JP2008534021A - 液胞のpHと関連する植物遺伝子配列およびその使用 - Google Patents

液胞のpHと関連する植物遺伝子配列およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は概して、植物分子生物学の分野および植物生理学的または生化学的特性の操作において有用な作用物質に関する。より特に、本発明は、細胞、細胞の集団、オルガネラ、植物の部分、または植物の生殖部における酸性またはアルカリ性のレベルを調整もしくは変更することができる遺伝子またはタンパク質作用物質を提供する。さらにより特に、本発明は、細胞、細胞の集団、オルガネラ、植物の部分、または植物の生殖部の液胞におけるpHレベルを調整または変更するための方法および作用物質を企図する。本発明はさらに、非遺伝子改変植物と比べて変更された液胞pHを示す細胞を有する花または花を付ける部分を含む遺伝子改変植物、植物部分、子孫、その後の世代、および生殖材料を提供する。本発明はなおさらに、植物における花色を調整または変更するための方法を提供する。さらにより特に、本発明は、植物における;とりわけ花におけるより青い色を結果的にもたらす植物におけるpHの下方調節を提供する。

Description

発明の分野
本発明は一般に、植物分子生物学の分野および植物生理学的または生化学的特性の操作において有用な作用物質に関する。より特に、本発明は、細胞、細胞の集団、オルガネラ、植物の部分、または植物の生殖部分における酸性またはアルカリ性のレベルを調整または変更することができる遺伝子またはタンパク質作用物質を提供する。さらにより特に、本発明は、植物の細胞、細胞の集団、オルガネラ、部分、または生殖部分におけるpHレベルを調整または変更するための方法および作用物質を企図する。本発明はさらに、非遺伝子改変植物と比べて変更された液胞pHを示す細胞を有する花または花を付ける部分を含む遺伝子改変植物、植物部分、子孫、その後の世代、および生殖材料を提供する。本発明はまたさらに、植物における花色を調整または変更するための方法を提供する。さらにより特に、本発明は、植物における;とりわけ花におけるより青い色を結果的にもたらす植物におけるpHの下方調節を提供する。
発明の背景
本明細書における任意の先行技術に対する参照は、本先行技術が任意の国における共通の一般的知識の部分を形成するという承認または任意の形態の示唆ではなく、および本先行技術が任意の国における共通の一般的知識の部分を形成するという承認または任意の形態の示唆と解されるべきではない。
本明細書において提供される参照の書誌詳細は、本明細書の最後に掲載されている。
切花産業、観賞植物産業、および農作植物産業は、新規の花色、より良い味/香りの果実(例えば、ブドウ、リンゴ、レモン、オレンジ)および液果(例えば、イチゴ、ブルーベリー)、改良された収穫高、より長い寿命、栄養価がより高いこと、商標タグとして使用するための新規の色の種子などのような特色を有する、新しくかつ異なる品種の植物を開発しようと懸命に努めている。
さらに、植物部分を利用する植物副産物産業は、外観、出来映え、味、匂い、および質感などの変更された特徴をそれらの産物(例えば、ジュース、ワイン)に与える潜在的可能性を有する新規の産物を高く評価する。
切花産業および観賞植物産業において、そのような新規の品種を創り出す効果的な方法は、花色の操作による。古典的な育種技術を用いて、今日入手可能なほとんど全ての商業品種の花および/または植物の広範囲の色を産生するのに成功している例がある。しかしながら、このアプローチは特定の種の遺伝子プールという制約によって限定され、およびこの理由のために単一の種が全ての範囲の色の品種を有することは稀である。例えば、植物または花、枝葉、および茎などの植物部分の新規の色の品種の開発は、切花市場および観賞市場の両方に相当な機会を提示すると考えられる。バラ、キク、チューリップ、ユリ、カーネーション、ガーベラ、ラン、ベゴニア、ゼラニウム、ペチュニア、ペラルゴニウム、アイリス、ホウセンカ、およびシクラメンなどの主要な花が咲く種の新規の色の種の開発は、非常に興味深いと考えられる。より具体的な例は、切花市場用の青いバラの開発であると考えられる。
今まで、切花における「本当に」青い色調の創出は極めて難しいということが分かっている。「青い」範囲の色を創り出すことにおける成功によって、一連の紫色のカーネーション花が提供されている(FlorigenePty社, Melbourne, Australiaについてはウェブサイト参照)(国際特許出願PCT/AU96/00296(特許文献1))。これらは現在世界中の数か国で上市されている。しかしながら、カーネーションならびにバラ、ガーベラ、およびキクなどのその他の切花種におけるより青い色に加えて、その他の種における変更された花色を作り出す必要性がある。その他の植物が、細胞のある種の生理的特徴のために花色の遺伝子操作がし辛いことは明白である。1つのそのような生理的特徴は液胞のpHである。
全ての生物において、細胞質のpHはほぼ中性であるが、液胞およびリソソームでは酸性の環境が維持されている。液胞膜を隔てたH+勾配は、様々なアンチポーターおよびシンポーターが液胞膜を隔てた化合物を輸送することを可能にする原動力である。液胞内腔の酸性化は活動的な過程である。生理学の仕事によって、2つのプロトンポンプ、液胞H+ポンプATPアーゼ(vATPアーゼ)および液胞ピロホスファターゼ(V-PPアーゼ)が液胞の酸性化に関与することが示された。
液胞は多くの異なる機能を有し、および異なる種類の液胞がこれらの異なる機能を発揮し得る。
異なる液胞の存在はまた、液胞発生および液胞の内容物の制御に関する補完的な疑問を開いている。この疑問に対する答えを見出すことに向けられた検討は、細胞の単離および脱液胞化(プロトプラスト単離および培養)が、液胞の環境および内容物の性質の変化を結果的にもたらすストレスを誘導するという事実によって複雑化されている。
液胞生成の過程および/または内部の液胞環境の制御が影響を受けている突然変異体は、もとの組織のインタクトな細胞におけるこれらの現象の検討を可能にするために非常に価値がある。この種類の突然変異体は文献に十分に記載されていない。これにより、この領域の研究が妨げられている。
花色は主に3種類の色素:フラボノイド、カロテノイド、およびバタライン(batalain)による。3つのうち、フラボノイドが最も一般的であり、および黄から赤から青までの広範囲の色に寄与する。フラボノイド色素は、フェニルプロパノイド経路の2次代謝物である。フラボノイド色素の生合成経路(フラボノイド経路)は十分に証明されている(Holton and Cornish, Plant Cell 7:1071-1083, 1995(非特許文献1);Mol et al, Trends Plant Sci. 3:212-217, 1998(非特許文献2);Winkel-Shirley, Plant Physiol. 126:485-493, 2001a(非特許文献3);Winkel-Shirley, Plant Physiol. 127:1399-1404, 2001b(非特許文献4), Tanaka et al, Plant Cell, Tissue and Organ Culture 80(1):1-24(非特許文献5), Koes et al. Trends in Plant Science, 2005年5月(非特許文献6))。
花色および果実色に主に寄与するフラボノイド分子は、アントシアニジンのグリコシル化誘導体である、アントシアニンである。アントシアニンは通常、花弁もしくは果実の表皮細胞の液胞または葉の表皮下細胞の液胞に局在する。アントシアニンは、グリコシル基、アシル基、およびメチル基の付加によって、さらに改変することができる。最終的な目に見える花または果実の色は通常、アントシアニン蓄積の種類、アントシアニン分子に対する改変、フラボノールおよびフラボンなどのその他のフラボノイドとの共色素沈着、金属イオンとの複合体化、ならびに液胞のpHを含む多数の要因の組み合わせである。
液胞のpHは、アントシアニン安定性および色の要因である。中性からアルカリ性のpHは通常、より青いアントシアニン色を生み出すが、これらの分子はこのpHでより不安定である。
液胞は、植物細胞容量の大部分を占め、および細胞ホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている。成熟細胞において、これらのオルガネラは、全細胞容量の90%に達することができ、多様な分子(イオン、有機酸、糖、酵素、貯蔵タンパク質、および異なる種類の2次代謝物)を貯蔵することができ、ならびにプロトンおよびその他の代謝上重要なイオンの貯留層として役立つ。液胞の膜上の異なる輸送体は、この区画における溶質の蓄積を調節し、および細胞の膨圧を生み出す水の蓄積を推進する。これらの構造的に単純なオルガネラは、植物の生活において広範囲の必要不可欠な役割を果たし、およびこのことはそれらの内部環境がしっかりと調節されることを必要とする。
所望の花色を作り出すために植物細胞およびオルガネラにおける液胞のpHを操作することができる必要がある。
国際特許出願PCT/AU96/00296 Holton and Cornish, Plant Cell 7:1071-1083, 1995 Mol et al, Trends Plant Sci. 3:212-217, 1998 Winkel-Shirley, Plant Physiol. 126:485-493, 2001a Winkel-Shirley, Plant Physiol. 127:1399-1404, 2001b Tanaka et al, Plant Cell, Tissue and Organ Culture 80(1):1-24 Koes et al. Trends in Plant Science, 2005年5月
発明の概要
本明細書を通じて、文脈上別様に解釈される必要がなければ、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、明示された要素もしくは整数または要素もしくは整数の集団の含有を意味するが、任意のその他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の集団の除外を意味しないと理解されると考えられる。
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、配列識別子番号(配列番号)により参照される。配列番号は、配列識別子<400>1(SEQ ID NO:1)、<400>2(SEQ ID NO:2)などに数値的に対応している。配列識別子のまとめは表1に提供されている。配列一覧は特許請求の範囲の後に提供されている。
本発明は、pHを調整または変更する活性を有するポリペプチドをコードする新規の核酸分子、ならびに遺伝子作用物質もしくは構築物を作製するための本核酸分子および/もしくは対応するポリペプチド、または植物の細胞、細胞の集団、オルガネラ、部分、もしくは生殖における液胞のpHを操作するその他の分子の使用を提供する。pH経路の操作、および任意で、アントシアニン経路の操作を併せたpH経路の操作は、とりわけカーネーションおよびバラにおける、新規の色または形質を作り出すための強力な技術を提供する。
したがって、本発明は、植物細胞の液胞中の酸性またはアルカリ性のレベルを増大または減少させる遺伝子作用物質およびタンパク質作用物質を提供する。液胞のpHを変更する能力は、花色の操作を可能にする。作用物質は、cDNAおよびゲノムDNAもしくはその部分もしくは断片、アンチセンス、センス、もしくはRNAi分子などの核酸分子、または同じリボザイム、ペプチド、およびタンパク質を含む複合体を含む。
本発明はさらに、液胞のpHに対する直接的もしくは間接的な効果を示すタンパク質をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸を提供する。
したがって、本発明は、液胞のpHを変更するために本核酸分子の発現のレベルを操作し、または本核酸を植物細胞に導入することを可能にする。これが今度は、花の色もしくは味またはその他の特徴を操作することを可能にする。
それゆえ、本発明は、変更された花の色もしくは味またはその他の特徴を示す遺伝子改変植物を提供する。遺伝子改変植物に対する言及は、変更された花の色もしくは味またはその他の特徴を示している。遺伝子改変植物に対する言及は、第1世代の植物または小植物だけでなく植物の子孫およびその後の世代も含む。「植物」に対する言及は、生殖部分、種子、花、茎、葉、柄、花粉および生殖質、未熟カルスおよび成熟カルスを含むカルスを含む植物部分に対する言及を含む。
本発明の特に好ましい局面は、酸性またはアルカリ性のレベルを調整または変更し、植物における液胞のpHの増大をもたらし、植物におけるより青い色の花を結果的にもたらすことができるpHを調整もしくは変更する遺伝子またはタンパク質作用物質の下方調節に関する。
本発明はさらに、単離された形態の、もしくは販売用に包装された、もしくはディスプレイ上に配置された遺伝子改変植物またはそれらの子孫の花を含む切断された茎を含む切花を企図する。
本明細書の全体にわたって用いられる配列識別子のまとめを表1に提供する。
(表1)配列識別子の概要
Figure 2008534021
Figure 2008534021
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本発明の詳細な記載
本発明に従って、pHを調整または変更する活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を同定し、クローン化し、および評価した。本発明の組換え遺伝子配列は、例えば、デノボ発現、過剰発現、センス抑制、アンチセンス阻害、リボザイム活性、ミニザイム活性、およびDNAザイム活性、RNAi誘導もしくはメチル化誘導、またはその他の転写もしくは転写後サイレンシング活性によって、pHを調整もしくは変更する活性をコードする遺伝子または核酸の発現の調整を可能にする。RNAi誘導は、1つまたは2つの1本鎖ヌクレオチド突出を有する、ヘアピン、短い2本鎖DNAまたはRNA、および部分的2本鎖DNAまたはRNAなどの遺伝子分子を含む。植物における液胞のpHを制御する能力は、それによって、pH変化に反応して花弁色を操作することを可能にする。さらに、本発明は、花、果実、種子、野菜、葉、茎、およびそれらと同様のものを含む植物およびその生殖または栄養部分にまで及ぶ。本発明はさらに、観賞用トランスジェニック植物または遺伝子改変植物にまで及ぶ。「トランスジェニック」という用語はまた、子孫植物ならびに初代のトランスジェニック植物由来のその後の遺伝子操作および/または交配由来の植物を含む。
したがって、本発明の1つの局面は、pHを調整もしくは変更する遺伝子もしくはpHを調整もしくは変更する活性を有するポリペプチドをコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む単離された核酸分子であって、本核酸分子の発現が細胞または液胞内のpHを変更または調整する単離された核酸分子を提供する。
好ましくは、本発明の核酸は液胞のpHを調整する。
本発明の別の局面は、アントシアニン経路遺伝子をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸配列に機能的に連結されたpHを調整もしくは変更する遺伝子をコードするか、または該遺伝子に相補的なヌクレオチドの配列を含む単離された核酸分子を企図する。
「核酸分子」という用語は、非天然条件における遺伝子配列を意味する。通常、これは、その天然状態から単離されていること、または非天然環境において合成もしくは誘導されていることを意味する。より具体的には、それは、ゲノムDNA断片、組換えまたは合成分子、および異種核酸と組み合わせた核酸を含む、インビトロで形成または維持された核酸分子を含む。それはまた、それ自体のまたは別のプロモーターに対して逆配向のF3'5'Hまたはその一部をコードするゲノムDNAもしくはcDNAまたはその部分にまで及ぶ。それはさらに、その他の核酸配列と比べて少なくとも部分精製後の天然配列にまで及ぶ。
「遺伝子配列」という用語は、その最も一般的な意味で本明細書において用いられ、および直接的に、または相補的な一連の塩基を介して、pHを調整するタンパク質におけるアミノ酸の配列を特定する任意の連続した一連のヌクレオチド塩基を包含する。アミノ酸のそのような配列は、SEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されているような全長のpHを調整もしくは変更する酵素、もしくはSEQ ID NO:99などのそれに対する少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、もしくは活性のあるその切断型を構成してもよく、または本酵素のN末端部、C末端部、もしくは内部などの特定の領域に対応してもよい。遺伝子配列はまた、ヌクレオチドの配列またはヌクレオチド配列と称されてもよく、および2つまたはそれより多くの配列の組換え融合体を含む。
本発明の上の局面に従って、実質的にSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるような、またはそれに対する少なくとも約50%の類似性を有し、またはSEQ ID NO:98などの低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示される配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列もしくは相補的ヌクレオチド配列を含む核酸分子が提供される。
