JP2009533478A - 黄色ブドウ球菌感染症の治療用薬剤の製造のための活性成分としてtrapタンパク質自体の使用 - Google Patents

黄色ブドウ球菌感染症の治療用薬剤の製造のための活性成分としてtrapタンパク質自体の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、黄色ブドウ球菌感染症の治療用薬剤の製造のための活性成分としてTRAP自体の使用を開示している。外来TRAP(天然TRAPまたは組換えTRAP)自体が黄色ブドウ球菌外毒素の産生を有効に阻害して、それにより黄色ブドウ球菌の病原性を減少させうる。加えて、TRAPを含んでなる薬剤は、それが黄色ブドウ球菌感染症を治療するために用いられる場合、人体で対応抗体の産生も刺激し、これらの抗体が黄色ブドウ球菌外毒素の産生を更に阻害しうるのである。このような二重作用は薬剤の効果を増加させ、新規の薬剤作用様式をもたらす。更に、TRAPは細菌の毒性に対して単に働き、細菌の増殖に影響を与えないため、それは細菌に容易に薬物耐性を獲得させることはなく、薬物耐性黄色ブドウ球菌にも有効である。更に、本発明のTRAPタンパク質の相同的配列はヒトゲノムにおいて見られず、そのためTRAPの薬剤はヒト免疫疾患を引き起こさない。

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は生物系薬学分野に属する。特に、本発明は黄色ブドウ球菌感染症の治療用薬剤の製造のための活性成分としてTRAPタンパク質自体の使用に関する。
背景技術
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ブドウ球菌に属し、肺炎、心内膜炎、火傷および戦傷、敗血症、並びに中毒性ショックなどの重篤な感染症を引き起こす主病原菌である。加えて、黄色ブドウ球菌は食中毒を引き起こす細菌の一種である。黄色ブドウ球菌は空気、土壌、水、および給仕用品類に広く存在し、そして動物およびヒトが主な媒介者である。黄色ブドウ球菌は、唾液と、群集中での大規模な接触とにより伝播される。1年当たり病院のみで黄色ブドウ球菌感染症に罹患する患者は百万人以上存在する。黄色ブドウ球菌は、グラム陽性敗血症、熱傷の感染症、および急性肝不全を引き起こす主病原菌である。
黄色ブドウ球菌の主病原物質は、ヘマトキシン、ロイコシジン、エンテロトキシンなどを含めた外毒素である。最近の研究においては、黄色ブドウ球菌におけるこれら病原性因子の合成が調節RNA分子、即ちRNA IIIにより制御されることを示している。RNA IIIは病原性因子の遺伝子転写を活性化し、塩基相補性により病原性因子の翻訳を調節している。RNA IIIレベルは細菌増殖の初期対数期で比較的低いが、細菌増殖の後期対数期で40倍に増加し、一方RNA IIIのレベルは黄色ブドウ球菌自体から分泌されるタンパク質RAP(RNA III活性化タンパク質)により調節され、そのためRAPは黄色ブドウ球菌病原性刺激因子とも称される。黄色ブドウ球菌はRAPを継続的に分泌し、RAPがある濃度に達したときのみRAPは病原性因子の産生を活性化させる。RAPの産生がなければ、黄色ブドウ球菌は疾患を引き起こさない(Balaban N.et al,Science,1995,280,438-440)。最近の研究では、RAPが21KDタンパク質TRAP(RNA III活性化タンパク質の標的)の媒介でRNA IIIの転写を活性化させることを示している。TRAPをコードする遺伝子が突然変異により不活性化されると、RAPはRNA IIIの転写を活性化できない。
TRAPは167のアミノ酸からなり、Hisキナーゼ活性を有する。TRAPは黄色ブドウ球菌の増殖の初期段階においてリン酸化され、中間対数増殖期に最大レベルへ達する。RAP作用後、シグナル伝達が自己リン酸化により行われ、それによりRNA IIIの細胞内レベルを増加させて、黄色ブドウ球菌外毒素の分泌を促進する(Namomi B.et al,J.Biol.Chem.,2001,276:2658-2667)。TRAPは黄色ブドウ球菌の表面タンパク質であり、ブドウ球菌において高度に保存される。TRAPの主な生物学的機能は、黄色ブドウ球菌外毒素の調節に関与することである。黄色ブドウ球菌外毒素のレベルは、TRAPのリン酸化レベルの増加で上方調節される(Gov Y.et al,J.Biol.Chem.,2004,279:14665-72)。
配列アライメント解析に基づき、TRAPタンパク質は三つのファミリーに分けられ、それらは互いに80%以上の相同性を有することが現在見出されている(Yang G.et al,J.Biol.Chem.,2005,280:27431-27435)。特に、TRAPタンパク質が黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)において高度に保存されることが、配列アライメントに基づき、見出された。現在、GeneBankには10の黄色ブドウ球菌株および二つの表皮ブドウ球菌株のTRAP配列が記録されている。
