JP2010000345A - 歯科用品を製作する方法およびキット - Google Patents

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Abstract

【課題】歯科用品を製作するための方法および改良されたキットを提供する。高度の適合精度で、かつ熱の投入の点においても患者に不快さを感じさせることなく、歯科用品を口腔内で製作する。
【解決手段】キットの熱可塑性材料4は、狙わせた(指向させた)エネルギーの供給を介し、選択的に、印象用トレイ1および/または印象材3より強く加熱される。
【選択図】図3

Description

本発明は、歯科用品(dental product)を製作する方法およびキットに関する。本発明はさらに、本発明による方法を実施可能とする器具にも関する。
本発明の意味合いにおいては「歯科用品」という用語は、具体的には、熱可塑性材料から製造された、歯科矯正アライナー、咬合床、小型プラスチックスプリント、オクルーザルスプリント、ヒーリングキャップ、フルイダイゼーショントレイ、ホワイトニングトレイ、トランスファートレイ、マウスプロテクター、ポジショナーまたは投薬キャリヤーを意味すると受け取られたい。しかしながら、歯科用品は、歯科印象、例えば、固化させた熱可塑性フィルムの形態で保存することが可能な歯科用の陰型であってもよい。従来からの歯科印象材と同様にして、そのようなキャスティングから、モデリング材料例えば石膏を用いて充填することにより、義歯をさらに作成するための作業模型を作成することが可能である。
歯科矯正治療のためのスプリントの形状の歯科用品は、例えば、特許文献1からも公知である。特許文献2には、デンタルスプリントを製作するための方法が記載されている。ここでは、熱可塑的に成形可能な材料を用いて印象用トレイがコーティングされ、その上に熱可塑性フィルムが供給される。これを例えばウォーターバスの中で、熱可塑的に成形可能な材料と共に、またはそれとは別に加熱することが可能である。温められた状態では、熱可塑性フィルムは熱可塑的に成形可能であり、患者口腔の中に直接適用して、デンタルスプリントを製作することができる。このためには、その熱可塑性材料を、歯牙および/または歯肉に適用する。その熱可塑性フィルムは体温にまで冷却すると固化し、その状態において患者の口腔から容易に取り出すことができる。
特許文献3には、予め製作しておいたデンタルスプリントを個別に適応させる方法が記載されている。このためには、デンタルスプリントをウォーターバス中で加熱するか、または湿らせた布に包んで電子レンジ中で加熱してから、口腔内に適用する必要がある。さらに、特許文献4および特許文献5から公知の方法もあるが、そこでは、薄い熱可塑性材料を例えば沸騰水の中で加熱し、次いで口腔内の歯牙に適用する。これらの方法では、強烈に加熱したスプリントにより熱の投入が増大するために、不快さを与えたり、さらには傷害という結果をもたらすかもしれないという危険が潜んでいる。
独国、72285、プファルツグラーフェンワイラー(Pfalzgrafenweiler)のエルコデント・エーリッヒ・コップ・ゲーエムベーハー(ERKODENT Erich Kopp GmbH)社から「エルコフォルム(Erkoform)3d」の名称で深絞り成形器具も提供されており、それを用いて、石膏模型上の熱可塑性材料の板またはフィルムからデンタルスプリントを製作することができる。この器具には熱放散器(heat radiator)が設けられており、その下で熱可塑性材料を、枠に固定しておきながら、加熱して可塑化させることができる。この状態においては、熱可塑性材料を石膏模型に適用し、真空中での深絞り成形技術を利用して、石膏模型の外側輪郭に合わせてスプリントを作成することができる。この器具は技工室で使用するには適しているものの、スプリントまたは類似の歯科用品を、口腔内、すなわち患者の口の中で製作するには適していない。
特許文献6には、歯科用品を製作するために熱可塑性材料を使用することが提案されている。その材料は、エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテネン、スチレン−イソプレン−スチレンおよび/またはスチレン−ブタジエン−スチレン・コポリマー、熱可塑性エラストマー、非晶質ポリオレフィン、直鎖状熱可塑性ポリウレタン、コポリエステル、ポリアミド樹脂、ポリアミド/EVA・コポリマー、ダイマー脂肪酸ベースのポリアミノアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、または形状記憶合成材料、から選択されている。
熱的および流動学的性質の点からは、E/VA(エチレン/酢酸ビニル・コポリマー)およびPCL(ポリ(エプシロン−カプロラクトン))が、熱可塑性スプリントシステムで使用するには、すなわち歯科用品を製作するのに極めて好適である。しかしながら硬い材料が必要とされるような歯科適応症では、純粋なE/VAは硬度レベルが低く、また弾性率(E−module)が低いために、好適性が極めて限定されたものとなる。その一方で、純粋なPCLは極めて良好な機械的性質を示すが、透明でないため、美的な理由とおそらくは光を用いた処理の際に不利であると考えられる。光学的に高度に透明で、中程度の硬さを有するE/AA(エチレン/アクリルアセテート・コポリマー)は、85℃での軟化状態における弾性部分(elastic portion)が極めて高いために、患者の口腔内でデンタルスプリントを形成させるには適していない。
米国特許出願公開第2006/0093983A1号明細書 独国特許第103 49 047B3号明細書 国際公開第2005/113675A2号パンフレット 米国特許第5,076,791号明細書 米国特許第6,364,665号明細書 独国特許出願公開第10 2006 056 983A1号明細書
本発明の目的の一つは、歯科用品を製作するための方法および改良されたキットを提供することである。これを使用することにより、高度の適合精度で、かつ熱の投入の点においても患者に不快さを感じさせることなく、歯科用品を口腔内で製作することができる。
この目的は、本発明においては以下の工程を含む方法によって達成される。まず印象材を充填した印象用トレイを用意し、印象用トレイおよび/または印象材の上または中に歯科用品を作成するための熱可塑性材料を供給する。印象用トレイおよび/または印象材の上または中に供給された熱可塑性材料を、次いで、200℃未満で、その熱可塑性材料の軟化温度より高い温度に加熱する。この温度は、およそ40℃〜80℃の範囲にあると特に好ましい。次いで、印象材を用いて充填した印象用トレイを伴う熱可塑性材料を患者の口腔内に適用し、そこで、少なくとも一つの歯牙および/または歯肉に、歯科用品を形成する熱可塑性材料をその熱可塑性材料がその軟化温度より低い温度にまで冷却される間適用する。次いで、印象用トレイ、印象材および熱可塑性材料から形成された歯科用品を患者の口腔から取り出す。熱可塑性材料は、印象用トレイおよび/または印象材よりも強く加熱する。これは具体的には、目標とするすなわち目的のエネルギーを供給することによって起こさせる。
本質的に熱可塑性材料だけを選択的に加熱するために目標とするエネルギーは、例えば主として一方向からくる、エネルギーの特異的な供給を意味すると受け取られたい。ウォーターバスまたはオーブン、例えば電子レンジにおける加温とは対照的に、熱可塑性材料の上に熱エネルギーを特異的に向けることができ、これによって、それはほとんど独占的に、あるいは少なくとも印象用トレイおよび印象材よりも強く加熱される。本発明に関しては、印象用トレイおよび/または印象材の加熱に比べて、熱可塑性材料をより強く加熱してその軟化温度に達するようにすることが関連要因であって、十分に長い間熱を加えている間に、熱可塑性材料、印象用トレイおよび印象材の温度が相互に近づいてくるかどうかには関係ない。別の言い方をすれば、本発明においては、最初に熱可塑性材料を印象用トレイおよび/または印象材よりは強く加熱することにより、歯科用品を作成するのに必要とされる変形性を得る。次いでその熱可塑性材料を、できるだけ速やかに、すなわち熱可塑性材料があまり強く冷却されないように、および/または、印象用トレイおよび/または印象材があまり強く加熱されないようにして適用する。熱可塑性材料を選択的により強く加熱するということは、印象用トレイおよび/または印象材があまりにも高い温度にまで加熱される前に中断または停止できることを目標とした熱の供給であると理解することもできる。
