JP2009545595A - 慢性進行性心不全のための処置 - Google Patents

慢性進行性心不全のための処置 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験体における心不全を処置または予防するための方法を提供し、この方法は、その必要のある被験体に、治療的に有効な量のポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)を投与する工程を含む。これは、ポロキサマー(例えばP−188)が、MIによって引き起こされる心不全における心臓血流動態を改善し、これは、疎水性領域が剥き出る膜の損傷領域とのそれらの相互作用が、細胞膜一体性を回復するために起こるという発見に基づく。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2006年8月1日に出願された米国出願番号第60/834,728号に基づく優先権を主張しており、この前述の出願の全体の内容は、本明細書中に含まれる。
(発明の背景)
心不全(HF)は、血液の適切な循環を維持する心臓の欠陥から生じる症候群または臨床状態である。それは、慢性または急性であり得、そして虚血性梗塞または心筋梗塞を含む多くの病因を有する。
米国心臓学会によれば、米国におけるHFのための合計の直接的および間接的コストは、2005年には、279億ドルと推定されている。このHFマーケットは、一部は、HF活動領域における薬物開発が最も高い後期の失敗率の1つを有するので、ここしばらくの間、販売されている新規薬物を欠いている。しかし、HF有病数および発生率は、加齢集団および原因となる心臓血管疾患患者底辺における増加する生存の結果として増加している。これは、新規処置のための増加した需要を生じた。米国HF市場は、2004年における13.3億ドルから2011年までに43.3億ドルまで成長すると期待されている。市販されている製品は、VasotecおよびAltaceのようなアンギオテンシン転換酵素(ACE)インヒビター、TroprolおよびCoregのようなβアドレナリン作用性ブロッカー(ARB)、酸化窒素増加治療(BiDil)、DiovanおよびAtacandのようなアンギオテンシンIIレセプターブロッカー、Inspaのような電解質コルチコイドレセプター、および組み換えヒトB−型ナトリウム排泄増加ペプチド(Natrecor)を含む。一般的筋収縮剤、血管拡張薬および利尿薬もまた存在する。新生治療は、とりわけ、スタチン、カルシウム感作物質およびPDE性質をともなう筋収縮剤、組み換え赤血球産生性タンパク質、α−ヒト利尿ペプチド、バソプレシンアンタゴニスト、進行したグリケーション最終産物(AGE)架橋ブレーカー、およびキサンテンオキシダーゼインヒビターを含む。
米国では、約5百万人の心不全患者、そしてさらにこの疾患から毎年285,000人の死亡している(米国心臓学会、心臓疾患および脳卒中統計、2006年更新、Dallas、TX)。患者の数は増大しつつあり、そして2011年には11.5百万人に到達すると予期されている(Frost&Sullivan、米国心不全治療市場、F666−52、2006;http://www.frost.com)。約1.6百万人の患者は、中程度〜重篤な症候をもつ集団を含むニューヨーク心臓学会クラスIIIまたはIV HFを有している。これらの徴候は、代表的には、3〜10年に亘ってクラスIIIからIVまで進行し、この間に、これら患者は、β−ブロッカー、アンギオテンシンIIレセプタータイプIブロッカー、アンギオテンシンI変換酵素インヒビター、カルシウムチャンネルブロッカー、および血管拡張薬で処置され得る。さらなる徴候が生じるとき、患者は、移植可能なペースメーカーまたは除細動器のような医療デバイス、そして可能であれば残される心室支援デバイス(LVAD)を必要とし得る。LVADの可能な例外とともに、これらの治療は寿命を延ばすが、心不全の悪化を停止はしないし、または逆転しない。この疾患の中間ステージおよび末期ステージでは、患者は、危険なほどまでに低い左心室駆出フラクションをともなう息の短さ(慢性HFまたは急性HFをもつ患者における急性代償不全)のためにしばしば入院する。これら患者は、心筋の収縮性を増加するためのIV筋収縮剤、流体負荷を低減するためのIV利尿薬、および末梢血管抵抗を低減するためのIV血管拡張薬を必要とする(ACC2005)。しかし、鬱血性HFの徴候および症候から開放されても、そして開放の2ヶ月以内に、再発率は薬30%であり、そして死亡率は10%である。例えば、非特許文献1を参照のこと。それ故、急性HFを処置するためのより良好な治療の即座でかつ重要な必要性が存在している。
心不全は、心筋機能不全、例えば、心臓拡張または心臓収縮のような心臓筋肉の異常によって示され得る。異常収縮を処置するためにいくつかの治療が利用可能であるが、約2.3百万人の患者に見られる心臓筋肉の拡張期機能不全を標的にする治療は現在ない。HFの種々の病因にかかわらず、その症候は高度に関連し、そして心臓収縮および心臓拡張機能不全が大部分の患者で同時に存在する。例えば、非特許文献2を参照のこと。心臓拡張機能不全は、異常心臓収縮および駆出フラクションの存在下での損傷した心室心臓弛緩(充填)から生じる。例えば、非特許文献3を参照のこと。心臓拡張HF(DHF)には、最もしばしば、冠状動脈疾患、高血圧、加齢および浸潤性心筋症がともなう。現在、心臓収縮関連HFのためのACC/AHA処置ガイドラインと比較して、慢性心臓拡張機能不全の処置のための合意されたガイドラインはない。
心臓機能不全は、心筋細胞膜におけるジストロフィンの損失または欠如をともない得る(非特許文献4:Yasuda、S.ら、前述:非特許文献5:非特許文献6)。ジストロフィンは、筋肉細胞において細胞組織化に参加する構造タンパク質であり、そして筋細線維および筋細胞膜(筋肉細胞膜)両方の安定性を促進する。例えば、非特許文献7を参照のこと。遺伝的ジストロフィン欠損または異常ジストロフィンレベルは、それぞれ、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)およびベッカー筋ジストロフィー(BMD)の基礎となっている原因である。DMDおよびBMDの両方における心臓疾患は、拡大心筋症(DCM)、心臓不整脈、またはその両方として顕示される。6歳までに26%の発生率で若年患者に観察され、そして代表的には、彼らの20代初期から中期にこれら患者の死亡を生じる。DMD患者の約20%およびBMD患者の50%は、HFで死亡する。DMDまたはBMDの女性の保有者はまた心臓病のリスクにある。保有者にとって発症の年齢は明確ではないが、成人年であると考えられる。心臓病の係わり合いは、無徴候〜重篤HFの範囲に亘る。例えば、非特許文献8を参照のこと。
