JP2009537624A - 新規造影剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、線維症の非侵襲性可視化のために適した新規造影剤を提供する。造影剤製造用の前駆体並びに造影剤を含んでなる医薬品組成物及び医薬品組成物製造用のキットもまた、本発明によって提供される。さらなる態様として、線維症を含む状態のインビボイメージング及びかかる状態の診断用医薬品の製造のための該造影剤の使用も提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は診断イメージングに関し、特に線維症の診断イメージングに関する。このような目的のため、特に肝臓、心臓、腎臓及び肺における線維症の診断イメージングのために適した診断造影剤が記載される。
簡単に述べれば、線維症は瘢痕組織であって、組織におけるすべての「修復」過程の一部をなす。しかし、進行中の炎症、感染及び反復損傷の場合には、線維症の瘢痕組織は増成して「機能性」細胞に置き換わることがなく、したがって異常な器官機能、そして結局は器官不全を引き起こす。線維症は、医学における主要な古典的病理学的過程の1つである。それは世界中で数百万人の患者がいる多くの病気の基本構成要素であり、下記のような疾患を含んでいる。
a)特発性肺線維症(原因不明の肺線維症)、喘息及び慢性閉塞性肺疾患のような肺疾患、
b)強皮症:身体の結合組織(即ち、皮膚及び内臓器官)内における過度の細胞外マトリックス沈着を特徴とする異質性で生命にかかわる疾患、
c)移植に伴う術後瘢痕、
d)糖尿病性網膜症及び加齢性黄斑変性(AMD)(眼の線維症性疾患及び失明の主因)、
e)アテローム性動脈硬化症及び脆弱性プラークを含む心臓血管疾患、
f)糖尿病に関連した腎線維症−糖尿病性腎症及び糸球体硬化症、
g)IgA腎症(腎不全及び透析や再移植の必要性の原因)、
h)肝硬変及び胆道閉鎖症(肝線維症及び肝不全の主因)、
i)C型肝炎感染、
j)慢性関節リューマチ、
k)皮膚筋炎のような自己免疫疾患、並びに
l)うっ血性心不全。
線維症の臨床的発現は広範囲にわたる。肝硬変を例に取れば、その臨床的発現は全くの無症状から肝不全にまでわたり、基礎にある肝疾患の性質及び重症度並びに肝線維症の程度によって決定される。肝硬変患者の40%までは無症候であり、10年を超えてその状態が続くこともあるが、腹水、静脈瘤出血及び脳障害をはじめとする合併症が発生すると進行性の悪化は避けられない。したがって、線維症及び肝硬変はウイルス疾患、自己免疫疾患、薬物誘発疾患、胆汁うっ滞疾患及び代謝性疾患をはじめとする各種の原因に由来した慢性肝損傷に対する持続した創傷治癒応答の結果を表している。肝線維症及び肝硬変の共通原因には、免疫媒介損傷、遺伝的異常及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)があり、最後のものは特に糖尿病及びメタボリックシンドローム(MS)と関連している。西欧の母集団では高率のMSが存在している。この症候群は、通例は肥満でありかつ高脂血症及び高血圧を有する個人において起こり、しばしばII型糖尿病の発症を引き起こす。メタボリックシンドロームの肝臓における発現は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)であり、米国では人口の24%が罹患していると推定される。脂肪肝はNAFLDのスペクトルの軽症側の末端を表しており、これが進行するとNASHになり、遂には肝硬変に至る。線維症の発症はかかる進行のリスクを示しており、現時点では肝生検によって評価される。しかし、肝生検は顕著な不快感を引き起こし、危険を伴わないわけではなく、多くの費用がかかる。その上、肝線維症のために利用できる血液試験はNAFLDでは確実でない。
線維症は、細胞外マトリックス成分の過度の分泌によって特徴づけられる。これは、マトリックスタンパク質(最も注目すべきはI型及びIII型コラーゲン)の合成の増加及び分解の減少によって引き起こされる。I型及びIII型コラーゲンは細胞外マトリックスの主成分であり、線維症の発症を助長する。線維症の過程の初期段階では高レベルのIII型コラーゲンが認められ、続いてI型コラーゲンが優勢になる。いくつかのグループが、コラーゲンに結合するペプチド化合物を開示している。Chiang及びKang[J.Clin.Invest.,1997,100(8),2079−84]並びにChiang[Amer.J.Med.Sci.,2000,320(6),362−67及び2002,J.Biol.Chem.,277,34896−901]は、血小板上に見出され、コラーゲン媒介血小板凝集及びATP放出を阻止するI型及びIII型コラーゲンレセプターの配列から導かれた合成ペプチドを報告している。Thomasら[2005,J.Biol.Chem.,280(24),22596−605]は、I型コラーゲンのC末端領域に結合するレセプターであるEndo180を記載している。Depraeteraら[1998,Blood,92(11),4207]は、仔ウシ皮膚及びヒトのI型コラーゲンに対するWillebrand因子(vWF)の結合を阻止する2種の環状オクタペプチドを報告している。Tyeら[2005,J.Biol.Chem.,280(14),13487−492]は、組換え骨シアロタンパク質(rBSP)から導かれる合成ペプチドのI型コラーゲンに対する結合を報告している。
国際公開第2006/054904号は、コラーゲン形成領域に結合する標的化ベクターを含む造影剤に関する。これらの造影剤は、過度のコラーゲン形成に関係する疾患(とりわけ線維症)の診断及び治療のモニタリングのために有用であると示唆されている。
線維症の検出のためのさらなる造影剤に対するニーズが存在している。
国際公開第2006/054904号パンフレット Chiang and Kang,J.Clin.Invest.,1997,100(8),2079−84. Chiang,Amer.J.Med.Sci.,2000,320(6),362−67. Chiang,2002,J.Biol.Chem.,277,34896−901. Thomas et al,2005,J.Biol.Chem.,280(24),22596−605. Depraetera et al,1998,Blood,92(11),4207. Tye et al,2005,J.Biol.Chem.,280(14),13487−492.
本発明は、線維症の非侵襲性可視化のために適した新規造影剤を提供する。造影剤製造用の前駆体並びに造影剤を含んでなる医薬品組成物及び医薬品組成物製造用のキットもまた、本発明によって提供される。さらなる態様として、線維症を含む状態のインビボイメージング及びかかる状態の診断用医薬品の製造のための該造影剤の使用も提供される。
第1の態様では、本発明は、コラーゲン結合ペプチド(CBP)及びイメージング成分を含んでなる造影剤であって、前記CBPは
(i)RRANAALKAGELYKXaaILY、
(ii)GELYKXaaILY、
(iii)DARKSEVQK、
(iv)KELNVLYT、
(v)XaaVWLWEQXaa、
(vi)XaaVWLWENXaa、
(vii)XaaVWTLPDQXaa、
(viii)TGELYKXaaILYTLAWKTTARLKELNLVYTT、
(ix)医療用ヒルHirudo medicinalisの唾液から導かれるサラチン組換えポリペプチド、
(x)デコリンの残基176〜201、及び
(xi)ペプチド(i)〜(x)のいずれかのペプチド類似体
から選択されるか、或いは前記CBPはこれらのペプチドのいずれかの安定化型、切断型及び/又は環状型であるか、或いはこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体であり、式中のXaaはシステイン、2−アミノ酪酸(Abu)、メチオニン又はアラニンのいずれかであることができる造影剤を提供する。上記ペプチド(i)〜(xi)の各々は、コラーゲン結合活性を有する生理的ペプチドのフラグメントであるか、或いはそれから導かれるものである。好ましくは、CBPは8〜30マーのペプチドであり、最も好ましくは8〜20マーのペプチドである。
本発明の造影剤は、好適には1μM未満の親和力、好ましくは100nM未満の親和力、最も好ましくは10nM未満の親和力をもってコラーゲンに結合する。
本発明のペプチド(xi)に関連する「ペプチド類似体」という用語は、ペプチド(i)〜(x)の全部又は一部を含む天然又は合成ペプチドであって、1以上のアミノ酸残基が代わりのアミノ酸残基で置換されており、しかもコラーゲンに対する親和性を保持しているものを意味する。好ましいペプチド類似体は合成ペプチドである。ペプチドの変更を最小限に抑えるため、若干のアミノ酸残基のみを置換し、保存的置換のみを行うのが普通である。下記の表は、保存的と考えられる置換を略示している。
Figure 2009537624
しかし、コラーゲンに対する親和性が保持される限りは、任意のアミノ酸置換が好適である。
本発明のCBPの「安定化」型は、血漿中での切断に対して向上した抵抗性を有するように修飾された配列(i)〜(xi)のいずれかのペプチドである。CBPのコラーゲン結合性が保持されてイメージング成分が標的に確実に送達されるように、CBPはインビボで無傷のままに保たれることが重要である。
CBPを安定化する1つの方法は、CBPのN末端にZ1基を結合すること及び/又はCBPのC末端にZ2基を結合することである。Z1基は、最後のアミノ酸残基のアミン基を置換する。即ち、Z1がHである場合、CBPのアミノ末端は最後のアミノ酸残基の遊離NH2基で終わる。Z2基は、最後のアミノ酸残基のカルボニル基を置換する。即ち、Z2がOHである場合、CBPのカルボキシ末端は最後のアミノ酸残基の遊離CO2H基で終わり、Z2がOBC(式中、BCは生体適合性陽イオンである。)である場合、その末端カルボキシ基はCO2Cとしてイオン化される。
CBPのN末端用の好適なZ1基は当業者にとって公知であり、好適にはNアシル化基−NH(C=O)RG(式中、アシル基−(C=O)RGはC1-6アルキル及びC3-10アリール基から選択されるRGを有するか、或いはポリエチレングリコール(PEG)構成単位を含む。)から選択される。好ましいN末端基はアセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
CBPのC末端用の好適なZ2基には、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール及びポリエチレングリコール(PEG)構成単位がある。好ましいかかる基はカルボキサミド又はPEGであり、最も好ましいかかる基はカルボキサミドである。
CBPを安定化する方法の追加例には、アミノ酸残基のN−アルキル化(好ましくはN−メチル化)、アミノ酸残基のアセチル化、非天然アミノ酸又はアミド結合アイソスターの組込み、血漿酵素によって容易に認識されない他の部分の付加(例えば、ポリエチレングリコール又はジグリコロイル部分によるC末端の延長)、及びレトロインベルソ配列へのペプチド構造の変換(即ち、アミノ酸配列の逆転及びD−アミノ酸によるすべてのL−アミノ酸の置換)がある。
本発明のCBPの「切断」型は、前記切断型が5以上のアミノ酸残基を含むことを条件にして、カルボキシ末端及び/又はアミノ末端から1〜5のアミノ酸が欠如している配列(i)〜(xi)のいずれかのペプチドである。
本発明のCBPの「環状」型は、存在するシステイン残基又はペプチド配列に付加されたシステイン残基を用いた橋かけによって環化されたCBPである。環化はまた、頭−尾環化(即ち、N末端アミノ基とC末端カルボキシ基との間でアミド結合を形成すること)によっても達成できる。システイン残基がペプチド配列に付加される場合には、頭−尾環化を達成するため、これらを末端に付加するのが好ましい。環状ペプチドを形成するためのさらなる方法は、その側鎖を介して2つのアミノ酸(例えば、リシン及びグルタミン酸)の間に結合を形成することである。
CBPペプチドは、通常の固相合成で得ることができる。Albericioは、固相ペプチド合成の手法に関する最近の総説を提供している[Curr.Opinion Cell Biol.,2004,8,211−21]。
本発明の特定のCBPペプチドの記載は、(上記ペプチド(i)〜(x)と同じ番号を用いて示される)下記の参考文献中に見出すことができる。
(i)Chiang and Kang,1997,J.Clin.Invest.,100(8),2079−84.
(ii)Chiang et al,2000,Am.J.Med.Sci.,320(6),362−7.
(iii)Chiang,2002,J.Biol.Chem.,277,34896−901.
(iv)Chiang,2002,J.Biol.Chem.,277,34896−901.
(v)Depraetere et al.,1998,Blood,92(11),4207−11.
(vi)Depraetere et al.,1998,Blood,92(11),4207−11.
(vii)Pareti et al,1987,J.Biol.Chem.,262(28),13841.
(viii)Zhu et al,2007,Thromb.Res.,119(1),111−119.
(ix)Cruz et al,2001,J.Vascular Surgery,34(4),724−29.
(x)Hunter et al,2001,J.Biomed.Mat.Res.,55(4),496−502.