本発明においては、熱放散器、ランプおよび/または加熱空気源は、熱可塑性材料を選択的に加熱するためのエネルギー源として特に好適である。
熱可塑性材料を目標とした加熱に加えて、熱可塑性材料への熱の投入を増進させるか、および/または印象用トレイおよび/または印象材への熱の投入を抑制するような物質を加えることもできる。同様に、印象用トレイおよび/または印象材に、印象用トレイの中および/または印象材の中への熱の投入を抑制する物質を加えるか、あるいはそのような物質からなるようにすることもできる。そのような物質は、ある材料の選択的な加熱を支援したり、また別な物質の加熱を防止したりするための賦活体または受容体として、特定のエネルギー源にマッチさせることが可能である。そのような物質は、例えば、国際出願PCT/EP2007/010414のパンフレットに記載されている(その出願の内容すべてを、参照したこととする)。
熱可塑性材料と印象材との間に、少なくとも1層の断熱層および/または断熱溶液を設けることによって、印象材および/または印象用トレイに比較して熱可塑性材料をより強く加熱することをさらに支援することができる。この断熱層または断熱溶液は、熱可塑性材料と印象材との間を熱的に遮断することをもたらすか、および/または印象材から熱可塑性材料を解放するのを助けることができる。断熱層および/または断熱溶液に加えるか、またはそのかわりに熱可塑性材料と印象材との間にエアクッションを設けることによって、熱可塑性材料から印象材への熱の移動をより困難にするか、または禁止することもできる。
本発明の特に好ましい実施態様においては、所定の温度にまでしか熱可塑性材料の加熱が起きないようにする。この温度は、印象用トレイ、印象材、熱可塑性材料、および/または断熱層の中および/または上に温度インジケーターの手段によって、さらに詳しくは色を変化させる方法で表示させることができる。このようにすることで、熱可塑性材料の加熱が十分であることを使用者が容易に認識できるようになり、熱可塑性材料を加熱しすぎたり、あるいは印象材および/または印象用トレイに熱エネルギーを供給しすぎたりするようなさらなる加熱を停止することができる。
本発明による方法の使用は、熱可塑性材料と印象材とを予め組み合わせておいて、手順の第一工程の前にそれらを印象用トレイの中に導入するだけでよい、ということによって容易とすることもできる。このためには、熱可塑性材料を例えばソーセージの皮状のチューブの形状とし、その中に印象材を取り込むようにすることもできる。熱可塑性材料を冷却した後で、ソーセージの皮状チューブから歯科用品を切り出すことができる。
本発明による方法は、印象用トレイ、印象材および熱可塑性材料/これらから形成される歯科用品を患者の口腔から一体物として同時に取り出すことができる場合に、特に容易に実施することができる。しかしながら、応用のいくつかの場合には、印象用トレイおよび/または印象材だけを最初に取り出し、一方で少なくとも熱可塑性材料は、さらなる適応のために患者の口腔の中に残しておくことが有利なこともありうる。
本発明の基礎を形成するその目的は、歯科用品を製作するためのキットの手段によっても達成されるが、これは特に上述の手順において使用するのにも適している。キットすなわちセットは、いくつかの要素を特に容易に調製できるように組み合わせたものである。本発明によるキットは、およそ110℃未満、より好ましくはおよそ150℃未満の温度では固体である材料から作られ、それから突出した側壁を有して顎の形にマッチするようにした基部を有する印象用トレイと、印象用トレイの中または上に供給され、少なくとも10℃〜90℃の間の温度では可塑的に変形可能である印象材と、製作する例えばスプリント様の歯科用品を製作するための、体温では固体であり、体温とおよそ150℃の間の温度では手で可塑的に成形可能な熱可塑性フィルムと、からなる。ここで、熱可塑性フィルムは、顎の形にマッチさせた第一セクションを有するように成形されている。これは印象用トレイの基部から遠い方に面する印象材の側面に配列されており、それからエッジセクションが突出して、少なくとも部分的に印象用トレイの側壁に重なるか、および/またはそれを内側からおよび外側から覆っている。実施態様の一例においては、熱可塑性フィルムの第一セクションと印象材との間に、少なくとも部分的に、エアクッションを設けることも可能である。これは例えば、連続したエアクッションであってもよいし、あるいは、いくつかの小さなエアクッションもしくはエアバブルからなっていてもよい。そのエアクッションが、熱可塑性フィルムと印象材との間における熱の移動を、より困難にするかおよび/または禁止することを確実に実現する。このことは、特に熱可塑性フィルムに対して目標とした加熱エネルギーを供給する場合においては、その印象用トレイおよび/または印象材よりもフィルムの方が、より強烈におよび/またはより迅速に温度上昇するということを意味している。
前述したように、印象用トレイの側壁の上にそのエッジセクションによって熱可塑性フィルムが引っ張られているような場合には、印象材が思いがけなくも印象用トレイからはみ出してくることが防止される。さらに、歯牙および/または歯肉の頚部を明瞭に記録することが可能である。このことは、熱可塑性フィルムから製作した歯科用品をデンタルスプリントとして使用するような場合には特に意味がある。熱可塑性フィルムが印象用トレイの上に密接に張り付いている場合、すなわち本質的に遊びがないような場合には、熱可塑性フィルムは、加熱の際にまったく変形しないか、または、ほんのわずかしか変形しない。
熱可塑性フィルムの材料は以下の群から、すなわち、エチレン−アクリル酸・コポリマー(例えば、ヌクレル(Nucrel)(登録商標)2806(デュポン(DuPont)(商標)))、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとエタクリル酸メチルとのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテネン、スチレン−イソプレン−スチレンおよび/またはスチレン−ブタジエン−スチレン・コポリマー、熱可塑性エラストマー、非晶質ポリオレフィン、直鎖状熱可塑性ポリウレタン、コポリエステル、ポリアミド樹脂、ポリアミド/EVA・コポリマー、ダイマー脂肪酸ベースのポリアミノアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリ塩化ビニル、セルロースエステル例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、または形状記憶合成材料および上述の合成材料の混合物から選択されれば特に有用であることが明らかになった。これらの材料は十分な加熱を加えると塑性的に変形させることが可能であり、冷却後にはある程度の弾性を保持している。そのため、歯科用品の形状を破壊することなく、口腔から取り出すのが容易となる。
歯科用品を作成するためには、熱可塑性フィルムが引き裂かれたりかみ切られたりしないように、熱可塑性フィルムが十分な厚みを有していていなければならない。その一方で、熱可塑性フィルムは、迅速な加熱および冷却を可能とするためにはあまり厚すぎてもいけない。その熱可塑性フィルムが、およそ0.1mm〜およそ4mmの間、より好ましくはおよそ0.5mm〜およそ2.5mmの間の層の厚みを有していれば、好ましい。