本発明に従って、SEQ ID NO:1、3、もしくは5に示され、またはそれに対する少なくとも約50%の類似性を有し、または低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示される配列にハイブリダイズすることができる、pHを調整または変更する核酸と併せて用いることが企図されるアントシアニン経路遺伝子は、同じ譲受人からの一連の特許および出願において以前に記載されている(例えば、PCT/AU92/00334;PCTAU96/00296;PCT/AU93/00127;PCT/AU97/00124;PCT/AU93/00387;PCT/AU93/00400;PCT/AU01/00358;PCT/AU03/00079;PCT/AU03/01111;JP 2003-293121に関するファミリーに対する特許および特許出願を含む)。
表1は配列識別子の概要を提供する。
本発明によって包含される(ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルでの)代わりのパーセンテージ類似性および同一性は、少なくとも約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%など、少なくとも約60%、もしくは少なくとも約65%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約75%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約85%、もしくは少なくとも約90%、または約95%、もしくは約96%、もしくは約97%、もしくは約98%、もしくは約99%のようなそれより多くを含む。
特に好ましい態様において、実質的にSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるような、もしくはそれに対する少なくとも約50%の類似性を有するか、もしくは低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示される配列もしくはいずれかの相補鎖にハイブリダイズすることができる、ヌクレオチド配列または相補的ヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子であって、本ヌクレオチド配列がpHを調整または変更する活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。
本明細書におけるSEQ ID NO:1、3、または5参照にハイブリダイズすることができる核酸分子を定義するためのストリンジェンシーのレベルを決定する目的のために、低いストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションについては少なくとも約0%から少なくとも約15% v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩、ならびに洗浄条件については少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩を含み、かつ包含する。通常、低いストリンジェンシーは、約25〜30℃から約40℃までである。温度は変化させてもよく、高い温度を用いてホルムアミドの含有を取り替え、および/または代わりのストリンジェンシー条件を与えてもよい。必要な場合には、ハイブリダイゼーションについては少なくとも約16% v/vから少なくとも約30% v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩、ならびに洗浄条件については少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩を含み、かつ包含する、中程度のストリンジェンシー、またはハイブリダイゼーションについては少なくとも約31% v/vから少なくとも約50% v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩、ならびに洗浄条件については少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩を含みおよび包含する、高いストリンジェンシーなどの、代わりのストリンジェンシー条件を適用してもよい。一般に、洗浄はTm=69.3+0.41(G+C)%で実行する(Marmur and Doty, J. Mol. Biol. 5:109, 1962)。しかしながら、2重鎖DNAのTmは、ミスマッチ塩基対の数が1%増大する毎に1℃だけ減少する(Bonner and Laskey, Eur. J. Biochem. 46:83, 1974)。これらのハイブリダイゼーション条件において、ホルムアミドは任意である。したがって、特に好ましいレベルのストリンジェンシーは、以下のように定義される:低いストリンジェンシーは、25〜42℃での6×SSC緩衝剤、1.0% w/v SDSであり;中程度のストリンジェンシーは、25℃〜65℃の範囲の温度での2×SSC緩衝剤、1.0% w/v SDSであり;高いストリンジェンシーは、少なくとも65℃という温度での0.1×SSC緩衝剤、0.1% w/v SDSである。
本発明の別の局面は、実質的にSEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるようなアミノ酸配列、もしくはそれに対する少なくとも約50%の類似性を有するアミノ酸配列をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸分子を提供する。
本明細書において用いられる場合の類似性という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルでの比較された配列間の正確な同一性を含む。ヌクレオチドレベルでの同一性がない場合、類似性は、それでもやはり構造レベル、機能レベル、生化学的レベル、および/または立体構造レベルで互いに関連する異なるアミノ酸に結果的になる配列間の相違を含む。アミノ酸レベルでの同一性がない場合、類似性は、それでもやはり構造レベル、機能レベル、生化学的レベル、および/または立体構造レベルで互いに関連するアミノ酸を含む。特に好ましい態様において、ヌクレオチドおよび配列比較は、類似性よりもむしろ同一性のレベルでなされる。
2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列関係性を記載するために用いられる用語には、「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列類似性」、「配列同一性」、「配列類似性のパーセンテージ」、「配列同一性のパーセンテージ」、「実質的に類似」、および「実質的に同一」が含まれる。「参照配列」は、ヌクレオチドおよびアミノ酸残基を含めて、少なくとも12であるが、多くの場合15〜18、およびしばしば少なくとも25または、30モノマー単位などの、それを上回る長さである。2つのポリヌクレオチドは、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似である配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列のほんの一部)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で不一致である配列を各々含み得るので、 2つ(またはそれより多く)のポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的には、局所領域の配列類似性を同定および比較するために、2つのポリヌクレオチドの配列を「比較ウィンドウ」の全体にわたって比較することによって行なわれる。「比較ウィンドウ」とは、典型的には、参照配列と比較される12の連続した残基の概念的セグメントを指す。比較ウィンドウは、2つの配列の最適アラインメントのために(付加または欠失を含まない)参照配列と比較して約20%またはそれ未満の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。比較ウィンドウをアラインするための配列の最適アラインメントは、アルゴリズム(Wisconsin Genetic Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Drive Madison, WI, USAの中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータによる履行によって、または綿密な調査および選択された様々な方法のどれかによって作成された最高のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウの全体にわたる最高のパーセンテージ相同性を結果的にもたらす)によって実施されてもよい。また、例えば、Altschul et al.(Nucl. Acids Res. 25:3389-3402, 1997)によって開示されたようなBLASTファミリーのプログラムに対する参照がなされてもよい。配列解析の詳細な議論は、Ausubel et al.(「Current Protocols in Molecular Biology」 John Wiley & Sons社, 1994-1998, 第15章, 1998)のユニット19.3に見出すことができる。
本明細書において用いられる場合の「配列類似性」および「配列同一性」という用語は、配列が、比較のウィンドウの全体にわたってヌクレオチド単位ベースでまたはアミノ酸単位ベースで同一または機能的もしくは構造的に類似である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、例えば、比較のウィンドウの全体にわたる2つの最適にアラインされた配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、CysおよびMet)が両方の配列で現れる位置の数を決定して一致した位置の数を与え、一致した位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数(すなわち、ウィンドウの大きさ)で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを与えることによって計算される。本発明の目的のために、「配列同一性」は、ソフトウェアに付随する参照マニュアルで使用されるような標準デフォルトを用いたDNASISコンピュータプログラム(ウィンドウズ用の第2.5版;日立ソフトウェアエンジニアリング社, South San Francisco, California, USA)によって計算された「一致パーセンテージ」を意味すると理解されると考えられる。類似の注解が配列類似性との関連で適用される。
本明細書において企図される核酸配列はまた、増幅反応用の遺伝子プローブとして、または植物中の対応する遺伝子発現を調節することができるアンチセンスもしくはセンス分子として有用なオリゴヌクレオチドを包含する。センス分子は、1つまたは複数の1本鎖ヌクレオチドが突出しているヘアピン構築物、短い2本鎖DNAおよびRNA、ならびに部分的2本鎖DNAおよびRNAを含む。本明細書において用いられる場合のアンチセンス分子はまた、それ自身のまたは別のプロモーターに対して逆配向の構造ゲノムもしくはcDNA遺伝子またはその部分を含む遺伝子構築物を包含してもよい。それはまた、相同遺伝子配列を包含してもよい。アンチセンスまたはセンス分子はまた、遺伝子の発現を低下または削除するように、pHを調整もしくは変更する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の末端部もしくは内部に向けられてもよく、または上の組み合わせに向けられてもよい。
本発明のこの局面に関して、SEQ ID NO:1、3、または5に示されるヌクレオチド配列を有する分子の一部または領域に対する実質的な類似性を有する5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55などの5〜50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが提供される。この文脈における実質的な類似性または相補性によって、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションに特異的な低い、または好ましくは中間の、およびあるいは最も好ましくは高いストリンジェンシー条件下でのハイブリダイズ可能な類似性が意味される(Sambrook et al, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, USA, 1989)。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、様々な供給源からのpHを調整もしくは変更する遺伝子配列をスクリーニングする際に、またはトランスジェニック植物中の導入された遺伝子配列をモニターするために有用である。好ましいオリゴヌクレオチドは、保存されたpHを調整もしくは変更する遺伝子配列、または植物属、植物種、および/もしくは植物品種の中で保存されている配列に向けられる。
本発明のある局面において、オリゴヌクレオチドは、pHを調整もしくは変更する核酸配列の5'または3'末端に対応する。便宜上、5'末端は本明細書において実質的に構造遺伝子の開始コドンから遺伝子の中央部の間の領域を定義するとみなされ、および3'末端は本明細書において実質的に遺伝子の中央部と構造遺伝子の終止コドンの間の領域を定義するとみなされる。それゆえ、オリゴヌクレオチドまたはプローブが、5'末端もしくは3'末端にまたは5'末端および3'末端両方に共通な領域にハイブリダイズし得ることは明白である。本発明はそのようなプローブ全てにまで及ぶ。
ある態様において、pHを調整もしくは変更するタンパク質もしくはその様々な機能誘導体をコードする核酸配列を用いて、(例えば、共抑制もしくはアンチセンスを介する抑制もしくはRNAiを含むその他の転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)過程によって)内在性のpHを調整もしくは変更するタンパク質のレベルを低下させ、またはあるいはこの酵素もしくはその様々な誘導体もしくは部分をコードする核酸配列をセンスもしくはアンチセンス配向で用いて、pHを調整もしくは変更するタンパク質のレベルを低下させる。ヘアピンループを有する構築物などの2本鎖または部分的に1本鎖の、センス鎖の使用は、PTGS反応を誘導する際に特に有用である。さらなる代わりにおいて、リボザイム、ミニザイム、またはDNAザイムを用いて、標的核酸配列を不活性化することができると考えられる。
またさらなる態様は、ポリペプチド材料への翻訳を低下させるための転写後阻害を包含する。またその上別の態様は、メチル化を特異的に誘導するかまたは除去することを必然的に含む。
本明細書におけるpHを調整または変更する活性の変化に対する言及は、正常の内在性レベルまたは現存するレベルの活性の30%までの、もしくはより好ましくは30〜50%の、もしくはさらにより好ましくは50〜75%、もしくはなお一層より好ましくは75%、またはそれを上回るもしくは下回る活性の上昇または低下に関する。そのような上昇または低下を、pHを調整するタンパク質の調整または変更と称してもよい。しばしば、調整は、pHを調整もしくは変更する遺伝子配列の転写または翻訳のレベルである。
本発明の核酸は、リボ核酸またはデオキシリボ核酸、1本鎖または2本鎖、および線状または共有結合的閉環状分子であってもよい。好ましくは、核酸分子はcDNAである。本発明はまた、低いストリンジェンシー条件下で、好ましくは中程度のストリンジェンシー条件下で、および最も好ましくは高いストリンジェンシー条件下で、本発明の核酸分子と、および特にSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるヌクレオチドの配列またはその一部もしくは領域にハイブリダイズするその他の核酸分子にまで及ぶ。その最も好ましい態様において、本発明は、SEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるヌクレオチド配列を有する核酸分子にまで、またはヌクレオチドもしくはアミノ酸配列のレベルでSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示される配列の少なくとも1つもしくは複数の領域に対する少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、さらにより好ましくは55%、なお一層より好ましくは65%〜70%、およびその上さらにより好ましくは85%を上回る類似性を有する分子にまで及び、ならびに本核酸は、pHを調整もしくは変更する活性を有する酵素をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的である。しかしながら、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、上で与えられたパーセンテージ未満の類似性を有してもよいが、依然としてpHを調整または変更する活性をコードし、およびそれらが配列保存の領域を有する場合、そのような分子は依然として本発明の範囲内にあるとみなされ得るということに留意すべきである。本発明はさらに、低いストリンジェンシー条件下で、好ましくは中程度のストリンジェンシー条件下で、および最も好ましくは高いストリンジェンシー条件下で、上で企図された核酸分子、および特にSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示される核酸分子の一部にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブの形態の核酸分子にまで及ぶ。好ましくは、本部分は遺伝子の5'または3'末端に対応する。便宜上、5'末端は本明細書において実質的に構造遺伝子配列の開始コドンから遺伝子の中央部の間の領域を定義するとみなされ、および3'末端は本明細書において実質的に遺伝子の中央部と構造遺伝子配列の終止コドンの間の領域を定義するとみなされる。それゆえ、オリゴヌクレオチドまたはプローブが、5'末端もしくは3'末端にまたは5'末端および3'末端両方に共通な領域にハイブリダイズし得ることは明白である。本発明はそのようなプローブ全てにまで及ぶ。