筋細胞膜中のジストロフィンレベルはまた、カテコールアミン投与、急性心筋虚血、および心筋梗塞(MI)後の慢性HFを生じる冠状血管結紮を含む病因ストレスのような環境因子によって影響され得る。MI後のHFにおける細胞内カルシウム(Ca+2)の増加は、筋形質網状組織(SR)によるサイトゾルカルシウムの損傷された除去、リアノジンレセプター漏出、ナトリウム/カリウム交換体の低減された活性、および心臓弛緩および心臓収縮機能の損傷をともなうホスホランバンの増加した活性のようなカルシウム取り扱いにおける変化とともに良好に確立されている。例えば、非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13を参照のこと。これらの機構は、最初カルシウムを増加するように働き得、カルペイン(カルシウムで活性化されるプロテアーゼ)の活性化に至り、そして経路をリモデリングする。カルペインの活性化は、膜からのジストロフィンの初期損失に至り得、それを不安定になるようにし、そして収縮ストレスを受けやすいようにする。HF患者および動物HFモデルからの心筋細胞の膜からのジストロフィンおよびジストロフィン関連タンパク質の損失は、良く記載されている。例えば、非特許文献14;非特許文献15を参照のこと。これらタンパク質は、筋繊維膜の過剰発現に対する機械的抵抗を提供する複合体を形成する。これらタンパク質の損失は、膜不浸透性色素Evans Blueを取り込む心筋細胞の数の増加をともなう。例えば、非特許文献16を参照のこと。
さらに、カルパインの増加が、ジストロフィンの損失が機能的欠損と相関している心筋炎のモデルで示された(非特許文献17)
筋繊維膜における裂け目が、カルシウムが細胞に入る導管であり、そして細胞内カルシウムを増加することが示された。直接的または間接的いずれかで、細胞内カルシウムにおける持続された増加を引き起こすストレスが進行されたHFに至る悪性のサイクルが存在することが提案されている。例えば、非特許文献18を参照のこと。このサイクルでは、この増加された持続するカルシウムはカルペインを活性化し、これが、とりわけ、ジストロフィンを切断する。これは、さらなる膜の不安定性、さらなる裂け目およびより多くのカルシウムに至る。残りの心筋細胞は、増加した仕事要求のためにストレスを受け、それらはまた、このサイクルに入る。
ACEインヒビターおよびARBは、心臓血流動態および心不全をもつ患者における生存を改善することが示されている薬物である。心不全のラットMIモデルでは、これら薬剤の両方が、おそらく、総カルパイン含量を低減することにより、MI後、心筋細胞の膜フラクションからのジストロフィンのレベルの減少を防ぐことが示されている。この効果は、ラットがこれら試薬で梗塞後2〜8週から常習的に処置されたとき観察された。非特許文献19を参照のこと。
細胞内カルシウムにおける持続増加がシグナル伝達経路の活性化を生じ、これが次いで機能的問題に寄与する心臓の不適応リモデリングを生じることがまた確立されている。例えば、非特許文献20;非特許文献21を参照のこと。
Gheorghiade、M.ら、Early Management of Acute Heart Failure Syndromes、Cardiovacscular Emergencies、2006、Omni、Atlanta、2006年、3月11日 Dyer、G.S.M.ら、Heart Failure、Pathophysiology of Heart Disease(L.S.Lilly編)、Lippincott Williams&Wilkins、Baltimore、MD、2003、234頁 Zile、M.R.ら、Circulation、2002、105:1387〜1393 Takahashi、M.ら、Eur.J.Pharmacol.、2005、522:84〜93 Kaprielian、R.R.ら、Circulation、2000、101:2586〜2594 Toyooka、Tら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2004、101:7381〜7385 Kaprielian、R.R.ら、Circulation、2000、101:2586〜2594 American Academy of Pediatrics、Clinical Report、Pediatrics、2005、116:1569〜1573 Morgan、J.P.ら、Circulation、1990、81:III21−III32 Iwanaga、Y.ら、J.Clin Invest.、2004、113:727〜736 Zhang、X.−Q.ら、J.Appl.Physiol.、2002、93:1925〜1931 Wehrens、X.H.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2006、103:511〜518 Angeja、B.G.ら、Circulation、2003、107:659〜663 Kawada、T.ら、Pharmacol.Therap.、2005、107:31〜43 Kaprielian、R.R.ら、Circulation、2000、101:2586〜2594 Takahashi、M.ら、Eur.J.Pharmacol.、2005、522:84〜93 Lee、G.−H.ら、Circ.Res.、2000、87:489〜495 Kawada、T.ら、Pharmacol.Therap.、2005、107:31〜43 Takahashi、M.ら、Cardiovasc.Res.2005、65:356〜365 Molkentin、J.D.ら、Cell、1998、93:215〜228 Wilkins、B.J.ら、Circulation Research、2004、94:110−8
ともに考慮して、ジストロフィン損失および膜不安定性が、HFにおける心筋機能不全に寄与するようである。
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、被験体における心不全を処置または予防するための方法に関し、ここで、この方法は、その必要のある被験体に治療的に有効な量のポロキサマー(Poloxamer)を投与する工程を含む。本明細書で用いられるとき、用語「治療的に有効な量」は、被験体における症状または臨床効果の改善を生じ得るポロキサマーの量をいう。本明細書で用いられるとき、用語「被験体」は哺乳動物をいい、そして、例えば、ヒト、ラット、またはウマを含む。
いくつかの実施形態では、上記心不全は、虚血性心不全である。
いくつかの実施形態では、上記心不全は、ジストロフィンの遺伝的損失を除いて任意のストレッサによって引き起こされる。
いくつかの実施形態では、上記心不全は、慢性または急性心不全である。
いくつかの実施形態では、上記ポロキサマーは、ポロキサマー188(本明細書中では以後「P−188」)またはポロキサマー407(本明細書中では以後「P−407」)である。
いくつかの実施形態では、上記ポロキサマーは、HF(例えば、慢性HF)によって影響された組織中の細胞膜にジストロフィンレベルを回復する。この組織および膜の例は、心筋および筋繊維膜をそれぞれ含む。
いくつかの実施形態では、上記ポロキサマーは、その必要のある被験体に、1〜26週の期間に亘って、または心不全をもつ患者の症状によって決定されるように必要である長さの期間投与される。
いくつかの実施形態では、上記ポロキサマーは、その必要のある被験体に、1〜15週の期間に亘って投与される。例えば、上記ポロキサマーは、1、2、または12週毎に1回投与され得る。
いくつかの実施形態では、上記ポロキサマーの各投薬量(または投与)は、被験体の体重を基に約0.15〜約480mg/kg(例えば、約1〜15mg/kg)である。各投薬量の詳細な例は、約1、4.6、10、100、400mg/kg、および460mg/kgを含む。
