JP2010000445A - リーンバーン自動車排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、浄化が困難であったディーゼル自動車排ガスを効率的に浄化処理するための有効なディーゼル自動車排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒と陽イオン交換クリノプチロライト及び又は陽イオン交換エリオナイトとを複合した触媒を用いて、リーンバーン排ガスを浄化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リーンバーン自動車が排出する排ガスを浄化するための浄化用触媒に関する。
従来、ガソリン車の排ガスに含まれるNOx、一酸化炭素、及び炭化水素は、白金族元素から成る三元触媒によって浄化されている。三元触媒の主成分である白金族触媒は、酸素濃度が1%以下であるリッチバーン排ガス中のNOをNOに酸化する能力が高く、NOを還元性物質によってNO及び窒素に還元する能力も高く、又、還元性物質を酸素によって完全酸化する能力も高い。三元触媒は、通常、触媒支持体としてコージェライト製のモノリス成形体を用い、該成形体のガス流路内壁に数μm〜数十μmの大きさの活性アルミナ粒子を塗布し、該塗布層に数十nm〜数百nmの大きさの白金−パラジウム−ロジウム粒子を担持させた構造となっている。三元触媒による浄化方法は、空気:燃料の重量混合比である空燃比を理論空燃比(14.7:1)近傍に制御することで(この燃焼はリッチバーンと呼ばれている)排ガスに含まれる酸素濃度を1%以下に維持できるので、排ガスに含まれる一酸化炭素及び炭化水素をNOxの還元剤として利用できるという利点を持つが、排ガス中の酸素濃度が数%以上になると触媒の著しい酸化劣化が生じるという問題がある。
また、軽油燃料で走行するトラック、バス等の大型ディーゼル車の排ガス処理は、触媒として遷移金属化合物及び白金族元素を用い還元剤として尿素水を用いる所謂尿素SCR法が検討されている。この方法は、200℃付近の比較的低温付近から600℃付近の比較的高温領域に渡ってNOxを効率的に浄化できるという利点を持つが、還元剤として高価な尿素水の搭載が必要であるという問題と200℃付近以下の低温排NOxの多くが硝酸アンモニウムとして排出されるので水質環境汚染を招くという問題がある。
尿素水以外の還元剤を用いる方法としては、排ガス中の炭化水素(少量含有されるエチレン、プロピレン等の低級オレフィンが還元性を有する)を還元剤として用いるハイドロカーボンSCR法が古くから検討されている。この方法はリッチバーン排NOxに対しては高い浄化率が得られるが、リーンバーン排NOxに対しては200℃近辺の非常に狭い温度領域でしか処理できないという問題があるので実用化されていない。最近、改質触媒によって排ガス中に含有される一酸化炭素から水性ガスシフト反応によって水素を発生させ、白金系の触媒上でNOと反応させてアンモニアを発生させ、発生したアンモニアをゼオライト系材料によって吸着させ、生成したアンモニアによってNOxを浄化する方法が提案されている(特許文献1参照)。
一方、ディーゼル乗用車等の小型ディーゼル車の排NOx処理には三元触媒が使用できない。それは、空燃比がガソリンの数倍以上であるので(ディーゼル燃料の燃焼はリーンバーンである)ディーゼル排ガス中の酸素濃度が通常5%以上であり還元性物質がほとんど含まれていないためである。同様の理由でリーンバーンガソリン車の排ガスも三元触媒だけでは浄化が難しい。三元触媒の主成分である白金族触媒は、前述の如く、NOをNOに酸化する能力は高いが、NOを還元性物質によってNO及び窒素に還元する能力も高く、又、還元性物質を酸素によって完全酸化する能力も高いので、従来の白金を主体とした触媒を酸素濃度の高いリーンバーンの排ガスと直接接触させると、リーンバーン排ガスに燃焼しやすい水素、一酸化炭素、ハイドロカーボン等の還元性物質を供給した場合にはNOxの処理温度帯域がおよそ200℃〜250℃の非常に狭い領域に限定されるからである。一方、遷移金属酸化物は実用に供されていないが、酸化還元力が白金よりも低いので、250℃〜400℃の範囲がNOxの処理温度帯域であることが報告されている。従来、処理温度帯域を拡大するために上記白金族触媒と遷移金属酸化物触媒を混合することが検討されているが、単に混合するだけでは目的を達成することはできなかった。その理由として、混合触媒に於ける白金触媒の酸化力が強すぎるために排ガス成分に含まれる還元性物質の殆どが白金触媒によって消費されてしまうからであると考えられる。
また、リーンバーンガソリン車及び小型ディーゼル車の排NOx処理には、現在、触媒として白金族触媒にNOx吸蔵剤を添加した所謂NOx吸蔵還元触媒が検討されている(例えば、特許文献2など)。この方法は、リーンバーンだけでは排NOx浄化が困難であるので、リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式を行なっている。この方法でのNOx浄化は、リーンバーン排NOxをNOx吸蔵剤で吸収し、吸収NOxをリッチバーン雰囲気下で放出させ、放出NOxをリッチバーン排ガス中に供給した燃料もしくはリッチバーン排ガス中に存在する多量の一酸化炭素、水素、炭化水素等の還元性物質を用いて白金族触媒上で還元処理するという考えに立脚している。リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式とNOx吸蔵還元触媒を用いた浄化方法は、ガソリン乗用車の排ガス処理に用いられている三元触媒が使用できないような高濃度の酸素雰囲気中でも250℃付近から600℃付近に渡ってNOxを浄化できるという利点をもつが、200℃付近以下でのNOx浄化は非常に困難であるという問題がある。また、排ガス中の水分及びSOxによってNOx吸蔵剤が著しく劣化するので、通常750℃以上での定期的な高温処理による触媒再生が必要であり、再生処理によって触媒は著しく熱劣化するという問題がある。