遺伝子という用語はその最も幅広い意味で用いられ、および遺伝子のエキソンに対応するcDNAを含む。したがって、本明細書における遺伝子に対する言及は以下を含むと解されるべきである:
(i)転写および/もしくは翻訳調節領域、ならびに/もしくはコード領域および/もしくは非翻訳配列(すなわち、イントロン、5'および3'非翻訳配列)からなる古典的ゲノム遺伝子;または、
(ii)遺伝子のコード領域(すなわち、エキソン)ならびに5'および3'非翻訳配列に対応するmRNAもしくはcDNA。
遺伝子という用語はまた、発現産物の全てもしくは部分をコードする合成または融合分子を記載するために用いられる。特定の態様において、核酸分子および遺伝子という用語は互換的に用いられてもよい。
核酸またはその相補的形態は、全長酵素またはその一部もしくは誘導体をコードしてもよい。「誘導体」によって、pHを調整または変更する活性を保持する天然の酵素に対する任意の1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または付加が意味される。この点で、核酸は、pHを調整または変更する活性をコードする天然のヌクレオチド配列を含み、ならびに本天然の配列に対する任意の1つもしくは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を含んでもよい。本発明の核酸またはその相補的形態はまた、活性型であれ、不活性型であれ、pHを調整または変更するタンパク質の「一部」をコードしてもよく、およびそのような核酸分子は、オリゴヌクレオチドプローブ、ポリメラーゼ連鎖反応のための、もしくは様々な突然変異生成技術におけるプライマーとして、またはアンチセンス分子の作製のために有用である可能性がある。
本明細書における核酸分子、ヌクレオチド配列、またはアミノ酸配列の「一部」に対する言及は、好ましくは、適切な場合、少なくとも約10の連続するヌクレオチドまたは5つの連続するアミノ酸を含む分子に関する。
本発明のpHを調整または変更するタンパク質のアミノ酸挿入誘導体は、アミノ末端および/またはカルボキシル末端融合だけでなく、1つまたは複数のアミノ酸の配列内挿入も含む。挿入アミノ酸配列変異体は、1つまたは複数のアミノ酸残基がタンパク質中の所定の部位に導入された変異体であるが、結果として得られる産物の好適なスクリーニングによって、ランダム挿入の可能性もある。欠失変異体は、配列からの1つまたは複数のアミノ酸の除去によって特徴付けられる。置換アミノ酸変異体は、配列中の少なくとも1残基が除去され、およびその場所に異なる残基が挿入された変異体である。典型的な置換は、表2に従ってなされる置換である。
(表2)アミノ酸置換に好適な残基
Figure 2008534021
pHを調整または変更するタンパク質がアミノ酸置換によって誘導体化される場合、アミノ酸は通常、疎水性、親水性、電気陰性度、多数の側鎖、およびそれらと同様のものなどの、似ている特性を有するその他のアミノ酸と置き換えられる。アミノ酸置換は、典型的には1残基である。アミノ酸挿入は、通常約1〜10アミノ酸残基に及ぶと考えられ、および欠失は約1〜20残基の範囲に及ぶと考えられる。好ましくは欠失または挿入は、隣接する対、すなわち2残基の欠失または2残基の挿入でなされる。
上で言及したアミノ酸変異体を、固相ペプチド合成(Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149, 1964)などの当技術分野において周知のペプチド合成技術を用いて、または組換えDNA操作によって容易に作製してもよい。公知のまたは部分的に公知の配列を有するDNA中の所定の部位での置換突然変異を作製するための技術は周知であり、および例えば、M13突然変異生成を含む。置換、挿入、または欠失変異体として現れる変異体タンパク質を産生するためのDNA配列の操作は、好都合なことに、例えば、Sambrook et al.(1989, 前記)に記載されている。
本発明のpHを調整もしくは変更するタンパク質の組換えまたは合成突然変異体および誘導体のその他の例として、炭水化物、脂質、および/またはタンパク質もしくはポリペプチドなどの酵素と会合する任意の分子の1つまたは複数の置換、欠失、および/または付加が含まれる。
「類似体」および「誘導体」という用語はまた、pHを調整または変更するタンパク質の任意の機能性化学的等価物にまで及び、およびまた上で記載された任意のアミノ酸誘導体にまで及ぶ。便宜上、本明細書におけるpHを調整または変更するタンパク質に対する言及は、任意の機能変異体、その誘導体、部分、断片、相同体、または類似体に対する言及を含む。これが今まで最も使い易くかつ好ましい材料の供給源を表しているので、本発明は、パンジー、サルビア、ソリア、またはラベンダー、またはケネディアに由来する核酸配列を用いて例示される。しかしながら、当業者は、その他の植物またはある種の微生物などの任意の数の供給源から類似の配列を単離することができるということを直ちに正しく認識すると考えられる。直接的または間接的にpHを調整するタンパク質をコードするそのような核酸配列は全て、それらの供給源に関わらず、本発明によって包含される。pHを調整または変更するタンパク質をコードする遺伝子のその他の好適な供給源の例として、ナデシコ属の種、バラ属の種、キク属の種、シクラメン属の種、ガーベラ属の種、アイリス属の種、ペラルゴニウム属の種、リパリー、ゼラニウム属の種、セントポーリア属の種、およびルリマツリ属の種が含まれるが、これらに限定されない。
本発明に従って、pHを調整または変更するタンパク質をコードする核酸配列を、どちらかの配向でトランスジェニック植物に導入し、およびトランスジェニック植物で発現させ、それによって内在性のまたは現存するpHを調整もしくは変更するタンパク質活性を低下させるかまたは削除するかのいずれかによって液胞のpHを調整または変更する手段を提供し、それによって液胞のpHを増大させてもよい。特に好ましい効果は、アントシアニンの色および/または結果的に得られる花色における青への移行という目に見える効果である。植物における核酸配列の発現は、構成的、誘導的、または発生的であってもよく、およびまた組織特異的であってもよい。「発現」という言葉は、その最も幅広い意味で用いられ、RNAの産生またはRNAおよびタンパク質両方の産生を含む。それはまた、核酸分子の部分的発現にまで及ぶ。
本発明のこの局面により、pHを調整または変更するタンパク質を合成することができるトランスジェニック顕花植物を産生する方法であって、核酸配列の最終的な発現を可能にする条件下でpHを調整または変更するタンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含む核酸配列によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および核酸配列の発現を可能にするのに十分な時間および条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含む方法が提供される。トランスジェニック植物はそれによって、同等の非トランスジェニック植物で発現される量と比べて上昇したレベルで非固有のpHを調整または変更するタンパク質を産生してもよい。
本発明の別の局面は、固有のもしくは現存のpHを調整または変更する低下した活性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、pHを調整する活性をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸分子によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および必要な場合、核酸の発現を可能にするのに十分な条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含む方法を企図する。
本発明のまた別の局面は、固有のもしくは現存のpHを調整または変更する低下したタンパク質活性を有する遺伝子改変植物を産生するための方法であって、植物細胞に導入された適切に変更されたpHを調整もしくは変更する遺伝子またはその誘導体もしくは部分から相同組換えを介した固有の配列の改変によってpHを調整または変更する核酸分子を変化させる工程、および細胞から遺伝子改変植物を再生させる工程を含む方法を企図する。
本明細書において用いられる場合、「固有の」酵素とは、特定の細胞にとってネイティブであり、または特定の細胞で天然に発現されている、酵素である。「非固有の」酵素とは、細胞にとってネイティブではないが、例えば、トランスジーンによる植物細胞への遺伝子材料の導入によって発現されている酵素である。「内在性の」酵素とは、細胞によって産生されているが、その細胞にとって固有であってもよく、または固有でなくてもよい酵素である。
好ましい態様において、本発明は、変更された花または花部特性を示すトランスジェニック顕花植物を産生するための方法であって、本発明の核酸配列によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および核酸配列の発現を可能にするのに十分な時間および条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含む方法を企図する。
本明細書において用いられる場合の「花部」という用語は、通常伸長した節間によって栄養部分から分離され、かつ通常個々の花、苞葉および花柄、ならびに小花柄を含む植物の花を付ける部分または1つより多くの花の任意の花を付ける系を指す。上で示したように、「トランスジェニック植物」に対する言及はまた、「遺伝子改変植物」と読まれてもよい。
または、本方法は、本発明の核酸配列またはその相補的配列によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および固有のもしくは現存のpHを調整または変更するタンパク質の活性のレベルを変化させるのに十分な時間および条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含んでもよい。好ましくは、変更されたレベルは、同等の非トランスジェニック植物における固有のもしくは現存のpHを調整または変更する活性のレベルよりも低いと考えられる。本発明を限定することを望まないが、作用の様式の1つの理論は、固有のpHを調整するタンパク質の活性の低下が、導入された核酸配列またはその相補的配列の発現を必要とするということである。しかしながら、導入された遺伝子配列またはその相補体の発現は、所望の効果:すなわち、変更された花または花部特性を示す顕花植物を達成するために必要とされなくてもよい。
関連する態様において、本発明は、変更された花または花部特性を示す顕花植物を産生するための方法であって、植物細胞に導入された適切に変更されたpHを調整もしくは変更する遺伝子またはその誘導体もしくは部分から、相同組換えを介した固有の配列の改変によって、pHを調整または変更する核酸分子を変化させる工程、および細胞から遺伝子改変植物を再生させる工程を含む方法を企図する。
好ましくは、変更された花または花部は、レシピエント植物の遺伝型および生理的条件に応じて、青い花もしくは紫の花もしくは赤い花またはその他の色の異なる色調の産生を含む。
したがって、本発明は、pHを調整もしくは変更するタンパク質もしくはその部分をコードする組換え遺伝子を発現することができるか、またはpHを調整もしくは変更するタンパク質をコードするmRNA分子の全てもしくは一部に実質的に相補的である核酸配列を保持するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、必要な場合、単離された核酸分子の最終的な発現を可能にする条件下で、pHを調整もしくは変更するタンパク質をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む単離された核酸分子によって、好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、および細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程を含む方法にまで及ぶ。
当業者は、標的植物において天然に存在する酵素の発現を増大または低下させて、青、紫、または赤の異なる色調などの色の違う色調をもたらすことなどの、本発明の方法に適用可能な変化形を直ちに認識すると考えられる。
本発明は、それゆえ、本発明の核酸配列の全てもしくは部分、またはそのアンチセンス形態および/もしくはその任意の相同体もしくは関連形態を含む全てのトランスジェニック植物またはトランスジェニック植物もしくはトランスジェニック植物の子孫のそれに由来する部分もしくは細胞、ならびに特に、変更された花または花部特性を示すトランスジェニック植物にまで及ぶ。トランスジェニック植物は、pHを調整もしくは変更するタンパク質をコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチド配列を含む導入された核酸分子を含んでもよい。通常、核酸は植物ゲノム中に安定に導入されていると考えられるが、本発明はまた、植物細胞内で複製することができるDNAまたはRNAウイルスなどの自律的に複製する核酸配列内へのpHを調整または変更するヌクレオチド配列の導入にまで及ぶ。本発明はまた、そのようなトランスジェニック植物由来の種子にまで及ぶ。そのような種子は、とりわけ着色されている場合、植物に独自のタグとして有用である。アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介する形質転換、バイオリスティック粒子衝突などを含むが、これらに限定されない遺伝子材料を植物細胞に導入するための任意のおよび全ての方法が、本発明によって包含される。
本発明の別の局面は、本発明の核酸配列の全てまたは部分を含むトランスジェニック植物またはもしくはトランスジェニック植物の子孫のそれに由来する植物部分もしくは細胞由来の抽出物、および特に、香料または食品添加物または健康製品または飲料またはジュースまたは染料として用いられる場合のそれらのトランスジェニック植物由来の抽出物の使用を企図する。
本発明によって企図される植物部分は、花、果実、野菜、木の実、根、茎、葉、または種子を含むが、これらに限定されない。
本発明の抽出物は、化学抽出または熱抽出または濾過または圧搾または粉砕を含むが、これらに限定されない数多くの異なる方法で、植物またはそれに由来する植物部分もしくは細胞から得てもよい。
植物、それに由来する植物部分もしくは細胞または抽出物は、香料(例えば、食品エキス)、食品添加物(例えば、安定剤、着色剤)、健康製品(例えば、抗酸化剤、錠剤)、飲料(例えば、ワイン、酒、紅茶)またはジュース(例えば、果物ジュース)または染料(例えば、食品染料、織物染料、色素、塗料、毛髪染料)の産生用などの任意の数の異なる方法で利用されることができる。
本発明のさらなる局面は、pHを調整または変更するタンパク質の組換え型に向けられる。酵素の組換え型は、例えば、より活性のある酵素などの、研究用の材料の供給源を提供すると考えられ、および着色化合物の産生用のインビトロ系の開発に有用である可能性がある。
本発明のまたさらなる局面は、植物中でpHを調整もしくは変更するタンパク質を発現し、または固有のpHを調整するタンパク質を下方調節することができる遺伝子構築物の製造における本明細書において記載された遺伝子配列の使用を企図する。
遺伝子構築物という用語は、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、「融合分子」、「組換え分子」、「組換えヌクレオチド配列」という用語と互換的に用いられている。遺伝子構築物は、1つのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む1つの核酸分子を含んでもよく、または2つもしくはそれより多くのタンパク質をコードする複数のオープンリーディングフレームを含んでもよい。それはまた、1つまたは複数のオープンリーディングフレームに機能的に連結されたプロモーターを含んでもよい。
本発明の別の局面は、染色体外にプラスミド形態で、pHを調整もしくは変更するタンパク質をコードする遺伝子配列を持つ原核または真核生物に向けられる。
本発明はさらに、実質的にSEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるようなアミノ酸の配列もしくはSEQ ID NO:2、4、もしくは6に対する少なくとも約50%の類似性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチド、または本ポリペプチドの誘導体にまで及ぶ。
いかにしてバラ配列を本明細書に含めるべきか? 配列98&99。
「組換えポリペプチド」は、直接的もしくは間接的にヒトの介入によって細胞に導入されたか、または細胞の親もしくはその他の親類もしくは前駆体に導入されたヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを意味する。組換えポリペプチドはまた、無細胞の、インビトロ転写系を用いて作られてもよい。「組換えポリペプチド」という用語は、単離されたポリペプチドまたは細胞もしくは細胞調製物に存在する場合を含む。それはまた、本ポリペプチドを産生する細胞から再生された植物または植物の部分の中にある。
