、タイマ割り込みが発生した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を実行する(ステップS401)。
次に、ポート入力処理を実行する(ステップS402)。このポート入力処理は、回胴式遊技機の総てに配置された各種スイッチや各種センサから入力された信号を確認して、入力された信号を管理するデータの作成を行い、作成した入力データを割り込みごとに記憶更新する処理である。
次に、各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御を行うための回胴回転制御処理を実行する(ステップS403)。この回胴回転制御処理は、既に説明した各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御に関する処理を実行するための処理であり、各回胴5a、5b、5cの現在位置を把握するために回胴位置検出センサ212a、212b、212cの検出信号のタイミングと各回胴駆動モータ211a、211b、211cに供給した上記出力相パターンの出力回数を計数する回胴励磁出力カウンタ(駆動パルスの個数)により上記現在位置が把握される。また、この回胴回転制御処理では、各回胴の回転開始後、各回胴がそれぞれ一定の回転速度になったか否かの検出も行われている。また、本処理において、メイン処理での回胴停止状態に入った際には、停止制御パターンに基づいて停止位置を確認して、回胴を停止させるための励磁パターン信号を出力して目的とする位置に停止させる。
次に、定期更新処理を実行する(ステップS404)。この定期更新処理は、各種遊技動作に必要なタイマを割り込みごとに更新したり、1チップマイクロコンピュータ401に内蔵されているウォッチドッグタイマを定期的にクリアしたりする処理である。この定期更新処理が実行されない場合、例えば、遊技動作制御に異常が発生してプログラムが暴走状態となった場合、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると、メインCPU401cが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。
次に、コマンド出力処理を実行する(ステップS405)。このコマンド出力処理は、遊技の進行に伴う処理状態に応じて、上記演出制御コマンドを演出制御基板420に送信する処理である。演出制御基板420は、この演出制御コマンドを受けて、所定の演出処理を実行する。なお、主制御基板400は、演出制御基板420に対して上記演出制御コマンドを1バイト分出力している。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信されることになる。
次に、メダル情報出力処理を実行する(ステップS406)。このメダル情報出力処理は、遊技メダルが投入された旨のメダル投入信号や遊技メダルが払い出された旨のメダル払出信号等を出力する処理である。上記各信号は、外部集中端子基板310を介して、ホールコンピュータHCに送信される。ホールコンピュータHCは、前記メダル投入信号や前記メダル払出信号等に基づき、遊技機に投入された遊技メダルの枚数や払い出された遊技メダルの枚数を管理する。
次に、遊技機本体100に配置された各LEDや7セグメント等の発光を制御するための発光制御信号を出力するための表示出力処理を実行する(ステップS407)。本処理では、例えば、回胴回転停止ボタン12内蔵のLEDや7セグメントを用いたクレジット表示手段(図示せず)に発光制御信号を出力する。
そして、ステップS401〜ステップS407の処理を実行した後、退避したレジスタの内容を復帰させ(ステップS408)、メインCPU401cを割り込み許可状態に設定して(ステップS409)、タイマ割り込み処理を終了する。
次に、図11〜図14を参照して、本実施形態の回胴式遊技機における演出制御基板420が実行する演出制御側の処理内容を説明する。なお、図6に示した主制御側のメイン処理と実質的に同様の処理内容については、重複記載を避けるため、適宜省略して説明する。
(演出制御側のメイン処理:図11)
先ず、図11を参照して、本実施形態の演出制御基板420側にて実行される演出制御側のメイン処理について説明する。図11は演出制御プログラムに従い演出制御基板420(サブCPU421c)が実行する演出制御側のメイン処理を示すフローチャートである。なお、図11〜図14で説明する処理内容については、説明の便宜上、処理を実行する主体を演出制御基板420として説明する。
まず、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、電源基板440によって各制御基板に電源が投入された旨の電源投入信号が送信される。そして、電源投入信号を受信した演出制御基板420は、図14に示す演出制御側のメイン処理を開始する。この演出制御側のメイン処理において、まず、演出制御基板420は、電源遮断時のバックアップが正常に行われているかを確認し、バックアップが正常であれば遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(ステップS501)。この初期設定処理では、CTC421dを含む内蔵レジスタやI/Oの初期化、サブRAM421bのワーク領域を書き込み許可にする等、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する。