TRAPタンパク質は配列保存に基づき次の三つのファミリーに分けられる:ファミリー1は、DNAMANによる解析に基づくと99.49%の同一性を有する、黄色ブドウ球菌からの7種のTRAPタンパク質を含み(図1)、ファミリー2は、DNAMANによる解析に基づくと99.80%の同一性を有する、黄色ブドウ球菌からの三種のTRAPタンパク質を含み(図2)、およびファミリー3は、98.20%の同一性を有する、黄色ブドウ球菌からの二種のTRAPタンパク質を含む(図3)。加えて、上記三つのファミリーにおいて、黄色ブドウ球菌 RN6390B、黄色ブドウ球菌 04018、および表皮ブドウ球菌 ATCC12228からのTRAPタンパク質は、DNAMANによる配列アライメント解析に基づくと84.72%の同一性を有する(図4)。
最近の研究においては、外来RAPおよびTRAP阻害剤を用いることで黄色ブドウ球菌外毒素の産生に関する経路を阻害することにより、黄色ブドウ球菌の病原効果が効果的に減少させれることを示している。公知のRAPおよびTRAP阻害剤、例えば小分子阻害ペプチド(RNAS III阻害ペプチド、以下RIPと称する)および抗体は、黄色ブドウ球菌外毒素の分泌を効果的に減少させることができる。TRAPのC末端は、黄色ブドウ球菌感染から生物を防御するために有効なペプチドワクチンとして用いられる(Oleny V.et al,Peptides,2001,22:1621-1627、Yang G.et al,Peptides,2003,24:1823-1828、Yang G.et al,J.Biol.Chem.,2005,280:27431-27435)。
現在、例えばRIP、RAP抗体などにより、黄色ブドウ球菌毒素の産生を減少させるために、上記の黄色ブドウ球菌毒素の産生に関する経路を阻害し、それにより黄色ブドウ球菌の病原効果を減少させることで、黄色ブドウ球菌の感染症が主に治療される。
黄色ブドウ球菌 RN6390BからのRNA III活性化タンパク質の標的(TRAP)のDNA配列およびアミノ酸配列は当業界において知られている(USP6689878)。加えて、該TRAPは抗体の産生を誘導するために用いられ、該抗体が薬剤として用いられ(USP6747129)、そこでは黄色ブドウ球菌感染症の発生を抑制するためにTRAPの機能がTRAPに対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体により阻害される、と報告されていた。
一方、黄色ブドウ球菌を含む病原菌の薬物耐性が抗生物質の乱用により、継続的に出現および増加し、β-ラクタム抗生物質に耐性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、糖ペプチド抗生物質に耐性の糖ペプチド耐性黄色ブドウ球菌(GISA)、およびバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)などを含めた薬物耐性株に多くの抗生物質が無効である。他方、黄色ブドウ球菌自体も容易に薬物耐性を獲得する。
現在黄色ブドウ球菌感染症の治療で存在する上記の問題を解決するために、黄色ブドウ球菌感染症を有効に制御できて、黄色ブドウ球菌に容易に薬物耐性を獲得させない方法を開発することは緊急の課題である。
発明の概要
一つの態様において、本発明は、黄色ブドウ球菌感染症の治療用薬剤の製造のための、活性成分としてTRAP自体の使用に関する。
特に、外来TRAP自体は細胞モデルおよび動物モデルにおいて黄色ブドウ球菌外毒素の産生を有効に阻害しうることが、インビトロ試験(MDBK細胞モデル)およびインビボ試験(黄色ブドウ球菌感染症の動物モデル)から意外にも見出された。黄色ブドウ球菌感染症を治療して発病を減少させるために外来TRAP自体が活性成分として用いられ、その治療効果はTRAPに対するポリクローナル抗体の場合と類似している。
本発明において、“外来TRAP”という用語は、黄色ブドウ球菌感染後黄色ブドウ球菌外毒素の産生時に黄色ブドウ球菌感染症の該細胞または動物モデルで産生される外来TRAPについて、黄色ブドウ球菌感染症の治療のために人為的に加えられまたは投与されるTRAPタンパク質に関する。本発明において、黄色ブドウ球菌から手作業で抽出されたまたは遺伝子工学で組換え発現された単離TRAPに関して、それが黄色ブドウ球菌感染症を引き起こす特定の黄色ブドウ球菌株から直接にまたはそれと高い相同性を有する株から由来するのか否かにかかわらず、該単離TRAPが黄色ブドウ球菌感染症の治療のため付加的に加えられまたは投与されるのみであれば、それは外来TRAPとして認められる。