本発明による方法を使用して製作する歯科用品に応じて、その熱可塑性材料と印象材とが、相互に、より容易に分離されるのが好ましいか、逆により分離しにくいのが好ましくてもよい。したがって、歯科用品として歯科印象を製作するためには、印象材と熱可塑性材料との間の接着接合が、患者の口腔からその歯科用品を取り出す際に生じる引剥がし力よりも大きくなるように、印象材の粘着性が高くなるように配合するのが好ましい。本発明のアイディアの一つの展開として、印象材と印象用トレイとの間の接着接合が、患者の口腔からその歯科用品を取り出す際に生じる引剥がし力よりも大きくなるように、印象材の粘着性が高くなるように配合するのが好ましい。印象材と印象用トレイおよび/または熱可塑性材料との間の接着接合は、機械的接着手段を用いるかおよび/または化学的接着手段を用いることによって、達成することができる。
対照的に、歯科用品としてデンタルスプリントを製作するためには、印象用トレイと印象材とだけが、例えば相互に接着的に接合される。これに対して熱可塑性材料は、印象材および印象用トレイから容易に取り外せるようにするのが好ましい。デンタルスプリントを製作するためには、熱可塑性フィルムおよび/または印象材の物質を選択するか、および/または少なくとも熱可塑性フィルムと印象材との間に接着力が形成されないように備え付けるのも好ましい。さらに、熱可塑性フィルムで作られたデンタルスプリントを印象材から外すことは、熱可塑性フィルムと印象材との間に、断熱フィルム、断熱フォイルおよび/または断熱溶液の形態の少なくとも1層の断熱層を設けることによって、さらに容易とすることが可能である。
特に取り外しの際に、印象材が印象用トレイから不意に外れることを避けるため、本発明の実施態様の好ましい形態においては、機械的な保持器具および/または接着接合の方法により、印象用トレイと印象材とを相互に結合させることが考えられる。このことは、印象用トレイに穴を設けることによって達成してもよい。
印象材は、本質的には、歯科治療的状況(dental situation)および/または歯肉の辺縁(アンダーカット領域も含む)に対して、熱可塑性フィルムを十分に適応させるのに役立つ。印象材とは、歯牙に対して熱可塑性材料を適用して適応させるのに十分に弾性的または可塑的に変形可能である、適切な各種材料を意味するものと受け取られたい。このためには、その印象材は、およそ1000Pasを超え、好ましくは150.000Pasまでの粘度を示すのが好ましい。これらの粘度は、ISO 4823の粘稠度測定法に従って測定すると、15〜30mm、より好ましくは20〜25mmの間の粘稠度に相当する。
印象用トレイ、印象材、熱可塑性フィルムおよび/または断熱材料および/または断熱層が、温度を表示する手段を有している場合には、熱可塑性フィルムが作業に取りかかるのに十分な温度に達したことを、使用者が直ちに認識することができる。さらに、印象用トレイ、印象材、または熱可塑性フィルムの温度が高すぎて、最適な加工をすることが不可能である場合や、さらには患者を傷つける危険性があるような場合に示すこともできる。これらの温度を表示する手段としては、例えば、サーマルストリップまたはサーマルカラーまたは同様の温度センサを挙げることができる。
前述した特徴とは関係なく、例えば上述のタイプのキットの手段によって製作された本発明による歯科用品は、以下の群、すなわち、エチレン/酢酸ビニル−コポリマー(E/VA)とポリ(エプシロン−カプロラクトン)(PCL)との化合物および混合物、エチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)とエチレン/アクリルアセテート・コポリマー(E/AA)との化合物および混合物、エチレン/アクリルアセテート・コポリマー(E/AA)とポリ(エプシロンカプロラクトン)(PCL)、さらにはトランス−1,4−ポリイソプレンとの化合物および混合物から選択された熱可塑性材料からなる。
本発明は、歯科用品、例えばスプリントにおいて使用するための低融点を有する合成材料には、各種の要求事項が組み込まれるという考えに基づいており、上述の材料によって特にうまく適合させることが可能である。患者が耐えることが可能な65〜85℃の軟化点に加えて、その歯科用品の適応症および適用領域に依存して、各種の機械的性質(ショアー硬度、加熱モジュール、曲げ強さ)が要求される。これに関し、低融点を有すると同時に高いレベルの硬度、加熱モジュールおよび曲げ強さを示すような合成材料を見出すことは、特に困難である。さらに、得られるスプリントの良好な審美性という観点からは、その合成材料は可能であれば透明であるべきである。
低融点合成材料を特徴付ける中心的な測定方法は、温度依存性の振動レオメーター試験である。これを用いることで、その合成材料の弾性および粘性挙動を加熱曲線および冷却曲線に示すことが可能となり、また、各種の合成材料が実際の加工工程である「加熱モジュール中での軟化」、「口腔内における成形」、および「口腔内へのスプリントの装着」での実挙動についての結論を引き出すことが可能である。
好ましい実施態様の形態においては、その歯科用品の熱可塑性材料は、およそ99〜およそ30重量%、より好ましくはおよそ95〜およそ70重量%のエチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)、およびおよそ1〜およそ70重量%のポリ(エプシロン−カプロラクトン)(PCL)からなる混合物または化合物である。ここで、およそ5重量%のPCLに対しておよそ95%のE/VA、さらにはおよそ25重量%のPCLに対しておよそ75重量%のE/VAの比率が特に好ましい。依然として受容可能な透明性を維持しながらも、E/VAとPCLとのそのような混合物は、純然たるE/VAの場合に比較すると機械的性質における改良およびレオロジー的加熱曲線および冷却曲線におけるゲル温度の低下を示し、このことは、スプリントの成形性および装着性にプラスの影響を与える。さらに、E/VA、PCL、およびそれらの混合物は、温度依存性のレオロジー的挙動の面でも、極めてプラスの性質を示す。患者が耐えられる最高温度である85℃での加熱モジュール中での軟化手順(「目標加熱」)をシミュレートする、加熱曲線においては、材料の全てが成形に関しては十分に可塑性であり、崩壊性の弾性部分はほとんど有していない。
これに代わる方法としては、その熱可塑性材料を、およそ99〜およそ30重量%、より好ましくはおよそ95〜およそ70重量%のエチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)と、およそ1〜およそ70重量%、より好ましくはおよそ5〜およそ30重量%のエチレン/アクリルアセテート・コポリマー(E/AA)の混合物または化合物とすることができる。
冷却曲線においては、これら特に好適な材料のケースでは、いわゆるプラトーを測定することができる。冷却を続けているにもかかわらず、材料は、加熱曲線から予想される程にはすみやかに固化しない(ヒステリシス)。可塑性は、より低い温度にまで(例えばおよそ60℃まで)保たれる。
基本的には、熱可塑性材料の加熱および冷却挙動が、ヒステリシス効果(冷却では、加熱の場合よりも低い温度で、塑性変形性を示す)を示すのが好ましい。これにより、スプリントを作成する際の成形手順が助けられるが、その理由は、加熱モジュールまたは同様のものから患者の口腔の中への過程においてその材料はすでに冷却できるものでありながらも依然として成形手順に適しているからであり、すなわちそれらはまだ十分に可塑性があって、温度が低い方が患者にはより受け入れられやすいからである。口腔温度、すなわち、45℃が安全限界である温度では、それらの材料は再び十分に硬化されるので、それらは、口腔内での機械的応力に耐えることができ、永久変形されることはない。
良好な操作性を得るためには、その熱可塑性材料が、およそ60℃〜およそ90℃、より好ましくはおよそ85℃の温度において成形されるのに十分な塑性を有し、極めて小さな弾性部分しか示さないことが好ましい。
