発明の分野
本願発明は、熱可塑性ポリオレフィン、官能基をもたない可塑剤(non-functionalized plasticizer,NFP)及び核形成剤(nucleating agent,NA)を含む熱可塑性ポリオレフィン類から生産される製品に関するものである。
発明の背景
ポリオレフィン類、即ちポリオレフィン樹脂とエラストマーは、日常使用する製品のいずれにおいても有用である。半結晶性ポリオレフィンは特にそのような用途で使用されている。なぜなら半結晶性ポリオレフィンは熱可塑性、即ち、特に、固体状態においてある有益な程度の結晶性を示すからである。この結晶性は、加工特性、物理的特性、及び美観の好ましい組合せにより、架橋反応をすることなく有用な製品の成形を可能にする。例えば、そのような物質は取り扱いが簡便なようにペレットに成形でき、射出成形器のような標準的なプラスチック産業の装置を用いて加工される。熱可塑性ポリオレフィンは基本的に熱硬化性物質とは異なる。例えば、エチレンープロピレンージエンモノマー(EPDM)系を含むエチレンープロピレンエラストマーまたはゴムがあるが、これらは結晶性が殆どまたは全くなく、高分子量であり、通常、架橋反応を受けて有用な製品を形成する。このような物質は一般的にペレットにはできず、ロールミルのような標準的なゴム産業の装置を用いて加工される。
しかし、多くの熱可塑性ポリオレフィン、特にプロピレン含量の多いものの欠点は比較的ガラス転移温度が高いことである。この特性は、特に低温でこれらのポリオレフィンを脆くする。熱可塑性ポリオレフィンの多くの用途は、広い温度範囲で有用な性質をもつことを利用している。従って、比較的低温での衝撃への強度や堅固さについて維持あるいは改良をする一方、高温または低温での望ましい特性を維持できるポリオレフィンを供給する必要がある。特に、高い透明性及び低い曇りのような光学的特性等の他の望ましい特性を低下させることなく堅固さ、可塑性及び、又は高温での使用可能性をもつ熱可塑性ポリオレフィンを供給することは有益である。熱可塑性ポリオレフィンは高い結晶化温度と高速の結晶化速度をも示し、高速の加工が可能であることが好ましい。さらに熱可塑性ポリオレフィンから作った製品は高い透明性、低い曇りをもち、良好な表面の美観、特にその表面に油状又は粘着性の物質がないものであるべきである。
具体的には、食品容器、ヘルスケア製品、耐久性の家庭及び事務製品、スクイーズボトル(squeeze bottle)、透明なフレキシブルフィルム及びシート、自動車内装、計器盤、電線、ケーブル線、パイプ、おもちゃのような用途に使用できる、熱可塑性ポリオレフィン組成物、特にポリプロピレンとポリエチレン組成物が必要とされている。さらに具体的いえば、成形後に透明、均一な外観のポリオレフィン組成物が必要である。本願発明による可塑性ポリオレフィンはこれらの必要性を満たすことができる。
ポリオレフィンへ低分子量、非晶性物質を添加することはその性質や加工特性を改良する一法である。この目的について開示された特許は、米国特許第3,201,364号、米国特許第3,415,925号、米国特許第4,073,782号、米国特許第4,110,185号、米国特許第4,132,698号、米国特許第4,210,570号、米国特許第4,325,850号、米国特許第4,960,820号、米国特許第4,774,277号、米国特許第5,869,555号、米国特許第6,465,109号、EP0448259, FR2094870及びJP09-208761である。これらの開示は、しばしばかなりの濃度の不飽和、芳香族基、ナフテン基及び又は他の官能基を含む鉱油のような物質と混合されたポリオレフィンについて行われている。ポリオレフィンエラストマー、結晶性が殆ど又は全くなく、分子量の非常に大きいもの、の中に鉱油を添加することもよく知られている。例えば、RUBBER TECHNOLOGY HANDBOOK, Werner Hoffman (Hanser,New York,1989),p.294-305 を参照せよ。
鉱油の添加は、ポリオレフィンの可塑性を改良する傾向があり、そのような化合物を一般に受け入れられている定義どおり「可塑剤」とする。すなわち、プラスチック又はエラストマーの可塑性、加工性又は伸張性を改良する物質である。鉱油はまた、他の目的のほか、エキステンダー油(extender oils)又はプロセスオイル(processing oils)としてポリオレフィンにも加えられる。しかし、これらの添加剤化合物の使用は、特に光学的性質(例、色及び又は透明性)、弱い臭い、ポリオレフィンの上限(下限)使用温度範囲を保たないことがしばしばである。加えて、このような添加剤は通常高い流動点(-20℃以上又は、さらに-10℃以上)をもち、ポリオレフィンの低温での性質を殆ど又は全く改善しない結果となる。他の欠点は、特に、鉱油の全て又はいく分かが表面へ移り、許容できないほどの速さで蒸発し、その結果、とりわけ経時的に性質が劣化することである。引火点が十分低い場合(例、200℃未満)、この化合物は発煙し、融解しながら大気中へ失われ得る。またポリオレフィンから滲出し、このポリオレフィン組成物から作られた最終製品と接触する食品、衣料品他の製品を傷めることがあり得る。
これは最終製品の外観の悪さや他の外観上の性質に関する問題をも引き起こしうる。必要とされる物は、曇り(bloom)を生じることが少なく、低い移動性、滲出性、及び又は蒸発性をも示しながら優れた低温特性を与える化合物である。
しかし、鉱油の別の欠点は、不飽和の炭素、及び又はヘテロ原子に由来する高い程度(
5wt%より多い)の官能基をしばしば含み、これらが鉱油に、特に反応性を与え、熱的に不安定にし及び又は、ポリオレフィンと相溶性を失わせることである。鉱油は、実際には、何千もの異なる化合物を含み、これらの多くは分子量又は化学組成のためポリオレフィンに使用するには望ましくないものである。中程度から高い温度にかけては、これらの化合物は揮発し、抗酸化剤を添加してさえ、酸化しうる。これらは、また融解工程と製造工程において分子量の低下、架橋反応又は脱色等の問題を引き起こしえる。これらは好ましくない臭いをも与えるかもしれない。
鉱油のような通常の添加剤の性質は、最終ポリオレフィン組成物の性能を制限し、そのため多くの用途におけるその有用性を制限する。結果として、これらは熱可塑性ポリオレフィン用の改質剤(modifier)としての用途には余り好ましくない。必要とされる物は、これらの欠点から害を受けない改質剤である。好ましくは、必要とされる物は、大きく熱的耐性を損なうことなく、低分子量の物質の製品表面への移動が最小限でありながら、柔軟性、可塑性(低い曲げ弾性率)、特に低温(0℃より低温)での衝撃靭性(impact toughness)が改良された熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製を可能にする改質剤である。理想的には改質剤は、依然、許容できない滲出や抽出がない程度の十分に大きい分子量をもちながら、低い流動点をもつものであろう。これはまた光学的性質、色、臭い、熱的安定性、及び又は酸化安定性のような性能特性の低下をも引き起こさないものであろう。好ましくは、改質されたポリオレフィン組成物のガラス転移温度は改質されないポリオレフィンのそれより低いであろう。本願発明により可塑化を受けた組成物はこれらの必要性を満たすことができる。
パラフィン液のような単純で、非反応性の化合物の添加により熱可塑性ポリオレフィンを改質するのが特に望ましい。しかし、脂肪族またはパラフィン性の化合物の添加がポリオレフィンの性質を損なうことは知られており、そのためこれらは推奨されない。;CHEMICAL ADDITIVES FOR PLASTICS INDUSTRY(1987年、Radian Corp.,Noyes Data Corporation,NJ),P.107-116 参照。関連のある他の技術的背景の参考文献には、米国特許第6639020号及びADDITIVES FOR PLASTICS, J.Stepek,H.Daoust (Springer Verlag,New York,1983),p.6-69.等がある。
粘度指数と含まれる飽和結合及び硫黄の量により識別されるある種の鉱油は、アメリカ石油協会(API)により炭化水素ベースストック分類(Hydrocarbon Basestock Group)I,II又はIIIとして分類されてきた。分類Iのベースストックは、溶媒精製された鉱油である。それらは最も高い不飽和度と硫黄を最も多く含み最も低い粘度指数をもつ。それらは潤滑剤の性能の最も低い部類に属する。分類Iのベースストックは生産が最も安価であり、それらは現在、全ベースストックの約75%を占めている。これらには多くの「従来型」のベースストックがふくまれる。分類II及びIIIは高粘度指数及び超高粘度指数のベースストックである。これらは水素化処理を受けた鉱油である。分類IIIのオイルは分類Iのオイルより不飽和結合及び硫黄が少なく、分類IIよりも高い粘度指数をもっている。その他のベースストックは、分類IV及びVといわれるが、これらもベースストック産業で使用される。5個のベースストックグループは、例えば、SYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS(Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin,ed. Marcel Dekker,Inc.1999;p.409)において以下のように述べられている。
分類I−精製された鉱油。硫黄含量を低減するために、芳香族化合物の溶剤抽出、溶剤脱ろう(solvent dewaxing)、及び水素添加精製(hydrofining)が用いられる。 精製された鉱油は、硫黄含量は通常0.1%より大きく、飽和の程度は60-80%で粘度指数(VI)は、約90である。
分類II−中程度の水素化分解を受けた鉱油。若干のオレフィン系及び芳香属化合物から二重結合を除去すると同時に、従来の芳香族化合物の溶媒抽出、溶剤脱ろう及びより徹底した水素添加精製により硫黄含量を0.1%より低含量(通常0.03%)又は等しい含量にまで低減されたもの。
飽和度(saturate levels)は95-98%より大きく、VIは約90-100である。
分類III−強い水素化分解を受けた鉱油 若干のオイルの飽和度はほぼ100%である。
硫黄含量は0.001と0.01%の間であり、VIは120を超える。
分類IV−ポリ(アルファーオレフィン)−最も普通には6またはそれ以上の炭素原子の直鎖オレフィンの触媒的オリゴメリゼーションにより製造された合成流体。しかし、より一般的にはC4及びより大きなアルファオレフィンのオリゴメリゼーションにより生産される飽和オレフィンオリゴマーをいう。
分類V―エステル、ポリエステル、ポリアルキレングリコール等― 一般的に分類I,II,III及びIVに含まれない他の全ての合成ベースストック。
改質のためポリオレフィンへ鉱油を添加する従来の試みは大抵、分類I及び分類IIの鉱油の添加を含んでいる。いわゆる「プロセスオイル」、「工業用ホワイトオイル」「食品グレードオイル」等の場合のように、鉱油がAPI分類により特定されていない場合でも、そのような鉱油は、なおVIのみに基づき、容易に2分類される。VIが120より小さいもの(分類I及び分類IIの鉱油のように)とVIが120以上のものである。本願発明のある面は、理想的にはVIが120以上の物質と関係し、これは分類I及び分類IIの鉱油とVIが120より小さい他の鉱油は含まない。
粘着用途ではないパラフィン性液体可塑剤を混合した熱可塑性ポリオレフィンの例には以下のものがある。:
米国特許第4536537号は0.912から0.935g/cm3の密度をもつLLDPE又はポリブテン及び、100°F/38℃で約2cSt から約6cStの動粘性率をもつポリα-オレフィン液を含むポリプロピレン組成物を開示している。約2cSttより大きい粘度をもつものは「役に立たない」と報告されている(第3列、第12行)。
WO98/44041 は、シート状構造、特に床のカバー材に使用される、塩素を含まないポリオレフィンと100℃における動粘性率(kinematic viscosity)が約4cStから約8cStである、ポリ-α-オレフィンオリゴマーを含むブレンド組成物を開示している。
WO2002/18487とWO2003/48252は、10から30wt%の加硫を受けた又は受けていないポリオレフィンエラストマー、特にEPDM又はスチレンーエチレンーブテンースチレン(SEBS)ブロックコポリマー、及び約100℃の動粘性率が約4cStから約8cStであるポリーαーオレフィンオリゴマーを含むポリプロピレン組成物を開示している。
米国特許第4645791号、JP07292167、EP0315363及びWO2002/31044は全て、EPDM組成物中のポリーαーオレフィンタイプの物質を開示している。
JP56095938は、ポリオレフィン顆粒と混合されたオレフィンオリゴマー可塑剤を含むポリプロピレン組成物を開示している。
WO2004/14998はポリーアルファーオレフィン等の種々の可塑剤を含むプロピレンをベースとしたポリマー組成物を開示している。組成物の若干は、核形成剤を含んでいる。
他の領域では、パラフィンと従来の潤滑剤ベースストックは、最近ポリマーの改質剤として使用された。WO2004/014997、US2004/054040(USSN10/634,351),WO2004/014998(先にも記載)及びUS2004/106723(USSN10/640,435)は、ポリプロピレンと、又はポリブテンのようなポリオレフィンと官能基をもたない可塑剤(NEP’s)として種々の液体(例えば、イソパラフィン、n-パラフィン、ポリアルファオレフィン、高度に精製された分類IIIのベースストック、ポリブテン、ガスからの液体燃料化製法による分子(Gas-To-Liquid type molecules)及びその他)のブレンドを開示している。
これらの組成物は優れた性質をもつと報告されている。例えば、NFPの低い滲出性に加え、良好な柔軟性及び剛性を併せもっている。多くの用途において可塑剤として使用されるNFP剤の他の例は、WO2005/080495,US2005/148720(USSN 11/054,247),US2004/0260001(USSN10/782,228),US2004/0186214(USSN10/782,306),2005年2月2日に出願のUSSN60/649,266、2005年4月29日出願のUSSN11/118,925,USSN11/119,072 及びUSSN11/119,193、2005年6月24日出願のUSSN60/649,107,2005年6月3日出願のGB0511319.6 及びGB0511320.4の両出願、また2005年7月15日出願のUSSN60/699,718を含む。
他の関連ある参考文献は:GB1329915, JP01282280 ,JP69029554, WO2001/18109,EP0300689及びEP1028145を含む。
上記の例はあるパラフィン性の可塑剤がポリオレフィン、特にポリプロピレンの性質(例、柔軟性及び低温での衝撃強度)を改質することを示している。しかし、ある条件下では可塑化はある種の熱可塑性ポリオレフィン、特にポリプロピレンに望ましくない光学的及び又は触覚的な性質を表わすことが見出された。例えば、イソタクチックポリプロピレンは、経時後(数秒から数分)射出成形試験片の内部に、はっきりした曇り部分を生じる。またランダムコポリマーポリプロピレンは、圧縮成形試験片の表面に経時後(数時間から数日後)油性の感触が生じる。光学顕微鏡でみると、曇り部分には、光を分散できるほど十分大きい非晶質の領域(ここには液体可塑剤が多いと見られる)が不均一かつ不規則に分散している。同様に油性の感触は表面の可塑剤の多い層によるようである。望ましくない光学的及び又は感触的な挙動の発現に必要な条件は成型加工の性質、ポリオレフィンの種類、可塑剤の種類、可塑剤の濃度(通常、ある臨界的水準より高い濃度)に依存する。求められるものは成型品の満足できる美観を保証できるように可塑剤組成物を調整する方法である。
核形成剤の熱可塑性ポリオレフィン/可塑剤ブレンドへの添加は、本願発明で実証されているように、この必要を満たす。特に、核形成剤の適切な選択及び使用は可塑化工程の堅牢性を増し、これは、内部の曇り又は表面の油性の感覚が現れることなく、それにより許容できる光学的及び触覚的性質を維持しながら、可塑剤濃度を増やすことを可能にする(そして、そのため機械的特性及び加工特性のより高度の改質を可能にする。)。
発明の要約
本願発明は、熱可塑性ポリオレフィンを1以上、官能基をもたない可塑剤(「NFP」)を1以上及び核形成剤を1以上含む、可塑化された熱可塑性ポリオレフィン組成物を含む製品に関する。
図面の簡単な説明
図1は10wt%のある特定のNFPを加えた射出成形試験片の曇りに対する核形成剤(NA)の効果を示す一連の写真である。
定義
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むと記載があるときは、そのポリマー又はオリゴマーに存在するそのオレフィンとは、それぞれ、そのオレフィンが重合した又はオリゴマー化した形である。同様に、ポリマーという用語の使用はホモポリマーとコポリマーを含むことを意味する。加えて、コポリマーという用語は2以上の化学的に別のモノマーをもついかなるポリマーも含み、2以上の化学的に別のモノマー種からなるインターポリマー(interpolymer)及びブロックコポリマーを含む。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、ポリオレフィンとは少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95%モル%、好ましくは100モル%)の1以上のオレフィンモノマー、好ましくは1−オレフィンによるポリマーであって、この1−オレフィンが、炭素数を2から20(好ましくは2から16、好ましくは2から10、好ましくは2から8、好ましくは2から6)もつものであり、20kg/mol以上(好ましくは25kg/mol以上、好ましくは30kg/mol以上、好ましくは40kg/mol以上、好ましくは50kg/mol以上、好ましくは80kg/mol以上、好ましくは100kg/mol以上)の数平均分子量(Mn)をもつものと定義される。
そのため、本願において使用する場合には、用語「ポリプロピレン」及び「プロピレンポリマー」は、少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%、さらに好ましくは少なくとも95モル%又は好ましくは100モル%)のプロピレン単位からなリ、35wt%未満のエチレン単位からなるポリマーを意味する。従って、プロピレンポリマーとは、本願において定義するところでは、下記に定義するEPゴムではありえない。プロピレンコポリマー中のコモノマーとは好ましくはエチレンとC4からC24オレフィンから選択される。本願で使用される場合、用語「ポリプロピレン」はいわゆるランダムコポリマーポリプロピレン(RCP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、ホモポリプロピレン(hPP)を含む。本願で使用される場合、用語「ポリプロピレンブレンド」とは少なくとも1のポリプロピレン成分を含む2以上のポリマーのブレンドをいう。この場合このブレンドの全重量に基づくこのブレンドの全プロピレン含量は少なくとも50wt%(好ましくは少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%)である。従って、本願で使用される場合、「ポリプロピレンブレンド」とは、他の合成ポリマー、好ましくは、選択によりポリオレフィンエラストマーを含む他のポリオレフィン、好ましくは他のエチレン又はプロピレン又はブテンポリマーとのブレンドのほか、耐衝撃性コポリマー(impact copolymer)、好ましくは、材料を取り出すことなく(in-situ)(反応器中で(in-reactor)としても知られている)混合された衝撃耐性コポリマーを含む。
また、本願で使用する場合には、用語「ポリエチレン」及び「エチレンポリマー」とは少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%、さらに好ましくは95モル%又は好ましくは100モル%)のエチレン単位から作られたポリマーで、20重量%未満のプロピレン単位をもつものをいう。従って、本願での定義によれば、エチレンポリマーは下記のEPゴムではあり得ない。エチレンコポリマー中のコモノマーは好ましくはC3からC24のオレフィンから選ばれる。本願で使用する場合には、用語「ポリエチレンブレンド」とは、少なくとも1のポリエチレン成分とのブレンドをいう。ここで、ブレンド中の全エチレン含量は、ブレンドの全重量を基にして、少なくとも50wt%(好ましくは少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%)である。従って本願で使用する場合には、「ポリエチレンブレンド」は他の合成ポリマー、好ましくは選択によりポリオレフィンエラストマーを含む他のポリオレフィン、好ましくは他のエチレン又はプロピレン又はブテンポリマーとのブレンドを含む。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、0.86g/cm3未満の密度をもつエチレンポリマーはエチレンエラストマーといわれる。0.86から0.910 g/cm3の密度をもつエチレンポリマーがエチレンプラストマー又は単にプラストマーといわれる。0.910より大きく0.940g/cm3までの密度のエチレンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)といわれ、これは、不均一触媒法又は高圧/フリーラジカル触媒法で作られた当該範囲の密度の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)及び他のエチレンポリマーを含む。0.940 g/cm3より大きい密度をもつエチレンポリマーは高密度ポリエチレン(HDPE)といわれる。
また、本願で使用する場合には、用語「ポリブテン」及び「ブテンポリマー」は、少なくとも50モル%(好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも、70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらにより好ましくは少なくとも90モル%、さらにより好ましくは95モル%又好ましくは100モル%)のブテンー1単位からなるポリマーをいう。ブテンコポリマー中のコモノマーは、好ましくはエチレン、プロピレン及びC5からC24のオレフィンから選ばれる。本願で使用する場合には、用語「ポリブテンブレンド」は、少なくとも1のポリブテン成分とのブレンドをいい、このブレンドの全ポリブテン含量は、ブレンドの総重量に対して少なくとも50wt%(好ましくは少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%)である。従って、本願で使用する場合には、「ポリブテンブレンド」は、他の合成ポリマーとの、好ましくは選択によりポリオレフィンエラストマーを含む他のポリオレフィンとの、好ましくは他のエチレン又はプロピレン又はブテンポリマーとのブレンドを含む。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、EPゴムはエチレンとプロピレンの、さらに選択によりジエンモノマーとのコポリマーと定義され、エチレン含量は35から80wt%であり、ジエン含量は0から15wt%であり、残りは、最小プロピレン含量が20wt%の条件で、プロピレンである。そしてこのコポリマーはムーニー(Mooney )粘度、ML(1+4), 125℃,(ASTM D1646により測定)が、15から100である。
本願発明及びそれについての特許請求範囲において、オリゴマーは20kg/molより小さい(好ましくは15kg/mol未満、好ましくは13kg/mol未満、好ましくは10kg/mol未満、好ましくは5kg/mol未満、好ましくは4kg/mol未満、好ましくは3kg/mol未満、好ましくは2kg/mol未満、好ましくは1kg/mol未満)数平均分子量(Mn)をもつと定義されている。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、液体とは、25℃未満の流動点をもち、0℃以上に融点をもたず、25℃で30,000cSt以下の動粘性率をもつ、室温(23℃)で流れる物質であると定義される。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、パラフィンという用語はノルマルパラフィン(n-パラフィン)、分岐したパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンのような全ての異性体を含み、環状の脂肪族種及びそれらのブレンドも含むことができ、その技術分野で知られている手段により合成的に作られても良く、また精製原油から本願に記載された望ましい改質剤について記載された要件に適合するよう作ることができる。用語イソパラフィンはパラフィン鎖がC1からC18(より一般的にC1からC10)のアルキル鎖の分岐を1パラフィン鎖の少なくとも1箇所でもつものをいう。より詳しく言えば、イソパラフィンは分子が、少なくとも他の3炭素に結合している少なくとも1炭素をもつか又は少なくとも1の側鎖をもつ飽和脂肪族炭化水素である(すなわち1以上の3級又は4級炭素原子をもつ分子)。通常は、各炭素数の種々の異性体(即ち、構造異性体)が存在するであろう。複数のアルキル側鎖をもつイソパラフィンは、これらの側鎖の位置又は立体的な配置のいかなる組み合わせをも含むことができる。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、分類I、II及びIIIのベースストック(即ち、原油から精製された潤滑剤ベースストック)は、以下の性質をもつ鉱油であると定義される。
飽和度、硫黄含量、粘度指数はそれぞれASTM D 2007, ASTM D 2622 及びASTM D 2270に従い測定される。ある鉱油がたとえ、特に分類分けされていなくても、あるいはこれまで分類分けにより識別されていない場合でも、粘度指数に基づき2分類のうちの一方に分類することが可能である。即ち、VIが120以上である分類IIIの鉱油、あるいはVIが120未満の分類IIIではない(即ち、分類I又はIIの)鉱油である。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、分類IVベースストック(即ち、潤滑油ベースストック)は、ポリアルファオレフィン液(又は単にPAO)であると定義され、これはさらにアルファーオレフィン、好ましくは直鎖アルファーオレフィンで、5から24の炭素原子をもち、好ましくは5から20の炭素原子を、より好ましくは6から18の炭素原子をもつもの、の触媒的オリゴメリゼーションにより製造された炭化水素オリゴマーを含む液体であると定義される。PAOは、イソタクチック又はシンジオタクチック及び又はアタクチックのいずれのタイプのタクティシティーの特徴をもっても良く、かつイソタクチックが多い又はシンジオタクチックが多い又は完全なアタクチックのいずれの程度のタクティシティーをもっても良い。即ち、13C−NMRにより決定されるメソ体とラセミ体のダイアッド(diad)の比率(〔m〕/〔r〕)は、1でありえるし、1より大きくても小さくても良い。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、用語鉱油はいずれの石油由来のオイルをも含む。すなわち、最終オイルを製造するため精製工程(例えば、蒸留、溶媒処理(solvent processing)、水素化処理(hydroprocessing)及び/又は脱ろう)を受けた原油から製造されるものがある。これはまた厳しい加工処理により高度に精製及び/又は改質された石油由来のオイルも含む。これは、合成オイルは含まない。合成オイルとは触媒及び/又は熱を用いてモノマーを結合して製造されたものである。ポリマー加工技術において、鉱油はしばしばプロセスオイルと呼ばれる。ポリマーにおいてプロセスオイルとして使用される市販されている鉱油(いわゆる「パラフィン系」鉱油)の特徴は表Aに記載されている。
全てこれらの液体は120未満の粘度指数をもち、殆どは110未満の粘度指数をもち、多くは100以下の粘度指数をもつ。そのため、これらの物質は分類IIIの鉱油として分類できない。さらに、すべての品目がパラフィン鎖様の構造中に80%未満の炭素(本技術分野ではC
pで表す)をもつ。すなわちこれらは、また全てが芳香属環及び/又はナフテン環様の構造中(C
A+C
N)に20%より多い炭素を有している。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、核形成剤は、0.01 から10wt%の範囲の濃度で熱可塑性ポリオレフィン(好ましくはポリプロピレン及びポリプロピレンブレンドから選択される)へ添加されたとき、10℃/minの冷却速度で示差走査熱量計(differential scanning calorimetry)により測定したときに少なくとも5℃結晶化温度を上昇させる有機又は無機物質として定義される。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、「熱可塑性ポリオレフィン」とは、ポリオレフィンが30℃以上(好ましくは40℃以上、好ましくは50℃以上、好ましくは60℃以上、好ましくは80℃以上、好ましくは100℃以上)の融点をもち、DSCにより測定されたとき5J/g以上(好ましくは10J/g以上、好ましくは20J/g以上、好ましくは30J/g以上、好ましくは50J/g以上)の融解熱をもつことをいう。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、エラストマーとはASTM D1566で定義されるものを含むすべての天然及び合成ゴムをいう。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、Zが整数である場合の「CZ」という命名は、化合物中に「Z個の炭素」があることをいう。例えば「C5パラフィン」とは5個の炭素原子をもつパラフィンである。
本願発明及びそれについての特許を請求する目的において、別に記載がない限り、以下の試験法が、表示される性質について使用されなければならない。
発明の詳細な説明
本願発明は1以上の熱可塑性ポリオレフィンと官能基を持たない可塑剤を1以上、1以上の核形成剤を含む可塑化された熱可塑性ポリオレフィン組成物から形成された製品に関する。
組成物
ポリオレフィンは、ポリオレフィンとNFPの重量に基づき、一実施態様において本願発明の組成物に好ましくは、40から99.9wt%、別の実施態様において50から99wt%、さらに別の実施態様において60から98wt%、さらに別の実施態様において70から97wt%、さらに別の実施態様において80から97wt%、及びさらに別の実施態様において90から98wt%存在している。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
ポリオレフィンは、組成物の総重量に基づき、本願発明の組成物に好ましくは一実施態様においては40から99.9wt%で含まれ、別の実施態様では50から99wt%で含まれ、更に別の実施態様では60から98wt%で含まれ、更に別の実施態様で70から97wt%で含まれ、更に別の実施態様では80から97wt%で含まれ、更に別の実施態様では90から98wt%で含まれる。本願で望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
NFPは、NFPとポリオレフィンの重量に基づき、本願発明の組成物に、好ましくは、一実施態様においては60から0.1wt%で、別の実施態様では50から0.1wt%で、さらに別の実施態様では40から2wt%で、更に別の実施態様では30から3wt%、さらに別の実施態様では20から4wt%で、更に別の実施態様では10から5wt%で、更に別の実施態様では5wt%以下で、更に別の実施態様では4から0.1wt%で含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