特に、本発明の一つの態様においては、MDBK細胞モデルが用いられ、外来TRAPがMDBK細胞培養液へ加えられまたは加えられず、その場合に黄色ブドウ球菌が該液へ加えられる。結果は、黄色ブドウ球菌外毒素の産生が外来TRAPの添加により有効に阻害されることを示す。本発明の他の態様では、黄色ブドウ球菌がマウスへ腹腔内注射された後で、外来TRAPタンパク質が投与されまたは投与されず、各群のマウスの生存期間および状態が観察される。結果は、マウスの黄色ブドウ球菌感染症が外来TRAPの注射により減少し、それによりマウスの生存率を延ばすことを示す。
本発明において、該TRAPタンパク質には、異なる種類の黄色ブドウ球菌からの天然TRAPタンパク質、例えば遺伝子工学処理法で製造される組換えTRAPタンパク質または融合TRAPタンパク質、および例えば化学合成法により得られるTRAPタンパク質および/または化学的修飾TRAPタンパク質誘導体がある。本発明のTRAPタンパク質には、完全または部分的な生物活性を留めた、原TRAPタンパク質から誘導される生物活性断片も含む。TRAPタンパク質の該断片も、黄色ブドウ球菌感染症を治療するために用いられる。
USP6689878およびUSP6747129は、引用することにより本明細書の開示の一部とされ、TRAPタンパク質のアミノ酸配列とそれらをコードするポリヌクレオチド配列がこれらの書類において開示される。
本出願において、該TRAPタンパク質は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4と配列同一性を有するタンパク質またはそれらのオルソログ、例えばそれらと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%の配列同一性を有するタンパク質に関する。本発明は、SEQ ID NO:2または4で示されているような配列の1-167、30‐167、または50‐167のアミノ酸残基と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の配列同一性を有するTRAPタンパク質も含む。
本発明の一つの態様において、該TRAPタンパク質は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4において示されているような配列と、図1〜3において示されているような異なる三つのタンパク質ファミリーに属する12の異なる起源からのTRAPタンパク質とから選択される。
二つのアミノ酸配列間の同一率は、例えば、タンパク質およびDNAのアライメントで用いられるNeedelman-Wunschアライメントにより調べられる。タンパク質アライメントの場合、用いられるデフォルトスコアリングマトリックスは、スペーサー中におけるある残基のペナルティが−12であり、他の残基の場合が−2であるBL0SUM50であり、該アライメントはバージョンv20u6のアライメントソフトウェア、FASTAパッケージにより行われる(W.R.Pearson and D.J.Lipman,“Improved tools for Biological Sequence Analysis”,PNAS,2005,85:2444-2448およびW.R.Pearson,“Rapid and Sensitive Sequence Comparison using FASTP and FASTA”,Methods in Enzymology,1990:183:63-98)。
本発明のTRAPタンパク質はいかなる公知のTRAPタンパク質から選択してもよい。構造および起源に関して、該TRAPタンパク質は、治療すべき黄色ブドウ球菌感染症を引き起こす黄色ブドウ球菌により産生される内在性TRAPタンパク質と同一でもまたは異なっていてもよい。本発明者らは、多種の異なる黄色ブドウ球菌株からのTRAPタンパク質が黄色ブドウ球菌外毒素の産生阻害と、黄色ブドウ球菌の病原性の減少とに同一または類似の効果を有することを見出した。
本発明の一つの態様においては、黄色ブドウ球菌 RN6390BからのSEQ ID NO:2において示されているようなTRAPタンパク質(GenBankのヌクレオチド配列AF202641に対応する)が、インビトロ試験およびインビボ試験で黄色ブドウ球菌外毒素の産生を有効に阻害するために、活性成分として用いられる。他の態様においては、黄色ブドウ球菌 04018からのSEQ ID NO:4で示されているようなTRAPタンパク質(GenBankのヌクレオチド配列AY248703に対応する)が、インビトロ試験およびインビボ試験で黄色ブドウ球菌外毒素の産生を阻害し、それにより黄色ブドウ球菌感染症を治療するために、活性成分として用いられる。本発明の他の態様においては、TRAPタンパク質と12アミノ酸のポリペプチドからなる融合タンパク質が、インビトロ試験およびインビボ試験で黄色ブドウ球菌外毒素の産生を阻害し、それにより黄色ブドウ球菌感染症を治療するために用いられる。