本発明によるキットは、フィルムがトレイの外側(前庭側)壁面の縁には接触しておらず、少なくともフロンタルデンタル領域にはないように、印象用トレイおよび熱可塑性フィルム(フォイル)が設計および配列されていることを特徴とすると好ましい。別の言い方をすれば、印象用トレイの基部から遠い方に面する周縁エッジとフィルム(予備成形物)の内側との間に、好ましくは印象材を用いて充填した隙間が存在している。これは、外側の側壁に比較して、フィルムの側壁領域(少なくとも一部)の方を高くすることによって達成することができる。この実施態様においては、そのフィルムが、印象用トレイの壁の内側、すなわち印象材と印象用トレイの壁との間の、その側壁領域に配列されていると特に好ましい。これにより、フィルムの側壁領域の一つのエッジを、印象用トレイの基部の上に存在させることができる。別の方法として、フィルムの側壁領域を印象用トレイの上に支持させ、トレイの壁を外側から、または印象用トレイの突起および/またはグリップから外側に放射状に突出しているように包み込んでいてもよい。フィルム(予備成形物)および印象用トレイをこのように配置する方法によって、成形の際にフィルムを一定の流れにすることが容易となる。
本発明はさらに、熱可塑性材料を選択的に加熱するための器具にも関するが、それは、上述のタイプの方法において使用することが可能であるのがより好ましい。本発明における器具には、エネルギー源、より好ましくは熱放散器の形態の、例えば、起伏状加熱器、表面加熱器、もしくはオメガ加熱器の形式の赤外線加熱器、またはランプ例えば、蛍光灯、ハロゲンランプ、金属蒸気ランプ、ガス放電ランプ、発光ダイオードもしくは白熱電球、および/または加温空気源、ならびにキットのための支持器具が含まれるが、そのキットは、例えば、少なくとも1個の印象用トレイ、印象材、および加熱される熱可塑性材料を含む、上述のタイプのキットであってよい。本発明において、支持器具はエネルギー源に対して配置され、本質的に熱可塑性材料だけがエネルギー源の直接的な熱放射に暴露されるようにする。そのキットとエネルギー源は、熱可塑性材料がエネルギー源に面するように配置される。
本発明における器具の実施態様の好ましい形態に関して、エネルギー源と支持器具との間に、熱可塑性材料の上へのエネルギー源の熱放射を目標にまで導くための手段を設けておく。エネルギー源として加温空気源を使用する場合、それらの手段としては、例えば加温空気を熱可塑性材料の上に導くパイプラインのようなものを設計することができる。
本発明における器具にはさらに、キットの加熱において、例えば、予め決めておくことが可能な時間設定によるか、および/または熱可塑性材料の所定の状況を記録するパラメーターの測定によるかのいずれかに基づいて、ある温度でスイッチをオン/オフする調節または制御器具をあてがうこともできる。測定のパラメーターとしては、例えば、熱可塑性材料の温度、その粘稠度および/またはその色などが可能である。
以下において、実施態様の実施例の助けを借り、図面を参照することによって、本発明をさらに詳しく説明する。
充填されていない印象用トレイの斜視図である。 本発明の実施態様の第一の形態に従った、充填された印象用トレイの断面図である。 本発明の実施態様の第二の形態に従った、充填された印象用トレイの断面図である。 上から見たデンタルスプリントの図である。 本発明の実施態様の第三の形態に従った、充填された印象用トレイの断面図である。 本発明の実施態様のさらなる形態に従った、充填された印象用トレイの断面図である。
図1〜3、4、5は、印象用トレイ1を示す。これは、例えば0.5mm、0.8mm、1.0mmまたは1.5mmの厚みを有する義歯モールドを作成するための従来の印象用トレイに例えば相当するものであり、これから石膏模型を作成することができる。印象用トレイ1は、金属または好ましくはプラスチックから作成することが可能であり、少なくとも80℃未満、好ましくは120℃未満の温度でも硬質であって、基本的に手で変形させることができない。印象用トレイ1が140℃未満の温度でも形状安定性である場合には、オートクレーブで滅菌することができる。印象用トレイ1は、馬蹄形の、歯列の輪郭に従う基部を有している。図面においては、その基部から上方向に延在する側壁を有しており、印象用トレイ1は、断面図においてほぼU字形である。
図4に示すようなデンタルスプリント2やその他の歯科用品を作成するために、図2および3に示すように、混練可能な可塑的に変形可能である、印象材3としての材料を印象用トレイ1に充填する。この印象材の、23℃における初期粘度および/または加工の際の粘度は、1000Pasを超え、好ましくは1000〜150,000Pas、特に1000〜100,000Pasの間、特に好ましくは1000〜80,000Pasである。熱可塑性フィルム(フォイル)4もまた、印象材3の上または中に加えられる。この熱可塑性フィルム4は、0.1mm〜約4mmの間、例えば約0.5mm〜約2mmの層の厚みを有している。体温および室温において、この熱可塑性フィルム4は固体である。温度が体温を超えた場合、すなわち40℃〜80℃の間の温度や、最高で約120℃までの温度の場合のみ、熱可塑性フィルム4が可塑的に変形可能となる。それらの温度では、混練可能な印象材3の粘度は、全くか、または極めてわずかな変化しか受けない。または、混練可能な印象材3の粘度は、初期状態において、室温ではより硬い粘稠度を有していて、それを超える加工温度になったときのみ、混練可能な粘稠度となる。
印象用トレイ1は、少なくともその基部に穴または開口部を有する穴あきトレイとして設計することもできる。前記開口部は、印象材3が漏れ出すことをできるように設計してもよい。これにより、過剰な材料を印象用トレイ1から排出することができ、また、印象用トレイ1と印象材3との間に機械的な接合が形成されるようにする。
図2に示した実施形態においては、熱可塑性フィルム4をフラットな板としておよその設計をするが、その板は、印象用トレイ1の上に置くか、または馬蹄形に切断して、印象用トレイ1の輪郭に本質的に合わせることが可能となるようにする。これに代わる方法として、例えば図3に示したようにして、断面図においてほぼU字形である、印象材3および印象用トレイ1の上に熱可塑性フィルム4を置くこともまた可能である。このためには、熱可塑性フィルム4には、基部から遠い方に面する印象材3の側の上に配列した、顎の形状にほぼ合わせたセクションを備えておく。図3、5および6においては、エッジセクションが第一セクションから下側に突出しており、それが少なくとも印象用トレイ1と接触状態にあり、内側(図6)または外側(図3および5)で、印象用トレイ1の側壁を包み込んでいる。図5に見られるように、フィルム4のエッジセクションは、側壁と印象用トレイ1の基部の少なくとも一部との両方を覆うようにまで、印象用トレイ1を包み込んでもよい。フィルムをこの形状と配置にすることによって、印象材および、(図3および5に従って外側にもフィルムを適用した場合には)印象用トレイを保護する。長すぎない程度の時間で、目標とした加熱エネルギーをフィルムに適用することによって、印象材と印象用トレイとは、あまりにも強烈に加熱されることから少なくとも保護されることが可能である。したがって、本質的にはフィルムだけが加熱される。
デンタルスプリント2を作成するためには、熱可塑性フィルム4を加工温度にまで加熱する。この温度は、例えば40℃〜80℃の間とすることができる。印象材3および/または印象用トレイ1に強すぎる加熱を行うことなく、熱可塑性フィルム4に所定のレベルの加熱を与えるためには、実施態様の一つの例においては、フィルム4と印象材3との間に、少なくとも部分的にエアクッションを配することにより印象材3への熱の投入を抑制する。このことに加えて、フィルム4に限定的に熱を加えて、より好ましくは、フィルム4にだけ(目標とする)熱エネルギーが供給されるようにする。
フィルム4がその加工温度に達し、可塑的に変形可能となったらすぐに、そのフィルムを患者の口腔の中に直接適用することができる。このためには、熱可塑性フィルム4を、印象用トレイ1および印象材3と共に、歯列または個々の歯牙に適用する。混練可能な材料で充填した剛直な印象用トレイ1を歯列に対して押さえつけると、熱可塑性フィルム4が変形して、歯牙の輪郭に突き合わされ、それによって印象材3が、あらゆる側面から、熱可塑性フィルム4に対して均等な圧力をかける。