「ポリペプチド」は、ペプチドまたはタンパク質を含み、および「酵素」という用語によって包含される。
組換えポリペプチドはまた、2つまたはそれより多くの異種アミノ酸配列を含む融合分子であってもよい。
本発明のまたさらに別の局面は、アントシアニン経路を調整または変更することに関わる核酸配列と連結されたpHを調整または変更する核酸配列を企図する。
pH4は、花弁表皮で発現し、かつAN1およびJAF13と物理的に相互作用することができるMYBファミリーの転写因子のメンバーである。これは、AN1が少なくとも2つの別個の転写因子複合体に存在するということを示している。1つの複合体はpH4を含み、および液胞の酸性化に関わる一連の未知の標的遺伝子を活性化するが、別の(pH4非依存的)複合体は構造的アントシアニン遺伝子を活性化する。
本発明を以下の非限定的な実施例においてさらに記載する。
実施例1
一般的方法
一般に、以下の方法は、Sambrook et al.(1989, 前記)、またはSambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第3版, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, NY, USA, 2001、またはPlant Molecular Biology Manual(第2版), Gelvin and Schilperoot(編), Kluwer Academic Publisher, The Netherlands, 1994、またはPlant Molecular Biology Labfax, Croy(編), Bios scientific Publishers, Oxford, UK, 1993に記載された通りであった。
花発生の段階
ペチュニア(Petunia hybrida)栽培品種M1×V30花を以下のように定義した発生段階で収穫した:
段階1:色が付いていない花芽(長さ10mm未満)
段階2:色が付いていない花芽(長さ10〜20mm)
段階3:かすかに色が付いた閉じた花芽(長さ20〜27mm)
段階4:色が付いた閉じた花芽(長さ27〜35mm)
段階5:完全に色が付いた閉じた花芽(長さ35〜45mm)
段階6:新生の花冠を有する完全に色が付いた芽(長さ45〜55mm)
段階7:完全に開いた花(長さ55〜60mm)
(R27およびW115などの)その他のペチュニア栽培品種を、上で記載したような同様の発生段階にグループ化したが、芽の全体の長さは栽培品種間で様々であった。
植物材料
cDNA-AFLPスクリーニングで用いたペチュニア株は、R27(野生型(wt))、W225(an1、R27バックグラウンドにおけるフレームシフト突然変異)、R144(R27バックグラウンドにおけるPH3中のph3-V2068トランスポゾン挿入)、R147(R27バックグラウンドにおけるPH4中のph4-X2058トランスポゾン挿入)、およびR153(R27バックグラウンド内に交配されたPH5中のph5トランスポゾン挿入)であった。全ての株は遺伝的に同一のバックグラウンドを有し、および転写産物レベルの違いをもたらし得る環境的条件の違いを減らすために、植物を温室の中で互いに隣接して生育した。
形質転換実験で用いたペチュニア株M1×V30は、株V30(AN1、AN2、AN4、PH4、PPM1、PPM2)と交配したM1(AN1、AN2、AN4、PH4、PPM1、PPM2)のF1ハイブリッドであった。M1×V30の花は赤紫で、かつ通常マルビジンおよび低レベルのフラボノールケルセチンを基にしたアントシアニンを蓄積する。
ペチュニア形質転換
Holton et al.(Nature, 366:276-279, 1993)もしくはBrugliera et al,(Plant J. 5, 81-92, 1994)もしくはde Vetten N et al(Genes and Development 11:1422-1434, 1997)に記載された通り、または当技術分野において周知の任意のその他の方法による。
ペチュニアR27花弁cDNAライブラリーの調製
ペチュニア花弁cDNAライブラリーを、Holton et al.(1993, 前記)またはBrugliera et al,(1994, 前記)またはde Vetten N et al(1997, 前記)に記載されたような標準的な方法を用いてR27花弁から調製した。
一過性アッセイ
以前に記載されたようなペチュニア花弁の粒子衝突によって、一過性発現アッセイを行なった(de Vetten et al, 前記;Quattrocchio et al, Plant J. 13, 475-488, 1998)。
pHアッセイ
6mL蒸留水中で2つの花冠の花弁舷部をすり潰すことによって花弁抽出物のpHを測定した。大気のCO2が抽出物のpHを変更するのを避けるために、pHを通常のpH電極で直接(1分以内で)測定した。
HPLCおよびTLC解析
HPLC解析はde Vetten N et al.(Plant Cell 11(8):1433-1444, 1999)に記載された通りであった。TLC解析はHouwelingen et al,(Plant J. 13(1):39-50, 1998)に記載された通りであった。
ヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列の解析
Geneworks(Intelligenetics, Mountain View, CA)というプログラムでヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列を解析した。デフォルト設定(マトリックス=ブラッサム;GAPOPEN=0、GAPEXT=0、GAPDIST=8、MAXDIV=40)を用いたClustal Wというプログラムのウェブを基にした版(http://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/multi-align/multi-align.html)で多重配列アラインメントを作成した。同じウェブサイト経由のPHYLIP(ブートストラップカウント=1000)で系統樹を構築し、およびTreeviewer第1.6.6版で可視化した(http://taxonomy.zoology.gla.ac.uk/rod/rod.html)。
RNA単離およびRT-PCR
de Vetten et al,(1997, 前記)によって記載された通り、RNA単離およびRT-PCR解析を実行した。Frohman et al.(PNAS 85:8998-9002, 1988)によって記載された通り、cDNA(3')末端の急速増幅(RACE)を行なった。
実施例2
転写産物プロファイル解析
anl-、ph3-、およびph4-突然変異体で下方調節されている転写産物を同定するために、cDNA-AFLPおよびマイクロアレイ解析の組み合わせを利用した。結果のまとめは表3に示されている。
(表3)an1-、ph3-、およびph4-突然変異体で下方調節され、ph2-およびph5-突然変異体において野生型レベルで見出される、cDNA-AFLPまたはマイクロアレイ解析で同定された転写産物
Figure 2008534021
ORF=オープンリーディングフフレーム
TBD=行なわれるべき
CAC=cDNA-AFLPを用いて同定された転写産物
MAC=マイクロアレイを用いて同定された転写産物
NCBI-Blast検索=公知の配列に対する任意の類似性は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)ウェブサイト(2005年2月現在)上のBLAST検索(Altschul et al. Nucl. Acids Res. 25:3389-3402, 1997)を用いることによって発見された。
実施例3
cDNA-AFLPの記載
MseI+NN/EcoRI+NNの256プライマーの組み合わせを用いて、全転写産物のおよそ25%に及ぶおよそ20,000断片を解析した。80断片をゲルから単離し、ならびに野生型およびan1、ph2、ph3、ph4、ph5突然変異体を含むペチュニア突然変異体株から単離されたトータルRNAのRT-PCRによって20をさらに特徴付けた。これらの断片(表3参照)のうちの16は、野生型、ph2、およびph5ペチュニア株におけるそれらの発現レベルと比べてan1、ph3、およびph4ペチュニア株で下方調節されていると確認された。
RNA単離およびcDNA合成
ペチュニア株R27(野生型)、W225(an1-)、R144(ph3-)、R147(ph4-)、およびR153(ph5-)をcDNA-AFLPスクリーニングで用いた。およそ25〜30の花芽(花発生段階5、6)を各ペチュニア株から収穫し、および−70℃で保存した。Logemann et al.(Anal Biochem. 163(1):16-20, 1987)に従って、10の花冠からトータルRNAを抽出した。その後、ポリAトラクト(登録商標)系(PROMEGA)プロトコルに従って、磁気ビーズと結合したオリゴ(dT)を用いて、500マイクログラムのトータルRNAからポリA+ RNAを単離した。その後、GIBCO-BRL Superscript II系を用いて、1マイクログラムのポリA+ RNAを2本鎖(ds)cDNA合成用に用いた。ds cDNAの合成後、cDNAをフェノール抽出し(Sambrook et al, 2001, 前記)、ならびにcDNAを塩およびエタノールの添加によって沈殿させた。その後、DNAペレットを30μLの蒸留水中で再懸濁した。
鋳型調製
cDNA-AFLP解析用の鋳型調製のために、制限エンドヌクレアーゼMseI(4塩基認識配列を消化する)およびEcoRI(6塩基認識配列を消化する)を用いた。アダプター(MseI部位用のPCRアダプターおよびEcoRI部位用のPCRアダプターをそれぞれ形成するための互いにアニールしたMse A1(SEQ ID NO:7)およびMse A2(SEQ ID NO:8)ならびにまた互いにアニールしたEcoA1(SEQ ID NO:14)およびEcoA2(SEQ ID NO:15))のMseIおよびEcoRI末端へのライゲーションと組み合わせて、両方の制限エンドヌクレアーゼでcDNAを消化した。各々の「制限-ライゲーション」反応を、24μL ds cDNA、10μL 5×RL緩衝剤(50mM Tris HAc pH7.5、50mM MgAc、250mM KAc、25mM DTT、250μg/μL BSA)、0.1μL 100mM ATP、5ユニット MseI(New England Biolabs)、5ユニット EcoRI(New England Biolabs)、50pmol MseIアダプター(Mse A1およびMse A2)(SEQ ID NO:7および8)、および50pmol EcoRIアダプター(EcoA1およびEcoA2)(SEQ ID NO:14および15)を含む50μLの全容量で行なう。アダプターはそれまでに2分間煮沸しておき、その後反応へのそれらの添加の前に室温までゆっくりと冷ました。「制限-ライゲーション」反応を37℃で4時間インキュベートした。
増幅
増幅前に、cDNA鋳型を水で10倍に希釈し、その後タッチダウンPCRプログラムで1ヌクレオチド選択的伸長(EcoRI+N、MseI+N)プライマー(SEQ ID NO:10〜13およびSEQ ID NO:16〜19)(表4参照)と共に、10μLの容量を第1の、非放射性の、PCR増幅工程で用いた。PCRサイクルは、94℃変性工程、その後17サイクルにわたる65℃で始め、かつ0.7℃ずつ56℃まで低下させる温度での30秒のアニーリング工程、その後18サイクルの56℃ 30秒間、および最後に72℃で1分間の延長工程を含んだ。この第1のPCRからの8マイクロリットルの産物を1%アガロースゲルを通して電気泳動し、および200〜750bpの間の期待されるDNAスメアーを検出した。その後、0.5μLのこれらの産物を、以前に記載されたようなタッチダウンPCRプログラムによる標準的なPCR条件で、2ヌクレオチド伸長(EcoRI+NN、MseI+NN)プライマー(SEQ ID NO:20〜51)(表5参照)を用いた1秒「ホット」PCRにおける鋳型として用いた。50ngプライマー、5μL 10×T4キナーゼ緩衝剤、10μL 33P-CTP、24μL水、および9ユニットT4ポリヌクレオチドキナーゼを含む反応において、第2のPCRにおけるEcoRIプライマーを33Pで放射性標識した。反応を37℃で1時間インキュベートし、その後10分間65℃での処理によるT4キナーゼの不活性化を行なった。
(表4)cDNA-AFLP解析で用いたプライマー
Figure 2008534021
(表5)cDNA-AFLP解析で用いた2ヌクレオチド伸長を有するプライマー
Figure 2008534021
PCR産物の解析:
5%変性ポリアクリルアミドゲルを通して電気泳動することにより、反応産物を解析した。電気泳動後、ゲルをスラブゲル乾燥機の上で乾燥させ、その後終夜感光させた。その後、Phosphor撮像装置(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA, USA)を用いて、反応産物の放射性標識シグナルを検出した。
要約すると、MseI+NN/EcoRI+NNの256プライマーの組み合わせを用いて、全転写産物のおよそ25%に及ぶおよそ20,000断片を解析した。80断片をゲルから単離し、ならびに野生型およびan1、ph2、ph3、ph4、ph5突然変異体を含むペチュニア突然変異体株から単離されたトータルRNAのRT-PCRによって20をさらに特徴付けた。これらのCAC断片(表3参照)のうちの16は、野生型、ph2、およびph5ペチュニア株におけるそれらの発現レベルと比べてan1、ph3、およびph4ペチュニア株で下方調節されていると確認された。公知の配列に対する検出された配列類似性と共にCAC断片およびそれらのそれぞれの大きさを表6に示す。
(表6)野生型、ph2、およびph5ペチュニア株におけるそれらの発現レベルと比べてan1、ph3、およびph4ペチュニア株で下方調節されているcDNA-AFLPによって単離された断片のまとめ
Figure 2008534021
類似性E-値=アラインされた配列に対する相対的同一性を示すBLASTX検索によって作成されたパラメーター。E-値が0により近ければ近いほど、一致はより重大である。
NSS=配列類似性なし
実施例4
マイクロアレイ解析
マイクロアレイハイブリダイゼーション用に、野生型(R27)およびan1-突然変異体(W225)の両方の発生段階5の花弁組織を用いて、供給元のプロトコル(ポリAトラクトmRNA単離系III, Promega)に従って、ポリA+ RNAを単離した。マイクロアレイを調製し、およびVerdonk et al.(Phytochemistry 62:997-1008, 2003)によって記載された条件を用いてハイブリダイズさせた。
マイクロアレイの記載
マイクロ上にスポットされた1415のESTのうち、9つのESTがan1突然変異体ペチュニア株(W225)において10倍よりも多く下方調節されていることが分かった。これらの配列のうちの5つは、以前に同定および特徴付けされた遺伝子を表した(表7参照)。野生型およびan1、ph2、ph3、ph4、ph5突然変異体を含むペチュニア突然変異体株から単離されたトータルRNAのRT-PCRによって、4つのESTをさらに特徴付けた。これらのESTのうちの2つ(MAC F55およびMAC 9F1)は、an1ペチュニア株で下方調節されていると確認された。
(表7)マイクロアレイスクリーンで同定されたan1突然変異体で50〜100倍の下方調節を示したクローン
Figure 2008534021
さらに数クローンがより低いレベルの下方調節を示し、および第2ラウンドの解析で考察され得る。
異なるペチュニア組織におけるならびに野生型および突然変異体植物の花におけるRT-PCRによって、これらの遺伝子のうちの幾つかについて発現パターンおよび遺伝子制御を決定した。これらの遺伝子の大部分は、植物のその他の部分においてよりも花弁において高い発現を示し、および突然変異体における発現検討は、転写産物プロファイルによって以前に見られたパターンを確認した。
実施例5
ペチュニアでの発現用のRNAi構築物の構築
花表皮細胞の液胞内腔の酸性化におけるこれらの遺伝子の役割を評価するために、内在性遺伝子をサイレンシングする目的で、各々の遺伝子の逆反復構築物を野生型ペチュニア植物で発現させた、または発現させる。
これまでにこれらの遺伝子の下方調節によって、液胞のpHの同時変化を伴う花色の変化が結果的にもたらされている。これらは、MAC F55(PPM1)(SEQ ID NO:1)、MAC 9F1(SEQ ID NO:3)、およびCAC 16.5(SEQ ID NO:5)を含む。
MAC F55(PPM1)の下方調節
MAC F55クローンは、形質膜ATPアーゼ(PPM1、ペチュニア形質膜ATPアーゼ1)(SEQ ID NO:1)をコードし、および既に単離されているATPアーゼと比較的高い配列同一性を有する。しかしながら、本ATPアーゼ遺伝子ファミリーの異なるメンバーのアラインメントによって、PPM1は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)由来のAHA10およびタバコ(Tobacco)由来のPMA9と一緒にクラスIIIの中でグループを成すことが示されている(Arango et al. Planta, 216:335-365, 2003)。これらのタンパク質は全て、ポンプの活性を調節する14.3.3因子との相互作用の部位を表す、C末端部分において、その他の形質ATPアーゼから分岐している。細胞局在および機能は、このグループのどのメンバーについても今までに定義されておらず、PPM1が形質膜以外のその他の細胞膜に存在する可能性が開かれたままである。Baxterら(PNAS, 102:2649-2654, 2005)による最近の刊行物は、シロイヌナズナAHA10突然変異体の解析を記載している。AHA10は、プロアントシアニジンおよび液胞生合成に特異的な効果を有すると記載された。特徴付けされたaha10突然変異体は、それらの種子殻におけるプロアントシアニジンのレベルを減少させ、および種子殻内皮細胞は、野生型種子において観察されるような1つの中心液胞ではなく、多くの小さい液胞を示していた。