本発明の別の局面は、HF被験体における心筋細胞の膜の機能を改善するための方法に関し、ここで、この方法は、この被験体に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を含む。用語「膜の機能を改善すること」は、膜の構造を改善すること、そしてそれ故、膜が裂けるまたは漏れることを防ぐことを意味することを含む。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
本発明の別の局面は、HF患者における心筋細胞膜の一体性を回復するための方法に関し、ここで、この方法は、この被験体に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
本発明のなお別の局面は、患者におけるジストロフィー欠乏に付随する骨格筋疾患の処置のための方法に関し、ここで、この方法は、この患者に、治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を含む。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
本発明のさらになお別の局面は、心不全患者において細胞内カルシウムレベルを低下させ、そして細胞内カルシウムレベルを正常レベルで維持するための方法に関し、この患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を含む。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
本発明のさらになお別の局面は、患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与することの数時間内の左心室の迅速およびゆっくりとしたリモデリングに関する。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
本発明はさらに、HF患者における左心室拡張期−終期圧力(LVEDP)を低下し、そして左心室駆出フラクション(LVEF)を増加するための方法に関し、この患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する。適切なポロキサマーの例は、P−188およびP−407を含む。
また本発明の範囲内に、心臓以外の筋肉組織を修復するためのポロキサマー(例えば、P−188またはP−407)の使用がある。この筋肉組織は、例えば、骨格筋由来であり得る。
本発明はさらに、4.6mg/kgを超えないポロキサマーの治療量を用いることにより、LVEDPを低下することが、LVEFを増加することの影響から分離され得ることを提供する。
上記に記載に記載されるようなP−188またはP−407のようなポロキサマーの投与に加え、本発明の方法は、さらに、ACEインヒビター、ARB、β−アドレナリン作用薬ブロッカー、酸化窒素増大治療薬、鉱質コルチコイドレセプターアンタゴニスト、組み換えヒトB型ナトリウム排泄増加ペプチド、カルシウムチャンネルブロッカー、血管拡張薬、利尿薬、および変力作用薬のような組み合わせでさらなる材料を含み得る。
本発明はまた、被験体における封止剤の細胞膜封止活性を測定する方法を提供し、この方法は、上記封止剤を被験体に投与する工程、この封止剤が被験体に投与される前の血清中の漏失タンパク質のレベルと、この封止剤が被験体に投与された後のこの同じ漏失タンパク質のレベルとを測定し、そして比較する工程を包含する。
いくつかの実施形態では、上記封止剤の投与される前の上記漏失タンパク質のレベルは、上記同じ封止剤の投与後のレベルより高い(例えば、200%のように中程度により高く、または10倍のように顕著により高い)。
いくつかの実施形態では、上記封止剤は、ポロキサマーで(P−188またはP−407)。
いくつかの実施形態では、上記被験体は心不全を有している。
いくつかの実施形態では、上記漏出タンパク質は、上記被験体の心臓の心筋細胞由来である(N末端プロB型利尿ペプチド、心臓トロポニンT、トロポニンI、またはクレアチンキナーゼのMBイソ型)である。
以下に提示されるのは、本発明の詳細な説明であり、これは、例示目的のためのみに意図され、そしていかなる様式においても本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきではない。本明細書中に引用されるすべての刊行物は、それらの全体が参考として援用される。
図1は、心筋細胞伸展性および細胞内カルシウムに対するP−188の影響を示す。 図2は、左心室終期拡張期圧力に対するP−188の影響を示す。 図3は、左心室駆出フラクションに対するP−188の影響を示す。 図4は、左心室終期拡張期直径に対するP−188の影響を示す。
(発明の詳細な説明)
本発明は、被験体におけるHFを処置または予防するための方法を提供し、治療的に有効な量のポロキサマー(例えばP−188)を用いることによる。これは、ポロキサマー(例えばP−188)が、MIによって引き起こされる心不全における心臓血流動態を改善し、これは、疎水性領域が剥き出る膜の損傷領域とのそれらの相互作用が、細胞膜一体性を回復するために起こるという発見に基づく。
ポロキサマーは、ポリオキシエチレンの2つの親水性鎖によって隣接されるポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖から構成される非イオン性ブロックコポリマーである。このポリマーブロックの長さは注文どおりに作られ得るため、多くのことなるポロキサマーが、わずかに異なる性質を備えて存在する。これらのポリマーは、数が従う言葉ポロキサマーで一般に命名され、どのポリマーが論議されているのかを示す(例えば、ポロキサマー407またはポロキサマー188)。
ポロキサマー188(P−188)はポロキサマーファミリーのメンバーである。それは、約8,400ダルトンの分子量をもつ式ポリ(エチレンオキシド)80−ポリ(プロピレンオキシド)30−(エチレンオキシド)80の非イオン性トリブロックコポリマーである。この化合物は、Pluronic F68、RheothRx、およびFLOCORのようないくつかの商標名を有する。その生物学的使用のいくつかは、いくつかの市販され入手可能な下剤における糞軟化剤として、化粧品における成分として、そして薬学的薬剤のための乳化剤としてを含む。例えば、Ho、H.−O.ら、J.Controlled Release、2000、68:433〜440を参照のこと。P−188は、脂質単層中に挿入し(Maskarinec、S.A.ら、Biophys.J.2002、82:1453〜1459)、そして電気的に損傷された細胞膜を修復する(Lee、R.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1992、89:4524〜4528)ことが示されている。それはまた、腫瘍を化学的療法に敏感にするために制御された薬物送達のため(Kabanov、A.V.ら、Adv.Drug Delivery Res.、2002、54:759〜779)、および遺伝子治療のためのキャリアとして用いられている。P−188は、鎌型赤血球疾患における血管閉塞危機のためのフェーズIII臨床試験にあり(Adams−Graves、P.ら、Blood、1997、90:2041〜2046;Emanuele、R.M.