JP2010002009A - 転動装置 - Google Patents

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Masahito Matsui
雅人 松井
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英一 高橋
Kenji Imanishi
賢治 今西
Takiyoshi Yamada
瀧義 山田
Kazuhiro Kinouchi
一宏 木野内
Kazutoshi Sakaguchi
和利 坂口
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Abstract

【課題】泥水と接触するような厳しい環境下で使用されても密封性の高い転動装置を提供する。
【解決手段】車輪支持用転がり軸受装置1には、外輪4に嵌合された芯金31と、内輪3に嵌合されたスリンガ32と、芯金31に取り付けられスリンガ32に滑り接触する弾性部材33と、で構成されているシール装置7aが備えられている。また、スリンガ32は、内輪3の外周面に外嵌固定可能な内径側円筒部37と、この内径側円筒部37の外側縁から径方向外方に折れ曲がった外側円輪部38とを備えており、断面略L字形の環状部材である。そして、スリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間には、樹脂層9が介在されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等のような転動装置に係り、特にシール装置を備える転動装置に関する。
一般に、転がり軸受等の転動装置においては、転動装置を構成する内方部材と外方部材との間で相対回転運動又は相対直線運動が行われるが、内方部材及び外方部材の間に形成された空隙部の開口を覆うシール装置が該両部材の間に介在され、外部からの水,異物等の侵入や内部からの潤滑剤の漏出が防止されている。特に、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受装置は、運転時に水,異物等の侵入が生じやすいので、シール装置には高い密封性が求められている。
シール装置には様々な種類があるが、例えば転がり軸受用のシール装置としては、内輪の外周面に嵌合される環状部材(スリンガ)と、外輪の内周面に嵌合される環状部材(芯金)と、芯金に取り付けられスリンガに滑り接触する弾性部材(シール部)と、からなるものがある。
特開2001−215132号公報
しかしながら、上記のような従来の一般的なシール装置では、外部からの水,異物等の侵入や内部からの潤滑剤の漏出を十分に防止できない場合があった。例えば、スリンガは内輪の外周面に圧入され直接嵌合しているが、金属製部材同士の嵌合では、完全な密封は期待できない。
また、特許文献1には、スリンガと内輪の外周面との間に弾性材(ゴム)を介在させた転がり軸受が開示されている。この転がり軸受においては、弾性材を介在させることによって、嵌合部の密封性の向上が図られている。
しかしながら、車輪支持用転がり軸受装置のように泥水と接触する厳しい環境下で使用されると、嵌合部に錆が発生し、錆の進行による体積膨張により密封性が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、例えば泥水と接触するような厳しい環境下で使用されても密封性の高い転動装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に介在され、前記内方部材及び前記外方部材の間に形成された空隙部の開口を覆うシール装置と、を備える転動装置において、前記シール装置は、前記内方部材及び前記外方部材の一方に取り付けられる環状部材と、前記内方部材及び前記外方部材の他方に取り付けられ前記環状部材に滑り接触する弾性部材と、を備えており、前記内方部材及び前記外方部材の一方と前記環状部材との間に樹脂層が介在されていることを特徴とする。
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。また、本発明における内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明の転動装置は、例えば泥水と接触するような厳しい環境下で使用されても密封性が高い。
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図においては、同一又は相当する部分には同一の符号を付してある。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す断面図である。なお、以降においては、車輪支持用転がり軸受装置を自動車等の車両に取り付けた状態において、車両の幅方向外側を向いた部分を外端側部分と称し、幅方向中央側を向いた部分を内端側部分と称する。すなわち、図1においては、左側が外端側となり、右側が内端側となる。
図1の車輪支持用転がり軸受装置1は、ハブ輪2と、内輪3と、外輪4と、二列の転動体5,5と、転動体5を保持する保持器6,6と、を備えている。ハブ輪2の内端側部分には外径の小さい円筒部11が形成されており、該円筒部11に内輪3が圧入されている。そして、内輪3よりも内端側に突出している円筒部11の先端部分が径方向外方に加締め広げられて、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されている。