花表皮細胞の液胞内腔の酸性化におけるPPM1遺伝子の役割を評価するために、野生型ペチュニア植物(V30×M1)を2つの逆反復構築物で形質転換した:両方ともCaMV 35Sプロモーターの制御下にある、PPM1フルサイズcDNA(SEQ ID NO:1)のヌクレオチド2671からヌクレオチド3170にまで及ぶ233bp逆反復およびPPM1フルサイズcDNA(SEQ ID NO:1)のヌクレオチド2937からヌクレオチド3170にまで及ぶ499bp逆反復。
逆反復構築物(Gateway)
ペチュニアR27花弁cDNAライブラリーをPPM1の32P標識断片でハイブリダイズした。PPM1断片は、ペチュニア花弁から単離されたRNA由来の鋳型としての第1鎖cDNAならびにプライマー#1702(SEQ ID NO:52)および#1703(SEQ ID NO:53)によるPCR増幅を用いて作製した。製造元のプロトコルに従って、cDNAの2重5'急速増幅(5'/3'-RACEキット第2世代, Roche, USA)を用いて、全長PPM1配列を得た。プライマー#1703(SEQ ID NO:53)、#1742(SEQ ID NO:55)、および#1832(SEQ ID NO:61)を第1の5'-RACEのために用い、一方プライマー#1789(SEQ ID NO:58)、#1812(SEQ ID NO:59)、および#1831(SEQ ID NO:60)を第2の5'-RACEのために用いた。
全ての増幅におけるPCR条件は以下の通りであった:96℃、30秒、65℃、30秒、および72℃ 3分間、32サイクル(T3サーモサイクラー, Biometra)。
(表8)PPM1断片の増幅において使用されたプライマー
Figure 2008534021
以下のプライマーを用いて2つのPPM1 cDNA断片(AおよびB)が増幅された:A、#1703(SEQ ID NO:53)および#1702(SEQ ID NO:52)ならびにB、#1703(SEQ ID NO:53)および#1750(SEQ ID NO:56)。その後、PCR産物をベクターpGemt-easy(Promega)にライゲートした。正しいインサートを含むクローンをPCRで選択し、EcoRIで消化し、その後Gateway系(INVITROGEN)のエントリーベクターpDONR207(I)のEcoRI制限部位にクローン化した。Gateway LR組換え反応(INVITROGEN)を用いて、インサートをpK7GWIWG2(I)に移し替え、およびコンピテント大腸菌(E.coli)DH5α細胞内に形質転換した。pK7GWIWG2(I)イントロンリバースプライマー(#1777)と一緒の35Sプロモーター(#27)、およびイントロンフォワードプライマー(#1778)と一緒の35Sターミネーター(#629)のプライマー組み合わせで、逆反復配置のインサートを含むクローンを選択した。その後、これらのクローン、pK7GWIWG2(I)-PPM1-1(図1)およびpK7GWIWG2(I)-PPM1-2(図2)を、エレクトロポレーションによってアグロバクテリウム トゥメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入し、ならびに葉片形質転換によってペチュニアにトランスフェクトした。形質転換植物を250マイクログラム/mlのカナマイシンを含むMSプレート上で選択し、および発根後、通常の温室条件で生育させた。
pK7GWIWG2(I)-PPM1-1を用いて産生された6つのトランスジェニック植物のうち、6つが赤から紫/青への花色の変化を結果的にもたらした。pK7GWIWG2(I)-PPM1-2を用いて産生された3つのトランスジェニック植物のうち、3つが赤から紫/青への花色の変化を結果的にもたらした。色の変化は内在性PPM1転写産物のサイレンシングおよび約0.5ユニットの粗雑な花抽出物のpH増大と相関した。TLCおよびHPLCによって決定された場合、サイレンシングされた植物の花で蓄積されたアントシアニン色素の量および種類に対する効果は検出されなかった。
PPM1のサイレンシングを示すそれらのトランスジェニック植物だけでなく異なるペチュニアpH座に突然変異があるペチュニア植物も、依然としてペチュニア由来の形質膜ATPアーゼファミリーの別のメンバー、すなわちPPM2を発現する。
PPM2は、植物細胞における形質膜局在が示されているニコチアナ(Nicotiana)由来のPMA4およびシロイヌナズナ由来のAHA2を含むクラスIIの形質ATPアーゼタンパク質との高い相同性だけでなく、酵母におけるpmp1突然変異体を相補する能力および14.3.3タンパク質によるそれらの調節も示す(Jahn et al, JBC, 277, 6353-6358, 2002)。
(表9)PPM2断片の増幅において使用されたプライマー
Figure 2008534021
液胞の酸性化におけるP型ATPアーゼのあり得る関与が以前に一度も提案されていないので、PPM-1遺伝子は興味深い。ペチュニアにおけるPPM1発現の予備的解析から、本遺伝子は(植物中のその他の場所では発現せず)花舷部で特異的に発現していることが見出された。AN1、PH3、またはPH4に突然変異のあるペチュニア花はPPM-1のいかなる発現も示さず、かつ依然として健康に見えるので、この特定の遺伝子の機能は液胞環境の制御に限定されるが、その一方でそれは細胞質pHの調節には寄与しないと考えたくなる。P-ATPアーゼファミリーのその他のメンバーがこれらの同じ細胞で発現し、および形質膜を通したプロトン勾配を制御しているという可能性もある。
相当に重要な疑問はこのタンパク質の細胞局在に関する。P-ATPアーゼは膜会合タンパク質であるが、この特定の場合には、これによって液胞pH制御におけるその寄与が説明されないので、PPM-1タンパク質が形質膜上に局在することは期待されない。フルサイズPPM-1 cDNAのGFP融合体をペチュニア細胞で発現し(粒子衝突による花での一過性発現)、およびその局在を共焦点顕微鏡によって可視化した。異なる細胞区画および液胞の種類をマーカーGFP融合体によって同定する(Di Sansebastiano et al, Plant Physiology, 126, 78-86, 2001)。PPM-1タンパク質は、後に花表皮細胞の中心液胞に融合するトノプラスト上または小胞に局在するように見え、それにより細胞ホメオスタシスにおけるこれらのタンパク質の役割の新しい見方が開かれている。
PPM-1によりコードされているタンパク質が実際にP-ATPアーゼ活性を有することを確かめるために、PPM-1発現構築物が内在性P-ATPアーゼ活性を失っている酵母Pma1突然変異体を相補する能力を試験する。
花液胞酸性化に至る経路におけるPPM-1の役割に関するさらなる検討は、このクラスのP-ATPアーゼの活性がどのように調節されているかということに関する検討を示唆すると考えられる。既に触れたように、植物におけるクラスIII P-ATPアーゼの機能および調節については何も分かっていない。タンパク質配列はその他のP-ATPアーゼの配列と全体的に非常に相同であるが、これらのタンパク質は、高い活性化の状態に達するのに必要とされる14-3-3タンパク質との相互作用を可能にすることが示されているC末端尾部において異なる配列を有する(Arango et al, 2003, 前記)。これは、このクラスのP-ATPアーゼが14-3-3調節因子と相互作用するか否かという疑問を提起する。PPM-1のこの部分と相互作用するタンパク質を探すためにペチュニア花冠cDNAライブラリーの酵母2ハイブリッドスクリーニングを行ない、およびインビトロでの14-3-3タンパク質に対する結合性について精製PPM-1タンパク質を解析した(オーバーレイアッセイ)。
Thr947のリン酸化もまた、ATPアーゼ活性の調節における重要な工程として認識されている(Jahn et al, 2001, 前記)。ペチュニア由来のPH2遺伝子がクローン化され、かつこれはTHr/Serタンパク質キナーゼをコードするということが示され、およびPPM-1が(直接的または間接的に、例えばタンパク質キナーゼのカスケードを経て)このキナーゼの標的であるかどうかを決定するよう試みられた。この可能性を検討するために、Hys-タグと融合したフルサイズのPPM-1 cDNAを野生型およびph2-ペチュニア植物で発現させた。ニッケルカラムを用いて花抽出物から組換えPPM-1タンパク質を精製し、その後SDS-PAGEおよび抗ATPアーゼおよび抗リン酸化スレオニン抗体による免疫検出を用いて可視化した。それゆえ、これが、このpH制御経路の新しい小部分を再構築するのを助ける可能性がある。
液胞の酸性化に必要不可欠なAN1、PH3、およびPH4の標的遺伝子である、MAC 9F1の下方調節
クローンMAC 9F1のヌクレオチドおよび派生アミノ酸配列(それぞれSEQ ID NO:3および4)は、それぞれ任意の同定された核酸配列または公知の機能のタンパク質との明確な相同性を示さない。しかしながら、9F1の逆反復がペチュニア野生型植物で発現された場合、9F1内在性遺伝子のサイレンシングは、増大した花抽出物pHを伴う青い花を結果的にもたらした。
逆反復構築物(Gateway)
表10に記載されたプライマーおよび上で記載されたようなGateway系を用いて、9F1の逆反復構築物、pK7GWIWG2(I) MAC9F1(図3)を調製した。
逆反復9F1構築物をエレクトロポレーションによってアグロバクテリウム トゥメファシエンスに導入し、および葉片形質転換によってペチュニアにトランスフェクトした。形質転換植物を250マイクログラム/mlのカナマイシンを含むMSプレート上で選択し、および発根後、通常の温室条件で生育させた。
産生された2つのトランスジェニック植物のうち、1つが赤から紫/青への花色の変化を結果的にもたらした。花色の変化は内在性9F1遺伝子のサイレンシングおよび約0.5ユニットの粗雑な花抽出物のpH増大と相関した。TLCおよびHPLCによって決定された場合、サイレンシングされた植物の花で蓄積されたアントシアニン色素の量および種類に対する効果は検出されなかった。
(表10)MAC9F1断片の増幅において使用されたプライマー
Figure 2008534021
9F1遺伝子によってコードされる小タンパク質の機能をさらに洞察するために、一過性アッセイでGFP融合体を検討することにより細胞局在を同定し、およびcDNAライブラリーの酵母2ハイブリッドスクリーニングによってあり得る相互作用パートナーを同定する。9F1の生化学的機能の徴候は、この遺伝子を過剰発現する植物の表現型からも現れ得る。
このタンパク質によるBLAST検索の結果により、小さいファミリーのタンパク質が同定され、そのうち9F1に対する最も高い相同性を有する2つのメンバーはシロイヌナズナおよびイネに由来する。9F1相同体についてのシロイヌナズナノックアウト(KO)突然変異体の特徴付けは、それゆえに、役に立つ可能性がある。
CAC16.5の下方調節
クローンCAC16.5のヌクレオチドおよび派生アミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:5および6に示す。予測アミノ酸配列はシステインプロテアーゼとの比較的高い相同性を示している。これらの酵素の局在は典型的には液胞であり、およびそれらの活性は比較的低い環境pHに依存している。
CAC16.5の逆反復を含む構築物をペチュニア野生型植物に導入した場合、CAC16.5内在性遺伝子のサイレンシングは驚くべきことに、増大した花抽出物pHを伴う青い花を結果的にもたらした。
逆反復構築物(Gateway)
表11に記載されたプライマーおよび上で記載されたようなGateway系を用いて、CAC16.5の逆反復構築物、pK7GWIWG2(I) CAC16.5(図4)を調製した。
逆反復CAC16.5構築物をエレクトロポレーションによってアグロバクテリウム トゥメファシエンスに導入し、および葉片形質転換によってペチュニアにトランスフェクトした。形質転換植物を250マイクログラム/mlのカナマイシンを含むMSプレート上で選択し、および発根後、通常の温室条件で生育させた。
産生された4つのトランスジェニック植物のうち、3つが赤から紫/青への花色の変化を結果的にもたらした。花色の変化は内在性CAC16.5遺伝子のサイレンシングおよび約0.3ユニットの粗雑な花抽出物のpH増大と相関した。TLCおよびHPLCによって決定された場合、サイレンシングされた植物の花で蓄積されたアントシアニン色素の量および種類に対する効果は検出されなかった。
(表11)CAC16.5断片の増幅において使用されたプライマー
Figure 2008534021
システインプロテアーゼの機能は様々なその他のペプチドの切断であるので、CAC16.5のタンパク質分解作用の標的を同定することは興味深いと考えられる。これを行なうために、CAC16.5遺伝子の活性部位のCyc25残基に突然変異がある「餌」プラスミドを、酵母2ハイブリッドスクリーニング用に構築した。これは2つのタンパク質が互いに相互作用する場合に基質の切断を回避すると考えられ、およびCAC16.5の標的をコードする遺伝子を含む「獲物」プラスミドを単離することを可能にすると考えられる。このタンパク質分解活性の標的の特徴付けは、酸性化経路をさらに再構築するのに役立つと考えられる。
野生型、pH突然変異体、およびpH経路の調節因子を過剰発現する植物由来の花の詳細な解析により、表皮細胞の液胞における構造的な違いが最近示された(Quattrocchio et al, 未発表データ)。最も実際的な重要性を持つ違いは、これらの細胞における液胞の面積および形状に関係し、ならびに液胞の構造の高さおよび幅の規定におけるpH遺伝子の役割を暗示している。花弁表皮における細胞の乳頭状の形状はこの組織に特有である(関連する遺伝子の発現検討によって示されたように、この酸性化経路全体がこの組織に限定されている)ので、液胞内腔における酸性度を制御する遺伝子は、ひょっとしたら液胞の種類(例えば、溶解性液胞、貯蔵液胞)およびそれによって細胞個性も規定するということが提案される。
このことを念頭に置いて、特定の工程が液胞の(およびそれによって細胞の)個性の獲得と関連するかどうか、または細胞形状が単に液胞区画の内部pHの2次的な影響であるのかを理解するために、AN1、PH3、およびPH4の事象の経路を詳細に調べる。pH調節経路に沿った異なる遺伝子がサイレンシングされた植物の花における表皮細胞の顕微鏡解析によって、この疑問に対する答えが提供されると考えられ、およびひょっとしたら液胞の多様化の機構を知る機会が与えられると考えられる。
実施例6
その他の種からのpHを調整するcDNAの単離
ペチュニア属の一種(Petunia sp.)、ルリマツリ属の一種(Plumbago sp.)、ブドウ属の一種(Vitis sp.)、ホザキアヤメ(Babiana stricta)、マツ属の一種(Pinus sp.)、トウヒ属の一種(Picea sp.)、カラマツ属の一種(Larix sp.)、インゲン属の一種(Phaseolus sp.)、ナス属の一種(Solanum sp.)、スノキ属の一種(Vaccinium sp.)、シクラメン属の一種(Cyclamen sp.)、アイリス属の一種(Iris ap.)、ペラルゴニウム属の一種(Pelargonium sp.)、ゼラニウム属の一種(Geranium sp.)、エンドウ属の一種(Pisum sp.)、レンリソウ属の一種(Lathyrus sp.)、チョウマメ属の一種(Clitoria sp.)、ニチニチソウ属の一種(Catharanthus sp.)、ゼニアオイ属の一種(Malvia ap.)、ムクナ属の一種(Mucuna sp.)、ソラマメ属の一種(Vicia sp.)、セントポーリア属の一種(Saintpaulia ap.)、サルスベリ属の一種(Lagerstroemia sp.)、チボウチナ属の一種(Tibouchina sp.)、ヒポカリプツス属の一種(Hypocalyptus sp.)、ツツジ属の一種(Rhododendron sp.)、リナム属の一種(Linum sp.)、マクロプティリウム属の一種(Macroptilium sp.)、フヨウ属の一種(Hibiscus sp.)、アジサイ属の一種(Hydrangea sp.)、サツマイモ属の一種(Ipomoea sp.)、ニコチアナ属の一種(Nicotiana sp.)、シンビジウム属の一種(Cymbidium sp.)、ナツフジ属の一種(Millettia sp.)、イワオウギ属の一種(Hedysarum sp.)、ハギ属の一種(Lespedeza sp.)、アサヒカズラ属の一種(Antigonon sp.)、エンドウ属の一種、ベゴニア属の一種(Begonia sp.)、ヤグルマギク属の一種(Centaurea sp.)、ツユクサ属の一種(Commelina sp.)、バラ属の一種(Rosa sp.)、ナデシコ属の一種(Dianthus sp.)(カーネーション)、キク属の一種(Chrysanthemum sp.)(キク)、ガーベラ属の一種(Gerbera sp.)、リンドウ属の一種(Gentiana sp.)、トレニア属の一種(Torenia sp.)、ニーレンベルギア属の一種(Nierembergia sp)、リアトリス属の一種(Liatrus sp.)などのような、しかしこれらに限定されない様々な種において、数多くの色のアントシアニンが産生されている。
多数のこれらの植物がpHを調整する配列を含ということ、およびこれらのpHを調整する配列の下方調節によって花色の変化が結果的にもたらされるということが期待される。
