JP2009538604A - 細胞pHに関連する植物核酸およびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は概して、植物分子生物学の分野および植物の生理学的または生化学的な特性の操作において有用な作用物質に関する。より詳細には、本発明は、細胞、細胞群、オルガネラ、植物の部分、または植物の生殖部において酸性度またはアルカリ度のレベルを調整もしくは変更することができる遺伝子作用物質またはタンパク質作用物質を提供する。本発明はさらに、非遺伝子改変植物と比べて改変された細胞pHを示す細胞を有する花または花をつける部分を含む遺伝子改変植物、植物部分、子孫、その後の世代、および生殖材料も提供する。
本明細書における任意の先行技術に対する参照は、本先行技術がすべての国における共通の一般的知識の部分を形成するという承認または任意の形態の示唆ではなく、かつそのように解されるべきではない。
本明細書を通じて、文脈上別様に解釈される必要がなければ、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、明示された要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の含有を意味するが、任意のその他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の除外を意味しないと理解されよう。
pHを調整または変更する活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列が同定され、クローニングされ、評価されている。本明細書に記載の組換え遺伝子配列は、例えばデノボ発現、過剰発現、センス抑制、アンチセンス阻害、リボザイム活性、ミニザイム活性、およびDNAザイム活性、RNAi誘導もしくはメチル化誘導、またはその他の転写もしくは転写後のサイレンシング活性によって、pHを調整または変更する活性をコードする遺伝子または核酸の発現の調整を可能にする。RNAi誘導は、1つまたは2つの1本鎖ヌクレオチド突出を有する、ヘアピン、短い2本鎖DNAまたはRNA、および部分的2本鎖DNAまたはRNAなどの遺伝学的分子を含む。植物における細胞pH、特に液胞pHを制御する能力は、これによって、pH変化に反応して花弁色を操作することを可能にする。さらに、花、果実、種子、野菜、葉、茎などを含む、植物およびその生殖部分または栄養部分が、本明細書において意図されている。その他の局面には、観賞用のトランスジェニック植物または遺伝子改変植物が含まれる。また「トランスジェニック」という用語は、栄養繁殖体ならびに子孫植物ならびに初代のトランスジェニック植物由来のその後の遺伝子操作および/または交配に由来する植物も含む。
(i) 転写調節配列および/もしくは翻訳調節配列および/もしくはコード領域および/もしくは非翻訳配列(すなわち、イントロン、5'非翻訳配列、および3'非翻訳配列)からなる、古典的ゲノム遺伝子;または、
(ii) 遺伝子のコード領域(すなわち、エキソン)および5'非翻訳配列および3'非翻訳配列に対応する、mRNAもしくはcDNA。
ペチュニア(Petunia hybrida)栽培品種M1×V30花を、以下のように定義した発達段階で収穫した。
段階1:無色素の花芽(長さ10mm未満)
段階2:無色素の花芽(長さ10〜20mm)
段階3:薄く色づいた、閉じた花芽(長さ20〜27mm)
段階4:色つきの閉じた花芽(長さ27〜35mm)
段階5:完全に色づいた、閉じた花芽(長さ35〜45mm)
段階6:新生の花冠を有する完全に色づいた蕾(長さ45〜55mm)
段階7:完全に開いた花(長さ55〜60mm)
バラ(Rosa hybrida)栽培品種ローテローゼの花は、日本国京都の種苗場より入手した。
段階1:無色素の堅く閉じた蕾。
段階2:色つきの堅く閉じた蕾。
段階3:色つきの閉じた蕾;がく片が開き始める。
段階4:花芽が開き始め;花弁が強く色づき;がく片が分離している。
段階5:がく片が完全に広がり;一部は丸まる。花弁は強く色づいて広がる。
cDNA-AFLPスクリーニングで用いたペチュニア株は、R27(野生型(wt))、W225(an1、R27バックグラウンドにおけるフレームシフト変異)、R144(R27バックグラウンドにおけるPH3中のph3-V2068トランスポゾン挿入)、R147(R27バックグラウンドにおけるPH4中のph4-X2058トランスポゾン挿入)、およびR153(R27バックグラウンド内に交配されたPH5中のph5トランスポゾン挿入)であった。全ての株は遺伝的に同一のバックグラウンドを有しており、、転写産物レベルの違いをもたらし得る環境条件の違いを小さくするために、植物を温室の中で互いに隣接して成長させた。
Holton et al, Nature 366:276-279, 1993またはBrugliera et al, Plant J. 5:81-92, 1994またはVetten N et al, Genes and Development 11:1422-1434, 1997に記載されているか、当技術分野で周知の任意のその他の方法による。
Holton et al., 1993, 前記またはBrugliera et al, 1994, 前記またはde Vetten N et al., 1997, 前記に記載の標準的方法を用いて、ペチュニア花弁cDNAライブラリをR27花弁から調製した。
以前に記載されたようなペチュニア花弁の微粒子銃(de Vetten et al, 1997、前記;Quattrocchio et al, Plant J. 13: 475-488, 1998)によって、一過性発現分析を行なった。
蒸留水6mL中で2つの花冠の花弁舷部をすり潰すことによって、花弁抽出物のpHを測定した。大気CO2により抽出物のpHが変更されるのを避けるため、通常のpH電極を用いてpHを直接(1分間以内で)測定した。
HPLC解析は、de Vetten et al, Plant Cell 11(8):1433-1444, 1999に記載のものと同様であった。TLC解析は、van Houwelingen et al, Plant J. 13(1) .39-50, 1998に記載のものと同様であった。