本発明の他の態様においては、活性成分として上記TRAPタンパク質および場合により薬学上許容される担体または賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためのTRAPタンパク質またはその断片が1回分または複数回分で単独投与されるか、あるいは薬学上許容される担体または賦形剤と組合せて投与されてもよい。本発明で黄色ブドウ球菌感染症の治療のためにTRAPタンパク質またはその活性断片を含んでなる医薬組成物は、文献(Remington,Science and Practice of Pharmacology,19th edition,Genearo,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995)において開示されているような伝統的技術により、薬学上許容される担体または希釈物およびいずれか公知のアジュバントまたは賦形剤と一緒に処方され、溶液、懸濁液、凍結乾燥粉末、カプセル、錠剤、またはエアロゾルなどのような伝統的な形態をとる。
医薬組成物は、いずれか適切な経路、例えば非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内、および皮内を含む)、経口、直腸、鼻、肺、局所(頬および舌下を含む)、皮膚、槽内、腹腔内、および膣経路で投与されるように、特に処方される。好ましい経路は、治療を受ける対象者の一般状態および年齢、治療される症状の種類、および用いられる活性成分に依存する、と理解されるべきである。投与経路はいかなる経路でもよく、活性成分がこのような経路により適切なまたは期待される作用部位へ効果的に運ばれさえすればよい。
非経口投与用の医薬組成物には、無菌水性または非水性注射溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液と、それらが用いられる前に注射または分散用の無菌溶液で再調製される無菌粉末または凍結乾燥粉末がある。注射用の貯蔵処方物も本発明の範囲内に属する。
経口投与用の医薬組成物には、固体剤形、例えば硬または軟カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、丸剤、ロゼンジ、粉末、または顆粒がある。適切であれば、それらはコーティング、例えば腸溶コーティングを施しても、あるいは徐放または持続放出のような活性成分の放出を制御するために当業界において公知の技術により処方してもよい。
経口投与用の液体剤形には、溶液、乳濁液、水性または油性懸濁液、シロップ、およびエリキシルがある。
坐剤、エアロゾル、軟膏、クリーム、ゼラチン、吸入剤、皮膚用パスタ、およびインプラントなどを含めた他の適切な剤形もある。
典型的な投与量は約0.001〜約100mg/kg体重/日の範囲内であり、例えば約0.01〜約50mg/kg体重/日、例えば約0.05〜10mg/kg体重が1日に1回以上、例えば1〜3回で投与される。正確な用量は、治療される黄色ブドウ球菌感染症の状態、投与頻度および様式、治療を受ける対象者の性別、年齢および一般状態、治療される症状の種類および重篤度、治療される合併症および当業者に知られている他の要因に依存する。
処方剤は当業界で知られている方法により単位剤形を便宜上とってもよい。髄腔内、静脈内および筋肉内投与などのような非経口投与用の処方剤は、約0.001〜約1000mg、例えば約0.01〜約500mg、例えば約0.1〜約100mgの典型的用量で、1日に1回以上(例えば、1日1〜3回)投与される。
経口投与用の処方剤は、約0.05〜約1000mg、例えば約0.1〜約500mg、例えば約0.5〜約200mgの典型的用量で、1日に1回以上(例えば、1日1〜3回)投与される。
適切な薬学上許容される担体には、不活性固体希釈物またはフィラー、無菌水溶液および各種有機溶媒がある。例えば、固体担体には、ラクトース、石膏粉末、スクロース、シクロデキストリン、タルク粉末、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびセルロース低級アルキルエーテルがある。液体担体の例は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン、および水である。同様に、担体または希釈物には当業界で知られている徐放性物質、例えば単独でまたはワックスと一緒に用いられるモノステアリンまたはジステアリンがあってもよい。TRAPタンパク質またはその断片と、薬学上許容される担体との組合せにより得られ、黄色ブドウ球菌感染症の治療に用いられる、本発明の医薬組成物は、開示された投与経路によりマルチドース型で便宜上投与されてもよい。処方物は当業界で知られている方法により単位剤形を便宜上とってもよい。