ただし、内輪3とハブ輪2とを、ナットにより一体的に固定してもよい。この場合には、ナットによって内輪3に必要な予圧を付与することができる。そして、ハブ輪2及び内輪3の外方には、略円筒形状の外輪4が同心に配されている。なお、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが、本発明の構成要件である内方部材に相当し、外輪4が本発明の構成要件である外方部材に相当する。
ハブ輪2の外周面の軸方向中間部及び内輪3の外周面には、それぞれ軌道面が形成されており、ハブ輪2の軌道面は第一内側軌道面20a、内輪3の軌道面は第二内側軌道面20bとされている。また、外輪4の内周面には、前記両内側軌道面20a,20bに対向する軌道面が形成されており、第一内側軌道面20aに対向する軌道面は第一外側軌道面21a、第二内側軌道面20bに対向する軌道面は第二外側軌道面21bとされている。さらに、第一内側軌道面20aと第一外側軌道面21aとの間、及び、第二内側軌道面20bと第二外側軌道面21bとの間には、それぞれ複数の転動体5が転動自在に配されている。なお、図示の例では、転動体として玉を使用しているが、車輪支持用転がり軸受装置1の用途等に応じて、ころを使用してもよい。
さらに、外輪4の内端側部分の内周面と内輪3の内端側部分の外周面との間、並びに、外輪4の外端側部分の内周面とハブ輪2の中間部の外周面との間には、それぞれシール装置7a,7bが設けられている。そして、外輪4の内周面と内輪3及びハブ輪2が一体的に固定されたものの外周面との間には空隙部が形成されており、この空隙部の開口がシール装置7a,7bによって覆われている。外輪4の内周面と内輪3及びハブ輪2が一体的に固定されたものの外周面とシール装置7a,7bとで囲まれた内部空間15には、潤滑油,グリース等の潤滑剤(図示せず)が配されている。
さらに、ハブ輪2の外周面の外端側部分には、図示しない車輪を固定するための車輪取り付け用フランジ10が径方向外方に突出して設けられている。そして、外輪4の外周面には、車輪取り付け用フランジ10から離間する側の端部に、懸架装置取り付け用フランジ13が径方向外方に突出して設けられている。
このような車輪支持用転がり軸受装置1を自動車等の車両に組み付けるには、懸架装置取り付け用フランジ13を図示しない懸架装置に固定し、車輪を車輪取り付け用フランジ10に固定する。その結果、車輪支持用転がり軸受装置1によって車輪が懸架装置に対し回転自在に支持される。すなわち、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが回転輪となり、外輪4が固定輪(非回転輪)となる。
ここで、シール装置7a,7bの構成を、図2,3を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、以降のシール装置7a,7bの説明においては、軸方向で内部空間15に面する側を内側、車輪支持用転がり軸受装置1の外部に面する側を外側と呼ぶ。
まず、図1の車輪支持用転がり軸受装置1において内端側に配されたシール装置7aについて説明する。図2のシール装置7aは、補強部材に相当する芯金31と、本発明における環状部材に相当するスリンガ32と、シール本体に相当する弾性部材33と、で構成されている。このうち芯金31は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。このような芯金31は、外輪4の内端側部分の内周面に内嵌固定可能な外径側円筒部35と、この外径側円筒部35の内側縁(図2における左側縁)から径方向内方に折れ曲がった内側円輪部36と、を備えており、断面略L字形の円環状部材である。
また、スリンガ32は、ステンレス鋼板等の優れた耐食性を有する金属板に、プレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。このようなスリンガ32は、内輪3の内端側部分の外周面に外嵌固定可能な内径側円筒部37と、この内径側円筒部37の外側縁(図2における右側縁)から径方向外方に折れ曲がった外側円輪部38とを備えており、断面略L字形の環状部材である。
さらに、弾性部材33はゴム組成物で構成され、外側,中間,内側の3本のシールリップ41,42,43を備え、芯金31にその基端部が固定されている。そして、最も外側に位置する外側シールリップ41の先端縁を、スリンガ32を構成する外側円輪部38の内側面に摺接させ、残り2本のシールリップである中間シールリップ42及び内側シールリップ43の先端縁を、スリンガ32を構成する内径側円筒部37の外周面に摺接させている。これにより、内部からのグリースの漏洩を防止するとともに、外部から車輪支持用転がり軸受装置1内部への塵挨,水,泥水等の侵入を防止している。
この弾性部材33とスリンガ32とで囲まれた空間、詳述すると、シールリップ41,42とスリンガ32の外側円輪部38の内側面とで囲まれた空間、及び、シールリップ42,43とスリンガ32の内径側円筒部37の外周面とで囲まれた空間の少なくとも一方には、グリースを充填してもよい。
次に、図1の車輪支持用転がり軸受装置1において外端側に配されたシール装置7bは、図3に示すように、それぞれが円輪状に形成された芯金51と弾性部材52とで構成される。このうちの芯金51は金属板から製造され、外輪4の外端側部分に内嵌固定されている。また、弾性部材52はゴム組成物で構成され、芯金51に接着剤等により接合されている。また、この弾性部材52は、外径側,内径側の2本のサイドシールリップ53,54と、1本のラジアルシールリップ55とを備える。
そして、上記2本のサイドシールリップ53,54を、先端縁(図3における左側縁)に向かうに従って径方向外方(図3における上方)に湾曲する形状とし、車輪取り付け用フランジ10の基部の内端側面に摺接させることにより、内部空間15内への異物侵入防止機能を確保している。また、ラジアルシールリップ55を、先端縁(図3における右下側縁)に向かうに従って内部空間15の内側(図3における右側)に湾曲する形状とし、ハブ輪2の外周面に摺接させることにより、グリースの漏洩防止機能を確保している。