NFPは組成物の総重量に基づき、本願発明の組成物に、好ましくは一実施態様において60から0.1wt%、別の実施態様において50から1wt%、更に別の実施態様において40から2wt%、さらに別の実施態様において30から3 wt%、さらに別の実施態様において20から4wt%、更に別の実施態様において10から5wt%、さらに別の実施態様において5wt%以下、更に別の実施態様において4から0.1wt%を含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリプロピレンとNFPの重量に基づき、ポリプロピレンを40から99.99wt%含み、また50から99wt%含み、または60から99wt%含み、または70から98wt%含み、または80から97wt%含み、または90から96wt%含み、NFPは60から0.01wt%、または50から1wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、組成物の総重量に基づき、40から99.99wt%で、または50から99wt%で、または60から99wt%、または70から98wt%、または80から97wt%、または90から96wt%でポリプロピレンを含み、NFPは60から0.01wt%、または50から1wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%で含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリプロピレンブレンドとNFPの総重量に基づき、40から99.99wt%で、または50から99wt%で、または60から99wt%、または70から98wt%、または80から97wt%、または90から96wt%でポリプロピレンブレンドを含み、NFPは60から0.01wt%、または50から1wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%で含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリプロピレンブレンドとNFPの総重量に基づき、20から95.99wt%、または40から93wt%、または55から90wt%でポリプロピレンを含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリプロピレンブレンドとNFPの総重量に基づき4から50wt%、または6から40wt%、または8から30wt%でEPゴムを含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリプロピレンとNFPの重量に基づき、ポリエチレンを、50から99.99wt%、または60から99wt%、または70から98wt%、または80から97wt%、または90から96wt%含み、NFPは50から0.01wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%で含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、組成物の総重量に基づき、ポリエチレンを、50から99.99wt%、または60から99wt%、または70から98wt%、または80から97wt%、または90から96wt%含み、NFPは50から0.01wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%で含まれる。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンは、ポリエチレンブレンドとNFPの総重量に基づき、ポリエチレンブレンドを40から99.99wt%、または50から99wt%、または60から99wt%、または70から98wt%、または80から97wt%、または90から96wt%含み、NFPは60から0.01wt%、または50から1wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、または10から4wt%、または5から0.1wt%含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化したポリオレフィンはポリブテンを、ポリブテンとNFPの重量に基づき、50から99.99 wt%含み、また60から99 wt%含み、また70から98 wt%含み、また80から97 wt%含み、また90から96 wt%含む。NFPは50から0.01 wt%含み、また40から1 wt%含み、また30から2 wt%含み、また20から3 wt%含み、また10から4 wt%含み、また5から0.1 wt%含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンはポリブテンを、組成物の総重量に対し50から99.99 wt%含み、また60から99 wt%含み、また70から98 wt%含み、また80から97 wt%含み、また90から96 wt%含む。NFPは50から0.01 wt%含み、また40から1 wt%含み、また30から2 wt%含み、また20から3 wt%含み、また10から4 wt%含み、また5から0.1 wt%含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれか上限のwt%といずれか下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィンはポリブテンブレンドを、ポリブテンブレンドとNFPの総重量に対し、40から99.99wt%含み、または50から99wt%、または60から99wt%含み、または70から98wt%含み、または80から97wt%含み、又は90から96wt%含む。またNFPは60から0.01wt%、または50から1wt%、または40から1wt%、または30から2wt%、または20から3wt%、又は10から4wt%、または5から0.1wt%で含む。ここで望ましい範囲は本願に記載されるいずれかの上限のwt%といずれかの下限のwt%のいずれの組み合わせでも良い。
別の実施態様では、ポリオレフィンはポリプロピレン、ポリエチレン及び、またはポリブテンを含み、NFPは、組成物の重量に対し、0.01から50wt%、より好ましくは0.05から45wt%、より好ましくは0.5から40wt%、より好ましくは1から35wt%、より好ましくは2から30wt%、より好ましくは3から25wt%、より好ましくは4から20wt%、より好ましくは5から15wt%、より好ましくは0.1から5wt%で含まれる。さらに別の実施態様では、NFPは、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び又はポリブテンとNFPの重量に対して1から15wt%、好ましくは1から10wt%で含まれる。別の実施態様ではNFPは、組成物の総重量に対して1から15wt%、好ましくは1から10wt%含まれる。
別の実施態様では、NFPは、ポリオレフィンとNFPの重量に対し3wt%より多く存在する。別の実施態様では、NFPは、組成物の総重量に対し3wt%より多く存在する。
別の実施態様では、組成物は組成物の総重量に対し50wt%未満(好ましくは45wt%未満、好ましくは40wt%未満、好ましくは35wt%未満、好ましくは30wt%未満、好ましくは25 wt%未満、好ましくは20wt%未満、好ましくは15wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、より好ましくは3wt%未満、より好ましくは1wt%未満)でEPゴムを含む。
別の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に対し50wt%未満(好ましくは45wt%未満、好ましくは40wt%未満、好ましくは35wt%未満、好ましくは30wt%未満、好ましくは25wt%未満、好ましくは20wt%未満、好ましくは15wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは3wt%未満、好ましくは2wt%未満、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満、より好ましくは0.1wt%未満)のエラストマーを含む。この実施態様で「エラストマー」とはオレフィンーベースとジエンベースのエラストマーと、熱可塑性エラストマーを含む。例えば、動的加硫された樹脂の組合せ及びスチレンブロックコポリマーがある。
別の実施態様では、本願発明中のエチレン、プロピレン及びまたはブテンポリマーは、ジエン含量は0%である。別の実施態様では、組成物中にある全てのポリオレフィンのジエンの総量は0%である。別の実施態様では組成物中に存在するいずれのポリオレフィンも、ポリオレフィンの重量に対して30wt%未満でジエンを含む(好ましくは20wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは2.5wt%未満、好ましくは1wt%未満)。
別の実施態様では、組成物はさらに、エチレンと1以上のアルファーオレフィンからなるコポリマーまたはコオリゴマーを含む。例えば、米国特許第6,639,020号と米国特許第6,916,882号に開示されている。
別の実施態様では、組成物は、組成物の重量に対し、40wt%未満(好ましくは30wt%未満、好ましくは20wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは1wt%未満、好ましくは0%)でエチレン/α-オレフインコポリマーを含む。ここで、αーオレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選択され、エチレン/α-オレフィンコポリマーは液体である。
別の実施態様では、組成物は、組成物の重量に対し20wt%未満(好ましくは10wt%未満、好ましくは1wt%未満)で、40℃で10,000cSt以下の動粘性率をもつ、イソプレン及び又はブタジエンからなる液体ホモポリマー又はコポリマーを含む。別の実施態様では、組成物は、40℃で2,000cSt から20cStの動粘性率をもつイソプレン及び又はブタジエンからなる20wt%未満(好ましくは10wt%未満、好ましくは1wt%未満)の液体ホモポリマー又はコポリマーを含む。
別の実施態様では、ポリ塩化ビニルに普通使用されるような従来の可塑剤は実質的に含まれていない。特に、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメト酸エステル、ポリエステル、及び、例えば米国特許第3,318,835号、米国特許第4,409,345号、WO02/31044、及びPLASTIC ADDITIVES499-504(Geoffrey Pritchard 編集.Chapman & Hall 1998)に開示されている他の官能性可塑剤は実質的に含まれていない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物が組成物に意図的に加えられておらず、仮に存在するとしても組成物の重量に対して0.5wt%未満で存在することをいう。
別の実施態様においては、「ナフテン性」と「芳香族性」鉱油及び分類Iと分類IIのベースストックは実質的に含まれていない。即ち、総組成物中の0.5%wt未満である。別の実施態様では、組成物中にこのような鉱油及び、又はベースストックが含まれている場合、そのような鉱油及び又はベースストックの合計は、NFPの重量に対し組成物中のNFP量の最大20wt%(好ましくは最大15wt%、より好ましくは最大10wt%、最も好ましくは5wt%)である。
別の実施態様においては、C4オレフィン(この場合、本願発明の目的においては、「C4オレフィン」とは1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、ブタジエン及びそれらの混合物をいう。)のオリゴマーは組成物中に存在しても良い。好ましい実施態様では、組成物は、組成物の重量に対し、50wt%未満(好ましくは40wt%未満、好ましくは30wt%未満、好ましくは20wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは1wt%未満、好ましくは0wt%)のC4オレフィンのポリマー又はオリゴマーを含む。
好ましい実施態様においては、NFPは、NFPの重量に対し50wt%未満(好ましくは40wt%未満、好ましくは30wt%未満、好ましくは20wt%未満、このましくは10wt%未満、好ましくは5wt%未満、好ましくは2wt%未満、好ましくは1wt%未満、好ましくは0%)のポリイソブチレン等のC4オレフィンを含む。
本願発明の一実施態様においては、組成物に適したポリオレフィンには他のポリオレフィンとポリプロピレンの物理的ブレンド、特に低分子量(500から10,000g/mol)のポリエチレン、又はポリエチレンコポリマーとポリプロピレンとの物理的ブレンドは含まない。すなわち、例えば、WO 01/18109 A1 の例のように、低分子量のポリエチレン又はポリエチレンコポリマーは意図的に本願発明のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)組成物に加えられることはない。
官能基をもたない可塑剤
本願発明のポリオレフィン組成物は官能基をもたない可塑剤(「NFP」)少なくとも1つを含む。官能基をもたない可塑剤として有用であると本願で記載した種類の物質は、望ましい特性を得るため、それのみで又は本願で記載した他のNFPと混合されて使用できる。本願発明で有用ないずれのNFPもまた、本願で記載されたいくつのパラメーター又はそのいずれか組み合わせでによってでも記述できる。NFPとして有用として本願で記載されている種類の物質は、望ましい特性を得るため、それのみで又は本願に記載されている他のNFPと混合して利用することができる。
NFPは液体炭化水素であり、すなわち、炭素と水素を含む液体化合物であり、水酸基、アリール基と置換アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボキシレート、エステル、炭素不飽和、アクリル酸塩(エステル)、酸素、窒素及びカルボキシル基から選択される官能基を評価されるほどには含まない。「評価されるほど」とは、これらの基とこれらの基を含む化合物が意図的にNFPに加えられず、かりに存在しても、NFPの重量に対し、一実施態様では5wt%未満であり、より好ましくは、4wt%未満、より好ましくは3wt%未満、より好ましくは、2wt%未満、より好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.7wt%未満、より好ましくは、0.5wt%未満、より好ましくは0.3wt%未満、より好ましくは0.1wt%未満、より好ましくは0.05wt%未満、より好ましくは0.01wt%未満、より好ましくは0.001wt%未満であることをいう。
一実施態様においては、芳香族成分(ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどの環構造をもつ化合物を含む)は、実質的にNFPに含まれない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物が意図的に当該組成物に加えられず、含まれていても、0.5wt%未満、好ましくは0.1wt%未満であることをいう。
別の実施態様では、ナフテン成分(ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどを水素添加して製造されるような飽和環構造をもついずれの化合物も含む)が実質的にNFPに含まれていない。「実質的に含まれていない」とはこれらの化合物が意図的に当該組成物に加えられず、存在しても0.5wt%未満、好ましくは0.1wt%未満で存在することをいう。
別の実施態様では、NFPは評価可能なほどオレフィン性の不飽和を含まない炭化水素である。「評価可能なほどのオレフィン性不飽和」とは、オレフィン性の結合に含まれる炭素が全炭素数の10%未満(好ましくは8%未満、より好ましくは6%未満、より好ましくは4%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.7%未満、より好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、より好ましくは0.01%未満、より好ましくは0.001%未満)であることをいう。いくつか実施態様では、オレフィン性の結合に含まれるNFPの炭素のパーセントは、NFPの炭素の総数の0.001と10%の間であり、好ましくは0.01%と5%の間であり、好ましくは0.1と2%の間であり、より好ましくは1%未満である。
特に好ましいNFPはイソパラフィン、PAO、分類IIIのベースストック又は鉱油、いわゆるGTL法(Gas-To-Liquid)から製造した高純度炭化水素液及び100より大きい粘度指数、-20℃より低い流動点、0.86より小さい比重、200℃より大きい引火点をもつ鉱油を含む。
別の実施態様では、NFPはC6からC200のパラフィン、C8からC100のパラフィンを含む。別の実施態様ではNFPは基本的にC6からC200のパラフィンからなり、又は別の実施態様では基本的にC8からC100のパラフィンからなる。さらに別の実施態様では、NFPはC20からC1500のパラフィンを含み、好ましくはC25からC500のパラフィンを含み、好ましくはC30からC500のパラフィンを含み、好ましくはC40からC500のパラフィンを含み、好ましくはC40からC250のパラフィンを含み、好ましくはC30からC150のパラフィンを含み、好ましくはC20からC100のパラフィンを含む。好ましい実施態様では、NFPはC5からC24のオレフィンのオリゴマーを含む。
イソパラフィン
本願発明の一実施態様では、NFPは、流動点が-50℃以下(好ましくは-60℃以下)で、比重が0.84以下(好ましくは0.83以下)のイソパラフィンの多い炭化水素液体である。「イソパラフィンの多い」とは、少なくとも50wt%(好ましくは少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%、好ましくは100wt%)で、C6からC150(好ましくはC6からC100、好ましくはC6からC25、好ましくはC8からC20)のイソパラフィンを含む。好ましくは、このパラフィン鎖は少なくとも1箇所でC1からC10のアルキル鎖の側鎖を含む。より好ましくは、イソパラフィンは、少なくとも3個の別の炭素原子又は少なくとも1の側鎖に結合した炭素原子を少なくとも1個もつ飽和脂肪族炭化水素(即ち、1以上の3級又は4級炭素原子を持つ分子)であり、数平均分子量が100から1000(好ましくは120から500、好ましくは150から300)g/molである。
別の実施態様では、イソパラフィンの多いNFPは25 ℃で30cSt以下の動粘性率(好ましくは25cSt以下、好ましくは20cSt以下、好ましくは15cSt以下)をもち、かつ、ASTM E1356により決定できないガラス転移温度(Tg)をもち、または決定できる場合は、ASTM E1356によるTgが好ましくは0℃より低く、より好ましくは-10℃より低く、より好ましくは-20℃より低く、より好ましくは-30℃より低いものである。好ましくはイソパラフィンの多いNFPの数平均分子量は100-300g/molである。
別の実施態様では、イソパラフィンの多いNFPとは分子に6から50の炭素原子、別の実施態様では10 から24の炭素原子を分子にもつ分岐したパラフィンと直鎖のパラフィンのブレンドである。イソパラフィン組成物とは、一実施態様では、直鎖のパラフィンに対する分岐したパラフィンの比率(分岐パラフィン:直鎖パラフィン)が0.5:1から9:1の範囲にあり、他の実施態様では1:1から4:1の範囲にある。この実施態様のブレンドのイソパラフィンは、50wt%(イソパラフィン組成物の総重量に対して)より多いモノメチル種であって、例えば、2-メチル、3-メチル、4-メチル、5-メチル基等を含み、少なくとも、1より多い炭素数の置換基をもつ側鎖、例えば、エチル、プロピル、ブチル基等による分岐をもつものを含む。一実施態様では、当該ブレンドのイソパラフィンは、ブレンド中のイソパラフィンの総重量に基づき70wt%より多くモノーメチル種を含む。このイソパラフィン性のブレンドは一実施態様では100℃から350℃の範囲内で沸騰し、別の実施態様では110℃から320℃の範囲内で沸騰する。異なる質のものを調製するときは、このパラフィンブレンドは一般的に、例えば、沸点が35℃の範囲のように狭い沸点範囲をもつ留分に分別される。これらの分岐したパラフィン/n-パラフィンブレンドは例えば、米国特許5,906,727号に記載されている。
適切なイソパラフィンの多い炭化水素液体は例えば、米国特許第6197285号、米国特許第3818105号及び米国特許第3439088号で記載され製品名ISOPARTM(ExxonMobil Chemical) として購入できる。これらのいくつかは表Bにまとめられている。他の適当なイソパラフィンの多い炭化水素液体は製品名SHELLSOLTM(Royal Dutch/Shell)、SOLTROLTM(Chevron Phillips)及びSASOLTM(SasolLimited)として購入できる。
このような液体中の鎖状のパラフィン構造に含まれる炭素(C
p)のパーセンテージは100%に近い(95%以上)。
他の実施態様ではイソパラフィンの多いNFPは1以上の次の特性を有している。
1. 上限温度と下限温度の差が40℃以下、好ましくは30℃以下、好ましくは20℃以下、好ましくは10℃以下、好ましくは6から40℃の間である蒸留範囲(ASTM D86により決定するとき)、かつ、又は
2. ASTM E1356により決定されるガラス転移温度(Tg)が0℃より低く、好ましくは-10℃より低く、好ましくは-20℃より低く、より好ましくは-30℃より低く、より好ましくは-50℃より低く、最も好ましくは、TgがASTM E1356により決定できず、かつ、又は
3. 流動点(ASTM D97により決定される)が-40℃以下、好ましくは-50℃以下、好ましくは-60℃以下、かつ、又は
4. 比重(ASTM D4052,15.6/15.6℃により決定される)が0.85より小さく、好ましくは0.84より小さく、好ましくは0.83より小さく、好ましくは0.65から0.85、好ましくは0.70から0.84、好ましくは0.75から0.83、好ましくは0.800から0.840であり、かつ又は
5. 最終沸点(final boiling point)(ASTM D1160により決定される)が115から500℃であり、好ましくは200から450℃であり、好ましくは250から400℃であり、かつ又は
6. 数平均分子量(Mn)が2000から100g/molの間であり、好ましくは1500から150の間であり、より好ましくは1000から200の間であり、かつ又は
7. ASTM D56 で測定した引火点が0から150℃であり、かつ又は
8. 密度(ASTM D4052,15.6 ℃)が0.70から0.83g/cm3 であり、かつ又は
9. 動粘度(ASTM D445)が25 ℃で0.5から20cSt である。
ポリアルファオレフィン
本願発明の別の実施態様では、NFPは流動点(ASTM D97により測定される)が-10℃以下、動粘性率が100℃で(ASTM D455で測定される)3cSt以上のポリアルファオレフィン(PAO)液を含む。PAO液は例えば米国特許第3,149,178号、米国特許第4,827,064号、米国特許第4,827,073号、米国特許第5,171,908号、米国特許第5,783,531号及びSYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFPRMANCE FUNCTIONAL FLUID(Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin,編 Marcel Deckker,Inc.1999),p.3-52に記載がある。
PAO液は、α-オレフィンを重合触媒の存在下でオリゴマー化することで簡便に合成できる。重合触媒としては例えば、フリーデル-クラフト触媒(例えば、AlCl3,BF3及び水、アルコール、カルボン酸又はエステルとBF3の錯体等)、配位錯体触媒(例えば、エチルアルミニウムセスキクロリド(sesquichloride)+TiCl4系 等)、又はポリエチレン及び/又はポリプロピレンの製造にもっと普通に使用される均一又は不均一(担体を用いた)触媒がある(例えばチーグラーナッタ触媒、メタロセン又は他の単一部位触媒及びクロム触媒等)。
一の実施態様では、PAOはC20からC1500(好ましくはC30からC800より好ましくはC35からC400,最も好ましくはC40からC250)のα-オレフィンのオリゴマーを含む。これらのオリゴマーはC3からC24(好ましくはC5からC18、より好ましくは、C6からC14,より好ましくはC8からC12、さらにより好ましくはC10)の分岐または直鎖のα-オレフィンの2量体、3量体、4量体、5量体等である。別の実施態様では、PAOはC3からC24(好ましくはC5からC18、より好ましくはC6からC14,最も好ましくはC8からC12)の直鎖のα-オレフィン(LAOs)を含む。適したオレフィンには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン及びそれらのブレンドが含まれる。6から18の間(両端を含む)の偶数のみの炭素数をもつ1-オレフィンLAOのオリゴマーが好ましい。
一実施態様では単一のLAOがオリゴマー調製に使用される。この場合、好ましい実施態様は1-デセンのオリゴメリゼーションを含み、PAOは1-デセンのオリゴマー(例えば、2量体、3量体、4量体、5量体、それ以上等)の混合物である。別の実施態様では、PAOは2以上のC3からC16のLAOのオリゴマーを含み、「ビポリマー(bipolymer)」又は「ターポリマー(terpolymer)」またはより高次のコポリマーの組み合わせを形成する。この場合、好ましい実施態様は1-オクテン、1-デセンと1-ドデセンの混合物のオリゴメリゼーションを含み、PAOは1-オクテン/1-デセン/1-ドデセンの「ターポリマー」のオリゴマー(例えば、2量体、3量体、4量体、5量体及びそれ以上の重合体)の混合物である。
別の実施態様において、PAOは、炭素数が5から24(好ましくは6から18、さらに好ましくは8から12、最も好ましくは10)である単一のアルファ-オレフィン種のオリゴマーを含む。別の実施態様では、NFPは、炭素数が3又は4のアルファ-オレフィンは、10重量%未満で含むとの条件で、混合したアルファ-オレフィン(即ち、2以上のアルファオレフィン種を含む)のオリゴマーであって、各アルファ-オレフィンの炭素数が3から24(好ましくは、5から24、より好ましくは6から18、最も好ましくは8から12)であるものを含む。特に、好ましい実施態様は、PAOが、アルファ-オレフィンの混合物(つまり、2以上のアルファ-オレフィン種をふくむ)のオリゴマーであって、そのアルファ-オレフィンの混合物の重量平均炭素数が6から14(好ましくは8から12、好ましくは9から11)であるものである。
別の実施態様では、PAOは、
―〔CHR―CH2〕−
である化学式の繰り返し単位をもつ1以上のα-オレフィンのオリゴマーを含む。ここで、RはC3からC18の飽和炭化水素の側鎖である。好ましい実施態様では、Rは全てのオリゴマーで同一である。別の実施態様では、炭素数が3 から18である範囲のR置換基を含む。好ましくはRは直鎖であり、即ちRは(CH2)nCH3である。
ここで、nは3から17であり、好ましくは4から11であり、好ましくは5から9である。選択により、Rは1のメチル又はエチル側鎖を含んでも良い。
即ち、Rは(CH2)m〔CH(CH3)〕(CH2)Z(CH3) 又は
Rは(CH2)X〔CH(CH2CH3)〕(CH2)Y(CH3) である。
ここで(m+z)は1から15であり、好ましくは1から9であり、好ましくは3から7であり、(x+y)は1から14であり、好ましくは1から8であり、好ましくは2から6である。好ましくはm>zであり、より好ましくはmは0から15であり、より好ましくは2から15であり、より好ましくは3から12であり、より好ましくは4から9である。nは0から10であり、好ましくは1から8であり、好ましくは1から6であり、好ましくは1から4である。好ましくはx>yであり、より好ましくはxは0から14であり、より好ましくは1から14であり、より好ましくは2から11であり、より好ましくは3から8である。yは0から10、好ましくは1から8、好ましくは1から6、好ましくは1から4である。好ましくは、繰り返し単位は頭―尾(head-to-tail)型配列で並び、頭ー頭 (head-to-head) 型配列は最少になっているものである。。
PAOはアタクチック、イソタクチック又はシンジオタクチックでも良い。一実施態様ではPAOはメソ体及びラセミダイアド(diad)を、本質的に同数含み、平均して、これがアタクチックになっている。別の実施態様ではPAOは、13-C-NMRで測定したとき50%より多く(好ましくは60%より多く、好ましくは70%より多く、好ましくは80%より多く、好ましくは90%より多く)メソダイアッド(即ち、〔m〕)を含む。別の実施態様ではPAOは、13-C-NMRで測定したとき50%より多く(好ましくは60%より多く、好ましくは70%より多く、好ましくは80%より多く、好ましくは90%より多く)ラセミダイアッド(即ち〔r〕)を含む。一実施態様では、13-C-NMRで測定したとき〔m〕/〔r〕は0.9から1.1の間であり、別の実施態様では〔m〕/〔r〕は1より大きく、更に別の実施態様では〔m〕/〔r〕は1より小さい。
PAO液体は1以上の別のPAO成分から構成しても良い。一実施態様ではNFPは異なる組成(例. 異なるα―オレフィンがオリゴマーを作るため使用される。)及び/又は異なる物理特性(例. 動粘性率、流動点、粘度指数、および/又はガラス転移温度)をもった1以上のPAOのブレンドである。
本願発明の別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは100から20,000g/mol(好ましくは300から15,000g/mol、好ましくは400から10,000g/mol、好ましくは500から5,000g/mol、好ましくは600から3,000g/mol、好ましくは600から1,500g/mol)の数平均分子量をもつ。
好ましい実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは100℃で3cSt以上(好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上、より好ましくは10cSt以上、より好ましくは20cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上、より好ましくは100以上、好ましくは150cSt以上)の動粘性率をもつ。別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは100℃で300cSt以下(好ましくは100cSt以下)の動粘性率をもつ。別の実施態様では、PAOは100℃で3から3,000cSt(好ましくは4から1,000cSt、好ましくは6から300cSt、好ましくは8から150cSt、好ましくは8から100cSt、好ましくは8から40cSt)の動粘性率をもつ。別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは100℃で10から1,000cStの動粘性率(好ましくは10から300cSt、好ましくは10から100cSt)をもつ。さらに別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは100℃で約4から8cStの動粘性率をもつ。
別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは120以上の(好ましくは130以上、より好ましくは140以上、より好ましくは150以上、より好ましくは170以上、より好ましくは190以上、より好ましくは200以上、より好ましくは250以上、より好ましくは300以上)の粘度指数をもつ。別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは120から350の粘度指数(好ましくは130から250)をもつ。
さらに別の好ましい実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは-10℃以下(好ましくは-20℃以下、好ましくは-25℃以下、好ましくは-30℃以下、好ましくは-35℃以下、好ましくは-40℃以下、好ましくは-50℃以下)の流動点をもつ。別の実施態様ではPAOは又はPAOのブレンドは-15℃から-70℃の流動点(好ましくは-25 ℃から-60℃)をもつ。
さらに別の好ましい実施態様では、PAOまたはPAOのブレンドは-40℃以下の(好ましくは-50℃以下、好ましくは-60℃以下、好ましくは-70℃以下、好ましくは-80℃以下)のガラス転移温度(Tg)をもつ。別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは-50から-120℃(好ましくは-60から-100℃、好ましくは-70から-90℃)のTgをもつ。
さらに別の好ましい実施態様では、PAOまたはPAOのブレンドは200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上)好ましくは240℃から290℃の間に引火点をもつ。
更に別の好ましい実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下)の比重(15.6/15.6 ℃)をもつ。
特に好ましいPAOとPAOのブレンドは
A) 200℃以上の高い引火点(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上)
B) -20℃より低い流動点(好ましくは-25℃より低く、好ましくは-30℃より低く、好ましくは-35℃より低く、好ましくは-40℃より低い)及び/又は100℃で10cSt以上(好ましくは35cSt以上、好ましくは40cSt以上、好ましくは50cSt以上)の動粘性率をもつ。
さらに好ましいPAO又はPAOのブレンドは100℃で少なくとも3cStの動粘性率(ASTM D445で測定したとき、好ましくは少なくとも6cSt、より好ましくは少なくとも8cSt、最も好ましくは少なくとも10cStである。)、少なくとも120の粘度指数(ASTM D2270で決定したとき、好ましくは少なくとも130、より好ましくは少なくとも140、もっとも好ましくは少なくとも150)、-10℃以下の流動点(ASTM D97で決定したとき、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下、最も好ましくは-40℃以下)、0.86以下(ASTM D4052で決定したとき、好ましくは0.855以下、より好ましくは0.85以下、最も好ましくは0.84以下)の比重(15.6/15.6℃)をもつ。