「造影剤」という用語は、哺乳動物における特定の生理学的又は病態生理学的状態を標的化するように設計され、哺乳動物体へのインビボ投与後に検出できる化合物を意味する。
本発明の造影剤では、イメージング成分はCBPの一体部分として存在することができる。例えば、CBPの原子の1つが12Cの代わりに11Cになり得る。別法として、イメージング成分は適当な化学基(例えば、金属イオンであるイメージング成分を錯体化できる金属キレート)を介してCBPに連結することができる。CBPを適当な化学基に結合し又はイメージング成分自体に直接結合するリンカーが存在することもできる。本発明の好適なリンカーは式−(L)n−を有する。式中、
各Lは独立に−CO−、−CR'2−、−CR'=CR'−、−C≡C−、−CR'2CO2−、−CO2CR'2−、−NR'−、−NR'CO−、−CONR'−、−NR'(C=O)NR’−、−NR'(C=S)NR'−、−SO2NR'−、−NR'SO2−、−CR'2OCR'2−、−CR'2SCR'2−、−CR'2NR'CR'2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基、C3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、ポリアルキレングリコール、ポリ酢酸又はポリグリコール酸部分であり、
nは0〜15の値を有する整数であり、
各R' は独立にH、C1-10アルキル、C3-10アルキルアリール、C2-10アルコキシアルキル、C1-10ヒドロキシアルキル又はC1-10フルオロアルキルであるか、或いは2以上のR' 基がこれらの結合する原子と共に炭素環式又は複素環式の飽和又は不飽和環を形成する。
ただし、前記リンカーは30原子の鎖より長くないことを条件とする。
枝分れリンカー基(即ち、リンカー基−(L)n−がさらなる−(L)n−リンカー基で置換され、末端が上記に定義したようなR' 基で終わるもの)も可能であることが想定されている。かかる枝分れリンカーは、本発明の造影剤の体内分布及び/又は排泄を操作することに関連して特に有用である。
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。
かかるリンカーは、後述するような本発明の他の態様に関連しても適用できる。CBPを適当な化学基に結合し又はイメージング成分自体に直接結合するためには、好ましいL基は−CO−、−CH2−、−NH−、−NHCO−、−CONH−、−CH2OCH2−及びアミノ酸である。
好ましい実施形態では、本発明のCBPは、上述したペプチド(i)〜(vii)、或いはその安定化型、切断型又は環状型、或いはこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体から選択され、式中のXaaは前記に定義した通りである。
最も好ましい実施形態では、本発明のCBPは下記のものから選択され、各々の場合においてN末端は任意にアセチルで保護されかつC末端は任意にアミドで保護される。
(a)下記方法の1以上で修飾されたペプチド(i)、
・2つのN末端アルギニンを除去するための切断
・Xaa=2−アミノ酪酸又はシステイン
・メチル化アラニン残基
・メチル化リシン残基
・リシンによるチロシンの置換
・C末端へのポリエチレングリコール鎖及び/又はジグリコリルの付加
(b)(a)と同様に修飾されかつレトロインベルソ配列に変換されたペプチド(i)、
(c)Xaa=システインであるペプチド(ii)、
(d)非修飾ペプチド(iii)又はそれぞれがN末端及びC末端に付加された2つのシステイン残基によって環化されたペプチド(iii)、
(e)非修飾ペプチド(iv)又は下記方法のいずれか一方又は両方で修飾されたペプチド(iv)、
・バリン5及びロイシン6の逆転
・それぞれがN末端及びC末端に付加された2つのシステイン残基による環化
並びに
(f)Xaa=システインであるペプチド(v)〜(vii)。
本発明の最も好ましいCBPの例は下記の通りである(すべてのアミノ酸は特記しない限りL−アミノ酸である)。
a)ANAALKAGELYKCILY−NH2
b)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−NH2
c)Ac−ANAALKAGELFK−[Abu]−ILY−NH2
d)Ac−ANAALKAGELYK−[Abu]−ILF−NH2
e)Ac−ANAALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILF−NH2
f)Ac−AN−[NMeAla]−ALKAGELYK−[Abu]−ILF−NH2
g)Ac−AN−[NMeAla]−ALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILF−NH2
h)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−NH2
i)ANAALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−NH2
j)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−COOH、
k)D−YLI−[Abu]−KYLEGAKLAANA−NH2
l)GELYKCILY−NH2
m)DARKSEVQK−NH2
n)2つの付加末端システイン残基を介して環化されたCDARKSEVQKC−NH2
o)KELNVLYT−NH2
p)KELNLVYT−NH2
q)Ac−KELNLVYT−NH2
r)2つの付加末端システイン残基の橋かけによって環化されたAc−CKELNLVYTC−NH2
s)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWLWEQC−NH2
t)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWLWENC−NH2、及び
u)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWTLPDQC−NH2
上記リスト中、「Ac」はアセチル基であり、「Abu」は2−アミノ酪酸であり、「NMeLys」はN−メチル化リシンであり、「MNeAla」はN−メチル化アラニンであり、「PEG(X)」はX単位のポリエチレングリコール鎖である。
最も好ましい実施形態では、本発明のCBPは、上述した(i)〜(iv)、或いはその安定化型、切断型又は環状型、或いはこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体から選択されるペプチドであり、式中のXaaは前記に定義した通りである。
「造影剤」は、人体の外部から検出するか、或いはインビボで使用するために設計された検出器(例えば、内視鏡のような血管内放射線又は光検出器)又は手術中の使用のために設計された放射線検出器の使用によって検出することができる。
イメージング成分は、好ましくは下記のものから選択される。
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ放出型放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出型放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核、及び
(vi)インビボ光学イメージングのために適したレポーター。
イメージング成分が放射性金属イオン(即ち、放射性金属)である場合、好適な放射性金属は、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Gaのような陽電子放射体、或いは99mTc、111In、113mIn又は67Gaのようなγ放射体であり得る。好ましい放射性金属は99mTc、64Cu、68Ga及び111Inである。最も好ましい放射性金属はγ放射体、特に99mTcである。
イメージング成分が常磁性金属イオンである場合、好適なかかる金属イオンには、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Cr(III)、Fe(III)、Co(II)、Er(II)、Ni(II)、Eu(III)及びDy(III)がある。好ましい常磁性金属イオンはGd(III)、Mn(II)及びFe(III)であり、Gd(III)が特に好ましい。
イメージング成分がγ放出型放射性ハロゲンである場合、放射性ハロゲンは好適には123I、131I及び77Brから選択される。125Iは、インビボ診断イメージング用のイメージング成分として使用するのに適さないので特に除外される。好ましいγ放出型放射性ハロゲンは123Iである。
イメージング成分が陽電子放出型放射性非金属である場合、好適なかかる陽電子放射体には、11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br及び124Iがある。好ましい陽電子放出型放射性非金属は11C、13N、18F及び124Iであり、特に好ましくは11C及び18Fであり、最も好ましくは18Fである。
イメージング成分が過分極NMR活性核である場合、かかるNMR活性核は非ゼロ核スピンを有し、13C、15N、19F、29Si及び31Pを含む。これらのうち、13Cが好ましい。「過分極」という用語は、NMR活性核の分極度がそれの平衡分極を超えて増強されていることを意味する。(12Cに対する)13Cの天然存在度は約1%であり、好適な13C−標識化合物は過分極前に好適には5%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは90%以上の存在度に富化される。本発明の造影剤の1以上の炭素原子は好適には13Cで富化され、続いてこれが過分極される。
イメージング成分がインビボ光学イメージングのために適したレポーターである場合、レポーターは光学イメージング手続きで直接又は間接に検出できる任意の成分である。レポーターは、光散乱剤(例えば、着色又は無着色粒子)、吸光剤又は発光剤であり得る。さらに好ましくは、レポーターは発色団又は蛍光化合物のような染料である。染料は、紫外域乃至近赤外域の波長をもった電磁スペクトル中の光と相互作用する任意の染料であり得る。最も好ましくは、レポーターは蛍光特性を有する。
好ましい有機発色性及び発蛍光性レポーターには、広範な非局在化電子系を有する群、例えばシアニン類、メロシアニン類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類、ポルフィリン類、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、アズレニウム染料、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム染料、ベンゾチアフェノチアジニウム染料、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ染料、分子内及び分子間電荷移動染料及び染料錯体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(ベンゼン−ジチオレート)錯体、インドアニリン染料、ビス(S,O−ジチオレン)錯体がある。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸収/発光特性を有するGFPの変種のような蛍光タンパク質も有用である。特定の状況においてはある種の希土類金属(例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体が使用され、蛍光ナノ結晶(量子ドット)についても同様である。
使用できる発色団の具体例には、フルオレセイン、スルホローダミン101(Texas Red)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、インドシアニングリーン、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5、Marina Blue、Pacific Blue、Oregon Green 88、Oregon Green 514、テトラメチルローダミン、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700及びAlexa Fluor 750がある。
特に好ましいのは、400nm〜3μm、特に600〜00nmの可視域又は近赤外(NIR)域に吸収極大を有する染料である。光学イメージングモダリティ及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定がある。
好ましいイメージング成分は、インビボ投与後、例えばSPECT、PET及びMRによる非侵襲的方法で外部から検出できるものである。最も好ましいイメージング成分は、放射性のもの、とりわけ放射性金属イオン、γ放出型放射性ハロゲン及び陽電子放出型放射性非金属であり、特にSPECT又はPETを用いるイメージングに適するものである。しかし、若干の用途のためには他のイメージング成分が好ましい。例えば、AMDのイメージングのためには光学イメージング成分が好ましい。
本発明の好ましいイメージング成分はインビボで容易に代謝を受けず、したがって最も好ましくはヒトにおいて60〜240分のインビボ半減期を示す。かかる造影剤は、好ましくは腎臓経由で排泄される(即ち、尿中排泄を示す)。かかる造影剤は、好ましくは病巣で1.5以上、最も好ましくは5以上の信号/バックグラウンド比を示し、10以上が特に好ましい。造影剤が放射性同位体を含む場合、非特異的に結合しているか又はインビボで遊離している造影剤のピークレベルの1/2のクリアランスは、好ましくはイメージング成分の放射性同位体の放射性崩壊半減期以下の時間で起こる。
さらに、かかる造影剤の分子量は好適には5000ダルトン以下である。好ましくは、分子量は150〜3000ダルトン、最も好ましくは200〜1500ダルトンの範囲内にあり、300〜800ダルトンが特に好ましい。
好適には、イメージング成分はCBPのN末端又はC末端を介して或いはアミノ酸側鎖のいずれかを介してCBPに連結される。好ましくはイメージング成分は、任意には上述のような式(L)n−のリンカー、好ましくはPEGリンカーを媒介として、CBPのN末端又はC末端を介してCBPに連結される。
本発明の好ましい造影剤の例を下記の表に示す。
Figure 2009537624
表中、Ac、Abu、NMeLys及びPEG(X)は前記に定義した通りであり、α−Hisはα−ヒスチジンである。
(実施例18に記載される)インビトロアッセイを用いて、これらの好ましい造影剤のいくつかに関するコラーゲン親和力はナノモル濃度の範囲内にあり、若干の場合には50nM未満であることが証明された。
キレートI及びキレーターIIは、本発明の第2の態様に関連して後記に一層詳しく記載される。上記造影剤1〜12に関しては、キレートIIへの結合点はブリッジヘッド基の位置にある(下記式Ibを参照されたい)。上記造影剤13〜24に関しては、キレートIへの結合点はブリッジヘッド基の位置にある(下記式Iaを参照されたい)。
上記造影剤25及び28に関しては、123IはN末端に最も近いチロシン残基のフェノール側鎖に結合されている。123Iが別のチロシン残基のフェノール側鎖に結合されている造影剤25a及び28aも想定することができる。造影剤26、27及び29に関しては、123Iはチロシン残基のフェノール側鎖に結合されている。
上記造影剤30〜34に関しては、18Fはチオール結合を介してCBPのN末端に結合されている。即ち、次式の通りである。
Figure 2009537624
式中、CBPは問題となる特定のペプチドを表す。この種の18F標識造影剤に関する一層の詳細については、式III、IIIa及びIIIbに関連する以下の説明を参照されたい。
前駆体化合物を経由する造影剤の合成は、本発明の第2の態様に関連して以下に一層詳しく記載される。
造影剤1、29、35及び36の分析より、これらはインビトロでは高い親和性をもってコラーゲンに結合することが証明された。造影剤1は、肝線維症造影剤として好ましい体内分布特性を有することが証明された(実施例19を参照されたい)。肝線維症のラットモデル(胆管結紮、BDL−実施例20に記載)では、造影剤1として投与された活性は血液プールから急速に除去され、注射後1時間及び2時間では対照動物に比べてBDL動物の肝臓に顕著な蓄積が認められることが示された。
第2の態様では、本発明は、上述したようなCBP及びイメージング成分の供給源と反応し得る化学基を含む本発明の造影剤を製造するための前駆体であって、前記化学基は
(i)金属イメージング成分を錯体化できる合成リガンド、
(ii)トリアルキルスタンナン又はトリアルキルシランのような有機金属誘導体、
(iii)求核置換用のアルキルハライド、アルキルトシレート又はアルキルメシレートを含む誘導体、或いは
(iv)チオール含有化合物をアルキル化してチオエーテル含有生成物を与える誘導体
からなり、前記化学基は前記CBPの一体部分であるか、或いは前記CBPに連結している前駆体を提供する。
「前駆体」は、好都合な化学形態のイメージング成分との化学反応が部位特異的に起こり、最小数の段階(理想的にはただ1つの段階)で反応を実施でき、かつ格別の精製の必要なしに(理想的にはいかなる追加の精製も必要なしに)所望の造影剤が得られるように設計された、本発明のCBPの誘導体からなる。かかる前駆体は合成品であり、良好な化学純度で簡便に得ることができる。「前駆体」は、任意にはCBPのある種の官能基に対する1種以上の保護基を含むことができる。
「保護基」という用語は、望ましくない化学反応を阻止又は抑制するが、分子の残部を変質させない十分に温和な条件下で問題の官能基から脱離させ得るのに十分な反応性を有するように設計された基を意味する。脱保護後には所望の生成物が得られる。保護基は当業者にとって公知であり、アミン基に関してはBoc(ここでBocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(ここでFmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[即ち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]及びNpys(即ち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から適宜に選択され、カルボキシル基に関してはメチルエステル、tert−ブチルエステル及びベンジルエステルから適宜に選択される。ヒドロキシル基に関しては、好適な保護基は、メチル、エチル又はtert−ブチル、アルコキシメチル又はアルコキシエチル、ベンジル、アセチル、ベンゾイル、トリチル(Trt)、又はテトラブチルジメチルシリルのようなトリアルキルシリルである。チオール基に関しては、好適な保護基はトリチル及び4−メトキシベンジルである。さらに他の保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theorodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(Third Edition,John Wiley&Sons,1999)に記載されている。