特記しない限り、ヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列は、Geneworksプログラム(Intelligenetics, Mountain View, CA)またはMac Vector(商標)アプリケーション(バージョン6.5.3)(Oxford Molecular Ltd., Oxford, England)を用いて解析した。デフォルト設定(マトリックス=blossom;GAPOPEN=0、GAPEXT=0、GAPDIST=8、MAXDIV=40)を用いたウェブ版のClustal Wプログラム(http://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/multi-align/multi-align.html)により、多重配列アラインメントを作成した。同じウェブサイトを介してPHYLIP(ブートストラップカウント=1000)で系統樹を構築し、Treeviewerバージョン1.6.6で可視化した(http://taxonomy.zoology.gla.ac.uk/rod/rod.html)。
de Vetten et al, 1997, 前記によって記載された通り、RNA単離およびRT-PCR解析を実行した。cDNA(3')端の迅速増幅(RACE)は、Frohman et al, PNAS 85:8998-9002, 1988に記載のように行った。
転写産物プロファイル解析
an1-、ph3-、およびph4-変異体においてダウンレギュレーションされた転写産物を同定するために、cDNA-AFLPおよびマイクロアレイ解析の組み合わせを利用した。結果のまとめは表3に示されている。
ORF=オープンリーディングフレーム
TBD=未実施
CAC=cDNA-AFLPを用いて同定された転写産物
MAC=マイクロアレイを用いて同定された転写産物
NCBI-Blast検索=公知の配列に対する類似性は全て、National Center for Biotechnology Information(NCBI)ウェブサイト(2005年2月現在)上のBLAST検索(Altschul et al., Nucl. Acids Res. 25:3389-3402, 1997)を用いることによって発見した。
cDNA-AFLPの説明
MseI+NN/EcoRI+NNの256プライマーの組み合わせを用いて、全転写産物のおよそ25%を占める約20,000断片を解析した。80断片をゲルから単離し、野生型およびan1、ph2、ph3、ph4、ph5変異体を含むペチュニア変異体株から単離された総RNAのRT-PCRによって20断片のさらなる特徴決定を行った。これらの断片(表3参照)のうちの16断片は、野生型、ph2、およびph5ペチュニア株におけるその発現レベルと比べてan1、ph3、およびph4ペチュニア株においてダウンレギュレーションされていることが確認された。
cDNA-AFLPスクリーニングにおいて、ペチュニア株R27(wt)、W225(an1-)、R144(ph3-)、R147(ph4-)、およびR153(ph5-)を用いた。およそ25〜30個の花芽(花発達段階5、6)を各ペチュニア株から収穫し、-70℃で保存した。Logemann et al., Anal Biochem. 163(1):16-20, 1987に従って、10個の花冠から総RNAを抽出した。その後、PolyATract(登録商標)システム(PROMEGA)プロトコルに従い、磁気ビーズと結合させたオリゴ(dT)を用いて、500マイクログラムの総RNAからポリA+ RNAを単離した。1マイクログラムのポリA+ RNAを、次に、GIBCO-BRL Superscript IIシステムを用いる2本鎖(ds)cDNA合成のために用いた。ds cDNAの合成後、cDNAをフェノール抽出し(Sambrook et al, 2001, 前記)、cDNAを塩およびエタノールの添加によって沈殿させた。その後、DNAペレットを蒸留水30μLに再懸濁した。
cDNA-AFLP解析用の鋳型調製のために、制限エンドヌクレアーゼMseI(4塩基認識配列を消化する)およびEcoRI(6塩基認識配列を消化する)を用いた。アダプター(MseI部位用のPCRアダプターおよびEcoRI部位用のPCRアダプターをそれぞれ形成するための互いにアニールしたMse A1(SEQ ID NO:7)およびMse A2(SEQ ID NO:8)ならびにまた互いにアニールしたEcoA1(SEQ ID NO:14)およびEcoA2(SEQ ID NO:15))のMseIおよびEcoRI末端へのライゲーションと組み合わせて、両方の制限エンドヌクレアーゼでcDNAを消化した。各「制限-ライゲーション」反応は、ds cDNA 24μL、5×RL緩衝剤10μL(50mM Tris HAc pH7.5、50mM MgAc、250mM KAc、25mM DTT、250μg/μL BSA)、100mM ATP 0.1μL、MseI(New England Biolabs)5ユニット、EcoRI(New England Biolabs)5ユニット、MseIアダプター(Mse A1およびMse A2)(SEQ ID NO:7および8)50pmol、およびEcoRIアダプター(EcoA1およびEcoA2)(SEQ ID NO:14および15)50pmolを含む総容量50μLで行なった。アダプターは予め2分間煮沸し、その後、反応物への添加前に室温までゆっくりと冷ました。「制限-ライゲーション」反応物を37℃で4時間インキュベーションした。
増幅前に、cDNA鋳型を水で10倍に希釈し、その後、タッチダウンPCRプログラムにおいて1ヌクレオチド選択的伸長(EcoRI+N、MseI+N)プライマー(SEQ ID NO:10〜13およびSEQ ID NO:16〜19)(表4参照)を用いる第一の非放射性PCR増幅工程において、容量10μLを用いた。PCRサイクルには、94℃の変性工程、その後、65℃で始め、0.7℃ずつ56℃まで低下させる温度での30秒間の17サイクルにわたるアニーリング工程、その後、18サイクルの56℃で30秒間、および最後に72℃で1分間の伸長工程が含まれた。この第一のPCR由来の8マイクロリットルの産物を、1% w/vアガロースゲルを介して電気泳動し、200〜750bpの間の予想DNAスメアを検出した。その後、これらの産物0.5μLを、以前に記載されたタッチダウンPCRプログラムによる標準的PCR条件で、2ヌクレオチド伸長(EcoRI+NN、MseI+NN)プライマー(SEQ ID NO:20〜51)(表5参照)を用いる第二の「ホット」PCRにおける鋳型として用いた。プライマー50ng、10×T4キナーゼ緩衝液5μL、33P-CTP 10μL、水24μL、およびT4ポリヌクレオチドキナーゼ9ユニットを含む反応物において、第二のPCRにおけるEcoRIプライマーを33Pで放射標識した。反応物を37℃で1時間インキュベーションし、その後65℃における10分間の処理によりT4キナーゼの不活性化を行なった。