さらに、詳しく説明すると、図3のシール装置7bは、それぞれが円輪状に形成された芯金51と弾性部材52とで構成される。このシール装置7bの芯金51は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。この芯金51は、外輪4の外端側部分の内周面に内嵌固定可能な外径側円筒部61と、この外径側円筒部61の外側縁(図3における左端縁)から径方向内方に折れ曲がった支持板部62とを備える。
そして、芯金51を構成する支持板部62の外側面(図3における左側面)は、弾性部材52で全体が覆われ、この弾性部材52の外周縁部は、外径側円筒部61から連続する傾斜部63の外周面と外輪4の内周面との間に挟持されている。このような構成により、芯金51と外輪4との嵌合部が密封されている。
外径側円筒部61の内側寄り(図3における右寄り)の大径部64の自由状態における外径は、外輪4の外端側開口部の内径よりも僅かに大きくしてある。したがって、この大径部64は、外輪4の外端側開口部に、締まり嵌めで内嵌固定自在とされている。また、支持板部62は、略S字形の断面形状を有し、径方向内方(図3における下方)に向かうにしたがって、内部空間15内に配された転動体5に近づく方向(図3における右方向)に傾斜している。
一方、芯金51とともにシール装置7bを構成する弾性部材52はゴム組成物で構成され、芯金51をインサート成形して接着剤等により接合されている。このような弾性部材52の外周縁部は、傾斜部63の外周面を覆っている。
このような弾性部材52の一部で傾斜部63の外周面を覆っている部分の自由状態での外径は、外輪4の外端側開口部の内径よりも少し大きくしてある。したがって、大径部64をこの外径側開口部に内嵌固定した状態では、弾性部材52の一部で傾斜部63の外周面を覆っている部分が、この傾斜部63の外周面と外端側開口部の内周面との間で弾性的に押圧され、当該部分のシール性が確保される。さらに、弾性部材52の基部65は、支持板部62の外側面(図3における左側面)を、全周にわたって完全に覆っている。そして、この基部65の外側面及び内周縁に、外径側,内径側の2本のサイドシールリップ53,54と、1本のラジアルシールリップ55とが形成されている。
この弾性部材52とハブ輪2とで囲まれた空間、詳述すると、サイドシールリップ53,54と車輪取り付け用フランジ10の基部の内端側面とで囲まれた空間、及び、サイドシールリップ54,ラジアルシールリップ55と車輪取り付け用フランジ10の基部の内端側面とで囲まれた空間の少なくとも一方には、グリースを充填してもよい。
上記のように、シール装置7aは、内輪3に嵌合されたスリンガ32と、外輪4に嵌合された芯金31に取り付けられスリンガ32に滑り接触する弾性部材33と、で構成されるが、スリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間には、樹脂層9(樹脂薄膜)が介在されている。
内輪3とスリンガ32との嵌合部に樹脂層9が介在されているため、内輪3とスリンガ32との密着性が向上し、金属製部材同士の嵌合と比べてシール装置7aの密封性が優れている。また、樹脂層9が介在されているため、例えば泥水と接触するような厳しい環境下で使用されても錆の発生が抑えられ、シール装置7aの密封性が優れている。よって、車輪支持用転がり軸受装置1が泥水と接触する厳しい環境下で使用されても、外部からの水,異物等の侵入や内部からの潤滑剤の漏出が生じにくい。この樹脂層9を構成する樹脂の種類は特に限定されるものではなく、一般的な樹脂を問題なく使用することができる。また、この樹脂層9の厚さは特に限定されるものではないが、0.2mm以上0.5mm以下が好ましい。
〔第2実施形態〕
本発明に係る転動装置の第2実施形態である車輪支持用転がり軸受装置は、その構成及び作用効果が前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、第1実施形態とは異なる部分のみ図1,2を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第2実施形態の車輪支持用転がり軸受装置においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に、樹脂層9に代えてメッキ層9が介在されている。そのため、内輪3とスリンガ32との密着性が向上し、金属製部材同士の嵌合と比べてシール装置7aの密封性が優れている。また、メッキ層9が介在されているため、例えば泥水と接触するような厳しい環境下で使用されても錆の発生が抑えられ、シール装置7aの密封性が優れている。よって、車輪支持用転がり軸受装置1が泥水と接触する厳しい環境下で使用されても、外部からの水,異物等の侵入や内部からの潤滑剤の漏出が生じにくい。このメッキ層9を構成する金属の種類は特に限定されるものではなく、一般的な金属を問題なく使用することができる。また、このメッキ層9の厚さは特に限定されるものではないが、0.02mm以上0.05mm以下が好ましい。
〔第3実施形態〕