好ましくは、イメージング成分の供給源と反応し得る前記化学基は、
(i)金属イメージング成分を錯体化できる合成リガンド、或いは
(ii)トリアルキルスタンナン又はトリアルキルシランのような有機金属誘導体
からなる。
イメージング成分が放射性金属イオンからなる場合、放射性医薬品は好ましくは放射性金属イオンと合成リガンドとの金属錯体からなる。「金属錯体」という用語は、金属イオンと1以上のリガンドとの配位錯体を意味する。金属錯体は、「キレート交換に耐える」こと(即ち、金属配位座に関して他の潜在的に競合するリガンドとのリガンド交換を受けにくいこと)が極めて好ましい。潜在的に競合するリガンドには、インビトロでは製剤中の他の賦形剤(例えば、製剤中に使用される放射線防護剤又は抗菌防腐剤)があり、インビボでは内因性化合物(例えば、グルタチオン、トランスフェリン又は血漿タンパク質)がある。「合成」という用語はそれの通常の意味を有し、即ち、天然の供給源(例えば、哺乳動物体)から単離されるものではなく人造のものを意味する。かかる化合物は、それの製造及び不純物プロフィルを完全に制御できるという利点を有している。
キレート交換に耐える金属錯体を形成するために本発明で使用するのに適したリガンドには、2〜6(好ましくは2〜4)の金属ドナー原子が(金属ドナー原子を結合する炭素原子又は非配位ヘテロ原子の非配位主鎖を有することで)五員又は六員のキレート環を生じるように配列されたキレート剤、或いは金属イオンと強く結合するドナー原子を含む単座リガンド(例えば、イソニトリル、ホスフィン又はジアゼニド)がある。キレート剤の一部として金属とよく結合するドナー原子種の例は、アミン、チオール、アミド、オキシム及びホスフィンである。ホスフィンは非常に強い金属錯体を形成するので、単座又は二座のホスフィンでも好適な金属錯体を形成する。イソニトリル及びジアゼニドの直線形状はキレート剤中に組み込みにくいものであり、したがって通例は単座リガンドとして使用される。好適なイソニトリルの例には、tert−ブチルイソニトリルのような単純アルキルイソニトリル、及びMIBI(即ち、1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)のようなエーテル置換イソニトリルがある。好適なホスフィンの例には、テトロフォスミン(Tetrofosmin)、及びトリス(3−メトキシプロピル)ホスフィンのような単座ホスフィンがある。好適なジアゼニドの例には、HYNIC系列のリガンド(即ち、ヒドラジン置換ピリジン又はニコチンアミド)がある。
キレート交換に耐える金属錯体を形成するテクネチウム用の好適なキレート剤の例には、特に限定されないが、下記のものがある。
(i)ジアミンジオキシム、
(ii)MAG3(メルカプトアセチルトリグリシン)のようなチオールトリアミドドナーセット又はPicaのようなジアミドピリジンチオールドナーセットを有するN3Sリガンド及び関連するリガンド、
(iii)BAT又はECD(即ち、エチルシステイネート二量体)のようなジアミンジチオールドナーセット或いはMAMAのようなアミドアミンジチオールドナーセットを有するN22リガンド、
(iv)シクラム、モノオキソシクラム又はジオキソシクラムのようなテトラアミン、アミドトリアミン又はジアミドジアミンドナーセットを有する開鎖又は大環状リガンドであるN4リガンド、
(v)ジアミンジフェノールドナーセットを有するN22リガンド、並びに
(vi)α−ヒスチジン+Tc(CO)3
テクネチウム用の本発明の好ましいキレート剤はジアミンジオキシム、テトラアミン及びα−ヒスチジン+Tc(CO)3である。別の好ましい実施形態では、テクネチウム錯体化の形成に際してHYNICリガンドが使用される。以下、好ましい型をさらに詳しく説明する。
好ましいジアミンジオキシムは下記の式(I)を有する。
Figure 2009537624
式中、E1〜E6は各々独立にR*基であり、
各R*はH或いはC1-10アルキル、C3-10アルキルアリール、C2-10アルコキシアルキル、C1-10ヒドロキシアルキル、C1-10フルオロアルキル、C2-10カルボキシアルキル又はC1-10アミノアルキルであるか、或いは2以上のR*基がそれに結合した原子と共に炭素環式又は複素環式の飽和又は不飽和環を形成し、R*基の1以上はCBPに連結されており、
Q′は式−(J′)e−(式中、eは3、4又は5であり、各J′は−(J′)f−が−O−又は−NR*−である最大1つのJ′基を含むことを条件にして独立に−O−、−NR*−又は−C(R*2−である。)の橋かけ基である。
好ましいQ′基は下記の通りである。
Q′=−(CH2)(CHR*)(CH2)−(即ち、プロピレンアミンオキシム又はPnAO誘導体)、
Q′=−(CH22(CHR*)(CH22−(即ち、ペンチレンアミンオキシム又はPentAO誘導体)、及び
Q′=−(CH22NR*(CH22−。
1〜E6は、好ましくはC1-3アルキル、アルキルアリール、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、カルボキシアルキル及びアミノアルキルから選択される。最も好ましくは、各E1〜E6基はCH3である。
式IへのCBPのコンジュゲーションは前駆体化合物を形成する。CBPは、好ましくはE1又はE6のR*基或いはQ′部分のR*基に連結される。最も好ましくは、それはQ′部分のR*基に連結される。それがQ′部分のR*基に連結される場合、R*基は好ましくはブリッジヘッドの位置にある。その場合、Q′は、好ましくは−(CH2)(CHR*)(CH2)−、−(CH22(CHR*)(CH22−又は−(CH22NR*(CH22−であり、最も好ましくは−(CH2)(CHR*)(CH22−である。特に好ましいジアミンジオキシム前駆体化合物は下記の式(Ia)を有する。
Figure 2009537624
式中、
7〜E20は各々独立にR*基であり、
GはN又はCR*であり、
Y′は−(L)n−CBP(式中、−(L)n−は前記に定義したようなリンカー基であり、CBPは前記に定義した通りである。)である。
式(Ia)の好ましいキレーターは下記の式(Ib)を有する。
Figure 2009537624
式中、Gは上記に定義した通りであり、好ましくはCH(キレートI、その合成は実施例1に記載される)であり、
したがってCBPはブリッジヘッドの−CH2CH2NH2基を介して連結されて前駆体化合物を形成する。
テトラアミンキレーターを用いて形成される好ましい前駆体化合物は、下記の式IIを有する。
Figure 2009537624
式中、
Y" は−(L)n−CBP(式中、−(L)n−は前記に定義したようなリンカー基であり、CBPは前記に定義した通りである。)であり、好ましくはY" に関する−(L)n−はアリール環を含まず、錯体の親油性を最小限に抑えるために役立ち、
21〜E26は前記に定義したようなR*基である。
テトラアミンキレートを用いて形成される最も好ましい前駆体化合物は、下記の式IIaを有する。
Figure 2009537624
式中、Y" は上記に定義した通りである。
テトラアミンキレートを用いて形成される特に好ましい前駆体化合物は、Y" が−CO−CBP(式中、CBPは前記に定義した通りである。)である式IIaのもの(キレートII−CBP)である。
別の好ましい実施形態では、本発明のCBPは、CBPと下記式IIIの6−ヒドラジノニコチンアミド(HYNIC)とのコンジュゲートである前駆体の製造によって99mTcで標識できる。
Figure 2009537624
式中、Y"′は−(L)n−CBP(式中、−(L)n−は前記に定義したようなリンカー基であり、CBPは前記に定義した通りである。)である。
HYNICは2つの配位座しか占めることができないので、99mTcの配位球を完成させるためにはコリガンドが必要となる。好適なコリガンドには、トリシン或いはトリシン+第2のホスフィン又はピリジンコリガンドがある。ホスフィンコリガンドの例には、トリフェニルホスフィン−3,3′,3"−トリスルホン酸三ナトリウム(TPPTS)、トリフェニルホスフィン−3,3′−ジスルホン酸二ナトリウム(TPPDS)及びトリフェニルホスホン−3−モノスルホン酸ナトリウム(TPPMS)がある。ピリジンコリガンドの例には、ニコチン酸(NIC)、イソニコチン酸(ISONIC)、2−(4−ピリジル)エチルスルホン酸(PES)及びピリジン−3−スルホン酸がある。好ましくは、式IIIの前駆体の99mTc標識は、コリガンドがトリシン又はトリシン+TPPTSの組合せである場合に実施される。
HYNICに関連する放射性標識技法の徹底的な総説は、Liu[Top Curr.Chem.,2005,252,pp.117−153]によって与えられている。
さらに別の実施形態では、本発明のCBPははさらに、CBPのN末端に好ましくはアセチルリンカーを介してヒスチジン残基が付加された前駆体によって99mTcで標識できる。下記のように、ヒスチジンをCBPに結合して99mTc標識に適した前駆体を形成できる方法は他にも存在する。
Figure 2009537624
式中、CBPは前記に定義されたような本発明のCBPである。
ヒスチジンは、それがいかに連結されるかに応じ、面幾何学的に[99mTc(OH23−(CO)3]+と反応して本発明の造影剤を形成できる2つ又は3つの配位座を提供する。好ましいコンジュゲートは3つの配位剤を提供する(即ち、上記の式IVa〜IVc)。
かかる前駆体及び造影剤化合物を製造するための方法は、Banerjeeら[Nuc.Med.Biol.,2005,32,pp.1−20]及びPakら[Chem.Eur.J.,2003,9,pp.2053−2061]によって詳述されている。
上述のリガンドはテクネチウム(例えば、94mTc又は99mTc)を錯体化するために特に適しており、Jurissonら[Chem.Rev.,99,2205−2218(1999)]によって一層詳しく記載されている。かかるリガンドは、銅(64Cu又は67Cu)、バナジウム(例えば、48V)、鉄(例えば、52Fe)或いはコバルト(例えば、55Co)のような他の金属に対しても有用である。
他の好適なリガンドはSandozの国際公開第91/01144号に記載されており、その中にはインジウム、イットリウム及びガドリニウムに対して特に好適なリガンド(特に大環状アミノカルボキシレート及びアミノホスフィン酸リガンド)が含まれる。ガドリニウムの非イオン性(即ち、中性)金属錯体を形成するリガンドも知られており、米国特許第4,885,363号に記載されている。ガドリニウムに対して特に好ましいのは、DTPA、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、10−(2−ヒドロキシプロピル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸(DO3A)及びこれらの誘導体をはじめとするキレートである。
リンカー基−(L)n−の役割は、金属配位後に生じる比較的バルキーなテクネチウム錯体をCBPの活性部位から遠ざけることで、例えば基質の結合を損なわないようにすることにあると想定されている。これは、バルキーな基が活性部位から離れて位置する自由を与えるような柔軟性(例えば、単純アルキル鎖)及び/又は金属錯体が活性部位から離れるように向きを定める剛性(例えば、シクロアルキル又はアリールスペーサー)の組合せによって達成できる。リンカー基の性質は、得られるコンジュゲートのテクネチウム錯体化の体内分布を変化させるためにも使用できる。即ち、例えばリンカーにエーテル基を導入すると、血漿タンパク質の結合を最小限に抑えるために役立つ。或いは、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール(PEG)のようなポリマーリンカー基を使用すると、インビボで血液中の造影剤の寿命を延ばすために役立ち得る。
これらのキレーターに関連する好ましいリンカー基−(L)n−は、2〜10の原子、最も好ましくは2〜5の原子を含む主鎖(即ち、−(L)n−部分を構成する結合原子)を有しており、2つ又は3つの原子が特に好ましい。2つの原子を含む最小リンカー基主鎖は、キレーターが生物学的標的化部分から十分に引き離される結果としていかなる相互作用も最小限に抑えられるという利点を与える。さらに、CBPが金属イオンに対するキレーターの配位と効果的に競合することはありそうにない。このようにして、CBPの生物学的標的化特性及びキレーターの金属錯体化能力が共に維持される。CBPは、結合が血中において容易に代謝を受けないようにしてキレーターに結合していることが極めて好ましい。それは、標識CBPが所望のインビボ標的部位に到達する前に、かかる代謝がイメージング金属錯体の切断をもたらすからである。したがって、CBPは、好ましくは容易に代謝されない−(L)n−リンカー基を介して本発明の金属錯体に共有結合される。好適なかかる結合は、炭素−炭素結合、アミド結合、尿素又はチオ尿素結合、或いはエーテル結合である。
アルキレン基又はアリーレン基のような非ペプチドリンカー基は、連結されたCBPとの顕著な水素結合相互作用が存在しない結果としてリンカーがCBPに巻き付かないという利点を有する。好ましいアルキレンスペーサー基は−(CH2q−(式中、qは2〜5の値を有する整数である。)である。好ましいアリーレンスペーサーは下記の式を有する。
Figure 2009537624
式中、a及びbは各々独立に0、1又は2である。
かくして、好ましいY′又はY" 基は−CH2CH2−(L)p−CBP(式中、pは0〜3の値を有する整数である。)である。最も好ましくは、−(L)p−は−CO−又は−NR−である。式Iに関しては、GがNでありかつ−(L)p−が−NR−である場合、このような基構成は商業的に入手可能な対称的な中間体N(CH2CH2NH23に由来するという追加の利点を有している。
イメージング金属がテクネチウムである場合、通常のテクネチウム出発原料は、テクネチウムがTc(VII)酸化状態にある過テクネチウム酸イオン(即ち、TcO4-)である。過テクネチウム酸イオン自体は容易に金属錯体を形成せず、したがってテクネチウム錯体の製造には、第一スズイオンのような適当な還元剤を添加してテクネチウムの酸化状態を低い酸化状態(通常はTc(I)ないしTc(V))に還元することで錯体化を容易にすることが通常必要である。溶媒は、有機溶媒又は水性溶媒或いはこれらの混合物であり得る。溶媒が有機溶媒を含む場合、有機溶媒は好ましくはエタノール又はDMSOのような生体適合性溶媒である。好ましくは、溶媒は水性溶媒であり、最も好ましくは等張食塩水である。
イメージング成分が放射性ヨウ素である場合、好ましい前駆体は、求電子又は求核ヨウ素化を受ける誘導体或いは標識アルデヒド又はケトンとの縮合を受ける誘導体を含むものである。第1のカテゴリーの例は下記の(a)〜(c)である。
(a)トリアルキルスタンナン(例えば、トリメチルスタンニル又はトリブチルスタンニル)、トリアルキルシラン(例えば、トリメチルシリル)或いは有機ホウ素化合物(例えば、ボロネートエステル又はオルガノトリフルオロボレート)のような有機金属誘導体。
(b)ハロゲン交換用の非放射性アルキルブロミド、或いは求核ヨウ素化用のアルキルトシレート、メシレート又はトリフレート。
(c)求核ヨウ素化に向けて活性化された芳香環(例えば、アリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、アリールトリアルキルアンモニウム塩又はニトロアリール誘導体)。
前駆体は、好ましくは(放射性ヨウ素交換を可能にするための)アリールヨージド又はブロミドのような非放射性ハロゲン原子、有機金属前駆体化合物(例えば、トリアルキルスズ、トリアルキルシリル又は有機ホウ素化合物)、或いはトリアゼンのような有機前駆体又は求核置換のための良好な脱離基(例えば、ヨードニウム塩)からなる。好ましくは、放射性ヨウ素化のためには、前駆体は有機金属前駆体化合物からなり、最も好ましくはトリアルキルスズからなる。
有機分子中に放射性ヨウ素を導入するための前駆体及び方法は、Bolton[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)]によって記載されている。好適なボロネートエステル有機ホウ素化合物及びそれの製法は、Kabalkaら[Nucl.Med.Biol.,29,841−843(2002)及び30,369−373(2003)]によって記載されている。好適なオルガノトリフルオロボレート及びそれの製法は、Kabalkaら[Nucl.Med.Biol.,31,935−938(2004)]によって記載されている。
放射性ヨウ素が結合できるアリール基の例を以下に示す。
Figure 2009537624
いずれも、芳香環上への容易な放射性ヨウ素置換を可能にする置換基を含んでいる。CBPペプチド配列中にチロシン残基が既に存在している場合には、固有のフェノール基を用いて放射性ヨウ素化を実施できる。代わりの方策では、コラーゲン結合特性が損なわれない限り、放射性ヨウ素化用のペプチド配列にチロシン残基を付加することができる。
放射性ヨウ素を含む代わりの置換基は、例えば下記式のように、放射性ハロゲン交換による直接ヨウ素化で合成できる。
Figure 2009537624
飽和脂肪族系に結合したヨウ素原子はインビボでの代謝を受けやすく、したがって放射線ヨウ素の損失を招きやすいことが知られているので、放射性ヨウ素原子は好ましくはベンゼン環のような芳香環への直接共有結合により又はビニル基を介して結合される。
放射性フッ素化は、18F−フッ化物と良好な脱離基を有する前駆体(例えば、アルキルブロミド、アルキルメシレート又はアルキルトシレート)中の適当な化学基との反応を用いる直接標識によって実施できる。18Fはまた、18F(CH23OH反応体でN−ハロアセチル基をアルキル化して−NH(CO)CH2O(CH2318F誘導体を得ることによっても導入できる。アリール系に関しては、アリールジアゾニウム塩、アリールニトロ化合物又はアリール第四級アンモニウム塩からの18F−フッ化物求核置換が、アリール−18F誘導体への好適な経路である。
本発明の18F標識化合物は、18F−フルオロジアルキルアミンを生成させ、次いで18F−フルオロジアルキルアミンを(例えば)塩素、P(O)Ph3又は活性化エステルを含む前駆体と反応させた場合のアミド生成によって得ることができる。
ペプチドの放射性ヨウ素化のために特に適したさらに別の放射性ヨウ素化アプローチが国際公開第03/080544号に記載されており、これはチオールカップリングを使用する。下記式の一方を有するCBP前駆体化合物を
Figure 2009537624
下記式Vの化合物と反応させることで、
Figure 2009537624
(式中、YVは式−(L)o−(式中、Lは前記に定義した通りであり、oは1〜10である。)のリンカーであり、任意には1〜6のヘテロ原子を含み、
Vは式−(L)p−(式中、Lは前記に定義した通りであり、pは1〜30である。)のリンカーであり、任意には1〜10のヘテロ原子を含み、
CBPは前記に定義したようなコラーゲン結合ペプチドである。)