5%変性ポリアクリルアミドゲルを介して電気泳動することにより、反応産物を解析した。電気泳動後、ゲルをスラブゲル乾燥機の上で乾燥させ、その後一晩露光した。次に、Phosphorイメージャ(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA, USA)を用いて、反応産物の放射標識シグナルを検出した。
類似性E値=整列化された配列に対する相対的同一性を示すBLASTX検索によって作成されたパラメータ。E値が0に近ければ近いほど、一致はより有意である。
NSS=配列類似性無し。
マイクロアレイ解析
マイクロアレイハイブリダイゼーションのために、販売元のプロトコル(polyATtract mRNA Isolation System III, Promega)に従って、野生型(R27)およびan1-変異体(W225)の両方の発達段階5の花弁組織を用いてポリA+ RNAを単離した。マイクロアレイを調製し、Verdonk et al., Phytochemistry 62:997-1008, 2003によって記載された条件を用いてハイブリダイズさせた。
マイクロアレイ上にスポットされた1415個のESTのうち9個のESTが、an1変異体ペチュニア株(W225)において1/10未満までダウンレギュレーションされていることが分かった。これらの配列のうち5つは、以前に同定および特徴決定された遺伝子に相当した(表7参照)。野生型およびan1、ph2、ph3、ph4、ph5変異体を含むペチュニア変異体株から単離された総RNAのRT-PCRによって、4個のESTをさらに特徴決定した。これらのESTのうちの2つ(MAC F55およびMAC 9F1)は、an1ペチュニア株においてダウンレギュレーションされていることが確認された。
ペチュニアにおける発現用のRNAi構築物の構築
花表皮細胞の液胞内腔の酸性化におけるこれらの遺伝子の役割を評価するために、内在性遺伝子をサイレンシングする目的で、各遺伝子の逆反復構築物を野生型ペチュニア植物内で発現させた、または発現させる。
MAC F55クローンは、形質膜ATPase(PPM1;Petunia Plasma Membrane ATPase1)(SEQ ID NO:1)をコードし、および既に単離されているATPase遺伝子と比較的高い配列同一性を有する。しかしながら、ATPase遺伝子ファミリーの別のメンバーのアラインメントによって、PPM1は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)由来のAHA10およびタバコ由来のPMA9と一緒にクラスIII形質ATPaseの中で群を成すことが示されている(Arango et al, Planta, 216:335-365, 2003)。これらのタンパク質は全て、C末端部分においてその他の形質ATPaseから分岐しており、これは、ポンプの活性を調節する14.3.3因子との相互作用部位を表す。細胞局在化および機能は、このグループのどのメンバーについても未だ定義されておらず、PPM1が形質膜以外のその他の細胞膜に存在する可能性が残ったままである。Baxterら、PNAS, 102:2649-2654, 2005は、シロイヌナズナAHA10変異体の解析を記載している。AHA10は、プロアントシアニジンおよび液胞生合成に特異的な効果を有すると記載された。特徴決定されたaha10変異体では、その種子殻におけるプロアントシアニジンのレベルが減少しており、かつ種子殻内皮細胞は、野生型種子において観察されるような1つの中心液胞ではなく、多くの小さな液胞を示していた。
ペチュニアR27花弁cDNAライブラリをPPM1の32P標識断片でハイブリダイズした。PPM1断片は、ペチュニア花弁から単離されたRNA由来の第1鎖cDNAを鋳型として、ならびにプライマー#1702(SEQ ID NO:52)および#1703(SEQ ID NO:53)を用いるPCR増幅を用いて作製した。製造元のプロトコルに従ってcDNAの2重5'迅速増幅(5'/3'-RACEキット第2世代, Roche, USA)を用いて、全長PPM1配列を得た。1回目の5'-RACEにはプライマー#1703(SEQ ID NO:53)、#1742(SEQ ID NO:55)、および#1832(SEQ ID NO:61)を用い、2回目の5'-RACEにはプライマー#1789(SEQ ID NO:58)、#1812(SEQ ID NO:59)、および#1831(SEQ ID NO:60)を用いた。
クローンMAC 9F1のヌクレオチドおよび派生アミノ酸配列(それぞれSEQ ID NO:3および4)はそれぞれ、いずれの同定された核酸配列または公知の機能のタンパク質に対しても明確な相同性を示さない。しかしながら、9F1の逆反復がペチュニア野生型植物中で発現した場合には、9F1内在性遺伝子のサイレンシングにより、花抽出物pHの上昇した青色花が得られた。
表10に記載されたプライマーおよび上述のGateway系を用いて、9F1の逆反復構築物pK7GWIWG2(I) MAC9F1(図3)を調製した。
クローンCAC16.5のヌクレオチド配列および派生アミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:5および6に示す。予測アミノ酸配列はシステインプロテアーゼに対して比較的高い相同性を示している。これらの酵素の局在は典型的には液胞であり、その活性は、比較的低い環境pHに依存している。
表11に記載のプライマーおよび上述のGateway系を用いて、CAC16.5の逆反復構築物pK7GWIWG2(I) CAC16.5(図4)を調製した。
バラからのPPM cDNA相同体の単離
発達段階1〜3のバラ蕾由来の花弁から単離された総RNAおよびλZAP cDNA合成キット(Stratagene)を、上述の手順および製造元によって推奨されている手順に従って利用して、バラ(栽培品種「ローテローゼ」)花弁cDNAライブラリを構築した。バラPPM1 cDNAクローンの単離用に、3×105 pfuのライブラリをこのように構築した。
ペチュニアPPM1プローブの標識に用いたPCR条件は以下の通りであった:
94℃1分×1サイクル;
94℃30秒、55℃30秒、72℃1分×25サイクル;
72℃7分×1サイクル。
バラPPM1のダウンレギュレーションのための植物形質転換ベクターの構築