水性懸濁液は、水性懸濁液の生産に適した賦形剤と混合されるTRAPタンパク質またはその断片を含んでもよい。賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、バソラゴム、およびアラビアゴムであり、分散剤または湿潤剤には天然リン脂質、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカニルエチレンオキシヘキサデカノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールグリコシドから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁液は更に一種以上のトナー、一種以上の香味剤および一種以上の甘味剤、例えばスクロースまたは糖質を含んでもよい。
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば、ピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油、またはヤシ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)へ分散させることにより製造されてもよい。油性懸濁液は、蜜蝋、固形パラフィン、またはスパーモル(spermol)のような増粘剤を含んでもよい。上記の甘味剤および香味剤も嗜好性の経口処方剤を得るために加えてよい。加えて、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)も保存用に本組成物へ加えてよい。
水を加えて水性懸濁液を製造するために適した分散性粉末または顆粒は、活性成分、分散または湿潤剤、懸濁剤および一種以上の保存剤を混合することにより得られる。上記の分散または湿潤剤が適切な分散または湿潤剤の例として用いられてもよい。他の賦形剤、トナー、香味剤、および甘味剤も懸濁液へ加えてよい。
本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためにTRAPタンパク質またはその断片を含んでなる医薬組成物は、油相が植物油(例えば、オリーブ油またはピーナツ油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)またはそれらの混合物である、水中油型エマルジョンで存在してもよい。適切な乳化剤としては、天然ゴム、例えばアラビアゴム、バソラゴム、天然リン脂質、例えば大豆およびレシチン、脂肪酸およびヘキシトールグリコシドから誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートがある。乳化剤は甘味剤および香味剤を含んでもよい。
組成物は直腸投与用の坐薬形態で存在してもよい。この組成物は薬物および適切な非刺激賦形剤を混合することにより製造されてもよく、該賦形剤は常温において固体だが直腸温度で液化されるため、それは直腸で溶融されて薬物を放出しうる。このような賦形剤には、カカオ脂およびポリエチレングリコールなどがある。
外用の場合には、本発明の化合物を含んでなるクリーム、軟膏、ゼリー、および懸濁物が考えられる。この適用目的のために、洗口剤および含嗽剤(gargarismas)もそこに含まれる。
本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためのTRAPタンパク質またはその断片は、小単層ベシクル、大単層ベシクル、または多層ベシクルのようなリポソームデリバリーシステムで投与してもよく、該リポソームはコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような異なるホスファチドからなる。
加えて、本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためのTRAPタンパク質またはその断片の一部は、溶媒和物を形成するために、水または一般有機溶媒と混合させてもよい。このような溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
固体担体が経口投与用であれば、処方剤は錠剤、薬物が粉末またはペレット形で充填される硬ゼラチンカプセル、トローチ、またはロゼンジの形態をとってもよい。固体担体の量は非常に異なるが、それは通常約25mg〜約1gである。液体担体が用いられるならば、処方剤はシロップ、エマルジョン、ゼラチンの軟カプセル、または無菌注射液、例えば水性または非水性液体懸濁液または溶液の形態をとってもよい。