それぞれ下記式(Va)又は(Vb)の放射性フッ素化造影剤を得る。
Figure 2009537624
(式中、XV及びYVは前記に定義した通りであり、CBPは前記に定義したようなコラーゲン結合ペプチドである。)
ペプチドの放射性ヨウ素化のために特に適した追加のアプローチはが国際公開第04/080492号に記載されており、これはアミノキシカップリングを使用する。放射性ヨウ素化は、下記式(VI)のCBP前駆体化合物を下記式(VIa)の化合物と反応させるか、
Figure 2009537624
或いは下記式(VII)のCBP前駆体化合物を下記式(VIIa)の化合物と反応させることで、
Figure 2009537624
(式中、
1は、アルデヒド部分、ケトン部分、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、或いは酸化剤を用いて迅速かつ効率的に酸化すればアルデヒド又はケトンを与え得るジオール又はN末端セリン残基のような官能基である。
2は、水性緩衝液のような温和な条件下でR1と部位特異的に反応して安定なコンジュゲートを与える官能基である。R2は、第一アミン、第二アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドのようなアンモニア誘導体であり得るが、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基である。
3は、R4と部位特異的に反応する官能基である。R3は、第一アミン、第二アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドのようなアンモニア誘導体であり得るが、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基である。
4は、アルデヒド部分、ケトン部分、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、或いは酸化剤を用いて迅速かつ効率的に酸化すればアルデヒド又はケトンを与え得るジオール又はN末端セリン残基のような官能基である。)
それぞれ下記式(VIII)又は(IX)のコンジュゲートを得る。
Figure 2009537624
(式中、Xは−CO−NH−、−NH−、−O−、−NHCONH−又は−NHCSNH−であり、好ましくは−CO−NH−、−NH−又は−O−であり、YはH、アルキル又はアリール置換基であり、Lは前記に定義した通りであり、mは0〜10である。)
18F−標識誘導体の合成経路のさらなる詳細は、Bolton[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)]によって記載されている。
前駆体を合成するためには、まず、関連するCBPを構築する。ABI433A合成機を用いて、MBHA−Rinkアミド樹脂(0.58mmol/g)上にペプチドを0.1mmolスケールでアセンブルできる。NMP中のHBTU−HOBt−DIEAを用いて、10倍モル過剰量のFmocアミノ酸誘導体をインサイチュで活性化し、Fmocを20%ピペリジン/NMP溶液中で脱保護する。アセンブリ後、樹脂をN2バブラー装置に移し、上記に定義したようなイメージング成分と反応し得る化学基のカップリングを行う。カイザー試験を実施して前駆体化合物への100%転化を確認する。固体支持体からの切断及び側鎖保護基の除去を同時に行う。その後、過剰のTFAを真空中で除去し、ジエチルエーテルの添加で前駆体化合物を沈殿させる。ジエチルエーテルによるトリチュレーションの後、粗前駆体を白色固体として遊離させる。残留物を0.1%TFA/MeCN:H2O(1:1)に溶解し、凍結乾燥し、HPLCで精製し、LC−MSで分析する。
下記に示すのは、(対応する造影剤と同じ番号を有する)本発明の好ましい前駆体化合物の例である。
Figure 2009537624
第3の態様では、本発明は、上述したような造影剤を哺乳動物への投与に適した形態で生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬品組成物を提供する。好ましい実施形態では、医薬品組成物は放射性医薬品組成物である。
「生体適合性キャリヤー」は、組成物が生理学的に許容できるようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できるようにして)造影剤を懸濁又は溶解するための流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤー媒質は、好適には、無菌の無発熱原性注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性又は非低張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、生体適合性対イオンを有する血漿陽イオンの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。生体適合性キャリヤー媒質はまた、エタノールのような生体適合性有機溶媒からなっていてもよい。かかる有機溶媒は、親油性の高い化合物又は配合物を可溶化するために有用である。好ましくは、生体適合性キャリヤー媒質は無発熱原性注射用水、等張食塩水又はエタノール水溶液である。静脈内注射用生体適合性キャリヤー媒質のpHは好適には4.0〜10.5の範囲内にある。
かかる医薬品組成物は、好適には、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したシール(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)を備えた容器に入った状態で供給される。かかる容器は1回分又は複数回分の患者用量を含み得る。好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cm3の)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。医薬品組成物が放射性医薬品組成物である場合、予備充填注射器には、施術者を放射線量から保護するための注射器シールドを任意に設けることができる。好適なかかる放射性医薬品注射器シールドは当技術分野で公知であり、好ましくは鉛又はタングステンからなっている。
本発明の医薬品は、以下に第4の態様として記載するようなキットから製造できる。別法として、かかる医薬品を無菌製造条件下で製造することで所望の無菌生成物を得ることができる。かかる医薬品を非無菌条件下で製造し、次いで例えばγ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いて終末滅菌を施すこともできる。好ましくは、本発明の医薬品はキットから製造される。
第1の実施形態に関連して上述した通り、放射性医薬品組成物に関しては、本発明の最も好ましい放射性イメージング成分は99mTc、123I、11C及び18Fである。
第4の態様では、本発明は、第3の実施形態の医薬品組成物を製造するためのキットを提供する。かかるキットは、第2の実施形態の好適な前駆体、好ましくは無菌で無発熱原性の形態にある前駆体であって、イメージング成分の無菌供給源との反応により最小数の操作で所望の医薬品が得られるような前駆体を含んでいる。かかる考慮事項は、放射性医薬品(特に、放射性同位体が比較的短い半減期を有する放射性医薬品)の場合において、取扱いを容易にし、したがって放射線薬剤師に対する放射線量を低減させるために特に重要である。したがって、かかるキットの再構成用の反応媒質は好ましくは上記に定義したような「生体適合性キャリヤー」であり、最も好ましくは水性のものである。
好適なキット容器は、注射器による溶液の添加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなっている。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。かかる容器は、例えばヘッドスペースガスの変更又は溶液のガス抜きのために所望される場合、クロージャーが真空に耐え得るという追加の利点を有している。
キット中に使用する場合、前駆体の好ましい態様は第2の実施形態に関して上述した通りである。キット中に使用するための前駆体を無菌製造条件下で使用すれば、所望の無菌で非発熱性の材料を得ることができる。また、前駆体を非無菌条件下で使用し、次いで例えばγ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる終末滅菌を施すこともできる。好ましくは、前駆体は無菌で非発熱性の形態で使用される。最も好ましくは、無菌で非発熱性の前駆体は上述したような密封容器内で使用される。
キットの前駆体は、第2の実施形態に関して上述したように、好ましくは固体担体マトリックスに共有結合した状態で供給される。
99mTcに関しては、キットは好ましくは凍結乾燥されており、99mTc放射性同位体ジェネレーターからの無菌の99mTc−過テクネチウム酸イオン(TcO4-)を用いて再構成することで、それ以上の操作なしにヒトへの投与に適した溶液を与えるように設計されている。好適なキットは、未錯体化キレート剤を、製剤学的に供給できる還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアミジン、スルフィン酸、第一スズイオン、Fe(II)又はCu(I))及び弱有機酸と生体適合性陽イオンとからなる1種以上の塩と共に収容した容器(例えば、隔壁密封バイアル)を含んでいる。「生体適合性陽イオン」という用語は、イオン化して負に帯電した基と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
放射性金属錯体造影剤製造用のキットは、任意にはさらに、トランスキレーターとして機能する第2の弱有機酸又は生体適合性陽イオンを有するそれの塩を含むことができる。トランスキレーターは、放射性金属と迅速に反応して弱い錯体を形成し、次いでキットのキレーターによって置換される化合物である。テクネチウムに関しては、これはテクネチウム錯体化と競合する過テクネチウム酸イオンの急速な還元によって還元加水分解テクネチウム(RHT)が生成するリスクを最小限に抑える。好適なかかるトランスキレーターは上述した弱有機酸及びそれの塩であり、好ましくは酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩又はホスホン酸塩、好ましくはホスホン酸塩、最も好ましくはジホスホン酸塩である。好ましいかかるトランスキレーターは、MDP(即ち、メチレンジホスホン酸)又は生体適合性陽イオンを有するそれの塩である。
放射性金属錯体製造用のキットに関してはまた、遊離形態のキレーターを使用する代わりに、キレーターきーはキレーターの非放射性金属錯体を任意に含むことができる。放射性金属を添加すると、これは金属交換反応(即ち、リガンド交換)を受けて所望の生成物を与える。好適なかかる金属交換反応用錯体は銅又は亜鉛錯体である。
99mTc造影剤キット中に使用される製剤学的に許容可能な還元剤は、好ましくは塩化第一スズ、フッ化第一スズ又は酒石酸第一スズのような第一スズ塩であり、無水状態又は水和状態のいずれであってもよい。第一スズ塩は、好ましくは塩化第一スズ又はフッ化第一スズである。
キットはさらに、放射線防護剤、抗菌防腐剤、pH調整剤又はフィラーのような追加成分を任意に含むことができる。
「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解から生じる含酸素遊離基のような高反応性遊離基を捕捉することで分解反応(例えば、レドックス過程)を阻止する化合物を意味する。本発明の放射線防護剤は、好適には、アスコルビン酸、p−アミノ安息香酸(即ち、4−アミノ安息香酸)、ゲンチジン酸(即ち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、及び生体適合性陽イオンを有するこれらの塩から選択される。「生体適合性陽イオン」及びそれの好ましい実施形態は、上述した通りである。
「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、用量に応じ、多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、再構成後の放射性医薬品組成物(即ち、放射性診断製剤そのもの)中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、再構成前の本発明の非放射性キットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも任意に使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
「pH調整剤」という用語は、再構成されたキットのpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容し得る範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS(即ち、トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン)のような製剤学的に許容可能な緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような製剤学的に許容可能な塩基がある。前駆体を酸性塩の形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる製剤学的に許容可能な増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
本発明の造影剤はインビボイメージングのために有用である。したがって、第5の態様では、本発明は、インビボ診断又はイメージング方法(例えば、SPECT又はPET)で使用するための本発明の造影剤を提供する。好ましくは、前記方法はコラーゲン形成がアップレギュレートされている状態のインビボイメージングに関し、したがって特発性肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、強皮症、糖尿病性網膜症、AMD、アテローム性動脈硬化症、脆弱性プラーク、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、IgA腎症、肝線維症、慢性関節リューマチ及びうっ血性心不全のような線維症に関連した状態の診断において有用である。最も好ましくは、前記のインビボ診断又はイメージング方法は、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病性網膜症、AMD、アテローム性動脈硬化症、脆弱性プラーク、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、肝線維症及びうっ血性心不全、特に好ましくは肝線維症の診断において有用な方法である。
本発明のこの態様はまた、被験体においてコラーゲン形成がアップレギュレートされている状態のインビボ診断又はイメージングを行うための方法であって、本発明の第3の態様の医薬品組成物を予め投与することを含んでなる方法を提供する。前記被験体は好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。別の実施形態では、本発明のこの態様はさらに、本発明の第3の態様の医薬品組成物を予め投与した被験体においてコラーゲン形成がアップレギュレートされている状態のインビボイメージングを行うための、本発明の造影剤の使用を提供する。
「予め投与した」とは、臨床医の関与の下で医薬品を例えば静脈内注射によって患者に投与する段階が既に実施されていることを意味する。本発明のこの態様はまた、コラーゲン形成がアップレギュレートされている状態のインビボ診断イメージング用の医薬品を製造するための、第1の実施形態の造影剤の使用を含んでいる。
第6の態様では、本発明は、コラーゲン形成がアップレギュレートされている状態と戦うための薬物によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニターする方法であって、本発明の造影剤を前記身体に投与する段階、及び前記造影剤の取込みを検出する段階を含んでなる方法を提供する。前記投与及び検出は、任意ではあるが好ましくは、例えば前記薬物による治療前、治療中及び治療後に繰り返して実施される。
実施例の簡単な説明
実施例1は、キレートIの合成を記載する。
実施例2は、キレートIのグルタリルアミド誘導体の合成を記載する。
実施例3は、キレートIIの合成を記載する。
実施例4〜17は、造影剤1、3、8、10、29及び35〜43の合成を記載する。
実施例18は、本発明の造影剤のインビトロコラーゲン結合親和性を評価する方法を記載する。
実施例19は、肝線維症の動物モデルにおける本発明の造影剤1のインビボ体内分布を記載する。
実施例20は、肝線維症のイメージングに関する化合物の可能性の評価に適したインビボモデル(胆管結紮モデル)を記載する。
実施例で使用される略語のリスト
Acm アセトアミドメチル
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
BDL 胆管結紮
Boc t−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
ESI−MS エレクトロスプレーイオン化質量分析法
HBTU O−ベンゾトリアゾール−N,N,N′,N′−テトラメチル−ウロニウ
ム−ヘキサフルオロホスフェート
HOBt N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IR 赤外
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
MS 質量分析法
NMM N−メチルモルホリン
NMP N−メチルピロリドン
NMR 核磁気共鳴
OtBu β−t−ブチルエステル
PyAOP (7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホ
ニウムヘキサフルオロホスフェート
RF 保持分率
s.c. 皮下
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
Trt トリフェニルメチル
実施例1:キレート1[ビス[N−(1,1−ジメチル−2−N−ヒドロキシイミンプロピル)−2−アミノエチル]−(2−アミノエチル)メタン]の合成
(段階a):トリス(メチルオキシカルボニルメチル)メタンの製造
メタノール(200ml)中の3−(メトキシカルボニルメチレン)グルタル酸ジメチルエステル(89g、267mmol)を、(木炭担持10%パラジウム:50%水)(9g)と共に、水素ガス(3.5バール)の雰囲気下で30時間振盪した。溶液をけいそう土で濾過し、真空中で濃縮することで、3−(メトキシカルボニルメチル)グルタル酸ジメチルエステルを油状物として得た。収量(84.9g、94%)。