、Exp.Opin.Invest.Drugs、1998、7:1193〜1200)、そして急性MI(CORE)をもつ患者における血栓溶解活性を評価している(Schaer、G.L.ら、Circulation、1996、94;298〜307;Chareonthaitawe、P.、Heart、2000、84:142〜148)。これらの試行では、P−188の効き目は多義的であった。P−188は、72時間までの間に急性に与えられるとき安全であり、そして繰り返される曝露に際し(6つの曝露まで)子供および成人で良く耐えられる。例えば、Gibbs、W.J.ら、Ann.Pharmacother.、2004、38:320〜324を参照のこと。RheothRx(低純度のP−188)を用いた研究における最も顕著な副作用は腎臓機能不全であったが、しかしそれは、より純粋な形態FLOCORでは観察されなかった(Emanuele、R.M.前述)。P−188は、齧歯類の血漿中で7.5時間、そしてヒト被験体で18時間の半減期を有するが、生物学的膜におけるその半減期は決定されていない。薬理学的研究は、精製されたP−188の5%未満がより大きな分子量でかつより遅いクリアランスの単一の代謝物に代謝されることを示した。腎臓クリアリンスが排除の主要な経路である。P−188は非変異誘発性であり、そして染色体異常を引き起こさない。
ポロキサマー407(P−407)は、ポロキサマーとして知られるより一般的なクラスのコポリマーの親水性非イオン性界面活性剤である。P−407は、疎水性ブロック(ポリプロピレングリコール)によって分離された2つの親水性ブロック(ポリエチレングリコール)からなるトリブロックコポリマーである。この2つのPEGブロックの各々のおよその長さは101の繰り返し単位であり、その一方、ポリプロピレングリコールブロックのおよその長さは56の繰り返し単位である。この特定化合物はまた、BASFの商標名Lutrol F−127によって知られている。
異なるグレードのポロキサマー(P−188およびP−407)が、商業的供給源、例えば、BASFから容易に入手可能である。あるいは、熟練したポリマー化学者はまた、当該技術分野で公知の方法によって、所望の性質および分子量のポロキサマーを合成し得、そしてそれを精製し得る。例えば、米国特許番号第RE36,665号、同第RE37,285号,同第RE38,558号、同第6,747,064号、同第6,761,824号、および同第6,977,045号を参照のこと。またReeve、L.E.、The Poloxamers;Their Chemistry and Applications、Handbook of Biodegradable Polymers、Domb、A.J.ら(編)、Hardwood Academic Publishers、1997を参照のこと。本明細書中に引用されるすべての刊行物は、参考としてそれらの全体が援用される。
ポロキサマーは、任意の適切な経路、例えば、経口的または注入により(静脈)その必要のある被験体に投与され得る。当該技術分野で公知のアッセイが、心不全を処置する際にポロキサマーの効き目を決定するために用いられ得、例えば、LVEDPまたはLEFを測定することによる。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、そしていかなるようにも制限的であることは意図されない。
(実施例1:膜一体性および血流動態のマウスインビトロおよびインビボ研究)
インタクトな単一の成人心筋細胞の能動および受動力発生および膜中の細胞内カルシウムを研究するための機能的アッセイは、当該技術分野で公知である。例えば、Yasuda、S.ら、前述を参照のこと。この研究は、伸張媒介膜不安定性およびカルシウム依存性過収縮への増加した感受性によって証明される単一の単離されたmdx心筋細胞における細胞伸展性における主要な血管を規定するために用いられる。
図1、左パネル、Aに示されるように、弛緩期に相当する筋節長さ(SL)の生理学的範囲内(1.80〜2.20mm)に、P−188は、mdx心筋細胞伸展性および細胞内カルシウムをコントロールレベルまで完全に回復した。図1、左パネル、Bに示されるように、L−型カルシウムチャネルブロッカーであるニフェジピンは、伸張に応答して高められた細胞カルシウムレベルを防がず、カルシウムが異なる機構を通じて高められることを示した。カルシウム漏れチャンネルは、伸張によって活性化されないので、カルシウムは、別の機構、例えば、膜中の顕微鏡的裂け目を通って細胞に入るに違いない。これは、脂質色素アッセイを用いて確認された。例えば、Yasuda、Sら、前述を参照のこと。ゴールデンリトリーバー筋ジストロフィー(GRMD)動物からの単離された心室心筋細胞における予備研究(図1、中央パネルを参照のこと)は、受動的張力−伸張曲線が、コントロールイヌ心筋細胞と比較して顕著に上方および左方にシフトされることを示す。これは、mdxマウスからの心筋細胞で記録された細胞伸展性欠陥は、GRMDイヌからのものでかなりより目立つことを証明する。さらに、P−188(150μM)が、ほぼ完全にコントロールに戻る受動的張力−伸張曲線の形状および位置で示されるように(図1、右のパネル、パートAを参照のこと)、細胞伸展性を回復することを示す。P−188の効果の大きさは、従って、マウス心筋細胞において観察されたより比較的より大きい。
図1、右パネル、AおよびBに示されるように、P−188は、インビトロでmdxマウスにおける心臓機能不全を防ぎ、これは、伸張で誘導される膜損傷を防ぐその細胞効果と一致している。ベースラインの左心室血流動態性能はmdxマウスで押し下げられ、減少された左心室拡張期−終期容量(LVEDV)を含む。
P−188の静脈内注入は、LVEDVをコントロール心臓で観察されるレベルまで増加した。表1で以下に示されるのは、この注入後の血流動態の要約である。表1に提供される血流動態指数における変化は、急性P−188の主要な効果は、拡張期−終期圧力またはその他のパラメーターを有意に変化することなく、拡張期−終期容量を回復することであることを示唆し、インビトロでのmdx心筋細胞の伸展性を改善することに対するP−188の効果(図1、左パネルを参照のこと)と一致する。心臓血管ストレッサは、mdxマウスにおいて急性心筋症および心不全を引き起こし得る(Danialou、Gら、FASEB J.、2001、15:1655〜1657)。これらストレッサの1つ、急性のドブタミン投与が、P−188がインビボでこれらの事象をブロックし得るか否かを結成するために用いた。非処置mdxマウスは、30分のストレス−試験レジメの間にドブタミン注入に応答して非常に減衰した血流動態および急性心不全の有意な発生を有した(図1、右のパネル、Cを参照のこと)。P−188でのmdx動物の予備処置は、ドブタミンに応答する血流動態を即座に改善し、そしてインビボにおけるドブタミン誘導急性HFからの保護を与えた(P=0.005)。これらの結果は、急性HFにおける患者のP−188処置が心臓性能を改善し、そしてまた心筋性機能支持を改善することを示唆している。
Figure 2009545595
(実施例2.高用量ポロキサマーでのMIラット心不全モデルにおける心臓血流動態のインビボ研究)
