本発明は、添付の図面に図示されるいくつかの好ましい実施形態を参照して詳細に記載される。以下の記載においては多くの特定の詳細が述べられるが、これは本発明の完全な理解を促すためである。しかし当業者には明らかなように、本発明は、これら具体的な詳細の一部または全てがなくても実施できる。あるいは既知のプロセスステップおよび/または構造は本発明の趣旨を不必要にぼかさないために詳細には記載されていない。
1.電気活性ポリマー
本発明の電気活性ポリマー(EPAM)フロー制御デバイスを記載する前に、電気活性ポリマーの構成および動作の基本原理が図1Aおよび図1Bを参照してまず説明される。以下のセクションでは本発明のフロー制御デバイスおよびシステムの実施形態が図2A〜2Mおよび3A〜3Mを参照して記載される。本発明のデバイスにおける電気および機械エネルギー間の変換は、電気活性ポリマーの1つ以上の活性領域のエネルギー変換に基づく。電気活性ポリマーは、機械エネルギーおよび電気エネルギーの間で変換できる。場合によっては、電気活性ポリマーは、変化する機械的歪みによって電気的特性(例えばキャパシタンスおよび抵抗)を変化させることができる。
電気エネルギーおよび機械エネルギーの間の変換における電気活性ポリマーのパフォーマンスを示すのを助けるため、図1Aは、本発明のある実施形態によるトランスデューサ部10の上透視図である。トランスデューサ部10は、電気エネルギーおよび機械エネルギー間の変換を行う電気活性ポリマー12の部分を含む。ある実施形態において、電気活性ポリマーとは、2つの電極間の絶縁誘電体として機能し、2つの電極間の電圧差の印加に応じて撓みえるポリマー(「誘電体エラストマー」)を指す。上部および下部電極14および16は、それぞれ電気活性ポリマー12にその上部および下部表面上で取り付けられ、ポリマー12にわたり電圧差を提供するか、またはポリマー12から電気エネルギーを受け取る。ポリマー12は、上部および下部電極14および16によって提供される電界の変化で撓みえる。電極14および16によって提供される電界の変化に応じたトランスデューサ部10の撓み(deflection)は、「駆動」(actuation)と呼ばれる。駆動は典型的には電気エネルギーの機械エネルギーへの変換を伴う。ポリマー12がサイズの点で変化すると、撓みは機械的仕事を作りだすのに用いられえる。
特定の理論に縛られたいわけではないが、ある実施形態においてはポリマー12は、電わい的に振る舞うと考えられえる。電わい(electrostrictive)という語は、電界の二乗に対する材料の応力(stress)および歪み(strain)応答を記述するために一般的な意味でここでは用いられる。この語は、しばしば電界によって誘導された分子内力から起きる電界中の材料の歪み応答を指すのに専ら用いられるが、ここではこの語はもっと一般に電界の二乗に対する応答を起こす他のメカニズムを指す。電わいは、応答が電界に比例するのではなく、電界の二乗に比例するという点で圧電的振る舞いとは区別される。伸展性電極を持つポリマーの電わいは、電極上の自由電荷間で発生する静電力(「マクスウェル応力」と呼ばれることもある)から生じえ、電界の二乗に比例する。この場合の実際の歪み応答は、ポリマーの内部および外部力に依存してかなり複雑でありえるが、この静電圧力および応力は電界の二乗に比例する。
図1Bは、撓みを含むトランスデューサ部10の上透視図である。一般に撓みとは、任意の変位、伸長、収縮、ねじれ、直線または面歪み、またはポリマー12の一部の任意の他の変形を言う。駆動のために電極14および16に印加された、または電極によって印加された電位差に対応する電界の変化は、ポリマー12内に機械的圧力を作る。この場合、電極14および16によって作られた異極の電荷は、互いに引きつけられ、電極14および16の間に圧縮力を提供し、ポリマー12上に平面方向18および20に伸長力を提供し、ポリマー12が電極14および16間で圧縮し、平面方向18および20で伸長するように作用する。
電極14および16は伸展性があり、ポリマー12と共に形状を変化させる。ポリマー12および電極14および16の構成は、歪みに対するポリマー12の応答を増すよう働く。より具体的にはトランスデューサ部10が撓むと、ポリマー12の圧縮は、電極14および16の反対の電荷をより近くし、ポリマー12の伸長は、それぞれの電極における同じ電荷を分離する。ある実施形態において、電極14および16のうちの一つはグラウンドに接続される。駆動のため、トランスデューサ部10は、機械的応力が、撓みを駆動する静電力とバランスするまで一般に撓み続ける。機械的応力には、ポリマー12材料の弾性回復力、電極14および16のコンプライアンス、およびトランスデューサ部10に結合されたデバイスおよび/または負荷によって提供される任意の外部抵抗が含まれる。印加された電圧の結果としてのトランスデューサ部10の撓みは、ポリマー12の誘電体定数およびポリマー12のサイズのような多くの他のファクタにも依存する。
本発明による電気活性ポリマーは、任意の方向に撓むことが可能である。電極14および16間に電圧を印加した後、電気活性ポリマー12は、平面方向18および20の両方においてサイズが増す。場合によっては電気活性ポリマー12は非圧縮性であり、例えば応力の下で実質的に一定体積を有する。この場合、ポリマー12は、平面方向18および20における膨張の結果、厚さが減る。本発明は、非圧縮性ポリマーに限定されず、ポリマー12の撓みはそのような単純な関係に従わないかもしれない。
比較的大きな電圧差を図1Aに示されるトランスデューサ10の電極14および16間に印加することによって、トランスデューサ部10は図1Bに示されるようにより薄く、大きな面積の形状に変化させられる。このようにしてトランスデューサ部10は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。トランスデューサ部10はまた、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するのにも用いられえる。
駆動するにはトランスデューサ部10は、機械的力が撓みを駆動する静電力と釣り合いがとれるまで一般に撓み続ける。機械的力には、ポリマー12材料の弾性回復力、電極14および16のコンプライアンス、およびトランスデューサ部10に結合されたデバイスおよび/または負荷によって提供される任意の外部抵抗が含まれる。印加された電圧の結果としてのトランスデューサ部10の撓みは、ポリマー12の誘電体定数およびポリマー12のサイズのような多くの他のファクタにも依存する。
ある実施形態において電気活性ポリマー12は予歪みが与えられる(pre-strained)。ポリマーの予歪みは、1つ以上の方向における、予歪みの前のある方向における寸法に対する予歪み後のその方向における寸法の変化として記述されえる。予歪みは、ポリマー12の弾性変形を含みえ、例えばポリマーを張力下で伸長し、伸長させながらも1つ以上のエッジを固定することによって形成されえる。以下に詳述されるようにあるいは、スプリングのようなメカニズムが電気活性ポリマーの異なる部分に結合されえ、ポリマーの部分に歪みを与える力を提供しえる。多くのポリマーについて、予歪みは電気および機械エネルギー間の変換を改善する。改善された機械応答は、電気活性ポリマーについてのより大きな機械的仕事、例えばより大きな撓みおよび駆動圧力を可能にする。ある実施形態において予歪みは、ポリマーの誘電体強度を改善する。他の実施形態においては予歪みは弾性的である。駆動の後、弾性的に予歪みが与えられたポリマーは原理的には固定されず、その元の状態に戻る。
ある実施形態において、予歪みは、等方性予歪みポリマーを作るためにポリマー12の部分にわたって均一に加えられる。例として、アクリル弾性ポリマーは、200から400パーセントだけ両方の方向において伸長されえる。他の実施形態において予歪みは、異方性予歪みポリマーを作るために、不均一に、ポリマー12の部分について異なる方向で与えられる。この場合、ポリマー12は駆動されると、ある方向においては他の方向よりもより大きく撓みえる。理論に縛られたいのではないが、ポリマーにある方向で予歪みを与えることは、予歪み方向においてポリマーの剛性を増しえる。これに対応しポリマーは、高予歪み方向において比較的、剛性が高く、低予歪み方向においてはよりコンプライアンスが高く、駆動されると、低予歪み方向においてより大きい撓みが発生する。ある実施形態において、トランスデューサ部10の方向18の撓みは、垂直な方向20における大きな予歪みを利用することによって向上されえる。例えばトランスデューサ部10として用いられるアクリル弾性的ポリマーは、方向18において10%だけ伸長されえ、方向20においては500%だけ伸長されえる。ポリマーの予歪みの量は、ポリマー材料、およびある応用例でのポリマーの所望のパフォーマンスに依存しえる。本発明と共に用いるのに適した予歪みは、共通して所有された、同時係属中の米国特許出願第09/619,848号にさらに記載され、全ての目的のためにここで参照によって援用される。
一般にポリマーに予歪みが与えられた後、それは1つ以上の物体または機構に固定されえる。剛性のある物体については、その物体は好ましくは適当に剛性があり、ポリマーに所望の予歪みのレベルを維持する。ポリマーを歪ませるための力を提供するスプリングまたは他の適切な機構が、ポリマーにおいてそのスプリングまたは機構に取り付けされる前の以前に確立された任意の予歪みに加えられえるか、またはポリマー中の予歪みの全てについて原因となりえる。化学的接着、接着層または材料、機械的固定などのようなこの技術で知られる任意の従来の方法によって、ポリマーは1つ以上の物体または機構に固定されえる。
本発明のトランスデューサおよび予歪みが与えられたポリマーは、特定の巻き取られた幾何学的構成または撓みのタイプに限定されない。例えば、ポリマーおよび電極は、円筒および多層巻き取り円筒、複数の堅い構造物間に取り付けられた巻かれたポリマー、曲面または複雑な幾何学的構成を含む任意の幾何学的構成のフレームにわたって取り付けられた巻かれたポリマーなどを含む任意の幾何学的構成および形状に形成されえる。同様の構造は、平坦なシートのポリマーと共に用いられえる。本発明によるトランスデューサの撓みは、1つ以上の方向における直線的膨張または圧縮、屈曲、ポリマーが巻かれているときは軸方向撓み、ポリマーの周りの外側円筒上に設けられた穴から出る撓みなどを含む。トランスデューサの撓みは、ポリマーが、そのポリマーに取り付けられたフレームまたは堅い構造によってどの程度制約を受けるかによって影響を受ける。
本発明の電気活性ポリマーとして用いられるのに適した材料には、静電力に応答して変形する、またはその変形が電界の変化につながる任意の実質的に絶縁性のポリマーまたはラバー(またはそれらの組み合わせ)が含まれる。ある適切な材料は、カリフォルニア州、CarpenteriaのNuSil Technologyによって提供されるNuSil CF19-2186である。予歪みが与えられたポリマーとして用いられるのに適する他の例示的材料には、シリコーンエラストマー、ミネソタ州、St. Paulの3M Corporationによって製造されるアクリルエラストマーのようなアクリルエラストマー、熱可塑性エラストマー、PVDFを含む共重合体、圧力に敏感な接着材料、フッ化エラストマー、シリコーンおよびアクリル成分を含むポリマーなどが含まれる。シリコーンおよびアクリル成分を含むポリマーには、シリコーンおよびアクリル成分を含む共重合体、シリコーンエラストマーおよびアクリルエラストマーを含むポリマー混合物などが含まれる。これら材料のいくつかの組み合わせも本発明のトランスデューサ中の電気活性ポリマーとして用いられえる。
電気活性ポリマーとして用いられる材料は、高電気絶縁破壊強度、低弾性率(大きいまたは小さい変形について)、高誘電率などの1つ以上の材料特性に基づいて選択されえる。ある実施形態においては、多くても約100MPaの弾性率を有するようにポリマーは選択される。他の実施形態においてポリマーは、それが約0.05MPaおよび約10MPaの間の、好ましくは約0.3MPaおよび約3MPaの間の最大駆動圧力を有するように選択される。他の実施形態においてポリマーは、それが約2および約20の間の、好ましくは約2.5および約12の間の誘電率を有するように選択される。
本発明のトランスデューサの電気活性ポリマーレイヤは、広い範囲の厚みを持ちえる。ある実施形態において、ポリマーの厚さは、約1マイクロメートルおよび2ミリメートルの間の範囲にある。ポリマー厚さは、1つまたは両方の平面方向においてフィルムを伸長することによって小さくされえる。多くの場合、本発明の電気活性ポリマーは、薄膜として製造および実現される。これら薄膜に適した厚さは、50マイクロメートル未満でありえる。
本発明の電気活性ポリマーは高い歪みにおいて撓みえるので、ポリマーに取り付けられた電極も機械的または電気的パフォーマンスで妥協することなく撓む必要がある。一般に本発明と共に用いるのに適する電極は、それらが適切な電圧を電気活性ポリマーに印加し、または適切な電圧をそれから受け取ることができる任意の形状および材料でありえる。電圧は、一定または時間とともに可変のいずれでもありえる。ある実施形態において、電極はポリマーの表面に接着する。ポリマーに接着する電極は、好ましくはコンプライアンスがあり、ポリマーの形状変化に追従する。対応して、本発明は、それらが取り付けられた電気活性ポリマーの形状に適合するコンプライアンスを持つ電極を含みえる。電極は、電気活性ポリマーの一部分だけに適用されえ、その幾何学的形状によってアクティブ領域を定義しえる。電気活性ポリマーの一部だけを覆う電極のいくつかの例は、以下に詳述される。
本発明と共に用いるのに適するさまざまなタイプの電極は、共有された同時係属中の米国特許出願第09/619,848号に記載され、上ですでに参照によって援用された。そこで記載された本発明とともに用いるのに適した電極には、金属トレースおよび電荷分配レイヤを含む構造化電極、さまざまな平面外寸法を含む模様付き電極、カーボングリースまたはシルバーグリースのような導電グリース、コロイド懸濁液、カーボン微小繊維およびカーボンナノチューブのような高アスペクト比導電材料、およびイオン導電材料の混合物が含まれる。
本発明の電極に用いられる材料はさまざまである。電極として用いられる適切な材料には、グラファイト、カーボンブラック、コロイド懸濁液、銀および金を含む薄い金属、銀が満たされた、またはカーボンが満たされたゲルまたはポリマー、イオン的にまたは電子的に導電性を有するポリマーが含まれる。特定の実施形態において、本発明と共に用いられるのに適切な電極は、ペンシルバニア州のPhiladelphiaのStockwell Rubber Co. Inc.によって製造されるStockwell RTV60-CONのようなシリコーンラバーバインダ中の80パーセントカーボングリースおよび20パーセントカーボンブラックを含む。カーボングリースは、マサチューセッツ州のFairhavenのNye Lubricant Inc.によって提供されるNyoGel 756Gのようなタイプである。導電グリースはまた、ニューヨーク州、WaterfordのGeneral Electricによって製造されるRTV 118のようなエラストマーと混合され、ゲル状の導電グリースを提供しえる。