印象用トレイ1は、印象材3およびデンタルスプリント2と共に、口腔から取り出すことができる。印象材3とスプリント2の材料を選択して、その加工温度ではそれらが相互に接着することなく、また互いから容易に分離させることが可能となるようにする。より好ましくは、それらの材料の間に断熱層(図示せず)を設けて、それによって、印象材3をデンタルスプリント2から、後者に損傷を与えることなく、容易に分離できるようにすることができる。断熱層が、熱可塑性フィルム4に比較してより薄いフィルム(図示せず)の形態、例えば食品包装用ラップのような形態であれば、特に有利であることが判った。そのようなものは、コーティング、例えば流体コーティングを用いて備えることがおそらく可能であり、これにより接着力が抑制される。その断熱層はさらに、フィルム4から印象材3および/または印象用トレイ1への熱の投入も抑制することができる。さらに、実施態様のすべての形態において、(図5にして示していない)エアクッション5を、少なくとも部分的に、熱可塑性フィルム4の第一セクションと印象材3との間に設けることも可能である。そのエアクッション5は、少なくとも馬蹄形のほぼ全体の上に広がった連続のエアクッションの形態であってもよいし、あるいはいくつかの小さなエアクッションからなっていてもよい。
これに代わる方法として、最初に印象用トレイ1を印象材3と共に口腔から取り出すのに対し、デンタルスプリント2は口腔内に残し、別途に取り出すこともできる。このためには、印象用トレイ1に接着剤および/または機械的な繋留手段を備えておいて、印象材3が印象用トレイ1と共に、より容易に口腔から取り出せるようにすることもできる。
各種必要な切削またはその他の後続作業の後、患者の口腔中で直接的に作成されたデンタルスプリント2は、歯科矯正アライナー、咬合床、小型プラスチックスプリント、オクルーザルスプリント、ヒーリングキャップ、フルイダイゼーショントレイ、ホワイトニングトレイ、トランスファートレイ、マウスプロテクター、ポジショナーもしくは投薬キャリヤー、または同様の器具として使用することができる。
印象用トレイ1および/または印象材3に比べて、熱可塑性フィルム4の方がより強い加熱を受けるためには、フィルムと印象材と印象用トレイとを均一に加熱する場合に比べて、本発明による方法では熱可塑性フィルムが高い温度に加熱されていた場合であってさえも患者の口腔内への熱の投入が全体として少なくなる。したがって、そのデンタルスプリントの製作は、(患者には不快感を与える)あまりにも高い温度に口腔内を暴露させることは伴わない。
以下において、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
1.印象材
実施例1
ニーダー中において、43重量%のトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:2,000,000mPas)、49重量%のポリエチレン粉末(LDPE)(平均粒径:17μm)、および8重量%の白色鉱油(粘度:200mPas)を均質に混合する。
白色の混練可能なペーストが作成される。この粘稠度は24mm(ISO 4823に従って測定)である。この印象材は、フィルムを適応させるための可塑的に変形可能な物質を形成し、粘稠度が高いために、歯科用品を作成するための本発明によるキットにおける機能的システム成分として使用することができる。この印象材は、歯科用品を作成するための本発明による方法にも適している。
実施例2
ニーダー中において、43重量%のトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:1,000,000mPas)、52.5重量%のポリテトラフルオロエチレン粉末(PTFE)(平均粒径:12μm)、および4.5重量%の白色鉱油(粘度:200mPas)を均質に混合する。
白色の混練可能なペーストが作成される。この粘稠度は24mm(ISO 4823に従って測定)である。この印象材は、フィルムを適応させるための可塑的に変形可能な物質を形成し、粘稠度が高くかつ熱可塑性スプリントプラスチック(EVA)に対しての分離効果が高いために、歯科用品を作成するための本発明によるキットおよび/または方法における機能的システム成分として使用することができる。
実施例3
ニーダー中において、60重量%のトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:1,000,000mPas)および40重量%のポリプロピレン粉末(PP)(平均粒径:38μm)を均質に混合する。
白色の混練可能なペーストが作成される。この粘稠度は22mm(ISO 4823に従って測定)である。この印象材は、フィルムを適応させるための可塑的に変形可能な物質を形成し、粘稠度が高く、寸法安定性が高く、さらには貯蔵時に油分の分離傾向が低いために、歯科用品を作成するためのキットおよび/または本発明による方法における機能的システム成分として使用することができる。
2.熱可塑性材料(個々の熱可塑性歯科用品の予備工程としてのブランクモールド)
以下でも説明するが、ブランクモールド(予備成形物)は、例えば、熱可塑性材料から作成したフィルム様の構成要素であってよい。この構成要素は、その後で歯科用品を製作するのに適した、より好ましくは、断面図がほぼU字形である本質的に馬蹄形の形の形状を示していてよい。
実施例4
95重量%の粒状化エチレン−酢酸ビニル・コポリマー(酢酸ビニル比率:32%、融点:63℃)と5重量%の粒状物の形態で存在するポリカプロラクトン(平均分子量:80,000g/Mol、融点:59℃)とを、手で均質に予備混合し、押出機を介して射出成形システムに導入する。その次にデンタルスプリントを得るための、熱可塑性ブランクモールドを作成するための、アルミニウム製ツールを介して得られたその射出成形部品は、62のショアーA硬度と、86%の、1.7mmの層厚みでの可視光線の光学的透明度とを有している。
この熱可塑性ブランクモールドは、加熱源に暴露させることによって約70℃にまで加熱すると、熱可塑性的に変形可能であり、約37℃にまで冷却すると、固化して固体で可撓性のある成形された構成要素を与える。この方法で作成した熱可塑性合成材料は、歯科用品を製作する方法、より好ましくは口腔内において直接的にスプリントを製作する本発明による方法には好適である。この熱可塑性材料は、例えば本発明による歯科用品を製作するキットにおいて使用することができる。その光学的透明度、機械的性質、および加熱後の可塑的挙動に基づくと、本明細書に記載した材料は例えばホワイトニングスプリントを製作するために使用することができる。
実施例5
90重量%の粒状化低分子量ポリ塩化ビニルおよび10重量%の粒状物の形態で存在するポリカプロラクトン(平均分子量:80,000g/Mol、融点:59℃)を、手で均質に予備混合し、押出機を介して射出成形システムに導入する。その次にデンタルスプリントを得るための、熱可塑性ブランクモールドを製作するための、アルミニウム製ツールを介して得られたその射出成形部品は、高い剛性とショアーA硬度とを有し、さらには1.7mmの層厚みでの可視光線でほぼ完全な光学的透明度を有している。
この熱可塑性ブランクモールドは、加熱源に暴露させることによって約65℃にまで加熱すると熱可塑性的に変形可能であり、約37℃にまで冷却すると固化して固体で可撓性のある成形された構成要素を与える。この方法で作成した熱可塑性合成材料は、本発明による歯科用品および本発明によるキットを作成するための方法に好適である。その光学的透明度、機械的性質、および加熱後の可塑的挙動に基づくと、本明細書に記載した材料は、例えば高い機械的強度を有するデンタルスプリントを製作するために使用することができる。
3.断熱層(分離剤)
剛直なベーストレイ、その中に充填された印象材、およびそれらの上に配置された熱可塑性スプリント材料(ブランクモールド)からなる歯科用品を製作するためのキットを構成する場合、印象材と熱可塑性スプリントとの間に断熱層(分離剤)を組み入れることができる。これについては実施例6および7に示す。
実施例6
ポリエチレンフィルム(例えば、家庭用食品包装用ラップ、メリッタ・トピッツ・2・イン・1(Melitta Toppits 2 in 1))を使用し、その下側を印象材の上に直接横たえ、その上にトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:10,000mPas)の薄膜をコーティングする。これによって、コーティングした側を熱可塑性スプリント材料の下側と部分的に接触させる。