この研究で用いたラットMIモデルでは、左前部下行冠状動脈(LAD)が縛られて40%を超える梗塞を生成した。これらラットは、1〜3週後安定になり、そして3週で顕著な左心室機能不全を示した。これらラットのMI後8週(HFラット)は、ジストロフィン損失に対応した。コントロールは、非処置HFラット、およびLADが剥き出されたが縛られなかった偽−手術動物を含む。
処置の日、ラットは、30分の期間に亘り460mg/kgでP−188を注入し、そして心臓にカテーテルを装着し、そして血流動態を4時間の期間に亘ってモニターした。
非処置MIラットと比較して、P−188処置は、有意な:弛緩する心臓の増加した能力を示す1)LVEDPにおける減少;2)収縮期の間のその内容物を空にする心臓の能力を示す尺度であるLVEFにおける有意(約45%)な増加;および3)圧力における低下の率の尺度である定積弛緩(LV−dP/dt)における有意な減少を引き起こした。心拍(HR)、左心室収縮期圧力(LVSP)、左心室定積収縮(LV+dP/dt)、および左心室終期収縮期容量は有意に変化しなかった。これら測定からのデータは、以下に表2に要約される。
Figure 2009545595
この研究からの結果は、P−188が心臓血流動態に効果を有することを示す。LVEFにおける約45%の増加は、臨床的に有意である。駆出フラクションは、拍動容量として駆出される終期拡張期容量の%であり、そしてポンプ機能の尺度である。それは血圧(後負荷)、心臓に戻る血液の量(前負荷)、心腔の容量、および拍動によって影響され得る。本発明者らのデータは、P−188処置が、HRに影響せず、そして後負荷に影響しなかったことを示す。なぜなら、LVSPは上昇しなかったからである。従って、P−188は、心臓への血液の静脈戻りおよび心筋の伸展性により影響され得る前負荷に対して効果を有するようである。LVEDPもまた、これらのパラメーターによって影響され、本発明者らの実験において低減される。静脈戻りにおける有意な低下は血圧における変化がともなわれるべきであるので、これは、P−188では観察されない。これらの結果は、P−188が働く心臓の伸展性を増加することを示唆している。
(実施例3:低用量ポロキサマーでのMIラット心不全モデルにおける心臓血流動態のインビボ研究)
処置の日、ラットは、30分の期間に亘り4.6mg/kgでP−188を注入し、そして心臓にカテーテルを装着し、そして血流動態を4時間の期間に亘ってモニターした。
図2に示されるように、鬱血性心不全(CHF)および偽手術コントロールラットが、30分間隔に亘って4.6mg/kgのP−188で処置または処置されず、そしてLVEDPが投薬後4時間で測定された。非処置CHFラットは、梗塞と処置との間の8週の間隔に亘りLVEDPにおいて20mmの圧力上昇を示した。P−188の4.6mg/kgでの処置は、非処置CHF動物と比較して9mmHgだけLVEEDPを低減した。この用量におけるP−188処置は、擬手術コントロールラットではLVEDPに対する影響を有さなかった。
上記で論議されたように、CHFラットのP−188処置は、460mg/kgでLVEFにおける増加を引き起こした。4.6mg/kgで、P−188は、非処置CHFラットと比較してLVEFに対する影響を有さなかった(図3を参照のこと)。この結果は、驚くべきことであり、そして完全に予期されなかった。なぜなら、LVEDPに対するこの効果は、4.6mg/kg用量で維持または増大さえされたからである。
これら高用量実験および低用量実験からの結果は、LVEDPを低下することに対するP−188の効果は、LVEFに対する効果から分離され得ることを示す。これらの結果は、有意により大きな膜修復がLVEFに対する効果のために要求されるという可能性を示唆する。従って、4.6〜460mg/kg用量範囲に亘るP−188処置は、統計学的にかつ潜在的に臨床的に有意であるCHFラットでLVEDPにおける低下を引き起こした。これらの結果は、4.6mg/kgより低い用量におけるP−188が、LVEDPを低減することにおいて効果的であり得ることを示唆する。
4.6mg/kgのP−188で処置されたCHFラットにおけるLVEDPの低下に加え、左心室拡張期−終期直径(LVEDD)における減少がまた観察された(図4を参照のこと)。この減少は、正常LVEDDに向かう移動を表す。これは、この測定が処置後4時間で行われたという事実を考慮すれば驚くべきことであった。この心筋の迅速なリモデリングは予期せぬことであり、そしてこのような迅速なリモデリングは、任意の心不全処置について先には報告されていない。LVEDDにおける有意な変化がないことは、超音波心臓検査で高用量で観察された。この理由は、確立されるべきであるままであるが、P−188の高用量での非特異的効果が、このクラスの化合物の機構的効果をマスクし得る可能性がある。
投薬量に基づくP−188の効果の分離は、臨床的に有用である。急性の代償不全症状を有する慢性心不全患者では、LVEFは、危険な低レベルまで落ち得る。このような患者では、4.6mg/kgより多いP−188の用量が、補償されるべき状態を支援して再確立するように駆出フラクションを増加するために用いられ得る。慢性心不全(十分に高い駆出フラクション)をもつ安定患者では、4.6mg/kgまたはそれ未満でのP−188の用量が、左心室伸展性を維持すること、および心臓のこの腔の直径を維持することで有用であり得る。
(実施例4.P−188での心不全のラットMIモデルにおける心不全の慢性処置)
この研究は、18週の期間に亘り行われる。以下の表3は、可能な研究の設計およびフローを示す。詳細には、ラットは、研究の前、2週間の間12時間の日夜サイクルに馴養される。群は、これら動物が用いられるMI後のMI後の週の数(W)によって標識される。P−188での処置はTとして示され、そしてNTは非処置の略語である。この研究の開示時における各群におけるラットの数は、MI後1週間で25%の死亡率を占めるような大きさとされる。血流動態測定(血液測定)は、各16W群(N=12)について行われる。残る動物からのすべての心臓が回収され、そして氷冷緩衝液で洗い流され、そして以下に記載されるその他の実施例で概説される実験で用いられる。血液サンプルがEDTA収集チューブにすべてのラットから収集され、そして後に用いられる。心筋梗塞は、モデルを改変して、Day、S.M.ら、前述;Tarnavski、O.ら、Physiol.Genomics、2004、16:349〜360に記載のように左前部下行冠状動脈(LAD)の血管結紮によって誘導される。要約すれば、Sprague−Dawleyラット(250〜300g)は、腹腔内ケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)で麻酔され、挿管され、そして2%イソフランで機械的に通気される。左開胸術が実施され、近位LADが縫合糸で取り囲む。縫合糸が縛られ、そして閉塞は、LVの前部壁の(青白への)色の変化によって確認される。擬手術されたコントロールは、縛られた縫合糸を有さない。MIラットについて、約25%の死亡率が、最初の週に予期される。P−188処置またはビヒクルを受けるラットを代表する56匹のラットは、上記のようにMI後9週に麻酔される。ウレタンで被覆された抗血栓形成血管カテーテルが頸静脈中に挿入され、そして首の背面側で体外に出される。このカテーテルは生理食塩水およびヘパリンで満たされ、そして閉鎖される(例えば、http://www.braintreesci.com/Thoracic.htmを参照のこと)。MI後第13週で開始して、これら28匹のラットは毎日、毎週、隔週毎、または月毎にP−188を、1〜480mg/kg(約4.6mg/kgまたは460mg/kgで)の投薬量で、0.2mL/Kg/分の速度で注入される。