本発明に係る転動装置の第3実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図1,2を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第3実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第3実施形態においては、第1実施形態とは圧入前のスリンガ32の形状が異なっている。第1実施形態においては、内輪3に圧入する前のシール装置7aのスリンガ32の形状は以下のようになっている。すなわち、スリンガ32の内径側円筒部37と外側円輪部38とは直角をなしているとともに、内径側円筒部37は内輪3の外周面(すなわち軸方向)と平行をなすようになっている。
このような形状のスリンガ32を内輪3に圧入すると、締り嵌めで組み込まれるため、内径側円筒部37には径方向外方に向く力が作用し、内径側円筒部37は径方向外方に広がろうとする。しかし、内径側円筒部37と外側円輪部38とが連結している屈曲部分はR形状となっており、内輪3と接触していないため、外側円輪部38にはこの力が作用せず、その結果、スリンガ32にはモーメントが働き、外側円輪部38が外側(図1,2においては右側)に傾くこととなる(すなわち、内輪3に圧入されているスリンガ32の外側円輪部38は、内輪3の外周面と直角をなさない)。
そのため、内輪3及びハブ輪2が一体的に固定されたものや外輪4が偏心した場合や、車輪支持用転がり軸受装置1が取り付けられている自動車が急旋回した場合などでは、シールリップが移動するので、外側シールリップ41が径方向外方に移動した場合には外側シールリップ41と外側円輪部38との締め代が小さくなって、外側シールリップ41と外側円輪部38との間からの水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じやすくなる。
さらに、内径側円筒部37は内側ほど変形しやすいので、内径側円筒部37と内輪3の外周面とは内径側円筒部37の外側端部で点接触することとなり、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることとなる。よって、この隙間から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じるおそれがある。
スリンガ32の圧入前の形状を第1実施形態から若干変えて、スリンガ32の内径側円筒部37と外側円輪部38とが直角よりも若干大きい鈍角をなすような形状とすることもできる。すなわち、内径側円筒部37は内輪3の外周面(軸方向)と平行をなしておらず、内側(図1,2においては左側)にいくにしたがって内径が徐々に小さくなるテーパ形状となっており、且つ、外側円輪部38は内輪3の外周面(軸方向)と直角をなすようになっている。しかし、この形状でも、内輪3に圧入すると、外側円輪部38が外側に傾き、内輪3に圧入されているスリンガ32の外側円輪部38は内輪3の外周面とは直角をなさなくなるため、外側シールリップ41と外側円輪部38との締め代が小さくなる。
第3実施形態においては、内輪3に圧入する前のシール装置7aのスリンガ32の形状は以下のようになっている。すなわち、スリンガ32の内径側円筒部37と外側円輪部38とは直角又は鋭角をなしているとともに、内径側円筒部37は内輪3の外周面(軸方向)と平行をなしておらず、内側にいくにしたがって内径が徐々に小さくなるテーパ形状となっており(例えば、テーパ角度は1°)、且つ、外側円輪部38は内輪3の外周面(軸方向)と直角をなしておらず、内側に傾斜している。
このような形状であれば、スリンガ32を内輪3に圧入した際に外側円輪部38が外側(図1,2においては右側)に傾いた結果、外側円輪部38が内輪3の外周面(軸方向)と直角をなすこととなる。よって、内輪3及びハブ輪2が一体的に固定されたものや外輪4が偏心した場合や、車輪支持用転がり軸受装置1が取り付けられている自動車が急旋回した場合などに、外側シールリップ41が径方向外方に移動しても、外側シールリップ41と外側円輪部38との締め代が小さくなることがなく、常に適切な締め代で接触している。
また、外側円輪部38が内側に傾斜しているため、第1実施形態の場合と比べて外側円輪部38は圧入時に外側に傾きにくく、その結果、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じにくい。したがって、外側シールリップ41と外側円輪部38との間や、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じにくい。
〔第4実施形態〕
本発明に係る転動装置の第4実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図4を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第4実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第4実施形態においては、スリンガ32の外側円輪部38の外側面のうち径方向外方部分に、回転輪である内輪3及びハブ輪2が一体的に固定されたものの回転速度を検出するエンコーダ71(例えば、S極とN極が周方向に交互に配置されたゴム磁石製のもの)が取り付けられている。さらに、スリンガ32の外側円輪部38の外側面のうち径方向内方部分には、スリンガ32と内輪3との嵌合面から内部空間15に水等の異物が侵入することを防ぐゴムシール72が、加硫接着により固定されている。
内輪3の外周面の内端側は切り欠かれ、断面矩形状の切り欠き部74が周方向にわたって形成されており、ゴムシール72のシールリップ72aが切り欠き部74の周面に接触しているとともに、ゴムシール72の内側端面が切り欠き部74の軸方向端面に接触している。これにより、スリンガ32と内輪3との嵌合面から内部空間15に水等の異物が侵入することが防止されている。