次に、演出制御基板420は、電源遮断前の処理状態に復帰させる復帰処理を行う(ステップS502)。
次に、電源遮断が発生したか否かを確認し(ステップS503)、電源遮断の発生を確認した場合(ステップS503:YES)、電源遮断時のデータをサブRAM421bのバックアップ領域に保存するバックアップ処理を行う(ステップS508)。一方、電源遮断の発生を確認しない場合(ステップS503:NO)、演出用乱数更新処理を行うステップS504)。この演出用乱数更新処理では、主として、演出パターンを選択するために利用される演出用乱数を定期的に更新している。
次に、後述するコマンド受信割り込みやタイマ割り込みを許可するため、割り込み許可状態に設定し(ステップS505)、タイマ割り込みやコマンド受信割り込みを禁止するために割り込み禁止状態に設定する(ステップS506)。
そして、ウォッチドッグタイマをクリアして(ステップS507)、電断が発生しない限り、ステップS503〜ステップS507をループ処理にて行う。
(コマンド受信割り込み処理:図12)
次に、図10を参照して、演出制御基板420が実行する演出制御側のメイン処理において、主制御基板400からの演出制御コマンドを受信した場合に実行されるコマンド受信割り込み処理について説明する。図12は、コマンド受信割り込み処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御基板400から演出制御コマンドを受信した場合、優先的に実行される処理である。
まず、演出制御基板420は、主制御基板400からの演出制御コマンドを受信した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を行う(ステップS601)。
次に、受信した演出制御コマンドを所定の演出制御コマンド格納領域(サブRAM421b)に一時的に格納し(ステップS602)、レジスタの内容を復帰させて(ステップS603)、コマンド受信割り込み処理を終了する。
(演出制御側のタイマ割り込み処理:図13)
次に、図11を参照して、演出制御基板420が実行する演出制御側のメイン処理において、2ms程度ごとに実行される演出制御側のタイマ割り込み処理について説明する。図22は、CTC421dからの一定時間ごとの割り込みで起動される演出制御側のタイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
1チップマイクロコンピュータ421が備えるCTC421dの時間定数レジスタには、上述した主制御基板400と同様に、本実施形態に係る回胴式遊技機では2msに相当する値が設定されている。したがって、前述した演出制御側のメイン処理においては、2msごとにタイマ割り込みが発生する。このとき、演出制御基板420は以下に示すような演出制御側のタイマ割り込み処理を行う。この演出制御側のタイマ割り込み処理は、遊技の進行状態に応じた演出を実行するための処理であって、演出制御基板420は、このタイマ割り込み処理に基づき、各レジスタの退避処理、各処理内容の読み込みまたは呼び出し、および各レジスタの復帰等の処理を行う。
まず、演出制御基板420は、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を実行する(ステップS701)。
次に、演出制御コマンドを受信したか否かを確認する(ステップS702)。受信しない間(ステップS702:NO)は、後述するステップS706〜S708の処理を実行する。
演出制御コマンドを受信した場合(ステップS702:YES)、コマンド受信処理を実行する(ステップS703)。
詳細は後述するが、このコマンド受信処理は、上記演出制御コマンド格納領域(コマンド受信割り込み処理(図12のステップS602参照)に演出制御コマンドが格納されているか否かを割り込みごとに監視し、演出制御コマンドが格納されている場合、このコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに基づいて演出パターンの決定を行うための処理である。
このコマンド受信処理では、上記コマンド受信割り込み処理で優先的に常に新しいものに更新された演出制御コマンドが処理されることになる。この演出制御コマンドの中には、回胴開始コマンド、停止コマンド、全回胴停止コマンドなどが含まれる。
次に、ステップS703のコマンド受信処理で決定された演出パターンに基づいて、LEDやスピーカ16をそれぞれ駆動制御するための演出コマンド(発光コマンド、音声コマンド)や、液晶制御基板460に送信する演出コマンド(液晶コマンド)を作成し(ステップS704)、その演出コマンドを所定の演出コマンド格納領域(サブRAM421b)に格納する(ステップS705)。
次に、演出シナリオ更新処理を実行する(ステップS706)。この演出シナリオ更新処理では、上記演出コマンドの出力に関する設定を行なう。本実施形態に係る回胴式遊技機では、割り込みごとに、発光コマンドや音声コマンドが送信されるようになっており、演出の進行に沿う形でLEDやスピーカ16が駆動制御される。