Figure 2009545595
2つ以上のデータセットが比較されるとき、分散分析(ANOVA)がこれら群の間に有意な差が存在するか否かを調べるために用いられる。種々の群の間に相互作用がANOVAによって示されるとき、StudentのNeuman−Keulsのこの後の試験が、2つの平均値間の差異を決定するために用いられる。この平均値は、少なくとも5の観察値のサンプルサイズ由来である。確率は0.05より低く設定される。
(実施例5:慢性心不全ラットにおけるジストロフィンレベルに対する効果の決定)
ジストロフィン欠損は、生理学的負荷の下、単一の心筋細胞における弛緩性能を遅くする深い効果を有する。P−188は、この弛緩血欠陥を迅速に矯正する。例えば、Yasudaら、前述を参照のこと。
MIラットからの心筋細胞の筋細胞膜からのジストロフィンの損失は、MI後8週までに突き止められる。この損失が進行性であるか否かを知ることが重要である。なぜなら、P−188の対する応答の大きさが膜の壊れやすさ、および顕微鏡的裂け目の数に直接関係し得るからである。この情報は、患者の疾患の病歴に基づく患者の結果を予測することで有用であり得る。
この研究では、ジストロフィンおよびその他の膜タンパク質は、Daiら、J.Biool.Chem.、2002、276:37178〜37185;Molkentinら、J.Biol.Chem.、1993、268:19512〜19520に記載されるような手順に従って、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学による両方で評価される。ウェスタンブロッティングは、心臓の非梗塞領域における細胞からの膜フラクションにおけるジストロフィンを測定するために用いられる。最小6つのMI心臓が各時点から分析され、そして血流動態パラメーターが決定された後動物からとられる(以下を参照のこと)。筋細胞膜フラクションが調製され、そして細胞質フラクションは凍結され、そして−80℃で貯蔵される。タンパク質決定の後、各サンプルからの等量のタンパク質が6%または12%SDS−ポリアクリルゲル上で泳動され、そしてポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜にブロットされ、そして適切なタンパク質は、それらの個々の抗体で検出される。用いられる抗体は、ジストロフィン、α−ザルコグリカン(α−SG)、β−ザルコグリカン、γ−ザルコグリカン(γ−SG)およびβ−ジストログリカンに対して惹起され、これらは、(例えば、Novocastraから)市販され入手可能である。ジストロフィンおよびα−SGはMI後8週で減少するが、γ−SGは変化しないままであることが先に示されている。例えば、Yoshida、H.ら、Cardiovas.Res.、2003、59:419〜427を参照のこと。従って、γ−SGは負荷コントロールとして用いられる。MIラットにおけるこれらタンパク質のレベルは、非手術および偽手術コントロール心臓の両方におけるこれらと比較され、ジストロフィンおよびα−SGにおける相対的減少を経時的に決定する。
非梗塞LVおよびMIおよびコントロール心臓の中隔を、5倍容量の氷冷緩衝液(300mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、320mMシュークロース、1mM EGTA、20mA Tris−HCl pH7.4)中でホモゲナイズする。このホモゲネートを4℃で10分間1000×gで遠心分離する。上清流体は、8000×gで20分間遠心分離し、そして得られる上清流体を4℃で20分間100,000×gで再び遠心分離する。得られるペレットである筋細胞膜フラクションをPMSFなしの緩衝液中に再懸濁し、そしてタンパク質濃度が決定される(Yoshida、H.前述)。上清流体は、細胞質フラクションである。このフラクションを濃縮し、電気泳動によって分離し、そして切断産物、または膜フラクションからのデータが決定的でない場合膜解離タンパク質についてブロットする。
免疫組織化学が、膜ジストロフィンにおける任意の変化が2〜3の心筋細胞中の大きな損失またはより一般的な影響を反映するか否かを決定するために実施される。心臓は、液体窒素中で冷却されたイソペンタン中で凍結される。4〜10μmのセクションが切断され、そして切片接着剤で被覆されたスライド上で風乾される。非固定セクションは、一次抗体と1時間25℃でインキュベートされ、3回、各々10分間緩衝液(1%ウシ血清アルブミン/リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))中で洗浄され、そして次に蛍光標識された二次抗体と1時間25℃でインキュベートされる。この切片を次いで緩衝液で3回洗浄される。これら切片を、次いでVectashield(Vector Labs)中にマウントし、そして共焦点顕微鏡によって可視化される。各切片のデジタル写真をとる。ジストロフィンの膜局在化を確認するために、いくつかの連続的切片がビンクリンに対する抗体とインキュベートされ、そしてジストロフィン染色と比較される。
ブロッティングおよび抗体染色の後、ウェスタンブロット上のタンパク質は、増強化学発光によって可視化され、そしてバンドはX線フィルム上で発光される。フィルム上のバンドは、デンシトメトリによって定量化され、そしてゲル間で比較するためにγ−SGに正規化される。負荷はまた、ゲルのCoomasie Blue染色によってチェックされる。ウェスタンブロットのために、等量のタンパク質/レーンである。低温切片の画像は、Image Pro画像分析ソフトウェアを用いて分析される。しかし、後者は、心臓の非梗塞領域を横切るジストロフィン/α−SG損失の幅を決定するために用いられることが意図される。
これらタンパク質レベルにおけるさらなる減少が後の時間で観察されない場合、これらの変化が検出されるには小さ過ぎることであり得る。MI後8週を過ぎて有意な変化を観察できないことは、膜安定性に対する有意な変化が初期に生じ、しかもMIから8週後、P−188がジストロフィンレベルを効率的に(25〜30%)減少し、そしてまたα−SGレベルを(40〜50%)減少することを示す。
(実施例6:膜漏失の識別)
MI後8週で、筋細胞膜心筋細胞中の一体性の損失が、単離された細胞における膜不浸透性色素Evans Blue(EB)の取り込みを示すことによりしめされた。Kawada前述。(EB色素は、アルブミンと堅固な複合体を形成し、そして損傷された細胞によって取り込まれるのはこの複合体である。)心筋および骨格筋損傷を評価するためのこのEB法は、Straub、V.ら、J.Cell Biol.、1997、139:375〜385;Bansal、Vら、Nature、2003、423:168〜172;Coral−Vazquez、R.ら、Cell、1999、20:465〜474に記載のように用いられる。
