以下、本発明を実施するための最良の形態である検査装置およびこれを用いた磁気誘導システムについて説明する。なお、以下では、所定のパッケージ内部に収納された状態のカプセル型医療装置を検査する検査装置と、この検査装置によって検査されたカプセル型医療装置を被検体内部に導入後に磁気誘導する磁気誘導システムとを例示するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる検査装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる検査装置1は、所定の磁気誘導装置104によって磁気誘導可能なカプセル型医療装置2をそのパッケージ3とともに収納する収納部4と、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の特性を測定する磁石特性測定部5と、このカプセル型医療装置2内部の共振回路28の共振特性を測定する共振特性測定部6とを備える。また、この検査装置1は、各種情報を入力する入力部7と、磁気誘導装置104の動作条件等の各種情報を表示する表示部8と、磁気誘導装置104に動作条件情報等を出力する出力部9と、各種情報を記憶する記憶部10と、かかる検査装置1の各構成部を制御する制御部11とを備える。
カプセル型医療装置2は、被検体の体内画像を取得するカプセル型の医療装置であり、カプセル型の筐体内部に撮像機能および無線通信機能を備える。また、カプセル型医療装置2は、所定の磁気誘導装置104によって磁気誘導可能な装置であり、カプセル型の筐体内部に磁石27および共振回路28を備える。かかるカプセル型医療装置2は、製造後に滅菌処理され、その後、パッケージ3の内部に収納される。なお、カプセル型医療装置2は、医師または看護師等のユーザ側に出荷された後、被検体内部に導入される直前まで、パッケージ3の内部に収納された状態で保管される。
パッケージ3は、内部にカプセル型医療装置2を収納可能な構造を有し、この収納したカプセル型医療装置2の長手軸方向を視認可能な外形に形成される。パッケージ3は、滅菌処理後のカプセル型医療装置2を内部において着脱可能に支持するとともに密封状態に収納する。かかるパッケージ3内部に収納(支持)された状態のカプセル型医療装置2は、パッケージ3内部において自由に身動きすることができない(すなわちパッケージ3に対する相対的な位置および方向を変化させない)。
収納部4は、検査対象のカプセル型医療装置2を支持する支持部として機能する。具体的には、収納部4は、パッケージ3の方向を規定しつつパッケージ3を収納可能な凹部(図1に示す斜線部分)が形成される。収納部4は、かかる凹部に嵌め込まれたパッケージ3をベアリング構造等によって回転可能に支持する。かかる収納部4は、このパッケージ3を介してカプセル型医療装置2を回転可能に支持しつつ収納する。この場合、かかる収納部4に収納されたパッケージ3は、このパッケージ3の中心軸CL1を中心に回転可能である。なお、かかるパッケージ3の中心軸CL1は、内部のカプセル型医療装置2の長手軸(後述するカプセル型筐体20の長手方向の中心軸CL2)に対して平行であることが望ましく、さらには、このカプセル型医療装置2の長手軸と一致することが望ましい。
磁石特性測定部5は、カプセル型医療装置2に内蔵された磁石27の特性を測定する。具体的には、磁石特性測定部5は、この磁石27の特性の一例である磁気モーメントを測定するものであり、収納部4に収納されたカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを測定する磁気モーメント測定部13と、この磁石27の磁化方向を磁力によって制御する磁化方向制御部14とを備える。
磁気モーメント測定部13は、カプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度の測定を通してこの磁石27の磁気モーメントを測定するものであり、この磁石27の残留磁束密度を測定する磁束密度測定部13aと、この磁束密度測定部13aによる残留磁束密度の測定結果をもとに磁石27の磁気モーメントを算出する磁気モーメント算出部13bとを備える。
磁束密度測定部13aは、収納部4の近傍に配置され、この収納部4に収納されたパッケージ3内のカプセル型医療装置2の近傍に位置する。磁束密度測定部13aは、制御部11の制御に基づいて、このカプセル型医療装置2内の磁石27が現時点において発生可能な磁界の最大強度(最大磁力)を示す磁石27の残留磁束密度を測定する。磁束密度測定部13aは、この磁石27の残留磁束密度の測定結果を磁気モーメント算出部13bに送信する。
磁気モーメント算出部13bは、磁束密度測定部13aの測定結果をもとにカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを算出する。具体的には、磁気モーメント算出部13bは、カプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度を磁束密度測定部13aから取得する。また、磁気モーメント算出部13bは、制御部11によって記憶部10から読み出された磁石体積情報10aを制御部11から取得する。磁気モーメント算出部13bは、制御部11の制御に基づいて、かかる磁石27の残留磁束密度(測定値)と磁石体積情報10a(磁石27の体積)とを乗算して、磁石27の磁気モーメントを算出する。磁気モーメント算出部13bは、このように算出した磁石27の磁気モーメントを磁石27の磁気モーメント測定結果として制御部11に送信する。
磁化方向制御部14は、上述したカプセル型医療装置2に磁界を印加してカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を制御する。具体的には、磁化方向制御部14は、磁界発生コイル14a、信号発生部14bおよび駆動部14cを備える。かかる磁化方向制御部14は、収納部4に収納された状態のパッケージ3内のカプセル型医療装置2をパッケージ3とともに磁力によって回転し、これによって、磁束密度測定部13による磁石27の残留磁束密度の測定に適した方向に、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を制御する。
磁界発生コイル14aは、駆動部14cによって供給された電流をもとに誘導用磁界M1を生成し、この生成した誘導用磁界M1をパッケージ3内のカプセル型医療装置2に印加する。かかる磁界発生コイル14aの誘導用磁界M1は、カプセル型医療装置2を誘導するための磁界であり、このカプセル型医療装置2内部の磁石27に作用する。これによって、このカプセル型医療装置2は、かかる誘導用磁界M1に追従して回転しつつ磁束密度測定部13側に磁石27の磁化方向を変化させる。すなわち、磁界発生コイル14aは、このカプセル型医療装置2に印加した誘導用磁界M1の磁化方向と、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向とを一致させる。
信号発生部14bは、制御部11の制御に基づいて電流信号を生成し、この生成した電流信号を駆動部14cに送信する。駆動部14cは、信号発生部14bが生成した電流信号を増幅し、この増幅した電流信号を磁界発生コイル14aに送信する。これによって、駆動部14cは、上述した誘導用磁界M1の生成に必要な電力(電流)を磁界発生コイル14aに供給する。
共振特性測定部6は、カプセル型医療装置2に内蔵された共振回路28の共振特性を測定する。具体的には、共振特性測定部6は、収納部4に収納されたカプセル型医療装置2内部の共振回路28に磁界を印加する磁界発生部15と、この共振回路28からの誘導磁界の強度を測定する誘導磁界測定部16とを備える。
磁界発生部15は、かかるカプセル型医療装置2内部の共振回路28に誘導磁界を発生させるためのものであり、磁界発生コイル15a、信号発生部15bおよび駆動部15cを備える。磁界発生コイル15aは、駆動部15cによって供給された電流をもとに、周波数を変化させつつ磁界M2を生成し、この生成した各周波数の磁界M2をパッケージ3内のカプセル型医療装置2に順次印加する。かかる磁界発生コイル15aの磁界M2は、このカプセル型医療装置2内部の共振回路28に作用する。この場合、共振回路28は、かかる磁界M2を受けて共振状態になるとともに誘導磁界を発生する。なお、かかる共振回路28の誘導磁界は、磁界発生コイル15aの磁界M2を受けて共振回路28が出力(応答)する磁界である。
信号発生部15bは、制御部11の制御に基づいて周波数掃引信号を生成し、この生成した周波数掃引信号を駆動部15cに送信する。駆動部15cは、信号発生部15bが生成した周波数掃引信号を電力増幅し、この電力増幅した周波数掃引信号を磁界発生コイル15aに送信する。これによって、駆動部15cは、上述した磁界M2の生成に必要な電力(電流)を磁界発生コイル15aに供給する。なお、信号発生部15bは、制御部11の制御に基づいて少なくとも1つの周波数の信号を生成し、この生成した1以上の周波数の信号を駆動部15cに送信してもよい。すなわち、信号発生部15bが生成する信号(磁界発生コイル15aに印加する電気信号)の周波数は、少なくとも1点の周波数でもよいし、連続的な周波数でもよい。
誘導磁界測定部16は、カプセル型医療装置2内部の共振回路28からの誘導磁界の強度を測定するためのものであり、上述した磁界発生コイル15aの磁界M2に応答してカプセル型医療装置2内部の共振回路28が発生した誘導磁界を検出する磁界センサ16aと、この磁界センサ16aの検出結果に対して所定の信号処理を行う誘導磁界演算部16bとを備える。
磁界センサ16aは、コイル等を用いて実現され、カプセル型医療装置2内部の共振回路28からの誘導磁界を検出し、この検出した誘導磁界を電圧信号に変換する。磁界センサ16aは、共振回路28からの誘導磁界の検出結果として、この電圧信号を誘導磁界演算部16bに送信する。
誘導磁界演算部16bは、A/D変換部およびFFT処理部等を用いて実現される。誘導磁界演算部16bは、上述した誘導磁界の検出結果である電圧信号を磁界センサ16aから取得し、この取得した電圧信号をデジタル変換処理する。その後、誘導磁界演算部16bは、このデジタル化した電圧信号に対して高速フーリエ変換処理(FFT処理)を行い、このFFT処理結果(すなわち共振回路28が放出した誘導磁界の測定値)を制御部11に送信する。なお、誘導磁界演算部16bは、磁界発生コイル15aの磁界M2の磁界強度情報を演算パラメータとして予め設定されてもよいし、制御部11から取得してもよい。この場合、誘導磁界演算部16bは、磁界センサ16aの磁界検出結果(磁界強度測定値)から磁界M2の磁界強度情報(磁界強度設定値)を減算することによって、共振回路28からの誘導磁界の磁界強度測定値を取得してもよい。
入力部7は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて、制御部11に各種情報を入力する。かかる入力部7が制御部11に入力する各種情報として、例えば、カプセル型医療装置2に内蔵された磁石27の体積等の磁石情報、磁気誘導装置104が被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際に必要な磁気トルク等の磁気誘導情報、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置を検出する位置検出装置105の交番磁界の周波数情報、制御部11に対して指示する各種指示情報等が挙げられる。
表示部8は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部11によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部8は、カプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度の測定結果(磁束密度測定部13の測定結果)、カプセル型医療装置2内部の共振回路28からの誘導磁界の測定値(誘導磁界測定部16の測定結果)、磁気誘導装置104および位置検出装置105の各動作条件情報等を表示する。
出力部9は、制御部11の制御に基づいて磁気誘導装置104と情報通信を行い、制御部11によって出力指示された情報(具体的には磁気誘導装置104の動作条件情報)を磁気誘導装置104に送信する。また、出力部9は、制御部11の制御に基づいて位置検出装置105と情報通信を行い、制御部11によって出力指示された情報(具体的には位置検出装置105の動作条件情報)を位置検出装置105に送信する。なお、かかる出力部9は、磁気誘導装置104および位置検出装置105に対して無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。