望ましいPAOはSpctraSynTM 及びSpectraSyn UltraTM としてテキサス州ヒューストンのエクソンモービル化学(ExxonMobil Chemical)から購入でき(以前はエクソンモービル化学会社(ExxonMobil Chemical Company)によりSHF and SuperTMの商品名で販売されていた)、そのいくつかは表Dにまとめられている。他の有用なPAOはシェブロンフィリップス化学会社(ChevronPhillips Chemical Company)(テキサス州、パサデナ)から商品名SynfluidTMで販売されているもの、イノベン(Innovene)(イリノイ州、シカゴ)からDurasynTMで販売されているもの、Neste オイル(フィンランド、Keilaniemi)からNexbaseTMで販売されているもの、ケムツラ 会社(Chemtura Corporation)(コネチカット州、ミドルベリー)からSyntonTMで販売されているものを含む。
PAOについて、鎖状のパラフィン性構造中の炭素(C
p)のパーセンテージは100%に近い(通常は98%又は99%すら超える)。
別の実施態様では、PAOはC4オレフィン(n-ブテン、2-ブテン、イソブチレン、及びブタジエン及びそれらのブレンド)のオリゴマーを含み、100℃で5から4000cStの動粘性率と10から-60℃の流動点をもつ。このような物質はこのオリゴマーがイソブチレンと/または1-ブテン及び/又は2-ブテンを含む場合には「ポリブテン」液と呼ばれる。これは普通、例えば、粘りを加えるため又は加工助剤としてポリオレフィンの添加剤として使用される。このC4オレフィン異性体の比率は製造業者や品質等級によって変わりうる、そしてこの物質は合成後水素添加されても良いし、されなくても良い。ある場合にはポリブテン液はC4ラフィネート流のポリマーである。他の場合には、これは本質的にポリイソブテン又はポリ(n-ブテン)オリゴマーからなる。通常はポリブテン液は15,000g/molより小さい数平均分子量をもち、普通は5,000g/molより小さい又は1,000g/molをも下回る数平均分子量をもつ。それらは例えば、SYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS(Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin 編Marcel Dekker 1999)p.357-392 に記載されている。
望ましいポリブテン液はイノベン(Indopol 級)とInfinem(C-series 級)等の種々の販売元から購入できる。C
4オレフィンがイソブチレンのみであるときは、その物質は「ポリイソブチレン」又はPIBと呼ばれる。PIBの販売元はテキサス石油化学(Texas Petrochemical)(TPC 高度PIB 級)等がある。C
4オレフィンが1−ブテンのみのときは、その物質は「ポリn-ブテン」又はPNBと呼ばれる。C
4オレフィンから作られるいくつかの液体の性質は表Eにまとめられている。一般に200℃以上の引火点をもつ品質等級のものは-10℃より高いの流動点と/又は120未満のVIをもつ。
本願発明はまた、1以上のポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンと、官能基をもたない可塑剤1以上を含む可塑化されたポリオレフィン組成物に関する。ここで官能基をもたない可塑剤はC5からC18のオレフィン(好ましくはC6からC14、より好ましくはC8からC12、より好ましくはC10)のオリゴマーを含むポリアルファオレフィンを含み、100℃で5cSt以上の動粘性率(100℃で好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)をもち、粘度指数が120以上(好ましくは130以上)、流動点が-10℃以下(好ましくは-20℃以下、好ましくは-30℃以下)である。
本願発明はまた、ポリプロピレンと官能基をもたない可塑剤1以上を含む可塑化されたポリプロピレン組成物に関係する。ここで官能基をもたない可塑剤は5から18の炭素原子(好ましくは6から14の炭素原子、より好ましくは8から12の炭素原子、より好ましくは10炭素原子)をもつ直鎖オレフィンのオリゴマーを含み、100℃で5から300cStの動粘性率(好ましくは8cStから150cSt、好ましくは10から100cSt)をもち、粘度指数が120以上(好ましくは130以上、より好ましくは140以上)、流動点が-20℃以下(より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-40℃以下)である。
本願発明は、またポリプロピレンホモポリマーと官能基をもたない可塑剤を含む可塑化されたポリプロピレン組成物に関する。ここで、官能基をもたない可塑剤はC5からC18オレフィンのオリゴマーを含み、粘度指数が120以上、40℃で4から45cStの動粘性率をもつ。ただし、当該可塑化された組成物は、15から28wt%の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は含まない。本願発明はまた、動粘性率が40℃で4から45cStのポリプロピレンホモポリマーとPAOを含む可塑化されたポリプロピレン組成物に関する。但し、当該可塑化された組成物が、水素添加され高度に分岐した炭素数8-12のアルファオレフィンの二量体であるポリアルファオレフィンを4から10wt%含む場合には、この組成物は、0.912から0.935g/ccの密度をもつ直鎖低密度ポリエチレンを18から25wt%で含むことはない。
本願発明はまた、塩素を含まないポリオレフィンと官能基をもたない可塑剤9wt%未満を含む可塑化されたポリオレフィン組成物にも関係する。ここで、官能基をもたない可塑剤はC5からC12アルファ-オレフィンのオリゴマーからなり、120以上の粘度指数と100℃で10cStより小さい動粘性率をもつ。但し、塩素を含まないポリオレフィンにはポリプロピレンを含まない。本願発明はまた、ポリプロピレンブレンドと官能基をもたない可塑剤9wt%未満を含む可塑化されたポリプロピレン組成物にも関係する。ここで、官能基をもたない可塑剤は、100℃で10cSt未満の動粘性率をもつC5からC12アルファオレフィンのオリゴマーからなる。ただし、当該可塑化された組成物はポリプロピレン樹脂主部(matrix)とメルトフローレート(ISO 1183, 230℃/2.16kg)が1 dg/min未満で曲げ弾性率(ISO 178)が380Mpa未満であるエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなるポリプロピレン耐衝撃性コポリマーを含まない。本願発明はまたポリプロピレンと官能基をもたない可塑剤9wt%未満を含む可塑化されたポリプロピレン組成物に関する。ここで官能基をもたない可塑剤は100 ℃で10cSt 未満の動粘性率をもつC5からC12アルファ-オレフィンのオリゴマーからなり、可塑化された組成物は、2.5dg/min未満のメルトフローレート(ISO1133, 230℃/2.16kg)と135℃より高い融点(DSC)をもつポリプロピレンランダムコポリマーを含まない。
特に好ましい実施態様では、これらのポリマーがWO98/44041に記載されているように、
ポリプロピレンがBorealis RB501F を含み、又はポリプロピレンブレンドがBasell Hifax CA12A、またはBasell Adflex Q 100Fを含む場合で、PAOが100℃で、10cSt以上の動粘性率を持つ。
別の特に好ましい実施態様では、ポリプロピレン組成物が5から60wt%でPAOと、20から95wt%で1以上のポリオレフィンエラストマー(EPDM,EPR及びSEBSのような加硫ゴム及び熱可塑性エラストマー等)を含む場合で、PAOは、100℃で10cStまたはそれより大きい動粘性率をもつ場合であり、これらの組成物がWO02/18487,WO02/31044及びWO03/048252に記載されているとおりである。
高純度炭化水素液体
別の実施態様では、官能基をもたない可塑剤(NFP)はC20からC120のパラフィンの混合物を含む潤滑性の粘度をもつ高純度炭化水素液であり、50wt%以上がイソパラフィン炭化水素であり、50wt%未満がナフテン系及び/又は芳香族性の構造を持つ炭化水素である。
好ましくは、パラフィンの混合物はロウの異性化した潤滑剤のベースストック又はオイルを含み、これは以下のものを含む。
1. 水素添加異性化天然及び精製したロウ、例えば、粗ロウ、脱油ロウ、直鎖アルファオレフィンワックス、微結晶性ワックス(microcrystalline wax)、ガスオイルからとったワックス性ストック、燃料水添分解装置の底部留分(fuels hydrocracker bottoms)、炭化水素ラフィネート(hydrocarbon raffinates)、水添分解炭化水素、潤滑油、鉱油、ポリアルファオレフィン、又は他の、炭素数が約20以上の直鎖又は分岐炭化水素化合物、及び
2. 水素添加による異性化した合成ワックス、例えばフィッシャートロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス(即ち、ロウ状の炭化水素等フィッシャートロプシュ合成の高沸点の残留分)または、それらの混合物。
最も好ましいものは、ガスからの液体燃料化製法(GTL)の一部であるFischer-Tropsch 工程で合成された炭化水素から製造された潤滑剤ベースストック又はオイルである。
一実施態様においては、パラフィンの混合物は、以下のものである。
1.40wt%未満の、好ましくは30wt%未満の、好ましくは20wt%未満の、好ましくは15wt%未満の、好ましくは10wt%未満の、好ましくは5wt%未満の、好ましくは2wt%未満の、好ましくは1wt%未満ナフテン系炭化水素を含み(炭化水素混合物の総重量に基づく) 及び、又は
2.5wt%未満、好ましくは4wt%未満、好ましくは3wt%未満、好ましくは1wt%未満の直鎖のパラフィンを含み(炭化水素混合物の総重量に基づく)及び、又は
3. 1wt%以下の、好ましくは0.5wt%またはそれ未満の芳香族炭化水素を含み及び、又は
4. 90wt%以上の、好ましくは95wt%以上、好ましくは98wt%以上、好ましくは99wt%以上の飽和度(saturates) を含み 及び、又は
5. 80%以上の、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上の鎖状のパラフィン性の炭素(Cp) を含み、及び、又は
6. 分岐したパラフィンと直鎖のパラフィンの比率は約10:1より大きく、好ましくは20:1より大きく、好ましくは50:1より大きく、好ましくは100:1より大きく、好ましくは500:1より大きく、好ましくは1000:1より大きく 及び、又は
7. 4個以上の炭素をもつ側鎖が全ての側鎖の10%未満を構成し、好ましくは5%未満であり、好ましくは1%未満であり 及び、又は
8. 1又は2個の炭素数の側鎖が全ての側鎖の少なくとも50%を構成し、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%であり 及び、又は
9. 300ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは10ppm以下の硫黄含量であり(重量についてppm)であり 及び、又は
10. 300ppm以下の、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは10ppm以下の窒素含量(重量についてppm) である。
別の実施態様では、パラフィンの混合物は以下のものを有す。
1.300から1800g/molの、好ましくは400から1500g/molの、好ましくは500から1200g/molの、好ましくは600から900g/molの数平均分子量、及び、又は
2. 40℃で10cSt以上の、好ましくは25cSt以上の、好ましくは約50から400cStの動粘性率、及び、又は
3. 100℃で2から50cStの、好ましくは3から30cStの、好ましくは5から25cStの、好ましくは6から20cStの、好ましくは8から16cStの範囲の動粘性率、及び、又は
4.80以上、好ましくは100以上、好ましくは120以上、好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは160以上、好ましくは180以上の粘度指数(VI)、及び、又は
5. -5℃以下の流動点、好ましくは-10℃以下の流動点、好ましくは-15 ℃以下の流動点、好ましくは-20℃以下の流動点、好ましくは-25 ℃以下の流動点、好ましくは-30℃以下の流動点、及び、又は
6. 200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上、好ましくは260℃以上の引火点、及び、又は
7. 0.86以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下の比重(15.6℃/15.6℃)であり、及び、又は
8. 120℃以上のアニリン点、及び、又は
9. 1以下の臭素数。
好ましい実施態様では、パラフィンの混合物はGTLベースストック又はオイルを含む。GTLベースストック及びオイルは一般的にワックス状の合成炭化水素から作られる潤滑性粘度の液体である。ワックス状の合成炭化水素は原料として気体の炭素含有化合物と水素含有化合物から1以上の合成工程、結合工程、変形工程及び又は転移工程を経て作られる。当該原料には、例えば水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブチレン及びブチンがある。好ましくは、原料は天然ガス及び又は石炭のような適当な原料から作った「シンガス(syngas)」(合成ガス、本質は一酸化炭素と水素)である。GTLベースストックとオイルにはワックスの異性化反応生成物(isomerate)を含み、例えば水素添加異性化されたワックス、水素添加異性化されたフィッシャートロプシュ(F-T)ワックス(ワックス状の炭化水素及び類縁の含酸素化合物等)又はそれらのブレンドを含む。GTLベースストック及びオイルは、更に他の水素添加異性化されたベースストック及びベースオイルを含んでも良い。特に好ましくはGTLベースストック又はオイルが、大部分F-T合成工程により得られる水素添加されたF-Tワックス及び、又はF-T合成工程により得られる他の液体炭化水素からなるものである。
F-T合成工程による、ワックス状の炭化水素を含む炭化水素の合成は、炭化水素液体中の触媒粒子に関しスラリー、固定層又は流動層等を含む製造方法等、当該技術分野で知られている適当ないずれの製造方法を含んでも良い。当該触媒は非晶質の触媒でも良く、例えば第VIII族金属、Fe,Ni,Co,Ru及びReを適当な無機物の担体物質に加えたものでも良く、又は結晶性触媒、例えばゼオライト触媒でも良い。ワックス状ストックから潤滑油ベースストックまたはオイルを作る工程は水素化脱ロウ工程(hydrodewaxing process)により特徴付けられる。水素処理工程は、通常F-Tワックスについては求められないが、所望の場合には水素化脱ロウ前に行うことができる。F-Tワックスの中には、含酸素化合物を除去することが有利なものもあるが、他のものは水素化脱ロウ前に含酸素化合物で処理することが有利である。水素添加脱ロウ工程は通常、水素存在下、高温、高圧で1の触媒又は触媒の組みあわせにより行われる。当該触媒は、適当な非晶性の触媒でも良く、例えば、酸化物担体上のCo,Mo,Wなどに基づくものでも良く、又は、結晶性の触媒、例えば、米国特許第4,906,350号で開示されたZSM-23及びZSM-48及び他の物のようなゼオライト触媒で、PdまたはPtのような第VIII族金属とともに多く使用されるものでも良い。この工程には溶媒による及び又は触媒による、脱ロウ工程が続き水素添加異性化反応生成物の流動点を低下させる。溶媒脱ロウは水素添加異性化反応生成物からロウ状成分を物理的に分離することを含む。触媒的脱ロウ工程は、水素添加異性化反応の一部生成物を低沸点の炭化水素に変換する。この工程はゼオライト又はシリコアルミノホスフェート(silicoaluminophosphate)からなる物質のような形状選択的モレキュラーシーブ(shape-selective molecular sieve)を触媒金属成分、例えば、Pt と組み合わせ水素存在下高温、高圧下で固定床、流動床又はスラリー工程で行われることが多い。
GTLベースストック及びオイル、フィッシャートロプシュ炭化水素由来のベースストック及びオイル、及びロウ水素添加異性化ベースストックおよびオイルについて有用な触媒、製造法及び構成は、例えば、米国特許第2,817,693号、米国特許第4,542,122号、第5,545,674号、第4,568,663号、第4,621,072号、第4,663,305号、第4,897,178号、第4,900,407号、第4,921,594号、第4,923,588号、第4,973,399号、第4,975,177号、第5,059,299号、第5,158,671号、第5,182,248号、第5,200,382号、第5,290,426号、第5,516,740号、第5,580,442号、第5,885,438号、第5,935,416号、第5,935,417号、第5,965,475号、第5,976,351号、第5,977,425号、第6,025,305号、第6,080,301号、第6,090,989号、第6,096,940号、第6,103,099号、第6,165,949号、第6,190,532号、第6,332,974号、第6,375,830号、第6,383,366号、第6,475,960号、第6,620,312号及び第6,676,827号、欧州特許EP第324528号、EP第532116号、EP第532118号、EP第537815号、EP第583836号、EP第666894号、EP第668342号、EP第776959号、WPOの国際出願WO97/31693、WO99/20720、WO99/45085、WO02/64710、WO02/64711、WO02/70627、WO02/70629、WO03/33320 及び英国特許第1,350,257号、第1,390,359号、第1,429,494号、第1,440,230号に記載されている。特に好ましい製造法は欧州特許出願EP第464546号 及びEP第464547号に記載されている。フィッシャートロプシュ法によるロウ原料を用いる製造法は米国特許第4,594,172 号、第4,943,672号、第6,046,940号、第6,103,099号、第6,332,974号、第6,375,830号及び第6,475,960号に記載されている。
本願発明はまた1以上のポリオレフィン及び官能基をもたない可塑剤1以上を含む可塑化されたポリオレフィン組成物であって、ここで1以上のNFPはGTL製造法から作られた高純度の炭化水素であり、炭素数が約C20からC100の範囲のパラフィンの混合物からなり、イソパラフィンとn-パラフィンのモル比は約50:1より大きく、パラフィン性の構造中の炭素(Cp)のパーセンテージは98%以上であり、流動点は約-20から-60℃の間にあり、100℃での動粘性率は約2から20cStであるものに関する。
本願で使用するときは、以下の用語は以下に示す意味をもつ。
「ナフテン性」とは環状(単環性及び/または多環性)飽和炭化水素(即ち、シクロパラフィン)と分岐環状飽和炭化水素のことをいう。「芳香族性」とは環状(単環性及び/又は多環性)不飽和炭化水素と分岐した環状不飽和炭化水素をいう。「水素添加異性化」とはノルマルパラフィン及び/又はわずかに分岐したイソパラフィンが転移反応によりより分岐の多いイソパラフィンに変換される触媒的製造方法をいう。「ワックス」とは室温又は室温近辺で固体として存在し、0℃以上の融点をもち、主にパラフィン性の分子からなり、そのパラフィン性分子のほとんどはノルマルパラフィンである、炭化水素性の物質である。「粗ろう」とは例えば溶媒的脱ロウにより石油から回収されたワックスであり、さらに水素処理されてヘテロ原子が除去されても良い。
分類IIIのベースストック又は鉱油
別の実施態様では、NFPは分類IIIの炭化水素オイル(又は分類IIIの潤滑剤ベースストック又は分類IIIの鉱油とも呼ばれる)を含む。好ましくはNFPは90%以上の飽和度があり(好ましくは92%以上、好ましくは94%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上)、硫黄を0.03%未満(好ましくは0.001及び0.01%の間)含み、120以上(好ましくは130以上)のVIをもつ。好ましくは、分類IIIの炭化水素油は、100℃で3から50、好ましくは4から40cSt、好ましくは6から30cSt、好ましくは8から20の動粘指数をもち、300から5,000g/mol、好ましくは400から2,000g/mol、好ましくは500から1,000g/molの数平均分子量をもつ。好ましくは分類IIIの炭化水素オイルは-10℃以下の流動点、200℃以上の引火点、0.86以下の比重(15.6℃/15.6℃)をもつ。
望ましい分類IIIのベースストックは多くの販売元から購入可能で、表Fに記載されているものを含む。そのような液体中の鎖状のパラフィン性構造中の炭素(Cp)のパーセンテージは80%より大きい。
有用なNFPの一般的特性
好ましい実施態様においては、NFPは100℃で動粘性率(KV100)が4cSt以上であり、好ましくは5cSt以上であり、好ましくは6から5000cStであり、好ましくは8から3000cStであり、好ましくは10から1000cStであり、好ましくは12から500cStであり、好ましくは15から350cStであり、好ましくは35から300cStであり、好ましくは40から200cStであり、好ましくは8から300cStであり、好ましくは6から150cStであり、好ましくは10から100cStであり、好ましくは50cSt未満である。ここで望ましい範囲は、本願に記載した下限のKV100と上限のKV100のいずれの組み合わせでも良い。他の実施態様ではNFPは100℃で2cSt未満の動粘性率をもつ。
好ましい実施態様においては、NFPは-10℃以下の流動点、好ましくは-20℃以下、好ましくは-30℃以下、好ましくは-40℃以下、好ましくは-45℃以下、好ましくは-50℃以下、好ましくは-10℃から-100℃、好ましくは-15℃から-80℃、好ましくは-15から-75℃、好ましくは-20から-70℃、好ましくは-25から-65℃、好ましくは-120℃より高い流動点をもつ。ここで、望ましい範囲は、本願に記載した下限の流動点と上限の流動点のいずれの組み合わせでも良い。別の実施態様では、NFPは、40℃での動粘性率が0.5 から200cStであるとき、-30℃未満の流動点をもつ。ほとんどの鉱油(これらは通常芳香族部分と他の官能基を含む)は、同じ動粘性率の範囲では、流動点は10から-20℃である。
好ましい実施態様では、NFPは-40℃以下(好ましくは-50℃、好ましくは-60℃以下、好ましくは、-70℃以下、好ましくは-80℃以下、好ましくは-45から-120℃、好ましくは-65から-90℃)のガラス転移温度(Tg)をもつ。ここで、好ましい範囲は本願で記載したいづれか下限のTgといづれか上限のTgのいずれの組み合わせでも良い。
好ましい実施態様では、NFPは90以上の粘度指数(VI)、好ましくは100以上の粘度指数、好ましくは110以上の粘度指数、好ましくは120以上の粘度指数、好ましくは130以上の粘度指数、好ましくは115から350までの、好ましくは135から300までの、好ましくは140から250までの、好ましくは150から200までの、好ましくは125から180までの粘度指数をもつ。ここで、好ましい範囲は本願に記載したいづれかの下限のVIといづれか上限のVIのいずれの組み合わせでも良い。
好ましい実施態様では、NFPは200℃以上の引火点、好ましくは210℃以上、好ましくは230℃以上、好ましくは200から350℃、好ましくは210から300℃、好ましくは215から290℃、好ましくは220℃から280℃、好ましくは240から280℃の引火点をもつ。ここで、好ましい範囲は本願に記載したいづれか下限の引火点といづれか上限の引火点のいずれの組み合わせでも良い。
好ましい実施態様は、NFPが0.86以下の比重をもち、好ましくは0.855以下の、好ましくは0.84以下の、好ましくは0.78から0.86の、好ましくは0.79から0.855の、好ましくは0.80から0.85の、好ましくは0.81から0.845の、好ましくは0.82から0.84の比重をもつ。ここで、好ましい範囲は本願に記載したいづれか下限の比重といづれか上限の比重のいずれの組み合わせでも良い。
好ましい実施態様では、NFPは250g/mol以上の数平均分子量(Mn)をもち、好ましくは300g/mol以上、好ましくは500g/mol以上、好ましくは300から21,000g/molの、好ましくは300から10,000g/molの、好ましくは400から5,000g/molの、好ましくは500から3,000g/molの、好ましくは10kg/mol以下の、好ましくは5kg/mol以下の、好ましくは3kg/mol以下の、好ましくは2kg/mol以下の、好ましくは1kg/mol以下の数平均分子量をもつ。ここで、好ましい範囲は、本願に記載したいづれか下限のMnといづれか上限のMnのいづれの組み合わせでも良い。
好ましい実施態様では、NFPは着色は低度であり、例えば、通常「水様白色(water white)」、「最高白色(prime white)」「標準白色(standard white)」「明るい透明(bright clear)」と特定され、ASTM D1209で決定した場合に、好ましくは100以下のAPHA色、好ましくは80以下、好ましくは60以下、好ましくは40以下、好ましくは20以下のAPHA色である。
他の実施態様では、ある実施態様では、いずれのNFPも300から600℃の初留点(ASTM D1160)をもち、別の実施態様では350から500℃の、更に別の実施態様では400℃より高い初留点をもつ。
本願発明で使用されるいづれのNFPもここで記載されたいづれの実施態様、又は本願で記載された実施態様のいづれの組合せの性状を有しても良い。例えば、一実施態様ではNFPは、-25℃より低い流動点をもつC6からC200のパラフィンである。または、NFPは、100℃で0.1から1000cStの動粘性率をもつ脂肪族炭化水素を含む。また、NFPは、8から25個のイソパラフィンとPAO及びそれらの組合せから選択される。
別の実施態様では、当願発明のNFPはC25からC1500のパラフィンを含み、別の実施態様では、C30からC500のパラフィンを含み、200℃以上の引火点、-10℃以下の流動点、120以上の粘度指数をもつ。または、NFPはC25からC1500のパラフィンを含み、好ましくはC30からC500のパラフィンを含み、200℃以上の引火点、-20℃以下の流動点をもつ。またはNFPはC25からC1500のパラフィンを含み、好ましくはC30からC500のパラフィンを含み、200℃以上の引火点及び100℃で35cSt以上の動粘性率をもつ。別の実施態様では、NFPは本質的にC35からC300のパラフィンからなり、好ましくはNFPは本質的にC40からC250のパラフィンからなり、200℃以上の引火点、-10℃以下の流動点、120以上の粘度指数をもつ。または、NFPは必ずC35からC300のパラフィンからなり、好ましくはC40からC250のパラフィンからなり、200℃以上の引火点、-20℃以下の流動点をもつ。または、NFPは必ずC35からC300のパラフィンからなり、好ましくはC40からC250のパラフィンからなり、200℃以上の引火点、動粘性率が100℃で35cSt以上である。または、NFPは200℃以上の引火点と、-20℃以下の流動点をもつ。または、NFPは200℃以上の引火点と、100℃で35cSt以上の動粘性率をもつ。
好ましい実施態様では、本願で記載のいづれのNFPも200℃又はそれ以上の引火点をもつ(好ましくは210℃以上)をもち、-20℃以下(好ましくは-25℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-35℃以下、より好ましくは-45℃以下、より好ましくは-50℃以下)の流動点をもつ。
別の実施態様では、NFPは220℃以上(好ましくは230℃以上)の引火点と、-10℃以下(好ましくは-25℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-35℃以下、より好ましくは-45℃以下、より好ましくは-50℃以下)の流動点をもつ。
別の実施態様では、NFPは100℃で35cSt以上(好ましくは40cSt以上、好ましくは50cSt以上、好ましくは60cSt以上)の動粘性率と0.87以下(好ましくは0.865以下、好ましくは0.86以下、好ましくは0.855以下)の比重(15.6/15.6℃)及び200℃以上(好ましくは230℃以上)の引火点をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPはa) 200℃以上の引火点、b)0.86以下の比重及びc1)-10℃以下の流動点と120以上の粘度指数、またはc2)-20℃以下の流動点、またはc3)100℃で35cSt以上の動粘性率をもつ。
別の実施態様では、NFPは0.85以下(好ましくは0.80と0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)と100℃で3cSt以上(好ましくは4以上、好ましくは5cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)の動粘性率、及び/または少なくとも280g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の実施態様では、NFPは0.86以下(好ましくは0.81と0.855の間、好ましくは0.82と0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)と100℃で5cSt以上(好ましくは6以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは12cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)の動粘性率、及び、または、少なくとも420g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは0.87以下(好ましくは0.82と0.87の間)の比重(15.6/15.6℃)及び100℃で10cSt以上の動粘性率(好ましくは12cSt以上、好ましくは14cSt以上、好ましくは16cSt以上、好ましくは20cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)及び/または少なくとも700g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の実施態様では、NFPは0.88以下(好ましくは0.87以下、好ましくは0.82と0.87の間)の比重(15.6/15.6℃)、100℃で15cSt以上の動粘性率(好ましくは20cSt以上、好ましくは25cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)及び/または少なくとも840g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは100℃で3から3000cStの、好ましくは6から300cStの、より好ましくは8から100cStの動粘性率、及び300から21000g/molの、好ましくは500から5,000g/molの、より好ましくは600から3,000g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の好ましい実施態様ではNFPは100℃で3から500cStの、好ましくは6から200cSt、より好ましくは8から100cSt、より好ましくは3から25cStの動粘性率を、及び300から10,000 g/molの、好ましくは400から5,000g/molの、より好ましくは500から2500g/molの、好ましくは300から1,200g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の好ましい実施態様ではNFPは100℃で3から100cStの、好ましくは4から50cStの、より好ましくは6から25cStの、より好ましくは3から15cStの動粘性率を、及び300から3,000g/molの、好ましくは350から2,000g/molの、より好ましくは400から1,000g/molの、より好ましくは300から800g/molの数平均分子量(Mn)をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは-25℃以下の、好ましくは-30℃と-90℃の間の流動点、40℃で、20cStから5000cStの範囲の動粘性率をもつ。別の実施態様では、NFPは-25℃以下の流動点と400g/mol以上のMnをもつ。大抵の鉱油は、通常、官能基をもつが、同じ粘度と分子量の範囲で、10℃から-25℃の流動点をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは100℃で3cSt以上の、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上の動粘性率をもち、かつ以下の特性の一つ以上をもつ。
1. 流動点が -10℃以下、好ましくは-20℃以下、好ましくは-30℃以下、好ましくは-40℃以下で、かつ/または
2. 120以上の粘度指数、及び/または
3. 着色は低度であり、例えば、通常「水様白色(water white)」、「最高白色(prime white)」「標準白色(standard white)」「明るい透明(bright clear)」と特定され、ASTM D1209で決定した場合に、好ましくは100以下の、好ましくは80以下、好ましくは60以下、好ましくは40以下、好ましくは20以下、好ましくは15以下のAPHA色である。
かつ、または
4. 200℃以上の、好ましくは220℃以上の、好ましくは240℃以上の引火点、及び、または
5. 0.86未満の比重(15.6℃)