バラ花弁におけるバラPPM1のダウンレギュレーションまたは遺伝子ノックアウトを目指した植物形質転換ベクターの構築の基礎として、バラPPM cDNAを用いた。したがって、バラPPM1のノックアウトは花弁液胞のpH上昇および花色の変化をもたらすと考えられた。遺伝子ノックアウトを得るために、バラPPM1用のdsRNAの産生を目指した戦略を用いた。したがって、cDNA(SEQ ID NO:98)の5'配列の600bpを用いてヘアピン構造を作製し、バイナリーベクターpBinPLUS中のCaMV 35S:大量発現カセットに組み込んだ。この構築物をpSFL631と名付けた(図8)。後述の方法に従い、バラ組織の形質転換に先だってこれをアグロバクテリウム・ツメファシエンスに導入した。花弁組織に対するバラPPM1ノックアウトカセットの発現の確認を目指したさらなる構築物が現在進行中である。そのような戦略の一例は、バラCHSプロモーター(国際特許出願PCT/AU03/01111)の使用を含むと考えられる。アントシアニン生合成経路のその他の遺伝子は、必要に応じて遺伝子カセットの発現を花弁に限定するためのプロモーターの有用な供給源であると考えられる。標的遺伝子をダウンレギュレーションまたはサイレンシングするためにRNAiなどの技術を用いて通常構成されるpH調整配列の発現である、(i)遺伝子ノックアウトまたはサイレンシングの特異性および(ii)遺伝子発現の特異性を変更するために、さらなる構築物に含まれる配列の操作を用いる。そのようなpH調整配列は、バラ由来のPPM1、MAC9F1、およびCAC16.5相同体を含むと考えられる。
代替的な植物形質転換ベクターは、バラPPM-1配列の3'末端における配列(SEQ ID NO:98)を用いてヘアピン構造を作製することにより産生される。これは、植物または花の発達に不可欠であり得るその他の原形質ATPaseをダウンレギュレーションすることなく、バラPPM-1配列に対してより特異的である。そのような戦略の一例には、cDNAクローンの3'末端を包含する、pRosePPM1(図23)由来のPstI/EcoRI断片約240bpの単離が含まれる。次にこの断片を、CaMV 35S遺伝子由来のプロモーター領域とアグロバクテリウム・ツメファシエンスのマンノピンシンターゼ(mas)遺伝子のプロモーター断片由来のエンハンサーエレメントとからなるハイブリッドプロモーターおよびA. ツメファシエンスのオクトピンシンターゼ遺伝子由来のターミネーター断片約1.6kbを含む、pKIWI101のPstI/EcoRI断片約5.9kbにライゲーションする(Janssen and Gardner, Plant Molecular Biology, 14: 61-72, 1989; 国際特許出願PCT/AU03/01111)。断片の正しい挿入は、アンピシリン耐性形質転換体から単離したプラスミドDNAの制限エンドヌクレアーゼ解析によって確立する。得られたプラスミドを次に、EcoRIで直線化し、突出末端を修復する。バラPPM1断片のPstI/EcoRI末端(上記)約240bpも修復し、得られた断片を、直線化プラスミドの平滑末端とライゲーションする。アンチセンス方向への断片の正しい挿入は、アンピシリン耐性形質転換体から単離したプラスミドDNAの制限エンドヌクレアーゼ解析および配列決定によって確立する。35S:センス3'バラPPM1/アンチセンス3'バラPPM1:ocsキメラ遺伝子を含む約2.4kb断片を、次に、XhoI/XbaIによる消化により遊離させ、突出末端を修復する。得られた2.4kb断片を単離して、バイナリーベクターpCGP1969(国際特許出願PCT/AU03/01111)またはF3'5'H遺伝子を含むその他のバイナリーベクター(国際特許出願PCT/AU03/01111、国際特許出願PCT/JP2004/011958)のSmaI末端とライゲーションする。アグロバクテリウム媒介性形質転換(国際特許出願PCT/AU03/01111;国際特許出願PCT/JP2004/011958)または当技術分野で公知のその他の方法を介して、バイナリーベクタープラスミド中に含まれるT-DNAを、これらに限定されるわけではないがKardinal、Soft Promise、Sonia、Medeo、Lavandeなどのバラ栽培品種に導入する。
カーネーションからのPPMcDNA相同体の単離
カーネーションPPM1 cDNAのスクリーニングは、バラとペチュニアプローブまたは個々のプローブのいずれかとの組合せを利用することができた。まず、バラPPM1プローブを用いてカーネーションcDNAライブラリをスクリーニングした。
20マイクログラムの総RNAを段階1、2、および3のKortina Chanel(KC)花から単離し、1×Superscript(商標)反応緩衝液、10mMジチオスレイトール(DTT)、500μM dATP、500μM dGTP、500μM dTTP、500μM 5-メチル-dCTP、ZAP-cDNA Gigapack III Goldクローニングキット(Stratagene)由来のプライマー-リンカーオリゴ2.8μg、およびSuperscript(商標)逆転写酵素(BRL)2μlを含む50μl容量中で逆転写した。反応混合液を37℃で60分間インキュベーションし、その後氷上に置いた。ZAP-cDNA Gigapack III Goldクローニングキット(Stratagene)を用いて、ライブラリー構築を完了した。組み換え体の総数は2.4×106であった。
カーネーションPPM1のダウンレギュレーションのための植物形質転換ベクターの構築
カーネーション花弁におけるカーネーションPPM1のダウンレギュレーションまたは遺伝子ノックアウトを目指した植物形質転換ベクターの構築の基礎として、カーネーションPPM cDNAを用いる。したがって、カーネーションPPM1のノックアウトは花弁液胞のpHの上昇および花色の変化をもたらすと考えられる。遺伝子ノックアウトを達成するために、カーネーションPPM1用のdsRNAの産生を目指した戦略を用いる。したがって、カーネーションPPM1配列に特異的な領域由来のcDNAの配列を用いてヘアピン構造を人工的に作製し、ならびに(i)構成的、および(ii)花弁特異的遺伝子発現カセットの両方に組み入れる。前者においてはCaMV 35S発現カセット(CaMV 35Sプロモーターおよびターミネーターエレメント)ならびに後者においてはカーネーション由来の花弁特異的プロモーター。カーネーションANS遺伝子由来のプロモーターは、使用される花弁特異的発現用のプロモーターの一例である。アントシアニン経路遺伝子は、花弁特異的遺伝子発現を制御するためのプロモーターの有用な供給源を提供する。しかしながら、そのような発現はこれらのプロモーターの使用に限られない。