また、上記リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式は、内燃機関における燃焼と酸素濃度を精密に制御するための高度で複雑な制御システムの搭載を必要とするので、リーンバーンだけの排ガスでもNOx浄化ができるのであれば上記の制御システムが簡略化できるので、このようなリーンバーン専用車のためのNOx浄化用触媒が望まれている。
このような事情から、最近、リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式に代わる方法として、還元剤の少ないリーンバーンと還元剤の豊富なリーンバーンを交互に繰り返す燃焼方式が検討されはじめた。これはポストインジェクション方式と呼ばれる方式であり、通常のリーンバーンから次のリーンバーンに移行するまでの非常に短い時間に少量の燃料噴射をする燃焼方式である。この方式は、リーンバーン直後のまだ高温状態にある燃焼室に少量の燃料噴射をすることによって該噴射燃料を熱分解し、それによって低級炭化水素を生成させる方式である。この方式を行なえば、低級炭化水素が豊富に存在するリーンバーン排ガスを発生させることができる。ただし、この低級炭化水素は、一酸化炭素やエチレン、プロピレン等の還元性能の高い不飽和低級炭化水素と違って還元性能の低いC〜C12の飽和及び不飽和炭化水素が主成分である。従来の三元触媒やNOx吸蔵還元触媒等の公知の排ガス浄化用触媒では、ポストインジェクション方式で排出される排ガスのNOx処理が困難であるので、このような炭化水素でも排NOxを還元することができる従来にない画期的な高活性のNOx浄化触媒の開発が必要とされている。
また、ゼオライトは一酸化炭素、炭化水素、アンモニア、酸素などの小分子を吸着する性質や触媒活性を有することが古くから知られており、その性質を排ガス処理のために利用することが数多く提案されている。例えば、ガソリン車のコールドスタート時に排出される排ガス中に含まれる炭化水素をトラップするためにゼオライト系の分子篩を用いて吸着する方法(非特許文献1参照)、ゼオライトの一種である陽イオン交換モルデナイトによるプロピレンを用いたNOの選択還元処理(非特許文献2参照)、合成ゼオライトであるZSM−5を白金担持触媒層の上にダブルウオッシュコートしたハニカム触媒によるリーンNOx処理(非特許文献3参照)、炭化水素とNOxを同時に分解除去するためにゼオライト等の分子篩に白金等の貴金属触媒を担持した触媒及びその製造方法(特許文献3参照)、酸化触媒を担持したゼオライトによる排ガス中の炭化水素の酸化分解除去(特許文献4参照)、トンネル中に排出されたNOxをゼオライトによって吸着除去する方法(特許文献5参照)、ゼオライト材料を用いて排ガス中の炭化水素をトラップする方法(特許文献6参照)、ハニカムコートされた触媒層の下層にゼオライト層を設け上層に白金系の触媒層を設けて炭化水素とNOxを同時に分解除去する方法(特許文献7参照)、上流に設けたゼオライトによって排ガス中の炭化水素を一時的にトラップし下流に設けた三元触媒によって脱離炭化水素を浄化する方法(例えば、特許文献8〜12参照)、等が提案されている。しかしながら、これまで、ゼオライト系の炭化水素吸着剤を用いて200℃以下での低温領域におけるリーンバーン排NOxを効率的に浄化できるという報告は殆ど知られていない。
ところで、国内で走行しているディーゼル自動車の殆どはトラック、バス等の大型自動車であり、乗用車は殆ど皆無であるので、ディーゼル自動車といえば、実質的に大型自動車のことをいうのであるが、排出する排ガスの温度は過渡走行時でおよそ100℃〜200℃であり安定走行時でおよそ200℃〜400℃であり、排出されるNOxの約80%が過渡走行時に排出されている。
以上のことから、ディーゼル自動車の排ガス処理に要求される触媒は、リーンバーンだけの燃焼方式で排出される排ガスに対して、上記100℃〜200℃の低温領域のリーンバーン排NOxに対して高活性であり尚且つ200℃〜400℃の中温領域のリーンバーン排NOxに対しても高活性であることが望まれているが、現在のところ250℃以下のリーンバーン排NOxに対して有効なNOx浄化用触媒は見出されていない。
一般に、工業的な触媒は多孔性材料に担持した状態で使用されることが多い。多孔性材料の細孔は、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)によると、細孔直径が2nm以下のミクロ細孔、2〜50nmのメソ細孔、及び50nm以上のマクロ細孔に分類されている。ミクロからメソの範囲に渡る広い分布を持つような単一の多孔性物質は活性炭以外には知られていない。
近年、細孔径が数nmの細孔が規則的に配列し、比表面積が400〜1100m/gという非常に大きな値を有するシリカ、アルミナ、及びシリカアルミナ系のメソポーラス分子篩が開発された。これらは、例えば、特許文献13〜14に開示されており、細孔の細孔配列があたかも結晶性物質の原子配列に類似していることから結晶性メソポーラス分子篩と命名されている。
触媒反応は表面反応であるので、触媒の比表面積が大きいほど触媒活性が高い。また、触媒を担持するための担体は比表面積が大きいほど触媒活性を発現しやすい。このような観点から自動車用三元触媒をみると、支持体としてのモノリス成形体は成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体であり、比表面積が0.2m/g、担体としてのアルミナ粒子の比表面積が110〜340m/gであり、触媒の比表面積は粒径から20〜40m/g程度であると推察される。したがって、従来の触媒粒子の粒径よりも一桁から二桁小さいナノサイズの触媒粒子を上記のようなメソポーラス材料の細孔内に担持することによって触媒の表面積は従来の三元触媒の10〜10倍大きくなるので、これをモノリス成形体に塗布することによって自動車排ガスに対する触媒活性の向上を図ることが考えられ、この考えは、例えば、特許文献15〜19に開示されている。しかし、ディーゼル自動車等が排出する100℃〜200℃付近の低温排NOxを効果的に除去することは困難であった。
