JP2010001362A - 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高度な難燃性、および良好な物性を有する植物由来原料を用いた難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品を提供する。
【解決手段】(A)下記式(A−1)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂を少なくとも50重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(B)下記式(1)で表される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有。
Figure 2010001362

Figure 2010001362

(式中、X、Xは同一もしくは異なる芳香族置換アルキル基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高度な難燃性、および良好な物性を有する植物由来原料を用いた難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品に関する。さらに詳しくは特定の有機リン化合物を含有しかつ実質的にハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品に関する。
樹脂製の成形品を得るための原料として、一般的にポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン(ABS)、ポリアミド(PA6、PA66)、ポリエステル(PET、PBT)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が使用されている。しかしながら、これらの樹脂は石油資源から得られる原料を用いて製造されており、近年、石油資源の枯渇や地球環境等の問題が懸念されており、植物などの生物起源物質から得られる原料を用いた樹脂の製造が求められている。特に地球環境の問題を考えるとき、植物由来原料を用いた樹脂は、使用後に焼却されても植物の生育時に吸収した二酸化炭素量を考慮すると、炭素の収支として中立であるというカーボンニュートラルという考えから、地球環境への負荷の低い樹脂であると考えられる。
一方、これらの植物由来原料を用いた樹脂を工業材料、特に電気/電子関係用部品、OA関連用部品または自動車部品に利用する場合、安全上の問題から難燃性の付与が必要である。
これまでにも、植物由来原料を用いた樹脂、特にポリ乳酸樹脂の難燃化に関しては種々の試みがなされており、ある程度の難燃化は達成されている。しかしながら、これらの難燃化処方は多量の難燃剤を用いたものであり、樹脂本来の物性を損なうものであった。
一方、植物由来原料を用いた樹脂としては、ポリ乳酸樹脂の他に、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、下記式(a)
Figure 2010001362
に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、
Figure 2010001362
下記式(c)に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、
Figure 2010001362
下記式(d)に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
Figure 2010001362
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。この中で、特にイソソルビドのホモポリカーボネートについては特許文献1、2に記載されている。
このうち特許文献1では、溶融エステル交換法を用いて203℃の融点を持つホモポリカーボネート樹脂を報告している。しかしながらこのポリマーは不充分な機械的性質しか有していない。耐熱性が高い例として、特許文献2では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネートを報告しているが、還元粘度が高く成形材料として考えた場合の溶融粘度が高すぎるといった問題がある。一方、特許文献3では、イソソルビドと直鎖脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネートについて記載されている。
これらのイソソルビドからなるポリカーボネートに関して、これらいずれの文献にも、難燃性について一切述べられていない。
英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2007/013463号パンフレット 国際公開第2004/111106号パンフレット
本発明の第1の目的は、高度な難燃性、および良好な物性を有する植物由来原料を用いた難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品を提供することにある。
本発明の第2の目的は、特定の有機リン化合物を含有しかつ実質的にハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品を提供することにある。
本発明者らの研究によれば、前記本発明の目的は、
(A)下記式(A−1)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A−1成分)を少なくとも50重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(B)下記式(1)で表される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有する難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品により達成される。
Figure 2010001362
Figure 2010001362
(式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
Figure 2010001362
(式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
本発明によれば、樹脂本来の特性を損なうことなく、高い難燃性を達成する植物由来原料を用いた難燃性樹脂組成物が得られる。
以下本発明の難燃性樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。
本発明においてポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、下記式(A−1)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂であり、全カーボネート構成単位中、下記式(A−1)で表わされる構成単位は50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましく、90モル%以上がもっとも好ましい。
Figure 2010001362
また、本発明において樹脂成分は、上記ポリカーボネート樹脂(A−1成分)が構成樹脂成分(A成分)中主たる成分を占めればよく、ポリカーボネート樹脂(A−1成分)が少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%であればよい。A成分中50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下が他の樹脂(A−2成分)であってもよい。この他の樹脂については後で詳しく説明する。
本発明の構成樹脂成分(A成分)中のポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、ASTM D6866 05に準拠して測定された生物起源物質含有率が25%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。本発明の性質上、生物起源物質含有率は高いほうが良く、25%より低い場合はバイオマス材料とは言い難い。
該ポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度の下限は0.14以上が好ましく、より好ましくは0.20以上であり、特に好ましくは0.22以上である。また上限は0.45以下が好ましく、より好ましくは0.37以下であり、さらに好ましくは0.34以下である。比粘度が0.14より低くなると本発明のポリカーボネート樹脂組成物より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.45より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまう。また、該ポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600sec-1の条件下で0.08×10〜2.4×10Pa・sの範囲にあることが好ましく、0.1×10〜2.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.1×10〜1.5×10Pa・sの範囲がさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると機械的強度に優れ、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際に成形時のシルバーの発生等が無く良好である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、そのガラス転移温度(Tg)の下限は100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であり、また上限は165℃以下が好ましい。Tgが100℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、165℃を超えると本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の溶融流動性に劣る。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、その5%重量減少温度の下限は300℃以上が好ましく、より好ましくは320℃以上であり、また上限は400℃以下が好ましく、より好ましくは390℃以下であり、さらに好ましくは380℃以下である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、下記式(a)
Figure 2010001362
で表されるエーテルジオールおよび炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
Figure 2010001362
Figure 2010001362
Figure 2010001362
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるD−グルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
また本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、その特性を損なわない範囲で脂肪族ジオール類または芳香族ビスフェノール類との共重合としても良い。かかる脂肪族ジオールとしては、炭素数3〜12の直鎖脂肪族ジオール、炭素数6〜20の脂環式ジオール、が好ましく用いられる。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状ジオール類や、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式アルキレン類などが挙げられ、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびシクロヘキサンジメタノールが好ましい。また本発明は植物などの再生可能資源から得られる原料上記式(a)を主成分として持つ事から、植物由来のジオール類も好ましく用いられる。具体的にはテルペン成分を含むジオール類が挙げられる。
芳香族ビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン等が挙げられる。これら脂肪族ジオール類、芳香族ビスフェノール類は単独または組み合わせて用いることができる。
また本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、その特性を損なわない範囲で末端基を導入することもできる。かかる末端基は、対応するヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。末端基としては下記式(i)または(ii)で表される末端基が好ましい。
Figure 2010001362
Figure 2010001362
上記式(i)、(ii)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(iii)であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または下記式(iii)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または下記式(iii)が好ましい。Yは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
Figure 2010001362
また、上記式(iii)中、R,R,R,RおよびRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基および炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、植物などの再生可能資源から得られる原料を用いたカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、前記式(a)で表されるエーテルジオールを含むビスヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを混合し、エステル交換反応によって生成するアルコールまたはフェノールを高温減圧下にて留出させる溶融重合を行うことによって得ることができる。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜270℃の範囲である。
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10−3〜1.3×10−5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常1〜4時間程度である。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。該重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用することが好ましい。
これらの重合触媒の使用量は、それぞれ炭酸ジエステル成分1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A−1成分)の製造に用いる炭酸ジエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(p−ブチルフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
炭酸ジエステルは全エーテルジオール化合物に対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸エステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
上記製造法により得られたポリカーボネート樹脂(A−1成分)に触媒失活剤を添加する事もできる。触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、その中でもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用する事ができる。
本発明の構成樹脂(A成分)は、前記ポリカーボネート樹脂(A−1成分)の他に他の熱可塑性樹脂(A−2成分)を含有していてもよい。前述したように他の樹脂(A−2成分)はA成分中50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
このA−2成分としての熱可塑性樹脂としてはポリエステル樹脂(PEst)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリオレフィン樹脂(PO)、スチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)およびポリエーテルイミド樹脂(PEI)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらA−2成分のうち、好ましいのはポリエステル樹脂(PEst)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリオレフィン樹脂(PO)およびスチレン系樹脂である。
次のこのA−2成分としての熱可塑性樹脂について具体的に説明する。