BamHIを用いてイントロンをpCGP1275(図9)にクローニングし、pCGP1275iを作製する。その後、XbaI/BamHIを用いてセンスカーネーションPPM1(carnPPM1)をpCGP1275iにクローニングし、pCGP1275i-s-carnPPM1を作製する。その後、PstI/XbaIを用いてアンチセンスPPM1をpCGP1275i-s-carnPPM1にクローニングし、pCGP3210(図10)を作製する。
carnPPM1/ANSカセットをpCGP3210からXhoI(平滑)で切り出してバイナリー形質転換ベクターpWTT2132(図11)にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3211(図12)を作製する。
carnPPM1/ANSカセットを再びpCGP3210からXhoI(平滑)で切り出し、およびpBinPLUS KpnI(平滑)にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3215(図13)を作製する。
carnPPM1/ANSカセットを再びpCGP3210から切り出してpCGP2355(図14)にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3217(図15)を作製する。
BamHIを用いてカーネーションANSイントロンをpCGP2756(図16)にクローニングし、pCGP2756iを作製する。EcoRI/BamHIを用いてcarnPPM1をpCGP2756iにクローニングし、pCGP2756i-s-carnPPM1を作製する。SacI/XbaIを用いてアンチセンスPPM1をpCGP2756i-s-carnPPM1にクローニングし、pCGP3212(図17)を作製する。
その後、carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からPstIで切り出してpWTT2132にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3213(図18)を作製する。
その後、carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からHindIIIで切り出してpWTT2132にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3214(図19)を作製する。
carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からHindIIIで切り出してpCGP2355にライゲーションし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3216(図20)を作製する。
その他の種からのpHを調整するcDNAの単離
これらに限定されるわけではないが、アルストロメリア種、アンスリウム種、ドラセナ種、エリカ種、イチジク種、フリージア種、フクシア種、グラジオラス種、ペチュニア種、ルリマツリ種、ブドウ種、ホザキアヤメ(Babiana stricta)、マツ(Pinus)種、トウヒ(Picea)種、カラマツ(Larix)種、インゲンマメ(Phaseolus)種、ナス(Solanum)種、スノキ(Vaccinium)種、シクラメン種、アイリス種、ペラルゴニウム種、ゼラニウム種、エンドウ(Pisum)種、レンリソウ(Lathyrus)種、クリトリア(Clitoria)種、ニチニチソウ種、マルビア(Malvia)種、ムクナ(Mucuna)種、ソラマメ(Vicia)種、セントポーリア種、サルスベリ(Lagerstroemia)種、シコンノボタン(Tibouchina)種、ヒポカリプツス(Hypocalyptus)種、ツツジ(Rhododendron)種、リナム(Linum)種、ナンバンアカアズキ(Macroptilium)種、ハイビスカス(Hibiscus)種、ヒマワリ種、ヒヤシンス種、オトギリソウ種、アジサイ(Hydrangea)種、インパチェンス種、アイリス種、カメラウキウム種、カランコエ種、トルコギキョウ種、ロベリア種、スイセン種、イポメア(Ipomoea)種、ニコチアナ種、シンビジウム種、ナツフジ(Millettia)種、ヘディサルム(Hedysarum)種、ハギ(Lespedeza)種、アンチゴノン(Antigonon)種、エンドウ種、ベゴニア種、ヤグルマギク(Centaurea)種、ツユクサ(Commelina)種、バラ種、ナデシコ種(カーネーション)、キク種(キク)、輪ギク種、ガーベラ種、リンドウ(Gentiana)種、トレニア種、ニーレンベルギア種、リアトリス種、ユリ、カスミソウ種、トレニア種、ラン、デンドロビウム種、ファレノプシス種、アイリス種、オーニソガラム種、オステオスペルマム種、ボタン種、ペラルゴニウム種、ルリマツリ種、サクラソウ種、ルスカス種、セントポーリア種、アキノキリンソウ種、スパティフィラム種、チューリップ種、バーベナ種、ビオラ種、およびカラー種などの多様な種において、多数の色のアントシアニンが産生されている。
PPM1(SEQ ID NO:2または98)、MAC9F1(SEQ ID NO:4)、およびCAC16.5(SEQ ID NO:6)、またはそのように同定されたその他の配列などのpHを調整するポリペプチドの存在は、これらのタンパク質をコードする遺伝子の出現と相関した。その他の種由来のそのような遺伝子は、低ストリンジェントな条件下においてPPM1(SEQ ID NO:1)、MAC9F1(SEQ ID NO:3)、およびCAC16.5(SEQ ID NO:5)などのペチュニア配列またはバラPPM1(SEQ ID NO:98)とハイブリダイズすることが予想される。この一例として、多数の花の種からDNAを単離し、分画したDNAを膜に転写し、(i)32P標識バラPPM1(SEQ ID NO:98)、図5、または(ii)32P標識ペチュニアMAC9F1(SEQ ID NO:3)およびペチュニアCAC16.5(SEQ ID NO:5)、それぞれ図6および7とハイブリダイズさせるサザン解析に供した。このように、pHを調整するタンパク質をコードすると同定された遺伝子由来のペチュニアまたはバラプローブを用いて、花の種からpHを調整する遺伝子を単離することが可能である。