WO2005/103461号公報 特開2001−170487号公報 特開2004−269276号公報 特開平05−031359号公報 特開平01−155934号公報 特開2004−019439号公報 特開2001−300319号公報 特開平06−074019号公報 特開平07−144119号公報 特開平06−142457号公報 特開平05−059942号公報 特開平07−102957号公報 特開平05−254827号公報 特表平05−503499号公報 米国特許第5,143,707号明細書 特開2001−009275号公報 特開2002−210369号公報 特開2002−320850号公報 特開2003−135963号公報 SAE,2000−01−0892(2000). 第99回触媒討論会,討論会A予稿集,1P47(平成19年3月). Applied Catalysis B:Environmental 19(1998)127−135.
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、従来困難であったリーンバーン排ガスを低温領域から中温領域に渡って効率的に浄化するための自動車用排ガス浄化用触媒を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒(以下、メソポーラス触媒と云う)とゼオライトの中から選ばれた特定のゼオライトに対して陽イオン交換を施したゼオライトとから成る触媒がリーンバーン排ガスに対して特に低温領域から中温領域に渡って非常に有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1.メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒と陽イオン交換クリノプチロライトから成ることを特徴とするリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒。
2.メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒と陽イオン交換エリオナイトから成ることを特徴とするリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒。
3.該陽イオンが、遷移金属イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの中から選ばれた少なくとも1種類以上の陽イオンであることを特徴とする上記1.及び2.に記載のリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒に関する。
本発明の自動車排ガス浄化用触媒は、排ガス中に含まれる極めて低濃度の炭化水素でも効果的に利用できるので、従来達成できなかったリーンバーン排NOx処理を低温領域から中温領域に渡って極めて効率よく行なうことができる。例えば、三元触媒では、排ガス中に炭化水素が大量に存在しても酸素濃度10%の雰囲気下ではNOxはほとんど浄化できないが、本発明触媒を用いると、数万/h以上の実用的な空塔速度(SV:pace−elocityの略)の条件で、排ガス中に数百ppm〜500ppm程度の炭化水素があれば、酸素濃度10%のリーンバーン排NOxの75〜85%を180℃から200℃において浄化でき、30〜40%を200℃から300℃にかけて浄化できる。また、同時に、炭化水素もほとんど浄化できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
従来の三元触媒は、酸素濃度が1%よりも低い雰囲気で還元性物質がNOxのモル濃度の10倍程度あれば250℃〜600℃に渡ってNOxをほぼ100%浄化できる。しかし、酸素濃度が数%以上の雰囲気では、還元性物質が豊富でも量的に酸素による酸化消費に見合う分以上の大過剰でない限りは、高温であるほどNOx浄化率が激減する。これは、三元触媒が酸素によって被毒されるという原因では十分に説明できない。おそらく温度が250℃以上を超えたあたりから触媒上での還元性物質の完全燃焼反応がNOx還元反応よりも著しく早くなるからであろうと考えられる。
本発明における排ガス浄化用触媒は、このような好ましくない触媒反応を改善した触媒であり、これによってリーンバーン排NOxを低温領域から中温領域にかけて効率的に浄化するものである。