この研究のためのラットは、表2におけるような割合を占める。各時点において、動物(N=6〜7)はこの研究から除去され、そしてそれらの尾静脈中に滅菌EB色素溶液を注射される。EB色素は、PBS(10mg/ml)中に溶解され、そして0.2mmのポアサイズをもつメンブレンフィルターを通過することにより滅菌される。ラットは、色素溶液の0.025mL/g体重で注射され、そしてEB色素投与後6時間で屠殺される。注射と屠殺との間の時間の間に、ラットは、標準的な実験室ケージに収容される。顕微鏡EB検出のための心筋切片は、氷冷アセトン中−20℃で10分間インキュベートされ、PBSですすがれ、そしてVectashieldマウンティング媒体(Vector Labs)でマウントされる。心臓切片は、蛍光顕微鏡によって観察され、そこでは、EB染色された領域は赤に見える。すべての切片は写真に撮られ、そして写真が分析されてEB陽性および陰性の細胞染色を決定する。これらの領域は、偽手術動物(N=7)中のもの、および非手術コホート(N=12)のものと比較される。
各心臓から、7mmの5〜7切片がマウントされ、そして写真を撮られる。写真は、Image Proソフトウェアを用いて分析される。EB色素で染色された領域はトレースされ、そしてこのトレース内の領域が定量化される。これは、切片中の非梗塞組織の領域に正規化される。同様の切片が異なる時点で心臓からとられる。このようにして、EB染色さいぼうの数がMI後増加しているか否か決定される。2つ以上のデータセットが比較されるとき、分散の分析(ANOVA)が用いられ、群間に有意な差異が存在するか否かを調べるために用いられる。種々の群の間で相互作用がANOVAによって示されるとき、StudentのNeuman−Keulsのこの後の試験が、2つの平均値間の有意な差異を決定するために用いられる。この平均値は、少なくとも5つの観察のサンプルサイズに由来する。確率は0.05未満で設定される。
Evans Blue染色領域は、偽手術コントロールからの心臓、または正常Sprague−Dawleyラットからの心臓では観察されないことが予期される。MI後12週および16週で、損傷細胞の数における増加が予期されるが、これは、4週〜8週の間で観察されるような増加ほど大きくないかも知れない。これは、このモデルで観察される心不全の持続された安定相に起因し得る。
(実施例7:心臓血流動態に対する慢性処置の効果)
表3において上記で概説されるように、ラットはカテーテルを装着され、そして、MI後、合計4週の間精製P−188で(16WT群)、または12週〜16週ビヒクルで(16WNT)処理される。16WNTS群は、カテーテルを装着されないか、またはビヒクルを受けない。MI後16週で、これらの動物は麻酔され、挿管され、そして機械的に換気される。中央胸骨切開が実施され、そして圧力−容量コンダクタンスカテーテルが尖(apex)を通ってLV中に挿入され、血流動態データを得、これは、ARIA 1 Presure−Volume Analysisソフトウェア(Milar Instruments)で分析される。以下のパラメーターが分析される:最大LV駆出フラクション、拍動容量、dP/dT、収縮期末期容量、収縮期末期圧力、拡張期末期圧力、拡張期末期容量、および−dP/dT。測定後、動物は終わらせられ、そして血液が血清から収集され、そして心臓は、免疫組織化学のための特定照準2に記載のように凍結される。
P−188はこれら損なわれた領域を修復することにより作用するという仮説に基づき、P−188は、細胞死の前に、より多くの細胞が傷ついている心臓でより大きな効果を有し得ることが予期される。より多くの細胞が傷ついている場合、より多くのジストロフィンが膜から損失していることがまた予期される。ここで、本発明者らは、傷ついた心筋細胞の数が、研究の寿命部分で16週に亘るとき増加するか否かを決定する。
本発明者らは、P−188が、慢性用量実例で、MI後16週において、LVEDPを、そしてそれによって拡張期機能不全を改善すると予期する。これらの結果は、MI後8週モデル(急性投薬量)と比較し、P−188効き目に対するリモデリングの可能な影響を研究し始める。高用量で(例えば460mg/kg)、P−188処置はまた、LVEFを増加することにより収縮期機能を改善することが期待されるぃ。この研究の結果にかかわらず、得られた結果は、P−188の効き目、処置されるべき患者のタイプ、および期待される臨床結果に顕著な見識を提供する。これらの結果は、可能な臨床試験の設計に計り知れないほど貴重である。
(実施例8:HFの間に心筋損傷の血清マーカーが増加されるか否か、およびP−188処置がこれらマーカーのレベルを低下するかいなかをラットで決定する)
いくつかの心臓タンパク質(漏出タンパク質)の血清レベルが、急性虚血事象または検出可能な壊死の部位の証拠なくして高められることを示す文献中のいくつかの報告がある(Tschope、Cら、J.Card.Fail.、2005:補遣S28〜S33;Nunes、J.P.Rev.Port.Cardiol.、2001、20:785〜788;Zhu、T.ら、Circulation、2005、112:2650〜2659;Lowbeer、C.ら、Scand.J.Clin.Lab Invest.、2004、64:667〜676)。Zhu、T.ら、前述、には、膜一体性が、δ−SGの置換により回復され、そして次に血清中のCK−MBレベルが減少することが示唆されている。NunesJ.P.前述、には、TnIが膜の完全破壊なくして心筋細胞から放出され得ることが示唆されている。これらの文献は、代表的には、壊死損傷にともなうマーカーが漏れ得ることを示唆している。これらマーカーは、修復可能であり得る心筋細胞筋細胞膜中の裂け目を通って漏れると考えられる。従って、MI後4〜16週の血清中のこれらマーカーのレベルにおける増加は、一部は修復可能である膜裂け目の尺度であり得る。P−188がこれらの裂け目を修復することにより働く場合、そのときは、これらマーカーの血清レベルにおける減少が期待され、そしてP−188治療のための可能な臨床機構生物マーカーとして用いられ得る。
心筋損傷マーカー、心臓トロポニンI(cTnI)、心臓トロポニンT(cTnT)、クレアチンキナーゼの脳および筋肉イソ形態(CK−MBおよびCK−MおよびCK−B)、プロ脳ナトリウム排泄増加ペプチド(proBNP)、心房ナトリウム排泄増加ペプチド(ANP)、ミオシン軽鎖I(MLC−I)、および心臓脂肪酸結合タンパク質(hFABP)の血清レベルが、ジストロフィンおよび可能なレプチンとともに測定されている(Schulze、P.C.ら、Clin.Chem.Acta、2005、362:1〜11)。ラットcTnI、およびhFABP ELISAキットは、Life Diagnosticから、ラットBNPはBioCatから、ラットANFはBlossom Biotechnolから、そしてラットレプチンはいくつかの市販供給源から入手可能である。ラットCK−MB、cTnT、MLC−1およびジストロフィンのELISAの進展のための抗体ペアは市販され入手可能である。ELISAの進展は標準化されており、そしていくつかの製造業者によってキットにされている。それらは、すべて内容は類似しているが、用いられる抗体のタイプに依存して検出方法および手順が異なる。これら抗体に対する個々の抗原はまた、市販され入手可能であり、そしてこれらアッセイの感度および直線性を決定するために用いられ得る。MIラットの各々からの血清をアッセイすることの前に、最小で20のコントロールSprague−Dawleyラットからの血清が各タンパク質についてアッセイされ、ベースライン範囲を設定する。2匹の正常ラットは、屠殺の前6時間EB色素感化を受け、心臓マーカーの範囲に対しこの試薬の影響を決定する。血液が、屠殺において、実験の寿命部分で示される各ラットから遠心チューブ中に収集され、赤血球細胞は室温で15分間凝塊され、そしてテーブルトップ遠心分離器中1500RPMで遠心分離される。血清は凍結され、そして使用まで−80℃で貯蔵される。