A−2成分としてのポリエステル樹脂(PEst)としては、芳香族ポリエステル樹脂或いは脂肪族ポリエステル樹脂から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは芳香族ポリエステル樹脂であり、芳香族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とし、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。好ましくはジカルボン酸成分の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分からなる。一方、グリコール成分は好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上が炭素数2〜10の脂肪族ジオール成分からなる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等を好ましい例として挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。芳香族ジカルボン酸以外の従たるジカルボン酸としては例えばアジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸などを挙げることができる。
炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。炭素数2〜10の脂肪族ジオール以外のグリコールとしては例えばp,p’−ジヒドロキシエトキシビスフェノールA、ポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
芳香族ポリエステル樹脂の好ましい例としては、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、主たるジオール成分がエチレングリコール、トリメチレングリコール、およびテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種のジオールからなるエステル単位を有するポリエステルである。
具体的な芳香族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂およびポリトリメチレンナフタレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である。とりわけポリブチレンテレフタレート樹脂が特に好ましい。
また、本発明の芳香族ポリエステル樹脂として、上記繰り返し単位をハードセグメントの主たる繰り返し単位とするポリエステルエラストマーを用いることもできる。
テトラメチレンテレフタレートまたはテトラメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをハードセグメントの主たる繰り返し単位とするポリエステルエラストマーのソフトセグメントとしては、例えばジカルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸およびアジピン酸より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸からなり、ジオール成分が炭素数5〜10の長鎖ジオールおよびH(OCHCHOH(i=2〜5)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールからなり、さらに融点が100℃以下または非晶性であるポリエステルまたはポリカプロラクトンからなるものを用いることができる。
なお、主たる成分とは、全ジカルボン酸成分または全グリコール成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上の成分であり、主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは90モル%以上の繰り返し単位である。
本発明における芳香族ポリエステル樹脂の分子量は、通常成形品として使用しうる固有粘度を有していればよく、35℃、オルトクロロフェノール中で測定した固有粘度が好ましくは0.5〜1.6dl/g、さらに好ましくは0.6〜1.5dl/gである。
また芳香族ポリエステル樹脂は、末端カルボキシル基(−COOH)量が1〜60当量/T(ポリマー1トン)であるのが有利である。この末端カルボキシル基量は、例えばm−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定法により求めることができる。
A−2成分としてのポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常PPE樹脂として知られたものが使用できる。かかるPPEの具体例としては、(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル等の単独重合体および/あるいは共重合体が挙げられ、特に好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが挙げられる。また、これらのPPEにスチレン化合物がグラフト重合した共重合体であっても良い。かかるPPEの製造法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,306,874号記載の方法による第一銅塩とアミン類の錯体を触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造できる。
PPE樹脂の分子量の尺度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dl、トルエン溶液、30℃測定)は、0.2〜0.7dl/gであり、好ましくは0.3〜0.6dl/gである。還元粘度がこの範囲のPPE樹脂は成形加工性、機械物性のバランスがよく、PPE製造時の触媒量等を調整する事により、容易に還元粘度を調整することが可能である。
A−2成分としてのポリカーボネート系樹脂(PC)とは、塩化メチレン等の溶媒を用いて種々のジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重合反応によって得られるもの、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応により得られるものが挙げられる。代表的なものとしては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートである。
ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどがある。これらのジヒドロキシアリール化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
好ましいジヒドロキシアリール化合物には、耐熱性の高い芳香族ポリカーボネートを形成するビスフェノール類、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルケトンなどである。特に好ましいジヒドロキシアリール化合物には、ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネートを形成する2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
なお、耐熱性、機械的強度などを損なわない範囲であれば、ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネートを製造する際、ビスフェノールAの一部を、他のジヒドロキシアリール化合物で置換してもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は特に制限する必要はないが、あまりに低いと強度が十分でなく、あまりに高いと溶融粘度が高くなり成形し難くなるので、粘度平均分子量で表して通常10,000〜50,000、好ましくは、15,000〜30,000である。ここでいう粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/C=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
(但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
ポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質としてホスゲンを用いる界面重合法(溶液重合法)では、通常酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚結果として得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構造を有する必要はない。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融重合法)では、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノールを炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌し、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行う。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。かかる反応の初期段階で二価フェノール等と同時にまたは反応の途中段階で末端停止剤を添加させる。また反応を促進するために現在公知のエステル交換反応に用いられる触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
A−2成分としてのポリアミド樹脂(PA)としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミドおよびポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。本発明に使用できるポリアミドとしては特に限定されるものではない。
このようなポリアミド樹脂の分子量としては特に限定されるものではないが、98%硫酸中、濃度1%、25℃で測定する相対粘度が1.7〜4.5を使用することができ、好ましくは、2.0〜4.0、特に好ましくは2.0〜3.5である。
A−2成分としてのポリオレフィン樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類の単重合体もしくは共重合体、あるいはこれらのオレフィン類と共重合可能な単量体成分との共重合体である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等が挙げられる。これらポリオレフィン樹脂の分子量に関しては特に限定されるものではないが、高分子量のものほど難燃性が良好となる。
A−2成分としてのスチレン系樹脂とは、スチレン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体の単独重合体または共重合体、これらの単量体とアクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニル単量体との共重合体、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムなどにスチレンおよび/またはスチレン誘導体、またはスチレンおよび/またはスチレン誘導体と他のビニルモノマーをグラフト重合させたものである。スチレン系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)等の樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。耐衝撃性の観点からは、ゴム変性スチレン系樹脂が好ましく、ゴム変性スチレン系樹脂はビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体、必要に応じてビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合することにより得られる。
前記ゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴムおよび上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
上記のゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト共重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ましい。
必要に応じて添加することが可能な、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
ゴム変性スチレン樹脂におけるゴム状重合体は、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%である。グラフト重合可能な単量体混合物は、99〜50重量%、好ましくは98〜60重量%である。
A−2成分としてのポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)は下記式で表される繰返し単位を有する。
Figure 2010001362
式中、nは1以上の整数であり、50〜500の整数が好ましく100〜400の整数がより好ましく、直鎖状、架橋状いずれであってもよい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂の製造方法の例としてはジクロロベンゼンと二硫化ナトリウムとを反応させる方法が挙げられる。架橋状のものは低重合度のポリマーを重合ののち、空気の存在下で加熱し、部分架橋を行い高分子量化する方法で製造することができ、直鎖状のものは重合時に高分子量化する方法で製造することができる。
A−2成分としてのポリエーテルイミド樹脂(PEI)は、下記式で表される繰返し単位を有する。
Figure 2010001362
式中のArは芳香族ジヒドロキシ化合物残基を示し、Arは芳香族ジアミン残基を示す。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前述したポリカーボネート樹脂の説明で示した芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、特にビスフェノールAが好ましい。芳香族ジアミンとしてはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンおよびジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられる。
前記式中のnは5〜1,000の整数を示し、10〜500の整数が好ましい。
また、ポリエーテルイミド樹脂の製造方法の例は、米国特許第3,847,867号、米国特許第3,847,869号、米国特許第3,850,885号、米国特許第3,852,242号および米国特許第3,855,178号などに記載されている。
前述した種々のA−2成分のうち、ポリエステル樹脂(PEst)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)またはスチレン系樹脂が好ましい。
本発明において、B成分として使用する有機リン化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 2010001362
(式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
Figure 2010001362
(式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
好ましくは下記式(3)および(4)で表される有機リン化合物よりなる群から選択される1種または2種以上の混合物である。
Figure 2010001362
(式中、R、Rは同一または異なっていてもよく、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。R、R、R、Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状のアルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基から選択される置換基である。)
Figure 2010001362
(式中、ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R11、R12、R13およびR14は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。ALおよびALは、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。)
さらに、好ましくは下記式(5)、(6)、(7)、(8)で表されるリン系化合物である。
Figure 2010001362
式中、R21、R22は同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、そのうちフェニル基が好ましい。R21およびR22のフェニル基、ナフチル基またはアントリル基は、その芳香環の水素原子が置換されていてもよく、置換基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチルもしくはその芳香環の結合基が、酸素原子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