NMR 1H(CDCl3)、δ2.48(6H,d,J=8Hz,3×CH2)、2.78(1H,六重線,J=8Hz,CH)、3.7(9H,s,3×CH3)。
NMR 13C(CDCl3)、δ28.6(CH)、37.50(3×CH3)、51.6(3×CH2)、172.28(3×COO)。
(段階b):p−メトキシ−ベンジルアミンによるトリメチルエステルのアミド化
トリス(メチルオキシカルボニルメチル)メタン[2g、8.4mmol]をp−メトキシ−ベンジルアミン(25g、178.6mmol)に溶解した。装置を蒸留用として組み立て、窒素流の下で120℃で24時間加熱した。反応の進行を捕集したメタノールの量でモニターした。反応混合物を周囲温度まで冷却し、30mlの酢酸エチルを添加し、次いで沈殿したトリアミド生成物を30分間撹拌した。トリアミドを濾過によって単離し、濾過ケークを十分な量の酢酸エチルで数回洗って過剰のp−メトキシ−ベンジルアミンを除去した。乾燥後、4.6g(100%)の白色粉末を得た。極めて不溶性の生成物は、それ以上の精製又は特性決定を行うことなく次の段階でそのまま使用した。
(段階c):1,1,1−トリス[2−(p−メトキシベンジルアミノ)エチル]メタンの製造
氷水浴中で冷却した1000ml三つ口丸底フラスコ内において、段階2(a)からのトリアミド(10g、17.89mmol)を250mlの1Mボラン溶液(3.5g、244.3mmolボラン)に注意深く添加した。添加の完了後、氷水浴を取り除き、反応混合物を60℃までゆっくりと加熱した。反応混合物を60℃で20時間撹拌した。反応混合物の試料(1ml)を抜き取り、0.5mlの5N HClと混合し、30分間放置した。試料に0.5mlの50NaOH、次いで2mlの水を添加し、すべての白色沈殿が溶解するまで溶液を撹拌した。溶液をエーテル(5ml)で抽出し、蒸発させた。残留物を1mg/mlの濃度でアセトニトリルに溶解し、MSによって分析した。MSスペクトル中にモノアミド及びジアミド(M+H/z=520及び534)が見られるならば、反応は完結していない。反応を完結させるため、さらに100mlの1MボランTHF溶液を添加し、反応混合物を60℃でさらに6時間撹拌し、前記の試料採取手順に従って新たな試料を抜き取った。トリアミンへの転化が完結するまで、必要に応じて1MボランTHF溶液の追加添加を続けた。
反応混合物を周囲温度まで冷却し、5N HClをゆっくりと添加した[注意:激しい発泡が起こる!]。HClは、それ以上のガス発生が認められなくなるまで添加した。混合物を30分間撹拌し、次いで蒸発させた。ケークをNaOH水溶液(20〜40%、1:2w/v)中に懸濁し、30分間撹拌した。次に、混合物を水(3倍容)で希釈した。次に、混合物をジエチルエーテル(2×150ml)で抽出した[注意:ハロゲン化溶媒を使用しないこと]。次に、合わせた有機相を水(1×200ml)、次いでブライン(150ml)で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥した。蒸発後の収量:油状物として7.6g、84%。
NMR 1H(CDCl3)、δ:1.45(6H,m,3×CH2)、1.54(1H,七重線,CH)、2.60(6H,t,3×CH2N)、3.68(6H,s,ArCH2)、3.78(9H,s,3×CH3O)、6.94(6H,d,6×Ar)、7.20(6H,d,6×Ar)。
NMR 13C(CDCl3)、δ:32.17(CH)、34.44(CH2)、47.00(CH2)、53.56(ArCH2)、55.25(CH3O)、113.78(Ar)、129.29(Ar)、132.61(Ar)、158.60(Ar)。
(段階d):1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンの製造
1,1,1−トリス[2−(p−メトキシベンジルアミノ)エチル]メタン(20.0g、0.036mol)をメタノール(100ml)に溶解し、Pd(OH)2(5.0g)を加えた。混合物を水素化し(3バール、100℃、オートクレーブ中)、5時間撹拌した。10時間後及び15時間後にPd(OH)2をさらに2部分(2×5g)に分けて添加した。
反応混合物を濾過し、濾液をメタノールで洗った。合わせた有機相を蒸発させ、残留物を真空蒸留(1×10-2、110℃)して2.60g(50%)の1,1,1−トリス(2−アミノエチル)メタンを得た。
NMR 1H(CDCl3):δ2.72(6H,t,3×CH2N)、1.41(H,七重線,CH)、1.39(6H,q,3×CH2)。
NMR 13C(CDCl3):δ39.8(CH2NH2)、38.2(CH2)、31.0(CH)。
(段階e):キレートIの製造
トリス(2−アミノエチル)メタン(4.047g、27.9mmol)の乾燥エタノール(30ml)溶液に、無水炭酸カリウム(7.7g、55.8mmol、2当量)を窒素雰囲気下において室温で激しく撹拌しながら添加した。3−クロロ−3−メチル−2−ニトロソブタン(7.56g、55.8mol、2当量)の溶液を乾燥エタノール(100ml)に溶解し、この溶液75mlを反応混合物にゆっくりと滴下した。反応は、シリカプレート上のTLC[ジクロロメタン、メタノール、濃(比重0.88)アンモニア(100/30/5)で展開し、TLCプレートはニンヒドリンを吹き付けて加熱することで発色させた]によって追跡した。モノ−、ジ−及びトリ−アルキル化生成物は、この順序で増加するRFで見られた。分析HPLCは、RPR逆相カラムを使用して3%アンモニア水中7.5〜75%アセトニトリルの勾配で実施した。反応物を真空濃縮してエタノールを除去し、水(110ml)中に再懸濁した。この水性スラリーをエーテル(100ml)で抽出してトリアルキル化化合物の一部及び親油性不純物を除去し、モノアルキル化及び所望のジアルキル化生成物を水層に残した。良好なクロマトグラフィーを保証するために水溶液を酢酸アンモニウム(2当量、4.3g、55.8mmol)で緩衝化した。水溶液を4℃で一晩貯蔵した後、自動化分取HPLCによって精製した。
収量(2.2g、6.4mmol、23%)。
質量分析:正イオン10Vコーン電圧。実測値:344、計算値M+H=344。
NMR 1H(CDCl3):δ1.24(6H,s,2×CH3)、1.3(6H,s,2×CH3)、1.25−1.75(7H,m,3×CH2,CH)、(3H,s,2×CH2)、2.58(4H,m,CH2N)、2.88(2H,t,CH22)、5.0(6H,s,NH2,2×NH,2×OH)。
NMR 1H((CD32SO):δ1.1(4×CH)、1.29(3×CH2)、2.1(4H,t,2×CH2)。
NMR 13C((CD32SO):δ9.0(4×CH3)、25.8(2×CH3)、31.0(2×CH2)、34.6(CH2)、56.8(2×CH2N)、160.3(C=N)。
HPLC条件:25mmPRPカラムを用いて流量8ml/分。
A=3%アンモニア溶液(比重=0.88)/水、B=アセトニトリル。
時間 %B
0 7.5
15 75.0
20 75.0
22 7.5
30 7.5
1回の操作当り水溶液3mlをロードし、12.5〜13.5分の時間枠で捕集する。
実施例2:キレートIのグルタリルアミド誘導体[ビス[(1,1−ジメチル−2−N−ヒドロキシイミンプロピル)−2−アミノエチル]−(2−(グルタリルアミド)エチル)メタン]の合成
窒素雰囲気下において、乾燥アセトニトリル(50ml)及びトリエチルアミン(150mg、1.45mmol)中のキレートI(0.5g、1.45mmol)を氷浴上で0℃に冷却した。撹拌反応物に無水グルタル酸(165mg、1.45mmol)を添加し、室温まで温めて一晩撹拌した。一晩で生成した沈殿を濾過によって集め、真空乾燥することで、表題化合物の不純試料(267mg、0.583mmol、40%)を得た。濾液を真空中で濃縮して無色のガラス体を得、これを集めた沈殿と共に5%アンモニア水(比重=0.880)(50ml)に再溶解し、自動化分取HPLCで精製した。
HPLC条件:150mm×25mmPRPカラムを用いて流量8ml/分。
試料は1回の操作当り2mlの水溶液としてロードした。
A=3%アンモニア溶液(比重=0.88)/水。
B=アセトニトリル。
時間 %B
0 7.5
15 75.0
20 75.0
22 7.5
31 7.5
所要の生成物は12.25〜16.5分に溶出した。生成物溶液を真空中で蒸発させて無色のガラス状フォーム(融点54.8℃)(304mg、0.68mmol、47%)を得た。生成物は、TLC及び分析HPLCのいずれにおいても1つのスポットとして分析された。
NMR 1H(DMSO):0.7(12H,s,4×CH3)、0.85(4H,m,2×CH2)、1.0(1H,m,CH)、1.3(6H,s,2×CH3)、1.3(4H,m,2×CH2)、1.6(2H,m,CH2)、1.75(6,m,3×CH2)、2.6(2,m,2×OH)、3.2(2H,t,NH)、7.3(1H,t,NH)。
NMR 13C(CD3SO):8.97、20.51、20.91、25.09、25.60、31.06、33.41、33.86、56.89、66.99、160.07、1712.34、174.35、174.56。
M/S:C224355に関するM+H=457、実測値=457.6。
実施例3:(8−アミノ−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−カルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−オクチル)−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(Boc保護キレートII)の合成
段階(a):2−(6−クロロ−ヘキシルオキシ)テトラヒドロピラン
6−クロロヘキサノール(6.85g、10mmol)及びp−トルエンスルホン酸(500mg)を乾燥エーテル(75ml)に溶解し、氷浴中で0〜5℃に冷却した。絶えず撹拌しながら、乾燥エーテル(25ml)中のジヒドロピラン(4.3g、10mmol)を30分かけて滴下した。滴下完了後、冷却浴を取り除き、撹拌を16時間続けた。溶液を水(50ml×2)で抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させると淡黄色の油状物が残った。13C NMRによれば、この油状物は精製せずに以後の反応で使用するのに十分純粋であることが示された。収量10.1g(91%)。
13C NMR(CDCl3):δ19.7(CH2)、25.5(CH2)、25.6(CH2)、26.7(CH2)、29.6(CH2)、30.8(CH2)、32.6(CH2)、45.0(CH2Cl)、62.3(OCH2)、67.4(OCH2)、98.8(OCHO)。
1H NMR(CDCl3):δ1.30−1.71(14H,m,CH2×7),3.24−3.32(1H)、3.41−3.48(3H,mCH及びCH2)、3.60−3.67(1H,m,CH)、3.72−3.82(1H,bm,CH)、4.44−4.49(1H,bm,OCHO)。
段階(b):2−[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−ヘキシル]−マロン酸ジエチルエステル
乾燥窒素ブランケット下において、少量のナトリウム(1.13g、49mmol)を絶えず撹拌しながら乾燥エタノール(100ml)に溶解した。マロン酸ジエチル(8.0g、50mmol)を一度に添加し、溶液を60℃で1時間加熱した。
2−(6−クロロ−ヘキシルオキシ)−テトラヒドロピラン(9.3g、42.2mmol)を一度に添加し、温度を75〜80℃に上昇させてこのレベルに24時間維持した。冷却後、無機固体を濾過によって除去し、濾液から溶媒を蒸発させた。残留物をCH2Cl2(50ml)に溶解し、水(30ml×2)で抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、揮発分を除去すると淡黄色の油状物が残った。この油状物を、石油エーテル40:60/エーテル(200:40)を溶離剤とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけた。所要の生成物はrf=0.15で溶出され、無色の油状物として単離された。収量8.7g(60%)。
13C NMR(CDCl3):δ14.0(CH3×2)、19.6(CH2)、25.5(CH2)、27.2(CH2)、28.6(CH2)、29.0(CH2)、29.6((CH2)、30.0(CH2)、30.8(CH2)、52.0(CH)、61.2(OCH2×2)、62.2(OCH2)、67.4(OCH2)、98.8(OCHO)、169.4(C=O×2)。
1H NMR(CDCl3):δ1.10−1.25(14H,m,CH3×2,CH2×4)、1.36−1.50(6H,bm,CH2×3)、1.70−1.81(2H,bm,CH2)、3.17−3.28(2H,m,CH2)、3.56−3.66(1H,m,CH)、3.70−3.80(1H,m,OCH)、4.04−4.16(4H,m,OCH2×2)、4.03−4.08(1H,m,OCHO)。
段階(c):N,N′−ビス(2−アミノ−エチル)−2−[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−ヘキシル]−マロナミド
2−[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−ヘキシル]−マロン酸ジエチルエステル(5.1g、14.8mmol)を1,2−ジアミノエタン(10g、167mmol)に溶解し、室温で16時間撹拌した。揮発分を真空中(0.01mmHgで40〜50℃)で除去すると淡緑色の粘稠な残留物が残ったが、これをCH2Cl2/MeOH/NH4OH(50:50:5)で溶出するカラムクロマトグラフィーにかけた。表題化合物はrf0.2で溶出され、静置後に凝固する淡緑色の粘稠な油状物として捕集された。(収量3.9g、71%)。
13C NMR(CDCl3):δ19.8(CH2)、25.5(CH2)、26.0(CH2)、27.5(CH2)、29.2(CH2)、29.7(CH2)、30.8(CH2)、31.9(CH2)、41.0(NCH2×2)、41.9(NCH2×2)、54.6(CH)、62.5(OCH2)、67.5(OCH2)、98.9(OCHO)、171.6(C=O×2)。
1H NMR(CDCl3):δ1.15−1.28(6H,bs,CH2×3)、1.39−1.44(6H,bm,CH2×3)、1.69−1.74(4H,bm,CH2×2)、2.64(4H,bs,NH2×2)、2.73(4H,t,J=6Hz,CH2×2)、3.08−3.29(6H,m,CH2×3)、3.35−3.41(1H,m,CH)、3.55−3.63(1H,m,CH)、3.70−3.78(1H,m,CH)、4.43(1H,bt,J=4Hz,OCHO)、7.78(2H,bt,J=5Hz,OCNH×2)。
IR(薄膜)cm-1:−3417、3082、2936、2862、1663、1558、1439、1354、1323、1261、1200、1189、1076、1026、956、907、867、810。
段階(d):N,N′−ビス(2−アミノエチル)−2−[6−ヒドロキシ−ヘキシル]−マロナミド
N,N′−ビス(2−アミノエチル)−2−[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−ヘキシル]−マロナミド(3.9g、10.6mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(8.5g、3mmol)及びエタノール(50ml)を70〜75℃で16時間加熱還流した。冷却後、9の永久pHが達成されるまで濃水酸化アンモニウム(0.880)を滴下した。沈殿した白色固体をセライト(Celite)による濾過で除去し、濾過ケークをエタノール(30ml)で洗った。エタノールを減圧下(15mmHg、40℃)で除去すると半固形のワックスが残った。この残留物をCH2Cl2/MeOH/NH4OH(100:50:10)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけたところ、表題化合物はrf=0.2を有することが判明した。この生成物を捕集し、エタノール(100ml×3)と共蒸発させることで残留水を除去した。静置後に凝固する淡緑色の粘稠な残留物が得られた。(収量2.1g、69%)。
13C NMR(CD3OD):δ25.4(CH2)、27.3(CH2)、28.9(CH2)、30.4(CH2)、32.2(CH2)、40.6(NCH2×2)、41.7(NCH2×2)、54.1(CH)、61.6(CH2OH)、171.7(C=O×2)。
1H NMR(CD3OD):δ1.28−1.38(6H,bs,CH2×3)、1.46−1.55(2H,bm,CH2)、1.79−1.87(2H,bm,CH2)、2.73(4H,t,J=6Hz,H2NCH2×2)、3.13(1H,t,J=7Hz,CH)、3.27(4H,dt,J=6及び2Hz,HNCH2×2)、3.53(2H,t,J=7Hz,OCH2)。
IR(薄膜)cm-1:−3364、2932、2862、2527、1663、1558、1462、1327、1223、1192、1034。
質量分析(Fabs)m/e:−C132943に関する計算値(M+H)289、実測値289。
段階(e):(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−8−ヒドロキシ−オクチル)−炭酸tert−ブチルエステル
乾燥窒素のブランケット下において、ジオキサン(50ml)中のN,N′−ビス(2−アミノエチル)−2−[6−ヒドロキシヘキシル]マロナミド(2.1g、7.3mmol)の撹拌混合物にニートなボラン−ジメチルスルフィド付加物(15ml、150mmol)を注射器で滴下した。滴下完了後、混合物を110℃で5日間穏やかに加熱還流した。この期間中、若干の白色固体が残留した。冷却後、揮発分を減圧下で除去すると白色固体が残ったが、これにメタノール(50ml)を滴下して無色溶液を得た。この溶液を3時間加熱還流し、冷却し、濃HCl(5ml)を添加し、加熱還流を70〜75℃で48時間続けた。溶媒を除去すると粘稠な緑色残留物が残ったが、これをメタノール(100ml×3)と共蒸発させることで淡緑色の固体が残った。この固体を乾燥メタノールに再溶解し、無水炭酸カリウム(4.0g、30mmol)を添加し、次いでジ−tert−ブチルジカーボネート(7.0g、32mmol)を添加した。混合物を室温で48時間撹拌した。無機固体をセライトによる濾過で除去し、濾液から溶媒を蒸発させると粘稠な残留物が残った。残留物を水(50ml)と混合し、CH2Cl2(50ml×3)で抽出した。有機画分を合わせ、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させると淡黄色の残留物が残った。
注意:この時点において、13C NMRで反応をモニターするのが好都合である。
残留物を、CH2Cl2/MeOH(95:5)を溶離剤とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけた。表題化合物はrf=0.41で溶出され、無色の粘稠な油状物として単離された(収量2.5g、52%)。
