JP2010003618A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】数少ない材料を用いて、大掛かりな装置や素子に悪影響を与える高温での熱処理を必要としない簡便な方法で、低電圧駆動が可能な有機EL素子を製造し得る方法を提供することを課題とする。
【解決手段】陽極上に少なくとも発光層、電子注入層および陰極がこの順で積層された有機EL素子の製造方法であって、前記方法が、電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で前記電子注入層を形成する工程を含み、前記塗液が、該塗液中でアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを放出し得る金属化合物と、前記金属化合物を常温で溶解し得る有機溶剤とを含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子およびその製造方法に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持する陰極と陽極との間に電圧を印加することにより、両極から注入される電子と正孔(ホール)が有機発光層で再結合し、そのエネルギーが発光中心を励起することにより発光する。
有機化合物を発光材料とする有機EL素子は、無機化合物を発光材料とする無機EL素子に比べて、発光効率に劣るものの、低電圧駆動が可能であること、多彩な発光色が得られること、薄型に加工できることなどの利点を有し、近年活発な研究が行なわれている。
例えば、より高性能な有機EL素子を得るために、陰極と発光層との間や、陽極と発光層との間に、電子や正孔の輸送や注入を促進する種々の層を設けるデバイス構造が提案されている。
また、これらの層の性能は、デバイス特性を大きく左右するため、その改良が急がれている。
特開平11-162646号公報(特許文献1)には、正孔注入電極(陽極)と有機層との間および電子注入電極(陰極)と有機層の間に、それぞれハロゲン化アルカリ金属やハロゲン化アルカリ土類金属からなる誘電体薄膜層を設けた有機EL素子が開示されている。しかしながら、その誘電体薄膜層の形成方法は、抵抗加熱蒸着法、エレクトロンビーム蒸着法、スパッタ法などの乾式法であり、簡便に層形成が可能な印刷などの湿式法での作製ができず、製造上のメリットが小さい。
特開2007-141917号公報(特許文献2)には、陰極と有機層との間に炭酸セシウムの分解物を含む有機化合物層を設けた有機EL素子が開示されている。しかしながら、その有機化合物層は抵抗加熱法で形成され、蒸着時に700℃以上の高温に曝されることから、下地となる有機層が熱により破壊する可能性があり、有機EL素子の製造プロセスとして好ましくない。
特開2006-190995号公報(特許文献3)には、陰極の直下の有機層に電子供与性の金属化合物を含有させた有機EL素子が開示されている。しかしながら、その製造工程において、電子供与性の金属化合物を水蒸気処理や加水分解などにより電子輸送性を高めているため、有機層への水分の残存による有機EL素子の劣化が促進されるという問題がある。
特開2007−281039号公報(特許文献4)には、陽極、正孔注入層、有機発光層、電子輸送層および陰極の順に積層され、電子輸送層が特定のリン化合物と、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンのうちの少なくとも1種の金属イオンとを含む材料を主材料として構成された有機EL素子が開示されている。この有機EL素子では、特定のリン化合物のリン酸基と金属イオンとの相互作用により、有機EL素子の低電圧駆動を意図している。
特開平11−162646号公報 特開2007−141917号公報 特開2006−190995号公報 特開2007−281039号公報
本発明は、数少ない材料を用いて、大掛かりな装置や素子に悪影響を与える高温での熱処理を必要としない簡便な方法で、低電圧駆動が可能な有機EL素子を製造し得る方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の金属化合物と有機溶剤からなる塗液を用いた湿式法で電子注入層(バッファー層)を形成することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、陽極上に少なくとも発光層、電子注入層および陰極がこの順で積層された有機EL素子の製造方法であって、前記方法が、電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で前記電子注入層を形成する工程を含み、前記塗液が、該塗液中でアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを放出し得る金属化合物と、前記金属化合物を常温で溶解し得る有機溶剤とを含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記の有機EL素子の製造方法により得られてなることを特徴とする有機EL素子が提供される。
本発明によれば、数少ない材料を用いて、大掛かりな装置や素子に悪影響を与える高温での熱処理を必要としない簡便な方法で、低電圧駆動が可能な有機EL素子を製造し得る方法を提供することができる。
また、本発明の有機EL素子は、電子注入層の効率が高く、安定なアルミニウムなどの仕事関数の高い金属を陰極材料として用いることができる。
本発明の有機EL素子の製造方法は、陽極上に少なくとも発光層、電子注入層および陰極がこの順で積層された有機EL素子の製造方法であって、前記方法が、電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で前記電子注入層を形成する工程を含み、前記塗液が、該塗液中でアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを放出し得る金属化合物と、前記金属化合物を常温で溶解し得る有機溶剤とを含むことを特徴とする。