この配置によって、患者の口腔内にその熱可塑性スプリントセットを使用した後、その成形させたデンタルスプリントを変形させたり残分を残したりすることなく、極めて容易に印象材から取り外すことができる。
実施例7
不可逆的に、可塑的に変形可能であるフィルム、ハイトレイル(Hytrel)5556(デュポン(Dupont)製)を、50μmの層厚みで使用する。それを、印象材の上に直接その下側をあて、その上側にはトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:10,000mPas)の薄膜を用いてコーティングし、部分的に熱可塑性スプリント材料の下側と直接接触させる。
この配置によって、患者の口腔内にその熱可塑性スプリントセットを使用した後、その成形させたデンタルスプリントを変形させたり残分を残したりすることなく、極めて容易に印象材から取り外すことが可能となる。それによって、使用されたフィルムは、口腔における成形に際して、熱可塑性スプリント合成材料と共にそれが変形され、そのために、輪郭があいまいな、したがってフィット性に欠けるデンタルスプリントの原因となりうる、いかなる弾性リソーティング力(elastic resorting force)を一切示さない。
4.完成システム(歯科用品を製作するキット)
実施例8
熱可塑性スプリントセット、すなわち歯科用品を作成するためのキットを、剛直な射出成形されたポリプロピレン製のベーシックトレイ、実施例3によりその中に充填された印象材、実施例6により印象材の上に配置された分離層、および実施例4によりその上に配置された熱可塑性ブランクモールドからなるように組み合わせる。
そのブランクモールド(予備成形物)およびトレイは、特に前歯の領域においては、ブランクモールドのフィルムがエッジ、すなわち外側(前庭)トレイの壁の、トレイの基部から遠い方に面する周縁エッジと接触しないように設計される。これによって、成形の際にフィルムの適用をより困難とするか実施できなくし、これにより成形の質を損なう可能性がある。
23℃に温度調節されていたこの配置物を、温度130℃の加熱空気のファンに90秒間暴露させる。その時間の間に、熱可塑性フィルムが選択的に65℃の温度にまで加熱されることによって可塑的に変形可能となる。加熱空気に暴露させた後でも、システムの他の構成要素の温度はかなり低い。印象用トレイが37℃、印象材が40℃である。
選択的に加熱されたこのキットを、歯列の上に押しつけることによって、被験者の下顎に適用する。約1分間の短い冷却相の後に、そのスプリントセットを口腔から取り出す。印象材に加わる圧力が均等であることの結果として、熱可塑性スプリントの中に歯牙の輪郭が明瞭にかたどられる。その熱可塑性スプリントを、ベーシックトレイおよび印象材から引き離すが、その際には、実施例6に従って予め組み込んでおいた分離剤によって、歪ませたり残渣を残したりすることなく、その引き剥がしが実施できる。その引き剥がした、熱可塑性的に成形されたフィルムを、歯肉の成形された辺縁に沿ってはさみで切り取り、仕上げスプリントに適応させる。歯列の上に整復させると、そうして作成されたスプリントは、歯牙の上にしっかり固定される。
光学的透明度のレベルが高いために、患者の歯牙の審美性もほとんど損なわれることはない。この例を使用した本発明により作成されたスプリントは、暫間クラウンおよびブリッジを作成するためのマトリックスとして使用することが可能であり、またショアーA硬度が低く、可撓性であることから、歯牙を白色化させるためのホワイトニングスプリントとしても好ましい。
5.歯科印象の作成
実施例9(粘着性印象材)
ニーダー中において、50重量%のトリメチルシリル末端停止ポリジメチルシロキサン(20℃での粘度:1,000,000mPas)、40重量%のポリエチレン粉末(LDPE)(平均粒径:17μm)、および10重量%の高分散シリカ(使用前に徹底的に乾燥、BET表面:170m/g)を均質に混合する。
これにより、白色の混練可能なペーストが作成されるが、その粘稠度は24mm(ISO 4823に従って測定)である。高分散シリカを使用することによって、その印象材は、ポリプロピレンおよびエチレン酢酸ビニル・コポリマーを使用した場合に比較して、高いレベルの粘着性を有している。粘着性のレベルが高いことは、その印象物質を接触表面から剥がすには、道具を使うか溶媒を使用しなければならない、ということからも示される。
実施例10(成形の予備工程としての熱可塑性ブランクモールド)
95重量%の粒状化エチレン酢酸ビニル・コポリマー(酢酸ビニルの比率:32%、融点:63℃)を、5重量%のポリカプロラクトン(平均分子量:80,000g/Mol、融点:59℃、粒状物の形態で存在)と、手で均質に予備混合し、押出機を介して、射出成形システムに導入する。その次にデンタルスプリントを得るための、熱可塑性ブランクモールドを作成するための、アルミニウム製ツールを介して得られたその射出成形部品は、62のショアーA硬度と、86%の、1.7mmの層厚みでの可視光線の光学的透明度とを有している。
赤外線に暴露させることで、この熱可塑性ブランクモールド(予備成形物)が約130℃にまで温度上昇して、熱可塑性的に変形させることが可能となり、また約37℃にまで冷却させると固化して、固体で可撓性のある成形構成要素が形成される。
この方法で作成した熱可塑性合成材料は、目標とするエネルギーにより選択的に加熱する本発明による方法のため、およびそれとは独立して、口腔内で印象をとるためには適したものである。
実施例11(完成熱可塑性印象材システム)
射出成形されたポリプロピレン製の剛直なベーシックトレイ、実施例9に従ってその中に充填した印象材、および実施例10に従ってその上に適用した熱可塑性ブランクモールドからなるように、キットを組み合わせる。23℃に温度調節されていたこの配置物を、目標の熱エネルギーの手段により130℃の温度とする。その時間の間に、その熱可塑性フィルムが選択的に65℃の温度にまで加熱され、それによって可塑的に変形させることが可能となる。加熱空気に暴露させた後でも、システムの他の構成要素の温度はかなり低い。印象用トレイが37℃、印象材が40℃である。選択的に加熱されたこのキットを、歯列の上に押しつけることによって、被験者の下顎に適用する。約1分間の短い冷却時間の後に、そのキットを口腔から取り出す。
印象材に加わる圧力が均等であるために、熱可塑性フィルムの中に歯牙の輪郭が明瞭にかたどられる。次いで、慣用される歯科技術に従って、そのキットに石膏が充填される。石膏模型が、下顎の成形された歯科治療的状況と同一の複製物を与えるので、次いでそれを用いて置換歯を作成することができる。
6.熱可塑性材料を加熱するための器具
熱可塑性材料を選択的に加熱するための本発明における器具は、エネルギー源を有しており、より好ましくは、例えばマカナイト絶縁を有するレーザーカット伝熱体を含むステンレススチールヒーターの形態で含む。別の方法として、熱放散器、ランプ(例えば、反射鏡付きまたは反射鏡なしの、赤外線ランプ、ハロゲンランプ)、PTC加熱要素、マカナイトキャリヤー上の裸線加熱システム、セラミック電界加熱(ceramic field heating)および/または加熱空気源を、エネルギー源として使用することも可能である。
さらに、印象用トレイ、印象材および加熱される熱可塑性材料を含むキットのための支持器具もまた考えられる。その支持器具は、エネルギー源に関連して配置され、本質的に熱可塑性材料だけが、エネルギー源の直接的な熱放射に暴露されるようにする。そのキットとエネルギー源は、熱可塑性材料がエネルギー源に面するような方法で配置される。このことは、例えば、エネルギー源の形状が加熱される材料の形状とマッチしているようにして起こすことができる。したがって、キットを加熱するためのエネルギー源は、ほぼ馬蹄形の形状として、顎の形に対応するキットまたは熱可塑性材料の形状にマッチさせることができる。上側のプレートを成形するために、熱可塑性材料の適切な領域が設けられている場合には、必要であれば、エネルギー源の半円の領域を加えることも可能である。