本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためのTRAPタンパク質またはその活性断片が、このような治療の必要な哺乳類、特にヒトへ投与されてもよい。該哺乳類には動物も含むが、それらは飼育動物(例えば、家庭のペット)でもまたは非飼育動物(例えば、野生動物)でもよい。
本発明の化合物を含んでなる医薬組成物は1日または1週間に1回以上投与されてもよい。医薬組成物の有効量は臨床的に有意な効果に達するほどの量である。このような用量は、治療の必要な具体的症状、対象者の年齢、体重、および一般健康状態、並びに当業者により明らかに考えられる他の要因に一部依存する。
本発明の他の態様においては、活性成分として上記のTRAPタンパク質を含んでなる医薬組成物の治療有効量を黄色ブドウ球菌感染症に罹患した対象者へ投与することを含んでなる、黄色ブドウ球菌感染症の治療のための方法に関する。
ここで“治療”という用語は、黄色ブドウ球菌感染症から患者を治すための、患者の治療または看護に関する。この用語は、症状および合併症の軽減および緩和、および/または疾患、障害、および症状の治癒もしくは消失を含む黄色ブドウ球菌感染症の治療の全範囲を包含する意味である。このような治療を受ける対象者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
本発明において、“治療有効量”という用語は該病状の治療に十分な量に関し、それは患者、治療される疾患および用いられる治療法に基づき変化する。細菌感染症、特に黄色ブドウ球菌感染症の場合、該治療有効量は感染の発生後に該感染症をうまく抑制または消失させるために十分な量に関する。
本発明によると、黄色ブドウ球菌感染症の治療のためのTRAPタンパク質またはその生物活性断片は、単独でまたは他の確立された治療法と組み合わせて投与されてもよい。
TRAPは、黄色ブドウ球菌感染症に対して二重効果を有し、即ち該タンパク質自体とその阻害剤またはその中和抗体は同様の効果を有して、それが薬剤のある種の新規作用様式を表すことが、本発明において見出された。
TRAPが、黄色ブドウ球菌の感染症を治療するために用いられる場合、TRAPが細菌由来の外来タンパク質であるため、それが人体でTRAPに対する抗体の産生を確実に誘導することも、本発明において見出された。伝統的な薬剤の場合、抗体の産生は薬剤の効果の阻害を意味する。しかしながら、TRAPに関して、抗体の産生は有用である。
本発明の利点は次の通りである。
(1)薬剤の製造におけるTRAPの新規使用が見出され、治療薬を製造するために細菌細胞膜に付随したタンパク質の使用に関する新規分野が開発され、それが新規薬剤様式を表す。
(2)本発明のTRAPタンパク質の相同的配列はヒトゲノムにおいて見られず、そのためTRAPの薬剤はヒト免疫疾患を引き起こさない。
(3)TRAPが黄色ブドウ球菌外毒素の産生を阻害する場合に、それが対応抗体も産生するように体を刺激し、産生された抗体が黄色ブドウ球菌外毒素の生成を更に阻害しうる。TRAPが最初に機能し、次いで産生された抗体が同様の役割を更に果たすという様式が、新規の薬剤作用様式をもたらす。
(4)TRAPタンパク質を含んでなる薬剤が黄色ブドウ球菌感染症を治療するために用いられる場合、それは外毒素の産生を主に阻害して黄色ブドウ球菌の病原性を減少させることから、それは細菌の生存に影響を与えず、それが薬物耐性の獲得を生じさせにくくする。そのため、該薬剤は薬物耐性ブドウ球菌においても機能しうる。
本出願は以下のいくつかの実施例により更に詳細に説明されているが、それらはいかなる形態によっても、本発明を限定するものではない。
製造例1
黄色ブドウ球菌ファミリーの二種TRAPタンパク質(TRAPタンパク質(GenBank Accession No.AF202641およびAY248703))の製造。
Yang G.ら(2005)により開示された方法によりGenBankの塩基配列に従いプライマーを設計し、PCR工程により株RN6390Bまたは04018のゲノムからTRAP遺伝子を各々増幅させ、それらをpET-28aベクターへクローニングし、E.coliを形質転換させ、IPTGで発現を誘導し、Ni2+親和性樹脂で精製することにより、二種のTRAPタンパク質を別々に得た。
製造例2
天然TRAPタンパク質の製造
ポリクローナル抗体を組換えTRAPタンパク質により製造した。アフィニティカラムで精製抗体を製造するために、組換えTRAPタンパク質をCNBrで活性化されたSepharose 4Bとカップリングさせた。CNBrで活性化されたSepharose 4Bと、精製抗体とをカップリングさせ、アフィニティ精製により黄色ブドウ球菌 RN6390Bの超音波処理上澄からTRAPタンパク質を精製し、更にHPLCで精製することにより、95%超の純度を有する精製天然TRAPタンパク質を得た。