すなわち、本発明は、リーンバーン排ガスを浄化するための自動車排ガス浄化用触媒であり、具体的には、メソポーラス触媒と陽イオン交換クリノプチロライト及び又は陽イオン交換エリオナイトから成ることを特徴とするリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒である。本発明におけるリーンバーンとは、排ガス中の酸素イオン濃度が1%以上であることを言い、通常、酸素濃度が5%以上であることを言う。該NOx酸化触媒の役割は、低温領域のリーンバーン雰囲気でNOをNOに酸化することである。また、上記陽イオン交換を施した特定のゼオライトの役割は、主として排ガス中の炭化水素を吸着することによって細孔内に貯蔵し、NOx酸化触媒によって消費された炭化水素を補給する形で供給することであると考えているが、以下で説明するように炭化水素の吸着性だけでは本発明の効果を十分に説明できない。本発明では、メソポーラス触媒と陽イオン交換を施した特定のゼオライトから成る。通常は、両方の材料をミクロ分散させた混合物として用いるが、それぞれの材料を薄膜状の多層構造に積層して用いることもできる。混合物として使用するときの配合割合は、NOx酸化触媒に対して通常は同量から10倍までの範囲でゼオライトを配合するが、炭化水素の含有量に応じてNOx酸化触媒よりも少ない量を配合することもできる。また、本発明陽イオン交換を施した特定のゼオライトに於ける陽イオンは、遷移金属イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少なくとも一種類以上の陽イオンである。遷移金属イオンとしては、4族から11族の金属イオンが好ましく、中でも鉄イオン、及び銅イオンがさらに好ましい。アルカリ金属イオンとしては、1族のアルカリ金属イオンのすべてが使用できるが、中でもナトリウム、カリウム、セシウムイオンがさらに好ましい。アルカリ土類金属イオンとしては、2族のアルカリ土類金属イオンのすべての金属イオンが使用できるが、中でも、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムイオンがさらに好ましい。
本発明は、30種類以上の天然ゼオライト、及び80種類以上の合成ゼオライトの中から、特に、クリノプチロライト及びエリオナイトが本発明の目的のために最も効果的であることを見出すことができた。ゼオライトは、炭化水素の吸着、アンモニアの吸着、各種の触媒機能を有する材料であるので、クリノプチロライト及びエリオナイトの炭化水素吸着量を他のゼオライトと比較してみたが、特に吸着性が高いということではなかった。例えば、炭化水素の吸着性についてはモルデナイトやZSM−5のほうがはるかに優れており、アンモニアの吸着性についてはゼオライトXのほうが優れていた。また、クリノプチロライト及びエリオナイトに類似の細孔径と結晶構造を有するゼオライトにはさほどの触媒効果はみられなかったので、クリノプチロライト及びエリオナイトに見られる特異的な効果であると考えられる。なお、クリノプチロライトとエリオナイトは、細孔径と結晶構造がかなり相違しているので両者の材料には構造的な類似性はあまりない。本発明の陽イオン交換ゼオライトは塩基性物質ではないので、従来のNOx吸蔵還元触媒にみられるようなSOxによる弊害がない。
本発明に於けるメソポーラス触媒とは、メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒である。(但し、前記三元触媒は除く)。白金族元素とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金の6元素の総称であるが、これらの中で、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及び白金の中から選択される1種又は2種が好ましく、中でも白金が最も好ましい。通常、本発明では、白金主体の触媒を用いるが、その理由は、触媒の主成分である白金が排NOxの主成分であるNOをNOに酸化する能力が高く、還元剤によってNO及びNに還元する能力が高く、高濃度の酸素雰囲気中でも化学的に安定であるからであり、また、白金族元素の中では白金が比較的低温高活性であるからでもある。白金主体の触媒に異なる機能を有する助触媒的成分を添加することによってシナジー効果による触媒性能の向上をはかることもできる。このような成分として、例えば、遷移金属及びその酸化物を用いることができる。遷移金属元素としては、周期律表における3族〜11族の元素が挙げられるが、これらの中でバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウムが好ましく、中でも鉄、コバルト、タングステンが最も好ましい。これらの助触媒的成分の添加質量は、通常、白金の0.01倍から100倍程度であるが、必要に応じて100倍以上であってもよい。
触媒の担体として用いるメソポーラス材料は、高比表面積を有し細孔径がナノサイズであるので、そこに担持される触媒の比表面積を飛躍的に高められることと、触媒を細孔内に担持することで触媒粒子の再凝集を抑制し触媒粒子の再凝集を抑制し触媒の均一高分散を図れること、などの優れた効果がある。メソポーラス材料の比表面積は特別な事情がない限り高ければ高いほどよい。本発明に用いることができるメソポーラス材料の比表面積は100〜4000m/gであり、好ましくは200〜3000m/g、さらに好ましくは、400〜2000m/gである。比表面積が100m/g未満では、触媒の担持量が少なくなるので担持触媒の触媒性能を引き出す上100m/g以上であることが好ましい。一方、材料強度上の面からは比表面積が4000m/g以下であることが好ましい。また、本発明におけるメソポーラス材料の細孔の大部分は、細孔径(直径表示)が1〜50nmの範囲にあり、好ましくは2〜20nmの範囲にあり、より好ましくは2〜10nmの範囲にある。ここでいう細孔の大部分とは1〜50nmの細孔が占める細孔容積が全細孔容積の60%以上であることをいう。細孔径が1nm未満であっても触媒の担持は可能であるが還元剤の流通や不純物等による汚染を考えると1nm以上が好ましい。50nmを越えると分散担持された触媒が水熱高温条件などによるシンタリング(=焼結)によって巨大粒子に成長しやすくなるので50nm以下が好ましい。メソポーラス材料の細孔に担持される触媒の粒径は、細孔径とほぼ同程度ないしそれ以下であるので、前記の細孔径の範囲は、高活性を発現する触媒の粒径範囲とも一致している。メソポーラス材料の平均粒径は、0.1〜10μm、好ましくは0.1〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.5μmである。一般に、ナノサイズに微粒化された触媒粒子は、活性を示すエッジ、コーナー、ステップなどの高次数の結晶面を多量に持つので、触媒活性が著しく向上するだけでなく、バルクでは触媒活性を示さないような不活性金属でも予期しなかった触媒活性を発現する場合があることが知られている。したがって、触媒能力の観点からは触媒は小さいほど好ましいのであるが、反面、微粒化よる表面酸化、副反応などの好ましくない性質もでてくるので、微粒子の粒子径には最適範囲が存在する。本発明における目的のNOx浄化処理に対して効果的な活性を示す触媒の平均粒径は1〜50nmの範囲にあり、1〜20nmの範囲が好ましく、1〜10nmの範囲が特に好ましい。