その他の植物種におけるpHを調整すると推定される配列の検出
PPM1(SEQ ID NO:2)、MAC9F1(SEQ ID NO:4)、およびCAC16.5(SEQ ID NO:6)、またはそのように同定されたその他の配列などのpHを調整するポリペプチドの存在は、これらのタンパク質をコードする遺伝子の出現と相関した。その他の種由来のそのような遺伝子は、低いストリンジェンシーの条件下においてPPM1(SEQ ID NO:1)、MAC9F1(SEQ ID NO:3)、およびCAC16.5(SEQ ID NO:5)などのペチュニア配列とハイブリダイズすることが期待されると考えられる。この一例として、多数の花の種からDNAを単離し、ならびに分画したDNAを膜に転写し、および(i)32P標識バラPPM1(SEQ ID NO:98)、図5、または(ii)32P標識ペチュニアMAC9F1(SEQ ID NO:3)およびペチュニアCAC16.5(SEQ ID NO:5)、それぞれ図6および7とハイブリダイズさせるサザン解析に供した。それゆえ、pHを調整するタンパク質をコードすると同定された遺伝子由来のペチュニアまたはバラプローブを用いて、花の種からpHを調整する遺伝子を単離することが可能であるはずである。
以下にまたは本明細書の序論で記載された条件のような低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を用いたSEQ ID NO:1および/または3および/または5によるそれぞれの花弁cDNAライブラリーのスクリーニングによって、上で列記した植物およびその他由来のpHを調整するcDNAの単離を完遂する。
または、上の実施例で列記したプライマーなどのプライマーまたは特異的に設計した縮重プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応を用いて、pHを調整するcDNAの断片の単離を完遂する。増幅産物を細菌プラスミドベクターにクローン化し、およびより長くかつ全長のpHを調整するcDNAクローンを単離するために、それぞれのcDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとしてDNA断片を用いる。cDNAクローンの機能性および特異性は、上で記載された実施例に記載された方法を用いて確かめる。
カーネーション、バラ、ガーベラ、キクなどのようなその他の種からのpH配列の単離
驚くべきことにその他の代謝経路にはいかなる明確な影響も与えずに花弁液胞のpHを調整する配列(SEQ ID NO:1〜6)の同定により、様々な分子生物学および/またはタンパク質化学の方法による任意のその他の種からの類似の配列の単離の可能性が考慮に入れられる。これらは、花弁組織から単離されたRNA由来のcDNAライブライリーの調製、標識されたペチュニア配列(SEQ ID NO:1、3、および5)をプローブとして用いた低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を用いた花弁cDNAライブラリーのスクリーニング、ハイブリダイズする精製cDNAクローンのシークエンシングならびにこれらの配列のペチュニア配列(SEQ ID NO:1〜6)との比較ならびに任意の配列同一性および類似性の探索、単離されたcDNAの発現プロファイルの決定および花弁で優先的に発現しているクローンの選択、例えば、アンチセンス発現、共抑制、またはRNAi発現を用いて特定の配列が植物でサイレンシングされるのを可能にする遺伝子構築物の調製を含むが、これらに限定されない。理想的には、関心対象の植物はまたデルフィニジン(またはその誘導体)を産生していると考えられる。これは、国際特許出願PCT/AU92/00334および/またはPCT/AU96/00296および/またはPCT/JP04/11958および/またはPCT/AU03/01111で記載されたようなフラボノイド3'、5'水酸化酵素(F3'5'H)配列を発現することによって達成し得る。
花弁cDNAライブラリーの調製
Turpen and Griffith(BioTechniques 4:11-15, 1986)の方法を用いて、花の花弁組織からトータルRNAを単離する。oligotex-dT(商標)(Qiagen)を用いて、または3サイクルのオリゴ-dTセルロースクロマトグラフィーによって、ポリ(A)+ RNAをトータルRNAより選択する(Aviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408, 1972)。
λZAPII/ギガパックIIクローニングキット(Stratagene, USA)(Short et al, Nucl. Acids Res. 16:7583-7600, 1988)を用いて、花弁から単離されたおよそ5μgのポリ(A)RNAを鋳型として用いて、λZAPII中の方向性のある花弁cDNAライブラリーを構築する。
XL1-Blue MRF'細胞をトランスフェクトした後、パッケージされたcDNA混合物を15cm直径プレート当たりおよそ50,000 pfuでプレーティングする。プレートを37℃で8時間インキュベートし、およびファージを100mM NaCl、8mM MgSO4、50mM Tris-HCl pH 8.0、0.01%(w/v)ゼラチン(ファージ保存緩衝剤(PSB))中で溶出する(Sambrook et al, 1989, 前記)。クロロフォルムを添加し、および増幅されたライブラリーとしてファージを4℃で保存する。
XL1-Blue MRF'細胞をトランスフェクトした後、15cmプレート当たりおよそ10,000 pfuの密度で、およそ100,000 pfuの増幅されたライブラリーをNZYプレート(Sambrook et al, 1989, 前記)上にプレーティングし、その後37℃で8時間インキュベートする。終夜4℃でのインキュベーション後、コロニー/プラークスクリーン(商標)濾紙(DuPont)上に複製リフトを取り、製造元によって推奨されている通りに処置する。
プラスミド単離
ヘルパーファージR408(Stratagene, USA)を用いて、製造元によって記載されている方法を用いて、増幅されたλZAPIIまたはλZAP cDNAライブラリー由来のcDNAインサートを含むpBluescriptファージミドを切り取る。
花弁cDNAライブラリーのスクリーニング
ハイブリダイゼーションの前に、複製プラークリフトを予洗溶液(50mM Tris-HCl pH 7.5、1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)サルコシン)中で、65℃で30分間洗浄し;次いで0.4M水酸化ナトリウム中で、65℃で30分間洗浄し;その後、0.2M Tris-HCl pH 8.0、0.1×SSC、0.1%(w/v)SDSの溶液中で、65℃で30分間洗浄し、および最後に2×SSC、1.0%(w/v)SDS中で濯いだ。
花弁cDNAライブラリー由来の膜リフトをペチュニアPPM1(SEQ ID NO:1)またはペチュニア9F1(SEQ ID NO:3)またはペチュニアCAC16.5(SEQ ID NO:5)の32P標識断片とハイブリダイズさせる。
ハイブリダイゼーション条件は、10% v/vホルムアミド、1M NaCl、10% w/vデキストラン硫酸、1% w/v SDS中、42℃で少なくとも1時間のプレハイブリダイゼーション工程を含む。その後、(各1×106 cpm/mLの)32P標識断片をハイブリダイゼーション溶液に添加し、およびハイブリダイゼーションを42℃でさらに16時間継続する。その後、濾紙を2×SSC、1% w/v SDS中で、42℃で2×1時間洗浄し、および−70℃で16時間、増感スクリーンによってKodak XARフィルムに感光させる。
強くハイブリダイズするプラークを選んでPSB(Sambrook et al, 1989, 前記)に入れ、およびcDNAライブラリーの最初のスクリーニングについて記載された通りのプレーティングおよびハイブリダイゼーション条件を用いて、精製プラークを単離するために再スクリーニングする。λZAPIIまたはλZAPバクテリオファージベクター中に含まれるプラスミドをレスキューし、ならびにcDNAインサートの3'および5'末端から配列データを作成する。ペチュニアPPM1(SEQ ID NO:1および2)、MAC9F1(SEQ ID NO:3および4)、またはCAC16.5(SEQ ID NO:5および6)との核酸および予測アミノ酸配列類似性に基づいて、新しいpHを調整するcDNAクローンを同定する。
バラからのPPM cDNA相同体の単離
上で記載されている手順および製造元によって推奨されている手順に従って、バラ花弁組織から単離されたトータルRNAおよびλZAP cDNA合成キット(Stratagene)を利用して、バラ(栽培品種、「ローテローゼ」)花弁cDNAライブラリーを構築した。このように、バラPPM1 cDNAの単離用に3×105 pfuのライブラリーを構築した。
cDNAライブラリーを以下のように探査した。DIG標識ペチュニアPPM1 R27 cDNA断片。ペチュニアPPM1配列(SEQ ID NO:1)に基づいてPPM1断片のDIG標識用のプライマーセットを設計した。
Figure 2008534021
プローブの標識用に用いたPCR条件は以下の通りであった。
94℃ 1分×1
94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 1分×25
72℃ 7分×1
製造元の取扱説明書に従って、Hybond-N(Amersham)膜を使用および処置した。ハイブリダイゼーションの前に、複製プラークリフトを予洗溶液(50mM Tris-HCl、pH 7.5、1M NaCl、1mM EDTA、0.1%サルコシン)中で、65℃で30分間洗浄した。これに次いで0.4M水酸化ナトリウム中で、65℃で30分間洗浄し、その後、0.2M Tris-HCl、pH 8.0、0.1×SSC、0.1%(w/v)SDSの溶液中で、65℃で30分間洗浄し、および最後に2×SSC、1.0%(w/v)SDS中で濯いだ。
ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション緩衝剤(5×SSC、30%ホルムアミド、2%ブロッキング試薬、0.1% N-ラウロイルサルコシン(ナトリウム塩)、1% SDS、50mM リン酸-Na緩衝剤(pH 7.0))中の37℃で2〜3時間のプレハイブリダイゼーション工程を含んだ。プレハイブリダイゼーション緩衝剤の除去の後、DIG標識プローブを添加すると共に、ハイブリダイゼーション緩衝剤(5×SSC、30%ホルムアミド、2%ブロッキング試薬、0.1% N-ラウロイルサルコシン(ナトリウム塩)、1% SDS、50mM リン酸-Na緩衝剤(pH 7.0))を含むハイブリダイゼーション混合物を添加した。終夜37℃でハイブリダイゼーションを実行した。この後、濾紙を各々55℃で1時間、2回洗浄した。
スクリーニング用に300,000 pfuのバラcDNAライブラリーを最初にプレーティングした。2ラウンドのスクリーニングにより、36の陽性にハイブリダイズするクローンが産出された。製造元の取扱説明書に従って、これをインビトロで切り取った。各々の場合において、切り取ったcDNAをファージミドベクターpBluescript SK-にクローン化し、およびインサートをその後シークエンスした。もとの36のうち、3つのクローンが同一のcDNAをコードすることが分かり、それらのうちで最も長い、PPM1をさらなる解析のために用いた。ペチュニアPPM1クローンとの相同性という理由で、この配列(SEQ ID NO:98)をバラPPM1クローンと同定した。ペチュニアPPM1配列と共にアラインした場合の(SEQ ID NO:99)推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:2)はまた、このクラスのP-ATPアーゼの「証拠となるもの」または典型であると同定されているC末端における同じ3つのアミノ酸残基を含んでいた。
カーネーションからのPPM cDNA相同体の単離
カーネーションPPM1 cDNAのスクリーニングは、組み合わせたバラおよびペチュニアプローブまたは個々のプローブのいずれかを利用することができた。最初に、バラPPM1を用いてカーネーションcDNAライブラリーをスクリーニングした。
カーネーション栽培品種コルチナシャネルcDNAライブラリーの構築
20マイクログラムのトータルRNAを段階1、2、および3のコルチナシャネル花から単離し、ならびに1×Superscript(商標)反応緩衝剤、10mMジチオスレイトール(DTT)、500μM dATP、500μM dGTP、500μM dTTP、500μM 5-メチル-dCTP、2.8μg ZAP-cDNAギガパックIIIゴールドクローニングキット(Stratagene)由来のプライマーリンカーオリゴ、および2μl Superscript(商標)逆転写酵素(BRL)を含む50μl容量中で逆転写した。反応混合物を37℃で60分間インキュベートし、その後氷上に置いた。ZAP-cDNAギガパックIIIゴールドクローニングキット(Stratagene)を用いてライブラリー構築を完遂した。組み換え体の総数は2.4×106であった。
その後、PPM1配列をスクリーニングする前に、ライブラリーを1.95×105 pfu(トータル)の力価にした。250μl 20%マルトースおよび250μl 1M MgSO4を補充した25ml LB中のXL1 Blue MRF'細胞の25ml培養をOD600 0.6〜1までインキュベートした。細胞を4,000rpmで10分間、遠心分離し、その後10mM MgSO4中で穏やかに再懸濁した。混合物を氷上で保存した。200μlのXL1 Blue MRF'細胞を12mlファルコンチューブに置き、および10μlの希釈したライブラリーを添加し、および37℃で15分間インキュベートした。これに(50℃に保たれた)5ml NZYトップアガーを添加し、確実に気泡がないようにするために穏やかにひっくり返し、および予め42℃で温めた小さい(30ml)NZYプレートの上に注いだ。これらを室温でインキュベートし、およそ15分間固まらせた。プレートを逆さまにし、および37℃で終夜インキュベートしてプラークを形成させた。
12の大きいプレートに対してプレート当たり40,000 Pfuでライブラリーをプレーティングし、したがって初回スクリーニングには500,000プラークが含まれた。250μl 20%マルトースおよび250μl 1M MgSO4を補充した25ml LB中のXL1 Blue MRF'細胞の25ml培養をOD600 0.6〜1までインキュベートした。細胞をエッペンドルフ遠心管中で4,000rpm(およそ3,000g)で10分間、遠心分離し、その後10mM MgSO4中で穏やかに再懸濁し、および氷上に置いた。プレート当たり40,000pfu/10μlを作製するように、そのようなライブラリーの適当な希釈を作った。上で略述した手順の後に、PPM1、MAC9F、およびCAC16.5などのpHを調整する配列のスクリーニングの準備として、ナイロン膜への転写用に12プレートを作製した。
転写後、濾紙を65℃で15分間予洗溶液に移し、その後室温で15分間変性溶液に移し、その後室温で15分間中和溶液に移した。
PCRを用いて作製した32P標識バラPPM1 DNAプローブとの42℃での終夜ハイブリダイゼーションの前に、濾紙を42℃で少なくとも1時間の20mlの20% NEN(低いストリンジェンシー)中でのプレハイブリダイゼーションに供した(ボトル当たり6つの大きい濾紙)。低いストリンジェンシーの洗浄を以下のように実行した:6×SSC/1%SDS 55℃ 1時間×2、2×SSC/1%SDS 42℃ 40分間、2×SSC/1%SDS 50℃ 20分間、および2×SSC/1%SDS 65℃ 30分間。相対的なハイブリダイゼーションシグナルに基づいて24の陽性と推定されるものを選択し、およびこれらを2次スクリーニング用に回収した。
陽性「プラグ」を切り取り、ならびに500μlのPSBおよび20μlクロロホルムを含むエッペンドルフチューブ中に置いた。これらを室温で4時間攪拌し、これまでと同様にプレーティング用に1μlを除去してPSB中に入れる前に、安定させた。バラ(上を参照)の場合と同様に、記載されたような単離されたcDNAに由来する推定アミノ酸配列のC末端配列の配列アラインメントおよびより綿密な調査に基づいて、単離されたクローンのどれかが実際にカーネーションPPM1であるか否かということが、配列解析によって明らかになると考えられる。
実施例7
pHを調整する配列の使用
通常デルフィニジンを基にした色素を産生せず、ならびにジヒドロフラボノール、特にジヒドロケンフェノールおよび/またはジヒドロケルセチンに水酸基を入れることができるフラボノイド3' 5'水酸化酵素を含まない種または種の栽培品種における花弁液胞のpHを調整する(増大または減少させる)ために、(国際特許出願PCT/AU92/00334および/もしくはPCT/AU03/0111で記載されたようなF3'5'H遺伝子などの、しかしこれらには限定されない)F3'5'H遺伝子ならびにpHを調整または変更する配列の組み合わせを含む構築物を通常デルフィニジンを基にした色素を産生しない種に導入した。そのような植物は、バラ、カーネーション、キク、ガーベラ、ラン、ユーホルビア(Euphorbia)、ベゴニア(Begonia)、およびリンゴを含んでもよいが、これらに限定されない。
デルフィニジンまたはシアニジンを産生するが、示される色が青でないような液胞のpHを有する種または種の栽培品種における花弁液胞のpHを調整するために、1つまたは複数のpHを調整する配列を含む構築物をそのような種に導入した。そのような植物は、パンジー、ニーレンベルギア、トルコキキョウ、ブドウ蔓の栽培品種、ユリ、カランコエ(Kalanchoe)、ペラルゴニウム、インパチェンス(Impatiens)、ニチニチソウ、シクラメン、トレニア、ペチュニア、およびフクシア(Fuchsia)を含むが、これらに限定されない。