本発明において用いられる電子注入層形成用塗液に含まれる金属化合物は、該塗液中でアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを放出し得る金属化合物である。
アルカリ金属イオンとしては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)などのイオンが挙げられる。
アルカリ土類金属イオンとしては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)などのイオンが挙げられる。
希土類金属イオンとしては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)などのイオンが挙げられる。
このような金属化合物としては、例えば、上記の金属の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;酢酸塩、アセチル酢酸塩などの有機酸塩および塩化物、臭化物、ヨウ化物のようなハロゲン化物などの金属塩;メトキシド、エトキシドのようなアルコキシド;アセチルアセトネートのような脱離し易い配位子を有する錯体などが挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、炭酸塩、ハロゲン化物またはアルコキシドが好ましい。
具体的には、炭酸セシウム、酢酸セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、セシウムアセチルアセトネート;炭酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、リチウムアセチルアセトネート、メトキシリチウム、tert-ブトキシリチウム、ジエトキシバリウム;炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、カルシウムアセチルアセトネート;炭酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、バリウムアセチルアセトネート;炭酸イッテルビウム、酢酸イッテルビウム、塩化イッテルビウム、イッテルビウムアセチルアセトネートなどが挙げられる。
これらの中でも、大気中において比較的安定であり、かつ取り扱いが容易である、炭酸セシウム;塩化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化セシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム;メトキシリチウム、tert-ブトキシリチウムまたはジエトキシバリウムが特に好ましい。
金属化合物を常温で溶解し得る有機溶剤は、有機EL素子の発光層を膨潤または溶解し難く、実質的に水を含有しないものが好ましい。これにより、発光層に含まれる発光材料の変質、劣化や溶解による減少を防止し、有機EL素子の発光効率の低下を防止することができる。
上記の点を考慮した場合、溶剤としては、プロトン性極性溶剤が特に好ましい。
プロトン性極性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの一価アルコールおよびエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールのようなアルコール類;酢酸、ギ酸、(メタ)アクリル酸のようなカルボン酸類;エチレンジアミン、ジエチルアミンのようなアミン類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類;フェノール、p−ブチルフェノールのようなフェノール類;アセチルアセトン、マロン酸ジエチルのような活性メチレン化合物などが挙げられる。本発明においては、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、金属化合物の溶解性が高く、塗液の調製が容易であることから、アルコール類が好ましく、炭素数1〜7の一価アルコールが特に好ましい。
炭素数1〜7の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなどが挙げられる。
これらの中でも、メタノール、メタノールと2-プロパノールとの混合溶剤(例えば、容量比1:9)が特に好ましい。
電子注入層形成用塗液は、有機溶剤に金属化合物を加え、溶解させることにより調製することができる。
混合溶剤を用いる場合には、用いる有機溶剤のうちで金属化合物をより溶解し易い有機溶剤に金属化合物を溶解した後に、他の有機溶剤を加えて、電子注入層形成用塗液を調製するのが好ましい。
電子注入層形成用塗液中の金属化合物の濃度は、塗膜や塗布工程に悪影響を与えない限り特に限定されないが、0.01〜10g/Lであるのが好ましく、0.1〜5g/Lであるのが特に好ましい。
本発明の電子注入層形成用塗液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の添加剤を含んでいてもよい。
電子注入層は、公知の塗布法により有機EL素子の発光層上に本発明の電子注入層形成用塗液を塗布し、その溶剤を乾燥する湿式法により形成することができる。
公知の塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などが挙げられる。
塗布条件は、金属化合物や溶剤の種類、金属化合物の濃度などにより適宜設定すればよく、例えば、スピンコート法の場合、回転数は100〜5000回転/分程度、時間は10〜300秒程度である。
乾燥(脱溶剤)は、真空定温乾燥機などの公知の装置を用いて行うことができる。乾燥条件は、成膜した層が変化しない程度であればよく、例えば、温度は室温〜200℃程度、時間は0.1〜2時間程度である。
本発明の有機EL素子は、陽極上に少なくとも発光層、電子注入層および陰極がこの順で積層され、上記の製造方法により得られてなることを特徴とする。