ある種の電極材料は特定のポリマーとうまく働き、他のものとはうまく働かないということもありえることが理解されよう。例として、カーボン微小繊維は、アクリルエラストマーポリマーとはうまく働くが、シリコーンポリマーとはうまく働かない。たいていのトランスデューサについて、コンプライアンスを有する電極について望ましい特性は、以下のうちの1つ以上を含みえる。すなわち低弾性率、低機械的減衰、低表面抵抗、均一な抵抗、化学的および環境的安定性、電気活性ポリマーとの化学的適合性、電気活性ポリマーへの良好な接着性、および滑らかな表面を形成できる性能である。場合によっては、本発明のトランスデューサは、例えばそれぞれのアクティブ領域についての異なる電極タイプ、またはポリマーの反対側上の異なる電極タイプのような2つの異なるタイプの電極を利用しえる。
2.EPAMフロー制御デバイス
現在、EPAMフロー制御デバイスは、導管を通って移動する流体のフローのような内部流、または航空機の翼上のフローのような外部流の1つ以上の特性を変えために用いられる。EPAMフロー制御デバイスは、1つ以上の構造体を通る、またはその周りの気体、液体および/または疎な粒子の流体的連通を制限し、影響を与え、または制御するデバイスを指し、1つ以上のEPAMトランスデューサを含む。フローの特性は、その流体と接触する1つ以上の表面の特性を、1つ以上のEPAMトランスデューサの動作を介して変化させることによって変化させられえる。変化させられえる流体のいくつかの特性には、以下に限定されないが、1)フローレート、2)フローの方向、3)フローの渦度、4)フローの運動量または速度、5)フローの混合率、6)フローの乱流レート、7)フローエネルギーおよび8)フローの熱力学的特性が含まれる。典型的には本発明において記載されるEPAMフロー制御デバイスは、位置間でバルク流体を移動させる圧力勾配のような駆動力を提供しない。しかし本発明はそのようには限定されず、流体への駆動力を提供するように用いられえる。
本発明の流体には、液体、気体、プラズマ、相変化、固体またはそれらの組み合わせの状態の材料を含みえる。この流体は、非ニュートン流体またはニュートン流体として振る舞いえる。さらに流体は、同質または異質でありえる。また流体は、非圧縮性または圧縮性でありえる。本発明の流体の例には、以下に限定されないが、1)混合物、2)スラリー、3)懸濁液および4)2つ以上の不混和性液体のフローが含まれる。
図2A〜2Fは、内部流システムにおいて用いられる流体導管の表面の境界表面の一部をEPAMがなすEPAMフロー制御デバイスを示す。流体導管は、導管内の流体を外部環境から分離する。図示されないが、EPAMフロー制御デバイスは、外部流中の構造の境界表面をEPAMがなす外部流中でも用いられえる。
図2Aにおいて、流体導管300の一部が示される。流体導管300は、入り口304および出口305を含む。導管内の流体のフローの全体的な方向は、矢印306によって示される。流体導管300は、より大きい流体システム中の一要素でありえる。流体導管は、導管300内を流れる流体を外部環境から分離する境界表面303を含む。入り口における流体導管の断面301は円形である。しかし一般に断面は円形である必要はなく、多角形またはさまざまな長さの側面を持つ他の一般的な形状でありえる。加えて、断面形状は、流体導管300中の位置の関数として変化しえる。さらに境界表面303は、必ずしも閉じていなければならないわけではない。例えば、導管の一部が外部環境に開いている溝が流体導管として用いられえる。
境界表面303の1つ以上の部分は、EPAMデバイスで構成されえる。EPAMデバイスの部分は、流体導管300の境界表面303の部分として機能する。ある実施形態において、境界表面303の全体がEPAM材料を含みえる。他の実施形態において、EPAM材料は、1つ以上の他の材料と組み合わされて、境界表面303を形成する。EPAM材料は、導管内を流れる流体とのEPAM材料の適合性、またはEPAM材料の外部環境との適合性に依存して1つ以上のレイヤまたは表面コーティングを含みえる。流体導管300は、それが適用される流体システム中の他の流体導管または要素に取り付けることを可能にする境界を含みえる。本発明のEPAMデバイスは、シリコンチップ上の移動流体のようなマイクロスケールから、大きな化学プラント中の移動流体のようなマクロスケールまでさまざまなサイズの流体応用例に対して適用されえる。
境界表面303を形成するEPAM材料の部分は、EPAM材料の部分がEPAMトランスデューサとして振る舞うようにするために導管と共に構成されえる。ポリマーのようなEPAM材料に印加される電界に応答して、EPAM材料は撓みえる。それぞれのEPAMトランスデューサデバイスは、その撓みにおいて独立に制御されえる。よって境界表面303は、流体導管300中のフロー特性のうちの1つ以上を時間の関数として変えるために形状を変化させえる。
図において、2つのEPAMフロー制御デバイス308および309が示される。EPAMフロー制御デバイスは、1つ以上のEPAMトランスデューサを含む。310および311のような破線によって示されるEPAMフロー制御デバイスのさまざまな撓み位置が示される。休んでいるときは、アクティブEPAM領域は、周囲の表面とほとんど接線方向でありえる。電圧が印加されるとき、EPAM領域は、内側に膨らむ。内側への膨張(電圧がEPAMに印加されるときの外側への膨張と対照的に)は、内側圧力よりも外側圧力を高くすることによって確実にされえる。あるいは、電圧が印加されるときにEPAMが内側に膨張するようにバイアスをかけるためには、スプリング、発泡体、他のポリマーの積層物、または従来技術で知られる技術を用いることができる。例えば、フロー制御デバイス308および309が非動作時であるときには、EPAMフロー制御デバイス間の導管の断面積307は、入り口の断面積301と等しくてもよい。あるいは通常は縮小しており、電圧が印加されるときにそれがフローの増加を可能にするように外側に膨張するようなEPAM円環を設計しえる。外側膨張は、この場合、もし内部流圧力が外側環境の圧力よりも高い、排気型フローのふつうの状況なら確実になる。
デバイス308および309が撓むとき、例えば初期位置から位置310および311へ撓むとき、EPAMフロー制御デバイス間の円形断面領域307は減少しえる。断面307は、円形で留まる必要はなく、境界表面303上のEPAMフロー制御デバイスの構成に依存して任意の形状でありえる。デバイス308および309の撓みの後、フロー中の駆動力に依存して、EPAMフロー制御デバイス308間の導管300の狭窄は、出口における導管内のフローレートを減少させえる。例えばフローは、307において完全に詰まりえる。フローの駆動力は、導管内のフローレートを制御するために狭窄と合わせて減少されえる。ある実施形態において、デバイス308および309は、充分に互いに収縮し導管300内のフローを停止させえる。
他の実施形態において、EPAMフロー制御デバイス308および309は、特定の規定された間隔において一度に一つずつ撓みえる。EPAMデバイスが交互に撓むことによって、撓んだ表面近傍のフローは、主流内へと上方にランプ状に導かれ、混合が望ましいなら導管300内で流体の混合が促進されえる。他の例として、特定の周波数におけるEPAMフロー制御デバイス308および309の振動は、乱流が望ましいならフロー中の乱流量を増すのに用いられえる。増加された乱流は、流体導管内の速度プロファイルを変更しえ、乱流混合を提供しえる。
さらに他の実施形態において、境界表面303上の308または309のような1つ以上のEPAMフロー制御デバイスは、導管300内のフローからエネルギーを加えたり除去したりするための熱交換機として振る舞いえる。例えば、外側の導管300を囲む環境が導管中の流れよりも冷たく、導管300内のフローを冷却するのが望ましいとき、EPAMフロー制御デバイスは、エネルギーが流体導管300中の流体から除去されることを可能にする熱交換機を含みえる。フローからエネルギーを加えたり、除去したりすることは、圧力および温度のような流体フローの熱力学的特性を変更しえる。例としてEPAMフロー制御デバイス308および309の撓みは、流体導管300からエネルギーを加えたり除去したりするために、流体導管と共に用いられる第2の閉鎖流体システム中で流体を循環しえる。本発明と共に用いられえる熱交換機のいくつかの例は、2001年2月23日に出願されたPelrine, et al.による「Electroactive Polymer Thermal Generators」と題された同時係属中の米国特許出願第09/792,431号に記載され、その全体が全ての目的のためにここで参照によって援用される。
図2Bにおいて、入り口304および2つの出口312および313を持つ流体導管が示される。この流体導管は「Y」字形状である。単一のチャネルから2つのチャネルに分岐する導管内の点において、2つのEPAMアクティブ領域310および311が示される。EPAM領域310および311は、流体導管の境界表面303の一部である。EPAMアクティブ領域310および311の撓みは、破線で示される。EPAMアクティブ領域310および311の撓みは、1)2つのチャネルのそれぞれにおけるフローレートを制御し、2)導管中のフローを一方の部分から他方の部分へと転送し、または3)両方のチャネルをブロックするために用いられえる。一方のチャネルから他方のチャネルへのフロー転送は、アクティブ領域310または311のうちのいずれかを撓ませて一方のチャネルをブロックさせることによって実行されえる。他方のチャネルは、そのEPAMアクティブ領域が撓まないか、または一部撓むので開放を維持し、それにより導管内のフローが開放導管を通って移動できる。一部撓んだEPAMアクティブ領域は、ブロックされないチャネル内のフローレートを制御するのに用いられえる。
図2C〜2Fは、流体導管の境界表面303として用いられる中空EPAMフロー制御デバイス315を示す。EPAMフロー制御デバイス315は、直径317、入り口304、出口305、および入り口304から出口305へと向かうフロー方向を移動する流体を有する。ある実施形態においてEPAMフロー制御デバイス315は、流体導管の直径を大きくしたり小さくしたりするために撓まされえる。図2Dにおいて、EPAMフロー制御デバイス315は、軸316に沿って直線上に伸びる。流体導管の伸びは、導管の長さに依存する摩擦力のような粘性消散力、断面積に依存する導管内のフローレート、およびパイプの長さに依存しえる導管の音響的および振動的特性を変更しえる。
EPAMフロー制御デバイス315の音響的特性に関して、特定の長さの流体導管は、特定の周波数の圧力波を収容しえる。例えばパイプオルガンによって発生された音は、パイプの長さに比例する。EPAMフロー制御デバイス315内のEPAM材料を撓ませることによって導管の長さを長くしたり短くしたりすることによって、流体導管を通って伝わるフローの音響的特性が変更されえる。例えばEPAMフロー制御デバイス315は、エンジンから排気ガスを通すのに用いられるテールパイプ内のような自動車のコンテキストで用いられえる。EPAMフロー制御デバイスを用いてテールパイプの長さをアクティブに変化させることによって、EPAMテールパイプの音響的特性は変えられえる。ある実施形態において、EPAMテールパイプは、エンジンから排気される排気ガスの圧力によって長くされたり短くされたりしえ、この圧力はエンジンの運転条件に依存して変わりえる。
ある実施形態において、315のような本発明のEPAMフロー制御デバイスは、以下に限定されないが、導管内のフローレートを計測するフローレートセンサ、フローの温度を計測する温度センサ、フローの1つ以上の成分を計測する濃度センサ、フローの総圧、またはフロー中の1つ以上の成分の分圧を計測する圧力センサ、フロー中の音響波を計測する音響センサ、および流体導管内の振動を計測する振動センサのような導管内のフローの条件を測定するのに用いられる1つ以上のセンサを含みえる。これらセンサから得られた出力は、EPAMフロー制御デバイスの動作(例えば時間の関数としてのEPAMフローデバイス315のアクティブ領域の撓み)を制御するために制御アルゴリズムで用いられえる。EPAMフローデバイス315は、デバイスの動作を制御するマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサのような論理デバイスを含みえる。
フローデバイス315の動作を制御するのに用いられるフローセンサは、流体システム中で用いられるEPAMフローデバイス315の上流または下流のようなEPAMフロー制御デバイスの外のフロー特性を計測するのに用いられえる。さらに時間の関数としてのその長さのようなEPAMフロー制御デバイスの動作は、フロー特性とは関係のないセンサ入力によって影響を受けえる。例えばEPAMテールパイプの長さは、テールパイプを通るエンジン排気ガスのRPMレートに相関されえる。
特定の実施形態において、315のような本発明のEPAMフロー制御デバイスは、直径317、または非円形断面については断面積を大きく変化させることなく長さを伸ばすように設計されえる。他の実施形態においては、EPAMフロー制御デバイス315の直径317は、フローデバイス315の長さを大きく変化させることなく、その長さに沿って大きくされたり小さくされたりしえる。
直径の変化なしに長さを伸ばすことは、Peiの以下の引用(米国特許出願第10/154,449号)において記載されるようなスプリングロールを用いて実行されえる。スプリングおよび円周予歪みがないEPAMの単純なチューブは、自然に伸びたり、その直径を大きくしたりしえる。長くし、同時に直径を減らすためには、スプリングロールアクチュエータ内部に自由エラストマーチューブを備えればよい。ここでスプリングロールが伸びるとき、内部エラストマーチューブは伸び、直径は収縮するが、スプリングロールは単に長くなるだけである。さらに他の実施形態において、複数の315のようなEPAMフロー制御デバイスがある種のインタフェースメカニズムを介していっしょに結合され、独立に長くされたり短くされたりしえる複数の部分を持つ流体導管を形成する。さらにそれぞれの結合された部分の直径は、独立に大きくされたり小さくされたりする。巻かれたEPAMトランスデューサは、これらリンクとして用いられるのに適切でありえる。スプリングロールのようなロールタイプのトランスデューサの詳細は、Peiらによる「Rolled Electroactive Polymers」と題された2002年5月21日出願の同時係属中の米国特許出願第10/154,449号に開示されており、その全体が全ての目的のためにここで参照によって援用される。
さらに他の実施形態においてEPAMフロー制御デバイス315は、図2Dのように直線上で長さが伸びるのに限定されない。図2E〜2Fにおいて、EPAMフロー制御デバイス315は、軸316の上または下にそれを撓ませることによって長くされえる。例えば図2Eにおいて、EPAMフロー制御デバイス315は、軸316から距離318だけ下向きに撓まされる。EPAMフロー制御デバイス315の両端が固定され、EPAMフロー制御デバイス315は撓みで長くされるとき、EPAMフロー制御デバイスは下向きまたは上向きに撓みえる。EPAMフロー制御デバイスの撓みによって流体導管が伸ばされ、これは長さに比例する粘性消散力および音響特性に影響を与ええる。下向きまたは上向きの撓みは、フローの方向を変更しえ、これはフローが曲がるときにフロー内の運動量の損失を引き起こしえる。上向きまたは下向きにEPAMフロー制御デバイス315を動的に撓ませることによって、流体導管内のフローの混合を行いえる。