なお、ゴムシール72と切り欠き部74とで囲まれた空間に、グリースを充填してもよい。また、ゴムシール72による密封性を向上させるために、シールリップ72aの強度を向上させてもよい。そうすれば、図5に示すように、ゴムシール72の大きさを図4のものに比べて小さくすることができる。さらに、図6に示すように、切り欠き部74の断面形状を三角形状にしてもよい。そして、シールリップ72aの形状を切り欠き部74の斜面状の周面に沿うような形状とすれば、シールリップ72aと内輪3との接触部分を増やすことができるので、ゴムシール72による密封性が向上する。
〔第5実施形態〕
本発明に係る転動装置の第5実施形態である車輪支持用転がり軸受装置は、その構成及び作用効果が前述の第4実施形態とほぼ同様であるので、第4実施形態とは異なる部分のみ図7を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第5実施形態においては、内輪3の軸方向内端側端面にシール溝76が設けられ、このシール溝76にゴムシール72が取り付けられている。このゴムシール72は、シール溝76に嵌め込まれた基部と、該基部から内輪3の軸方向内端側端面に沿って伸びる本体と、本体から外端側に向かって屈曲して斜めに伸びスリンガ32の外側円輪部38の外側面に接触するシールリップ72aと、で構成されている。このゴムシール72によって、スリンガ32と内輪3との嵌合面から内部空間15に水等の異物が侵入することが防止される。
なお、ゴムシール72のシール溝76への取り付け方法は、嵌合でもよいし、接着でもよい。また、シール溝76を設けることなく、内輪3の軸方向内端側端面にゴムシール72を接着等により取り付けてもよい。さらに、ゴムシール72とスリンガ32によって囲まれた空間に、グリースを充填してもよい。
さらに、ゴムシール72を、図8に示すような形状としてもよい。すなわち、シールリップ72aを、ゴムシール72の本体から外端側に向かって直角に屈曲して伸びスリンガ32の外側円輪部38の外側面に接触するように形成してもよい。図7の場合にはシールリップ72aの先端の角部がスリンガ32に接触していたのに対して、図8の場合にはシールリップ72aの先端の端面がスリンガ32に接触しているため、シールリップ72aとスリンガ32との接触面積が増え、ゴムシール72による密封性が向上する。
さらに、ゴムシール72を、図9に示すような形状としてもよい。すなわち、シールリップ72aの先端形状を二股状にして、2箇所でスリンガ32に接触するようにしてもよい。これにより、シールリップ72aとスリンガ32との接触面圧が高くなり、ゴムシール72による密封性が向上する。なお、二股状のシールリップ72aの先端とスリンガ32によって囲まれた空間に、グリースを充填してもよい。
さらに、図10に示すように、内輪3の外周面の内端側を切り欠いて、断面矩形状の切り欠き部74を形成し、切り欠き部74の軸方向端面にシール溝76を設け、このシール溝76にゴムシール72を取り付けてもよい。図10の場合は、ゴムシール72が切り欠き部74内にほぼ収容されているとともに、ゴムシール72は2個のシールリップ72aを有していて、一方のシールリップ72aが切り欠き部74の周面に接触し、他方のシールリップ72aがスリンガ32の外側円輪部38の外側面に接触している。ゴムシール72が切り欠き部74内に収容されていることから、ゴムシール72の軸受外部へのはみ出しが無くなり、省スペース化が図れる。なお、ゴムシール72と切り欠き部74によって囲まれた空間に、グリースを充填してもよい。
〔第6実施形態〕
本発明に係る転動装置の第6実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図11を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第6実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第6実施形態においては、第1実施形態とは圧入前のスリンガ32の形状が異なっている。第1実施形態の圧入前のスリンガ32の形状は、第3実施形態において説明した通りであり、このような第1実施形態のスリンガ32を内輪3に圧入すると、第3実施形態において説明したように、スリンガ32の外側円輪部38が外側(図1,2においては右側)に傾くこととなる。さらに、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることとなる。そのため、前述したように、この隙間から水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じるおそれがある。
第6実施形態においては、内輪3に圧入する前のシール装置7aのスリンガ32の形状は以下のようになっている。すなわち、スリンガ32の内径側円筒部37と外側円輪部38とは直角をなしているとともに、内径側円筒部37の内周面は内輪3の外周面(軸方向)と平行をなしているが、内径側円筒部37の外周面は内輪3の外周面(軸方向)と平行をなしておらず、内側に向かって径方向内方に傾斜している。つまり、内径側円筒部37は、その厚さが内側に向かうにしたがって徐々に薄くなる形状をなしている。さらに、内径側円筒部37の内周面の軸方向略中央部には、周方向にわたって形成された少なくとも1つの環状溝81(図11においては1つ)が設けられている。
このような形状であれば、スリンガ32を内輪3に圧入した際に、外側円輪部38は第1実施形態の場合と同様に外側(図11においては右側)に傾くこととなるが、内径側円筒部37(特に内側)は環状溝81の作用により変形しにくいので、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることはほとんどない。したがって、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じにくい。このように、第6実施形態によれば、部品の数を増やすことなくスリンガ32の形状の工夫によって、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出を防ぐことができる。