以上のような比表面積と細孔分布と平均粒径を併せ持ったメソポーラス材料としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、ニオビア、活性炭、多孔質黒鉛などを挙げることができ、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、ニオビア、活性炭、及びこれらの複合材料が好ましく、シリカ、アルミナ、マグネシア、活性炭、及びこれらの複合材料がさらに好ましい。メソポーラスシリカは、細孔が結晶格子のように規則正しく配列した結晶性メソポーラスシリカと、細孔配列に結晶のような規則性が殆どみられない非晶性のメソポーラスシリカに大別されるが、本発明の目的にとっては、水熱耐久性、耐熱性、ガス拡散性などに優れた非晶性のメソポーラスシリカのほうが優れている。
なお、上記吸脱着の比表面積は、吸脱着の気体として窒素を用いたBET窒素吸着法によって測定される値であり、細孔径は、吸脱着の気体として窒素を用いた窒素吸着法によって測定される値であり、BJH法によって求められる1〜200nmの範囲の細孔分布(微分分布表示)で示される。
メソポーラス材料に白金主体の触媒を担持する時の白金の担持量は0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であるが、量的な問題がなければ、通常は、1ないし数%の担持量で用いる。担持量は20質量%以上でも可能であるが、担持量が過剰になると反応にほとんど寄与しない細孔深部の触媒が増えるので20質量%以下が好ましい。0.01質量%未満では活性が十分ではないので0.01質量%以上が好ましい。
本発明で用いるメソポーラス材料の製造は、従来の方法である界面活性剤のミセルをテンプレートとして用いるゾル−ゲル法を応用することによって所用の材料を製造することができる。メソポーラス材料の前駆物質としては、メソポーラスシリカの場合、通常、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のアルコキシドを用いる。メソポーラスシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、セリア、ニオビアについても、通常、アルコキシドを用いて製造することができる。ミセル形成の界面活性剤は、例えば長鎖のアルキルアミン、長鎖の4級アンモニウム塩、長鎖のアルキルアミンN−オキシド、長鎖のスルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のいずれであってもよい。溶媒として、通常、水、アルコール類、ジオールの1種以上が用いられるが、水系溶媒が好ましい。反応系に金属への配位能を有する化合物を少量添加すると反応系の安定性を高めることができる。このような安定剤としては、アセチルアセトン、テトラメチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ピリジン、ピコリンなどの金属配位能を有する化合物が好ましい。メソポーラス材料の前駆物質、界面活性剤、溶媒及び安定剤からなる反応系の組成は、メソポーラス材料の前駆物質のモル比が、0.01〜0.6、好ましくは0.02〜0.5、該前駆物質/界面活性剤のモル比が1〜30、好ましくは1〜10、溶媒/界面活性剤のモル比が1〜1000、好ましくは5〜500、安定剤/主剤(溶媒を除く反応系組成)のモル比が0.01〜1、好ましくは0.2〜0.6である。反応温度は、20〜180℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。反応時間は5〜100時間、好ましくは10〜50時間の範囲である。反応生成物は通常、濾過により分離し、十分に水洗、乾燥後、500〜1000℃の高温焼成によってテンプレートを熱分解除去し、メソポーラス材料を得ることができる。必要に応じて、焼成前に界面活性剤をアルコールなどで抽出することもできる。
メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒を主成分とするNOx酸化触媒は、例えば、イオン交換法又は含浸法によって製造することができる。これらの2つの方法は、担体への触媒の沈着化について、イオン交換法が担体表面のイオン交換能を利用し、含浸法が担体のもつ毛管作用を利用しているという違いはあるが、基本的なプロセスはほとんど同じである。すなわち、メソポーラス材料を触媒原料の水溶液に浸した後、濾過、乾燥、必要に応じて水洗を行い、還元剤で還元処理することによって製造することができる。白金の触媒原料としては、例えば、HPtCl、(NHPtCl、HPtCl、(NHPtCl、Pt(NH(NO、Pt(NH(OH)、PtCl、白金アセチルアセトナート等を用いることができる。必要に応じて、助触媒成分の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩などの水溶性塩類を白金触媒原料に混合して同様にして製造することができる。触媒活性成分の還元剤としては、水素、ヒドラジン水溶液、ホルマリン等を用いることができる。還元は、それぞれの還元剤について知られている通常の条件で行なえばよい。例えば、水素還元は、ヘリウムなどの不活性ガスで希釈した水素ガス気流下にサンプルを置き、通常、300〜500℃で数時間処理することによって行なうことができる。還元後、必要に応じて不活性ガス気流下500〜1000℃で数時間熱処理してもよい。