図1を用いて、本発明の有機EL素子について説明するが、この説明は例示であって、これにより本発明は限定されない。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す模式断面図である。
この有機EL素子1は、基板(ガラス基板)2上に、透明電極(陽極)3、正孔注入層4、発光層5、電子注入層6、陰極7がこの順で積層されてなる。図番8は駆動用の電源であり、透明電極(陽極)3と陰極7とが接続されている。
本発明において用いられる基板2は、透明電極、陰極および各層の支持体となり、それらを形成する際に変化しないものであれば特に限定されず、そのような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料;石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料;およびこれらの複合材料が挙げられる。
図1の有機EL素子では、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2は実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)である。
一方、基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合には、基板2は透明基板および不透明基板のいずれであってもよい。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板などが挙げられる。
基板の厚さは、例えば0.1〜30mm程度、好ましくは0.1〜10mm程度である。
透明電極(陽極)3は、後述する正孔注入層4または発光層5に正孔を注入する機能を有する。
透明電極(陽極)を構成する材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズおよびこれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(酸化錫インジウム:ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイドなどの金属酸化物、Au(金)、Pt(白金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの金属、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体などの有機導電体などが挙げられる。これらの中でもITOが好適に用いられる。また、基板と一体化しされて市販されているITO透明電極付きガラス基板を用いることもできる。
透明電極は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などの公知の方法により、基板上に形成することができる。
その膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して適宜選択することができ、10〜200nm程度、好ましくは50〜150nm程度である。
陰極7は、後述する電子注入層6に電子を注入する機能を有する。
陰極7を構成する材料としては、仕事関数の小さい材料、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステンなどの金属材料およびこれらの合金が挙げられる。陰極を透明、不透明のいずれにするかは、有機EL素子の形態により決定すればよい。
陰極は、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法などの公知の方法により形成することができる。
陰極は2層以上の積層構造であってもよく、その膜厚は、50〜10000nm程度、好ましくは80〜500nm程度である。
本発明の有機EL素子では、特定の電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で形成された電子注入層を有するので、化学的に安定で、かつ有機層に電子を注入し難いアルミニウムのような金属を陰極材料として用いることができる。
本発明の有機EL素子は、正孔注入層4を備えていてもよい。
正孔注入層は、透明電極(陽極)3から注入された正孔を、発光層4に注入する機能を有する。
正孔注入層を構成する材料(正孔輸送材料)としては、例えば、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)などが挙げられる。
正孔注入層は、公知の方法、例えば、正孔輸送材料を公知の溶剤に溶解または分散した正孔注入層形成用塗布液を公知の塗布法により塗布し、溶剤を乾燥(脱溶剤)することにより形成することができる。
正孔注入層の膜厚は、10〜150nm程度、好ましくは50〜100nm程度である。
発光層5では、透明電極(陽極)3または正孔注入層4から供給(注入)される正孔と、電子注入層6から供給(注入)される電子とが再結合し、その再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)が放出(発光)される。
発光層5を構成する材料(発光材料)としては、例えば、1,3,5-トリス[(3-フェニル-6-トリ−フルオロメチル)キノキサリン-2-イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5-[{3-(4-tert-ブチルフェニル)-6-トリスフルオロメチル}キノキサリン-2-イル]ベンゼン(TPQ2)のようなベンゼン系化合物、トリス(8-ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq3)、ファクトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)のような低分子系のものや、オキサジアゾール系高分子、トリアゾール系高分子、カルバゾール系高分子、ポリフルオレン系高分子、ポリパラフェニレンビニレン系高分子のような高分子系のものが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