なお、環状溝81の内部に潤滑油,グリース等の潤滑剤を入れ、内輪3とスリンガ32との嵌合部に封入してもよい。そうすれば、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間に隙間が生じたとしても、その隙間は環状溝81の内の潤滑剤で充填されるので、その隙間からの水,異物等の侵入や内部空間15内に配された潤滑剤の漏出が生じにくい。
〔第7実施形態〕
本発明に係る転動装置の第7実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図12を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第7実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第7実施形態においては、第1実施形態とはスリンガ32の構造が異なっている。第1実施形態の圧入前のスリンガ32の形状は、第3実施形態において説明した通りであり、このような第1実施形態のスリンガ32を内輪3に圧入すると、第3実施形態において説明したように、スリンガ32の外側円輪部38が外側(図1,2においては右側)に傾くこととなる。さらに、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることとなる。そのため、前述したように、この隙間から水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じるおそれがある。
第7実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32の構造は以下のようになっている。すなわち、スリンガ32は、内径側円筒部37の軸方向略中央部において2つの部材に分割されており、内径側円筒部37の外端側部分からなる円筒部32Aと、内径側円筒部37の内端側部分及び外側円輪部38からなる円輪部32Bと、で構成されている。なお、スリンガ32は、内径側円筒部37において3つ以上の部材に分割されている構造でもよい。
このような構造であれば、スリンガ32を内輪3に圧入した際に、外側円輪部38(円輪部32B)は第1実施形態の場合と同様に外側(図12においては右側)に傾くこととなるが、円筒部32Aについては第3実施形態において説明したような径方向外方に向く力が圧入により作用しても外側に傾くことはないので、円筒部32Aと内輪3の外周面との間に隙間が生じることはほとんどない。したがって、円筒部32Aと内輪3の外周面との間から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じにくい。
〔第8実施形態〕
本発明に係る転動装置の第8実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図13を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第8実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第8実施形態においては、第1実施形態とはスリンガ32の構造が異なっている。第1実施形態においては、内輪3に圧入されたスリンガ32の外側円輪部38は、内輪3の外周面に対してほぼ直角をなしている(厳密に言えば、第3実施形態において説明した通り若干外側に傾いている)。そのため、スリンガ32の外側円輪部38のすぐ外側に存在する水は、内輪3の回転によって生じる遠心力により径方向外方に移動し、その多くはは車輪支持用転がり軸受装置1から遠方に放散されるものの、一部がスリンガ32と芯金31との間の隙間からシール装置7a内に侵入するため、内部空間15にまで至る危険性がある。また、遠心力により径方向外方に移動して外輪4の内端側端面に付着した水が、車輪支持用転がり軸受装置1の駆動が停止した際にスリンガ32の嵌合部近傍に移動してくる場合があるため、シール装置7a内への水の侵入の原因となるおそれがある。
第8実施形態においては、図13に示すように、内輪3に圧入されたスリンガ32の外側円輪部38が外側に湾曲しており、外側円輪部38の外側面が径方向外方に向かうにしたがって外側に位置しているため、スリンガ32の外側円輪部38のすぐ外側に存在する水は、内輪3の回転によって生じる遠心力により径方向外方且つ軸方向内端側に移動し、そのほとんどは車輪支持用転がり軸受装置1から遠方に放散される。
よって、スリンガ32の外側円輪部38のすぐ外側に存在する水が、スリンガ32と芯金31との間の隙間からシール装置7a内に侵入するおそれはほとんどない。また、スリンガ32の外側円輪部38のすぐ外側に存在する水が、遠心力により径方向外方に移動して外輪4の内端側端面に付着することもほとんどないから、外輪4の内端側端面に付着していた水が、車輪支持用転がり軸受装置1の駆動が停止した際にスリンガ32の嵌合部近傍に移動してくることも抑制される。
なお、外側円輪部38が外側に湾曲していると、外側シールリップ41と外側円輪部38との締め代が小さくなって、外側シールリップ41と外側円輪部38との間からの水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じやすくなるおそれがあるので、外側シールリップ41の長さを通常よりも長くして、外側シールリップ41と外側円輪部38とを適切な締め代で接触させることが好ましい。