同一の粘度範囲の大抵の鉱油は-20℃より高い流動点または20より大きいAPHA色または0.86以上の比重(15.6℃)をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは120以上の粘度指数と以下の特性のうちの一つ以上をもつ。
1. -10℃以下の、好ましくは-20℃以下の、好ましくは-30℃以下の、好ましくは-40℃以下の流動点、かつ、または
2. 100℃で3cSt以上の、好ましくは6cSt以上の、好ましくは8cSt以上の、好ましくは10cSt以上の動粘性率、
3. 着色は低度であり、例えば、通常「水様白色(water white)」、「最高白色(prime white)」「標準白色(standard white)」「明るい透明(bright and clear)」と特定され、ASTM D1209で決定した場合に、好ましくは100以下の、好ましくは80以下、好ましくは60以下、好ましくは40以下、好ましくは20以下、好ましくは15以下のAPHA色。
かつ、または
4. 200℃以上の、好ましくは220℃以上の、好ましくは240℃以上の引火点、及び、または
5. 0.86未満の比重(15.6℃)
大抵の鉱油は120より小さい粘度指数をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPは-20℃以下の、好ましくは-30℃以下の流動点をもち、以下の特性のうち一つ以上をもつ。
1.100℃で3cSt以上の、好ましくは6cSt以上の、好ましくは8cSt以上の、好ましくは10cSt以上の動粘性率
2. 120以上の、好ましくは130以上の粘度指数
3. 着色は低度であり、例えば、通常「水様白色(water white)」、「最高白色(prime white)」「標準白色(standard white)」「明るい透明(bright and clear)」と特定され、ASTM D1209で決定した場合に、好ましくは100以下の、好ましくは80以下、好ましくは60以下、好ましくは40以下、好ましくは20以下、好ましくは15以下のAPHA色
4. 200℃以上の、好ましくは220℃以上の、好ましくは240℃以上の引火点、及びまたは
5. 0.86より小さい比重(15.6℃)
大抵の鉱油は、流動点が-20℃より低いとき、100℃で6cStより小さい動粘性率、または20より大きいAPHA色、または200℃より低い引火点をもつ。
別の好ましい実施態様では、NFPはASTM E1356で決定できない程度のガラス転移温度(Tg)をもち、決定できる場合は、ASTM E1356によるTgは0℃未満であり、好ましくは-10℃未満であり、より好ましくは-20℃未満であり、より好ましくは-30℃未満であり、より好ましくは、-40℃未満であり、好ましくは以下の特性のうちの一つ以上をもつ。
1. ASTM D 1160 で決定した場合、300℃より高く、好ましくは350℃より高く、好ましくは400℃より高い初留点、かつ、または
2. -10℃未満の、好ましくは-15℃未満の、好ましくは-25℃未満の、好ましくは-35℃未満の、好ましくは-45℃未満の流動点、かつ、または
3. 0.88未満の、好ましくは0.86未満の、好ましくは0.84未満の、好ましくは0.80から0.88までの、好ましくは0.82から0.86までの比重(ASTM D 4052,15.6/15.6℃)かつ、または
4. ASTM D1160で決定した場合、300℃から800℃の、好ましくは400℃から700℃の、好ましくは500℃より高い最終沸点、かつ、または
5. 30,000から400g/molの間の、好ましくは15,000と500g/molの間の、より好ましくは5,000と600g/molの間の重量平均分子量(Mw)、かつ、または
6. 10,000と400g/molの間の、好ましくは5,000と500g/molの間の、より好ましくは2,000と600g/molの間の数平均分子量(Mn)、かつ、または
7. ASTM D92で測定したとき200℃以上の引火点、
ある特に好ましい実施態様ではNFP は0.86以下の比重(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)をもち、以下の一つ以上をもつ。
a) 120以上のVI(好ましくは135以上、好ましくは140以上)
及び、または
b) 200℃以上の引火点(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)
ある特に好ましい実施態様では、NFPは-10℃以下の(好ましくは-15℃以下の、好ましくは-20℃以下の、好ましくは-25℃以下の)流動点、120以上(135以上の、好ましくは140以上の)のVIおよび、選択により200℃以上(好ましくは220℃以上の、好ましくは240℃以上の)の引火点をもつ。
ある特に好ましい実施態様では、NFPは-20℃以下(好ましくは-25 ℃、好ましくは-30℃以下、好ましくは-40℃以下)の流動点と以下のうち一つ以上をもつ。
a) 200℃以上の引火点(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)、かつ/または
b) 120以上(好ましくは135以上、好ましくは140以上)のVI、かつ/または
c) 4cSt 以上(好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)のKV100、かつ/または
d) 0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重
ある特に好ましい実施態様では、NFPは4cSt以上(好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)のKV100、0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、及び200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点をもつ。
ある好ましい実施態様では、NFPは200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点、-10℃以下(好ましくは-15 ℃以下の、好ましくは-20℃以下の、好ましくは-25℃以下)の流動点、0.86以下(好ましくは0.855以下、好ましくは0.85以下)の比重、4cSt以上(好ましくは5cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上)のKV100、かつ選択により100以上(好ましくは120以上、好ましくは135以上)のVIをもつ。
好ましい実施態様においては、NFPは35cSt以上(好ましくは40cSt以上)のKV100及び0.86以下(好ましくは0.855以下)の比重、及び選択により以下のうち一つ以上をもつ。
a) 200℃以上(好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上)の引火点 及び/又は
b) -10℃以下(好ましくは-15℃以下、好ましくは-20℃以下、好ましくは-25℃以下)の流動点。
好ましい実施態様では、NFPは200℃以上(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上)の引火点、-10℃以下(好ましくは-20℃以下、好ましくは-30℃以下)の流動点、6cSt以上(好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは15cSt以上)のKV100をもつ。
好ましい実施態様では、NFP-40℃以下の(好ましくは-50℃以下の)流動点及び0.84以下(好ましくは0.83以下)の比重をもつ。
好ましい実施態様では、いづれのNFPについても鎖状パラフィンの炭素(Cp)のパーセンテージは少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%)である。
本願発明の好ましい組成物は、組成物中の1wt%のNFPを加えるごとに、組成物のガラス転移温度(Tg)が少なくとも1℃(好ましくは少なくとも2℃、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃)低下し、一方、ポリオレフィンのピーク融解温度及びピーク結晶化温度(the peak melting and crystallization temperatures)は可塑化される前のポリオレフィンの値の5℃以内(好ましくは、4℃以内、好ましくは、3℃以内、好ましくは、2℃以内)の変動である点で特徴付けられる。
本願発明の好ましい組成物は、可塑化された組成物のガラス転移温度(Tg)が少なくとも2℃(好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも12℃、好ましくは少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃)可塑化されていないポリオレフィンのガラス転移温度より低く、ポリオレフィンの融解ピーク温度と結晶化ピーク温度が、可塑化されていないポリオレフィンの値の5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)にある点で特徴付けることができる。
本願発明の好ましい組成物は、組成物の中の少なくとも1つのプロピレンポリマーのガラガラス転移温度(Tg)が組成物中のNFP、1wt%ごとに少なくとも1℃(好ましくは少なくとも2℃、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃)低下し、一方、ポリオレフィンのピーク融点及び結晶化温度は、可塑化されていないものの値の5℃以内(好ましくは4℃、好ましくは3℃、好ましくは2℃)の変動に留まることでで特徴付けられる。
本願発明の好ましい組成物は、組成物中の少なくとも1つのプロピレンポリマーのガラス転移温度(Tg)は、組成物中に含まれるNFP 1wt%ごとに、少なくとも1℃(好ましくは少なくとも2℃、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃)低下し、一方、このポリオレフィンのピーク融点と結晶化温度は可塑化されていないポリオレフィンの値の5℃以内(好ましくは4℃以内、好ましくは3℃以内、好ましくは2℃以内)の変動に留まることで特徴付けられる。
本願発明の好ましい組成物は、可塑化された組成物中の少なくとも1つのプロピンポリマーのガラス転移温度(Tg)は可塑化されていないポリオレフィンのそれより少なくとも2℃(好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも12℃、好ましくは少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃)低く、一方そのポリオレフィンのピーク融点と結晶化温度は、可塑化されていないポリオレフィンの値の5℃(好ましくは4℃、好ましくは3℃、好ましくは2℃)以内の変動に留まっていることで特徴付けられる。
本願発明の好ましい組成物は、可塑化された組成物がASTM D1203(70℃乾燥オーブン中で300時間、0.25mmの厚さのシート)によりNFPの耐久性を決定した場合に重量が3%未満(好ましくは2%未満、好ましくは1%未満)減少する点で特徴付けることができる。
重量損失は、本願では同一試験条件下、可塑化されていない組成物について測定された値を超える分の重量減少をいう。
本願発明の好ましいNFPは、ポリオレフィンと混合して可塑化した組成物を形成するとき、可塑化されていないポリオレフィンの動的機械的熱分析(DMTA、Dynamic Mechanical Thermal Analysis)トレース(「トレース」とは温度に対してした損失係数のプロットをいう)と比較したとき、DMTAトレースにおける損失係数のピーク数に変化がないことに示されているように、ポリオレフィンと混和しうる点で特徴付けられる。混和性の欠如はDMTAでトレースしたとき、損失係数のピークの数が、可塑化されていないポリオレフィンの損失係数のピーク数より増加していることにより示される。
ポリオレフィン
本願に記載したNFPと核形成剤は、少なくとも1のポリオレフィンと混合されて本願発明の可塑化された組成物を形成する。好ましいポリオレフィンはプロピレンポリマーとブレンド、エチレンポリマーとブレンド、ブテンポリマーとブレンドを含む。
本願発明においてポリオレフィンとして有用な好ましいオレフィンホモポリマーとコポリマーは、通常以下の項目の1つ以上を有している。
1. 重量平均分子量が、GPCで測定したとき、30,000から2,000,000 g/mol、好ましくは50,000から1,000,000、より好ましくは90,000から500,000であり、かつ、または
2. Mw/Mnが、GPCで測定したとき、1から40、好ましくは1.6から20、より好ましくは1.8から10、より好ましくは1.8から3であり、かつ、または
3. Tm(second melt)が、DSCで測定したとき、30から200℃、好ましくは、30から185℃、好ましくは50から175℃、好ましくは60から170℃であり、かつ、または
4. 結晶化度は、DSCで決定したとき、5-80%、好ましくは10-70%、好ましくは20-60%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%であり、かつ、または
5. ガラス転移温度(Tg)が、DMTAで測定したとき、-40℃から20℃、好ましくは-20℃から10℃、より好ましくは-10℃から5℃であり、かつ、または
6. 融解熱(Hf)が、下記試験法に記載されているDSC法で測定したとき、180J/g以下、好ましくは20-150J/g、より好ましくは40-120J/gであり、かつ、または
7. DSCで測定をしたとき、結晶化温度(Tc)が15から120℃、好ましくは20℃から115℃、より好ましくは25から110℃、好ましくは60から145℃であり、かつ、または
8. 加熱たわみ温度が45から140℃、好ましくは60から135℃、より好ましくは75から125℃であり、かつ、または
9. ロックウェル硬度(Rockwell hardness R scale)が25以上、好ましくは40以上、好ましくは60以上、好ましくは80以上、好ましくは100以上、好ましくは25から125であり、かつ、または
10. 分岐指数(g’)(branching index)は、SEC-3Dで測定したとき、0.2から2.0、好ましくは0.5から1.5、好ましくは0.7から1.1である。
プロピレンポリマーとブレンド
本願発明の一態様では、ポリオレフィンがポリプロピレン(プロピレンホモポリマー及びコポリマー)とそのブレンドから選択される。このホモポリマーではアタクチックポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びそれらのブレンドであっても良い。コポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー(statistical copolymer)、ブロックコポリマー及びそれらのブレンドであっても良い。特に、本願に記載の発明のポリマーブレンドは耐衝撃性コポリマー、エラストマー及びプラストマーを含み、それらのいづれもポリプロピレンとの物理的ブレンドまたは、合成プロセスから取り出さずに製造した(in situ)ブレンドであっても良い。ポリプロピレンを製造する方法は決定的な重要性はなく、スラリー法、溶液法、気相法または他の適当な製造法により製造でき、また、チーグラーナッタ型の触媒、メタロセン型の触媒、他の適した触媒系又はそれらの組み合わせのようなポリオレフィンの重合に適した触媒系を用いることにより製造される。好ましい実施態様ではプロピレンポリマーは、米国特許第6,342,566号、米国特許第6,384,142号、WO03/040201、WO97/19991及び米国特許第5741563号に記載の触媒、活性化剤及び製造法により製造される。
同様に耐衝撃性コポリマーは米国特許第6342566、米国特許第6384142号に記載される製造法により合成される。そのような触媒は本願の技術分野でよく知られ、例えば、ZIEGLER CATALYSTS(Gerhard Fink, Rolf Muelhaupt and Hans H. Brintzinger,編.,Springer-Verlag 1995)、ResconiらによるSelectivity in Propene Polymerization with Metallocene Catalysts, 100 CHEM. Rev. 1253-1345(2000)及びI,II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS(Wiley & Sons 2000)に記載されている。
ポリオレフィンはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーでも良い。ある実施態様ではプロピレンホモポリマーまたはコポリマーは40までの分子量分布(Mw/Mn)を有し、好ましくは1.5から10の範囲、別の実施態様では1.8から7の範囲、さらに別の実施態様では1.9から5の範囲、更に別の実施態様では2.0から4の範囲にある。別の実施態様ではポリオレフィン(好ましくはプロピレンホモポリマーまたはコポリマー)は、23℃で0.125インチのディスク上で試験したとき、一実施態様では20in-lbから1000in-lbの範囲にあるガードナー衝撃強度をもち、別の実施態様では30in-lbから500in-lb、さらに別の実施態様では40in-lbから400in-lbの範囲である。更に別の実施態様では、1%割り線曲げ弾性率は100Mpaから2300Mpa、別の実施態様では200MPaから2100MPa、さらに別の実施態様では300Mpaから2000Mpaであり、ここで、ポリオレフィン(好ましくはプロピレンホモポリマー又はコポリマー)は、いずれの上限曲げ弾性率といずれの下限曲げ弾性率とのいづれの組み合わせを示しても良い。好ましいプロピレンポリマーのメルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238, 230℃、2.16kg)は、一実施態様では0.1dg/min から2500dg/min、別の実施態様では0.3から500dg/minの範囲である。
本願発明で有用なプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーはある水準のイソタクチティシティーをもっても良い。従って、ある実施態様ではイソタクチックチックポリプロピレンを含むポリオレフィンはこの特許の発明において有用なポリマーであり、同様に、イソタクチック性の高いポリプロピレンは別の実施態様で有用である。本願では、「イソタクチック」とは、13C−NMRで分析したとき少なくとも10%のイソタクチックペンタド(pentad)をもつものとして定義される。本願において「イソタクチック性の高い」とは、13C−NMRで分析したとき少なくとも60%のイソタクチックペンタドをもつものとして定義される。好ましい実施態様では、少なくとも85%のイソタクチック性をもつポリプロピレンホモポリマーが当該ポリオレフィンであり、さらに別の実施態様では、少なくとも90%のイソタクチック性をもつ。
別の好ましい実施態様では、少なくとも85%のシンジオタクティシティーをもつプロピレンポリマー(好ましくはプロピレンホモポリマー)が当該ポリオレフィンであり、さらに別の実施態様では少なくとも90%のシンジオタクティシティーをもつ。本願で使用する場合、「シンジオタクチック」は、13C-NMRで分析した場合、少なくとも10%のシンジオタクチックペンタドをもつものとして定義される。本願で使用する場合、「シンジオタクチック性の高い」とは、13C-NMRで分析した場合、少なくとも60%のシンジオタクチックペンラドをもつものとして定義される。
別の実施態様ではプロピレンポリマー(好ましくはプロピレンホモポリマー)はイソタクチック、イソタクチック性の高いもの、シンジオタクチック、シンジオタクチック性の高いものまたはアタクチックでも良い。アタクチックポリプロピレンは10%未満のイソタクチックまたはシンジオタクチックペンタドであると定義される。好ましいアタクチックポリプロピレンは通常、20,000から1,000,000までのMwをもつ。
好ましい本願発明で有用なプロピレンポリマーは、ACHIEVETM及びESCORENETMの商品名でテキサス、ヒューストン、エクソンモービル化学会社により販売されているものを含む。
発明の別の実施態様では、ポリオレフィンはプロピレンコポリマーであり、プロピレンから誘導される構成単位と、エチレン及びC4からC20のα―オレフィンから誘導される構成単位から、通常エチレンとC4からC10のα―オレフィンから誘導される構成単位から選択される構成単位からなるランダム、またはブロックコポリマーである。
一実施態様ではエチレン又はC4からC20のα-オレフィンから誘導される構成単位がコポリマーの0.1wt%から50wt%含まれ、別の実施態様では0.5から30wt%含まれ、さらに別の実施態様では1から15wt%含まれ、更に別の実施態様では0.1から5wt%含まれる。ここで、望ましいコポリマーはエチレンとC4からC20のα―オレフィンから誘導される構成単位を、本願に記載のいづれかの上限wt%と下限wt%のいずれかの組み合わせで含んでいるものである。当該プロピレンコポリマーは一実施態様では8,000g/molより大きい重量平均分子量をもち、別の実施態様では10,000g/molより大きい重量平均分子量を、さらに別の実施態様では12,000g/molより大きい、さらに別の実施態様では20,000g/molより大きい、さらに別の実施態様では1,000,000g/molより小さい、さらに別の実施態様では800,000より小さい、重量平均分子量をもち得る。ここで好ましいコポリマーは本願で述べられたいづれの上限分子量といずれの下限分子量を含んでも良い。
特に好ましいプロピレンコポリマーは1.5から10及び別の実施態様では1.6から7、及びさらに別の実施態様では1.7から5、さらに別の実施態様では1.8から4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)をもつ。プロピレンコポリマーのガードナー衝撃強度は、一実施態様では、23℃で、0.125インチディスクで試験したとき、20in-lbから1000in-lbの範囲で良く、別の実施態様では30in-lbから500in-lbの範囲であり、さらに別の実施態様では40in-lbから400in-lbの範囲である。さらに別の実施態様では、プロピレンコポリマーの1%割り線曲げ弾性率は、100MPaから2300Mpa及び別の実施態様では200Mpaから2100Mpa、さらに別の実施態様では、300Mpaから2000Mpaの範囲である。ここで、望ましいポリオレフィンはいづれの下限の曲げ弾性率といづれの上限の曲げ弾性率のいずれかの組合せを示しても良い。プロピレンコポリマーのメルトフローレート(MFR)は、一実施態様では0.1dg/minから2500dg/minの範囲であり、別の実施態様では0.3から500dg/minである。
別の実施態様ではポリオレフィンはプロピレンと、エチレン及びC4からC20の直鎖、分岐または環状のモノマーからなる群より選択される1以上の他のコモノマーを含むプロピレンコポリマーで良い。好ましい実施態様では、コモノマーはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、及び3,5,5―トリメチル−1−ヘキセン及び5−エチルー1−ノネンから選択される。特に好ましい実施態様では、コモノマーはエチレン、1―ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンから選択される。コモノマーは50wt%まで含まれ、好ましくは0-40wt%、より好ましくは0.5から30wt%、より好ましくは2から30wt%、より好ましくは5から20wt%含まれる。
本願発明で有用ないづれかのポリオレフィンコポリマーに用いる好ましい芳香族基を含むコモノマーは、30個までの炭素原子を含む。適した芳香族基を含むモノマーは少なくとも1の芳香族性の構造を含み、好ましくは1から3個、より好ましくはフェニル、インデニル、フルオレニル、ナフチル基を含む。芳香族基を含むモノマーはさらに、重合後に芳香族構造がポリマーの骨格から出る側鎖となるような、少なくとも一の重合可能な二重結合を含む。芳香族基を含むモノマーはさらに、C1からC10のアルキル基を、非限定的に含む1以上のヒドロカルビル基により置換されても良い。加えて2個の隣接する置換基が結合して環状構造を形成しても良い。好ましい芳香族基を含むモノマーは少なくとも一つの芳香族構造を重合可能なオレフィン部分に付加している。特に、好ましい芳香族性のモノマーはスチレン、アルファ-メチルスチレン、パラ-アルキルスチレン類、ビニルトルエン類、ビニルナフタレン、アルキルベンゼン及びインデン、特にスチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテン及びアルキルベンゼンである。
本願発明で有用ないずれかのポリオレフィンコポリマーに用いる好ましい非芳香族性環式基を含むコモノマーは30炭素原子まで含みうる。適当な非芳香族性の環式基を含むモノマーは好ましくは環状構造の側鎖または環状構造の一部である少なくとも1個の重合できるオレフィン基をもつ。環状構造は、非限定的な例としてC1からC10アルキル基のような、一以上のヒドロカルビル基によりさらに置換されても良い。モノマーを含む好ましい非芳香族性環式基はビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン及びその他を含む。
本願発明で有用ないずれかのポリオレフィンコポリマーに用いる好ましいジオレフィンコモノマーは少なくとも2個の不飽和結合をもつC4からC30の炭化水素のいずれかを含む。ここで、不飽和結合のうち少なくとも2個は、立体特異的または非立体特異的な触媒によりポリマーへ容易に組み入れられる。ジオレフィンモノマーがアルファ、オメガージエンモノマー(即ち、ジビニルモノマー)から選択されることがさらに好ましい。より好ましくはジオレフィンモノマーが直鎖のジビニルモノマーであり、最も好ましくはこれらが4炭素から30炭素原子を含むことである。好ましいジエンはブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、を含み、とくに好ましいジエンは1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、及び低分子量のポリペンタジエン(Mwが1000g/mol未満)を含む。好ましい環状ジエンは、環の種々の位置に置換基を持つかまたは持たないシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、またはより大きい環を含むジオレフィンを含む。好ましい実施態様では一以上のジエンが、ポリオレフィンの総重量に基づき、ポリオレフィン中に10wt%まで、好ましくは0.00001から1.0wt%、好ましくは0.002から0.5wt%、より好ましくは0.003から0.2wt%で含有される。
別の実施態様ではプロピレンコポリマーはランダムコポリマーであり、“RCP”としても知られ、プロピレンと20mole%までのエチレンまたはC4からC20のオレフィン、好ましくは20mole%までのエチレンまたはC4からC20のオレフィン、好ましくは1から10mole%のエチレンまたはC4からC20のオレフィンを含んでいる。
別の実施態様では、ポリオレフィンは耐衝撃性コポリマー(ICP)またはブロックコポリマーでも良い。好ましくは、本願発明のため定義するように、耐衝撃性コポリマーはポリプロピレンブレンドである。プロピレン耐衝撃性コポリマーは、普通、成型及び射出成型自動車用部品、家庭用品、かばん、家具のような強度及び耐衝撃性が要求される種々の用途で使用される。
通常のプロピレン耐衝撃性コポリマーは少なくとも2相のまたは2成分を含む。例えば、熱可塑性プラスチック(例えば、プロピレンホモポリマー)成分とエラストマー性(例えばエチレン及び、またはプロピレンコポリマー)成分である。耐衝撃性コポリマーはまたPP/EP/PE組成物でPPが連続相であり、EPが分散相粒子の外側であり、PEが分散相の粒子の内側であるような3相を含んでも良い。これらの成分は普通、連続的な重合工程で製造され、ここで最初の反応装置で製造される熱可塑性(プロピレンホモポリマーのような)成分は第2の反応装置へ移される。ここでエラストマー性(エチレン及び、またはプロピレンコポリマー)の成分が製造され、熱可塑性成分の中に組み入れられる。エラストマー性の成分はゴム状の特性を持ち、好ましい耐衝撃性を与え、熱可塑性成分は全体的な堅牢性を与える。
ICPの別の重要な特徴はそれらが含む非晶質のポリプロピレンの量である。本願発明のICPは低い非晶質のポロプロピレンを有するものとして特徴付けられ、好ましくは重量で3%未満、より好ましくは重量で2%未満、さらに好ましくは重量で1%未満であり、最も好ましくは非晶質のポリプロピレンが測定できるほど存在しないものである。
好ましい耐衝撃性コポリマーは反応装置で混合されたもの(in situ blend)または反応装置から出して(ex-situ)混合されたものである。一実施態様では耐衝撃性コポリマーの総重量に基づき重量で40%から95%のA成分(熱可塑性成分)と重量で5%から60%のB成分(エラストマー成分)を含む。
ここで、A成分はプロピレンホモポリマー又はコポリマーを含み、このコポリマーは、重量で10%以下のエチレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンコモノマーを含んでいる。またB成分はEPゴムまたはプロピレンコポリマーを含み、ここでこのコポリマーは重量で5%から70%でエチレン、ブテン、ヘキセン及び、またはオクテンコモノマーを含み、重量で約95%から約30%のプロピレンを含む。耐衝撃性コポリマーの一実施態様では、B成分は本質的にプロピレンと及び約30%から約65%のエチレンからなる。別の実施態様では、B成分はエチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体、エチレン-アクリレートコポリマー、エチレン-酢酸ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、エチレン-アクリル酸エステルコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、イソブチレン、炭化水素樹脂(炭化水素樹脂は5000未満の分子量により特徴付けられ、約50から100℃のTg及びASTM E 28で測定したとき環球式軟化点( softening point, Ring and Ball)が約140℃未満である。)、ロジンエステル、及びそれらのブレンドを含む。別の実施態様では、B成分は3.5未満の分子量分布をもつ。さらに別の実施態様では、B成分は少なくとも20,000の重量平均分子量をもつ。有用な耐衝撃性コポリマーは例えば、米国特許第6,432,566号、及び米国特許第6,384,142号に開示されている。別の実施態様では、B成分は70J/g以下、好ましくは50J/g以下または40J/g以下の融解熱をもつポリオレフィンである。
B成分は、他のプロピレンコポリマー、エチレンコポリマーまたは三元共重合体が特定の製品品質が要求される場合には、適している場合もありうるが、最も好ましくは本質的にプロピレンとエチレンから構成されるコポリマーである。例えば、プロピレン/ブテン、ヘキセンまたはオクテンコポリマーとエチレン/.ブテン、ヘキセンまたはオクテンコポリマーを使用してもよく、プロピレン/エチレン/ヘキセン-1 三元共重合体を使用しても良い。好ましい実施態様では、B成分はしかし、重量で少なくとも40%、より好ましくは重量で約80%から重量で約30%のプロピレン、より好ましくは重量で約70%から重量で約35%のプロピレンを含むコポリマーである。B成分のコモノマー含量は好ましくは重量で約20%から約70%の範囲にあり、より好ましくは、重量で約30%から約65%のコモノマーを含み、さらに好ましくは約35%から約60%のコモノマーを含む。最も好ましくはB成分は本質的にプロピレンと約20%から約70%のエチレン、より好ましくは約30%から約65%のエチレンを含み、最も好ましくは約35%から約60%のエチレンを含む。
他のB成分のコポリマーに関しては、コモノマー含量は要求する特定の特性により調整される必要があるだろう。例えばエチレン/ヘキセンコポリマーについては、B成分は、重量で少なくとも17%のヘキセンと重量で少なくとも83%のエチレンを含むべきである。
B成分は、好ましくは狭い分子量分布Mw/Mn(「MWD」)をもつ。すなわち5.0未満、好ましくは4.0未満、より好ましくは3.5未満、さらに好ましくは3.0未満そして最も好ましくは2.5以下である。これらの分子量分布は、ビスブレーキング(visbreaking)又は過酸化物又は他の反応後の処理による分子量調整を行わずに得られるべきである。成分Bは好ましくは、少なくとも100,000の重量平均分子量(GPCによって決定したMw)を、好ましくは少なくとも150,000の、最も好ましくは少なくとも200,000の重量平均分子量をもつ。
B成分は好ましくは1.00dl/gより大きい、より好ましくは1.50dl/gより大きいそして最も好ましくは2.00dl/gより大きい固有の粘度をもつ。「固有粘度(intrinsic viscosity)」又は「IV」という用語は従来どおり本願では、ポリマーの組成物を無限に希釈するとき、所与の溶媒中の所与の温度におけるB成分のようなポリマーの溶液の粘度をいうために用いられる。ASTM標準試験法D 1601-78によれば、IV測定は標準的毛細管粘度測定機器を用い、所与の温度における一連の濃度の溶媒中のポリマーの粘度が決定される。B成分に関してはデカリンが適当な溶媒であって、通常の温度は135℃である。濃度を変動させた溶液の粘度の値から無限希釈時の「値」を外挿により決定できる。