驚くべきことにその他の代謝経路には明確な影響を全く与えることなく花弁液胞のpHを調整する配列(SEQ ID NO:1〜6および98および99)の単離により、様々な分子生物学的方法および/またはタンパク質化学的方法によるその他の種からの類似配列の単離が可能になる。これらの方法には、花弁組織から単離されたRNA由来のcDNAライブラリの調製、標識されたペチュニアまたはバラの配列(SEQ ID NO:1、3、5、および98)をプローブとして用いた低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いる花弁cDNAライブラリのスクリーニング、ハイブリダイズする精製cDNAクローンの配列決定、ならびにこれらの配列および推定アミノ酸配列とペチュニア配列(SEQ ID NO:1〜6)またはバラPPM1配列(SEQ ID NO:98および99)との比較、ならびに任意の配列同一性および類似性の探索、単離されたcDNAクローンの発現プロファイルの決定および花弁において優先的に発現しているクローンの選択、例えばアンチセンス発現、共抑制、またはRNAi発現を用いて植物における特定の配列のサイレンシングを可能にする遺伝子構築物の調製が、非限定的に含まれる。理想的には、関心対象の植物はデルフィニジン(またはその誘導体)を産生する。一態様においてこれは、国際特許出願PCT/AU92/00334および/またはPCT/AU96/00296および/またはPCT/JP04/11958および/またはPCT/AU03/01111に記載のフラボノイド3',5'ヒドロキシラーゼ(F3'5'H)配列を発現させることによって達成される。
TurpenおよびGriffith(BioTechniques 4:11-15, 1986)の方法を用いて、花の花弁組織から総RNAを単離する。oligotex-dT(商標)(Qiagen)を用いて、または3サイクルのオリゴ-dTセルロースクロマトグラフィーによって、ポリ(A)+ RNAを総RNAより選択する(Aviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408, 1972)。
ヘルパーファージR408(Stratagene, USA)を用いて、製造元によって記載されている方法を用いて、増幅されたλZAPIIまたはλZAP cDNAライブラリ由来のcDNA挿入物を含むpBluescriptファージミドを切り出す。
ハイブリダイゼーションの前に、複製プラークリフトを予洗液(50mM Tris-HCl pH 7.5、1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)サルコシン)中で、65℃で30分間洗浄し;次いで0.4M水酸化ナトリウム中で、65℃で30分間洗浄し;その後、0.2M Tris-HCl pH 8.0、0.1×SSC、0.1%(w/v)SDSの溶液中で、65℃で30分間洗浄し、最後に2×SSC、1.0%(w/v)SDS中で濯いだ。
pHを調整する配列の使用
デルフィニジンに基づく色素を通常は産生せず、また、ジヒドロフラボノール、特にジヒドロケンフェロールおよび/またはジヒドロケルセチンを水酸化できるフラボノイド3' 5'ヒドロキシラーゼも含まない種または種の栽培品種における花弁液胞pHを調整する(上昇または低下させる)ために、(これらに限定されるわけではないが、国際特許出願PCT/AU92/00334および/またはPCT/AU03/0111に記載のF3'5'H遺伝子などの)F3'5'H遺伝子およびpHを調整または変更する配列の組み合わせを含む構築物を、デルフィニジンに基づく色素を通常は産生しない種に導入した。そのような植物は、バラ、カーネーション、キク、ガーベラ、ラン、ユリ、カスミソウ、トウダイグサ、ベゴニア、およびリンゴを含んでもよいが、これらに限定されない。
PPM1、MAC9F1、およびCAC16.5、ならびにカーネーション、バラ、ガーベラ、キク、およびその他の商品価値のある花種におけるそれらの相同体などのpHを調整する遺伝子をダウンレギュレーションまたはサイレンシングするために、上記戦略を用いる。典型的には、そのような戦略は、標的種からの相同体の単離を必然的に含む。しかしながら、適当な配列の保存を考えると、RNAiなどの遺伝子サイレンシング技術は種を超えて適用することができるので、戦略はこのアプローチに限られない。そのような戦略が種を超えて有効かどうかは、標的種からの相同体の単離および特徴決定によって判定される。そのような特徴決定は、PPM1、MAC9F1、およびCAC16.5などのpHを調整する遺伝子のヌクレオチド配列およびその後の推定アミノ酸配列の決定を含む。したがって、バラPPM1配列を用いて、カーネーション、ガーベラ、またはキクなどの別の種での使用のために効果的な、pHを調整する遺伝子をサイレンシングする構築物を設計する。
バラ形質転換
米国特許出願第542,841号(PCT/US91/04412)またはRobinson and Firoozabady, Scientia Horticulturae, 55:83-99, 1993、またはRout et al., Scientia Horticulturae, 81:201-238, 1999、またはMarchant et al., Molecular Breeding 4:187-194, 1998、またはLi et al, Plant Physiol Biochem., 40:453-459, 2002、またはKim et al, Plant Cell Tissue and Organ Culture, 78:107-111, 2004に記載された方法を用いて、あるいは当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、pHを調整する配列のバラへの導入を達成する。
国際特許出願PCT/US92/02612号、または国際特許出願PCT/AU96/00296号、Lu et al., Bio/Technology 9:864-868, 1991、Robinson and Firoozabady, 1993, 前記に記載された方法を用いて、あるいは当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、pHを調整する配列のカーネーションへの導入を達成する。
da Silva, Biotechnology Advances, 21:715-766, 2003、またはAswash et al, Plant Science 166:847-854, 2004、またはAida et al, Breeding Sci. 54:51-58, 2004に記載された方法を用いて、あるいは当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、pHを調整する配列のキクへの導入を達成する。