記憶部10は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部10は、制御部11が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部11が読み出し指示した情報を制御部11に送出する。かかる記憶部10は、制御部11の制御に基づいて、カプセル型医療装置2内部の磁石27の体積を示す磁石体積情報10aと、被検体内部に導入されたカプセル型医療装置2を磁気誘導するために必要なトルクを示す磁気トルク情報10bとを記憶する。また、記憶部10は、かかる磁石体積情報10aおよび磁気トルク情報10bの他に、上述した磁気モーメント測定部13の測定結果、誘導磁界測定部16の測定結果、磁気誘導装置104の動作条件情報、位置検出装置105の動作条件情報等を記憶する。
制御部11は、検査装置1の各構成部(磁石特性測定部5、共振特性測定部6、入力部7、表示部8、出力部9および記憶部10)の動作を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部11は、上述した各種測定結果および磁気誘導装置104の動作条件情報等の各種情報を表示するように表示部8を制御し、磁気誘導装置104に動作条件情報を出力するように出力部9を制御し、位置検出装置105に動作条件情報を出力するように出力部9を制御し、上述した各種測定結果および磁気誘導装置104の動作条件情報等の各種情報を記憶するように記憶部10を制御する。
また、制御部11は、入力部7によって入力された指示情報に基づいて、カプセル型医療装置2内部の磁石27の特性を測定するように磁石特性測定部5を制御する。この場合、制御部11は、上述した誘導用磁界M1の発生に必要な電流信号を生成するように信号発生部14bを制御し、この信号発生部14bの制御を通して、磁界発生コイル14aの磁界発生動作を制御する。制御部11は、カプセル型医療装置2に誘導用磁界M1を所定の時間印加するように磁界発生コイル14aを制御し、これによって、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を磁束密度測定部13a側に配向させる。その後、制御部11は、電流信号の発生を停止するように信号発生部14bを制御して、磁界発生コイル14aによる誘導用磁界M1の発生(カプセル型医療装置2に対する磁界印加)を停止する。制御部11は、この磁界停止タイミングにおいて、磁石27の残留磁束密度を測定するように磁束密度測定部13を制御し、この残留磁束密度の測定値をもとに磁石27の磁気モーメントを算出するように磁気モーメント算出部13bを制御する。制御部11は、かかる磁気モーメント算出部13bの算出値、すなわち磁気モーメント測定部13の測定値を取得する。
さらに、制御部11は、入力部7によって入力された指示情報に基づいて、カプセル型医療装置2内部の共振回路28の共振特性を測定するように共振特性測定部6を制御する。この場合、制御部11は、上述した磁界M2の発生に必要な電流信号を生成するように信号発生部15bを制御し、この信号発生部15bの制御を通して、磁界発生コイル15aの磁界発生動作を制御する。また、制御部11は、かかる共振回路28からの誘導磁界の測定値を算出するように誘導磁界演算部16bを制御して、この誘導磁界演算部16bから誘導磁界の測定値を取得する。
また、制御部11は、磁気誘導装置104および位置検出装置105の各動作条件を設定する動作条件設定部12を備える。動作条件設定部12は、磁石特性測定部5の測定結果または共振特性測定部6の測定結果をもとに、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際の磁気誘導装置104の動作条件と、この磁気誘導装置104によって磁気誘導されるカプセル型医療装置2の被検体内部における位置を検出する際の位置検出装置104の動作条件とを設定する。かかる動作条件設定部12は、磁気誘導装置104の磁界強度条件を算出する磁界強度演算部12aと、位置検出装置105の周波数条件を算出する周波数演算部12bとを備える。
磁界強度演算部12aは、上述した磁気モーメント測定部13の測定結果をもとに磁気誘導装置104の磁界強度条件を算出する。具体的には、磁界強度演算部12aは、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを磁気モーメント算出部13bから取得する。また、磁界強度演算部12aは、制御部11の制御に基づいて記憶部10から読み出した磁気トルク情報10bを取得する。磁界強度演算部12aは、かかる磁石27の磁気モーメント(測定値)によって磁気トルク情報10b(磁気誘導時の必要トルク)を除算して磁界強度を算出する。かかる磁界強度演算部12aによって算出された磁界強度は、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際の磁気誘導装置104の磁界強度条件である。動作条件設定部12は、かかる磁界強度演算部12aの算出結果(磁界強度)を磁気誘導装置104の磁界強度条件として設定する。
周波数演算部12bは、上述した誘導磁界演算部16bのFFT処理結果をもとに位置検出装置105の周波数条件を算出する。具体的には、周波数演算部12bは、共振回路28からの誘導磁界の測定値(すなわちFFT処理結果)を誘導磁界演算部16bから取得する。周波数演算部12bは、かかる誘導磁界の測定値が極大値になる周波数と極小値となる周波数(すなわち共振回路28の共振点前後の各周波数)を算出する。かかる周波数演算部12bによって算出された各周波数は、カプセル型医療装置2からの磁界(誘導磁界)を検出する際の位置検出装置105の周波数条件である。動作条件設定部12は、かかる周波数演算部12bの算出結果(周波数)を位置検出装置105の周波数条件として設定する。なお、周波数演算部12bは、位置検出装置105の周波数条件として、誘導磁界演算部16bのFFT処理結果をもとに共振回路28の共振周波数を算出してもよい。
ここで、磁気誘導装置104は、被検体内部に導入されたカプセル型医療装置2を磁気誘導するための外部装置である。かかる磁気誘導装置104は、上述した出力部9と情報通信を行って、動作条件設定部12の条件設定結果を示す動作条件情報を取得する。かかる動作条件設定部12からの動作条件情報には、上述した磁界強度得演算部12aが算出した磁界強度条件が含まれる。磁気誘導装置104は、かかる磁界強度条件を、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際の初期的な磁界強度条件として設定し、その後、必要に応じて、このカプセル型医療装置2に印加する磁界の強度を調整する。なお、磁気誘導装置104は、被検体内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導に必要な磁界の最大強度値として、この動作条件設定部12による磁界強度条件を用いる。
一方、位置検出装置105は、被検体内部に導入されたカプセル型医療装置2の位置を検出するための外部装置である。かかる位置検出装置105は、上述した出力部9と情報通信を行って、動作条件設定部12の条件設定結果を示す動作条件情報を取得する。かかる動作条件設定部12からの動作条件情報には、上述した周波数演算部12bが算出した周波数条件が含まれる。位置検出装置105は、この取得した周波数条件に示される各周波数(具体的には、誘導磁界の強度検出値の極大値に対応する周波数と極小値に対応する周波数)を適宜選択する。位置検出装置105は、この選択した周波数の磁界を被検体内部のカプセル型医療装置2に印加し、これによってカプセル型医療装置2から発生した磁界(誘導磁界)の強度を検出する。位置検出装置105は、かかるカプセル型医療装置2からの誘導磁界の強度検出値をもとに、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置を算出(検出)する。なお、上述した磁気誘導装置104は、かかる位置検出装置105によるカプセル型医療装置2の位置検出結果を用いて、カプセル型医療装置2の磁気誘導を実行する。
なお、上述した動作条件設定部12による周波数条件の示す周波数(すなわち周波数演算部12bの演算結果)は、カプセル型医療装置2内部の共振回路28の共振周波数であってもよく、位置検出装置105は、この共振周波数の磁界を被検体内部のカプセル型医療装置2に印加して被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置を検出してもよい。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる検査装置1の検査対象であるカプセル型医療装置2の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる検査装置の検査対象であるカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図2に示すように、この検査対象であるカプセル型医療装置2は、筒状筐体20aとドーム形状筐体20bとによって形成されるカプセル型筐体20と、LED等の照明部21と、照明部21によって照明された被写体の画像を撮像する撮像部22とを備える。また、カプセル型医療装置2は、撮像部22が撮像した画像データの画像信号を生成する信号処理部23と、この画像信号を外部に無線送信する送信部24と、かかるカプセル型医療装置2の各構成部を制御する制御部25と、電池等の電源部26とを備える。さらに、カプセル型医療装置2は、外部磁界に追従して動作する磁石27と、コイルおよびコンデンサによる共振回路28とを備える。
カプセル型筐体20は、被検体の臓器内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、一端がドーム形状をなす筒状筐体20aの他端(開口端)をドーム形状筐体20bによって塞いで形成される。ドーム形状筐体20bは、所定の波長帯域の光(例えば可視光)に対して透明なドーム型の光学部材である。一方、筒状筐体20aは、可視光に対して略不透明な筐体である。かかる筒状筐体20aとドーム形状筐体20bとによって形成されるカプセル型筐体20の内部には、照明部21、撮像部22、信号処理部23、送信部24、制御部25、電源部26、磁石27および共振回路28が液密状態に収容される。
照明部21および撮像部22は、被検体内部にカプセル型医療装置2が導入された際に被検体の体内画像を撮像するための機能実行部である。具体的には、照明部21は、LED等の発光素子を用いて実現され、ドーム形状筐体20b越しに撮像部22の被写体を照明する。
撮像部22は、集光レンズ等の光学系22aと、CCDまたはCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子22bとを備え、固体撮像素子22bの基準方向(例えば受光面の上下方向)とカプセル型筐体20の径方向とが一致する態様でカプセル型筐体20の内部に固定配置される。光学系22aは、照明部21によって照明された被写体からの反射光を集光して、固体撮像素子22bの受光面に被写体の光学像を結像する。固体撮像素子22bは、この被写体の光学像、すなわち照明部21によって照明された被写体の画像(例えば被検体の体内画像)を撮像する。
信号処理部23は、かかる撮像部22の固体撮像素子22bによって光電変換された信号を取得し、この取得した信号に対して所定の信号処理を行って、撮像部22の被写体の画像データ(被検体の体内画像等)を含む画像信号を生成する。送信部24は、コイル状のアンテナ24aを備え、このアンテナ24aを用いて外部と無線通信を行う。具体的には、送信部24は、信号処理部23によって生成された画像信号を取得し、この取得した画像信号に対して変調処理等を行って、この画像信号を含む無線信号を生成する。送信部24は、かかる画像信号を含む無線信号をアンテナ24aを介して外部に無線送信する。