〔第9実施形態〕
本発明に係る転動装置の第9実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図14を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第9実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第9実施形態においては、第1実施形態とはスリンガ32の構造が異なっている。車輪支持用転がり軸受装置1においては、内径側円筒部37と内輪3の外周面との嵌合部から水が侵入するおそれがある。第1実施形態においては、スリンガ32の表面や内輪3の外周面は金属面であり、これらの面に付着する水は回転による遠心力が作用したとしても摩擦抵抗や吸着により移動しにくいので、内径側円筒部37と外側円輪部38とが連結しているR形状の屈曲部分と内輪3の外周面との間の微小な隙間に水が残留しやすい。その結果、水により局所的な腐食が生じて、内径側円筒部37と内輪3の外周面との嵌合部から水が侵入しやすくなる。
第9実施形態においては、前記微小な隙間を囲んでいる前記屈曲部分の表面や内輪3の外周面、並びに、スリンガ32の外側円輪部38の外側面に、摩擦抵抗係数が低くなるコーティング被膜83が被覆してある。そのため、スリンガ32の表面や内輪3の外周面に付着する水は回転による遠心力により容易に移動して、車輪支持用転がり軸受装置1から遠方に放散されやすく、前記微小な隙間には水が残留しにくい。その結果、水により局所的な腐食が生じて、内径側円筒部37と内輪3の外周面との嵌合部から水が侵入することがほとんどない。
コーティング被膜83を構成する素材は特に限定されるものではないが、ダイヤモンドライクカーボン,セラミック(例えば窒化チタン,炭化チタン),撥水剤(例えばフッ素系撥水剤,シリコーン系撥水剤)があげられる。
〔第10実施形態〕
本発明に係る転動装置の第10実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図15〜17を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
まず、第10実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32が嵌合された内輪3の外周面とスリンガ32の内径側円筒部37の内周面との間に樹脂層9は介在されておらず、スリンガ32が内輪3の外周面に直接嵌合されている。
また、第10実施形態においては、第1実施形態とはスリンガ32の構造が異なっている。第1実施形態の圧入前のスリンガ32の形状は、第3実施形態において説明した通りであり、このような第1実施形態のスリンガ32を内輪3に圧入すると、第3実施形態において説明したように、スリンガ32の外側円輪部38が外側(図1,2においては右側)に傾くこととなる。さらに、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることとなる。そのため、前述したように、この隙間から水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じるおそれがある。
第10実施形態においては、シール装置7aのスリンガ32及び内輪3の構造は以下のようになっている。すなわち、スリンガ32は、図15の(a)に示すように、内径側円筒部37の内側端部がコイルバネ状に形成されている。また、内輪3の外周面の内端側は、図15の(b)に示すように、外径が若干小さい小径部85とされている。そして、図16に示すように、この小径部85にスリンガ32が圧入され嵌合されている。
このような構造であれば、スリンガ32を内輪3に圧入した際に、外側円輪部38は第1実施形態の場合と同様に外側(図16,17においては右側)に傾くこととなるが、内径側円筒部37(特に内側)はコイルバネの作用により変形しにくいので、第3実施形態において説明したような径方向外方に向く力が圧入により作用しても内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(特に内側)に隙間が生じることはほとんどない(図17を参照)。したがって、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じにくい。このように、第10実施形態によれば、部品の数を増やすことなくスリンガ32の形状の工夫によって、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出を防ぐことができる。
〔第11実施形態〕
本発明に係る転動装置の第11実施形態である車輪支持用転がり軸受装置について、以下に説明する。ただし、その構成については、第1実施形態とは異なる部分のみ図18を参照しつつ説明し、同様の部分の説明は省略する。
また、第11実施形態においては、第1実施形態とはスリンガ32の構造及び取り付け方法が異なっている。第1実施形態においては、スリンガ32は内径側円筒部37と外側円輪部38とを有し、内径側円筒部37が内輪3の外周面に圧入され嵌合されていた。そして、弾性部材33のシールリップ42,43が内径側円筒部37に接触していた。
これに対して、第11実施形態においては、スリンガ32は内径側円筒部37を有しておらず、図18に示すように中心孔を有する略円板状をなしている。そして、その内径端部には、内輪3の内端側端面に向かって略軸方向に突出する固定爪部87が設けられており、内輪3の内端側端面に形成された固定溝88に固定爪部87を圧入することにより、スリンガ32が内輪3に固定されている。そして、弾性部材33のシールリップ42,43は、内輪3の外周面に接触している。