本発明における器具においては、下記のユニットの一つまたは複数を設けることもできる。
・ワックスのための加熱ユニット(これは、自己制御PTC加熱要素と共に組み込むことができる)、
・機械加工ツール例えば研削、切削などのための電気接続ユニット、
・加熱分離のためのユニット、すなわち熱可塑性材料を切断するための加熱ブレードまたは加熱ハサミ(分離器具のための接続具および支持具を含む)、
・例えば加熱分離器具を用いて切断することが可能とするような、キットを固定するための支持器具、
・熱可塑性的に変形させることが可能な印象用トレイのための加熱ユニット、
・寒天注入および/またはヒドロコロイド成形材料のための加熱チャンバー、
・製品および/または加工パラメーターを読み込むための読み取りユニット、より好ましくはバーコードリーダーであって、可能であれば調節ユニットと組み合わせて、出所、材料群もしくは材料のタイプの識別、材料の厚み、エネルギー源のための加工温度、加熱時間(可能であれば、異なった相のための)、最大加熱保持時間および/または最大サイクル時間を確認することが可能であるもの(そのようなバーコードは、物品コードと組み合わせてパッケージに貼り付けるか、または加熱プロセスの設定のための単一のコードとして、例えば熱可塑性スプリントをパッケージするためのフィルムに貼り付けることができる)。
熱可塑性材料を温度調節しながら加熱できるようにするには、調節ユニットをエネルギー源に割り付けるのが好ましい。エネルギー源が、所定の温度における第一の工程(所定の最低温度での加熱相1)において熱可塑性材料を加熱するように調節器具を設定し、それに続く第二の工程(加熱相2:クロックサイクル追従加熱)でエネルギー源の出力を抑えながら熱可塑性材料全体を加熱する。この第二の加熱相は、熱可塑性材料を深部加熱するためのものであって、例えば、第一の相の場合に比較して、20%にまで低下するエネルギー源出力で起きる。その中にキットが置かれている引出しが、加熱相1のための最低温度に達したときだけに開くことができるようにその器具を設定することも可能である。そのキットが直ちに取り出されないような場合には、第二の加熱相の後に、所定の時間の間、熱保持相が起きるようにすることもできる。キットおよび/または器具が損傷されることを防止するために、後者が、予め決めた時間の後および/または臨界温度を超えた場合にその加熱プロセスを停止させ、および/またはキットを排出させることもできる。

Claims (30)

  1. 歯科用品を製作する方法であって、
    a)印象材(3)を充填した印象用トレイ(1)を用意する工程であって、歯科用品を製作するための熱可塑性材料(4)を、前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)の上または中に供給する工程と、
    b)前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)の上または中に供給された前記熱可塑性材料(4)を、前記熱可塑性材料(4)の軟化温度よりも高い温度かつ200℃未満に、より好ましくは約40℃〜約80℃の間の温度に加熱する工程と、
    c)前記印象材(3)を充填された前記印象用トレイ(1)を伴う前記熱可塑性材料(4)を、患者の口腔内に適用する工程と、
    d)前記熱可塑性材料(4)を少なくとも一つの歯牙および/または歯肉に適用し、前記熱可塑性材料(4)がその軟化温度よりも低い温度に冷却されるまでの時間をかけて歯科用品(2)のモールドを成形する工程と、
    e)前記印象用トレイ(1)、前記印象材(3)および前記熱可塑性材料(4)から成形された前記歯科用品(2)を、前記患者の口腔から取り出す工程と、
    を含み、
    前記工程b)において、目標とする(指向させた)エネルギーの供給により、前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)よりも強く、前記熱可塑性材料(4)を選択的に加熱することを特徴とする方法。
  2. 前記熱可塑性材料(4)を、好ましくはステンレススチール製ヒーターの形態の、熱放散器、ランプおよび/または加熱空気源により、前記工程b)において選択的に加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程b)の前に、前記熱可塑性材料(4)への熱入力を改善する少なくとも1種の物質を前記熱可塑性材料(4)に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程b)の前に、前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)に、前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)への熱入力を低下させる物質を供給するかおよび/または前記印象用トレイ(1)および/または前記印象材(3)がそのような材料からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 少なくとも1層の断熱層、例えば断熱フィルムもしくはフォイルおよび/または断熱溶液を、前記熱可塑性材料(4)と前記印象材(3)との間に有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記工程b)における前記加熱が、前記印象用トレイ(1)、前記印象材(3)、前記熱可塑性材料(4)および/または前記断熱層の中および/または上の温度インジケーターにより好ましくは色の変化によって指示される所定の温度までのみで起こることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記熱可塑性材料(4)が、前記印象材(3)が中に含まれるソーセージの皮状チューブの形態で供給され、前記歯科用品は前記熱可塑性材料(4)の冷却後にここから切り出されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記工程e)において、前記印象用トレイ(1)、前記印象材(3)および前記熱可塑性材料(4)が一つのユニットとして前記患者の口腔から一緒に取り出されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 約110℃未満、より好ましくは約150℃未満の温度では固体である材料から作られ、顎の形状に合わせた基部と、その基部から突出した側壁とを有する、印象用トレイ(1)と、
    少なくとも約10℃〜約90℃の間の温度で可塑的に変形可能である、前記印象用トレイ(1)の中または上に供給される印象材(3)と、
    体温では固体であり、体温〜約150℃の間の温度では、手によって可塑的に変形可能である、歯科用品を製作するための熱可塑性フィルム(4)と、
    を用いて歯科用品を製作するキット、より好ましくは請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法において使用するためのキットであって、
    前記熱可塑性フィルム(4)が、前記基部から遠い方に面する前記印象材(3)の側面に配列された顎の形にマッチした第一セクションと、前記印象用トレイ(1)の前記側壁の内側または外側に少なくとも部分的に重なりあって前記印象用トレイ(1)と接触状態にある前記第一セクションから離れる方向に突出しているエッジセクションと、を有し、
    特に前記熱可塑性フィルム(4)の第一セクションと前記印象材(3)との間に、少なくとも部分的にエアクッション(5)が配置されている、キット。