Figure 2010001362
上記式(6)において、R31およびR34は、同一又は異なっていても良く、水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、特に好ましくは水素原子である。R33およびR36は、同一または異なっていても良く、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、好ましくはメチル基またはエチル基である。R32およびR35は、同一または異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。好ましくはフェニル基を表し、芳香族環上の炭素原子を介してリンに結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウまたは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。
上記式(6)中、R32およびR35の好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等を挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
Figure 2010001362
上記式(7)において、ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R11、R12、R13およびR14は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。好ましくはフェニル基を表し、芳香族環上の炭素原子を介してリンに結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウまたは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。
上記式(7)中、ArおよびArの好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
上記式(7)中、ALおよびALは、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。好ましくは炭素数1〜3の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数1〜2の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。
上記式(7)中、ALおよびALの好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられ、特にメチレン基、エチレン基、およびエチリデン基が好ましい。
上記式(7)中、ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。好ましくはフェニル基を表し、芳香族環上の炭素原子を介してリンに結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウまたは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。
上記式(7)中、pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。pおよびqは、好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
Figure 2010001362
上記式(8)において、R41およびR44は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。好ましくは水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、または置換基を有しても良いフェニル基である。R41およびR44がフェニル基の場合、芳香族環上の炭素原子を介してリンに結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウまたは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。
上記式(8)中、R41およびR44の好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基(異性体を含む)、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特に水素原子、メチル基、またはフェニル基が好ましい。
42、R43、R45およびR46は、同一または異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。好ましくは、フェニル基を表し、芳香族環上の炭素原子を介してリンに結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウまたは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。
上記式(8)中、R42、R43、R45およびR46の好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
前記式(1)で表される有機リン化合物(B成分)は、当該樹脂に対して極めて優れた難燃効果を発現する。本発明者らが知る限り、従来当該樹脂のハロゲンフリーによる難燃化において、少量の難燃剤での難燃化は困難であり、実用上多くの問題点があった。
ところが本発明によれば、前記有機リン化合物(B成分)は驚くべきことにそれ自体単独の少量使用により当該樹脂の難燃化が容易に達成され、樹脂本来の特性を損なうことが無い。
しかし本発明ではB成分の他に、B成分以外のリン化合物、フッ素含有樹脂または他の添加剤を、B成分の使用割合の低減、成形品の難燃性の改善、成形品の物理的性質の改良、成形品の化学的性質の向上またはその他の目的のために当然配合することができる。これらの他の配合成分については後に具体的に説明する。
本発明の難燃性樹脂組成物における難燃剤としての有機リン化合物(B成分)は、前記式(1)で表されるが、最も好ましい代表的化合物は下記式(1−a)、(1−b)、(1−c)、(1−d)で示される化合物である。
Figure 2010001362
Figure 2010001362
Figure 2010001362
Figure 2010001362
次に本発明における前記有機リン化合物(B成分)の合成法について説明する。B成分は、以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。
B成分は例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでアラルキルハライドを反応させることにより得られる。
また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアラルキルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
B成分の具体的合成法を以下説明するが、この合成法は単に説明のためであって、本発明において使用されるB成分は、これら合成法のみならず、その改変およびその他の合成法で合成されたものであってもよい。より具体的な合成法は後述する調製例に説明される。
(I)B成分中の前記(1−a)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、ベンジルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
(II)B成分中の前記(1−b)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、1−フェニルエチルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
(III)B成分中の前記(1−c)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、2−フェニルエチルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
(IV)B成分中の前記(1−d)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールにジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを反応させることにより得ることができる。