13C NMR(CDCl3):δ25.6(CH2)、26.4(CH2)、28.4(CH3×12)、29.8(CH2×2)、32.6(CH2)、36.5(非常にブロード,CH)、39.2(NCH2×2,隣接CH)、46.9(ブロードな一重線,HNCH2×2)、50.0(ブロードな一重線,NCH2×2)、62.4(HOCH2)、79.0(OC×2)、79.9(OC×2)、156.4(ブロードな一重線、C=O×4)。
1H NMR(CDCl3):δ1.05−1.18(8H,bs,CH2×4)、1.27(18h,s,CH3×6,t−ブチル)、1.31(18H,s,CH3×6,t−ブチル)、1.41(2H,m,CH2)、1.81(1H,bs,CH)、2.63(1H,bs,OH)、2.98(4H,bs,NCH2×2)、3.11(8H,bs,NCH2×4)、3.44(2H,t,J=8Hz,CH2O)、5.2(2H,bs,NH×2)。
IR(薄膜)cm-1:−3350、2976、2931、2859、1674、1516、1455、1418、1393、1260、1250、1165、1069、965、871、775。
質量分析(Fabs)m/e:−C336549に関する計算値(M+H)661、実測値661。
段階(f):トルエン−4−スルホン酸8−[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−アミノ]−7−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−オクチルエステル
(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)アミノ]−メチル}−8−ヒドロキシオクチル)−炭酸tert−ブチルエステル(2.52g、3.82mmol)、p−トルエンスルホニルクロリド(1.0g、5.2mmol)、トリエチルアミン(1.3g、12.8mmol)及びCH2Cl2(30ml)を、溶媒をゆっくりと蒸発させながら室温で撹拌した。反応を炭素NMRによってモニターしたところ、3日後には出発原料はほとんど残留しなかった。反応体積をCH2Cl2で30mlに調整し、水(50ml×3)で抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させると褐色の残留物が残った。この残留物を、CH2Cl2/MeOH(100:5)を溶離剤とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけた。最初に溶出された化合物は、rf=0.95を有する未反応のトシルクロリドであった。表題化合物はrf=0.2で溶出され、淡黄色の粘稠な油状物として単離された。収量(1.20g、39%)。
13C NMR(CDCl3):δ21.7(CH3トシル)、25.3(CH2)、26.3(CH2)、28.5(CH3×12)、28.8(CH2)、29.5(CH2)、29.9(CH2)、36.5(CH,非常にブロード)、39.4(NCH2×2)、47.0(ブロード,NCH2×2)、50.5(ブロード,NCH2×2)、70.6(TsOCH2)、79.1(OC×2)、80.0(OC×2)、127.9(CH×2)、129.9(CH×2)、133.2(C)、144.7(C−S Ts)、156.1(ブロード,C=O×4)。
1H NMR(CDCl3):δ1.16(8H,bs,CH2×4)、1.35(18H,s,CH3×6)、1.39(18H,s,CH3×6)、1.88(1H,bs,CH)、2.38(3H,s,CH3トシル)、3.10−3.12(4H,bs,NCH2×2)、3.19(8H,bs,NCH2×4)、3.93(2H,t,J=7Hz,CH2OTs)、5.0(1H,bs,NH)、5.08(1H,bs,NH)、7.29(2H,d,J=8Hz,CH×2,Ar)、7.72(2H,d,J=8Hz,CH×2,Ar)。
IR(薄膜)cm-1:−3360、2974、2932、2862、1693、1516、1479、1418、1391、1366、1250、1177、1069、959、816、775。
質量分析(Fabs)m/e:−C4071411Sに関する計算値(M+H)815、実測値815。
段階(g):(8−アジド−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−カルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−オクチル)−(2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
トルエン−4−スルホン酸8−[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−アミノ]−7−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)アミノ]メチル}−オクチルエステル(1.105g、1.36mmol)、アジ化ナトリウム(350mg、5.4mmol)及びメタノール(10ml)を70〜75℃で16時間加熱還流した。冷却後、メタノールを減圧下において室温で除去し、約1〜2mlが残留するまで続けた。この残留物を水(25ml)で希釈し、CH2Cl2(25ml×4)で抽出した。有機抽出液を合わせ、乾燥し(MgSO4)、濾過し、揮発分を室温で蒸発させる(注意:アジ化物は潜在的に爆発性であり、この段階は安全シールドの後方で実施すべきである。)と淡黄色の粘稠な残留物が残った。この残留物は、純粋な状態の所望化合物であった。(収量820mg、88%)。
13C NMR(CDCl3):δ26.3(CH2)、26.5(CH2)、28.3(CH3×12)、28.7(CH2)、29.6(CH2)、29.8(CH2)、36.8(ブロード,CH)、39.3(NCH2×2)、46.9(ブロード,NCH2×2)、50.0(ブロード,NCH2×2)、51.3(CH23)、79.0(OC×2)、79.8(OC×2)、156.0(C=O×4)。
1H NMR(CDCl3):δ1.16(8H,bs,CH2×4)、1.29(18H,s,CH3×6)、1.33(18H,s,CH3×6)、1.47(2H,bt,J=6.5Hz,CH2隣接CH)、1.86(1H,bs,CH)、2.95−3.05(4H,bs,NCH2×2)、3.05−3.20(10H,bs,NCH2×4及びCH23)、5.09(2H,bs,NH×2)。
IR(薄膜)cm-1:−3350、2974、2932、2860、2097(強バンドN3)、1694、1520、1470、1418、1391、1366、1250、1167、1069、870、777。
段階(h):(8−アミノ−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−カルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−オクチル)−(2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(キレートII)
(8−アジド−2−{[tert−ブトキシカルボニル−(2−tert−カルボニルアミノ−エチル)−アミノ]−メチル}−オクチル)−(2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(820mg、1.20mmol)、木炭担持10%パラジウム(100mg)及びメタノール(10ml)を30気圧の圧力の水素ガスを用いて室温で16時間処理した。固形分をセライトによる濾過で除去し、濾過ケークをメタノール(50ml)で洗った。濾液から揮発分を除去すると粘稠な油状物が残ったが、これは純粋な状態の所望物質であった。(収量700mg、89%)。
13C NMR(CDCl3):δ26.4(CH2)、26.6(CH2)、28.4(CH3×12)、32.9(CH2×2)、36.8(ブロード,CH)、39.2(NCH2×2)、41.8(H2NCH2)、46.9(ブロード,NCH2×2)、49.8(ブロード,NCH2×2)、78.9(OC×2)、79.7(OC×2)、156.0(C=O×4)。
1H NMR(CDCl3):δ1.08(8H,bs,CH2×4)、1.23(18H,s,CH3×6)、1.27(20H,bs,CH3×6及びCH2)、1.77(1H,bs,CH)、2.40(2H,bs,NH2)、2.50(2H,t,J=7Hz,CH2NH2)、2.97(4H,bm,NCH2×2)、3.00−3.16(8H,bm,NCH2×4)、5.21(1H,bs,NH)、5.30(1H,bs,NH)。
IR(薄膜)cm-1:−3360、1693、1520、1459、1418、1392、1367、1250、1170、1068、964、922、871、775、733。
質量分析(Fabs)m/e:−C336658に関する計算値(M+H)660、実測値660。
実施例4:造影剤1の合成
(a)前駆体1の合成
Figure 2009537624
Nova Biochem Rink MBHA樹脂(0.58mmole/g又は0.72mmole/g)の使用により、ABI 433A自動化合成機上でこのペプチドをアセンブルした。ペプチドは0.1mmoleスケール又は0.25mmoleスケールで合成した。標準プロトコルを使用した。
カップリング試薬:HBTU/HOBt、塩基:DIEA、溶媒:NMP。
HPLC移動相A)0.1%TFA/H2O、B)0.1%TFA/MeCN。
HPLCカラム:
分析用:Phenomenex、Gemini、250×4.6mm、5μm。
分取用:Phenomenex、Gemini、250×21mm、10μm。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(130mg、0.05mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。テトラBoc−キレートII NHSエステル(148mg、0.2mmole、実施例3に記載したBoc保護キレートII)をDMF(5ml)中でPyAOP(104mg、0.2mmole)及びNMM(40μl、0.4mmole)と3分間混合した。NMM(20μl、0.2mmole)を樹脂に添加し、その後にキレートII/PyAOP/NMM溶液を添加した。樹脂溶液混合物をバブリング下で一晩放置したところ、陰性のカイザー試験によって連結ペプチドへの100%転化が示された。切断及び凍結乾燥に続き、粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析した。分析によって適正なMWが存在することが示されたが、高率の欠失ペプチド(恐らくは−Leu)も認められた。RT:13.7分。
40分で20〜35%Bの勾配を用いて粗ペプチド混合物を精製した。いくつかの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:5.8mgの白色綿毛状固体。HPLC純度:98%。ESI−MS:理論MW:1940.40。実測(M+H)2+/2:971.2。
(b)前駆体1の放射性標識
造影剤を形成するため、室温まで温めたバイアルにMeOH20μl中の前駆体20μgを下記の試薬と共に加えた。
Figure 2009537624
1mlのDrytec(商標)99mTc溶出液をバイアルに加え、溶液を室温で20分間放置し、次いでHPLC及びITLCで分析した。
HPLC分析は、Phenomenex、Geminiカラム(C18 150×4.6mm、5μm)、溶媒A=0.06%アンモニア及び溶媒B=MeCNを用いて実施した。二重UVは225nm及び254nmで測定した。
HPLC勾配:
流量:1.00ml/分。
0分 20%B
20分 40%B
22分 95%B
26分 95%B
37分 20%B
30分 20%B
ITLC−ITLC SGストリップ−移動相=食塩水又は2−ブタノン(MEK)。
実施例5:造影剤3の合成
(a)前駆体3の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(110mg、0.05mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。テトラBoc−キレートII NHSエステル(148mg、0.2mmole、実施例3に記載したBoc保護キレートII)をDMF(5ml)中でPyAOP(104mg、0.2mmole)及びNMM(40μl、0.4mmole)と3分間混合した。NMM(20μl、0.2mmole)を樹脂に添加し、その後にキレートII/PyAOP/NMM溶液を添加した。樹脂溶液混合物をバブリング下で一晩放置したところ、陰性のカイザー試験によって連結ペプチドへの100%転化が示された。切断及び凍結乾燥に続き、粗ペプチドをLC−MS(20分で2〜12%B)で分析した。分析により、適正なMWが主ピークとして存在することが示された。RT:12分。
40分で2〜10%Bの勾配を用いて粗ペプチド混合物を精製した。3つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥して3mgの純粋なペプチドを得た。ペプチドを純H2Oに溶解した場合の初期HPLC分析によれば、電荷の異なる化学種の存在に原因する2つの基線で分離されたピークが示された。次に、ペプチドを0.1%TFA/H2Oに溶解し、適正な質量を有する1つのピークを得た。HPLC純度:98%。理論MW:1259.49。実測(M+H)2+/2:630.6。
(b)前駆体3の放射性標識
50μgの前駆体及び下記のようなHPLCを使用した点を除き、造影剤1に関して上述した方法に従って放射性標識を実施した。
HPLC勾配:
流量:1.00ml/分。
0分 5%B
10分 40%B
15分 40%B
17分 10%B
20分 5%B
実施例6:造影剤8の合成
(a)前駆体8の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(133mg、0.05mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。テトラBoc−キレートII−NHSエステル(148mg、0.2mmole、実施例3に記載したBoc保護キレートII)及びPyAOP(104mg、0.2mmole)をDMFに溶解し、混合し、NMM(40μl、0.4mmole)を溶液に添加し、2分間放置した。NMM(20μl、0.2mmole)を樹脂に添加し、その後にキレートII/PyAOP/NMM溶液を添加した。樹脂混合物をN2バブリング下で24時間放置したところ、カイザー試験によって反応が完了したことが示された。DMF/DCF洗浄に続き、樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリー(rotavapory)で蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で10〜30%B)で分析した。分析によって1つの主ピークの存在が示された。分取HPLC(40分で10〜30%B)を用いて粗ペプチド混合物を精製した。2つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:8.7mgの白色綿毛状固体。HPLC純度:99%。ESI−MS:理論MW:1178.45。実測(M+H)2+/2:590.0。
(b)前駆体8の放射性標識
下記のようなHPLCを使用した点を除き、造影剤1に関して実施例4に記載した方法に従って放射性標識を実施した。
HPLC勾配:
0分 10%B
20分 30%B
21分 95%B
26分 95%B
27分 10%B
30分 10%B
実施例7:造影剤10の合成
(a)前駆体10の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
ペプチジル樹脂H−Cys(Acm)−Val−Trp(Boc)−Leu−Trp(Boc)−Glu(OtBu)−Gln(Trt)−Cys(Acm)−RをTFA(10ml)中2.5%水及び2.5%TISの溶液で2時間処理した。樹脂を濾過によって除去し、濾液を真空中で蒸発させた。ジエチルエーテルを残留物に添加した。得られた沈殿をジエチルエーテルで洗って風乾したところ、84mgの粗H−Cys(Acm)−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys(Acm)−NH2が得られた。
粗H−Cys(Acm)−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys(Acm)−NH2(84mg)をアルゴンブランケット下で75%AcOH水溶液(80mL)に溶解した。1M HCl(8mL)、アニソール(0.4mL)及びAcOH中0.025M I2(26.6mL)をこの順序で添加した。1/2時間後、反応を停止させるために1Mアスコルビン酸を添加した。大部分の溶媒を真空中で蒸発させた。残留物を水/0.1%TFAで希釈し、生成物を分取HPLCで2回精製したところ、17mgの純粋なCys1−8;H−Cys−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys−NH2(17mg)が得られた。
Cys1−8;H−Cys−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys−NH2(17mg)、テトラ−Boc−キレートII NHSエステル(17mg)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(3mg)及びN−メチルモルホリン(17μl)をDMF(1mL)に溶解し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、混合物を60%ACN/水/0.1%TFA(7mL)で希釈し、生成物を分取HPLCで精製したところ、16mgの純粋なCys1−8;テトラ−Boc−キレートII−Cys−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys−NH2が得られた。
Cys1−8;テトラ−Boc−キレートII−Cys−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys−NH2をTFA(10ml)中2.5%水及び2.5%TISの溶液で2時間処理した。TFAを真空中で蒸発させ、残留物をDMF(0.5mL)に溶解し、20%ACN/水/0.1%TFA(5mL)で希釈し、生成物を分取HPLC(勾配:40分で20〜40%B(ただし、A=H2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10ml/分、カラム:Phenomenex Luna(商標)5μ C18(2)250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:24.7分)で精製したところ、8.7mgの純粋なCys1−8;キレートII−Cys−Val−Trp−Leu−Trp−Glu−Gln−Cys−NH2が得られた。質量分析法を用いて生成物を特性決定した(MH+計算値:1263.6、MH+実測値:1263.8)。