次に、液晶コマンドを液晶制御基板460に送信する(ステップS707)。本実施形態に係る回胴式遊技機では、映像の再生が必要となるタイミングに基づいて、割り込みごとに液晶制御基板460に液晶コマンドが送信されるようになっており、液晶表示装置6において2msごとに描画が行われ画像が変化するようになっている。
そして、ステップS701〜ステップS707の処理を実行した後、退避したレジスタの内容を復帰させ(ステップS708)、タイマ割り込み処理を終了する。
(コマンド受信処理:図14)
次に、図14を参照して、図13の演出制御側のタイマ割り込み処理におけるコマンド受信処理(ステップS703)の内容を説明する。
このコマンド受信処理は、上述したコマンド受信割り込み処理(図12参照)にて主制御基板400から送信された演出制御コマンドを確認した場合、その演出制御コマンドの種類を順次確認し、各演出制御コマンドの種類に応じて、「回転開始コマンド演出処理」、「停止コマンド演出処理」、「全回胴停止コマンド演出処理」、「メダル投入コマンド演出処理」、および「その他のコマンド演出処理」を順次行う処理である(ステップS801〜S810)。
図14において、まず、演出制御基板420は、コマンド受信割り込み処理(図12参照)のステップS602の処理において上記演出制御コマンド格納領域に演出制御コマンドが格納されているか否か、すなわち、主制御基板400から演出制御コマンドを受信したか否かを確認する。ここでは、回胴開始コマンド、停止コマンド、全回胴停止コマンド、メダル投入コマンド、その他のコマンドについて、それぞれ受信の有無を順次見て行く(ステップS801〜ステップS805)。これらの演出制御コマンドを受信していない場合(ステップS801〜ステップS805:NO)、コマンド受信処理を終了する。
演出制御コマンドを受信していた場合(ステップS801〜ステップS805)、受信したコマンドに対応する具体的なコマンド対応処理(ステップS806〜ステップS810)を実行する。このコマンド対応処理では、回胴開始コマンド演出処理、停止コマンド演出処理、全回胴停止コマンド演出処理、メダル投入コマンド演出処理、その他のコマンド演出処理を実行し(ステップS806〜ステップS810)、各処理において、対応すする演出パターンが決定される。
ここで、上記コマンド対応処理で処理され、演出手段により現出される演出内容を遊技の進行に沿って説明すると以下のようになる。なお、ここでは、本発明に特に関連するステップS806〜S808の処理による演出内容について説明する。
回胴回転始動レバー11が操作されると、主制御基板400から回転開始コマンドが演出制御基板420に送信される。演出制御基板420は、回転開始コマンドを受信するごとに、単位遊技開始時に現出する演出パターンを決定する(ステップS806)。このとき、回転開始コマンドに含まれる入賞役当選情報に、特定の入賞役の当選情報がある場合、当選可能性がある入賞役を報せる報知演出を実行する。特に、回転開始コマンドに含まれる入賞役当選情報と遊技状態情報とに従い、RT遊技中の場合にはプラム役の当選を報知する。これにより、遊技者はその報知を見てプラム役の入賞(プラム役を構成する構成要素図柄の停止)を回避するように目押し操作をして各回胴を停止させることとなる。
次に、回胴回転停止ボタン12が操作されると、主制御基板400から停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)が演出制御基板420に送信される。演出制御基板420は、各停止コマンド受信ごとに、回胴停止操作時または回胴停止時に現出する演出パターンを決定する(ステップS807)。
そして、3番目(最後)の回胴の引き込み制御後の回胴停止時、主制御基板400から全回胴停止コマンドが演出制御基板420に送信される。これを演出制御基板420が受けて、有効入賞ライン上の停止図柄態様に応じた演出パターンを決定する(ステップS808)。
上記のようにして遊技に関する演出がLEDや装飾ランプ13や液晶表示装置6を主体として発生される。本発明では、上記報知演出を見逃した場合でも、回胴の停止操作の受け付け状態を所定時間無効にする待機時間を発生させることで、特定の入賞役の入賞可能性を遊技者に認識させることができるようにしている。ここで、主制御基板400からの演出制御コマンドには、前記待機時間の発生情報を含むコマンドは送信していない。つまり、回胴の停止操作の受け付け状態が無効となっている期間中は、特に演出を現出しないようにしている。
コマンド受信処理終了後は、図11に戻り、演出制御基板420は、上記コマンド受信処理(ステップS701)で決定された演出パターンデータに基づき、演出コマンドを作成し(ステップS704)、作成した演出コマンドを所定の演出コマンド格納領域(サブRAM421b)に格納することになる(ステップS705)。
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい一実施の形態について説明したが、これは、本発明を単に例示したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。また、本発明を逸脱しない範囲において、回胴式遊技機を構成する要素、各種パラメータを適宜変更することができる。