制御部25は、カプセル型医療装置2の各構成部(照明部21、撮像部22、信号処理部23および送信部24)を制御し、且つ、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部25は、照明部21が撮像部22の被写体を照明したタイミングに撮像部22が被写体の画像を撮像するように照明部21および撮像部22の動作タイミングを制御する。制御部25は、所定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で撮像動作を繰り返すように照明部21および撮像部22を制御する。また、制御部25は、かかる撮像部22が撮像した画像データを含む画像信号を外部に無線送信するように信号処理部23および送信部24を制御する。
電源部26は、スイッチ回路およびボタン型の電池等を用いて実現される。電源部26は、スイッチ回路によってオン状態に切り替わった場合、上述した照明部21、撮像部22、信号処理部23、送信部24および制御部25に電力を供給し、スイッチ回路によってオフ状態に切り替わった場合、かかる各構成部に対する電力の供給を停止する。なお、かかる電源部26のスイッチ回路は、外部から印加された磁界の作用によってオンオフ状態を切り替える磁気スイッチであってもよいし、外部から入射した赤外光等の光信号によってオンオフ状態を切り替える光スイッチであってもよい。
磁石27は、例えば永久磁石であり、カプセル型筐体20の内部における所定の位置(例えばカプセル型筐体20の中心部近傍)に配置される。この場合、磁石27は、図2に示すように、カプセル型筐体20の長手方向の中心軸CL2に垂直な方向(すなわちカプセル型筐体20の径方向)と磁化方向とを一致させる態様でカプセル型筐体20に固定される。かかる磁石27は、外部の磁気誘導装置104の磁界に追従して動作し、これによって、カプセル型医療装置2を動かし、あるいは、被検体の体内部位等の所望の位置にカプセル型医療装置を停止させる。すなわち、かかる磁石27を内蔵したカプセル型医療装置2は、外部の磁気誘導装置104によって磁気誘導可能である。
共振回路28は、コイルとコンデンサとの接続によって実現され、例えばコイルの軸方向とカプセル型筐体20の長手方向とが一致する態様でカプセル型筐体20の内部に固定配置される。共振回路28は、所定の共振周波数を有し、外部から印加された磁界(具体的には、上述した磁界発生コイル15aの磁界M2または位置検出装置105の磁界)に応答して誘導磁界を発生する。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる磁気誘導システムについて説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる磁気誘導システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図3に示すように、この実施の形態1にかかる磁気誘導システム101は、被検体内部に導入する前のカプセル型医療装置2を検査する検査装置1と、被検体の臓器内部に導入されるカプセル型医療装置2と、この被検体内部のカプセル型医療装置2が撮像した体内画像群を受信する受信装置103と、この被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する磁気誘導装置104と、この被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の位置および方向を検出する位置検出装置105と、この被検体内部のカプセル型医療装置2が撮像した体内画像等の各種情報を表示する画像表示装置106とを備える。
カプセル型医療装置2は、上述した図2に示したように撮像機能および無線通信機能を備え、経口摂取等によって被検体の臓器内部に導入された場合、この被検体の体内画像を順次撮像し、得られた体内画像を外部の受信装置103に順次無線送信する。また、カプセル型医療装置2は、上述したように磁石27および共振回路28を内蔵する。かかるカプセル型医療装置2は、磁気誘導装置4によって磁気誘導され、位置検出装置105によって位置検出される。
受信装置103は、複数の受信アンテナ103aを有し、これら複数の受信アンテナ3aを介してカプセル型医療装置2から被検体の体内画像を受信する。具体的には、複数の受信アンテナ103aは、上述したカプセル型医療装置2を消化管内部に導入する被検体の体表面上に分散配置され、この消化管に沿って移動する(もしくは磁気誘導される)カプセル型医療装置2からの無線信号を捕捉する。受信装置103は、かかる複数の受信アンテナ103aを介してカプセル型医療装置2からの無線信号を受信し、この受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行って、この無線信号に含まれる画像信号を抽出する。なお、かかる受信装置103によって抽出された画像信号は、上述したカプセル型医療装置2が撮像した体内画像を含む信号である。受信装置103は、かかるカプセル型医療装置2からの画像信号を画像表示装置106に順次送信する。
磁気誘導装置104は、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導するためのものであり、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導するための誘導用磁界を発生する誘導用磁界発生部104aと、誘導用磁界発生部104aのコイルに電流を供給するコイル用電源部104bと、カプセル型医療装置2の磁気誘導を操作するための操作部104cと、かかる磁気誘導装置104の各構成部を制御する磁気誘導制御部104dとを備える。
誘導用磁界発生部104aは、ヘルムホルツコイル等の電磁石を複数組み合わせて実現され、被検体内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導を実現可能な誘導用磁界を発生する。具体的には、誘導用磁界発生部104aは、直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)による3軸直交座標系(以下、絶対座標系という)が規定され、この絶対座標系の各軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に対して所望強度の磁界を各々発生する。誘導用磁界発生部104aは、絶対座標系の3次元空間Sの内部(すなわち誘導用磁界発生部104aの複数の電磁石によって囲まれた空間内部)に、この絶対座標系の各軸方向の磁界によって形成される3次元の回転磁界または勾配磁界である誘導用磁界を発生させる。誘導用磁界発生部104aは、この3次元空間Aの内部に移動したベッド上の被検体(図示せず)の内部に位置するカプセル型医療装置2内部の磁石27に対して、かかる誘導用磁界を印加する。誘導用磁界発生部104aは、かかる誘導用磁界によってカプセル型医療装置2を磁気誘導する。
コイル用電源部104bは、被検体内部のカプセル型医療装置2に印加する誘導用磁界を発生させるために必要な電流を誘導用磁界発生部104aに供給する。具体的には、コイル用電源部104bは、誘導用磁界発生部104aにおける複数のコイル(図示せず)に対応して複数の電源部を有する。コイル用電源部104bは、磁気誘導制御部104dの制御に基づいて、誘導用磁界発生部104aの各コイルに交流電流を各々供給し、これによって、上述した誘導用磁界を発生させる。
操作部104cは、ジョイスティックおよび入力ボタン等の入力デバイスを用いて実現される。操作部104cは、医師または看護師等のユーザによる入力操作に対応して、カプセル型医療装置2の磁気誘導を指示する指示情報を磁気誘導制御部104dに入力する。
磁気誘導制御部104dは、操作部104cによって入力された指示情報に基づいて、誘導用磁界発生部104aに対するコイル用電源部104bの通電量を制御し、このコイル用電源部104bの制御を通して、誘導用磁界発生部104aの誘導用磁界発生動作を制御する。この場合、磁気誘導制御部104dは、後述する位置検出装置105の位置検出制御部105dから被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置情報(以下、カプセル位置情報という)および方向情報(以下、カプセル方向情報という)を取得し、この取得したカプセル位置情報およびカプセル方向情報に基づいてカプセル型医療装置2に印加する誘導用磁界の磁界強度および磁界方向を制御する。磁気誘導制御部104dは、このように誘導用磁界の磁界強度および磁界方向を制御することによって、操作部104cからの指示情報に対応した所望の位置または所望の方向へのカプセル型医療装置2の磁気誘導を制御する。磁気誘導制御部104dは、かかるカプセル型医療装置2の磁気誘導を制御した際の誘導用磁界の磁界強度および磁界方向等を含む磁気誘導情報を画像表示装置106に送信する。
また、磁気誘導制御部104dは、上述したように、検査装置1から動作条件設定部12による動作条件情報を取得する。磁気誘導制御部104dは、この取得した動作条件情報に含まれる磁界強度条件を、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際の初期的な磁界強度条件として設定する。この場合、磁気誘導制御部104dは、この設定した磁界強度条件を、被検体内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導に必要な誘導用磁界の最大強度値とする。かかる磁気誘導制御部104dは、このように初期的に設定した磁界強度条件以下の範囲内で誘導用磁界を制御する。
一方、位置検出装置105は、上述したように3次元空間Sの内部に位置する被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向の少なくとも一つを検出する。具体的には、位置検出装置105は、カプセル型医療装置2内部の共振回路28に検出用磁界を印加する検出用磁界発生部105aと、検出用磁界発生部105aに電流を供給するコイル用電源部105bと、共振回路28が放出した誘導磁界を検出する磁界検出部105cと、かかる位置検出装置105の各構成部を制御してカプセル位置情報およびカプセル方向情報を取得する位置検出制御部105dとを備える。
検出用磁界発生部105aは、1以上のコイルを用いて実現され、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向の少なくとも一つを検出するための交番磁界である検出用磁界を発生する。検出用磁界発生部105aは、コイル用電源部105bによって供給された電流に基づいて、3次元空間Sにおける共振回路28の位置およびコイル軸方向に最適な強度および方向の検出用磁界を発生させ、この検出用磁界をカプセル型医療装置2内部の共振回路28に印加する。検出用磁界発生部105aは、かかる検出用磁界の作用によって、この共振回路28から誘導磁界を発生させる。
コイル用電源部105bは、検出用磁界発生部105aに含まれるコイルの数量に対応して1以上の電源部を有する。コイル用電源部105bは、位置検出制御部105dの制御に基づいて、検出用磁界発生部105aのコイルに交流電流を供給し、これによって、この検出用磁界発生部105aから検出用磁界を発生させる。
磁界検出部105cは、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向の少なくとも一つを検出するために必要な磁界である共振回路28からの誘導磁界を検出する。磁界検出部105cは、かかる共振回路28からの誘導磁界の検出結果を位置検出制御部105dに送信する。
位置検出制御部105dは、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向の少なくとも一つを検出する際に、上述した検出用磁界発生部105a、コイル用電源部105bおよび磁界検出部105cを制御する。具体的には、位置検出制御部105dは、上述したように、検査装置1から動作条件設定部12による動作条件情報を取得する。位置検出制御部105dは、この取得した動作条件情報に含まれる周波数条件を、上述した検出用磁界発生時の動作条件として設定する。位置検出制御部105dは、この設定した周波数条件に示される周波数の検出用磁界を被検体内部のカプセル型医療装置2の共振回路28に印加するように検出用磁界発生部105aを制御する。この場合、位置検出制御部105dは、検出用磁界発生部105aに対するコイル用電源部105bの通電量を制御し、この通電量の制御を通して検出用磁界発生部105aの検出用磁界発生動作を制御する。