B成分は好ましくは60%より大きい組成分布幅指数(composition distribution breadth index CDBI)を、より好ましくは65%より大きい、さらにより好ましくは70%より大きい、更に好ましくは75%より大きい、さらにより好ましくは80%より大きい、最も好ましくは85%より大きいCDBIをもつ。CDBIは、全体として、コポリマーのエチレン(または他のコモノマー)含量に関して、ポリマー鎖の間での組成上の変動を特徴付ける。CDBIは、米国特許第5,382,630号(これを参照により組み入れる)において総モルコモノマー含量のメジアンの50%範囲内にコモノマー含量をもつコポリマー分子の重量パーセントとして定義される。コポリマーのCBDIは、コポリマーのサンプルの個々のフラクションを単離するよく知られた技術を用いて容易に決定される。ひとつのそのような技術はWildらによるJ.Poly.Sci.,Poly.Phys.Ed.,1982年、第20巻441ページ及び米国特許第5,008,204号に記載されているように温度上昇溶出フラクション法(Temperature Rising Elusion Fraction TREF)であり、これらは参照により組み入れられる。
ICPのB成分は好ましくは低い結晶性をもち、好ましくは重量による10%未満の結晶部分、より好ましくは重量による5%未満の結晶部分をもつ。B成分に結晶部分がある場合は、その組成は好ましくは全コモノマー重量%に関しB成分の残部と同一か又は少なくとも類似(重量で15%の範囲内)している。
これらのICPの好ましいメルトフローレート(MFR)は、要求される最終用途により変わるが、通常は約0.2dg/minから約200dg/minの範囲、より好ましくは約5dg/minから約100dg/minの範囲にある。重要なことは、高いMFR、すなわち50dg/min以上が得られることである。ICPは好ましくは少なくとも145℃のピーク溶点(Tm)をもち、好ましくは少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも152℃、最も好ましくは少なくとも155℃のピーク溶点をもつ。
ICPは通常、重量で約40%から約95%のA成分と重量で約5%から約60%のB成分を含み、好ましくは重量で約50%から約95%のA成分と約5%から約50%のB成分を含み、さらに好ましくは重量で約60%から約90%のA成分と重量で約10%から約40%のB成分を含む。最も好ましい実施態様はでは、ICPは本質的にA成分とB成分からなる。総ICPの全コモノマー(好ましくはエチレン)含量は好ましくは、重量で約2%から約30%、好ましくは重量で約5%から約25%、さらに好ましくは、重量で約5%から約20%、さらに好ましくは重量で約5%から約15%のコモノマーの範囲である。
別の実施態様では、好ましい耐衝撃性コポリマー組成物は、屈折率(ASTM D542-00により測定されたもの)が互いに20%以内、好ましくは15%以内、好ましくは10%、さらに好ましくは互いに5%以内にあるA成分とB成分を選択することにより調製される。このような選択により顕著な透明性のある耐衝撃性のコポリマーが作られる。別の実施態様では、好ましい耐衝撃性コポリマー組成物は、ブレンドの屈折率(ASTM D542-00で測定した場合)が互いに20%以内にあり、好ましくは15%以内にあり、好ましくは10、さらに好ましくは、互いに5%以内にあるように、A成分とNFPのブレンドとB成分とNFPのブレンドを選択することにより作られる。
さらに別の実施態様では、0.125インチのディスク、-29℃で試験したとき、プロピレン耐衝撃性コポリマーのガードナー衝撃強度は20in-lbから1000in-lb、別の実施態様では30in-lbから500in-lb、さらに別の実施態様では40in-lbから400in-lbの範囲にある。さらにプロピレン耐衝撃性コポリマーの1%割線曲げ弾性率は、一実施態様では100MPaから2300Mpa、別の実施態様では200Mpaから2100Mpa、さらに別の実施態様では300Mpaから2000Mpaの範囲であり、ここで望ましいポリオレフィンはいづれかの上限曲げ弾性率といづれかの下限曲げ弾性率のいづれかの組合せを示しても良い。好ましいプロピレン耐衝撃性コポリマーのメルトフローレート(MFR)は、一実施態様では0.1dg/minから2500dg/minの範囲に、別の実施態様では0.3 から500dg/minの範囲にある。
さらに別の実施態様では、ポリオレフィン(ASTM D790A)の1%割線曲げ弾性率は5MPa以上、好ましくは10Mpa以上、好ましくは20Mpa以上、好ましくは50Mpa以上、好ましくは75Mpa以上、好ましくは100Mpa以上、好ましくは25から2500Mpa 、好ましくは100から2000Mpa、好ましくは100から1800Mpa、好ましくは200から1600Mpa、好ましくは300から1400Mpa、好ましくは400から1200Mpa、好ましくは500から1000Mpaであり、望ましい範囲は、本願に記載したいづれかの上限曲げ弾性率といづれかの下限曲げ弾性率のいづれの組合せでも良い。
さらに別の実施態様では、可塑化された組成物の1%割り線曲げ弾性率(ASTM D790A)は、好ましくは5Mpa以上、好ましくは10Mpa以上、好ましくは20Mpa以上、好ましくは50Mpa以上、好ましくは75Mpa以上、好ましくは100Mpa以上、好ましくは25から2500Mpa、好ましくは100から2000Mpa、好ましくは100から1800Mpa、好ましくは200から1600Mpa、好ましくは300から1400Mpa、好ましくは400から1200Mpa、好ましくは500から1000Mpaであり、望ましい範囲は、本願に記載したいづれかの上限Mpaといづれかの下限Mpaのいづれの組合せでも良い。
別の適したポリオレフィンはプラストマーとポリオレフィンのブレンドを含む。本願発明において有用なプラストマーとは、0.85から0.91g/cm3(ASTM D1505)の密度、0.10から30dg/min(ASTM D1238;190℃,2.16kg)のメルトインデックス(MI)をもつポリオレフィンコポリマーとしていうことができる。別の実施態様では、有用なプラストマーはエチレンから誘導される構成単位と少なくともC3からC10のα-オレフィンから誘導される構成単位の1つからなる。一実施態様ではプラストマーに含まれるコモノマー(C3からC10のα-オレフィンから誘導される構成単位)の量は2wt%から35wt%であり、別の実施態様では5wt%から30wt%であり、さらに別の実施態様では15wt%から25wt%であり、さらに別の実施態様では20wt%から30wt% である。
本願発明において有用なプラストマーは、一実施態様においては、通常20から800kg/molの重量平均分子量をもち、別の実施態様では30から700kg/molの重量平均分子量をもつ。好ましいプラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は1.5から5の範囲にある。有用なプラストマーの1%割線曲げ弾性率(ASTM D 790)は、一実施態様では10から150Mpaであり、別の実施態様では20から100Mpaである。さらに、本願発明の組成物で有用なプラストマーは、一実施態様では、30から80℃(第一融解ピーク)及び50から125℃(第二融解ピーク)の融点(Tm)、別の実施態様では、40から70℃(第一融解ピーク)と50から100℃(第二融解ピーク)の融点をもつ。好ましいプラストマーはエチレンとプロペン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンといったより高級なα-オレフィンからなるメタロセンで触媒されたコポリマーであり、例えば、これらはEXACTTMの販売名でExxonMobil社(テキサス州、ヒューストン)から購入可能である。
別の実施態様では本願発明で有用なポリオレフィンは示差走査熱量計(DSC)で決定した場合50J/g未満の融解熱をもつプロピレンのホモポリマーとランダムコポリマーを含み、立体規則性のプロピレンの結晶性、好ましくはイソタクチック立体規則性プロピレン結晶性を含んでいる。別の実施態様では当該ポリマーはプロピレンとエチレン、C4-C12α-オレフィン、及びそれらの組合せから選択される少なくとも一のコモノマーからなるランダムコポリマーである。好ましくはプロピレンのランダムコポリマーはポリマーの総重量に対して、2wt%から25wt%の重合したエチレン構造単位を含み、狭い組成分布をもち、25℃から120℃、または35℃から80℃の融点(Tm)をもち、50J/gまたは25J/gの上限及び1J/gまたは3J/gの下限の範囲内で融解熱をもち、1.8から4.5の分子量分布Mn/Mn、及び20dg/min未満または15dg/min未満のメルトインデックス(MI)をもつ。コポリマーの分子間組成分布は溶媒中の熱分別(thermal fractionation)により決定される。通常の溶媒はヘキサンまたはヘプタンのような飽和炭化水素である。熱分別法は以下に記載される。即ち、通常は、重量で約75%、好ましくは重量で85%のコポリマーが1または連続した2の溶解分別部分として単離され、コポリマーの残部は直前または直後のフラクションに溶解しているようにする。これらのフラクションのそれぞれは、組成が(エチレンまたは他のα-オレフィンのようなコモノマーwt%)、コポリマーの平均wt%コモノマーに対し、20%以下(相対)、好ましくは10%(相対)以下の差をもつ。コポリマーが上記の分別法に適合する場合、当該コポリマーは狭い組成分布をもつ。
本願発明で有用な特に好ましいポリマーは、立体規則性プロピレン鎖による中程度の結晶性をもつ弾性のあるポリマーである。当該ポリマーは:(A)立体規則性が位置の反転のような方法で乱されたプロピレンホモポリマー、(B)プロピレンの立体規則性が少なくとも一部でコモノマーにより乱されているランダムプロピレンコポリマーまたは(C)(A)と(B)の組合せでありえる。
一実施態様では、ポリマーはさらにブレンド組成物の加硫または他の化学的修飾を促進するため非共役ジエンモノマーを含む。ポリマー中に含まれるジエン量は好ましくは重量で10wt%未満、より好ましくは重量で5wt%未満である。このジエンは、非限定的に、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン及びジシクロペンタジエンを含む、エチレンプロピレンゴムの加硫に普通用いられる非共役ジエンのいづれでもよい。
一実施態様においては、当該ポリマーはプロピレン及びエチレンとC4-C12α-オレフィン及びそれらの組合せから選択される少なくとも一のコモノマーからなるランダムコポリマーである。本実施態様の特定の場合には、このコポリマーはエチレンから誘導される構成単位を、重量で2%,5%,6%,8%または10%の下限から重量で20%,25%または28%の上限の範囲の量で含む。この実施態様はまた、コポリマー中にプロピレンから誘導される構成単位を重量で72%、75%または80%の下限から重量で98%、95%、94%、92%または90%の上限の範囲の量で含むであろう。重量によるこれらのパーセンテージはプロピレンとエチレンから誘導される構成単位の総重量に基づいている。即ち、プロピレンから誘導される構成単位の重量パーセントとエチレンから誘導される構成単位の重量パーセントの合計が100%であることに基づいている。
個々の分子量範囲のコモノマーの含量はGPCによって収集されたサンプルと組み合わせてフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定することができる。そのような方法の一つはWheeler and Wills, Applied Spectroscopy,1993年、第47巻、1128-1130ページに記載されている。
ポリマーの結晶化度は融解熱により表すことができる。本願発明の実施態様は示差走査熱量法(DSC)により測定した融解熱を1から50J/g、好ましくは3から30J/g、より好ましくは5から20J/gの範囲にあるポリオレフィンを含んでいる。ポリマーの結晶化度は結晶化度パーセントでも表すことができる。ポリプロピレンの最高度の規則性に対する熱エネルギーは207J/gと見積もられる。即ち、100%の結晶化度は207J/gに等しい。好ましくは、本ポリマーは上限値65%,40%,30%,25%または20%と1%,3%,5%,7%又は8%の下限の範囲内のプロピレン結晶化度をもつ。
結晶化度の水準はまた融点にも反映される、用語「融点」は、本願で使用する場合、最高ピークである。「最高」とは、先に述べたDSCによって決定された、第一と第二の融点ピークのうちで最高の温度で生じるピークとは異なり最大量のポリマーが反映されていることをいう。本願発明の一実施態様では、本ポリマーは単一の融点をもつ。通常は、プロピレンコポリマーのサンプルは第一ピークに隣接して第二の融点ピークを示し、これらは共に一融点(a melting point)として考えられている。これらのピークのうち最も高いものが当該融点(the melting point)と考えられている。ポリマーは好ましくは、110℃、105℃、90℃、80℃または70℃の上限から0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃または45℃の下限までの範囲にあるDSCにより決定した一融点(a melting point)をもつ。
本願発明で使用される好ましいプロピレンポリマーは5,000,000g/mol、1,000,000g/mol及び500,000g/molの上限と10,000g/mol、20,000g/molまたは80,000g/molの下限の範囲内に重量平均分子量を、分子量分布Mw/Mn(MWD)、時に「多分散指数(PDI)」といわれる、これを1.5,1.8また2.0の下限から40,20,10,5または4.5の上限までの範囲でもつ。一実施態様ではポリマーはムーニー粘度(Mooney viscosity,ML(1+4)@125℃)が100以下、75以下、60以下または30以下である。ムーニー粘度は、本願で使用するときは、特に別に記載がない限り、ASTM D1646によりML(1+4)@125℃として測定することができる。
本願発明の実施態様で使用される好ましいランダムプロピレンポリマーは1より大きいm対r(m/r)の比率をもつ。プロピレンのタクチシティー指数は、本願では「m/r」として表されるが、13C 核磁気共鳴(NMR)により決定される。ポリプロピレンのタクティシティー指数m/rはH.N.Cheng,Macromolecules、17巻、1950(1984)で定義されているように計算される。「m」または「r」の記号は連続したプロピレン基の立体化学的なペアーを示している。「m」はメソ体をいい、「r」はラセミ体をいう。0から1.0未満のm/r比率は一般的にシンジオタクチックポリマーをいい、1.0のm/r比率は、アタクチックなものを、及びm/r比率が1.0より大きい場合、イソタクチックなものをいう。イソタクチックなものは理論的には無限にちかい比率をもって良く、そして多くの副生するアタクチックポリマーは十分なイソタクチック含量を有し、50より大きい比率となる。
好ましい実施態様では、好ましいランダムプロピレンポリマーはイソタクチックな立体規則性プロピレン結晶化度をもつ。本願で使用される用語「立体規則性」は、大部分の、即ちエチレンのような他のどのモノマーも含まないポリプロピレン中のプロピレン残基のうち80%より多くが同じ1,2挿入をし、側鎖のメチル基の立体化学的配向が同一、メソまたはラセミであることをいう。
本願発明で有用な好ましいランダムプロピレンポリマーは、3個のプロピレン構成単位のmmトリアドタクティシティー指数(mm triad tacticity index)が、13C NMRで測定したときに75%以上、80%以上、82%以上、85%以上、または90%以上である。ポリマーのmmトリアドタクティシティー指数は3個の連続するプロピレン構成単位、頭-尾結合からなる分子鎖、の相対的タクティシティーであり、mとrの連続する2項の組合せとして表される。これは、普通、本願発明の準非晶性のコポリマーについては、コポリマー中のプロピレントリアドの全てに対する特定のタクティシティーの構成単位数の比率として表される。プロピレンコポリマーのこのmmトリアドタクティシティー指数(mm 比)はプロピレンコポリマーの13CNMRスペクトルと次の式から決定することができる。
mm比=PPP(mm)/(PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr))
ここで、PPP(mm)、PPP(mr)とPPP(rr)は、以下の頭-尾結合からなる3個のプロピレン構成単位の分子鎖の2番目の構成単位のメチル基によるピーク面積をさす。
式1
プロピレンコポリマーの
13CNMRスペクトルは米国特許第5,504,172号、米国特許第6,642,316号(6 列38行から9列18行)に記載されているように測定される。
メチル基の炭素領域(100万分の19-23(ppm))に関するスペクトルは第一の領域(21.2-21.9ppm)と第二の領域(20.3-21.0ppm)及び第三の領域(19.5-20.3ppm)に分けられる。このスペクトルの各ピークは雑誌Polymer、30巻(1989年)、1350ページの記事または雑誌Macromolecules、17巻(1984年)、1950の記事を参照して帰属された。(Polymerの記事とMacromoleculesの記事の間で不一致のある場合、Polymerの記事を優先しなければならない)。第一の領域では、PPP(mm)で表される3個のプロピレン構成単位からなる分子鎖の第二の構成単位のメチル基が共鳴する。第二の領域では、PPP(mr)で表される3個のプロピレン構成単位からなる分子鎖の第二の構成単位のメチル基が共鳴し、隣接する構成単位がプロピレン構成単位とエチレン構成単位であるプロピレン構成単位のメチル基(PPE−メチル基)が共鳴する(20.7ppmの近傍)。第三の領域では、PPP(rr)で表される3個のプロピレン構成単位中の第二の構成単位のメチル基が共鳴し、隣接する構成単位がエチレン構成単位であるプロピレン構成単位のメチル基(EPEメチル基)が共鳴する(19.8ppmの近傍)。トリアドタクティシティーの計算は米国特許第5,504,172号で示されている技術に概要が説明されている。プロピレン挿入のエラー(2,1及び1,3の両方)に対して第二領域と第三領域の総ピーク面積からこのピーク面積を控除し、頭-尾結合からなる3個のプロピレン構成単位の分子鎖(PPP(mr)とPPP(rr))に基づくピーク面積を得ることができる。このようにしてPPP(mm)、PPP(mr)及びPPP(rr)のピーク面積は見積もることができ、そして頭-尾結合からなるプロピレン構成単位の分子鎖のmmトリアドタクティシティーを決定することができる。
mmトリアドタクティシティーをポリマーの13C-NMRスペクトルから如何に決定するかに関する更に詳しい情報については、J.A.Ewenによる,Catalytic Polymerization of Olefins(the Ewen method) T.Keiji,K.Soga編集、Kodansha Elsevier Pub 東京,1986年p271で述べられている通りであり、また2004年3月18日の米国特許出願第2004/054086号の8ページ、段落〔0046〕から〔0054〕で詳細に記載されている通りである。これらの全ては参照により本願に組み込まれる。
別の実施態様ではランダムプロピレンポリマーとして本願発明の中で有用なポリマーは示差走査熱量法(DSC)により決定される70J/g未満の融解熱と50dg/min以下のMFRをもつプロピレンのホモポリマーとランダムコポリマーを含み、立体規則的なプロピレン結晶化度、好ましくはイソタクチックな立体規則性のプロピレン結晶化度をもつ。別の実施態様ではポリマーはプロピレンとエチレンと、C4-C12のα-オレフィン及びそれらの組合せからなるから選択される少なくとも1のコモノマーからなるランダムコポリマーである。好ましくはプロピレンのランダムコポリマーは、ポリマーの総重量に基づき10wt%から25wt%までの重合したエチレン構成単位を含み、狭い分子間組成分布をもち(例75%以上)、25℃から120℃または35℃から80℃までの融点(Tm)をもち、70J/gまたは25J/gの上限と、1J/gまたは3J/gの下限の範囲内の融解熱、1.8から4.5までの分子量分布Mw/Mn、40 dg/min未満または20dg/min未満のメルトフローレート(230℃、2.16kg、ASTM D-1238により測定)をもつ。
本願発明の一実施態様では、好ましいプロピレンポリマーは20dg/min以下、または7dg/min以下、5dg/min以下または2dg/min以下または2dg/min未満のメルトインデックス(MI)をもつ。ポリマーのMIの決定はASTM D1238(190℃、2.16kg)による。この試験方法のこの版では、試験中に押出成型されたサンプルの部分が集められ秤量された。これは普通、当該試験方法の変法1といわれる。このサンプル分析は、実験中の一定の温度を維持するため、サンプルを1分間予熱して190℃で行われる。
一実施態様では本願発明に使用されるポリマーはWO00/69963、WO00/01766、WO99/07788、WO02/083753で「第2ポリマー成分(SPC)」として詳細に記載されており、WO00/01745で「プロピレンコポリマー」としてさらに詳細に記載され、これらの全ては米国特許の慣行により本願に組み込まれる。
好ましい実施態様では、本願発明で有用なポリプロピレンとポリプロピレンブレンドは、示差熱走査熱量測定法(DSC)により、好ましくはセカンドメルトスキャン (the second melt scan)で決定したとき、融点ピークを少なくとも140℃(好ましくは145℃、好ましくは150℃、好ましくは155℃、好ましくは160℃、好ましくは165℃)に有し、融解熱は、少なくとも70J/g(好ましくは少なくとも75J/g、好ましくは少なくとも80J/g、好ましくは少なくとも85J/g、好ましくは少なくとも90J/g、好ましくは95J/g、好ましくは100J/g)である。
別の実施態様では、WO03/040201、WO03/040095、WO03/040202、WO03/040233及びWO03/040442に記載されているポリマーは本願でポリオレフィンとして使用できる。
エチレンポリマー及びブレンド
本願発明の別の態様では、ポリオレフィンはポリエチレン(エチレンホモポリマーとコポリマー)及びそれらのブレンドから選択される。有用なコポリマーはエチレンに加え1以上のコモノマーを含み、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー及びまたはそれらのブレンドでありうる。特に、本願に記載されたエチレンポリマーブレンドは、一種より多いエチレンポリマーの物理的ブレンドまたは反応装置内(in situ)で調製したブレンド、又はエチレンポリマー以外のポリマーとエチレンポリマーのブレンドでエチレンポリマー成分が主成分である(例、50wt%より多い)ものであっても良い。ポリエチレンを作る方法は決定的な重要性はない。なぜならポリエチレンはスラリー、溶液、ガス相、高圧または他の適切な製造方法、及びチーグラーナッタ型触媒、クロム触媒、メタロセン触媒、他の適切な触媒システムまたはそれらの組合せのようなポリエチレンの重合に適した触媒システムを用いて、またはフリーラジカル重合により作ることができるからである。好ましい実施態様ではエチレンポリマーは米国特許第6,342,566号、米国特許第6,384,142号、WO03/040201、WO97/19991及び米国特許第5741563号で記載された触媒、活性化剤及び製造方法により作られる。そのような触媒は当該技術分野でよく知られており、例えばZIEGLER CATALYSTS(Gerhard Fink, Rolf Muelhaupt,及びHans H.Brintzinger 編集 Springer-Verlag 1995)Resconi ら及び I,II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS(Wiley & Sons 2000)に記載されている。
本願発明において有用な好ましいエチレンポリマーとコポリマーはテキサス州ヒューストンエクソンモービル社で販売されているもの、エクソンモビールHDPE、エクソンモビール LLDPE 及びエクソンモビールLDPEとして販売されているものが含まれる。これらはEXACTTM、EXCEEDTM、ESCORENETM、ESCORTM、ENABLETM、NTXTM、PAXONTM及びOPTEMATMの販売名で販売されている。
ポリエチレンはHDPEのようなエチレンホモポリマーでも良い。別の実施態様では、エチレンホモポリマーは40まで、好ましくは1.5から20及び別の実施態様では1.8から10、及び更に別の実施態様では1.9から5及び更に別の実施態様では、2.0から4の分子量分布(Mw/Mn)をもつ。別の実施態様では、1%割線曲げ弾性率は200から1000Mpaの範囲、別の実施態様ででは300から800Mpa、さらに別の実施態様では400から750Mpaの範囲であり、ここで好ましいポリマーはいづれの上限の曲げ弾性率と、いづれの下限の曲げ弾性率のいづれの組合せを示しても良い。好ましいエチレンホモポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238(190℃、2.16kg)による測定では、一実施態様では0.05 から800dg/minの範囲であり、別の実施態様では0.1から100 dg/minの範囲である。
本願発明の別の実施態様では、エチレンポリマーはエチレン及びC3からC20のα-オレフィンから選択され、別の実施態様では、通常は、C3からC10α-オレフィンから選択された1以上のコモノマーからなるランダムまたはブロックいづれかのエチレンコポリマーである。好ましくは、一実施態様においてコモノマーは、コポリマーの0.1wt%から50wt%で含まれ、別の実施態様では0.5wt%から30wt%の間、さらに別の実施態様では1から15wt%、さらに別の実施態様では、0.1から5wt%で含まれ、ここで好ましいコポリマーはエチレン及びC3からC20のα-オレフィンから誘導される構成単位を、本願に記載したいづれかの上限のwt%といづれかの下限のwt%のいづれかの組合せで含む。好ましくはエチレンコポリマーは一実施態様では8,000g/moleより大きい、別の実施態様では10,000g/moleより大きい、さらに別の実施態様では12,000g/moleより大きい、さらに別の実施態様では、20,000g/moleより大きい、更に別の実施態様では1,000,000g/moleより小さい、さらに別の実施態様では800,000g/moleより小さい重量平均分子量をもつであろう。ここで好ましいコポリマーは、本願に記載されたいづれかの上限の分子量といづれかの下限の分子量を含んでも良い。
別の実施態様では、エチレンコポリマーはエチレンとC3からC20の直鎖、分岐または環状モノマー、好ましくはC3からC12の直鎖または分岐アルファ-オレフィン、好ましくは、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,5,5―トリメチル−1−ヘキセン及び5−メチル−1−ノネンからなる群から選択された1以上の他のコモノマーを含む。好ましい実施態様では、コモノマーはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンから選択される。コモノマーは50wt%まで、好ましくは0から40wt%まで、より好ましくは0.5から30wt%まで、より好ましくは2から30wt%まで、より好ましくは5から20wt%まで含まれる。
特に望ましい実施態様では、本願で使用されるエチレンポリマーはADTM D1505により決定したとき0.91g/cm3以下の密度と、ASTM D1238(190℃,2.16kg)で決定したとき、0.1から50dg/minのメルトインデックス(MI)をもつプラストマーである。一実施態様では、有用なプラストマーはエチレンと少なくともC3からC12のα-オレフィン、好ましくはC4からC8のα-オレフィンからなるコポリマーである。プラストマーに含まれるC3からC12のα-オレフィンの量は、一実施態様では2wt%から35wt%の範囲にあり、別の実施態様では、5wt%から30wt%の範囲にあり、さらに別の実施態様では15wt%から25wt%の範囲にあり、さらに別の実施態様では20wt%から30wt%の範囲にある。
本願発明で有用な好ましいプラストマーは、一実施態様では、0.1から40dg/minの間、別の実施態様では0.2から20dg/minの、さらに別の実施態様では0.5から10dg/minのメルトインデックスをもつ。好ましいプラストマーの平均分子量は、一実施態様では10,000から800,000g/mole、別の実施態様では20,000から700,000g/moleの範囲にある。好ましいプラストマーの1%割線曲げ弾性率 (ASTM D790) は、一実施態様では、5から100Mpa、別の実施態様では10から50Mpaの範囲にある。さらに、本願発明の組成物において好ましいプラストマーは、一実施態様では30から100℃の融点(Tm 第1融点ピーク)、別の実施態様では40から80℃の融点をもつ。好ましいプラストマーの結晶化度は3から30%である。
一実施態様において本願発明で有用な特に好ましいプラストマーは、一実施態様ではメタロセン触媒のような、単一部位触媒を使用して合成され、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンのような高級α-オレフィンからなるコポリマーを含み、1以上のこれらのコモノマーが0.86と0.91g/cm3の間の密度となるよう含まれている。望ましいプラストマーの分子量分布(Mw/.Mn)は、一実施態様では1.5から5、別の実施態様では2.0から4の範囲にある。市販されているプラストマーの例はEXACTTM4150であり、これはエチレンと1−ヘキセンのコポリマーであり、1−ヘキセンから誘導される構造単位がプラストマーの18%から22wt%を占め、0.895g/cm3の密度及び3.5dg/minのMIを有している(テキサス州、ヒューストン エクソンモービル化学会社)。また、EXACTTM8201は、エチレンと1−オクテンのコポリマーで、1−オクテンから誘導される構造単位がプラストマーの26から30wt%を占め、密度が0.882g/cm3であり、MIが1.0dg/minである(テキサス州、ヒューストン エクソンモービル化学会社)。
本願発明の好ましい実施態様では、エチレンポリマーは、上限値5,000,000g/mole、1,000,000g/moleまたは500,000g/moleと下限値10,000g/mole、20,000g/moleまたは80,000g/moleの範囲内に重量平均分子量(Mw)をもっている。
本願発明の好ましいエチレンポリマーは、1.5から20及び別の実施態様では1.6から15、さらに別の実施態様では1.7から10、さらに別の実施態様では1.8から5まで、さらに別の実施態様では1.5、1.8、または2.0の下限から40、20、10、5または4.5の上限までに分子量分布(Mw/Mn)を有している。
好ましいエチレンポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238(190℃、2.16kg)により測定したとき、一実施態様では0.02dg/minから800dg/minの範囲にあり、別の実施態様では0.05から500dg/min、別の実施態様では0.1から100dg/minにある。本願発明の別の実施態様ではポリエチレンは20dg/min以下の、7dg/min以下の、5dg/min以下のまたが2dg/min以下の、MIをもつ。さらに別の実施態様では、ポリマーはムーニー粘度ML(1+4)@125℃(ASTM D1646により測定したとき)が100以下または75以下又は60以下または30以下である。
さらに別の実施態様では、好ましいエチレンポリマーの1%割線曲げ弾性率は5から1000Mpaであり、別の実施態様では10から800Mpaであり、更に別の実施態様では5から200Mpaであり、望ましいポリマーはいづれかの上限曲げ弾性率といづれかの下限曲げ弾性率のいづれの組合せを示しても良い。
本願で有用な好ましいエチレンポリマーの結晶化度は融解熱によって表される。本願発明の実施態様は0.1J/g、好ましくは1.0J/gの下限から260J/gまたは好ましくは240J/gの上限の範囲のDSCで決定された融解熱をもつポリマーを含んでいる。
ポリマーの結晶化度は結晶化度パーセントでも表わすことができる。ポリエチレンの最も高い規則性の熱エネルギーは290J/gと見積もられている。即ち、100%結晶化度は290J/gである。好ましくは、ポリマーは80%,60%,40%,30%または20%の上限と1%,3%,5%,8%または10%の下限の範囲内の結晶化度をもつ。
結晶化度の水準は融点に反映できる。本願発明の一実施態様では、エチレンポリマーは単一の融点(a single melting point)をもつ。通常は、エチレンコポリマーのサンプルは第1ピークに隣接して第2の融点ピーク群を示し、これらは併せて単一融点(a single melting point)と考えられている。これらのピーク群の最高のピークが当該融点(the melting point)と考えられる。このポリマーは好ましくはDSCにより150℃、130℃、100℃、80℃または60℃の上限から0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃または45℃の下限までの範囲の融点をもつ。
ブテンポリマーとブレンド