発光層は、公知の方法、例えば、発光材料を公知の溶剤に溶解または分散した発光層形成用塗布液を公知の塗布法により塗布し、溶剤を乾燥(脱溶剤)することにより形成することができる。
発光層の膜厚は、10〜150nm程度、好ましくは50〜100nm程度である。
電子注入層6は、陰極7から注入された電子を発光層5まで輸送する機能を有する。
電子注入層は、上記の電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で形成する。
電子注入層の膜厚は、0.1〜100nm程度、好ましくは0.1〜50nm程度である。
本発明の有機EL素子は、透明電極(陽極)3、正孔注入層4、発光層5、電子注入層6および陰極7などを覆う封止部材(図示せず)を備えていてもよい。
封止部材は、有機EL素子の電極や構成層を気密的に封止し、酸素や水分を遮断して、それらの変質や劣化を防止して有機EL素子の特性低下を防止する機能を有する。
封止部材を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)またはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料などが挙げられる。なお、封止部材自体が導電性を有する場合には、短絡を防止するために、必要に応じて、絶縁膜を設けてもよい。
本発明を以下の実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
図1の有機EL素子1を作製し、それを評価した。
酸化錫インジウム(ITO)透明電極付きガラス基板(三容真空工業株式会社製、基板:50mm×50mm×厚さ0.7mm、電極:膜厚150nm、幅3mmのライン状)を、アルカリ洗浄液(関東化学株式会社製、製品名:クレア635N)およびアセトン中で順次5分間超音波洗浄した。次いで、ガラス基板をイソプロピルアルコール中で5分間煮沸洗浄し、紫外線−オゾン洗浄器でさらに15分間UVオゾン洗浄した。
次に、洗浄済みのガラス基板2の透明電極(陽極)3上に、導電性高分子としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と高分子電解質としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を含む溶液(ポリチオフェン系導電性ポリマー、エイチ・シー・スタルク株式会社製、商品名:バイトロン(Baytron:登録商標) P VP AI4083)を0.45μmシリンジフィルターに通して滴下し、2000回転/分、30秒間の条件でスピンコート法により塗布した。次いで、得られた基板を105℃の条件に設定した乾燥機で1時間乾燥させ、膜厚50nmの正孔注入層4を得た。
次に、正孔注入層4上に、黄色発光体をトルエンに溶解させた溶液(メルク株式会社製、商品名:PDY132)を0.45μmシリンジフィルターに通して滴下し、1200回転/分、30秒間の条件でスピンコート法により塗布した。次いで、得られた基板を130℃の条件に設定した乾燥機で1時間乾燥させ、膜厚80nmの発光層5を得た。
次に、メタノール1mLに炭酸セシウム5mgを溶解させ(炭酸セシウム濃度5g/L)、さらに2-プロパノール9mLを加えて炭酸セシウム濃度0.5g/Lの電子注入層形成用塗液を得た。
次いで、発光層5上に、得られた電子注入層形成用塗液を0.45μmシリンジフィルターに通して滴下し、5000回転/分、30秒間の条件でスピンコート法により塗布した。次いで、得られた基板を130℃の条件に設定した乾燥機で1時間乾燥させ、膜厚0.5nmの電子注入層6を得た。
最後に、電子注入層6上に、真空蒸着装置(株式会社ブイテック製)を用いて、圧力4×10-5Pa、蒸着速度2Å/秒の条件で抵抗加熱法により、アルミニウムを蒸着し、透明電極(陽極)2のラインに直交する膜厚100nm、幅3mmのライン状の陰極7を得て、有機EL素子1を完成した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は13.2Vであった。
(比較例1)
電子注入層6を形成しないこと以外は実施例1と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は26.2Vであった。
(実施例2)
正孔注入層4の形成において導電性高分子としてポリチオフェン系導電性ポリマー溶液(エイチ・シー・スタルク株式会社製、商品名:バイトロン(Baytron)P VP CH―8000)を用いること、電子注入層形成用塗液の調製において炭酸セシウムの代わりにヨウ化リチウムを用い、かつ2-プロパノールを用いず、メタノール10mLにヨウ化リチウム5mgを溶解させること以外は実施例1と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.8Vであった。
(比較例2)
電子注入層6を形成しないこと以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は12.5Vであった。
(実施例3)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりに塩化カルシウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は7.9Vであった。
(実施例4)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりに臭化カルシウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.3Vであった。
(実施例5)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりに臭化セシウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.4Vであった。