EPAM流体導管の形状は複雑でありえる。図2Fにおいて流体導管は、軸316の上および下への撓みを持つように示される。フロー方向306は、軸に平行に入り口304において始まり、軸より下に下向きに動き、それから上向きに曲がり、出口305において軸に平行に終わる。導管の形状、EPAMフロー制御デバイスのその長さおよび断面領域は、時間の関数として動的に変化しえる。前述のように、フローおよび他のセンサおよびフローセンサからの入力を用いたアクティブ制御アルゴリズムは、EPAMフロー制御デバイス315の領域の形状、長さ、および断面領域を時間の関数として制御するのに用いられえる。
ある実施形態において、流体導管における1つ以上の表面は、なんらかの方法でうねが設けられ、つまりリッジが設けられてもよい。流体導管が長くされたり、収縮されたりするとき、1つ以上の表面は、うねまたはリッジの高さを変えるために伸ばされたり、縮められたりする。伸長することによってリブまたはリッジの高さを増加または減少させることは、表面の相対的滑らかさまたは粗さを変更しえる。この滑らかさまたは粗さの変化は、表面近傍の境界層の粘性特性を変更しえ、それによって流体が表面上を流れるときに流体の抵抗を増加または減少させえる。
図2G〜2Nは、1つ以上の流体フロー特性を変えるために流体導管内に挿入されえるEPAMフロー制御デバイスの例を示す。これらの例においてEPAMフロー制御デバイスは、流体導管の境界表面の一部としては主には用いられない。図2Gは、本発明のEPAMバルブ325の一例を示す。図3A〜3Mにおいて本発明のEPAMバルブのさらなる例が記載される。
EPAMバルブ325は、延伸されたEPAMポリマー327を支持するフレーム326を含みえる。EPAMポリマーは、ポリマー327の撓みが、矢印によって示された円形フレーム326の中心に向かう平面内の動きを主に生むよう充分に予歪みが与えられえ、この動きはバルブの中心において円の直径を減らす。他の実施形態において、ポリマーは、バルブの中心において円の直径を増加または減少させるために円の中心から外に、または中心に向かって両方に撓ませられえる。4つの電極328は、ポリマー327の撓みを制御しえる。ある実施形態において、4つの電極328は、異なる領域を持つバルブの中心において非円形形状を持たせるために、ポリマーの4つのアクティブ部分を独立して撓ませるために用いられえる。
例えば球形または円筒形として形作られえる絞り330は、EPAMバルブ325の中心に配置されえる。絞り330は、ポリマー327、フレーム326またはそれらの両方に接続された支持部材329によって支持されえる。EPAMバルブ325は、ポリマー327をデバイスの中心に向けて撓ませ、絞り330の周りで閉じるよう設計されえる。
図2Hにおいて、EPAMバルブ325は流体導管内に挿入されているよう示される。流体導管は、入り口304および出口305を有し、フロー方向306は入り口から出口へと向かう。EPAMバルブのフレームは、境界表面303の小さい部分を構成しえ、またはEPAMバルブは境界表面303内に挿入されえる。図2Hにおいて、バルブはフローに対して直角に挿入されるよう示されるが、本発明はフローに対して垂直に方向付けられたバルブには限定されない。
EPAMバルブ325の面積を増加または減少させることによって、流体導管内のフローレートは制御されえる。絞り330の周囲で閉じられるとき、フローレートはゼロにまで減少されえる。ある実施形態においては、EPAMバルブ325は、絞り330または支持構造をその中心において含まないかもしれない。この実施形態において、バルブの中心における断面積は、最大および最小の間で変化しえ、最大および最小フローレートが特定されることを可能にする。ポリマー327の撓みの量は、ポリマーに印加された電界の強度の関数であり、バルブの断面積を決定し、よってバルブを通るフローレートを決定するのに用いられえる。
図2Iは、正方形のマウントプレート331内の4つのEPAMバルブ325のアレイ343を示す。4つのバルブ325は、独立に制御されえる。ある実施形態において、マウントプレート331は、ダクト内のフローレートを制御するため正方形ダクト内で用いられえる。他の実施形態において、4つのバルブ325は、4つの異なるフィードラインに接続されることによって、ラインのそれぞれの中のフローを独立に制御しえ、そのような実施形態は図2Jに示される。フレーム326およびマウントプレート331は、剛性があるか、またはそれら自体は柔軟性がありえ、もし多くのEPAMバルブ325が組み合わされるなら、フレームおよびマウントプレート構造の実効的空隙率は、EPAM要素を用いて電子的に変えられえる。
図2Jにおいて、2つのフィードライン332および333は、マウントプレート331内のバルブ325に接続されるよう示される。バルブは2つのノズル334および335に接続される。バルブ325は、ノズル334および335内のフローレートを制御することによって、それぞれのノズルからの噴霧量、またはそれぞれのノズルからの液滴のサイズを作りだすよう用いられえる。例えばEPAMバルブ325は、ヘッド内で液滴サイズを制御するためにインクジェットプリンタヘッド内で用いられえる。ある実施形態において、ノズル335および336もEPAMポリマーから構成されえる。ノズルの長さおよびその断面積は、ノズルのEPAMポリマーを撓ませることによって変えられえる。ノズルの長さおよびその断面積を変えることは、ノズルを出るときの速度または結果として生じるフローパターンのような、ノズルを出るときのフローの特性を変えるために用いられえる。さらにポリマーを撓ませることによって、ノズルの方向、およびよってノズルを出る流体のフロー方向も変えられえる。EPAMノズルの詳細は、図2O〜2Rについてより詳細に記載される。
本発明のEPAMフロー制御デバイスは、流体の混合および分注のために用いられえる。図2Kにおいて、EPAM混合デバイス341が示される。EPAM混合デバイス341は、混合室340を作るために支持構造339に接続されたEPAMダイアフラム342を備える。2つのフィードライン332および333は、チャンバ340のための流体入力を提供し、出力ライン337は、混合物のためのチャンバ340の出力を提供する。EPAMバルブ325は、チャンバ340への、およびそれからの流体の入力および出力を制御するように用いられる。
ある実施形態において、フィードライン332および333のそれぞれへのEPAMバルブは、フィードラインのそれぞれの中の異なる流体が混合室に入るのを可能にするよう開けられる。出力フィードラインは、閉じられえる。それぞれのフィードライン内の流体の比は、バルブ直径を変化させてそれぞれのフィードライン内のフローレートを増加または減少させることによって、またはフィードラインへのそれぞれのバルブが開放である時間の長さによって変化させられえる。ある実施形態において、EPAMダイアフラム342は、混合室340内に流体を引き込むことを助けるように膨張しえる。他の実施形態において、フィードライン内の流体は、圧力が加えられており、この圧力を介して混合室内に入る。本発明は、2つのフィードラインに限定されず、複数のラインが混合室340に接続されえる。例えば塗料ミキサのためには、それぞれが3原色のうちの1つを提供する3つのフィードラインが用いられえる。
フィードラインからの流体が混合室340内に入った後、EPAMダイアフラムは、チャンバ内で流体を混合するために変化する周波数において上下に撓みえる。ダイアフラム342に加えられる撓みのパターンは、かなり複雑でありえる。例えば、ダイアフラムの複数の部分が異なるレートで撓み、混合を促進しえる。混合の所定の期間の後、出力フィードライン337へのバルブ325は開けられて、ダイアフラムは撓み、混合された流体を混合室341から分注しえる。ある実施形態において、混合デバイス341は、パージ流体フィードラインおよびパージ流体出力ラインを含みえる。パージ流体は、混合室340内に残る流体残留物を洗浄するのに用いられえる。
ある実施形態において、混合デバイス341は入力フィードラインを含まなくてもよい。混合室は、デバイスから分注されるだけの予め混合された流体を含みえる。例えば、抗生物質がIVラインにある。デバイス341をIV分注器として用いて、チャンバ内の流体は、流体をチャンバから分注するために重力に頼ることなく制御されたやりかたで分注されえ、IVバッグを患者より上の持ち上げられた位置に保持しなければならない必要性がなくなる。他の実施形態において、混合デバイスは、未混合のまま残るか分離される傾向にある多くの流体要素を含みえる。例として、混合室341は、薬剤のようなパケット内に封止される多くの流体および固体要素を含みえる。混合デバイス341がアクティブにされるとき、シールされたパケットは破られ、混合室内で混合される。混合物はそれから出力ライン337を介して分注される。
図2Lおよび2Mにおいて、フロー中の流体の方向を変えるのに用いられるEPAMフロー制御デバイスが示される。図2LにおいてEPAMデバイス348および349は、流体導管内で支持構造347にマウントされたベーン345に取り付けられる。EPAMデバイス348または349のペアのうちの1つが長くなるとき、他のEPAMデバイスは収縮する。ベーン345は、EPAMデバイスのうちの1つを伸ばすことによって上に向かって、または下に向かって撓まされる。流体フロー中のベーン345の位置は、ベーンにわたって流れる流体の方向を変化させるのに用いられえる。EPAMデバイス348および349は、よってベーン345のそれぞれの方向は、独立して制御されえる。それぞれの平面内で独立して屈曲が制御される1つまたは2つの平面で曲がるEPAMデバイスは、ユニモルフおよびバイモルフEPAMトランスデューサと呼ばれる。しかし本発明は、ユニモルフおよびバイモルフEPAMトランスデューサに限定されない。
図2Lにおいて、EPAMデバイス350および351は、支持構造347に接続され、流体中に挿入される。EPAMデバイス350および351は比較的平坦であり、1つ以上のEPAMポリマーレイヤを含みえる。EPAMデバイス中のEPAMポリマーは、印加された電界に応答して1つ以上の方向に変形(例えば、屈曲、ねじれ、および伸長)するよう設計されえる。撓まされたEPAMデバイスの形状、およびフローに対するそれらの方向は、フロー方向を変えるために用いられえる。例えば、図2Mに示されるように、EPAMデバイス350および351は、導管内のフローを下向きに曲げるように、それぞれ下向きに撓みえる。他の実施形態においてEPAMデバイス350および351は、フロー内の混合および/または乱流を促進するために、ある周波数において反対の方向に撓みえる。さらに他の実施形態において、EPAMデバイス350および351は、フロー中の振動を静かにさせ、制動させるためにある所定の周波数で撓みえる。
図2Nにおいて、EPAMフロー制御デバイスとして用いられるダイアフラムアレイ353は、1つ以上の部分の周囲、または流体導管の円周全体に配置される。ダイアフラムアレイ353内のダイアフラムを異なるパターンにおいて異なる周波数で撓ませることによって、異なる波パターンがフロー場中に導入されえる。例えば、ダイアフラムがフローに平行に撓まされるとき、354のような横波パターンがフローに加えられる。他の例として、円形ダクトの円周の周りのような、ダイアフラム353がフロー306の方向に垂直な平面内のパターンで撓まされるとき、フロー中の渦度は増加されえる。1つのダイアフラムを撓ませ、それを元に戻し、それから隣接するダイアフラムについて繰り返し、などと導管の周囲について行うことによって、フロー中に角運動量が導入されえる。
ダイアフラムは、いろいろな高さでありえる。微小なスケールにおいて、流体導管、または外部フロー中の構造の表面粗さを変えるためにダイアフラムのアレイが用いられえる。表面近傍のフロー境界層の特性は、353のようなダイアフラムアレイ中の撓みを介して表面粗さを変化させることによって変えられえる。より大きいスケールでは、表面上の非粘性フローレイヤの特性は、境界層高さのかなりの部分にあたるか、またはそれぞれのダイアフラムの位置における境界層高さよりも高い高さまでダイアフラムを撓ませることによって変えられえる。
本発明において、ダイアフラムの撓まされた高さは、半球の高さよりも大きいこともありえる。例として、他のデバイス、EPAMバルーンバルブ352が図2Nに示される。EPAMバルーンバルブは、支持構造347に取り付けられる。バルーンバルブは、それが膨張して流体導管をブロックするように撓まされえる。EPAMバルーンバルブ352の膨張された形状は、球形に近く、破線によって示される。
図2O〜2Rは、EPAMノズルボディおよびEPAM収縮器419によって制御される可変スロート領域を持つノズル415の例を示す。フローはノズルスロート417にフィードライン420を介して入る。フローはEPAMノズルボディ416内で広がり、ノズルボディ416からノズル出口418を介して出る。EPAMノズルボディ416は、ノズルボディ416を構成するEPAM材料上に電界をかけることによって、ノズルボディ416を広げて延ばすよう設計されえる。ノズルボディ416の長くされた長さは、ノズルボディ416中を出口418へ移動する流体内で起こる膨張の量を変えうる。増加された膨張は、ノズルを出るときの流体の速度を減らしえる。図2Oにおいて、撓まされたノズルボディの一例が破線で示され、他のものは実線で示される。
EPAM収縮器419は、ノズル415のスロート領域を変えるのに用いられえ、このノズルもノズル中の流体の膨張を変化させる。ノズルのスロート領域における変化は、出口418における流体速度プロファイルを変化させえる。ある実施形態において、図2GのEPAMバルブ325(絞りなしで)は、ノズルのスロート領域を変化させるために収縮器419として用いられえる。他のタイプの収縮器も用いられえる(図3Kおよび3Lを参照)。ノズルが発生する推力について、最大推力のための最適膨張は、ノズル出口における圧力に関連する。もしノズル出口における圧力が変化するなら、ノズルの幾何学的形状はEPAMノズルボディ416およびEPAM収縮器419を用いてノズル415を最適化し、それによりノズル出口における圧力に対応する最大推力を発生しえる。
図2Pにおいて、図2Oの実線および破線によって表される出口断面は、2つのノズルボディ幾何学的形状について示される。第1撓み位置における第1実施形態は、円形断面421を有する。第2撓み位置における第2実施形態は、楕円断面を有する。ノズルが長くされるとき、断面プロファイルは円形のままであるか、または形状が変化する。多くの断面形状が可能であり、楕円断面に限定されない。
図2Qは、スロートの2つの撓まされた位置についての2つの断面423および424を示す。スロート領域424は、第2撓み位置においては、第1撓み位置におけるスロート領域423よりも小さい。スロート領域における変化は、例示的目的のためだけに与えられる。ある実施形態において(図2R参照)、EPAMノズルボディ416は、スロート領域における変化なしで撓まされえる。本発明は、円形スロート断面に限定されない。ある実施形態においては、EPAM収縮器デバイスは、非円形断面をノズルスロート417において作るために不均一に収縮されえる。