陽イオン交換ゼオライトの製造は、例えばイオン交換法によって製造することができる。すなわち、交換したい陽イオンを含む水溶液にゼオライトを浸した後、濾過、乾燥し、必要に応じて水洗を行なうことによって製造することができる。
本発明触媒は、通常、自動車触媒用の担体として一般的に使用されているセラミックス製、あるいはメタル製のモノリス成形体のガス流路内壁に塗布した形状で用いるが、これらに限定されるものではない。上記モノリス成形体とは、成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体のことであり、モノリス成形体に触媒を付着させて成る触媒を以下ではモノリス触媒という。成形体の外形は、特に限定されるものではないが、通常は、円柱形である。本発明触媒をモノリス成形体のガス流路内壁に付着させる時の触媒の付着量は、3〜30質量%が好ましい。担体内部に存在する触媒内部へのガス拡散の面から30質量%未満が好ましい。また、十分な触媒性能を引き出す上で3質量%以上が好ましい。
上記のモノリス触媒は、自動車用三元触媒を付着したモノリス成形体の製造方法に準じて製造することができる。例えば、本発明触媒とバインダーとしてのコロイダルシリカ(シリカゾルとも言う)を、通常、1:(0.01〜0.2)の質量割合で混合した混合物を調整し、これを水分散することによって通常10〜50質量%のスラリーを調整した後、該スラリーにモノリス成形体を浸漬してモノリス成形体のガス流路の内壁にスラリーを付着させ、乾燥後、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気下、500〜1000℃で数時間処理することによって製造することができる。あるいは、あらかじめ、モノリス成形体にメソポーラス材料と陽イオン交換ゼオライトの混合物を塗布した後、該モノリス成形体を触媒原料の水溶液に浸漬、取り出し、乾燥、還元処理、熱処理することによって製造することもできる。
コロイダルシリカ以外のバインダーとしては、メチルセルロース、アクリル樹脂、ポリエチレングリコールなどを適宜用いることもできる。モノリス成形体に付着させる本発明触媒の厚みは、前記のスラリーを付着させる方法では、通常、1μm〜100μmであるのが好ましく、10μm〜50μmの範囲が特に好ましい。100μmを越えると反応ガスの拡散が遅くなるので100μm以下が好ましい。触媒性能の劣化を抑制するためには1μm以上が好ましい。
本発明触媒は、自動車、特にディーゼル自動車及びリーンバーンガソリン自動車に搭載することによって、自動車が排出するリーンバーン排ガス中のNOx及び炭化水素類の有害物質を160℃〜400℃の領域において極めて効果的に除去することができる。特に、トラックなどの大型車用の排ガス浄化方法として有効に用いることができる。
以下に実施例などを挙げて本発明を具体的に説明する。
比表面積及び細孔分布は脱吸着の気体として窒素を用い、カルロエルバ社製ソープトマチック1800型装置によって測定した。比表面積はBET法によって求めた。細孔分布は1〜200nmの範囲を測定し、BJH法で求められる微分分布で示した。製造したメソポーラス材料の多くは指数関数的に左肩上がりの分布における特定の細孔直径の位置にピークを示した。このピークを与える細孔直系が細孔径である。
自動車排NOxのモデルガスとして、ヘリウム希釈で希釈した一酸化窒素、酸素、プロピレンの混合ガスを用いた。減圧式化学発光法NOx分析計(日本サーモ株式会社製造:モデル42i−HL及び46C−H)によって処理前と処理後のガスに含まれるNOx(NOとNOの合計))の濃度を測定し、NOx浄化率を式(1)によって算出した。
Figure 2010000445
「製造例1」排ガス浄化用触媒としての三元触媒類似の触媒の合成
0.538gのPtCl・5HO、0.2065gのPdCl・2HO、及び0.405gのRh(NO・2HOを20mlの蒸留水に溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに10gの活性アルミナ(日揮株式会社製造 商品名:N−613N、:比表面積250m/g、平均細孔径6.2nm、粒径2〜3μmの微粒子)を加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃で3時間真空乾燥を行なった。この試料を石英管に入れヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、貴金属の含有量が約5質量%の触媒を合成した。これを三元触媒を模した貴金属触媒として比較実験に用いた。
「製造例2」NOx酸化触媒としてのメソポーラスシリカに担持した白金触媒の製造