また別法としては、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、得られた生成物とジフェニルメチルアルコールの反応生成物を触媒共存下で加熱処理する事により得られる。
前述したB成分は、その酸価が0.7mgKOH/g以下、好ましくは0.5mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のB成分を使用することにより、難燃性および色相に優れた成形品が得られ、かつ熱安定性の良好な成形品が得られる。B成分は、その酸価が0.4mgKOH/g以下のものが最も好ましい。ここで酸価とは、サンプル(B成分)1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
さらに、B成分は、そのHPLC純度が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%であるものが使用される。かかる高純度のものは成形品の難燃性、色相、および熱安定性に優れ好ましい。ここでB成分のHPLC純度の測定は、以下の方法を用いることにより効果的に測定が可能となる。
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μlを注入した。検出器はUV−260nmを用いた。
B成分中の不純物を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、水、メタノール等の溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す)を行う方法が最も効果的で、且つコスト的にも有利である。
前記B成分は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜70重量部の範囲で配合される。B成分の配合割合は、所望する難燃性レベル、樹脂成分(A成分)の種類などによりその好適範囲が決定される。これら組成物を構成するA成分およびB成分以外であっても必要に応じて他の成分を本発明の目的を損なわない限り使用することができ、他の難燃剤、難燃助剤、フッ素含有樹脂の使用によってもB成分の配合量を変えることができ、多くの場合、これらの使用によりB成分の配合割合を低減することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の調製は、樹脂成分(A成分)、有機リン化合物(B成分)および必要に応じてその他成分を、V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフローター、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて予備混合し、かかる予備混合物は混練機に供給し、溶融混合する方法が好ましく採用される。混練機としては、種々の溶融混合機、例えばニーダー、単軸または二軸押出機などが使用でき、なかでも二軸押出機を用いて樹脂組成物を220〜280℃、好ましくは230〜270℃の温度で溶融して、サイドフィーダーにより液体成分を注入し、押出し、ペレタイザーによりペレット化する方法が好ましく使用される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、実質的にハロゲンを含有せず、非常に高い難燃性能を有し、家電製品部品、電気・電子部品、自動車部品、機械・機構部品、化粧品容器などの種々の成形品を成形する材料として有用である。具体的には、ブレーカー部品、スイッチ部品、モーター部品、イグニッションコイルケース、電源プラグ、電源コンセント、コイルボビン、コネクター、リレーケース、ヒューズケース、フライバクトランス部品、フォーカスブロック部品、ディストリビューターキャップ、ハーネスコネクターなどに好適に用いることができる。さらに、薄肉化の進むハウジング、ケーシングまたはシャーシ、例えば、電子・電気製品(例えば電話機、パソコン、プリンター、ファックス、コピー機、テレビ、ビデオデッキ、オーディオ機器などの家電・OA機器またはそれらの部品など)のハウジング、ケーシングまたはシャーシに有用である。特に優れた耐熱性、難燃性が要求されるプリンターの筐体、定着ユニット部品、ファックスなど家電・OA製品の機械・機構部品などとしても有用である。
成形方法としては射出成形、ブロー成形、プレス成形等、特に限定されるものではないが、好ましくはペレット状の樹脂組成物を射出成形機を用いて、射出成形することにより製造される。
本発明の難燃性樹脂組成物およびそれから形成された成形品は、従来の植物由来原料を用いた樹脂組成物に比べて下記の利点が得られる。
(i)実質的にハロゲン含有難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有する植物由来原料を用いた樹脂組成物が得られる。
(ii)難燃剤としての有機リン化合物は、植物由来原料を用いた樹脂に対して優れた難燃効果を有するので、比較的少ない使用量でもV−2レベルが達成される。
(iii)難燃剤として使用する有機リン化合物の構造並びに特性に起因して、植物由来原料を用いた樹脂の成形時または成形品の使用時に、植物由来原料を用いた樹脂の熱劣化をほとんど起さず、熱安定性に優れた樹脂組成物が得られる。従って難燃性、機械的強度および熱安定性がいずれもバランスよく優れた組成物が得られる。
(iv)難燃剤としての有機リン化合物は、無色であり植物由来原料を用いた樹脂に対して相溶性であるから、透明性に優れた成形品を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が30秒以内で消火するものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
(2)酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−1)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン26.50部を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にてベンジルブロマイド2037.79g(11.91モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶1863.5g(4.56モル)を得た。得られた結晶は31P、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイドである事を確認した。収率は76%、31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.06mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d,120MHz):δ23.1(S)、融点:255−256℃、元素分析 計算値:C,55.89;H,5.43、測定値:C,56.24;H,5.35
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール40mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は20.60g、収率は91%、31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.05mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d,120MHz):δ23.1(S)、融点:257℃
調製例3
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−3)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて1−フェニルエチルブロマイド2204.06g(11.91モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶1845.9g(4.23モル)を得た。得られた固体は31PNMR、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.0−4.2(m,4H),3.4−3.8(m,4H),3.3(qd,4H),1.6(ddd,6H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ28.7(S)、融点:190−210℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,57.83;H,5.96
調製例4