図2Rにおいて、フローの方向をそれがノズルボディを出るときに変えるためにEPAMノズルボディ416が撓まされる実施形態が示される。その第1撓み位置(実線によって示される)において、ノズルの中心を通る軸方向にアラインしてフローはノズルを出る。その第2撓み位置(破線によって示される)において、EPAMノズルボディは、下に向かって曲げられ、ノズルを出るフローを下向きの方向に導く。ノズルボディを下向きに曲げるために、EPAMノズルボディの下部との対比でより大きな電界がEPAMノズルボディの上部のEPAMポリマーに印加されえる。追加の電界は、ノズルボディの上部がノズルボディの下部よりも長くなるようにしえ、よってノズルボディを下向きに曲げえる。
この機能は、従来ノズルでは容易に得られない、EPAMノズルの制御のさらなる量を提供しえる。従来ノズルならノズルを撓ませるための追加のメカニズムが必要だった。EPAMノズルは、すでにEPAMデバイスの要素である、適合する電極パターンおよびチャージ制御メカニズムを必要とするだけである。
図3A〜Mにおいて、EPAMポリマー要素を採用する多くのバルブ設計が示される。これら図に示されるバルブ設計の例には、ダイアフラムバルブ(図3A)、ゲートバルブ(図3Bおよび3C)、ニードルバルブ(図3D)、スロットバルブ(図3Fおよび3G)、マルチポート付きロータリバルブ(図3G〜3J)、ピンチバルブ(図3Kおよび3M)、および燃焼室のための吸気/排気バルブ(図3M)が含まれる。本発明は、これらのタイプのバルブに限定されないが、これは本発明のEPAMポリマーは、示されない多くの他のタイプのバルブ設計にも適用可能だからである。
ここで用いられるように、「バルブ」とはフロー制御デバイスの一実施形態である。フロー制御デバイスと共に、バルブは、1つ以上の構造を通る気体、液体および/または疎な粒子の流体連通を制限し、影響を与え、または制御するデバイスを指す。例えば、バルブは、内燃エンジンの燃焼室のようなチャンバ内への、または燃焼室につながる吸気ポートのような導管からの気体のフローを制御しえる。EPAMトランスデューサによって駆動される1つ以上の排気バルブは、チャンバの出口上に配置されてもよい。あるいはバルブは、バルブの反対側の間の圧力を制御することによって、バルブから下流の圧力を制御するために導管(例えばパイプ)内に配置されえる。
ここで記載されるバルブおよびフロー制御デバイスは、1つ以上の電気活性ポリマー(EPAM)トランスデューサを備える。ある実施形態において、EPAMトランスデューサは、バルブを駆動するか、または機械的エネルギーを与えて、バルブを通る気体、液体、および/または疎な粒子(loose particles)の流体連通を制御するために用いられる。リニアEPAMトランスデューサは、制御の増分および精密レベル(比例制御)と共に、バルブのオン/オフ制御を提供するのに特に適する。EPAMトランスデューサの高速な応答時間が与えられるなら、本発明のバルブはしたがって時間に敏感な流体制御が必要な応用例に適する。場合によっては、EPAMトランスデューサは、直接に流体に接触しない(図3M参照)かもしれない。例えば、リニアEPAMトランスデューサは、EPAMトランスデューサの駆動によって影響を受ける1つ以上の可動部を有する導管内のゲートのような(図3Bおよび3C参照)、流体に働く封止された流体インタフェースに結合されえる。この場合、EPAMトランスデューサは、流体インタフェースを用いてバルブを駆動する。他の実施形態において、EPAMトランスデューサは、ダイアフラムの表面にわたって流体のフローを制御するために導管内に配置されたダイアフラムEPAMトランスデューサ(図3A参照)のような、流体に接触する表面を含みえる。ダイアフラムEPAMトランスデューサの駆動は、流体フローレートを減少させるために導管の断面積を減少しえ、または導管を完全に閉鎖するために導管内の流体フローをブロックしえる。
図3Aにおいて、ダイアフラムバルブ設計が示される。従来のダイアフラムバルブは、コンプレッサに取り付けられた可撓性ダイアフラムを用いて閉じる。コンプレッサは、ダイアフラムを、フローの流れの中の突出平面であるせきに押し付けるように、またはバルブシートに押し付けるように用いられえる。ダイアフラムがせきまたはバルブシートに押し付けられるとき、封止が形成され、フローは遮断される。
図3Aにおいて、EPAMダイアフラムバルブ360の設計が示される。EPAMダイアフラム360は、支持構造347に取り付けられる。スプリング、発泡剤カットオフ(foam cut-off)または気体圧力のようなバイアスメカニズム364が、外側への撓みを持つダイアフラムを提供するために用いられえる。支持構造そのものは、フローが浸透しえ、もしポンプ圧力が加えられた流体の圧力が、出口側におけるよりもバルブ側において高いなら(下流よりも上流の圧力が高い、ポンプで加圧された流体の応用例ではふつう)、ポンプで加圧されたフローそのものの圧力差は、バイアスメカニズムとして働きえる。第1撓み位置(実線によって示される)において、流体はバルブ360を通り、オリフィスを含みえるバルブシート363を通って流れえる。ダイアフラム363内のEPAMポリマーに電界が印加され、ダイアフラムを第2位置にまで撓ませて、バルブシート363と接触し、オリフィスを覆う。第2位置においてバルブを通るフローはブロックされる。
他の実施形態において、EPAMダイアフラム363は、流体導管内でせきに対して押し付けられるよう撓まされえる。封止を改善するためにEPAMダイアフラムは、バルブシート363と接触するダイアフラムの側に追加の材料レイヤを持ちえる。バルブ360の優位性は、コンプレッサおよびダイアフラムの機能が組み合わされていることである。従来のダイアフラムバルブにおいては別個のコンプレッサ要素が典型的には必要とされる。
図3Bおよび3Cにおいて、バルブカバー366(すなわちゲート)を制御するのに用いられるEPAMアクチュエータを持つゲートバルブ365が示される。ゲートバルブにおいてはフローは、バルブを通して平行に下がることによってフローをブロックする平坦な面、垂直なディスクまたはゲートによって制御されえる。図3Bにおいてゲートバルブ365は、開放位置で示される。2つのEPAMアクチュエータ367および368がバルブカバー366に取り付けられるよう示される。あるいは367および368は、巻かれたEPAMアクチュエータのような単一のEPAMアクチュエータの2つの側面(断面において)でありえる。EPAMアクチュエータは、電界の印加によってアクチュエータ内のEPAMポリマーが長くなり、バルブカバー366をバルブシート363から遠ざけるように押すように構成される。スプリングまたは磁気デバイスのような加圧メカニズムが、バルブカバー366をバルブシーティングに向けて、バルブシート363に対して押すように構成される。EPAMアクチュエータへの電界が減少またはオフにされるとき、EPAMポリマーの長さは短くなり、バルブカバー366はバルブシート上で閉じ、フローをブロックする。
バルブ365は、較正されることが可能でありえる。較正プロシージャにおいて、アクチュエータ367および368内のEPAMポリマーへ印加される電界が、加圧メカニズム364によって加えられる圧力にしたがって調整され、バルブ365の適切な閉鎖が得られる。較正プロセスは、加圧メカニズムによって加えられる圧力が時間と共に変化するときに有用である。例えば、スプリングによって加えられる圧力は、スプリングを繰り返し伸長および収縮させた後には時間と共に変化しえる。
ダイアフラムバルブ360およびゲートバルブ365は、コントロールバルブとしても用いられえる。コントロールバルブは、バルブを通る流体の正確な割合制御を確実にするよう設計される。コントロールバルブは、連続的プロセスにおいて、検出デバイスからそれが受け取る信号に基づいて、バルブを通るフローレートを自動的に変化させえる。直線または回転の動きを用いるバルブのたいていのタイプは、パワーアクチュエータ、位置決め装置、センサ、および他のアクセサリを追加すればコントロールバルブとして用いられえる。例として図3Aにおいて、バルブ360中のフローを制御するために、フローレートおよび/またはダイアフラム364の位置を検出するセンサが用いられえる。EPAMそれ自身は、検出と題された以下のセクションで記載されるセンサとして用いられえる。ダイアフラムは、決定された、所望のバルブを通るフローレートに依存して、異なる位置に撓まされえる。
図3Dにおいて、ニードルバルブ370の例が示される。ニードルバルブは、小さいライン内の流体のフローを制限するためにしばしば用いられる量制御バルブである。流体371は、バルブカバー366のためのシート363であるオリフィスを通って通る。インラインバルブにおいて流体は、ニードルバルブを含む90度の方向変換を通して流されえる。バルブカバー366は、典型的には円錐形状である。シート363に対してバルブカバー366を位置付けることによって、オリフィスのサイズは変更されえる。
図3Dにおいて、EPAMアクチュエータ372は、支持構造347に取り付けられる。電界がアクチュエータ中のEPAMポリマーに印加されるとき、EPAMポリマーは長くなり、バルブカバーはバルブシート363に向かって押され、流体フローを許すオリフィスのサイズを変化させる。スプリングでありえる2つの加圧メカニズムは、EPAMポリマーによってバルブシート363に伝達される力の向きと反対の方向に力を加える。EPAMポリマー上の電界が減らされるとき、加圧メカニズムは、バルブカバー366をシート363から離すように引きえる。
図3Eおよび3Fにおいて、スロットバルブ375の例が示される。スロットバルブは、入力ポートおよび出力ポートとアラインされたり、アラインされなかったりするチャネルを含む。スロットバルブが入力ポートおよび出力ポートとアラインされるとき、流体は、入力ポートから出力ポートへとスロットカバー内のチャネルを通って移動しえる。スロットバルブがアラインされないとき、入力ポートはブロックされ、スロットを通る流体フローはブロックされる。
図3Eにおいて、スロットバルブはアラインされた位置で示される。支持構造に固定されたEPAMアクチュエータ377は、スロットカバー376を押して入力および出力ポートとアラインするように駆動する。スロットカバー376は、スロット内に常駐しえ、このスロットがその動きをガイドする。スロットカバーは、支持構造347に取り付けられている加圧メカニズム364に取り付けられている。加圧メカニズム364は、駆動されるときにEPAMアクチュエータ377によって加えられる力の反対の方向に力を加える。アクチュエータ377内のEPAMポリマーに印加される電界が減少またはオフされるとき、加圧メカニズム364は、スロットカバーをアラインされない位置に押し、よって入力ポートおよびスロットカバー376内のチャネルを通るフローをブロックする。スロットバルブ375のアラインされない位置は、図3Fに示される。
図3G〜3Jにおいて、ロータリバルブのいくつかの例が示される。バルブは複数のポートを含む。ロータリバルブの従来の例は、プラグバルブまたはボールバルブを含む。これらのタイプのバルブにおいて、チャネルを持つプラグまたはボールは、フローパスに並ぶように、またはフローパスをブロックするように回転される。チャネルをフローパスにアラインさせ、またはアラインさせないためには、典型的には、90度回転のようなバルブの回転が必要とされる。バルブをオンおよびオフするために必要とされる回転のために、これらバルブは回転バルブと呼ばれる。
図3Hおよび3Iにおいて、ロータリマルチポートバルブ380のある実施形態が示される。マルチポートロータリバルブは、中心を通る流体導管382を持つ、部分的に空洞のあるEPAMロールアクチュエータ381を備える。EPAM381の側面を通るポート383は、流体導管382に接続する。ポートは、複数のフィードライン384のうちの1つに接続するよう設計される。
EPAMロール381は、曲線パスに沿って駆動するよう設計される。バルブ380は、EPAMロールをそれが駆動するときに設定されたパスに沿って導くのを助けるガイドを含みえる。図3Gにおいて、ロールを長くするようにEPAMロールは駆動されていないとき、ポート383はフィードライン384のどれにもアラインしない。例えばEPAMロール381は、直径が膨らむよう撓まされ、フィードラインをブロックしえる。さらにEPAMロール381の側面は、フィードライン384をブロックするためにも用いられえる。他の実施形態において、ポート383は、開き、フィードライン上のバルブと噛み合うメカニズムを含みえる。3Hにおいて、EPAMロール381が曲がったパスに沿って長くなるよう駆動されるとき、ポート383は、パスに沿って回転し、3つのフィードラインのうちの中央のものとアラインする。この位置において流体は、中央のフィードラインから導管に入り、EPAMロールの中心にある流体導管382を通って流れる。この撓まされた位置において、他の2つのフィードラインへの開口は、EPAMロールの側面によってブロックされえ、またはバルブのような他のメカニズムを用いて閉鎖されえる。
図3Iおよび3Jにおいて、EPAMマルチポートバルブ390の他の実施形態が示される。この実施形態において、2つの流体導管がEPAMロール393を通って走る。2つのポート391および392は、それぞれ2つの流体導管の前方端上にあり、固定された位置において2つのフィードラインに接続するよう設計される。マルチポートロータリバルブ390の2つのポート391および392を持つ側からの図は図3Iに示される。
EPAMロール393の断面は図3Jに示される。EPAMロール393は、ポート391および392に対向するポート396および397を2つのフィードライン385および386とアラインさせるようにねじれさせて回転するよう設計される。ポート396がポート385とアラインされるとき、流体はEPAMロール393内の第1流体導管を通ってポート392に流れえる。同様に、ポート397がポート386とアラインされるとき、流体はEPAMロール383内の第2流体導管を通ってポート391に流れえる。第1および第2流体導管は、EPAMロール内で異なる高さにある。EPAMロールは、ロールの上部が、EPAMロールの下部とは独立してねじれて回転するように設計されえる。よってポート396および397は、ポート385および386と独立して接続されたり、接続されなかったりしえる。
図3Kおよび3Lにおいて、ピンチバルブの実施形態が示される。ピンチバルブは、ゴム管のような可撓性導管上で押されることによって封止するが、それは導管内の流体フローを遮断するために挟んで閉められる。ピンチバルブは、スラリーまたは懸濁した固体を大量に含む液体のためにしばしば用いられる。図3Kにおいて、可撓性流体導管402の周りのEPAM収縮器デバイス400の断面が示される。EPAM収縮器デバイスは、複数のEPAMアクチュエータ401を含む。EPAMアクチュエータは、電界の印加の下で流体の中心に向かって撓むように設計されたEPAMポリマーを含む。
EPAMアクチュエータは、流体導管の中心に向かってそれを締めるために押し、直径303を減らす。図3Lにおいて、側面からの流体導管402の断面が示される。破線は、収縮器400および流体導管402の両方の撓まされた部分を示す。収縮器デバイスの撓みが増すと、導管402の直径403は減る。ある実施形態において、収縮器デバイス400は、収縮器が撓まされるときに腕や脚の血管内の血液流を締めて止めるための、腕や脚のような人間の四肢の周りのカフまたはスリーブとして用いられえる。他の例として、カフまたはスリーブは、人間の臓器の周りに、その人間の臓器内の血液流を収縮させるために用いられえる。EPAMフロー制御として用いられえる図示されない他のタイプのバルブには、以下に限定されないが、1)逆流を阻止するよう設計されたチェックバルブ、2)過剰圧力から保護するよう設計されたプレッシャーリリーフバルブ、および3)フローの方向と直角なピボット軸を持つ円形ディスクまたはベーンを用いてフローを制御するバタフライバルブが含まれる。