カーネーション、バラ、ガーベラ、キクなどのようなその他の種からのpH配列の単離
驚くべきことにその他の代謝経路にはいかなる明確な影響も与えずに花弁液胞のpHを調整する配列(SEQ ID NO:1〜6)の同定により、様々な分子生物学および/またはタンパク質化学の方法による任意のその他の種からの類似の配列の単離の可能性が考慮に入れられる。これらは、花弁組織から単離されたRNA由来のcDNAライブライリーの調製、標識されたペチュニア配列(SEQ ID NO:1、3、および5)をプローブとして用いた低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を用いた花弁cDNAライブラリーのスクリーニング、ハイブリダイズする精製cDNAクローンのシークエンシングならびにこれらの配列のペチュニア配列(SEQ ID NO:1〜6)との比較ならびに任意の配列同一性および類似性の探索、単離されたcDNAの発現プロファイルの決定および花弁で優先的に発現しているクローンの選択、例えば、アンチセンス発現、共抑制、またはRNAi発現を用いて特定の配列が植物でサイレンシングされるのを可能にする遺伝子構築物の調製を含むが、これらに限定されない。理想的には、関心対象の植物はまたデルフィニジン(またはその誘導体)を産生していると考えられる。これは、国際特許出願PCT/AU92/00334および/またはPCT/AU96/00296および/またはPCT/JP04/11958および/またはPCT/AU03/01111で記載されたようなフラボノイド3'、5'水酸化酵素(F3'5'H)配列を発現することによって達成し得る。
花弁cDNAライブラリーの調製
Turpen and Griffith(BioTechniques 4:11-15, 1986)の方法を用いて、花の花弁組織からトータルRNAを単離する。oligotex-dT(商標)(Qiagen)を用いて、または3サイクルのオリゴ-dTセルロースクロマトグラフィーによって、ポリ(A)RNAをトータルRNAより選択する(Aviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408, 1972)。
λZAPII/ギガパックIIクローニングキット(Stratagene, USA)(Short et al, Nucl. Acids Res. 16:7583-7600, 1988)を用いて、花弁から単離されたおよそ5μgのポリ(A)RNAを鋳型として用いて、λZAPII中の方向性のある花弁cDNAライブラリーを構築する。
XL1-Blue MRF'細胞をトランスフェクトした後、パッケージされたcDNA混合物を15cm直径プレート当たりおよそ50,000 pfuでプレーティングする。プレートを37℃で8時間インキュベートし、およびファージを100mM NaCl、8mM MgSO4、50mM Tris-HCl pH 8.0、0.01%(w/v)ゼラチン(ファージ保存緩衝剤(PSB))中で溶出する(Sambrook et al, 1989, 前記)。クロロフォルムを添加し、および増幅されたライブラリーとしてファージを4℃で保存する。
XL1-Blue MRF'細胞をトランスフェクトした後、15cmプレート当たりおよそ10,000 pfuの密度で、およそ100,000 pfuの増幅されたライブラリーをNZYプレート(Sambrook et al, 1989, 前記)上にプレーティングし、その後37℃で8時間インキュベートする。終夜4℃でのインキュベーション後、コロニー/プラークスクリーン(商標)濾紙(DuPont)上に複製リフトを取り、製造元によって推奨されている通りに処置する。
プラスミド単離
ヘルパーファージR408(Stratagene, USA)を用いて、製造元によって記載されている方法を用いて、増幅されたλZAPIIまたはλZAP cDNAライブラリー由来のcDNAインサートを含むpBluescriptファージミドを切り取る。
花弁cDNAライブラリーのスクリーニング
ハイブリダイゼーションの前に、複製プラークリフトを予洗溶液(50mM Tris-HCl pH 7.5、1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)サルコシン)中で、65℃で30分間洗浄し;次いで0.4M水酸化ナトリウム中で、65℃で30分間洗浄し;その後、0.2M Tris-HCl pH 8.0、0.1×SSC、0.1%(w/v)SDSの溶液中で、65℃で30分間洗浄し、および最後に2×SSC、1.0%(w/v)SDS中で濯いだ。
花弁cDNAライブラリー由来の膜リフトをペチュニアPPM1(SEQ ID NO:1)またはペチュニア9F1(SEQ ID NO:3)またはペチュニアCAC16.5(SEQ ID NO:5)の32P標識断片とハイブリダイズさせる。
ハイブリダイゼーション条件は、10% v/vホルムアミド、1M NaCl、10% w/vデキストラン硫酸、1% w/v SDS中、42℃で少なくとも1時間のプレハイブリダイゼーション工程を含む。その後、(各1×106 cpm/mLの)32P標識断片をハイブリダイゼーション溶液に添加し、およびハイブリダイゼーションを42℃でさらに16時間継続する。その後、濾紙を2×SSC、1% w/v SDS中で、42℃で2×1時間洗浄し、および−70℃で16時間、増感スクリーンによってKodak XARフィルムに感光させる。
強くハイブリダイズするプラークを選んでPSB(Sambrook et al, 1989, 前記)に入れ、およびcDNAライブラリーの最初のスクリーニングについて記載された通りのプレーティングおよびハイブリダイゼーション条件を用いて、精製プラークを単離するために再スクリーニングする。λZAPIIまたはλZAPバクテリオファージベクター中に含まれるプラスミドをレスキューし、ならびにcDNAインサートの3'および5'末端から配列データを作成する。ペチュニアPPM1(SEQ ID NO:1および2)、MAC9F1(SEQ ID NO:3および4)、またはCAC16.5(SEQ ID NO:5および6)との核酸および予測アミノ酸配列類似性に基づいて、新しいpHを調整するcDNAクローンを同定する。
バラPPM1の下方調節のための植物形質転換ベクターの構築
バラ花弁におけるバラPPM1の下方調節または遺伝子ノックアウトを目指した植物形質転換ベクターの構築の基礎として、バラPPM cDNAを用いた。したがって、バラPPM1のノックアウトは花弁液胞のpHの上昇および花色の変化をもたらすと考えられた。遺伝子ノックアウトを達成するために、バラPPM1用のdsRNAの産生を目指した戦略を用いた。したがって、cDNAの5'配列の600bpを用いてヘアピン構造を人工的に作製し、およびバイナリーベクターpBinPLUSの中のCaMV 35S:大量発現カセットに組み入れた。この構築物をpSFL631と名付けた(図8)。下に記載された方法に従って、バラ組織の形質転換の準備として、それをアグロバクテリウム トゥメファシエンスに導入した。花弁組織に対するバラPPM1ノックアウトカセットの発現の確認を目指したさらなる構築物が現在進行中である。そのような戦略の一例は、バラCHSプロモーターの使用を含むと考えられる。アントシアニン生合成経路のその他の遺伝子は、望み通りに遺伝子カセットの発現を花弁に限定するためのプロモーターの有用な供給源であると考えられる。RNAiなどの技術を用いて、標的遺伝子を下方調節またはサイレンシングするように典型的に設定されたpHを調整する配列の発現である、(i)遺伝子ノックアウトまたはサイレンシング、および(ii)遺伝子発現の特異性を変更するために、さらなる構築物に含まれる配列の操作を用いる。そのようなpHを調整する配列は、バラ由来のPPM1、MAC9F1、およびCAC16.5相同体を含むと考えられる。
カーネーションPPM1の下方調節のための植物形質転換ベクターの構築
カーネーション花弁におけるバラPPM1の下方調節または遺伝子ノックアウトを目指した植物形質転換ベクターの構築の基礎として、カーネーションPPM cDNAを用いる。したがって、カーネーションPPM1のノックアウトは花弁液胞のpHの上昇および花色の変化をもたらすと考えられる。遺伝子ノックアウトを達成するために、カーネーションPPM1用のdsRNAの産生を目指した戦略を用いるべきである。したがって、PPM1配列に特異的な領域由来のcDNAの配列を用いてヘアピン構造を人工的に作製し、ならびに(i)構成的、および(ii)花弁特異的遺伝子発現カセットの両方に組み入れる。前者においてはCaMV 35S発現カセット(CaMV 35Sプロモーターおよびターミネーターエレメント)ならびに後者においてはカーネーション由来の花弁特異的プロモーター。カーネーションANS遺伝子由来プロモーターは、人工的に改変され得る花弁特異的発現用のプロモーターの一例である。アントシアニン経路遺伝子は、花弁特異的遺伝子発現を制御するためのプロモーターの有用な供給源を提供する。しかしながら、そのような発現はこれらのプロモーターの使用に限られない。dsRNA(RNAi)遺伝子サイレンシング構築物は、全て35SプロモーターまたはカーネーションANS遺伝子由来のプロモーターなどの花弁特異的プロモーターの制御下にある介在する182bpイントロンを伴う500bp逆反復を基にしている。
カーネーションPPM1−ANS中間体
BamHIを用いてイントロンをpCGP1275(図9)にクローン化し、pCGP1275iを創出する。その後、XbaI/BamHIを用いてセンスカーネーションPPM1(carnPPM1)をpCGP1275iにクローン化し、pCGP1275i-s-carnPPM1を創出する。その後、PstI/XbaIを用いてアンチセンスPPM1をpCGP1275i-s-carnPPM1にクローン化し、pCGP3210(図10)を創出する。
pWTT2132バイナリー形質転換ベクター中のカーネーションPPM1−ANS
その後、carnPPM1/ANSカセットをpCGP3210からXhoI(ブラント)で切り出してバイナリー形質転換ベクターpWTT2132(図11)にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3211(図12)を創出する。
pBinPLUSバイナリー中のカーネーションPPM1−ANS
carnPPM1/ANSカセットを再びpCGP3210 からXhoI(ブラント)で切り出し、およびpBinPLUS KpnI(ブラント)にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3215(図13)を創出する。
pCGP2355バイナリー中のカーネーションPPM1−ANS
carnPPM1/ANSカセットを再びpCGP3210から切り出してpCGP2355(図14)にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3217(図15)を創出する。
PPM1−35S中間体
BamHIを用いてカーネーションANSイントロンをpCGP2756(図16)にクローン化し、pCGP2756iを創出する。その後、EcoRI/BamHIを用いてcarnPPM1をpCGP2756iにクローン化し、pCGP2756i-s-carnPPM1を創出する。その後、SacI/XbaIを用いてアンチセンスPPM1をpCGP2756i-s-carnPPM1にクローン化し、pCGP3212(図17)を創出する。
pWTT2132バイナリー中のカーネーションPPM1−35S
その後、carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からPstIで切り出してpWTT2132にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3213(図18)を創出する。
pBinPLUSバイナリー中のカーネーションPPM1−35S
その後、carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からHindIIIで切り出してpWTT2132にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3214(図19)を創出する。
pCGP2355バイナリー中のカーネーションPPM1−35S
carnPPM1/ANSカセットをpCGP3212からHindIIIで切り出してpCGP2355(図14)にライゲートし、バイナリー形質転換ベクターpCGP3216(図20)を創出する。
上で作製された形質転換ベクターは、数多くの異なる標的および組織におけるpH調整を人工的に改変するために用いられることになっている。一般に、カーネーションPPM1のサイレンシングなどの、pHを調節する配列の発現は、構成的または花弁特異的のいずれかであると考えられる。形質転換のための標的は、デルフィンジンを産生するカーネーションおよび産生しないカーネーションの両方を含むと考えられる。各々の場合において、pH調整の効率の評価は、pHの測定および/または色の変化の可視化を通して測定されると考えられる。
pHを調整する遺伝子の下方調節のための植物形質転換ベクターの構築
PPM1、MAC9F1、およびCAC16.5、ならびにカーネーション、バラ、ガーベラ、キク、およびその他の商品価値のある花種におけるそれらの相同体などのpHを調整する遺伝子を下方調節またはサイレンシングするために、上の戦略が用いられると予想される。典型的には、そのような戦略は、標的種からの相同体の単離を必然的に含むと考えられる。しかしながら、適当な配列の保存を考えれば、RNAiなどの遺伝子サイレンシング技術は種を超えて適用することができるので、戦略はこのアプローチに限られない。そのような戦略が種を超えて有効かどうかという決定は、しかしながら、標的種からの相同体の単離および特徴付けによって最もよく達せられ得る。そのような特徴付けは、PPM1、MAC9F1、およびCAC16.5などのpHを調整する遺伝子のヌクレオチド配列およびその後の推定アミノ酸配列の決定を含むと考えられる。したがって、バラPPM1配列を用いて、カーネーション、ガーベラ、またはキクなどの別の種での使用のための効果的なpHを調整する遺伝子サイレンシング構築物を設計し得ると考えられる。
上で記載されたベクターなどの、バイナリー形質転換ベクターを植物形質転換実験で用いて、所望の遺伝子、本件ではpHを調整する遺伝子を持つ植物を作製する。この様式においてこそ、ペチュニア、バラ、およびカーネーション由来のpHを調整する遺伝子を用いて、バラ、カーネーション、ガーベラ、キク、およびその他の商品価値のある花種における花弁pHおよびしたがって花色を変更することが意図される。
植物形質転換
バラ(Rosa hybrida)形質転換
米国特許出願第542,841号(PCT/US91/04412)もしくはRobinson and Firoozabady(Scientia Horticulturae, 55:83-99, 1993)もしくはRout et al.(Scientia Horticulturae, 81:201-238, 1999)もしくはMarchant et al.(Molecular Breeding 4:187-194, 1998)もしくはLi et al(Plant Physiol Biochem., 40:453-459, 2002)もしくはKim et al(Plant Cell Tissue and Organ Culture, 78, 107-111, 2004)に記載された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、バラへのpHを調整する配列の導入を達成する。
カーネーション(Dianthus caryophyllus)形質転換
国際特許出願PCT/US92/02612号、もしくは国際特許出願PCT/AU96/00296号、Lu et al.(Bio/Technology 9:864-868, 1991)、Robinson and Firoozabady(1993, 前記)に記載された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、カーネーションへのpHを調整する配列の導入を達成する。
キク形質転換
da Silva(Biotechnology Advances, 21 715-766, 2003)もしくはAswash et al(Plant Science 166, 847-854, 2004)もしくはAida et al(Breeding Sci. 54, 51-58, 2004)に記載された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、キクへのpHを調整する配列の導入を達成する。
ガーベラ形質転換
Elomma and Teeri(YPS Bajaj, 編, Biotechnology in Agriculture and Forestry, Transgenic Crops III,. Springer-Verlag, Berlin, 48, 139-154, 2001において)に記載された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、ガーベラへのpHを調整する配列の導入を達成する。
観賞植物形質転換