(b)前駆体10の放射性標識
50μgの前駆体を使用した点を除き、造影剤1に関して実施例4に記載した方法に従って放射性標識を実施した。
実施例8:造影剤29の合成
(a)前駆体29の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(65mg、0.025mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。その後、DMF(10ml)中のAc2O(450μl)/DIEA(250μl)/HOBtを用いて樹脂を2時間アセチル化した。陰性のカイザー試験によって完全なアセチル化が示された。(3I)Y−OHの同時エステル化のため、樹脂をDMF中20%ピペリジンで2×20分間処理した。次に、樹脂をDMF/DCMで十分に洗い、室温で乾燥した。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。粗ペプチド混合物を分取HPLC(40分で20〜35%B)で精製した。2つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:0.5mgの白色固体。HPLC純度:99%。ESI−MS:理論MW:1146.1。実測(M+H)2+/2:573.6。
(b)前駆体29の放射性標識
最初に、10μl(1mM、10-8モル)の0.05M NaOH中Na127Iを200μlの0.2M酢酸アンモニウム緩衝液(pH4)に添加した。次に、この溶液をNa123Iバイアルに入った約25μlの0.05M NaOH中Na123I溶液(450MBq)(GE Healthcare Cygne社)に添加した。内容物をシラン処理バイアルに移し、10μlの過酢酸(5mM、5×10-8モル)を添加した。次に、前駆体(70μlのMeOH中100μg、8.1×10-8モル)を添加し、バイアルの内容物をピペットで混合した。約5分後、反応混合物をHPLCで分析した。
HPLC分析は、Phenomenex、Luna(商標)(C18 150×4.6mm、5μm)カラム、溶媒A=0.1%TFA/H2O及び溶媒B=0.1%TFA/H2Oを用いて実施した。二重UVは225nm及び254nmで測定した。
HPLC勾配:
流量:1ml/分。
0分 10%B
20分 50%B
22.5分 100%B
27分 100%B
27.5分 20%B
31分 20%B
ITLC−ITLC SGストリップ−移動相=食塩水。
実施例9:造影剤35の合成
(a)前駆体35の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(150mg)をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で10〜30%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。40分で10〜30%Bの勾配を用いて粗ペプチド混合物を精製した。2つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:1.5mgの白色綿毛状固体。HPLC純度:99%。ESI−MS:理論MW:1104.06。実測(M+H)2+/2:552.8。
(b)前駆体35の放射性標識
造影剤29に関して実施例8に記載した方法に従って放射性標識を実施した。
実施例10:造影剤36の合成
(a)前駆体36の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(130mg、0.05mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。その後、DMF(10ml)中のAc2O(450μl)/DIEA(250μl)/HOBtを用いて樹脂を2時間アセチル化した。陰性のカイザー試験によって完全なアセチル化が示された。(3I)Y−OHの同時エステル化のため、樹脂をDMF中20%ピペリジンで2×20分間処理した。次に、樹脂をDMF/DCMで十分に洗い、室温で乾燥した。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。粗ペプチド(17mg)を、H2O(24ml)、MeCN(16ml)及びDMSO(160μl)からなる溶液中で酸化した。pHは25%NH3で約9に調整した。溶液を室温で一晩撹拌し続けた。LC−MSによって酸化は完了したことが示され、pHをAcOHで4に調整した。ペプチドを凍結乾燥し、その後に分取HPLC(40分で20〜35%B)で精製した。
2つの画分を捕集し、分析した。収量:2.5mgの白色綿毛状固体。HPLC純度:99%。ESI−MS:理論MW:1350.37。実測(M+H)2+/2:675.6。
(b)前駆体36の放射性標識
下記のようなHPLCを使用した点を除き、造影剤29に関して実施例8に記載した方法に従って放射性標識を実施した。
流量:1ml/分。
0分 20%B
20分 35%B
22.5分 100%B
27分 100%B
27.5分 20%B
31分 20%B
実施例11:造影剤37の合成
(a)前駆体37の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(65mg、0.025mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。Fmoc−PEG4−COOH(100mg、0.2mmole)をDMFに溶解し、PyAOP(100mg、0.2mmole)/DMF溶液に添加した。NMM(40μl、0.4mmole)を添加し、溶液を2分間放置した。NMM(20μl、0.2mmole)を樹脂に添加し、その後にカップリング溶液を添加した。樹脂混合物をN2バブリング下で一晩放置した。カイザー試験によって反応は完了していないことが示されたが、カップリング操作を2回繰り返すことでカイザー試験が陰性になった。DMF中20%ピペリジン(2×7ml)を用いて、Fmoc脱保護を1×10分及び1×5分実施した。DMF中のPyAOP(211mg、0.4mmole)/NMM(80μl、0.8mmole)を用いて、Fmoc−(3I)Y−COOH(0.5mmole)を3時間カップリングした。カイザー試験によって反応が完了したことが示された。
DMF洗浄に続き、DMF(10ml)中のAc2O(450μl)/DIEA(250μl)/HOBtを用いて樹脂を2時間アセチル化した。陰性のカイザー試験によって完全なアセチル化が示された。(3I)Y−OHの同時エステル化のため、樹脂をDMF中20%ピペリジンで2×20分間処理した。次に、樹脂をDMF/DCMで十分に洗い、室温で乾燥した。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析したところ、1つの主ピークが約90%の純度で示された。ペプチドは寒冷標準として使用するだけであったので、粗ペプチドをそれ以上は精製しなかった。ESI−MS:理論MW:1681.6。実測(M+H)2+/2:840.3。
(b)前駆体37の放射性標識
下記のようなHPLC勾配を使用した点を除き、造影剤29に関して実施例8に記載した方法に従って放射性標識を実施した。
0分 5%B
20分 25%B
22.5分 100%B
27分 100%B
27.5分 25%B
31分 5%B
実施例12:造影剤38の合成
(a)前駆体38の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(80mg、0.03mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。ブロモ酢酸(250ml)及びDCC(200mg)を混合し、DCM(10ml)を添加した。スラリーを室温で1時間撹拌し続け、その後に濾過した。DCM溶液をロタバポリーで蒸発させ、残留物にDCM(10ml)を添加した。その後、DIEA(50μl、0.5mmole)を添加し、DMF/DIEA溶液を樹脂に添加した。樹脂混合物をバブリング下で90分間放置したところ、陰性のカイザー試験によって反応が完了したことが示された。DMF洗浄後、DMF中のHis(trt)OtBu(100mg、0.3mmole)及びDIEA(50μl、0.5mmole)を樹脂に添加した。樹脂混合物をバブリング下で一晩放置した。樹脂をDMF/DCMで十分に洗い、室温で一晩放置した。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。分取HPLC(40分で20〜35%B)を用いて粗ペプチド混合物を精製した。1つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:2mgの白色固体。HPLC純度:98%。ESI−MS:理論MW:1917.3。実測(M+H)2+/2:958.8。
(b)前駆体38の放射性標識
ジェネレーターから溶出した1mlの99mTcO4-をTc−カルボニルキット(Isolink(商標)、Mallinckrodt社、ペッテン、オランダ)に添加し、5mlのヘッドスペースを除去し、バイアルを100℃で20分間加熱した。バイアルを室温まで冷却し、1mlの0.1M PBS(pH7.4)を添加し、溶液のpHを測定し、次いでTLC(Merck Silica Gel−移動相=99%MeOH/1%HCl)で分析した。
200μlの99mTc(CO)3(H2O)3溶液を、50μl/50μgのMeOH中前駆体及び200μlの1M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝液(pH6.5)と共に、新しいシラン処理バイアルに加えた。溶液を60℃で60分間加熱し、次いでHPLC及びITLC(SGストリップ−移動相=食塩水)で分析した。
最初のHPLC分析は、Phenomenex Geminiカラム(C18 150×4.6mm、5μm)、溶媒A=0.1%TFA/H2O及び溶媒B=0.1%TFA/MeCNを用いて実施した。UVは254nmで測定した。
HPLC勾配:
流量:1ml/分。
0分 20%B
20分 40%B
21分 95%B
26分 95%B
27分 20%B
32分 20%B
次のHPLC分析は、分析用としてPhenomenex Gemini C18カラム 150×2.1mm(5μm)−流量0.2ml/分を用いるか、又は精製用としてPhenomenex Gemini C18カラム 150×4.6mm(3μm)−流量1.0ml/分を用いて実施した。
溶媒A=0.06%アンモニア及び溶媒B=MeCN。UVは214nmで測定した。
HPLC勾配:
流量:1ml/分。
0分 25%B
20分 95%B
26分 95%B
27分 25%B
30分 25%B
実施例13:造影剤39の合成
(a)前駆体39の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(13mg、0.01mmole)をマイクロ波バイアルに移し、DMF(3ml)中のBoc−HYNIC−NHSエステル(5mg、0.015mmole)/HOBt(2mg、0.015mmole)/DIEA(8μl、0.0.6mmole)を添加した。樹脂混合物を室温で15分間放置し、その後にマイクロ波中に60℃で2時間配置した。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。粗ペプチドをLC−MS(20分で20〜40%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。粗ペプチド混合物を分取HPLC(40分で20〜35%B)で精製した。1つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:1mgの白色固体。HPLC純度:98%。ESI−MS:理論MW:1857.2。実測(M+H)2+/2:929.5。
(b)前駆体39の放射性標識
50μl/50μgの前駆体(MeOH中)をシラン処理バイアルに加えた。次に、0.3mlのトリシン(0.1%酢酸アンモニウム緩衝液(pH5)中30mg)をバイアルに加え、次いで1mlの0.1%酢酸アンモニウム緩衝液(pH5)を加えた。次に、0.5mlの99mTcO4-(放射能0.7〜4.4GBq)をバイアルに加え、次いで0.1mlのN2パージドSnCl2食塩水溶液(0.44mM dm-3)を加えた。これを室温で30分間反応させた。
HPLC分析は、Phenomenex Geminiカラム(C18 150×4.6mm、5μm)、溶媒A=10mMリン酸緩衝液(pH6)及び溶媒B=MeCNを用いて実施した。UVは254nmで測定した。
HPLC勾配:
流量:1ml/分。
0分 20%B
20分 40%B
21分 95%B
26分 95%B
27分 20%B
32分 20%B
ITLC SGストリップ−移動相=食塩水。
実施例14:造影剤40の合成
(a)前駆体40の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(リシン上ivDde保護)(182mg、0.1mmole)をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。キレートI−グルタル酸(23mg)、PyAOP(25mg)及びNMM(6μl)をDMF(3ml)に溶解し、ペプチド残留物に添加した。溶液を室温で一晩振盪し続けた。粗ペプチドをLC−MS(20分で25〜70%B)で分析した。分析によって2つの主ピークの存在が示された。粗ペプチド混合物(リシン保護状態)を分取HPLC(40分で30〜60%B)で精製した。3つの画分を捕集し、分析し、凍結乾燥した。収量:4.3mgの白色固体。HPLC純度:98%。ペプチド(4mg)をDMF(8ml)に溶解し、ヒドラジン水化物(160μl)を添加することでivDde保護基を除去した。脱保護をHPLCでモニターしたところ、20分後には反応が完了した。試料を10%MeCN/H2Oで希釈し、pHを4に調整した。その後、ペプチドをHPLC(40分で20〜40%B)で精製し、凍結乾燥して収量2.5mgの白色綿毛状固体を得た。HPLC純度:98%。ESI−MS:理論MW:2161.7。実測(M+H)2+/2:1082.2。
(b)前駆体40の放射性標識
下記のようなHPLC勾配を使用しながら、造影剤1に関して実施例4に記載したようにして放射性標識を室温で20分間実施した。
流量:1.00ml/分。
0分 25%B
20分 60%B
21分 95%B
27分 25%B
32分 25%B
実施例15:造影剤41の合成
(a)前駆体41の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
自動アセンブリに続き、ペプチド樹脂(70mg、0.03mmole)をDMF中で10分間膨潤させた。テトラBoc−キレートII NHSエステル(70mg、0.1mmole、実施例3に記載したBoc保護キレートII)をDMF(5ml)中でPyAOP(50mg、0.1mmole)及びNMM(30μl、0.3mmole)と3分間混合した。NMM(20μl、0.2mmole)を樹脂に添加し、その後にキレートII/PyAOP/NMM溶液を添加した。樹脂溶液混合物をバブリング下で一晩放置したところ、陰性のカイザー試験によって連結ペプチドへの100%転化が示された。樹脂をTFA/TIS/H2O(10:0.25:0.25)中で2時間切断し、次いで濾過し、ジエチルエーテル中でトリチュレートし、ロタバポリーで蒸発させ、凍結乾燥した。LC−MS(20分で20〜40%B)によって1つの主ピークが示され、粗ペプチドを分取HPLC(40分で20〜30%B)で精製した。1つの画分を捕集し、凍結乾燥後に1mgの白色固体を得た。HPLC純度:98%。ESI−MS:理論MW:2948.6。実測(M+H)3+/3:983.4。
(b)前駆体41の放射性標識
50μgの前駆体及び下記のようなHPLC勾配を使用した点を除き、造影剤1に関して実施例4に記載したようにして放射性標識を室温で20分間実施した。
0分 20%B
20分 40%B
21分 95%B
26分 95%B
27分 20%B
32分 20%B
実施例16:造影剤42の合成
(a)前駆体42の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
ペプチジル樹脂(0.05mmol)をTFA(5ml)中2.5%水及び2.5%トリイソプロピルシラン(TIS)の溶液で2時間処理した。樹脂を濾過によって除去し、濾液を真空中で蒸発させた。ジエチルエーテルを残留物に添加した。得られた沈殿をエーテルで洗って風乾したところ、95mgの粗H−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2が得られた。
H−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2(24mg)、キレートI−Glut活性エステル(62mg)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(7mg)及びsym.−コリジン(66μl)を1−メチル−2−ピロリドン(NMP)(1mL)に溶解し、反応混合物を37℃で一晩撹拌した。反応混合物をNMP(0.5mL)、水/0.1%TFA(1mL)及びアセトニトリル(ACN)/0.1%TFA(1mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を精製したところ、5mgの純粋なキレートI−Glut−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2が得られた。
キレートI−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−diglycoloyl−NH2(5mg)を2%ヒドラジン一水化物/NMP(1mL)で30分間処理した。10%ACN/水/0.1%TFA(4mL)を反応混合物に添加し、生成物を分取HPLC(勾配:40分で10〜40%B(ただし、A=H2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna(商標)5μ C18(2)250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:35.0分)で精製したところ、2.3mgの純粋な生成物が得られた。純粋な生成物を分析HPLC(勾配:5分で10〜40%B(ただし、A=H2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna(商標)3μ C18(2)20×2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:4.02分)で分析した。質量分析法を用いて追加の生成物特性決定を実施した(MH22+計算値:1226.3、MH22+実測値:1226.3)。