第1実施形態のようなスリンガ32の場合は、第3実施形態において説明したように、径方向外方に向く力が圧入により作用してスリンガ32の外側円輪部38が外側に傾くこととなる。また、内径側円筒部37と内輪3の外周面との間(嵌合部)から、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じるおそれがある。しかしながら、第11実施形態のようなスリンガ32の場合は、スリンガ32は内輪3の外周面に圧入されていないので、外側円輪部38が外側に傾くことはない。また、前記嵌合部も存在しないので、水,異物等の侵入や潤滑剤の漏出が生じにくい。
なお、上記の第1〜第11実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、ハブ輪2,内輪3,外輪4,及び転動体5の材質は特に限定されるものではなく、例えばSUJ2製で浸炭窒化処理が施されたものでもよいし、SUJ2製で高周波焼入れが施されたものでもよい。また、保持器4の材質も特に限定されるものではなく、例えばプラスチックや鋼があげられる。
さらに、本発明は、種々の車輪支持用転がり軸受装置に適用することが可能である。例えば、車輪取り付け用フランジがハブ輪や外輪と別体に設けられた、所謂第一世代の車輪支持用転がり軸受装置、車輪取り付け用フランジ又は懸架装置取り付け用フランジが外輪と一体に設けられた、所謂第二世代の車輪支持用転がり軸受装置、車輪取り付け用フランジ及び懸架装置取り付け用フランジがそれぞれ内輪及び外輪のいずれかと一体に設けられた、所謂第三世代の車輪支持用転がり軸受装置に適用することが可能である。
さらにまた、第1〜第11実施形態においては、転動装置の例として車輪支持用転がり軸受装置をあげて説明したが、転がり軸受の種類は車輪支持用転がり軸受装置に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,自動調心ころ軸受,針状ころ軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
本発明に係る転動装置の一実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す断面図である。 シール装置の構造を示す断面図である。 シール装置の構造を示す断面図である。 本発明に係る転動装置の第4実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 第4実施形態の変形例の構造を示す要部断面図である。 第4実施形態の別の変形例の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第5実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 第5実施形態の変形例の構造を示す要部断面図である。 第5実施形態の別の変形例の構造を示す要部断面図である。 第5実施形態のさらに別の変形例の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第6実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第7実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第8実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第9実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 本発明に係る転動装置の第10実施形態である車輪支持用転がり軸受装置において使用されるスリンガと内輪の構造を説明する部分断面図である。 本発明に係る転動装置の第10実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。 内輪に圧入後のスリンガの形状を説明する図である。 本発明に係る転動装置の第11実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す要部断面図である。
符号の説明
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 ハブ輪
3 内輪
4 外輪
5 転動体
7a シール装置
7b シール装置
9 樹脂層
10 車輪取り付け用フランジ
13 懸架装置取り付け用フランジ
15 内部空間
20a 第一内側軌道面
20b 第二内側軌道面
21a 第一外側軌道面
21b 第二外側軌道面
31 芯金
32 スリンガ
33 弾性部材
37 内径側円筒部
38 外側円輪部
41 外側シールリップ
42 中間シールリップ
43 内側シールリップ

Claims (1)

  1. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に介在され、前記内方部材及び前記外方部材の間に形成された空隙部の開口を覆うシール装置と、を備える転動装置において、
    前記シール装置は、前記内方部材及び前記外方部材の一方に取り付けられる環状部材と、前記内方部材及び前記外方部材の他方に取り付けられ前記環状部材に滑り接触する弾性部材と、を備えており、前記内方部材及び前記外方部材の一方と前記環状部材との間に樹脂層が介在されていることを特徴とする転動装置
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