血清は、EB色素で処理された動物を含む各動物から収集され、EB色素処理された動物からのマーカーレベルと非処置動物のマーカーレベルとの間の任意の一貫した差異を決定する。各動物の血清サンプル中に存在するマーカーの量は、標準曲線を用いて定量的に決定され、そしてmg/mlとして表される。CKについては、心臓MBの量が決定され、CK−MおよびBについても同様で、その結果、それは、CK−MB/CKtotalの比として表され得、傷ついた心筋細胞に由来するそれを正確に反映する。
前述が与えられたので、1つ以上の選択されたマーカーがMI後8〜16週持続された増加を示し、そして4週の間のP−188処理が、高められるすべてのマーカーのレベルにおいて、減少させ、正常範囲により近くすることが期待される。この結果は、P−188が心筋細胞を刺激し、その筋細胞膜を修復し、そしてこの生物マーカーが臨床試験で用いられ得る証拠を提供する。

Claims (36)

  1. 被験体における心不全を処置または予防するための方法であって、その必要のある被験体に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  2. 前記心不全が、虚血性心不全である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記心不全が、慢性心不全である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポロキサマーが、ポロキサマー188である、請求項1に記載の方法。
  5. ポロキサマー188の投与が、心臓中のジストロフィンレベルを回復する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ポロキサマーが、1〜26週の期間に亘って投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 心不全患者における心筋細胞膜の一体性を回復するための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  8. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項7に記載の方法。
  9. 心不全患者における心筋細胞の膜の機能を改善するための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  10. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項9に記載の方法。
  11. 心不全患者における拡張期心臓機能を改善するための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  12. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項11に記載の方法。
  13. 心不全患者において細胞内カルシウムレベルを低下させ、そして細胞内カルシウムレベルを正常レベルで維持するための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  14. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項17に記載の方法。
  15. 心不全患者における左心室拡張期−終期圧力を低下させ、そして左心室駆出フラクションを増加させるための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  16. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項15に記載の方法。
  17. P−188の各投薬量が、0.15〜480mg/kgの範囲である、請求項16に記載の方法。
  18. P−188の各投薬量が、460mg/kgである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ポロキサマーが、1〜15週毎に1回投与される、請求項15に記載の方法。
  20. 前記ポロキサマーが、1、2、または12週毎に1回投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項19に記載の方法。
  22. 心不全患者における左心室拡張期−終期圧力を左心室駆出フラクションを同時に増加することなく低下させるための方法であって、該患者に治療的に有効な量のポロキサマーを投与する工程を包含する、方法。
  23. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項22に記載の方法。
  24. P−188の各投薬量が、約0.15〜15mg/kgの範囲である、請求項23に記載の方法。
  25. P−188の各投薬量が、約1〜15mg/kgの範囲である、請求項24に記載の方法。
  26. P−188の各投薬量が、4.6mg/kgである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記ポロキサマーが、1〜15週毎に1回投与される、請求項22に記載の方法。
  28. 前記ポロキサマーが、1、2、または12週毎に1回投与される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ポロキサマーが、P−188である、請求項27に記載の方法。
  30. 被験体における封止剤の細胞膜封止活性を測定する方法であって、該封止剤が該被験体に投与される前の血清中の漏失タンパク質のレベルと、該封止剤が該被験体に投与された後の同じ漏失タンパク質のレベルとを測定し、そして比較する工程を包含する、方法。
  31. 前記封止剤の投与される前の前記漏失タンパク質のレベルが、同じ封止剤の投与後のレベルより高い、請求項30に記載の方法。
  32. 前記封止剤が、ポロキサマーである、請求項30に記載の方法。
  33. 前記ポロキサマーが、P−188またはP−407である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記被験体が、心不全を有する、請求項30に記載の方法。
  35. 前記漏出タンパク質が、前記被験体の心臓の心筋細胞由来である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記漏出タンパク質が、N末端プロB型利尿ペプチド、心臓トロポニンT、トロポニンI、またはクレアチンキナーゼのMBイソ型である、請求項35に記載の方法。
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