Deroles et al(Geneve RL, Preece JE & Markle SA(編)Biotechnology of Ornamental Plants CAB International, Wallingford 87-119, 1997:において)もしくはTanaka et al(Chopra VL, Malik VS & Bhat SR(編)Applied Plant Biotechnology. Oxford & IBH, New Delhi, 177-231, 1999:において)もしくはTanaka et al(Plant Cell, Tissue and Organ Culture 80, 1-24, 2005)に記載または概説された方法を用いて、または当技術分野において周知の任意のその他の方法によって、観賞植物へのpHを調整する配列の導入を達成する。
本明細書において記載された本発明は、具体的に記載されたこと以外の変形および改変を許すということを、当業者は正しく認識すると考えられる。本発明は全てのそのような変形および改変を含むということが理解されるべきである。本発明はまた、個別的または総体的に、本明細書において言及されまたは示された工程、特色、組成物、および化合物の全て、ならびに任意の2つまたはそれより多くの工程または特色の任意および全ての組み合わせを含む。
書誌
Figure 2008534021
Figure 2008534021
Figure 2008534021
レプリコンpK7GWIWG2(I) PPM1-1 10639bpのダイアグラム表示である。 レプリコンpK7GWIWG2(I) PPM1-2 1171bpのダイアグラム表示である。 レプリコンpK7GWIWG2(I) MAC9F1 10801bpのダイアグラム表示である。 レプリコンpK7GWIWG2(I) CAC16.5 10763bpのダイアグラム表示である。 32P標識バラPPM1断片でプローブしたサザンブロットのオートラジオグラフィーの写真表示である。各レーンには、EcoRIで消化した10μgのDNAが含まれた。洗浄条件は:2回の6×SSC/1%SDS、50℃、1時間であった。レーンには以下由来のDNAが含まれた:M:マーカー、1:アネモネ、2:カーネーション、3:キク、4:ガーベラ、5:ヒアシンス、6:アイリス、7:リアトラス(Liatrus)、8:パンジー(ビオラ)、9:ペチュニア、10:ニーレンベルギア、11:バラ、12:タバコ。 32P標識ペチュニアCAC16.5断片でプローブしたサザンブロットのオートラジオグラフィーの写真表示である。各レーンには、EcoRIで消化した10μgのDNAが含まれた。洗浄条件は:6×SSC/1%SDS、50℃、30分間であった。レーンには以下由来のDNAが含まれた:M:マーカー、1:アネモネ、2:カーネーション、3:キク、4:ガーベラ、5:ヒアシンス、6:アイリス、7:リアトラス(Liatrus)、8:パンジー(ビオラ)、9:ペチュニア、10:ニーレンベルギア、11:バラ、12:タバコ。 32P標識ペチュニアMAC9F1断片でプローブしたサザンブロットのオートラジオグラフィーの写真表示である。各レーンには、EcoRIで消化した10μgのDNAが含まれた。洗浄条件は:6×SSC/1%SDS、50℃、30分間であった。レーンには以下由来のDNAが含まれた:M:マーカー、1:アネモネ、2:カーネーション、3:キク、4:ガーベラ、5:ヒアシンス、6:アイリス、7:リアトラス(Liatrus)、8:パンジー(ビオラ)、9:ペチュニア、10:ニーレンベルギア、11:バラ、12:タバコ。 レプリコンpBinPLUSのダイアグラム表示である。 レプリコンpBluescriptのダイアグラム表示である。 レプリコンpCGP1275のダイアグラム表示である。 レプリコンpWTT2132pのダイアグラム表示である。 レプリコンpWTT2132 19.5kb XhoI(ブラント)のダイアグラム表示である。 レプリコンpBinPLUS 12.3kb KpnI(ブラント)のダイアグラム表示である。 レプリコンpWTT2132のダイアグラム表示である。 レプリコンpCGP2355 26.8kb HincII(ブラント)のダイアグラム表示である。 レプリコンpRTppoptcAFP EcoRI/XbaI 3.3kbのダイアグラム表示である。 レプリコンpCGP2756 3.3kbのダイアグラム表示である。 レプリコンpWTT2132 19.5kb PstIのダイアグラム表示である。 レプリコンpBinPLUS 12.3kb HindIIIのダイアグラム表示である。 レプリコンpCGP2355 26.8kb HincII(ブラント)のダイアグラム表示である。

Claims (51)

  1. pHを調整もしくは変更する遺伝子もしくはpHを調整もしくは変更する活性を有するポリペプチドをコードする配列をコードするか、または該配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子であって、該核酸分子の発現が細胞または液胞内のpHを変更または調整する、単離された核酸分子。
  2. SEQ ID NO:1、3、もしくは5に実質的に示されるようなヌクレオチド配列、またはそれに対する少なくとも約50%の同一性を有するか、もしくは低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の単離された核酸分子。
  3. SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項2記載の単離された核酸分子。
  4. SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項2記載の単離された核酸分子。
  5. SEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項2記載の単離された核酸分子。
  6. SEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるアミノ酸配列、またはそれに対する少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、もしくは6の切断型をコードする、請求項1記載の単離された核酸分子。
  7. SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項6記載の単離された核酸分子。
  8. SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項6記載の単離された核酸分子。
  9. SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項6記載の単離された核酸分子。
  10. アントシアニン経路の酵素をコードする遺伝子と融合するか、またはそうでなければ該遺伝子と関連する、請求項1〜9のいずれか一項記載の単離された核酸分子。
  11. 発現において請求項1〜9のいずれか一項記載の核酸分子に対してアンチセンスであるmRNA転写産物を産生するようにプロモーターに機能的に連結された核酸分子を含む、遺伝子構築物。
  12. 発現において請求項1〜9のいずれか一項記載の核酸分子に対してセンスであるmRNA転写産物を産生するようにプロモーターに機能的に連結された核酸分子を含む、遺伝子構築物。
  13. 請求項11または12記載の遺伝子構築物を植物細胞または植物細胞の親もしくは親類に導入する工程、および遺伝子構築物中の核酸分子の発現を可能にするための条件下で植物細胞または該細胞もしくは該細胞の親もしくは親類を含む植物を培養する工程を含む、植物細胞の液胞中のpHを調整するための方法。
  14. 植物が、ナデシコ属の種(Dianthus spp)、バラ属の種(Rosa spp)、キク属の種(Chrysanthemum spp)、シクラメン属の種(Cyclamen spp)、アイリス属の種(Iris spp)、ペラルゴニウム属の種(Pelargonium spp)、リパリー(Liparieae)、ゼラニウム属の種(Geranium spp)、セントポーリック属の種(Saintpaulic spp)、およびルリマツリ属の種(Plumbago spp)に選択的に由来する植物であるか、または植物細胞がそれらの種に選択的に由来する植物に由来する、請求項13記載の方法。
  15. 核酸配列の最終的な発現を可能にする条件下でpHを調整または変更するタンパク質をコードするヌクレオチドの配列を含む核酸配列によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、ならびに核酸配列の発現を可能にするのに十分な時間および条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含む、pHを調整または変更するタンパク質を合成することができるトランスジェニック顕花植物を産生するための方法。
  16. 核酸配列が、SEQ ID NO:1、3、もしくは5に実質的に示されるようなもの、またはそれに対する少なくとも約50%の同一性を有するか、もしくは低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるようなヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列である、請求項15記載の方法。
  17. 核酸配列がSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項16記載の方法。
  18. 核酸配列がSEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項16記載の方法。
  19. 核酸配列がSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項16記載の方法。
  20. 核酸配列が、SEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるアミノ酸配列、またはそれに対する少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、もしくは6の切断型をコードする、請求項15記載の方法。
  21. 核酸配列がSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項20記載の方法。
  22. 核酸配列がSEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項20記載の方法。
  23. 核酸配列がSEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項20記載の方法。
  24. 植物が、ナデシコ属の種、バラ属の種、キク属の種、シクラメン属の種、アイリス属の種、ペラルゴニウム属の種、リパリー、ゼラニウム属の種、セントポーリック属の種、およびルリマツリ属の種に選択的に由来する植物であるか、または植物細胞がそれらの種に選択的に由来する植物に由来する、請求項16記載の方法。
  25. pHを調整する活性をコードする配列をコードするかまたは該配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸分子によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程、および必要な場合、核酸の発現を可能にするのに十分な条件下でトランスジェニック植物を生育する工程を含む、固有のもしくは現存のpHを調整または変更する低下した活性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法。
  26. 植物細胞に導入された適切に変更されたpHを調整もしくは変更する遺伝子またはその誘導体もしくは部分から相同組換えを介した固有の配列の改変によってpHを調整または変更する核酸分子を変化させる工程、および細胞から遺伝子改変植物を再生させる工程を含む、固有のもしくは現存のpHを調整または変更する低下したタンパク質活性を有する遺伝子改変植物を産生するための方法。
  27. SEQ ID NO:1、3、もしくは5に実質的に示されるようなヌクレオチド配列、またはそれに対する少なくとも約50%の同一性を有するか、もしくは低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項25または26記載の方法。
  28. 核酸配列がSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項25または26記載の方法。
  29. 核酸配列がSEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項25または26記載の方法。
  30. 核酸配列がSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項25または26記載の方法。
  31. 核酸配列が、SEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるアミノ酸配列、またはそれに対する少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、もしくは6の切断型をコードする、請求項25または26記載の方法。
  32. 核酸配列がSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項31を含む核酸配列。
  33. 核酸配列がSEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項31記載の方法。
  34. 核酸配列がSEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項31記載の方法。
  35. 植物が、ナデシコ属の種、バラ属の種、キク属の種、シクラメン属の種、アイリス属の種、ペラルゴニウム属の種、リパリー、ゼラニウム属の種、セントポーリック属の種、およびルリマツリ属の種に選択的に由来する植物であるか、または植物細胞がそれらの種に選択的に由来する植物に由来する、請求項25または26記載の方法。
  36. 必要な場合は単離された核酸分子の最終的な発現を可能にする条件下で、pHを調整もしくは変更するタンパク質をコードするか、または該タンパク質をコードする配列に相補的なヌクレオチドの配列を含む単離された核酸分子によって好適な植物の細胞を安定に形質転換する工程、および細胞からトランスジェニック植物を再生させる工程を含む、pHを調整もしくは変更するタンパク質もしくはその部分をコードする組換え遺伝子を発現することができるトランスジェニック植物またはpHを調整もしくは変更するタンパク質をコードするmRNA分子の全てもしくは一部に実質的に相補的である核酸配列を持つトランスジェニック植物を産生するための方法。
  37. SEQ ID NO:1、3、もしくは5に実質的に示されるようなヌクレオチド配列、またはそれに対する少なくとも約50%の同一性を有するか、もしくは低いストリンジェンシー条件下でSEQ ID NO:1、3、もしくは5に示されるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む、請求項36記載の方法。
  38. 核酸配列がSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37記載の方法。
  39. 核酸配列がSEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37記載の方法。
  40. 核酸配列がSEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項37記載の方法。
  41. 核酸配列が、SEQ ID NO:2、4、もしくは6に示されるアミノ酸配列、またはそれに対する少なくとも50%の類似性を有するアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、もしくは6の切断型をコードする、請求項36記載の方法。
  42. 核酸配列がSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項41記載の方法。
  43. 核酸配列がSEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項41記載の方法。
  44. 核酸配列がSEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項41記載の方法。
  45. 植物が、ナデシコ属の種、バラ属の種、キク属の種、シクラメン属の種、アイリス属の種、ペラルゴニウム属の種、リパリー、ゼラニウム属の種、セントポーリック属の種、およびルリマツリ属の種に選択的に由来する植物であるか、または植物細胞がそれらの種に選択的に由来する植物に由来する、請求項36記載の方法。
  46. 植物または植物部分の1つの細胞または複数の細胞の液胞における変更されたpHを含む、遺伝子改変植物またはその子孫の単離された細胞、植物、または部分。
  47. 花、果実、野菜、木の実、根、茎、葉、または種子より選択される、請求項47記載の植物部分。
  48. 植物においてpHを調整または変更するタンパク質を発現するか、または固有のpHを調整するタンパク質を下方調節することができる遺伝子構築物の製造における本明細書において記載された遺伝子配列の使用。
  49. SEQ ID NO:98に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  50. SEQ ID NO:99に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
  51. SEQ ID NO:99に示されるヌクレオチド配列を含む、単離されたタンパク質。
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