1リットルのビーカーに、蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でテトラエトキシシラン125gを加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃−5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、平均粒径が0.5μmのメソポーラスシリカ材料を得た。該メソポーラスシリカ材料を小角X線回折測定した結果、1本のブロードな回折ピークを示した。また、透過型電子顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測された。これらの結果から、製造したメソポーラスシリカ材料は非晶性であることが確認された。また、細孔分布及び比表面積測定の結果、約3.2nmの位置に細孔ピークがあり、比表面積が933m2/g、細孔容積が1.35cm/g、1〜50nmの細孔が占める容積は1.34cm/gであった。蒸留水20gに塩化白金酸HPtCl・6HOを0.668gと硝酸ロジウムRh(NO・2HOを0.004g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のメソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ、100℃−3時間真空乾燥を行なった。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金−ロジウムの担持量が約5質量%の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒を合成した。メソポーラスシリカに担持された白金−ロジウム粒子の平均粒径は約3.0nmであった。
「製造例3」Mgイオン交換モルデナイトの製造
市販のモルデナイト(東ソー株式会社製 商品名:HSZ−640)100gを2リットルの蒸留水にいれ、これに20質量%の硝酸マグネシウム水溶液50gを加え、室温で一昼夜攪拌した。減圧濾過、100mlの蒸留水で洗浄後、100℃で真空乾燥することによって、マグネシウムイオン交換ゼオライトを製造した。マグネシウムイオンの含有量は約5gであった。
「製造例4」Mgイオン交換クリノプチロライトの製造
市販の天然クリノプチロライト(天然産のクリノプチロライトはカリウムイオン交換体である)100gを2リットルの蒸留水にいれ、これに20質量%の硝酸マグネシウム水溶液50gを加え、室温で一昼夜攪拌した。減圧濾過、100mlの蒸留水で洗浄後、100℃で真空乾燥することによって、マグネシウムイオン交換ゼオライトを製造した。マグネシウムイオンの含有量は約5gであった。
「製造例5」Mgイオン交換エリオナイトの製造
市販の天然エリオナイト(天然産のエリオナイトはカリウムイオン交換体である)(東ソー株式会社製 商品名:TSZ−450)100gを2リットルの蒸留水にいれ、これに20質量%の硝酸マグネシウム水溶液50gを加え、室温で一昼夜攪拌した。減圧濾過、100mlの蒸留水で洗浄後、100℃で真空乾燥することによって、マグネシウムイオン交換ゼオライトを製造した。マグネシウムイオンの含有量は約6gであった。
「製造例6」Feイオン交換クリノプチロライトの製造
市販の天然クリノプチロライト(サンゼオライト株式会社製 商品名:ゼオライト3S)100gを2リットルの蒸留水にいれ、これに20質量%の硝酸第二鉄水溶液50gを加え、室温で一昼夜攪拌した。減圧濾過、100mlの蒸留水で洗浄後、100℃で真空乾燥することによって、Feイオン交換ゼオライトを製造した。鉄イオンの含有量は約6gであった。
「製造例7」従来の三元触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例1の三元触媒を模した貴金属触媒160g、及びコロイダルシリカ16gを蒸留水2リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)(日本ガイシ株式会社製 商品名:ハニセラム)(以下、同じ)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、三元触媒を模した貴金属触媒を塗布したモノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における三元触媒を模した貴金属触媒の付着量は約80gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例8」[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160g、及びコロイダルシリカ16gを蒸留水2リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒の付着量は約80gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例9」[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒とMgイオン交換モルデナイトの混合物を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと製造例3のMgイオン交換モルデナイト160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における上記混合物触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例10」本発明触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと製造例4のMgイオン交換クリノプチロライト160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における本発明触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例11」本発明触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと製造例5のMgイオン交換エリオナイト160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における本発明触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例12」本発明触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと製造例6のFeイオン交換クリノプチロライト160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における本発明触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例13」本発明触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと市販の天然クリノプチロライト(カリウムイオン交換体である)(サンゼオライト株式会社製 