それ自身は簡単なダイアフラムは、可変透過性(構成は不図示)を用いたフロー制御デバイスとして機能しえる。例えば、もし圧力下の流体がEPAMダイアフラムの一方の側にあり、EPAMダイアフラムが流体に対して透過性であるなら、EPAMダイアフラムを駆動して、面積が大きくなり、厚さが縮小するようにさせることで、その透過性を増加させ、圧力のかかった流体がEPAMダイアフラムを通してより高いレートで拡散することを可能にする。気体および小さい液体分子のような多くの流体は圧力下ではEPAMエラストマーおよびEPAM電極を通して拡散しえる。
ある実施形態において、EPAMアクチュエータは、ロールタイプの電気活性ポリマートランスデューサ410を用いて内燃エンジン内の燃焼室414への吸気413および排気バルブ412を駆動する。この実施形態は図3Mに示される。EPAMアクチュエータは、シリンダヘッドにボルトで止められた支持構造415を介してシリンダヘッド411にマウントされる。EPAMアクチュエータ410は、吸気および排気バルブの開閉を制御しえる。
EPAMトランスデューサは、多くの従来の駆動技術の制限を克服し、エンジンバルブの駆動を独立して、可変タイミングおよびリフトで行いえる。EPAMトランスデューサは、直線的な力特性、本来的に比例制御(可変リフトについて)、高効率、低雑音、良好なパッケージング可撓性、および「ソフトランディング」(soft landing)機能を有する。例えば、ソレノイドは、その動程の終端において、急激に閉まるため雑音を発生し、バルブの摩耗を加速する。しかしEPAMトランスデューサは、「ソフトランディング」を提供できるので雑音および摩耗を低減できる。EPAMトランスデューサはまた、ソレノイドや油圧よりもより高い出力対重量比を提供する。
EPAMトランスデューサを用いて吸気/排気バルブを駆動することによって、バルブタイミングおよびリフトは、異なる速度におけるエンジン要件によりよく適合されえ、出力および環境のより広い範囲がエンジンから達成される。EPAMトランスデューサの使用は、カムシャフトおよび関連する駆動ハードウェアの必要をなくし、カムレスエンジンのための無限可変バルブ動作を可能にする。さらにEPAMトランスデューサは、現在は不可能である内燃エンジン内の個別シリンダ制御を達成するのに用いられえる。個別シリンダは、吸気/排気バルブを駆動したり駆動しなかったりのいずれかによってオンデマンドでイネーブルまたはディセーブルされえる。例えば、8つのシリンダエンジンは、4つのまたは6つのシリンダとして必要に応じて動作しえる。これはエンジンパワー出力および燃料経済の柔軟性を大きく増す。
本発明のEPAM駆動バルブの制御は、高い周波数の信号のそれぞれのサイクルのうち特定のパーセンテージだけバルブが開く、パルス幅変調(PWM)でありえる。開放パーセンテージ(またはデューティサイクル)は、フロー要件によって変化させられる。バルブはまた、バルブの位置が制御され、フロー要件に基づいて可変されるように比例して制御されえる。この比例制御は、現在用いられる従来のソレノイドでは困難である。EPAM駆動されたバルブはまた周波数変調(FM)でありえる。駆動の周波数およびスプリングレートは、共振して動作するように設計されえ、これはアクチュエータのパワー要件を低減しえる。フロー制御は、共振周波数から離れるよう周波数を可変させることによってなされえる。
流体フローの制御および/または圧力の制御のためのEPAM駆動されたバルブにはさまざまな応用例が存在する。EPAMトランスデューサは、従来のフロー制御システムに比較して、低減された重量、コスト、および複雑さ、および大きくされた動作柔軟性の優位性を有する。自動車において、EPAM駆動されたバルブは、燃料噴射制御、吸気制御(スロットル位置)、冷却システムおよびエミッション制御に用いられえる。例えば、ここで記載されたEPAM駆動されたバルブは、内燃エンジン内のキャニスタパージバルブ(CPV)として用いられえる。このCPVは、大気圧の燃料蒸気キャニスタおよび半分真空の内燃エンジンの吸気システム間のフローを制御する。EP駆動されたバルブは、燃料蒸気フローの比例制御を可能にするが、これはソレノイドタイプのバルブでは達成するのが困難である。他の例として、EPAM駆動されたバルブは、マフラーへの排気のフローを制御するための従来の空気圧で駆動されるバルブシステムに取って代わることができる。ここで記載された実施形態および多くの他の応用例において、EPAM駆動されたバルブは、容易にその周りの構造体に組み込むことができる。
3.電気活性ポリマーデバイス
3.1 トランスデューサ
図4A〜2Eは、本発明のある実施形態による巻かれた電気活性ポリマーデバイス20を示す。巻かれた電気活性ポリマーデバイスは、EPAMフロー制御デバイス(図2C〜2F、または3G〜3Iを例えば参照)の駆動のために用いられえ、流体導管、または外部または内部流体場の中に浸された他のタイプの構造体の一部として機能しえる。巻かれた電気活性ポリマーデバイスは、EPAMフロー制御デバイスを動作させる直線および/または回転/ねじれ動きを提供しえる。図4Aは、デバイス20の側面図を示す。図4Bは、デバイス20を上部端から見た軸上の図を示す。図4Cは、断面A−Aを通して取られたデバイス20の軸上の図を示す。図4Dは、巻かれる前のデバイス20の要素を示す。デバイス20は、巻かれた電気活性ポリマー22、スプリング24,エンドピース27および28、およびデバイス20を組み立てるさまざまな製造要素を備える。
図4Cに示されるように、電気活性ポリマー22は巻かれる。ある実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、電極あり、または電極なしで丸くそれ自身の上に巻かれた(例えばポスターのように)、または他の物体(例えばスプリング24)の周りに巻かれた電気活性ポリマーを指す。ポリマーは、繰り返し巻かれえ、少なくともポリマーの内側レイヤの一部において重なるポリマーの外側レイヤの部分を少なくとも備えうる。ある実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、ある物体または中心の周りに螺旋状に巻かれた電気活性ポリマーを指す。ここで使われるように巻かれたという語は、ポリマーがその巻かれた構成をどのようにして達成するかとは独立している。
図4Cおよび4Dによって示されるように、電気活性ポリマー22は、スプリング24の外側の周りに巻かれえる。スプリング24は、ポリマー22の少なくとも一部を引っ張る力を与える。スプリング24の上端24aは、堅いエンドピース27に取り付けられる。同様にスプリング24の上端24bは、堅いエンドピース28に取り付けられる。ポリマー22(図4D)の上部エッジ22aは、エンドピース27の周りに巻かれ、適切な接着剤を用いてそれに取り付けられる。ポリマー22の下部エッジ22bは、エンドピース28の周りに巻かれ、適切な接着剤を用いてそれに取り付けられる。よってスプリング24の上端24aは、ポリマー22の上部エッジ22aに動作可能に結合され、上端24aの撓みはポリマー22の上部エッジ22aの撓みに対応する。同様にスプリング24の下端24bは、ポリマー22の下部エッジ22bに動作可能に結合され、下端24bの撓みはポリマー22の下部エッジ22bの撓みに対応する。ポリマー22およびスプリング24は、それらのそれぞれの上下部分の間で撓むことが可能である。
上述のように、多くの電気活性ポリマーは、予歪みが与えられるときによりよく機能する。例えばある種のポリマーは、予歪みが与えられるとき、より高い絶縁破壊電界強度、電気的に駆動された歪み、およびエネルギー密度を示す。デバイス20のスプリング24は、ポリマー22に円周および軸方向の予歪みを起こすような力を与える。
スプリング24は、ポリマー22を軸方向に伸ばし、軸方向にポリマー22を引っ張る反対の軸方向(図4A)で外側に向かう力を与える圧縮スプリングである。よってスプリング24は、ポリマー22を軸方向35に引っ張った状態に維持する。ある実施形態において、ポリマー22は、約50から約300パーセントの、方向35の軸方向の予歪みを有する。製造について以下により詳細に記載されるように、デバイス20は、スプリングが圧縮されたままで、予歪みが与えられた電気活性ポリマーフィルムをスプリング24の周りに巻くことによって製造されえる。いったん解放されると、スプリング24は、軸方向の予歪みを達成するためにポリマー22を引っ張り歪みの状態に維持する。
スプリング24はまた、ポリマー22上の円周方向の予歪みを維持する。予歪みは、ポリマーがスプリング24の周りに巻かれる前に、ポリマー22内で方向33(図4D)の長手方向に確立されえる。製造中にこの方向の予歪みを確立する技術は、以下により詳細に記載される。スプリング24について実質的に一定の外周寸法と共に、巻かれた後にポリマーを固定または固着させることは、スプリング24についての外周方向の予歪みを維持する。ある実施形態においてポリマー22は、約100から約500パーセントの円周方向予歪みを有する。多くの場合、スプリングは、ポリマー22上の異方性予歪みを発生する力を与える。
エンドピース27および28は、巻かれた電気活性ポリマー22およびスプリング24の反対端に取り付けられる。図4Eは、本発明のある実施形態によるエンドピース27の側面図を示す。エンドピース27は、外側フランジ27a、インタフェース部27b、および内側ホール27cを備える円形構造体である。インタフェース部27bは、好ましくはスプリング24と同じ外径を有する。インタフェース部27bのエッジはまた、ポリマーのダメージを防ぐために丸くされえる。内側ホール27cは、円形であり、エンドピース27の中心を通って上端から外側フランジ27aを含む下部外側端まで貫通する。特定の実施形態において、エンドピース27は、アルミニウム、マグネシウム、または他の機械用金属を備える。内側ホール27cは、エンドピース27内で機械加工または同様に製造されたホールによって規定される。特定の実施形態において、エンドピース27は、3/8インチ内側ホール27cを持つ1/2インチエンドキャップを備える。
ある実施形態において、ポリマー22は、外側フランジ27aまではずっと伸びず、ギャップ29がポリマー22の外側部分エッジおよび外側フランジ27aの内側表面の間に残される。以下にさらに詳細に記載されるように、接着剤または糊が巻かれた電気活性ポリマーデバイスに加えられてその巻かれた構造を維持しえる。ギャップ29は、巻かれたデバイスの外径への積み重ねの代わりに、エンドピース27上に接着剤または糊のための専用のスペースを与え、ロール中の全てのポリマーレイヤがエンドピース27に固定されるようにする。特定の実施形態において、ギャップ29は約0mmから約5mmの間である。
エンドピース27および28の間の電気活性ポリマー22およびスプリング24の部分は、その機能的な目的についてアクティブであると考えられえる。よってエンドピース27および28は、デバイス20のアクティブ領域32(図4A)を規定する。エンドピース27および28は、スプリング24との固定、およびポリマー22との固定のための共通構造を与える。加えて、それぞれのエンドピース27および28は、デバイス20に対する外部の機械的および取り外し可能な結合を許す。例えばデバイス20は、エンドピース27がロボットのアップストリームリンクに取り付けられ、エンドピース28がロボットのダウンストリームリンクに取り付けられる、ロボット応用例において採用されえる。電気活性ポリマー22の駆動は、それから、2つのリンク間の自由度(例えばリンク1上のピンジョイントの周りのリンク2の回転)によって決定されるように、アップストリームリンクに対してダウンストリームリンクを動かす。
特定の実施形態において、内側ホール27cは、ネジまたはネジが切られたボルトのようなネジが切られた部材とのネジによるインタフェースが可能な内部ネジ山を備える。内部ネジ山は、デバイス20の一端への取り外し可能な機械的固定を可能にする。例えばネジは、ロボット要素に対する外部取り付けのために、エンドピース27内の内側ネジ山にネジが切られえる。デバイス20の内部での取り外し可能な機械的固定のために、エンドピース27および28にそれぞれネジが切られるナットまたはボルトは、スプリング24の軸のコアを通って貫通し、それにより2つのエンドピース27および28を互いに固定する。これによりデバイス20は、巻かれる間に有用な完全に圧縮された状態のような、任意の撓み状態に保持されることができる。これはまた、ポリマー22が格納中に歪まされないようデバイス20を格納するあいだも有用である。
ある実施形態において、堅い部材または直線ガイド30がスプリング24のスプリングコア内に配置される。スプリング24内のポリマー22は、実質的にエンドピース27および28間でコンプライアンスを持つので、デバイス20は、方向35に沿った軸方向撓み、およびその直線軸(スプリング24の中心を通る軸)から離れるポリマー22およびスプリング24の屈曲の両方を可能にする。ある実施形態においては、軸方向撓みだけが望ましい。リニアガイド30は、デバイス20がエンドピース27および28間で直線軸について屈曲することを防ぐ。好ましくはリニアガイド30は、デバイス20の軸方向の撓みに干渉しない。例えばリニアガイド30は、好ましくはそれ自身およびスプリング24の任意の部分の間で摩擦抵抗を起こさない。リニアガイド30または軸方向35以外の動きを防ぐ他の任意の拘束物があると、デバイス20は、厳密に方向35の出力を持つリニアアクチュエータまたはジェネレータとして機能しえる。リニアガイド30は、木、プラスチック、金属などのような任意の適切に堅い材料で構成されえる。
ポリマー22は、繰り返しスプリング22の周りに巻かれる。単一の電気活性ポリマーレイヤ構成については、本発明の巻かれた電気活性ポリマーは、約2および約200レイヤの間で構成されえる。この場合、レイヤとは、巻かれたポリマーの半径方向の断面において重なるポリマーフィルムまたはシートの数を言う。場合によっては、巻かれたポリマーは、約5および約100レイヤの間で構成される。特定の実施形態においては、巻かれた電気活性ポリマーは約15および約50レイヤの間で構成される。
他の実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、多層レイヤ構造を採用する。多層レイヤ構造は、ロール状にされたり巻かれたりされる前に、互いの上に配置された複数のポリマーレイヤを備える。例えば、その上にパターン付けされた電極なしの第2電気活性ポリマーレイヤは、両面にパターン付きの電極を有する電気活性ポリマー上に配置されえる。2つのポリマー間に直接に接する電極は、直接接触するポリマー表面の両面に対して機能する。巻かれた後、電極付きのポリマーの下側の電極は、電極なしのポリマーの上側に接触する。このようにして、その上にパターン付けされた電極がない第2電気活性ポリマーは、第1電気活性ポリマー上の2つの電極を使う。