Elomma and Teeri(YPS Bajaj, ed, Biotechnology in Agriculture and Forestry, Transgenic Crops III,. Springer-Verlag, Berlin, 48:139-154, 2001において)に記載された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、pHを調整する配列のガーベラへの導入を達成する。
Deroles et al(Geneve RL, Preece JE & Markle SA(eds)Biotechnology of Ornamental Plants CAB International, Wallingford 87-119, 1997において)またはTanaka et al(Chopra VL, Malik VS & Bhat SR(eds)Applied Plant Biotechnology. Oxford & IBH, New Delhi:177-231, 1999において)またはTanaka et al, Plant Cell, Tissue and Organ Culture 80:1-24, 2005)に記載または概説された方法を用いて、あるいは当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、pHを調整する配列の観賞植物への導入を達成する。
Claims (46)
- バラより入手可能なpHを変更する活性を有するポリペプチドをコードする配列をコードするか該配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子であって、該核酸分子の発現により細胞内側のpHが変更される、単離された核酸分子。
- 細胞の液胞内のpHを変更する、請求項1記載の単離された核酸分子。
- ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:98に記載されているか、または最適化アラインメント後にそれに対して少なくとも約50%の同一性を有するかもしくは低ストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列である、請求項1または2記載の単離された核酸分子。
- SEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含む、請求項3記載の単離された核酸分子。
- SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列または最適化アラインメント後にそれに対して少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項1、2、3、または4記載の単離された核酸分子。
- SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列をコードする、請求項5記載の単離された核酸分子。
- ヌクレオチド配列が、バラ、ガーベラ、またはカーネーションに由来する、請求項1〜6のいずれか一項記載の単離された核酸分子。
- アントシアニン経路の酵素をコードする遺伝子と融合するかまたはさもなくば該遺伝子と関連する、請求項1〜7のいずれか一項記載の単離された核酸分子。
- 発現の際に請求項1〜7のいずれか一項記載の核酸分子に対してアンチセンスであるmRNA転写産物を産生するようにプロモーターに機能的に連結された核酸分子を含む、遺伝子構築物。
- 発現の際に請求項1〜7のいずれか一項記載の核酸分子に対してセンスであるmRNA転写産物を産生するようにプロモーターに機能的に連結された核酸分子を含む、遺伝子構築物。
- 請求項9または10記載の遺伝子構築物を植物細胞または該植物細胞の親もしくは類縁体に導入する工程、および遺伝子構築物中の核酸分子の発現を可能にするための条件下で、該植物細胞を培養するかまたは該細胞もしくは該細胞の親もしくは類縁体を含む植物を培養する工程を含む、植物細胞の液胞内のpHを調整するための方法。
- 植物または植物細胞が、バラ(Rosa)種、ナデシコ(Dianthus)種、キク(Chrysanthemum)種、シクラメン(Cyclamen)種、アイリス(Iris)種、ペラルゴニウム(Pelargonium)種、ミヤコグサ(Liparieae)、ゼラニウム(Geranium)種、セントポーリア(Saintpaulia)種、ルリマツリ(Plumbago)種、およびガーベラからなる一覧より選択される植物であるかまたはそれに由来する、請求項11記載の方法。
- 植物または植物細胞がバラ種であるかまたはバラ種に由来する、請求項12記載の方法。
- 植物または植物細胞がガーベラまたはカーネーションに由来する、請求項12記載の方法。
- pHを調整または変更するタンパク質を合成することができるトランスジェニック顕花植物を産生するための方法であって、該pHを調整または変更するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むバラより入手可能な核酸配列の最終的な発現を可能にする条件下で、該核酸配列を用いて適切な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、ならびに該核酸配列の発現を可能にするのに十分な時間および条件下でトランスジェニック植物を成長させる工程を含む、方法。
- 核酸配列が、SEQ ID NO:98に記載されているか、またはそれに対して少なくとも約50%の同一性を有するかもしくは低ストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列である、請求項15記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含む、請求項16記載の方法。
- 核酸配列が、SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列、それに対して少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:99の切断型をコードする、請求項15、16、または17記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列をコードする、請求項18記載の方法。