商品名:ゼオライト3S)160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における本発明触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
「製造例14」本発明触媒を塗布したモノリス触媒の製造
製造例2の[Pt−Rh/メソポーラスシリカ]触媒160gと市販の天然エリオナイト(カリウムイオン交換体である)(東ソー株式会社製 商品名:TSZ−450)160g、及びコロイダルシリカ32gを蒸留水4リットルに加え、攪拌して、スラリーを調整した(調整液1)。調整液1に、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cpsi、直径143.8mm×長さ118mm)を浸漬した後、風乾、窒素気流下で500℃−3時間熱処理することによって、モノリス触媒を製造した。該モノリス触媒における本発明触媒の付着量は約160gであった。このモノリス触媒からミニ成形体(直径20mm×長さ12.7mm)を切り出した。
<リーンバーン模擬ガスの浄化処理>
「実施例1」、「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例5」、「比較例1」、「比較例2」、「比較例3」
製造例7のモノリス触媒のミニ成形体を石英製の流通式反応管に充填した。反応管を外部ヒーターによって160℃〜400℃までの任意の温度に調整した。次に、反応管に、プロピレン濃度の低いリーンバーン模擬ガスとプロピレン濃度の高いリーンバーン模擬ガスを交互に流通し、NOx処理を行なった。プロピレン濃度の低いリーンバーン模擬ガスは、ヘリウムで濃度調整した一酸化窒素250ppm、酸素10%、プロピレン400ppm含有ガスであり、流量は毎分500mlとした。プロピレン濃度の高いリーンバーン模擬ガスは、ヘリウムで濃度調整した一酸化窒素250ppm、酸素10%、プロピレン2%含有ガスであり、流量は毎分500mlとした。そして、プロピレン濃度の低いリーンバーン模擬ガスとプロピレン濃度の高いリーンバーン模擬ガスとの供給サイクルは、10分:10分とした。排ガスをサンプリングし、プロピレン濃度の低いリーンバーン模擬ガスを流通している時(流通開始後5分)のNOx浄化率とプロピレン濃度の高いリーンバーン模擬ガスを流通している時のNox浄化率を測定した。
上記と同様にして、製造例8、9、10、11、及び12のモノリス触媒のミニ成形体についても、それぞれNOx浄化率を測定した。これらの結果を表1及び表2に示した。
Figure 2010000445
なお、比較例1では処理後のガスに未反応のプロピレンが検出されたが、比較例2〜3、及び実施例1〜5では、処理後のガスには未反応のプロピレンは全く検出されなかった。
Figure 2010000445
なお、比較例1では処理後のガスに未反応のプロピレンが検出されたが、比較例2〜3、及び実施例1〜5では、処理後のガスには未反応のプロピレンは全く検出されなかった。
表1に示すように、還元剤の含有量が少ないリーンバーン排ガスに対しては、本発明触媒は、従来の触媒に比べて、160℃〜400℃において高いNOx浄化率を与え、特に、実施例1〜2は、180℃から200℃に渡って80%以上の浄化率が得られ、200℃〜300℃において40%以上の浄化率が得られる。また、表2に示すように、還元剤の含有量が多いリーンバーン排ガスに対しては、本発明触媒は、従来の触媒があまり活性を示さないような160℃においても80%以上の浄化率を与えた。
以上のことから、本発明浄化用触媒は、リーンバーン排ガスを低温領域から中温領域にわたって効率よく浄化できることがわかる。また、ポストインジェクション方式のようなリーンバーン排ガスに多量の還元剤が瞬間的に供給される排ガスに対しても低温から中温領域にかけて効率よく浄化できることがわかる。
本発明浄化用触媒は、ディーゼル自動車排ガス浄化用触媒として有用である。

Claims (3)

  1. メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒と陽イオン交換クリノプチロライトから成ることを特徴とするリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒。
  2. メソポーラス材料に白金族元素を担持した触媒と陽イオン交換エリオナイトから成ることを特徴とするリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒。
  3. 陽イオンが、遷移金属イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの中から選ばれた少なくとも1種類以上の陽イオンであることを特徴とする請求項1及び2に記載のリーンバーン自動車排ガス浄化用触媒。
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