製造例3
TRAPタンパク質と12アミノ酸のポリペプチドからなる融合タンパク質の製造
非関連ペプチド配列(TPSIPSLWWTTP,Shen Tong et al.,Journal of Cellular and Molecular Immunology,2002,18:623-636)を選択し、プライマーを設計し、PCRによりTRAP非関連ペプチドの融合タンパク質を発現する遺伝子配列を得、それをpET-28aベクターへクローニングし、IPTGで発現を誘導し、E.coliを形質転換させ、Ni2+親和性樹脂で精製することにより、TRAPタンパク質と12アミノ酸のポリペプチドからなる融合タンパク質を製造した。
実施例1
MTT法によるMDBK細胞モデルで黄色ブドウ球菌外毒素に及ぼす複数起源からのTRAPタンパク質の効果の検証(Normano G.et al,2001,Microbiological,24,341-346)
具体的な工程は次の通りであった:
(1)黄色ブドウ球菌を37℃において一晩培養し、製造例1、2、または3において製造および精製された様々なタンパク質を生理塩水へ各々溶解させて、最終濃度2μg/μLの溶液を得、
(2)一晩培養された黄色ブドウ球菌を5000rpm/5minで遠心して細菌を集め、THB培地(Todd Hewitt Broth,Difico Corporation)でOD600nm=8まで再懸濁かつ希釈し、0.9mL THB培地に1:100の比率で接種し、
(3)工程(2)において得られた黄色ブドウ球菌で接種された培地へ工程(1)において調製された100μLのTRAPタンパク質を加え、コントロールとして100μLの生理塩水を用い、37℃において6時間インキュベートし、
(4)10000rpm/5minで遠心して上澄を集め、10分間煮沸し、そして10000rpm/5minで遠心して上澄を再び集め、
(5)96ウェルプレート(培養液は10%の牛胎児血清を含んでなるDMEMである)にMDBK細胞を1×10/ウェルで接種し、COインキュベーター中、37℃において4時間接着培養を行い、
(6)工程(4)から得られた上澄をMDBK培養液へ加え(10μL/ウェル)、COインキュベーター中、37℃において24時間培養し、そして
(7)MTTにより細胞の生存状態を検証する。
図5において、縦座標は細胞の生存状態を表し、ここで高OD値は細胞の高生存率と黄色ブドウ球菌外毒素の低生成率を意味する。
細胞の各群は外来TRAPタンパク質の存在下において高い生存率を示し、一方外来TRAPタンパク質の非存在下においては低い生存率を示すことが図5に表され、このことは外来TRAPタンパク質が黄色ブドウ球菌外毒素の生成を減少させうることを実証している。加えて、黄色ブドウ球菌外毒素の生成を阻害する効果に関して、異なる起源からのTRAPタンパク質の間に有意差はない。
実施例2
腹腔内感染動物モデルにおいて黄色ブドウ球菌感染症に及ぼすTRAPタンパク質の治療効果の検証
材料の準備:
BALB/cマウス:Animal Center of the Academy of Military Medical Sciencesから購入、および他の材料:製造例1および3のものと同様
具体的検出工程は次の通りである:
(1)黄色ブドウ球菌を37℃において一晩培養し、製造例1において製造および精製された二種の遺伝子工学処理組換えタンパク質と、製造例3において製造および精製されたTRAP融合タンパク質とを生理塩水へ各々溶解させて、最終濃度2μg/μLの溶液を得、
(2)工程(1)の一晩培養黄色ブドウ球菌を5000rpm/5minで遠心して細菌を集め、THB培地(Todd Hewitt Broth,Difico Corporation)でOD600nm=8まで再懸濁かつ希釈し、1mL THB培地に1:100の比率で接種し、37℃においてOD600nm=5まで培養し、遠心して細胞を集め、等容量の生理塩水で再懸濁し、
(3)BALB/cマウス(20〜25g,雄性)を4群に分け:各群はマウス20匹を有し、
(4)100μLの黄色ブドウ球菌をマウスへ腹腔内注射し、5時間後に様々なTRAPタンパク質をマウスへ腹腔内注射し、コントロールとして生理塩水を用い、そして
(5)各群のマウスの生存時間および状態を記録する。
結果は、TRAPタンパク質が、マウスにおける黄色ブドウ球菌感染症を効果的に減少させ、感染マウスの生存率を増加させることを示す(表1参照)。
Figure 2009533478
実施例3
マウスにおいてインビボでの抗体の産生に及ぼすTRAPの複数回注射の効果