- 植物または植物細胞が、バラ種、ナデシコ種、キク種、シクラメン種、アイリス種、ペラルゴニウム種、ミヤコグサ、ゼラニウム種、セントポーリア種、ルリマツリ種、およびガーベラからなる一覧より選択される、請求項15〜19のいずれか一項記載の方法。
- 植物または植物細胞がバラ種である、請求項20記載の方法。
- 固有のまたは既存のpHを調整または変更する活性が低下したトランスジェニック植物を産生するための方法であって、pHを調整する活性を有するポリペプチドをコードする配列をコードするかまたは該配列に相補的なヌクレオチド配列を含むバラより入手可能な核酸分子を用いて適切な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および必要な場合、核酸の発現を可能にするのに十分な条件下でトランスジェニック植物を成長させる工程を含む、方法。
- 固有のpHを変更するタンパク質の活性が低下した遺伝子改変植物を産生するための方法であって、植物細胞への核酸分子の導入により固有のpHを変更するタンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させることによってpHを変更する工程、および細胞から遺伝子改変植物を再生させる工程を含む、方法。
- 細胞に導入された核酸分子が、SEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含むか、またはそれに対して少なくとも約50%の同一性を有するかもしくは低ストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項22または23記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含む、請求項24記載の方法。
- 核酸配列が、SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列、それに対して少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:99の切断型をコードする、請求項22、23、24、または25記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列をコードする、請求項26記載の方法。
- 核酸分子が、pHを変更するポリペプチドをコードするバラ遺伝子に特異的なアンチセンス、センス、またはRNAi構築物である、請求項23記載の方法。
- 植物または植物細胞が、バラ種、ナデシコ種、キク種、シクラメン種、アイリス種、ペラルゴニウム種、ミヤコグサ、ゼラニウム種、セントポーリア種、ルリマツリ種、およびガーベラであるかまたはこれらからなる一覧より選択される、請求項22または23記載の方法。
- 植物または植物細胞がバラ種である、請求項29記載の方法。
- pHを変更するタンパク質を産生することができるトランスジェニック植物を産生するための方法であって、pHをコードする配列をコードするかまたは該配列に相補的なヌクレオチド配列を含むバラより入手可能な単離された核酸分子を用いて適切な植物の細胞を安定に形質転換する工程、および細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程を含む、方法。
- 核酸分子が、SEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含むか、またはそれに対して少なくとも約50%の同一性を有するかもしくは低ストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項31記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含む、請求項32記載の方法。
- 核酸分子が、SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列、それに対して少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:99の切断型をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項31、32、または33記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列をコードする、請求項34記載の方法。
- 核酸分子がバラ由来である、請求項31記載の方法。
- 植物または植物細胞が、バラ種、ナデシコ種、キク種、シクラメン種、アイリス種、ペラルゴニウム種、ミヤコグサ、ゼラニウム種、セントポーリア種、ルリマツリ種、およびガーベラからなる一覧より選択される、請求項31記載の方法。
- 植物または植物細胞がバラ種である、請求項37記載の方法。
- 植物または植物部分の1つまたは複数の細胞の液胞内のpHが変更されている、遺伝子改変植物またはその子孫の単離された細胞、植物、または部分。
- 花、果実、野菜、堅果、根、茎、葉、および種子からなる一覧より選択される、請求項39記載の植物部分。
- 同じ種の非製造植物におけるpHと比べて変更されたpHを有する植物の製造における、pHを変更するポリペプチドをコードするバラより入手可能な核酸分子の使用。
- 核酸分子が、SEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含むか、またはそれに対して少なくとも約50%の同一性を有するかもしくは低ストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項41記載の使用。
- 核酸配列がSEQ ID NO:98記載のヌクレオチド配列を含む、請求項42記載の方法。
- 核酸分子が、SEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列、それに対して少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:99の切断型をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項41、42、または43記載の方法。
- 核酸配列がSEQ ID NO:99記載のアミノ酸配列をコードする、請求項44記載の方法。
- 植物がバラである、請求項41記載の使用。
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