  10. 前記熱可塑性フィルム(4)が、エチレン−アクリル酸・コポリマー、エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマー、エチレンおよびエタクリル酸メチルのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテネン、スチレン−イソプレン−スチレン、またはスチレン−ブタジエン−スチレン・コポリマー、熱可塑性エラストマー、非晶質ポリオレフィン、直鎖状熱可塑性ポリウレタン、コポリエステル、ポリアミド樹脂、ポリアミド/EVA・コポリマー、ダイマー脂肪酸ベースのポリアミノアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリ塩化ビニル、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレートまたは形状記憶合成材料等のセルロースエステル、および上述の合成材料の混合物、の群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項9に記載のキット。
  11. 前記熱可塑性フィルム(4)が、約0.1mm〜約4mmの間、より好ましくは約0.5mm〜約2.5mmの間の厚みの層を有していることを特徴とする、請求項9または10に記載のキット。
  12. 前記熱可塑性フィルムの材料(4)および/または前記印象材(3)が、前記熱可塑性フィルム(4)と前記印象材(3)との間に、接着力が形成されないように選択されるかおよび/または備え付けられていることを特徴とする、好ましくはデンタルスプリントを作成するための、請求項9〜11のいずれか1項に記載のキット。
  13. 前記熱可塑性フィルム(4)と前記印象材(3)との間に、断熱フィルム、断熱フォイルおよび/または断熱溶液の形態の、少なくとも1層の断熱層を備えることを特徴とする、好ましくはデンタルスプリントを作成するための、請求項9〜12のいずれか1項に記載のキット。
  14. 前記印象材(3)と前記熱可塑性フィルム(4)との間の接着接合が、前記患者の口腔から前記歯科印象(2)を取り出す際に生じる引剥がし力よりも強くなるように、前記印象材(3)を粘着性が高くなるよう配合するかおよび/または化学的接着剤を備えるか用意することを特徴とする、好ましくは歯科印象を作成するための、請求項9〜11のいずれか1項に記載のキット。
  15. 前記印象材(3)と前記印象トレイ(1)との間の接着接合が、前記患者の口腔から前記歯科印象(2)を取り出す際に生じる引剥がし力よりも強くなるように、前記印象材(3)を粘着性が高くなるよう配合するかおよび/または化学的接着剤を備えるか用意することを特徴とする、好ましくは歯科印象を製作するための、請求項9〜11および14のいずれか1項に記載のキット。
  16. 前記印象用トレイ(1)と前記印象材(3)とが、機械的繋留手段および/または接着接合によって相互に接続されていることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載のキット。
  17. 前記印象材が、約1000Pasを超える粘度、好ましくは1000〜150,000Pasの粘度を有することを特徴とする、請求項9〜16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 前記印象用トレイ(1)、前記印象材(3)、前記熱可塑性フィルム(4)および/または前記断熱層が、温度を指示するための手段、好ましくは例えばサーマルストリップまたはサーマルカラーとして設計された温度センサを有することを特徴とする、請求項9〜17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 前記印象用トレイ(1)および熱可塑性フィルム(4)が、少なくとも前歯の領域においては前記フィルム(4)が外側トレイ壁のエッジと接触しないように設計され配置されていることを特徴とする、請求項9〜18のいずれか1項に記載のキット。
  20. トランス−1,4−ポリイソプレン、エチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)とポリ(エプシロン・カプロラクトン)(PCL)との混合物、エチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)とエチレン/アクリル・アセテート・コポリマー(E/AA)との混合物、エチレン/アクリル・アセテート・コポリマー(E/AA)とポリ(エプシロン・カプロラクトン)(PCL)との混合物、の群から選択される熱可塑性材料を含む、好ましくは請求項1〜8のいずれか1項に記載のモデルおよび/または請求項9〜19のいずれか1項に記載のキットによって製作される、歯科用品。
  21. 前記熱可塑性材料が、約99〜約30重量%、より好ましくは約95〜約70重量%のエチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)と、約1〜約70重量%、より好ましくは約5〜約30重量%のポリ(エプシロン・カプロラクトン)(PCL)と、の混合物であることを特徴とする、請求項20に記載の歯科用品。
  22. 前記熱可塑性材料が、約99〜約30重量%、より好ましくは約95〜約70重量%のエチレン/酢酸ビニル・コポリマー(E/VA)と、約1〜約70重量%、より好ましくは約5〜約30重量%のエチレン/アクリル・アセテート・コポリマー(E/AA)と、の混合物であることを特徴とする、請求項20に記載の歯科用品。
  23. 前記熱可塑性材料の加熱挙動および冷却挙動がヒステリシス効果を示し、冷却では、加熱の場合よりも低い温度で、塑性変形性を示すことを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の歯科用品。
  24. 約60℃〜約90℃、より好ましくは約85℃の温度において、前記熱可塑性材料が成形のためには十分な可塑性を有するが、ほんのわずかしか弾性部分を有さないことを特徴とする、請求項20〜23のいずれか1項に記載の歯科用品。
  25. 好ましくは熱放散器の形態の、好ましくはステンレススチール製ヒーター、ランプおよび/または加温空気源であるエネルギー源と、印象用トレイ(1)、印象材(3)および加熱されるべき熱可塑性材料(4)を有する好ましくは請求項9〜19のいずれか1項に記載のキットのための支持器具と、を用いて、好ましくは請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって熱可塑性材料を選択的に加熱するための器具であって、
    本質的に前記熱可塑性材料のみが前記エネルギー源からの直接的な熱放射に暴露されるように、前記支持器具が前記エネルギー源に対して配置される、器具。
  26. 前記エネルギー源と前記支持器具との間に、前記エネルギー源から前記熱可塑性材料(4)への熱放射を目標に向けて誘導するための手段が想定されることを特徴とする、請求項25に記載の器具。
  27. ワックスのための加熱ユニットと、
    機械加工ツールのための電気接続ユニットと、
    加熱分離のためのユニットと、
    請求項9〜19のいずれか1項に記載のキットを固定するための支持器具と、
    熱可塑性的に変形させることが可能な印象用トレイのための加熱ユニットと、
    寒天注入および/またはヒドロコロイド印象材のための加熱チャンバーと、
    製品および/または加工パラメーターを読み込むための読み取りユニットと、
    の中から少なくとも一つを備えることを特徴とする、請求項25または26に記載の器具。
  28. 好ましくは馬蹄形および/または半円形の形状にする方法によって、加熱される前記熱可塑性材料の形状に前記エネルギー源をマッチさせることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか1項に記載の器具。
  29. 前記熱可塑性材料を温度調節しながら加熱するための調節ユニットが、前記エネルギー源に対して割り付けられことを特徴とする、請求項25〜28のいずれか1項に記載の器具。
  30. 第一の工程においては前記エネルギー源が所定の温度まで熱可塑性プラスチック材料を加熱し、続く第二の工程においては前記エネルギー源の低下した出力により前記熱可塑性材料を加熱するように、前記調節ユニットを調整することを特徴とする、請求項29に記載の器具。
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