また、位置検出制御部105dは、位置算出部105eを有する。位置検出制御部105dは、磁界検出部105cからの信号の入出力を制御し、かかる磁界検出部105cによって検出された共振回路28からの誘導磁界の検出結果を取得する。位置算出部105eは、かかる磁界検出部105cから取得した誘導磁界の検出結果をもとに、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置座標および方向ベクトルの少なくとも一つを算出する。かかる位置算出部105eが算出した位置座標は、上述した3次元空間Aにおけるカプセル型医療装置2の位置を示すカプセル位置情報である。また、かかる位置算出部105eが算出した方向ベクトルは、上述した3次元空間Aにおけるカプセル型医療装置2の方向を示すカプセル方向情報である。位置検出制御部105dは、このように算出(検出)したカプセル位置情報およびカプセル方向情報を磁気誘導制御部104dに送信する。なお、かかる位置検出制御部105dによるカプセル位置情報およびカプセル方向情報は、上述した磁気誘導制御部104dによって磁気誘導情報とともに画像表示装置106に送信される。
一方、画像表示装置106は、上述したカプセル型医療装置2による体内画像群等の各種情報を表示するワークステーションのような構成を有する。具体的には、画像表示装置106は、受信装置103が受信した画像信号を順次取り込み、取り込んだ画像信号をもとに、カプセル型医療装置2による撮像画像、すなわち被検体の体内画像を生成する。画像表示装置106は、このように生成した被検体の体内画像をディスプレイに順次表示し、且つ、かかる体内画像のデータを記憶媒体内に順次蓄積する。
また、画像表示装置106は、磁気誘導制御部104dから磁気誘導情報を取得し、さらには磁気誘導制御部104dを介して位置検出制御部105dからのカプセル位置情報およびカプセル方向情報を取得する。画像表示装置106は、かかる磁気誘導情報、カプセル位置情報およびカプセル方向情報をもとに、現在表示している体内画像の撮像位置、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の移動軌跡、磁気誘導時にカプセル型医療装置2に印加した誘導用磁界の方向および強度等のカプセル型医療装置2の磁気誘導に有用な各種情報を表示する。医師または看護師等のユーザ(操作者)は、かかる画像表示装置106に表示された被検体の体内画像を観察しつつ、かかる画像表示装置106の各種表示情報を参照してカプセル型医療装置2の磁気誘導を操作する。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる検査装置1の動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる検査装置がカプセル型医療装置内部の磁石の磁気モーメントを測定する状態を例示する模式図である。以下、図4を参照しつつ、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを測定する際の検査装置1の動作を具体的に説明する。
検査対象のカプセル型医療装置2は、上述したように、パッケージ3の内部に収納された状態で収納部4の凹部に収納される(図1参照)。収納部4は、パッケージ3を介してカプセル型医療装置2を回転可能に支持する。すなわち、かかる収納部4に収納されたカプセル型医療装置2は、パッケージ3の中心軸CL1を中心にパッケージ3とともに回転可能である。なお、カプセル型医療装置2は、上述したカプセル型筐体20の中心軸CL2について回転対称な外形を成している。このため、かかるカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を外部から視認することは困難である。
ここで、磁界発生コイル14aは、上述したように制御部11の制御に基づいて誘導用磁界M1を生成し、この収納部4に収納されたパッケージ3内部のカプセル型医療装置2に誘導用磁界M1を印加する。この場合、誘導用磁界M1は、このカプセル型医療装置2内部の磁石27に作用し、磁石27は、この誘導用磁界M1に追従して動作する。カプセル型医療装置2は、かかる磁石27の作用によって中心軸CL1を回転中心にパッケージ3とともに回転動作し、これによって、磁気モーメント測定部13の磁束密度測定部13a側に磁石27の磁化方向を変化させる。この結果、磁石27は、磁束密度測定部13a側に磁化方向を向けた状態になる(状態A1)。
このようにカプセル型医療装置2が磁束密度測定部13a側に磁石27の磁化方向を向けた状態において、磁界発生コイル14aは、制御部11の制御に基づいて誘導用磁界M1を停止する。これによって、磁束密度測定部13aは、磁界発生コイル14aの誘導用磁界M1を受けずに、磁石27からの磁界を受けることができる。かかる磁束密度測定部13aは、制御部11の制御に基づいて、この磁石27の磁束密度を測定して磁石27の残留磁束密度を計算する。磁気モーメント測定部13の磁気モーメント算出部13bは、かかる磁束密度測定部13aによる残留磁束密度の測定値と磁石体積情報10aによる磁石27の体積値とを乗算して、磁石27の磁気モーメントを算出する。(状態A2)。
その後、磁気モーメント測定部13は、かかる磁気モーメント算出部13bによる磁石27の磁気モーメント算出値を磁気モーメント測定値として制御部11に送信する。制御部11は、磁気モーメント測定部13から磁石27の磁気モーメント測定値を取得し、動作条件設定部12は、この取得した磁気モーメント測定値をもとに、被検体内部のカプセル型医療装置2を磁気誘導する際の磁気誘導装置104の磁界強度条件を設定する。
ここで、上述した検査装置1によって検査された後のカプセル型医療装置2は、パッケージ3から取り出され、経口摂取等によって被検体の臓器内部に導入される。すなわち、検査装置1は、被検体内部にカプセル型医療装置2を導入する直前に、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の特性(磁気モーメント等)および共振回路28の共振特性(周波数等)を検査できる。また、検査装置1は、磁気誘導装置104がカプセル型医療装置2の磁気誘導を実行する前に、かかる磁石27の特性(具体的には磁石27の磁気モーメント)をもとに磁気誘導装置104の磁界強度条件を予め設定でき、さらには、かかる共振回路28の共振特性(具体的には誘導磁界演算部16b等のFFT処理結果)をもとに位置検出装置105の周波数条件を予め設定できる。
磁気誘導装置104は、かかる検査装置1によって設定された磁界強度条件をもとに、被検体内部のカプセル型医療装置2の磁気誘導を実行する際の初期的な動作条件を容易に設定でき、これによって、このカプセル型医療装置2に過剰な磁界を印加して必要以上に電力を消費することなく、効率的にカプセル型医療装置2を磁気誘導することができる。また、位置検出装置105は、かかる検査装置1によって設定された周波数条件をもとに、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向の少なくとも一つを検出する際の動作条件を容易に設定でき、これによって、このカプセル型医療装置2の共振特性に対応して被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向を高精度に検出することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、医師または看護師等のユーザ側において保管されたカプセル型医療装置内部の磁石の残留磁束密度を磁束密度測定部によって測定し、この残留磁束密度の測定結果をもとに、この磁石の磁気モーメントを磁気モーメント算出部によって算出するように構成した。このため、カプセル型医療装置の外観からは視認困難なカプセル型医療装置内部の磁石の特性(例えば現時点において内蔵磁石が有する磁気モーメント等)をユーザ側において容易に検査することができ、これによって、被検体内部にカプセル型医療装置を導入する直前に、このカプセル型医療装置内部の磁石の特性を検査可能な検査装置を実現することができる。
この実施の形態1にかかる検査装置を用いることによって、ユーザは、磁気誘導装置によって磁気誘導されるカプセル型医療装置の現時点での磁石特性を表示部の表示情報によって確認することができ、この確認した磁石特性の検査結果に基づいて、磁気誘導装置の動作条件を初期設定できる。この結果、磁気誘導装置は、かかる初期設定の動作条件に基づいて、被検体内部のカプセル型医療装置に必要最小限の磁界を印加し、必要以上に電力を消費することなく、効率的に被検体内部のカプセル型医療装置を磁気誘導することができる。
また、この実施の形態1では、滅菌処理され且つパッケージ内部に収納された状態のカプセル型医療装置の磁石特性を検査するように構成したので、このパッケージからカプセル型医療装置を取り出さずに、このカプセル型医療装置内部の磁石の磁気モーメントを測定することができ、これによって、被検体内部にカプセル型医療装置を導入する直前まで、このカプセル型医療装置の滅菌状態を維持することができる。
さらに、この実施の形態1では、収納部によって検査対象のカプセル型医療装置を回転可能に支持し、このカプセル型医療装置内部の磁石に外部から磁界を作用させて、この磁石の磁化方向を磁束密度測定部側に変化させるように構成した。このため、カプセル型医療装置内部の磁石の残留磁束密度を測定する際、この磁石の磁化方向を磁束密度測定部側に容易に向けることができ、これによって、この磁石の残留磁束密度を正確に測定することができる。
また、この実施の形態1にかかる磁気誘導システムでは、動作条件設定部が、磁束密度測定部の測定結果をもとに磁気誘導装置の磁界強度条件を設定し、出力部が、この設定した磁界強度条件を磁気誘導装置に送信するように構成した。このため、本発明にかかる検査装置がカプセル型医療装置の磁石特性を検査するとともに、磁気誘導装置は、かかる動作条件設定部の設定結果に基づく磁界強度条件を、被検体内部のカプセル型医療装置を磁気誘導する際の初期的な動作条件として容易に設定できる。この結果、磁気誘導装置は、被検体内部のカプセル型医療装置の効率的な磁気誘導を容易に実現することができる。
さらに、この実施の形態1では、カプセル型医療装置内部の共振回路の共振特性を共振特性測定部によって測定するように構成したので、ユーザは、被検体内部にカプセル型医療装置を導入する直前における共振回路の共振特性を表示部の表示情報によって確認することができ、この確認した共振特性の検査結果に基づいて、磁気誘導装置の動作条件を初期設定できる。磁気誘導装置の位置検出部は、かかる初期設定の動作条件に基づいて、このカプセル型医療装置内部の共振回路が有する個別特性を取得でき、これによって、この共振回路の共振点に測定周波数を合わせてカプセル型医療装置の位置および方向を検出することができ、この結果、周波数ずれを見込んで測定周波数間隔を広くする必要がなくなり、被検体内部におけるカプセル型医療装置の位置を高精度に検出することができる。
また、この実施の形態1にかかる磁気誘導システムでは、動作条件設定部が、共振特性測定部の測定結果をもとに磁気誘導装置の周波数条件を設定し、出力部が、この設定した周波数条件を磁気誘導装置に送信するように構成した。このため、本発明にかかる検査装置がカプセル型医療装置の共振特性を検査するとともに、磁気誘導装置の位置検出部は、かかる動作条件設定部の設定結果に基づく周波数条件を、被検体内部におけるカプセル型医療装置の位置を検出する際の初期的な動作条件(測定周波数)として容易に設定できる。この結果、磁気誘導装置は、被検体内部におけるカプセル型医療装置の高精度な位置検出を容易に実現することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、収納部4によって検査対象のカプセル型医療装置2を回転可能に支持し、磁界発生コイル14aの誘導用磁界M1の作用によって、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を磁束密度測定部13a側に制御していたが、この実施の形態2では、収納部によって検査対象のカプセル型医療装置を固定支持し、磁束密度測定部の測定素子が、このカプセル型医療装置の周囲を回転移動しつつ、このカプセル型医療装置内部の磁石の磁束密度を順次測定するようにしている。