他の多層構造も可能である。例えば多層構造は、奇数番目のポリマーは電極が付けられ、偶数番目のポリマーは電極が付けられない任意の数のポリマーレイヤを備えうる。電極なしポリマーの上部の上側表面は、巻かれた後、積層物の下部の電極に頼る。2、4、6、8などを有する多層構造がこの技術で可能である。場合によっては、多層構造中で用いられるレイヤの数は、ロールの寸法およびポリマーレイヤの厚さによって制限されえる。ロールの半径が減ると、許容できるレイヤの数も典型的には減る。用いられるレイヤの数に関係なく、巻かれたトランスデューサは、与えられた極性の電極が反対の極性の電極に接触しないように構成される。ある実施形態において、多層レイヤは、それぞれ個別に電極が付けられ、1つおきのポリマーレイヤは巻かれる前に反対にされ、巻かれた後には互いに接触する電極が同じ電圧または極性になるようにされる。
多層ポリマー積層体はまた、1つより多いタイプのポリマーを備えうる。例えば、1つ以上の第2ポリマーが用いられて、巻かれた電気活性ポリマーレイヤの弾性または剛性を変更しえる。ポリマーは、駆動中に充電/放電するのにアクティブでもアクティブでなくてもよい。非アクティブポリマーレイヤが採用されるとき、ポリマーレイヤの数は奇数である。第2ポリマーはまた、巻かれた製品のパフォーマンスを変化させる他のタイプの電気活性ポリマーでありえる。
ある実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーの最外層は、その上に配置された電極を備えていない。これは機械的保護のレイヤを提供するため、または次に内側のレイヤ上の電極を電気的に絶縁するためになされえる。例えば、内側および外側レイヤおよび表面コーティングは、前述のように流体適合性を提供するように選択されえる。上述の多層レイヤ特性は、前述のEPAMダイアフラムのような巻かれていない電気活性ポリマーにも適用されえる。
デバイス20は、コンパクトな電気活性ポリマーデバイス構造を提供し、従来の電気活性ポリマーデバイスに対して全体的な電気活性ポリマーデバイスのパフォーマンスを改善する。例えばデバイス20の多層構造は、個々のポリマーレイヤのそれぞれに比較してデバイスの全体的なバネ定数を調整する。加えて、スプリング24を介して達成されたデバイスの増された剛性は、デバイス20の剛性を増し、望まれる場合には駆動においてより速い応答を可能にする。
特定の実施形態において、スプリング24は、カリフォルニア州、ロサンゼルスのCentury Springによって提供されるカタログ番号11422のような圧縮バネである。このスプリングは、0.91lb/インチのスプリング力、および4.38インチの自由長、1.17インチの密着高さ、0.360インチの外径、0.3インチの内径によって特徴付けられる。この場合、巻かれた電気活性ポリマーデバイス20は、約5から約7cmの高さ36、約0.8から約1.2cmの直径37、および約4から約5cmのエンドピース間のアクティブ領域を有する。このポリマーは、約300から約500パーセントの円周方向の予歪み、および約150から約250パーセントの軸方向の予歪み(スプリング24による力の寄与も含む)によって特徴付けられる。
デバイス20は、巻かれたポリマーの内部に配置された単一のスプリング24を持つように示されるが、ポリマーの外部にある他のスプリングのような追加の構造も歪みおよび予歪み力を提供するのに用いられえる。これらの外部構造は、エンドピース27および28を例えば用いてデバイス20に取り付けられえる。
図4Fは、本発明のある実施形態による構造変化に基づいて可変剛性を提供する曲げトランスデューサ150を示す。この場合、トランスデューサ150は、ある方向における剛性を他の方向ににおけるポリマー撓みを用いて変化させ制御する。ある実施形態において、このデバイスは、図2Kおよび2Lを参照して記載された流体フロー内のベーンを用いえる。トランスデューサ150は、一端において堅い支持体152によって固定されたポリマー151を含む。ポリマー151に取り付けられているのは、例えば接着レイヤを用いるポリイミドまたはマイラのような可撓性のある薄い材料153である。可撓性のある薄い材料153は、ポリマー151よりも大きい弾性率を有する。トランスデューサ150の上部および下部側156および157の弾性率の差は、駆動されるとトランスデューサを曲げる。電極154および155は、ポリマー151の反対側に取り付けられ、ポリマー151およびトランスデューサ150の撓みを制御するのに用いられる制御電子回路間の電気的通信を提供する。トランスデューサ150は、示されるように平面ではなく、むしろ軸160についてわずかに曲面をなす。方向160は、堅い支持物152からポリマー151を通って軸上に伸びる線についての回転または屈曲として定義される。この曲率は、矢印161によって示される方向の任意のものに沿って先端に与えられた力に応答して、トランスデューサ150を剛性あるものにする。力の代わりに、またはそれに加えて、トルクがトランスデューサに加えられてもよい。これらトルクは、方向161aおよび161bの矢印によって示される軸について与えられる。
図4Gは、電圧を電極154および155に印加することによって発生された、方向161bにおける撓みを持つトランスデューサ150を示す。この電圧は、曲げ力が非駆動状態の曲率によって示される抵抗を克服することを可能にするために印加される。実効的に、トランスデューサ152は、初期曲率によって生じたキンクを伴って曲がる。この状態において、方向161によって示される力またはトルクに応答した剛性はずっと少ない。
機械的インタフェースがトランスデューサ150の遠端部159に取り付けられえる。あるいは機械的取り付けは、機械的装置内にトランスデューサ150を実現できるようにするため可撓性の薄い材料153に対してなされえる。例えばトランスデューサ150は、格納されたり、展開されたりされえるように構造を折り畳むことが有用である、軽量の宇宙用構造体のような応用例において用いられるのに適する。この例では、個別トランスデューサ(構造中でリブを形成する)の剛性条件は、構造が展開されるときに起こる。格納を許すために、トランスデューサは駆動されリブは折り曲げされえる。他の応用例において、トランスデューサは空気入りタイヤの側壁内のリブを形成しえる。この応用例において、リブの剛性の変化は、タイヤの剛性に影響し、よってそのタイヤを使う車の結果として生じるハンドリングに影響しえる。同様にデバイスは、靴の中に実現されえ、リブの剛性の変化は、靴の剛性に影響しえる。
トランスデューサ150は、電気活性ポリマーの駆動が、デバイスの剛性に影響を与える構成または形状における低エネルギー変化を引き起こす一例を提供する。この技術を用いて、トランスデューサ150を用いて、直接的な機械的または電気的エネルギー制御よりも大きなレベルで剛性を変化させることが実際に可能である。他の実施形態において、電気活性ポリマートランスデューサの撓みは、トランスデューサがその中に組み込まれる装置の剛性を変化させることに直接に寄与する。
図4Hは、本発明の他の実施形態による、可変剛性を提供するボウデバイス(bow device)200を示す。ボウデバイス200は、ポリマー206に取り付けられた可撓性フレーム202を備える平面的機構である。フレーム202は、ジョイント205においてピボットで接続された6つの堅い部材204を含む。部材204およびジョイント205は、平面方向208におけるポリマーの撓みを、直角な平面方向210における機械出力に結合する。ボウデバイス200は、図4Hに示される休止位置にある。ポリマー206の反対(上部および底部)表面に取り付けられているのは、電極207(ポリマー206の底部側上の底部電極は不図示)であり、ポリマー206と電気的通信を提供する。図4Iは、駆動後のボウデバイス200を示す。
図4Hの休止位置において、堅い部材204は、その材料の剛性によって、方向208の力209に大きな剛性を与える。しかし図4Iに示されるボウデバイス200の位置については、方向208の剛性は、ポリマー202のコンプライアンスおよびジョイント205によって与えられる任意の回転弾性抵抗に基づく。よって電極207と電気的に通信する制御電子回路は、図4Hに示されるポリマー206の撓み、およびそれに対応する高い剛性を提供するような電気的状態、および図4Iに示されるポリマー206の撓み、およびそれに対応する低い剛性を提供するような電気的状態を与えるために用いられえる。これにおいて、デバイス200を用いて大きな剛性変化を与えるためには、単純なオン/オフ制御が用いられえる。
デバイス200中の堅い部材の構成を変えることによって達成される剛性変化に加えて、図4Iの位置についての剛性は、「Variable Stiffness Electroactive Polymers」と題されたKornbluhらによる2002年1月16日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/053,511号に詳細に記載されたオープンまたはクローズループ剛性技術のうちの1つを用いてさらに変化されえ、上記出願は、その全体が全ての目的のためにここで参照によって援用される。
3.2 複数のアクティブ領域
場合によっては、電極は、ポリマーの全領域ではなく、電気活性ポリマーの限定された部分をカバーする。これはポリマーのエッジ周辺の電気絶縁破壊を防ぐため、ポリマー部分が巻かれた構成(例えば外側ポリマーバリアレイヤ)を促進することを可能にするため、多機能性を提供するため、またはポリマーの1つ以上の部分についてカスタム化された撓みを達成するためになされえる。ここで使われる語として、アクティブ領域は、電気活性ポリマーの部分、およびその部分に、またはそこから電気的エネルギーを提供したり受け取ったりする1つ以上の電極を備えるトランスデューサの部分として定義される。アクティブ領域は、後述の機能の任意のものについて用いられえる。駆動のためには、アクティブ領域は、その部分の撓みを可能にする充分な静電力を有するポリマーの部分を含む。発電または検出のためには、アクティブ領域は、静電エネルギーの変化を可能にするために充分な撓みを有するポリマーの部分を含む。本発明のポリマーは複数のアクティブ領域を有しえる。
本発明によれば、「モノリシック」という語は、ここでは電気活性ポリマーおよび複数のアクティブ領域を単一のポリマー上に備えるトランスデューサを指すのに用いられる。図4Jは、本発明のある実施形態によって単一のポリマー151上に複数のアクティブ領域を備えるモノリシックトランスデューサ150を示す。モノリシックトランスデューサ150は、電気エネルギーおよび機械エネルギーの間で変換をする。モノリシックトランスデューサ150は、2つのアクティブ領域152aおよび152bを有する電気活性ポリマー151を備える。ポリマー151は、例えばポリマーのエッジに取り付けられた堅いフレーム(不図示)を用いて所定の場所に保持されえる。アクティブ領域152aおよび152bに結合されるのは、アクティブ領域152aおよび152b間の電気的通信を可能にし、通信電子回路155との電気的通信を可能にするワイヤ153である。
アクティブ領域152aは、その上部および下部表面151cおよび151d上でそれぞれポリマー151に取り付けられた上部および下部電極154aおよび154bを有する。電極154aおよび154bは、ポリマー151の部分151aにわたって電気エネルギーを与えたり、受け取ったりする。部分151aは、電極154aおよび154bによって与えられた電界の変化によって撓みえる。駆動については、部分151aは、電極154aおよび154bの間のポリマー151、および電極154aおよび154bを用いた電圧の印加による撓みを可能にするのに充分な静電力を有するポリマー151の任意の他の部分を備える。アクティブ領域152aが、電気エネルギーから機械エネルギーへ変換する発生器として用いられるとき、部分151aの撓みは、部分151a中の電界に変化を発生し、これは電極154aおよび154bによって電位差として受け取られる。
アクティブ領域152bは、その上部および下部表面151cおよび151d上でそれぞれポリマー151に取り付けられた上部および下部電極156aおよび156bを有する。電極156aおよび156bは、ポリマー151の部分151bにわたって電気エネルギーを与えたり、受け取ったりする。部分151bは、電極156aおよび156bによって与えられた電界の変化によって撓みえる。駆動については、部分151bは、電極156aおよび156bの間のポリマー151、および電極156aおよび156bを用いた電圧の印加による撓みを可能にするのに充分な静電力を有するポリマー151の任意の他の部分を備える。アクティブ領域152bが、電気エネルギーから機械エネルギーへ変換する発生器として用いられるとき、部分151bの撓みは、部分151b中の電界に変化を発生し、これは電極156aおよび156bによって電位差として受け取られる。
電気活性ポリマーのアクティブ領域は、従来の電気活性ポリマー電極製造技術を用いて容易にパターン付けされ、構成されえる。複数アクティブ領域ポリマーおよびトランスデューサは、09/779,203においてさらに記載され、これは全ての目的のためにここで参照によって援用される。複数のアクティブ領域をパターン付けし、独立に制御できる機能により、本発明の巻かれたトランスデューサは、既存の応用例において新しいやりかたで採用されるのと同時に、多くの新しい応用例において採用されえる。
図4Kは、本発明のある実施形態による、巻かれる前の、単一のポリマー172上に複数のアクティブ領域を備えるモノリシックトランスデューサ170を示す。本発明において、モノリシックトランスデューサ170は、巻かれたまたは巻かれない構成で利用されえる。トランスデューサ170は、対向するポリマーサイド177上に個別電極174を備える。ポリマー172の反対側(不図示)は、電極174の位置に対応する個別電極を含みえるか、または領域内にまたがり電極174の複数のもの、または全てに対して機能し、電気通信を簡略化する共通電極を含みえる。アクティブ領域176はそれから、アクティブ領域の動作モードによって決定される、それぞれの個別電極174、およびポリマー172の反対側の電極間のポリマー172の部分を備える。例えば駆動のときは、電極174aのアクティブ領域176aは、上述のようにその部分の撓みを可能にするのに充分な静電力を有するポリマー172の部分を含む。
トランスデューサ170上のアクティブ領域176は、1つ以上の機能のために構成されえる。ある実施形態において、全てのアクティブ領域176は、駆動のために構成される。ロボットの応用例に用いられるのに適する他の実施形態においては、1つ以上のアクティブ領域176は、アクティブ領域176が駆動のために構成されながらも、検出するよう構成される。このようにして、トランスデューサ170を用いた巻かれた電気活性ポリマーデバイスは、駆動および検出の両方が可能である。検出のために指定された任意のアクティブ領域は、後述の検出電子回路への専用の配線を含みえる。
示されるように、電極174a〜dは、それぞれ、専用の外部電気通信を行い、それぞれのアクティブ領域176a〜dのための個別制御を許す、それに取り付けられたワイヤ175a〜dを含む。電極174e〜iは、共通電極177およびアクティブ領域176e〜iと共通電気的通信を行うワイヤ179との全ての電気的通信である。共通電極177は、同様に動作するよう採用される巻かれた電気活性ポリマーの複数のアクティブ領域との電気的通信を簡略化する。ある実施形態において、共通電極177は、巻かれる前にポリマー172上に配置されたアルミニウム箔を備える。ある実施形態において、共通電極177は、例えばカーボングリースのような電極174a〜iのために用いられるのと同様の材料のパターン付き電極である。