本願発明の別の態様では、ポリオレフィンはポリブテン(1−ブテンホモポリマーとコポリマー)とそれらのブレンドから選ばれる。ホモポリマーはアタクチック、イソタクチック、シンジオタクチックポリブテン及びそれらの混合物であっても良い。コポリマーはランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー及びそれらのブレンドでありえる。特に本願に記載されている発明のポリマーブレンドは耐衝撃コポリマー、エラストマー、プラストマーを含み、それらのいづれかは、ポリブテンとの物理的ブレンドまたは反応装置中で調製される(in situ )ブレンドでも良い。ポリブテンを作る方法は決定的な重要性はない。なぜならポリブテンはスラリー、溶液、ガス相または他の適切な製造方法、及びチーグラーナッタ型触媒、メタロセン型触媒、他の適切な触媒システムまたはそれらの組合せのようなポリオレフィンの重合に適した触媒システムを用いて作ることができるからである。本願発明で有用なブテンコポリマー用のコモノマーとして有用な直鎖アルファーオレフィンはエチレンとC3からC8アルファーオレフィンを、より好ましくはエチレン、プロピレン、1−ヘキセン及び1−オクテンを含む。好ましいポリブテンポリマーはポリ(1−ブテン)ポリマーとコポリマーである。好ましいポリ(1―ブテン)ポリマーは溶液製造法でメタロセン触媒を用いて作られる。好ましいコモノマーはエチレンとプロピレンである。ポリ(1−ブテン)ホモポリマーと1−ブテン/エチレンコポリマーはBasel Polyolefins より市販されている。
一実施態様では、ブテンポリマーのガードナー衝撃強度は、23℃で0.125インチディスクで試験したとき、20から1000in-lb(好ましくは30から500in-lb、好ましくは40から400in-lb)の範囲にある。さらに、ブテンポリマーは100から2300Mpa(好ましくは、200から2100Mpa、好ましくは300から2000Mpa)の範囲の1%割線曲げ弾性率をもつことができる。好ましいブテンポリマーのメルトフローレート(MFR,230℃、2.16kg)は0.1から500dg/minの範囲内にある。
核形成剤
NFPと少なくとも1のポリオレフィンを含む本願に記載した組成物は少なくとも1つの核形成剤が添加される。通常、核形成剤はポリオレフィンの結晶化の速度(等温及び/または非等温)を増大させる。透明化剤として知られている特別な種類の核形成剤は通常、結晶部分の大きさを減少させ、それによりポリオレフィンから作られた製品の透明性と明澄性を改善する。
本願で用いられる適切な核形成剤はPlastics Additive Handbook 第5版、H.Zweifel 編集、Hanser-Garbner Publication,(2001) 第18章、p.949-972に開示されている。本願で用いられる適切な核形成剤はまた、H.N. Beck によりHeterogeneous Nucleating Agents for Polypropylene Crystallization, J.APPLIED POLY.SCI.Vol 11, p.673-685(1967)、及びHeterogeneous Nucleation Studies on Polypropylene, J.POLY.Sci.:PPLY.LETTERS,21巻p.347-351(1983)に開示されている。核形成剤は、種々の熱可塑性ポリオレフィンにおいて有用であると示されている。これには、例えばホモポリプロピレン(hPP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、ランダムコポリマーポリプロピレン(RCP) 、耐衝撃性コポリマーポリプロピレン(ICP)、ブロックまたは部分配列(segmented)ポリプロピレン、他の合成ポリマーとポリプロピレンのブレンド、チーグラーーナッタ触媒により合成されたポリプロピレン及びメタロセンまたは他の単一部位触媒により調製されたポリプロピレン等がある。
有用な核形成剤は均一な核形成剤(即ち、溶融溶解、つまりポリオレフィンへ溶け込む)または不均一性核形成剤(即ち、溶融不溶、つまりポリオレフィン中で懸濁又は分散する)がのいづれかでありうる。通常の核形成剤はポリオレフィン用に少なくとも一つの結晶多形(polymorph)の生成を促進する。例えば、ポリオレフィンがイソタクチックポリプロピレン(iPP)であるとき、既知の結晶形はいわゆる、アルファ、ベータ及びガンマ結晶多形である。有用な核形成剤はそのため、iPP中にアルファ結晶の生成を促進するもの、iPP中にベータ結晶の生成を促進するもの及び、iPP中にガンマ結晶の生成を促進するものを含む。適切な核形成剤はまた、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)中に結晶化を促進するものをも含む。適切な核形成剤は好ましくは1以上のポリオレフィンの性能パラメータを改善する。例えば、透明性を増大させ、曇りを減少させ、堅牢性を高め、耐衝撃性を高め、熱による歪みの発生する温度を高める。かつ、または、加工上のパラメータを改善する。例えば加工の1サイクルに要する時間を減少し、工程ライン速度を増大する。適切な核形成剤は有機物、無機物、または重合物であり得、及び1以上の核形成剤の組合せを含むことができる。
以下のリストは、迅速な配合調製に含める核形成剤の適切な選択を説明しようとするものである。
適切な核形成剤は、以下のような充填剤を含む。シリカ、カオリン、カーボンブラック、タルク、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、リン酸塩、カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩(ノルボルネンカルボン酸塩等)のような金属塩、リン酸金属塩(ナトリウムリン酸塩等)、リン酸エステル、リン酸エステル塩、スベリン酸の金属塩(カルシウム塩等)、ヘキサヒドロフタル酸の金属塩、不均化したロジンエステルの塩、ジベンジリデンソルビトール及びその誘導体を含むソルビトール誘導体、ソルビトールアセタール及びその誘導体、ソルビトールジアセタールとその誘導体等のソルビトール誘導体、キナクリドン染料、ナフタレンカルボキサミド誘導体などのカルボキサミド誘導体、Blomenhofer らによるMacromolecules 2005, 38巻,P3688-3695に記載の1,3,5-ベンゼントリサミドを含むベンゼントリサミド誘導体、トリメシック酸誘導体。及びポリ(3−メチルー1−ブテン)、ポリ(ジメチルスチレン)、ポリ(エチレン テレフタレート)、ポリアミド(ナイロン)及びポリカーボネートのような重合性核形成剤を含む。
適切な核形成剤の具体例は安息香酸ナトリウム、ナフテン酸ナトリウム、2,2’-メチレンビス(4,6-ジーtert―ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、2,2’-メチレンビス(4,6-ジーtert―ブチルフェニル)リン酸アルミニウム、ジ(p-トルイジン)ソルビトール、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール及びN’,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキサアミドである。他の適切な核形成剤は米国特許第4,016,118号、米国特許第4,371,645号、米国特許第5,049,605号、米国特許第6,235,823号、米国特許2004/0132884、WO02/046300、WO03/102069、EP776933に開示されている。
適切な核形成剤の他の具体例としては、以下のものを含むミリケン化学(Milliken Chemical) から”Millad”と”Hyperform”の販売名で市販されているものがある。
Millad 3905 〔DBS、または1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール〕
Millad 3940 〔MDBS、または1,3:2,4-ビス-(p-メチルベンジリデン)ソルビトール〕
Millad 3988 〔DMDBS または1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール〕及び
HPN-68〔2.2.1-ヘプタン-ビシクロジカルボン酸〕
チバスペシャリティーケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から、以下の”Irgaclear”及び“Irgastab”の販売名で市販されているものがある。
Irgaclear D 〔DBS 又は1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール〕及び
Irgaclear DM〔MDBS 又は1,3:2,4-ビス-(p-メチルベンジリデン)ソルビトール〕
旭電化工業とアムファイン(Amfine)から、下記のように”ADKstab” 及び”NA”の販売名で市販されているものがある。
NA-11〔2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tertブチルフェノール)リン酸塩〕及び
NA-21〔2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tertブチルフェノール)リン酸アルミニウム錯体〕
三井化学から下記のように“NC”の販売名で市販されているものがある。
NC-4〔EDBS 又は1,3:2,4-ビス-(p-エチルベンジリデン)ソルビトール〕
新日本化学から下記のように“NJSTAR”、“NU”、“Gel All”及び“Geniset”の販売名で市販されているものがある。
NU100〔N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナファタレンジカルボキシアミド〕
(N,N’-dicyclohexyl-2,6-naphathalene dicarboxamide)
NJSTAR〔N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナファタレンジクズロキサミド〕
(N,N’-dicyclohexyl-2,6-naphathalene diczroxamide)
Gel All D 〔DBS または1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール〕及び
Gel All MD〔MDBSまたは1,3:2,4-ビス-(p-メチルベンジリデン)ソルビトール〕
EC化学(EC Chemical(Japan))から下記のように“EC”の販売名で市販されているものがある。
EC-1〔(1,3:2,4)ジメチルジベンジリデン ソルビトール〕及び
EC-4 〔ソルビトール〕
好ましい核形成剤はジベンジリデンソルビトール誘導体、リン酸エステル誘導体及びベンゼントリサミド誘導体を含む。特に好ましい核形成剤は1,3;2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(サウスカロライナ州、スパータンバーグ ミリケン化学からMillad 3988として入手できる)、2.2.1-ヘプタン-ビシクロジカルボン酸(サウスカロライナ州、スパータンバーグ;Milliken ChemicalからHPN-68 として入手できる)、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール(スイス、バーゼルチバスペシャリティーケミカル
からIrgaclear DMとして入手できる)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tertブチルフェノール)リン酸塩(ニュージャージー州、アッパーサドルリバー、アムファイン化学 からNA-11として入手できる)、安息香酸ナトリウム(スイス、バーゼル 、チバスペシャリティーケミカルズから入手できる)を含む。
熱可塑性ポリオレフィン/NFPブレンドの外観及び機械的特性は使用する核形成剤とNFP添加の種類により制御できる。核形成剤は通常、本願発明の組成物に、組成物の重量に基づいて、0.01から1wt%(100から10,000ppm)、好ましくは0.02から0.5wt%(200から5,000ppm)、好ましくは0.03から0.3wt%(300から3,000ppm)、好ましくは0.05から0.25wt%(好ましくは500から2500ppm)で含まれる(ppmは重量についての100万に対する割合)。
他の添加物
本願発明のポリオレフィン組成物に滑剤も含んでよい。好ましくは滑剤は高速ブルーム滑剤(a fast bloom slip agent)であり、水酸基、アリール、置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、炭素不飽和、アクリルエステル、酸素、窒素、カルボキシル、サルフェート、ホスフェートから選択された1以上の官能基をもつ炭化水素でありえる。滑剤は通常、組成物の重量に基づいて、本願発明の組成物中に0.001から1wt%(10から10,000ppm)、好ましくは0.01から0.5wt%(100から5,000ppm)、好ましくは0.05から0.25wt%(500から2500ppm)含まれる(ここでppmは重量についての100万に対する割合)。
一実施態様では滑剤は無機化合物である。イオン性滑剤は芳香族性または脂肪族性の炭化水素オイルの塩の誘導体、カルボン酸、硫酸、リン酸の7から26炭素原子、好ましくは10から22炭素原子の鎖長をもつ脂肪族飽和または不飽和酸の金属塩等、特に脂肪酸の金属塩を含む。適切な脂肪酸の例は、モノカルボン酸である、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸など、及び対応する硫酸、リン酸である。適切な金属にはLI、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pbなどがある。代表的塩は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウムなどであり、そして対応する高級アルキル硫酸金属塩及び高級アルキルリン酸エステル金属塩である。
別の実施態様では、脂肪酸金属塩は、本願発明のポリオレフィン組成物には実質的に含まれない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物が当該組成物に意図的に加えられておらず、加えられていても、ポリオレフィンとNFPの重量に基づき、1wt%未満であり、より好ましくは0.8wt%未満であり、より好ましくは0.5wt%未満であり、より好ましくは0.1wt%未満であり、より好ましくは0.05wt%未満であり、より好ましくは0.01wt%未満であり、より好ましくは0.001wt%未満であるものをいう。
ある実施態様では滑剤は非イオン性の官能基をもつ化合物である。適切な官能基をもつ化合物とは(a) 芳香族または脂肪族炭化水素オイル等を含むオイルのエステル、アミド、アルコール、酸である。例えば、鉱油、ナフテン油、パラフィン油;ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ナタネ油、タイズ油、ヒマワリ油、他の植物性及び動物性の油などの天然油である。これらのオイルの代表的官能性誘導体は、例えば、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸ペンタエリスリトールなどのモノカルボン酸のポリオールエステル、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リノレン酸アミド及びそれらのブレンドのような飽和または不飽和脂肪酸アミドまたはエチレンビス(アミド)、グリコール、カルボワックス(Carbowax)のようなポリエーテルポリオール、アジピン酸、セバシン酸など
(b)ロウ、例えば、カルナウバウろう、ミクロクリスタリンろう、例えば、ポリエチレンロウのようなポリオレフィンろう (c)ポリテトラフルオロエチレン、フッ素オイル、フッ素ロウなどのフッ素含有ポリマー(d) シリコン化合物、例えばシラン及びシリコンオイル、ポリジメチルシロキサン、アミノ基で修飾されたポリジメチルシロキサンなどのようなシリコンポリマーである。
本願発明で滑剤として有用な脂肪酸アミドは次式で表される。
RC(O)NHR1
ここで、Rは7から26個の炭素原子、好ましくは10から22個の炭素原子をもつ飽和または不飽和のアルキル基であり、R1は、独立した水素または7から26個の炭素原子、好ましくは10個から22個の炭素原子をもつ飽和または不飽和のアルキル基である。この構造に基づく化合物は、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキドン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リノレン酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、パルミチルパルミチン酸アミド、ステアリルアラキドン酸アミド及びそれらのブレンドを含む。
本願発明で滑剤として有用なエチレンビス(アミド)は次式で表される。
RC(O)NHCH2CH2NHC(O)R
ここで各Rはそれぞれ7から26個の、好ましくは10から22個の炭素原子をもつ飽和または不飽和のアルキル基である。この構造による化合物は例えば、ステアラミドエチルステアリン酸アミド、ステアラミドエチルパルミチン酸アミド、パルミチン酸アミド-エチルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エルカ酸アミドエチルエルカ酸アミド、オレイン酸アミドエチルオレイン酸アミド、エルカ酸アミドエチルオレイン酸アミド、オレイン酸アミドエチルエルカ酸アミド、ステアリン酸アミドエチルエルカ酸アミド、エルカ酸アミドエチルパルミチン酸アミド、パルミチン酸アミドエチルオレイン酸アミド及びそれらのブレンドを含む。
滑剤として有用な脂肪酸の市販されている例は、ポリエチレン中に50:50のエルカ酸とステアリン酸の1級アミドの混合物を5%含むAmpacet 10061及び18%酢酸ビニル樹脂と82%ポリエチレンのブレンド中にエルカ酸とステアリン酸のアミドからなる同様のブレンドを含むELvax 3170を含む。これらの滑剤はデュポン(Dupont)から入手できる。有用な滑剤はまたクロダユニバーサル社(Croda Universal)(テキサス州、ヒューストン)から入手でき、これらにはCrodamide OR (オレイン酸アミド)、Crodamide SR (ステアリン酸アミド)、Crodamide ER (エルカ酸アミド)、Crodamide BR (ベヘン酸アミド)が含まれる。またケミツラ会社(Chemtura Corporation)(コネチカット州、ミドルベリー)からKetamide S (ステアリン酸アミド)、Ketamide B (ベヘン酸アミド)、Ketamide O(オレイン酸アミド)、Ketamide E (エルカ酸アミド)及びKetamide (N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド)等を入手できる。他の市販の滑剤にはErucamid ER(エルカ酸アミド)がある。
一般的に滑剤の好まれる濃度は、組成物の重量に基づき、重量で組成物の約0.001%から約0.5%の範囲にあり、好ましくは重量で約0.01%から約0.4%の範囲にあり、最も好ましくは、重量で約0.1%から約0.3%の範囲にある。一般に飽和脂肪酸アミドまたはエチレン-ビス(アミド)の好ましい濃度は、組成物の重量に基づき、重量で、約0.001から約0.5部分、好ましくは約0.025部分から約0.25部分、より好ましくは、重量で約0.05部分から約0.15部分の範囲にある。一般的に、不飽和脂肪酸アミドまたはエチレン-ビス(アミド)の好ましい濃度は、組成物の重量に基づき、重量で約0.001部分から1部分の範囲にあり、好ましくは重量で約0.05部分から0.75部分、最も好ましくは、重量で約0.1部分から約0.3部分の範囲にある。
別の実施態様では、アミド滑剤以外の官能基をもつオイルは本願発明のポリオレフィン組成物に実質的に含まれない。官能基をもつオイルは炭素と水素を含み、また、下記のように測定可能な程度以上に官能基を含む。「実質的含まれない」とはこれらの化合物が組成物に意図的に添加されていないことをいい、もし含まれていても組成物の重量に基づき、1wt%未満、より好ましくは0.8wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満、より好ましくは0.1wt%未満、より好ましくは0.05wt%未満、より好ましくは0.01wt%未満、より好ましくは0.001wt%未満である。
滑剤は、組成物の重量を基準に、好ましくは0.001から1wt%、または0.01から0.75wt%、または0.05から0.5wt%、または0.05から0.3wt%、または0.1から0.25wt%含まれる。一実施態様では、組成物の重量に基づき、組成物は1から15wt%のNFP、85から99wt%のポリプロピレン、0.02から0.5wt%の核形成剤、及び0.01から0.5wt%の滑剤を含む。
充填剤
本願発明の一実施態様では、組成物及び、またはNFPまたはNFPの一部が充填剤、望ましくは多孔性充填剤と混合される。NFPと充填剤は、例えば、タンブラーまたは他の湿式の混合器でNFPと充填剤の均一な組成物を形成するのに適した時間、好ましくは1分から5時間混合される。別の実施態様では、ポリオレフィンと充填剤を接触する前に充填剤は、NFPまたは一部のNFPと予め接触または予め吸収されても良い。別の実施態様では、充填剤、ポリオレフィン及びNFPは同時に(または同一の混合装置で)接触する。いずれの場合でも、一実施態様ではNFPは、0.1から50wt%、別の実施態様では0.2から40wt%
更に別の実施態様では0.3から30wt%、更に別の実施態様では0.5から25wt%、更に別の実施態様では1から20wt%含まれる。
望ましい充填剤は鉱物性の凝集物、繊維、ナノクレー(nanoclay)及びオルガノクレー等の天然または合成クレー、砂、ガラス、ビーズ等を含むがこれらに限定されない。また本技術分野で既知のいづれか他の多孔性の、または細孔をもたない充填剤及び担体を含んでも良い。好ましい充填剤はタルク、ウォラストナイト(wollastonite)、カーボンブラック、グラファイト、雲母、ウォラストナイト(wollastonite) 、酸化チタン、シリコンカーバイド、シリカ、二酸化シリコン及びシリカの他の酸化物(沈殿物又は非沈殿物)、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム及びバリウム、炭酸カルシウム及び鉛、マグネシウムオキシサルフェート、酸化アンチモン、チンクホワイト(zink white)、リトポン、ジルコン、コランダム、スピネル(spinel)、アパタイト、バライト粉(Barytes powder)、マグネサイター(magnesiter)、ドロマイト、Mg、Ca又はZnイオンのAl, CrまたはFe及びCO3及び、またはHPO4(水和物または非水和物)を伴うヒドロタルサイト化合物、石英粉末、塩化水素性炭酸マグネシウム(hydrochloric magnesium carbonate)、アルミナ、クロム、リン酸性及び臭素化難燃剤、3酸化アンチモニー、シリコーン、及び他の酸化物、他の炭酸金属塩、他の水酸化金属及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
好ましい繊維はガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、PET繊維やナイロン繊維等の合成ポリマー繊維を含む。
好ましいクレーは、ナノコンポジットを生産するためナノクレー又はオルガノクレーを含む。これらのクレーは一以上のアンモニウム、1級アルキルアンモニウム、2級アルキルアンモニウム、3級アルキルアンモニウム、4級アルキルアンモニウム、脂肪族、芳香族、またはアリール脂肪族アミンのホスホニウム誘導体、脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族アミンのホスフィン、スルフィド、またはスルホニウム誘導体、ホスフィンまたはスルフィドを含むことができる。オルガノクレーはモンモリナイト、モンモリナイトナトリウム、モンモリナイトカルシウム、モンモリナイトマグネシウム、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト(saponite)、ソーコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニアイト(kenyaite)、ソボカイト(sobockite)、スビンドロダイト(svindordite)、ステベンサイト(stevensite)、ベルミキュライト(vermiculite)、ハロサイト、酸化アルミン酸、ヒドロタルサイト、イライト、レクトライト、タロソバイト(tarosovite)、レディカイト(ledikite)及びまたはフロリンミカ(florine mica)から1以上選ぶことができる。オルガノクレーは、ナノコンポジットの総重量に基づき、好ましくは0.1から50wt%でナノコンポジットに含まれている。
ポリオレフィン/NFPブレンドの調製
本願発明での使用に適しているポリオレフィンは、本願発明のNFPと核形成剤とブレンドするために使用する場合、いかなる物理的形態であっても良い。一実施態様では、反応装置顆粒(reactor granule)(これは、いづれの加工も受ける前に重合反応装置から単離されたポリマーの顆粒として定義される)は本願発明のNFP及び核形成剤とブレンドするために使用される。この反応装置顆粒は、一実施態様では、通常50μmから10mmの平均直径をもち、別の実施態様では10μmから5μmの平均直径をもつ。別の実施態様では、このポリオレフィンはペレットの形であり、例えば、反応装置顆粒の溶融押出成形により成形された1mmから10mmの平均直径をもつ。
ポリオレフィンとNFPをブレンドする一方法はタンブラー中で成分を接触させることであり、その際ポリオレフィンは反応装置顆粒の形である。これは特にポリプロピレンとポリプロピレンブレンドについて有効である。これは、その後、所望の場合、押し出し成形器中での溶融混合を受けることができる。成分をブレンドする別の方法は押出器または、バッチミキサー、例えばブラベンダー混合器(Brabender mixer)、の中でNFPとポリオレフィンペレットを直接に溶融混合することである。
つまり、成形工程が原料の再溶融、混合を含んでいるので、種々の製品の射出成形の場合、ペレットの単純な固体状態のブレンドは、2成分の原料のポリマー顆粒のペレット状の溶融ブレンドや、ペレットと顆粒のペレット状の溶融ブレンド、2成分ペレットのペレット状の溶融ブレンドと同様に使用できる。しかし、医療機器の圧縮成形の工程では、溶融した成分の混合は殆どされていないので、ペレット状の溶融ブレンドは、原料ペレット及びまたは顆粒の単純な固体ブレンドよりも好ましいであろう。当業者は、製造方法の経済性と成分原料の十分な混合の要請のバランスがとれるようポリマーのブレンドの適切な製造方法を決定できるであろう。
ポリオレフィン、核形成剤とNFPはいづれの適切な手段によっても混合でき、通常は混合により均一な、単一相のブレンドが得られる。例えば、それらはタンブラー、スタチックミキサー(static mixer)、バッチミキサー、押出器またはそれらの組合せで混合できる。混合工程は、製品の製造に使用される加工法の一部として行っても良い。例えば、射出成形機又は繊維化ラインに付属する押出成形器の場合のように。通常は本願発明の成分は、ポリマー中に核形成剤及び/又は可塑剤の適切な分散を十分に達成できるいづれかの適切な手段(スタチックミキサー、バッチミキサー、押出器またはそれらの組合せ)で混合される。混合工程は、例えば回転混合機を用い、最初に乾燥混合を行っても良い。これはまた、「マスターバッチ」法を含めることができる。ここでは最終可塑剤の濃度及び、又は核形成剤の濃度は、先に比較的高濃度の可塑剤及び/または核形成剤で調製された適切な量の可塑化されたポリマーと純ポリマーを組み合わせることにより達成される。分散は製品の製造に使用する工程の一部として行っても良い。例えば射出成形器または繊維ラインに付属する押出器のように。可塑剤と核形成剤は押出器のたるに投入され、または押出器の原料供給口に導入され予備混合工程が省略される。これは可塑剤のパーセンテージが大きいとき、又は大量の可塑化された樹脂が必要なときに好ましい。
さらに好ましくは、本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物の成分はいかなる適切な手段によっても混合することができ可塑化されたポリオレフィンを形成できる。これは、その後更に加工されて有用な製品にするのに適している。本願発明の一態様では、押出器またはバッチ混合器のような機器において、ポリオレフィン、核形成剤及びNFPは混合され、または溶融混合される。ポリオレフィンはまた、核形成剤及びNFPと、タンブラー、ダブルコーン混合器、リボン混合器、又は他の適当な混合器を使用して混合されても良い。更に別の実施態様では、ポリオレフィン、核形成剤及びNFPは、例えばタンブラーとそれに続く押出器での溶融混合の組合せにより混合される。ポリプロピレンとポリプロピレンブレンドの押出技術は、例えばPLASTICS EXTRUSION TECHNOLOGY 26-37(Friedhelm Hensen 編 Hanser Publishers 1988)やPOLYPROPYLENE HANDBOOK 304-348(Edward p. Moore,Jr.編., Hanser Publishers 1996)に更に詳細に記載されている。
さらに好ましくは、本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物の成分は、全ての成分を相当の程度まで溶かす溶媒を使用して、溶液中でいづれの適切な手段によっても混合することができる。この混合は、NFP、核形成剤及びポリオレフィンが溶解している場合、いづれの温度、圧力でも行うことができる。好ましい条件は、ポリオレフィンの融点の20℃以上、好ましくは40℃以上上回る高温での混合を含んでいる。例えば、iPPは、通常、200℃以上、好ましくは220℃以上の温度でNFP及び核形成剤と溶液混合される。このような溶液混合は、特にポリオレフィンが溶液製法で作られ、NFPと核形成剤が別の混合工程で乾燥ポリマーにともに加えられるのではなく、最終工程に直接加えられる製法において特に有用であろう。このような溶液混合はまた、ポリオレフィンが、ポリマー、核形成剤及びNFPがモノマーに溶解するバルク又は高圧製法で作られる製造方法で特に有用であろう。溶液製法に関してはNFPと核形成剤は、別の混合工程でともに乾燥ポリマーに加えられるのではなく最終工程へ直接に加えられる。
本願発明の組成物の別の実施態様では、ポリ(塩化ビニル)に普通使用されるような従来の可塑剤は実質的に含まれていない。特に、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸エステル、ポリマーのような可塑剤及び、例えば米国特許第3,318,835号、米国特許第4,409,345号、WO02/314044 A1及びPLASTICS ADDITIVES 499-504(Geoffrey Pritchard編、Chapman&Hall 1988)に開示されているような他の官能基のある可塑剤は実質的に含まれていない。「実質的に含まれていない」とは、これらの化合物が意図的に組成物に加えられていない、仮に含まれていても、0.5wt%未満であることをいう。
さらなる実施態様では、ナフテン性及び他の芳香族性を含有するオイルのようなオイルは好ましくは0.5wt%未満で本願発明の組成物に含まれる。また、さらに別の実施態様では、芳香族部分及び炭素-炭素不飽和結合は本願発明で使用される官能基をもたない可塑剤には実質的に含まれていない。芳香族性部分には分子がベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどに特徴的な環構造をもつ化合物が含まれる。「実質的に含まれていない」とは、これらの芳香族性化合物又は部分が意図的に組成物に加えられていない、かりに含まれていても、組成物の0.5wt%未満であることをいう。
本願発明の組成物の別の実施態様では、低分子量のポリエチレンのような従来の可塑剤、エラストマー又は「相溶剤(compatibilizers)」は含まれていない。特に、500から10,000の重量平均分子量をもつエチレンホモポリマー及びコポリマーは実質的に含まれていない。そのようなポリエチレン相溶剤は例えばWO01/18109A1に開示されている。「実質的に含まれない」とはこれらの化合物が意図的に組成物に加えられていない、かりに含まれていても、ポリオレフィン、エチレンポリマーまたはコポリマー及びNFPの重量に基づいて5wt%未満、より好ましくは4wt%未満、より好ましくは3wt%未満、より好ましくは2wt%未満、より好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満で含むことをいう。
本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物は他の添加剤も含んでよい。これらの添加物には補助剤(adjuvant)、オイル、ブロック(block)、アンチブロック(antiblock)、カラーマスターバッチ(color masterbatch)、加工助剤、中和剤、潤滑剤、ロウ、抗酸化剤、酸除去剤、安定剤、界面活性剤、抗腐食剤、キャビテーティング剤(cavitating agent)、吹込成形剤、分子鎖切断抗酸化剤などのような他のUV吸収剤、失活剤、帯電防止剤、色素、染料、充填剤及び過酸化物のような架橋剤が含まれる。ポリプロピレン及びポリプロプレンブレンドで用いられる通常の添加剤は、N.Pasquini(編)Polypropylene Handbook 第2版、Hanser Publishers,2005に記載されている。これらの添加剤は本技術分野でよく知られている通常の効果のある量で含まれる。例えば、0.001wt%から10wt%、好ましくは0.01から1wt%である。好ましくは、本産業界でありふれた染料や他の着色料は、一実施態様では0.01から10wt%含まれ、別の実施態様では0.1から6%で含まれる。