図5は、本発明の実施の形態2にかかる検査装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図5に示すように、この実施の形態2にかかる検査装置31は、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の収納部4に代えて収納部32を備え、磁石特性測定部5に代えて磁石特性測定部33を備え、制御部11に代えて制御部37を備える。かかる検査装置31において、磁石特性測定部33は、上述した実施の形態1における磁気モーメント測定部13に代えて磁気モーメント測定部34を備え、磁化方向制御部14に代えて駆動系35およびレール36を備える。なお、本発明の実施の形態2にかかる磁気誘導システムは、上述した実施の形態1にかかる磁気誘導システム101(図3参照)の検査装置1に代えて検査装置31を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
収納部32は、検査対象のカプセル型医療装置2を支持する支持部として機能する。具体的には、収納部32は、パッケージ3の方向を規定しつつパッケージ3の外形に係合する形状の凹部が形成される。収納部32は、かかる凹部に嵌め込まれたパッケージ3を着脱可能に固定支持する。すなわち、収納部32は、このパッケージ3を介してカプセル型医療装置2を固定支持しつつ収納する。
磁石特性測定部33は、カプセル型医療装置2に内蔵された磁石27の特性を測定する。具体的には、磁石特性測定部33は、パッケージ3を介して収納部32に固定支持されたカプセル型医療装置2内部の磁石27の特性の一例である磁気モーメントを測定するものであり、図5に示したように、この磁石27の磁気モーメントを測定する磁気モーメント測定部34と、この磁気モーメント測定部34における磁束密度測定部34aの測定素子34bを回転移動させる駆動系35と、この駆動系35の移動経路を形成するレール36とを備える。
磁気モーメント測定部34は、カプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度の測定を通してこの磁石27の磁気モーメントを測定するものであり、この磁石27の残留磁束密度を測定する磁束密度測定部34aと、上述した磁気モーメント算出部13bとを備える。
磁束密度測定部34aは、別体の測定素子34bを備え、この測定素子34bを用いてカプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度を測定する。具体的には、測定素子34bは、磁束密度測定部34aと通信可能に無線接続または有線接続され、駆動系35に搭載される。測定素子34bは、この駆動系35によってカプセル型医療装置2を中心に収納部32の周囲を回転移動しつつ、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁束密度を順次測定する。磁束密度測定部34aは、かかる測定素子34bによって収納部32の周囲における磁石27の磁束密度を順次測定する。磁束密度測定部34aは、この収納部32の周囲の各位置における磁石27の磁束密度の測定値のうちの最大値をこの磁石27の残留磁束密度の測定値として取得する。磁束密度測定部34aは、このように測定した磁石27の残留磁束密度の測定結果を磁気モーメント13bに送信する。なお、かかる磁束密度測定部34aによる磁石27の残留磁束密度の測定値は、上述したように磁気モーメント算出部13bが磁石27の磁気モーメントを算出する際に用いられる。
駆動系35およびレール36は、検査対象のカプセル型医療装置2の周囲に磁束密度測定部34aの測定素子34bを回転移動するためのものである。具体的には、駆動系35は、車輪およびアクチュエータ等を用いて実現され、上述した磁束密度測定部34aの測定素子34bを固定配置される。レール36は、駆動系35の移動経路を形成するものであり、収納部32に収納された状態のパッケージ3の中心軸CL1(望ましくは、パッケージ3内部のカプセル型医療装置2の中心軸CL2)を中心とする円周に沿って配置される。駆動系35は、かかるレール36上を走行し、これによって、カプセル型医療装置2(詳細には磁石27)を中心にして収納部32の周囲に測定素子34bを回転移動する。
なお、かかる駆動系35のアクチュエータは、電磁石等を備えた駆動モータであってもよいが、測定素子34bの磁束密度測定精度を高めるために、超音波モータまたは人口筋肉等の非磁性体のアクチュエータであることが望ましい。
制御部37は、上述した磁石27の磁気モーメントを測定するように磁気モーメント測定部34および駆動系35を制御する。この場合、制御部37は、レール36に沿って収納部32の周囲を一周以上回転移動するように駆動系35を制御するとともに、測定素子34bによって収納部32の周囲における磁石27の各磁束密度を順次測定するように磁束密度測定部34aを制御する。また、制御部37は、レール36上における駆動系35の移動距離を把握し、駆動系35が収納部32の周囲を一周以上回転移動し終えた場合、測定素子34bの各測定結果(すなわち収納部32の周囲の各位置における磁石27の磁束密度の測定値)の中から最大値である残留磁束密度の測定値を選択するように磁束密度測定部34aを制御する。制御部37は、このように磁気モーメント測定部34および駆動系35を制御することによって、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを取得する。なお、制御部37は、かかる磁束密度測定部34aおよび駆動系35の制御機能以外、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の制御部11と同様の機能を有する。
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる検査装置31の動作について説明する。図6は、本発明の実施の形態2にかかる検査装置がカプセル型医療装置内部の磁石の磁気モーメントを測定する状態を例示する模式図である。以下、図6を参照しつつ、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを測定する際の検査装置31の動作を具体的に説明する。
検査対象のカプセル型医療装置2は、上述したように、パッケージ3の内部に収納された状態で収納部32の凹部に収納される(図5参照)。この場合、収納部32は、パッケージ3を介してカプセル型医療装置2を固定支持する。
駆動系35は、上述したように制御部37の制御に基づいてレール36上を走行して、カプセル型医療装置2を中心に収納部32の周囲を一周以上回転移動する。測定素子34bは、この駆動系35によってカプセル型医療装置2内部の磁石27を中心に収納部32の周囲を一周以上回転移動するとともに、この収納部32の周囲における磁石27の各磁束密度を所定の時間間隔で順次測定する。この場合、測定素子34bは、この磁石27の磁化方向と半径方向とが一致する円周に沿って回転移動する。かかる測定素子34bは、例えば図6に示すように、収納部32の周囲における各位置D1〜D4を順次通過しつつ、これら各位置D1〜D4における磁石27の磁束密度を順次測定する。
ここで、収納部32の周囲における磁石27の磁束密度は、収納部32の周囲の位置に応じて異なる測定値になり、この磁石27の磁化方向上の位置(図6では位置D1)において最大値になる。磁気モーメント測定部34において、磁束密度測定部34aは、かかる測定素子34bによって順次測定された各位置D1〜D4における磁束密度を取得し、この取得した各磁束密度の中から最大値である位置D1における磁束密度を選択する。このようにして、磁束密度測定部34aは、この位置D1における磁束密度を磁石27の残留磁束密度として測定する。磁束密度測定部34aは、かかる残留磁束密度の測定値を磁気モーメント算出部13bに送信する。磁気モーメント算出部13bは、実施の形態1の場合と同様に、かかる磁束密度測定部34aによる残留磁束密度の測定値と磁石体積情報10aによる磁石27の体積値とを乗算して、磁石27の磁気モーメントを算出する。その後、かかる磁気モーメント測定部34による磁石27の磁気モーメント測定値は、上述した制御部37に送信する。
なお、磁束密度測定部34aは、かかる測定素子34bによって収納部32の周囲における磁石27の磁束密度を断続的に測定してもよいし、連続的に測定してもよい。すなわち、測定素子34bは、収納部32の周囲を回転移動する期間において、所定の時間が経過する毎または駆動系35が所定の距離移動する毎に収納部32の周囲の各位置(例えば図6に示す位置D1,D2,D3,D4)における磁束密度を順次測定してもよいし、収納部32の全周に亘って連続的に磁束密度を測定してもよい。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、収納部が、パッケージを介して検査対象のカプセル型医療装置を固定支持し、磁束密度測定部の測定素子が、このカプセル型医療装置を中心に収納部の周囲を駆動系によって回転移動しつつ、この収納部の周囲におけるカプセル型医療装置内部の磁石の磁束密度を順次測定し、磁束密度測定部が、かかる測定素子による磁束密度の各測定値のうちの最大値をこの磁石の残留磁束密度として測定するようにし、その他を実施の形態1と同様に構成した。このため、検査対象のカプセル型医療装置内部の磁石の磁化方向を磁界によって制御しなくても、この磁石の残留磁束密度を測定することができ、この結果、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに消費電力を低減可能な検査装置を簡易に実現することができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、カプセル型医療装置2内部の磁石27の特性として磁石27の磁気モーメントを測定していたが、この実施の形態3では、この磁石27の特性として、さらに、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向(例えば受光面の上下方向)と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量を測定するようにしている。
図7は、本発明の実施の形態3にかかる検査装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図7に示すように、この実施の形態3にかかる検査装置41は、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の収納部4に代えて収納部42を備え、磁石特性測定部5に代えて磁石特性測定部43を備え、制御部11に代えて制御部47を備える。なお、本発明の実施の形態3にかかる磁気誘導システムは、上述した実施の形態1にかかる磁気誘導システム101(図3参照)の検査装置1に代えて検査装置41を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
収納部42は、画像部42aを備えること以外、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の収納部4と同様の構造および機能を有する。画像部42aは、方向性を有する画像を描画された板状またはシート状の部材であり、図7に示すように、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の撮像視野内に位置する態様で収納部42に固定配置される。かかる画像部42aに描画された画像は、描画面の上下方向等の所定の基準方向を規定し易い模様(パターン)であり、例えば図8に示すように縞模様のものである。
なお、かかる図8に示した縞模様は、画像部42aに描画される画像の一例であり、画像部42aの画像は、上下方向等の基準方向を規定し易いものであれば、縞模様以外の所望の模様(パターン)であってもよいし、所望の記号、数字、文字等であってもよいし、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
磁石特性測定部43は、カプセル型医療装置2に内蔵された磁石27の特性として、この磁石27の磁気モーメントと、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量とを測定する。具体的には、磁石特性測定部43は、パッケージ3を介して収納部42に回転可能に支持されたカプセル型医療装置2内部の磁石27の特性を測定するものであり、図7に示したように、実施の形態1において例示した磁化方向制御部14と、実施の形態2において例示した磁気モーメント測定部34、駆動系35およびレール36とを備える。さらに、磁石特性測定部43は、この撮像部22が撮像した画像を取得する画像取得部44と、この撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度を測定する角度測定部45とを備える。