(b)前駆体42の放射性標識
下記のようなHPLC勾配を使用しながら、造影剤1に関して実施例4に記載したようにして放射性標識を室温で20分間実施した。
流量:1.00ml/分。
0分 25%B
20分 60%B
21分 95%B
27分 25%B
32分 25%B
実施例17:造影剤43の合成
(a)前駆体42の合成
Figure 2009537624
上記実施例4で造影剤1に関して記載したようにしてこのペプチドをアセンブルした。
ペプチジル樹脂(0.05mmol)をTFA(5ml)中2.5%水及び2.5%TISの溶液で2時間処理した。樹脂を濾過によって除去し、濾液を真空中で蒸発させた。ジエチルエーテルを残留物に添加した。得られた沈殿をエーテルで洗って風乾したところ、77mgの粗H−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−N−Me−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2が得られた。
H−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−N−Me−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2(24mg)、キレートI Glut活性エステル(62mg)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(7mg)及びsym.−コリジン(66μl)をNMP(1mL)に溶解し、反応混合物を37℃で一晩撹拌した。反応混合物をNMP(0.5mL)、水/0.1%TFA(1mL)及びACN/0.1%TFA(1mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を精製したところ、6.5mgの純粋なキレートI−Glut−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−N−Me−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2が得られた。
キレートI−Ala−Asn−Ala−Ala−Leu−Lys(ivDde)−Ala−Gly−Glu−Leu−Tyr−N−Me−Lys(ivDde)−Abu−Ile−Leu−Tyr−PEG(4)−ジグリコロイル−NH2(6.5mg)を2%ヒドラジン一水化物/NMP(1mL)で35分間処理した。10%ACN/水/0.1%TFA(8mL)を反応混合物に添加し、生成物を分取HPLC(勾配:40分で10〜40%B(ただし、A=H2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna(商標)5μ C18(2)250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:31.0分)で精製したところ、5.3mgの純粋な生成物が得られた。純粋な生成物を分析HPLC(勾配:5分で10〜40%B(ただし、A=H2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna(商標)3μ C18(2)20×2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:3.52分)で分析した。質量分析法を用いて追加の生成物特性決定を実施した(MH22+計算値:1233.3、MH22+実測値:1233.3)。
(b)前駆体43の放射性標識
下記のようなHPLC勾配を使用しながら、造影剤1に関して実施例4に記載したようにして放射性標識を室温で20分間実施した。
流量:1.00ml/分。
0分 20%B
20分 55%B
21分 95%B
27分 20%B
32分 20%B
実施例18:I型コラーゲンに対する造影剤1のインビトロ結合
Maxisorpプレートを50μL又は100μLの0.1mg/mLI型コラーゲンと共に4℃で一晩インキュベートした。ピペットを用いてすべての溶液をウェルから除去した。ウェルを200μLのPBSで2回洗い、0.1%BSAを含む150μLのPBSと共に室温で30分間インキュベートした。ウェルを200μLのPBSで5回洗い、次いで90μLのPBSを各ウェルに加えた。10μLのニートな(及びPBSで2倍系列希釈した)造影剤1をウェルに四重試料として加えた。プレートをシールし、37℃で1時間インキュベートした。
ウェルを氷冷PBS(200μL)で7回洗い、次いでウェルをガラスバイアルに移し、Wallacカウンターを用いて各試料に関し60秒カウントを行うことで99mTc放射能を計数(測定)した。
下記の図1は、1つの実験から得られたI型コラーゲン被覆ウェルに対する造影剤1の結合を示している。曲線(黒点のトレース)はGraphPad PRISMでモデル化した非線形回帰単一部位結合双曲線を用いて当てはめたものであり、当てはめデータ(r2=0.9992)を用いてBmax=1068amol(アトモル)及びKd=194.2nMが得られた。
実施例19:造影剤1のインビボ体内分布
18頭の雄Sprague Dawleyラット(180〜200g)を手術した。各動物の腹部を剃毛してベタジン溶液を塗布し、次いで5mg/kgのカルプロフェン(s.c.)及び5mg/kgのブプロノルフィン(s.c.)を投与した。イソフルラン麻酔下で正中線開腹術を実施し、総胆管の位置を確認した。胆管を二重に結紮した(n=9)。第1の結紮は肝管の接合部間で行い、第2の結紮は膵管の入口上方で行った。縫合前、約2〜3mlの食塩水を腹腔内に投与した。筋膜及び皮膚を縫合し、動物に2mg/kgのメタクロプロミド(s.c.)、5mg/kgのベテトリル(s.c.)及び約2mlの食塩水(s.c.)を投与した。次の2日間、必要に応じてカルプロフェン(5mg/kg)を投与した。対照動物には、胆管を操作し、縫合糸を胆管下方に通す擬似手術を施した(n=9)。動物を15日間にわたって綿密にモニターした。手術後16日目、イソフルラン麻酔下の動物に尾静脈経由で0.1mlの造影剤1(約1MBq)を静脈内注射した。注射から5分、60分及び120分後に器官を切除した(BDL動物)。5分、60分及び120分後に器官を切除した(対照動物)。
下記の表は、調査した様々な時点におけるパーセント注射量を示している。
Figure 2009537624
実施例20:肝線維症の胆管結紮モデル
この胆管結紮モデルは、文献(例えば、Biecker et al.,2005,J.Pharm.Exp.Ther.,313(3),952−961;Martinez−Prieto et al.,2000,Clinical Science,98(5),611−617;Ubeda et al.,1994,Hepatology,19(6),1431−1436)中に以前に記載されたものから採用した。
1.雄Sprague Dawleyラット(180〜200g)の腹部を剃毛してベタジン溶液を塗布し、次いで5mg/kgのカルプロフェン(s.c.)及び5mg/kgのブプロノルフィン(s.c.)を投与した。
2.イソフルラン麻酔下で正中線開腹術を実施し、総胆管の位置を確認した。
3.胆管を二重に結紮した。第1の結紮は肝管の接合部間で行い、第2の結紮は膵管の入口上方で行った。
4.縫合前、約2〜3mlの食塩水を腹腔内に投与した。
5.筋膜及び皮膚を縫合し、動物に2mg/kgのメタクロプロミド(s.c.)、5mg/kgのベテトリル(s.c.)及び約2mlの食塩水(s.c.)を投与した。
6.次の2日間、必要に応じてカルプロフェン(5mg/kg)を投与した。
7.対照動物には、胆管を操作し、縫合糸を胆管下方に通す擬似手術を施した。
8.動物を所要期間にわたって綿密にモニターした。
9.体内分布の日、イソフルラン麻酔下の動物に尾静脈経由で0.3mlの放射性標識化合物(約2MBq)を静脈内注射した。
10.注射から5分、60分及び120分後に器官を切除した(BDL動物)。
11.5分、60分及び120分後に器官を切除した(対照動物)。
12.Wallacカウンターを用いて各器官中における組織1グラム当たり放射能を測定した。
I型コラーゲン被覆ウェルに対する造影剤1の結合を示している。

Claims (28)

  1. コラーゲン結合ペプチド(CBP)及びイメージング成分を含んでなる造影剤であって、前記CBPは
    (i)RRANAALKAGELYKXaaILY、
    (ii)GELYKXaaILY、
    (iii)DARKSEVQK、
    (iv)KELNVLYT、
    (v)XaaVWLWEQXaa、
    (vi)XaaVWLWENXaa、
    (vii)XaaVWTLPDQXaa、
    (viii)TGELYKXaaILYTLAWKTTARLKELNLVYTT、
    (ix)医療用ヒルHirudo medicinalisの唾液から導かれるサラチン組換えポリペプチド、
    (x)デコリンの残基176〜201、及び
    (xi)ペプチド(i)〜(x)のいずれかのペプチド類似体
    から選択されるか、或いは前記CBPはこれらのペプチドのいずれかの安定化型、切断型及び/又は環状型であるか、或いはこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体であり、式中のXaaはシステイン、2−アミノ酪酸、メチオニン又はアラニンのいずれかであることができ、前記イメージング成分は前記CBPの一体部分であるか、或いは適当な化学基を介してCBPに連結している、造影剤。
  2. 前記CBPがペプチド(i)〜(vii)或いはその切断型又は環状型から選択されるか、或いは前記CBPがこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体であり、Xaaがシステイン又は2−アミノ酪酸のいずれかであることができる、請求項1記載の造影剤。
  3. 前記CBPがペプチド(i)〜(iv)或いはその切断型又は環状型から選択されるか、或いは前記CBPがこれらのペプチド又はその切断型の2種のホモ若しくはヘテロ二量体であり、Xaaがシステイン又は2−アミノ酪酸のいずれかであることができる、請求項1又は請求項2記載の造影剤。
  4. 前記CBPが下記のものから選択され、各々の場合においてN末端は任意にアセチルで保護されかつC末端は任意にアミドで保護される、請求項1又は請求項2記載の造影剤。
    (a)下記方法の1以上で修飾されたペプチド(i)、
    ・2つのN末端アルギニンを除去するための切断
    ・Xaa=2−アミノ酪酸又はシステイン
    ・メチル化アラニン残基
    ・メチル化リシン残基
    ・リシンによるチロシンの置換
    ・C末端へのポリエチレングリコール及び/又はジグリコリルの付加
    (b)(a)と同様に修飾されかつレトロインベルソ配列に変換されたペプチド(i)、
    (c)Xaa=システインであるペプチド(ii)、
    (d)非修飾ペプチド(iii)又はそれぞれがN末端及びC末端に付加された2つのシステイン残基によって環化されたペプチド(iii)、
    (e)非修飾ペプチド(iv)又は下記方法のいずれか一方又は両方で修飾されたペプチド(iv)、
    ・バリン5及びロイシン6の逆転
    ・それぞれがN末端及びC末端に付加された2つのシステイン残基による環化
    並びに
    (f)Xaa=システインであるペプチド(v)〜(vii)。
  5. 前記CBPが下記のものから選択される、請求項4記載の造影剤。
    a)ANAALKAGELYKCILY−NH2
    b)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−NH2
    c)Ac−ANAALKAGELFK−[Abu]−ILY−NH2
    d)Ac−ANAALKAGELYK−[Abu]−ILF−NH2
    e)Ac−ANAALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILF−NH2
    f)Ac−AN−[NMeAla]−ALKAGELYK−[Abu]−ILF−NH2
    g)Ac−AN−[NMeAla]−ALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILF−NH2
    h)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−NH2
    i)ANAALKAGELY−[NMeLys]−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−NH2
    j)ANAALKAGELYK−[Abu]−ILY−[PEG(4)]−[ジグリコリル]−COOH、
    k)D−YLI−[Abu]−KYLEGAKLAANA−NH2
    l)GELYKCILY−NH2
    m)DARKSEVQK−NH2
    n)2つの付加末端システイン残基を介して環化されたCDARKSEVQKC−NH2
    o)KELNVLYT−NH2
    p)KELNLVYT−NH2
    q)Ac−KELNLVYT−NH2
    r)2つの付加末端システイン残基の橋かけによって環化されたAc−CKELNLVYTC−NH2
    s)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWLWEQC−NH2
    t)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWLWENC−NH2、及び
    u)システイン残基の橋かけによって環化されたCVWTLPDQC−NH2
    (式中、「Ac」はアセチル基であり、「Abu」は2−アミノ酪酸であり、「NMeLys」はN−メチル化リシンであり、「MNeAla」はN−メチル化アラニンであり、「PEG(X)」はX単位のポリエチレングリコール鎖である。)
  6. 前記イメージング成分が下記のものから選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の造影剤。
    (i)放射性金属イオン、
    (ii)常磁性金属イオン、
    (iii)γ放出型放射性ハロゲン、
    (iv)陽電子放出型放射性非金属、
    (v)過分極NMR活性核、及び
    (vi)インビボ光学イメージングのために適したレポーター。
  7. イメージング成分が放射性金属イオンである、請求項6記載の造影剤。
  8. 放射性金属イオンが99mTcである、請求項7記載の造影剤。
  9. イメージング成分がγ放出型放射性ハロゲンである、請求項6記載の造影剤。
  10. γ放出型放射性ハロゲンが123I及び131Iから選択される、請求項9記載の造影剤。
  11. イメージング成分が陽電子放出型放射性非金属である、請求項6記載の造影剤。
  12. 陽電子放出型放射性非金属が18F及び11Cから選択される、請求項11記載の造影剤。
  13. 請求項1乃至請求項12記載の造影剤を製造するための前駆体であって、当該前駆体は請求項1乃至請求項4のCBP及びイメージング成分の供給源と反応し得る化学基を含み、前記化学基は
    (i)金属イメージング成分を錯体化できるキレーター、
    (ii)トリアルキルスタンナン又はトリアルキルシランのような有機金属誘導体、
    (iii)求核置換用のアルキルハライド、アルキルトシレート又はアルキルメシレートを含む誘導体、或いは
    (iv)チオール含有化合物をアルキル化してチオエーテル含有生成物を与える誘導体
    からなり、前記化学基は前記CBPの一体部分であるか、或いは前記CBPに連結している、前駆体。
  14. 前記化学基が
    (i)金属イメージング成分を錯体化できるキレーター、或いは
    (ii)トリアルキルスタンナン又はトリアルキルシランのような有機金属誘導体
    からなる、請求項13記載の前駆体。
  15. 無菌で非発熱性の形態にある、請求項13又は請求項14記載の前駆体。
  16. 当該前駆体が固相に結合されている、請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の前駆体。
  17. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の造影剤を、ヒトへの投与に適した形態の生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬品組成物。
  18. 前記造影剤が放射性イメージング成分を含む、請求項17記載の医薬品組成物。
  19. 1人の患者用として適した放射能量を有し、適当な注射器又は容器に入れて供給される、請求項18記載の医薬品組成物。
  20. 請求項17乃至請求項19のいずれか1項記載の医薬品組成物を製造するためのキットであって、請求項13乃至請求項19のいずれか1項記載の前駆体を含んでなるキット。
  21. インビボ診断又はイメージング方法で使用するための、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤。
  22. 前記方法がコラーゲン形成状態のインビボイメージングに関する、請求項21記載の造影剤。
  23. コラーゲン形成状態が線維症に関連した状態である、請求項22記載の造影剤。
  24. 前記線維症に関連した状態が特発性肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、強皮症、糖尿病性網膜症、AMD、アテローム性動脈硬化症、脆弱性プラーク、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、IgA腎症、肝線維症、慢性関節リューマチ又はうっ血性心不全である、請求項23記載の造影剤。
  25. 被験体においてコラーゲン形成状態のインビボ診断又はイメージングを行うための方法であって、請求項17乃至請求項19記載の医薬品組成物の投与を含んでなる方法。
  26. 請求項17乃至請求項19記載の医薬品組成物を予め投与した被験体においてコラーゲン形成状態のインビボイメージングを行うための、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤の使用。
  27. コラーゲン形成状態のインビボイメージング用医薬品の製造のための、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤の使用。
  28. コラーゲン形成状態と戦うための薬物によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニターする方法であって、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤を前記身体に投与する段階、及び前記造影剤の取込みを検出する段階を含んでなる方法。
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