(1)材料および方法は製造例1および2の場合と同様であるが、TRAPタンパク質(GenBank Accession No.AF202641)が7日毎に1回の腹腔内注射で3回にわたりマウスへ投与されたという違いがある。1カ月後、マウス血清を集め、マウスにおいてインビボでのTRAPに対する抗体の産生を検証した。
(2)結果:TRAPの複数回注射はマウスにおいてインビボでのTRAPに対する抗体の産生を誘導しうるが、このような注射を受けなかったマウスにおいて産生される抗体はほとんどなく、このことは外来TRAPがインビボでTRAPに対する抗体を産生するように動物を誘導しうることを示す(図6参照)。
参考文献
Figure 2009533478
図1はTRAPファミリー1における異なる起源からの7種のTRAPタンパク質の配列アライメント結果を表す。 図2はTRAPファミリー2における異なる起源からの3種のTRAPタンパク質の配列アライメント結果を表す。 図3はTRAPファミリー3における異なる起源からの2種のTRAPタンパク質の配列アライメント結果を表す。 図4は三つのTRAPファミリーにおける3種の異なる株からのTRAPタンパク質の配列アライメント結果を表す。 図5は黄色ブドウ球菌外毒素の産生に及ぼす異なる起源からの外来タンパク質の効果のヒストグラムを表す:数値は各々TRAPの起源を表し、即ち1はGenBank Accession No.AF202641のプロテオームを表し、2はGenBank Accession No.AY248703のプロテオームを表し、3は黄色ブドウ球菌から精製された天然TRAPプロテオームを表し、4はTRAPタンパク質と12アミノ酸のポリペプチドからなる融合タンパク質を表し、5は正常細胞コントロールを表し、そして6は生理塩水コントロール群を表す。 図6はTRAPに対する抗体の産生に及ぼす外来TRAPタンパク質の効果のヒストグラムを表す:1はTRAPで処置された群を表し、2は塩水コントロール群を表し、および3は陰性コントロールを表す。

Claims (10)

  1. 黄色ブドウ球菌感染症の治療のための薬剤の製造における、活性成分としてのTRAP自体の使用。
  2. 前記TRAPが、天然TRAP、組換えTRAP、原TRAP、TRAPを含んでなる融合タンパク質、TRAPの化学修飾物、またはそれらの生物活性断片からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の使用。
  3. 前記TRAPがブドウ球菌由来のものである、請求項1に記載の使用。
  4. 前記TRAPのタンパク質が黄色ブドウ球菌由来のものである、請求項3に記載の使用。
  5. 前記TRAPが、SEQ ID NO:2または4において示されている配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%、更に好ましくは95%超、更に好ましくは98%超、または100%の配列同一性を有するものである、請求項1に記載の使用。
  6. 前記薬剤が、TRAPと、場合により薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物である、請求項1に記載の使用。
  7. 前記薬剤が、非経口投与用の無菌水性もしくは非水性注射溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、無菌粉末、および凍結乾燥粉末、経口投与用の硬もしくは軟カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、丸剤、ロゼンジ、粉末、および顆粒、乳濁液、水性もしくは油性懸濁液、シロップ、およびエリキシル、並びに坐剤、エアロゾル、軟膏、クリーム、ゼラチン、吸入剤、皮膚用のパスタ、および外用のインプラントを含めた剤形である、請求項1に記載の使用。
  8. 黄色ブドウ球菌感染症に罹患した対象者へ治療有効量のTRAPを投与することを含んでなる、黄色ブドウ球菌感染症を治療するための方法。
  9. 前記TRAPが、天然TRAP、組換えTRAP、原TRAP、TRAPを含んでなる融合タンパク質、TRAPの化学修飾物、またはそれらの生物活性断片からなる群より選択されるものである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記TRAPのタンパク質が、SEQ ID NO:2または4において示されている配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%、更に好ましくは95%超、更に好ましくは98%超または100%の配列同一性を有するものである、請求項8に記載の方法。
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