特に、有機ホスホン酸エステル、立体障害のあるアミン、フェノール性抗酸化剤のような抗酸化剤や安定剤は、一実施態様では本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物に0.001から2wt%で含まれても良く、別の実施態様では0.01から0.8wt%で、更に別の実施態様では0.02から0.5wt%で含まれても良い。適切な有機亜リン酸塩の非制限的な例は、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS 168)とジ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ULTRANOX 626)である。立体障害のあるアミンの非限定的例はポリ〔2-N,N’-ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサンジアミン-4-(1-アミノ-1,1,3,3-テトラメチルブタン)シン-トリアジン〕(CHIMASORB 944)、ビス(1,2,2,6,6-0ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、(TINUVIN 770) を含む。フェノール性抗酸化剤の非限定的例には、ペンタエリスリチルテトラキス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ピロピオネート(IRGANOX 1010)、1,3,5-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-イソシアヌレート(IRGANOX 3114)が含まれる。好ましい抗酸化剤はフェノール性抗酸化剤、例えばIrganox 1010、Irganox 1076であり、両者はチバガイギー(Ciba-Gaigy)から入手できる。
好ましいオイルは、エクソンモービル(ExxonMobil)化学フランス,S.A. フランス,パリから市販されているPrimol352、またはPrimol 876のようなパラフィン系またはナフテン系オイルを含む。さらに好ましいオイルには脂肪族ナフテン系オイル、ホワイトオイル等が含まれる。
いくつかの実施態様では、本願発明により生産される可塑化されたポリオレフィン組成物が、熱可塑性ポリマー及び、又はエラストマー等を非限定的に含む1以上の他のポリマーと混合されても良い。
熱可塑性ポリマーには通常、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクロリニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレン-アクリロニトリル樹脂、スチレンマレイン酸無水物、ポリイミド、芳香族ポリケトンまたは上記の2以上の混合物が含まれる。好ましいポリオレフィンには1以上の直鎖、分岐または環状のC2からC40のオレフィンを含むポリマー、好ましくは1以上のC3からC40のオレフィンと、好ましくはC3からC20のアルファ-オレフィンと、好ましくはC3からC20のアルファ-オレフィン、より好ましくはC3からC10のアルファ-オレフィンと共重合したプロピレンを含むポリマーが含まれるがこれらに限定されない。より好ましいポリオレフィンは、C3からC40のオレフィン、好ましくはC3からC20のアルファオレフィン、より好ましくは、プロピレン及びまたはブテンと共重合したエチレンをこれらに限定せず含むエチレン、を含むポリマーを非限定的に含む。
好ましいエラストマーの例には、非限定的に、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(SI,SIS,SB,SBS,SIBS等、ここでS=スチレン、I=イソブチレン及びB=ブタジエン)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラアルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンとパラアルキルスチレンのハロゲン化されたコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリル酸エステルゴム、塩化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(シス及びトランス両者)が含まれる。
別の実施態様では、可塑化されたポリオレフィン組成物はさらに、エチレン酢酸ビニル、低密度ポリエチレン(0.915から0.953g/cm3未満の密度)、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(密度0.86から0.90g/cm3)、非常に低密度のポリエチレン(密度0.90から0.915g/cm3)、中程度の密度のポリエチレン(密度0.935から0.945g/cm3)、高密度ポリエチレン(密度0.945から0.98g/cm3)、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチル、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメタクリレートまたは、高圧フリーラジカル反応により重合しうるいずれか他のポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、イソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマー、ポリスチレンのような芳香族性モノマーからなるポリマー、ポリ-1エステル、ポリアセタール、ポリビニリジンフッ化物、ポリエチレングリコール及び/またはポリイソブチレンのうち1以上と組み合わせても良い。好ましいポリマーはテキサス州、ベイタウンのエクソン(Exxon)化学会社から、EXCEEDTMまたはEXACTTMの商品名で入手できるものを含む。
別の実施態様では、粘着剤は、本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物と混合されても良い。有用な粘着剤の例は、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族で改質された脂肪側炭化水素樹脂、水素添加されたポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、タル油ロジン、タル油ロジンエステル、ポリテルペン、芳香族改質ポリテルペン、テルペンフェノール類、芳香族改質水素添加ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素添加脂肪族芳香族樹脂、水素添加テルペン及び改質テルペン及び水素添加ロジンエステルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では粘着剤は水素添加される。他の実施態様では粘着剤は非極性である。(非極性とは粘着剤が実質的に極性基をもつモノマーがないことをいう。好ましくは、極性基は含まれず、もし含まれても、好ましくは5wt%以下で含まれ、好ましくは2wt%以下で含まれ、0.5wt%以下で含まれる。)いくつかの実施態様では、粘着剤は80℃から140℃の間に、好ましくは100℃から130℃の間に軟化点(Ring and Ball ASTM E-28で測定したとき)をもつ。粘着剤は、含まれる場合、通常約1wt%から約50wt%で、ブレンドの重量に基づいて含まれ、さらに好ましくは10wt%から40wt%の間で含み、さらに好ましくは20wt%から40wt%の間に含む。好ましくはしかし、粘着剤は含まれず、含まれても、10wt%未満であり、好ましくは5wt%未満であり、より好ましくは1wt%未満である。
用途
本願発明の目的物、可塑化されたポリオレフィン組成物は艶出し、型取り、コーティング、混合、押出し、発泡化、薄層化、吹き込み成型、圧縮成型、射出成型、熱可塑化、トランスファー成型、流し込み成型、回転成型、フィルム製造用のような流し込み、繊維製造用の繊維化または溶融結合(spun or melt bonded)を用いるような、または、例えばPLASTICS PROCESSING(Radian Corporation, Noyes Data Corp.1986)に記載されている他の形態の加工を用いるような、いづれかの適切な手段により加工されても良い。特に、ブレンドを生産する物理的プロセスに関しては、最終製品への転換前に、均一のブレンドが生産されるよう十分な混合を行うべきである。
本願発明の組成物(及び上記のようなそれらのブレンド)は、成形又は押し出しを含むいづれか既知の熱可塑的な用途に使用しても良い。例には、フィルム、テープ、シート、チューブ、ホース、シート化、ワイヤー及びケーブルの皮膜、靴底、バンパー、ガスケット、ベロー、フィルム、繊維、弾性のあるファイバー、不織布、スパンボンド、シール剤、手術着及び医療機器における用途がある。これらの製品及びまたは機器はポリオレフィンを成形するいづれかの有用な成形手段によって作られまたは形成される。これは、少なくとも、圧縮成形、射出成形、吹き込み成形、トランスファー成形等の成形、フィルムブローイング(film blowing)または流し込み、押し出し、及び熱成形、積層化、引き抜き成形、突き出し(protrusion)、ドローリダクション(draw reduction)、回転成形、スピンボンド法(spinbonding)、溶融紡糸(melt spinning)、溶融吹き込み、またはそれらの組合せによるものを含むであろう。少なくとも、熱成形用途またはフィルム用途は、耐熱輻射材料(radiation tolerant material)の単軸または二軸方向への伸張性による利点を利用し得るものであり、それから生じるものである。
本願発明の組成物から作られる品目の非限定的な例には、フィルム、シート、繊維、チューブ、パイプ、自動車部品、家具、スポーツ用品、食品保存容器、透明及び半透明な製品、おもちゃ、チューブとパイプ、医療機器、調理器具及び貯蔵器具、スポーツ用衣料、無菌化された医療機器、滅菌容器、ノンウーブン繊維及び布地(例えば、かけ布、ガウン、フィルター、衛生製品、オムツ)、配向性フィルム及び柔軟性、高い耐衝撃性及び凍結温度以下での耐衝撃性が重要である他の製品がある。これらの製品を形成する発明の可塑性ポリオレフィンの成形加工は射出成形、押し出し、熱形成、吹き込み成形、回転成形、スパンボンディング(spunbonding)、メルトブローイング(meltblowing)、繊維紡糸、吹き込みフィルム、配向性フィルム用のストレッチ成形、及び他の通常の加工方法により達成されよう。
好ましい実施態様では、NFPはC6からC25のイソパラフィンを含むイソパラフィンと、又は、C10からC100のn-パラフィンを含むポリアルファオレフィンであり、ポリオレフィンは好ましくはポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、耐衝撃性コポリマー、及びそれらのブレンドであり、プラストマーを含んでも良い。そして組成物は1以上のフィルム、シート、繊維、織布、不織布、チューブ、パイプ、自動車部品、家具、スポーツ用品、食品保存容器、透明及び半透明の製品、オモチャ、チューブ、パイプ及び医療機器をつくるために使用される。
フィルム
ポリオレフィンフィルムは広く使用されている。例えば、例えば、ショッピングバッグ、圧感性テープ、贈り物用包装紙、ラベル、食品包装等に使用される。これらの用途の大部分は、高い引き裂き強さ(機械方向、横断方向)及び耐衝撃性、穿刺耐性、高い光沢、低い曇り及び乾燥感を要する。
上記の組成物とそれらのブレンドはそのような用途に適した単一層または複数層のフィルムへ成形できる。これらのフィルムは、押し出し、共押し出し(co-extrusion)、押し出しコーティング、積層成形法、吹き込み成形、及び流し込み等の本技術分野で知られている従来の技術のいづれによっても成形してよい。フィルムはフラットフィルムプロセス(flat film process)またはチューブ成形プロセス(tublar process)とその後の一軸方向への延伸またはフィルム平面での互いに垂直な方向への延伸が続く製法で得ても良い。一以上のフィルム層が縦方向または横方向に同程度または異なる程度に延伸されても良い。この延伸は、それぞれの層が積層される前または後に行っても良い。例えば、一のポリエチレン層が一の延伸されたポリエチレン層へ押し出し皮覆されまたは積層成形されることができ、またはポリエチレンとポリプロピレンは共に押し出し成型されフィルムにされその後延伸されてもよい。同様に、延伸されたポリプロピレンは延伸されたポリエチレンヘ積層成形することができ、または、延伸されたポリエチレンはポリプロピレン上へ皮覆され、その後選択によりこの組み合わせが更に延伸されうる。通常フィルムは縦方向(Machine Direction,MD)に15までの比率で、好ましくは5から7の間の比率で延伸され、横方向(Transverse Direction TD)に15までの比率で、好ましくは7から9の比率で延伸される。しかし、別の実施態様ではフィルムはMDとTDの両方向に同程度に延伸される。
別の実施態様では、本願発明の可塑化されたポリオレフィン組成物(及び、またはそれらのブレンド)を含む層は1以上の他の層と組み合わせることができる。この他の層は通常複数層フィルム構造に含まれるいずれの層であっても良い。例えば、他の層は以下のものである。
1. ポリオレフィン類
好ましいポリオレフィン類はC2からC40のオレフィンの、好ましくはC2からC20オレフィンのホモポリマーとコポリマー、好ましくはアルファ-オレフィンと別のオレフィンまたはアルファ-オレフィン(エチレンは本願発明の目的ではアルファ-オレフィンの一つであると定義される。)のコポリマーである。特に好ましいのは、ホモポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレンまたはブテンと共重合したプロピレン、1以上のプロピレン、ブテンまたはヘキセン及び選択によりジエンと共重合したエチレンである。好ましい例には、超低密度ポリエチレン、非常に低密度のポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中程度の密度のポリエチレン、高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、高度イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン及び又は、ブテン及び又は、ヘキセンのランダムコポリマー、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ネオプレンのようなエラストマー及び、例えば熱可塑性エラストマーとゴム強化プラスチックのような熱可塑性ポリマーとエラストマーのブレンドが含まれる。
2. 極性ポリマー類
好ましい極性ポリマーにはエステルのホモポリマーとコポリマー、アミド、酢酸エステル、酸無水物、C2からC20オレフィン、例えばエチレンと/又はプロピレンと/又はブテンと、酢酸エステル、酸無水物、エステル、アルコール、及びまたはアクリル酸類のような1以上の極性モノマーとのコポリマーが含まれる。好ましい例には、ポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニルコポリマー及びポリ塩化ビニルが含まれる。
3. カチオン性ポリマー
好ましいカチオン性ポリマーには、ジェミナルに2置換されたオレフィン、アルファ-ヘテロ原子オレフィン及び/またはスチレンモノマーのポリマーまたはコポリマーが含まれる。好ましい、ジェミナルに2置換されたオレフィンにはイソブチレン、イソペンテン、イソヘプテン、イソヘキセン、イソオクテン、イソデセン及びイソドデセンが含まれる。好ましいアルファ-ヘテロ原子オレフィンにはビニルエーテル、ビニルカルバゾール、好ましいスチレンモノマーにはスチレン、アルキルスチレン、パラアルキルスチレン、アルファ-メチルスチレン、塩化スチレン、臭化-パラメチルスチレンが含まれる。カチオン性ポリマーの好ましい例にはブチルゴム、パラメチルスチレンと共重合したイソブチレン、ポリスチレン及びポリ-アルファ-メチルスチレンが含まれる。
4. その他
その他の好ましい層には紙、木、厚紙、金属、金属ホイル(アルミニウムホイルと錫ホイルのように)、金属被覆された表面、ガラス(フィルム表面上へ酸化ケイ素(SiO.x)を蒸発させることにより被覆された酸化ケイ素(SiO.x)被覆を含む)、布地、スパンボンデッド(spunbonded)繊維及び不織布(特にポリプロピレンスパンボンデッド繊維又は不織布)及びインク、染料、色素等で被覆された材料がありうる。
フィルムは用途に応じ厚みが変わっても良い、しかし1から250μmの厚みが普通適当である。包装用のフィルムは普通、10から60μmの厚みである。シール層の厚みは通常0.2から50μmである。フィルムの内部、中間部、外部表面のうち1以上にシール層があっても良く、またはシール層は内部、外部表面にのみ存在しても良い。
ブロック(block)、アンチブロック(anitiblock)、抗酸化剤、色素、充填剤、加工助剤、UV安定剤、中和剤、潤滑剤、界面活性剤及び、又は核形成剤のような添加物もフィルムの1以上の層に含まれても良い。好ましい添加材には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン、タルク、染料、ロウ、ステアリン酸カルシウム、カーボンブラック、低分子量樹脂、ガラスビーズが含まれる。
別の実施態様では、一以上の層がコロナ放電処理、電子線照射、ガンマ線照射またはマイクロ波照射により改質されても良い。好ましい実施態様では片面または両面の表面層がコロナ放電処理により改質される。
本願で記載したフィルムはまた、ポリマーと樹脂の重量に基づいて5から60wt%の炭化水素樹脂を含んでも良い。この樹脂はシール層のポリマーと結合されるか、または中心層のポリマーと結合されても良い。この樹脂は好ましくは、100℃より高温に、より好ましくは130から180℃に柔軟点をもつ。好ましい炭化水素樹脂には上記のものが含まれる。炭化水素樹脂を含むフィルムは同程度または異なる程度に単軸方向または双軸方向へ延伸されても良い。
成形品
上記の可塑化されたポリオレフィン組成物は、またいずれかの成形法で成形品を調製するために使用されても良い。成形法には非限定的な例として、射出成形、ガス補助射出成形(gas-assisted injection molding)、押し出しブロー成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、圧縮成形、回転成形、泡成形、熱成形、シート押し出し及びプロファイル押し出し(profile extrusion)が含まれる。これらの成形法は当該技術分野で通常の技術を持つ者にはよく知られている。
本願に記載されている組成物は当該技術分野で知られている適切な方法により所望の最終用途へ成形されても良い。熱成形、真空成形、ブロー成形、回転成形、スラッシュ成形、トランスファー成形、湿潤積み上げ(wet lay-up)又は接触成形、流し込み成形、マッチドダイ成形法、射出成形法、スプレー技術、プロファイル共有押し出し(profile co-extrusion)またはそれらの組み合わせが、通常使用される方法である。
熱成形は少なくとも1枚の柔軟なプラスチックシートを所望の形に成形する方法である。熱成形の工程の実施態様を述べるが、これは本願発明の組成物に関し有用な熱成形法を限定するものとして解すべきではない。最初に本願発明の組成物の押し出しフィルム(と他のいずれかの層または材料)が加熱中に固定するためシャトルラック(shuttle rack)に置かれる。シャトルラックは、成形前にフィルムを予熱するオーブンへ割りつけられる。一度フィルムが加熱されると、シャトルラックは成形器へ戻される。フィルムは成形器具上へ吸い込まれ固定され成形器が閉じられる。成形器は「オス」または「メス」型の器具のどちらかでありえる。成形器はフィルムを冷却するために閉じられた状態に保持され、成形器はその後開かれる。成形された薄片はその後、成形器から取り外される。
材料のシートが熱成形の温度、通常140℃から185℃またはそれ以上に達すると、熱成形は真空吸引、空気加圧、プラグによる真空成形(plug-assisted vacuum forming)、またはこれらの組み合わせ又は変法により行われる。特に大きな部品については予備的な伸張が行われ、材料の分布が調整される。一実施態様では、アーチキュレーティングラック(articulating rack)が加熱した薄層を、オス型成形器のオリフィスからの吸い込みによりに補助されて、オス型成形器の方へ移す。薄片がオス型成形器のまわりでしっかり成形されたら、熱成形された薄層は、その後、通常は送風機により冷却される。プラグによる成形は一般に小さい、奥の深い部品に用いられる。プラグの材料、デザイン及び加工のタイミングは本製法の最適化に決定的に重要であり得る。断熱性発泡材から作られたプラグはプラスチックの早すぎる冷却を防ぐ。プラグの形は普通、鋳型のキャビティーと類似しているが、より小さく部品の細かい構造がない。丸いプラグの底は均一な材料の分布と均一な厚みの側壁を形成するであろう。ポリプロピレンのような熱可塑性ポリマーについては、迅速なプラグによる成形が一般的に、部品に最適の材料分布を与える。
成形された薄層は鋳型の中で、その後冷却される。30℃から65℃に鋳型の温度を維持するように十分冷却することが望ましい。一実施態様では、取り出し前に部品は90℃から100℃より低い温度である。熱成形における良好な成形挙動を得るためには、メルトフローレートの最も低いポリマーが望ましい。成形された薄層はその後、過剰の薄層材料が削られる。
吹き込み成形は別の適切な成形方法であり、これらには、吹き込み成形、多層吹き込み成形、押し出し吹き込み成形及び延伸吹き込み成形が含まれ、これらは特に実質的に閉じた構造又は中空の物、例えば、ガスタンクや他の液体容器に適している。吹き込み成形はさらに詳細に、例えばCONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING 90-92(Jacqueline I. Kroschwitx,編集 ,John Wiley&Sons 1990)に記載されている。
成形法のさらに別の実施態様では、形状共押し出し成形(profile co-extrusion)を使用できる。この形状共押し出し成形法のパラメーターは、吹き込み成形に関する上記のものと同様であるが、ただし、鋳型(die)の温度(上限と下限の間)が150から230℃の範囲にあり、供給ブロックが90から250℃の範囲にあり、水冷却タンク温度が10℃から40℃の間にある。
射出成形法の一実施態様は下記のように述べられる。成形される薄層は射出成形器に送られる。鋳型は閉じられ、材料が鋳型に射出される。材料は一実施態様では溶融温度が200から300℃の間にあり、別の実施態様では215と250℃の間であり、2から10秒の間の射出速度で鋳型へ射出される。射出後、部品の寸法、美観を正しくするため、材料は所定の温度、圧力で圧縮または保持される。通常の時間は5から25秒であり、圧力は1,380kPaから10,400kPaである。製品を冷却するため鋳型は10から70℃の間に冷却される。この温度は所望の光沢と外観により変わるであろう。通常の冷却時間は10から30秒であり、その厚みにより変わる。最後に、鋳型が開き、成形された複合材料からなる製品が取り出される。
同様に、成形される製品は溶融したポリマーを、これを成形品の所望の形状と厚みに成形し固化させる鋳型に射出して作っても良い。シートは実質的に平面の形状を鋳型から冷たいロールへ押し出すか、または、カレンダ加工(calendaring)により作っても良い。このシートは、それより相当厚いこともあろうが、一般に10ミルから100ミル(254μmから2540μm)の厚みをもつと考えられる。チューブまたはパイプは医療、飲料水、土地排水等の用途に形状押し出しにより作っても良い。この形状押し出し法は鋳型を通して溶融したポリマーを押し出すことを含む。押し出されたチューブやパイプはその後、冷却水又は冷却空気を、連続した押し出される製品群に通すことで固化される。チューブは、一般に外部直径が0.31cmから2.54cmの範囲にあり、周囲の厚みが254μmから0.5cmの範囲にあるであろう。パイプは一般に、外側直径が2.54cmから254cmの範囲にあり、周囲の厚みが0.5cmから15cmの範囲にあるであろう。本願発明の一法の実施態様の製品から作られたシートは容器の成形に使用されても良い。そのような容器は熱成形、固相加圧成形、プレス成形(stamping)及び他の成形技術により作っても良い。シートはまた、床、壁又は他のものの表面を覆うためにも成形される。
熱成形法の一実施態様は、オーブンの温度が160℃から195℃の間にあり、オーブンに入れる時間が10から20秒の間であり、鋳型温度、通常はオス型鋳型、は10℃と71℃の間にある。冷却された(室温)の成形された薄層の最終的な厚みは、一実施態様では10μmから6000μmの間、別の実施態様では200μmから6000μm、更に別の実施態様では250μmから3000μm、更に別の実施態様では500μmから1550μmであり、所望の範囲はいずれかの下限の厚みといずれかの上限の厚みいずれかの組み合わせである。
射出成形法の一実施態様、材料が成形用具に射出されて成形される場合、材料の溶融温度は、一実施態様では230℃と255℃の間であり、別の実施態様では235℃と250℃の間であり、一実施態様では充填時間は2から10秒であり、別の実施態様では2から8秒であり、一実施態様では成形用具の温度は25℃から65℃であり、別の実施態様では27℃から60℃である。好ましい実施態様では、材料は、層の間の接着が行われるよういずれの結合層材料または支持層を溶融できる程十分高い温度にする。
本願発明のさらに別の実施態様では、本願発明の組成物は吹き込み成形操作を使用する材料に適していよう。吹き込み成形は特に燃料タンク及び他の液体容器、遊び場の遊具、戸外用の備品及び小さい閉じた構造物のような閉じた形状の製品の生産に特に有用である。本製造法の一実施態様では、本願発明の組成物は多層ヘッドを通して押し出され、冷却前の薄層を鋳型の中のパリソン(parison)ヘ送られる。鋳型(これは内部がオス型又はメス型になっている)が閉じられ空気が鋳型に吹き込まれ部品が成形される。
上記で概要を述べた工程が、所望の結果により変わりうるものであることは本技術分野の技術者には理解されるであろう。たとえば、本願発明の組成物の押し出シートは、冷却されずに直接に熱成形されてもよいし、吹き込み成形されてもよく、このようにして冷却工程を省略できる。他のパラメーターも所望の特徴をもつ最終組成物の製品を作るために変えてもよい。
本願発明の可塑化されたポリオレフィンを使用して作った好ましい製品は、調理器具、貯蔵器具、おもちゃ、医療機器、滅菌可能な医療機器、滅菌容器、健康製品、シート、仕切り箱、容器、ビン、包装材料、ワイヤーとケーブルの被覆、ジオメンブレン(geomembrane)、スポーツ用機器、椅子のマット、チューブ、異形材(profile)、計測サンプルホルダーおよびサンプルウィンドウ、戸外用備品(例、庭園用備品)、遊び場の道具、自動車、ボート及び船の部品、その他がある。特に、本組成物はバンパー、グリル(grills)、装備品、計器盤及び計器パネル、外部ドアとフードの部品、スポイラー、ウィンドスクリーン、ホイールキャップ、ミラーのハウジング、車体パネル、車体側面保護用の成形品のような自動車部品、および自動車、トラック、ボートその他の乗り物類に備えられる他の内部用および外部用部品に適している。
試験法
動的機械的熱分析(Dynamic Mechanical Thermal Analysis, DMTA)
ガラス転移温度(Tg)は動的機械的熱分析(DMTA)を用いて測定される。この試験はガラス転移領域と融解前の粘弾性領域を含む温度範囲の温度の関数としてサンプルの小さい歪みに対する機械的応答(small-strain mechanical response)(緩和的挙動, relaxation behavior)に関する情報を与える。
通常、サンプルは3種の曲げ設定(bending configuration)を使用して試験された(TA Instruments DMA 2980)。固形の長方形の圧縮成形バーが2箇所の固定点で固定された。可動クランプがサンプルの中間点に一定の時間をおいて、1Hzの振動数と20μmの振幅で歪みを与えた。サンプルは最初、-130℃に冷却され次いで、3℃/分で60℃に加熱された。ある場合には、圧縮成形バーは他の歪み設定、即ちデュアルカンチレバー曲げ(dual cantilever bending)及び引張り伸長(tensile elongation)(Rheometrics RSA II)を使用して試験された。これらの設定での一定時間ごとの歪みの適用は、振動数1Hz及び振幅0.05%で行われた。サンプルは-130℃に冷却され、その後60℃まで2℃/分の速度で加熱された。加熱速度のわずかな違いはガラス転移温度の測定に大きくは影響しない。
これらのDMTA試験の結果は、貯蔵モジュール(storage module, E’)と損失モジュール(loss module, E’’)である。貯蔵モジュールは弾性応答又は物質がエネルギーを蓄える能力を測定する。損失モジュールは、粘性応答(viscous response)又は物質がエネルギーを散逸させる能力を測定する。
損失係数(Tan-delta)はE’’/E’という比率であり、物質の制動性能の測定値を与える。広いガラス転移(β緩和、β-relaxation)の開始は、損失係数ピークから推定された正接(tangent)として定義される。加えて、このピーク温度とピーク下の面積はまた、さらにガラス領域から粘弾性領域への相転移を十分に特徴付けるために測定される。このように、ガラス転移温度はβ-緩和ピークに伴うピーク温度である。
示差走査熱量法(DSC)
結晶化温度(Tc)及び融点(Tm)は、TA Instruments 2920 DSC のような市販されている装置を用いて示差走査熱量法(DSC)により測定される。通常、6から10mgの成形されたポリマーまたは可塑化されたポリマーがアルミニウム製の平なべに密封され室温で装置へ入れられる。融点のデータ(第一加熱、first heat)はサンプルを少なくともその融点の30℃以上まで、通常はポリプロピレンについて220℃に、加熱速度10℃/分で、加熱することにより得られる。サンプルはその熱的履歴を消失させるため、この温度で少なくとも5分間保持される。結晶化データはサンプルを融解状態から、結晶化温度の少なくとも50℃低温まで、通常はポリプロピレンの場合-50℃まで、20℃/分の冷却速度で冷却することにより得られる。このサンプルはこの温度で少なくとも5分間保持され、最後に10℃/分で加熱されもう一つの融点データ(第2加熱、second heat)が得られる。吸熱的融解転移(第1及び第2加熱、first and second heat)及び発熱的結晶化転移は相転移の開始とピーク温度について分析される。報告されている融点は特に別に記載がない限り第2加熱からのピーク融点である。複数のピークを示すポリマーに関しては、融点(又は融解温度,melting temperature)は、DSC融点測定のピーク融解温度(peak melting temperature) (即ち、その範囲の温度における最大の吸熱量的応答に伴う温度)であると定義される。同様に、結晶化温度は、DSC融点測定のピーク結晶化温度(即ち、その範囲の温度において最大の発熱量的応答に伴う温度)と定義される。
DSC 曲線下の面積は相転移熱の決定(融解熱、融解時のHf、又は結晶化熱、結晶化時のHc)に用いられ、結晶化度(パーセント結晶化度とも呼ばれる)を計算するために用いられ得る。パーセント結晶化度(X%)は、式を用いて計算される。
〔曲線下の面積(J/g)/HO(J/g)〕×100
ここでHOは主要なモノマー成分からなるホモポリマーの融解熱である。HOのこれらの値は、Polymer Handbook, 第4版, Wiley and Sons, New York 1999年刊から得られる。但し、290J/gが100%結晶ポリエチレンの平衡融解熱(HO)として使用され、140J/gが100%結晶ポリブテンの平衡融解熱(HO)として使用され、及び207J/gが100%結晶ポリプロピレンの平衡融解熱(HO)として使用される。
125℃での結晶化ハーフタイム(crystallization half time)はPerkin Elmer Pyris I DSCで測定された。サンプルは200℃で10分間融解され、160℃まで150℃/分で、140℃まで40℃/分で冷却され、140℃で45分間保持され、再び200℃まで150℃/分で加熱され、この温度で10分間保持される。150℃/分で145℃まで冷却され、40℃/分で125℃まで冷却される。125℃で45分間保持され結晶化データを得る。結晶化ハーフタイム(crystallization half time)とは、最終結晶化度の半分が得られるに要する時間であり、ΔHCにより測定される。つまり、45分後の最終ΔHCがXJ/gであるなら、結晶化度ハーフタイムはΔHCがX/2 J/gへ達するに要する時間である。140℃での結晶化度ハーフタイムは最終温度が125℃ではなく140℃であることを除き全く同一の方法で測定された。
ポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-3D)