(実施例6)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりにヨウ化バリウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は9.0Vであった。
(実施例7)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりに臭化バリウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.9Vであった。
(実施例8)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりに塩化リチウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.9Vであった。
(実施例9)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりにメトキシリチウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は8.8Vであった。
(実施例10)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりにtert-ブトキシリチウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は11.3Vであった。
(実施例11)
電子注入層形成用塗液の調製においてヨウ化リチウムの代わりにジエトキシバリウムを用いること以外は実施例2と同様にして有機EL素子1を作製し、それを評価した。
得られた有機EL素子に通電し駆動させたところ、発光層5の発光体PDY132に由来する黄色発光が得られた。また、輝度100cd/m2における駆動電圧は11.5Vであった。
実施例1〜11および比較例1〜2の結果を、正孔注入層、発光層および電子注入層の形成に用いた導電性ポリマー、発光体溶液および金属化合物と共に表1にまとめる。
Figure 2010003618
表1、図2および3の結果から次のことがわかる。
(1)本発明の電子注入層を設けた有機EL素子は、電子注入層を設けない有機EL素子に比べて、低い駆動電圧で高い輝度を示すこと(実施例1と比較例1および実施例2〜11と比較例2参照)
(2)本発明の電子注入層を設けた有機EL素子は、電子注入層を構成する金属化合物の種類を変えても、同様に駆動電圧の低下効果が得られること(特に、実施例2〜11参照)
本発明の有機EL素子の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
1 有機EL素子
2 基板(ガラス基板)
3 透明電極(陽極)
4 正孔注入層
5 発光層
6 電子注入層
7 陰極
8 電源

Claims (9)

  1. 陽極上に少なくとも発光層、電子注入層および陰極がこの順で積層された有機EL素子の製造方法であって、
    前記方法が、電子注入層形成用塗液を用いた湿式法で前記電子注入層を形成する工程を含み、
    前記塗液が、該塗液中でアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび希土類金属イオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを放出し得る金属化合物と、前記金属化合物を常温で溶解し得る有機溶剤とを含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記金属化合物が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属から選択される少なくとも1種の金属の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アセチル酢酸塩、ハロゲン化物、アルコキシドおよび錯体から選択される請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記金属化合物が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、炭酸塩、ハロゲン化物またはアルコキシドである請求項2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記金属化合物が、炭酸セシウム;塩化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化セシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム;メトキシリチウム、tert-ブトキシリチウムまたはジエトキシバリウムである請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記電子注入層形成用塗液が、前記金属化合物を濃度0.01〜10g/Lで含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記有機溶剤が、プロトン性極性溶剤である請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記プロトン性極性溶剤が、炭素数1〜7の一価アルコールである請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記一価アルコールが、メタノールまたはメタノールと2-プロパノールとの混合溶剤である請求項7に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の有機EL素子の製造方法により得られてなることを特徴とする有機EL素子。
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