例えば、アクティブ領域のセットは、駆動、発電、検出、剛性変化および/または制動、またはそれらの組み合わせの1つ以上のために採用されえる。適切な電気制御はまた、単一のアクティブ領域が1つ以上の機能のために用いられることを可能にする。例えば、アクティブ領域174aは、流体導管の駆動および可変剛性制御のために用いられえる。同じアクティブ領域はまた、流体導管の動きに基づいて電気エネルギーを作る発電のために用いられえる。これら機能のそれぞれのために適切な電子回路は、後でさらに詳細に記載される。アクティブ領域174bはまた、駆動、発電、検出、剛性変化、またはそれらの組み合わせのために柔軟に用いられえる。1つのアクティブ領域によって発生されたエネルギーは、応用例に望ましいなら、他のアクティブ領域に提供されえる。よって本発明の巻かれたポリマーおよびトランスデューサは、電気から機械エネルギーに変換するアクチュエータ、機械から電気エネルギーに変換する発電機、パラメータを検出するセンサ、または剛性および/または制動、またはそれらの組み合わせを制御するのに用いられる可変剛性および/または制動デバイスとして用いられるアクティブ領域を含みえる。
ある実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーデバイスからの力および/または撓み出力の段階的な電気制御を提供するために、駆動のために採用される複数のアクティブ領域はグループで配線される。例えば、巻かれた電気活性ポリマートランスデューサは、50のアクティブ領域を持ちえ、ここで20のアクティブ領域は1つの共通電極に結合され、10のアクティブ領域は第2共通電極に結合され、さらに10のアクティブ領域は第3共通電極に結合され、5つのアクティブ領域は第4共通電極に結合され、残りの5つは個別に配線されえる。それぞれの共通電極についての適切なコンピュータ管理およびオン・オフ制御がそれから、バイナリのオン・オフスイッチングを用いて巻かれたトランスデューサのための段階的な力および撓み制御を可能にする。このシステムの生物学的な類似は、多くの哺乳類の筋肉制御システムに見られる運動単位である。明らかに、適切な機械的出力または段階的制御システムを提供するためにアクティブ領域および共通電極の任意の個数がこのようにして実現されえる。
3.3 複数自由度デバイス
他の実施形態において、電気活性ポリマー上に複数のアクティブ領域が配置され、そのようなアクティブ領域のサブセットは巻かれた後、半径方向にアラインする。例えば、複数のアクティブ領域は、巻かれた後に、ロール中で90度毎に配置される。これらの半径方向にアラインされた電極は、それから、巻かれた電気活性ポリマーデバイスのための運動の複数の自由度を許すために統一して駆動されえる。同様に運動の複数の自由度は、図4Fおよび4Gについて記載されたもののような、巻かれていない電気活性ポリマーデバイスについても獲得されえる。よって巻かれたポリマーデバイスは、本発明のトランスデューサ構成で獲得されえる複数自由度の一実施形態である。
図4Lは、本発明のある実施形態による2次元出力の可能な巻かれたトランスデューサ180を示す。トランスデューサ180は、巻かれて10レイヤを提供する電気活性ポリマー182を備える。それぞれのレイヤは、4つの半径方向にアラインされたアクティブ領域を備える。それぞれのアクティブ領域の中心は、その隣接するものに対して90度ずつの増分で配置される。図4Lは、ポリマー182の最外層、および半径方向にアラインされたアクティブ領域184、186、および188を示し、これらは互いに対してそれらの中心が90度の増分を示すように配置される。ポリマー182の裏側上の4つ目の半径方向にアラインされたアクティブ領域(不図示)は、半径方向にアラインされたアクティブ領域186からほぼ180度離れて位置する中心を有する。
半径方向にアラインされたアクティブ領域184は、同じ半径方向アライメントを有する内側ポリマーレイヤ上のアクティブ領域と共通する電気的な通信を含みえる。同様に、他の3つの半径方向にアラインされた外側アクティブ領域182、186、および図示されない背面のアクティブ領域も、それらの対応する内側レイヤと共通の電気的通信を含みえる。ある実施形態において、トランスデューサ180は、4つの半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットのうちのそれぞれのための共通駆動を提供する4つのリード線を備える。
図4Mは、駆動された、半径方向にアラインされたアクティブ領域188、およびその対応する半径方向にアラインされた内側レイヤアクティブ領域を持つトランスデューサ180を示す。アクティブ領域188、および対応する内側レイヤアクティブ領域の駆動は、ポリマー182の反対側のトランスデューサ188の軸方向の伸長を引き起こす。結果は、アクティブ領域188の中心点からほぼ180度の、トランスデューサ180の水平屈曲になる。この効果は、トランスデューサ180の上部189の撓みによって計測されえ、これは図4Lに示される休止位置から図4Mに示されるその位置までの半径方向の円弧を描く。アクティブ領域188、および対応する内側レイヤアクティブ領域に与えられる電気エネルギーの量を可変することは、この円弧に沿った上部189の撓みを制御する。よってトランスデューサ180の上部189は、図4Lに示される撓み、またはそれより大きい撓み、あるいは図4Lに示される位置から最小限に離れた撓みを持ちえる。同様に他の方向に曲がることは、他の半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットのうちの1つを駆動することによって達成されえる。
半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットの駆動を組み合わせることは、上部189の撓みについての2次元空間を作る。例えば半径方向にアラインされたアクティブ領域のセット186および184は、図4Lに示される座標系に対応する45度の角度で上部が撓みを作るために同時に駆動されえる。半径方向にアラインされたアクティブ領域のセット186に与えられる電気エネルギーの量を減らし、半径方向にアラインされたアクティブ領域のセット184に与えられる電気エネルギーの量を増すことは、上部189をゼロ度のマークにより近く移動させる。適切な電気制御はそれから、上部189が0から360度の任意の角度のパスを描くこと、またはこの2次元空間内の可変パスを追随することを可能にする。
トランスデューサ180はまた、3次元撓みも可能である。トランスデューサ180の4つの側面上のアクティブ領域の同時駆動は、上部189を上方に向かって移動させる。言い換えれば、トランスデューサ180はまた、トランスデューサ180の全ての側面上のアクティブ領域の同時駆動に基づいて軸方向の撓みも可能なリニアアクチュエータである。この直線駆動を、半径方向にアラインされたアクティブ領域の差動駆動およびすぐ前で述べたそれらの結果として生じる2次元撓みと組み合わせることは、トランスデューサ180の上部の3次元撓み空間を生む。よって適切な電気制御は、上部189が、この直線軸に沿った2次元パスを描くのと共に、上下の両方に移動することを可能にする。
トランスデューサ180は、簡単のために90度の増分で配置された4つの半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットとしてしか示されないが、2次元および3次元運動が可能な本発明のトランスデューサは、より複雑な代替設計を備えうることが理解されよう。例えば、45度の増分で配置された8つの半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットである。あるいは120度の増分で配置された3つの半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットは2Dおよび3D運動に適切でありえる。
加えて、トランスデューサ180は、軸方向アクティブ領域の1つのセットしか示されないが、図4Lの構造はモジュラーである。言い換えれば、90度の増分で配置された4つの半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットは、軸方向において複数回現れてもよい。例えば、2次元および3次元運動を可能にする半径方向にアラインされたアクティブ領域のセットは、流体フローに加えられえる波形パターンを与えるために、10回繰り返されえる。
4.検出
本発明の電気活性ポリマーは、センサとしても構成されえる。一般に本発明の電気活性ポリマーセンサは、「パラメータ」および/またはパラメータの変化を検出しえる。このパラメータは、温度、密度、歪み、変形、速度、位置、接触、加速度、振動、体積、圧力、質量、不透明度、濃度、化学状態、伝導度、磁化、誘電率、大きさなど、大きくは物体の物理的特性である。場合によっては、検出されるパラメータは物理的「イベント」に関連付けられる。検出される物理的イベントは、物理または化学特性の特定の値または状態の達成でありえる。
電気活性ポリマーセンサは、検出されるパラメータの変化に応答して電気活性ポリマーの一部が撓むよう構成される。ポリマーの電気エネルギー状態および撓み状態は関連する。電気エネルギーの変化、または撓みから生じるアクティブ領域の電気インピーダンスの変化は、それから、アクティブ領域電極と電気的に通信する検出電子回路によって検出されえる。この変化は、ポリマーのキャパシタンス変化、ポリマーの抵抗変化、および/または電極の抵抗変化、またはこれらの組み合わせを構成しえる。電極と電気的に通信する電子回路は、電気的特性の変化を検出する。もし例えばトランスデューサのキャパシタンスまたは抵抗の変化が計測されるなら、電気エネルギーをトランスデューサに含まれる電極に印加し、電気的パラメータの変化を観測することになる。
ある実施形態において、なんらかの方法で1つ以上の結合メカニズムを介して撓みがアクティブ領域センサに入力される。ある実施形態と、センサによって計測される変化する特性またはパラメータは、電気活性ポリマーの変化する特性、例えばポリマー中の変位またはサイズ変化に対応し、結合メカニズムが用いられない。電極と電気的通信をする検出電子回路は、アクティブ領域によって出力される変化を検出する。場合によっては、センサの検出電子回路と電気通信する論理デバイスが、その電気的変化を定量化することによって、検出される変化するパラメータのディジタルまたは他の計測値を与える。例えば、論理デバイスは、検出電子回路によって作られた情報を処理するシングルチップコンピュータまたはマイクロプロセッサでありえる。電気活性ポリマーセンサは10/007,705にさらに記載され、これは全ての目的のためにここで参照によって援用される。
アクティブ領域は、そのアクティブ領域の駆動と同時に検出が実行されるように構成されえる。モノリシックトランスデューサについて、1つのアクティブ領域は駆動を担当し、他の領域は検出を担当しえる。あるいは、ポリマーの同じアクティブ領域は、駆動および検出を担当する。この場合、低い振幅の高い周波数のAC(検出)信号が、駆動(アクチュエーション)信号に重畳されえる。例えば、1000Hzの検出信号は、10Hzの駆動信号に重畳されえる。駆動信号は、応用例、またはどのくらい速くアクチュエータが動くかに依存するが、0.1Hz未満から約1メガHzまでの範囲の駆動信号が多くの応用例に適する。ある実施形態において、検出信号は、検出される動きより少なくとも約10倍速い。検出電子回路はそれから、ポリマーの高周波応答を検出および計測することによって、ポリマー駆動に影響を与えないセンサパフォーマンスを可能にする。同様に、もし電気活性ポリマートランスデューサが発電機としても用いられていながらも、インピーダンス変化が検出および計測されるなら、小さい高周波AC信号が、低周波発電電圧信号上に重畳されえる。それからフィルタリング技術が計測値およびパワー信号を分離しえる。
本発明のアクティブ領域はまた、可変剛性および制動機能を提供するために構成されえる。ある実施形態において、開ループ技術が用いられて、電気活性ポリマートランスデューサを採用するデバイスの剛性および/または制動を制御し、それによってセンサフィードバックなしで所望の剛性および/または制動パフォーマンスを達成する簡単な設計が提供できる。例えば、トランスデューサの電極と電気的に通信する制御回路は、実質的に一定の電荷を電極に供給しえる。あるいは、制御回路は、実質的に一定の電圧を電極に供給しえる。電気活性ポリマートランスデューサを採用するシステムは、剛性および/または制動制御を提供するいくつかの技術を提供する。剛性/制動制御を提供する例示的回路は、以下に示される。
詳細は記載されないが、本発明の全ての図面および説明中のアクティブ領域およびトランスデューサは、電気エネルギーおよび機械エネルギーの間で双方向に変換しえる(適切な電子回路と共に)ことに注意することが重要である。よって巻かれたポリマー、アクティブ領域、ポリマー構成、トランスデューサ、およびここで記載されたデバイスの任意のものは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換(発電、可変剛性または制動、または検出)する、または電気エネルギーを機械エネルギーに変換(駆動、可変剛性または制動、または検出)するトランスデューサでありえる。典型的には、本発明の発電機またはセンサアクティブ領域は、ポリマーの一部の撓みに応答する電界の変化を生じるようなやりかたで構成されたポリマーを備える。電界の変化は、電界の方向におけるポリマー寸法の変化と共に、電圧の変化を作り、よって電気エネルギーの変化を生む。
しばしばトランスデューサは、他の構造および/または機能要素を備えるデバイス内で採用される。例えば、外部機械エネルギーがなんらかの方法で1つ以上の機械的伝達結合メカニズムを介してトランスデューサに入力されえる。例えば、伝達メカニズムは、フローによって発生された機械的エネルギーを受け取り、そのフローによって発生された機械的エネルギーの一部をポリマーの一部に伝達し、そこでフローによって発生された機械的エネルギーはトランスデューサの撓みを生じるように設計または構成されえる。フローによって発生された機械的エネルギーは、慣性力または直接的力を作りえ、そこでは慣性力の一部または直接的力の一部は伝達メカニズムによって受け取られる。
5.調整電子回路
本発明のデバイスはまた、上述の電気活性ポリマー機能のうちの1つについてのアクティブ領域の電極から電気エネルギーを供給または受け取りを行う調整電子回路に頼りえる。1つ以上のアクティブ領域と電気的通信をする調整電子回路は、剛性制御、エネルギー消費、電気エネルギー発生、ポリマー駆動、ポリマー撓み検出、制御論理などのような機能を含みえる。
駆動について、電子ドライバは、電極に接続されえる。アクティブ領域の電極に供給される電圧は、応用例の明細に依存する。ある実施形態において、本発明のアクティブ領域は、印加される電圧をDCバイアス電圧の周辺で変調することによって電気的に駆動される。DCバイアス電圧の周辺での変調は、印加された電圧に対するトランスデューサの改善された感度および直線性を可能にする。例えば、オーディオの応用例において用いられるトランスデューサは、約750から2000ボルトDCに範囲するバイアス電圧の上に乗った200から100ボルトピーク・ツー・ピークの信号によって駆動されえる。