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−4)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて(2−ブロモエチル)ベンゼン2183.8g(11.8モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の粉末1924.4g(4.41モル)を得た。得られた固体は31PNMR、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
調製例5
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−5)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。得られた白色固体状の反応物にメタノール2000mlを加えて攪拌洗浄後、グラスフィルターを用いて白色粉末を濾別した。次いで濾別した白色粉末をとメタノール4000mlをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2000mLで洗浄した。得られた白色粉末を100Pa、120℃で8時間乾燥させて、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド362.3gを得た。生成物は質量スペクトル分析、H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビス2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。収率83%、HPLC純度99.3%、酸価0.41KOHmg/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃
調製例6
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−6)の調製
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三つ口フラスコに、ジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを2058.5g(7.22モル)とペンタエリスリトール468.3g(3.44モル)、ピリジン1169.4g(14.8モル)、クロロホルム8200gを仕込み、窒素気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後、クロロホルムを塩化メチレンで置換し、当該反応混合物にに蒸留水6Lを加え攪拌し、白色粉末を析出させた。これを吸引濾過により濾取し、得られた白色物をメタノールを用いて洗浄した後、100℃、1.33×10Paで10時間乾燥し、白色の固体1156.2gを得た。得られた固体は31P−NMR、H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31P−NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.3mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.20−7.60(m,20H),5.25(d,2H),4.15−4.55(m,8H)、31P−NMR(DMSO−d6,120MHz):δ20.9、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
調製例7
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−7)の調製
3口フラスコに攪拌機、温度計、およびコンデンサーを取り付け、窒素気流下、このフラスコに3,9−ビス(ジフェニルメトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン40.4g(0.072モル)、ジフェニルメチルブロマイド35.5g(0.14モル)、キシレン48.0g(0.45モル)を入れ、還流温度(約130℃)で3時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン30mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン30mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール100mLをナス型フラスコにいれ、コンデンサーを取り付け、約1時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール50mLで2回洗浄した後、120℃にて減圧乾燥した。得られた固体は31P−NMR、H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。得られた固体は白色の粉末であり、収量は36.8g、収率は91%であった。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.07mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.6(m,20H),6.23(d,J=9Hz、2H),3.89−4.36(m,6H),3.38−3.46(m,2H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ20.9(S)、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
調製例8
ポリカーボネート樹脂(PC−1)の調製
イソソルビド7307重量部(50モル)とジフェニルカーボネート10709重量部(50モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを4.8重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを5.0×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温した後、20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し、30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に260℃まで昇温し、最終的に260℃、6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。反応後のポリマーをペレット化し、比粘度が0.33のペレットを得た。このペレットのガラス転移温度は165℃、5%重量減少温度は355℃であった。
調製例9
ポリカーボネート樹脂(PC−2)の調製
最終的に255℃、6.66×10−5MPaで30分反応せしめた以外は参考例8と同様にして、比粘度が0.23のペレットを得た。このペレットのガラス転移温度は158℃、5%重量減少温度は353℃であった。
調製例10
ポリカーボネート樹脂(PC−3)の調製
イソソルビド6722重量部(46モル)とジフェニルカーボネート10709重量部(50モル)と1,3−プロパンジオール304重量部(4モル)とした以外は参考例8と同様にして比粘度が0.28のペレットを得た。このペレットのガラス転移温度は146℃、5%重量減少温度は342℃であった。
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(I)ポリカーボネート樹脂(A成分)
(i)調製例8で合成したポリカーボネート樹脂(以下PC−1と称する)
(ii)調製例9で合成したポリカーボネート樹脂(以下PC−2と称する)
(iii)調製例10で合成したポリカーボネート樹脂(以下PC−3と称する)
(II)有機リン化合物(B成分)
(i)調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{式(1−a)のリン系化合物(以下FR−1と称する)}
(ii)調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{式(1−a)のリン系化合物(以下FR−2と称する)}
(iii)調製例3で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド{式(1−b)のリン系化合物(以下FR−3と称する)}
(iv)調製例4で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド{式(1−c)のリン系化合物(以下FR−4と称する)}
(v)調製例5で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド{式(1−c)のリン系化合物(以下FR−5と称する)}
(vi)調製例6で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{式(1−d)のリン系化合物(以下FR−6と称する)}