分子量(重量平均分子量、Mw、数平均分子量、Mn、及び分子量分布、Mw/Mn又はMWD)は、示差屈折率検出器、オンライン光散乱検出器及び粘度計を備えた高温サイズ排除クロマトグラフィー(Waters社またはPolymer Laboratories社)をもちいて決定された。検出器をどのように校正するか等下記に記載していない試験の詳細は、T, Sun,P. Brant, R.R. Chance, and W.W. Graessley, Macromolecules, 34巻、19号、6812-6820(2001)に記載されている。
3本のPolymer Laboratories社の10mm Mixed-B カラムが用いられた。公称の流速は0.5cm3/分であり、公称の注入容量は300μLであった。種々の移送ライン、カラム及び示差屈折計(DRI検出器)が135℃に維持されたオーブンの中に納められていた。SEC試験の溶媒は4LのAldrich 試薬グレードの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)に抗酸化剤として6gのブチル化されたヒドロキシトルエンを溶解して調製された。このTCB混合液は、その後0.7μmのガラスプレフィルターをとおして濾過され、続いて0.1μテフロンフィルターを通して濾過された。TCBはその後、SECに入る前にオンライン脱気装置で脱気された。ポリマー溶液は乾燥したポリマーをガラス容器へ入れ、所望量のTCBを加え、その後約2時間継続的に撹拌しながら混合液を160℃に加熱することにより調製された。全量は重量測定された。ポリマー濃度を質量/容量で表すために用いられるTCB密度は室温で1.463g/ml であり、135℃で1.324g/mlである。注入濃度は1.0から2.0mg/mlの範囲にあり、低い濃度は高い分子量をもつサンプルに使用された。各サンプルの測定前に、示差屈折率(DRI)計とインジェクターは洗浄された。機器内での流速はその後、0.5ml/分へ上昇され、DRIは最初のサンプルを注入する前に約8-9時間、安定化された。LSレーザーがサンプル測定前に1から1.5時間稼動された。以下の式を用いて、クロマトグラムの各点での濃度cがベースラインを差し引いたDRIシグナル、IDRIから計算される。
C = KDRI IDRI/(dn/dc)
ここで、KDRI はDRIを校正することにより決定される定数であり、(dn/dc)
は光分散(LS)分析について下記に示すものと同一である。SEC法に関するこの記載全般のパラメーターの単位は濃度がg/cm3であり、分子量はg/moleで表され、固有粘度はdL/gで表される。
使用する光散乱検出器はWyatt Technology High Temperature mini-DAWNであった。クロマトグラムの各ポイントでのポリマー分子量,Mは静的光散乱に関するZimm モデル(M.B.Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS,Academic Press,1971)を用いてLS の出力を分析して決定される。
KoC/ΔR(θ) = 1/MP(θ)+2A2 c
ここで、ΔR(θ)は散乱角度θにおいて測定された過剰レイリー散乱光強度(excess Rayleigh scattering intensity)であり、cはDRI分析から決定されたポリマー濃度であり、A2は第2のヴィリアル(virial )係数〔本願発明及びその特許請求に関し、プロピレンポリマーに対しA2=0.0006、その他の場合0.001〕、P(θ)は単分散のランダムコイル(random coil)に関する形状因子(form factor)であり(M.B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press,1971) 、Koはシステムの光学的定数である。
Ko =4π2n 2 (dn/dc)2/λ4NA
ここで、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)はシステムの屈折率増大分である。屈折率は、λ=690nm、135℃でTCBに対してn=1.500。本願発明とその特許請求に関しては、プロピレンポリマーについて(dn/dc)=0.104及び他の場合0.1である。
高温Viscotek 社 粘度計、これは、4本の毛細管がホイートストンブリッジ配列に並べられ、2個の変換器と接続されている、これが固有の粘度を決定するために使用される。1個の変換器は検出器全体での総圧損を測定し、他方は、ブリッジの2辺の間に配置され、差圧を測定する。粘度計を流れる溶液に対する固有の粘度ηSは、その結果から計算される。クロマトグラムの各点での固有溶媒粘度〔η〕は、次の式から計算される。
ηS=c〔η〕+0.3(c〔η〕)2
ここで、c は濃度であり、DRI結果から決定された。
分岐指数(branching index(g’))はSEC-DRI-LS-VIS法の結果を用い以下のようにして計算される。サンプルの平均固有粘度〔η〕avg(average intrinsic viscosity)は、
〔η〕avg=Σci〔η〕i/Σci により計算される。
ここで、総和は、クロマトグラムの断面iの、積分区間にわたるものである。分岐指数g’は以下のように定義される。
g’= 〔η〕avg/kMα V
ここで、本願発明とその特許請求の目的においては、エチレン、プロピレン、ブテンポリマーについてはα=0.695であり、エチレンポリマーについては、k=0.000579、プロピレンポリマーについてはk=0.000262であり、ブテンポリマーについてはk=0.000181である。MV はLS分析により決定された分子量に基づく粘度平均分子量である。
13C-NMR 分光分析
イソタクチックとシンジオタクチックダイアッド(diad)の濃度(〔m〕及び〔r〕)及びトリアド(triad)([mm]と[rr])とペンタド(pentad)(〔mmmm〕と〔rrrr〕)濃度等のポリマーの微細構造は13C-NMR 分光分析により決定された。サンプルはd2-1,1,2,2-テトラクロロエタンに溶解された。スペクトルは75又は100MHzのNMRスペクトル計を用い、125℃で記録された。ポリマーの共鳴ピークはmmmm=21.8ppmとされた。NMRによるポリマーのキャラクタリゼーションに関する計算はF. A. Boveyの著書Polymer Conformation and Configuration Academic Press New York 1969及びJ.Randallの Polymer Sequence Determination, 13 C-NMR Method Academic Press New York 1977による。
2連続のメチレン基の分子鎖長におけるパーセント、%(CH2)2 は以下のように計算された。14-18ppmの間のメチル炭素の積分値(2連続のメチレン基の数の鎖長の割合と等しい)を45-49ppmの間の非連続のメチレン基の積分値と14-18ppmの間のメチル炭素の積分値の合計で割り、100倍する。これは、2個より多く連続するメチレン基は除外されたので2以上連続して含まれるメチレン基の総数の最小値の計算である。ピークの帰属はH.N.Cheng and J.A.Ewen, Makromol.Chem.1989,190,1931に基づいた。
機械的特性
機械的特性試験の試験片はできるだけ忠実にASTM D618に従い射出成形され、室温(23±2℃)で試験された。
引張特性は、ヤング率、降伏応力と降伏ひずみ、破壊応力(引張強さとも呼ぶ)と破断ひずみ及び所与のひずみにおける応力(例えば、10,50及び100%ひずみそれぞれに対する10%,50%又は100%係数ともいわれる)等を、ASTM D638に従い決定された。射出成形引張バーはASTM D638 Type IVの形状であり、2inch/minの速度で試験された。破壊特性は、約2000%のひずみ、これは試験に使用した荷重フレーム上で可能な最大限のひずみであるが、に達する前に試験片の大部分が破壊されたときのみ報告された。
1%割り線率(本願では、曲げ率ともいう)はASTM D790Aに従い、射出成形された曲げ棒を2インチの支持幅で決定した。
熱たわみ温度はASTD D648に従い、66psiで、射出成形された試験片で決定された。VICAT 軟化温度がASTM D1525に従い、200g荷重を用いて決定された。
切り込みつきアイゾット衝撃強さはASTM D256に従い、指定された温度で決定された。TMI アイゾッド試験機が使用された。1組の試験片が射出成形されたASTM D790 曲げ棒から切り取られた。この長方形のバーは幅約1.3cm及び厚み約0.3cmであった。切り込みは、殆どの場合、衝撃が試験片の切り込みのある側で与えられるように付けられた(ASTM D256 の手順Aに従う)。指定のある場合には、切り込みの方向は逆とし(ASTM D256 手順Eに従う)、「逆切り込みアイゾット(RNI)」又は「切り込みなしアイゾッド」(UNI)衝撃と呼ばれた。全ての試験片は衝撃抵抗の計算については0.122インチの厚みが割り当てられた。全て破壊されるまで、別に指定のない限り、試験を行った。
光学的特性
射出成形された試験片の曇りの外観は2つの光学的方法により定量された。即ち白色度と透過率である。
白色度はColor Quest XE 色度計を用いて決定された。色度は、同一の幾何学的条件下で測定された、完全反射する反射器の絶対値に対する相対値である(ASTM E 308による)。各試験片は白いタイルを下にして反射窓におかれた。反射/透過データは、400から700nmの範囲の波長で10nmの間隔で記録され、3刺激値、X,Y及びZ値を得られるよう可視領域のスペクトルにわたり積算が行われた。これらの値は1964 CIE 10°標準観測者により定義されたヒトである観察者のカラーマッチング応答機能(color matching response functions)をシミュレートしている。これらの値から、D65発光体についてのASTM E313による黄色度指数(Yellowness Index YI)が以下のように計算された。:YI=100(1.3013X―1.1498Z)/Y 曇りのある物質は、曇りのない物質より白色が高く又は黄色が低く現れるので、YIは曇りが増大するにつれ低下する。
透過率は試験片を通過する光の相対的強度を測定することにより決定された。クラスIIIbヘリウム-ネオンレーザー光線(633nm 波長)は暗い部屋で光ダイオード検出器に当たるように配置された。各試験片は、サンプルホルダーを用いて光線に直角にして光路に置かれ、光ダイオードの信号はボルト(volts)で記録された。この値は所与の条件(レーザーの強度、サンプルの厚み等)に対するサンプルの光透過率(LT)である。
流体特性
流動点はASTM D97により測定される。動粘性率(KV)はASTM D445により測定される。比重は通常、指定された温度でASTM D4052により決定される。粘度指数(VI)はASTM D2270により決定される。色はASTM D1209によりAPHAスケールで決定される。100のAPHA色は約+10のセイボルト色度(ASTM D156)に、20のAPHA色は約+25のセイボルト色度、0のAPHA色は約+30のセイボルト色度に相当することに留意されたい。
炭素原子の種類はASTM D2140により決定され、流体中の芳香族炭素(CA)、ナフテン系炭素(CN)及びパラフィン系炭素(CP)のパーセンテージを与える。特に、CAは芳香族環構造に存在する流体中の総炭素原子のwt%である。CNは飽和環構造に存在する流体中の総炭素原子のwt%である。CPはパラフィン系直鎖構造に存在する、流体中の総炭素原子のwt%である。ASTM D2140は、流体について「粘度重力定数(Viscosity Gravity Constant)」(VGC)及び「屈折干渉(Refractivity Intercept)」(RI)を計算し、これら2つの値に基づき相関関係から炭素原子種の組成を決定することを含んでいる。しかし、この方法はパラフィン性の高いオイルには適さないことが知られている。なぜならVGCとRI値は相関関係のある範囲外にあるからである。そのため、本願のためには、以下の方法が用いられる。流体について計算されたVGC(ASTM D2140)が0.800以上のとき、Cpを含む炭素種の組成はASTM D2140により決定される。計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.800未満のときは、その流体は少なくとも80%より多いCpを有すると考えられている。計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.800未満で0.765より大きいときは、ASTM D3238がCpを含む炭素種の組成を決定するために用いられる。ASTM D3238の適用が物理的にあり得ない量の場合(例.マイナスのCA値)、Cpは100%と定められる。流体について計算されたVGC(ASTM D 2140)が0.765以下のときは、Cpは100%と定められる。
数平均分子量(Mn)は二法のうち一法で決定される。
1. 一般的にModern Practice of Gas Chromatography, R.L.Grob and E.F. Barry, Wiley-Interscience, 3rd Edition (July 1995)に述べられている通り、100℃で10cSt以下の動粘性率をもつサンプルについては、質量分析スペクトル検出器付のガスクロマトグラフィー(GC)を使用。又は
2. 一般的にModern Size Exclusion Liquid Chromatographs,W.W. Yan,J.J.Kirkland, and D.D.Bly,J.Wiley & Sons(1979) に述べられているように、100℃で10cStより大きい動粘性率をもつサンプルについては、ポリスチレン標準を使用して、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を使用。
耐久性
NFPの耐久性はASTM D1203 により、乾燥70℃オーブン中で300時間後、0.25mmの厚みのシートの形の可塑化された組成物の重量損失を測定することにより決定される。耐久性は100%から補正された%重量損失を差し引いた値であり、ここで、補正された%重量損失=(可塑化された組成物の%重量損失)−(同一の試験条件下での可塑化されていない組成物の%重量損失)、%重量損失=100x(W-Wo)/Wo、W=乾燥後の重量及びWoは乾燥前の重量。可塑化されていない組成物とは、NFPが加えらていない当該可塑化された組成物と同一の組成物である。
ブレンド中のNFP含量を決定する方法
ブレンド中のNFP含量(重量パーセント基準)を決定する好ましい方法は、抽出法である。そのほかには、可塑化されていないポリオレフィンのCRYSTAFの可溶分が30%より大きくない限りCRYSTAF法が使用される。大きい場合NMR法が使用される。抽出法とCrystaff法又はNMR法の間で矛盾のある場合、抽出法が優先する。これら全ての方法は溶液法である。後の2法は、改質剤濃度に対する関数として測定したパラメータの検量線(または検量線のセット)に基づくモデルを作成することを含む。検量線作成用ブレンドは試験するブレンドと同一のポリマーと改質剤を用いて、かつ既知の改質剤濃度で調製される。この検量線作成用サンプル(calibrant)のセットは少なくとも5こを含めなければならず、純ポリマーと試験するブレンドの最大値を上回る含量でかつ50重量パーセント以下ので改質剤を含むサンプルを少なくとも1個含まなければならない。試験対象のブレンドは検量線作成用サンプルと同一の条件で分析され、改質剤の濃度はこの定量モデルを適用して決定される。
抽出
この方法はソックスレー抽出を含み、少なくともNFPの殆どは還流しているn-ヘプタンで抽出される。ベースポリマーの分析も必要である。なぜならこれは還流n-ヘプタンに溶解する低分子量及び/又は非晶質の物質を含んでいるかもしれないからである。そのブレンド中の可塑剤の量は、抽出物の重量パーセントによる量を、ベースポリマーからの抽出物の量によって補正することにより、決定される。
ソクッスレー抽出装置は、広い開いたオーバーフロー管(サイホン現象を防ぎ、一定流速で抽出を行うため)のついた400mlのソックスレー抽出器、主要ソックスレーチャンバー内に備えられた金属製スクリーンかご、そのスクリーンかご内に置かれた抽出筒(Whatman、均一な厚み、セルロース製)、冷却水が通り排水されるコンデンサー、適切な大きさの撹拌バーを備えた一口の1000mlの丸底フラスコ、及びマントルヒーターからなる。
方法は以下のとおり。ソックスレー抽出筒を95℃のオーブン中で約60分乾燥させる。オーブンから取り出した後、乾燥した抽出筒を直接秤量する。この重量をA:試験前抽出筒 gとして記録。15-20gのサンプル(ペレット又は粉砕ペレットで)を抽出筒へ秤取する。B:ポリマー重量としてgで記録。ポリマーを入れた抽出筒をソックスレー装置に入れる。撹拌バーとともに丸底フラスコへ約300mlのHPLCグレードのn-ヘプタンを入れ、マントルヒーター上でこのフラスコを固定する。この丸底フラスコ、ソックスレー及びコンデンサーを続けて接続する。更にn-ヘプタンを溶媒液面がオーバーフロー管の口のちょうど下にくるよう、コンデンサーの中心を通してソックスレーの主要ソックスレーチャンバーへ注ぎいれる。冷却水をコンデンサーへ流す。マントルヒーターのスイッチを入れ、丸底フラスコ内で還流が起こり、適度な還流が維持されるよう調節する。16時間還流する。加熱を止め、冷却は続ける。室温まで冷却する。装置を取り外す。抽出筒を取り出し、少量の新しいn-ヘプタンですすぐ。試験室のフード内で風乾し、95℃で90分間オーブンで乾燥する。オーブンから取り出した後すぐに、ポリマーを含む抽出筒を秤量する。C:試験後ポリマー/円筒筒重量としてgで記録する。
抽出量はサンプルの重量減 W=(A+B-C)をgで計算することにより決定される。抽出レベルE、重量パーセントは、その後E=100(W/B)により計算される。ブレンド中の可塑剤含量はP、重量パーセントはP = E(ブレンド)- E(ベースポリマー)により計算される。
結晶化分析分別法(CRYSTAF)
この方法は、高温でサンプルを溶かし、その溶液を徐々に冷却し、溶解性に基づきサンプルの分別を行うことを含む。ブレンド等半結晶性サンプルでは、溶解性は主に結晶化性(crystallizability)に依存する。より結晶性が高いサンプルの部分は、結晶性の低いサンプルの部分よりも高温で溶液から析出するであろう。温度の関数としての溶液中の相対的なサンプル量は、赤外線検出器(IR)を使用して測定され累積的な溶解性分布が得られる。可溶フラクション(SF)は、全てのサンプルが高温で溶解したときのIRシグナルにより除した最低温度でのIRシグナルとして定義され、結晶化されていないサンプルの部分の重量に相当する。
熱可塑性ポリオレフィン中のNFPの場合、NFPは殆ど又は完全に非晶質であり、そのため主に又は独占的にSFに寄与している。つまり、SFはNFP含量が高いブレンドについては大きくなるであろう。この関係は組成(ポリマーとNFPの種類)は分かるが、含量が不明なブレンドのNFP含量の決定に用いられる。NFP含量の関数としてSFの傾向を示す検量線は、同一のポリマーとNFPをCRYSTAF容器で直接に使用して一連の既知濃度ブレンドを作って作成される。未知サンプルに検量線を高い信頼性で適用するために、この一連の最低5個の検量線用サンプルは、純(可塑化されていない)ポリマーと未知のサンプルの濃度より高いNFP濃度のサンプルを少なくとも1個、低いNFP濃度のサンプルを少なくとも1個含まなければならない。通常、検量線ポイントは直線性が見いだされNFP濃度の関数としてSFの良好な値が得られる(即ち、R2>0.9)。必要な場合、2次式が傾向をより良く表すために使用される(即ち、R2>0.9)。2次式がなお不十分な場合、関連する範囲で測定点の密度を高めるため、より多くの検量線サンプルを用い、関連する範囲での傾向を確実に表されるように、相関性への適合性を十分に狭い範囲に限定する(即ち、R2>0.9)。この検量線は、試験対象のブレンドについて測定されたSF値へ適用され、それらのそれぞれの流体の含量が計算される。
通常のCRYSTAFの手順は以下のとおりである。60mL容量の5個の撹拌装置を備えたステンレス製のCRYSTAF 200 装置(スペイン、バレンシア Polymer Char S. A.)が使用される。約30mgのサンプルが、2g/4Lのブチル化されたヒドロキシトルエンで安定化された30mLの1,2-ジクロロベンゼン中で160℃で60分間溶解される。この溶液は100℃で45分間平衡化される。結晶化プロセスは容器の温度を100℃から30℃へ0.2℃/分の速度で下げることにより行われる。加熱された流体が150℃に維持されたセルを通過する2波長赤外検出器が、結晶化サイクル中、規則的な間隔で溶液中のポリマー濃度を測定するために使用される。測定波長は3.5μmであり、対照波長は3.6μmである。
上記のように1,2-ジクロロベンゼン中で分析されたとき、可塑化されていないポリオレフィンの可溶部分が30%より大きい場合は、フェニルエーテルを溶媒として使用すべきである。この場合は、温度はCRYSTAF の手順において調整されなければならない。溶解温度は160℃であり、平衡温度は160℃、温度走査は160℃から80℃であり、検出器は180℃に維持される。その他の点では、手順は同一である。可塑化されていないポリオレフィンの可溶フラクションが30%よりさらに大きい場合、NMR法が使用されるべきである。
核磁気共鳴法(NMR)
ブレンド中のNFP量を決定する第2の方法は高温液相13C 核磁気共鳴(HTS-CNMR)である。組成物は、純ポリマーと純NFPの標準スペクトル及び1組の検量線サンプル(即ち、純ポリマーと既知のwt%NFPのNFPから調製されるブレンド)のスペクトルを用いて決定される。スペクトルは、分析され、NFP含量が増大するとともに強度が一方的に増大又は減少する1以上の特徴的な共鳴吸収又はまたはクラスター状の共鳴吸収が決定される。対応するピークは積分され、NFP含量(重量%)の関数として計算された全積分値に対するその部分の寄与が求められ、1組の検量線が作成される。化学的計量計算モデル(chemometrics model)がこれらの検量線を使用して作成され、NFP含量を計算する方法が得られる。特徴的共鳴吸収の数は検量線の作成範囲で1%またはそれ以上の精度でNFP含量を予測するモデルが作成されるように選ばれる。化学的計量計算と化学的計量計算モデルの作成法についての一般的説明は、Richard Kramer によるChemometric Techniques for Quantitative Analysis(Marcel Dekker,1998)を参照せよ。その後、濃度が未知のブレンドは検量線サンプルに使用したのと同一のHTS-CNMR法に従い測定され、結果は重量%NFPを決定するためこのモデルに従い分析される。
通常のHTS-CNMR法は以下のとおりである。サンプルは1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2中で調製され、データの入手を加速するため緩和剤としてアセチルアセトンクロム〔Cr(acac)3〕が添加される。ストック溶媒中のCr(acac)3濃度は約15mg/mlである。サンプル濃度は10から15重量%の間である。120℃の温度でVarian UnityPlus 500で、10mmの幅の広いプローブを使用して、15,000回の遷移の自由誘導減衰が積算される。スペクトルは90°炭素励起パルスとインバースゲーテド(inverse-gated)WALTZ-16 プロントンデカップリングにより得られる。約1秒の取り込み時間(acquisition time)と3.5秒の戻りの遅延時間(recycle delay)が定量的積分を行うため用いられる。溶媒の選択とサンプル濃度は、ブレンドの固有の組成に基づき、異なる溶解性に対応しスペクトルの干渉を最小にするように調整することができる。CNMR技術に関する一般的説明についてはCarbon-13 NMR Spectroscopy:High-Resolution Methods and Applications in Organic Chemistry and Biochemistry, 第3版、Eberhard Breitmair and Wolfgang Voelter(VCH,1990)を参照せよ。
加工方法
混合
可塑化されたブレンドは、所望の可塑剤濃度で均一溶融物を得るため加熱したC.W.Brabender Instruments Plasticorderで可塑剤をポリマーのペレットと混合して合成された。ブラベンダー(Brabender)は50または200cm3容量の混合ヘッドと回転羽根が備えられている。操作温度はポリマーの融点より高く、通常190℃である。熱分解を最小にするため、ポリマーは最初、ブラベンダーの中で、1分間、60rpmで0.1wt%Irganox2215を添加して溶融された。その後、核形成剤がブレンドを結晶化するため加えられるた。可塑剤は、それから溶融したポリマーの中で貯まらないよう、混合速度を30-40rpmに落としてゆっくりと加えられた。このブレンドはその後、窒素充填下、60rpmで5分間混合された。ブラベンダーを開き、融解物できるだけ速やかに混合ヘッドと羽根から取り除き、固化させる。後に射出成形されるこれらのブレンドについては、ブラベンダーから回収した材料は裁断機を用いて小片に切り分けられ、その後Wiley Millを用いてより小さな粒に粉砕された。後に圧縮成形されるブレンドについては、ブラベンダーからの材料はそのまま使用された。
射出成形
引っ張り及び曲げ試験の試験バーはASTM D4101により20トン射出成形装置(Nissei NS 20)を用いて成形された。ただし以下の条件を除く。成形温度は40℃、射出時間は30秒、引っ張り及び曲げバーは、それぞれASTM D 638 Type IV 及びASTM D790 の形状からなる。融解温度は、いくつかの場合、ASTM D4101により特定される値から10℃外れた。しかし常に190-200℃の範囲にあった。
圧縮成形
ブレンドは190℃に加熱した油圧プレスを用い、15分の成形時間および10,000lbf(44.5kN)の圧縮力でテフロンコートしたアルミニウム薄のシートの間で約2mmの厚みと約100cm2の板へ圧縮成形された。その後直ちに、薄膜/サンプル/薄膜のサンドイッチは約5分室温の水に浸された。この板は薄膜から外され、風乾された。
実施例
本願発明は、それにより限定される意図はないが、以下の実施例と表を参照することにより、より良く理解できるであろう。実施例のブレンドを調製するため使用されるブレンドの成分は表1aに報告されている。実施例のブレンドの組成は表1bに報告されている。全ての混合は加工方法の部で述べたとおりに行われた。実施例のブレンド1-18の試験片は射出成形された。一方、実施例のブレンド19-28の試験片は圧縮成形された。両成形法は加工方法の部に述べたとおりに行われた。これらの試験片の光学的、触覚的性質は表2に報告されている。これらの試験片の物理的特性は表3に報告されている。10%wt%NFPを含む射出成形された試験片の外観の比較は図1に示されている。
NFPが十分に高い配合で熱可塑性ポリオレフィンに加えられたとき、そのようなブレンドから作った射出成形試験片は成形工程の後冷却した場合に曇り(haze)が生じる。この曇りは肉眼にはにごり又は白濁してみえる試験片の内部領域により特徴をづけられる(通常、曇りは射出成形口から離れた場合により顕著である)。基本的な現象例は図1a(実施例2)に示されている。核形成剤がこのブレンドに加えられたときは、光学的な曇りの発生を伴うようなNFPの配合量は増大する。この効果の程度は核形成剤の種類、量に依存する。この結果の一つは、可塑化された熱可塑性ポリオレフィンブレンドが、核形成剤のない場合に射出成形された試験片に曇りを生じさせるに十分なNFP含量のある場合にも、、他の点においては同一のブレンド(つまり、NFP含量に有意な変化のないもの)に添加すべき核形成剤の種類と量の賢明な選択により均一な(肉眼により検出できる曇りのない)試験片を与えるように製造することができ、そのため可塑化可能な水準を広げたということである。同様のことはNFPで可塑化された熱可塑性ポリオレフィンから圧縮成形されたサンプルの表面への明らかなオイル滲出へのNAの効果についても当てはまる。NAの添加は、その表面が触れたとき油っぽくなる前までに要するNFPの配合量を効果的に上昇させる。そしてNFPとNAの賢明な組合せは、NAがない場合よりも許容できる可塑剤添加の水準を高くするであろう。熱可塑性ポリオレフィン中に曇り及び、又は油性の感触を引き起こすに要するNFP濃度は結晶化度と結晶時に形成される構造に依存するように思われる。
実施例1-18の射出成形された試験片の外観は表2aに記録されている。光学的な均一性は、いくつかの試験片が外観に検出可能な変化を伴わず20時間、空気中、140℃でアニーリングされることにより実証されているように、永久ではなくとも、長く続くことが見出された。これらの観察はNAの添加はhPP/NFPブレンドに曇りが生じるに要するNFPの水準を高くするという結論を裏付けるものである。
曇りの程度は、実施例のブレンド1-18の射出成形されたドッグボーン(dogbone)の光学的性質、特に黄色度(YI)と光透過率(LT)を測定することにより定量された。曇りが観察された場合には、しばしば射出口に近いドッグボーンの端(「ゲートエンド」)は均一であるが、反対の端(「ノンゲートエンド」)は曇っていた。従って、ノンゲートエンドの光学的性質が評価された。曇りを呈するサンプルでは、成形された試験片は、色彩計より白色度が高く、黄色度が低く見える。△(YI)値はhPP+NFPの各ブレンドについて、そのYIを等量の核形成剤の配合により核形成(nucleated)され可塑化されていないhPPのYIと比較することにより計算された。△(YI)について大きいマイナス値はNFPの添加されたサンプルはNFPの添加されていないNFPよりも曇りが大きい(黄色度が低く、白色度が高い)ことを示している。曇りを示すサンプルは、また光を少なく通し、そのため低い光透過率を与える。相対的LT(RLT)はhPP+NFPの各ブレンドについて、そのLTと、等量の核形成剤が配合され核成形され可塑化されていないhPPのLTとの比率をとることにより計算された。小さいRLTはNFPが添加されたサンプルはNFPが添加されていないNFPよりも曇りが大きい(光透過率が小さい)ことを示す。△(YI)とRLTデータは、表2aに報告されているが、NAの添加がhPP/NFPブレンドに曇りを生じさせるに要するNFPの量を大きくするという結論をさらに支持している。
実施例のブレンド19-18の圧縮成形された試験片の触覚的な性質は表2bに記録されている。これらの試験片は室温で(~23℃)で空気中8-12時間放置され、その後その表面が乾燥しているか油っぽいかについて定性的感覚を得るために触れることにより試験された。これらの観察はNAの添加がRCP/NFPブレンド中に滲出が生じるに要するNFPの量を増大させるとの結論を支持している。
表2cは実施例のブレンドの表面の光学的な曇り又は表面の油っぽさの発生を伴うNFP含量を示すことにより、表2a-bのデータをまとめている。所与の核形成剤に対し、PP/NFP/NAブレンド中のPPに加えられるNFPの量がこの水準より低い場合、作成した試験片は光学的に均一かつ乾燥している。
表3a-cは、実施例のブレンド1-18の流体的(MFR)及び機械的性質(張力、曲がり、軟化点、及び耐衝撃性)のデータを示している。光学的に均一なブレンドは、また、より望ましい機械的特性を示すと結論できる。核形成剤の添加は引っ張り強さ又は伸度に殆ど影響しないが、一方NFPの添加は引っ張り強さを減少させ、伸度を増大させる。hPP/NFPの硬さ、HDT及び衝撃強さは核形成剤により増大する。
表4a-bは実施例1-18のDSCデータを報告している。各結晶と融解相転移は単一のピークを示す。核形成剤の添加は、hPP及びhPP/NFPブレンドの結晶化温度(Tc)、結晶化熱(Hc)、及び融解熱(Hf)を増大させる。規格化されたHcとHfの値もまた報告されている。これらは(ブレンドの重量ではなく)ポリマーの重量に基づく値である。つまり、規格化されたHfと規格化されたHcはhPPのみの重量を用いて計算される。核形成剤は所与のNFPが配合されたhPPの融点(Tm)に対し最小限の影響しか与えないことが見出されている。(実施例2、4,8,12及び16の全てはTm~164℃である。)一方NFPの濃度を増大させるとTmをわずかに下げる。(20wt%NFPについて5℃未満まで)。核形成剤の添加はhPP/NFPブレンドの結晶化中間時間(half time)を減少させる。この効果の大きさは個々の核形成剤に依存する。(例. NA-AはNaOBzより大きな効果を持つ)
表4Cは実施例19−28のDSCデータを報告する。各結晶化及び融解相転移は単一のピークを示す。核形成剤の添加は、RCP及びRCP/NFPブレンドの結晶化温度(Tc)及び融点(Tm)を上昇させる。NFPの添加は、これらの値を下げるとしても僅かに(2,3℃まで)低下させるのみである。
本願発明は特定の実施態様を参照することにより記述され説明されてきたが、当該技術分野の通常の技術を有する者が、本願発明について本願に説明されていない多くの異なる応用を施しうると評価するであろう。これらの理由により、本願発明の範囲を決定するするためには、請求項のみに基づくべきである。さらに本願発明のある技術的特徴は、1組の数量的上限と1組の数量的下限により記載されている。これらの限度のいずれの組合せより形成される範囲も、特に別途記載のない限り、本願発明の範囲内にあると評価されるべきである。
全ての優先権書類は、そのような組み入れが許される全ての法域において、引用によって、本願に全て組み入れられる。さらに試験方法を含む、本願に引用されている全ての文書はそのような組み入れが許される全ての法域において、本明細書と不一致のない範囲まで、引用により本願に全て組み入れられる。
図1は10wt%のある特定のNFPを加えた射出成形試験片の曇りに対する核形成剤(NA)の効果を示す一連の写真である。