画像取得部44は、受信アンテナ44aを備え、この受信アンテナ44aを介してカプセル型医療装置2と画像データの送受信を行う。具体的には、画像取得部44は、収納部42に収納されたパッケージ3内部のカプセル型医療装置2の撮像部22が撮像した画像(すなわち画像部42aの画像)を受信アンテナ44aを介して受信する。かかる画像取得部44は、制御部47の制御に基づいて、撮像部22の基準方向と画像部42aの基準方向とが一致する態様で撮像部22が画像部42aを撮像した際の画像(以下、基準画像という)と、画像部42aの基準方向と磁石27の磁化方向とが一致する態様で撮像部22が画像部42aを撮像した際の画像(以下、相対画像という)とを取得する。画像取得部44は、かかるカプセル型医療装置2から取得した基準画像および相対画像を角度測定部45に送信する。
角度測定部45は、制御部47の制御に基づいて、画像取得部44から受信した基準画像および相対画像をもとに、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度を測定する。ここで、かかる撮像部22の基準方向は、例えば上述した固体撮像素子22b(図2参照)の受光面の上下方向である。この場合、撮像部22が撮像した画像の上下方向は、この撮像部22の基準方向によって規定される。かかる撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度は、この撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量であり、この磁石27の特性の一つである。角度測定部45は、かかる撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度の測定結果を制御部47に送信する。
一方、かかる磁石特性測定部43において、磁化方向制御部14は、上述したように磁界発生コイル14aと信号発生部14bと駆動部14cとを備える。磁化方向制御部14は、上述したようにカプセル型医療装置2内部の磁石27に誘導用磁界M1を印加して、この磁石27の磁化方向を収納部42に対して相対的に変化させ、これによって、所望の方向に磁石27の磁化方向を制御する。
また、駆動系35は、上述した実施の形態2の場合と同様に、測定素子34bを搭載した状態でレール36に沿って走行して、カプセル型医療装置2を中心に収納部42の周囲を回転移動する。磁束密度測定部34aは、かかる測定素子34bを介して収納部42の周囲における磁石27の磁束密度を順次測定し、取得した各磁束密度の測定値のうちの最大値を磁石27の残留磁束密度の測定値として取得する。磁気モーメント算出部13bは、かかる残留磁束密度の測定値を用いて磁石27の磁気モーメントを算出し、この磁気モーメントの算出値を制御部47に送信する。
なお、かかる磁束密度測定部34aは、収納部42の周囲における磁石27の磁束密度を順次測定する代わりに、磁石27の磁化方向上に位置する測定素子34bを介して、この磁石27の残留磁束密度を直接的に測定してもよい。この場合、駆動系35は、制御部47の制御に基づいてレール36上を走行して、磁石27の磁化方向上の位置に測定素子34bを移動する。磁束密度測定部34aは、制御部47の制御に基づいて、この磁石27の磁化方向上に位置する測定素子34bを介して取得した磁束密度の測定値を磁石27の残留磁束密度の測定値とする。
制御部47は、撮像部22の基準方向と画像部42aの基準方向とが一致するように磁化方向制御部14の誘導用磁界M1を制御する。この場合、制御部47は、角度測定部45を介して画像部取得部44から画像データ(すなわち撮像部22が撮像した画像部42aの画像)を取得し、この取得した画像データと予め設定された基準画像データとを比較する。制御部47は、かかる取得画像データと基準画像データとが一致するように誘導用磁界M1の磁界強度または磁化方向を制御し、これによって、撮像部22の基準方向と画像部42aの基準方向とを一致させる。また、制御部47は、画像部42aの基準方向を予め設定され、この画像部42aの基準方向と磁石27の磁化方向とが一致するように誘導用磁界M1の磁界強度または磁化方向を制御する。
また、制御部47は、撮像部22が撮像した画像を受信アンテナ44aを介してカプセル型医療装置2から順次取得するように画像取得部44を制御し、画像取得部44が取得した基準画像および相対画像をもとに撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度を測定(算出)するように角度測定部45を制御する。制御部47は、かかる画像取得部44および角度測定部45の制御によって、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度の測定値、すなわち撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量の測定値を取得する。
さらに、制御部47は、上述したように磁石27の磁気モーメントを測定するように磁気モーメント測定部34および駆動系35を制御する。この場合、制御部47は、上述した実施の形態2にかかる検査装置31の制御部37と同様に磁気モーメント測定部34および駆動系35を制御してもよいし、磁石27の磁化方向上の位置に測定素子34bを移動するように駆動系35を制御し、且つ磁石27の磁化方向上に位置する測定素子34bを介して磁石27の残留磁束密度を測定するように磁束密度測定部34aを制御してもよい。
また、制御部47は、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の動作条件設定部12に代えて動作条件設定部46を備える。動作条件設定部46は、角度測定部45の測定結果を取得し、この取得した測定結果(具体的には撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度の測定値)をもとに、磁気誘導装置104の磁化方向補正条件を設定する。なお、この磁化方向補正条件は、磁気誘導装置104によって磁気誘導されるカプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量を補正するための動作条件である。制御部47は、かかる動作条件設定部46によって設定された磁化方向補正条件を磁気誘導装置104の動作条件の一つとして表示するように表示部8を制御し、且つこの磁化方向補正条件を磁気誘導装置104に出力するように出力部9を制御する。
かかる磁化方向補正条件を取得した磁気誘導装置104の磁気誘導制御部104d(図3参照)は、被検体内部に導入されたカプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との角度ずれ、すなわち、この撮像部が撮像した被検体の体内画像の基準方向(例えば画面における上下方向)と磁石27の磁化方向との角度ずれを補正しつつ、被検体内部におけるカプセル型医療装置の磁気誘導を制御する。これによって、磁気誘導制御部104dは、画面上の体内画像の上下左右方向とカプセル型医療装置2の磁気誘導の上下左右方向とを一致させることができる。
なお、制御部47は、かかる磁石特定測定部43の制御機能以外、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の制御部11と同様の制御機能を有する。また、動作条件設定部46は、上述した磁界強度演算部12aおよび周波数演算部12bを備え、実施の形態1,2において例示した動作条件設定部12と同様に磁気誘導装置104の磁界強度条件および位置検出装置105の周波数条件を設定する。
つぎに、本発明の実施の形態3にかかる検査装置41の動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態3にかかる検査装置がカプセル型医療装置内部の磁石の基準方向と撮像部の基準方向とのなす角度を測定する動作を説明するための模式図である。以下、図9を参照しつつ、画像部42aの基準方向が画像の上下方向である場合を例示して、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度θを測定する際の検査装置41の動作を具体的に説明する。
図7に示したように収納部42に収納されたパッケージ3内のカプセル型医療装置2は、所定の外部装置が印加する磁界または光信号等によって電源オンの状態に切り替わる。かかるカプセル型医療装置2は、撮像部22によって画像部42aの画像を撮像し、その都度、得られた画像を送信部24(図2参照)によって外部に無線送信する。
かかる状態において、検査装置41の制御部47は、画像取得部44および角度測定部45を制御して、撮像部22による画像部42aの画像を順次取得する。制御部47は、かかる取得画像データと基準画像データとが一致するように磁化方向制御部14の誘導用磁界M1を制御する。この場合、磁化方向制御部14は、カプセル型医療装置2内部の磁石27に誘導用磁界M1を印加して、撮像部22の基準方向F1と画像部42aの基準方向(上下方向)とを一致させる。撮像部22は、その基準方向F1と画像部42aの基準方向とを一致させた態様で画像部42aの画像(すなわち基準画像P1)を撮像する。画像取得部44は、受信アンテナ44aを介してカプセル型医療装置2から撮像部22による基準画像P1を取得し、この取得した基準画像P1を角度測定部45に送信する。なお、かかる基準画像P1の上下方向は、図9に示すように、撮像部22の基準方向F1と一致する。
つぎに、制御部47は、磁石27の磁化方向F2と画像部42aの基準方向とが一致するように磁化方向制御部14の誘導用磁界M1を制御する。この場合、磁化方向制御部14は、カプセル型医療装置2内部の磁石27に誘導用磁界M1を印加して、この磁石27の磁化方向F2と画像部42aの基準方向とを一致させる。ここで、撮像部22の基準方向F1が磁石27の磁化方向F2に対して相対的に回転ずれしている場合、撮像部22は、磁石27の磁化方向F2と画像部42aの基準方向とが一致した態様、すなわち画像部42aの基準方向に対して角度θだけ傾いた(回転した)態様で画像部42aの画像(すなわち相対画像P2)を撮像する。画像取得部44は、受信アンテナ44aを介してカプセル型医療装置2から撮像部22による相対画像P2を取得し、この取得した相対画像P2を角度測定部45に送信する。なお、かかる相対画像P2の上下方向は、図9に示すように、磁石27の磁化方向F2と一致する。
角度測定部45は、上述したように画像取得部44から取得した基準画像P1および相対画像P2をもとに、撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度θを測定する。具体的には、角度測定部45は、基準画像P1の縞模様と相対画像P2の縞模様とのなす角度を算出する。ここで、かかる基準画像P1と相対画像P2とを重畳した場合、この相対画像P2の縞模様は、図9の斜線によって示す基準画像P1の縞模様に対して相対的に傾く。かかる基準画像P1と相対画像P2とのなす角度は、撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度θである。角度測定部45は、かかる基準画像P1と相対画像P2とのなす角度を算出することによって、撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度θを測定する。角度測定部45は、かかる角度θの測定値を制御部47に送信する。
制御部47は、かかる角度測定部45の測定結果(角度θ)を、撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2との相対的な角度ずれ量として取得する。動作条件設定部46は、上述したように、かかる角度測定部45の測定結果である角度θをもとに、磁気誘導装置104の磁化方向補正条件を設定する。なお、制御部47は、かかる磁石27の磁化方向F2上に測定素子34bが位置したタイミングにおける磁束密度測定部34aの測定値(すなわち磁石27の残留磁束密度の測定値)を用いて磁気モーメント算出部13bが算出した磁気モーメントを磁石27の磁気モーメント測定値として取得する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、検査対象のカプセル型医療装置を回転可能に収納する収納部に、方向性を有する画像を描画した画像部を固定配置し、このカプセル型医療装置内部の撮像部の基準方向と画像部の基準方向とが一致する態様で撮像部が画像部を撮像した際の画像である基準画像と、この画像部の基準方向とカプセル型医療装置内部の磁石の磁化方向とが一致する態様で撮像部が画像部を撮像した際の画像である相対画像とを取得し、この取得した基準画像と相対画像とをもとに、この撮像部の基準方向と磁石の磁化方向とのなす角度を測定するようにし、また、この磁石の磁化方向上の位置に測定素子が駆動系によって移動した際に、この磁石の残留磁束密度を測定するようにし、その他を実施の形態1と同様に構成した。このため、上述した磁石の磁気モーメントの他に、カプセル型医療装置内部の撮像部の基準方向と磁石の磁化方向との相対的な角度ずれ量を測定でき、この結果、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、カプセル型医療装置内部の撮像部が撮像する画像の上下方向と磁石の磁化方向との相対的な角度ずれを検査可能な検査装置を実現することができる。