(vii)調製例7で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{式(1−d)のリン系化合物(以下FR−7と称する)}
(III)その他の有機リン化合物
(i)トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製TPP)を用いた(以下TPPと称する)
(ii)1,3−フェニレンビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)フォスフェート](大八化学工業(株)製PX−200)を用いた(以下PX−200と称する)
[実施例1〜21および比較例1〜9]
表1〜3記載の各成分を表1〜3記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化した。得られたペレットを130℃の熱風乾燥機にて4時間乾燥を行った。乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製 J75EIII)にて成形した。成形板を用いて評価した結果を表1〜3に示した。
Figure 2010001362
Figure 2010001362
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Claims (16)

  1. (A)下記式(A−1)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A−1成分)を少なくとも50重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部に対して、(B)下記式(1)で表される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有する難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    Figure 2010001362
    (式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
    Figure 2010001362
    (式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
  2. ポリカーボネート樹脂(A−1成分)は、ガラス転移温度(Tg)が100℃〜165℃であり、かつ5%重量減少温度(Td)が300℃〜400℃である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 式(A−1)で表されるカーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来のカーボネート構成単位である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 有機リン化合物(B成分)が下記式(3)および(4)で表される有機リン化合物よりなる群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    (式中、R、Rは同一または異なっていてもよく、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。R、R、R、Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状のアルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基から選択される置換基である。)
    Figure 2010001362
    (式中、ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R11、R12、R13およびR14は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。ALおよびALは、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。)
  5. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(5)で表される請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    (式中、R21、R22は同一もしくは異なり、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。)
  6. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(1−a)で示される化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
  7. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(6)で表される請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    (式中、R31およびR34は、同一又は異なっていても良く、水素原子または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基である。R33およびR36は、同一または異なっていても良く、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。R32およびR35は、同一または異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。)
  8. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(1−b)で示される化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
  9. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(7)で表される請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    (式中、ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R11、R12、R13およびR14は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。ALおよびALは、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。ArおよびArは、同一又は異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。)
  10. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(1−c)で示される化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
  11. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(8)で表される請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
    (式中、R41およびR44は、同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R42、R43、R45およびR46は、同一または異なっていても良く、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。)
  12. 有機リン化合物(B成分)が、下記式(1−d)で示される化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010001362
  13. 有機リン化合物(B成分)の酸価が0.7mgKOH/g以下である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  14. UL−94規格の難燃レベルにおいて、少なくともV−2を達成する事ができる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  15. A成分100重量部に対して、B成分が2〜70重量部の割合で含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  16. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物より形成された成形品。
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