電気活性ポリマー、またはその一部のための適切な駆動電圧は、ポリマーフィルムの厚さのようなポリマーの寸法と共に、誘電率のような電気活性ポリマーの材料的特性に基づいて変わりえる。例えば、図2Aにおけるポリマー12を駆動するのに用いられる駆動電界は、約0V/mから約440MV/mの大きさに範囲する。このレンジの駆動電界は、約0Paから約10MPaの範囲の圧力を作りえる。トランスデューサがより大きな力を作るためには、ポリマーレイヤの厚さが増されなければならない。特定のポリマーについての駆動電圧は、誘電率を増し、ポリマー厚さを減らし、かつ弾性率を減らすことによって例えば低減されえる。
図4Nは、本発明のある実施形態による開ループ可変剛性/制動システムの電気ブロック図を示す。システム130は、電気活性ポリマートランスデューサ132、電圧源134、可変剛性/制動回路136および開ループ制御138を備える制御電子回路、およびバッファキャパシタ140を備える。
電圧源134は、システム130内で用いられる電圧を供給する。この場合、電圧源134は、トランスデューサ132のための最小電圧を設定する。開ループ制御138と共にこの最小電圧を調整することは、トランスデューサ132によって提供される剛性を調整する。電圧源134はまたシステム130に電荷を供給する。電圧源134は、約1〜15ボルトの範囲の電圧を供給する低電圧バッテリ、およびバッテリの電圧を昇圧するステップアップ回路のような商業的に入手可能な電圧源を含みえる。この場合、トランスデューサ132の電極と電気的に通信するステップダウン回路によって実行される電圧ステップダウンは、トランスデューサ132からの電気出力電圧を調整するのに用いられえる。あるいは電圧源134は、バッテリから可変高電圧出力を作りえる可変ステップアップ回路を含みえる。以下にさらに詳細に記載されるように、電圧源134は、特定の剛性領域でポリマーを動作させるために、後述のスレッショルド電界を印加するのに用いられえる。
システム130の所望の剛性または制動は、可変剛性/制動回路136によって制御され、これはシステム130内の制御電子回路によって提供される電気的状態を設定および変化させることによって、トランスデューサ132によって与えられる所望の剛性/制動を提供する。この場合、剛性/制動回路36は、所望の電圧を電圧源134に入力し、および/またはパラメータを開ループ制御138に入力する。あるいはもし電圧源134を昇圧するためにステップアップ回路が用いられるなら、回路136は電圧制御を可能にするための信号をステップアップ回路に入力しえる。
トランスデューサ132が撓むとき、その変化する電圧は、電荷がトランスデューサ132およびバッファキャパシタ140間で移動するようにさせる。よって例えば振動する機械的インタフェースからの、外部から誘起されたトランスデューサ132の膨張および収縮は、電荷が開ループ制御138を通してトランスデューサ132およびバッファキャパシタ140の間で行ったり来たりするようにさせる。トランスデューサ132へ、またはそれから動かされる電荷のレートおよび量は、バッファキャパシタ140の特性、トランスデューサ132に印加される電圧、電気回路中の任意の他の電気的要素(電流がその中を通るときに制動機能を与える開ループ制御138として用いられる抵抗のような)、トランスデューサ132の機械的構成、およびトランスデューサ132に、またはそれによって与えられる力に依存する。ある実施形態においてバッファキャパシタ140は、トランスデューサ132のそれと実質的に等しい電圧を有し、システム130の電圧は電圧源134によって設定され、開ループ制御138はワイヤであり、このとき、トランスデューサ132の撓みについて実質的に自由な電荷の流れがトランスデューサ132およびバッファキャパシタ140の間で起こる。
開ループ制御138は、トランスデューサ132によって与えられる剛性のための受動(供給される外部エネルギーなしで)動的応答を提供する。すなわち、トランスデューサ132によって提供される剛性は、制御電子回路および電圧源134のようなシステム130内に含まれる電気要素によって、または電気要素のうちの1つに働く制御回路136からの信号によって設定されえる。いずれの場合も、トランスデューサ132の応答は、それに与えられる外部の機械的撓みに対して受動的である。ある実施形態において、開ループ制御138は抵抗である。抵抗の抵抗値は、例えばトランスデューサが実現される機械的システム中の振動の周期のような関心のある時間に対してRC時定数を提供するために設定しえる。ある実施形態において抵抗は、直列に接続された開ループ制御138およびトランスデューサ132のRC時定数が、関心のある周波数に比較して長いように、高抵抗を有する。この場合、トランスデューサ132は、関心のある時間のあいだ、実質的に一定の電荷を有する。ある応用例については、関心のある周波数の周期の約5から約30倍の範囲の抵抗およびトランスデューサのRC時定数を作る抵抗が適切でありえる。巡回的運動を含む応用例については、関心のある機械的周期よりもはるかに大きくRC時定数を増すことは、1サイクルのあいだのトランスデューサ132の電極上の電荷の量が実質的に一定に留まることを可能にする。トランスデューサが制動のために用いられる場合においては、関心のある周波数の周期の約0.1から約4倍の範囲の抵抗およびトランスデューサのRC時定数を作る抵抗が適切でありえる。当業者なら抵抗に用いられる抵抗値が応用例に基づいて、特に関心のある周波数およびトランスデューサ132のサイズ(および、よってキャパシタンスC)について変わりえることが理解されよう。
開ループ技術を用いて剛性および/または制動を制御するのに用いられる適切な電気状態のある実施形態においては、制御電子回路は、電流に最小限の影響を与える電気的不正確さまたは回路の詳細から来るものを除いて、実質的に一定の電荷をトランスデューサ132の電極に与える。実質的に一定の電荷は、トランスデューサ132の撓みに抵抗するポリマーの増加された剛性につながる。実質的に一定の電荷を達成するある電気的構成は、上述のように高いRC時定数を有するものである。開ループ制御138およびトランスデューサ132のRC時定数の値が関心のある周波数に比較して長いとき、トランスデューサ132の電極上の電荷は実質的に一定である。剛性および/または制動制御のさらなる記載は、共通して所有された特許出願第10/053,511号にさらに記載され、これは全ての目的のためにここで参照によって援用される。
発電について、機械エネルギーは、電気エネルギーの変化がポリマーと接触する電極から取り除かれることを可能にするようなやりかたで、ポリマーまたはアクティブ領域に印加されえる。機械エネルギーを印加し、電気エネルギー変化をアクティブ領域から取り除く多くの方法が可能である。巻かれたデバイスは、電気エネルギー変化を受け取るためにこれらの方法の1つ以上を利用するよう設計されえる。発電および検出について、電気エネルギーの発電および利用は、ある種の調整電子回路を必要とする。例えば少なくとも、電気エネルギーをアクティブ領域から取り除くために最小限の量の回路が必要とされる。さらに他の例として、特定のアクティブ領域における電気発生の効率または量を増すために、または出力電圧をより有用な値に変換するために、複雑さの度合いがさまざまである回路が用いられえる。
図5Aは、パワー調整電子回路610に接続されるトランスデューサ上の1つ以上のアクティブ領域600のブロック図である。パワー調整電子回路610によって実行されえる本質的な機能は、以下に限定されないが、1)電圧をアクティブ領域600に印加するときに用いられえるステップアップ回路602によって実行される電圧ステップアップ、2)特定の時にアクティブ領域600から電荷を追加または除去するために用いられえる電荷制御回路604によって実行される電荷制御、3)トランスデューサへの電気出力電圧を調整するのに用いられえるステップダウン回路608によって実行される実行される電圧ステップダウンを含みえる。これら機能の全ては、調整電子回路610内には必要とされないかもしれない。例えばいくつかのトランスデューサデバイスは、ステップアップ回路602を使用しないかもしれないし、他のトランスデューサデバイスはステップダウン回路608を使用しないかもしれないし、またはいくつかのトランスデューサデバイスはステップアップ回路およびステップダウン回路を使用しないかもしれない。またいくつかの回路機能は集積されえる。例えば1つの集積回路が、ステップアップ回路602および電荷制御回路608の両方の機能を実行しえる。
図5Bは、本発明のある実施形態によるトランスデューサ600を採用する巻かれたデバイス603の回路ブロック図である。上述のように本発明のトランスデューサは、可変キャパシタとして電気的には振る舞いえる。トランスデューサ603の動作を理解するために、2つの時刻t1およびt2における巻かれたトランスデューサ603の動作パラメータが比較されえる。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、発電機603の電気的パフォーマンスに関する多くの理論的関係が展開される。これらの関係は、記載されるデバイスが動作されるやりかたを制限するように意図されたものではなく、例示的目的のみで提供される。
第1時刻t1において、巻かれたトランスデューサ600はキャパシタンスC1を持ち、トランスデューサ600間の電圧は、電圧601、VBでありえる。電圧601、VBは、ステップアップ回路602によって提供されえる。時刻t1より後の第2時刻t2において、トランスデューサ600は、キャパシタンスC1より低いキャパシタンスC2を持ちえる。一般に言って、より高いキャパシタンスC1は、ポリマートランスデューサ600が面積において伸長されるときに起こり、より低いキャパシタンスC2は、ポリマートランスデューサ600が面積において収縮または緩和されるときに起こる。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、電極付きのポリマーフィルムのキャパシタンスの変化は、キャパシタンスをフィルムの面積、厚さ、および誘電率に関連付けるよく知られた公式によって推定されえる。
t1およびt2間のトランスデューサ600のキャパシタンスの減少は、トランスデューサ600間の電圧を増す。増加された電圧は、ダイオード616を通る電流を駆動するのに用いられえる。ダイオード615は、そのような時に電荷がステップアップ回路に逆流するのを阻止するのに用いられえる。2つのダイオード615および616は、トランスデューサ600のための電荷制御回路604として機能し、これはパワー調整電子回路610(図5A参照)の一部である。発電機603および1つ以上のトランスデューサ600の構成に依存して、より複雑な電荷制御回路が開発されえ、これらは図5Bの設計に限定されない。
トランスデューサはまた、検出される対象のパラメータの変化を計測するための電気活性ポリマーセンサとしても用いられえる。典型的にはパラメータ変化は、トランスデューサ内の撓みを誘起し、これはトランスデューサに取り付けられた電極によって出力される電気的変化に変換される。ポリマーを撓ませるために機械的または電気的エネルギーを与える多くの方法が可能である。典型的にはトランスデューサからの電気エネルギーの検出は、ある種の電子回路を用いる。例えば、電極間の電気的状態の変化を検出するために最小限の量の回路は必要とされる。
図6は、本発明のある実施形態によるトランスデューサ451を採用するセンサ450のブロック図である。図7に示されるように、センサ450は、トランスデューサ451およびトランスデューサ451に含まれる電極に電気的に通信するさまざまな電子回路455を備える。電子回路455は、トランスデューサ451から電気的エネルギーを追加、除去、および/または検出するよう設計または構成される。電子回路455の要素の多くは個別ユニットとして記載されるが、いくつかの回路機能は集積されえることが理解されよう。例えば、1つの集積回路が論理デバイス465および電荷制御回路457の両方の機能を実行しえる。
ある実施形態においては、トランスデューサ451は、最初はその電極間に電圧を印加することによって検出の準備をする。この場合、電圧VIが電圧452によって提供される。一般に電圧VIは、トランスデューサ451を駆動するのに必要とされる電圧より低い。ある実施形態において、低電圧バッテリは、約1〜15ボルトの範囲にある電圧VIを供給しえる。特定の実施形態においては、電圧VIの選択は、ポリマー誘電率、ポリマーのサイズ、ポリマーの厚さ、環境ノイズ、および電磁的干渉、センサ情報を使用または処理しえる電子回路との適合性など多くのファクタに依存する。初期電荷が電子制御サブ回路457を用いてトランスデューサ451上に与えられる。電子制御サブ回路457は、典型的には、シングルチップコンピュータまたはマイクロプロセッサのような電圧および/または電荷制御機能をトランスデューサ451に対して実行するための論理デバイスを含みえる。電子制御サブ回路457はそれから、初期的に比較的低い電圧をトランスデューサ451に印加するために、電圧452によって提供される電圧を変化する働きを担う。
検出電子回路460は、トランスデューサ451の電極と電気的通信をし、トランスデューサ451の電気エネルギーまたは特性の変化を検出する。検出に加えて、検出電子回路460は、トランスデューサ451の電気エネルギーまたは特性の変化を検出、計測、処理、伝達、および/または記録するよう構成された回路を含みえる。本発明の電気活性ポリマートランスデューサは、なんらかの方法で電気活性ポリマートランスデューサの撓みに応答するよう電気的に振る舞いえる。したがって、トランスデューサ451の電気的エネルギーの変化を検出するために、多くの単純な電気的計測回路およびシステムが計測電子回路460内で実現されえる。例えばもしトランスデューサ451がキャパシタンスモードで動作するなら、トランスデューサ451のキャパシタンスの変化を検出するためには単純なキャパシタンスブリッジが用いられえる。他の実施形態において、高抵抗の抵抗器がトランスデューサ451と直列に配置され、高抵抗抵抗器の両端の電圧降下がトランスデューサ451が撓むときに計測される。より具体的には、電気活性ポリマーの撓みによって誘起されたトランスデューサ451の電圧の変化は、高抵抗抵抗器を通る電流を駆動するのに用いられる。抵抗器にわたる電圧変化の極性がそれから電流の方向、およびポリマーが伸長または収縮しているかを決定する。抵抗検出技術も、ポリマーに含まれた抵抗の変化、または電極の抵抗の変化を計測するのに用いられえる。これら技術のある例は、共通して所有された特許出願第10/007,705号に記載され、これは先に参照によって援用された。
6.結論
本発明はいくつかの好ましい実施形態について記載されてきたが、簡潔さのために省略された、本発明の範囲に入る代替物、組み合わせ、および等価物が存在する。例えば、本発明はいくつかの具体的な電極材料について記載されてきたが、本発明はこれらの材料に限定されず、場合によっては空気を電極として含みえる。加えて、本発明は円形に巻かれた幾何学的形状について記載されてきたが、本発明はこれら形状には限定されず、正方形、長方形、または楕円の断面およびプロファイルを持つ巻かれたデバイスを含みえる。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであることが意図される。