この実施の形態3にかかる検査装置を用いることによって、ユーザは、カプセル型医療装置の磁気誘導時に磁気誘導装置が撮像部の基準方向と磁石の磁化方向との相対的な角度ずれを補正するための磁化方向補正条件を表示部の表示情報によって確認することができ、これによって、磁気誘導装置の磁化方向補正条件を初期設定できる。この結果、磁気誘導装置は、被検体内部に導入されたカプセル型医療装置内部の撮像部が撮像した被検体の体内画像の基準方向(例えば画面における上下方向)と磁石の磁化方向との角度ずれを補正しつつ、被検体内部のカプセル型医療装置を操作指示に対して正確に磁気誘導することができる。
また、かかる磁化方向補正条件を出力部によって磁気誘導装置に送信するように構成したので、被検体内部のカプセル型医療装置を磁気誘導する際の磁気誘導装置の初期的な磁化方向補正条件を容易に設定できる。この結果、被検体内部のカプセル型医療装置を磁気誘導する際の操作し易さを向上した磁気誘導システムを容易に実現することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態3では、カプセル型医療装置2内部の撮像部22が撮像した基準画像と相対画像とをもとに、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量を測定していたが、この実施の形態4では、撮像部22が基準画像を撮像した際の磁石27の磁化方向と画像部42aの基準方向とのなす角度を、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量として測定するようにしている。
図10は、本発明の実施の形態4にかかる検査装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図10に示すように、この実施の形態4にかかる検査装置51は、上述した実施の形態3にかかる検査装置41の磁石特性測定部43に代えて磁石特性測定部53を備え、制御部47に代えて制御部57を備える。かかる検査装置51において、磁石特性測定部53は、上述した角度測定部45を備えておらず、画像取得部44は、制御部57の制御に基づいて、カプセル型医療装置2から撮像部22による画像データを取得し、その都度、取得した画像データを制御部57に送信する。また、記憶部10は、画像部42aの基準方向(例えば上下方向)と撮像部22の基準方向とが一致する態様で撮像部22が画像部42aを撮像した際に得られる基準画像のデータである基準画像情報10cをさらに記憶する。なお、本発明の実施の形態4にかかる磁気誘導システムは、上述した実施の形態3にかかる磁気誘導システムの検査装置41に代えて検査装置51を備える。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
磁石特性測定部53は、上述した角度測定部45を備えておらず、カプセル型医療装置2内部の磁石27の特性として磁石27の磁気モーメントを測定し、画像取得部44によってカプセル型医療装置2内部の撮像部22による画像データを取得する。この場合、画像取得部44は、上述したように、制御部57の制御に基づいて、カプセル型医療装置2から撮像部22による画像データを取得し、その都度、取得した画像データを制御部57に送信する。かかる磁石特性測定部53は、このこと以外、上述した実施の形態3にかかる検査装置41の磁石特性測定部43と同様の機能を有する。
制御部57は、カプセル型医療装置2から撮像部22による画像データを取得するように画像取得部44を制御し、この画像取得部44を介して撮像部22による画像データを順次取得する。制御部57は、記憶部10から基準画像情報10cを読み出し、この基準画像情報10cと画像取得部44からの取得画像データ(すなわち撮像部22による画像データ)とが一致するように磁化方向制御部14の誘導用磁界M1を制御する。この場合、制御部57は、かかる基準画像情報10cと取得画像データとが一致するように誘導用磁界M1の磁界強度または磁化方向を制御し、これによって、撮像部22の基準方向と画像部42aの基準方向とを一致させる。
また、制御部57は、上述した実施の形態3にかかる検査装置41の動作条件設定部46に代えて動作条件設定部56を備える。動作条件設定部56は、上述した磁界強度演算部12aおよび周波数演算部12bを備え、さらに角度演算部56cを備える。角度演算部56cは、画像部42aの基準方向を予め設定され、撮像部22が基準画像情報10cと一致する画像すなわち基準画像を撮像した際の磁石27の磁化方向と画像部42aの基準方向とのなす角度を算出する。ここで、撮像部22が画像部42aの基準画像を撮像した状態において、この撮像部22の基準方向は、画像部42aの基準方向(例えば上下方向)と一致する。すなわち、かかる角度演算部56cが算出する角度は、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度であり、撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量である。動作条件設定部56は、かかる角度演算部56cの算出結果(すなわち撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向とのなす角度)をもとに、上述した磁気誘導装置104の磁化方向補正条件を設定する。
なお、制御部57は、上述した画像取得部44の制御機能以外、上述した実施の形態3にかかる検査装置41の制御部47と同様の制御機能を有する。また、動作条件設定部56は、上述した撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との相対的な角度ずれ量の算出機能(すなわち角度演算部56cの機能)以外、上述した実施の形態3にかかる検査装置41の動作条件設定部46と同様の機能を有する。
つぎに、本発明の実施の形態4にかかる検査装置51の動作について説明する。図11は、本発明の実施の形態4にかかる検査装置がカプセル型医療装置内部の磁石の基準方向と撮像部の基準方向とのなす角度を算出する際の動作を説明するための模式図である。以下、図11を参照しつつ、画像部42aの基準方向が画像の上下方向である場合を例示して、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度θを測定する際の検査装置51の動作を具体的に説明する。
図10に示したように収納部42に収納されたパッケージ3内のカプセル型医療装置2は、所定の外部装置が印加する磁界または光信号等によって電源オンの状態に切り替わる。かかるカプセル型医療装置2は、撮像部22によって画像部42aの画像を撮像し、その都度、得られた画像を送信部24(図2参照)によって外部に無線送信する。
かかる状態において、検査装置51の制御部57は、画像取得部44を制御して、撮像部22による画像部42aの画像を順次取得する。また、制御部57は、記憶部10から基準画像情報10cを読み出し、この読み出した基準画像情報10cと画像取得部44から取得した画像(撮像部22が撮像した画像部42aの画像)とを比較する。
ここで、撮像部22の基準方向F1が図11に示すように画像部42aの基準方向F11(上下方向)に対して相対的に傾いている場合、撮像部22は、この画像部42aの基準方向F11に対して相対的に回転した態様で画像部42aの画像(以下、回転画像という)P11を撮像する。制御部57は、画像取得部44を介して撮像部22による回転画像P11を取得し、この取得した回転画像P11と基準画像情報10cとを比較する。かかる回転画像P11は基準画像情報10cと一致しないため、制御部57は、かかる回転画像P11と基準画像情報10cとの相対的な角度ずれ量をもとに誘導用磁界M1の磁界強度または磁化方向を制御し、これによって、この撮像部22の基準方向F1と画像部42aの基準方向F11とを一致させる。
このように撮像部22の基準方向F1と画像部42aの基準方向F11とが一致した状態(図11参照)において、撮像部22は、基準画像情報10cと一致する画像すなわち画像部42aの基準画像P12を撮像する。この状態において、検査装置51の制御部57は、画像取得部44を介して撮像部22による基準画像P12を取得し、この取得した基準画像P12と基準画像情報10cとを比較する。かかる基準画像P12は基準画像情報10cと一致するため、制御部57は、かかる基準画像P12が撮像部22によって撮像された時点における誘導用磁界M1の制御情報をもとに、この時点における磁石27の磁化方向F2を取得する。
かかる検査装置51において、角度演算部56cは、撮像部22が基準画像P12を撮像した時点における磁石27の磁化方向F2と画像部42aの基準方向F11とのなす角度θを、撮像部22の基準方向F1と磁石27の磁化方向F2とのなす角度(すなわち基準方向F1と磁化方向F2との相対的な角度ずれ量)として算出する。動作条件設定部56は、上述したように、かかる角度演算部56cの算出結果である角度θをもとに磁気誘導装置104の磁化方向補正条件を設定する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、カプセル型医療装置内部の撮像部が画像部を撮像して得た画像データとこの画像部の基準画像情報とが一致するようにカプセル型医療装置内部の磁石の磁化方向を制御し、この撮像部が画像部の基準画像を撮像した際の磁石の磁化方向と画像部の基準方向とのなす角度を、この撮像部の基準方向と磁石の磁化方向との相対的な角度ずれ量として算出するようにし、その他を実施の形態3と同様に構成した。このため、上述した実施の形態3の場合と同様の作用効果を享受する検査装置を簡易な装置構成によって実現することができる。
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度を用いて磁石27の磁気モーメントを算出していたが、この実施の形態5では、カプセル型医療装置2に対して磁界を印加した際に発生する磁気トルクを測定し、この磁気トルクの測定結果をもとに磁石27の磁気モーメントを測定するようにしている。
図12は、本発明の実施の形態5にかかる検査装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図12に示すように、この実施の形態5にかかる検査装置61は、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の収納部4に代えて収納部62を備え、磁石特性測定部5に代えて磁石特性測定部63を備え、制御部11に代えて制御部67を備える。かかる検査装置61において、磁石特性測定部63は、上述した実施の形態1における磁気モーメント測定部13に代えて磁気モーメント測定部66を備える。また、この磁気モーメント測定部66は、カプセル型医療装置2に対して磁界を印加した際に発生する磁気トルクを測定する磁気トルク測定部64と、この磁気トルク測定部64の測定結果をもとにカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気モーメントを算出する磁気モーメント算出部65とを備える。なお、本発明の実施の形態5にかかる磁気誘導システムは、上述した実施の形態1にかかる磁気誘導システム101(図3参照)の検査装置1に代えて検査装置61を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
収納部62は、検査対象のカプセル型医療装置2を支持する支持部として機能する。具体的には、収納部62は、パッケージ3の方向を規定しつつパッケージ3の外形に係合する形状の凹部が形成される。また、収納部62は、かかる凹部に嵌め込まれたパッケージ3の中心軸CL1が位置する2箇所の壁部のうちの一方に、ばね等によって出し入れ可能な支持部62aを備え、他方に、中心軸CL1に平行な貫通孔が形成される。かかる収納部62の貫通孔には、磁気トルク測定部64の測定素子64aが回転可能に挿通される。かかる収納部62は、この凹部に嵌め込まれたパッケージ3を支持部62aおよびベアリング構造等によって回転可能に支持する。すなわち、収納部62は、このパッケージ3を介してカプセル型医療装置2を回転可能に支持しつつ収納する。
磁石特性測定部63は、カプセル型医療装置2に内蔵された磁石27の特性を測定する。具体的には、磁石特性測定部63は、この磁石27の特性の一例である磁気モーメントを測定するものであり、図12に示したように、カプセル型医療装置2に誘導用磁界M1を印加する磁化方向制御部14と、この誘導用磁界M1の作用によって発生するカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクに基づいて磁石27の磁気モーメントを測定する磁気モーメント測定部66とを備える。
磁気モーメント測定部66は、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクの測定を通してこの磁石27の磁気モーメントを測定するものであり、磁化方向制御部14による誘導用磁界M1の作用によって発生する磁石27の磁気トルクを測定する磁気トルク測定部64と、この磁気トルク測定部64の測定結果をもとに磁石27の磁気モーメントを算出する磁気モーメント算出部65とを備える。
磁気トルク測定部64は、上述した収納部62の貫通孔に挿通する測定素子64aを備え、この測定素子64aを介してカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクを測定する。具体的には、測定素子64aは、収納部62の貫通孔に回転可能に挿通してパッケージ3の端部の凹部に着脱可能に嵌入される。これによって、測定素子64aは、パッケージ3に対して相対的に固定される。磁気トルク測定部64は、かかる測定素子64aを回転可能に支持し、測定素子64aに印加されるトルク、すなわち、磁化方向制御部14の誘導用磁界M1の作用によってカプセル型医療装置2とともに中心軸CL1を中心に回転するパッケージ3のトルクを測定する。なお、カプセル型医療装置2はパッケージ3に対して相対的に固定されている。したがって、かかる磁気トルク測定部64が測定するパッケージ3のトルクは、磁化方向制御部14の誘導用磁界M1の作用によって回転するカプセル型医療装置2のトルクであって、このカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクと同値である。磁気トルク測定部64は、かかる磁石27の磁気トルクの測定結果を磁気モーメント算出部65に送信する。
磁気モーメント算出部65は、かかる磁気トルク測定部64の測定結果をもとに磁石27の磁気モーメントを算出する。具体的には、磁気モーメント算出部65は、上述した磁気トルク測定部64からカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルク測定値を取得する。また、磁気モーメント算出部65は、この磁石27の磁気トルク測定時の磁界強度を制御部67から取得する。なお、この磁気トルク測定時の磁界強度は、磁気トルク測定部64が磁石27の磁気トルクを測定する際に磁化方向制御部14がカプセル型医療装置2に印加した誘導用磁界M1の磁界強度である。磁気モーメント算出部65は、かかる磁石27の磁気トルク測定値を、磁気トルク測定時の磁界強度によって除算し、これによって、この磁石27の磁気モーメントを算出する。磁気モーメント算出部65は、かかる磁気モーメントの算出値を磁石27の磁気モーメントの測定値として制御部67に送信する。
なお、かかる磁石特性測定部63において、磁化方向制御部14は、制御部67の制御に基づいて、所定の磁界強度の回転磁界である誘導用磁界M1を生成し、この生成した誘導用磁界M1をカプセル型医療装置2に印加する。この場合、かかる回転磁界である誘導用磁界M1は、カプセル型医療装置2内部の磁石27に作用して、中心軸CL1を中心にカプセル型医療装置2とともにパッケージ3を回転させる。これによって、パッケージ3の磁気トルクすなわちカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクが発生する。
制御部67は、中心軸CL1を中心にカプセル型医療装置2とともにパッケージ3を回転可能な所定の磁界強度の回転磁界(誘導用磁界M1)を発生するように磁化方向制御部14(詳細には信号発生部14b)を制御し、この誘導用磁界M1の作用によって発生したカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルクを測定するように磁気トルク測定部64を制御する。また、制御部67は、かかる磁気トルク測定部64の測定結果をもとに磁石27の磁気モーメントを算出するように磁気モーメント算出部65を制御し、これによって、磁気モーメント算出部65から磁石27の磁気モーメントの測定値を取得する。なお、制御部67は、かかる磁化方向制御部14、磁気トルク測定部64および磁気モーメント算出部65の制御機能以外、上述した実施の形態1にかかる検査装置1の制御部11と同様の機能を有する。
ここで、かかる制御部67は、磁石27の特性の一つとして、磁気モーメント測定部66による磁石27の磁気モーメントの測定値の他に、上述した磁気トルク測定部64の測定結果、すなわち所定の磁界強度の回転磁界を印加した際のカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁気トルク測定値をさらに取得してもよい。かかる磁気トルク測定値は、上述した磁界強度演算部12aによる磁界強度の算出処理のパラメータに用いられてもよいし、カプセル型医療装置2の磁気誘導時の参考パラメータとして出力部9によって磁気誘導装置104に送信されてもよい。
以上、説明したように、本発明の実施の形態5では、磁化方向制御部が、検査対象のカプセル型医療装置に所定の磁界強度の回転磁界を印加し、磁気トルク測定部が、この回転磁界の作用によって発生するカプセル型医療装置内部の磁石の磁気トルクを測定し、磁気モーメント算出部が、この磁気トルク測定部の測定結果をもとにカプセル型医療装置内部の磁石の磁気モーメントを算出するようにし、その他を実施の形態1と同様に構成した。このため、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、カプセル型医療装置内部の磁石の特性として、所定の磁界強度の回転磁界を印加した際のカプセル型医療装置の磁気トルクをさらに測定することが可能な検査装置を実現することができる。
なお、上述した実施の形態1〜5では、パッケージ内部に収納した状態のカプセル型医療装置を検査していたが、これに限らず、パッケージから取り出したカプセル型医療装置を収納部に収納し、この収納部によって直に支持された態様のカプセル型医療装置を検査してもよい。
また、上述した実施の形態1〜5では、動作条件設定部によって設定された磁界強度条件および周波数条件等の動作条件情報を出力部を介して磁気誘導装置および位置検出装置に各々送信し、これによって、磁気誘導装置および位置検出装置の各々が初期的な動作条件を設定するようにしていたが、これに限らず、動作条件設定部によって設定された磁気誘導装置の動作条件を表示部に表示し、ユーザが、この表示部の表示情報を磁気誘導装置に入力することによって、磁気誘導装置の動作条件を初期的に設定してもよいし、動作条件設定部によって設定された位置検出装置の動作条件を表示部に表示し、ユーザが、この表示部の表示情報を位置検出装置に入力することによって、位置検出装置の動作条件を初期的に設定してもよい。
さらに、上述した実施の形態2〜4では、磁束密度測定部34aは、駆動系35によってカプセル型医療装置2を中心に回転移動する測定素子34bを介してカプセル型医療装置2内部の磁石27の残留磁束密度を測定していたが、これに限らず、磁束密度測定部34aの測定素子34bを回転移動させる代わりに、上述した磁化方向制御部14等の回転磁界をカプセル型医療装置2内部の磁石27に作用させることによってカプセル型医療装置2を一回転以上回転させてもよく、本発明にかかる検査装置の磁束密度測定部は、かかる回転状態のカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁束密度を順次測定し、得られた各磁束密度のうちの最大値を磁石27の残留磁束密度として測定してもよい。
また、上述した実施の形態1〜5では、本発明にかかる検査装置の検査対象として、カプセル型筐体20の径方向と磁化方向とを一致させた態様でカプセル型筐体20内部に磁石27を配置したカプセル型医療装置2を例示したが、これに限らず、本発明にかかる検査装置の検査対象であるカプセル型医療装置は、カプセル型筐体の長手方向と一致する磁化方向等、カプセル型筐体に対する所望の相対方向に磁化方向を一致させた態様で磁石を内蔵するカプセル型医療装置であってもよい。この場合、かかる検査対象であるカプセル型医療装置の回転中心は、カプセル型筐体の長手軸に限らず、内蔵磁石の磁化方向を回転中心にしてもよい。
さらに、上述した実施の形態2〜4では、パッケージ3の中心軸CL1を中心に磁束密度測定部34aの測定素子34bを回転移動させていたが、これに限らず、磁束密度測定部34aの測定素子34bは、検査対象であるカプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向上の位置を通過する軌道であれば所望の軸を中心に回転移動してもよい。
また、上述した実施の形態1〜5では、本発明にかかる検査装置の検査対象であるカプセル型医療装置として、被検体の体内画像を撮像するカプセル型医療装置2を例示したが、これに限らず、かかる検査対象であるカプセル型医療装置は、磁気誘導装置による磁気誘導を可能にするための磁石(磁性体)を1以上内蔵したものであればよく、生体内のpH値を計測するカプセル型pH計測装置であってもよいし、生体内に薬剤を散布または注射する機能を備えたカプセル型薬剤投与装置であってもよいし、生体内の物質を採取するカプセル型採取装置であってもよい。さらに、上述した実施の形態1,2,5にかかる検査装置の検査対象であるカプセル型医療装置は、撮像機能を内蔵していなくてもよい。
さらに、上述した実施の形態1,3〜5では、電力供給によって磁界を発生する磁界発生コイル14a(すなわち電磁石)を備えた磁化方向制御部14によって、カプセル型医療装置2内部の磁石27の磁化方向を制御していたが、これに限らず、かかる検査対象であるカプセル型医療装置2内部の磁石27に永久磁石を近づけ、この永久磁石の磁界によって磁石27の磁化方向を制御してもよい。
また、上述した実施の形態3では、角度測定部45は、画像取得部44がカプセル型医療装置2から取得した基準画像と相対画像とのなす角度を算出することによって、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との角度ずれ量を測定していたが、この発明はこれに限定されるものではない。すなわち、撮像部22が自身の基準方向と画像部42aの基準方向とを一致させた態様で撮像可能な画像データである基準画像データを記憶部10が予め記憶する。角度測定部45は、この記憶部10内の基準画像データを制御部47から取得する。かかる角度測定部45は、上述した相対画像のデータを画像取得部44から取得し、この画像取得部44からの取得データ(すなわち撮像部22によって撮像された画像データ)と予め設定された基準画像データとのなす角度を算出し、これによって、カプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との角度ずれ量を測定してもよい。
さらに、上述した実施の形態5では、磁石27の磁気トルク測定値をもとに磁石27の磁気モーメントを算出していたが、さらに、上述した実施の形態3,4に例示されるようにカプセル型医療装置2内部の撮像部22の基準方向と磁石27の磁化方向との角度ずれ量を測定してもよい。すなわち、上述した実施の形態3または4と実施の形態5とを適宜組み合わせた検査装置であってもよい。この場合、実施の形態5にかかる検査装置61は、実施の形態3のように画像部42a、画像取得部44、角度測定部45および動作条件設定部46等を備えたものであってもよいし、実施の形態4のように画像部42a、画像取得部44および動作条件設定部56等を備えたものであってもよい。